JP2019073598A - フィルムおよび導電フィルム - Google Patents

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隼介 塩田
順 塩野
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順 塩野
錦織 義治
Yoshiharu Nishigori
義治 錦織
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Abstract

【課題】粘着層を介さずに導電層を積層する用途で用いられる程度に加熱された場合のカールが良好であり、かつ、偏光サングラス等を装着して画像表示装置を見た場合の視認性を良好にできるフィルムの提供。【解決手段】基材を少なくとも有するフィルムであって、基材の面内方向のリタデーションが5000〜15000nmであり、基材を150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも−1.0%を超え1.0%未満であり、基材の少なくとも一方の表面側に粘着層を介さずに導電層を積層する用途である、フィルム。【選択図】なし

Description

本発明はフィルムおよび導電フィルムに関する。
スマートフォン、タブレット端末などのタッチパネルは、画像表示装置の視認側に対して、入力装置が組み合わされた構成である。タッチパネルに用いられる入力装置としては、抵抗膜型入力装置および静電容量型入力装置などが知られており、視認性または透明性に優れる静電容量型入力装置が好ましく用いられている。
タッチパネルは、近年、薄型化が求められている。そして、タッチパネルの薄型化のためには、静電容量型入力装置の薄型化または画像表示装置の薄型化が求められている。
静電容量型入力装置の薄型化に関して、タッチパネルの静電容量型入力装置に用いられる透明導電性フィルムを薄型化する場合、加熱処理後のカールの問題が生じることが知られている(特許文献1参照)。
これに対し、特許文献1には、透明基材に隣接して透明導電性層が形成された透明導電性フィルムの熱収縮率と、他の部材の熱収縮率を調整して、加熱処理後のカールの問題を抑制する方法が記載されている。具体的には、特許文献1には、支持体の少なくとも片面に粘着層を有する透明導電性フィルム用キャリアフィルム、並びに、透明導電性層及び透明基材を有する透明導電性フィルムを含み、支持体の140℃で90分間加熱した時の面内加熱収縮率S1が0.3〜0.9%であり、透明導電性フィルムの140℃で90分間加熱した時の面内加熱収縮率S2が0.3〜0.6%であり、粘着層が、アクリル系粘着剤組成物から形成される粘着層である積層体が記載されている。
一方、屋外及び車や電車等での移動中のタッチパネルの利用が拡大しており、タッチパネルの画面を偏光サングラス等の偏光板を介して視認する機会が増加している。
偏光サングラス等を通して観察した場合、画像の消失(ブラックアウト)、虹色のムラ(色ムラ)および色合いのずれ(色ズレ)等の視認性の問題が生じることが知られている(特許文献2参照)。
特許文献2には、画像表示装置の表面に、粘着層、特定のリタデーションを有する配向フィルムおよびハードコート層を積層することにより、この視認性の問題を解決する方法が記載されている(特許文献2参照)。具体的には、特許文献2には、少なくとも(A)粘着層、(B)3000nm以上150000nm以下のリタデーションを有する配向フィルム、及び(C)ハードコート層が、この順で積層されてなる、粘着フィルムが記載されている。
特開2015−72903号公報 特開2014−215509号公報
しかしながら、特許文献2に記載の方法はタッチパネルに用いられる部材が増える上、配向フィルムに特定のリタデーションを発現させられる程度に厚膜の部材とする必要がある。
そのため、図22の構成のタッチパネルにおいて、液晶ディスプレイ41の表面に対し、特許文献2に記載の粘着フィルム(粘着層4および偏光解消フィルム42が一体化した部材)を積層し、さらに粘着層4を介して特許文献1に記載の静電容量型入力装置(「両面保護フィルム付き偏光板51」、2組の「導電層用基材43、ハードコート層2および導電層31の積層体」および「カバーガラス52」が各部材間に粘着層4を介して一体化した部材)を積層しても、加熱処理後のカールの問題の解消とタッチパネルの薄型化の両立はできなかった。
本発明が解決しようとする課題は、粘着層を介さずに導電層を積層する用途で用いられる程度に加熱された場合のカールが良好であり、かつ、偏光サングラス等を装着して画像表示装置を見た場合の視認性を良好にできるフィルムを提供することである。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、高リタデーションフィルムの熱収縮率を特定の範囲内に調整することにより、導電層を形成する前または形成中に加わる熱の影響に起因するカールを抑制できることを見出すに至った。この構成に加えて、高リタデーションフィルム上に導電層側に粘着層を介さずに導電層を積層することにより、画像表示装置の内部または表面の余分な偏光解消フィルム(パターニング位相差フィルムまたは高リタデーションフィルム)を取り除いてタッチパネル全体を薄型化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明および本発明の好ましい態様の構成は以下のとおりである。
[1] 基材を少なくとも有するフィルムであって、
基材の面内方向のリタデーションが5000〜15000nmであり、
基材を150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも−1.0%を超え1.0%未満であり、
基材の少なくとも一方の表面側に粘着層を介さずに導電層を積層する用途である、フィルム。
[2] 基材の少なくとも一方の表面にハードコート層を有する[1]に記載のフィルム。
[3] 基材の一方の表面にハードコート層を有し、
基材のもう一方の表面に粘着層および剥離シートをこの順で有する[1]に記載のフィルム。
[4] 少なくとも1層のハードコート層の一方の表面に保護フィルムを有する[1]〜[3]のいずれか一つに記載のフィルム。
[5] 基材の両方の表面にそれぞれハードコート層および保護フィルムをこの順で有する[1]に記載のフィルム。
[6] 基材の一方の表面にハードコート層および保護フィルムをこの順で有し、
基材のもう一方の表面に粘着層および剥離シートをこの順で有する[1]に記載のフィルム。
[7] 全光線透過率が85.0%以上であり、
ヘイズ値が2.0%以下である[1]〜[3]のいずれか一つに記載のフィルム;
ただし、全光線透過率およびヘイズ値は、フィルムが剥離シートを有する場合はフィルムから剥離シートを剥離した光学測定用フィルムについて測定した値であり、フィルムが剥離シートを有さない場合はフィルムについて測定した値である。
[8] 全光線透過率が80.0%以上であり、
ヘイズ値が5.0%以下である[4]〜[6]のいずれか一つに記載のフィルム;
ただし、全光線透過率およびヘイズ値は、フィルムが剥離シートを有する場合はフィルムから剥離シートを剥離した光学測定用フィルムについて測定した値であり、フィルムが剥離シートを有さない場合はフィルムについて測定した値である。
[9] 剥離シートを150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも1.0%未満である[3]または[6]に記載のフィルム。
[10] 剥離シートの粘着層側の表面とは逆の表面に帯電防止層を有し、
帯電防止層の厚みが5μm以下であり、
帯電防止層の抵抗値が10−12Ω/□以下である[3]、[6]および[9]のいずれか一つに記載のフィルム。
[11] 保護フィルムを150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも1.0%未満である[4]〜[6]および[8]のいずれか一つに記載のフィルム。
[12] 保護フィルムが、ハードコート層側とは反対側に帯電防止層を有し、
帯電防止層の厚みが5μm以下であり、
帯電防止層の抵抗値が10−12Ω/□以下である[4]〜[6]、[8]および[11]のいずれか一つに記載のフィルム。
[13] 画像表示装置の内部に用いられる[1]〜[12]のいずれか一つに記載のフィルム。
[14] [1]〜[13]のいずれか一つに記載のフィルムを用いて調製される積層用フィルムと、
導電層とを有する導電フィルムであって;
積層用フィルムは、フィルムが剥離シートを有する場合は剥離シートが剥離されており、かつ、フィルムが保護フィルムを有する場合は保護フィルムが剥離されており、
積層用フィルムは少なくとも一方の最外層が基材またはハードコート層であり、
積層用フィルムの基材またはハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に、粘着層を介さずに導電層が積層された、導電フィルム。
[15] フィルムが基材の少なくとも一方の表面にハードコート層を有し、
積層用フィルムは少なくとも一方の最外層がハードコート層であり、
積層用フィルムのハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に、粘着層を介さずに導電層が積層された、[14]に記載の導電フィルム。
本発明によれば、粘着層を介さずに導電層を積層する用途で用いられる程度に加熱された場合のカールが良好であり、かつ、偏光サングラス等を装着して画像表示装置を見た場合の視認性を良好にできるフィルムを提供できる。
図1は、カール評価用サンプルとしたフィルムの面内方向の概略図である。 図2は、カール評価の方法を説明するための概略図である。図2(a)は加熱処理する前のカール評価用サンプルの断面の概略図である。図2(b)は加熱処理した後のカール評価用サンプルの断面の概略図である。 図3(a)は熱収縮率測定用サンプルの面内方向の概略図である。図3(b)は熱収縮率評価の方法を説明するための概略図である。 図4は、本発明のフィルムの一例の断面を表す概略図である。 図5は、本発明のフィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図6は、本発明のフィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図7は、本発明のフィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図8は、本発明のフィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図9は、本発明のフィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図10は、本発明のフィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図11は、本発明のフィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図12は、光学測定用フィルムの一例の断面を表す概略図である。 図13は、工程検査用フィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図14は、本発明のフィルムが帯電防止層を有する場合の一例の断面を表す概略図である。 図15は、本発明のフィルムが帯電防止層を有する場合の他の一例の断面を表す概略図である。 図16は、本発明の導電フィルムの一例の断面を表す概略図である。 図17は、本発明の導電フィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図18は、本発明の導電フィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図19は、本発明の導電フィルムの他の一例の断面を表す概略図である。 図20は、本発明の導電フィルムを画像表示装置に対して積層する一例の断面を表す概略図である。 図21は、本発明の導電フィルムを画像表示装置に対して積層する他の一例の断面を表す概略図である。 図22は、従来の画像表示装置の内部にタッチパネルの一例の断面を表す概略図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
なお、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよびメタクリルの総称である。
[フィルム]
本発明のフィルムは、基材を少なくとも有するフィルムであって、
基材の面内方向のリタデーションが5000〜15000nmであり、
基材を150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも−1.0%を超え1.0%未満であり、
基材の少なくとも一方の表面側に粘着層を介さずに導電層を積層する用途である。
この構成により、本発明のフィルムは、粘着層を介さずに導電層を積層する用途で用いられる程度に加熱された場合のカールが良好であり、かつ、偏光サングラス等を装着して画像表示装置を見た場合の視認性を良好にできる。
面内方向のリタデーションが5000〜15000nmの高リタデーションフィルムにおいて、熱収縮率を規定し、積層状態でのカールを抑制し、かつ、導電層を付与することは、従来知られていなかった。
画像表示装置の表面または内部に用いられる高リタデーションフィルムと、静電容量型入力装置の導電層用基材を統合することにより、構成部材の数を減らし、かつ、組み立て工程を少なくすることができ、製造コストを減らすことができる。
以下、本発明のフィルムの好ましい態様を説明する。
<フィルムの用途>
本発明のフィルムは、基材の少なくとも一方の表面側に粘着層を介さずに導電層を積層する用途である。本発明のフィルムは、基材とハードコート層を有し、少なくとも一方のハードコート層側の表面側に粘着層を介さずに導電層を積層する用途であることが好ましい。本発明のフィルムは、基材とハードコート層を有し、少なくとも一方のハードコート層に導電層を直接積層する用途であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、画像表示装置の内部に用いられることが好ましく、本発明のフィルムを後述の積層用フィルムとした状態で画像表示装置の内部に用いられることがより好ましい。「画像表示装置の内部に用いられる」態様は、例えば図20において、液晶ディスプレイ41の表面に粘着層4を介して導電フィルム32と一体化した部材全体(すなわちタッチパネル)の内部に用いられることを意味する。
<フィルムの構成>
本発明のフィルムの構成を、図面を参照しながら説明する。
図4は、本発明のフィルムの一例の断面を表す概略図である。図5〜図11は、本発明のフィルムの他の一例の断面を表す概略図である。図14および図15は、本発明のフィルムが帯電防止層を有する場合の一例の断面を表す概略図である。
本発明のフィルムは、基材1を少なくとも有し、図4に表すように基材1の単層フィルムであってもよく、図5〜11、14および15に表すように基材1と他の層の積層体であってもよい。
本発明のフィルムの好ましい態様の一例は、基材の少なくとも一方の表面にハードコート層を有する態様である。この態様の場合、例えば、図5に表すように基材1の一方の表面のみにハードコート層2を有してもよく、図6に表すように基材1の両方の表面にハードコート層2を有してもよい。
本発明のフィルムの好ましい態様の一例は、基材の一方の表面にハードコート層を有し、基材のもう一方の表面に粘着層および剥離シートをこの順で有する態様である。この態様の場合、例えば、図7に表すように基材1の一方の表面にハードコート層2を有し、基材1のもう一方の表面に粘着層4および剥離シート5をこの順で有する。
なお、基材1とハードコート層2との間、及び基材1と粘着層4との間に易接着層(不図示)が設けられていてもよい。
本発明のフィルムの好ましい態様の一例は、少なくとも1層のハードコート層の一方の表面に保護フィルムを有する態様である。この態様の場合、例えば、図8に表すように基材1の一方の表面のみにハードコート層2および保護フィルム3を有してもよい。また、図9に表すように基材1の両方の表面にハードコート層2を有し、一方の(紙面に対して上側の)ハードコート層2の一方の表面のみに保護フィルム3を有してもよい。
本発明のフィルムの好ましい態様の一例は、基材の両方の表面にそれぞれハードコート層および保護フィルムをこの順で有する態様である。この態様の場合、例えば、図10に表すように基材1の両方の表面にそれぞれハードコート層2および保護フィルム3をこの順で有する。
本発明のフィルムの好ましい態様の一例は、基材の一方の表面にハードコート層および保護フィルムをこの順で有し、基材のもう一方の表面に粘着層および剥離シートをこの順で有する態様である。この態様の場合、例えば、図11に表すように基材1の一方の表面にハードコート層2および保護フィルム3をこの順で有し、基材1のもう一方の表面に粘着層4および剥離シート5をこの順で有する。
本発明のフィルムの好ましい態様の一例は、保護フィルムが、ハードコート層側とは反対側に帯電防止層を有する態様である。この態様の場合、例えば、図14に示すように基材1の一方の表面のみにハードコート層2、保護フィルム3および帯電防止層6をこの順で有する。この態様の場合、ハードコート層2および保護フィルム3の間に粘着層(不図示)を有していてもよい。
本発明のフィルムの好ましい態様の一例は、剥離シートの粘着層側の表面とは逆の表面に帯電防止層を有する態様である。この態様の場合、例えば、図15に示すように基材1の一方の表面にハードコート層2および保護フィルム3をこの順で有し、基材1のもう一方の表面に粘着層4、剥離シート5および帯電防止層6をこの順で有する。この態様の場合、剥離シート5は剥離シート用基材5aおよび剥離剤層5bからなり、帯電防止層6は、剥離シート用基材5aの剥離剤層5bとは反対側に配置されることが好ましい。
以下、本発明のフィルムを構成する各部材の好ましい態様を順に説明する。
<基材>
本発明に用いられる基材は、基材の面内方向のリタデーションが5000〜15000nmであり、基材を150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも−1.0%を超え1.0%未満である。
(基材の面内方向のリタデーション)
基材は、配向フィルムであることが好ましく、高リタデーション配向フィルムであることがより好ましい。
本発明では、基材の面内方向のリタデーションが5000〜15000nmであり、6000nm〜10000nmであることが好ましく、8000nm〜10000nmであることがより好ましい。基材のリタデーションは、公知の手法に従って測定することができるが、本明細書においては、2軸方向の屈折率と厚みを自動複屈折測定装置(王子計測器株式会社製、KOBRA−21ADH)を用いて求めた値とする。
(基材の熱収縮率)
本発明では、基材を150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも−1.0%を超え1.0%未満であり、いずれも0.0〜0.9%であることが好ましく、いずれも0.0〜0.8%であることがより好ましい。基材の熱収縮率の特に好ましい範囲は特に制限はないが、フィルムが保護フィルムおよび/または剥離シートを有する場合の保護フィルムおよび/または剥離シートの熱収縮率となるべく近い値となるように調整することができる。
(基材のその他の特性)
基材は、透明基材であることが好ましい。透明基材における「透明」とは、JIS K 7105に従って測定した際の可視光の全光線透過率が80.0%以上であることをいう。
基材の全光線透過率は85.0%以上であることが好ましく、90.0%以上であることがより好ましい。基材の全光線透過率が上記範囲である場合、フィルムを液晶ディスプレイ等の画像表示装置に貼合した場合の画像の視認性が良好である。
基材のヘイズ値は5.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることが特に好ましい。基材の全光線透過率および/またはヘイズ値が上記範囲である場合、フィルムを液晶ディスプレイ等の画像表示装置に貼合した場合の画像の視認性が良好である。
基材の厚みは、10μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましく、70μm以上であることが特に好ましい。また、基材の厚みは、250μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。基材の厚みを上記範囲内とすることにより、基材のリタデーションを所望の範囲内に調整しやすくなる。また、基材の破断を抑制することができ、機械的強度を高めることができる。
(基材の配向主軸)
本発明のフィルムを液晶ディスプレイ等の画像表示装置に貼合する場合は、基材の配向主軸と液晶ディスプレイ等の画像表示装置の視認側偏光子の偏光軸とが形成する角度(基材と偏光子とが同一平面上にあると仮定する)が45度±25度以下となるように張り合わせることが好ましい。このような角度は45度±20度以下であることがより好ましい。特に、液晶ディスプレイ等の画像表示装置をサングラス等の偏光フィルタを介して斜め方向から観察する場合は、画質の低下を軽減する観点から、上記角度は45度±15度以下が好ましく、45度±10度以下がより好ましく、45度±5度以下がさらに好ましい。
一般的な液晶ディスプレイは、光源及び液晶セルを有している。本明細書においては、液晶ディスプレイの画像が表示される側(ヒトが画像を視認する側)を「視認側」と呼び、視認側と反対側(即ち、画像表示装置において、通常、バックライト光源と呼ばれる光源が設定される側)を「光源側」と呼ぶ。液晶セルの光源側及び視認側の両方にはそれぞれ偏光板が設けられており、各偏光板は、典型的に、偏光子と呼ばれるフィルムの両側に偏光子保護フィルムが積層された構造を有する。一般に、液晶セルの視認側にある偏光子は、液晶ディスプレイの画面内の縦方向に対して偏光軸が略平行、略垂直、又は略45度となるように設置されている。従って、基材の配向主軸は、本発明のフィルムの長辺(正方形である場合にはその一辺)と略平行、略垂直、略45度のいずれかであることが好ましい。
(基材の製造方法)
基材は、公知の手法を適宜選択して製造することができる。基材の原料樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、シクロオレフィン樹脂、液晶性ポリマー樹脂、及びセルロース系樹脂に液晶化合物を添加した樹脂等を挙げることができる。すなわち、基材は、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスチレンフィルム、シンジオタクチックポリスチレンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、シクロオレフィンフィルム、液晶性フィルム、セルロース系樹脂に液晶化合物が添加されたフィルムとすることができる。
中でも、基材の好ましい原料樹脂は、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂及びシンジオタクチックポリスチレンから選択される少なくとも1種類であることが好ましく、ポリエステル樹脂であることがより好ましく、ポリエチレンテレフタレート樹脂であることが特に好ましい。基材が上述した樹脂を含むことにより、透明性をより高めることができ、熱耐性及び機械的強度を高めることができる。さらに、延伸加工によって容易にリタデーションを制御することができる。中でも、ポリエチレンテレフタレート樹脂は、固有複屈折が大きく、厚みが薄くても比較的容易に大きなリタデーションが得られるので好ましい。
以下に、ポリエステルフィルムを例に、基材の製造方法を説明する。
ポリエステルフィルムは、任意のジカルボン酸とジオールとを縮合させて得ることができる。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸等を挙げることができる。
ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等を挙げることができる。
ポリエステルフィルムを構成するジカルボン酸成分とジオール成分はそれぞれ1種類又は2種類以上を用いてもよい。ポリエステルフィルムを構成する具体的なポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられ、好ましくはポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートであり、より好ましくはポリエチレンテレフタレートである。これらの樹脂は透明性に優れるとともに、熱耐性及び機械的強度にも優れる。また、これらの樹脂は、延伸加工によって容易にリタデーションを制御することができる。なお、ポリエステル樹脂は他の共重合成分を含んでもよく、機械的強度の点からは共重合成分の割合は3.0モル%以下が好ましく、2.0モル%以下であることがより好ましく、1.5モル%以下であることが特に好ましい。
ポリエステルフィルムは、一般的な製造方法にしたがって得ることができる。具体的には、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形することができる。その後、無配向ポリエステルフィルムを延伸することにより、所定のリタデーションを有する基材とすることができる。延伸工程においては、無配向ポリエステルフィルムをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸する工程、及び/又は、テンターにより横方向に延伸する工程を含むことが好ましい。縦方向の延伸と、横方向の延伸は同時に行ってもよく、縦方向の延伸後に横方向の延伸を行ってもよい。また、このような延伸工程は繰り返し行ってもよい。基材は、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであってもよい。また、基材は斜め45度に延伸された斜め延伸フィルムであってもよい。
ポリエステルフィルムを得るための製造条件は、公知の手法に従って適宜設定することができる。例えば、縦延伸温度及び横延伸温度は、80℃以上130℃以下とすることが好ましく、90℃以上120℃以下とすることがより好ましい。縦延伸倍率は、1.0倍以上3.5倍以下であることが好ましく、1.0倍以上3.0倍以下であることがより好ましい。また、横延伸倍率は、2.5倍以上6.0倍以下であることが好ましく、3.0倍以上5.5倍以下であることがより好ましい。
基材のリタデーションを特定範囲に制御することは、延伸倍率や延伸温度、基材の厚みを適宜設定することにより行うことができる。例えば、縦延伸と横延伸の延伸倍率差が高いほど、延伸温度が低いほど、基材の厚みが厚いほど高いリタデーションが得られやすくなる。また、延伸温度が高いほど、トータル延伸倍率が低いほど、リタデーションと厚み方向リタデーションの比(Re/Rth)が低い基材が得られやすくなる。
基材の製造工程においては、延伸工程の後にさらに、熱処理工程を設けることが好ましい。熱処理工程における熱処理温度は、140℃以上240℃以下であることが好ましく、170℃以上240℃以下であることがより好ましい。
本発明では、基材の製造工程においては、熱処理工程の後に、さらにアニール処理工程を設けることにより、基材の熱収縮率を特定範囲に制御することが好ましい。
基材の熱収縮率を特定範囲に制御することは、アニール処理工程の温度を適宜設定することにより行うことができる。例えば、基材に張力がかかっていない状態で、アニール処理工程の温度を、80℃×5min、120℃×5min、160℃×10min、110℃×5minの順に処理することで、熱収縮率を特定範囲に制御できる。
<ハードコート層>
本発明のフィルムは、基材の少なくとも一方の表面にハードコート層を有することが好ましい。
ハードコート層は、硬度及び透明性を有する層であることが好ましく、耐指紋性、防眩性又は反射防止性のいずれかの特性を備えていることがより好ましい。よって、ハードコート層は、耐指紋層、防眩層または反射防止層であることが好ましい。
本発明ではハードコート層として特開2014−215509号公報の[0035]〜[0066]に記載の耐指紋層、防眩層および反射防止層を適用することができ、この公報の内容は参照して本明細書に組み込まれる。
ハードコート層の厚みは、0.5〜20μmであることが好ましく、1〜10μmであることがより好ましい。
<保護フィルム>
本発明のフィルムは、ハードコート層の表面は保護フィルムによって覆われていることが好ましい。保護フィルムを積層することにより、本発明のフィルムの非使用時にハードコート層が外部からの力によって破損することを防止することができる。保護フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。例えば、保護フィルムの厚みは、10〜500μmであることが好ましく、50〜300μmであることがより好ましく、100〜200μmであることが特に好ましい。
保護フィルムは、樹脂フィルムであることが好ましく、例えばポリエステルフィルムまたはポリオレフィンフィルムであることがより好ましく、ポリエステルフィルムであることが特に好ましい。ポリエステルフィルムの中ではポリエチレンテレフタレートフィルムであることが好ましい。ポリオレフィンフィルムの中ではポリエチレンフィルムであることが好ましい。
保護フィルムは粘着層を有していてもよく、粘着層を介して保護フィルムに積層することができる。なお、本発明のフィルムから後述の積層用フィルムを調製する際は、保護フィルムは粘着層と同時にハードコート層から剥離されることが好ましい。
(保護フィルムの熱収縮率)
本発明では、保護フィルムを150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも1.0%未満であることが好ましく、いずれも0.0〜0.9%であることがより好ましく、いずれも0.0〜0.8%であることが特に好ましい。
<粘着層>
本発明のフィルムは、基材の一方の表面にハードコート層を有し、基材のもう一方の表面に粘着層および剥離シートをこの順で有することが好ましい。
粘着層は、いずれもゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エポキシ系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などの粘着剤を含むことが好ましい。中でも、粘着層は、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤及びシリコーン系粘着剤から選択される少なくとも1種類を含むことが好ましく、アクリル系粘着剤を含むことがより好ましい。なお、アクリル系粘着剤は紫外線硬化型アクリル系粘着剤であってもよく、熱硬化型アクリル系粘着剤であってもよい。
粘着層には、必要に応じて、公知の機能性添加剤を配合することが可能である。機能性添加剤としては、特に限定はされないが、粘着性付与剤、シランカップリング剤、金属腐食防止剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光拡散微粒子、非架橋性アクリル重合体などを例示できる。
なお、フィルムが粘着層を2層以上有する場合、2層以上の粘着層は、互いに同じ組成の粘着剤から形成してもよいが、互いに異なる組成の粘着剤から形成してもよい。
本発明では粘着層として特開2017−101119号公報の[0041]〜[0062]に記載の粘着層を適用することができ、この公報の内容は参照して本明細書に組み込まれる。
粘着層の厚みは10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。また、粘着層の厚みは200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。
粘着層は1N/25mm以上であることが好ましく、5N/25mm以上であることがより好ましく、8N/25mmを超えることが特に好ましい。
なお、被着体に対する粘着層の粘着力は、各被着体に対する180°引き剥がし、粘着力をJIS Z 0237にならって測定した値である。
粘着層の形成工程は、基材などの下層上に粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜を加熱により硬化物とする工程を含むことが好ましい。
塗膜の加熱により、粘着剤(重合体)および架橋剤の反応が進行して硬化物(粘着層)が形成される。粘着剤組成物を硬化状態とするためには、塗工後溶剤を除去した後に、一定温度で一定期間粘着シートを静置するエージング処理を施してもよい。エージング処理は例えば、23℃で7日間静置して行うことができる。
粘着剤組成物の塗工は、公知の塗工装置を用いて実施できる。塗工装置としては、例えば、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
また、塗膜の加熱は、加熱炉、赤外線ランプ等の公知の加熱装置を用いて実施できる。
<剥離シート>
粘着層の表面は剥離シートによって覆われていることが好ましい。剥離シートを積層することにより、本発明のフィルムの非使用時に粘着層が被着体以外のものに付着することを防止することができる。
剥離シートの厚みは、特に限定されるものではなく、適宜設定することができる。例えば、剥離シートの厚みは、10〜500μmであることが好ましく、50〜300μmであることがより好ましく、100〜200μmであることが特に好ましい。
剥離シートとしては、剥離シート用基材とこの剥離シート用基材の片面に設けられた剥離剤層とを有する剥離性積層シート、あるいは、低極性基材としてポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。
剥離性積層シートにおける剥離シート用基材には、紙類、高分子フィルムが使用される。剥離剤層を構成する剥離剤としては、例えば、汎用の付加型もしくは縮合型のシリコーン系剥離剤や長鎖アルキル基含有化合物が用いられる。特に、反応性が高い付加型シリコーン系剥離剤が好ましく用いられる。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−4527、SD−7220等や、信越化学工業(株)製のKS−3600、KS−774、X62−2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO単位と(CHSiO1/2単位あるいはCH=CH(CH)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24−843、SD−7292、SHR−1404等や、信越化学工業(株)製のKS−3800、X92−183等が挙げられる。
(剥離シートの熱収縮率)
本発明では、剥離シートを150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも1.0%未満であることが好ましく、いずれも0.0〜0.9%であることがより好ましく、いずれも0.0〜0.8%であることが特に好ましい。
<帯電防止層>
保護フィルムのハードコート層側とは反対側の表面および/または剥離シートの粘着層側(剥離シートが剥離シート用基材と剥離層側を含む場合は剥離層側)とは反対側の表面は、帯電防止層で覆われていることが好ましい。帯電防止層を有することにより、本発明のフィルムから剥離シートおよび/または保護フィルムを剥離して、後述の積層用フィルムを調製する際に粘着層および/またはハードコート層にゴミが付着しにくくなり、積層用フィルムへの異物混入を抑制できる。
帯電防止層としては特に制限はなく、公知の帯電防止層を用いることができ、例えば特開2015−110315号公報の[0037]、[0055]段落に記載の帯電防止層を適用することができ、この公報の内容は参照して本明細書に組み込まれる。
帯電防止層の厚みが5μm以下であることが好ましく、1〜4μmであることがより好ましく、2〜3μmであることが特に好ましい。
帯電防止層の抵抗値が10−12Ω/□以下であることが好ましく、10−5〜10−11Ω/□であることがより好ましく、10−6〜10−10Ω/□であることが特に好ましい。
<フィルムの特性>
フィルムの全光線透過率およびヘイズ値は、フィルムが剥離シートを有する場合はフィルムから剥離シートを剥離した光学測定用フィルムについて測定した値であり、フィルムが剥離シートを有さない場合はフィルムについて測定した値である。
本発明のフィルムは、フィルムが保護フィルムを有さない場合は、「全光線透過率が85.0%以上であり、ヘイズ値が2.0%以下である」ことが好ましく、「全光線透過率が90.0%以上であり、ヘイズ値が1.0%以下である」ことがより好ましい。図12は、フィルムが保護フィルムを有さない場合の光学測定用フィルムの一例の断面を表す概略図である。図12に表す光学測定用フィルム11は、粘着層4が最外層となっており、剥離シート(不図示)を有さない。
本発明のフィルムは、フィルムが保護フィルムを有する場合は、「全光線透過率が80.0%以上であり、ヘイズ値が5.0%以下である」ことが好ましく、「全光線透過率が85.0%以上であり、ヘイズ値が2.0%以下である」ことがより好ましく、「全光線透過率が90.0%以上であり、ヘイズ値が1.0%以下である」ことが特に好ましい。
図13は、フィルムが保護フィルムを有する場合の工程検査用フィルムの一例の断面を表す概略図である。光学測定用フィルムとは異なり、工程検査用フィルムは、保護フィルム、帯電防止層、剥離フィルムなどを有する場合も全層のフィルムを用いる。図13に表す工程検査用フィルム12は、粘着層4の紙面下側にさらに剥離フィルム5を有する。
[導電フィルム]
本発明の導電フィルムは、本発明のフィルムを用いて調製される積層用フィルムと、導電層とを有する導電フィルムであって、積層用フィルムの基材またはハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に、粘着層を介さずに導電層が積層される。
導電フィルムの第1の態様は、本発明のフィルムがハードコート層を有していなくてもよい場合であり、第1の態様の積層用フィルムの基材またはハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に、粘着層を介さずに導電層が積層される。
導電フィルムの第2の態様は、本発明のフィルムがハードコート層を有する場合であり、第2の態様の積層用フィルムのハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に、粘着層を介さずに導電層が積層される。
本発明の導電フィルムは、導電フィルムの第2の態様であることが好ましい。
<積層用フィルム>
積層用フィルムの第1の態様は、フィルムが剥離シートを有する場合は剥離シートが剥離されており、かつ、フィルムが保護フィルムを有する場合は保護フィルムが剥離されており、
積層用フィルムは少なくとも一方の最外層が基材またはハードコート層であり、
積層用フィルムの基材またはハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に、粘着層を介さずに導電層が積層される。
積層用フィルムの第2の態様では、基材の少なくとも一方の表面にハードコート層を有する本発明のフィルムを用いる。
積層用フィルムの第2の態様は、フィルムが剥離シートを有する場合は剥離シートが剥離されており、かつ、フィルムが保護フィルムを有する場合は保護フィルムが剥離されており、
積層用フィルムは少なくとも一方の最外層がハードコート層であり、
積層用フィルムのハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に、粘着層を介さずに導電層が積層される。
<導電フィルムの構成>
本発明の導電フィルムの構成を、図面を参照しながら説明する。
図16は、本発明の導電フィルムの一例の断面を表す概略図である。図17〜図19は、本発明の導電フィルムの他の一例の断面を表す概略図である。
図16では、本発明の導電フィルム32は、積層用フィルム21のハードコート層2である最外層の一方の表面に粘着層を介さずに導電層31を有し、積層用フィルム21が基材1およびハードコート層2を有する。例えば、図5に表す本発明のフィルムから、基材1およびハードコート層2を有する積層用フィルム21を調製することができる。また、図8に表す本発明のフィルムから、保護フィルム3が剥離されて、基材1およびハードコート層2を有する積層用フィルム21を調製することができる。
図17では、本発明の導電フィルム32は、積層用フィルム21のハードコート層2である最外層の両方の表面に導電層31を有し、積層用フィルム21がハードコート層2、基材1およびハードコート層2をこの順で有する。例えば、図6に表す本発明のフィルムから、ハードコート層2、基材1およびハードコート層2をこの順で有する積層用フィルム21を調製することができる。また、図9または図10に表す本発明のフィルムから、保護フィルム3が剥離されて、ハードコート層2、基材1およびハードコート層2をこの順で有する積層用フィルム21を調製することができる。
図18では、本発明の導電フィルム32は、積層用フィルム21のハードコート層2である最外層の一方の表面に導電層31を有し、積層用フィルム21が粘着層4、基材1およびハードコート層2をこの順で有する。例えば、図7に表す本発明のフィルムから、剥離シート5が剥離されて、粘着層4、基材1およびハードコート層2をこの順で有する積層用フィルム21を調製することができる。また、図11に表す本発明のフィルムから、保護フィルム3および剥離シート5が剥離されて、粘着層4、基材1およびハードコート層2をこの順で有する積層用フィルム21を調製することができる。
図19では、本発明の導電フィルム32は、積層用フィルム21のハードコート層2である最外層の一方の表面に導電層31を有し、積層用フィルム21のハードコート層2である最外層のもう一方の表面に粘着層4を有し、積層用フィルム21がハードコート層2、基材1およびハードコート層2をこの順で有する。上述のとおり、図6、図9または図10に表す本発明のフィルムから、必要に応じて保護フィルム3が剥離されて、ハードコート層2、基材1およびハードコート層2をこの順で有する積層用フィルム21を調製することができる。積層用フィルム21のハードコート層2である最外層の一方の表面に導電層31を形成した後、積層用フィルム21のハードコート層2である最外層のもう一方の表面に粘着層4を付与することができる。
<導電層>
導電層としては特に制限はなく、例えば公知のタッチパネルに用いられる導電層を用いることができる。例えば、ITO(Indium Tin Oxide)膜等の透明電極膜や、金属メッシュや、導電性ポリマーのコーティング層などを挙げることができる。
本発明の導電フィルムは、積層用フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、または、積層用フィルムに導電性ポリマーがコーティングされたコーティング層を有する透明導電性フィルムであることが好ましい。
<タッチパネル>
本発明の導電フィルムは、タッチパネルのセンサー積層用であることが好ましく、タッチペンを用いるタッチパネルのセンサー積層用であることがより好ましい。
画像表示装置の視認側に対して、本発明の導電フィルムを積層して、タッチパネルを構成することができる。
図20は、本発明の導電フィルムを画像表示装置に対して積層する一例の断面を表す概略図である。図20では、液晶ディスプレイ41、本発明の導電フィルム32、両面保護フィルム付き偏光板51およびカバーガラス52が各部材間に粘着層4を介して積層されたタッチパネルを構成している。本発明の導電フィルム32は「導電層31、ハードコート層2、基材1、ハードコート層2および導電層31」を有する。ハードコート層2、基材1およびハードコート層2が、本発明のフィルムから調製されてなる積層用フィルム21に相当する。
図21は、本発明の導電フィルムを画像表示装置に対して積層する他の一例の断面を表す概略図である。図21では、液晶ディスプレイ41、「導電層用基材43、ハードコート層2および導電層31の積層体」、本発明の導電フィルム32、両面保護フィルム付き偏光板51およびカバーガラス52が各部材間に粘着層4を介して積層されたタッチパネルを構成している。本発明の導電フィルム32は「粘着層4、ハードコート層2、基材1、ハードコート層2および導電層31」を有する。ハードコート層2、基材1およびハードコート層2が、本発明のフィルムから調製されてなる積層用フィルム21に相当する。
本発明の導電フィルムを用いて図20および図21などの構成を有するタッチパネルとすることにより、図20などの構成を有する従来のタッチパネルよりも、偏光解消フィルム42および導電層用基材43の削減につながる。
(画像表示装置)
画像表示装置としては、特に制限はなく公知の画像表示装置を用いることができ、例えば液晶ディスプレイを挙げることができる。
一般的な液晶ディスプレイは、上述のとおり、光源及び液晶セルを有している。
液晶ディスプレイのその他の構成部材としては、例えば反射防止フィルム、配向フィルム、偏光子、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。
<導電フィルムの製造方法>
導電フィルムの製造方法は、積層用フィルムを調製する工程と、積層用フィルムの基材またはハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に粘着層を介さずに導電層を積層する工程を有することが好ましい。
積層用フィルムを調製する工程は、本発明のフィルムを加熱する工程と、本発明のフィルムが剥離シートを有する場合は剥離シートを剥離する工程と、本発明のフィルムが保護フィルムを有する場合は保護フィルムを剥離する工程を有することが好ましい。積層用フィルムを調製する前に、本発明のフィルムを加熱する工程では、本発明のフィルムを150℃で1時間加熱することが、寸法安定性の観点から好ましい。
本発明のフィルムを加熱する工程では、本発明のフィルムに保護フィルムおよび/または剥離シートが含まれている場合、保護フィルムおよび/または剥離シートの熱収縮率も上述の好ましい範囲に制御することが、各層の熱収縮率を均衡させてカールを抑制できる観点から好ましい。例えば、図2(b)において、基材1の熱収縮率が本発明で規定する範囲であっても、基材1の熱収縮率に対して保護フィルム3の熱収縮率が小さ過ぎると、カールがわずかに発生することがある。
本発明のフィルムを加熱する工程では、本発明のフィルムの保護フィルムおよび/または剥離シートが含まれていてもそれらの熱収縮率は基材の熱収縮率よりも一般的に小さく、本発明のフィルムの基材の熱収縮率のみを制御することでカールの発生を抑制できる。
なお、ハードコート層および/または粘着層を有していても薄膜であるため、本発明のフィルムの基材、ならびに必要に応じて保護フィルムおよび/または剥離シートの熱収縮率を制御することでカールの発生を抑制できる。
粘着層を介さずに導電層を積層する工程は、積層用フィルムのハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に粘着層を介さずに導電層を積層する工程であることがより好ましい。粘着層を介さずに導電層を積層する方法は、積層用フィルムの上に導電層を形成する工程を含むことが好ましい。
導電層を形成する工程としては、例えば透明導電性材料を塗工し、必要に応じて加熱、露光、現像、パターニングし導電性の配線を形成する方法を挙げることができる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[調製例]
<基材の調製>
(基材a)
基材a(8000AF2・PET80)を、以下の方法で調製した。
固有粘度0.62dl/gのPET樹脂ペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1Torr)した後、押出機に供給し、285℃で溶解した。このポリマーを、ステンレス焼結体の濾材(公称濾過精度10μm粒子95%カット)で濾過し、口金よりシート状にして押し出した後、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラムに巻きつけて冷却固化し、未延伸PETフィルムを作製した。
未延伸フィルムをテンター延伸機に導き、フィルムの端部をクリップで把持しながら、温度125℃の熱風ゾーンに導き、幅方向に4.0倍に延伸した。次に、幅方向に延伸された幅を保ったまま、温度225℃、30秒間で処理し、さらに幅方向に3%の緩和処理を行い、フィルム厚み80μmの未アニールフィルムを得た。
複数の未アニールフィルムに対して、張力がかかっていない状態で、アニール処理工程の温度を80℃×5min、120℃×5min、160℃×10min、110℃×5minの順に処理した場合を基準として、後述の測定方法における熱収縮率が長手方向および幅方向で0.8%に近づくように各温度の時間を微調整して決定したアニール処理条件でアニールを行い、基材aを得た。
(基材b)
ポリエチレンテレフタレートフィルムである基材b(東レフィルム加工製、商品名U403)を用いた。
(基材c)
ポリエチレンテレフタレートフィルムである基材c(東洋紡株式会社製、商品名コスモシャインSRF)を用いた。
<リタデーション(Re)の測定>
リタデーション(面内方向のリタデーション)とは、基材上の直交する二軸の屈折率の異方性(△Nxy=|Nx−Ny|)と基材厚みd(nm)との積(△Nxy×d)で定義されるパラメーターであり、光学的等方性、異方性を示す尺度である。二軸の屈折率の異方性(△Nxy)は、以下の方法により求めた。二枚の偏光板を用いて、基材の配向軸方向を求め、配向軸方向が直交するように4cm×2cmの長方形を切り出し、測定用サンプルとした。このサンプルについて、直交する二軸の屈折率(Nx、Ny)、及び厚み方向の屈折率(Nz)をアッベ屈折率計(アタゴ社製、NAR−4T、測定波長589nm)によって求め、二軸の屈折率差の絶対値(|Nx−Ny|)を屈折率の異方性(△Nxy)とした。基材の厚みd(nm)は電気マイクロメータ(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定し、単位をnmに換算した。屈折率の異方性(△Nxy)と基材の厚みd(nm)の積(△Nxy×d)より、基材の面内方向のリタデーション(Re)を求めた。
基材aの(面内方向の)リタデーションは9500nmであった。
基材bの(面内方向の)リタデーションは8500nmであった。
基材cの(面内方向の)リタデーションは3200nmであった。
<熱収縮率の測定>
JIS C 2318に準拠して、基材(保護フィルムおよび剥離シートも同様)単層での熱収縮率を求めた。図3(a)は熱収縮率測定用サンプルの面内方向の概略図である。図3(b)は熱収縮率評価の方法を説明するための概略図である。
150mm×幅40mmの短冊状フィルム200を切り出し、標線を標した。短冊状フィルム200を150mm×20mmに2等分して、試験片201、202を得る。試験片201は室温(23℃、相対湿度50%)で保持し、試験片202を、熱風循環式恒温槽内に垂直に吊り下げ、所定の温度、時間(150℃、1時間)で加熱した。その後、23℃、相対湿度50%下で30分間放置した。試験片201および202それぞれについて、標線間の距離L1およびL2を、収縮率測定器を用いて測定した。熱収縮率(%)=(L1−L2)/L1×100の式から熱収縮率を計算して求めた。フィルムの長手方向(搬送方向、MD方向)、幅方向(TD方向)それぞれに対し、短冊状フィルム200を3枚ずつ切り出し、3枚について測定された熱収縮率の平均値を用いた。
基材aの長手方向の熱収縮率は0.8%、幅方向の熱収縮率は0.8%であった。
基材bの長手方向の熱収縮率は2.0%、幅方向の熱収縮率は0.4%であった。
基材cの長手方向の熱収縮率は1.2%、幅方向の熱収縮率は1.2%であった。
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレートフィルムである基材a(8000AF2・PET80)の一方の表面に対して、アイカ工業株式会社製アイカアイトロンZ−848Lを塗布し、紫外線硬化させてハードコート層Aを形成した。硬化後のハードコート層の厚みは5μmであった。
得られたフィルムを実施例1のフィルムとした。
[実施例2]
実施例1のフィルムに対し、さらに基材のもう一方の表面に(ハードコート層Aとは反対側の表面に)実施例1と同様のハードコート層Aを形成した。
得られたフィルムを実施例2のフィルムとした。
[実施例3]
剥離シート用基材であるPETフィルムの上に剥離剤層(シリコン層)を備えた剥離シート(i)(王子エフテックス株式会社製、商品名RL−07(6.5)、長手方向の熱収縮率0.8%、幅方向の熱収縮率0.8%、厚み75μm)を用意した。剥離シート(i)の剥離剤層の上に、粘着剤組成物(新タック化成株式会社製、商品名DP#25)をナイフコータにより塗工した。粘着剤組成物の塗工面を上にして、剥離シート(i)を40℃で2分間加熱した後、さらに110℃で2分間加熱することで溶剤成分を揮発させた。このようにして粘着層(1)の片面に剥離シート(i)を備える粘着シートが得られた。粘着層(1)の厚みは、50μmとなるように調製した。
実施例1のフィルムに対し、さらに基材のもう一方の表面に(ハードコート層Aとは反対側の表面に)粘着シートの粘着層(1)を貼り合せ、粘着層(1)および剥離シート(i)をこの順で形成した。
得られたフィルムを実施例3のフィルムとした。
[実施例4]
実施例1のフィルムのハードコート層Aの上に、自粘着性保護フィルムPE(ポリエチレンフィルム、東レフィルム加工株式会社製、商品名トレテック7H52、長手方向の熱収縮率2.0%、幅方向の熱収縮率2.0%、厚み25μm)を、粘着剤がハードコート層Aと接するように貼り合わせた。
得られたフィルムを実施例4のフィルムとした。
[実施例5]
実施例4のフィルムに対し、さらに基材のもう一方の表面に(ハードコート層Aとは反対側の表面に)実施例1と同様のハードコート層Aを形成した。
得られたフィルムを実施例5のフィルムとした。
[実施例6]
実施例4のフィルムに対し、さらに基材のもう一方の表面側に(ハードコート層Aとは反対側の表面側に)実施例4と同様にしてハードコート層Aおよび保護フィルムPEをこの順で形成した。
得られたフィルムを実施例6のフィルムとした。
[実施例7]
実施例4のフィルムに対し、さらに基材のもう一方の表面に(ハードコート層Aとは反対側の表面に)実施例3と同様にして粘着層(1)および剥離シート(i)をこの順で形成した。
得られたフィルムを実施例7のフィルムとした。
[実施例8〜11]
実施例4〜7において、粘着剤付きの保護フィルムPEの代わりに粘着剤付きの保護フィルムPET(ポリエチレンテレフタレート、アイム株式会社製、商品名FC・2PET125csA(S(P))、長手方向の熱収縮率0.8%、幅方向の熱収縮率0.8%、厚み125μm)を用いた以外は実施例4〜7と同様にして、実施例8〜11のフィルムを形成した。
[実施例12]
剥離シート(i)の剥離剤層とは反対側に帯電防止層を設けた剥離シートを、以下の方法で調製した。剥離シート用基材(王子エフテックス株式会社製、商品名RL−07(6.5))の剥離剤層とは反対側の表面の上に、帯電防止層形成用組成物としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(90質量部)とアルキルジエタノールアミン(10質量部)の混合物のトルエン溶液をバー塗工により2.4g/m塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥した。形成した帯電防止層は、厚みが10μmであり、帯電防止層の抵抗値が10−10Ω/□であった。
実施例11において、剥離シート(i)の代わりに、剥離シート(i)の剥離剤層とは反対側に帯電防止層を設けた剥離シートを用いた以外は実施例11と同様にして、実施例12のフィルムを形成した。
[実施例13]
保護フィルムPETの粘着層とは反対側に帯電防止層を設けた保護フィルムを、以下の方法で調製した。保護フィルムの粘着層とは反対側の表面の上に、帯電防止層形成用組成物としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(90質量部)とアルキルジエタノールアミン(10質量部)の混合物のトルエン溶液をバー塗工により2.4g/m塗工した後、120℃のオーブンで1分間乾燥した。形成した帯電防止層は、厚みが10μmであり、帯電防止層の抵抗値が10−10Ω/□であった。
実施例11において、保護フィルムPETの代わりに、保護フィルムPETの粘着層とは反対側に帯電防止層を設けた保護フィルムを用いた以外は実施例11と同様にして、実施例13のフィルムを形成した。
[比較例1および2]
基材aの代わりに基材bを用いた以外は実施例3および4とそれぞれ同様にして、比較例1および2のフィルムを形成した。
[比較例3]
基材aの代わりに基材cを用いた以外は実施例3と同様にして、比較例3のフィルムを形成した。
[評価]
<カール>
(カール値)
図1は、カール評価用サンプルとした(100mm角とし、四隅に印を付けた)フィルムの面内方向の概略図である。カール評価用サンプルを恒温型乾燥機で150℃、1時間の熱処理に供した後、23℃±5℃、相対湿度50%±10%の環境下で60分間調温調湿した際の四隅の印を付けた部分の地面(測定用の水平台)からの浮き上がりをSUS定規により測定し、その平均値をカール値とした。
図2は、カール値の測定方法を説明するための概略図である。図2(b)に示すように、基材1を測定用の水平台から遠い上面とし、保護フィルム3を測定用の水平台に近い下面としたフィルムにおいて、熱処理後にフィルムの端部が上面側に浮き上がる状態をプラスカールとする。反対側にカールする態様はマイナスカールとする。なお、カール値が大きく、カール評価用サンプルが巻かれてしまう場合は、カール値「大」とした。
(ハンドリング性)
カール値から、ハンドリング性を下記のように評価した。
○(0mm以上10mm未満のカール):透明導電性材料の塗工が容易。
△(10mm以上15mm未満のカール):透明導電性材料の塗工に問題が無い。
△×(15mm以上20mm未満のカール):透明導電性材料の塗工がしにくい(厚みにムラが出易い)。
×(20mm以上、またはカール「大」):透明導電性材料の塗工ができない。
<光学測定>
(全光線透過率およびヘイズ値)
日本電色株式会社製ヘイズメーター「NDH4000」を用いて、全光線透過率及びヘイズ値を測定した。ただし、全光線透過率およびヘイズ値は、フィルムが剥離シートを有する場合はフィルムから剥離シートを剥離した光学測定用フィルムについて測定した値であり、フィルムが剥離シートを有さない場合はフィルムについて測定した値である。
(工程検査)
日本電色株式会社製ヘイズメーター「NDH4000」を用いて、全光線透過率及びヘイズ値を測定した。工程検査で用いる全光線透過率およびヘイズ値は、フィルムについて測定した値を用いた(保護フィルムと剥離シートを有する場合も保護フィルムと剥離シートが無い場合もあり)。全光線透過率とヘイズ値から、工程検査のし易さを下記のように評価した。
○(工程検査で用いる全光線透過率が85.0%以上、工程検査で用いるヘイズ値が2.0%未満):フィルム内外に存在するゴミ等の異物の観察が容易。
△(工程検査で用いる全光線透過率が80.0%以上85.0%未満、工程検査で用いるヘイズ値2.0%以上5.0%未満):フィルム内外に存在するゴミ等の異物の観察がしづらい。
△×(工程検査で用いる全光線透過率が80.0%未満、工程検査で用いるヘイズ値が5.0%以上):フィルム内外に存在するゴミ等の異物の判断ができない。
<視認性>
市販のLCDモニター(IODATA製、型番LCD−MF223EWR)の表面に、各実施例および比較例のフィルムの両面にソーダガラス板を配置した観察サンプルを重ねて視認性を評価した。なお、この際、観察前に公知の偏光フィルタを通して画像を観察し、偏光フィルタを回転させて消光する角度から出射光の偏光方向を確認し、出射光の偏光方向と(本発明のフィルムの)基材の配向主軸が45度の角度となるように観察サンプルを重ねた。その後、偏光サングラスを掛けて、首を左右に傾けて画像の視認性の変化を観察した。
○(視認性に優れる):画像の消失、色ムラ、色ズレは起こらない。
×(視認性に劣る):画像の消失、色ムラ、色ズレのいずれかが生じる。
<積層用フィルムへの異物混入>
フィルムから剥離シートおよび/または保護フィルムを剥離して積層用フィルムを調製した際に、粘着層および/またはハードコート層にゴミが付着するかどうか評価した。
〇:粘着層および/またはハードコート層にゴミが付着しづらい。
△:粘着層および/またはハードコート層にゴミが付着することがある。
×:粘着層および/またはハードコート層にゴミが付着しやすい。
Figure 2019073598
上記表1から、本発明のフィルムは、粘着層を介さずに導電層を積層する用途で用いられる程度に加熱された場合のカールが良好であり、かつ、偏光サングラス等を装着して画像表示装置を見た場合の視認性を良好にできることがわかった。
比較例1および2より、基材の熱収縮率が本発明で規定する範囲外である場合は、加熱された場合のカールが悪いことが分かった。
比較例3より、基材の熱収縮率が本発明で規定する範囲外であり、基材のリタデーションも本発明で規定する範囲外である場合は、加熱された場合のカールが悪く、偏光サングラス等を装着して画像表示装置を見た場合の視認性が悪いことが分かった。
[実施例101]
<導電シートの作製>
各実施例のフィルムから剥離シートおよび/または保護フィルムを剥離して積層用フィルムを調製した後、150℃で1時間の条件で熱処理を行った。
熱処理の積層用フィルムの一方の最外層であるハードコート層の表面に、透明導電性材料(東レ株式会社製、商品名RAYBRID)を塗工して導電層を形成し、導電シートを形成した。
得られた導電シートは、カールの問題が無く、偏光サングラス等を装着して画像表示装置を見た場合の視認性が良好であり、導電層の厚みにムラが少なかった。
本発明のフィルムおよび導電シートを用いることで、従来のタッチパネルにおける画像表示装置の内部の偏光解消フィルムと、静電容量型入力装置の内部における導電層用基材とを一体化することができ、画像表示装置および/またはタッチパネルを薄型化することができる。よって、本発明のフィルムおよび導電シートは、産業上の利用可能性がある。
1 基材
2 ハードコート層
3 保護フィルム
4 粘着層
5 剥離シート
5a 剥離シート用基材
5b 剥離剤層
6 帯電防止層
11 光学測定用フィルム
12 工程検査用フィルム
21 積層用フィルム
31 導電層
32 導電フィルム
41 液晶ディスプレイ
42 偏光解消フィルム
43 導電層用基材
51 両面保護フィルム付き偏光板
52 カバーガラス
200 短冊状フィルム
201 室温保持する試験片
202 加熱処理する試験片
L1 標線間の距離
L2 標線間の距離
MD 長手方向
TD 幅方向

Claims (15)

  1. 基材を少なくとも有するフィルムであって、
    前記基材の面内方向のリタデーションが5000〜15000nmであり、
    前記基材を150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも−1.0%を超え1.0%未満であり、
    前記基材の少なくとも一方の表面側に粘着層を介さずに導電層を積層する用途である、フィルム。
  2. 前記基材の少なくとも一方の表面にハードコート層を有する、請求項1に記載のフィルム。
  3. 前記基材の一方の表面にハードコート層を有し、
    前記基材のもう一方の表面に粘着層および剥離シートをこの順で有する、請求項1に記載のフィルム。
  4. 少なくとも1層の前記ハードコート層の一方の表面に保護フィルムを有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム。
  5. 前記基材の両方の表面にそれぞれハードコート層および保護フィルムをこの順で有する、請求項1に記載のフィルム。
  6. 前記基材の一方の表面にハードコート層および保護フィルムをこの順で有し、
    前記基材のもう一方の表面に粘着層および剥離シートをこの順で有する、請求項1に記載のフィルム。
  7. 全光線透過率が85.0%以上であり、
    ヘイズ値が2.0%以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム;
    ただし、前記全光線透過率および前記ヘイズ値は、前記フィルムが剥離シートを有する場合は前記フィルムから前記剥離シートを剥離した光学測定用フィルムについて測定した値であり、前記フィルムが前記剥離シートを有さない場合は前記フィルムについて測定した値である。
  8. 全光線透過率が80.0%以上であり、
    ヘイズ値が5.0%以下である、請求項4〜6のいずれか一項に記載のフィルム;
    ただし、前記全光線透過率および前記ヘイズ値は、前記フィルムが剥離シートを有する場合は前記フィルムから前記剥離シートを剥離した光学測定用フィルムについて測定した値であり、前記フィルムが前記剥離シートを有さない場合は前記フィルムについて測定した値である。
  9. 前記剥離シートを150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも1.0%未満である、請求項3または6に記載のフィルム。
  10. 前記剥離シートの前記粘着層側の表面とは逆の表面に帯電防止層を有し、
    前記帯電防止層の厚みが5μm以下であり、
    前記帯電防止層の抵抗値が10−12Ω/□以下である、請求項3、6および9のいずれか一項に記載のフィルム。
  11. 前記保護フィルムを150℃で1時間の条件で加熱処理する場合の長手方向の熱収縮率および幅方向の熱収縮率がいずれも1.0%未満である、請求項4〜6および8のいずれか一項に記載のフィルム。
  12. 前記保護フィルムが、前記ハードコート層側とは反対側に帯電防止層を有し、
    前記帯電防止層の厚みが5μm以下であり、
    前記帯電防止層の抵抗値が10−12Ω/□以下である、請求項4〜6、8および11のいずれか一項に記載のフィルム。
  13. 画像表示装置の内部に用いられる、請求項1〜12のいずれか一項に記載のフィルム。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のフィルムを用いて調製される積層用フィルムと、
    導電層とを有する導電フィルムであって;
    前記積層用フィルムは、前記フィルムが前記剥離シートを有する場合は前記剥離シートが剥離されており、かつ、前記フィルムが前記保護フィルムを有する場合は前記保護フィルムが剥離されており、
    前記積層用フィルムは少なくとも一方の最外層が前記基材または前記ハードコート層であり、
    前記積層用フィルムの前記基材または前記ハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に、粘着層を介さずに前記導電層が積層された、導電フィルム。
  15. 前記フィルムが前記基材の少なくとも一方の表面に前記ハードコート層を有し、
    前記積層用フィルムは少なくとも一方の最外層が前記ハードコート層であり、
    前記積層用フィルムの前記ハードコート層である最外層のうち少なくとも一方の側に、粘着層を介さずに前記導電層が積層された、請求項14に記載の導電フィルム。
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