JP4749587B2 - 表面保護フィルムおよびその剥離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は表面保護フィルムおよびその剥離方法に関する。さらに詳しくは、プラスチックフィルム等の電気絶縁性被着体から剥離するときに発生する剥離帯電(静電気)に伴うトラブルの防止効果に優れた表面保護フィルムに関する。本発明の表面保護フィルムは、特に液晶表示装置の表示部表面の表面保護フィルムとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
表面保護フィルム(シート)は、各種物品の表面を一時的に保護する再剥離型の粘着フィルムとして広く使用されている。これら表面保護フィルムに要求される特性としては、貼付時には被着体表面に十分に接着することができ、不要となった場合には、被着体表面から表面保護フィルムを簡単に、そして被着体表面を粘着剤等で汚染することなく剥離できることが求められている。
【0003】
また、表面保護フィルム自体は、通常、長尺のフィルムをロール状に巻回した状態で使用者に供給され、使用者が、その巻回体から、被着体表面を保護するのに必要な大きさの表面保護フィルムを巻戻して使用する。この場合、特に冬場等の低湿度環境の雰囲気下においては、表面保護フィルムをロールから巻き戻すときに表面保護フィルム自体が帯電して、使用者が静電気で不快な思いをすることがあった。このような表面保護フィルムの巻戻し時の帯電を防止するために、表面保護フィルムには各種の帯電防止処理が行われてきた。
【0004】
前記表面保護フィルムは、各種精密電子機器の表面保護用途にも採用されるようになり、特に近年、パソコン等に使用されている液晶表示装置の表示部表面の保護用途にも使用されるようになった。液晶表示装置は、ガラス基板、液晶、位相差板、偏光板、反射防止板等の各種光学素子を積層して液晶モジュールを製造した後、表示部表面(通常、偏光板)に表面保護フィルムが貼付された状態で次工程へ搬送される。そして、液晶表示装置の組立工程を経て最終的には、液晶モジュールの表示部表面に貼付されていた表面保護フィルムは剥離除去される。
【0005】
上記液晶表示装置の表示部表面の保護用途において、静電気の発生は、使用者が不快な思いをすること以外に、液晶表示素子(TFT等)の破壊を引き起こす要因となることからも、その発生を防止する必要がある。前記従来の、いわゆる巻戻し時における帯電防止効果を有する表面保護フィルムは、ロール状に巻回された表面保護フィルムから必要量の表面保護フィルムを巻き戻して、液晶モジュールの表示部表面に貼付する際にはその帯電防止効果により、静電気の発生を防止でき、表面保護フィルムの貼付時には静電気の発生に伴う液晶表示素子の破壊を防止できる。しかしながら、前記貼付された表面保護フィルムは、これを最終的に液晶モジュールの表示部表面から剥離する場合にも、表面保護フィルムが直接貼付されていた表示部表面との界面で剥離帯電を誘起し、静電気の発生により液晶表示素子の破壊を引き起こす問題が指摘されてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、保護すべき被着体が液晶モジュールの表示部表面等に使用されるプラスチックフィルム等のような電気絶縁性被着体である場合にも、電気絶縁性被着体から表面保護フィルムを剥離する際に剥離帯電(静電気発生)に伴うトラブルなく剥離することができる表面保護フィルムおよびその剥離方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために、プラスチックフィルムのような電気絶縁性被着体に貼付された表面保護フィルムを当該被着体から剥離する際に、当該被着体表面に生じる帯電現象について詳細に検討した。その結果、表面保護フィルムを特定の剥離速度領域で剥離する場合に、前記被着体表面で特異な剥離帯電圧の変化を示すものを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、プラスチックフィルムの表面に粘着剤層を形成してなる表面保護フィルムにおいて、前記表面保護フィルムは、その粘着剤層を介して貼付した電気絶縁性被着体から剥離したときに、電気絶縁性被着体の表面で発生する剥離帯電圧が、剥離速度1.5m/分〜8m/分の領域において、剥離速度の増加に伴い、0kVまたはマイナス側の剥離帯電圧から、プラス側の剥離帯電圧に変化するものであることを特徴とする表面保護フィルム、に関する。
【0009】
前記表面保護フィルムは、一般的に、剥離速度1.5m/分〜7m/分の領域において、0kVの剥離帯電圧を示すものである。
【0010】
また、本発明は、電気絶縁性被着体に貼付した前記表面保護フィルムを、前記表面保護フィルムが、0kVの剥離帯電圧を示す剥離速度近傍で電気絶縁性被着体から剥離することを特徴とする表面保護フィルムの剥離方法、に関する。
【0011】
前記本発明の表面保護フィルムは、剥離速度1.5m/分において、0kVまたはマイナス側の剥離帯電圧を示し、一方、剥離速度8m/分ではプラス側の剥離帯電圧を示す。すなわち本発明の表面保護フィルムは、剥離速度1.5m/分〜8m/分未満の領域において剥離帯電圧が変化して0kVの剥離帯電圧を示す剥離速度を有するものである。このような本発明の表面保護フィルムによれば、剥離速度1.5m/分〜8m/分未満の領域において、その剥離速度を0kVの剥離帯電圧を示すように制御することにより、電気絶縁性被着体表面に発生する剥離帯電圧を殆ど発生させることなく剥離することができる。
【0012】
これにより電気絶縁性被着体、表面保護フィルムに応じて剥離速度を制御することにより、剥離する際に発生する剥離帯電(静電気発生)に伴うトラブルを防止することができる。
【0013】
なお、従来の帯電防止型表面保護フィルムは、剥離速度1.5m/分〜8m/分の領域において電気絶縁性被着体表面に発生する剥離帯電圧の値は全てマイナス側の値であり、剥離速度を選択しても剥離帯電圧の発生を制御することができない。
【0014】
以下に、電気絶縁性被着体表面に貼付した本発明の表面保護フィルム(A)および従来の帯電防止型表面保護フィルム(B)を、剥離速度1.5m/分〜8m/分の領域で剥離する際に、電気絶縁性被着体表面に発生する剥離帯電圧(kV)がどのように変化するかを示す概念図の一例である図1を示す。
【0015】
図1において、表面保護フィルム(A)は、剥離速度1.5m/分〜8m/分の領域において、剥離速度の増加に伴い、剥離帯電圧がマイナス側から、プラス側に変化している。具体的数値でいうと剥離速度1.5m/分において剥離帯電圧−約0.3kVを示し、一方、剥離速度8m/分において+約1. 6kVを示し、剥離速度3m/分において剥離帯電圧0kVを示す例である。一方、帯電防止型表面保護フィルム(B)は剥離速度1.5m/分〜8m/分の領域において、剥離速度が増加しても、剥離帯電圧がマイナス側からプラス側に転じることはない。
【0016】
本発明の表面保護フィルムは、電気絶縁性被着体から剥離したときに、電気絶縁性被着体の表面で発生する剥離帯電圧が、剥離速度1.5m/分〜8m/分の領域において、剥離速度の増加に伴い、0kVまたはマイナス側の剥離帯電圧から、プラス側の剥離帯電圧に変化するものであれば、各剥離速度における剥離帯電圧は特に制限されないが、剥離速度1.5m/分の剥離帯電圧の値は、概ね−1.2kV〜0kV程度であり、剥離速度1.5m/分を超え7m/分の領域で剥離帯電圧の値が0kVとなり、剥離速度8m/分における剥離帯電圧の値が、概ね+0.3kV〜+1.6kV程度である。
【0017】
なお、表面保護フィルムの電気絶縁性被着体への貼付条件、電気絶縁性被着体からの剥離条件は実施例に示す条件に従う。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の表面保護フィルムは、プラスチックフィルムの表面に粘着剤層を形成してなり、前記剥離速度と剥離帯電圧特性が前記関係にあるものを特に制限なく使用することができる。かかる本発明の表面保護フィルムは、主として表面保護フィルムを構成するプラスチックフィルム基材と、粘着剤層を構成している粘着剤、プラスチックフィルムおよび/または粘着剤に施される帯電防止処理の組み合わせにより調製することができる。また、本発明の表面保護フィルムは、プラスチックフィルム、粘着剤、帯電防止処理に使用する材料(組成)の違いだけでなく、各層の厚みや表面保護フィルムを製造するときの塗工方法の違いによっても調製することができる。
【0019】
本発明の表面保護フィルムの基材となるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン)、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−n−ブチルアクリレート共重合体等のポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、ポリプロピレンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリ−1−ブテン、ポリ−4 −メチル−1 −ペンテン等のポリオレフィン系樹脂からなるプラスチックフィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂からなるプラスチックフィルム、ナイロン6 ,6 等の各種ナイロンや部分芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂からなるプラスチックフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムやポリ塩化ビニリデンフィルム等が使用できる。これらプラスチックフィルムは、単層状、積層状のいずれでも良く、またプラスチクフィルムは異なる樹脂同士をブレンドしたブレンドフィルムでもよい。これらプラスチックフィルムのなかでも本発明においては、厚さ精度や強度の点からは、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂のブレンドフィルムが好ましい。
【0020】
プラスチックフィルムには、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤などの各種添加剤を配合することができる。また、コロナ処理等の公知の表面改質処理を行なうこともできる。
【0021】
プラスチックフィルムの厚さとしても特に限定されるものではないが、一般には10〜300μm程度の厚さのものが用いられ、柔軟性等の観点から20〜100μmの厚さのものが好適に用いられる。
【0022】
粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に限定されるものではなく、ゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤等の公知の粘着剤を上記剥離帯電圧特性を満足する限りにおいて適宜選択して使用することができる。これらのなかでも本発明においては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル{(メタ)アクリル酸アルキルエステルとはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルをいい、以下(メタ)とは同様の意味である。}を主成分とするモノマーのホモポリマー、または(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれと共重合可能な他のモノマーとのコポリマーを主成分とし、これにイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤、メラミン樹脂系架橋剤等の架橋剤を添加して架橋した架橋型のアクリル系粘着剤が好ましい。架橋剤は、通常、主成分であるポリマーまたはコポリマー100重量部に対し、0. 5〜10重量部が用いられる。なお、粘着剤は、必要に応じて粘着付与樹脂、軟化剤、酸化防止剤等の各種添加剤を含有することができる。
【0023】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどが挙げられる。また、共重合可能な他のモノマーとしては、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアクリル系感圧性接着剤の改質用モノマーとして知られる各種モノマーをいずれも使用可能である。
【0024】
上記アクリル系粘着剤の中でも特に、アクリル酸ブチルとアクリル酸のコポリマーを主成分とし、かかるアクリル系コポリマーをエポキシ系架橋剤で架橋させた架橋型のアクリル系粘着剤が、上記特性の剥離帯電圧を有する表面保護フィルムを調製する上において好ましい。このときアクリル酸ブチル:アクリル酸の配合比(重量比)は、好ましくは100:1〜30、さらに好ましくは100:1〜10である。
【0025】
粘着剤層の厚みは、特に限定するものではないが、通常3〜100μm程度、好ましくは5〜80μm程度である。
【0026】
本発明の表面保護フィルムは、基材としてのプラスチックフィルムの表面に粘着剤層を形成した構成を基本構成とするものであるが、上記剥離帯電圧特性を調整するために帯電防止処理を行なうことができる。
【0027】
かかる帯電防止処理としては、従来から表面保護フィルムの帯電防止処理技術として利用されてきた各種技術を特に制限なく利用することができる。一般的な方法として、プラスチックフィルムの表面に帯電防止剤等により帯電防止層を形成したり、粘着剤中またはプラスチックフィルム中に帯電防止剤を添加(練り込み)することにより表面保護フィルムに帯電防止処理を行なうことができる。このような帯電防止剤としてはカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の各種界面活性剤を使用することができる。また、帯電防止剤としてはアセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、チタンブラック(黒色帯電防止塗料)、亜鉛酸化物、錫酸化物、錫コーティングチタン酸化物(白色帯電防止塗料)、ニッケルフレーク(シルバー帯電防止塗料)、燐ドーピング錫酸化物、アンチモンドーピング錫酸化物(透明帯電防止塗料)等の導電性フィラー型の帯電防止剤を使用することができる。さらに、帯電防止剤としてはカチオン型、両性イオン型、アニオン型もしくはノニオン型のイオン導電性基を有する単量体の単独重合体または当該単量体と他の単量体との共重合体、4級アンモニウム塩基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の部位を有する重合体等のイオン導電性を有する重合体を使用することができる。
【0028】
これら帯電防止剤のなかでも本発明においては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーに、塩化コリンやポリエチレンイミン、イミダゾール等の極性物質を配合した混合物(主剤)に、さらにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂(硬化剤)を配合してなる熱硬化型帯電防止剤が好ましく使用される。このような帯電防止剤は、例えば株式会社コニシ製のボンディップシリーズ(ボンディップPA−100等)があげられる。
【0029】
帯電防止処理としては、プラスチックフィルムの表面に帯電防止層を形成する方法が好ましく、その厚みは特に限定するものではないが、通常0.01〜100μm程度、好ましくは0.1〜10μm程度である。一方、プラスチックフィルムや粘着剤中に帯電防止剤を添加する場合その添加量は特に限定するものではないが、プラスチックフィルムや粘着剤の全配合量に対して0.2〜100重量%、好ましくは0.5〜20重量%程度である。
【0030】
本発明の表面保護フィルムは、プラスチック板等の電気絶縁性被着体の表面保護フィルムとして好適に使用できる。特に、液晶表示装置における表示部表面(偏光板)の保護用途等の静電気発生を嫌う精密電子機器の表面保護フィルムとして特に好適に使用できる。
【0031】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0032】
実施例1
(プラスチックフィルム基材の調製)
帯電防止剤として、商品名「ボンディップPA−100」(株式会社コニシ製)の主剤と硬化剤とを主剤:硬化剤=1:1の割合(重量比)で配合した配合物を、イソプロピルアルコールの67重量%水溶液に溶解させて濃度5%の熱硬化型帯電防止剤溶液を調製した。厚さ40μmのポリプロピレン/ポリエチレンのブレンドフィルムの片面にコロナ処理を行い、コロナ処理面上に前記熱硬化型帯電防止剤溶液を#10のワイヤーバーを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させて厚さ1μmの帯電防止層を形成した。
【0033】
(粘着剤の調製)
アクリル酸ブチル100重量部、アクリル酸6重量部および重合溶媒としてトルエン120重量部を三つロフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤(過酸化ベンゾイル)0.3重量部を加え、60℃に昇温して反応を開始させた。重合温度を60℃に制御しながら2時間反応させ、さらにその後70℃にて2時間熟成してアクリル酸ブチル/アクリル酸共重合体を得た。得られたアクリル酸ブチル/アクリル酸共重合体の固形分100重量部に対し、エポキシ系架橋剤(商品名:テトラッドC,三菱瓦斯化学(株)製)4重量部を混合して粘着剤溶液を調製した。
【0034】
(表面保護フィルムの作製)
上記粘着剤溶液を、上記ポリプロピレン/ポリエチレンブレンドフィルムの帯電防止層形成面上に塗布し、80℃で2分間乾燥させて、厚さ5μmの粘着剤層を形成して本発明の表面保護フィルムを作製した。
【0035】
比較例1
実施例1の(プラスチックフィルム基材の調製)において、帯電防止剤としてポリアニリン含有塗料(商品名:aquaPASS−21X,三菱レイヨン(株)製)を使用したこと以外は実施例1と同様にしてプラスチックフィルム基材を調製した。以降は実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。
【0036】
比較例2
実施例1の(プラスチックフィルム基材の調製)において、帯電防止剤としてポリチオフェン含有塗料(商品名:デナトロン#5001,帝国化学産業(株)製)を使用したこと以外は実施例1と同様にしてプラスチックフィルム基材を調製した。以降は実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。
【0037】
比較例3
実施例1の(表面保護フィルムの作製)において粘着剤として下記粘着剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。
【0038】
(粘着剤の調製)
アクリル酸ブチル50重量部、アクリル酸エチル50重量部、アクリロニトリル5重量部、アクリル酸6重量部および重合溶媒としてトルエン120重量部を三つロフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら2時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、重合開始剤(過酸化ベンゾイル)0.3重量部を加え、60℃に昇温して反応を開始させた。重合温度を60℃に制御しながら2時間反応させ、さらにその後70℃にて2時間熟成してアクリル酸ブチル//アクリル酸エチル/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体を得た。得られた共重合体の固形分100重量部に対し、エポキシ系架橋剤(商品名:テトラッドC,三菱瓦斯化学(株)製)4重量部を混合して粘着剤溶液を調製した。
【0039】
比較例4
実施例1の(表面保護フィルムの作製)において帯電防止層を形成していないポリプロピレン/ポリエチレンブレンドフィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして表面保護フィルムを作製した。
【0040】
実施例、比較例で得られた表面保護フィルムについて以下の評価を行なった。結果を表1に示す。
【0041】
(剥離帯電圧測定試験)
(1)片面に粘着剤層を有する偏光板(NRF−HEG1425ADUAGS2B,日東電工株式会社製)を70mm×100mmの大きさに切断した後、粘着剤層を被覆しているセパレータを剥がし、偏光板を厚さ1mmのメタクリル板にハンドローラを用いて貼り合せた。
(2)上記偏光板および表面保護フィルムを23℃±1℃、65±5%RHに調整した恒温恒湿室に2時間放置した。以下の操作は全て恒温恒湿室内にて行った。
(3)偏光板表面に被覆されている保護シート(ポリエステルフィルム)を剥がし、偏光板表面を直流式除電器(KD−110,春日電機社製)で表面の電位が0Vになるまで除電を行った。偏光板表面の電位は静電電位測定器(KSD−0103,春日電機社製)を使用して測定した。
(4)偏光板と同じ大きさに切断した表面保護フィルムを、偏光板表面へハンドローラを使用して貼り合せ、その後、ラミネータ(線圧49N/cm、速度3m/分)を用いて表面保護フィルムを偏光板表面へ圧着したものをサンプルとした。
(5)圧着後、30分放置後、サンプルをアース接続されていない導電マット上の固定台(高さ20mm)へ固定した。
(6)サンプルの端部から表面保護フィルムを約5mm折り返し、折り返し部に導き用の粘着テープ(幅50mm、長さ60cm:実施例1と同様の表面保護フィルム)を貼り合わせて剥離時の導き部とした。
(7)定尺巻取り機にて、引張速度1.5m/分、3m/分、8m/分の各々の条件下で導き用の粘着テープを引っ張り、表面保護フィルムを偏光板表面から剥離(剥離角160°)させ、同時に、偏光板表面の剥離帯電圧を静電電位測定器(KSD−0103,春日電機(株)製)を使用して測定した。このとき、剥離帯電圧の最大値を記録し、剥離帯電圧とした。
【0042】
(液晶モジュール実用試験)
(1)被着体として12.1インチの液晶モジュール(表面の偏光板はNRF−HEG1425ADUAGS2B,日東電工株式会社製)を用いた。
(2)上記液晶モジュールおよび表面保護フィルムを23℃±1℃、65±5%RHに調整した恒温恒湿室に2時間放置した。以下の操作は全て恒温恒湿室内にて行った。
(3)液晶モジュール(金属フレームを含む)と同じ大きさに切断した表面保護フィルムを、偏光板表面へハンドローラを使用して貼り合せたものをサンプルとした。
以降は、上記(剥離帯電圧測定試験)の(5)〜(7)と同様にして剥離帯電圧を測定した。但し、(7)における引張速度は3m/分とし、剥離帯電圧はその絶対値を記載した。
【0043】
【表1】
表1から明らかなように実施例1の表面保護フィルムは偏光板(電気絶縁性被着体)に貼付後、偏光板から剥離速度1.5m/分〜8m/分で剥離させたときに偏光板表面に発生する剥離帯電圧が、剥離速度1.5m/分ではマイナス側の剥離帯電圧を示し、その後、剥離速度の増加と共に剥離帯電圧が0kV(剥離速度3m/分)を経て、最終的に剥離速度8m/分ではプラス側の剥離帯電圧に変化するものであることが分かる。このような実施例1の表面保護フィルムは、剥離帯電圧測定試験において、剥離速度3m/分で剥離帯電圧が0kVを示すことから、液晶モジュールの表示部表面の保護用途に、剥離速度3m/分で適用した際に剥離帯電圧を0.1kVと非常に低く抑えることができた。当該表面保護フィルムは、液晶素子の破壊を発生させることなく表面保護フィルムの剥離を行うことができ、実用上好ましい表面保護フィルムであった。
【0044】
一方、比較例の表面保護フィルムは、上記の様な剥離帯電圧特性を示さず、剥離速度を変更してもマイナス側の剥離帯電圧がプラス側の剥離帯電圧に変化していない。また液晶モジュールの表示部表面の保護用途に使用した際には、剥離帯電圧を生じ、液晶素子の破壊を発生させていた。
【0045】
【発明の効果】
本発明の表面保護フィルムは、剥離時の静電気の発生を嫌う電気絶縁性被着体の表面保護用途として最適な表面保護フィルムとなり得ることができる。特に本発明の表面保護フィルムは、剥離時の静電気が致命的障害となる液晶表示装置の表示部表面の保護用途として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】剥離帯電圧の変化を示すグラフである。
Claims (4)
- プラスチックフィルムの表面に粘着剤層を形成してなる表面保護フィルムにおいて、
前記表面保護フィルムは、その粘着剤層を介して貼付した電気絶縁性被着体から剥離したときに、電気絶縁性被着体の表面で発生する剥離帯電圧が、剥離速度1.5m/分〜8m/分の領域において、剥離速度の増加に伴い、0kVまたはマイナス側の剥離帯電圧から、プラス側の剥離帯電圧に変化するものであり、
前記プラスチックフィルムの表面に、帯電防止層が形成され、
前記帯電防止層が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーに、塩化コリン、ポリエチレンイミン、及び、イミダゾールからなる群より選択される少なくとも1種を混合した主剤に、硬化剤を配合してなる熱硬化型帯電防止剤を含有し、
前記粘着剤層が、帯電防止層の表面に形成され、
前記粘着剤層が、アクリル系粘着剤により構成され、
前記アクリル系粘着剤が、モノマーとして、(メタ)アクリル酸アルキルエステルから構成されるホモポリマー、又は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸のみから構成されるコポリマーを主成分とすることを特徴とする表面保護フィルム。 - 前記プラスチックフィルムが、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル、及び、ポリ塩化ビニリデンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護フィルム。
- 剥離速度1.5m/分〜7m/分の領域において、0kVの剥離帯電圧を示すことを特徴とする請求項1又2に記載の表面保護フィルム。
- 電気絶縁性被着体に貼付した請求項1〜3のいずれかに記載の表面保護フィルムを、請求項1〜3のいずれかに記載の表面保護フィルムが、0kVの剥離帯電圧を示す剥離速度近傍で電気絶縁性被着体から剥離することを特徴とする表面保護フィルムの剥離方法。
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