JP7289966B2 - 表面保護フィルムおよび保護フィルム付き光学部材 - Google Patents

表面保護フィルムおよび保護フィルム付き光学部材 Download PDF

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Description

本発明は、フィルム基材上に粘着剤層を備える表面保護フィルム、および表面保護フィルムが貼着された光学部材に関する。
ディスプレイ等の光学デバイス、電子デバイス、これらのデバイスの構成部品であるフィルムやガラス材料等の表面には、表面保護や耐衝撃性付与等を目的として、表面保護フィルムが設けられている。表面保護フィルムは、フィルム基材の主面に粘着剤層を備え、この粘着剤層を介して、保護対象である被着体の表面に貼り合わせられる。
表面保護フィルムの基材としては、機械強度および透明性に優れることから、二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルムが一般に用いられている。二軸延伸ポリエステルフィルムや二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、大きな位相差を有するため、偏光を利用した検査等において、フィルム基材の位相差に起因した光漏れ、着色、虹ムラ等が生じる。また、フィルム基材の位相差が大きい場合は、透過光や反射光が虹模様に着色して視認されやすく、液晶パネル、有機ELパネル等の点灯試験等の光学検査を妨げる要因となっている。
このような問題に対して、特許文献1では、フィルム基材として、セルロース系樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム、無延伸ポリプロピレンフィルム等の低位相差フィルムを用いることが提案されている。
特開2017-190406号公報
低位相差フィルムとしては、一般に、無延伸もしくは低延伸倍率のフィルムや、低複屈折材料からなるフィルムが用いられる。しかし、ポリエステルフィルムやポリプロピレンフィルム等は、一般に二軸延伸によりフィルム面内方向に分子を配向させるとともに結晶化させることにより機械強度を高めているため、無延伸フィルムは機械強度が小さい。また、環状オレフィンやアクリル等の低複屈折材料からなるフィルムは、延伸フィルムでも、二軸延伸ポリエステルフィルム等に比べると機械強度が小さい場合が多い。そのため、被着体から表面保護フィルムを剥離除去する際に、フィルム基材の裂けや破断が生じやすく、剥離が困難となる場合があり、特に、高速で剥離を行う際にその傾向が顕著となりやすい。
セルロース系フィルムは、無延伸の状態でも面内方向に分子が配向しやすい性質を有しており、環状オレフィン系フィルムに比べると高い機械強度を有している。しかし、セルロース系フィルム基材を用いた表面保護フィルムは、被着体と貼り合わせた状態で高温高湿環境に晒されると、被着体からの剥離や浮きが生じやすいとの問題がある。
上記に鑑み、本発明は、被着体に貼り合わせた状態での光学検査の妨げとならず、耐湿性に優れ、かつ被着体からの剥離が容易である表面保護フィルムの提供を目的とする。
本発明は、フィルム基材の第一主面上に固着積層された粘着剤層を備える表面保護フィルムに関する。フィルム基材の正面レターデーションは100nm以下である。フィルム基材の厚み方向レターデーションは100nm以下が好ましい。フィルム基材の引張破断強度は例えば200MPa以下であり、120MPa以下または100MPa以下であり得る。フィルム基材としては、環状オレフィン系フィルムおよびアクリル系フィルム等が挙げられる。
表面保護フィルムは、温度60℃相対湿度90%での透湿度が300g/m・24h以下である。表面保護フィルムの透湿度を上記範囲とするためには、フィルム基材の透湿度が上記範囲であることが好ましい。
表面保護フィルムは、アクリル板に対する引張速度30m/分の180°剥離力が1.03N/25mm以下である。特に、フィルム基材が低破断強度(例えば、引張破断強度が120MPa以下)である場合に、高速剥離時のフィルムの裂けや破断を防止するためには、表面保護フィルムの引張速度30m/分の180°剥離力は1.03N/25mm以下が好ましい。
粘着剤層の厚みは1~50μmが好ましい。特に、高湿環境での粘着剤層の白濁を抑制し、透明性を維持するためには、粘着剤層の厚みは25μm以下が好ましい。粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系ベースポリマーを含むアクリル系粘着剤が好ましい。ベースポリマーには架橋構造が導入されていてもよい。
表面保護フィルムは、フィルム基材の第二主面に帯電防止層が設けられていてもよい。帯電防止層の表面抵抗率は1.0×1012Ω/□以下が好ましい。
本発明の表面保護フィルムは低位相差であるため、保護フィルムを貼り合わせた被着体の光学検査における、光漏れ、着色、虹ムラ等を防止できる。そのため、本発明の保護フィルムは、各種光学部材用の保護フィルムとして好適である。本発明の表面保護フィルムは接着力の加湿信頼性が高く、表面保護フィルムが付設された被着体が高湿環境に曝された場合でも、表面保護フィルムの浮きや剥離が生じ難い。さらに、本発明の表面保護フィルムは、被着体からの剥離力が小さいため、フィルム基材が低強度の場合でも、高速剥離時の裂けや破断が生じ難い。
表面保護フィルムの積層構成を示す断面図である。 セパレータが仮着された表面保護フィルムの積層構成を示す断面図である。
[表面保護フィルムの構成]
図1は、表面保護フィルムの一実施形態を表す断面図である。表面保護フィルム10は、フィルム基材1の第一主面上に粘着剤層2を備える。粘着剤層2は、フィルム基材1の第一主面上に固着積層されている。フィルム基材1の第二主面には帯電防止層(不図示)が設けられていてもよい。
図2に示すように、表面保護フィルム10の粘着剤層2には、セパレータ5が仮着されていてもよい。粘着剤層2の表面に仮着されたセパレータ5を剥離除去し、粘着剤層2の露出面を被着体に貼り合わせることにより、被着体の表面を保護できる。なお、「固着」とは積層された2つの層が強固に接着しており、両者の界面での剥離が不可能または困難な状態である。「仮着」とは、積層された2つの層間の接着力が小さく、両者の界面で容易に剥離できる状態である。
表面保護フィルム10は、アクリル板に対する180°剥離力(引張速度:30m/分)が3N/25mm以下である。以下では、特に断りのない限り、アクリル板に対する引張速度30m/分での180°ピール試験での剥離力を、単に「剥離力」と記載する。剥離力が3N/25mm以下であれば、被着体からの保護フィルムの高速剥離が容易であり、作業性に優れる。
表面保護フィルム10の剥離力は、2.5N/25mm以下が好ましい。特に、表面保護フィルム10の強度が小さい場合(例えば、フィルム基材の引張破断強度が120MPa以下の場合)の剥離力は、2N/25mm以下が好ましく、1.7N/25mm以下がより好ましく、1.5N/25mm以下がさらに好ましい。剥離力が上記範囲であれば、フィルム基材の強度が小さい場合でも、高速剥離時のフィルムの裂けや破断を防止できる。被着体との接着性を確保する観点から、剥離力は0.1N/25mm以上が好ましく、0.2N/25mm以上がより好ましく、0.3N/25mm以上がさらに好ましい。表面保護フィルム10の剥離力は、主に粘着剤層2の特性に左右される。
表面保護フィルム10は、透湿度が300g/m・24h以下である。透湿度は、JIS Z0208:1976の透湿度試験(カップ法)に準じて測定される値であり、温度60℃相対湿度90%の環境で、面積1mの試料を24時間で透過する水蒸気の重量である。以下では、特に断りがない限り、この条件で測定された透湿度を、単に「透湿度」と記載する。なお、JIS Z0208の透湿度は、温度25℃または40℃、相対湿度90%で測定されるのに対して、より高温の60℃で測定される透湿度はより大きな値となる傾向がある。
温度60℃相対湿度90%での透湿度が300g/m・24h以下であれば、表面保護フィルム10が貼り合わせられた被着体が高温高湿環境に晒された場合でも接着性を保持可能であり、被着体からの表面保護フィルム10の浮きや剥がれを抑制できる。表面保護フィルム10の透湿度は、200g/m・24h以下が好ましく、150g/m・24h以下がより好ましく、100g/m・24h以下がさらに好ましい。
表面保護フィルム10の透湿度は、フィルム基材1および粘着剤層2の両方の影響を受けるが、主に、透湿度の低い層の透湿度に左右される。フィルム基材1および粘着剤層の材料や厚み等にもよるが、一般にはフィルム基材1の方が粘着剤層2よりも低透湿であるため、表面保護フィルム10の透湿度はフィルム基材1の透湿度に略等しい。
[フィルム基材]
フィルム基材1としては、プラスチックフィルムが用いられる。フィルム基材の厚みは、例えば5~500μm程度である。被着体に対する保護性能と可撓性とを両立する観点から、フィルム基材1の厚みは10~300μmが好ましく、15~200μmがより好ましく、20~150μmがさらに好ましい。
表面保護フィルム10と被着体とを貼り合わせた状態で被着体の光学的な検査が行われる場合は、フィルム基材1は透明であることが好ましい。フィルム基材1の全光線透過率は80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。フィルム基材1のヘイズは、10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましい。
フィルム基材1の正面レターデーションReは、100nm以下である。正面レターデーションReの小さいフィルム基材1を用いることにより、表面保護フィルム10の正面レターデーションが小さくなるため、保護フィルムを貼り合わせた被着体の光学検査における、光漏れ、着色、虹ムラ等を防止できる。フィルム基材1の正面レターデーションReは、50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましく、20nm以下がさらに好ましい。
フィルム基材1の厚み方向レターデーションRthは、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。フィルム基材1の厚み方向レターデーションRthが小さいことにより、斜め方向からの観察時においても、光漏れ、着色、虹ムラ等を防止できる。そのため、固定カメラによる広範囲の撮影像において、中心付近(正面方向)と周辺部(斜め方向)の色や輝度の差が小さくなり、データ処理が容易となる。
正面レターデーションRe、および厚み方向レターデーションRthは、以下で定義され、特に断りがない限りいずれも波長590nmにおける測定値である。
Re=(nx-ny)×d
Rth=(nx-nz)×d
nxは面内遅相軸方向の屈折率であり、nyは面内進相軸方向の屈折率であり、nzは厚み方向の屈折率であり、dは厚みである。
一般に、粘着剤層はフィルム基材に比べて位相差が小さい。そのため、フィルム基材1上に粘着剤層2が設けられた表面保護フィルム10の正面レターデーションReおよび厚み方向レターデーションRthは、それぞれ、フィルム基材1の正面レターデーションReおよび厚み方向レターデーションRthに略等しい。したがって、正面レターデーションReおよび厚み方向レターデーションが上記範囲であるフィルム基材を用いることにより、表面保護フィルム10の正面レターデーションReおよび厚み方向レターデーションRthも上記の範囲となる。
フィルム基材1の透湿度は、透湿度が300g/m・24h以下が好ましく、200g/m・24h以下がより好ましく、150g/m・24h以下がさらに好ましく、100g/m・24h以下が特に好ましい。フィルム基材1の透湿度が上記範囲であれば、粘着剤層2の透湿度が高い場合でも、粘着剤層2や、粘着剤層2と被着体との接着界面への水分の侵入を抑制できる。そのため、表面保護フィルム10が貼り合わせられた被着体が高温高湿環境に晒された場合でも、被着体からの表面保護フィルム10の浮きや剥がれを抑制できる。
フィルム基材を構成する樹脂材料は特に限定されないが、高透明性、低位相差および低透湿性の要求を満足可能な材料として、環状オレフィン系樹脂およびアクリル系樹脂が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂としては、例えばポリノルボルネンが挙げられる。環状オレフィン系樹脂の市販品として、日本ゼオン製のゼオノアおよびゼオネックス、JSR製のアートン、三井化学製のアペル、TOPAS ADVANCED POLYMERS製のトパス等が挙げられる。環状オレフィン系フィルムは、環状オレフィン系樹脂を50重量%以上含有するものが好ましい。
アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル等のポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル-スチレン共重合体(MS樹脂等)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル-メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル-(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体等)が挙げられる。アクリル系樹脂の市販品として、三菱ケミカル製のアクリペットが挙げられる。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂や、不飽和カルボン酸アルキルエステル単位およびグルタルイミド単位を有する(メタ)アクリル系樹脂等も、フィルム基材1の構成材料として適用可能である。アクリル系フィルムは、アクリル系樹脂を50重量%以上含有するものが好ましい。
フィルム基材には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、造核剤、充填剤、顔料、界面活性剤、帯電防止剤等が含まれていてもよい。
フィルム基材1は、正面レターデーションReが上記範囲であれば、延伸フィルムでも無延伸フィルムでもよい。例えば、低屈折率材料を用いることにより、延伸フィルムでも正面レターデーションが上記範囲内の低位相差フィルムが得られる。また、縦横の延伸倍率を適切に制御すれば、複屈折の大きい材料でも、正面レターデーションを小さくすることができる。
上記のように、フィルム基材1として、環状オレフィン系フィルムやアクリル系フィルムを用いることにより、透明性、低透湿および低位相差を実現できる。しかし、これらの材料は機械強度が小さく、延伸フィルムおよび無延伸フィルムのいずれにおいても、引張破断強度は一般に120MPa以下である。低位相差とするために、無延伸フィルムまたは低延伸倍率フィルムを用いる場合、引張破断強度はさらに小さく、100MPa以下となる場合が多い。なお、粘着剤層2は粘性が高く変形しやすいため、フィルム基材1上に粘着剤層2が設けられた表面保護フィルム10の裂けや破断は、主にフィルム基材の強度に依存する。そのため、表面保護フィルム10の引張破断強度は、フィルム基材1の引張破断強度に略等しい。
このような低強度のフィルム基材1を用いた表面保護フィルム10は、被着体からの剥離時に裂けや破断が生じやすい。本発明においては、粘着剤層の特性を制御して、剥離力を小さくすることにより、低強度のフィルム基材を用いた場合でも、表面保護フィルムを被着体から剥離する際の裂けや破断を防止できる。
フィルム基材1には、コロナ処理、易接着処理等の表面処理が施されていてもよい。フィルム基材1の粘着剤層付設面と反対側の主面には、帯電防止層が設けられていてもよい。フィルム基材に帯電防止層が設けられる場合、帯電防止層形成面の表面抵抗率は、1.0×1012Ω/□以下が好ましく、1.0×1011Ω/□以下がより好ましく、1.0×1010Ω/□以下がさらに好ましい。
フィルム基材1が帯電防止層を備えることにより、表面保護フィルム10の静電気に起因する塵埃の付着や作業性の低下を抑制できる。フィルム基材1が帯電防止層を備えることにより、被着体である液晶パネル、有機ELパネル等の点灯試験を行う際に、静電気に起因するパネルの欠損等を防止できる。また、フィルム基材1が帯電防止層を備えることにより、被着体から表面保護フィルム10を剥離する際の静電気の発生を抑制し、静電気に起因する被着体への塵埃の付着、被着体の欠損、作業性の低下等の不具合を防止できる。
帯電防止層としては、例えば、各種の樹脂に帯電防止成分を含有させて形成された層が挙げられ、樹脂としては、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂等の、各種のタイプの樹脂を採用し得る。帯電防止成分としては、有機または無機の導電性物質、各種の帯電防止剤などが挙げられる。有機導電性物質としては、各種の導電性ポリマーを好ましく採用することができる。このような導電性ポリマーの例としては、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリエチレンイミン、アリルアミン系重合体などが挙げられる。無機導電性物質としては、各種の金属、合金、導電性金属酸化物が挙げられる。無機導電性物質は、粒子径が0.1μm以下(典型的には0.01μm~0.1μm)の微粒子として帯電防止層に含まれていることが好ましい。帯電防止成分は、カチオン型帯電防止剤、アニオン型帯電防止剤、両性イオン型帯電防止剤、ノニオン型帯電防止剤等でもよい。
[粘着剤層]
粘着剤層2は透明であるものが好ましい。特に、表面保護フィルムの被着体(保護対象)が、ディスプレイ等の光学デバイスやその構成部品である場合は、透明性の高い粘着剤が用いられる。また、被着体に表面保護フィルム10を付設した状態で光学検査が行われる場合も、透明性の高い粘着剤を用いることが好ましい。粘着剤層2の全光線透過率は80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。粘着剤層2のヘイズは10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、2%以下がさらに好ましく、1%以下が特に好ましい。
粘着剤層2を構成する粘着剤の組成は特に限定されず、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系等のポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れることから、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。
アクリル系ベースポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルのモノマー単位を主骨格とするものが好適に用いられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~20である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適に用いられる。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸イソトリドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸イソテトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸アラルキル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有量は、ベースポリマーを構成するモノマー成分全量に対して40重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。アクリル系ポリマーは、複数の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体であってもよい。構成モノマー単位の並びはランダムであっても、ブロックであってもよい。
アクリル系ポリマーは、共重合成分として、架橋可能な官能基を有するモノマー成分を含有することが好ましい。架橋可能な官能基を有するモノマーとしてはヒドロキシ基含有モノマーや、カルボキシ基含有モノマーが挙げられる。中でも、ベースポリマーの共重合成分として、ヒドロキシ基含有モノマーを含有することが好ましい。ベースポリマーのヒロドキシ基やカルボキシ基は、後述の架橋剤との反応点となる。ベースポリマーに架橋構造が導入されることにより、粘着剤の凝集力が向上し、被着体に対する適度の接着力を示すとともに、被着体から表面保護フィルムを剥離する際の剥離力が低下する傾向がある。そのため、表面保護フィルムの剥離時に、フィルムに付加される引張応力や歪が低減し、裂けや破断を防止できる。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10-ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12-ヒドロキシラウリルや(4-ヒドロキシメチルシクロヘキシル)-メチルアクリレート等が挙げられる。カルボキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等が挙げられる。
アクリル系ポリマーは、上記以外に、共重合モノマー成分として、酸無水物基含有モノマー、アクリル酸のカプロラクトン付加物、スルホン酸基含有モノマー、燐酸基含有モノマー等を用いることもできる。また、改質モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N-ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α-メチルスチレン、N-ビニルカプロラクタム等のビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコール等のグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2-メトキシエチルアクリレート等のアクリル酸エステル系モノマー等も使用することができる。
アクリル系ポリマー中の共重合モノマー成分の比率は特に制限されないが、例えば架橋点を導入する目的で共重合モノマー成分としてヒロドキシ基含有モノマーやカルボキシ基含有モノマーを用いる場合、ヒロドキシ基含有モノマーとカルボキシ基含有モノマーの含有量の合計は、ベースポリマーを構成するモノマー成分全量に対して、1~20%程度が好ましく、2~15%程度がより好ましい。
上記モノマー成分を、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の各種公知の方法により重合することによりベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーが得られる。粘着剤の接着力、保持力等の特性のバランスや、コスト等の観点から、溶液重合法が好ましい。溶液重合の溶媒としては、酢酸エチル、トルエン等が用いられる。溶液濃度は通常20~80重量%程度である。重合開始剤としては、アゾ系、過酸化物系等の各種公知のものを使用できる。分子量を調整するために、連鎖移動剤が用いられていてもよい。反応温度は通常50~80℃程度、反応時間は通常1~8時間程度である。
ベースポリマーの分子量は、粘着剤層2が所期の接着力を有するように適宜に調整されるが、例えば、ポリスチレン換算の重量平均分子量が5万~200万程度、好ましくは7万~180万程度、より好ましくは10万~150万程度、さらに好ましくは20万~100万程度である。なお、ベースポリマーに架橋構造が導入される場合、架橋構造導入前のベースポリマーの分子量が上記範囲であることが好ましい。
常温環境において被着体に対する適宜の接着性を有する粘着剤層2を得るためには、ベースポリマーのFox式換算のガラス転移温度(Tg)は0℃以下が好ましい。ベースポリマーのTgは、-10~-80℃が好ましく、-15~-75℃がより好ましく、-20~-70℃がさらに好ましい。
粘着剤層2の接着力の調整等を目的として、ベースポリマーに架橋構造を導入してもよい。例えば、ベースポリマーを重合後の溶液に架橋剤を添加し、必要に応じて加熱を行うことにより、架橋構造が導入される。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、金属キレート系架橋剤等が挙げられる。中でも、ベースポリマーのヒドロキシ基やカルボキシ基との反応性が高く、架橋構造の導入が容易であることから、イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤が好ましい。これらの架橋剤は、ベースポリマー中に導入されたヒドロキシ基やカルボキシ基等の官能基と反応して架橋構造を形成する。
イソシアネート系架橋剤としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが用いられる。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、東ソー製「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、東ソー製「コロネートHL」)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(例えば、三井化学製「タケネートD110N」、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(例えば、東ソー製「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物等が挙げられる。
エポキシ系架橋剤としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物が用いられる。エポキシ系架橋剤のエポキシ基はグリシジル基であってもよい。エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ系架橋剤として、ナガセケムテックス製の「デナコール」、三菱ガス化学製の「テトラッドX」「テトラッドC」等の市販品を用いてもよい。
重合後のベースポリマーに架橋剤を添加することにより、ベースポリマーに架橋構造が導入される。架橋剤の使用量は、ベースポリマーの組成や分子量、目的とする接着特性等に応じて適宜に調整すればよい。粘着剤に適度の凝集力を持たせ、被着体から保護フィルムを剥離する際の剥離力を適切な範囲に調整するためには、架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して、1.5重量部以上が好ましく、2重量部以上がより好ましく、2.5重量部以上がさらに好ましい。被着体に対する適度の接着性を持たせるためには、架橋剤の使用量は、ベースポリマー100重量部に対して、20重量部以下が好ましく、15重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。
ベースポリマーに架橋構造が導入されることにより、粘着剤のゲル分率が上昇し、粘性挙動の減少に伴って、被着体から保護フィルムを剥離する際の剥離力が小さくなる傾向がある。粘着剤層2のゲル分率は、70.0%以上が好ましく、80.0%以上がより好ましく、90.0%以上がさらに好ましい。粘着剤層2のゲル分率が過度に大きいと、被着体に対する濡れ性が低下し、接着力が不十分となる場合がある。そのため、粘着剤層2のゲル分率は、99.5%以下が好ましく、98.5%以下がより好ましく、97.5%以下がさらに好ましい。ゲル分率は、酢酸エチル等の溶媒に対する不溶分として求めることができ、具体的には、粘着剤層を酢酸エチル中に23℃で7日間浸漬した後の不溶成分の、浸漬前の試料に対する重量分率(単位:重量%)として求められる。一般に、ポリマーのゲル分率は架橋度に等しく、ポリマー中の架橋された部分が多いほど、ゲル分率が大きくなる。
粘着剤層2に適度な硬さを持たせて被着体から保護フィルムを剥離する際の剥離力を小さくする観点から、粘着剤層2の23℃における貯蔵弾性率G’は、5.0×10Pa以上が好ましく、7.5×10Pa以上がより好ましく、1.0×10Pa以上がさらに好ましい。粘着剤層2の貯蔵弾性率が過度に大きいと、被着体に対する濡れ性が低下し、接着力が不十分となる場合がある。そのため、粘着剤層2の23℃における貯蔵弾性率G’は、5.0×10Pa以下が好ましく、2.5×10Pa以下がより好ましく、1.0×10Pa以下がさらに好ましい。貯蔵弾性率G’は、動的粘弾性測定装置(例えばレオメトリックス社製「ARES」)を用い、周波数1Hz,温度範囲-70℃~150℃、昇温速度5℃/minの条件でせん断モードにて粘弾性測定を行うことにより求められる。
粘着剤層の貯蔵弾性率は、粘着剤の組成により調整できる。例えば、ガラス転移温度の高いベースポリマーを用いることにより、貯蔵弾性率が大きくなる傾向がある。また、ベースポリマーへの架橋構造の導入によりゲル分率が高くなると、貯蔵弾性率が大きくなる傾向がある。
粘着剤組成物は、上記例示の各成分の他、シランカップリング剤、粘着性付与剤、可塑剤、軟化剤、劣化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、帯電防止剤等の添加剤を、本発明の特性を損なわない範囲で含有していてもよい。
フィルム基材1上に粘着剤層2を積層することにより、表面保護フィルム10が得られる。粘着剤層2は、フィルム基材1上に直接形成してもよく、他の基材上でシート状に形成された粘着剤層をフィルム基材1上に転写してもよい。
粘着剤組成物を、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコート等により、基材上に塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥除去することにより粘着剤層が形成される。乾燥方法としては、適宜、適切な方法が採用され得る。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃~200℃、より好ましくは50℃~180℃、さらに好ましくは70℃~170℃である。乾燥時間は、好ましくは5秒~20分、より好ましくは5秒~15分、さらに好ましくは10秒~10分、特に好ましくは10秒~5分である。
粘着剤組成物が架橋剤を含有する場合は、溶媒の乾燥と同時、または溶媒の乾燥後に、加熱またはエージングにより架橋を進行させることが好ましい。加熱温度や加熱時間は、使用する架橋剤の種類によって適宜設定され、通常、20℃~160℃の範囲で、1分から7日程度の加熱により架橋が行われる。溶媒を乾燥除去するための加熱が、架橋のための加熱を兼ねていてもよい。
粘着剤層2の厚みは特に限定されないが、被着体に対する接着力と、被着体からの剥離性とを両立する観点から、粘着剤層2の厚みは1~50μmが好ましく、2~40μmがより好ましく、3~35μmがさらに好ましい。粘着剤層2の厚みが小さいほど、被着体からの剥離性が向上する傾向がある。特に、フィルム基材1の破断強度が小さい場合は、被着体から表面保護フィルム10を高速剥離する際のフィルムの裂けや破断を防止する観点から、粘着剤層2の厚みは25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。また、高湿環境での粘着剤層2の白濁を抑制し透明性を維持する観点からも、粘着剤層の厚みは25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。
フィルム基材1以外の基材上に粘着剤層2を形成する場合は、基材上で溶媒を乾燥後に、フィルム基材1上に粘着剤層2を転写することにより表面保護フィルム10が得られる。粘着剤層の形成に用いた基材を、そのままセパレータ5としてもよい。
セパレータ5としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムが好ましく用いられる。セパレータの厚みは、通常3~200μm、好ましくは10~100μm程度、より好ましくは15~50μm程度である。セパレータ5の粘着剤層2との接触面には、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系、もしくは脂肪酸アミド系等の離型剤、またなシリカ粉等による離型処理が施されていることが好ましい。セパレータ5を構成するプラスチックフィルムは帯電防止剤を含んでいてもよい。
[表面保護フィルムの物性]
前述のように、表面保護フィルム10は、アクリル板に対する引張速度30m/分の180°剥離力が3N/25mm以下であり、好ましくは2.5N/25mm以下である。特に、引張破断強度が120MPa以下のフィルム基材1を用いる場合は、被着体からの剥離時の表面保護フィルム10の裂けや破断を防止して、剥離作業性を向上する観点から、剥離力は2N/25mm以下が好ましく、1.7N/25mm以下がより好ましく、1.5N/25mm以下がさらに好ましい。
粘着剤層2の接着力を調整することにより、表面保護フィルム10の剥離力を上記範囲とすることができる。前述のように、粘着剤層2の厚みが小さいほど、剥離力が小さくなる傾向がある。また、粘着剤層2を構成するベースポリマーへの架橋構造の導入量を増加させることにより、ゲル分率が上昇し、剥離力が小さくなる傾向がある。
高温高湿環境での被着体からの表面保護フィルム10の剥離を抑制する観点からは、表面保護フィルム10の剥離力(接着力)は大きい方が好ましい。一方、上述のように、剥離力が大きい場合は、被着体から表面保護フィルムを剥離する際に、裂けや破断が生じやすい。剥離力を過度に大きくせずに加湿環境での接着信頼性を向上し、被着体からの表面保護フィルムの剥離や浮きを抑制する観点から、表面保護フィルムの透湿度は300g/m・24h以下が好ましく、200g/m・24h以下がより好ましく、150g/m・24h以下がさらに好ましく、100g/m・24h以下が特に好ましい。
前述のように、表面保護フィルム10の透湿度はフィルム基材1の透湿度に略等しい。そのため、表面保護フィルム10の透湿度を上記範囲とするためには、環状オレフィン系フィルムやアクリル系フィルム等の低透湿度のフィルム基材1を用いることが好ましい。
被着体に表面保護フィルム10を貼り合わせた状態で光学検査が行われる場合、表面保護フィルム10の位相差が、検査光の色付きの原因となる。光学検査時の光漏れ、着色、虹ムラ等を防止する観点から、表面保護フィルム10の正面レターデーションReは100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましく、20nm以下が特に好ましい。同様の観点から、表面保護フィルム10の厚み方向レターデーションRthは、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。
前述のように、フィルム基材1上に粘着剤層2が設けられた表面保護フィルム10の正面レターデーションReおよび厚み方向レターデーションRthは、それぞれ、フィルム基材1の正面レターデーションReおよび厚み方向レターデーションRthに略等しい。そのため、表面保護フィルム10のReおよびRthを上記範囲とするためには、フィルム基材1として、低複屈折材料フィルムや、無延伸または低延伸倍率のフィルムを用いることが好ましい。本発明においては、表面保護フィルム10の剥離力が適切に調整されているため、フィルム基材1として低強度(例えば、引張破断強度が120MPa以下)のフィルムを用いた場合でも、高速剥離時のフィルムの裂けや破断を防止できる。
被着体から表面保護フィルムを剥離する際の剥離帯電圧は、2.5kV以下が好ましく、2kV以下がより好ましい。特に、静電気の影響を受けやすい被着体に表面保護フィルムを貼り合わせる場合は、剥離帯電圧は1.5kV以下が好ましく、1kV以下がより好ましい。例えば、フィルム基材1の粘着剤層非付設面に帯電防止層を設けることにより、表面保護フィルム10の剥離帯電圧を低下させることができる。
本発明の表面保護フィルムを貼り合わせた被着体は、表面への傷付きや衝撃による破損を防止できる。表面保護フィルムは透湿度が小さく、接着力の加湿信頼性が高いため、表面保護フィルムが付設された被着体が高湿環境に曝された場合でも、表面保護フィルムの浮きや剥離が生じ難い。
表面保護フィルムの被着体は特に限定されない。本発明の表面保護フィルムは、例えば、各種の光学部材の表面保護フィルムとして使用できる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、視野角拡大フィルム、視角制御フィルム、輝度向上フィルム、反射防止フィルム、反射シート、透明導電フィルム、プリズムシート、導光板等の光学フィルム;液晶パネル、有機ELパネル等の画像表示パネル;画像表示パネルを組み込んだ画像表示装置等が挙げられる。光学部品としての光学フィルムに表面保護フィルムを貼り合わせた状態でアセンブリを行い、画像表示パネルや画像表示装置を形成してもよい。
本発明の表面保護フィルムは低位相差であるため、表面保護フィルムが光学部材に貼り合わせられた状態で光学検査を行う場合でも、光学検査の妨げとなり難く、検査の効率および確度の向上に寄与する。また、本発明の表面保護フィルムは剥離力が小さいため、フィルム基材が低強度の場合でも、高速剥離時の裂けや破断が生じ難く、作業性に優れている。
以下に表面保護フィルムの作製例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
[測定方法および評価方法]
フィルム基材および表面保護フィルムの各物性および評価は下記の方法により行った。
<正面レターデーションおよび厚み方向レターデーション>
フィルム基材を50mm×50mmのサイズに切り出し、偏光・位相差測定システム(Axometrics製「AxoScan」)により、23℃相対湿度50%の環境(以下「標準環境」)下にて、測定波長590nmで正面レターデーション、および遅相軸方向を回転中心としてフィルムを40°傾斜した状態でのレターデーションを測定した。これらの測定値から、正面レターデーションReおよび厚み方向レターデーションRthを算出した。厚み方向レターデーションの計算に際しては、アタゴ社製のアッベ屈折率計により測定した平均屈折率を用いた。
<剥離力>
表面保護フィルムを幅25mm、長さ100mmのサイズに切り出し、セパレータを剥離後に、アクリル板(三菱ケミカル製「アクリライト」、厚み:2mm、幅:70mm、長さ:100mm)に、圧力0.25MPa、送り速度0.3m/分の速度でロール圧着した。この試料を標準環境下に30分間静置した後、同環境下で、剥離角度180°、引張速度0.3m/分または30m/分でピール試験を行い、それぞれの引張速度における180°剥離力を測定した。
<破断強度>
表面保護フィルムから3号形ダンベル状の試験片(幅5mm)を切り出し、セパレータを剥離後に粘着面にパウダーを付着させ、粘着剤の粘性による影響を除去した。引張試験機を用い、JIS K7311:1995に準じて、標準環境下で、引張速度0.3m/分の条件で引張試験を行い、MD方向およびTD方向のそれぞれの引張破断強度を測定した。
<透湿度>
表面保護フィルムを、標準環境下に24時間静置した後、セパレータを剥離し、JIS Z0208:1976の透湿度試験(カップ法)に準拠して、温度60℃相対湿度90%の環境下で24時間の間に表面保護フィルムを透過した水蒸気の重量と試料面積から透湿度を算出した。
<表面抵抗率>
標準環境下で、抵抗率計(三菱ケミカルアナリティック製「ハイレスタUP MCP-HT450型」)を用い、フィルム基材の粘着剤層非付設面にURSプローブを接触させ、印加電圧10V、電圧印加時間30秒の条件で表面抵抗率を測定した。
<虹ムラ>
表面保護フィルムからセパレータを剥離し、偏光板の透過軸方向とフィルム基材のMD方向とが平行になるように貼り合わせた。表面保護フィルム上に、別の偏光板を、表面保護フィルムに貼り合わせた偏光板とクロスニコルとなるように配置した。一方の偏光板の下側から蛍光灯の光を照射し、透過光の目視により、虹ムラの発生有無を評価した。虹ムラが確認されなかったものをOK、虹ムラが確認されたものをNGとした。
<剥離時の裂け>
表面保護フィルムを、幅25mm、長さ100mmのサイズに切り出し、セパレータを剥離した。厚み1mmのガラス板に貼り合わせたハードコート系偏光板(日東電工製、幅50mm、長さ100mm)のハードコート層形成面に、ハンドローラーにて表面保護フィルムを圧着した。この試料を、温度60℃相対湿度90%の恒温恒湿槽内で5日間静置した後に取り出し、標準環境下で30分間静置した。その後、標準環境下で、剥離角度180°、引張速度0.3m/分または30m/分でピール試験を行い、それぞれの速度での表面保護フィルムの裂けの有無に基づいて下記の基準で評価した。
A:いずれの引張速度でも裂けが発生せず剥離可能
B:引張速度0.3m/分では裂けが発生せず剥離可能であったが、引張速度30m/分では裂けが発生
NG:いずれの引張速度でも裂けが発生
<加湿接着性>
表面保護フィルムを、幅25mm、長さ50mmのサイズに切り出し、セパレータを剥離した。厚み1mmのガラス板に貼り合わせたハードコート系偏光板(日東電工製、幅50mm、長さ70mm)のハードコート層形成面に、意図的に10mm程度の気泡が混入するように貼り合わせた。この試料を、温度60℃相対湿度90%の恒温恒湿槽内で5日間静置した後に取り出し、標準環境下で30分間静置後に、偏光板表面からの表面保護フィルムの浮きの状態を目視にて観察した。加湿前後で変化が見られなかったものをOK,加湿後に表面保護フィルムの剥離領域が増大し、気泡を貫通するようにトンネル状の浮きが発生していたものをNGとした。
<加湿透明性>
表面保護フィルムを幅25mm、長さ50mmのサイズに切り出し、セパレータを剥離した。厚み1mmのガラス板に貼り合わせたハードコート系偏光板(日東電工製、幅50mm、長さ70mm)のハードコート層形成面に、ハンドローラーにて表面保護フィルムを圧着した。この試料を、温度60℃相対湿度90%の恒温恒湿槽内で5日間静置した後に取り出し、標準環境下で30分間静置後に、暗室内の蛍光灯下で、目視にて表面保護フィルムの白濁の有無を観察した。白濁が観察されなかったものをOK,白濁がみられたものをNGとした。
<剥離帯電圧>
表面保護フィルムを幅70mm、長さ130mmのサイズに切り出し、セパレータを剥離した。厚み1mmのガラス板の表面に、ハードコート系偏光板(日東電工製、幅50mm、長さ70mm)を貼り合わせ、この偏光板上に、表面保護フィルムの片方の端部が偏光板の端から30mmはみ出すように、ハンドローラーにて圧着した。この試料を標準環境下に24時間静置した後、標準環境下で、高さ20mmのサンプル固定台にセットした。偏光板から30mmはみ出した表面保護フィルムの端部を自動巻取り機に固定し、剥離角度150°、引張速度30m/分の条件で、偏光板から表面保護フィルムを剥離し、このときに発生する被着体(偏光板)の表面の電位を、偏光板の中央から高さ100mmの位置に固定した電位測定機(春日電機製「KSD-0103」)にて測定した。
[アクリル系ポリマーの重合]
<アクリルポリマーA>
温度計、攪拌機、冷却器および窒素ガス導入管を備える反応容器内に、モノマー成分として、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)96.2重量部、およびヒドロキシエチルアクリレート(HEA)3.8重量部、ならびに重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を酢酸エチル150重量部とともに仕込み、23℃で緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換を行った。その後、液温を60℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリルポリマーAの溶液(濃度40重量%)を調製した。Foxの式から算出されるアクリポリマーAのTgは-66℃である。
<アクリルポリマーB>
温度計、攪拌機、冷却器および窒素ガス導入管を備える反応容器内に、モノマー成分として、2EHA:54.1重量部、酢酸ビニル(Vac):43.2重量部、およびアクリル酸(AA):2.7重量部、ならびに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド(BPO;日油製「ナイパーBW」):0.3重量部を、トルエン143重量部とともに仕込み、23℃で緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換を行った。その後、液温を60℃付近に保って6時間重合反応を行い、液温を80℃に昇温して6時間熟成を行い、アクリルポリマーBの溶液(濃度41重量%)を得た。Foxの式から算出されるアクリルポリマーBのTgは-26℃である。
<アクリルポリマーC>
モノマー成分を、2EHA:91重量部、および4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA):9重量部に変更した。それ以外は上記アクリルベースポリマーAと同様に窒素置換および重合を行い、アクリルポリマーCの溶液(濃度40重量%)を得た。Foxの式から算出されるアクリルポリマーCのTgは-67℃である。
[フィルム基材]
作製例で使用したフィルム基材の詳細は下記の通りである。
環状オレフィンフィルム1(COP1):日本ゼオン製「ゼオノアフィルムZF-16」(厚み40μm、Re=1.8nm,Rth=8.6nm)
環状オレフィンフィルム2(COP2):日本ゼオン製「ゼオノアフィルムZF-14」(厚み40μm、Re=0.8nm,Rth=3.5nm)
帯電防止環状オレフィンフィルム(AS-COP):日本ゼオン製「ゼオノアフィルムZF-16」の一方の面に、後述の方法により帯電防止層を設けたもの
アクリルフィルム:特開2017-26939号の実施例に記載の「透明保護フィルム1A」と同様にして作成したイミド化MS樹脂からなる二軸延伸フィルム(厚み40μm,Re=0.4nm,Rth=0.7nm)
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET):三菱ケミカル製「ダイアホイルT100C38」(厚み38μm、Re=180nm、Rth=812nm)
トリアセチルセルロースフィルム(TAC):コニカミノルタ製「KC4CT1」(厚み40μm、Re=0.8nm、Rth=3.8nm)
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP):サントックス製「PA30」(厚み60μm、Re=195nm、Rth=555nm)
<帯電防止層の形成>
帯電防止環状オレフィンフィルム(AS-COP)の帯電防止層の形成には、バインダー樹脂としてのポリエステル樹脂の分散液(東洋紡製「バイナロールMD-1480」)を固形分で100重量部、導電性ポリマーとしてのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)およびポリスチレンスルホネートを含む水溶液(Heraeus製「Clevios P」を固形分で50重量部、メラミン系架橋剤10重量部、ならびに滑剤としてカルナバワックスの水分散液を固形分量で40重量部を、水とエタノールの混合溶媒中で混合した固形分濃度0.3%の塗布液を用いた。この塗布液を上記のCOPフィルムにバーコーターで塗布し、130℃で10秒間加熱乾燥して、厚み25nmの帯電防止層を形成した。
[作製例1]
アクリルポリマーAの溶液に酢酸エチルを加えて濃度25重量%に希釈した。この溶液400重量部(固形分100重量部)に、架橋剤として、東ソー製「コロネートHX」を固形分で4重量部、および架橋触媒としてジラウリン酸ジオクチルスズの酢酸エチル溶液(東京ファインケミカル製「エンビライザーOL-1」)を固形分で0.02重量部添加して攪拌し、アクリル系粘着剤溶液を調製した。
上記のアクリル系粘着剤溶液を、セパレータ(片面にシリコーン離型処理された厚み25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム)の離型処理面に塗布し、130℃で20秒間加熱して、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。この粘着剤層を、片面をコロナ処理したCOPフィルムのコロナ処理面に貼り合わせ、セパレータ付き表面保護フィルムを得た。
[作製例2~17]
フィルム基材の種類、アクリル系粘着剤溶液の組成(アクリルポリマーの種類、ならびに架橋剤の種類および添加量)、粘着剤層の厚みを表1に示すように変更したこと以外は、作製例1と同様にして、セパレータ付き表面保護フィルムを得た。なお、各例で使用した架橋剤の詳細は下記の通りである。表1における架橋剤の添加量は、ポリマー100重量部に対する架橋剤の固形分である。架橋剤としてエポキシ系のテトラッドCのみを用いた作製例11,12では、粘着剤溶液の調製において架橋触媒を添加しなかった。
コロネートHX:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー製)
コロネートL:トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体の75%溶液(東ソー製)
テトラッドC:4官能エポキシ系化合物(三菱ガス化学製)
各作製例の表面保護フィルムの構成(フィルム基材の種類、粘着剤の組成および厚み)、ならびに表面保護フィルムの評価結果を表1に示す。帯電防止環状オレフィン(AS-COP)フィルムを用いた作製例2の表面抵抗率は8.1×10Ω/□であり、他の例の表面抵抗率は測定上限(1×1013Ω/□)を超えていた。
Figure 0007289966000001
二軸延伸PETフィルム基材を用いた作製例16およびOPPフィルム基材を用いた作製例17では、基材フィルムの位相差が大きいことに起因して、クロスニコル下において虹ムラが確認され、光学検査性が劣っていた。TACフィルム基材を用いた作製例18では、クロスニコル下での虹ムラは確認されなかったが、加湿試験後に表面保護フィルムの剥離が生じやすく、加湿信頼性に劣っていた。これはフィルム基材の透湿度が低く、接着界面への水分の侵入量が多いことに起因していると考えられる。
低位相差かつ低透湿度のフィルム基材を用いた作製例1~15では、クロスニコル下での虹ムラは確認されず、加湿試験後も表面保護フィルムの剥離領域は増大していなかった。
作製例8では、加湿試験後の低速剥離および高速剥離のいずれにおいても裂けが発生していた。作製例8では、フィルム基材の機械強度(引張破断強度)が小さく、剥離力が大きいために、剥離時にフィルム基材に付与される応力に起因して、フィルム基材に裂けが生じやすいと考えられる。
作製例7および作製例10では、加湿試験後の低速剥離では裂けが生じていなかった。作製例1~6,9,11~15では、加湿試験後の低速剥離および高速剥離のいずれにおいても裂けが生じていなかった。これらの結果から、被着体からの剥離力が小さくなるように粘着剤層を設計することにより、低位相差で機械強度の小さいフィルム基材を用いた場合でも、高速剥離時の裂けや破断が生じ難い表面保護フィルムが得られることが分かる。
粘着剤層の構成と剥離力の関係に着目すると、厚みが同一の粘着剤層を用いた作製例1,4,5~7の対比から、粘着剤組成物における架橋剤の使用量を増加させることにより、剥離力が低減する傾向があることが分かる。作製例3と作製例8との対比、および作製例11と作製例12との対比からも同様の傾向がうかがえる。また、同一組成の粘着剤を用いた作製例1,3,10の対比から、粘着剤層の厚みが小さいほど剥離力が低減し、高速剥離時の裂けを防止できることが分かる。
フィルム基材上に厚み30μmの粘着剤層を設けた作製例10では、加湿試験後にフィルムの白濁がみられた。この結果から、剥離時の裂け防止に加えて、透明性の観点からも、粘着剤層の厚みは小さい方が好ましいといえる。
帯電防止層を備えるフィルム基材を用いた作製例2では、他の例に比べて剥離帯電圧が小さくなっていた。この結果から、静電気の影響を受けやすいデバイスに用いられる表面保護フィルムとしては、フィルム基材に帯電防止層を設けることが好ましいといえる。
上記の作製例の対比から理解できるように、粘着剤層の厚みや組成を調整して剥離力を所定範囲とすることにより、低位相差で機械強度の小さいフィルム基材を用いた場合でも、高速剥離時の裂けや破断が生じ難い表面保護フィルムが得られることが分かる。
1 フィルム基材
2 粘着剤層
5 セパレータ
10 表面保護フィルム

Claims (9)

  1. フィルム基材と、前記フィルム基材の第一主面上に固着積層された粘着剤層とを備える表面保護フィルムであって、
    前記フィルム基材の正面レターデーションが100nm以下であり、
    前記フィルム基材の第二主面に帯電防止層が設けられており、
    前記表面保護フィルムは、温度60℃相対湿度90%での透湿度が300g/m・24h以下であり、アクリル板に対する引張速度30m/分の180°剥離力が1.03N/25mm以下である、表面保護フィルム。
  2. 前記フィルム基材の厚み方向レターデーションが100nm以下である、請求項1に記載の表面保護フィルム。
  3. 引張破断強度が120MPa以下である、請求項1または2に記載の表面保護フィルム。
  4. 前記フィルム基材が、環状オレフィン系フィルムまたはアクリル系フィルムである、請求項1~3のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  5. 前記粘着剤層の厚みが1~50μmである、請求項1~4のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  6. 前記粘着剤層は、架橋構造を有するアクリル系ベースポリマーを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  7. 前記ベースポリマーに架橋構造が導入されている、請求項6に記載の表面保護フィルム。
  8. 前記帯電防止層の表面抵抗率が1.0×1012Ω/□以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の表面保護フィルム。
  9. 光学部材の表面に、請求項1~8のいずれか1項に記載の表面保護フィルムが貼り合わせられている、保護フィルム付き光学部材。

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