JP2004059860A - 透明導電性フィルム用表面保護フィルム及びその製造方法並びに表面保護フィルム付き透明導電性フィルム - Google Patents

透明導電性フィルム用表面保護フィルム及びその製造方法並びに表面保護フィルム付き透明導電性フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】表面保護フィルムが透明導電性フィルムに貼付けられた状態で、150℃程度の加熱工程を経ても、透明導電性フィルムが大きくカールすることがない透明導電性フィルム用表面保護フィルムを提供すること。
【解決手段】透明導電性フィルムの導電性薄膜とは反対側の表面又は導電性薄膜側の表面を保護するフィルムであって、基材フィルムの片面側に粘着剤層が設けられており、かつ150℃で1時間加熱した後の熱収縮率がMD(流れ方向)及びTD(幅方向)ともに0.9%以下であることを特徴とする透明導電性フィルム用表面保護フィルム。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ、タッチパネル、センサ、太陽電池における透明電極等の分野で広く用いられている透明導電性フィルムに使用される表面保護フィルム、及び表面保護フィルム付き透明導電性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、可視光線領域で透明であり、かつ導電性を有する薄膜は、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等の新しいディスプレイやタッチパネル等における透明電極の他、透明物品の帯電防止や電磁波遮断等に用いられている。例えば、片面に透明導電性の透明電極を有する透明基板の透明電極を対向配置した導電膜接触式のタッチパネルの製造工程においては、透明導電性フィルムの裁断、レジスト印刷、エッチング、銀インキ印刷、さらに、二枚の導電性フィルムの透明電極を互いに対向配置させた後の出荷など、各種の処理、及び組み立て工程が長く、非常に複雑である。
【0003】
従来、タッチパネルの製造工程中、透明導電性フィルムの汚れ、傷などを防止することを目的として、表面保護フィルムが使用されているが、上記に説明されるように、タッチパネルの製造工程が長く、複雑なため、数種類の表面保護フィルムを各工程に応じて貼り替えて、表面保護フィルムの使い分けをしている。そのため非常に煩雑であり、作業効率及び歩留まりの低下によって製造コスト高となっている。
【0004】
したがって、タッチパネル製造工程で使用される表面保護フィルムの品種の統一化が強く望まれている。該フィルムの品種の統一化に際して要求される特性としては、例えば、タッチパネル製造工程中の銀インキ印刷における乾燥工程などでの150℃程度の加熱工程中でも、表面保護フィルムの基材が溶融しないという耐熱性が必要とされる。従来の低密度ポリエチレン、及びポリプロピレン等のポリオレフィン系基材の表面保護フィルムでは、溶融、又は大きく変形するという問題が発生するため、上記のような加熱工程では使用できない。一方、150℃程度の加熱工程においても溶融することのないポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム等の耐熱性に優れるフィルムを使用した場合には、新たな問題として、透明導電性フィルムと表面保護フィルムの加熱による熱収縮率の差によって、表面保護フィルムが貼付けられた透明導電性フィルムがカール(表面保護フィルムを上側にして、凹形に変形)していまい、製造工程上の作業性が悪くなるばかりでなく、カールの方向が透明導電膜と反対側に大きくカールした場合、透明導電膜がカールによる変形によって、上部電極と下部電極の両電極が接触してしまうというタッチパネルの品質上の大きな問題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決したものであり、150℃程度の加熱工程時においても、表面保護フィルムが貼付けられた透明導電性フィルムが大きくカールすることがない透明導電性フィルム用表面保護フィルム及びその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は該表面保護フィルム付き透明導電性フィルムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究したところ、特定の熱収縮率を有する表面保護フィルムを用いることにより、上記問題を解決できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明の透明導電性フィルム用表面保護フィルムは、透明導電性フィルムの導電性薄膜とは反対側の表面又は導電性薄膜側の表面を保護するフィルムであって、基材フィルムの片面側に粘着剤層が設けられており、かつ150℃で1時間加熱した後の熱収縮率がMD(流れ方向)及びTD(幅方向)ともに0.9%以下であることを特徴とする。ここで、熱収縮率は具体的には実施例に記載の測定方法で測定される値である。
【0008】
表面保護フィルムの150℃で1時間加熱した後の熱収縮率が0.9%を越える場合には、表面保護フィルムが貼付けられた透明導電性フィルムが大きくカールし、作業上あるいは品質上好ましくない。
【0009】
本発明においては、150℃で1時間加熱した後の表面保護フィルムの熱収縮率が、MD方向においては0.6以下及びTD方向においては0.1以下であることがより好ましく、MD及びTDのいずれの方向においても0%であることが最も好ましい。
【0010】
一方、本発明の表面保護フィルム付き透明導電性フィルムは、基材フィルムの片面側に導電性薄膜を他面側にハードコート層又はアンチグレア層を備えると共に、上記の透明導電性フィルム用表面保護フィルムの粘着剤層を、前記ハードコート層又はアンチグレア層、又は導電性薄膜の表面に貼着してなるものである。
【0011】
また、本発明の別の表面保護フィルム付き透明導電性フィルムは、基材フィルムの片面側に導電性薄膜を備えると共に、上記の透明導電性フィルム用表面保護フィルムの粘着剤層を基材フィルムの他面側、又は導電性薄膜の表面に貼着してなるものである。
【0012】
[作用効果]
本発明の透明導電性フィルム用表面保護フィルム(以下、「表面保護フィルム」と略称する)は、加熱工程後においても表面保護フィルムが貼付けられた透明導電性フィルムが大きくカールすることがない。そのため、表面保護フィルムを被着体(透明導電性フィルムの導電性薄膜とは反対側の表面、又は導電性薄膜側の表面)に貼り合せた状態で加熱工程に供することができ、加熱工程中において被着体を傷や汚れから保護することができる。また従来は加熱工程の前後で表面保護フィルムを貼り換える手間がかかっていたが、本発明の表面保護フィルムは被着体へ貼り合わせた状態で加熱工程中に供することができるため、表面保護フィルムを貼り換える手間が省くことができ著しく作業性を向上させ、製造コストも抑えることができる。
【0013】
本発明においては、前記基材フィルムが、残留応力を取り除くための処理が施されていることが好ましい。表面保護フィルムの基材フィルムに残留応力を取り除くための処理を施すことにより、熱収縮率を小さくすることができ、カールの発生を抑制することができる。前記基材フィルムの残留応力を完全に取り除いた場合の表面保護フィルムの熱収縮率は理論上0%であり、その場合には大きくカールすることはなく、仮に、若干のカールが発生したとしても、タッチパネル用途の場合、透明導電膜側にカールするため、上部電極と下部電極を対向配置した場合の両電極が接触するという品質上の問題はない。
【0014】
表面保護フィルムの製造時に基材フィルムから残留応力を取り除く具体的な手段としては、大別して、粘着剤を塗工する前の基材フィルムを可能な限り引張張力をかけずに熱処理する方法と、粘着剤の塗工後に粘着剤の乾燥と共に基材フィルムを可能な限り引張張力をかけずに熱処理する方法がある。製造方法の簡素化によるコスト低減、及び基材フィルムと粘着剤の投錨性に優れる点から後者がより好ましい。
【0015】
また、表面保護フィルムの基材フィルムがポリエチレンテレフタレート及び/又はポリエチレンナフタレートを含有してなるフィルムであることが好ましい。該ポリマーを用いることにより、実用上十分な透明性及び強度が得られる。
【0016】
さらに本発明は、基材フィルムの片面側に粘着剤を塗布した後に、温度100〜150℃、滞留時間20〜120秒の条件下で、基材フィルム幅1mあたり80N以下の引張張力を加え、粘着剤の乾燥と共に残留応力を取り除く処理を施すことを特徴とする透明導電性フィルム用表面保護フィルムの製造方法、に関する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の表面保護フィルムの使用状態の一例を示す断面図であり、図2は使用状態の他の例を示す断面図である。
【0018】
本発明の表面保護フィルムは、図1に示すように、基材フィルの1aの片面側に粘着剤層1bが設けられている。本発明の表面保護フィルムは、透明導電性フィルムの導電性薄膜とは反対側の表面を保護してもよく、導電性薄膜側に使用してもよい。図1に示す実施形態は、透明導電性フィルム2のハードコート層2c(又は前記アンチグレア層)の表面に表面保護フィルム1を貼着した例であり、図2に示す実施形態は、透明導電性フィルム2の基材フィルム2aの表面に表面保護フィルム1を貼着した例である。
【0019】
基材フィルム1aとしては、光学向け用途として実用上要求される透明性を有し、基材フィルムの片面に粘着剤層を形成した後の表面保護フィルムの熱収縮率が上記範囲を満たすものであれば特に制限されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレンブレンド物、ポリアミド、ポリイミド、セルロースプロピオネート(CP),セルロースアセテート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン等があげられる。なかでも、透明性、耐熱性、及び強度の面から、PET、PENが好ましいが、低価格、汎用性の高さの点でPETがより好ましい。
【0020】
なお、PETを原料成分とする基材フィルムの残留応力を取り除くための条件としては、引張張力を基材フィルム幅1mあたり80N以下、好ましくは60N以下、さらに好ましくは30N以下、最も好ましくは0Nとし、温度を100〜150℃、好ましくは120〜150℃とし、滞留時間を20〜120秒、好ましくは40〜120秒、さらに好ましくは60〜120秒とするのが望ましい。
【0021】
基材フィルム1aの厚みは、特に制限されないが、10〜70μmとするのがよく、好ましくは15〜50μm、さらに好ましくは20〜40μmである。厚みが薄すぎると、表面保護フィルム1を剥離する際の強度や、表面保護機能が不十分となる傾向がある。厚みが厚すぎると、取り扱い性やコスト面で不利になる傾向がある。基材フィルム1aの表面には粘着剤層1bとの投錨性を考えて、フィルムにはコロナ放電、電子線照射、スパッタリング等の処理や易接着処理が施されていてもよい。
【0022】
粘着剤層1bを形成する粘着剤としては、再剥離用粘着剤(アクリル系、ゴム系、合成ゴム系等)を特に制限なく使用できる。なかでも組成により粘着力をコントロールし易いアクリル系粘着剤が好ましい。
【0023】
アクリル系粘着剤としては、そのベースポリマーの重量平均分子量が、30万〜250万程度であるのが好ましい。アクリル系粘着剤のベースポリマーであるアクリル系ポリマーに使用されるモノマーとしては、各種(メタ)アクリル酸アルキルを使用できる。かかる(メタ)アクリル酸アルキルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等を例示でき、これらを単独もしくは組合せて使用できる。
【0024】
アクリル系粘着剤としては、ベースポリマーとして前記アクリル系ポリマーに官能基含有モノマーを共重合した共重合体を用い、官能基含有モノマーの官能基と架橋反応する架橋剤を配合したものが好ましい。
【0025】
官能基を有するモノマーとしては、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ等を含有するモノマーがあげられる。カルボキシル基を有するモノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等があげられる。水酸基を有するモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等、エポキシ基を含有するモノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート等があげられる。
【0026】
また前記アクリル系ポリマーには、N元素含有モノマーを共重合できる。N元素含有モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アセトニトリル、ビニルピロリドン、N−シクロヘキシルマレイミド、イタコンイミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等があげられる。その他、アクリル系ポリマーには、粘着剤の性能を損なわない範囲で、さらには酢酸ビニル、スチレン等を用いることもできる。これらモノマーは1種または2種以上を組み合わせることができる。
【0027】
アクリル系ポリマー中の前記共重合モノマーの割合は、特に制限されないが、(メタ)アクリル酸アルキル100重量部に対して、共重合モノマーを、0.1〜12重量部程度、さらには0.5〜10重量部とするのが好ましい。
【0028】
架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などがあげられる。また架橋剤としてはポリアミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。架橋剤のなかでもイソシアネート系架橋剤が好適である。
【0029】
アクリル系ポリマーに対する架橋剤の配合割合は特に制限されないが、通常、アクリル系ポリマー (固形分)100重量部に対して、架橋剤(固形分)0.01〜10重量部程度が好ましい。
【0030】
さらに前記粘着剤には、必要に応じて粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を適宜使用することもできる。
【0031】
粘着剤層1bの形成方法は、特に制限されず、シリコーン処理したポリエステルフィルムに粘着剤を塗布し、乾燥後、基材フィルム1aに転写する方法(転写法)、基材フィルム1aに、直接、粘着剤組成物を塗布、乾燥する方法(直写法)や共押出しによる方法等があげられる。
【0032】
粘着剤層1bの厚みは、特に制限されないが、1〜50μm程度が好ましく、より好ましくは2〜40μm程度、さらに好ましくは3〜30μm程度である。粘着剤層1bの厚みが薄すぎると塗布形成が困難になり、粘着力も不十分となる傾向にある。厚みが厚すぎると糊残りが生じ易く、コスト面で不利となる傾向にある。
【0033】
なお、本発明の表面保護フィルム1は、前記粘着剤層1bをセパレータで保護したり、また基材フィルム1aの粘着剤層1bの形成面とは反対側の面にシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル系剥離剤を用いて剥離処理を施し、ロール状に巻回することもできる。また、基材フィルム1aの粘着剤層1bの形成面とは反対側の面は、滑り性などを高めるために、バフ研磨、サンドブラスト等により粗面化処理を行なってもよい。さらに、表面保護フィルム1には挨付着等の防止のために、通常の手段により帯電防止処理を施してもよい。
【0034】
一方、本発明の表面保護フィルム1で保護される透明導電性フィルム2は、例えば図1又は図2に示すようなものである。即ち、本発明の表面保護フィルム付き透明導電性フィルムは、図1に示すように、基材フィルム2aの片面側に導電性薄膜2bを他面側にハードコート層2c(又はアンチグレア層)を備えると共に、表面保護フィルム1の粘着剤層1bを、ハードコート層2c(又はアンチグレア層)の表面に貼着してなるものである。あるいは、図2に示すように、基材フィルム2aの片面側に導電性薄膜2bを備えると共に、表面保護フィルム1の粘着剤層1bを、基材フィルム2aの他面側の表面に貼着してなるものである。なお、表面保護フィルム1の粘着剤層1bを導電性薄膜2bの表面に粘着してなるものであってもよい。
【0035】
導電性薄膜2bは、ITO(インジウム・錫の酸化物)、錫・アンチモン、亜鉛、錫の酸化物等の金属酸化物の薄膜や、金、銀、パラジウム、アルミニウム等の金属の極薄膜により形成される。これらは真空蒸着法、イオンビーム蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成される。導電性薄膜2bの厚さは特に制限されないが、一般的には50Å以上、好ましくは100〜2000Åである。
【0036】
基材フィルム2aは、通常、透明材料からなるフィルムが使用される。かかる透明材料としては、たとえば、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネートなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物などもあげられる。
【0037】
基材フィルム2aの厚さは特に制限されないが、一般的には20〜300μm程度、好ましくは30〜200μmである。
【0038】
ハードコート層2cとしては、ハードコート機能のみを有するものの他、同時にアンチグレア機能を有するものや、ハードコート層2cの表面にアンチグレア層を設けたものなどでもよい。
【0039】
用いられるハードコート剤としては、通常の紫外線(UV)および電子線硬化型塗料、シリコーン系ハードコート剤、フォスファゼン樹脂系ハードコート剤などが使用できるが、材料コスト・工程上の平易さ・組成の自由度などから、UV硬化型塗料が好ましい。UV硬化型塗料には、ビニル重合型、ポリチオール・ポリエン型、エポキシ型、アミノ・アルキド型があり、プレポリマーのタイプ別には、アルキド、ポリエステル、ポリエーテル、アクリル、ウレタン、エポキシのタイプに分類されるが、どのタイプでも使用できる。
【0040】
また、アンチグレア層とは、ギラつき防止、反射防止などの機能を有する層を指している。具体的には、例えば層間の屈折率差を利用するもの、含有する微粒子との屈折率差を利用するもの、表面を微細凹凸形状にするものなどが挙げられる。
【0041】
本発明の透明導電性フィルム2は、例えば液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの新しいディスプレイ方式やタッチパネル、センサ、太陽電池などにおける透明電極のほか、透明物品の帯電防止や電磁波遮断などに用いることができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。
【0043】
〔アクリル系粘着剤の調整〕
常用の方法により、酢酸エチル中で2−エチルヘキシルアクリレート(96モル)、ヒドロキシエチルアクリレート(4モル)を共重合して重量平均分子量70万(ポリスチレン換算)のアクリル系共重合体の溶液を得た。アクリル系共重合体100重量部(固形分)に対し、イソシアネート系架橋剤であるコロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製)3重量部を添加した後、酢酸エチルにて希釈し、固形分が20重量%である粘着剤組成物を得た。
【0044】
実施例1
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、ダイヤホイルT100C、表面処理:コロナ処理、密度:1.4g/cm (JIS 7112に準拠))のコロナ処理面に前記アクリル系粘着剤組成物を塗布した。そしてPETフィルム幅1m当たりの引張張力を30Nとし、145℃の条件下で1分間滞留させ、粘着剤の乾燥と共にPETフィルムの残留応力を取り除くための処理を行った。その後、ロール状に巻き取り、粘着剤層の厚さ20μmの表面保護フィルムを得た。さらに、該表面保護フィルムを50℃の条件下で48時間エージング処理を行った。
【0045】
実施例2
厚さ25μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、カラデックス2000、表面処理なし、密度:1.36g/cm (JIS 7112に準拠))の片面に前記アクリル系粘着剤組成物を塗布した。そしてPENフィルム幅1m当たりの引張張力を30Nとし、80℃の条件下で3分間滞留させ、粘着剤の乾燥と共にPENフィルムの残留応力を取り除くための処理を行った。その後、ロール状に巻き取り、粘着剤層の厚さ20μmの表面保護フィルムを得た。さらに、該表面保護フィルムを50℃の条件下で48時間エージング処理を行った。
【0046】
比較例1
実施例1に記載のPETフィルムのコロナ処理面に前記アクリル系粘着剤組成物を塗布し、80℃の条件下で3分間滞留させ、その後、ロール状に巻き取り、粘着剤層の厚さ20μmの表面保護フィルムを得た。さらに、該表面保護フィルムを50℃の条件下で48時間エージング処理を行った。
【0047】
比較例2
厚さ25μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テトロンフィルムS−25、表面処理なし、密度:1.4g/cm (JIS 7112に準拠))の片面に前記アクリル系粘着剤組成物を塗布し、80℃の条件下で3分間滞留させ、その後ロール状に巻き取り、粘着剤層の厚さ20μmの表面保護フィルムを得た。さらに、該表面保護フィルムを50℃の条件下で48時間エージング処理を行った。
【0048】
実施例及び比較例で得られた表面保護フィルムを用いて下記の評価試験を行った。なお、比較例3として表面保護フィルムを使用せずに透明導電性フィルムのみのカール発生の有無を評価した。
【0049】
〔評価試験〕
(1)熱収縮率
表面保護フィルムを50×50mmの正方形に切り取り、流れ方向(MD)と幅方向(TD)のそれぞれの方向に長さ40mmの直線をひき十字印をつけて、加熱保存(150℃、1時間)前後の印の長さ(mm)をオリンパスデジタル式小型測定顕微鏡STM5(オリンパス光学工業(株)製)により測定し、その測定値を下記式に代入することにより求めた。結果を表1に示す。
熱収縮率(%)={(加熱保存前寸法−加熱保存後寸法)/加熱保存前寸法}×100
(2)透明導電性フィルムの加熱保存後のカール評価
透明導電性フィルム(基材フィルム:PET、導電性薄膜:インジウム・錫の金属酸化物、商品名:エレクリスタG400LTMP、日東電工株式会社製)の基材フィルム側に表面保護フィルムをハンドローラにて貼付け、150℃×1時間の加熱保存後のカール発生の有無を目視により観察した。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
Figure 2004059860
表1の結果が示すように、本発明における特定範囲の熱収縮率を有する表面保護フィルムを用いることによって、表面保護フィルムが透明導電性フィルムに貼付けられた状態で、150℃程度の加熱工程を経ても、透明導電性フィルムが大きくカールすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明導電性フィルム用表面保護フィルムの使用状態の一例を示す断面図
【図2】本発明の透明導電性フィルム用表面保護フィルムの使用状態の他の例を示す断面図
【符号の説明】
1    表面保護フィルム
1a   基材フィルム
1b   粘着剤層
2    透明導電性フィルム
2a   基材フィルム
2b   導電性薄膜
2c   ハードコート層

Claims (6)

  1. 透明導電性フィルムの導電性薄膜とは反対側の表面又は導電性薄膜側の表面を保護するフィルムであって、基材フィルムの片面側に粘着剤層が設けられており、かつ150℃で1時間加熱した後の熱収縮率がMD(流れ方向)及びTD(幅方向)ともに0.9%以下であることを特徴とする透明導電性フィルム用表面保護フィルム。
  2. 前記基材フィルムが、残留応力を取り除くための処理が施されていることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性フィルム用表面保護フィルム。
  3. 前記基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレート及び/又はポリエチレンナフタレートを含有してなるフィルムであることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性フィルム用表面保護フィルム。
  4. 基材フィルムの片面側に導電性薄膜を他面側にハードコート層又はアンチグレア層を備えると共に、請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性フィルム用表面保護フィルムの粘着剤層を、前記ハードコート層又はアンチグレア層、又は導電性薄膜の表面に貼着してなる表面保護フィルム付き透明導電性フィルム。
  5. 基材フィルムの片面側に導電性薄膜を備えると共に、請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性フィルム用表面保護フィルムの粘着剤層を基材フィルムの他面側、又は導電性薄膜の表面に貼着してなる表面保護フィルム付き透明導電性フィルム。
  6. 基材フィルムの片面側に粘着剤を塗布した後に、温度100〜150℃、滞留時間20〜120秒の条件下で、基材フィルム幅1mあたり80N以下の引張張力を加え、粘着剤の乾燥と共に残留応力を取り除く処理を施すことを特徴とする請求項2又は3に記載の透明導電性フィルム用表面保護フィルムの製造方法。
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