JP2004092793A - バルブ駆動用の減速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内歯歯車の歯形の品質の確保及び耐久性の維持を図り、装置全体の重量をより軽くすると共に、ローラピンの脱落防止の問題も合理的に解消する。
【解決手段】バルブを駆動するための減速装置において、内歯歯車148の歯形を、該内歯歯車148の軸方向に沿って断面半円状に形成した溝148Bと、該溝148B内に回転自在に組み込んだローラピン148Aとで構成する。また、内歯歯車148の軸方向端面148Dに沿って前記ローラピン148Aの内周側位置Ipにまで延在された規制部153Aと、該内周側位置Ipから軸方向に沿って曲折形成され前記ローラピン148Aの溝148Bからの脱落を防止可能な保持部153Bと、を有するサポートリング153を、前記規制部153Aを介して内歯歯車148の軸方向端面148Dに装着する。
【選択図】 図1
【解決手段】バルブを駆動するための減速装置において、内歯歯車148の歯形を、該内歯歯車148の軸方向に沿って断面半円状に形成した溝148Bと、該溝148B内に回転自在に組み込んだローラピン148Aとで構成する。また、内歯歯車148の軸方向端面148Dに沿って前記ローラピン148Aの内周側位置Ipにまで延在された規制部153Aと、該内周側位置Ipから軸方向に沿って曲折形成され前記ローラピン148Aの溝148Bからの脱落を防止可能な保持部153Bと、を有するサポートリング153を、前記規制部153Aを介して内歯歯車148の軸方向端面148Dに装着する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボール弁やバタフライ弁等を駆動するためのバルブ駆動用の減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築設備や水処理設備の配管路等に設置され、流路の開閉や流量の調整等を行う弁として、ボール弁やバタフライ弁等を用いたバルブが広く知られており、これらのバルブを駆動する装置が数多く提案されている。
【0003】
近年では、手動でバルブを駆動するタイプの他に、モータを用いることによりいわゆる電動で駆動するタイプの駆動装置も求められている。
【0004】
図12に特開2002−115748号公報で開示されているこの種の駆動装置を示す。この駆動装置P1は、動力伝達装置(減速装置)G1とモータ10とを組み合わせたものである。動力伝達装置G1は平行軸歯車機構12及び内接噛合遊星歯車機構14を備える。
【0005】
駆動装置P1のケーシング16は、2枚のプレート18、20によって3つのブロックB1〜B3に分離されている。第1のブロックB1は主にモータ10やその制御装置(補機)24を、第2のブロックB2は主に平行軸歯車機構12を、第3のブロックB3は主に内接噛合遊星歯車機構14を、それぞれ収容している。
【0006】
モータ10の出力軸(平行軸歯車機構12の入力軸)26には、平行軸歯車機構12の第1ピニオン28が設けられている。
【0007】
平行軸歯車機構12は、該第1ピニオン28及び第1ギヤ30からなる1段目減速機構32と、第2ピニオン34及び第2ギヤ(出力ギヤ)36からなる2段目減速機構38とを備える。
【0008】
内接噛合遊星歯車機構(減速機構)14は、該第2ギヤ36が組み込まれた入力軸40、該入力軸40と一体化された偏心体42、該偏心体42の外周で揺動回転自在に組み込まれた外歯歯車46、該外歯歯車46の外歯の歯数より1だけ多い歯数の内歯を有する(僅少の歯数差を有する)内歯歯車48をその構成要素として有する。出力軸50は、外歯歯車46の自転成分のみを伝達するキャリヤ52を介して該外歯歯車46と連結されている。又、該出力軸50の先端には、手動時にスパナ等の図示せぬ棒状物を挿入するための貫通孔50Aが形成されている。
【0009】
なお、内歯歯車48及び外歯歯車46の歯形には、いわゆるインボリュート歯形が採用されている。又、出力軸50は、コスト低減のためその一端部がケーシング16に直接指示されると共に、他端部は第1のブロックB1の側にまで延在され、プレート18によって支持されている。
【0010】
この装置の作用を簡単に説明すると、モータ10の出力軸(平行軸歯車機構12の入力軸)26の回転は、2段の平行軸歯車機構12によって減速され、第2ギヤ36を介して内接噛合遊星歯車機構14の入力軸40に伝達される。該入力軸40が回転すると、これと一体の偏心体42を介して外歯歯車46が内歯歯車48に内接しながら揺動回転し、この結果、外歯歯車46は該入力軸40の1回転毎に内歯歯車48と外歯歯車46の歯数差に相当する分だけゆっくりと自転する。そのため、この外歯歯車46の自転成分相当の回転をキャリヤ52を介して出力軸50から取り出すことにより、1段で大きな減速比を得ることができる。このタイプは一般に「揺動回転型」と称されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこの種のバルブ駆動用の減速装置にあっては、内歯歯車がいわゆるインボリュート歯形の歯車で構成されていたため、歯形の耐久性の確保と歯形表面の加工性の確保を両立させるのが難しいという問題があった。
【0012】
即ち、内接噛合遊星歯車機構においては、外歯歯車の外歯と内歯歯車の内歯は常時滑りを伴いながら噛合・離反を繰り返すため、回転の円滑性を維持し、また動力の伝達ロスを低減するには、両歯車の歯形の表面はできるだけ平滑に加工処理されなければならない。
【0013】
しかしながら、その一方で、常時滑りを伴う噛合を長期に亘って良好に維持するためには、該歯形は耐久性のある硬質の素材で形成される必要がある。ところが、硬質の素材で内歯歯車を製造しようとした場合、歯形の表面処理はそれだけ困難になり、また、一般に硬質の素材は比重が大きいため、減速装置全体の重量が増大するという問題も発生し易い。
【0014】
特に、内歯歯車はリングの内周側に歯形が形成されているため、一般に表面の平滑化処理が困難であり、また減速装置の外周近くに存在する大きな部材であるため、硬質の(比重の大きい)素材を採用したときに減速装置全体における重量増大の影響が大きい。
【0015】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであって、内歯歯車の歯形の耐久性の確保及び歯形表面の加工性の確保を両立させると共に、減速装置全体の重量をより軽くすることができ、併せて、(後述するような)開発に当たって新たに発生した問題をも合理的に解消することのできるバルブ駆動用の減速装置及び該減速装置に適用されるサポートリングを提供することをその課題としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入力軸の外周で外歯歯車が、内歯歯車に内接噛合する内接噛合遊星歯車機構を備え、該内接噛合遊星歯車機構の出力軸の回転によってバルブを駆動するバルブ駆動用の減速装置において、前記内歯歯車の歯形を、該内歯歯車の軸方向に沿って断面半円状に形成した溝と、該溝内に回転自在に組み込んだローラ状のピンとで構成し、且つ前記内歯歯車の軸方向端面に沿って前記ローラ状のピンの内周側位置にまで延在され前記ローラ状のピンの軸方向の動きを規制可能な規制部と、該内周側位置から曲折形成され前記ローラ状のピンの前記溝からの脱落を防止可能な保持部と、を有するサポートリングを備えたことにより、上記課題を解決したものである。
【0017】
本発明においては、内歯歯車の歯形をインボリュート歯形ではなく、溝の中に回転自在に組み込んだローラ状のピン(円筒状又は円柱状のピン:以下単にローラピンの語で代表させる)によって構成するようにしたため、内歯歯車の本体部分と歯形の部分を別の素材で形成することができる。その結果、内歯歯車の本体については例えばアルミニウム系の軽量素材を使用することができ、一方、内歯歯車の歯形については本体よりも高い硬度を有する素材を使用することができる。ローラピンは、形状が単純であるため、種々の製造法、あるいは加工法が適用でき、(硬い素材であっても)高精度で且つ鏡面処理されたローラピンを得るのは容易である。即ち、全体として軽量で耐久性があり、且つ回転安定性の高い内歯歯車を得ることができる。
【0018】
ところで、内歯歯車の1個1個の歯形をこのようなローラピンによって構成すると、当該1個1個のローラピンをどのように溝の中に保持するかという問題が浮上する。
【0019】
この種の構造において、こうしたローラピンを保持するための一般的な構造としては、該ローラピンの両サイドにケーシング又はケーシングに相当するプレート(前記従来例でいうならば、例えば符号18、20で示したようなプレート)を配置し、該ケーシング或いはプレートを介して何らかの支持構造を形成するものが考えられる。
【0020】
しかしながら、本発明の適用対象であるバルブ駆動用の減速装置の場合は、一般に内歯歯車の片側は、モータを制御するための制御装置(補機)を設置しなければならないことから、この手法を採用すると不具合が発生することが多い。例えば、前述した従来の減速装置のように、ケーシング全体を3つに分割するような大型のプレートを別途配置したような場合には、減速装置全体の軸方向の長さが累積的に長くなってしまい、無駄なスペースが多く、また大型のプレートを取付ける分重量の増大も避けられない。
【0021】
そこで、本発明では、内歯歯車の軸方向端部に特殊な形状のサポートリングを装着することによってこの問題を解決した。
【0022】
このサポートリングは、内歯歯車の軸方向端面に沿って前記ローラピンの内周側位置にまで延在され該ローラピンの軸方向の動きを規制可能な規制部と、該内周側位置から曲折形成され前記ローラピンの前記溝からの脱落を防止可能な保持部と、を有する。
【0023】
このサポートリングは、最小限の質量増大で全てのローラピンを効率的に保持することを可能とし、装置全体の重量増大を招かない。また、他の歯車や補機類等の配置の支障となることもない。
【0024】
好ましい実施形態は、前記サポートリングが、更に、前記保持部の先端から半径方向内周側に延在し、前記外歯歯車の軸方向の動きを規制可能な押さえ部を有している構成とされていることである。これにより、当該サポートリングを利用してローラピンのみならず外歯歯車の軸方向の位置規制を行うこともできるようになる。
【0025】
なお、本発明に係るサポートリングは、内歯歯車の軸方向「片側」の端面において装着されていれば(適用されていれば)足り、必ずしも両端面に装着されている必要はない。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の例を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係るバルブ駆動用の減速装置G2の適用例を示す展開断面図である。なお、この図1は、各歯車の噛合状態等の表示を優先して適宜半径方向に展開して図示しているため、該図1における半径方向の位置(座標)は、現実の縦断面とは必ずしも一致していない。図2は図1の右方向から見た側面図、図3は内接噛合遊星歯車機構の構成を示す図1のIII−III線に沿う断面図、図4は図1の左方向から見た側面図である。
【0028】
この減速装置G2は、その減速機構として平行軸歯車機構112及び内接噛合遊星歯車機構(減速機構)114を備え、モータ110と共に用いられる。
【0029】
モータ110のモータ軸126は、平行軸歯車機構112の入力軸を兼用している。即ち、モータ軸126には該平行軸歯車機構112の第1ピニオン128が歯切り形成されている。
【0030】
平行軸歯車機構112は、この第1ピニオン128、及び該第1ピニオン128と噛合する第1ギヤ130からなる1段目減速機構132と、該1段目減速機構132の第1ギヤ130と共に回転する第2ピニオン134、及びこの第2ピニオン134と噛合する第2ギヤ136からなる2段目減速機構138とを備える。
【0031】
2段目減速機構138の第2ギヤ136は、内接噛合遊星歯車機構114の入力軸140の外周に組み込まれ、該入力軸140と一体回転可能である。
【0032】
前記内接噛合遊星歯車機構114は、当該入力軸140、該入力軸140と一体化された偏心体142、ベアリング144を介して該偏心体142の外周で揺動回転自在に組み込まれた外歯歯車146、該外歯歯車146の外歯の歯数より1だけ多い歯数の内歯を有する(僅少の歯数差を有する)内歯歯車148をその構成要素として有する。外歯歯車146は、それぞれ複数の内ピン孔146Aを有し、該内ピン孔146Aにキャリヤ152と一体化された内ピン152Aが遊嵌している。なお、内歯歯車148付近の構成については後述する。
【0033】
キャリヤ152は出力軸150と連結(圧入)されており、これにより外歯歯車146の自転成分のみがキャリヤ152を介して出力軸150に伝達される構成となっている。出力軸150には、前記弁棒(図示略)の一端側が係入可能な有底の穴150Aが形成されており、該弁棒の一端側が出力軸150と動力伝達可能に連結される。
【0034】
ここで、本減速装置G2の各部材の配置構成についてより詳細に説明する。
【0035】
図5、図6に減速装置G2のケーシング170単体の形状を示す。図1を併せて参照しながら、このケーシング170は、矩形状のベース部174と該ベース部174から被駆動機械側(バルブ側)に突出されたほぼ正方形の突出部172とを一体的に備え、アルミニウム系の軽量素材(又は鋳物素材)によって形成されている。
【0036】
ケーシング170における前記突出部172は、ボルト穴172A、172Bのいずれかを介して当該減速装置G2をバルブの取付面に取り付けるための取付面F1を備え、又、内接噛合遊星歯車機構114の出力軸150の端部を回転自在に収容・支持するための中空孔172Dを備える。
【0037】
一方、ケーシング170のベース部174は、平行軸歯車機構112及び内接噛合遊星歯車機構114を突出部172の内周に繋がる単一の空間に収容している。従来のプレート20に相当するプレートは特に設けられていない。モータ110はベース部174の端部174Cに取り付けられている。
【0038】
キャリヤ152は、その外周152Bが円筒状に加工処理され、突出部172の内周側172Eに摺動自在に組み込まれている。キャリヤ152の内周は、出力軸150の中央部150Bが圧入されており、該キャリヤ152の回転が出力軸150に伝達可能となっている。出力軸150は、基本的にケーシング170の突出部172の中空孔172D、及びキャリヤ152を介して該突出部172の内周側172Eに直接支持されており、ケーシング170との間に特に軸受は配置されていない。
【0039】
入力軸140にはその軸方向に沿って中空部140Aが形成されており、出力軸150は該入力軸140を貫通して平行軸歯車機構112側に延長されている。中空部140Aの内周と対応する出力軸150の外周150Cとの間には、ニードルベアリング180が介在され、入力軸140は該ニードルベアリング180を介して出力軸150と相互に支持し合っている。
【0040】
出力軸150は入力軸140を貫通して図1における右側の空間Sにまで突出・延在されている。空間Sには、出力軸150の回転状態をモニタして該出力軸150の駆動状態を制御するための図示せぬ制御装置(エンコーダ等を含む補機)が配置される。符号181は該制御装置のケーシング(図示略)を取り付けるためのボルト孔である。
【0041】
なお、図2に示されるように、平行軸歯車機構112の第2ギヤ136には、前述の第2ピニオン134が噛合するとともに、手動操作時に弁棒を駆動するための駆動力を入力する手動軸162に装着された手動ピニオン160が同時に噛合している。
【0042】
ここで、内歯歯車148の周辺の構成について詳細に説明する。
【0043】
突出部172のベース部174側は内歯歯車148の本体を兼用している。該内歯歯車148の内歯は、ケーシング170自体(例えばアルミニウム系の軽量素材)よりも高い硬度を有するローラピン(ローラ状のピン)148Aを、断面が半円状の溝148B内に回転自在に組み込むことによって形成されている(図3参照)。なお、これに伴って、外歯歯車146の歯形はトロコイド系の曲線を基調とした歯形が採用されている。
【0044】
ローラピン148Aは、サポートリング153によって溝148Bから脱落しないように支持されている。即ち、溝148Bは断面が半円状であるため、何も手当てしなければ、ローラピン148Aの組み付けが大変であり、また、作動中に該ローラピン148Aが溝148Bから脱落してしまう。そのため、先ず、ローラピン148Aの一方側の端部においては、内歯歯車148の本体を兼用しているケーシング170の突出部172に直接形成された折り返し部172Kにより、ローラピン148Aの内周側を支持するようにしている。これにより、ローラピン148Aの溝148B内への組み込みが容易化できるが、この構成だけでは作動中のローラピン148Aの脱落を防止することはできない。そこで、図1、図7、あるいは図8に示されるようなサポートリング153を、内歯歯車148の図1の軸方向右側の軸方向端面148Dに装着してある。
【0045】
このサポートリング153は、内歯歯車148の軸方向端面148Dに沿って前記ローラピン148Aの内周側位置Ipにまで延在されローラピン148Aの軸方向の動きを規制可能な規制部153Aと、該内周側位置Ipから軸方向に沿って曲折形成され前記ローラピン148Aの前記溝148Bからの脱落を防止可能な保持部153Bと、を備える。
【0046】
図7、図8に示されるように、このサポートリング153は2箇所の取り付け部153F、153Gを有し、該取り付け部153F、153Gにおいてボルト孔153Hを介して前記軸方向端面148Dに装着されるようになっている。
【0047】
なお、図7は第2ギヤ136を取り除いた状態で図1の右側からサポートリング153の装着状態を見たものである。
【0048】
次に、この減速装置の作用を説明する。
【0049】
モータ軸110が回転すると、平行軸歯車機構112の第1ピニオン128、第1ギヤ130、及び第2ピニオン134、第2ギヤ136を介して2段階の減速が行われ、該第2ギヤ136と内周側で係合している内接噛合遊星歯車機構114の入力軸140が回転する。この結果、該入力軸140と一体化されている偏心体142を介して外歯歯車146が内歯歯車148に内接しながら揺動回転し、外歯歯車146は入力軸140の1回転毎に内歯歯車148と外歯歯車146の僅少の歯数差(この例では1)に相当する分だけゆっくりと自転する。この外歯歯車146の運動は、内ピン孔146A及び内ピン152Aの遊嵌によってその揺動成分が吸収され、自転成分のみがキャリヤ152を介して出力軸150に伝達される。出力軸150の回転は、有底の穴150A内に侵入されている図示せぬバルブの弁棒へと更に伝達される。
【0050】
なお、僅少の歯数差を有する歯車を内接噛合させる内接噛合遊星歯車機構としては、この他に「撓み噛み合い型」、あるいは「差動歯車型」等のタイプが公知である。いずれも1段で大きな減速比を得ることができる。
【0051】
入力軸140は、その半径方向内周側において、ニードルベアリング180を介して出力軸150と嵌合し、該出力軸150によっても支持されている。そのため、非常に安定した状態で回転することができる。
【0052】
一方、出力軸150は、ケーシング170の突出部172の中空孔172A及び該突出部172の内周部172Eによって安定支持されており、且つ、ニードルベアリング180を介して(自身が入力軸140を支持すると共に、逆に)入力軸140側から支持されている。
【0053】
そのため、出力軸150は、極めて安定した回転が可能であり、ケーシング170との間に軸受がなくても該支持部の損傷を最小限に抑えることができ、その分コストの低減及び軸方向の寸法短縮が可能である。更には、軸方向の寸法短縮ができた分、空間Sを十分広く確保でき、補機類の自由度の高い設置が可能である。
【0054】
また、軸受部194が内接噛合遊星歯車機構114の主要部(外歯歯車146、あるいは内歯歯車148)の存在する平面とほぼ同一の平面に配置されることになるため、減速装置G2全体の軸方向長をそれだけ短縮できる。さらに、従来必要とされていたプレート20等の配置を省略することができるようになるため、それだけ軽量化でき、またその分減速装置の軸方向長を更に短縮できる。
【0055】
ここで、ケーシング170の突出部172が内歯歯車148の本体を兼用しているため、部品点数を削減でき、さらに、内歯歯車148を含めケーシング170全体が例えばアルミニウム系の軽量素材で形成されているため、大幅な軽量化が図られている。
【0056】
一方、それにも拘わらず、内歯歯車148と外歯歯車146との噛合に関して高い耐久性を得ることができる。それは、内歯歯車148の歯形をその本体(ケーシング170)よりも高い硬度を有するローラピン148Aで構成してあり、なお且つ、この種の歯車機構の噛合において不可避的に生じる「滑り」についても、ローラピン148Aの溝148B内における回転によってその程度が軽減されるためである。
【0057】
なお、内歯歯車148のローラピン148Aと溝148Bとの接触に関しては、凸と凹との接触とになるため、(溝148Bがたとえアルミニウム系等の比較的軟質の素材で形成されていたとしても)耐久性上優れている。
【0058】
さらに、内歯歯車148の軸方向端面148Dにサポートリング153が装着され、各ローラピン148Aを内周側から支持すると共にその軸方向の移動規制を行っているため、減速装置の作動中においても該ローラピン148Aが溝148Bから脱落することはない。サポートリング153は一般的なプレートと比較して極めて軽く、(所定の機能を確実に果たしながら)減速装置の重量増大は最小限に抑えられている。
【0059】
図9〜図11に本発明の他の実施形態を示す。
【0060】
この実施形態におけるサポートリング253は、前述したサポートリング153に対し、規制部253A、保持部253Bのほか、該保持部253Bの先端を更に半径方向内周側に延在させた押さえ部253Cを備えたものである。このような形状のサポートリング253とすることにより、ローラピン148Bのみならず外歯歯車146の軸方向の位置規制も同時に行えるようになる。これ以外の構成については、前述した実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0061】
なお、上記実施形態においては、2段型の平行軸歯車機構が併設された例が示されていたが、本発明においては、平行軸歯車機構を含め、他の減速機構は必ずしも併設する必要はない。併設するにしても、上記構成に限定されない。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、内歯歯車の歯形の耐久性の確保及び表面加工の容易性の確保とを両立できると共に、減速装置全体の重量をより軽くすることができ、併せて、ローラピンの脱落防止の問題をも合理的に解消することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたバルブ駆動用の減速装置の実施形態の例を示す展開縦断面図
【図2】図1の右方向から見た側面図
【図3】内接噛合遊星歯車機構の構成を示す図1のIII−III線に沿う断面図
【図4】図1の左方向から見た側面図
【図5】図1のケーシングを単体で示した展開断面図
【図6】同ケーシングの右側面図
【図7】第2ギヤを外した状態で図1のサポートリングを右側から見た側面図
【図8】サポートリングを単体で示した正面図及び側面図
【図9】本発明の他の実施形態を示す図1相当の展開断面図
【図10】図9のサポートリングを右側から見た図7相当の側面図
【図11】同サポートリングを単体で示した正面図及び側面図
【図12】従来の動力伝達装置の適用例を示す縦断面図
【符号の説明】
110…モータ
112…平行軸歯車機構
114…内接噛合遊星歯車機構
128…第1ピニオン
130…第1ギヤ
132…1段目減速機構
134…第2ピニオン
136…第2ギヤ(出力ギヤ)
138…2段目減速機構
140…内接噛合遊星歯車機構の入力軸
142…偏心体
144…ベアリング
146…外歯歯車
148…内歯歯車
148A…ローラピン
148B…溝
150…出力軸
152…キャリヤ
153、253…サポートリング
153A,253A…規制部
153B、253B…保持部
253C…押さえ部
160…手動ピニオン
162…手動軸
170…ケーシング
172…突出部
174…ベース部
180…ニードルベアリング
194…軸受部
Ip…ローラピンの内周側位置
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボール弁やバタフライ弁等を駆動するためのバルブ駆動用の減速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築設備や水処理設備の配管路等に設置され、流路の開閉や流量の調整等を行う弁として、ボール弁やバタフライ弁等を用いたバルブが広く知られており、これらのバルブを駆動する装置が数多く提案されている。
【0003】
近年では、手動でバルブを駆動するタイプの他に、モータを用いることによりいわゆる電動で駆動するタイプの駆動装置も求められている。
【0004】
図12に特開2002−115748号公報で開示されているこの種の駆動装置を示す。この駆動装置P1は、動力伝達装置(減速装置)G1とモータ10とを組み合わせたものである。動力伝達装置G1は平行軸歯車機構12及び内接噛合遊星歯車機構14を備える。
【0005】
駆動装置P1のケーシング16は、2枚のプレート18、20によって3つのブロックB1〜B3に分離されている。第1のブロックB1は主にモータ10やその制御装置(補機)24を、第2のブロックB2は主に平行軸歯車機構12を、第3のブロックB3は主に内接噛合遊星歯車機構14を、それぞれ収容している。
【0006】
モータ10の出力軸(平行軸歯車機構12の入力軸)26には、平行軸歯車機構12の第1ピニオン28が設けられている。
【0007】
平行軸歯車機構12は、該第1ピニオン28及び第1ギヤ30からなる1段目減速機構32と、第2ピニオン34及び第2ギヤ(出力ギヤ)36からなる2段目減速機構38とを備える。
【0008】
内接噛合遊星歯車機構(減速機構)14は、該第2ギヤ36が組み込まれた入力軸40、該入力軸40と一体化された偏心体42、該偏心体42の外周で揺動回転自在に組み込まれた外歯歯車46、該外歯歯車46の外歯の歯数より1だけ多い歯数の内歯を有する(僅少の歯数差を有する)内歯歯車48をその構成要素として有する。出力軸50は、外歯歯車46の自転成分のみを伝達するキャリヤ52を介して該外歯歯車46と連結されている。又、該出力軸50の先端には、手動時にスパナ等の図示せぬ棒状物を挿入するための貫通孔50Aが形成されている。
【0009】
なお、内歯歯車48及び外歯歯車46の歯形には、いわゆるインボリュート歯形が採用されている。又、出力軸50は、コスト低減のためその一端部がケーシング16に直接指示されると共に、他端部は第1のブロックB1の側にまで延在され、プレート18によって支持されている。
【0010】
この装置の作用を簡単に説明すると、モータ10の出力軸(平行軸歯車機構12の入力軸)26の回転は、2段の平行軸歯車機構12によって減速され、第2ギヤ36を介して内接噛合遊星歯車機構14の入力軸40に伝達される。該入力軸40が回転すると、これと一体の偏心体42を介して外歯歯車46が内歯歯車48に内接しながら揺動回転し、この結果、外歯歯車46は該入力軸40の1回転毎に内歯歯車48と外歯歯車46の歯数差に相当する分だけゆっくりと自転する。そのため、この外歯歯車46の自転成分相当の回転をキャリヤ52を介して出力軸50から取り出すことにより、1段で大きな減速比を得ることができる。このタイプは一般に「揺動回転型」と称されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこの種のバルブ駆動用の減速装置にあっては、内歯歯車がいわゆるインボリュート歯形の歯車で構成されていたため、歯形の耐久性の確保と歯形表面の加工性の確保を両立させるのが難しいという問題があった。
【0012】
即ち、内接噛合遊星歯車機構においては、外歯歯車の外歯と内歯歯車の内歯は常時滑りを伴いながら噛合・離反を繰り返すため、回転の円滑性を維持し、また動力の伝達ロスを低減するには、両歯車の歯形の表面はできるだけ平滑に加工処理されなければならない。
【0013】
しかしながら、その一方で、常時滑りを伴う噛合を長期に亘って良好に維持するためには、該歯形は耐久性のある硬質の素材で形成される必要がある。ところが、硬質の素材で内歯歯車を製造しようとした場合、歯形の表面処理はそれだけ困難になり、また、一般に硬質の素材は比重が大きいため、減速装置全体の重量が増大するという問題も発生し易い。
【0014】
特に、内歯歯車はリングの内周側に歯形が形成されているため、一般に表面の平滑化処理が困難であり、また減速装置の外周近くに存在する大きな部材であるため、硬質の(比重の大きい)素材を採用したときに減速装置全体における重量増大の影響が大きい。
【0015】
本発明は、このような問題を解消するためになされたものであって、内歯歯車の歯形の耐久性の確保及び歯形表面の加工性の確保を両立させると共に、減速装置全体の重量をより軽くすることができ、併せて、(後述するような)開発に当たって新たに発生した問題をも合理的に解消することのできるバルブ駆動用の減速装置及び該減速装置に適用されるサポートリングを提供することをその課題としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、入力軸の外周で外歯歯車が、内歯歯車に内接噛合する内接噛合遊星歯車機構を備え、該内接噛合遊星歯車機構の出力軸の回転によってバルブを駆動するバルブ駆動用の減速装置において、前記内歯歯車の歯形を、該内歯歯車の軸方向に沿って断面半円状に形成した溝と、該溝内に回転自在に組み込んだローラ状のピンとで構成し、且つ前記内歯歯車の軸方向端面に沿って前記ローラ状のピンの内周側位置にまで延在され前記ローラ状のピンの軸方向の動きを規制可能な規制部と、該内周側位置から曲折形成され前記ローラ状のピンの前記溝からの脱落を防止可能な保持部と、を有するサポートリングを備えたことにより、上記課題を解決したものである。
【0017】
本発明においては、内歯歯車の歯形をインボリュート歯形ではなく、溝の中に回転自在に組み込んだローラ状のピン(円筒状又は円柱状のピン:以下単にローラピンの語で代表させる)によって構成するようにしたため、内歯歯車の本体部分と歯形の部分を別の素材で形成することができる。その結果、内歯歯車の本体については例えばアルミニウム系の軽量素材を使用することができ、一方、内歯歯車の歯形については本体よりも高い硬度を有する素材を使用することができる。ローラピンは、形状が単純であるため、種々の製造法、あるいは加工法が適用でき、(硬い素材であっても)高精度で且つ鏡面処理されたローラピンを得るのは容易である。即ち、全体として軽量で耐久性があり、且つ回転安定性の高い内歯歯車を得ることができる。
【0018】
ところで、内歯歯車の1個1個の歯形をこのようなローラピンによって構成すると、当該1個1個のローラピンをどのように溝の中に保持するかという問題が浮上する。
【0019】
この種の構造において、こうしたローラピンを保持するための一般的な構造としては、該ローラピンの両サイドにケーシング又はケーシングに相当するプレート(前記従来例でいうならば、例えば符号18、20で示したようなプレート)を配置し、該ケーシング或いはプレートを介して何らかの支持構造を形成するものが考えられる。
【0020】
しかしながら、本発明の適用対象であるバルブ駆動用の減速装置の場合は、一般に内歯歯車の片側は、モータを制御するための制御装置(補機)を設置しなければならないことから、この手法を採用すると不具合が発生することが多い。例えば、前述した従来の減速装置のように、ケーシング全体を3つに分割するような大型のプレートを別途配置したような場合には、減速装置全体の軸方向の長さが累積的に長くなってしまい、無駄なスペースが多く、また大型のプレートを取付ける分重量の増大も避けられない。
【0021】
そこで、本発明では、内歯歯車の軸方向端部に特殊な形状のサポートリングを装着することによってこの問題を解決した。
【0022】
このサポートリングは、内歯歯車の軸方向端面に沿って前記ローラピンの内周側位置にまで延在され該ローラピンの軸方向の動きを規制可能な規制部と、該内周側位置から曲折形成され前記ローラピンの前記溝からの脱落を防止可能な保持部と、を有する。
【0023】
このサポートリングは、最小限の質量増大で全てのローラピンを効率的に保持することを可能とし、装置全体の重量増大を招かない。また、他の歯車や補機類等の配置の支障となることもない。
【0024】
好ましい実施形態は、前記サポートリングが、更に、前記保持部の先端から半径方向内周側に延在し、前記外歯歯車の軸方向の動きを規制可能な押さえ部を有している構成とされていることである。これにより、当該サポートリングを利用してローラピンのみならず外歯歯車の軸方向の位置規制を行うこともできるようになる。
【0025】
なお、本発明に係るサポートリングは、内歯歯車の軸方向「片側」の端面において装着されていれば(適用されていれば)足り、必ずしも両端面に装着されている必要はない。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の例を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係るバルブ駆動用の減速装置G2の適用例を示す展開断面図である。なお、この図1は、各歯車の噛合状態等の表示を優先して適宜半径方向に展開して図示しているため、該図1における半径方向の位置(座標)は、現実の縦断面とは必ずしも一致していない。図2は図1の右方向から見た側面図、図3は内接噛合遊星歯車機構の構成を示す図1のIII−III線に沿う断面図、図4は図1の左方向から見た側面図である。
【0028】
この減速装置G2は、その減速機構として平行軸歯車機構112及び内接噛合遊星歯車機構(減速機構)114を備え、モータ110と共に用いられる。
【0029】
モータ110のモータ軸126は、平行軸歯車機構112の入力軸を兼用している。即ち、モータ軸126には該平行軸歯車機構112の第1ピニオン128が歯切り形成されている。
【0030】
平行軸歯車機構112は、この第1ピニオン128、及び該第1ピニオン128と噛合する第1ギヤ130からなる1段目減速機構132と、該1段目減速機構132の第1ギヤ130と共に回転する第2ピニオン134、及びこの第2ピニオン134と噛合する第2ギヤ136からなる2段目減速機構138とを備える。
【0031】
2段目減速機構138の第2ギヤ136は、内接噛合遊星歯車機構114の入力軸140の外周に組み込まれ、該入力軸140と一体回転可能である。
【0032】
前記内接噛合遊星歯車機構114は、当該入力軸140、該入力軸140と一体化された偏心体142、ベアリング144を介して該偏心体142の外周で揺動回転自在に組み込まれた外歯歯車146、該外歯歯車146の外歯の歯数より1だけ多い歯数の内歯を有する(僅少の歯数差を有する)内歯歯車148をその構成要素として有する。外歯歯車146は、それぞれ複数の内ピン孔146Aを有し、該内ピン孔146Aにキャリヤ152と一体化された内ピン152Aが遊嵌している。なお、内歯歯車148付近の構成については後述する。
【0033】
キャリヤ152は出力軸150と連結(圧入)されており、これにより外歯歯車146の自転成分のみがキャリヤ152を介して出力軸150に伝達される構成となっている。出力軸150には、前記弁棒(図示略)の一端側が係入可能な有底の穴150Aが形成されており、該弁棒の一端側が出力軸150と動力伝達可能に連結される。
【0034】
ここで、本減速装置G2の各部材の配置構成についてより詳細に説明する。
【0035】
図5、図6に減速装置G2のケーシング170単体の形状を示す。図1を併せて参照しながら、このケーシング170は、矩形状のベース部174と該ベース部174から被駆動機械側(バルブ側)に突出されたほぼ正方形の突出部172とを一体的に備え、アルミニウム系の軽量素材(又は鋳物素材)によって形成されている。
【0036】
ケーシング170における前記突出部172は、ボルト穴172A、172Bのいずれかを介して当該減速装置G2をバルブの取付面に取り付けるための取付面F1を備え、又、内接噛合遊星歯車機構114の出力軸150の端部を回転自在に収容・支持するための中空孔172Dを備える。
【0037】
一方、ケーシング170のベース部174は、平行軸歯車機構112及び内接噛合遊星歯車機構114を突出部172の内周に繋がる単一の空間に収容している。従来のプレート20に相当するプレートは特に設けられていない。モータ110はベース部174の端部174Cに取り付けられている。
【0038】
キャリヤ152は、その外周152Bが円筒状に加工処理され、突出部172の内周側172Eに摺動自在に組み込まれている。キャリヤ152の内周は、出力軸150の中央部150Bが圧入されており、該キャリヤ152の回転が出力軸150に伝達可能となっている。出力軸150は、基本的にケーシング170の突出部172の中空孔172D、及びキャリヤ152を介して該突出部172の内周側172Eに直接支持されており、ケーシング170との間に特に軸受は配置されていない。
【0039】
入力軸140にはその軸方向に沿って中空部140Aが形成されており、出力軸150は該入力軸140を貫通して平行軸歯車機構112側に延長されている。中空部140Aの内周と対応する出力軸150の外周150Cとの間には、ニードルベアリング180が介在され、入力軸140は該ニードルベアリング180を介して出力軸150と相互に支持し合っている。
【0040】
出力軸150は入力軸140を貫通して図1における右側の空間Sにまで突出・延在されている。空間Sには、出力軸150の回転状態をモニタして該出力軸150の駆動状態を制御するための図示せぬ制御装置(エンコーダ等を含む補機)が配置される。符号181は該制御装置のケーシング(図示略)を取り付けるためのボルト孔である。
【0041】
なお、図2に示されるように、平行軸歯車機構112の第2ギヤ136には、前述の第2ピニオン134が噛合するとともに、手動操作時に弁棒を駆動するための駆動力を入力する手動軸162に装着された手動ピニオン160が同時に噛合している。
【0042】
ここで、内歯歯車148の周辺の構成について詳細に説明する。
【0043】
突出部172のベース部174側は内歯歯車148の本体を兼用している。該内歯歯車148の内歯は、ケーシング170自体(例えばアルミニウム系の軽量素材)よりも高い硬度を有するローラピン(ローラ状のピン)148Aを、断面が半円状の溝148B内に回転自在に組み込むことによって形成されている(図3参照)。なお、これに伴って、外歯歯車146の歯形はトロコイド系の曲線を基調とした歯形が採用されている。
【0044】
ローラピン148Aは、サポートリング153によって溝148Bから脱落しないように支持されている。即ち、溝148Bは断面が半円状であるため、何も手当てしなければ、ローラピン148Aの組み付けが大変であり、また、作動中に該ローラピン148Aが溝148Bから脱落してしまう。そのため、先ず、ローラピン148Aの一方側の端部においては、内歯歯車148の本体を兼用しているケーシング170の突出部172に直接形成された折り返し部172Kにより、ローラピン148Aの内周側を支持するようにしている。これにより、ローラピン148Aの溝148B内への組み込みが容易化できるが、この構成だけでは作動中のローラピン148Aの脱落を防止することはできない。そこで、図1、図7、あるいは図8に示されるようなサポートリング153を、内歯歯車148の図1の軸方向右側の軸方向端面148Dに装着してある。
【0045】
このサポートリング153は、内歯歯車148の軸方向端面148Dに沿って前記ローラピン148Aの内周側位置Ipにまで延在されローラピン148Aの軸方向の動きを規制可能な規制部153Aと、該内周側位置Ipから軸方向に沿って曲折形成され前記ローラピン148Aの前記溝148Bからの脱落を防止可能な保持部153Bと、を備える。
【0046】
図7、図8に示されるように、このサポートリング153は2箇所の取り付け部153F、153Gを有し、該取り付け部153F、153Gにおいてボルト孔153Hを介して前記軸方向端面148Dに装着されるようになっている。
【0047】
なお、図7は第2ギヤ136を取り除いた状態で図1の右側からサポートリング153の装着状態を見たものである。
【0048】
次に、この減速装置の作用を説明する。
【0049】
モータ軸110が回転すると、平行軸歯車機構112の第1ピニオン128、第1ギヤ130、及び第2ピニオン134、第2ギヤ136を介して2段階の減速が行われ、該第2ギヤ136と内周側で係合している内接噛合遊星歯車機構114の入力軸140が回転する。この結果、該入力軸140と一体化されている偏心体142を介して外歯歯車146が内歯歯車148に内接しながら揺動回転し、外歯歯車146は入力軸140の1回転毎に内歯歯車148と外歯歯車146の僅少の歯数差(この例では1)に相当する分だけゆっくりと自転する。この外歯歯車146の運動は、内ピン孔146A及び内ピン152Aの遊嵌によってその揺動成分が吸収され、自転成分のみがキャリヤ152を介して出力軸150に伝達される。出力軸150の回転は、有底の穴150A内に侵入されている図示せぬバルブの弁棒へと更に伝達される。
【0050】
なお、僅少の歯数差を有する歯車を内接噛合させる内接噛合遊星歯車機構としては、この他に「撓み噛み合い型」、あるいは「差動歯車型」等のタイプが公知である。いずれも1段で大きな減速比を得ることができる。
【0051】
入力軸140は、その半径方向内周側において、ニードルベアリング180を介して出力軸150と嵌合し、該出力軸150によっても支持されている。そのため、非常に安定した状態で回転することができる。
【0052】
一方、出力軸150は、ケーシング170の突出部172の中空孔172A及び該突出部172の内周部172Eによって安定支持されており、且つ、ニードルベアリング180を介して(自身が入力軸140を支持すると共に、逆に)入力軸140側から支持されている。
【0053】
そのため、出力軸150は、極めて安定した回転が可能であり、ケーシング170との間に軸受がなくても該支持部の損傷を最小限に抑えることができ、その分コストの低減及び軸方向の寸法短縮が可能である。更には、軸方向の寸法短縮ができた分、空間Sを十分広く確保でき、補機類の自由度の高い設置が可能である。
【0054】
また、軸受部194が内接噛合遊星歯車機構114の主要部(外歯歯車146、あるいは内歯歯車148)の存在する平面とほぼ同一の平面に配置されることになるため、減速装置G2全体の軸方向長をそれだけ短縮できる。さらに、従来必要とされていたプレート20等の配置を省略することができるようになるため、それだけ軽量化でき、またその分減速装置の軸方向長を更に短縮できる。
【0055】
ここで、ケーシング170の突出部172が内歯歯車148の本体を兼用しているため、部品点数を削減でき、さらに、内歯歯車148を含めケーシング170全体が例えばアルミニウム系の軽量素材で形成されているため、大幅な軽量化が図られている。
【0056】
一方、それにも拘わらず、内歯歯車148と外歯歯車146との噛合に関して高い耐久性を得ることができる。それは、内歯歯車148の歯形をその本体(ケーシング170)よりも高い硬度を有するローラピン148Aで構成してあり、なお且つ、この種の歯車機構の噛合において不可避的に生じる「滑り」についても、ローラピン148Aの溝148B内における回転によってその程度が軽減されるためである。
【0057】
なお、内歯歯車148のローラピン148Aと溝148Bとの接触に関しては、凸と凹との接触とになるため、(溝148Bがたとえアルミニウム系等の比較的軟質の素材で形成されていたとしても)耐久性上優れている。
【0058】
さらに、内歯歯車148の軸方向端面148Dにサポートリング153が装着され、各ローラピン148Aを内周側から支持すると共にその軸方向の移動規制を行っているため、減速装置の作動中においても該ローラピン148Aが溝148Bから脱落することはない。サポートリング153は一般的なプレートと比較して極めて軽く、(所定の機能を確実に果たしながら)減速装置の重量増大は最小限に抑えられている。
【0059】
図9〜図11に本発明の他の実施形態を示す。
【0060】
この実施形態におけるサポートリング253は、前述したサポートリング153に対し、規制部253A、保持部253Bのほか、該保持部253Bの先端を更に半径方向内周側に延在させた押さえ部253Cを備えたものである。このような形状のサポートリング253とすることにより、ローラピン148Bのみならず外歯歯車146の軸方向の位置規制も同時に行えるようになる。これ以外の構成については、前述した実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0061】
なお、上記実施形態においては、2段型の平行軸歯車機構が併設された例が示されていたが、本発明においては、平行軸歯車機構を含め、他の減速機構は必ずしも併設する必要はない。併設するにしても、上記構成に限定されない。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、内歯歯車の歯形の耐久性の確保及び表面加工の容易性の確保とを両立できると共に、減速装置全体の重量をより軽くすることができ、併せて、ローラピンの脱落防止の問題をも合理的に解消することができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されたバルブ駆動用の減速装置の実施形態の例を示す展開縦断面図
【図2】図1の右方向から見た側面図
【図3】内接噛合遊星歯車機構の構成を示す図1のIII−III線に沿う断面図
【図4】図1の左方向から見た側面図
【図5】図1のケーシングを単体で示した展開断面図
【図6】同ケーシングの右側面図
【図7】第2ギヤを外した状態で図1のサポートリングを右側から見た側面図
【図8】サポートリングを単体で示した正面図及び側面図
【図9】本発明の他の実施形態を示す図1相当の展開断面図
【図10】図9のサポートリングを右側から見た図7相当の側面図
【図11】同サポートリングを単体で示した正面図及び側面図
【図12】従来の動力伝達装置の適用例を示す縦断面図
【符号の説明】
110…モータ
112…平行軸歯車機構
114…内接噛合遊星歯車機構
128…第1ピニオン
130…第1ギヤ
132…1段目減速機構
134…第2ピニオン
136…第2ギヤ(出力ギヤ)
138…2段目減速機構
140…内接噛合遊星歯車機構の入力軸
142…偏心体
144…ベアリング
146…外歯歯車
148…内歯歯車
148A…ローラピン
148B…溝
150…出力軸
152…キャリヤ
153、253…サポートリング
153A,253A…規制部
153B、253B…保持部
253C…押さえ部
160…手動ピニオン
162…手動軸
170…ケーシング
172…突出部
174…ベース部
180…ニードルベアリング
194…軸受部
Ip…ローラピンの内周側位置
Claims (3)
- 入力軸の外周で外歯歯車が、内歯歯車に内接噛合する内接噛合遊星歯車機構を備え、該内接噛合遊星歯車機構の出力軸の回転によってバルブを駆動するバルブ駆動用の減速装置において、
前記内歯歯車の歯形を、該内歯歯車の軸方向に沿って断面半円状に形成した溝と、該溝内に回転自在に組み込んだローラ状のピンとで構成し、且つ
前記内歯歯車の軸方向端面に沿って前記ローラ状のピンの内周側位置にまで延在され該ローラ状のピンの軸方向の動きを規制可能な規制部と、該内周側位置から曲折形成され前記ローラ状のピンの前記溝からの脱落を防止可能な保持部と、を有するサポートリングを備えた
ことを特徴とするバルブ駆動用の減速装置。 - 請求項1において、
前記サポートリングが、更に、
前記保持部の先端から半径方向内周側に延在し、前記外歯歯車の軸方向の動きを規制可能な押さえ部を有している
ことを特徴とするバルブ駆動用の減速装置。 - 軸方向に沿って断面半円状に形成した溝と、該溝内に回転自在に組み込んだローラ状のピンとで歯形が構成されている内歯歯車を備えたバルブ駆動用の減速装置に用いる部品であって、
前記内歯歯車の軸方向端面に沿って前記ローラ状のピンの内周側位置にまで延在され該ローラ状のピンの軸方向の動きを規制可能な規制部と、該内周側位置から曲折形成され前記ローラ状のピンの前記溝からの脱落を防止可能な保持部と、を備えた
ことを特徴とするバルブ駆動用の減速装置のサポートリング。
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