JP2007512018A - 乳酸産生酵母 - Google Patents

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Abstract

本明細書では、培養した際に比較的高濃度の乳酸を産生し得る酵母が開示される。また本明細書では、乳酸産生酵母を培養した際に生じる副生成不純物のレベルが比較的低い培養培地も提供される。

Description

発明の詳細な説明
背景技術
本発明は、一般に、培養した際に比較的高濃度の乳酸を産生し得る酵母(例えば、真菌類)に関する。本発明はまた、当技術分野で公知の特定の培地で乳酸産生酵母を培養した場合よりも、そこで培養した方が、生じる副生成不純物のレベルが相対的に低い培養培地にも関する。
乳酸(2−ヒドロキシプロピオン酸、CHCHOHCOOH)は、発酵または化学合成によって生産可能な天然に存在するヒドロキシル酸である。乳酸は光学的に活性な最も単純なヒドロキシル酸である。発酵によれば、L(+)−乳酸が、D(−)−乳酸を含まずに直接生産することができる(例えば、既知の化学合成では、両異性体のラセミ混合物が生産される)。同様に、発酵によれば、L(+)−乳酸を含まずにD(−)−乳酸が生産可能である。乳酸は保存剤およびフレーバー増強剤として食品に使用することができる。乳酸誘導体は塗料や電着被覆剤、医薬品および化粧品などの工業用途で使用できる。乳酸の脱水によって生じ得る重要な化合物として、ポリ(乳酸)プラスチックがある。L(+)−乳酸は生分解性プラスチック用途のための好ましい重合原料である。
L(+)−乳酸発酵は、特定のラクトバチルス属(Lactobacillus)、バチルス属(Bacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)またはリゾープス属(Rhizopus)のような特定の微生物を回分法で培養することによって行うことができる。乳酸発酵において直面し得る一つの問題は、非解離型の酸の蓄積によって起こる増殖や代謝の阻害である(例えば、発酵液のpHの低下)(Buchta, 1983; Hongo et al., 1985; Benninga, 1990)。ある場合には、発酵プロセスのpHを、Ca(OH)、CaCO、NaOH、またはNHOHのような試薬を発酵に加えることで中性付近に制御することができる。結果として、得られた発酵液は様々な塩を高濃度で含有することになり、非解離型の乳酸の発酵液からの回収にコストがかかってしまう。さらに、特定のラクトバチルス属は、乳酸の生産のために、酵母抽出物またはコーンスティープリカー(CSL)のような複合窒素源を要求する場合があるので面倒である(WO99/19503)。このような複合窒素源は、乳酸の回収を複雑にし得るさらなる有機不純物および無機不純物を含み得る。
培養培地中で乳酸の蓄積によって起こる阻害を軽減する別の方法としては、例えば特定のリゾープス種の発酵中に発酵液から乳酸を連続的に除去することを含む。このような連続的除去にはポリビニルピリジンのような樹脂が使用できる。
乳酸は、高分子級原料として用いる場合、回収してできる限り最高純度まで精製することが好ましい。有機不純物(例えば、複合窒素源に由来)、無機不純物(培地成分と中和剤に関連)、および発酵中に産生生物が分泌する代謝中間体は総て除去するのが好ましい。
乳酸デヒドロゲナーゼ保持(例えば、LDH保持)プラスミドで形質転換した野生型S.セレビシエ(S. cerevisiae)は、培養した際にいくらかの乳酸を産生し得る。しかしながら、これらの組換え酵母細胞により、グルコースからのエタノール生成が同時に起こることから3つの問題が生じる可能性がある。第一に、乳酸発酵中にエタノール生成に用いられるグルコースは炭素の損失となり、グルコース1グラムを基準に計算した場合、乳酸の収量が低くなる。第二に、発酵液におけるエタノールの蓄積は乳酸生産の発酵効率を引き下げる。第三に、エタノールは実際には不純物であり、乳酸の精製過程で除去する必要がある。
ある種の酵母、特にクラブトリー(Crabtree)陽性酵母では、ピルビン酸の脱炭酸の主要経路にピルビン酸デカルボキシラーゼを含む。クラブトリー陽性酵母は好気条件下、過剰な糖(例えば、グルコース)の存在下で、または培養物の増殖速度が臨界増殖速度よりも高い場合に、ピルビン酸からアルコールを生じる。クラブトリー陽性酵母の例としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、およびシゾサッカロミセス・ポムベ(Schizosaccharomyces pombe)がある。炭素の流れをエタノール生産から、ピルビン酸から誘導される乳酸収量の向上へ向け直すためには、酵母におけるピルビン酸の脱炭酸を制限することが望ましい。
S.セレビシエ・ピルビン酸デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.1)はピルビン酸のアセトアルデヒドへの変換を触媒し、これは発酵代謝の第一段階である。ピルビン酸デカルボキシラーゼ構造遺伝子は、エタノールを産生できない酵母であるS.セレビシエでは妨害されている(Hohmann, 1997)。ピルビン酸デカルボキシラーゼは異化活性に加え、生合成作用もあるとの提案がある。ピルビン酸デカルボキシラーゼ陰性(Pdc)(例えば、検出可能な量のピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を持たない)サッカロミセス・セレビシエ株は、グルコースを単一炭素源とする場合、少量のエタノールまたは酢酸塩(例えば、炭素の5%が増殖に必要とされる)の添加なくしては、グルコース制限好気ケモスタットにおける合成培養培地では増殖できないことが当技術分野で知られている。
発明の開示
本発明の特定の実施形態は、酸耐性(AT)酵母株に向けられている。これらのAT酵母株は、培養培地中で培養した際に本質的にエタノールを産生せず、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)遺伝子を含むゲノムを含んでなる。好ましくは、この外因性LDH遺伝はL−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。この外因性LDH遺伝子はAT酵母の少なくとも一つの染色体の要素であり得、かつ/またはAT酵母に存在する少なくとも一つのプラスミドが外因性LDH遺伝子を含んでいてもよい。このLDHはAT酵母株で発現可能であり、その発現の結果、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有する乳酸デヒドロゲナーゼタンパク質が生じる。いくつかの実施形態では、このAT酵母株は検出可能な量のピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を持たない。特定の実施形態では、このAT酵母株の野生株はクラブトリー陽性である。さらに、このAT酵母株は、その親酵母株よりも低いpHの最小培地で乳酸を産生し得る。AT酵母株の親株はまた、培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生せず、かつ、発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)遺伝子を含むゲノムを有することから、その結果生じるタンパク質は乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有する。しかしながら、その親株はそれが酸耐性となるような操作(例えば、選抜)は受けていない。
AT酵母株は、約3.5より低いpH、より好ましくは約2.8より低いpH、最も好ましくは約2.3より低いpHで乳酸を産生し得ることが好ましい。また、AT酵母株は、最小培地で好気培養した際に(例えば、回分(batch)培養、流加(fed-batch)培養、またはケモスタットにて)培養液中で約500mMを超える乳酸を産生し得ることが好ましい。好ましくは、AT酵母株は、約2.3〜2.4の間のpHの培養液中で500mMの乳酸を産生し得る。より好ましくは、AT酵母株は、最小培地で好気培養した際に約565mMを超える乳酸、最も好ましくは約665mMを超える乳酸を産生し得る。いくつかの実施形態では、AT酵母株は、単一炭素源としてグルコースを含んでなる最小培地で培養した際にグルコース100グラム当たり約50グラムを超える乳酸を産生し得る。特定の実施形態では、AT酵母株は、単一炭素源としてグルコースを含んでなる最小培地で培養した際に、グルコース100グラム当たり50グラム〜85グラムの間の乳酸を産生し得ることが好ましく、グルコース100グラム当たり約70〜85グラムの間の乳酸を産生し得ることがより好ましい。好ましくは、AT酵母によって産生される乳酸はL−(+)乳酸である。好ましくは、このAT酵母株は、サッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセス、トルラスポラ(Torulaspora)、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ジゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)およびデッケラ(Dekkera)から選択される属に属する。より好ましくは、このAT酵母株はサッカロミセス属、カンジダ属、シゾサッカロミセス属またはクルイベロミセス属に属する。いっそうより好ましくは、このAT酵母株はサッカロミセス・セレビシエなどのサッカロミセス属に属する。特定の実施形態では、このAT酵母株は遺伝子型pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDHを有するサッカロミセス・セレビシエであり得る。特定の実施形態では、この酵母株はクルイベロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、ジゴサッカロミセス・バイリー(Zygosaccharomyces bailii)、シゾサッカロミセス・ポムベ(Schizosaccharomyces pombe)またはカンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)から選択することができる。
いくつかの実施形態では、AT酵母株は増殖のためにC炭素源があることに依存することから、いくつかの場合では、グルコースと少なくとも一種類のC炭素源から本質的になる炭素源を含んでなる第二の最小培地で増殖し得る。特定の実施形態では、AT酵母株はC炭素源非依存性である(例えば、CI酵母株)。このCI酵母株は、特定の実施形態では、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトースおよびガラクトースからなる群から選択される少なくとも一種類の所定の炭素源を含んでなる第二の最小培地で増殖可能である。特定の実施形態では、CI酵母は、単一炭素源としてグルコースを含む第二の最小培地で増殖可能である。
特定の実施形態では、AT酵母株は、少なくとも一種類の所定の炭素源、少なくとも一種類の所定の窒素源、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化第二鉄、硫酸マンガン、モリブデン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、ビオチン、イノシトール、チアミン、および水から本質的になる第二の最小培地で増殖可能である。所定の窒素源は、尿素、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種類の化合物を含んでなり得る。
特定の実施形態では、AT酵母株のゲノムの一部である外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、ラクトバチルス・プランタラム(プランタラム菌)(Lactobacillus plantarum)、ウシ、ラクトバチルス・カセイ(カセイ菌)(Lactobacillus casei)、バチルス・メガテリウム(巨大菌)(bacillus megaterium)、リゾープス・オリゼ(Rhizopus oryzae)またはバチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophylus)の乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子であり得る。このような遺伝子のヌクレオチド配列の例としては、Genbankでそれぞれ受託番号AJ293008、NP776524、M76708、M22305、Q9P4B6およびM19396として入手できる。いくつかの実施形態では、この外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はラクトバチルス・プランタラム乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。好ましくは、この外因性LDH遺伝子はL−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。好ましくは、この外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はプロモーターに機能的に連結されている。このプロモーターは好ましくは、強力な構成プロモーターである。特定の実施形態では、この好ましいプロモーターは、トリオースリン酸イソメラーゼプロモーター、ピルビン酸デカルボキシラーゼプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーターおよびL−トレオニンデヒドロゲナーゼプロモーターからなる群から選択されるプロモーターである。プロモーターはトリオースリン酸イソメラーゼプロモーターであることが好ましい。特定の実施形態では、このプロモーターは、クルイベロミセスピルビン酸デカルボキシラーゼプロモーターのようなピルビン酸デカルボキシラーゼプロモーターであり得る。
本発明の特定の実施形態は、培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生しない酸耐性(AT)S.セレビシエであって、そのゲノムが、AT S.セレビシエで発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる酸耐性(AT)S.セレビシエをに向けられている。特定の実施形態では、このAT S.セレビシエは検出可能な量のピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を持たない。好ましくは、この外因性LDH遺伝子はL−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。その発現の結果として生じる乳酸デヒドロゲナーゼタンパク質は乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、かつ、このAT S.セレビシエはその親S.セレビシエ株よりも低いpHの最小培地で乳酸を産生し得る。好ましくは、この外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はラクトバチルス・プランタラム乳酸デヒドロゲナーゼ 遺伝子である。好ましくは、このAT S.セレビシエ内の少なくとも一つのプラスミドが外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる。特定の実施形態では、このAT S.セレビシエは、遺伝子型pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDHを有し得る。好ましくは、このAT S.セレビシエは、第二の最小培地で好気培養した際に、培養液中に約500mMを超える乳酸を産生し得る。好ましくは、この第二の培養液は約2.3〜2.4のpHを有する。
本発明の特定の実施形態は、組換え酵母株で発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなるゲノムを有する組換え酵母株に向けられている。好ましくは、この外因性LDH遺伝子はL−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。その発現の結果として生じる乳酸デヒドロゲナーゼタンパク質は乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、この組換え酵母株は最小培地で培養した際に、少なくとも約565mMの乳酸、より好ましくは少なくとも約665mMの乳酸を産生し得る。この組換え酵母株は約3.5より低い、好ましくは約2.8より低い、より好ましくは約2.3より低い、最も好ましくは約2.0より低いpHで乳酸を産生し得る。特定の実施形態では、この組換え酵母株の野生株はクラブトリー陽性である。この組換え酵母はS.セレビシエであることが好ましい。
本発明の特定の実施形態は、酸耐性C炭素源非依存性(CI)酵母株に向けられている。CI酵母は培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生せず、かつ、それらのゲノムは発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる。好ましくは、この外因性LDH遺伝子はL−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。この発現により生じる乳酸デヒドロゲナーゼタンパク質は乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有する。このCI酵母株は、単一炭素源としてグルコースを含んでなる第一の最小培地にて好気条件下で培養した際に乳酸を産生することができ、かつ、それらは親株よりも低いpHの第一の最小培地で乳酸を産生し得る。好ましくは、その親株はC炭素源依存性である。いくつかの実施形態では、CI酵母は検出可能な量のピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を持たない。特定の実施形態では、同株の野生型酵母株はクラブトリー陽性である。いくつかの実施形態では、CI酵母株はラクトバチルス・プランタラム、ウシ、ラクトバチルス・カセイ、バチルス・メガテリウム、リゾープス・オリゼまたはバチルス・ステアロサーモフィラスの外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含み得る。好ましくは、このCI酵母株はラクトバチルス・プランタラム乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。CI酵母株の染色体は、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子および/またはCI酵母株内に存在し得る、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる少なくとも一つのプラスミドを含み得る。特定の実施形態では、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は2ミクロンプラスミドの一部であり得る。
特定の実施形態では、CI酵母株は約2.8より低いpH、より好ましくは約2.3より低pHで乳酸を産生し得る。いくつかの実施形態では、このCI酵母株は、最小培地で培養した際にグルコース100g当たり約50gを超える乳酸を;いくつかの実施形態では、グルコース100g当たり約50〜85gの間の乳酸を;また、いくつかの実施形態では、グルコース100g当たり約70〜85gの間の乳酸を産生し得る。いくつかの実施形態では、CI酵母株は、最小培地で好気培養した際に培養液中に約565mMを超える乳酸を産生し得る。好ましくは、このCI酵母株は約2.3〜2.4の間のpHで培養する。より好ましくは、このCI酵母株は約665mMを超える乳酸を産生し得る。CI酵母株はサッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセス、トルラスポラ、クルイベロミセス、ジゴサッカロミセスおよびデッケラからなる群から選択される属に属することが好ましい。より好ましくは、CI酵母株はサッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセスおよびクルイベロミセスからなる群から選択される属に属する。いくつかの実施形態では、このCI酵母株はサッカロミセス・セレビシエ、クルイベロミセス・サーモトレランス、ジゴサッカロミセス・バイリー、シゾサッカロミセス・ポムベまたはカンジダ・グラブラタからなる群から選択される種に属する。特定の実施形態では、CI酵母株は遺伝子型pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDHを有するサッカロミセス・セレビシエであり得る。このCI酵母株は好気回分培養、好気流加培養または好気ケモスタットにて増殖可能である。
このCI酵母株は、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトースおよびガラクトースからなる群から選択される少なくとも一種類の所定の炭素源を含んでなる第二の最小培地で増殖可能である。特定のCI酵母株は、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトースおよびガラクトースからなる群から選択される少なくとも一種類の所定の炭素源、尿素、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウムおよび硫酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種類の窒素源、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化第二鉄、硫酸マンガン、モリブデン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、ビオチン、イノシトール、チアミン、および水から本質的になる最小培地で増殖可能である。
本発明の特定の実施形態は、少なくとも一種類の所定の炭素源、少なくとも一種類の窒素源、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化第二鉄、硫酸マンガン、モリブデン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、ビオチン、イノシトール、チアミン、および水から本質的になる基本培地を含んでなる最小培養培地に向けられている。特定の実施形態では、最小培養培地は、この基本培地から本質的になる。特定の実施形態では、所定の炭素源は、C炭素源と、所望によりグルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトースおよびマルトースからなる群から選択される少なくとも一種類の化合物とを含んでなる。あるいは、いくつかの実施形態では、最小培養培地は単一炭素源としてグルコースを含んでなる。特定の実施形態では、この窒素源は尿素、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムおよびリン酸アンモニウムからなる群から選択される化合物である。いくつかの実施形態では、この最小培養培地は約0.5〜5g/リットルの間の硫酸アンモニウム;より好ましくは、約0.5〜2g/リットルの間の硫酸アンモニウム;最も好ましくは、約1〜2g/リットルの間の硫酸アンモニウムを含んでなる。特定の実施形態では、この最小培養培地は約0.1〜2g/リットルの間の尿素;より好ましくは、約0.1〜1g/リットルの間の尿素;最も好ましくは、約0.5〜2g/リットルの間の尿素を含んでなる。この最小培養培地は、特定の実施形態では、炭酸カルシウムを含んでなる。いくつかの実施形態では、この最小培地は約2.78g/リットルの炭酸カルシウムを含んでなる。いくつかの実施形態では、この最小培養培地は約1000ppmのCa+2を含んでなる。特定の実施形態では、この最小培地は約5g〜100g/リットルのグルコースを含んでなる。特定の実施形態では、この最小培養培地は約0.2〜2g/リットルの間のリン酸一カリウム;約0.1〜1g/リットルの間の硫酸マグネシウム;約5〜50マイクログラム/リットルの間の硫酸銅;約0.05〜0.25mg/リットルの間の塩化第二鉄;約0.05〜0.5mg/リットルの間の硫酸マンガン;約0.05〜0.25mg/リットルの間のモリブデン酸ナトリウム;約0.05〜0.5mg/リットルの間の硫酸亜鉛;約0.5〜2.5マイクログラム/リットルの間のビオチン;約0.5〜4mg/リットルの間のイノシトール;および約0.05〜0.5mg/リットルの間のチアミンを含んでなる。
いくつかの実施形態では、本発明の最小培養培地は約5g〜100g/リットルの間のグルコースまたは約0.1重量%〜1重量%の間のエタノール、約5g/リットルの硫酸アンモニウムまたは約1g/リットルの尿素、約1g/リットルのリン酸一カリウム、約0.5g/リットルの硫酸マグネシウム、約40マイクログラム/リットルの硫酸銅、約0.2mg/リットルの塩化第二鉄、約0.4mg/リットルの硫酸マンガン、約0.2mg/リットルのモリブデン酸ナトリウム、約0.4mg/リットルの硫酸亜鉛、約2マイクログラム/リットルのビオチン、2mg/リットルのイノシトール、および約0.4mg/リットルのチアミンを含んでなる。特定の実施形態では、この最小培養培地は、約0.1重量%〜1重量%の間のエタノールをさらに含んでなってよい。
本発明の特定の実施形態は、水、約70g/リットルのグルコース、約0.5重量%のエタノール、約1g/リットルの尿素、約1g/リットルのリン酸一カリウム、約0.5g/リットルの硫酸マグネシウム七水和物、約2.78g/リットルの炭酸カルシウム、約62.5マイクログラム/リットルの硫酸銅五水和物、約200マイクログラム/リットルの塩化第二鉄、約450マイクログラム/リットルの硫酸マンガン一水和物、約235マイクログラム/リットルのモリブデン酸ナトリウム二水和物、約712マイクログラム/リットルの硫酸亜鉛七水和物、2マイクログラム/リットルのビオチン、2000マイクログラム/リットルのイノシトール、および400マイクログラム/リットルの塩酸チアミンから本質的になる培養培地に向けられている。
本発明のいくつかの実施形態は、約400〜1100ppmの間のN、約215〜287ppmの間のK、約525〜700ppmのPO −2、約49ppmのMg+2、約195ppmのSO −2、約1100ppmのCa+2、約0.07ppmのFe+3、約0.145ppmのMn+2、約0.09ppmのMo−4、約0.16ppmのZn+2、約0.015ppmのCu+2、約0.002mg/リットルのビオチン、約2mg/リットルのイノシトール、約0.4mg/リットルの塩酸チアミンおよび水を含んでなる培養培地に向けられている。
本発明の特定の実施形態は、組換え酵母株で発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなるゲノムを有する組換え酵母株に向けられている。その発現の結果として生じる乳酸デヒドロゲナーゼタンパク質は乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、かつ、その組換え酵母株を、単一炭素源としてグルコースを含んでなる最小培地で培養した際に、グルコース100グラム当たり少なくとも約50グラムの乳酸を産生し得る。好ましくは、この組換え酵母株は、単一炭素源としてグルコースを含む最小培地で増殖させた際に、グルコース100グラム当たり約50〜85グラムの間の乳酸を産生することができ、最も好ましくは、この組換え酵母株はグルコース100グラム当たり約70〜85グラムの間の乳酸を産生し得る。この組換え酵母株は約3.5より低いpHで、より好ましくは約2.8より低いpHで、いっそうより好ましくは約2.3より低いpHで、最も好ましくは約2より低いpHで増殖可能である。
本発明の特定の実施形態は、乳酸を生産する方法であって、組換え酵母株で発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなるゲノムを有する組換え酵母株を第一の培養培地で好気培養することを含み、その発現の結果として生じるタンパク質が乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、その組換え酵母株が、単一炭素源としてグルコースを含んでなる最小培地で増殖させた際にグルコース100グラム当たり少なくとも約50グラムの乳酸を産生することができ、かつ、その組換え酵母株が約3.5より低いpHで増殖可能である方法に向けられている。
本発明の特定の実施形態は、第一の酵母株(例えば、親株)を第一の好気培養物として増殖させることを含む選択プロセスによって回収される酸耐性(AT)酵母株に向けられている。この第一の好気培養は、第一の最小培地に、培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生せず、かつ、発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を有するゲノムを含んでなる第一の酵母株を接種することにより始める。特定の実施形態では、この第一の酵母株は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性またはアルコールデヒドロゲナーゼ活性の少なくとも一方を欠損している。その発現の結果として生じる乳酸デヒドロゲナーゼタンパク質は乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有する。特定の実施形態では、第一の酵母株の野生型酵母株はクラブトリー陽性である。第一の好気培養の増殖中、培地のpHは低下する。この選択プロセスは、第一の酵母株が第一の最小培地中でなお増殖し得る最低付近のpHを決定する工程、および第一の好気培養物がなお増殖し、かつ、pHが最低付近であるときに、第一の好気培養物から少なくとも一つの第二の酵母株を回収する工程をさらに含む。この選択プロセスは、特定の実施形態では、第二の好気培養物を増殖させる工程(1)をさらに含み、これは新鮮な最小培地に、回収した第二の酵母株を接種することにより始める。第二の好気培養物の増殖中にその培養物のpHは低下する。次に、(2)第二の好気培養物がなお増殖し、かつ、その培養物のpHが第一の好気培養物の最低付近のpHよりも低いときに、第二の好気培養物から少なくとも一つの第三の酵母株を回収する。いくつかの実施形態では、工程(1)と(2)を少なくとも一度繰り返し、それは前の工程から回収した酵母株を新鮮な最小培地に接種することを含む。先の工程の、AT酵母株が増殖している好気培養物の最低付近のpHが、その前の工程の、AT酵母株が増殖している好気培養物の最低付近のpHよりも低いことが好ましい。
本発明の特定の実施形態は、増殖にC炭素源を含んでなる最小培地を要求するAT酵母株を最小培地に接種することを含むプロセスにより選択される酸耐性C炭素源非依存性(CI)酵母株に向けられている。この酵母株を第二の最小培地を用い、一連の好気回分培養で培養する。その回の最初の時点で、第二の最小培地は単一炭素源としてグルコースとC炭素源とを、酵母培養物を増殖させるの十分な濃度で含む。その回の回分培養中に、このC炭素源の濃度は低下し、各連続回分培養には、前回の回分培養で増殖させた酵母を接種する。C炭素源を用いずに、単一炭素源としてグルコースを用いて増殖し得る、その回の回分培養物から少なくとも一つのCI酵母株を回収する。特定の実施形態では、このAT株はピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素活性またはアルコールデヒドロゲナーゼ酵素活性の少なくとも一方を欠損している。いくつかの実施形態では、このAT株はクラブトリー陽性である。
本発明のいくつかの実施形態は、乳酸またはその塩を生産する方法に向けられている。これらの方法は、最小培地でAT酵母株またはCI酵母株を培養することを含む。これらの酵母株および最小培地は上記の通りである。いくつかの実施形態では、ATまたはCI酵母株の培養から得られる培養液は、本質的に同じ培養条件下、本質的に同じ最小培地で親株を培養することから得られる培養液よりも低いppmの、グリセロール、エリトリトール、リンゴ酸、ピルビン酸、コハク酸、ギ酸およびフマル酸のうち少なくとも一種類を含んでなる。
乳酸およびその塩を生産するためにATまたはCI酵母株を培養する培養培地は、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトースおよびガラクトースからなる群から選択される少なくとも一種類の所定の炭素源を含んでなる最小培地であり得る。酵母株がC炭素源非依存性である特定の実施形態では、この最小培地は単一炭素源としてグルコースを含んでなる。他の実施形態では、AT酵母株はC炭素源依存性であり、最小培地はグルコースから本質的になる炭素源と少なくとも一種類のC炭素源とを含んでなる。特定の実施形態では、最小培養培地は少なくとも一種類の所定の炭素源、少なくとも一種類の窒素源、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化第二鉄、硫酸マンガン、モリブデン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、ビオチン、イノシトール、チアミンおよび水から本質的になり、ここで、窒素源は、尿素、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、得られる培養液から乳酸を回収および精製する。この精製は蒸留、イオン交換、ナノフィルトレーションまたは溶媒抽出のうち少なくとも一つを含む。
いくつかの実施形態では、培養から得られる培養液は約500mMを超える乳酸、より好ましくは565mMを超える乳酸、最も好ましくは約665mMを超える乳酸を含んでなる。特定の実施形態では、このATまたはCI酵母株は約3.5より低いpHで、より好ましくは約2.8より低いpHで、最も好ましくは約2.3より低いpHで乳酸を産生し得る。好ましくは、産生される乳酸は本質的にL−乳酸からなる。特定の実施形態では、このATまたはCI酵母株はサッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセスおよびクルイベロミセスからなる群から選択される属に属してよく、より好ましくは、このATまたはCI酵母株はサッカロミセス・セレビシエであり得る。特定の実施形態では、このATまたはCI酵母株は遺伝子型pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDHを有するサッカロミセス・セレビシエであり得る。このATまたはCI酵母株は好気回分培養、好気流加培養または好気ケモスタットで培養することができる。AT酵母株の培養から得られる培養液は、特定の実施形態では、本質的に同じ培養条件下、本質的に同じ最小培地で親株を培養することから得られる培養液よりも低いppmの、グリセロール、エリトリトール、リンゴ酸、ピルビン酸、コハク酸、ギ酸およびフマル酸のうち少なくとも一種類を含み得る。この乳酸またはその塩の生産方法は、例えば、蒸留、イオン交換、ナノフィルトレーションまたは溶媒抽出のうち少なくとも一つにより培養液を精製する工程をさらに含み得る。
本発明のある実施形態は寄託番号NRRL Y−30696を有する酸耐性酵母株に向けられている。本発明のもう一つの実施形態は、寄託番号NRRL Y−30697およびY−30698を有する酸耐性C炭素源非依存性酵母株に向けられている。
特定の実施形態は、少なくとも約500mMの乳酸と第一の化合物群を含んでなる発酵液に向けられている。より好ましくは、この発酵液は少なくとも約565mMの乳酸、最も好ましくは少なくとも約665mMの乳酸を含んでなる。発酵液中の、第一の化合物群mMに対する乳酸mMの比率は少なくとも約54、より好ましくは少なくとも約66、最も好ましくは少なくとも約184である。この第一の化合物群はグリセロール、エリトリトール、マンニトール、リンゴ酸、ピルビン酸、コハク酸、ギ酸およびフマル酸からなる。好ましくは、この発酵液のpHは約2.3〜2.4の間である。好ましくは、この発酵液はS.セレビシエ、より好ましくは上記のような組換えS.セレビシエの発酵産物である。発酵液を生じる培養は、好気回分培養、好気流加培養または好気ケモスタットにて行うことができる。
本発明の特定の実施形態は、複製開始点とプロモーターに機能的に連結されているラクトバチルス乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなるプラスミドに向けられている。この複製開始点は好ましくは、2ミクロン複製開始点など、当技術分野で公知の酵母複製開始点である。好ましくは、この乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はL−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。このラクトバチルス乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、プロモーターに機能的に連結した際に酵母で発現可能ないずれのものであってもよい。好ましくは、この乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はラクトバチルス・プランタラム乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。このプロモーターは酵母によって認識される、当技術分野で公知のいずれのものであってもよい。このプロモーターはS.セレビシエにより認識されるものであるのが好ましい。特定の実施形態では、このプロモーターはトリオースリン酸イソメラーゼプロモーターであり得る。特定の実施形態では、このプロモーターは、クルイベロミセスピルビン酸デカルボキシラーゼプロモーターのようなピルビン酸デカルボキシラーゼプロモーターであり得る。他の実施形態では、このプロモーターはアルコールデヒドロゲナーゼプロモーターおよびL−トレオニンデヒドロゲナーゼプロモーターから選択される。
日用品用途にはコスト効率のよい乳酸生産法の開発が望まれる。酵母にあっては、エタノールを生じずに乳酸を生じるサッカロミセス・セレビシエ株を確保することが望ましい。このような酵母は、低pH環境で化学的に定義された最小培地で乳酸を産生することができ、かつ、増殖にC化合物を要求しないものが望ましい。
本発明を実施するための最良の形態
「ピルビン酸デカルボキシラーゼ」(Pdcp)とは、ピルビン酸のアセトアルデヒドへの変換を触媒し得るタンパク質(例えば、酵素)を意味する。「PDC」とは、ピルビン酸デカルボキシラーゼの野生型遺伝子を意味する。「pdc」とは、変異型ピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子を意味する。「検出可能な量でないピルビン酸デカルボキシラーゼ活性」とは、従前に記載の方法(van Maris, et al. 2003)を用いた場合に、0.005マイクロモル/分・mgタンパク質の検出限界未満の酵母におけるピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を意味する。ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性は当技術分野で公知の方法を用いて、酵母株で低下させる、または酵母株から本質的に除去することができる。例えば、ピルビン酸デカルボキシラーゼ構造遺伝子、ピルビン酸デカルボキシラーゼ構造遺伝子のプロモーター、ピルビン酸デカルボキシラーゼ構造遺伝子の発現を調節する遺伝子またはその調節遺伝子のプロモーターを変異させたり、妨害したり、あるいはその遺伝子の少なくとも一部を欠失させたりすることができる。またさらには、その遺伝子発現を当技術分野で公知の他の方法を用いて変化させることもできる。例えば、ピルビン酸デカルボキシラーゼmRNAからピルビン酸デカルボキシラーゼタンパク質への翻訳を低下させるアンチセンス構築物を酵母株に導入することができる。
「乳酸デヒドロゲナーゼ」(Ldhp)とは、ピルビン酸の乳酸への変換を触媒するタンパク質(例えば、酵素)である。「LDH」とは、発現した場合に乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を生じる野生型遺伝子を意味する。「ldh」とは、変異型乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を意味する。本願においてLDHは、当技術分野で乳酸デヒドロゲナーゼとは呼ばれていないが、発現した場合に乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を生じる遺伝子を含み得る。乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は立体特異性を示し得る。すなわち、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はL−乳酸のみ、またはD−乳酸のみを産生する反応を触媒し得る。他の乳酸デヒドロゲナーゼはL−乳酸およびD−乳酸の双方を産生する反応を触媒する。L−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はピルビン酸のL−乳酸への変換を触媒する。
「Pdc陰性酵母株」とは、検出可能なピルビン酸デカルボキシラーゼ活性は持たず、合成培養培地において単一炭素源としてのグルコース上での好気環境では増殖しない酵母を意味する。少なくともいくつかのPdc陰性株は、最小培地中の好気環境で増殖している場合には検出可能な量のエタノール(例えば、約1ppmより低い)を産生しない。Pdc陰性サッカロミセス・セレビシエは、グルコース制限好気ケモスタットにて合成培地で増殖させる場合には、少量のC炭素源(例えば、エタノール、アセトアルデヒドおよび/または酢酸塩)の添加を必要とする。Pdc陰性株の同質遺伝子型野生株はクラブトリー陽性であり、検出可能なピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有する(下記の考察参照)。クラブトリー陽性野生株からピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を除去した場合に(例えば、とりわけ、構造遺伝子の妨害もしくは突然変異、または遺伝子発現の調節の妨害による)、単一炭素源としてグルコースを含む培養培地で増殖できないPdc陰性株を得ることができる。
「野生型酵母」とは、遺伝可能な遺伝的変化がゲノムに導入された際に変異型酵母が作出される酵母を意味する。言い換えれば、変異型酵母株は、野生型酵母株のゲノムには存在しない特定の突然変異、欠失または挿入がゲノムに導入されているという点で野生型株とは異なる遺伝子型を有するものである。従って、野生型酵母株は、変異型酵母株のゲノムに存在している変化を欠いている。この変異型酵母株は、野生株とは異なる表現型を持つ場合もある。変異型酵母株は、とりわけ、相同組換え、指定突然変異誘発またはランダム突然変異誘発をはじめとする当技術分野で公知の方法によって作出することができる。特定の場合、変異型酵母株は自然選択を含む方法によって回収することができる。
「親酵母」とは、新たな酵母株が直接由来する酵母を意味する。例えば、親株は、増殖にC炭素源(下記参照)を要求する、そのゲノムに外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含む酵母を含み得る。乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を有する酸耐性酵母株は、酸耐性に関する選択プロセスによって親株から誘導され得るものである。この酸耐性C炭素源依存性酵母株は、次に、酸耐性酵母株のC炭素源非依存生に関する選択プロセスによって、乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を有する酸耐性C炭素源非依存性酵母株の親株となり得る。親株は場合によって野生株であり得るが、必ずしもそうでなくてよい。
「C炭素源非依存性酵母株」とは、エタノールを本質的に産生せず、かつ、単一炭素源としてグルコースを含む最小培地で培養した際にC炭素源を要求しない酵母を意味する。このC炭素源非依存性酵母株は、好気培養においてグルコースが他の単一炭素源である最小培地で増殖するのにC炭素源を要求する親株(エタノールを本質的に産生しない)の操作(例えば、とりわけ、選択または部位指定突然変異誘発)によって誘導することができる。
「酸耐性酵母」とは、その親株よりも低いpHで乳酸を産生し得る酵母を意味する。酸耐性酵母は好気的環境で増殖している際に検出可能な量の(例えば、1ppmより低い)エタノールを産生できない。回分培養におけるS.セレビシエでは、本発明の特定の酸耐性S.セレビシエが乳酸を産生可能なpHは約4より低い。
「クラブトリー効果」とは、(a)過剰な酸素と過剰な糖(例えば、炭水化物)(特定の実施形態では「過剰な糖」とは、約1mMを超える濃度である)を含む環境、または(b)酵母株の比増殖速度がグルコース上での臨界比増殖速度よりも高い(例えば、グルコース上での最大比増殖速度の約3分の2)培養、において酵母株が行うアルコール発酵として定義される。酵母株がクラブトリー効果を示す場合には「クラブトリー陽性」であり、クラブトリー陽性酵母株は過剰な糖の存在下で主要なピルビン酸脱炭酸経路としてピルビン酸デカルボキシラーゼ経路を利用する。クラブトリー陽性酵母の例は、とりわけ、サッカロミセス・セレビシエ、カンジダ・グラブラタ(他にはトルロプシス・グラブラタとしても知られる)、ジゴサッカロミセス・バイリーおよびシゾサッカロミセス・ポムベに見出せる。「カルブトリー陰性酵母株」は、ピルビン酸脱炭酸の主要機構としてデヒドロゲナーゼ複合反応を用いる。カルブトリー陰性酵母株では、過剰な糖で好気増殖している際にはアルコール発酵はほとんど起こらず、呼吸によるピルビン酸代謝が優勢となる。カルブトリー陰性酵母株においてピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を排除しても、糖上での好気増殖に何ら影響は見られない。カルブトリー陰性酵母の例としては、カンジダ・ウチリス(Candida utilis)、クルイベロミセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)およびヤローウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)に見出せる。
「培養培地」とは、微生物(例えば、酵母)が増殖可能な、少なくとも一種類の炭素源を含む十分な栄養素を含んでなる固形培地または液体培地を意味する。ケモスタット、流加培養または回分培養では、培地は液体である。
「炭素源」とは、微生物(例えば、酵母)が同化可能であり、かつ、新しい細胞材料を作り出すのに使用できる有機化合物(例えば、とりわけグルコースなどの所定の炭素源または有機化合物の混合物(例えば、酵母抽出物)を意味する。有機化合物の混合物は、正確な成分および/または有機成分の量が未知の複合炭素源か、または既知量の既知有機化合物(例えば、とりわけ、グルコース、フルクトース、マルトース)からなる所定の炭素源のいずれであってもよい。特定の場合には、複合炭素源は複合窒素源としても働き得る。複合炭素源の例としては、とりわけ、デンプン、マルトデキストロース、セルロース加水分解物およびデンプン加水分解物を、グルコースを生成するための酵素と組み合わせたものが挙げられる。所定の炭素源は好ましくは少なくとも約90重量%純度、より好ましくは約95重量%純度、最も好ましくは約98重量%純度である。例えば、グルコースが単一炭素源である場合、この炭素源は少なくとも約90%グルコースを含んでなる。所定の炭素源の成分がグルコースとフルクトースである場合、炭素源の少なくとも約90%がグルコースおよびフルクトースである。所定の炭素源はより高次の糖類を最小限の量で含むのが好ましい。
「C炭素源」とは、炭素2個を有する炭素源を意味する。C炭素源の例としては、酢酸塩、アセトアルデヒドおよびエタノールが挙げられる。
「最小培地」または「合成培地」とは、総て定義された窒素源、塩類、微量要素、ビタミン類および炭素源を含んでなる、微生物(例えば、酵母)を培養するための培養培地を意味する。炭素源は、とりわけ、グルコース、スクロース、ラクトース、マルトース、ガラクトースまたはフルクトースの少なくとも一種類を含み得る。最小培地は非タンパク質性の窒素源を含んでなる。合成培地は、例えば、とりわけコーンスティープリカー、酵母抽出物またはペプトンなど複合培養培地で使用可能な、その組成が定義されていない栄養源は含まない。
「液体培養培地で増殖可能である」とは、適当な培養条件下(例えば、とりわけ、pHおよび温度)、液体培養培地に導入される微生物(例えば、酵母)の、培養物の増殖期に複製してその培養物のバイオマスを増大させる能力を意味する。
「液体培地で培養する」とは、液体培養培地での微生物の増殖および/または微生物が産生する乳酸の継続的な蓄積を意味する。
「ケモスタット」とは、比増殖速度と細胞数の双方を独立に制御することができる微生物(例えば、酵母)の連続培養を可能とする装置を意味する。連続培養とは本質的に、培地を連続的に加え、オーバーフローの連続的除去が可能な一定量のフローシステムである。このようなシステムが一度平衡状態となると、細胞数および栄養状態が一定となり、そのシステムは定常状態となる。ケモスタットでは、希釈率および、炭素源または窒素源などの制限栄養素の濃度の変更により、培養物の集団密度と比増殖速度の双方を制御することができる。
ケモスタットは微生物の変異株の選択に使用できることが当技術分野で知られている。ケモスタットにおいて培養物が増殖するにつれて条件を変更する(例えば、とりわけ、接種株の増殖に必要な二次的炭素源の濃度を引き下げる)ことにより、変更された条件でより速く増殖できる集団の微生物が選択され、その新しい条件下で同じようには機能しない微生物よりも速く増殖する。典型的には、このような選択は、ケモスタット培養の増殖過程にわたって少なくとも一種類の培養成分の段階的増加または低下を要する。
「回分培養」とは、増殖に適さなくなるまで、増殖中の微生物の作用によって継続的に変化していく一定量の培養培地で生じる増殖を伴う、微生物の閉鎖系培養を意味する。回分培養では、好気培養における酸素分子を除き、微生物の増殖に必要な総ての栄養素が、培養開始前の培地に存在する。回分培養における微生物の拡張培養(例えば、振盪フラスコ)は、接種株が増殖しないか、増殖が不十分な条件下で、比較的よく増殖する自然突然変異株の選択に使用できることが当技術分野で知られている。
「一連の回分培養」とは、その回の間に変化する少なくとも一種類の所定の成分(すなわち、特定の炭素源の濃度)を含む培養培地中で、第一の酵母株の第一の回分培養物を増殖させることを含む。増殖した第一の回分培養物のアリコートを第二の回分培養の種菌とする。その後、増殖した第二の回分培養のアリコートを第三の培養の種菌とするなどである。一連の工程の数は様々であってよい。その回の回分培養の過程で、所定の成分の濃度は増加または低下する。その回の所定の工程(例えば、回分培養)における条件下で最もよく増殖できる微生物が選択され(例えば、特定の培養条件下で同じようには増殖しない他の微生物よりも速く増殖する)、次の回分培養の種菌として用いられる。このように、その回の過程で、第一の酵母株が増殖できない条件下で増殖できるか、または同じ増殖条件下で第一の酵母株よりもよく増殖する微生物が選択できる。選択された培養物から、その後、個々の純粋な株を単離することは当技術分野で知られている。これは少量の培養生物を線条接種することにより、または当技術分野で公知の他の方法によって行うことができる。
「流加培養」とは、微生物の培養過程で培養容器または発酵槽において培養培地に一種類以上の栄養素を供給する培養技術を意味する。ケモスタット培養とは対照的に、培養中に微生物が含まれる。発酵槽に総ての栄養素を徐々に供給する場合もある。時間条件、温度条件、pH条件、通気条件および特定の栄養素を発酵槽に供給する速度は特定の使用株によって異なる。
「選択」とは、特定の遺伝子型を有する細胞の増殖に有利な条件下に酵母を置くことを意味する。特定の遺伝子型(多くの場合、遺伝的突然変異の結果)は、選択された酵母の後代がその親株よりも速く増殖し得る、かつ/またはその親株にとって代わり得る特定の環境条件下で、選択された酵母に優位性を与える。
「遺伝子」とは、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質もしくはRNA分子、および発現の調節に関与するコード配列にフランキングする領域をコードする染色体DNA、プラスミドDNA、cDNA、合成DNAまたは他のDNAを意味する。
「突然変異」とは、核酸配列におけるいずれかの変化または変更を意味する。点突然変異、フレームシフト突然変異およびスプライシング突然変異をはじめ、いくつかのタイプが存在する。突然変異は特異的または無作為に起こり得る。
「オープンリーディングフレーム(ORF)」とは、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質をコードするDNAまたはRNAの領域を意味する。
「プロモーター」または「プロモーター領域」とは、RNAポリメラーゼおよび/または適正な部位での翻訳の開始に必要な他の因子に認識部位を提供することによってメッセンジャーRNA(mRNA)の生成を制御するエレメントを含むDNA配列を意味する。
「プラスミド」とは、環状で、染色体外の、自己複製種のDNAを意味する。
「ゲノム」とは、宿主細胞内にある染色体とプラスミドの双方を包含する。
「2ミクロンプラスミド」とは、特定の酵母細胞(例えば、S.セレビシエ)内で複製可能な酵母クローニングベクターを意味する。プラスミド上に置くことのできる特定の遺伝子は、酵母宿主細胞(例えば、2ミクロンプラスミドで形質転換した酵母)内で認識および使用されるプロモーターと、そのプラスミド上で作動可能なように連結させれば、発現させることができる。
「転写」とは、DNA鋳型から相補的RNAを作製するプロセスを意味する。
「翻訳」とは、メッセンジャーRNAからタンパク質を作製することを意味する。
「少なくとも〜の濃度」とは、特定の酵母培養物において達成可能な最小濃度(例えば、乳酸g/LまたはmM)を意味する。
本発明において「乳酸」とは、非解離型の酸および乳酸塩の双方を包含する。従って、グルコース100g当たりXgの乳酸とは、発酵に供給されるグルコース100gに対する非解離型乳酸と乳酸陰イオンを合わせたものの総量を意味する。発酵液が約3.0〜4.5の間のpH値を有する場合には、有意な量の乳酸が非解離型で存在する。実際、pH3.0では、25℃のとき、乳酸イオンに対する非解離型乳酸のモル比は約7.0であり;pH約4.5では、25℃のとき、そのモル比は約0.23である。溶液中に存在する非解離型乳酸の総量は、溶液のpHとその混合物中の乳酸濃度双方の関数である。溶液のpHが低いほど、非解離型で存在する乳酸のパーセンテージは高くなる。例えば、その培地が乳酸のpK(約3.8)に等しい場合、50%の乳酸が非解離型で存在する。pH4.2では、約31%の乳酸が非解離型であり、pH4.0および3.9では、それぞれ約41%および47%の乳酸が非解離型である。それより高いpHでは非解離型乳酸の画分はずっと少なく、pH4.5では18%、pH5.0では6.6%である。
「発酵液」とは、微生物(例えば、酵母)を液体発酵培地で培養した際に製造される培養液である。発酵液は液体発酵培地の未利用の成分およびその微生物による発酵から生じた代謝産物または生成物を含んでなる。
トルロプシス・グラブラタのような本明細書に記載した特定の種名はBarnet, Payne and Yarrowによる種の記載(1)に示されている名称を参照できることに留意。
本発明の特定の実施形態は図1を参照すればよりよく理解することができる。培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生しない酵母株(例えば、Pdc酵母株)10は、そのゲノムに導入された外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を持てば、酵母株20となる。好ましくは、この外因性LDH遺伝子はL−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。特定の実施形態では、酵母10はピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を欠いたクラブトリー陽性酵母である。特定の実施形態では、この酵母10はサッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセス、トルラスポラ、クルイベロミセス、ジゴサッカロミセスおよびデッケラからなる群から選択される属に属す。好ましくは、酵母10はサッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセスおよびクルイベロミセスからなる群から選択される属に属す。いっそうより好ましくは、この酵母株はサッカロミセス属に属す。この酵母株はクルイベロミセス・サーモトレランス、ジゴサッカロミセス・バイリー、サッカロミセス・セレビシエ、シゾサッカロミセス・ポムベ、トルロスポラ・グロボーサ(Torulaspora globosa)、トルラスポラ・デルブルッキー(Torulaspora delbruckii)、デッケラ・ブルセレンシス(Dekkera bruxellensis)、またはカンジダ・グラブラタ(トルロプシス・グラブラタとしても知られる)に属す株であり得る。好ましくは、この酵母株はサッカロミセス・セレビシエまたはカンジダ・グラブラタに属し、より好ましくは、この酵母株はサッカロミセス・セレビシエに属す。好ましくは、この酵母株はS.セレビシエに属し、かつ、この酵母株は遺伝子型pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxPを有する。いくつかの実施形態では、この酵母は、遺伝子型pdc1,5,6Δ(例えば、PDC1,5,6構造遺伝子の部分的破壊または完全破壊)を有するサッカロミセス・セレビシエである。好ましくは、この酵母は非病原性である。この酵母は適当な増殖培地中、好気回分培養または好気ケモスタットで増殖可能である。
いくつかの実施形態では、この酵母株10は、とりわけ、ura、leuまたはhis栄養要求性であり得る。特定の実施形態では、この酵母株はuraである。
酵母株10は、そのゲノムに導入された少なくとも一つの外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質をコードしている)を有し、tr−LDH(LDHで形質転換させた)酵母株20を生成する。この外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の導入は当技術分野で公知の方法(例えば、とりわけ、形質転換およびエレクトロポレーション)を用いて行うことができる。tr−LDH酵母株20のゲノムは外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる。すなわち、酵母株20の少なくとも一つの染色体が少なくとも一つの外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなってよく、かつ/またはその酵母株内の少なくとも一つのプラスミドが外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなってよい。酵母株10が栄養要求性である場合、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の導入は、tr−LDH酵母株20を栄養要求性としない別の遺伝子が同時に導入されるように行うことができる。これは当技術分野で公知の方法を用いて行うことができる。
本明細書において外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子は、(1)別の生物に由来する遺伝子、(2)同じ種または株に由来する遺伝子(例えば、酵母10の親株)、または(3)遺伝的に改変された(1)または(2)の遺伝子(例えば、とりわけ、酵母株10における発現の改変、部位指定突然変異誘発またはランダム突然変異誘発のために変更されたコドン)であってもよい。好ましくは、この外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はラクトバチルス・プランタラム、ウシ、ラクトバチルス・カセイ、バチルス・メガテリウム、リゾープス・オリゼまたはバチルス・ステアロサーモフィラスの改変型または非改変型乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子であり、より好ましくは、非改変型乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。より好ましくは、この外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はラクトバチルス・プランタラム乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。この乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はL−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子であることが好ましい。
好ましくは、この外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はプロモーターに機能的に連結されている。このプロモーターはそれ自体、酵母株10によって認識可能である。すなわち、このプロモーターは形質転換酵母20において外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子の転写を誘導する。特定の実施形態では、このプロモーターはトリオースリン酸イソメラーゼプロモーター(tpi)であり得る。特定の実施形態において使用可能な他のプロモーターとしては、ピルビン酸デカルボキシラーゼプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーターおよびL−トレオニンデヒドロゲナーゼプロモーターが挙げられる。用いるプロモーターは宿主生物において強力な構成プロモーターであるのが好ましい。特定の実施形態では、この外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子に連結されるプロモーターはクルイベロミセス属のピルビン酸デカルボキシラーゼプロモーターである。
tr−LDH酵母20中の少なくとも一つのプラスミドが外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる場合、このプラスミドは好ましくは高コピー数プラスミドである。特定の実施形態では、このプラスミドは2ミクロンプラスミドまたは低コピー数動原体プラスミドであり得る。好ましくは、この外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含むプラスミドは外因性乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)遺伝子に機能的に連結されているトリオースリン酸イソメラーゼプロモーター(tpi)を有する2ミクロンプラスミドである。特定の実施形態では、酵母株10(例えば、Pdc陰性S.セレビシエ株)を、tpiプロモーターに機能的に連結されているラクトバチルス・プランタラムL−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる2ミクロンプラスミドで形質転換させる(例えば、当技術分野で公知の方法を使用)。いくつかの実施形態では、この乳酸デヒドロゲナーゼ 遺伝子はL−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である。
複数コピー数のプラスミドでの形質転換の結果、形質転換酵母株20のゲノム内に1コピーを超える外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が存在することになる。特定の実施形態では、酵母株の染色体に(例えば、とりわけ、相同組換えまたは挿入により)導入された複数コピーの外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が存在できる。複数のコピーは一つの染色体に導入することもできるし、または異なる染色体上の部位に導入することもできる。特定の実施形態では、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はtr−LDH株20内の染色体とプラスミドの双方に存在し得る。
tr−LDH酵母株20に対し、酸耐性(AT)酵母株30を得るために選択を行うことができる。選択プロセスでは、tr−LDH酵母株20を、グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトースおよびマルトースの少なくとも一種類を含み得る最小培地で好気増殖させる。tr−LDH酵母株20がC炭素源依存性である特定の実施形態では、この最小培地はC炭素源を含んでなってよい。好ましくは、この最小培地はグルコースとC炭素源を含んでなる。
特定の実施形態では、回分培養の培養培地にtr−LDH酵母株20を接種する。この培養物の増殖過程は、pH変化と産生される乳酸(およびその塩)の量によってモニタリングすることができる。tr−LDH株20がなお増殖し、かつ、乳酸を産生する最低pHに近づく。tr−LDH株20の培養物を増殖させ、培養物がなお増殖する最低pHに達した際に、その培養物のアリコートを取り出す。次に、このアリコートを次の回分培養の種菌として用い、(a)前回の回分培養と同じ低pHか、または(b)酵母細胞がなお増殖し、かつ、乳酸を産生する低いpHのいずれかの時点でアリコートを取り出す。このアリコートを次の回分培養の種菌として用いることができる。この手順を、回収される酵母株(例えば、酸耐性酵母)30が増殖できるpHが、tr−LDH親株20が増殖可能なpHよりも低くなるまで一連の間繰り返す。親株(例えば、Pdc陰性tr−LDH酵母株20)同様、酸耐性(AT)酵母株30はエタノールを本質的に産生せず、そのゲノムは、AT酵母株30内で機能的に発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる。
特定の実施形態では、AT酵母株30はケモスタットから回収することができる。好気的に増殖するケモスタット培養は、最小培地を用い、tr−LDH株20から開始する。いくつかの実施形態では、この最小培地はC炭素源を含んでなる。最小培地のpHは酵母培養物の培養中、徐々に低下し、trLDH株20よりも低いpHで増殖できるAT酵母株30をケモスタットから回収することができる。特定の実施形態では、培養物がその培養系の酵母がなお増殖している最低pH付近に達した際にAT酵母株30を回収する。このAT酵母株30は上記の通りである。
上記のように選択される、C炭素源依存性であるAT酵母株30は、特定の実施形態では、C炭素源と少なくとも一種類の炭素源(例えば、少なくとも一種類のグルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトースおよびガラクトース)とを含んでなる最小培地で培養した際に、pH2.3〜2.4の間で、約500mMを超える乳酸を産生し得る。特定の実施形態では、この最小培地はグルコースとC炭素源とを単一炭素源として含んでなる。特定の実施形態では、C炭素源依存性のAT酵母株30は、C炭素源と少なくとも一種類の他の炭素源を含んでなる最小培地で培養した際に565mMを超える乳酸を産生し得る。C炭素源依存性AT酵母株は、約3.5より低いpHで、より好ましくは約2.8より低いpHで、最も好ましくは約2.3より低いpHで乳酸を産生し得る。
最小培地を用いる一連の好気回分培養物には、C炭素源依存性30であるAT酵母株を接種することができる。一連の培養の開始時おいて、最小培地は単一炭素源としてグルコースとC炭素源とを、酵母培養物を増殖させるに十分な濃度で含んでなり得る。C炭素源の濃度はその回の回分培養の間に低下し、各連続回分培養には前回の回分培養で増殖させた酵母を接種することことができる。C炭素源を用いずに、単一炭素源としてグルコースを用いて増殖し得る酸耐性C炭素源非依存性(CI)酵母株40をその回の回分培養物から回収することができる。
あるいは、C炭素源依存性であるAT酵母株30を、上記のような(例えば、C炭素源を含む)最小培地を含有する好気ケモスタットの種菌とすることができ、そのC炭素源の濃度はケモスタットにおいてAT酵母株を培養する過程で低下し得る。CI酵母株40は、C炭素源が使い果たされたところでケモスタットから回収することができる。
CI酵母株40はAT酵母株30に由来することから、それは外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子、すなわち、ラクトバチルス・プランタラム、ウシ、ラクトバチルス・カセイ、バチルス・メガテリウム、リゾープス・オリゼまたはバチルス・ステアロサーモフィラスの乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含み得る。この外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子はCI酵母株40の染色体および/またはプラスミド(例えば、2ミクロンプラスミド)上に存在し得る。好ましくは、このCI酵母株40は約3.5より低いpHで、より好ましくは約2.8より低いpHで、最も好ましくは約2.3より低いpHで乳酸を産生し得る。好ましくは、このCI酵母株40は、最小培地で好気培養した際に培養液中に約565mMを超える乳酸、より好ましくは約665mMを超える乳酸を産生し得る。このCI酵母株40はサッカロミセス・セレビシエ、クルイベロミセス・サーモトレランス、ジゴサッカロミセス・バイリー、シゾサッカロミセス・ポムベおよびカンジダ・グラブラタからなる群から選択することができる。特定の実施形態では、このCI酵母株は、遺伝子型pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDHを有するサッカロミセス・セレビシエであり得る。このCI酵母株は好気回分培養、好気流加培養、または好気ケモスタットで増殖可能である。
本発明の一態様は、化学的に定義された最小培地で増殖可能である、他の酵母の中でもサッカロミセス・セレビシエの特徴に関する。最小限の栄養素の投入で、得られた発酵液は、所望でない残留有機不純物および無機不純物とその生物によって分泌された代謝中間体を少量のみ含み得る。特定の実施形態では、最小限の栄養素の投入で産生された乳酸を発酵液から回収および精製すると、生産コストが劇的に軽減できる。従って、乳酸発酵プロセスには最小培地の使用が好ましいものであり得る。栄養素は、過剰な栄養素がなく、増殖および代謝を維持するのに十分な量で供給する。ATおよびCI酵母は最小培地で増殖可能である。
本発明の最小培養培地は少なくとも一種類の所定の炭素源、少なくとも一種類の窒素源、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化第二鉄、硫酸マンガン、モリブデン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、ビオチン、イノシトール、チアミン、および水から本質的になる基本培地を含み得る。特定の実施形態では、この最小培養培地は本質的に基本培地からなる。特定のC炭素源依存性AT酵母株をこのような最小培地で培養する場合、その培地は少なくとも一種類のC炭素源を含み得る。AT株かCI株のいずれかを培養する場合、培地の一部となり得る他の炭素源としては、グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、およびマルトースが挙げられる。特定の実施形態では、CI株またはC炭素源非依存性AT株を最小培地で培養する場合、グルコースを単一炭素源としてよい。
特定の実施形態では、最小培養培地は水、約5g〜100g/リットルの間のグルコースを含んでなり、いくつかの実施形態では、培地は0.1重量%〜1重量%の間のエタノールをさらに含んでなる。特定の実施形態では、最小培養培地は炭酸カルシウム、好ましくは約2.78g/リットルの炭酸カルシウムをさらに含んでなる。いくつかの実施形態では、最小培養培地は約1000ppmのCa+2を含んでなる。いくつかの実施形態では、最小培養培地の窒素源は尿素、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウムおよびリン酸アンモニウムからなる群から選択される化合物であり得る。いくつかの実施形態では、最小培養培地は約0.5〜5g/リットルの間の硫酸アンモニウム、より好ましくは約0.5〜2g/リットルの間の硫酸アンモニウム、最も好ましくは約1〜2g/リットルの間の硫酸アンモニウムを含んでなる。特定の実施形態では、最小培養培地は約0.1〜2g/リットルの間の尿素、好ましくは約0.1〜1g/リットルの間の尿素、より好ましくは約0.5〜2g/リットルの間の尿素を含んでなる。
特定の実施形態では、最小培養培地は水、約0.2〜2g/リットルの間のリン酸一カリウム;約0.1〜1g/リットルの間の硫酸マグネシウム;約5〜50マイクログラム/リットルの間の硫酸銅;約0.05〜0.25mg/リットルの間の塩化第二鉄;約0.05〜0.5mg/リットルの間の硫酸マンガン;約0.05〜0.25mg/リットルの間のモリブデン酸ナトリウム;約0.05〜0.5mg/リットルの間の硫酸亜鉛;約0.5〜2.5マイクログラム/リットルの間のビオチン;約0.5〜4mg/リットルの間のイノシトール;および約0.05〜0.5mg/リットルの間のチアミンを含んでなる。
いくつかの実施形態では、最小培養培地は水、約5g〜100g/リットルの間のグルコースまたは約0.1重量%〜1重量%の間のエタノール、約5g/リットルの硫酸アンモニウムまたは約1g/リットルの尿素、約1g/リットルのリン酸一カリウム、約0.5g/リットルの硫酸マグネシウム、約40マイクログラム/リットルの硫酸銅、約0.2mg/リットルの塩化第二鉄、約0.4mg/リットルの硫酸マンガン、約0.2mg/リットルのモリブデン酸ナトリウム、約0.4mg/リットルの硫酸亜鉛、約2マイクログラム/リットルのビオチン、約2mg/リットルのイノシトール、および約0.4mg/リットルのチアミンを含んでなる。
上記で説明したように、ATまたはCI酵母は乳酸を産生するために最小培地で培養することができる。得られる発酵液は2.3〜2.4の間のpHであり得る。特定の実施形態では、この発酵液は少なくとも約500mMの乳酸とグリセロール、エリトリトール、マンニトール、リンゴ酸、ピルビン酸、コハク酸、ギ酸およびフマル酸からなる第一の化合物群とを含んでなる。発酵液における第一の化合物群のmMに対する乳酸のmMの比率は少なくとも約54であり得る。好ましくは、この発酵は少なくとも約565mMの乳酸、より好ましくは少なくとも約665mMの乳酸を含んでなる。特定の実施形態では、乳酸はpH2.3〜2.4の間で産生される。好ましくは、第一の化合物群のmMに対する乳酸のmMの比率は約66より大きく、より好ましくは約184より大きい。好ましくは、AT酵母株の培養から得られる培養液は、本質的に同じ培養条件下、本質的に同じ最小培地で親株を培養することから得られる培養液よりも低いppmの、グリセロール、エリトリトール、リンゴ酸、ピルビン酸、コハク酸、ギ酸およびフマル酸のうち少なくとも一種類を含んでなる。AT酵母またはCI酵母の発酵から得られる発酵液は乳酸を回収すべく、当技術分野で公知の方法を用いて精製することができる。精製は蒸留、イオン交換、ナノフィルトレーションまたは溶媒抽出の少なくとも一つを含み得る。
以下、実施例を示し、本発明の好ましい実施形態を説明する。当業者ならば、以下の実施例で開示される技術は、本発明の実施において十分機能することが本発明者らによって見出された技術を表し、従って、その実施の好ましい形態をなすものとみなされるものであることが分かるはずである。しかしながら、当業者ならば、本開示を鑑み、開示されている特定の実施形態に多くの改変を施してなお、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、同様または類似の結果を得ることができよう。
以下の実施例では下記を株を使用した。
Figure 2007512018
一態様では、本発明は、本明細書で開示されるような乳酸産生、酸耐性およびC炭素源非依存性を含んでなる真菌細胞および細胞培養物、特に、RWB876ならびにm850−a、Lp4およびLpf4をはじめとするその誘導体を含んでなるサッカロミセス・セレビシエ株の細胞、特に乳酸を産生するもの;乳酸を産生し、かつ、酸耐性でもあるもの;または乳酸を産生し、酸耐性であり、かつ、C炭素源非依存性であるものを開示および請求する。
このような細胞および細胞培養物は、単一株を含んでなるか、単一株から本質的になるか、または単一株からなる生物学的に実質的に純粋な培養物であり得る。生物学的に純粋な培養株の形態にある本発明の例示的実施形態
RWB876(MATa pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDH) 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有するPdc陰性酵母;
m850−a(MATa pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDH) 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ活性、酸耐性を有するPdc陰性酵母;および
Lp4およびLp4f(MATa pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDH) 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ活性、酸耐性、C炭素源非依存性を有するPdc陰性酵母は、本特許出願の係属中、それらの培養物の入手が、特許商標庁長官がが37C.F.R.§1.14および35U.S.C.§122としてそれらに付与することを定めたもので入手可能であることを保証する条件の下で寄託されている。これらの寄託物は、本願またはその後継出願の副本が提出される国の外国特許法の求めに応じて利用できる。しかしながら、この寄託が利用できることは、政府の行為により付与された特許権の減損上、本発明の実施を許可するものではないと理解すべきである。
さらに、本培養寄託物は微生物の寄託に関するブダペスト条約の提案に沿って保存され、一般に利用可能となる、すなわち、それらは寄託物サンプルの終了の最新の要求から少なくとも5年の期間、また、いかなる場合においても、寄託日の少なくとも30年後まで、またはそれらの培養物を開示する、発行の可能性のある特許権の実施可能な存続期間の間、それらを生存力があり、汚染なく維持するのに必要なあらゆる配慮をもって保管される。寄託者は、寄託物の条件によっては、求めを受けた際に寄託機関がサンプルを提供できない場合にはその寄託物を再寄託する義務を承認する。本培養寄託物の一般利用可能性に関する総ての制限は、それらを開示している特許が付与された際に撤廃される。
培養物RW876、m850−a、Lp4およびLp4fは、ブダペスト条約の約定の下、2003年10月21日、the Northern Regional Research Center (NRRL)、Agricultural Research Service Culture Collection、National Center for Agricultural Utilization Research、US Department of Agriculture, 1815 North University Street, Peoria, Illinois 61604, U.S.Aに寄託し、それぞれ受託番号Y−30696、Y−30697およびY−30698を付与された。CEN.PK113.7D、CEN.PK182、CEN.PK111−61A、RWB837は以前から寄託し、それぞれ受託番号NRRL Y−30646、NRRL Y−30647、NRRL Y−30648およびNRRL Y−30649を付与されている。
実施例1 化学的に定義された最小培地における乳酸の振盪フラスコ生産
RWB876株とM1培地を用いて発酵を行った。培地の組成は下表2に示されている。
Figure 2007512018
50%グルコース原液を作製し、他の培地成分とは別にオートクレーブにかけ、最後にこのグルコース溶液を培地に加え、終濃度70g/リットルとした。オートクレーブにかけた培地を冷却したものにエタノールを加えた。活発な生理状態で細胞をよりよく維持するためにCa+2源を培地に用いた。本実施例では、総量1112ppmのCa+2を加えた。このM1培地のpHは調整しなかった。
発酵は、M1培地100ml(最終量)の入った3本の250mlバッフル付き振盪フラスコで行った。発酵は、New Brunswick G−25シェーカーにて180rpmで振盪しながら32℃で行った。M1培地でのRW876株の発酵の結果を図3に示す。RW876培養物のpHは低下し続けるが、乳酸濃度は上昇する。この微生物はpH約3.0で増殖することができるが、pHがさらに低下すると、培養物の増殖は停止し、細胞は死に始める。この細胞死をOD660nmで測定される細胞密度の低下によって示した。
S.セレビシエ細胞は一般に約3.0より低いpHの培養培地では増殖しない。低pHで(例えば、乳酸の蓄積につれ)乳酸を産生し続ける細胞が望ましい。3.0より低いpHで増殖を続ける酸耐性細胞を、培地のpHが2.80まで低下した発酵の終了時から生存細胞を新鮮培地に移行することにより選択した。この移行プロセスを繰り返し行い、移行時のpHは2.80から2.70へ段階的に低下し、最終的には2.60となった。移行後、生存細胞を増殖させ、48時間まで乳酸を産生させた。連続して全部で21回移行を行い、m850−aと呼ばれる酸耐性変異株を得た。さらに連続5回の移行を行い、この変異株を安定させた。
実施例2 酸耐性変異株m850−aとその親株RWB876による発酵の比較
本実施例では、M1培地で増殖させた酸耐性変異株m850−aの乳酸産生能を、その親株RWB876の場合と比較した。発酵は、実施例1に記載の条件を用い、M1培地中、振盪フラスコで行った。結果を下表3にまとめる。酸耐性変異株m850−aの、約3.0より低いpHで増殖を続け得る能力により、その発酵液中で、その親株RW876よりも高い濃度の乳酸を集積することが可能であった。
Figure 2007512018
実施例3 最初のpHが低いM1培地で増殖させた場合の、酸耐性変異株m850−aとその親株RWB876との比較
本実験は、培地の最初のpHを3.50に調整し、培地にCaCOを加えなかったこと以外は実施例1に記載の条件下でM1培地を用い、振盪フラスコで行った。結果を表4にまとめる。両株とも、CaCOの不在下、pH3.50で増殖を開始できた。低pHにおいて酸耐性変異株m850−aは、増殖し、かつ、発酵液中でその親株よりも高い濃度の乳酸を産生できる能力を示した。
Figure 2007512018
実施例4 実施例2の発酵液の分析
高分子級の乳酸を産生する最終的なコストは、発酵液中で生じる不純物の除去に伴うコストに関係している。実施例2の発酵液を乳酸の濃度と特定の不純物の濃度に関して分析した。
実施例2で行った発酵のための栄養素の投入(エタノールとグルコースを除く)は2.504g/リットルであり、収益は、RWB876株およびm850−a株の発酵でそれぞれ乳酸557.9mMおよび686.4mMであった。最終的な発酵液(例えば、RWB876とm850−aのもの)の、ポリオールおよび有機酸についてのHPLC分析を表5にまとめる。RWB876による発酵の結果、557.9mMの乳酸と総量15.634mMのポリオールおよび他の有機酸が産生された。m850−a株の発酵液では、総量12.740mMのポリオールおよび他の有機酸と686.4mMの乳酸が得られた。より高純度(例えば、高分子級)の乳酸を得るには、これらの発酵副生成物(例えば、ポリオールや有機酸)および特定の未利用の培地成分の少なくとも部分的な除去が必要である。本発明の株により乳酸発酵中に生じた不純物は、当技術分野で公知の、特定の乳酸産生組換え大腸菌(E. coli)株(Chang, et al. 1999)が産生するものよりも少ない。
Figure 2007512018
実施例5 細胞増殖および乳酸産生のために単一炭素源としてグルコースを利用し得る(C非依存性)PDC陰性S.セレビシエ変異株
本実験は、0.5%エタノールを除いたこと以外は実施例1に記載の条件下でM1培地を用いて振盪フラスコで行った。2種類の酸耐性C炭素源非依存性 S.セレビシエ株を、C炭素源依存性のm850−aから単離した。この2株は、C炭素源の濃度が一連の培養で低下される一連の回分培養を用いて単離した。表6に示されているように、増殖および乳酸産生のために単一炭素源としてグルコースを利用できた2つの変異株を単離した(例えば、Lp4(NRRL Y−30697)およびLp4f(NRRL Y−30698))。Lp4は30回の移行後に単離され、Lp4fは約45回の移行後に単離された。Lp4はLp4fよりも酸耐性が弱い。これらの変異株は、培地がエタノールを含まなくとも、増殖能と所定の培地中、低pHで乳酸を産生する能力との双方を保持していた。
Figure 2007512018
実施例6 実施例5の発酵液の分析
実施例5で行った発酵のための栄養素の投入(グルコースを除く)は2.504g/リットルであり、収益は、Lp4株およびLp4f株の発酵でそれぞれ乳酸410mMおよび577mMであった。最終的な発酵液(例えば、Lp4株およびLp4f株のもの)の、ポリオールおよび有機酸についてのHPLC分析を表7にまとめる。Lp4による発酵の結果、410mMの乳酸と総量6.214mMのポリオールおよび他の有機酸が産生された。Lp4f株の発酵液では、総量3.139mMのポリオールおよび他の有機酸と577mMの乳酸が得られた。これらの発酵副生成物(例えば、ポリオールや有機酸)および特定の未利用の培地成分を少なくとも部分的に除去すれば、より高純度(例えば、高分子級)の乳酸を得ることができる。これらのC非依存性変異株(例えば、Lp4およびLp4f)により乳酸発酵中に生じ、分析された全不純物は、RWB876またはm850−aの発酵によって生じるものよりも少ない。
Figure 2007512018
実施例7 乳酸生産を目的とした10L攪拌タンクでの酸耐性変異株m850−aの培養
New Brunswick Bioflow 10−L発酵槽にて、実施量6Lで発酵を行った。培地組成(M1)は実施例1に示した。250rpmで振盪し、通気を0.33vvmとした。温度は32℃に制御した。pHは制御しなかった。
接種後、このタンクにて最初の22〜24時間を増殖段階とした。増殖段階では、3〜4g/リットルの間の濃度となるようエタノール濃度を維持した(25%エタノール溶液を供給することによる)。細胞密度を(OD660nm)が10.0に達したところで、およそ70g/リットルのグルコースと2.78g/リットルのCaCOを添加することで乳酸生産段階を開始した。
図4に示すように、発酵が進行するとともにpHは低下し続けた。グルコース濃度が約20g/リットルが達したとき、エタノール濃度が3〜4g/リットルから2〜3g/リットルへと段階的に低下し、最終的には1〜2g/リットルとなるようにエタノール供給を減らした。発酵の終了時には、グルコースとエタノールを枯渇させた。記載の条件下で、74g/リットルのグルコースから81時間で約61g/リットルの乳酸が生産され、最終のpHは2.60であった。
参考文献
以下の参考文献は、本願明細書の記載事項を補足する例示的な手順または他の詳細を提供する限りで、特定的に参照により本願明細書に組み込まれる。
Figure 2007512018
本発明の実施形態の工程の流れ図である。 YEpLpLDHのプラスミド地図である。 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなるPdc陰性S.セレビシエ株による乳酸産生のグラフである。 本発明の酸耐性S.セレビシエ株による乳酸産生のグラフである。

Claims (128)

  1. 乳酸を生産する方法であって、
    培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生しない酸耐性(AT)酵母株を、第一の培養培地中で好気培養することを含み、
    該AT酵母株が、AT酵母株で発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含むゲノムを含んでなり、
    その発現の結果として生じるタンパク質が乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、
    該AT酵母株が親酵母株よりも低いpHの最小培地で増殖し得る、
    方法。
  2. AT酵母株が、C炭素源非依存性であり、かつ、約3.5より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項1に記載の方法。
  3. AT酵母株が、C炭素源非依存性であり、かつ、約2.8より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項1に記載の方法。
  4. AT酵母株が、C炭素源非依存性であり、かつ、約2.3より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項1に記載の方法。
  5. AT酵母株が、単一炭素源としてグルコースを含む最小培地で培養した際にグルコース100グラム当たり約50グラムを超える乳酸を産生し得る、請求項1に記載の方法。
  6. AT酵母株が、単一炭素源としてグルコースを含む最小培地で培養した際に、グルコース100グラム当たり約50〜85グラムの間の乳酸を産生し得る、請求項1に記載の方法。
  7. AT酵母株が、単一炭素源としてグルコースを含む最小培地で培養した際に、グルコース100グラム当たり約70〜85グラムの間の乳酸を産生し得る、請求項1に記載の方法。
  8. AT酵母株の培養から得られる培養液が、本質的に同じ培養条件下、本質的に同じ最小培地で親株を培養することから得られる培養液よりも低いppmの、グリセロール、エリトリトール、リンゴ酸、ピルビン酸、コハク酸、ギ酸およびフマル酸のうち少なくとも一種類を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  9. AT酵母株が、サッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセスおよびクルイベロミセスからなる群から選択される属に属す、請求項1に記載の方法。
  10. AT酵母株が、サッカロミセス・セレビシエである、請求項1に記載の方法。
  11. AT酵母株が、遺伝子型pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDHを有するサッカロミセス・セレビシエである、請求項1に記載の方法。
  12. 培養が
    好気回分培養、好気流加培養または好気ケモスタットで行われる、請求項1に記載の方法。
  13. AT酵母株が、C炭素源非依存性である、請求項1に記載の方法。
  14. 第一の培養培地が、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトースおよびガラクトースからなる群から選択される少なくとも一種類の所定の炭素源を含んでなる最小培地である、請求項13に記載の方法。
  15. グルコースが、単一炭素源である、請求項14に記載の方法。
  16. AT酵母株が、C炭素源依存性であり、第一の培養培地がグルコースから本質的になる炭素源と少なくとも一種類のC炭素源とを含んでなる最小培地である、請求項1に記載の方法。
  17. 第一の培養培地が、少なくとも一種類の所定の炭素源、少なくとも一種類の窒素源、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化第二鉄、硫酸マンガン、モリブデン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、ビオチン、イノシトール、チアミン、および水から本質的になり、窒素源が尿素、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウムおよび硝酸アンモニウムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  18. AT酵母株の染色体が、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  19. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる少なくとも一つのプラスミドがAT酵母株内に存在する、請求項1に記載の方法。
  20. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、ラクトバチルス・プランタラム、ウシ、ラクトバチルス・カセイ、バチルス・メガテリウム、リゾープス・オリゼまたはバチルス・ステアロサーモフィラスの乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項1に記載の方法。
  21. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、ラクトバチルス・プランタラムの乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項1に記載の方法。
  22. 乳酸またはその塩を回収および精製する工程をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。
  23. 精製工程が、蒸留、イオン交換、ナノフィルトレーションまたは溶媒抽出の少なくと一つを含んでなる、請求項22に記載の方法。
  24. 培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生しない酸耐性(AT)酵母株であって、
    AT酵母株で発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含むゲノムを含んでなり、
    その発現の結果として生じるタンパク質が乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、
    親酵母株よりも低いpHの最小培地で乳酸を産生し得る、
    AT酵母株。
  25. 検出可能な量のピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を持たない、請求項24に記載のAT酵母株。
  26. AT酵母株の野生株が、クラブトリー陽性である、請求項25に記載のAT酵母株。
  27. 約3.5より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項24に記載のAT酵母株。
  28. 約2.8より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項24に記載のAT酵母株。
  29. 約2.3より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項24に記載のAT酵母株。
  30. 最小培地で好気培養した際に、培養液中に約500mMを超える乳酸を産生し得る、請求項24に記載のAT酵母株。
  31. 約565mMを超える乳酸を産生し得る、請求項30に記載のAT酵母株。
  32. 約665mMを超える乳酸を産生し得る、請求項30に記載のAT酵母株。
  33. サッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセス、トルラスポラ、クルイベロミセス、ジゴサッカロミセスおよびデッケラからなる群から選択される属に属す、請求項24に記載のAT酵母株。
  34. サッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセスおよびクルイベロミセスからなる群から選択される属に属す、請求項24に記載のAT酵母株。
  35. サッカロミセス属に属す、請求項24に記載のAT酵母株。
  36. サッカロミセス・セレビシエである、請求項24に記載のAT酵母株。
  37. 遺伝子型pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDHを有するサッカロミセス・セレビシエである、請求項24に記載のAT酵母株。
  38. クルイベロミセス・サーモトレランス、ジゴサッカロミセス・バイリー、シゾサッカロミセス・ポムベまたはカンジダ・グラブラタである、請求項24に記載のAT酵母株。
  39. 炭素源非依存性である、請求項24に記載のAT酵母株。
  40. グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトースおよびガラクトースからなる群から選択される少なくとも一種類の所定の炭素源を含んでなる最小培地で増殖し得る、請求項39に記載のAT酵母株。
  41. 単一炭素源としてグルコースを含んでなる最小培地で増殖し得る、請求項39に記載のAT酵母株。
  42. 炭素源非依存性であり、グルコースから本質的になる炭素源と少なくとも一種類のC炭素源とを含んでなる最小培地で増殖し得る、請求項24に記載のAT酵母株。
  43. 少なくとも一種類の所定の炭素源、少なくとも一種類の所定の窒素源、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化第二鉄、硫酸マンガン、モリブデン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、ビオチン、イノシトール、チアミン、および水から本質的になり、所定の窒素源が尿素、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、および硝酸アンモニウムからなる群から選択される、無機培地で増殖し得る、請求項24に記載のAT酵母株。
  44. AT酵母株の染色体が、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる、請求項24に記載のAT酵母株。
  45. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる少なくとも一つのプラスミドが、AT酵母株に存在する、請求項24に記載のAT酵母株。
  46. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、プロモーターに機能的に連結されている、請求項24に記載のAT酵母株。
  47. プロモーターが、トリオースリン酸イソメラーゼプロモーターである、請求項46に記載のAT酵母株。
  48. プロモーターが、ピルビン酸デカルボキシラーゼプロモーター、アルコールデヒドロゲナーゼプロモーター、およびL−トレオニンデヒドロゲナーゼプロモーターからなる群から選択される、請求項46に記載のAT酵母株。
  49. プロモーターが、クルイベロミセスのピルビン酸デカルボキシラーゼプロモーターである、請求項46に記載のAT酵母株。
  50. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、ラクトバチルス・プランタラム、ウシ、ラクトバチルス・カセイ、バチルス・メガテリウム、リゾープス・オリゼ、またはバチルス・ステアロサーモフィラスの乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項24に記載のAT酵母株。
  51. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、ラクトバチルス・プランタラムの乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項24に記載のAT酵母株。
  52. L−乳酸から本質的になる乳酸を産生し得る、請求項24に記載のAT酵母株。
  53. 培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生しない酸耐性(AT)S.セレビシエであって、
    AT S.セレビシエで発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含むゲノムを含んでなり、
    その発現の結果として生じるタンパク質が乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、
    S.セレビシエ親株よりも低いpHの最小培地で乳酸を産生し得る、
    AT S.セレビシエ。
  54. 検出可能な量のピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を持たない、請求項53に記載の酸耐性(AT)S.セレビシエ。
  55. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、ラクトバチルス・プランタラムの乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項53に記載の酸耐性(AT)S.セレビシエ。
  56. AT S.セレビシエ内の少なくとも一つのプラスミドが、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる、請求項53に記載の酸耐性(AT)S.セレビシエ。
  57. 遺伝子型pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDHを有する、請求項53に記載のAT S.セレビシエ。
  58. 最小培地で好気培養した際に、培養液中に約500mMを超える乳酸を産生し得る、請求項53に記載のAT S.セレビシエ。
  59. 培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生しない酸耐性C炭素源非依存性(CI)酵母株であって、
    その酵母株のゲノムが、発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなり、
    その発現の結果として生じるタンパク質が乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、
    その酵母が、単一炭素源としてグルコースを含む第一の最小培地にて好気条件下で培養した際に乳酸を産生することができ、かつ、
    そのCI酵母株が親株より低いpHの第一の最小培地で乳酸を産生し得る、
    酵母株。
  60. 検出可能な量のピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を持たない、請求項59に記載のCI酵母株。
  61. 前記株の野生型酵母が、クラブトリー陽性である、請求項60に記載のCI酵母株。
  62. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、ラクトバチルス・プランタラム、ウシ、ラクトバチルス・カセイ、バチルス・メガテリウム、リゾープス・オリゼまたはバチルス・ステアロサーモフィラスの乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項59に記載のCI酵母株。
  63. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、ラクトバチルス・プランタラムの乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項59に記載のCI酵母株。
  64. CI酵母株の染色体が、外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる、請求項59に記載のCI酵母株。
  65. 外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる少なくとも一つのプラスミドが、CI酵母株に存在する、請求項59に記載のCI酵母株。
  66. 少なくとも一つのプラスミドが、2ミクロンプラスミドである、請求項65に記載のCI酵母株。
  67. 約2.8より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項59に記載のCI酵母株。
  68. 約2.3より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項59に記載のCI酵母株。
  69. 最小培地で培養した際にグルコース100グラム当たり約50グラムを超える乳酸を産生し得る、請求項59に記載のCI酵母株。
  70. 最小培地で培養した際にグルコース100グラム当たり約50〜85グラムの間の乳酸を産生し得る、請求項59に記載のCI酵母株。
  71. 最小培地で培養した際にグルコース100グラム当たり約70〜85グラムの間の乳酸を産生し得る、請求項59に記載のCI酵母株。
  72. 第二の最小培地で好気培養した際に、培養液中に約565mMを超える乳酸を産生し得る、請求項59に記載のCI酵母株。
  73. 約665mMを超える乳酸を産生し得る、請求項72に記載のCI酵母株。
  74. サッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセス、トルラスポラ、クルイベロミセス、ジゴサッカロミセス、およびデッケラからなる群から選択される属に属す、請求項59に記載のCI酵母株。
  75. サッカロミセス、カンジダ、シゾサッカロミセス、およびクルイベロミセスからなる群から選択される属に属す、請求項59に記載のCI酵母株。
  76. サッカロミセス・セレビシエ、クルイベロミセス・サーモトレランス、ジゴサッカロミセス・バイリー、シゾサッカロミセス・ポムベ、およびカンジダ・グラブラタからなる群から選択される、請求項59に記載のCI酵母株。
  77. 遺伝子型pdc1(−6,−2)::loxP pdc5(−6,−2)::loxP pdc6(−6,−2)::loxP ura3−52 YEpLpLDHを有するサッカロミセス・セレビシエである、請求項59に記載のCI酵母株。
  78. グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトースおよびガラクトースからなる群から選択される少なくとも一種類の所定の炭素源を含んでなる第二の最小培地で増殖し得る、請求項59に記載のCI酵母株。
  79. グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトース、およびガラクトースからなる群から選択される少なくとも一種類の所定の炭素源;尿素、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、および硫酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種類の窒素源;リン酸一カリウム;硫酸マグネシウム;硫酸銅;塩化第二鉄;硫酸マンガン;モリブデン酸ナトリウム;硫酸亜鉛;ビオチン;イノシトール;チアミン、および水から本質的になる第二の最小培地で増殖し得る、請求項59に記載のCI酵母株。
  80. 少なくとも一種類の所定の炭素源;少なくとも一種類の窒素源、リン酸一カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸銅、塩化第二鉄、硫酸マンガン、モリブデン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、ビオチン、イノシトール、チアミン、および水から本質的になる最小培養培地。
  81. 所定の炭素源が、C炭素源を含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  82. 所定の炭素源が、グルコース、スクロース、フルクトース、ラクトース、ガラクトース、およびマルトースからなる群から選択される少なくとも一種類の化合物をさらに含んでなる、請求項81に記載の最小培養培地。
  83. グルコースが、単一炭素源である、請求項80に記載の最小培養培地。
  84. 約5g/リットル〜100g/リットルの間のグルコースを含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  85. 0.1重量%〜1重量%の間のエタノールを含んでなる、請求項84に記載の最小培養培地。
  86. 炭酸カルシウムを含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  87. 窒素源が、尿素、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、およびリン酸アンモニウムからなる群から選択される少なくとも一種類の化合物を含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  88. 約0.5〜5g/リットルの間の硫酸アンモニウムを含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  89. 約0.5〜2g/リットルの間の硫酸アンモニウムを含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  90. 約1〜2g/リットルの間の硫酸アンモニウムを含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  91. 約0.1〜2g/リットルの間の尿素を含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  92. 約0.1〜1g/リットルの間の尿素を含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  93. 約0.5〜2g/リットルの尿素を含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  94. 約0.2〜2g/リットルの間のリン酸一カリウム;約0.1〜1g/リットルの間の硫酸マグネシウム;約5〜50マイクログラム/リットルの間の硫酸銅;約0.05〜0.25mg/リットルの間の塩化第二鉄;約0.05〜0.5mg/リットルの間の硫酸マンガン;約0.05〜0.25mg/リットルの間のモリブデン酸ナトリウム;約0.05〜0.5mg/リットルの間の硫酸亜鉛;約0.5〜2.5マイクログラム/リットルの間のビオチン;約0.5〜4mg/リットルの間のイノシトール;および約0.05〜0.5mg/リットルの間のチアミンを含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  95. 約5g〜100g/リットルの間のグルコースまたは約0.1重量%〜1重量%の間のエタノール、約5g/リットルの硫酸アンモニウムまたは約1g/リットルの尿素、約1g/リットルのリン酸一カリウム、約0.5g/リットルの硫酸マグネシウム、約40マイクログラム/リットルの硫酸銅、約0.2mg/リットルの塩化第二鉄、約0.4mg/リットルの硫酸マンガン、約0.2mg/リットルのモリブデン酸ナトリウム、約0.4mg/リットルの硫酸亜鉛、約2マイクログラム/リットルのビオチン、約2mg/リットルのイノシトール、および約0.4mg/リットルのチアミンを含んでなる、請求項80に記載の最小培養培地。
  96. 組換え酵母株において発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなるゲノムを有する組換え酵母株であって、
    その発現の結果として生じるタンパク質が乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、
    単一炭素源としてグルコースを含んでなる最小培地で増殖させた際に、グルコース100グラム当たり少なくとも約50グラムの乳酸を産生することができ、
    約3.5より低いpHで増殖可能である、
    組換え酵母株。
  97. 最小培地で増殖させた際にグルコース100グラム当たり約50〜85グラムの間の乳酸を産生し得る、請求項96に記載の組換え酵母株。
  98. 最小培地で増殖させた際にグルコース100グラム当たり約70〜85グラムの間の乳酸を産生し得る、請求項96に記載の組換え酵母株。
  99. 約2.8より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項96に記載の組換え酵母株。
  100. 約2.3より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項96に記載の組換え酵母株。
  101. 約2.0より低いpHで乳酸を産生し得る、請求項96に記載の組換え酵母株。
  102. 乳酸を生産する方法であって、
    組換え酵母株で発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなるゲノムを有する組換え酵母株を、第一の培養培地で好気培養することを含んでなり、その発現の結果として生じるタンパク質が乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、その組換え酵母株が、単一炭素源としてグルコースを含んでなる最小培地で増殖させた際にグルコース100グラム当たり少なくとも約50グラムの乳酸を産生することができ、かつ、その組換え酵母株が約3.5より低いpHで増殖可能である、
    方法。
  103. (a)第一の酵母株を第一の好気培養物として増殖させること、ここで、この第一の好気培養は、第一の最小培地に、培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生しない第一の酵母株を接種することにより始め、この第一の酵母株は、第一の酵母株で発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含むゲノムを含んでなり、その発現の結果として生じるタンパク質が乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、第一の好気培養物の増殖中にその培養物のpHが低下すること、
    (b)第一の酵母株が第一の最小培地中でなお増殖し得る最低付近のpHを決定すること、および
    (c)第一の好気培養物がなお増殖し、かつ、pHが最低付近であるときに、第一の好気培養物から少なくとも一つの第二の酵母株を回収すること
    を含んでなる選択プロセスにより回収される、酸耐性(AT)酵母株。
  104. 第一の酵母株が、ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素活性またはアルコールデヒドロゲナーゼ酵素活性の少なくとも一方を欠損している、請求項103に記載のAT酵母株。
  105. 第一の酵母株の野生型酵母株が、クラブトリー陽性である、請求項104に記載のAT酵母株。
  106. 選択プロセスが、
    (d)第二の好気培養物を増殖させること、ここで、この第二の好気培養は新鮮な最小培地に、回収した第二の酵母株を接種することにより始め、第二の好気培養物の増殖中にその培養物のpHが低下すること、および
    (e)第二の好気培養物がなお増殖し、かつ、そのpHが第一の好気培養物の最低付近のpHよりも低いときに、第二の好気培養物から少なくとも一つの第三の酵母株を回収する工程
    をさらに含んでなる、請求項103に記載のAT酵母株。
  107. 選択プロセスが工程(d)と(e)を少なくとも一度繰り返すことをさらに含み、それが前の工程から回収した酵母株を新鮮な最小培地に接種することを含んでなる、請求項106に記載のAT酵母株。
  108. その工程の、AT酵母株が増殖している好気培養物の最低付近のpHが、その前の工程の、AT酵母株が増殖している好気培養物の最低付近のpHよりも低い、請求項107に記載のAT酵母株。
  109. (a)培養培地中で培養した際にエタノールを本質的に産生せず、かつ、グルコースが最小培地における唯一の他の炭素源である場合にC炭素源を要求する第一の酵母株を最小培地に接種すること、ここで、その酵母株のゲノムが、発現可能な外因性乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなり、その発現の結果として生じるタンパク質が乳酸デヒドロゲナーゼ活性を有し、その酵母は、グルコースとC炭素源を含んでなる第一の最小培地中、好気条件下で培養した際に乳酸またはその塩を産生することができ、かつ、第一の酵母株はその親株よりも低いpHの第一の最小培地で増殖することができること、
    (b)その第一の酵母株を第二の最小培地を用いて一連の好気回分培養で培養し、ここで、その回の最初の時点で、第二の最小培地は単一炭素源としてグルコースとC炭素源とを、酵母培養物を増殖させるの十分な濃度で含み、このC炭素源の濃度はその回の回分培養中に低下し、各連続回分培養に前回の回分培養で増殖させた酵母を接種すること、および
    (c)C炭素源を用いずに、単一炭素源としてグルコースを用いて増殖し得る、その回の回分培養物から少なくとも一つのCI酵母株を回収すること
    を含んでなる選択プロセスにより回収される、酸耐性C炭素源非依存性(CI)酵母株。
  110. 第一の酵母株が、ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素活性またはアルコールデヒドロゲナーゼ酵素活性の少なくとも一方を欠損している、請求項109に記載のCI酵母株。
  111. 第一の酵母株の野生型酵母が、クラブトリー陽性である、請求項109に記載のCI酵母株。
  112. 寄託番号NRRL Y−30696を有する、酵母株。
  113. 寄託番号NRRL Y−30698を有する、酵母株。
  114. 水、約70g/リットルのグルコース、約0.5重量%のエタノール、約1g/リットルの尿素、約1g/リットルのリン酸一カリウム、約0.5g/リットルの硫酸マグネシウム七水和物、約2.78g/リットルの炭酸カルシウム、約62.5マイクログラム/リットルの硫酸銅五水和物、約200マイクログラム/リットルの塩化第二鉄、約450マイクログラム/リットルの硫酸マンガン一水和物、約235マイクログラム/リットルのモリブデン酸ナトリウム二水和物、約712マイクログラム/リットルの硫酸亜鉛七水和物、2マイクログラム/リットルのビオチン、2000マイクログラム/リットルのイノシトール、および400マイクログラム/リットルの塩酸チアミンから本質的になる、培養培地。
  115. 約400〜1100ppmの間のN、約215〜287ppmの間のK、約525〜700ppmのPO −2、約49ppmのMg+2、約195ppmのSO −2、約1100ppmのCa+2、約0.07ppmのFe+3、約0.145ppmのMn+2、約0.09ppmのMo−4、約0.16ppmのZn+2、約0.015ppmのCu+2、約0.002mg/リットルのビオチン、約2mg/リットルのイノシトール、および約0.4mg/リットルの塩酸チアミンを含んでなる、培養培地。
  116. 少なくとも約500mMの乳酸と第一の化合物群を含んでなり、
    発酵液中の、第一の化合物群mMに対する乳酸mMの比率が少なくとも約54であり、第一の化合物群がグリセロール、エリトリトール、マンニトール、リンゴ酸、ピルビン酸、コハク酸、ギ酸およびフマル酸からなる、発酵液。
  117. 発酵液のpHが約2.3〜2.4の間である、請求項116に記載の発酵液。
  118. 少なくとも約565mMの乳酸を含んでなる、請求項116に記載の発酵液。
  119. 少なくとも約665mMの乳酸を含んでなる、請求項116に記載の発酵液。
  120. その比率が約66より大きい、請求項116に記載の発酵液。
  121. その比率が約184より大きい、請求項116に記載の発酵液。
  122. S.セレビシエ株による発酵産物である、請求項116に記載の発酵液。
  123. 酵母複製開始点とプロモーターに機能的に連結されているラクトバチル属乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子を含んでなる、酵母プラスミド。
  124. 複製開始点が2ミクロン複製開始点である、請求項122に記載のプラスミド。
  125. 乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、L−乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項122に記載のプラスミド。
  126. 乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子が、ラクトバチルス・プランタラムの乳酸デヒドロゲナーゼ遺伝子である、請求項122に記載のプラスミド。
  127. プロモーターが、トリオースリン酸イソメラーゼプロモーターである、請求項122に記載のプラスミド。
  128. プラスミドが、YEpLpLDHである、請求項122に記載のプラスミド。
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