JP2004532670A - モジュール式の輸液装置及び方法 - Google Patents

Abstract

ディスペンサにおける、出口ポートアセンブリと、該出口ポートアセンブリに向かう流体流れを制御するための計量部分とを含む使い捨てアセンブリと、再使用アセンブリと使い捨てアセンブリとの取り付けに際してディスペンサの計量部分を制御するようになっている、ディスペンサにおける制御部分と、ディスペンサに結合したローカルプロセッサにして、流れ指令に基づきディスペンサを通して流体流れを出口ポートアセンブリに向かわせるようにプログラムされたローカルプロセッサと、リモート無線装置からの流れ指令を受けるためにローカルプロセッサに結合されたローカル無線通信要素とを有する再使用アセンブリとを含む流体投与装置が提供される。各アセンブリは、着脱自在に取り付けられるようになっており、使い捨てアセンブリ内には、再使用アセンブリと使い捨てアセンブリとの取り付けに際して再使用アセンブリに電力を提供するための電源が収納される。

Description

【技術分野】
【０００１】
本件出願は２００２年２月２２日に提出された米国特許出願番号第６０／２７０，９７０号の優先権を主張するものであり、２００１年８月３１日に提出された、「患者に投与するための装置、システム及び方法」と題する米国特許出願番号第０９／９４３，９９２号の関連出願である。
【０００２】
本発明は一般に治療用流体の投与装置に関し、詳しくは、治療用流体を安全且つ簡単に患者に経皮投与するために使用することのできる携帯式の輸液あるいは投与装置に関する。更に詳しくは、本発明は小型の、携帯式の、使い捨て性且つ再使用性を有するモジュール部品に関する。
【背景技術】
【０００３】
現在、薬剤、栄養剤、生物学的に誘導されたあるいは生物学的な活性剤、ホルモン性の及び遺伝子ベースの物質その他、固形あるいは液状の両物質を含む様々の薬品によって治療される数多くの病気やその他の肉体的疾患がある。そうした薬品を投与するに際しては、活性成分が消化管や肝臓内の触媒酵素によって劣化するのを回避するために患者の消化器系を迂回させることがしばしば望ましい。腸管以外を利用する薬品投与は腸管外あるいは非経口投与として知られている。投与薬物の効果を高め、薬物を変質させずに有意濃度下に所期の部位に確実に到達させる上で、液状の様々の薬品を非経口投与することがしばしば望ましい。
【０００４】
液状においてのみ入手し得る薬品、あるいは液化薬品が、固形剤あるいは錠剤では実現し得ない所望の特性を持つことがしばしばある。液状の薬品は、静脈あるいは動脈を介して心臓血管系内に輸液する、皮下組織内に輸液する、あるいは臓器、腫瘍、腔、骨及びその他の体内の特定部位内に直接輸液することにより最良投与が可能となる。
【０００５】
体内への液状薬品の腸管外投与はしばしば、針及びリザーバを使用するボーラス注射投与により、あるいは重力駆動式のディスペンサあるいは皮膚パッチ法により継続的に行なわれる。ボーラス注射による投与量は、しばしば患者に臨床的に要求される投与量と完全には一致せず、投与量は投与時に望ましいそれよりも通常は多くなる。重力供給システムを介しての薬品の継続投与は患者の活動や生活スタイルを損ない、療法は単純な流量及び流れプロファイルのものに限定される。皮膚パッチは、特にそれが分子構造に係わるものであることから、投与するべき薬品に特別の条件が要求され、重力供給システムと同様に投与量の調節は厳しく制限される。
【０００６】
患者に液状薬品を投与する携帯型の輸液ポンプが開発された。こうした輸液装置には、ボーラス条件、即ち、継続的な輸液及び可変流量での投与を実現する高度の流体投与プロファイルを提供する能力がある。こうした能力によれば、通常は薬品はずっと効果的なものとなり、患者に対する毒性も少なくなる。携帯型の輸液ポンプの１使用例は、真性糖尿病治療のためのインスリン投与である。そうした輸液ポンプによれば、米国特許第４，４９８，８４３号に記載されるようにインスリンを連続バーサル（頻回）ベースのみならずボーラス（基礎）ベースで投与することができる。
【０００７】
携帯型の輸液ポンプではしばしば、液状薬品を収納するためのカートリッジあるいはリザーバのような容器が備えられ、この輸液ポンプから経皮的に刺通した針を介して、あるいは患者の皮膚を通して患者に薬品を投与する電子機械的なポンピング技法あるいは調量技法が使用される。これらの技法によれば、装置のハウジングに位置付けられ、患者あるいは臨床医がアクセスする電子機械的なボタンあるいはスイッチを介しての制御及びプログラムが可能である。これらの装置には、例えば、警報機あるいは警告灯、可聴信号あるいは振動信号やアラームを含み得るところの、ＬＣＤとして知られる液晶ディスプレイのような文字スクリーンあるいはグラフィックスクリーンを介しての可視的なフィードバックが含まれる。またこうした装置はハーネス、あるいはポケット、若しくはストラップを使用して患者に装着させることができる。
【０００８】
現在入手することのできる携帯型の輸液装置は高価であり、プログラムや輸液のための調整が難しく、嵩高で重くしかも非常に壊れやすい。これらの装置の充填は困難であり、患者は目的の薬品だけでなく充填用のアクセサリーをも装着する必要がある。こうした装置は特別の注意、管理を必要とし、正しく機能させ、意図される長期間に渡り安全に使用できるよう清掃する必要がある。既存の装置が高価であることから、健康管理のプロバイダは携帯型の輸液装置及びそうした装置を用いる治療を認定する患者数を制限している。
【０００９】
従って、正確でしかも信頼性があり、小型、軽量、且つ低コストで、臨床医及び患者に対して腸管外液体投与に代えて簡単に使用することのできる、プログラム可能で且つ調節自在の投与システムに対する需要がある。
【００１０】
【特許文献１】
米国特許出願番号第６０／２７０，９７０号
【特許文献２】
米国特許出願番号第０９／９４３，９９２号
【特許文献３】
米国特許第４，４９８，８４３号
【特許文献４】
米国特許第５，５７５，３１０号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１１】
本件出願人は、２００１年８月３１日付で現在出願中の米国特許出願番号第０９／９４３，９９２号において、低コスト及び小型計量で簡単に使用することのできる、患者に液状薬品を投与するための装置を提供した。この装置には、出口ポートと、リザーバからの流体をこの出口ポートに流動させるためのディスペンサと、別個の遠隔制御装置からの流れ指令に基づき、流体を出口ポートに流動させるようプログラムされたローカルプロセッサと、流れ指令を受けるためにこのローカルプロセッサに接続した無線受信器と、が含まれる。装置の寸法、複雑さ及びコストを低減させるために、装置にはローカルプロセッサに流れ指令を提供するためのユーザー入力部品、例えばキーボードを持たないハウジングが設けられる。
【００１２】
患者に流体を投与するための新規且つ改良された装置が尚、望まれている。流体投与装置は、装置の寸法、複雑さ及びコストを一層低減するべく簡単な設計とされ、安価で且つ製造が容易であり、それ故、装置あるいはその部分自体が本来小型であり且つ使い捨て可能であることが好ましい。
加えて、流体投与装置はそうした装置のコストを更に低減させるべく、使い捨て性及び再使用性を有するモジュール式の部品の組合せを含むものであることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【００１３】
本件出願人は、液状薬品を信頼下に可変流れプロファイルにおいて投与するべくプログラムすることができ、しかも尚、小型計量且つ低コストの、精巧な携帯型輸液装置が必要であると判断する。携帯型輸液装置による治療法が広く受け容れられるためには、長期に渡り使用される高価な装置において必要とされる一般的な保守及び維持管理を回避する必要がある。小型且つ軽量の装置は搬送が楽であり、患者の皮膚に皮膚パッチと同じように接着材で取り付けるようにした場合でさえ患者にとってずっと快適なものである。
【００１４】
装置が安価であることにより、健康保険プロバイダ、病院、患者ケアセンターのみならず患者自身のコスト負担が軽減され、本装置を使用する処方上の融通性はずっと高まる。更に、装置が低コストであることにより、患者が代替用に１つ以上の装置を容易に入手することがずっと現実的なものとなる。もし主装置が壊れるあるいは機能しなくなったとしても、代替品があればコストを要する緊急補修が排除され、携帯型輸液装置を使用する治療の中断が回避される。
【００１５】
本発明によれば、小型軽量且つ低コストで、調節自在且つプログラム可能な、リザーバチャンバを包囲するハウジングを含む流体投与装置が提供される。リザーバチャンバには、このリザーバチャンバから有限量の流体を投与させるためのディスペンサが流体連通される。ディスペンサは流体投与装置の電子マイクロコントローラ（以下、ローカルプロセッサと称する）により制御される。本発明の流体投与装置には、本発明の流体投与装置に機械的に取り付けられたものではない遠隔制御装置からの情報を受ける通信要素が更に含まれる。また本発明の流体投与装置には、液状薬品がそこを通して本装置を出て患者に経皮的に導入されるところの、ディスペンサと流体連通された出口ポートアセンブリも含まれる。
【００１６】
本発明の流体投与装置を使用して投与することのできる液体形式には、これに限定するものではないが、インスリン、抗生物質、栄養液、高カロリー輸液（ＴＰＮ）、鎮痛剤、モルヒネ、ホルモンあるいはホルモン剤、遺伝子療法剤、血液凝固阻止剤、心血管薬剤、ＡＺＴあるいは化学療法剤が含まれる。本発明の流体投与装置を使用して治療する医学的症状には、糖尿病、心血管疾患、疼痛、慢性的疼痛、癌、ＡＩＤＳ、神経病、アルツハイマー病、ＡＬＳ、肝炎、パーキンソン病、痙性がある。
【００１７】
流体投与装置のハウジングには、患者が押すと装置のプログラムが開始されるあるいは変更されるスイッチあるいはボタンのような電子機械要素を設けないことが好ましい。流体投与装置とユーザーとの間は主に遠隔制御装置を通して連係される。
【００１８】
本発明の特定実施例では、流体投与装置が、出口ポートアセンブリと、この出口ポートアセンブリに向かう流体流れを制御するための調量部分と、出口ポートアセンブリ及び調量部分を収納するハウジングとを有する使い捨てアセンブリが含まれる。流体投与装置は再使用アセンブリをも含み、この再使用アセンブリが、再使用アセンブリと使い捨てアセンブリとを取り付けるに際して調量部分を制御するようになっている、流体投与装置における制御部分と、流体投与装置に結合され流れ指令に応じて流体投与装置を通して流体を出口ポートアセンブリに向かわせるようにプログラムされたローカルプロセッサと、遠隔無線装置からの流れ指令を受けるためにローカルプロセッサに結合されたローカル無線通信要素と、流体投与装置の制御部分及び制御部分、そしてローカル無線通信要素を格納するハウジングと、を含む。
【００１９】
使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリのハウジングは取り外し自在に取り付けられるようになっており、再使用アセンブリ及び使い捨てアセンブリの取り付けに際し、再使用アセンブリに電力を提供するための電源が使い捨てアセンブリ内に収納される。
【発明の効果】
【００２０】
患者に流体を投与するための、使い捨て性及び再使用性を有するモジュール式の部品組合せを含む低コストの装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２１】
図１及び図２を参照するに、本発明に従う構成の流体投与装置１０の１実施例が例示されている。本発明の流体投与装置を使用して投与することのできる液体形式には、これに限定するものではないが、インスリン、抗生物質、栄養液、高カロリー輸液（ＴＰＮ）、鎮痛剤、モルヒネ、ホルモンあるいはホルモン剤、遺伝子療法剤、血液凝固阻止剤、心血管薬剤、ＡＺＴあるいは化学療法剤が含まれる。本発明の流体投与装置を使用して治療する医学的症状には、糖尿病、心血管疾患、疼痛、慢性的疼痛、癌、ＡＩＤＳ、神経病、アルツハイマー病、ＡＬＳ、肝炎、パーキンソン病、痙性がある。
【００２２】
図２を参照するに、本発明の改良された流体投与装置１０が示され、使用上相互に組み立てられた少なくとも２つのアセンブリ７００、８００を構成部品として有し、アセンブリ８００が使い捨て性のものとされ（以下、使い捨てアセンブリ８００とも称する）、アセンブリ７００が再使用性のものとされている。再使用性のアセンブリ７００（以下、再使用アセンブリ７００とも称する）は使い捨てアセンブリ８００に着脱自在に取り付け自在であり、流体投与装置１０の大きなコストを要する構成部品を含む設計とされる。これらのアセンブリを伴う流体投与装置１０は、小型で、断面積がクレジットカードの寸法程度であり厚さは約２．５４ｃｍ（１インチ）未満であることが好ましい。
【００２３】
図２を参照するに、一般に、流体投与装置１０は、患者の皮膚に差し込む剛性あるいは可撓性のカニューラ７２のような出口ポートアセンブリ７０と、流体をリザーバ３０から出口ポートアセンブリ７０に向けて流動させるディスペンサ４０と、ディスペンサ４０に結合したプロセッサあるいは電子的なマイクロコントローラ（以下、ローカルプロセッサとも称する）５０とを含む。ローカルプロセッサ５０は様々の構成部品、例えば、マイクロプロセッサ、電子メモリ、電子クロックオシレーター、アナログ−デジタル変換器及びマルチプレクサなどを含むことができる。
【００２４】
ローカルプロセッサ５０は、図１にその１例を示すところの、別個の遠隔制御装置１００からの流れ指令に基づき、流体流れを出口ポートアセンブリ７０に流すようにプログラムされる。図２の流体投与装置１０には、別個の遠隔制御装置１００からの流れ指令を受け、受けた流れ指令をローカルプロセッサ５０に送るための、ローカルプロセッサ５０に結合した無線通信機６０が更に含まれる。使い捨てアセンブリ８００はハウジング８０２を含み、再使用アセンブリ７００はハウジング７０２を含み、これらのハウジング７０２及び８０２は出口ポートアセンブリ７０と、リザーバ３０と、ディスペンサ４０と、ローカルプロセッサ５０と、無線通信機６０とを収納する。
【００２５】
図示されるように、ハウジング７０２及び８０２は流れ指令をローカルプロセッサ５０に提供するための、例えば、電子機械的なスイッチあるいはボタンのようなユーザー入力部品、あるいはそうでなければ、プログラムされた流量をローカルプロセッサ５０を介して調節するためにユーザーがアクセスすることのできるインターフェースをその外面上に持たない。ユーザー入力部品を持たないことで、流体投与装置１０の寸法、複雑さ及びコストが実質的に低減され、かくして流体投与装置１０は本来小型で且つ使い捨て性のものとなる。
【００２６】
ローカルプロセッサ５０をプログラムする、プログラムを調節する、あるいはそうでなければユーザー入力をローカルプロセッサ５０に通信するために、流体投与装置１０は、図１に示す別個の遠隔制御装置１００からの、ユーザーの入力した信号を受けるための無線通信要素あるいは無線通信機６０を含む。信号は、遠隔制御装置１００の図示しない通信要素を経て送られる。この通信要素は、図１では遠隔制御装置１００の外側に示されるアンテナ１３０を含みあるいはこのアンテナに結合され得る。
【００２７】
図１及び図２の実施例では遠隔制御装置１００は、図示されるメンブレンキーパッド１２０のような電子機械的スイッチ列を含み、また、液晶ディスプレイ１１０（以下、ＬＣＤ１１０とも称する）のような画像表示装置を含むユーザー出力部品も含む。あるいは遠隔制御装置には、ユーザー入出力両用のタッチスクリーンを設けることができる。図１には示されないが、遠隔制御装置１００はメンブレンキーパッド１２０及びＬＣＤ１１０に結合したプロセッサ（以下、リモートプロセッサとも称する）を備えている。リモートプロセッサはメンブレンキーパッド１２０からユーザー入力を受け、流体投与装置１０に送られる“流れ”指示を提供し、またＬＣＤ１１０に情報を提供する。遠隔制御装置１００がＬＣＤ１１０をも含んでいることから、流体投与装置１０には情報スクリーンを持たなくとも良く、これが流体投与装置１０の寸法、複雑さ及びコストを一層低減させる。
【００２８】
流体投与装置１０の無線通信機６０は、無線周波数あるいはその他の無線通信基準及びプロトコルを用いて遠隔制御装置１００から電子的通信を受信することが好ましい。好ましい実施例では無線通信機６０は、流体投与装置１０が遠隔制御装置１００に情報を送り返すことができるよう、受信器と送信機とを含む双方向通信要素であることが好ましい。そうした実施例では遠隔制御装置１００には、流体投与装置１０から送られる情報を受けることができるようにするための、受信器及び送信機を含む一体の無線通信機６０も含まれる。
【００２９】
流体投与装置１０のローカルプロセッサ５０は、ユーザーが所望の流れ模様をプログラムし、このプログラムを必要に応じて調節するために必要な全てのコンピュータープログラム及び電子回路を収納する。電子回路には、１つ以上のマイクロプロセッサ、デジタル及びアナログ集積回路、コンデンサ、トランジスタその他半導体及びその他の、当業者には既知の電子部品が含まれ得る。ローカルプロセッサ５０には、必要な時間間隔でディスペンサ４０を正しく起動させるための電子回路やメモリーも搭載される。
【００３０】
図２に例示される実施例では、流体投与装置１０はローカルプロセッサ５０その他の装置部品に電力を供給するためのバッテリーあるいはコンデンサのような電源８０を含む。電源８０は流体投与装置１０と一体化することが好ましいが、例えば交換式バッテリーのような交換自在のものとして設けることができる。
【００３１】
図示されないが、流体投与装置には、ディスペンサ４０を何時どのように起動させるか、あるいは流量、ポンプ流路の最良条件、流路の閉塞、接触センサ、回転運動その他の運動表示器、のみならず、リザーバ３０が空であることあるいは漏出が生じていること、あるいは、リザーバからの流量が過剰あるいは過小であること、といった条件を判定するその他のパラメータを表示するための情報をローカルプロセッサ５０に送るリザーバ容積変換器あるいはリザーバ圧力変換器が含まれ得る。
【００３２】
リザーバ３０の容積は、投与する医療用流体の入手可能な濃度、流体投与装置１０の再充填あるいは廃棄に許容される時間、寸法上の制約事項その他のような要因に基づき、流体投与装置１０を使用する治療用途に最も良く適するように選択される。リザーバ３０は装置製造者側あるいは提携の薬剤製造者側で充填され得、あるいは充填アセンブリ３１よりなる、例えば、針挿通隔壁あるいはルアーコネクタを有する充填ポート３２のような外部充填手段を含むことができる。リザーバ３０の断面積は、ハウジング８０２の要求厚さを減少させるためにハウジング８０２の断面積の半分以上であることが好ましい。
【００３３】
図示されるように、流体投与装置１０は、患者の皮膚に直接固定するための接着層２０１をもハウジング８０２の外面上に含んでいる。接着層２０１は、皮膚刺通カニューラ７２を刺し通した皮膚の周囲に保護シールを提供するべく、出口ポートアセンブリ７０を包囲する連続環形状において設けることが好ましい。ハウジング７０２及び８０２は各々可撓性材料から作製し得、あるいは、患者が動いた場合に流体投与装置１０が外れないように撓み、患者の快適性を補助する可撓性のヒンジセクションを設けることができる。
【００３４】
ディスペンサ４０は図２に示すようにリザーバ３０と流体連通され、高度な流体投与プログラム及びディスペンサ４０の制御を可能とする電子プログラム、コントローラ、回路を含むローカルプロセッサ５０により制御される。流体投与装置１０に加圧されたリザーバ３０（即ち、リザーバ内に維持される流体が大気圧以上の圧力を有する）を設ける場合、ディスペンサ４０は、加圧されたリザーバ内からディスペンサ４０を通して大気圧下の出口ポートアセンブリ７０へと流体パルスが通過できるようにする計量装置として作用する。流体投与装置１０に設けるリザーバ３０が加圧されないものである場合、ディスペンサ４０はこのディスペンサを通り抜ける流体に駆動力あるいはポンプ力を生じさせない形態のものとされる。
【００３５】
図２の実施例では流体投与装置１０では、再使用アセンブリ７００がローカルプロセッサ５０と、無線通信機６０と、第１バッテリー８０と、ディスペンサ４０の計量制御部分４６とを含んでいる。使い捨てアセンブリ８００はリザーバ３０と、充填ポート３２と、出口ポートアセンブリ７０と、ディスペンサ４０の計量部分４８とを含んでいる。計量制御部分４６と計量部分４８とは再使用アセンブリ７００と使い捨てアセンブリ８００との取り付けに際して合致するようになっており且つそのように位置決めされる。
【００３６】
計量制御部分４６には、ソレノイドアクチュエータ、圧電アクチュエータ、発熱器、のようなアクチュエータあるいは、ディスペンサ４０の計量部分４８を制御する力、温度勾配、電磁界を発生させ、差し向けあるいは差し戻すためのその他の機構が含まれる。計量部分４８はリザーバ３０と出口ポートアセンブリ７０との間の流体流れを直接制御する。リザーバ３０が周囲圧力下に維持される場合、計量部分４８は回転蠕動ヘッド、直線蠕動機構、電磁式の流体推進器、排斥ポンプその他の、リザーバ３０から出口ポートアセンブリ７０に流体を移動させるための流体移動手段を含み得る。流体移動手段は、計量部分４８に含まれ且つ計量制御部分４６に一体化したモーター駆動装置により駆動されるところの回転蠕動ヘッドにより実現され得る。リザーバ３０が過圧される場合、計量部分４８は単に流量を制御するのみで、流体を推進させることはない。リザーバ３０はシールされた区画に含まれ、加圧されたガスが駆動力を提供し、あるいはリザーバが、例えば使い捨てアセンブリ８００のハウジング８０２に取り付けたバネ、別個のエラストマー構造、あるいは片持ち梁のような力発生部材と接触され得る。
【００３７】
再使用アセンブリ７００は、使い捨てアセンブリ８００に機械的に取り付けるための、例えば、何れもハウジング７０２を貫く小連結孔７０４及び大連結孔７０４Ａのような取り付け手段を含む。小連結孔７０４と大連結孔７０４Ａとは、小連結孔と合致する小連結突起８０３と、大連結孔７０４Ａと合致する大連結突起８０３Ａのような突起部材を受けるように配置される。各連結突起及び各連結孔の寸法あるいは幾何学的形状を変化させることにより装置形状を、非対称の、例えば丸い形態のような特別な配列構成のものとすることができる。使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリの何れかあるいは両方の幾何学的中心位置に整列部材を位置付けることができる。
【００３８】
小連結突起８０３と大連結突起８０３Ａとは矢印形状の輪郭を有し、この矢印形状の一部或はレバーアーム部分が、相当する小連結孔７０４と、大連結孔７０４Ａとの各直径を超えて伸延する。小連結突起８０３と大連結突起８０３Ａとは、この直径の大きなレバーアーム部分を後方に折り曲げつつ相当する各連結孔を貫いて伸延され、次いでレバーアーム部分が弾発的に戻ると再使用アセンブリ７００が使い捨てアセンブリ８００に錠止される。この特定の矢印形状の幾何学上、再使用アセンブリ７００を使い捨てアセンブリ８００から取り外すためには、矢印形状のレバーアームを逆方向に曲げる、あるいはレバーアームを実際には破壊するような大きな力が必要となる。以下に記載するような別の設計形状及び幾何学は、使用上好ましくは初期の取り付け後に取り外す必要のある流体投与装置のためにずっと好適なものであり、各連結突起の端部位置に矢印形状の構造に代えて、例えば、各連結孔の直径よりも若干直径の大きい球状部材を設けたものである。この場合、使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリを相互に弾発的に係脱させるために必要な力は中庸のものとなる。
【００３９】
各連結突起を再使用アセンブリ７００上に位置付け、各連結孔を使い捨てアセンブリ８００上に位置付けても良い。しかしながら、再使用アセンブリ７００を多数の使い捨てアセンブリ８００と共に使用する場合は、連結突起は取り付け及び取り外し後に破断し易くなることから、使い捨てアセンブリ８００にもっと脆い連結突起を位置付けることが望ましい。あるいは、連結突起を使い捨て及び再使用の両アセンブリに設け、相当する連結孔あるいは連結面を対向するアセンブリに設けることができる。
【００４０】
本発明の範囲を逸脱することなく、数多くのその他形状の突起部材及び相当する形状の受け穴を、以上に説明した連結突起及び連結孔に代えて用いることができる。当業者には取り付け、次いで取り外すことのできる種々の幾何学の弾発嵌合用の設計形状が知られている。あるいは、接着力の限定された接着剤の使用、各アセンブリへの合致するネジ溝の組み込み、あるいは様々のその他の弾発嵌合機構を一体化させることが可能である。幾つかの代替取り付け手段は以下の実施例において説明される。ネジ溝を用い、使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリを相互に螺合させる場合、意図しない脱落を防止するための、チャイルドプルーフ型の錠剤ビンで使用するそれのような手段を組み込むことができる。
【００４１】
ハウジング８０２の接着層２０１は、例えば、一般的なバンドエイドで使用するような標準の生物相容性の接着剤を含み得、また、接着剤が患者の皮膚に取り付ける前に所望されざる物体に貼り付かないようにするための保護カバーを含み得る。図１では接着層２０１は使い捨てアセンブリ８００に取り付けられている。図１では再使用アセンブリ７００が患者からある距離離して位置付けられ、使い捨てアセンブリ８００が患者の皮膚に最も近接して位置付けられている。ある用途において、接着層２０１を再使用アセンブリ７００に取り付けることが望ましい場合がある。この場合、再使用アセンブリ７００が患者の皮膚に最接近され、使い捨てアセンブリ８００は患者から離して位置付けられる。使い捨てアセンブリ８００にはリザーバ３０が収納されることから、使い捨てアセンブリ８００を患者の身体に向けないようにし、リザーバ３０内の治療用流体を劣化させ得る熱伝導を減少させることが望ましい。使い捨てアセンブリ８００がその寿命限界に達した後、この使い捨てアセンブリを患者の皮膚から取り外すことなく、第２の使い捨てアセンブリ８００を再使用アセンブリ７００に取り付けることができる。第２の使い捨てアセンブリ８００を取り外したい場合、再使用アセンブリ７００を患者の皮膚から取り外し、既に取り外していない場合は使い捨てアセンブリ８００を取り外し、第２の使い捨てアセンブリ８００を取り付け、組み合わせた装置を同じあるいは別の場所に取り付ける。組み合わせたアセンブリを患者の皮膚に取り付ける前あるいは後の何れかに、出口ポートアセンブリ７０を患者に経皮的に挿通することができる。次いで接着層２０１を再使用アセンブリ７００に取り付けた場合、接着層の接着力が無くなった場合はユーザーが交換することができる。
【００４２】
患者の皮膚に使い捨てアセンブリ８００かあるいは再使用アセンブリ７００の何れかを取り付けるための方法は、これらのアセンブリを相互に取り付けるに先立って、若しくは相互に取り付けた後で決定することができる。皮膚刺通カニューラ７２を、前記何れかあるいは両方のアセンブリを取り付けるに先立ち、若しくは前記何れかあるいは両方のアセンブリを患者の皮膚に取り付けると同時に、若しくは前記何れかあるいは両方のアセンブリを患者の皮膚に取り付けた後、患者の皮膚を貫いて導入させることができる。患者の皮膚への皮膚刺通カニューラ７２の刺し通し及び前記何れかあるいは両方のアセンブリの取り付けを同時に行うことが、装置取り付けの簡易化し且つ経皮的刺通を緩和する上で好ましい。
【００４３】
使い捨てアセンブリ８００及び再使用アセンブリ７００は、組み合わせた状態でのこれらのアセンブリを患者の皮膚に固定状態で取り付けるための、図示されない固定取り付け手段をその幾何学的構造上含み得る。そうした幾何学的配列では２つのアセンブリは、やはり図示されないが、並列形態下に患者の皮膚に極めて接近するようになる。取り付ける接着層は連続的あるいは断続的なものであり得、接着に先立って除去するカバーを有し得、また多層の接着層を有し得、その場合は１層を剥がすことにより未使用の接着層を露呈させることができる。
【００４４】
小連結突起８０３及び小連結孔７０４のような連結手段に加え、使い捨てアセンブリ８００及び再使用アセンブリ７００は、これら２つのアセンブリを整列させる整列手段としての整列用突出部材を含み得る。整列用突出部材の寸法形状は、２つのアセンブリの正しい整列を容易化するための、類似の寸法形状を有する合致用の孔あるいは表面と合致するようなものである。こうした整列用突出部材、孔あるいは表面は、接着剤及びネジのような、全て図示されないその他の形式の取り付け手段を伴う付加価値付きのものであり得る。整列手段は、合致用の孔あるいは表面を相当する側のアセンブリに設けた状態で、使い捨てアセンブリ８００及び再使用アセンブリ７００の何れかあるいは両方に含まれ得る。
【００４５】
ハウジング７０２及び８０２は同じあるいは異なる材料構成のものとすることができる。例えば、ハウジング７０２を長い使用寿命をサポートする高耐久性の材料から構成し、一方、ハウジング８０２をもっと柔軟なあるいはそうでなければもっと耐久性の低い材料から構成することができる。加えて、ハウジング８０２は生物分解性の材料から構成することができる。ハウジング８０２及び７０２は何れも、生物分解性の、リサイクル性のあるいはその他の、環境フレンドリーな材料から構成することが好ましい。
【００４６】
ハウジング７０２及び８０２の何れか一方あるいは両方を、これらの各部品を損傷から保護する一方で患者に快適性を提供するべく選択した、例えば射出成型プラスチックやエラストマーのような柔軟なあるいは可撓性の材料から構成することができる。相当するアセンブリの上部に好ましく位置付けたハウジングは、患者が歩いたりその他の運動をする間、組み合わせたアセンブリが損傷しないように保護する、高耐久性のあるいは低可撓性の材料から構成することができる。ハウジング７０２及び８０２は、取り付けた各アセンブリが撓むようにするための、図示しないヒンジセクションを含み得る。流路の構成材料は、生物相容性と、注入する治療用流体との親和性の何れをも含むように選択される。シリコーン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ナイロンのような材料及びその他の医療等級の材料は流体投与装置においては一般的なものである。
【００４７】
ハウジング７０２及び８０２の何れかあるいは両方は、１つ以上の構成部品を包囲する区画を含み得る。リザーバ３０はリザーバを加圧するガスを加圧するシール区画で包囲することができる。ローカルプロセッサ５０は、外部の電子的干渉から自らを保護するための、あるいはその他の装置に所望されざる電子的干渉が伝播されないようにするためのシールド区画を含み得る。ローカルプロセッサ５０あるいは電源８０は、放電と、放電による汚染通路創出の防止その他を目的とする防水区画内に含まれ得る。各区画は、各構成部品を熱の影響、電磁的影響、機械的、流体的若しくはその他の損傷から保護するため、あるいはその他の様々な目的のために創出され得る。
【００４８】
ハウジング７０２及び８０２は幾何学的構造上、円筒形あるいは矩形のような様々な形状を取ることができる。ハウジング内の構成部品は全体寸法を最小化するように配列され、外側表面は、図示されない接着性の取り付け手段を介して身体に取り付けた場合に快適であるように輪郭付けすることができる。
【００４９】
ハウジング７０２及び８０２は何れも、恒久的に一体化されあるいはユーザーが交換することのできるバッテリーあるいはコンデンサのような電源を含み得る。一方のアセンブリに含まれる電力を他方のアセンブリで利用することができるようにするための電子的接続部が、２つのアセンブリ間に含まれ得る。好ましい実施例では、再使用アセンブリ７００が、コンデンサのような恒久的に一体化された電源８０を含む。図示されない別の実施例では、使い捨てアセンブリ８００もまた恒久的に一体化された電源を含み、流体投与装置１０のためにユーザーが別個のバッテリーを購入する必要がない。
【００５０】
再使用アセンブリ７００の、恐らくはコンデンサであるところの電源は、使い捨てアセンブリ８００のバッテリーを使用して、これら２つのアセンブリを相互に取り付けた場合に充電され得る。再使用アセンブリ７００は、使い捨てアセンブリ８００に取り付けられない状態では常に、例えば電子メモリの保持あるいは遠隔制御装置１００への情報伝達のために自らの電源の電力を使用し得るが、使い捨てアセンブリ８００に取り付けた場合は再使用アセンブリ７００に一体化された電源の電力を利用することができる。この構成上、再使用アセンブリ７００の使用電力量は極小であり、使い捨てアセンブリ８００の電源からシステムに供給される電力は、新規の使い捨てアセンブリ８００を使用する場合は常に補充される。使い捨てアセンブリ８００の電源は、限定量の輸液、寿命限界その他の、使い捨てアセンブリ自身の使い捨て性を予め決定付ける制約事項に渡り、電力を供給するべく選択され得る。
【００５１】
使い捨てアセンブリ８００は、一体の皮膚刺通カニューラ７２に代えて、別個の標準的な経皮的輸液セットに取り付けることのできるルアーコネクタのような標準的なアタッチメントを含む出口ポートアセンブリ７０を含み得る。そうした輸液セットはシステムと共に供給され得、あるいはシステムとは別個に入手され得る。システムの代表的なキット配列構成には、多数の使い捨てアセンブリ８００と、それよりも数の少ない再使用アセンブリ７００と、再使用アセンブリ７００と同数あるいはもっと数の少ない遠隔制御装置１００が含まれ得る。使い捨てアセンブリ８００のリザーバ３０が前充填されない場合、治療用流体のビンその他容器を多数設けることができる。使い捨てアセンブリ８００が一体の皮膚刺通カニューラ７２を含まない場合、そうしたキットには経皮的な輸液セットも設けることができる。
【００５２】
図３には本発明に従う流体投与装置１０の別態様が示される。図３の装置では図１及び図２の装置と類似する構成要素には同じ参照番号が付記される。
【００５３】
図３の流体投与装置１０は、マイクロプロセッサ５１、電子メモリ５２、電子クロックオシレータ５３、アナログデジタル変換器５４、マルチプレクサ５５、と言った様々な部品を有するローカルプロセッサ５０を含んでいる。マイクロプロセッサ５１は、パーソナルコンピューターやその他の種々の高度の電子デバイスに含まれるような、あるいはシリコン集積回路組み立てを利用してカスタマイズした、業界標準のマイクロプロセッサであり得る。電子メモリ５２は、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、リライタブルメモリ、プログラマブルメモリ、電子消去性メモリその他メモリを含み得る。電子メモリ５２は、製造中若しくは製造後に部分的にあるいは完全にインストールすることのできる、流体投与装置１０の１つ以上のソフトウエアプログラムを含む。電子クロックオシレータ５３は、ローカルプロセッサ５０が時間を監視し、所定間隔で作動することができるような反復信号を提供し、あるいはそうでなければ正確なカウント機能を提供する。アナログデジタル変換器５４は、センサその他のアナログ出力電子機器からの信号を、ローカルプロセッサ５０のマイクロプロセッサ５１その他の電子部品のためのデジタル信号に変換する。別様には、若しくは追加的には、例えばマイクロプロセッサ５１から出力されるデジタル信号を入力するためのデジタルアナログ変換器を組み込み、このデジタル信号を、音響変換器その他の、機能上アナログ入力を必要とする構成部品のような出力機器で使用することのできるアナログ信号に変換させることが可能である。マルチプレクサ５５は、ローカルプロセッサ５０の任意の電子部品間での、多重配列の信号の入出力あるいはそうでなければ通信を可能とするために含まれ得る。ローカルプロセッサ５０には、これらに限定するものではないが、抵抗器、コンデンサ、インダクタ、ゲートアレー、トランジスタその他の集積回路及び部品を含む追加的なアナログデジタル電子回路が含まれ得る。
【００５４】
使い捨てアセンブリ８００には、流体の正しい流れを確認するべく計量部分４８内に一体化され得るセンサあるいは、再使用アセンブリ７００の正しい作動を確認するべく一体化されたセンサのような様々なセンサを組み込むことができる。各センサからのアナログあるいはデジタル形式の電子的情報は情報接点８３０に電気的に接続され得、この情報接点８３０を介して情報接点７３０に伝達される。情報接点７３０は、使い捨てアセンブリ８００が再使用アセンブリ７００に結合され、２つのアセンブリが正しく結合された時にこの情報接点８３０と接触し且つ整列する。情報接点８３０と情報接点７３０とは何れも、バネ負荷され得る１つ以上の接点を有し、各接点は、２つのアセンブリを結合した際に他方のアセンブリの相当する接点と合致して電気的に接続される。
【００５５】
再使用アセンブリ７００には、使い捨てアセンブリ８００での正しい流量を検証する、センサアセンブリ７１０のような様々のセンサが含まれ得る。センサアセンブリ７１０は、全て当業者には既知の、Ｚｅｖｅｘ社の製造するような気泡検出器、圧力センサあるいは圧力変換器、あるいは流量センサであり得、ハウジング７０２から突出してセンサ受けスロット８１０を介して使い捨てアセンブリ８００のチャンバに入るようになっている。センサアセンブリ７１０は使い捨てアセンブリ８００の流路の一部分、例えば、全ての流体が流動するところの配管の一部分に極めて近接し、あるいは取り巻きもする。再使用アセンブリ７００の各センサは、使い捨てアセンブリ８００のハウジング８０２を貫いて突出し得あるいはハウジング８０２と接触し得る。再使用アセンブリ７００のセンサアセンブリ７１０は使い捨てアセンブリ８００の流路の一部分と接触し得あるいはこの一部分を取り巻き得る。またセンサアセンブリ７１０は、閉塞状況を含む流れの閉鎖を監視することができる。センサアセンブリ７１０は、使い捨てアセンブリ８００の合致するセンサアセンブリの一部或は全部と共に作用することができる。またセンサアセンブリ７１０は、計測と、特定の通路の間隙のチェックとを行う、あるいはそうでなければ流体投与装置１０の機能の１つ以上のパラメータ、特に流体流れに関係するパラメータに関する情報を収集する発光器及び光センサを含み得る。
【００５６】
ローカルプロセッサ５０には、バッテリーあるいはコンデンサのような電源８０が取り付けられる。電源８０は、電力を必要とする種々のその他の構成部品に取り付けることができる。好ましい実施例では、再使用アセンブリ７００の電源８０はメモリ保持のような限定数の機能のための電力を供給し、大半の電力は使い捨てアセンブリ８００に含まれる電源から供給される。使い捨てアセンブリ８００の電源は、再使用アセンブリ７００を使い捨てアセンブリ８００に取り付けた場合に再使用アセンブリ７００の種々の構成部品に電気的に接続される。
【００５７】
図３に示す使い捨てアセンブリ８００にはバッテリー８２１のような電源も含まれる。バッテリー８２１は、ニッケルカドミウム、アルカリ、リチウム及び、小型の手持ち機器において一般的なその他のバッテリーであり得る。好ましい実施例ではバッテリーはユーザー交換式のものではなく、また使い捨てアセンブリ８００の使用寿命が７日未満と短いことから、バッテリーはかなり小型化され得る。バッテリー８２１は、センサのようなその他の電気的部品をも取り付けることのできる印刷回路基板に取り付けることができる。バッテリー８２１及び印刷回路基板は汚染防止のためにシール区画内に包入あるいは部分的に包入され得る。
【００５８】
バッテリー８２１は、再使用アセンブリ７００に電力を送るための、バッテリー接点８２０のような送電手段を含む。バッテリー接点８２０は再使用アセンブリ７００のバッテリー接点７２０と合致するようになっており、バッテリー接点７２０はバッテリー接点８２０と正しく接続するための可撓性フィンガ、あるいはバネ負荷された伝導材料を含み得る。図示されないプラグ及びプラグ受けのような送電手段を、２つのアセンブリを相互に取り付けるために、あるいはそうした取り付けを支援するために使用することができる。
【００５９】
バッテリー８２１からの電力は、ローカルプロセッサ５０、無線通信機６０、計量制御部分４６、及び再使用アセンブリ７００のその他の電子部品に電力を供給するのみならず、使い捨てアセンブリ８００の様々な電子部品に電力を供給するために使用され得る。再使用アセンブリ７００の電力が使い捨てアセンブリ８００の各電子部品に類似様式下に送られることが望ましい。
【００６０】
ハウジング７０２を貫いて伸延するリザーバ変換器７４０がハウジング８０２の受け穴８４０を貫いて突出し、リザーバ３０と極めて接近されあるいは接触する。リザーバ変換器７４０は、流体の圧力、温度、空気、品質その他パラメータを含む、リザーバ３０に関連する様々なパラメータの少なくとも１つを検出するようになっている。
【００６１】
別態様では、再使用アセンブリ７００が、別個の機器、センサその他形式の装置に取り付けたあるいはそうした装置と無線技術を使用して通信する追加的な通信要素あるいはセンサを含み得る。追加的な通信要素は、流体投与装置１０を身体に配置した場合にこの通信要素が、患者に配置したあるいは移植したセンサその他機器に極めて近接する状態で配置されるように、再使用アセンブリ７００内に一体化させることができる。患者に配置したあるいは移植したセンサその他機器は移植した血糖値センサであり得、使い捨てアセンブリの通信要素はこの移植した血糖値センサを起動させ、血糖値センサからの血糖値情報を受ける発光装置であり得る。システム上のそうした追加により、人工膵臓開発に向けた重要な一歩であるところの、インスリン投与時の閉ループ制御、あるいは半閉ループ制御が可能となる。再使用アセンブリ７００の使用時間が長いことから、再使用アセンブリ７００内に通信要素を組み込んだ場合のコストの影響は、使い捨てアセンブリ８００に通信要素を組み込んだ場合よりも小さくなる。診断装置あるいは診断センサは移植する必要が無く、あるいは例えば腕時計のように身に付けあるいは身体に接近して装着し得、あるいは流体投与装置１０と同じように皮膚の表面に粘着させることが出来る。再使用アセンブリ７００の通信要素は、ＲＦのような無線通信手段を含み得、若しくは、光、熱あるいは磁気エネルギーの伝送を含むところの、診断装置を直接起動させるあるいはそうでなければ直接読み取る手段を含み得る。血糖値監視に加え、健康状態に関するその他の診断機能、特には治療用流体の輸液条件に結びつく機能が有益である。
【００６２】
図４には本発明に従う流体投与装置の別態様が示される。図４の実施例は図１及び図２の装置と類似するものであり、類似する構成要素には同じ参照番号が付記される。
図４の流体投与装置には、使い捨てアセンブリ８００に位置付けられ、再使用アセンブリ７００に含まれる計量制御部分４６により制御される計量部分４８が含まれる。
【００６３】
使い捨てアセンブリ８００は、ハウジング９０２と一体化され外面上に外側ネジ溝８０６を有する円筒壁のような、再使用アセンブリ７００への取り付け手段を含んでいる。ネジ溝８０６はハウジング７０２に一体化された内側ネジ溝７０５と合致する。流体投与装置１０は全体的に円筒状であり得るが、円筒状とする必要があるのは内側ネジ溝７０５、外側ネジ溝８０６の部分のみであり、２つのアセンブリのハウジング７０２及び８０２の形状を非円筒状としても良い。再使用アセンブリ７００の内側ネジ溝７０５と、使い捨てアセンブリ８００の外側ネジ溝８０２とが相互に正しく螺合するのを支援するための整列用の支柱及び受け穴（図示せず）を各ネジ溝の幾何学的中心に組み込むことができる。整列用の支柱は一方のアセンブリに含まれ、他方のアセンブリには正しく位置決めされた合致する受け穴が含まれ得る。その他の整列手段を組み込むことが可能である。
【００６４】
内側ネジ溝７０５及び外側ネジ溝８０６は、再使用アセンブリ７００と使い捨てアセンブリ８００とを最大に回転させて相互にねじ込んだ場合に、合致する種々の構成部品が正しい固定位置に位置付けられるような設計形状のものである。図４に示す流体投与装置１０では計量部分４８が、この計量部分４８の入口弁４１及び出口弁４２が計量制御部分４６に含まれるアクチュエータ４６１及び４６２と正しく整列するように位置付けられる。計量部分４８は、流体を分与するための１つ以上の弁を収納する。各弁における冗長性により、仮にある弁が故障して開放位置のままとなった場合に、追加的なこれらの弁が、流体が自由に流れないようにするという点での安全性を提供する。
【００６５】
計量部分４８と計量制御部分４６とは何れも、制御用の各要素の整列を助成するために、再使用アセンブリ７００及び使い捨てアセンブリ８００の幾何学的中心に位置付けられる。これら２つのアセンブリを、２つのアセンブリを結合するプロセスでの相対的な回転数とは無関係の形態のものとすることができる。そうした形態には、回転数とは無関係の、図示されない偏心環状のアクチュエータが含まれ得る。回転数に影響を受けないようなものとするために、その他の幾何学的配列構成と、直接的な整列に対する感度がもっと低い技術とを組み込むことができる。
【００６６】
再使用アセンブリ７００は、やはりバッテリーあるいはコンデンサーであり得る第２電源８３を含む。好ましい実施例では第２電源８３は、バッテリードア８２を取り外すことによりユーザーが交換することの可能な、市販入手することのできるバッテリーである。第２電源８３が交換自在のバッテリーである場合、電源８０はメモリー保持のような低電力機能のためのみに利用されるコンデンサあるいは非交換性のバッテリーであることが好ましい。
【００６７】
図５Ａ及び図５Ｂには流体投与装置１０のディスペンサ４０の拡大断面図が示され、計量制御部分４６と計量部分４８とを含んでいる。計量部分４８は、何れも常閉の入口弁４１及び出口弁４２を含む。入口弁４１は可撓性膜４４を含む蓄積チャンバ４３に近接される。図５Ａでは可撓性部材４４が拡張状態下に示され、非拡張状態での可撓性膜４４が仮想線で示される。図５Ａに仮想線で示す可撓性膜４４の平衡位置が図５Ｂでは実線で示される。流体の特定のパルス容積“ＰＶ”は、可撓性膜４４が完全に拡張した状態から平衡状態に移動する際に排斥される容積により画定される。計量部分４８は、パルス容積ＰＶを明瞭に画定する設計形状のものとされる。インスリンの代表的濃度が１ミリリットル当たり１００単位である糖尿病用途のためには、受容し得るパルス容積は０．１及び５マイクロリットルであり、約２マイクロリットルであるのが好ましい。パルス容積ＰＶは、もっと高濃度のインスリン及びその他の高濃度の液体薬品を収受し得るよう、低減させる必要もある。
【００６８】
可撓性膜４４の背後には、可撓性膜４４が収縮した場合に空気を取り入れ、可撓性膜が拡張した場合に空気を逃がすための、図示されない通気口が含まれ得る。図４、図５Ａ、図５Ｂに示される形態は、リザーバ３０内の流体が、例えば加圧チャンバ、自己収縮リザーバその他の加圧手段により大気圧以上に加圧されることを想定したものである。入口弁４１が開放し、出口弁４２が閉じたままとされると、可撓性膜４４が拡開し、蓄積チャンバ４３の流体のパルス容積ＰＶが増大する。入口弁４１は、完全に拡張するために許容された所定時間が経過した後閉鎖される。次いで出口弁４２が開放され、可撓性膜４４が収縮するとパルス容積ＰＶが蓄積チャンバ４３から排出される。可撓性膜４４は流体を適切に排出させるために緊張下の弾性材料から構成される。受容し得るある範囲の背圧のパルス容積ＰＶが排出され得るに充分な所定時間が経過した後、出口弁４２が閉じ、次いでパルス容積ＰＶと等しい流体容積を送り出すべくサイクルが反復される。
【００６９】
入口弁４１と出口弁４２とは、再使用アセンブリ７００の計量制御部分４６に含まれる第１リニアアクチュエータ４６１、第２リニアアクチュエータ４６２により作動される。入口弁４１は第１リニアアクチュエータ４６１により作動され、出口弁４２は第２リニアアクチュエータ４６２により作動される。第１及び第２の各リニアアクチュエータは線形ソレノイドアクチュエータ、圧電アクチュエータ、その他の電気的に制御されるアクチュエータであり得る。
【００７０】
図６には本発明に従う構成の流体投与装置１０の追加の実施例が示される。図６の実施例は図１及び図２の実施例と類似のものであり、類似する構成要素には同じ参照番号が付記される。
【００７１】
図６の装置の再使用アセンブリ７００は電子アセンブリ５０Ａを含んでいる。図６の電子アセンブリは図１及び図２のローカルプロセッサ５０に類似するものであるが、使い捨てアセンブリ８００の電源８２１に電気的に結合するための、バッテリー接点７２０のような結合手段をも含んでいる。再使用アセンブリ７００と使い捨てアセンブリ８００とを結合すると、電子アセンブリ５０Ａのバッテリー接点７２０が電源８２１のバッテリー接点８２０と物理的に接触する。バッテリー接点７２０及び８２０の何れかあるいは両方をバネ負荷し、接触の維持を支援させるようにすることができる。電源８２１はユーザー非交換性の一体の電子化学的バッテリーであることが好ましい。
【００７２】
再使用アセンブリ７００の計量制御部分４６は、圧電モーター、ステップモーター、ＤＣモーターのような電気駆動式の回転モーターであり得る回転駆動要素４６７を含む。あるいは回転駆動要素４６７は、特定の回転量を決定する電気的アクチュエータを備えたバネ駆動式モーターであり得る。ドライブシャフト４６３の形態のアクチュエータが回転駆動要素４６７に、計量制御アクチュエータ４６３が回転すると回転駆動要素４６７も回転するように機械的に取り付けられる。ギヤ減速要素あるいはギヤ増速要素が含まれ得、あるいは駆動比を１対１に固定することができる。回転駆動要素４６７は、使い捨てアセンブリ８００の計量部分４８の１つ以上の構成部品にキーエントリし且つ摩擦係合することのできる形状を有する。
【００７３】
図７に示されるように、使い捨てアセンブリ８００の計量部分４８は、回転することにより配管の一部を通して所定量の流体を推進させることのできる回転蠕動ヘッドを含む。計量部分４８は、取り付けロールと、回転ロールアセンブリ４６４とからなるシステムを含む。回転ロールアセンブリ４６４の幾何学的中心は、再使用アセンブリ７００の計量制御部分４６の計量制御アクチュエータ４６３と合致するキー止め受け穴４６６が位置付けられる。使い捨てアセンブリ８００と再使用アセンブリ７００とを小連結突起８０３及び小連結孔７０４を用いて取り付けると、計量制御アクチュエータ４６３がキー止め受け穴４６６を貫通し且つこのキー止め受け穴と機械的に係合し、かくして回転駆動要素４６７が回転すると回転ロールアセンブリ４６４が等分量回転する。回転ロールアセンブリ４６４には多数のロールと、蠕動ロール４６５とが含まれる。各ロールは、ハウジング８０２の一部分に回転自在に取り付けた中心ハブに連結され、回転ロールアセンブリ４６４の幾何学的中心にはキー止め受け穴４６６が含まれる。各蠕動ロールは使い捨てアセンブリ８００の流路の一部であるところの流体移送管７７の一部と接触する状態で位置決めされる。流体移送管７７の入力側は治療用流体を収納するリザーバ３０に結合される。
【００７４】
図８に示されるように、計量制御アクチュエータ４６３は再使用アセンブリ７００と使い捨てアセンブリ８００とを取り付けた場合にキー止め受け穴４６６と機械的に係合する。回転駆動要素４６７がリモートプロセッサからのプログラムに基づく電子アセンブリ５０Ａの制御下に回転すると回転ロールアセンブリ４６４が回転し、流体移送管７７を介してリザーバ３０から所定量の流体が押し出され、皮膚刺通カニューラ７２を通して流体投与装置１０を出る。図６から図８の使い捨てアセンブリ８００の回転蠕動機構により流体推進力が発生するので、リザーバ３０内の流体は必ずしも加圧する必要は無い。
【００７５】
流体投与装置１０の全体寸法、特には高さを最小化するために、各構成部品は好適に配列され且つ一方のアセンブリから他方のアセンブリ内に突出することができるようなものとされ得る。例えば、図８に示すように再使用アセンブリ７００には使い捨てアセンブリ８００から突出するリザーバ３０を受ける間隙が設けられる。
【００７６】
図６から図８に示す実施例の装置の使い捨て部分には、一体化された専用電源８２１も設けられる。再使用アセンブリ７００の電子アセンブリ５０Ａは使い捨てアセンブリ８００のバッテリー接点８２０と接触して再使用アセンブリ７００のエレクトロニクスと使い捨てアセンブリ８００のバッテリー８２１との間に電気的接続を創出するバッテリー接点７２０に電気的に取り付けられる。
【００７７】
図９には本発明に従う構成の流体投与装置１０の別態様の実施例が示される。図９の実施例は図１及び図２のそれと類似のものであり、類似の構成要素には同じ参照番号が付記される。
【００７８】
図６の流体投与装置１０の使い捨てアセンブリ８００では、ハウジング８０２のリザーバ３０に隣り合う領域に、リザーバ内の流体温度が過度の上昇を防ぐための通気を可能とする通気口３８が含まれる。やはり図示されないが、ハウジング８０２のリザーバ３０を取り巻く領域を、リザーバ３０を目視点検することができるように透明化しても良い。ハウジング８０２のこの透明化する部分を、透明プラスチックその他の透明材料で作製することができる。あるいはハウジング８０２全体を透明化し、ユーザーがハウジング内の全ての部品を見ることができるようにすることもできる。
【００７９】
図９の実施例では使い捨てアセンブリ８００が流体投与装置１０の上部、即ち再使用アセンブリ７００の上部に位置付けられることから、リザーバ３０が患者の身体から離間され、リザーバ３０内の流体が過熱する恐れが一層少なくなる。
【００８０】
出口ポート７０は医療等級のシリコーンあるいはポリ塩化ビニルのような医療等級材料製の圧縮性の流体移送管７７を含んでいる。図９に示されるように、出口ポートアセンブリ７０の遠方尖端７２が、使い捨てアセンブリ８００を再使用アセンブリ７００の上部に位置付けた場合でさえも、再使用アセンブリ７００に位置付けた孔を貫いて患者に経皮的に挿通され得る。
【００８１】
図９の実施例の使い捨てアセンブリ８００及び再使用アセンブリ７００は、接着性の連続ストリップ８０７と共に取り外し自在に固定される。連続ストリップ８０７はハウジング８０２に恒久的に取り付けられ、使い捨てアセンブリ８００を再使用アセンブリ７００に一時的に、しかししっかりと固定する。あるいは若しくは追加的には、再使用アセンブリ７００、使い捨てアセンブリ８００の機械的結合を助成するための接着手段も含まれ得、あるいはまた、２つのアセンブリを取り付ける以前に何れかあるいは両方のアセンブリに別個の構成部品としての接着手段を塗布することができる。
【００８２】
ローカルプロセッサ５０にはデータ通信アセンブリ（ＤＣＡ）５００が取り付けられる。ＤＣＡ５００は別個の装置あるいはセンサからの診断情報、或いは患者の身体からの診断情報、あるいは患者の身体から除去した物質からの診断情報を入手する手段である。ＤＣＡの受けるあるいはＤＣＡから発せられる情報はローカルプロセッサ５０のエレクトロニクスの電子メモリに入力される。情報を無線通信機６０を介して遠隔制御装置１００に送信し、それ以降情報を使用しないようにすることができる。あるいは情報を、ローカルプロセッサ５０のプログラムあるいは遠隔制御装置１００の内部プログラムを使用して二次機能のために計算し、分析し、変更し、あるいはそうでなければ使用するあるいはプロセス処理することができる。二次機能は、プロセス処理したデータの単なる報告であり、あるいはプロセス処理したデータを使用して流体投与装置１０のプログラムを変更することであり得る。そうしたプログラムの変更には、変更を許可するためのユーザーの要求による介入、あるいは単なる自動変更が含まれ得る。
【００８３】
ＤＣＡ５００は血糖値測定装置として使用することが好ましい。その場合、流体投与装置１０を患者の身体に取り付けると、移植したあるいは外部の血糖値センサにＤＣＡ５００が近接され、このセンサからデータを受け取り、受けたデータを使用して流体投与装置１０を単に動作させ且つプログラムする。何れもカリフォルニア州のＣｙｇｎｕｓ及びＭｉｎｉＭｅｄによるものの如き種々のセンサが開発されてきている。これらのセンサを無線通信装置と連結してＤＣＡ５００と通信させ、あるいはＤＣＡ５００が、そうした血糖値検出技法により入手可能となった情報を直接入手するために必要な通信機構を含み得る。ＤＣＡ５００及びあるいはローカルプロセッサ５０は、別個の血糖値センサあるいはセンサアセンブリから入手した情報を元に血糖測定値を算出するためのアルゴリズムを含み得る。
【００８４】
仮に流体投与装置１０が情報をプロセス処理し、プログラムを自動調節する場合、流体投与装置１０はＤＣＡ５００を使用して自身の流体投与アルゴリズムのループを閉じ、インスリン投与の場合の膵臓の如き人工臓器として有効に作用する。あるいは、プログラムの幾分かあるいは全部を変更するに先立っての、読み取り値の受容性を確認するためのユーザーによる幾つかの介入が含まれ得る。外部読み取り装置と関連して作用し、しばしば光源を使用して血糖値レベルに相当する情報を取り込む埋め込み型の血糖値センサが色々な会社で開発されている。ＤＣＡ５００は、外部読み取り装置に代りセンサを駆動し及びあるいはセンサからの情報を受け、受けた情報をユーザーに報告し、及びあるいはこの情報を使用して流体投与装置１０のプログラムを調節しあるいはそうでない場合は変更することができる。図９の実施例の形態では再使用アセンブリ７００は、流体投与装置１０を接着性の取り付け手段、詳しくは接着層２０１を介して患者の皮膚に取り付けた場合に装置の底部に位置付けられる。この形態上、ＤＣＡ５００は患者の皮膚に直接あるいは近接して接触する状態に位置付けることが可能であり、それ故、ＤＣＡ５００と、移植したあるいは外部のセンサ若しくは装置との間の距離を最小化することが可能である。
【００８５】
あるいは、先の図面に関して説明したように、仮に使い捨てアセンブリ８００を患者の皮膚に接近して位置付ける場合、ＤＣＡ５００は使い捨てアセンブリ８００内に位置付けることができる。しかしこれはコストの点であまり好ましくはない。あるいはＤＣＡ５００を開口を通して再使用アセンブリ７００の外側に、あるいはハウジング８０２に接近して突出させ、合致する装置あるいは移植したセンサに接近させるようにすることができる。ＤＣＡ５００を血糖値検出に使用することが好ましいが、その他の種々の診断データ、特には、液状薬剤の輸液量に関連する診断データを使用することもできる。情報には、血液分析、圧力測定値、心電図あるいは呼吸速度の各データその他の生理学的情報が含まれ得る。ＤＣＡ５００を流体投与装置１０の再使用アセンブリ７００に組み込むことにより、読み取り装置あるいは判読装置の必要性が低減されるのみならず、患者あるいは臨床医のための診断データの使用あるいは分析が簡易化され得る。
【００８６】
図９の装置では再使用アセンブリ７００は接着層２０１を介して患者の皮膚に取り付けられる。再使用アセンブリ７００を患者の皮膚に取り付け、その後使い捨てアセンブリ８００を再使用アセンブリ７００に取り付ける、あるいは先ず２つのアセンブリを相互に取り付け、完成した流体投与装置を患者の皮膚に取り付けることができる。接着層２０１は、再使用アセンブリ７００の反復しての取り付けを改善するべく個々に露出させ得る多数の接着層を含み得、あるいはユーザーが取り外し自在且つ交換自在のものであり得る。
【００８７】
図１０Ａ及び図１０Ｂには、図９の流体投与装置１０の自動流路閉塞器８７０の作動状況が例示される。自動流路閉塞器８７０は、使い捨てアセンブリ８００が図９及び図１０Ａに示すように再使用アセンブリ７００から外された場合に、圧縮性の流体移送管７７を通る流体流れを自動的に閉塞する。自動流路閉塞器８７０は、使い捨てアセンブリ８００を再使用アセンブリ７００に取り付けると、図１０ｂに示すように、流体移送管７７を自動的に釈放する。
【００８８】
自動流路閉塞器８７０は、ハウジング８０２内でピボット点８７２位置にピボット廻動自在に取り付けたピボット部材８７１を含む。ピボット廻動部材８７１は、バネ８７３によって偏倚されるとピボット廻動し、図９及び図１０Ａに示すように、使い捨てアセンブリ８００から流体が排出されないようにするに充分な力で流体移送管７７をハウジングの閉塞面８７４に押し付ける。
【００８９】
ハウジング７０２の突出部７０６が図１０Ｂに示すようにハウジング８０２の開口を貫き、バネ８７３の偏倚力に抗してピボット部材８７１をピボット廻動させる。ピボット部材８７１は閉塞面８７４から離れ、かくして流体移送管７７を開放させ、流体が流体移送管７７を通過できるようにする。自動流路閉塞器８７０のこの機能により、使い捨てアセンブリ８００が再使用アセンブリ７００に正しく取り付けられていない場合は常に、不測の流体流れが防止される。次いで、使い捨てアセンブリ８００を再使用アセンブリ７００から取り外す場合、ハウジング７０２の突出部材７０６を引き抜くとバネ８７３がピボット部材８７１を偏倚させ、流体移送管７７を閉塞面８７４に押し付ける。
【００９０】
図９に示す機械的な閉塞装置に代えて、電気作動式の閉塞機構を組み込むことができる。その場合の電気回路は、使い捨てアセンブリ８００及び再使用アセンブリ７００の相互の取り付け及び取り外しを介して開閉される。これら２つのアセンブリが分離、即ち取り外されると使い捨てアセンブリ８００の流路が閉塞され、２つのアセンブリが結合されて電気的接続が形成されると、閉塞機構は停止される。図９の閉塞機構は単一の閉塞ポイントを含んでいるが、同じレバー機構あるいは追加的なレバー機構を介し、閉塞を助成するための追加的な閉塞ポイントを持たせることができる。
【００９１】
図１１には本発明に従う構成の流体投与装置１０の更に他の実施例が示される。図１１の装置は図１及び図２の装置と類似のものであり、類似する構成要素には同じ参照番号が付記される。
図１１の再使用アセンブリ７００は、使い捨てアセンブリ８００に取り付けられる可撓性のピボット廻動セクションを含んでいる。ハウジング７０２の可撓性のピボット廻動セクションは撓みを許容するためのヒンジ止めセクション２３を有する。あるいは、ハウジング７０２全体を、シリコーンエラストマーのような可撓性材料から作製することができる。
【００９２】
図１１の装置の再使用アセンブリ７００は、平面図で見て使い捨てアセンブリ８００の断面積のおよそ２倍の断面積を有する。２つのアセンブリを結合すると、使い捨てアセンブリ８００は図１１に示すように再使用アセンブリ７００の断面積の半分の部分に取り付けられる。再使用アセンブリ７００と使い捨てアセンブリ８００とを結合した状態の流体投与装置１０を患者の身体に紐止めあるいは接着した場合に、図示しない取り付け手段が装置の複数の部分を撓ませて患者に快適性を提供することが望ましい。追加的にあるいは別態様としては、使い捨てアセンブリ８００が再使用アセンブリ７００よりも大きな断面積を有し得る。同様に追加的あるいは別態様では、使い捨てアセンブリ８００がハウジング８０２に沿って可撓性セクションを含み得、あるいはハウジング８０２が可撓性であり得る。可撓性材料はシリコーンエラストマーその他の、耐久性がありしかも尚可撓性の材料から成り得る。
【００９３】
使い捨てアセンブリ８００は治療用流体、例えばインスリンを収納する圧縮性の内袋であるところのリザーバ３０と、リザーバの断面の大部分と接触し、１つ以上のバネ３４により加えられる力を介してリザーバ３０内の流体を圧縮する。圧縮用のバネ３４による圧縮に代えて、ハウジング８０２内に形成したシール区画に加圧したガスを充填してリザーバ３０を加圧することができる。
【００９４】
使い捨てアセンブリ８００は、再使用アセンブリ７００の計量制御部分４６により作動される計量部分４８をも含んでいる。２つのアセンブリを正しく結合すると、計量部分４８が計量制御部分４６の機能を制御するべく整列される。図１２に示されるように、計量部分４８は、使い捨てアセンブリ８００を再使用アセンブリ７００に取り付けた場合に、ディスペンサ４０の計量制御部分４６の相当するアクチュエータ４６０（一方のアクチュエータのみが示される）と整列する２つの弁８８０及び８８１を含む。
【００９５】
計量部分４８に含まれる弁８８０及び８８１は、計量部分４８内の図示しない流体アキュムレータを選択的に充填及び排出させ、流体の一定のパルス容積ＰＶを出口ポートアセンブリ７０に向かわせ、皮膚刺通カニューラ７２の遠方端から排出させるために使用することができる。別様には弁８８０及び８８１は、安全目的上組み込まれた多数の弁を使用して流体を積極的に排出させるために使用することができる。相当するアクチュエータ４６０は機械的なものであるが、電磁界、温度その他の制御性の力を介して弁を作動するようになっているものでもあり得る。アクチュエータ４６０は、２つの弁８８０及び８８１を機械的に作動する線形あるいは回転ソレノイド、圧電アクチュエータその他の機械的アクチュエータを含み得る。
【００９６】
本発明の様々のアセンブリ及び製品を単独あるいは多数において、患者、介護者その他のユーザーに実際に送るためにキット様式で包装することができる。例えば、使い捨てアセンブリ８００を、可撓性、不浸透性を有するＭｙｌａｒのような材料からなる可撓性パウチ内に包装することができる。可撓性パウチの他の側は、若干多孔質で酸化エチレン、ＥｔＯ、のような殺菌剤を透過させつつ、バクテリアが既に殺菌した構成部品を汚染するのを防止する、デュポン社の供給するＴｙｖｅｋから構成される。使い捨てアセンブリを包装する可撓性パウチ内にシールするためにヒートシール法を使用することができる。あるいは、ＰＥＴＧあるいはポリカーボネートを含む様々のプラスチックから作製した剛性のトレーをＭｙｌａｒ材料製の部分に代替させ、Ｔｙｖｅｋ製の蓋を用い、材料どうしが接する部分に接着剤を使用してこの蓋を剛性のトレーにシールし、かくして使い捨てアセンブリ８００を包囲させることで類似の殺菌手順を行うことができる。Ｍｙｌａｒ製のパウチあるいはプラスチック製のトレーは通常、製造者及びユーザーが装置内を見ることができるように透明形態のものである。
【００９７】
好ましい実施例では、使い捨てアセンブリ８００は一体の経皮輸液セットを含み、少なくとも経皮部分及び流路部分を殺菌して汚染物が患者の皮膚から入り込み、恐らくは伝染病その他の悪影響を生じるのを防止する必要がある。仮に使い捨てアセンブリ８００が一体の経皮輸液セットを含まず、むしろルアーコネクタのような標準的な流体コネクタで終端するものである場合、標準のあるいはカスタマイズした経皮輸液セットを、包装した使い捨てアセンブリ８００に含ませることができる。
【００９８】
加えて、使い捨てアセンブリ８００には、整理あるいはそうでなければ使い捨てアセンブリ８００についての情報を記録するための色々なシステムで使用するバーコードを設けることができる。例えば、遠隔制御装置１００がバーコードリーダー機能を含み、読み込んだバーコードデータをアップロードして初期化機能を実施することができる。情報バーコーデータは使い捨てアセンブリ８００毎に固有のものであり得、固有の使い捨てアセンブリの識別情報、その他の固有及び被固有の、例えば前充填された医薬品の製造日、シリアルナンバー、形式、医薬品の濃度、医者の識別情報、患者の識別情報その他の、医療上あるいは非医療上の識別情報が含まれる。
【００９９】
再使用アセンブリ７００は可撓性のパウチ内にも包装することが可能であり、その場合、パウチの一方側を可撓性の、不浸透性の、例えばＭｙｌａｒのような材料製とし、他方側を、若干多孔質性でＥｔＯのような殺菌剤を通すが殺菌済みの構成部品がバクテリアで汚染されないようにする、デュポン社の供給するＴｙｖｅｋ材料製とする。ヒートシールプロセスを使用して再使用アセンブリ７００をパウチ内にシールする。ＰＥＴＧあるいはポリカーボネートを含む色々なプラスチックから作製した剛性のトレーをＭｙｌａｒ材料製の部分に代替させ、接触部分に接着剤を有するＴＹＶＥＫ製の蓋を、再使用アセンブリ７００を包囲する状態でこのトレーにシールし、かくして再使用アセンブリ７００を包囲させることで類似の殺菌手順を行うことができる。Ｍｙｌａｒ製のパウチあるいはプラスチック製のトレーは通常、製造者及びユーザーが装置内を見ることができるように透明形態のものである。ましい実施例では、再使用アセンブリ７００はその部品構成上使い捨てアセンブリ８００の流路の内面と接触しないので殺菌する必要はない。再使用アセンブリ７００は殺菌することが好ましいが、コスト削減上省略することが可能である。包装された再使用アセンブリ７００にもバーコードを設けることができる。
【０１００】
本発明の装置と共に使用するための治療用流体源にはガラス瓶あるいはプラスチック瓶が含まれ得、これらの瓶に色々のタイプの１つ以上の液状薬剤、例えばインスリンを充填することができる。治療用流体源を、適正に設計され且つ適合された流体投与装置１０内にカートリッジの如く装填し得、詳しくは、使い捨てアセンブリ８００内に装填することができる。あるいは相互錠止する流体結合部若しくは注射器及び注射針を介し、治療用流体源を、一体の射出ポート位置で流体投与装置１０内に移行させることができる。あるいは、流体投与装置１０を液状薬剤で予め充填し、治療用流体源を不要化することも可能である。
【０１０１】
再使用アセンブリ７００と使い捨てアセンブリ８００とはユーザーのためのキット形態で提供され得、このキットには、一方のアセンブリの多数のユニットと、他方のアセンブリの単一のあるいはずっと少ない量のユニットとが含まれる状態で包装され得る。再使用アセンブリ７００の方が１つ以上の使い捨てアセンブリ８００と共に使用されることになることから、１つ以上の再使用アセンブリと２つ以上の使い捨てアセンブリ８００とを包装してキット化することが望ましい。例えば、キットには３個の再使用アセンブリパッケージと、３０個の使い捨てアセンブリパッケージとが含まれ得る。この場合、各再使用アセンブリ７００は３０日間使用され、１０個の異なる使い捨てアセンブリに取り付けられ、各使い捨てアセンブリは３日ごとに交換される。キットは３ヶ月あるいは９０日間で全部が使用され、患者は損傷時に備えてバックアップ用の再使用アセンブリ及び使い捨てアセンブリを用意しておく必要がある。キットには１つ以上の遠隔制御装置１００や、９０日間分の適宜量の治療用流体源も含まれる。多様な形態のインスリンのようなある種の医薬品は長期間保存する場合は冷蔵する必要がある。キット内の治療用流体源の両及び形態は、キットに用いる医薬品量の限度や保存条件の影響を受ける。
【０１０２】
上述した構成部品あるいは製品に加え、その他の構成部品をキット内に包装することができる。追加的な構成部品には、ユーザーの指令、多機能型の遠隔制御装置１００用のバッテリーと、特に流体投与装置１０が一体の、従って非ユーザー挿通型のバッテリーを持たない場合には流体投与装置１０用の多数のバッテリーと、注射器及び注射針と、経皮刺通部位のための準備物質その他周辺デバイスと、が含まれ得る。
流体投与装置１０及び多機能型の遠隔制御装置１００を、インスリンを使用する糖尿病治療に用いる場合、治療の一部として血糖値を頻繁に測定する必要がある。血糖値測定用のサプライ、例えば指刺し器、試験紙、グルコメーター、その他の、各々流体投与装置１０のみならず１つ以上の多機能型の遠隔制御装置１００を収納する多数の流体投与装置のアセンブリパッケージを含む血糖値測定用の付属装置を、先に説明したキット形態で供給することができる。
【０１０３】
破損その他使用不能となる場合に備えて１つ以上のバックアップ用の多機能型の遠隔制御装置１００をキット内に入れておくことが有益である。糖尿病その他の治療上、ぐる個メータ以外の診断装置をキット内に入れることが望ましい場合がある。そうした診断装置は、輸液治療に関する患者からの臨床的情報を収集するために使用することができる。多機能型の遠隔制御装置１００は別個の診断装置と通信し且つ恐らくは同様に、自身の無線通信要素と診断装置の受信要素とを介しててこの診断装置を制御する。診断装置からの情報を受信するために、電子的情報を、全て図示されないが、先に説明した無線通信手段を介して伝達しあるいは遠隔制御装置１００と診断装置との間を手動で直接電気的に結合することによって伝達させることができる。
【０１０４】
本発明の流体投与装置１０は低コストを意図したものであり、使い捨てアセンブリ８００は使い捨て型であり、再使用アセンブリ７００は使用寿命が短くなっている。使い捨てアセンブリ８００は２〜５日で廃棄することが望ましいことから、１つ以上の構成部品を生分解性のものとすることが有益である。流体投与装置１０は、電源８０としてのバッテリーが予め設置される。予定前に流体投与装置１０のエレクトロニクスへの給電が行われないようにするために、遠隔制御装置１００によるプログラム作動に先立ち、バッテリーの接点をエレクトロニクスに接続する機械的スイッチが含まれ得る。機械的スイッチの設計上の最も単純なものは、電源８０のバッテリー接点とローカルプロセッサ５０に対する電気的接点との間の絶縁材料であり得る。この絶縁材料は孔２０を貫いて突出し、図示しないユーザーが取り外すことができるようなものである。ユーザーは絶縁材料を引っ張って取り除くと同時に、バッテリー接点をローカルプロセッサに接続する。あるいは再使用アセンブリ７００を使い捨てアセンブリ８００に結合することで、何れかあるいは両方のアセンブリ内に位置付けた電源を作動させるあるいはそうでなければ接続させ得る。
【０１０５】
本発明の流体投与装置１０の、特に使い捨てアセンブリ８００のリザーバ３０に、製造者側あるいは薬剤会社、あるいは別の製造者側で、病院、薬局或いは患者に輸送する以前に治療用流体を充填することができる。ある種の薬品には冷蔵その他特別の環境条件が必要であり、それ故、前充填した流体投与装置を冷蔵するあるいはそうでなければそうした特別の条件に合致させるように処理する必要がある。インスリンは長期間保存しようとする場合は冷蔵する必要のある薬品である。ドイツ国フランクフルトのヘキスト社により、高温で安定するインスリンが開発された。ヘキスト社の開発したインスリンのような室温安定性のインスリンによれば、流体投与装置１０の充填及び取り扱いが簡単になり、患者のための要件が著しく簡易化される。
【０１０６】
本発明の流体投与装置１０には、使い捨てアセンブリ８００と再使用アセンブリ７００とが含まれる。各実施例には、使い捨てアセンブリ８００あるいは再使用アセンブリ７００の何れかに、これに限定するものではないが、気泡検出器、気泡除去器、流れセンサ、詰まりセンサ、圧力センサ、漏れ検出器、米国特許第５，５７５，３１０号に記載されるような容積変換器、電圧及び電流レベル検出器、粒子フィルタ、位置センサ、線形及び回転エンコーダその他センサ及び流路構成部品を含む、色々なセンサあるいは流路が追加的に含まれ得る。
【０１０７】
本発明の流体投与装置１０には、この流体投与装置を患者の皮膚に接着取り付けするための手段が含まれ得る。あるいは本発明の流体投与装置１０を、患者の皮膚、バッグあるいはポケットに接近するハーネスストラップに装着し得る。流体投与装置は使用中は患者の皮膚に接近して位置付けられ、それにより流路が、流体分与手段と経皮刺通部位との間に限定されることが好ましい。好ましい実施例では使い捨てアセンブリ８００は接着としつけ手段を含み、患者の皮膚上に配置され、再使用アセンブリ７００は上方に位置付けられる。再使用アセンブリ７００を上部に位置付けた、あるいは２つのアセンブリを横に並べた別態様の配列構成が含まれ得る。流体投与装置１０は全体的に小型であり、患者の皮膚への取り付けるあるいはストラップ取り付けする場合の快適性が提供される。再使用アセンブリ７００あるいは使い捨てアセンブリ８００あるいはその両方を構成するハウジングあるいはハウジング部分をシリコーンエラストマーのような可撓性材料から作製することにより、可撓性が得られ且つ快適性が助長される。
【０１０８】
本発明の遠隔制御装置１００は、再使用アセンブリ７００及び使い捨てアセンブリ８００を含む流体投与装置１０をプログラムしまたそうでなければ制御するために用いられる。遠隔制御装置１００は連続流れパラメータの初期化あるいは変更、ボーラス投与の開始、停止、変更あるいは前プログラムするための情報をダウンロードすることができる。遠隔制御装置１００は、アラーム音、振動あるいは触覚アラームあるいはその両方を発生させることのできるアラーム変換器を含むことが好ましい。アラーム音を生じさせる条件には、詰まり、液体薬剤輸液量の過小、過大、漏れ、再使用アセンブリ７００、使い捨てアセンブリ８００、あるいは遠隔制御装置１００、の何れかの故障、経皮刺通カニューラの位置ずれ、遠隔制御装置１００と流体投与装置１０との間の所定近接距離の超過、そしてその他種々のアラーム条件が含まれ得る。アラーム変換器は流体投与装置１０内に含まれ得、恐らくは使い捨てアセンブリ８００に含まれ得るが、再使用アセンブリ７００に含まれることが好ましい。コスト、寸法あるいは電力が流体投与装置１０内にアラーム変換器を含ませる上での制約となる場合は、遠隔制御装置１００がアラーム変換器を含み、先に説明した遠隔制御装置１００と流体投与装置１０との間の所定の近接距離のアラームを使用することが重要である。
【０１０９】
本件出願では様々の形態の取り付け手段が説明されたが、全ての取り付け手段が先ず、使い捨てアセンブリ８００を再使用アセンブリ７００に取り付け、次いで２つのアセンブリを、再使用アセンブリ７００を損傷させることなく脱着する手段を提供する。受け穴と合致する突出部材を含む手段が、弾発的嵌合と、同中心のネジ溝と、接着剤及びその他手段を提供する。使い捨てアセンブリ８００を取り付けに際して再使用アセンブリ７００に配向する上で役立つ整列ペグも説明された。取り付け手段は、電力あるいは信号接続の他の機能を提供するその他のアセンブリにおいて見出される機構の作動あるいは作動停止のような追加の機能を提供し得る。再使用アセンブリ７００を使い捨てアセンブリ８００に取り付けた場合に開閉するスイッチを含むことが望ましい場合があり得る。このスイッチは、再使用アセンブリ７００のローカルプロセッサ５０に送る信号を制御することができる。プログラミングのようなある種のユーザー機能を、２つのアセンブリを取り付ける命令あるいは取り付けない命令に関連付けしてステップを終了させることができる。流体投与装置１０は、遠隔制御装置１００を介して通信することにより、患者をして、特定順序に従っての２つのアセンブリの取り付け、装置のプログラミング、等を行わせることができる。
【０１１０】
糖尿病の治療の如き特定の機能のために、様々のモデルの再使用アセンブリ７００が設計され得る。インスリンを充填したような受容し得る使い捨てアセンブリ８００のみが、特に糖尿病治療に対するプログラムを含むような適宜の再使用アセンブリ７００に取り付けられることが保証されるようにするために、取り付け手段の形状をカスタマイズするあるいは系統付けすることが望ましい場合があり得る。カスタマイズされた取り付け手段は、使い捨てアセンブリ８００が製造者側で予め液状薬剤を充填する場合に極めて有益なものである。使い捨てアセンブリ８００を適切な再使用アセンブリ７００に合致させるその他恩カスタマイズした取り付け手段を、臨床医、病院、ユーザーの使用を簡易化させ、且つ所望されざる不整合を回避するために使用することができる。
【０１１１】
流体投与装置１０の様々な使用法が本発明において含まれ且つ説明された。それ使用法には、再使用アセンブリ７００を使い捨てアセンブリ８００に取り付けて流体投与装置１０を送出する方法、再使用アセンブリ７００あるいは流体投与装置１０を遠隔制御装置１００を使用してプログラムする方法、のみならず、経皮輸液セットや先に説明したグルコメータのような診断装置を含む周辺装置の取り付け及び使用方法が含まれる。関連事項として、流体投与装置１０あるいは遠隔制御装置１００の何れかの内部プログラムを相当する装置を使用してアップデートし得ることが含まれる。更に、製造プロセス中のみならずユーザーによる流体投与装置１０への治療用流体の充填方法、遠隔制御装置１００を使用しての流体投与装置１０のプログラミング方法装置を出る流体を患者の体内のある部位に配置するための経皮挿通手段を使用しての皮膚の刺通方法、使い捨てアセンブリ８００及びあるいは再使用アセンブリ７００、そして治療用流体２５０の一部或は全てを殺菌及び包装する方法及びタイミング、が含まれる。先に説明した方法の大半は、別のステップを開始するあるいは完了するに先立って従うべき特定の順序条件下に相互に関連され得るものである。
【０１１２】
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。例えば、本発明の流体投与装置１０は低コスト、軽量、使用が簡単、そして恐らくは、電子機械的スイッチを含むユーザーインターフェースの大半を除去することにより廃棄可能であり、またこれらの機能に代替する別個の制御装置を含むものであることを意図している。使い捨てアセンブリ８００は、マイクロプロセッサ及び関連するエレクトロニクス、無線通信機、使い捨てアセンブリ８００内に尚含まれる計量部分と合致する計量制御部分、のような様々の構成部品を再使用アセンブリ７００内に配置することにより一層コストを削減するべく設計される。様々のリザーバ構成手段、加圧手段、流体ポンピング手段、流体軽量手段、経皮投与手段、電子制御及び無線通信手段が議論されたが、本発明の精神を逸脱することなく、これらの各々に対する代替構成を使用し得るものである。
更に、特定順序での方法あるいは手順のステップが説明されたが、幾つかのステップを実行する順序を変更する（あるいは特定状況において便宜的に）ことができる。方法あるいは手順の特定のステップの請求項は、特に説明されない限り決定的順序として解釈されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【０１１３】
【図１】本発明に従う構成のシステムの１実施例の斜視図であり、患者に固定した流体投与装置と、流体投与装置と共に使用するための遠隔制御装置（例示目的上患者及び流体投与装置に関して拡大表示されている）とを含んでいる。
【図２】図１の流体投与装置の再生モジュール及び使い捨てモジュールを示す側面断面図である。
【図３】本発明のモジュール式の流体投与装置の別態様の分解断面側面図である。
【図４】本発明のモジュール式の流体投与装置の追加的な実施例の分解断面側面図である。
【図５Ａ】流体投与装置の、図４の円５の部分の拡大側面断面図である。
【図５Ｂ】流体投与装置の、図４の円５の部分の拡大側面断面図である。
【図６】本発明のモジュール式の流体投与装置の更に他の実施例の部分断面側面図である。
【図７】図６の実施例の平面図である。
【図８】図６の実施例の断面側面図である。
【図９】本発明のモジュール式の流体投与装置の分解断面側面図である。
【図１０Ａ】図９の円１０の部分の、流体釈放機構を示す拡大断面側面図である。
【図１０Ｂ】図９の円１０の部分の、流体釈放機構を示す拡大断面側面図である。
【図１１】本発明のモジュール式の流体投与装置の他の実施例の分解断面側面図である。
【図１２】図１１の実施例の使い捨てモジュールの平面図である。
【符号の説明】
【０１１４】
１０ 流体投与装置
３０ リザーバ
３８ 通気口
４０ ディスペンサ
４１ 入口弁
４２ 出口弁
４３ 蓄積チャンバ
４４ 可撓性膜
４６ 計量制御部分
４８ 計量部分
５０ ローカルプロセッサ
５０Ａ 電子アセンブリ
５１ マイクロプロセッサ
５２ 電子メモリ
５３ 電子クロックオシレータ
５４ アナログデジタル変換器
５５ マルチプレクサ
６０ 無線通信機
７０ 出口ポートアセンブリ
７２ 経皮刺通カニューラ
７７ 流体移送管
８０ 電源
８２ バッテリードア
８３ 第２電源
１００ 遠隔制御装置
１１０ 液晶ディスプレイ
１２０ メンブレンキーパッド
１３０ アンテナ
２０１ 接着層
２５０ 治療用流体
４６１ 第１リニアアクチュエータ
４６２ 第２リニアアクチュエータ
４６３ ドライブシャフト
４６４ 回転ロールアセンブリ
４６５ 蠕動ロール
４６６ キー止め受け穴
４６７ 回転駆動要素
５００ データ通信アセンブリ（ＤＣＡ）
７００ 再使用アセンブリ
７０２、８０２ ハウジング
７０４ 小連結孔
７０４Ａ 大連結孔
７０５ 内側ネジ溝
７０６ 突出部材
７２０、８２０ バッテリー接点
７３０、８３０ 情報接点
８００ 使い捨てアセンブリ
８０３ 小連結突起
８０３Ａ 大連結突起
８０６ 外側ネジ溝
８２１ バッテリー
８７０ 自動流路閉塞器
８７１ ピボット部材
８７２ ピボット点
８７３ バネ
８７４ 閉塞面
８８０、８８１ 弁
９０２ ハウジング

Claims (56)

1. 流体を投与するための装置であって、
   出口ポートアセンブリと、ディスペンサの計量部分にして、該出口ポートアセンブリに向かう流体流れを制御するための計量部分と、出口ポートアセンブリ及びディスペンサの計量部分を収納するハウジングと、を含む使い捨てアセンブリと、
   再使用アセンブリにして、該再使用アセンブリと使い捨てアセンブリとの取り付けに際してディスペンサの計量部分を制御するようになっている制御部分と、ディスペンサに結合され、流れ指令に基づき、ディスペンサを通して出口ポートアセンブリに向かう流体流れを生じせしめるようにプログラムされたローカルプロセッサと、ディスペンサの制御部分と、ローカルプロセッサと、該ローカルプロセッサに結合されたローカル無線通信要素と、
   を収納し、使い捨てアセンブリのハウジングに着脱自在に取り付けられるようになっているハウジングと、
   再使用アセンブリ及び使い捨てアセンブリの取り付けに際して再使用アセンブリに電力を提供するための、使い捨てアセンブリに収納された電源と、
   よりなる装置。
2. 装置を患者の皮膚に固定するための接着剤をハウジングの少なくとも１つの外側表面上に含む請求項１の装置。
3. 使い捨てアセンブリのハウジングが可撓性を有する請求項１の装置。
4. 再使用アセンブリのハウジングが可撓性を有する請求項１の装置。
5. 使い捨てアセンブリのハウジングが生物分解性を有する請求項１の装置。
6. 無線通信要素が無線周波数信号を介して通信する請求項１の装置。
7. 再使用アセンブリのハウジングが、ローカルプロセッサに接続した電源を更に含む請求項１の装置。
8. 再使用アセンブリの電源が非交換性のものである請求項７の装置。
9. 使い捨てアセンブリの電源が非交換性のものである請求項１の装置。
10. 使い捨てアセンブリの電源がバッテリーである請求項１の装置。
11. 使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリが取り付けられた場合に使い捨てアセンブリの電源が伝導性の接点を介して再使用アセンブリに電気的に接続される請求項１の装置。
12. 伝導性の接点がバネ負荷される請求項１１の装置。
13. 再使用アセンブリが、使い捨てアセンブリを再使用アセンブリに取り付けた場合に再使用アセンブリの電気的コネクタと合致するようになっている少なくとも１つの電気的コネクタを含み、再使用アセンブリの該電気的コネクタが電源に接続される請求項１の装置。
14. 電源が予め決定された量のエネルギーを含んでいる請求項１の装置。
15. ローカルプロセッサが、ローカルプロセッサのメモリー保存装置に電力を供給するための電気エネルギー保存装置を含んでいる請求項１の装置。
16. 各ハウジングが、再使用アセンブリのハウジング及び使い捨てアセンブリのハウジングの一方から伸延する取り付け用の突出部材と、再使用アセンブリ及びハウジング及び使い捨てアセンブリのハウジングの他方における相当する取り付け用の受け穴とを使用して着脱自在に取り付け自在である請求項１の装置。
17. 取り付け用の突出部材と取り付け用の受け穴とが、再使用アセンブリを使い捨てアセンブリに取り付ける場合に特定の整列状態となるような、少なくとも２つの形状及び少なくとも２つの寸法の一方において提供されるようにした請求項１６の装置。
18. 使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリの一方から伸延し、使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリの他方の整列用の受け穴と合致する整列用の突出部材を更に含む請求項１の装置。
19. 各ハウジングがネジ溝を使用して着脱自在に取り付け自在である請求項１の装置。
20. 各ハウジングが接着剤を使用して着脱自在に取り付け自在である請求項１の装置。
21. 使い捨てアセンブリ内にリザーバを更に含み、ディスペンサの計量部分がリザーバから出口ポートアセンブリに向かう流体流れを制御するようにした請求項１の装置。
22. リザーバが治療用流体を収納するようにした請求項２１の装置。
23. 使い捨てアセンブリが、リザーバに結合した充填ポートを更に含む請求項２１の装置。
24. リザーバが加圧される請求項２１の装置。
25. リザーバがインスリン、抗生物質、栄養液、高カロリー輸液（ＴＰＮ）、鎮痛剤、モルヒネ、ホルモンあるいはホルモン剤、遺伝子療法剤、血液凝固阻止剤、心血管薬剤、ＡＺＴあるいは化学療法剤の少なくとも１つを含む請求項２１の装置。
26. リザーバが、糖尿病、心血管疾患、疼痛、慢性的疼痛、癌、ＡＩＤＳ、神経病、アルツハイマー病、ＡＬＳ、肝炎、パーキンソン病、痙性の少なくとも１つを処置するための治療用流体を含む請求項２１の装置。
27. リザーバが弾性材料から作製される請求項２１の装置。
28. リザーバが前充填される請求項２１の装置。
29. 使い捨てアセンブリのハウジングがリザーバに隣り合う通気ポートを含んでいる請求項２１の装置。
30. リザーバが所定量の流体で予め充填される請求項２１の装置。
31. 再使用アセンブリが、該再使用アセンブリ及び使い捨てアセンブリの取り付けに際して使い捨てアセンブリ内のリザーバに力を加えるようにした請求項２１の装置。
32. 出口ポートアセンブリがルアーコネクタを含んでいる請求項１の装置。
33. 出口ポートアセンブリがカニューラを含んでいる請求項１の装置。
34. 使い捨てアセンブリが、使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリの取り付けに先立ち、出口ポートアセンブリを閉じるようになっている流れ防止アセンブリを更に含む請求項１の装置。
35. 流れ防止アセンブリが、出口ポートアセンブリに抗して偏倚されるピボット廻動部材を含み、再使用アセンブリが、使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリの取り付けに際して該ピボット廻動部材を出口ポートアセンブリから離間させる方向にピボット廻動させるようになっている突出部材を含む請求項１の装置。
36. ディスペンサの計量部分がポンプ機構を含む請求項１の装置。
37. ディスペンサの制御部分が、使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリの取り付けに際して計量部分のポンプ機構と機械的に係合自在の駆動体を含む請求項３６の装置。
38. ポンプ機構が回転蠕動体である請求項３６の装置。
39. ポンプ機構が直線蠕動体である請求項３６の装置。
40. ディスペンサの制御部分が少なくとも１つの弁を含んでいる請求項１の装置。
41. ディスペンサの制御部分が、使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリの取り付けに際して計量部分の弁と係合自在の弁アクチュエータを含む請求項４０の装置。
42. 弁アクチュエータが圧電アクチュエータである請求項４１の装置。
43. 弁アクチュエータがソレノイドアクチュエータである請求項４１の装置。
44. 弁アクチュエータが熱アクチュエータである請求項４１の装置。
45. ディスペンサの計量部分が、所定の容量を有する少なくとも１つのパルスチャンバを含む請求項１の装置。
46. ディスペンサの計量部分が、パルスチャンバに接触して位置決めされた少なくとも１つのダイヤフラムを含む請求項４５の装置。
47. 使い捨てアセンブリが少なくとも１つのセンサを更に含む請求項１の装置。
48. 使い捨てアセンブリのセンサが、流体の圧力、流体の流れ、流体の存在、空気の存在、電流あるいは電圧の少なくとも１つを監視する請求項４７の装置。
49. 再使用アセンブリが、使い捨てアセンブリのセンサと通信するようにした少なくとも１つのセンサモニタを含む請求項４７の装置。
50. 使い捨てアセンブリ及び再使用アセンブリが、使い捨てアセンブリを再使用アセンブリに取り付けた際にセンサにセンサモニタを結合するようになっている合致する電気的コネクタを含んでいる請求項４９の装置。
51. 再使用アセンブリが、使い捨てアセンブリの性能パラメータを検出するようになっている少なくとも１つのセンサを更に含む請求項１の装置。
52. 使い捨てアセンブリを再使用アセンブリに取り付けた場合に、再使用アセンブリのセンサが使い捨てアセンブリの一部分と物理的に接触する請求項５１の装置。
53. センサアセンブリが使い捨てアセンブリの流路部品と物理的に接触する請求項５２の装置。
54. 各ハウジングにはローカルプロセッサに流れ指令を提供するためのユーザー入力部品がない請求項１の装置。
55. 流体投与装置とは別個の遠隔制御装置にして、リモートプロセッサと、該リモートプロセッサに結合され、ユーザーがリモートプロセッサに流れ指令を提供することができるようにするユーザーインターフェース部品と、流れ指令を流体投与装置の無線通信要素に伝送するための送信機と、を更に含む請求項１の装置。
56. 流体投与装置とは別個の遠隔制御装置にして、リモートプロセッサと、該リモートプロセッサに結合され、ユーザーが流れ指令を受けられるようにするための受信器と、を更に含む請求項１の装置。