JPWO2011021629A1 - 形質転換体およびその製造方法、ならびに乳酸の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
また、前記形質転換体を用いて、アルカリによる中和工程を行わずに高い生産性で乳酸を製造する方法を目的とする。
なお、本発明において乳酸とは生物学的方法で得られるL−乳酸をいう。
また、本発明の形質転換体においては、前記欠失または失活しているピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子がPDC2遺伝子であることが好ましい。前記乳酸脱水素酵素遺伝子は哺乳動物の乳酸脱水素酵素遺伝子であることが好ましい。さらに、前記乳酸脱水素酵素遺伝子はシゾサッカロミセス・ポンベの染色体に組み込まれていることが好ましい。
また、前記ベクターはさらにシゾサッカロミセス・ポンベの染色体に対して相同組換えを行わせる組換え部位を有し、このベクターを使用して発現カセットをシゾサッカロミセス・ポンベの染色体に導入することが好ましい。さらに、宿主の染色体における相同組み換えを行わせる標的部位がトランスポゾン遺伝子Tf2であることが好ましい。
また、本発明の方法においては、前記欠失または失活しているピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子がPDC2遺伝子であることが好ましい。前記乳酸脱水素酵素遺伝子は哺乳動物の乳酸脱水素酵素遺伝子であることが好ましい。
また、この乳酸の製造方法において、濃度1〜50質量%(さらに2〜16質量%が望ましい)のグルコースを含む培養液を使用して培養を行うことが好ましい。また、前記形質転換体により産生される乳酸により、前記培養液のpHが3.5以下になった後にさらに培養を継続することが好ましい。
さらに、前記培養液中の形質転換体の初発菌体濃度を0.1〜50グラム(乾燥菌体換算)/リットルとすることが好ましい(さらに0.2〜40グラム(乾燥菌体換算)/リットルが望ましい)。また、前記形質転換体により産生された培養液中の乳酸を中和することなく培養を継続することが好ましく、また、培養液中の乳酸を中和することなく培養液から乳酸を分離することが好ましい。
また、本発明の乳酸の製造方法は、アルカリによる中和工程を行わずに高い生産性で乳酸を製造することができる。
本発明の形質転換体は、シゾサッカロミセス・ポンベ(以下、S.ポンベともいう)を宿主とし、乳酸脱水素酵素遺伝子が組み込まれ、かつS.ポンベ宿主のピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子群の一部が欠失または失活している、形質転換体である。
宿主であるS.ポンベは、シゾサッカロミセス属に属する酵母(分裂酵母)であり、他の酵母に比べて特に耐酸性に優れる微生物である。本発明者らは、S.ポンベがサッカロミセス・セレビシエ等の他の酵母に比べ、高濃度のグルコース下における乳酸の生産性に優れ、高密度培養(大量の酵母を用いた培養)にも適していることを見出し、S.ポンベの形質転換体を用いることにより、極めて高い生産性で乳酸を製造することができることを見出した。
なお、S.ポンベの染色体の全塩基配列は、サンガー研究所のデータベース「GeneDB」に「Schizosaccharomyces pombe Gene DB (http://www.genedb.org/genedb/pombe/)」として、収録され、公開されている。本明細書記載のS.ポンベの遺伝子の配列データは上記データベースから遺伝子名や上記系統名で検索して、入手できる。
本発明に用いられるS.ポンベは、耐酸性を有するものであれば特に限定されない。
S.ポンベは、公的あるいは民間の寄託機関、すなわち、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA、USA)、National Collection of Yeast Cultures(NCYC、Norwich、United Kingdom)、NITE Biological Resource Center(NBRC、日本国千葉県木更津市)、酵母遺伝資源センター(YGRC、日本国大阪市立大学大学院理学研究科内)などから入手可能である。
S.ポンベにおけるピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子(ピルビン酸脱炭酸酵素遺伝子、以下「PDC遺伝子」ともいう)群には、ピルビン酸脱炭酸酵素1をコードする遺伝子(以下、「PDC1遺伝子」という)、ピルビン酸脱炭酸酵素2をコードする遺伝子(以下、「PDC2遺伝子」という)、ピルビン酸脱炭酸酵素3をコードする遺伝子(以下、「PDC3遺伝子」という)、ピルビン酸脱炭酸酵素4をコードする遺伝子(以下、「PDC4遺伝子」という)の4種類がある。なかでも、S.ポンベにおいては、PDC2遺伝子とPDC4遺伝子が主要な機能を持つPDC遺伝子である。各PDC遺伝子の系統名は以下の通りである。
PDC1遺伝子(Pdc1);SPAC13A11.06
PDC2遺伝子(Pdc2);SPAC1F8.07c
PDC3遺伝子(Pdc3);SPAC186.09
PDC4遺伝子(Pdc4);SPAC3G9.11c
上記PDC遺伝子の配列データは、前記S.ポンベ遺伝子データベースから遺伝子名や系統名で検索して入手できる。
一方、組み込まれた乳酸脱水素酵素遺伝子から発現される乳酸脱水素酵素は、ピルビン酸を乳酸に還元することにより乳酸を産生させる。そのため、野生型S.ポンベに乳酸脱水素酵素遺伝子を組み込んで乳酸を産生できるようにしても、そのままではエタノール発酵と乳酸発酵の両方を行うことになるため、乳酸の生産性が充分に高くならない。
前述のように、PDC遺伝子を全て欠失または失活させてしまうと、その形質転換体はエタノール発酵が行えなくなるために生育が阻害される。そのため、PDC遺伝子の欠失または失活は、生育に必要なエタノール発酵能を残して充分な形質転換体量が得られるようにしつつ、エタノール発酵能を低下させて乳酸の発酵効率を向上させられるように行わなければならない。この課題に対して本発明者等が検討を行った結果、PDC2遺伝子を欠失または失活させるとPDC4遺伝子がある程度活性化し、充分な形質転換体量が得られる程度のエタノール発酵能と、高い発酵効率での乳酸の生産が両立できることを見い出した。
また、PDC遺伝子の塩基配列の一部に欠失、挿入、置換、付加を起こすことにより、該PDC遺伝子を失活させることもできる。これらの欠失、挿入、置換、付加による変異は、それらのいずれか1つのみを起こしてもよく、2つ以上を起こしてもよい。
例えば、変異剤を用いた突然変異分離法(酵母分子遺伝学実験法、1996年、学会出版センター)や、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)を利用したランダム変異法(ピーシーアール・メソッズ・アプリケーション(PCR Methods Appl.)、1992年、第2巻、p.28−33.)等が挙げられる。
このような変異型ピルビン酸脱炭酸酵素を発現する突然変異株は、活性が制限されない温度条件下では野生型酵母と同等の生育速度を示し、活性が制限される特定の温度条件下において生育速度が著しく低下するものを選択することで得ることができる。
PDC遺伝子が欠失または失活したS.ポンベの変異体は、本発明の形質転換体を製造するための宿主として使用することができる。さらに、PDC遺伝子以外にさらにPDC遺伝子以外の特定遺伝子を欠失または失活させたS.ポンベを宿主とすることもできる。PDC遺伝子以外の特定遺伝子を欠失または失活させたS.ポンベ宿主としては、例えば、国際公開第2002/101038号パンフレット、国際公開第2007/015470号パンフレット等に記載されている。プロテアーゼ遺伝子等を欠失または失活させることにより異種蛋白質の発現効率を高めることができ、本発明における宿主に適用することにより乳酸の生産効率の向上が期待できる。
例えば、オロチジンリン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(ura4遺伝子)が欠失または失活してウラシル要求性となっているS.ポンベを宿主とし、ura4遺伝子(栄養要求性相補マーカー)を有するベクターにより形質転換した後、ウラシル要求性が消失したものを選択することにより、ベクターが組み込まれた形質転換体を得ることができる。宿主において欠落により栄養要求性となる遺伝子は、形質転換体の選択に用いられるものであればura4遺伝子には限定されず、イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(leu1遺伝子)等であってもよい。
本発明の形質転換体は、乳酸脱水素酵素遺伝子(乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子、以下「LDH遺伝子」ともいう。)を有する。前記のように、S.ポンベは本来LDH遺伝子を有していない。したがって、S.ポンベ以外の生物のLDH遺伝子を遺伝子工学的方法でS.ポンベに導入して形質転換体を得る。
本発明におけるLDH遺伝子は特に限定されず、例えば、ビヒドバクテリウム属、ラクトバシルス属等に属する微生物由来のLDH遺伝子や、ヒト等の哺乳動物由来のLDH遺伝子が挙げられる。なかでも、S.ポンベによる乳酸産生の効率に優れる点から、哺乳動物由来のLDH遺伝子であることが好ましい。なかでもヒト由来のLDH遺伝子であることがより好ましい(文献:Tsujibo H, Tiano HF, Li SS-L. Nucleotide sequences of the cDNA and an intronless pseudogene for human lactate dehydrogenase-A isozyme. Eur. J. Biochem. (1985) 147, 9-15)。さらには下記配列表の配列番号1に記載のLDH遺伝子であることが好ましい。
本発明の形質転換体は、PDC遺伝子群の一部が欠失または失活したS.ポンベを宿主とし、これにLDH遺伝子を遺伝子工学的方法でS.ポンベに導入して得られる。また、PDC遺伝子群が欠失も失活もしていないS.ポンベを宿主とし、これにLDH遺伝子を遺伝子工学的方法でS.ポンベに導入して形質転換体を得て、その後得られた形質転換体のPDC遺伝子群の一部を欠失または失活させて、本発明の形質転換体を得ることもできる。後述の実施例では、前者の方法で目的の形質転換体を製造したが、後者の方法でもほぼ同等の形質転換体を製造することができる。以下、前者の方法を例に形質転換体の製造方法を説明する。
遺伝子工学的方法で宿主にLDH遺伝子を導入する方法としては公知の方法を使用できる。S.ポンベを宿主としてこれに異種蛋白質の構造遺伝子を導入する方法としては、例えば、日本国特開平5−15380号公報、国際公開第95/09914号パンフレット、日本国特開平10−234375号公報、日本国特開2000−262284号公報、日本国特開2005−198612号公報などに記載の方法を使用できる。
LDH遺伝子をS.ポンベの染色体に導入する方法としては、LDH遺伝子を有する発現カセットと組換え部位とを有するベクターを用い、相同組換え法により導入する方法が好ましい。以下にこの方法に使用するベクターと相同組換え法を説明する。
ベクターは、LDH遺伝子を有する発現カセットと組換え部位を有する。
発現カセットとは、乳酸脱水素酵素を発現するために必要なDNAの組み合わせであり、LDH遺伝子とS.ポンベ内で機能するプロモーターとS.ポンベ内で機能するターミネーターを含む。さらに、5’−非翻訳領域、3’−非翻訳領域のいずれか1つ以上が含まれていてもよい。さらに、前記栄養要求性相補マーカーが含まれていてもよい。好ましい発現カセットは、LDH遺伝子、プロモーター、ターミネーター、5’−非翻訳領域、3’−非翻訳領域、栄養要求性相補マーカーを含む発現カセットである。発現カセットには複数のLDH遺伝子が存在していてもよい。発現カセット中のLDH遺伝子の数は1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。
S.ポンベが本来有しないプロモーターとしては、例えば、日本国特開平5−15380号公報、日本国特開平7−163373号公報、日本国特開平10−234375号公報に記載されている動物細胞ウイルス由来のプロモーターが挙げられ、hCMVプロモーター、SV40プロモーターが好ましい。
ターミネーターとしては、例えば、日本国特開平5−15380号公報、日本国特開平7−163373号公報、日本国特開平10−234375号公報に記載されているヒト由来のターミネーターが挙げられ、ヒトリポコルチンIのターミネーターが好ましい。
前記組換え部位の塩基配列と標的部位の塩基配列との相同性は70%以上とすることが必要である。また、組換え部位の塩基配列と標的部位の塩基配列との相同性は、相同組換えが起きやすくなる点から、90%以上とすることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。このような組換え部位を有するベクターを用いることにより、発現カセットが相同組換えにより標的部位に組み込まれる。
組換え部位の長さ(塩基数)は、20〜2000bpであることが好ましい。組換え部位の長さが20bp以上であれば、相同組換えが起きやすくなる。また、組換え部位の長さが2000bp以下であれば、ベクターが長くなりすぎて相同組換えが起き難くなることを防ぎやすい。組換え部位の長さは100bp以上であることがより好ましく、200bp以上であることがさらに好ましい。また、組換え部位の長さは800bp以下であることがより好ましく、400bp以下であることがさらに好ましい。
ベクターは、環状DNA構造または線状DNA構造を有するベクターであり、S.ポンベの細胞に導入する際には線状DNA構造で導入することが好ましい。すなわち、通常用いられるプラスミドDNAのような環状DNA構造を有するベクターである場合には、制限酵素でベクターを線状に切り開いた後にS.ポンベの細胞に導入することが好ましい。
この場合、環状DNA構造を有するベクターを切り開く位置は、組換え部位内とする。これにより、切り開かれたベクターの両端にそれぞれ組換え部位が部分的に存在することとなり、相同組換えによりベクター全体が染色体の標的部位に組み込まれる。
ベクターは、両端それぞれに組換え部位の一部が存在するような線状DNA構造とすることができれば、環状DNA構造を有するベクターを切り開く方法以外の方法で構築してもよい。
この場合、相同組換えに用いる際のプラスミドベクターは、大腸菌内での複製のために必要な「ori」と呼ばれる複製開始領域が除去されていることが好ましい。これにより、上述したベクターを染色体に組み込む際に、その組み込み効率を向上させることができる。
複製開始領域が除去されたベクターの構築方法は特に限定されないが、日本国特開2000−262284号公報に記載されている方法を用いることが好ましい。すなわち、組換え部位内の切断箇所に複製開始領域が挿入された前駆体ベクターを構築しておき、前述のように線状DNA構造とすると同時に複製開始領域が切り出されるようにする方法が好ましい。これにより、簡便に複製開始領域が除去されたベクターを得ることができる。
また、日本国特開平5−15380号公報、日本国特開平7−163373号公報、国際公開第96/23890号パンフレット、日本国特開平10−234375号公報等に記載された発現ベクターやその構築方法を適用して、発現カセットおよび組換え部位を有する前駆体ベクターを構築し、さらに通常の遺伝子工学的手法で該前駆体ベクターから複製開始領域を除去して相同組換えに用いるベクターを得る方法であってもよい。
ベクターを組み込む標的部位は、S.ポンベの染色体中の1箇所のみに存在していてもよく、2箇所以上に存在していてもよい。標的部位が2箇所以上存在している場合、S.ポンベの染色体に組み込まれるベクターを2箇所以上とすることができる。また、発現カセット中のLDH遺伝子を複数とした場合には、標的部位の1箇所に複数のLDH遺伝子を組み込むことができる。さらに、2種以上の標的部位に、それぞれの標的部位に対応する組換え部位を有する2種以上のベクターを用いて、発現カセットを組み込むこともできる。これらの方法で、S.ポンベの染色体に複数のLDH遺伝子を組み込むことができ、これにより乳酸脱水素酵素の発現量を増大させ、乳酸の生産性を向上させることができる。
Nathan J. Bowen et al, “Retrotransposons and Their Recognition of pol II Promoters: A Comprehensive Survey of the Transposable Elements From the Complete Genome Sequence of Schizosaccharomyces pombe”, Genome Res. 2003 13: 1984-1997
染色体に13箇所存在するTf2の1箇所のみにベクターを組み込むことができる。この場合、2個以上のLDH遺伝子を有するベクターを組み込むことにより、2個以上のLDH遺伝子を有する形質転換体を得ることができる。また、Tf2の2箇所以上にベクターを組み込むことにより、2個以上のLDH遺伝子を有する形質転換体を得ることができる。この場合、2個以上のLDH遺伝子を有するベクターを組み込むことにより、さらに多くのLDH遺伝子を有する形質転換体を得ることができる。Tf2の13箇所すべてにベクターが組み込まれると、形質転換体の生存や増殖に対する負荷が大きくなりすぎるおそれがある。好ましくは、13箇所のTf2の8箇所以下にベクターが組み込まれることが好ましく、5箇所以下にベクターが組み込まれることがより好ましい。
S.ポンベ宿主を相同組み換え法で形質転換する方法としては、公知の相同組み換え法を使用できる。本発明の形質転換方法としては、上述のPDC遺伝子群の一部が欠失または失活したS.ポンベを宿主とし、その染色体に上述のベクターを用いて、発現カセットを相同組換えにより組み込む方法が好ましい。この製造方法によれば、本発明の形質転換体を簡便に製造することができる。
染色体に組み込まれるベクターの数は組み込み条件などを調整することによりある程度は調整可能であるが、ベクターの大きさ(塩基数)や構造により組み込み効率や組み込み数も変化すると考えられる。
本発明の乳酸の製造方法は、前記本発明の形質転換体を培養液中で培養し、該培養液から乳酸を取得する乳酸の製造方法である。
本発明の形質転換体を糖を含む培養液中で培養することにより、解糖系により該糖から得られるピルビン酸が乳酸脱水素酵素により還元されて乳酸が産生され、培養液に産出された乳酸を培養液から取得することで乳酸を製造することができる。
炭素源である糖としては、例えば、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース等の糖が挙げられる。窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機酸または無機酸のアンモニウム塩、ペプトン、カザミノ酸、イーストエキス等が挙げられる。無機塩類としては、例えば、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。さらには、プロテオリピドなどの発酵促進因子などを含ませることができる。
なお、後述の実施例等で示す菌体濃度は、日本分光社製可視紫外分光器V550によって測定した波長660nmの光の吸光度(OD660)から換算した値である。660nmにおけるOD=1は、分裂酵母乾燥重量の0.2g、湿重量の0.8gに相当する。
また、培養温度は、23〜37℃であることが好ましい。また、培養時間は適宜決定することができる。
また、培養は、回分培養であってもよく、連続培養であってもよい。例えば、回分培養で培養を行った後、菌体を培養液から分離して、乳酸を含む培養液を取得することができる。また、連続培養法では、例えば、培養中の培養槽から培養液の一部を抜き出し、抜き出した培養液から乳酸を分離するとともに、培養上清を回収し、該培養上清にグルコースや新たな培養液を加えて培養槽に戻すことを繰り返して、連続的に培養する方法が挙げられる。連続培養を行うことにより、乳酸の生産性がより向上する。
[例1]
<S.ポンベ遺伝子削除株の作製>
S.ポンベのウラシル要求性株(ARC010、遺伝子型:h− leu1−32 ura4−D18、東京大学大学院理学系研究科附属遺伝子実験施設・飯野雄一教授より供与)をLatour法(Nucleic Acids Res.誌、2006年、34巻、e11頁、国際公開第2007/063919号パンフレットに記載)に従って形質転換し、ピルビン酸脱炭酸酵素(PDC)遺伝子およびアルコール脱水素酵素(ADH)遺伝子を削除した削除株を作製した。
削除断片の作製には、S.ポンベのARC032株(遺伝子型:h−、東京大学大学院理学系研究科附属遺伝子実験施設・飯野雄一教授より供与)よりDNeasy(キアゲン社製)によって調製した全ゲノムDNAを鋳型とし、削除する遺伝子ごとにそれぞれ次に示す配列の8種の合成オリゴDNA(オペロン社製)を使用した。
UF:5’-AGGCAAATCGTGAACTCGG-3’ (下記配列表の配列番号2)
UR:5’-GCCAATTCCACTCTCAATAGCCCGAACGTTCCGTCTCG-3’ (下記配列表の配列番号3)
OF:5’-GCTATTGAGAGTGGAATTGGC-3’ (下記配列表の配列番号4)
OR:5’-AGTGGGATTTGTAGCTAAGCTACTGGTTTCCACATTGTTTGG-3’ (下記配列表の配列番号5)
DF:5’-AAGTTTCGTCAATATCACAAGCTCGAGACGGAACGTTCGG-3’ (下記配列表の配列番号6)
DR:5’-TTACAATGCTGAGTGTGTATTCC-3’ (下記配列表の配列番号7)
FF:5’-TGAACTCGGTTGAAAAATGTCG-3’ (下記配列表の配列番号8)
FR:5’-TGAGTGTGTATTCCTTTTTCGC-3’ (下記配列表の配列番号9)。
(2)pdc2(系統名:SPAC1F8.07c)削除断片の作製のためのオリゴDNA
UF:5’-CTCTCCAGCTCCATCCATAAG-3’ (下記配列表の配列番号10)
UR:5’-GACACAACTTCCTACCAAAAAGCCTTTCTGCCCATGTTTTCTGTC-3’ (下記配列表の配列番号11)
OF:5’-GCTTTTTGGTAGGAAGTTGTGTC-3’ (下記配列表の配列番号12)
OR:5’-AGTGGGATTTGTAGCTAAGCTGTATCCATTTCAGCCGTTTGTG-3’ (下記配列表の配列番号13)
DF:5’-AAGTTTCGTCAATATCACAAGCTGACAGAAAACATGGGCAGAAAG-3’ (下記配列表の配列番号14)
DR:5’-GTTCCTTAGAAAAAGCAACTTTGG-3’ (下記配列表の配列番号15)
FF:5’-CATAAGCTTGCCACCACTTC-3’ (下記配列表の配列番号16)
FR:5’-GAAAAAGCAACTTTGGTATTCTGC-3’ (下記配列表の配列番号17)。
(3)pdc3(系統名:SPAC186.09)削除断片の作製のためのオリゴDNA
UF:5’-AAGGCATATTCGTTGATTAACCC-3’ (下記配列表の配列番号18)
UR:5’-GGTGGAAAGGTTTGTGCAATCCGTCAACTCATGATATTTCTTTATGG-3’ (下記配列表の配列番号19)
OF:5’-GATTGCACAAACCTTTCCACC-3’ (下記配列表の配列番号20)
OR:5’-AGTGGGATTTGTAGCTAAGCTCATCCCACATCTGTAATAATCACG-3’ (下記配列表の配列番号21)
DF:5’-AAGTTTCGTCAATATCACAAGCTCCATAAAGAAATATCATGAGTTGACG-3’ (下記配列表の配列番号22)
DR:5’-TTTGAGAAGAAAATTTTATGTCCAGC-3’ (下記配列表の配列番号23)
FF:5’-CCATTTAGCAGTATAAGGGTCG-3’ (下記配列表の配列番号24)
FR:5’-AAGTAAAAATGTGAAAGCAATGTAGG-3’ (下記配列表の配列番号25)。
(4)pdc4(系統名:SPAC3G9.11c)削除断片の作製のためのオリゴDNA
UF:5’-ACACACAAACACTTCCATTCC-3’ (下記配列表の配列番号26)
UR:5’-CCTAACAAAAGCATCATTTGAGAAGACGAATGAAATGACAGCAAC-3’ (下記配列表の配列番号27)
OF:5’-TTCTCAAATGATGCTTTTGTTAGG-3’ (下記配列表の配列番号28)
OR:5’-AGTGGGATTTGTAGCTAAGCTCTGGACAAGTCTACCTTGGAG-3’ (下記配列表の配列番号29)
DF:5’-AAGTTTCGTCAATATCACAAGCTGTTGCTGTCATTTCATTCGTC-3’ (下記配列表の配列番号30)
DR:5’-GATACAGGAGTACAACAAAACAC-3’ (下記配列表の配列番号31)
FF:5’-TCTCCATCCCTCCTCCC-3’ (下記配列表の配列番号32)
FR:5’-ACGCTACTTAAACAAGACAAGC-3’ (下記配列表の配列番号33)。
(5)adh1(系統名:SPCC13B11.01)削除断片の作製のためのオリゴDNA
UF:5’-TCATTCCTCGATATTCAGTTC-3’ (下記配列表の配列番号34)
UR:5’-GCCAGTGGGATTTGTAGCTACTCTGATCGGCATTTTTTGG-3’ (下記配列表の配列番号35)
OF:5’-GTTTCGTCAATATCACAAGCTTCCCCAACCTCCCATTTCCTCC-3’ (下記配列表の配列番号36)
OR:5’-CTACGATCAGAAGAAGATCAATGAGACGCGGAAGGGGAGCGCC-3’ (下記配列表の配列番号37)
DF:5’-GGCGCTCCCCTTCCGCGTCTCATTGATCTTCTTCTGATCGTAG-3’ (下記配列表の配列番号38)
DR:5’-ATGCATTTCACTCTATTCCTC-3’ (下記配列表の配列番号39)
FF:5’-GCTATAGTTAAGTGTAAGAC-3’ (下記配列表の配列番号40)
FR:5’-TTGTCCACACCACTCATTCG-3’ (下記配列表の配列番号41)。
(6)adh4(系統名:SPAC5H10.06c)削除断片の作製のためのオリゴDNA
UF:5’-ATCGTCGTCGATGCTGATTGG-3’ (下記配列表の配列番号42)
UR:5’-GCCAGTGGGATTTGTAGCTCAGCAGTCATTCTCATTCCG-3’ (下記配列表の配列番号43)
OF:5’-CGTCAATATCACAAGCTTGTCTCCCCTTCTATTGGGATTTGC-3’ (下記配列表の配列番号44)
OR:5’-GATTACCTGCAATCATGTTTCCGGCCTTTTGTGAAACCTGCC-3’ (下記配列表の配列番号45)
DF:5’-GGCAGGTTTCACAAAAGGCCGGAAACATGATTGCAGGTAATC-3’ (下記配列表の配列番号46)
DR:5’-GGAGAATGATGTATTGGTAAATAAC-3’ (下記配列表の配列番号47)
FF:5’-CCTTGGGAATGAGCGAATTC-3’ (下記配列表の配列番号48)
FR:5’-GGGTTGTGAAGAGCATACTG-3’ (下記配列表の配列番号49)。
(7)adhX(系統名:SPBC1773.06c)削除断片の作製のためのオリゴDNA
UF:5’-GAAGGAGATTATGTGAAACAAGTTGAAATC-3’ (下記配列表の配列番号50)
UR:5’-AGCTTAGCTACAAATCCCACTCTGAGGGTAGTGTTCTTGCTACAAAAATCT-3’ (下記配列表の配列番号51)
OF:5’-AAGTTTCGTCAATATCACAAGCTCATGACGGAAGATTCCGAGAAATTCCGTTT-3’ (下記配列表の配列番号52)
OR:5’-CAAAGCCATGCTTTTAATGTTAAAGTGAAT-3’ (下記配列表の配列番号53)
DF:5’-ATTCACTTTAACATTAAAAGCATGGCTTTGATCGATTGAGATTTTTGTAGCAAGAACACT-3’ (下記配列表の配列番号54)
DR:5’-GGAAATGGTTCATGTGGACTGGGTTTTATT-3’(下記配列表の配列番号55)
FF:5’-CCTGCTCTTAAAATGACGAATGGTGTAGGC-3’ (下記配列表の配列番号56)
FR:5’-ATATAGTGCGATATGGATGAAGGAGAAGAG-3’ (下記配列表の配列番号57)。
(8)akrY(系統名:SPAC977.14c)削除断片の作製のためのオリゴDNA
UF:5’-ATCATAACTTACTATATCGTGAAGAAGAGA-3’(下記配列表の配列番号58)
UR:5’-AGCTTAGCTACAAATCCCACTTAGAATGAGTAATTCAACTTCTTAAACCAC-3’ (下記配列表の配列番号59)
OF:5’-AAGTTTCGTCAATATCACAAGCTTTAGCTTAAAAGTAATAAGCTTCTATGTGA-3’ (下記配列表の配列番号60)
OR:5’-TGAAGACATTTTATAAAACTTAAATAAAAA-3’ (下記配列表の配列番号61)
DF:5’-TTTTTATTTAAGTTTTATAAAATGTCTTCAGAAATTTAAATCTGTGGTTTAAGAAGTTGA-3’ (下記配列表の配列番号62)
DR:5’-ACTTTGTTTATTGTAGAAAGTCGAGCTTGA-3’(下記配列表の配列番号63)
FF:5’-CAAAAGACAGGGGTCGGATTGATTCCTTGG-3’ (下記配列表の配列番号64)
FR:5’-TGTGCTGTTTTTCAAGTGGTCATGCGTTAC-3’ (下記配列表の配列番号65)。
5’-AGCTTAGCTACAAATCCCACT-3’ (下記配列表の配列番号66)
5’-AGCTTGTGATATTGACGAAACTT-3’ (下記配列表の配列番号67)
作製された各削除断片を用いて作製した削除株の株名、削除した遺伝子を表1に示す。
<S.ポンベ乳酸脱水素酵素生産株の作製>
S.ポンベのウラシル要求性株(ARC010)ならびに例1で作製したS.ポンベの遺伝子削除株それぞれを、乳酸脱水素酵素遺伝子発現カセットを保持した単座組込型組換えベクターpXLT−HsLDHの制限酵素BsiWI消化物で、Bahlerらの方法(Yeast誌、1998年、14巻、943−951頁)に従い形質転換した。
pXLT−HsLDHは、以下に示す工程で作製した。すなわち、まず、分裂酵母用組込型ベクターpXL4(Idirisほか、Yeast誌、2006年、23巻、83−99頁)を制限酵素で二重消化して得られた断片を末端平滑化したのちにライゲーションして得られた分裂酵母用発現ベクターpXL1(delta−neo)を、さらに制限酵素で二重消化して得られた断片を末端平滑化したのちに、ARC010株ゲノムよりクローニングしたtop2遺伝子断片を挿入して、配列表の配列番号68にその配列(5’→3’、環状)を示すpXLT(5558塩基対)を作製した。
5’-GTCCATGGCAACTCTAAAGGATCAG-3’(No.4620)(下記配列表の配列番号69)、
5’-CAGTCGACTTAAAATTGCAGCTCCTTTTG-3’(No.4621)(下記配列表の配列番号70)
を用いて、文献(Tsujiboほか、Eur.J.Biochem.誌、1985年、147巻、9−15頁)に記載のヒトL−乳酸脱水素酵素構造遺伝子(HsLDH−ORF)をコードする遺伝子断片を、PCRによって増幅した。得られた増幅断片を、制限酵素NcoIおよびSalIを用いた二重消化ののち、日本国特開2000−262284号公報記載のマルチクローニングベクターpTL2M5のAflIII−SalI間に組み込み、LDH発現ベクターpTL2HsLDHを作製した。さらにpTL2HsLDHより発現カセットを制限酵素SpeIおよびBst1107Iを用いた二重消化によって切り出し、pXLTに組み込んで、pXLT−HsLDHを作製した。
得られた各形質転換体をYPD12液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース12%)に植菌して、温度32℃、振盪速度100rpmの条件下で4.5時間培養した。この時の培養液中の乳酸濃度をBioFlow(王子計測機器製)を用いて測定した。さらに同じ条件下で合計20時間培養を継続した。20時間培養後の培養液中の乳酸濃度を同様に測定した。
表2に、形質転換体株名、宿主株名、4.5時間培養後の乳酸濃度、20時間培養後の乳酸濃度を示す。
<S.ポンベ乳酸脱水素酵素高生産株の作製>
例1で作製したIGF543株(h− leu1−32 ura4−D18 pdc2−D23)は生育速度が遅いものであったので、その生育速度を回復すべく、IGF543株をYESプレート(イーストエキス0.5%/グルコース3%/SPサプリメント)にストリークして25℃にて培養し、得られたコロニーをYPD培地(イーストエキス1%/ペプトン2%/グルコース2%)に植え継ぎ25℃にて培養し、十分に生育した培養液を用いてグリセロールストックを作製し、−80℃にて保存した。上記作業を適切な生育速度が得られるまで繰り返し、生育速度の回復した株を作製した(名称はIGF543を継承)。
pTL2HsLDH(例2)を制限酵素SpeIおよびBst1107Iで二重消化し、得られた断片(hCMVプロモーター/LDH−ORF/LPIターミネ―ター)を、下記の工程で作製したTf2多座組込型ベクターpTf2MCS−ura4の制限酵素NheI−KpnI(末端平滑化)認識配列間に挿入し、組込型L−乳酸脱水素酵素遺伝子発現ベクターpTL2HsLDH−Tf2を作製した。
pTf2MCS−ura4の作製工程は次のとおりである。すなわち、細胞からの全ゲノムDNA抽出キット(キアゲン社製DNeasy)を用いて、S.ポンベの全ゲノムDNAを精製し、そのうちの1μgを鋳型として、5’末端側に制限酵素BsiWIの認識配列(CGTACG)を導入した下記プライマーペアー、
5’-AAGGCCTCGTACGTGAAAGCAAGAGCAAAACGA-3’ (下記配列表の配列番号71)、
5’-AAGGCCTCGTACGTGCTTTGTCCGCTTGTAGC-3’ (下記配列表の配列番号72)、
を用いて、PCR法によって、S.ポンベのTf2−2(GeneDB収載の系統名SPAC167.08遺伝子)のDNA断片(約3950塩基対)を増幅した。増幅DNA断片の両末端を制限酵素BsiWIで処理し、アガロースゲル電気泳動によって分離・精製し、インサート断片として調製した。
次に、染色体組込み用ベクターpXL4(Idirisほか、Yeast誌、23巻、83−99頁、2006年)を同じ制限酵素BsiWIで消化し、アンピシリン耐性遺伝子(ApR)と大腸菌の複製起点(pBR322 ori)を含む領域(約2130塩基対)を得た。そのDNA断片をさらに脱リン酸化酵素(タカラバイオ社製CIAP)で脱リン酸化処理し、アガロースゲル電気泳動によって分離・精製し、ベクター断片として調製した。
上記インサート断片とベクター断片とを、ライゲーションキット(タカラバイオ社製DNA Ligation Kit ver.2)を用いて連結した後、大腸菌DH5(東洋紡社製)を形質転換し、組換えプラスミドpTf2−2(6071塩基対)を作製した。
上記構築ベクターpTf2−2の0.1μgを鋳型として、下記プライマーペアー、
5’-GGGGTACCAAGCTTCTAGAGTCGACTCCGGTGCTACGACACTTT-3’(5’末端に制限酵素KpnI、HindIII、XbaI、SalIの認識配列を持つ)(下記配列表の配列番号73)、
5’-GGGGTACCAGGCCTCTCGAGGCTAGCCATTTCCAGCGTACATCCT-3’(5’末端に制限酵素KpnI、StuI、XhoI、NheIの認識配列を持つ)(下記配列表の配列番号74)、
を用い、PCR法によって全長を増幅し、6060塩基対の断片を得た。その両末端をKpnIで消化し、アガロースゲル電気泳動によって分離・精製したのち、ライゲーションキットを用いて自己環状化し、トランスポゾン遺伝子Tf2−2配列の内部にさらにマルチクローニングサイト(MCS)を持つ6058塩基対のベクターpTf2(MCS)を作製した。
上記構築ベクターpTf2(MCS)を制限酵素KpnIおよびNheIを用いて二重消化し、6040塩基対の断片をアガロースゲル電気泳動によって分離・精製した。さらにS.ポンベのウラシル要求性マーカーura4(GeneDB収載の系統名SPCC330.05c、オロチジン−5’−リン酸脱炭酸酵素遺伝子)の両端にPCR法を用いて制限酵素KpnIおよびNheIの認識配列を付加した断片を作製し、制限酵素KpnIおよびNheIを用いて二重消化し、2206塩基対の断片をアガロースゲル電気泳動によって分離・精製した。これら二本の断片をライゲーションキットを用いて連結し、トランスポゾン遺伝子Tf2−2配列の内部にさらにマルチクローニングサイト(MCS)を持つ8246基対のベクターpTf2(MCS)−ura4を作製した。
上記で作製したベクターを用い、岡崎らの方法(Okazakiほか、Nucleic Acids Res.誌、1990年、18巻、6485−6489頁)によりIGF543株(生育速度回復株)を形質転換し、選択培地MMA+Leuプレートに塗布した。得られた多数のシングルコロニーをYPD16(イーストエキス1%/ペプトン2%/グルコース16%)培地に植菌し32℃で72時間培養後、培養上清のみを試料とし、BF−4およびBF−5(王子計測機器)を用いて、グルコース、エタノール、L−乳酸濃度ならびに培地のpHの測定を行った。その結果を元に、これらの中から再度L−乳酸生産性の高いものを選抜し、さらにYPD12(イーストエキス1%/ペプトン2%/グルコース12%)培地で培養(20時間、44時間、66.5時間、80時間、176時間)後、同様に培養上清中のグルコース、エタノール、L−乳酸濃度ならびに培地のpHを測定し、L−乳酸の生産性が最も高い株を選抜、ASP2782(遺伝子型:h− leu1−32 ura4−D18 pdc2−D23 Tf2<HsLDH−ORF/ura4+)と命名した。
同様の工程でARC010株の形質転換体も作製し、ASP2767株とした。
<S.ポンベ乳酸脱水素酵素高生産株を用いた経時的培養試験>
例3で得られた形質転換体ASP2767株をYPD6液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース6%)に植菌して、温度32℃、振盪速度100rpmの条件下で24時間培養を行った。培養終了後、遠心分離(2000g、10分)により菌体を回収した。続いて5mlのYPD12L液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース12%、プロテオリピド1%)に上記回収菌体を5.2グラム(乾燥菌体換算)/リットルの濃度(OD660が26)になるように接種し、温度32℃、振盪速度100rpmの条件下で24時間培養を行い、培養液中のエタノール、乳酸濃度およびpHを経時的に測定した。結果を表3に示す。
乳酸脱水素酵素遺伝子を導入したS.ポンベを用いると、乳酸が蓄積して培養液のpHが2.9以下になる4時間から7時間の間において、pHが2.8から2.5にさらに低下し、かつ乳酸の濃度が上昇し、pH3以下の酸性条件下でもアルカリによる中和を行うことなく乳酸生産が可能であった。
<S.ポンベ乳酸脱水素酵素高生産株を用いた高密度培養試験>
例3で得られた形質転換体ASP2767をYPD6液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース6%)に植菌して、温度32℃、振盪速度100rpmの条件下で24時間培養を行った。培養終了後、遠心分離(2000g、10分)により菌体を回収した。続いて5mlのYPD12L液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース12%、プロテオリピド1%)に上記菌体を0.4、5.2、18.2、31.8、48.0グラム(乾燥菌体換算)/リットルの濃度(それぞれOD660が2、26、91、159、240)になるように接種し、それぞれ、温度32℃、振盪速度100rpmの条件下で培養を行ない、終了後、培養液中のグルコース、エタノールおよび乳酸濃度を測定した。結果、ならびにその測定結果より計算した、乳酸の対糖収率と生産速度を表4に示す。
<S.ポンベ乳酸脱水素酵素高生産株(pdc2削除株)を用いた高密度培養試験> 例3で得られた形質転換体ASP2782をYPD6液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース6%)に植菌して温度32℃、振盪速度100rpmの条件下で24時間培養を行った。培養終了後、遠心分離(2000g、10分)により菌体を回収した。続いて5mlのYPD12L発酵培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース12%、プロテオリピド1%)に上記菌体を0.2、3.8、15.0、23.8、31.6、46.8グラム(乾燥菌体換算)/リットルの濃度(それぞれOD660が1、19、75、119、158、234)になるように接種し、それぞれ、温度32℃、振盪速度100rpmで培養を行い、終了後、培養液中のグルコース、エタノールおよび乳酸濃度を測定した。結果、ならびにその測定結果より計算した乳酸の対糖収率と生産速度を表5に示す。
前記表4に示すように、PDC2を欠失させていない形質転換体ASP2767を用いた例5では、この例6に比べて対糖収率が低く、最も収率が高いものでも50%程度であった。これは、PDC2が欠失されていないために、乳酸発酵と同時にエタノール発酵が行われるためであると考えられる。
<S.ポンベ乳酸脱水素酵素高生産株(pdc2削除株)を用いた高密度繰返し培養試験>
例3で得られた形質転換体ASP2782をYPD6液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース6%)に植菌して温度32℃、振盪速度100rpmの条件下で24時間培養を行った。培養終了後、遠心分離(2000g、10分)により菌体を回収した。続いて5mlのYPD12L液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース12%、プロテオリピド1%)に上記菌体を30グラム(乾燥菌体換算)/リットル程度の濃度になるよう接種し、温度32℃、振盪速度100rpmの条件下で培養を行い、培養液中の乳酸とエタノールの濃度を測定した。培養終了後、遠心分離(2000g、10分)により培養上清ならびに菌体を回収した。回収された菌体を再び同じ液体培地に加えて培養を行った。さらにこの一連の操作を6回行なった。合計7回の培養における各接種濃度と培養時間、培養終了時のグルコース、エタノールおよび乳酸濃度の測定結果、ならびにその測定結果より計算した乳酸の対糖収率を表6に示す。
ASP2782株を用いた連続培養では、回数を重ねても乳酸の対糖収率が高度に維持されており、アルカリによる中和を行うことなく、乳酸を安定して高い生産性で生成されることが確認された。
<培地の最少化>
例3で得られた形質転換体ASP2782をYPD6液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース6%)に植菌して温度32℃、振盪速度100rpmの条件下で24時間培養を行った。培養終了後、遠心分離(2000g、10分)により菌体を回収した。続いて5mlのYPD12L液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース12%、プロテオリピド1%)またはD12液体培地(グルコース12%)に上記菌体を44.0グラム(乾燥菌体換算)/リットルになるように接種し、温度32℃、振盪速度100rpmの条件下で培養を行い、乳酸とエタノールの濃度を経時的に測定した。2つの培地における培養時間、培養液中のグルコース濃度、エタノール濃度、乳酸濃度およびその測定結果より計算した乳酸の対糖収率を表7に示す。
<S.ポンベ乳酸脱水素酵素高生産株を用いた乳酸生産結果>
ASP2767株を5mlのYPD24L液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース24%、プロテオリピド1%)に菌体濃度が0.2グラム(乾燥菌体換算)/リットルになるように接種して32℃で47時間培養を行った。培養終了後の乳酸生産量は124.2g/Lであった。ASP2767株を5mlのYPD12LA液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース12%、プロテオリピド1%、CSL−AST1%)に菌体濃度が74.6グラム(乾燥菌体換算)/リットルになるように接種して32℃で1時間発酵を行った。発酵終了後の乳酸生産量は58.6g/L、生産速度は58.6g/hであった。
ASP2782株を5mlのYPD12L液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース12%、プロテオリピド1%)に菌体濃度が31.6グラム(乾燥菌体換算)/リットルになるように接種して32℃で9時間発酵を行った。発酵終了後の乳酸生産量は99.2g/L、対糖収率は83%であった。ASP2782株を5mlのYPD12液体培地(イーストエキス1%、ペプトン2%、グルコース12%)に菌体濃度が44.0グラム(乾燥菌体換算)/リットルになるように接種して32℃で6時間発酵を行った。発酵終了後の乳酸生産量は85.7g/L、対糖収率は88%であった。
以上の結果から、pdc2遺伝子が削除されたASP2782株の方が、削除されていないASP2767株よりも優れた生産性を有することが示された。
本出願は、2009年8月21日出願の日本国特許出願2009−192271に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。なお、本明細書中に記載された文献の内容は、ここに参照として取り込まれる。
Claims (15)
- シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)を宿主とし、乳酸脱水素酵素遺伝子が組み込まれ、かつ前記シゾサッカロミセス・ポンベ宿主のピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子群の一部が欠失または失活している、形質転換体。
- 欠失または失活しているピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子がPDC2遺伝子である、請求項1に記載の形質転換体。
- 前記乳酸脱水素酵素遺伝子が哺乳動物の乳酸脱水素酵素遺伝子である、請求項1または2に記載の形質転換体。
- 前記乳酸脱水素酵素遺伝子がシゾサッカロミセス・ポンベの染色体に組み込まれている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の形質転換体。
- シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)を宿主とし、シゾサッカロミセス・ポンベ内で機能するプロモーターとターミネーターと乳酸脱水素酵素遺伝子とを含む発現カセットを有するベクターを用いて、前記発現カセットを前記宿主に導入して形質転換体を得ること、および、
前記宿主としてピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子群の一部が欠失または失活した宿主を用いるかまたは前記得られた形質転換体のピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子群の一部を欠失または失活させること、
を含む、乳酸脱水素酵素遺伝子が組み込まれかつピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子群の一部が欠失または失活している形質転換体の製造方法。 - 前記ベクターがさらにシゾサッカロミセス・ポンベの染色体に対して相同組換えを行わせる組換え部位を有し、このベクターを使用して発現カセットをシゾサッカロミセス・ポンベの染色体に導入する、請求項5に記載の形質転換体の製造方法。
- 宿主の染色体における相同組み換えを行わせる標的部位がトランスポゾン遺伝子Tf2である、請求項6に記載の形質転換体の製造方法。
- ピルビン酸脱炭酸酵素をコードする遺伝子としてPDC2遺伝子を欠失または失活させたシゾサッカロミセス・ポンベを宿主とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の形質転換体の製造方法。
- 前記乳酸脱水素酵素遺伝子が哺乳動物の乳酸脱水素酵素遺伝子である、請求項5〜8のいずれか一項に記載の形質転換体の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の形質転換体を培養液中で培養し、該培養液から乳酸を取得する乳酸の製造方法。
- 濃度1〜50質量%のグルコースを含む培養液を使用して培養を行う、請求項10に記載の乳酸の製造方法。
- 前記形質転換体により産生される乳酸により、前記培養液のpHが3.5以下になった後にさらに培養を継続する、請求項10または11に記載の乳酸の製造方法。
- 前記培養液中の形質転換体の初発菌体濃度を0.1〜50グラム(乾燥菌体換算)/リットルとする、請求項10〜12のいずれか一項に記載の乳酸の製造方法。
- 前記形質転換体により産生された培養液中の乳酸を中和することなく培養を継続する、請求項10〜13のいずれか一項に記載の乳酸の製造方法。
- 前記形質転換体により産生された培養液中の乳酸を中和することなく、培養液から乳酸を分離する、請求項10〜14のいずれか一項に記載の乳酸の製造方法。
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