JP2003520841A - プレガバリンの不斉合成 - Google Patents

プレガバリンの不斉合成

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Abstract

(57)【要約】 この発明は、(S)−(+)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸(プレガバリン)又はその塩を不斉水素化合成法で製造する方法を提供する。プレガバリンは、発作障害、痛み、及び精神障害の治療及び予防に有用である。本発明は、プレガバリンの製造に有用な中間体も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】
この発明は、(S)−(+)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸
(プレガバリン)を不斉合成法で製造する方法に関する。プレガバリンは、発作
障害、痛み、及び精神障害の治療及び予防に有用である。
【0002】
【発明の背景】
(S)−(+)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸は、一般的に
プレガバリンとして知られている。この化合物は、(S)−(+)−β−イソブ
チル−γ−アミノ酪酸、(S)−イソブチル−GABA、及びCI−1008と
も呼ばれる。プレガバリンは、内生阻害性神経伝達物質γ−アミノ酪酸又はGA
BAに関連しており、脳の神経活性の調節に関与している。プレガバリンは、Si
lverman et al の米国特許第5,563,175号に記載のように、抗発作活性
を有する。プレガバリンについての他の適応症も現在追求されている(例えば、
Guglietta et al への米国特許第6,127,418号;及び Singh et alへの
米国特許第6,001,876号を参照のこと)。 発作は、正常な脳の機能を破壊する過剰な非同時性神経活動として定義される
。発作は、GABA神経伝達物質の濃度を調節することにより抑制され得ると考
えられる。GABAの濃度が脳の境界値を下回ると、発作が起こる (Karlsson e
t al., Biochem. Pharmacol, 1974,23:3053);GABAのレベルがひきつけの間
に脳内で上昇すると、発作が終わる (Havashi. Physiol. (London), 1959:145:5
70) 。
【0003】 GABAの神経伝達物質としての重要性、ひきつけ状態及び他の運動障害への
その効果の故に、脳内でのGABAの濃度を上げるために種々のアプローチがな
されてきた。1つのアプローチでは、L−グルタミン酸デカルボキシラーゼ(G
AD)を活性化する化合物がGABAの濃度を上昇させるために使用されてきた
。というのは、GADとGABAの濃度が平行して変動し、そして上昇したGA
D濃度がGABA濃度を上昇させるからである (Janssens de Varebeke et al.,
Biochem. Pharmacol., 1983;32:2751; Loscher, Biochem. Pharmacol., 1982;3
1:837; Phillips et al., Biochem. Pharmacol., 1982;31:2257)。例えば、GA
D活性化剤であるラセミ体化合物(±)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘ
キサン酸(ラセミ体イソブチル−GABA)は、望ましくない運動失調の副作用
を避けながら発作を抑制する能力を有する。
【0004】 ラセミ体イソブチル−GABAの抗ひきつけ効果は、主としてそのS−鏡像体
(プレガバリン)に起因している。即ち、イソブチル−GABAのS−鏡像体は
そのR−鏡像体よりも良好な抗ひきつけ活性を示す(例えば、Yuen et al., Bio
organic & Medicinal Chemistry Letters, 1994.4:823 を参照のこと)。かくし
て、プレガバリンを商業的に有用たらしめるには、実質的にR−鏡像体のないS
−鏡像体を製造する効率的な方法が必要である。 プレガバリンを製造するために幾つかの方法が使用されている。典型的には、
ラセミ体混合物が合成されてからそのR−及びS−鏡像体に分割される(アジド
中間体を介して合成する米国特許第5,563,175号を参照のこと)。別の
方法は、潜在的に不安定なニトロ化合物を使用するもので、ニトロメタン、及び
潜在的に発熱性で危険な反応においてアミンに還元される中間体を包含する。こ
の合成は、その反応が−78℃で行なわれなければならないリチウム・ビス(ト
リメチルシリルアミド)も使用する (Andruszkiewicz et al., Synthesis. 1989
:953) 。もっと最近では、そのラセミ体が“マロン酸”合成によって、及びホフ
マン合成によって製造されている(米国特許第5,840,956号;第5,6
37,767号;第5,629,447号;及び第5,616,793号)。こ
れら方法に従ってプレガバリンを得るため、ラセミ体を分割する伝統的な方法が
使用されている。伝統的な分割は、目的のS−鏡像体を分離して精製するのに、
キラルな分割剤との塩の製造を包含する。これは、有意な処理を包含し、更にそ
の分割剤に付随する実質的な付加的コストも包含する。分割剤の部分的再利用は
可能であるが、付加的な処理だけでなく、廃棄物発生に伴う処理が必要になる。
更には、目的ではないR−鏡像体は効率的に再利用されることができないので、
最終的に廃棄物として捨てられる。かくして、ラセミ体の半分だけが目的生成物
なので、プレガバリンの最大理論収率は50%である。このことは、製造コスト
及び能力の要素である、その方法の効率的生産量(所与の反応器容量で製造され
ることができる量)を少なくさせる。
【0005】 プレガバリンは、幾つかの異なる合成スキームを介して直接合成されてきた。
1つの方法には、注意深く制御された条件下での低温(≦35℃)でのn−ブチ
ルリチウムの使用が含まれる。この合成ルートは、最終生成物中に目的の立体化
学配置を導入するためのキラル助剤として(4R,5S)−4−メチル−5−フ
ェニル−2−オキサゾリジノンの使用を必要とする(米国特許第5,563,1
75号)。かくして、これら一般的戦略は、標的化合物を高い鏡像体純度で提供
するが、それらは、取り扱いが難しい費用のかかる試薬、並びに必要とされる運
転温度に到達させるための格別な低温装置を用いるので、大規模合成には実用的
ではない。 プレガバリンは、商業的な医薬製品として開発されているので、その大規模合
成のための効率的でコスト効果がありしかも安全な方法の必要性が存在している
。商業的製造に通用するためには、そのような方法は、高度に鏡像体選択的であ
ること、例えば、正しい鏡像体が実質的に過剰であるように生成物が生成するこ
とが必要である。この発明の目的は、そのような方法、即ち、不斉水素化方法を
提供することである。
【0006】 不斉水素化方法は、幾つかの化合物について公知である。Burk et alは、WO
99/31041及びWO99/52852において、鏡像体的に豊富化された
2−置換スクシン酸誘導体を提供するための、β−置換及びβ,β−ジ置換イタ
コン酸誘導体の不斉水素化を記載している。そのイタコン酸基質は、2つのカル
ボキシル基を有するもので、その水素化で鏡像体が豊富に生成するように仕向け
るのに要求される立体的及び電子的配置を提供する。その開示内容は、少なくと
も95%過剰の鏡像体を有する水素化生成物を得るには、式RR’C=C(CO 2 Me)CH2 CO2 - + の塩形態が必要とされることを教示している。 米国特許第4,939,288号によれば、不斉水素化は、イソブチル基を有
する基質では十分に働かない。本発明者らは、今回、式iPrCH=C(CN)
CH2 CO2 Rのイソブチルシアノカルボン酸、塩又はエステル基質が選択的に
水素化されることができ、その後、水素化されて実質的に純粋なプレガバリンを
もたらすことができる、鏡像体的に豊富化されたニトリル誘導体を提供できるこ
とを発見した。この選択率は、ニトリル部分の立体配置及び誘導効果がカルボキ
シ基に比較して劇的に相違することから、特に驚くべきものである。事実、この
タイプのシアノ置換カルボキシオレフィンの不斉水素化が成功したという先行技
術の教示は一切存在しない。
【0007】
【発明の要旨】
本発明は、(S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸(プレガバ
リン)を製造する効率的方法を提供する。この方法は、シアノ置換オレフィンを
不斉水素化して、(S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸のシア
ノ前駆体を生成させることを含んでなる。この方法は、更に、そのシアノ中間体
を(S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸に転化させる反応を含
んでなる。本明細書に記載される(S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘ
キサン酸の不斉合成は、目的ではない(R)−3−(アミノメチル)−5−メチ
ルヘキサン酸よりも実質的に豊富化されたプレガバリンをもたらす。このR−鏡
像体は、最終生成物の僅少なパーセンテージとして生成するに過ぎない。 本発明は、プレガバリンを製造する従来法に比べて幾つかの利点を与える。例
えば、目的ではないR−鏡像体を除去するための処理及びそれに続くその廃棄物
の廃棄が最小限で済む。S−鏡像体が最終生成物中にずっと豊富なので、この不
斉アプローチはより効率的である。更には、本法は、従来法に要求されるような
危険なニトロ化合物、費用のかかるキラル補助剤、又は低温の使用を必要としな
い。更に、化学量論量のキラル物質を必要とする伝統的な分割アプローチ又はキ
ラル補助剤ルートと違って、この合成は、触媒として、化学量論を下回る量のキ
ラル物質を用いるだけである。かくして、本発明の方法は、経済的及び環境的利
点の両方を有する。
【0008】
【発明の詳しい説明】
本明細書で使用される“低級アルキル”又は“アルキル”という用語は、1〜
6炭素原子を有する直鎖状又は分枝状の炭化水素を意味し、例えば、メチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル
、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、及びそれらに類したものが
含まれる。 “アリール”は、単環(例えば、フェニル)、多環(例えば、ビフェニル)、
又は少なくとも1つの環が芳香族である縮合多環(例えば、1,2,3,4−テ
トラヒドロナフチル、ナフチル、アントラニル、又はフェナントリル)を有する
芳香族炭素環基を意味する。このアリール基は、未置換であっても、アルキル、
O−アルキル及びS−アルキル、OH、SH、−CN、ハロゲン、1,3−ジオ
キソラニル、CF3 、NO2 、NH2 、NHCH3 、N(CH3)2 、NHCO−
アルキル、−(CH2)m CO2 H、−(CH2)m CO2 −アルキル、−(CH2) m SO3 H、−NHアルキル、−N(アルキル)2、−(CH2)m PO3 2 、−
(CH2)m PO3(アルキル)2、−(CH2)m SO2 NH2 、及び−(CH2)m
2 NH−アルキルであって、アルキルが上記の通りに定義されかつmが1、2
又は3である置換基から選択される1〜3の置換基で置換されていてもよい。本
発明の好ましいアリール基はフェニルである。典型的な置換アリール基には、メ
チルフェニル、4−メトキシビフェニル、3−クロロ−1−ナフチル、及びジメ
チルアミノフェニルが含まれる。
【0009】 “アリールアルキル”という用語は、アリール部分(上で定義した通り)で置
換されたアルキル部分(やはり上で定義した通り)を意味する。例には、ベンジ
ル及び2−ナフチルエチルが含まれる。 この出願における特許を含む全ての文献の開示内容は、参照により本明細書に
組み込まれる。 本発明は、(S)−3−(アミノメチル)−5−メチルヘキサン酸(プレガバ
リン)の効率的な合成法を提供する。この合成は、以下のスキーム1に示される
【0010】
【化13】
【0011】 (式中、R1 は、低級アルキル、アリール、アリールアルキル又はアリルであり
;そして、Yは、カチオン、好ましくは、H+ 、tert−ブチルアンモニウムのよ
うな1級又は2級アミンの塩、アルカリ土類金属、又はナトリウムのようなアル
カリ金属である。) スキーム1に示すように、シアノアルカン酸の金属塩2(Yは例えばカリウム
である)は、シアノヘキセン酸エステル1a又は1bから、逐次的な不斉水素化
とフリーの酸又は塩へのエステル加水分解によって得られる。続く、ニッケルの
ような触媒での通常の水素化によるニトリル2の還元とそれに続くそのカルボン
酸塩の酸性化によってプレガバリンが与えられる。また、これら工程は、不斉水
素化のための基質が酸又は塩4:
【0012】
【化14】
【0013】 (式中、XはCO2 H又はCO2 −Yであって、Yはカチオンである。) となるように逆転されることができる。化合物4は、個別のE又はZ幾何異性体
としても、それらの混合物としても存在できる。塩は、フリーの酸(XがCO2 H)を金属水酸化物、例えば、KOHのような強塩基と反応させることによって
形成されることができる。また、塩は、例えば、アミン(W)又はホスフィン(
W)から誘導されるような対イオンWH+ で形成されることができる。1級C1- 10 アルキルアミン及びシクロアルキルアミン、特にtert−ブチルアミンが好まし
い。トリエチルアミンのような3級アミンも使用することができる。もう一度言
うが、続く標準的方法によるニトリル2の還元とそれに続くそのカルボン酸塩の
酸性化によってプレガバリンが与えられる。 スキーム1によるプレガバリンの一般的合成では、シアノオレフィン化合物1
a又は1bがエステル加水分解と不斉水素化を受けて、目的の3−シアノ−5−
メチルヘキサン酸又は対応するカルボン酸塩2を形成する。このオレフィン基質
は、個別のE又はZ幾何異性体であっても、それらの混合物であってもよい。続
くニトリル2の還元とそれに続くカルボン酸塩の酸性化がプレガバリンを与える
【0014】 この不斉水素化工程は、キラル触媒、好ましくは、Strem Chemicals, Inc.(7
Mulliken Way, Newburyport, MA 01950-4098) 及び Chirotech Technology Limi
ted (Cambdidge Science Park, Cambridge, Great Britain) (米国特許第5,532,
395 と 5,171,892を参照のこと) から商業的に入手できる(R,R)−DuPH
OS又は(S,S)−DuPHOSリガンドのロジウム錯体の存在下で行なわれ
る。このリガンドは、好ましくは、式:
【0015】
【化15】
【0016】 (式中、Rは低級アルキルである。) を有する。Rについての好ましいアルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ペンチル又はヘキシルのようなn−アルキル基である。Rについ
てのより好ましいアルキル基は、メチル又はエチルである。使用できる他の触媒
には、式:
【0017】
【化16】
【0018】 を有するキラル−BPE及びキラル−DIPAMPのロジウム錯体が含まれる。
そのような触媒は、概して、1,5−シクロオクタジエン(COD)と錯体化さ
れている。これら物質は、Burk. et al により J. Am. Chem. Soc., 1995; 117:
9375に十分に記載されている。 不斉水素化反応は、水素雰囲気下で行なわれ、好ましくは、メタノール、エタ
ノール、イソプロパノール、又はそのようなアルコールと水の混合物のようなプ
ロトン性溶媒中で行なわれる。 シアノヘキセン酸エステル出発材料(例えば、1a)は容易に入手できる (Ya
mamoto et al., Bull. Chem. Soc. Jap., 1985;58:3397) 。それらは、以下のス
キーム2に従って調製されることができる。
【0019】
【化17】
【0020】 (式中、R1 は上でスキーム1において定義した通りであり、R2 はCOCH3 又はCO2 アルキルである。) スキーム2に従う化合物1aの合成では、アクリロニトリルの2−メチルプロ
パナールへのアミンで触媒された付加(即ち、Baylis-Hillman反応)で、シアノ
アリルアルコールが得られる。この縮合を触媒するのに使用される典型的なアミ
ンには、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン(Dabco) のような物質
が含まれる。そのシアノアリルアルコールは、その後、アルキルカーボネート(
例えば、クロルギ酸エチルのようなハロギ酸アルキルとの反応による)又はそれ
ぞれの酢酸エステル(無水酢酸又は塩化アセチルとの反応による)のいずれかに
転化される。次いで、得られる2−(2−メチルプロピル)−2−プロペンニト
リルがパラジウムで触媒されたカルボニル化に付されて、3−シアノ−5−メチ
ル−3−ヘキセン酸エステル1aを生成する(例えば、R1 がメチル又はエチル
である)。
【0021】 以下のスキーム3に示された本発明の一態様では、まず、不斉水素化が1a(
例えば、R1 がエチルである)に行なわれて、(S)−3−シアノ−5−メチル
ヘキサン酸エステル3を生成する。そのエステル基質(例えば、R1 はアルキル
である)に、ビスホスホランシリーズからのキラル(S,S)水素化触媒、例え
ば、〔(S,S)−Me−DuPHOS〕Rh(COD)+ BF4 - を使用する
と、目的のS−鏡像体に富んだ生成物が得られる。そのエステル3は、続いて酸
又は塩2に加水分解される。以下のスキーム3は、この合成ルートであってYが
スキーム1について上で定義した通りである合成ルートを示す。触媒〔(R,R
)−Me−DuPHOS〕Rh(COD)+ BF4 - に代えることによって、そ
の水素化生成物は、(R)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸エチルエステル
に富んだものとなる。典型的には、これら水素化方法は、少なくとも90%の基
質転化率と20〜25%の鏡像体富化率(enantiomeric enrichment (e.e.)) を
提供する。更なる生成物の富化率が、以下に記載するような、キラル分割剤での
選択率再結晶によってもたらされる。
【0022】
【化18】
【0023】 本発明の好ましい態様が、スキーム4に示される。そこでは、まず、エステル
1aが3−ヘキセン酸4の塩(例えば、Yがナトリウム又はカリウムであるスキ
ーム4に示した4a)に加水分解される。次いで、そのシアノヘキセン酸塩4a
は塩2に水素化される。シアノヘキセン酸塩4aは、水素化の前に単離されても
in situで調製されてもよい。以下のスキーム4は、Yがスキーム1について上
で定義された通りである、この好ましい態様を示している。塩4aの水素化の明
らかな特徴は、目的のS−鏡像体2が、ビスホスホランシリーズからのキラル(
R,R)触媒、例えば、〔(R,R)−Me−DuPHOS〕Rh(COD)+ BF4 - を使用することにより得られる点である。このことは、エステル基質1
a(スキーム3)の水素化と比較した場合、絶対的立体化学における意外なスイ
ッチに相当する。加えて、塩4aの水素化において達成される鏡像体選択率はず
っと高い。典型的には、少なくとも約95% e.e. である。カチオンYの選択は
、臨界的ではない考えられる。というのは、同程度の鏡像体選択率が金属カチオ
ン(例えば、K+ )及び非金属カチオン(例えば、tert−ブチルアンモニウム)
で観察されるからである。理論に拘束されることを望まないが、基質1a及び4
aの対照的な特徴は、各々の基質の官能基と触媒中のロジウム中心との間の結合
相互作用に由来し、それが、今度は、そのオレフィンの水素化中の表面選択性の
方向と度合いの両方に影響しているかも知れない。かくして、エステル1aの水
素化においては、シアノ置換基が触媒への結合に参加することができる。この効
果は、カルボン酸基による結合が優勢であると考えられるところの塩4aの水素
化では、完全に無くなると考えられる。
【0024】
【化19】
【0025】 更なる態様として、本発明は、式4:
【化20】
【0026】 (式中、XはCO2 H又はCO2 −Yであって、Yは、スキーム1について上で
定義した通りのカチオンである。) の新規な化合物を提供する。これら化合物は、プレガバリンの合成における有用
な基質である。 本発明の別の好ましい態様では、最終プレガバリン生成物が(S)−マンデル
酸と共に選択的に再結晶されて、目的のS−異性体の更に高められた富化率が与
えられ得る。かくして、高いレベル(少なくとも50%まで)の(R)−鏡像体
が、S−マンデル酸塩を介する古典的分割によって除去されることができる(米
国特許第 5,840,956号;米国特許第 5,637,767号)。そのような選択的再結晶に
適する溶媒には、例えば、水又はアルコール(例えば、メタノール、エタノール
、及びイソプロパノール、及びそれらに類したもの)、又は水とアルコールの混
合物が含まれる。一般に、過剰なマンデル酸が使用される。マンデル酸を他の酸
と一緒に使用できることも留意されるべきである。
【0027】 また、低レベル(≦1%)の(R)−鏡像体を含有するプレガバリンが、例え
ば、水/イソプロピルアルコールからの簡単な再結晶によって、>99.9%の
(S)−鏡像体に富化されることができる。高レベル(3.5%まで)の(R)
−鏡像体を含有するプレガバリンも、>99.9%の(S)−鏡像体に到達する
には通常再結晶を繰り返すことが必要となるが、例えば、水/イソプロピルアル
コールからの簡単な再結晶によって富化されることができる。本明細書で使用さ
れる“実質的に純水な”プレガバリンとは、S−鏡像体が少なくとも約95重量
%であり、R−鏡像体が約5%以下であることを意味する。 次の詳細な実施例は、本明細書の特定の態様を更に例示するものである。これ
ら実施例は、本発明の範囲を限定することを意図していないのでそのように解釈
されるべきである。出発材料及び種々の中間体は、商業的供給源から得られても
、商業的に入手可能な化合物から調製されても、有機化学の分野の当業者に周知
である合成方法を使用して調製されてもよい。
【0028】
【実施例】出発材料の調製 3−ヒドロキシ−4−メチル−2−メチレンペンタンニトリル
【化21】
【0029】 オーバヘッド攪拌器を有する250mLの3頸丸底フラスコに、0.36g(
1.6ミリモル)の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、37g
(0.33モル)の1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン、60mL
(0.66モル)のイソブチルアルデヒド、52mL(0.79モル)のアクリ
ロニトリル、及び7.2mL(0.4モル)の水が仕込まれる。その反応混合液
は、50℃で24時間攪拌され、25℃に冷却され、そして33mL(0.38
モル)の塩酸と100mLの水の溶液の中に注がれて反応を止められる。その生
成物は120mLの塩化メチレンで抽出される。その酸性水層が25mLの塩化
メチレンで再度抽出される。合わされた塩化メチレン層がロータリーエバポレー
ターによって濃縮され、79.9g(96.7%)の3−ヒドロキシ−4−メチ
ル−2−メチレンペンタンニトリルが黄色オイルとして得られ(これは、放置す
ると白色固体に固化する)。HPLCアッセイにより96.7%(曲線下面積)
であるので、更に精製することなしに次工程に使用されることができる。
【0030】 炭酸2−シアノ−1−イソプロピル−アリルエステルエチルエステル
【化22】
【0031】 オーバヘッド攪拌器を有する窒素パージされた5Lの3頸丸底フラスコに、1
50g(1.2モル)の3−ヒドロキシ−4−メチル−2−メチレンペンタンニ
トリル、1.0Lの塩化メチレン、及び170mL(2.1モル)のピリジンが
仕込まれる。その溶液は氷浴中で10〜15℃に冷やされる。1Lの目盛り付き
滴下ロートを使用して、0.5Lの塩化メチレンと200mL(2.1モル)の
クロルギ酸エチルの混合液が、20±5℃の反応温度を維持しながら、ゆっくり
加えられる。その反応液は、更に約2時間22±3℃で攪拌される。その反応液
は、200mL(2.3モル)の塩酸と1.25Lの水を含有する6Lの分液ロ
ート中に注がれる。下層の有機層が再度60mL(0.7モル)のHClと0.
5Lの水の溶液で洗浄される。その有機層は、無水硫酸マグネシウム(30g)
で乾燥され、濾過され、そしてロータリーエバポレーターによって濃縮され、2
26gの炭酸2−シアノ−1−イソプロピル−アリルエステルエチルエステルが
黄色オイルとして得られ、これは、更に精製することなしに次工程に使用される
ことができる。
【0032】 酢酸2−シアノ−1−イソプロピル−アリルエステル(塩化アセチルを使用)
【化23】
【0033】 オーバヘッド攪拌器を有する窒素パージされた5Lの3頸丸底フラスコに、5
0g(0.4モル)の3−ヒドロキシ−4−メチル−2−メチレンペンタンニト
リル、0.4Lの塩化メチレン、及び80mL(1モル)のピリジンが仕込まれ
る。その溶液は氷浴中で10〜15℃に冷やされる。500mLの目盛り付き滴
下ロートを使用して、100mLの塩化メチレンと43mL(0.6モル)の塩
化アセチルの混合液が、25±5℃の反応温度を維持しながら、ゆっくり加えら
れる。その反応液は、更に約1時間22±3℃で攪拌される。その反応液は、8
5mL(1.0モル)の塩酸と750mLの水を含有する4Lの分液ロート中に
注がれる。下層の有機層が再度20mL(0.2モル)のHClと250mLの
水の溶液で洗浄される。その有機層は、無水硫酸マグネシウム(20g)で乾燥
され、濾過され、そしてロータリーエバポレーターによって濃縮され、66gの
酢酸2−シアノ−1−イソプロピル−アリルエステルが黄色オイルとして得られ
、これは、更に精製することなしに次工程に使用されることができる。
【0034】 酢酸2−シアノ−1−イソプロピル−アリルエステル(無水酢酸を使用) オーバヘッド攪拌器、温度プローブ、還流管、及び窒素導入口を装備した50
0mLの4頸丸底フラスコに、無水酢酸(40mL,0.45モル)が仕込まれ
る。この溶液は50℃に加熱され、そして、テトラヒドロフラン(25mL)中
の3−ヒドロキシ−4−メチル−2−メチレンペンタンニトリル(50g,0.
4モル)と4−(ジメチルアミノ)ピリジン(1.5g)の溶液が35分かけて
添加される。外部加熱なしに50〜63℃の温度が維持される。添加が完了した
後、その反応混合液60℃に75分間加熱される。その溶液は30℃まで冷やさ
れ、そして、その冷やされた反応混合液は、30mLのtert−ブチルメチルエー
テル(MTBE)と25mLの水で希釈される。この混合液は10℃に冷やされ
て、50%水酸化ナトリウム水溶液(37g,0.46モル)の45mLの水で
希釈された溶液が、冷却されながら、温度が約15℃に維持されるように加えら
れる。最終pH調整のために、50%水酸化ナトリウム水溶液9.8g(0.1
2モル)が滴下され、9.4の最終pHにされる。10mLの水と10〜15m
LのMTBEを加えた後、その反応混合液は分液される。上層の有機生成物層が
分液され、25mLの食塩水で洗浄され、硫酸マグネシウムで乾燥され、そして
減圧濃縮されて、63.7g(95%)の酢酸2−シアノ−1−イソプロピル−
アリルエステルが淡黄色オイルとして得られる。
【0035】 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチル
【化24】
【0036】 オーバヘッド攪拌器を有する高圧反応器に、3.0g(13.4ミリモル)の
酢酸パラジウム、7.0g(26.8ミリモル)のトリフェニルホスフィン、炭
酸2−シアノ−1−イソプロピル−アリルエステルエチルエステルを含有する2
26g(0.92モル)の粗製オイル、及び500mLのエタノールが仕込まれ
る。一酸化炭素が280〜300psiで導入され、そしてその混合液が攪拌さ
れながら50℃に一晩加熱される。その赤褐色溶液がセライトを通して濾過され
て固体が除去される。濾液は、ロータリーエバポレーターによって濃縮され、1
65gの粗製黄色オイル生成物である3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸
エチルが得られ、これは、ガスクロマトグラフィー(GC)により、E及びZ幾
何異性体の混合物として84%(面積)と分析される。この粗生成物は、更に精
製することなしに使用できるが、減圧蒸留(60〜70℃で0.6〜1.0mm
Hg)によって精製されて、GCにより≧95%(面積)と分析される無色オイ
ルをもたらす。
【0037】 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチル(KBrを使用) オーバヘッド攪拌器を有する高圧反応器に、酢酸パラジウム(0.52g,2
.3ミリモル)、トリフェニルホスフィン(0.65g,2.3ミリモル)、臭
化カリウム(5.5g,4.8ミリモル)、炭酸2−シアノ−1−イソプロピル
−アリルエステルエチルエステルを含有する粗製オイル(240g,1.2モル
)、トリエチルアミン(2.2g,22ミリモル)、エタノール2B(45mL
)、及びアセトニトリル(200mL)が仕込まれる。一酸化炭素が50psi
で導入され、そしてその混合液が攪拌されながら50℃で一晩加熱される。1、
3及び6時間後に反応器の圧力が10〜15psiに抜かれ、そして、一酸化炭
素が再び50psiに充填される。その反応混合液はセライトを通して濾過され
て固体が除去される。濾液は、ロータリーエバポレーターによって濃縮されてか
ら、800mLのヘキサンが加えられる。得られる混合液は、500mLの水で
2回洗浄され、そしてヘキサンが減圧留去されて、147gの粗製3−シアノ−
5−メチル−3−ヘキセン酸エチルがオイルとして得られる。この粗生成物は、
分別蒸留(60〜70℃で0.7mmHg)によって精製される。
【0038】 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチル(NaBrを使用) オーバヘッド攪拌器を有する高圧反応器に、0.5g(0.5ミリモル)のト
リス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、0.5gの(2.0ミリ
モル)のトリフェニルホスフィン、0.5g(5.0ミリモル)の臭化ナトリウ
ム、4.5mL(25.0ミリモル)のジイソプロピルエチルアミン、8.35
g(50.0ミリモル)の酢酸2−シアノ−1−イソプロピル−アリルエステル
、及び100mLのエタノールが仕込まれる。一酸化炭素が40〜50psiで
導入され、そしてその混合液が攪拌されながら50℃で24時間加熱される。そ
の褐色溶液はセライトを通して濾過されて固体が除去される。濾液は、ロータリ
ーエバポレーターによって濃縮される。濃縮された反応混合液は、150mLの
メチルtert−ブチルエーテルで希釈されて水で洗浄される。その溶媒がロータリ
ーエバポレーターによって留去されて、7.7gの粗製黄色オイル生成物である
3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチルが得られる(GCアッセイで8
5面積%)。この粗生成物は、更に精製することなしに使用されても、減圧蒸留
(60〜70℃で0.6〜1.0mmHg)によって精製されてもよい。
【0039】実施例1 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸塩の合成 A.3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸のtert−ブチルアンモニウム塩
【化25】
【0040】
【表1】 ─────────────────────────────────── 材料 分子量 量 ミリモル ─────────────────────────────────── 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチル 181.24 20.02 g 110 LiOH H2 O 41.96 13.0 g 310 テトラヒドロフラン 75 mL 水 25 mL 塩酸(2N) 必要量 酢酸エチル 必要量 tert−ブチルアミン 73.14 9.27 g 127 ───────────────────────────────────
【0041】 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチル(E及びZ異性体の混合物)
及び水酸化リチウム水和物がテトラヒドロフランと水の混合液中に懸濁される。
そのスラリーは、室温で4時間激しく攪拌される。その混合液は、pH2まで酸
性にされ(3NHCl)、酢酸エチル(3×150mL)中に抽出される。合わ
された有機層が乾燥(MgSO4 )され、そして溶媒が減圧留去されて粗製3−
シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸が得られる。その粗製の酸を酢酸エチル(
400mL)中に溶解させ、そして酢酸エチル(20mL)中のtert−ブチルア
ミンの溶液が加えられる。白色結晶性固体が析出するにつれて溶液の温度が約1
0℃上昇する。その生成物が濾取されて減圧乾燥される。収率22.15g,9
7.9ミリモル,89%。
【0042】 A1.3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸tert−ブチルアンモニウム塩 (別法) 適切な大きさの3頸丸底フラスコに、3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン
酸エチルを含有する50gのオイル(29.9g含有重量,165ミリモル)が
仕込まれる。50mLの水中のKOH(91%,10.2g,165.1ミリモ
ル)の溶液がそのエステル溶液に20分間かけて加えられ、そしてその溶液は更
に1時間攪拌される。水(50mL)が加えられ、そしてその溶液は80mLま
で減圧濃縮される。その水溶液は、MTBE(100mL)で洗浄され、生成物
含有水層が濃塩酸(20mL)で1のpHまで酸性化される。得られる酸がMT
BE(100mL)中に抽出される。その生成物含有MTBE溶液は、減圧濃縮
される。得られるオイルは、イソプロピルアルコール(58mL)とヘプタン(
85mL)中に溶解され、そしてこの溶液がセライトを通して濾過される。濾物
が、イソプロピルアルコール(58mL)とヘプタン(85mL)の混合液で洗
浄される。tert−ブチルアミンがその溶液に加えられて粘稠なゲル様スラリーを
形成する。そのスラリーは、還流まで加熱されて溶液になる。その溶液は、室温
までゆっくり冷やされる。得られるスラリーは、0〜5℃まで1.5時間冷やさ
れてから濾過され、そしてイソプロピルアルコール(50mL)とヘプタン(1
50mL)の混合液で洗浄される。固体が45〜50℃で減圧乾燥され、E及び
Z異性体の混合物である23.1g(62%)の3−シアノ−5−メチル−3−
ヘキセン酸tert−ブチルアンモニウム塩が白色固体として得られる。Z異性体は
、イソプロピルアルコールとヘプタンからの再結晶により、99%を越える異性
体純度で得られることができる。
【0043】 B.3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸のカリウム塩
【化26】
【0044】
【表2】 ─────────────────────────────────── 材料 供給源 分子量 量 ミリモル ─────────────────────────────────── 3−シアノ−5−メチル− PD61966X130 181.24 90.8 g 501 3−ヘキセン酸エチル 水酸化カリウム85% Ardrich 56.11 33.1 g 501 メタノール Fischer 90 mL tert−ブチルメチルエーテル Fischer 900 mL ───────────────────────────────────
【0045】 水溶液カリウムがメタノール(70mL)中に溶解されて、高速攪拌されてい
る3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチル(E及びZ幾何異性体の混合
物)に、45℃を下回る温度が維持されるような速度で加えられる。残存メタノ
ール性水溶液カリウムは、追加のメタノール(2×10mL)でその混合液中に
濯ぎ入れられる。その混合液は、45℃で1時間攪拌されてから、室温まで冷や
され、その間に結晶性固体が形成される。tert−ブチルメチルエーテル(600
mL)が、激しく攪拌されるその混合液にゆっくり加えられる。固体がガラス濾
過で濾取され、tert−ブチルメチルエーテル(3×100mL)で洗浄され、そ
して乾燥されて、表題化合物が得られる。収率83.9g,439ミリモル,8
8%。
【0046】実施例2 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸塩の不斉水素化 A.(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸のtert−ブチルアンモニウム塩
【化27】
【0047】
【表3】 ─────────────────────────────────── 材料 分子量 量 ミリモル ─────────────────────────────────── 3−シアノ−5−メチル−3− 226.33 19.0 g 84 ヘキセン酸のtert−ブチルアンモニウム塩 [(R,R)-MeDuPHOS]Rh(COD) + BF4 - 604 49.6 mg 0.082 メタノール 32 200 mL 水素 2 44 psi(3 bar) ───────────────────────────────────
【0048】 丸底フラスコに、3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸のtert−ブチルア
ンモニウム塩(実施例1Aからのもの)及び〔(R,R)−MeDuPHOS〕
Rh(COD)+ BF4 - が窒素雰囲気下で仕込まれる。脱酸素されたメタノー
ルがシリンジから加えられ、そしてその溶液が部分的真空と窒素充填の繰り返し
によって脱酸素される。600mLのPARR加圧容器が、3回、圧力をかけて
は抜くことによって水素でパージされる。次いで、その容器は55℃に加熱され
る。基質と触媒の溶液がカニューレによってその反応器に移され、その容器は、
水素で再度パージされてから最終的に3バール(44psi)に加圧される。攪
拌が開始され、水素吸収が始まる。その容器は、水素吸収が終わるまで(〜45
分)、繰り返し3バール圧まで加圧される。加圧下で55℃で更に1時間攪拌し
た後、加熱を止める。反応器が室温まで冷えたら、水素圧を抜き、容器を窒素で
パージし、そして反応混合液が丸底フラスコに移される。溶媒が減圧留去されて
粗生成物が得られる。少量のサンプルが抜き取られて、塩酸水溶液での処理及び
ジクロロメタン中への抽出により、(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸
に転化される。GC分析で、95.0% e.e.(S)を有する還元シアノアルカン
へ100%転化されたことが分かる。
【0049】 B.(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸のカリウム塩(基質の触媒への 比率(S/C)1000/1)
【化28】
【0050】
【表4】 ─────────────────────────────────── 材料 分子量 量 ミリモル ─────────────────────────────────── 3−シアノ−5−メチル−3− 191.3 11.03 g 57.7 ヘキセン酸のカリウム塩 [(R,R)-MeDuPHOS]Rh(COD) + BF4 - 604 10mL MeOH 18.2 X10-3 中 11 mg S/C=1000w/w メタノール 32 100 mL 水素 2 60 psi(4 bar) ───────────────────────────────────
【0051】 ガラスライナーに、3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸のカリウム塩(
実施例1Bからのもの)及びメタノールが仕込まれ、そして600mLのPAR
R水素化容器内に置かれる。その容器に、窒素でパージされてから60psiの
水素でパージされ、ガスの完全な平衡を確認するために10分間攪拌され、そし
て圧力が抜かれることが5サイクル行われる。その容器を45℃に加熱し、脱酸
素されたメタノール中の〔(R,R)−MeDuPHOS〕Rh(COD)+
4 - の溶液(10mL中11mg)がシリンジから加えられる。その容器は水
素で再度パージされてから、攪拌されながら60psiに加圧される。周期的に
水素が加えられて50〜60psiの圧力が維持される。120分後に水素吸収
が終わる。2時間後、その反応混合液は室温まで冷やされ、圧力が抜かれ、そし
て溶媒が留去されて粗生成物が得られる。少量のサンプルが抜き採られて、1N
HClで酸性にされ、(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸が得られる。
GC分析で、96.7% e.e. を有するS異性体へ>99%転化されたことが分
かる。
【0052】 C.(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸のカリウム塩(基質の触媒への 比率(S/C)3200/1,640ミリモル)
【化29】
【0053】
【表5】 ─────────────────────────────────── 材料 分子量 量 ミリモル ─────────────────────────────────── 3−シアノ−5−メチル−3− 181.2 123 g 640 ヘキセン酸カリウム [(R,R)-MeDuPHOS]Rh(COD) + BF4 - 604 123 mg 0.204 メタノール 32 1015 mL 水素 2 60 psi(4 bar) ───────────────────────────────────
【0054】 ガラスライナーに、3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸カリウム(実施
例1Bからのもの)及びメタノール(1000mL)が仕込まれた。そのライナ
ーは、2LのPARR水素化容器内に置かれた。その容器に、窒素でパージされ
てから60psiの水素でパージされ、そして圧力が抜かれることが5サイクル
行われる。次いで、その容器は45℃に加熱された。脱酸素されたメタノール中
の〔(R,R)−MeDuPHOS〕Rh(COD)+ BF4 - の溶液(15m
L)がシリンジから加えられた。その容器は水素で3度パージされてから65p
siに加圧され、そして攪拌が始められた。周期的に水素が加えられて50〜6
5psiの圧力が維持された。2時間半後に水素吸収が終わり、その容器は室温
まで冷やされ、そして一晩攪拌されたままにされた。圧力が抜かれ、その混合液
がフラスコに移され、そして溶媒が減圧留去されて、生成物が得られた。少量の
サンプルが抜き採られて、(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸メチルに
転化された。ガスクロマトグラフィー分析で、>99%の転化率で97.5% e
.e. が得られたことが分かった。
【0055】 D.(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸のtert−ブチルアンモニウム塩 (S/C比 2700/1,557ミリモル)
【化30】
【0056】
【表6】 ─────────────────────────────────── 材料 分子量 量 ミリモル ─────────────────────────────────── 3−シアノ−5−メチル−3− 226.33 125.8 g 557 ヘキセン酸tert−ブチルアンモニウム [(R,R)-MeDuPHOS]Rh(COD) + BF4 - 604 125 mg 0.082 メタノール 32 200 mL 水素 2 50-65 psi ───────────────────────────────────
【0057】 ガラスライナーに、3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸tert−ブチルア
ンモニウム及びメタノール(1000mL)が仕込まれた。そのライナーは、2
LのPARR水素化容器に入れられた。その容器に、窒素でパージされてから6
0psiの水素でパージされ、そして圧力が抜かれることが5サイクル行われる
。次いで、その容器は45℃に加熱された。脱酸素されたメタノール(15mL
)中の〔(R,R)−MeDuPHOS〕Rh(COD)+ BF4 - の溶液がシ
リンジから加えられた。その容器は水素で3度パージされてから65psiに加
圧され、そして攪拌が始められた。周期的に水素が加えられて50〜65psi
の圧力が維持された。4時間後に水素吸収が終わり、更に1時間後、その容器は
室温まで冷やされた。圧力が抜かれ、その混合液がフラスコに移され、そして溶
媒が減圧留去されて、生成物が得られた。少量のサンプルが抜き採られ、メタノ
ールと1NHClとの反応により(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸メ
チルに転化された。GC分析で、>99%の転化率で97.7% e.e. が得られ
たことが分かった。
【0058】 E.3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチルから in situで生成した3 −シアノ−5−メチルヘキサン酸のカリウム塩
【化31】
【0059】
【表7】 ─────────────────────────────────── 材料 分子量 量 ミリモル ─────────────────────────────────── 3−シアノ−5−メチル−3− 181.2 10.81 g 59.7 ヘキセン酸エチル [(R,R)-MeDuPHOS]Rh(COD) + BF4 - 604 18.0 mg 29.8X10-3 メタノール 32 120 mL 水 18 18 mL 水素 2 60 psi(4 bar) ───────────────────────────────────
【0060】 ガラスライナーに、3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチル(上で調
製された出発材料)、メタノール(100mL)、及び水(18mL)が仕込ま
れる。水酸化カリウムが攪拌しながら加えられる。そのライナーは、600mL
のPARR水素化容器内に置かれる。その容器に、窒素でパージされてから60
psiの水素でパージされ、そして圧力が抜かれることが5サイクル行われる。
その容器は55℃に加熱される。脱酸素されたメタノール中の〔(R,R)−M
eDuPHOS〕Rh(COD)+ BF4 - の溶液(20mL中18.0mg)
がシリンジから加えられる。その容器は水素で再度パージされてから攪拌されな
がら60psiに加圧される。周期的に水素が加えられて50〜60psiの圧
力が維持される。5時間後に水素吸収が終わる。更に1時間経過後、その混合液
は室温まで冷やされ、そして圧力が抜かれる。その混合液はフラスコに移され、
そして溶媒が減圧留去されて、生成物が得られる。少量のサンプルが抜き採られ
て、1N塩酸との反応により(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸メチル
に転化される。GC分析で、98.7%の転化率で96.6% e.e. S異性体の
目的シアノアルカン酸塩が得られたことが分かる。
【0061】実施例3 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチルの水素化
【化32】
【0062】
【表8】 ─────────────────────────────────── 材料 分子量 量 ミリモル ─────────────────────────────────── 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチル 181 0.36 g 2.00 [(R,R)-MeDuPHOS]Rh(COD) + BF4 - 604 1.2 mg 2X10-3 メタノール 5 mL 水素 60 psi(4 bar) ───────────────────────────────────
【0063】 A. この反応は、注入隔壁及び注入バルブを装備した50mLマイクロ反応
器中で行なわれる。マイクロ反応器がガラスライナーと一緒に使用される。攪拌
しながら部分的脱気と窒素再充填を4サイクル行なうことにより、メタノールが
脱酸素される。3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸エチルを仕込まれたラ
イナーと磁気攪拌バーがこのマイクロ反応器内に置かれ、続いてそのマイクロ反
応器が組み立てられる。その容器に水素を負荷してから圧力を抜くのを3サイク
ル行なうことにより、水素雰囲気が確立される。メタノール(4mL)が加えら
れてから、その容器が60℃のスターラーホットプレート上の油浴中に入れられ
て、熱平衡(内温〜45℃)に到達させる。小さな Schlenk管に〔(R,R)−
MeDuPHOS〕Rh(COD)+ BF4 - が仕込まれ、そして部分的に脱気
してから窒素を再充填するのを4サイクル行なうことにより、窒素雰囲気が確立
される。この触媒は、1mLの溶媒中に1.2mgの触媒を含有する溶液が得ら
れるようにメタノール中に溶解される。1mLの触媒溶液がシリンジからこのマ
イクロ反応器に加えられる。その容器について、水素で60psiに加圧するこ
とにより再度パージされてからその圧力が抜かれることが4サイクル行なわれる
。次いで、その容器は、60psiに負荷が加えられ、水素吸収が終わった(〜
3時間)と判定されるまで攪拌される。その反応器は、油浴から取り出されて冷
やされる。次いで、圧力が抜かれて溶媒が減圧留去される。GC分析で、99%
転化され、22.7% e.e.(R)であったことが分かる。
【0064】 B. 実施例3Aの一般的操作に従うことにより、200mg(1.190ミ
リモル)の3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸メチルが3mLのメタノー
ル中に溶解され、そして43mg(0.06ミリモル)の〔(R,R)−Et−
DuPHOS〕Rh(COD)+ BF4 - の存在下で、水素ガス(60psi)
と反応され、10%転化率で、33% e.e.(R)を有する3−シアノ−5−メチ
ルヘキサン酸メチルが得られた。
【0065】実施例4 プレガバリンの合成 A.(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸のカリウム塩のプレガバリン への転化 S−シアノ酸のカリウム塩(実施例2Bに記載の通りに調製したもの,94.
9%S−異性体,8.0g,41.4ミリモル)が、水酸化カリウム(91%フ
レーク,見掛け44.0mg,正味40.0mg,0.7ミリモル)、水(15
mL)、及び2BEtOH(即ち、トルエンで変性されたもの)(10mL)と一
緒に、スポンジニッケル触媒(A−7000,Activated Metals and Chemicals
. Inc., P.O. Box 4130, Severville, TN37864, 5g, 水湿潤品)を含有するP
ARRビンに仕込まれる。そのスラリーは、50psi水素下で室温でPARR
震盪機で一晩震盪される。 そのスラリーは Supercel のパッドを通して濾過される。濾物が水(20mL
)と2BEtOH(7mL)で濯がれる。合わされた濾液が氷酢酸(2.4mL
,2.5g,41.6ミリモル)と混合され、そして70℃で30分間加熱され
る。その混合液は0℃に冷やされ、そして固体が濾取され、イソプロパノール(
50mL)で洗浄され、そして乾燥されて、3.2gの生成物(20ミリモル,
49%収率)が得られる。この物質のHPLCアッセイで、99.7%(曲線下
面積)3−イソブチルGABAであることが分かった。鏡像体分析(HPLC)
で、その3−イソブチルGABAが異性体の混合物としてであることが示され、
97.82%が目的のS−異性体(プレガバリン)であり、2.18%が目的で
ないR−異性体であることが示される。
【0066】 B.(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸のtert−ブチルアンモニウム 塩のプレガバリンへの転化 S−シアノ酸のtert−ブチルアンモニウム塩(実施例2Aに記載の通りに調製
したもの,97%S−異性体,8.0g,35.0ミリモル)が、水酸化カリウ
ム(91%フレーク,見掛け2.2g,正味2.0g,35.6ミリモル)、水
(15mL)、及び2BEtOH(11mL)と一緒に、スポンジニッケル触媒
(A−7000,5g, 水湿潤品)を含有するPARRビンに仕込まれる。その
スラリーは、50psi水素下で室温でPARR震盪機で一晩震盪される。 そのスラリーは Supercel のパッドを通して濾過される。濾物が水(20mL
)と2BEtOH(トルエンで変性されたエタノール)(7mL)で濯がれる。合
わされた濾液が氷酢酸(4.1mL,4.3g,71.6ミリモル)と混合され
る。得られる溶液が70℃に加熱されてから、室温までゆっくり冷やされる。次
いで、その反応スラリーは0〜5℃で6時間攪拌されて濾過される。固体がIP
A(50mL)で濯がれ、そして減圧オーブン中で2日間乾燥されて、3.4g
の固体(61.0%通し収率)が得られる。HPLC分析で、この生成物は97
.20%(面積)3−イソブチルGABAとして同定され、その99.92%が
目的のS−異性体(プレガバリン)であると同定される。
【0067】 アルゴンでパージされた600mL加圧反応器に、3−シアノ−5−メチル−
3−ヘキセン酸tert−ブチルアンモニウム(実施例1Aに記載の通りに調製され
たもの,36g,159.1ミリモル)及び〔(R,R)−MeDuPHOS〕
Rh(COD)+ BF4 - (0.054g,0.0894ミリモル)が仕込まれ
る。その反応器は、アルゴンで加圧パージされる(3×50psi)。別の10
00mL反応器に360mLのメタノールが仕込まれる。このメタノールは、ア
ルゴンで加圧パージされる(3×50psi)。次いで、そのメタノールが上記
の基質と触媒を含有する反応器に仕込まれる。その溶液は、アルゴンで加圧パー
ジされ(3×50psi)、次いで、水素で50psiに加圧され、27〜33
℃で一晩攪拌される。水素圧が抜かれ、そしてその溶液はアルゴンでパージされ
る。その溶液は、90mLの水中の水酸化カリウム(91%,10.3g,16
7ミリモル)の溶液を含有する容器に移される。その溶液は、約180mLに減
圧濃縮される。その濃縮溶液は、スポンジニッケルA−7000(12.0g,
50%水湿潤品)を含有する600mL加圧反応器に移される。その溶液は、ア
ルゴンでパージされ(3×50psi)、次いで、水素で50psiに加圧され
、そして一晩攪拌される。水素圧が抜かれる。その溶液は、アルゴンでパージさ
れて濾過される。濾物が90mLのメタノールで洗浄される。濾液が減圧濃縮さ
れてメタノールが除かれ、そして72mLのイソプロピルアルコールが加えられ
る。その溶液は65℃に加熱される。氷酢酸(9.4mL,171ミリモル)が
仕込まれ、そしてその溶液は73℃に加熱される。その溶液は素早く50℃まで
冷やされ、次いで、室温までゆっくり冷やされる。そのスラリーは0〜5℃で3
.5時間冷却される。そのスラリーは濾過され、濾物がイソプロピルアルコール
で洗浄される。その固体は45℃で減圧乾燥されて、18.4g(73%収率)
のプレガバリンが白色固体として得られる(99.89%S)。
【0068】 アルゴンでパージされた170L加圧反応器に、3−シアノ−5−メチル−3
−ヘキセン酸tert−ブチルアンモニウム(10kg,44.2モル,実施例1A
に記載の通りに調製されたもの)及び〔(R,R)−MeDuPHOS〕Rh(
COD)+ BF4 - (0.015kg,0.0025モル)が仕込まれる。その
反応器は、アルゴンで加圧パージされる(3×50psi)。別の170L反応
釜に100Lのメタノールが仕込まれる。この反応器は真空脱気されてから、ア
ルゴンで満たされる。その反応釜は、アルゴンで50psiに加圧されてから排
気される。この全パージ操作がもう2回繰り返される。そのメタノールが上記の
基質と触媒を含有する反応器に仕込まれる。その溶液は、アルゴンで加圧パージ
され(3×50psi)、次いで、水素で50psiに加圧され、27〜33℃
で一晩攪拌される。水素圧が抜かれ、そしてその溶液は窒素でパージされる。そ
の溶液は、25Lの水中の水酸化カリウム(91%,2.9kg,46.4モル
)の溶液を含有する別の170L反応釜中に濾過される。5Lのメタノール洗浄
液が移送配管を清浄にするために使用される。濾液は、減圧蒸留により50〜6
0Lの容量に濃縮される。その濃縮溶液は、スポンジニッケルA−7000(5
.0kg, 50%水湿潤品)を含有する別の170L反応器に移される。その溶
液は、窒素でパージされる(3×50psi)。次いで、その反応器は、水素で
50psiに加圧され、そして一晩攪拌される。水素圧が抜かれ、そして、その
溶液は窒素でパージされる。その溶液は別の170L反応釜内に濾過され、フィ
ルターと配管が30Lのメタノールで濯がれる。濾液が減圧蒸留により25〜3
5Lの容量に濃縮されてから、30Lのイソプロピルアルコールが加えられる。
その溶液は減圧蒸留により約18Lまで濃縮される。イソプロピルアルコール(
20L)及び水(5L)が仕込まれ、そしてその溶液が60〜65℃に加熱され
る。氷酢酸(2.9kg,47.7モル)が仕込まれ、そしてその溶液は還流す
るまで加熱される。水(8L)が仕込まれて溶液になる。その溶液は、素早く5
0℃まで冷やされ、次いで、−5℃±5℃まで約5.5時間かけて冷やされる。
そのスラリーは−5℃±5℃に約10時間保持されてから、濾過され、そしてイ
ソプロピルアルコール(10L)で洗浄される。その溶媒湿潤濾物は、170L
反応釜に仕込まれてから水(20L)とイソプロピルアルコール(40L)が仕
込まれる。そのスラリーは、還流するまで加熱されて透明溶液になり、別の17
0L反応釜中に濾過される。その溶液は、素早く50℃まで冷やされ、次いで、
−5℃±5℃まで約3.5時間かけて冷やされる。そのスラリーは−5℃±5℃
に約16時間保持される。固体が濾取され、そしてイソプロピルアルコール(1
0L)で洗浄される。その固体は45℃で3日間減圧乾燥されて、4.0kg(
57%)のプレガバリンが白色固体として得られる(99.84%S)。
【0069】実施例5 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸(フリー酸)の水素化
【化33】
【0070】
【表9】 ─────────────────────────────────── 材料 分子量 量 ミリモル ─────────────────────────────────── 3−シアノ−5−メチル−3−ヘキセン酸 153 200 mg 1.307 [(S,S)-Me-BPE]Rh(COD) + BF4 - 618.48 20 mg 0.0327 (2.5 mol%) メタノール 4 mL 水素 50 psi(4 bar) ───────────────────────────────────
【0071】 A. フリーのヘキセン酸がメタノール中に溶解され、そしてキラル触媒がそ
の溶液に加えられた。その混合液は、50psiの水素下で24℃で19時間震
盪された。サンプルがプロトンNMRによって分析され、そして反応が24%完
了していることが確認され、そのシアノヘキサン酸は95% e.e.(S)を有した
。 1当量(0.18mL)のトリエチルアミンがその反応混合液に加えられ、そ
して震盪が更に5時間続けられた(24℃,50psi)。その反応混合液は濾
過され、そして溶媒が留去された。生成物がプロトンNMRによって分析され、
S−鏡像体について95% e.e. を有する約43%の目的の(S)−3−シアノ
−5−メチルヘキサン酸を含有することが分かった。
【0072】 B. 上の操作に従って、250mg(1.634ミリモル)の3−シアノ−
5−メチル−3−ヘキセン酸を、5mLのメタノール中の8mg(0.0163
4ミリモル)の〔(S,S)−Et−BPE〕Rh(COD)+ BF4 - 及び0
.023mL(0.1634ミリモル;0.1当量)のトリエチルアミンの存在
下で、24℃で40時間水素(50psi)と反応させた。その反応混合液は濾
過され、溶媒が留去され、そして、プロトンNMRによって、生成物がS−鏡像
体について84% e.e. を有する71%の(S)−3−シアノ−5−メチルヘキ
サン酸であることが分かった。
【0073】 C. 反応混合液に塩基が加えられなかったことを除いて、上の操作が繰り返
された。生成物は、プロトンNMRにより、S−鏡像体について91% e.e. を
有する26%の(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸であることが分かっ
た。
【0074】 D. 上の操作に従って、200mg(1.307ミリモル)の3−シアノ−
5−メチル−3−ヘキセン酸を、10mg(0.01307ミリモル)の〔(S
,S)−Et−DuPHOS〕Rh(COD)+ BF4 - の存在下で、水素(5
0psi,100時間)と反応させた。生成物は、プロトンNMRにより、S−
鏡像体について56% e.e. を有する82%の(S)−3−シアノ−5−メチル
ヘキサン酸であることが分かった。
【0075】 E. 反応混合液に0.1当量(0.02mL,0.1307ミリモル)のト
リエチルアミンが加えられたことを除いて、実施例5Dの操作が繰り返された。
反応は16時間後に止まり、そして、生成物は、S−鏡像体について68% e.e
. を有する86%の(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸であることが分
かった。
【0076】 F. 反応混合液に1当量(0.18mL,1.307ミリモル)のトリエチ
ルアミンが加えられたことを除いて、実施例5Eの操作が繰り返された。反応は
16時間後に止まった。生成物は、プロトンNMRにより、S−鏡像体について
56% e.e. を有する92%転化の(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸
であることが分かった。
【0077】 G. 上の一般的操作に従って、250mg(1.634ミリモル)の3−シ
アノ−5−メチル−3−ヘキセン酸を、メタノール(10mL)中の12mg(
0.01634ミリモル)の〔(R,R)−DIPAMP〕Rh(COD)+
4 - の存在下で、水素(50psi,16時間)と反応させて、R−鏡像体に
ついて72% e.e. を有する51%の(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン
酸が得られた。
【0078】実施例6 プレガバリンの再結晶 0.6%の(R)−鏡像体を含有するプレガバリン固体(117kg,735
モル)が水(550L;4.7L/kgプレガバリン)及びイソプロピルアルコ
ール(1100L;9.4L/kgプレガバリン)と混合される。その混合物は
固体を溶解させるために加熱され(約75℃±5℃)、熱時濾過され、そして0
℃±5℃まで冷却されて結晶を析出する。その固体が遠心分離で集められ、そし
てイソプロピルアルコールで濯がれる。その湿った固体は35〜35℃で減圧乾
燥されてから粉砕され、91.8kg(78.5%)のプレガバリンが白色結晶
固体として得られる。鏡像体比率は、99.94%(S)−鏡像体と0.06%
の(R)−鏡像体であった。 本発明品及びそれを製造しかつ使用する方法が、十分に明確かつ正確に記載さ
れ、また、当業者が本発明を製造しかつ使用できるように正確な用語が使用され
てきた。前述したものは、本発明の好ましい態様を説明するものであって、本発
明の精神及び請求の範囲に記載の本発明の範囲を逸脱することなく修飾がなされ
得ることが理解されるべきである。発明と見做す主題を特定的に指摘しかつ明確
に特許請求するために、この明細書を請求の範囲が締め括る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CR,CU,CZ,DE,DK ,DM,DZ,EE,ES,FI,GB,GD,GE, GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,J P,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR ,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK, MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,PL,PT,R O,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ, VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 ゴエル,オーム・プラカシュ アメリカ合衆国ミシガン州48103,アン・ アーバー,ホールデン・ドライヴ 3995 (72)発明者 ホエクストラ,マーヴィン・サイモン アメリカ合衆国ミシガン州49423,ホラン ド,ワイルドウッド・ドライヴ 402 (72)発明者 ミッチ,トーマス・フレデリック アメリカ合衆国ミシガン州48103,アン・ アーバー,サンセット・ロード 915 (72)発明者 マルハーン,トーマス・アーサー アメリカ合衆国ミシガン州49426,ハドソ ンヴィル,ブリッジポート・ドライヴ 7039 (72)発明者 ラムズデン,ジェイムズ・アンドリュー イギリス国 シービー4 2キューピー ケンブリッジ,ラヴェル・ロード 96 Fターム(参考) 4H006 AA01 AA02 AB84 AC11 AC47 AC52 AC81 BA24 BA48 BD70 BE20 BS10 BU32 4H039 CA19 CB10

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式: 【化1】 (式中、XはCO2 H又はCO2 −Yであって、Yはカチオンである。) の(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸誘導体を製造する方法であって、
    式: 【化2】 のアルケンをキラル触媒の存在下で不斉接触還元することを含んでなる方法。
  2. 【請求項2】 XがCO2 −Yである、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 該キラル触媒が、式: 【化3】 (式中、Rはアルキルである。) を有する(R,R)−DuPHOSリガンドのロジウム錯体である、請求項1記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 該キラル触媒が、〔Rh(リガンド)(COD)〕BF4
    ある、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】 Rがメチル又はエチルである、請求項3記載の方法。
  6. 【請求項6】 該アルケンが、E異性体若しくはZ異性体であるか、又は前
    記幾何異性体の混合物である、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 該カチオンがアルカリ金属又はアルカリ土類金属である、請
    求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 該アルカリ金属がカリウムである、請求項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 該カチオンが1級アミンの塩又は2級アミンの塩である、請
    求項1記載の方法。
  10. 【請求項10】 該アミンが tert-ブチルアミンである、請求項9記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 最初に、式: 【化4】 (式中、R1 はアルキルである。) のカルボン酸エステルを式: 【化5】 (式中、Yはカチオンである。) のカルボン酸塩に転化することを更に含んでなる、請求項1記載の方法。
  12. 【請求項12】 R1 がエチルである、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 該カルボン酸塩が水素化の前に単離される、請求項11記
    載の方法。
  14. 【請求項14】 該カルボン酸塩が水素化の前に in situで製造される、請
    求項11記載の方法。
  15. 【請求項15】 (S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸塩を酸性にし
    て(S)−3−シアノ−5−メチルヘキサン酸を形成させることを更に含んでな
    る、請求項8記載の方法。
  16. 【請求項16】 式: 【化6】 (式中、XはCO2 H又はCO2 −Yであって、Yはカチオンである。) の化合物。
  17. 【請求項17】 式: 【化7】 (式中、R1 はアルキルである。) の化合物。
  18. 【請求項18】 式: 【化8】 (式中、R1 はアルキルである。) の化合物を製造する方法であって、式: 【化9】 のアルケンをキラル触媒の存在下で不斉接触還元することを含んでなる方法。
  19. 【請求項19】 該キラル触媒が、式: 【化10】 (式中、Rはアルキルである。) を有する(S,S)−DuPHOSリガンドのロジウム錯体である、請求項18
    記載の方法。
  20. 【請求項20】 該キラル触媒が、〔Rh(リガンド)(COD)〕BF4 である、請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 Rがメチル又はエチルである、請求項19記載の方法。
  22. 【請求項22】 R1 がエチルである、請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 カチオンYが、H+ 、プロトン化された1級若しくは2級
    アミン、アルカリ土類金属、及びアルカリ金属との反応により形成される塩から
    なる群から選択される、請求項1記載の方法。
  24. 【請求項24】 式: 【化11】 (式中、Yはカチオンである。) の化合物。
  25. 【請求項25】 該シアノ基を還元してアミノ基を形成し、そしてYがH+ より他であるときは酸との反応によるプロトン化でプレガバリンを生成させるこ
    とを更に含んでなる、請求項1記載の方法。
  26. 【請求項26】 プレガバリンを製造する方法であって、 【化12】 (式中、Yはカチオンである。) をキラル触媒の存在下で不斉水素化してから、該シアノ基を還元し、そして該フ
    リーの酸をプロトン化することを含んでなる方法。
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