JP3689920B2 - マルチクローニングベクター、発現ベクター、および異種蛋白質の生産 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、分裂酵母シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe 、以下S.pombeという)による異種蛋白質の生産を可能とするマルチクローニングベクター、それに異種蛋白質遺伝子を導入した発現ベクター、その発現ベクターの構築方法、その発現ベクターを保持したS.pombe形質転換体、およびその形質転換体を用いた異種蛋白質の製造法に関する。本発明により種々の異種蛋白質の遺伝子の発現を効率化し、産生するペプチドまたは蛋白質の製造コストを低下させることができる。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子組換え技術を用いた異種蛋白質の生産は、エシェリキア・コリ(Escherichia coli、以下E.coliという)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、あるいはバチルス(Bacillus)属等の微生物、動物細胞(昆虫細胞を含む)、植物細胞を用いて盛んに行われてきた。様々な生物由来のポリペプチドが対象と考えられ、既に多くのものが工業的に生産され、医薬品等に用いられている。
【0003】
しかし、原核生物を用いる方法では必ずしも全てのポリペプチドに対して有効ではなく、真核生物由来の蛋白質の複雑な翻訳後修飾あるいは天然体と同じ立体構造を再現することは必ずしも容易ではない。実際、原核細胞にて生産された生産物の構造および活性が不均一であるために医薬品等への利用が拒まれているものも知られている(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86,3428-3432(1989)) 。またE.coliには特有のエンドトキシンが存在し、最終製品の夾雑物になる可能性がある。
【0004】
動物細胞や植物細胞を用いる方法は扱いが微生物より難しく、培養にコストがかかり、得られる細胞濃度が低いために、生産効率が悪い。このため異種蛋白質、特に真核生物由来のポリペプチドを生産するために最も理想的な生物は、微生物でありかつ真核生物である酵母が最もよいとされている。酵母は、培養方法も確立しており、真核生物の遺伝情報を発現させるという点でも都合がよい。さらに、従来より醗酵並びに食品工業で用いられており、人体に関する安全性も確立され、またエンドトキシンも含まないという特徴も有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
酵母類のなかでもS.pombeはサッカロミセス・セレビシエよりも動物細胞に近い性質を持つと考えられている。このため、異種蛋白質を発現させる宿主としてS.pombeを用いることによって、動物細胞の場合と同様の、より天然体に近い遺伝子産物が得られることが期待される。培養方法も酵母類で共通の点が多く、他の酵母で知られている知見を容易に応用しうる。したがって、微生物学の方法と組換えDNA技術を用いて、S.pombeを用いた異種蛋白質生産法を用いることが有利であるのは明白である。
【0006】
ところが、S.pombeを用いた遺伝子組換えに関する研究はE.coliやサッカロミセス・セレビシエに比べてかなり遅れており、特に遺伝子発現に関する研究は少ない。たとえば、特開昭61−181397号公報、特開平2−283288号公報、および特開平4−63596号公報等があるにすぎない。この原因は強力なプロモータを持ち、菌体内に安定に存在し、かつ遺伝子を導入するのに最適かつ簡便な発現ベクターが存在しないためである。
【0007】
本発明者らは、上記問題を解決しうる発現ベクターを提案した(特開平5−15380号公報参照)。しかし、この発現ベクターを用いて異種蛋白質遺伝子を過不足なく発現するにはいまだ必ずしも充分といえるものではなく、発現ベクターのさらなる改良が求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は以上の点に鑑み検討を行った結果、異種蛋白質遺伝子の翻訳開始部位を制限酵素認識部位に改変することによって、目的とする異種蛋白質遺伝子を過不足なく発現することが可能な発現ベクターを構築するに至った。本発明は、S.pombeによる異種蛋白質の生産を可能とするマルチクローニングベクター、それに異種蛋白質遺伝子を導入した発現ベクター、その発現ベクターの構築方法、その発現ベクターを保持したS.pombe形質転換体、およびその形質転換体を用いた異種蛋白質の製造法に関する、下記の発明である。
【0009】
(1)真核細胞内において機能しうるプロモーター領域を有し、かつそのプロモーターによって支配される異種蛋白質構造遺伝子を導入するためのマルチクローニングサイトをそのプロモーター領域の下流に有するベクターであり、そのベクターのマルチクローニングサイト先端部分における異種蛋白質構造遺伝子を導入するための制限酵素認識部位が、5’側から−ACATGT−なる配列を有する制限酵素認識部位であることを特徴とするマルチクローニングベクター。
【0010】
(2)真核細胞内において機能しうるプロモーター領域、およびそのプロモーター領域下流にそのプロモーターによって支配された異種蛋白質構造遺伝子を有し、異種蛋白質構造遺伝子先端部分が5’側から−ACATGN−(Nは任意の塩基)なる配列を有し、この配列におけるATGが異種蛋白質構造遺伝子の翻訳開始部位であり、しかもこの配列がベクターに異種蛋白質構造遺伝子が導入された際の制限酵素認識部位に由来する配列であることを特徴とする発現ベクター。
【0011】
(3)真核細胞内において機能しうるプロモーター領域を有するベクターのプロモーター領域下流にそのプロモーターによって支配される異種蛋白質構造遺伝子を導入する方法において、5’側から−ACATGT−なる配列を有する制限酵素認識部位で切断したベクター末端に5’側から−N’CATGN−(Nは任意の塩基、N’はNに相補的な塩基)なる配列を有する制限酵素認識部位で切断した異種蛋白質構造遺伝子の先端を連結して−ACATGN−なる配列の連結部分を形成し、その連結部分のATGを異種蛋白質構造遺伝子の翻訳開始部位とし、しかもベクター側の制限酵素認識切断部末端と異種蛋白質構造遺伝子側の制限酵素認識切断部先端の組合せによりATGの次の塩基をA、T、G、およびCから選ばれる任意の塩基とすることを特徴とする真核細胞内で発現しうる発現ベクターの構築方法。
【0012】
(4)上記の発現ベクターまたはその発現ベクターと複製開始点を有する酵母ベクターとの組換え体を保持するシゾサッカロミセス・ポンベからなる形質転換体。
【0013】
(5)上記の形質転換体を培養し、培養物中に異種蛋白質を生成蓄積させ、これを採取することを特徴とする異種蛋白質の製造法。
【0014】
S.pombeにおいて機能しうるマルチクローニングベクターに異種蛋白質構造遺伝子を導入するにあたり、異種蛋白質構造遺伝子を含む遺伝子とマルチクローニングベクターをそれぞれ制限酵素で処理して切断し、両者を連結(ライゲーション)して発現ベクターを構築する。本発明では、このとき、異種蛋白質構造遺伝子を含む遺伝子とマルチクローニングベクターの制限酵素認識部位はそれぞれATGを含み、切断後異種蛋白質構造遺伝子を含む遺伝子の先端(5’末端)とマルチクローニングベクターの末端(3’末端)を連結し、いずれかの末端部分に存在するATGを異種蛋白質構造遺伝子の翻訳開始部位とする。たとえば、異種蛋白質構造遺伝子を含む遺伝子の先端がATGを含む場合、それに対応するマルチクローニングベクターの末端のアンチコード鎖部分にはTACを含む。逆に、マルチクローニングベクターの末端がATGを含む場合、それに対応する異種蛋白質構造遺伝子を含む遺伝子の先端のアンチコード鎖部分にはTACを含む。
【0015】
種々の異種蛋白質構造遺伝子の導入を可能とするためには、上記ATGの次の塩基がA、T、G、Cのいずれであっても上記構築手段が適用できることが好ましい。このため、マルチクローニングベクター側の制限酵素認識切断部と異種蛋白質構造遺伝子側の制限酵素認識切断部との組合せを選択して、ATGの次の塩基をA、T、G、Cの任意のものとする手段の採用が好ましい。このような手段が適用できる、種々の異種蛋白質構造遺伝子の導入が可能なマルチクローニングベクターは、異種蛋白質構造遺伝子導入部位であるマルチクローニングサイトを有する。
【0016】
本発明におけるマルチクローニングベクターの異種蛋白質構造遺伝子導入部位となる制限酵素認識部位は、5’側から−ACATGT−なる制限酵素認識部位である。この制限酵素認識部位を5’側から−Aあるいは−ACATGなる末端を形成する制限酵素で切断し、その末端に対応する先端を有する異種蛋白質構造遺伝子を連結する。このための制限酵素としては、Afl IIIまたはNspIが用いられる。また、ベクター側の連結部位に−ACATGT−なる配列を形成するには、これ以外の種々の連結部位を有するベクターの改変により(たとえばPCR法を用いて)行うことができる。
【0017】
ベクター側末端に対応する先端を有する異種蛋白質構造遺伝子は、異種蛋白質構造遺伝子を含む遺伝子より制限酵素で切り出されたもので、その制限酵素は−Aあるいは−ACATGなるベクター側末端に対応する先端を形成しうる制限酵素である。異種蛋白質構造遺伝子を切断する制限酵素は、−N’CATGN−(Nは任意の塩基、N’はNに相補的な塩基)なる制限酵素認識部位を認識し、CATGN−あるいはN−なる先端を形成する制限酵素である。このための制限酵素としては、Nco I、Bsp HI、Afl III、Nsp I、またはSph Iが用いられる。この制限酵素認識部位が異種蛋白質構造遺伝子の先端部分に存在しない場合は、たとえば部位特異的変異導入法やPCR法を用いて異種蛋白質構造遺伝子の先端部分にこの制限酵素認識部位を配置することができる。
【0018】
上記ベクター側末端−Aと異種蛋白質構造遺伝子側先端CATGN−の組合せ、または、上記ベクター側末端−ACATGと異種蛋白質構造遺伝子側先端N−の組合せ、を連結することにより、−ACATGN−なる連結部が形成される。その配列の内のATGが異種蛋白質構造遺伝子の翻訳開始部位となる。しかもATGの次のNは、上記したような制限酵素の組合せにより任意のものとすることができ、これにより使用し得る異種蛋白質構造遺伝子の制約が全くなくなる。このための制限酵素の組合せとしては特に下記の組合せが好ましい。
【0019】
ベクターを切断する制限酵素としてAfl IIIまたはNsp Iを用い、異種蛋白質構造遺伝子を含む遺伝子を切断する制限酵素としてNco I、Bsp HI、Afl III、Nsp I、またはSph Iを用い、これらを組合せてATGの次の塩基をA、T、G、Cの任意のものとする手段の例を表1に示す。これらの制限酵素はいずれも6塩基パリンドローム配列を認識し、この認識部位のセンス鎖の5’端から1番目と2番目の塩基の間または5番目と6番目の塩基の間、および、アンチコード鎖の3’端から1番目と2番目の塩基の間または5番目と6番目の塩基の間で切断する制限酵素の1種である。この場合、表1の連結後の構造に示すように、連結部6塩基の配列は5’−ACATGN−3’からなり、組合せを選択することによりその翻訳開始コドンATGの次のNをA、T、G、Cの任意の塩基とすることができる。なお、表1中においてもNはA、T、G、Cのいずれかを表す(ただし、表中のアンチコード鎖のNはコード鎖のNに対応するものを表すものとする)。
【0020】
【表1】
【0021】
本発明のマルチクローニングベクターおよび発現ベクターは、導入される(あるいは導入された)異種蛋白質構造遺伝子の発現を制御するプロモーター領域を含む。このプロモーターはその下流に導入された前記異種蛋白質構造遺伝子の発現を支配する。このプロモーターは真核細胞内において機能しうるものであり、具体的にはS.pombe細胞内において機能しうる必要がある。
【0022】
上記プロモーターはS.pombe内で機能できるものであり、かつ導入された異種蛋白質構造遺伝子の転写を促進するものである。このプロモーターとしては、たとえば、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター、ヒトサイトメガロウィルス遺伝子プロモーター、ヒトコリオニックゴナドロピンα遺伝子プロモーター等がある。特に動物細胞ウィルス由来のプロモーターなどの転写を強力に促進するもの(R.Toyama et al.,FEBS Lett,268,217-221(1990) )であることが好ましい。このような好ましいプロモーターとしては、動物細胞ウィルス由来のプロモーター、特にヒトサイトメガロウィルス遺伝子のプロモーターがある。
【0023】
本発明のベクターは、さらに必要により、抗生物質耐性遺伝子などの薬剤耐性遺伝子、異種蛋白質を細胞外に分泌させるためのシグナルペプチドコード遺伝子、その他の種々の遺伝子を有していてもよい。また、E.coliなどの原核細胞内で機能しうるプロモーターや薬剤耐性遺伝子等を組み込んでシャトルベクターとすることもできる。
【0024】
発現ベクターが細胞内で発現するためには複製開始点を有することが必要である。しかし、上記本発明のマルチクローニングベクターや発現ベクターは必ずしも複製開始点を有している必要はない。複製開始点は発現ベクター構築後に導入することができる。また、複製開始点を有しない発現ベクターを細胞内に入れ込んだ後細胞内でその発現ベクターに自動的に複製開始点を導入できる。これらの複製開始点導入手段は公知である。たとえば酵母内で機能し得る複製開始点を有するベクター(以下酵母ベクターという)を本発明の発現ベクターに組み込むことができる(特開平5−15380号公報参照)。また、本発明の発現ベクターと酵母ベクターを1つの細胞内に入れ込み、細胞内で自動的に両者を融合させることができる。このような複製開始点導入手段を採用できることより、本発明の発現ベクターは複製開始点を有していてもよく、有していなくてもよい。同様に本発明のマルチクローニングベクターも複製開始点を有していてもよく、有していなくてもよい。ただし、いかなる場合でも細胞内で発現ベクターの発現が起こるためには、最終的にはベクターに複製開始点が必要である。
【0025】
ベクターに抗生物質耐性遺伝子などの薬剤耐性遺伝子を組み込むことはクローニングのためやマーカーとして用いるために通常必須である。本発明のベクターにおいても抗生物質耐性遺伝子とその転写を促進するプロモーター(以下第2のプロモーターという)を有していることが好ましい。この第2のプロモーターは、前記異種蛋白質構造遺伝子の転写を促進するプロモーターに比較してそれよりも転写促進活性の低いものであることが好ましい。しかもこの第2のプロモーターとしては、動物細胞ウィルス由来のプロモーター、特にSV40初期プロモーターが好ましい。この第2のプロモーターに支配される抗生物質耐性遺伝子としては、通常のものであってよいが、特に本発明においてはネオマイシン耐性遺伝子が好ましい。
【0026】
本発明においては、抗生物質耐性遺伝子を有する発現ベクターを使用することによって異種蛋白質発現量を増大させることが可能となる。このためには第2のプロモーターは前記異種蛋白質構造遺伝子を支配するプロモーターよりも転写促進活性が低い必要がある。たとえば上記のようなSV40初期プロモーターとそれによって支配されるネオマイシン耐性遺伝子とを有する発現ベクターを保持するS.pombeを培養する場合を例にとって説明する。このS.pombe形質転換体をG418(ネオマイシン)含有培地で培養すると、培地中のG418濃度に依存して菌体内で発現ベクターのコピー数が増す。したがって、G418濃度を高くすることにより菌体内で発現ベクターのコピー数を多くすることができ、その結果異種蛋白質発現量を増大させることができる。この際、第2のプロモーターの活性が異種蛋白質構造遺伝子を支配するプロモーターよりも高活性であると、発現ベクターのコピー数が少なくても充分なネオマイシン耐性蛋白質(酵素)が生産されるために発現ベクターのコピー数を増やす必要がなくなり、目的とする異種蛋白質発現量を増大させることができない。
【0027】
図4に本発明のマルチクローニングベクターの例として実施例で作成したpTL2Mの制限酵素切断地図を示す。このpTL2Mは大略5,000bp(より正確には約5,000±200bp)の大きさで、ヒトサイトメガロウィルス遺伝子(hCMV)のプロモーター領域、プロモーター領域とマルチクローニングサイト(MCS)を連結する非翻訳領域(5’−UTR)、および異種蛋白質構造遺伝子を導入するためのMCSを時計回り方向にこの順に有する。MCS先端に前記した特定の制限酵素認識部位が存在する。一方さらに、上記hCMVプロモーター領域先端付近から反時計方向回りに、SV40プロモーター領域、およびネオマイシン耐性遺伝子(NmR )をこの順に有する。また、さらにNmR の下流域に前記したように、E.coliなどの原核細胞内で機能しうる薬剤耐性遺伝子であるアンピシリン耐性遺伝子(ApR )を有し、また図示されているようにSV40ターミネーター(2か所)、原核細胞内で機能する複製開始点(Ori)、および下流側非翻訳領域(3’−UTR)を有する。
【0028】
上記非翻訳領域(5’−UTR)は、プロモーター領域の末端(通常TATAなる配列)と翻訳開始コドンATGの間に存在する配列である。この非翻訳領域の長さが翻訳活性に影響することが少なくない。本発明におけるベクターのこの部分の長さは20〜200bpであることが好ましい。より好ましくは30〜100bpである。図示したpTL2Mでは約56bpである。
【0029】
図示したpTL2M自体は真核細胞内で機能し得る複製開始点を有していない。このpTL2Mを使用するにあたっては真核細胞内で機能し得る複製開始点を導入する必要がある。真核細胞内で機能し得る複製開始点を有する配列やその配列を有するベクターは公知であり、これを用いてpTL2Mに複製開始点を導入することができる。S.pombe細胞内で機能し得る複製開始点を有す公知のベクターとしては、たとえばpAU5やpAL7がある(K.Okazaki et.al.,Nucleic Acids Res.,18,6485-6489(1990)、K.Okayama et.al.,Molecular Cellular Biol.,3,280-289(1983) )。これら酵母ベクターは自動複製配列(ars)と安定化配列(stb)を有し、さらに選択マーカーや抗生物質耐性遺伝子を有する。この酵母ベクターをpTL2Mに組み込むことにより、S.pombe細胞内で複製し得るマルチクローニングベクターが得られる。同様に、マルチクローニングベクターに異種蛋白質構造遺伝子を導入した発現ベクターにこの酵母ベクターを組み込むことにより、S.pombe細胞内で複製し得る発現ベクターが得られる。この酵母ベクターを組み込んで発現ベクターを構築する方法については、上記文献のほか、本発明者らの発明にかかわる特開平5−15380号公報に記載されている。
【0030】
一般に、大きなベクターを細胞に入れ込むことは困難なことが少なくない。上記pTL2M自体比較的大きなベクターであり、これに上記酵母ベクターを組み込んで酵母細胞に入れ込むことは比較的困難である。これを解決する手段としては上記酵母ベクター(通常は制限酵素で切断した線状のDNAを用いる)と本発明のマルチクローニングベクターないし発現ベクターとを別々に同一の細胞に入れ込む方法がある。この場合、酵母ベクターは細胞内で自動的にマルチクローニングベクターないし発現ベクターに組み込まれ、上記したような複製開始点を有するベクターが自動的に構築される。後述実施例ではこの方法を用いてS.pombeの形質転換を行った。
【0031】
マルチクローニングベクターおよび発現ベクターを構築するための一般的手法は公知であり、たとえば文献「J.Sambrook et al., "Molecular Cloning 2nd ed.", Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989) 」に記載されている。本発明のマルチクローニングベクターおよび発現ベクターはこの一般的手法を用い前記した方法で構築することができる。発現ベクターの宿主として本発明で用いるS.pombeの菌株としては、たとえばATCC 38399(leu1−32h − )またはATCC 38436(ura4−294h − 等が挙げられ、これらは、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)から入手可能である。
【0032】
発現ベクターを用いてS.pombeを形質転換する方法は公知であり、たとえば酢酸リチウム法(K.Okazaki et al.,Nucleic Acids Res.,18,6485-6489(1990)) 等によって、S.pombeの形質転換体が得られる。形質転換体を培養するための培地は公知であり、YPD培地等の栄養培地(M.D.Rose et al.,"Methods In Yeast Genetics",Cold Spring Harbor Laboratory Press(1990))あるいはMB培地等の最少培地(K.Okazaki et al.,Nucleic Acids Res.,18,6485-6489(1990)) 等を用いることができる。形質転換体の培養は、通常16〜42℃、好ましくは25〜37℃で、8〜168時間、好ましくは48〜96時間行う。振盪培養と静置培養のいずれも可能であるが、必要に応じて撹拌や通気を加えてもよい。
【0033】
培養物中に産生した蛋白質の単離・精製法としては、公知の、塩析または溶媒沈澱法等の溶解度の差を利用する方法、透析、限外濾過またはゲル電気泳動法等の分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィー等の荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィー等の特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィー等の疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法等の等電点の差を利用する方法等が挙げられる。
【0034】
単離・精製した蛋白質の確認方法としては、公知の、ウエスタンブロッティング法または活性測定法等が挙げられる。また精製された蛋白質は、アミノ酸分析、アミノ末端分析、一次構造解析などによりその構造を明らかにすることができる。
【0035】
【実施例】
以下実施例によって、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例によりその技術範囲が限定されるものではない。
【0036】
なお、以下において、実施例1は本発明ベクター構築の元となるベクターpRL2Mの作製を示し、実施例2はそのpRL2Mを使用した異種蛋白質構造遺伝子導入前のベクターpTL2Mの作製を示す。このベクターpTL2Mは本発明のマルチクローニングベクターであり、以下の実施例はこのベクターpTL2Mに種々の異種蛋白質構造遺伝子を導入してその発現を試験した例である。また、実施例3はこのベクターpTL2Mを含むS.pombe形質転換体の製造を示し、実施例4はこの形質転換体細胞抽出液の調製(コントロール用)を示す。実施例5では特にヒトリポコルチンIの生産について種々の試験を行った例を示す。実施例6以下は種々の蛋白質の発現例を示す。
【0037】
[実施例1]
[ベクターpRL2Mの作製]
公知の方法で調製したプラスミドpcD4B(特開平5−15380号公報参照)を制限酵素Sac Iで消化後、末端をT4 DNAポリメラーゼで平滑化し、さらに制限酵素Bam HIで消化した後、フェノール抽出およびエタノール沈殿によって核酸分画を回収した。さらにアガロースゲル電気泳動後、ガラスビーズ法(旭硝子(株)製「DNA PREP」(商品名)使用、以下同様)によって約4500塩基対に相当するDNAを精製した。
【0038】
別に、やはり公知の方法で調製した、ヒトリポコルチンI遺伝子(cDNA)を含むベクターpcD4lipoI(特開平5−15380号公報参照)を制限酵素Xmn IおよびBam HIで消化した後、フェノール抽出およびエタノール沈澱によって核酸分画を回収した。さらにアガロースゲル電気泳動後、ガラスビーズ法によって約1300塩基対に相当するDNAを精製した。
【0039】
両DNAを、ライゲーションキット(宝酒造(株)販売)でライゲーションした後、大腸菌DH5(東洋紡(株)販売)を形質転換した。得られた形質転換体よりベクターを調製し、目的とするベクターpRL2L(図1)を持った形質転換体をスクリーニングした。部分塩基配列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクターであることを確認した。
【0040】
このリポコルチンI発現ベクターpRL2Lを制限酵素Eco RIおよびHind IIIで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動により約5000塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。別に、公知のプラスミドpUC19を制限酵素Eco RIおよびHind IIIで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、ポリアクリルアミドゲル電気泳動より約60塩基対に相当するバンドを切り出し、ゲルから抽出精製した。
【0041】
これら両者の断片をライゲーションの後、大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpRL2M(図2)をスクリーニングした。部分塩基配列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクターであることを確認した。
【0042】
[実施例2]
[ベクターpTL2Mの作製]
pRL2Mをテンプレートとし、オリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-TTGACTAGTTATTAATAGTA-3' およびオリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-CTAGAATTCACATGTTTGAAAAAGTGTCTTTATC-3' を合成プライマーとして、Taqポリメラーゼを用いたPCRによって目的断片を増幅した。制限酵素Spe IおよびEco RIで末端を調節し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動により約600塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。
【0043】
別に、pRL2Mを制限酵素Spe IおよびEco RIで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約4500塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。これら両者の断片をライゲーションの後、大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL2M(図3)をスクリーニングした。部分塩基配列の確認および制限酵素切断地図の作製から目的のベクターであることを確認した。pTL2Mの制限酵素切断地図を図4に示す。
【0044】
[実施例3]
[pTL2Mの酵母への導入]
S.pombeのロイシン要求性株、ATCC 38399(leu1−32h − )を最少培地で0.8×107 細胞数/mlになるまで生育させた。集菌、洗菌後109 細胞数/mlになるように0.1モル酢酸リチウム(pH5.0)に懸濁し、30℃で60分間インキュベートした。その後、上記懸濁液100μlにpAL7をPst Iで切断したDNAの1μg、実施例1で得たベクターpTL2Mの2μgをTE(EDTAを含んだトリスバッファー)15μlに溶かして加え、50%PEG4000を290μl加えよく混合したのち30℃で60分間、43℃で15分間、室温で10分間の順にインキュベートした。遠心によりPEG4000を除去し、培養液1mlに懸濁した。
【0045】
このうち100μlを分取し、900μlの培養液を加えて、32℃、30分間インキュベートした。うち300μlを最少寒天培地にスプレッドした。32℃で3日間インキュベートし、形質転換体をG418を含むプレートに移し、さらに32℃で5日間培養した。得られたものは、目的とする形質転換体であった。
【0046】
[実施例4]
[形質転換体の培養および細胞抽出液の調製]
実施例3で得た形質転換体を2%グルコース、1%イースト抽出液、2%ペプトン、およびG418を200μg/mlを含む液体培地50mlで32℃、3日間培養した。その培養液から108 細胞程度の菌体を集菌、洗菌し、50ミリモルトリス塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁し、超音波破砕を行った。遠心によって細胞抽出液(上清)を得た。この細胞抽出液をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(TEFCO社製 4〜20%ポリアクリルアミドゲル、以下SDS−PAGEという)にて行う解析の陰性対象(コントロール)として以下の実施例について用いた。
【0047】
[実施例5]
[ヒトリポコルチンIの発現]
公知(特開平5−15380号公報参照)のリポコルチンIcDNA全長をベクターpcD4lipoIをテンプレートとし、オリゴデオキシリボヌクレオチド 5'ーATGCCATGGCAATGGTATCAGAATT-3'およびオリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-AGCCAGTATACACTCCGCTA-3' を合成プライマーとして、Taqポリメラーゼを用いたPCRによって目的断片を増幅した。制限酵素Nco IおよびBam HIで末端を調節し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動により約1400塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。
【0048】
別に、pTL2Mを制限酵素Afl IIIおよびBam HIで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約5000塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。これら両者の断片をライゲーションの後、大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL2L(図5)をスクリーニングした。部分塩基配列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクターであることを確認した。
【0049】
実施例3と同様にS.pombeを形質転換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。この際細胞抽出液にプロテアーゼ(12マイクルモルPMSF、25マイクロモル ロイペプチン、5マイクロモルE−64)を存在させておく。SDS−PAGEにて調べたところ、分子量36,000の位置にコントロールpTL2Mを導入した酵母抽出液には見られないバンドが確認され、抗ヒトリポコルチンI抗体(ウサギ)を用いてウエスタンブロットを行なったところ、このバンドのみが特異的に染色された(図6)。図6はヒトリポコルチンIの発現を示すSDS−PAGE観察図(図6;1、2)およびウエスタンブロット観察図(図6;3、4)であり、図における1〜4は下記のものを表す。
【0050】
1;S.pombe(pTL2M)細胞抽出液、
2;S.pombe(pTL2L)細胞抽出液、
3;S.pombe(pTL2M)細胞抽出液、
4;S.pombe(pTL2L)細胞抽出液。
【0051】
また、 125I−プロテインAを二次抗体としてウエスタンブロットを行い、天然体のリポコルチンIを標準として定量をしたところ、発現されたリポコルチンは全可溶性蛋白質の50wt%を占めていることがわかった。
【0052】
[分裂酵母で発現したヒトリポコルチンIの精製]
上記で得た粗抽出液をヒトリポコルチンIのカルシウム結合型のみを認識するモノクローナル抗体をリガンドとしたアフィニテイーカラムに1ミリモル塩化カルシウム、50ミリモルトリス塩酸(pH7.5)、0.15モル塩化ナトリウムにて吸着させ2ミリモルEGTA、50ミリモルトリス塩酸(pH7.5)、0.15モル塩化ナトリウムにて溶出させることにより、SDS−PAGEにおいて単一なバンドをなす組換えヒトリポコルチンIを得た(図7)。図7はヒトリポコルチンIの精製を示すSDS−PAGE観察図であり、図におけるAおよびBは下記のものを表す。
【0053】
A;S.pombe(pTL2L)粗抽出液、
B;精製ヒトリポコルチンI。
【0054】
[ホスホリパーゼA2(PLA2)阻害活性]
上記実施例にて精製した組換えヒトリポコルチンIによるPLA2阻害活性をB.Rothhut らの方法(B.Rothhut,et al,Biochem.Biophys.Res.Commun.117,878-884(1983))にて測定した。すなわち、トリチウムを含むオレイン酸で標識した大腸菌を基質として、ハチ毒PLA2の活性に対するヒトリポコルチンIの阻害活性を調べた。この結果を図8に示した。この結果より、ヒト胎盤由来リポコルチンIの示す阻害活性と、阻害の程度、阻害様式が一致していることがわかった。図8は蛋白質量とPLA2の活性の関係を示すグラフである。
【0055】
[F-アクチンとの結合能]
上記実施例で得た精製ヒトリポコルチンIが、カルシウム存在下にてF−アクチンに結合するかどうかをH.Hayashi らの方法 (H.Hayashi et al,Biochem.Biophys.Res.Commun.146,912-919(1987)) にて検討した。ヒト胎盤由来リポコルチンIと同様、1ミリモルカルシウム存在下にて50wt%のヒトリポコルチンIがF−アクチンと結合し、1ミリモルEGTA存在下では全く結合は見られなかった(図9)。図9はアクチン結合活性を示すSDS−PAGE観察図であり、図における1〜4は以下のものを示す。
【0056】
1;1ミリモルEGTA存在下の遠心残渣、
2;1ミリモルEGTA存在下の遠心上清、
3;1ミリモル塩化カルシウム存在下の遠心残渣、
4;1ミリモル塩化カルシウム存在下の遠心上清。
【0057】
[アミノ酸組成]
上記実施例で得た組換えヒトリポコルチンIのアミノ酸組成をアミノ酸分析機(JEOL JLC−360)により分析した。その結果を表2に示す。DNA塩基配列から予想される組成と一致していることがわかった。
【0058】
【表2】
【0059】
[アミノ末端アミノ酸配列]
上記実施例で得た組換えヒトリポコルチンIのアミノ末端からのアミノ酸配列の決定を気相法シークエンサー(SHIMADZU PSQ−1)にて行ったが、PTH−アミノ酸は検出されなかった。そこで組換えヒトリポコルチンIをV8プロテアーゼ(ベーリンガー社)により完全分解し、ODS C18カラム(HPLC)にて各フラグメントを分取し、各フラグメントのアミノ酸組成を調べることによりアミノ末端フラグメントを選んだ。次に、そのペプチドにアシルアミノ酸遊離酵素を作用させた。その結果を図10に表す。
【0060】
図10はHPLCによる溶出量を表すグラフであり、図10aはアミノ末端フラグメントの溶出量を表すグラフであり、図10bはそのアミノ末端フラグメントにアシルアミノ酸遊離酵素を作用させた後のフラグメントの溶出量を表すグラフである。図10bに示すように溶出時間の早いところにピークがあらわれ、またアミノ末端フラグメントの溶出位置は移動した。
【0061】
前者のピークを分取し加水分解してアミノ酸組成を調べたところAla であり、またアセチルAla をHPLCにて溶出させると、図10bのようにこのピークと一致する。また後者のピークをシークエンサーにて解析するとMet-Val-Ser-Glu であることがわかった。したがって、組換えヒトリポコルチンIのアミノ末端アミノ酸配列は天然体と同様Acetyl-Ala-Met-Val-Ser-Gluであると考えられる。
【0062】
[ヒトリポコルチンI発現ベクターのコピー数の確認]
実施例で作製した形質転換体を培養し、5×107 個の細胞を得た。培地中のG418濃度を各々0、25、50、100、200μg/mlの5種類に対して行った以外は、培養方法は実施例4と同じ方法で行った。ガラスビーズ、SDSおよびフェノールを用いて菌体を破砕し、全DNAを抽出した。制限酵素Eco RIおよびHind IIIで消化した後、0.8%アガロースゲル電気泳動後、ナイロンメンブレンに転写し、ヒトリポコルチンI遺伝子のEco RI−Hind III断片をプローブとしてサザンハイブリダイゼーションを行った。この結果を図11に示す。図11はG418濃度とpTL2Lのコピー数と関係を示すグラフである。図に示すように、培地中のG418濃度に依存して菌体内のベクターコピー数が増加し、最大200コピー程度まで上昇することがわかった。
【0063】
[実施例6]
[ラットアルギナーゼの発現]
熊本大学医学部森正敬教授より供与を受けた、ラット肝臓アルギナーゼcDNA全長を含むベクターpARGr−2[S.Kawamoto et al.,Biochem. Biophis. Res.Commun.,136,955-961(1986) ]より、インサートを制限酵素Eco RIおよびPst Iで切り出し、市販のベクターであるブルースクリプトのEco RI−Pst I部位にサブクローニングした。
【0064】
このベクターをテンプレートとし、オリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-GACTCATGAGCTCCAAGCCAAAGCC-3'およびオリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-TTCCCAGTCACGACGTTGTA-3' を合成プライマーとして、Taqポリメラーゼを用いたPCRによって目的断片を増幅した。制限酵素Bsp HIおよびXba Iで末端を調節し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動により約1300塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。
【0065】
別に、pTL2Mを制限酵素Afl IIIおよびXba Iで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約5000塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。これら両者の断片をライゲーションの後、大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL2R(図12)をスクリーニングした。部分塩基配列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクターであることを確認した。
【0066】
実施例3と同様にS.pombeを形質転換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。SDS−PAGEによって発現を確認したところ、ラットアルギナーゼに相当する分子量35,000付近の位置にコントロールpTL2Mには見られない明瞭なバンドが検出できた。その発現量は、デンシトメーターにて測定したところ全菌体蛋白質の30〜50wt%であった。また、ラットアルギナーゼ特異的な抗体を用いてウエスタンブロッティングを行い、ラットアルギナーゼであることを確認した。
【0067】
[実施例7]
[ヒトIL−6の発現]
ヒトIL−6cDNA全長を含む公知のベクターpUC19をテンプレートとし、オリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-ATCGCATGCCAGTACCCCCAGGAGAAGA-3' およびオリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-TGAAAATCTTCTCTCATCCG-3' を合成プライマーとして、Taqポリメラーゼを用いたPCRによって目的断片を増幅した。制限酵素Sph IおよびHind IIIで末端を調節し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動により約1000塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。
【0068】
別に、pTL2Mを制限酵素Afl IIIおよびHind IIIで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約5000塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。これら両者の断片をライゲーションの後、大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL26m(図13)をスクリーニングした。部分塩基配列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクターであることを確認した。
【0069】
実施例3と同様にS.pombeを形質転換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。SDS−PAGEによって発現を確認したところ、ヒトIL−6に相当する分子量21,000付近の位置にコントロールpTL2Mには見られない明瞭なバンドが検出できた。その発現量は、デンシトメーターにて測定したところ全菌体蛋白質の10wt% 程度であった。また、ヒトIL−6特異的な抗体を用いてウエスタンブロッティングを行い、ヒトIL−6であることを確認した。
【0070】
[実施例8]
[ラットNDPキナーゼα体の発現]
東京都老人研究所木村成道博士より供与を受けた、ラットNDPキナーゼα体cDNA全長を含むベクターpNDPKαを制限酵素Nco IおよびHindIIIで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動により約600塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。別に、pTL2Mを制限酵素Afl IIIおよびHind IIIで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約5000塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。
【0071】
これら両者の断片をライゲーションの後、大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL2−Nα(図14)をスクリーニングした。部分塩基配列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクターであることを確認した。
【0072】
実施例3と同様にS.pombeを形質転換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。SDS−PAGEによって発現を確認したところ、ラットNDPキナーゼα体に相当する分子量17,000付近の位置にコントロールpTL2Mには見られない明瞭なバンドが検出できた。その発現量は、デンシトメーターにて測定したところ全菌体蛋白質の30〜50wt%であった。また、ラットNDPキナーゼα体特異的な抗体を用いてウエスタンブロッティングを行い、ラットNDPキナーゼα体であることを確認した。
【0073】
[実施例9]
[ラットNDPキナーゼβ体の発現]
東京都老人研究所木村成道博士より供与を受けた、ラットNDPキナーゼβ体cDNA全長を含むベクターpNDPKβを制限酵素Nco IおよびEco RIで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動により約700塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。
【0074】
別に、pTL2Mを制限酵素Afl IIIおよびEco RIで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約5000塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。これら両者の断片をライゲーションの後、大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL2−Nβ(図15)をスクリーニングした。部分塩基配列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクターであることを確認した。
【0075】
実施例3と同様にS.pombeを形質転換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。SDS−PAGEによって発現を確認したところ、ラットNDPキナーゼβ体に相当する分子量17,000付近の位置にコントロールpTL2Mには見られない明瞭なバンドが検出できた。その発現量は、デンシトメーターにて測定したところ全菌体蛋白質の30〜50wt%であった。また、ラットNDPキナーゼβ体特異的な抗体を用いてウエスタンブロッティングを行い、ラットNDPキナーゼβ体であることを確認した。
【0076】
[実施例10]
[ヒト血清アルブミンの発現]
国立予防衛生研究所遺伝子バンクより供与を受けた、ヒト血清アルブミンcDNAを含むベクターpILMALB5をテンプレートとし、オリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-AGACCATGGATGCACACAAGAGTGAGGT-3' およびオリゴデオキシリボヌクレオチド 5'-CAGGAAACAGCTATGACCAT-3' を合成プライマーとして、Taqポリメラーゼを用いたPCRによって目的断片を増幅した。制限酵素Nco IおよびHind IIIで末端を調節し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動により約1800塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。
【0077】
別に、pTL2Mを制限酵素Afl IIIおよびHind IIIで消化し、フェノール抽出、エタノール沈澱の後、アガロースゲル電気泳動より約5000塩基対に相当するバンドを切り出し、ガラスビーズ法で精製した。これら両者の断片をライゲーションの後、大腸菌DH5を形質転換して目的とするベクターpTL2Bm(図16)をスクリーニングした。部分塩基配列の確認および制限酵素地図の作製から目的のベクターであることを確認した。
【0078】
実施例3と同様にS.pombeを形質転換し、実施例4と同様に細胞抽出液を調製した。SDS−PAGEによって発現を確認したところ、ヒト血清アルブミンに相当する分子量69,000付近の位置にコントロールpTL2Mには見られない明瞭なバンドが検出できた。その発現量は、デンシトメーターにて測定したところ全菌体蛋白質の30wt%程度であった。また、ヒト血清アルブミン特異的な抗体を用いてウエスタンブロッティングを行い、ヒト血清アルブミンであることを確認した。
【0079】
【発明の効果】
本発明では、あらゆる蛋白質を高発現量で発現することができるため、異種蛋白質生産の効率を大幅に上昇させることが可能である。また上述のヒトリポコルチンIの場合に見られるようにその発現量は菌体蛋白質の50wt%を占め、その分子量、アミノ酸組成、アミノ末端近傍のアミノ酸配列、などがヒト胎盤由来リポコルチンI(Nature 320,77-81(1986))における各々と同一であり、またPLA2阻害活性の程度やアクチンとの結合能などについても上記天然型と同様であることから、本発明により分裂酵母を用いて天然型とほぼ同一と思われる蛋白質をきわめて効率よく得られることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】ベクターpRL2Lの構成図
【図2】ベクターpRL2Mの構成図
【図3】ベクターpTL2Mの構成図
【図4】ベクターpTL2Mの制限酵素切断地図
【図5】発現ベクターpTL2Lの構成図
【図6】SDS−PAGEおよびウエスタンブロット観察図
【図7】SDS−PAGE観察図
【図8】PLA2阻害活性を示すグラフ
【図9】SDS−PAGE観察図
【図10】HPLC溶出を示すグラフ
【図11】pTL2Lのコピー数の変化を示すグラフ
【図12】発現ベクターpTL2Rの構成図
【図13】発現ベクターpTL26mの構成図
【図14】発現ベクターpTL2−Nαの構成図
【図15】発現ベクターpTL2−Nβの構成図
【図16】発現ベクターpTL2Bmの構成図
Claims (9)
- 真核細胞内において機能しうるプロモーター領域を有し、かつそのプロモーターによって支配される異種蛋白質構造遺伝子を導入するためのマルチクローニングサイトをそのプロモーター領域の下流に有するベクターであり、そのベクターのマルチクローニングサイト先端部分における異種蛋白質構造遺伝子を導入するための制限酵素認識部位が、5’側から−ACATGT−なる配列を有する制限酵素認識部位であることを特徴とするマルチクローニングベクター。
- 真核細胞内において機能しうるプロモーター領域、およびそのプロモーター領域下流にそのプロモーターによって支配された異種蛋白質構造遺伝子を有し、異種蛋白質構造遺伝子先端部分が5’側から−ACATGN−(Nは任意の塩基)なる配列を有し、この配列におけるATGが異種蛋白質構造遺伝子の翻訳開始部位であり、しかもこの配列がベクターに異種蛋白質構造遺伝子が導入された際の制限酵素認識部位に由来する配列であることを特徴とする発現ベクター。
- −ACATGN−なる配列が、−Aなるベクター側末端とCATGN−なる異種蛋白質構造遺伝子側先端との連結によって、または、−ACATGなるベクター側末端とN−なる異種蛋白質構造遺伝子側先端との連結によって、形成された配列である、請求項2に記載の発現ベクター。
- プロモーター末端と異種蛋白質構造遺伝子の翻訳開始部位との間に非翻訳領域を有し、その非翻訳領域の長さが20〜200bpである、請求項2または3に記載の発現ベクター。
- 真核細胞内において機能しうるプロモーター領域を有するベクターのプロモーター領域下流にそのプロモーターによって支配される異種蛋白質構造遺伝子を導入する方法において、5’側から−ACATGT−なる配列を有する制限酵素認識部位で切断したベクター末端に5’側から−N’CATGN−(Nは任意の塩基、N’はNに相補的な塩基)なる配列を有する制限酵素認識部位で切断した異種蛋白質構造遺伝子の先端を連結して−ACATGN−なる配列の連結部分を形成し、その連結部分のATGを異種蛋白質構造遺伝子の翻訳開始部位とし、しかもベクター側の制限酵素認識切断部末端と異種蛋白質構造遺伝子側の制限酵素認識切断部先端の組合せによりATGの次の塩基をA、T、G、およびCから選ばれる任意の塩基とすることを特徴とする真核細胞内で発現しうる発現ベクターの構築方法。
- ベクター側制限酵素認識部位を切断する制限酵素がAfl IIIまたはNsp Iであり、異種蛋白質構造遺伝子側制限酵素認識部位を切断する制限酵素がNco I、Bsp HI、Afl III、Nsp I、またはSph Iである、請求項5に記載の発現ベクターの構築方法。
- 複製開始点を有しない請求項2、3または4に記載の発現ベクターを複製開始点を有する酵母ベクターと人為的にあるいは酵母内で自動的に組換えて複製開始点を有する発現ベクターを構築する、発現ベクターの構築方法。
- 請求項2、3または4に記載の発現ベクターまたはその発現ベクターと複製開始点を有する酵母ベクターとの組換え体を保持するシゾサッカロミセス・ポンベからなる形質転換体。
- 請求項8に記載の形質転換体を培養し、培養物中に異種蛋白質を生成蓄積させ、これを採取することを特徴とする異種蛋白質の製造法。
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