JPWO2004086889A1 - インナーウェアー及びハイゲージ丸編み機及びハイゲージ丸編み機を用いた編成方法 - Google Patents
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Abstract
インナーウェアーにおいて、身生地と裾部とが無縫製で繋がった構造にしたうえで、製品としての差別化及び使用者としての個性発揮に画期的な効果を奏することができるようにする。ボディーサイズの筒形を呈したダブル素材より成る身生地2と、この身生地2の端部に質感を明確に異ならせて設けられた裾部3とを有し、上記身生地2と裾部3とが無縫製で繋がった構造とされている。また身生地2には、一貫した編成過程の中で編み方を異ならせることによって機能、外観、質感等を異ならせた異質編成部5が部分的に設けられている。
Description
本発明は、インナーウェアー及びハイゲージ丸編み機及びハイゲージ丸編み機を用いた編成方法に関するものである。
ボトムウェアー、パンツ、スパッツ、ショーツなどの下物のインナーウェアーや、キャミソール、シャツなどの上物のインナーウェアーにおいて、裾部の処理は、身生地側の生地を折り返して縫製したり、裾テープを縫いつけたりするのが一般的である(例えば、特開平9−31708号公報、特開平6−81201号公報、特開平9−95805号公報等参照)。
このような裾部の処理が必要な理由は、第一に、身生地側の生地のホツレを止めることにある。その他にも、外観的な縁取りとしての存在感やアクセントを持たせたり着用者への締め付け力を持たせたりするといったこともあった。
なお、アウターウェアーのなかには、身生地側を編成する過程で裾部をも一体的に仕上げしまい、その後、いちいち裾部の処理を必要としないものがあった。このように仕上げられた裾部は、身生地側との間に縫製部がないために凹凸がなく、すっきりした外観を呈していることが評価されている。
しかし、アウターウェアーに比べ、使用される糸が細く(30番手以上)且つ編み組織が緻密(カバーファクターで0.58以上)となるインナーウェアーでは、このような編成過程での裾部の一体仕上げは、原則としては不可能とされていた。ただ例外はあった。
その例外とは、インナーウェアーでも、丸編み機を用いたピース編により連続生地を編成し、ピース相互間に溶融糸を用いた分離帯を形成し、この分離帯を後工程で溶融させることでピースごとに分離し、各ピースをインナーウェアーとして仕立て上げるという製作方法を採用する場合である。この例外の製作方法を採用すれば、裾部としてその後の処理を必要としないものが得られた(例えば、特開平10−8361号公報参照)。
この例外の製作方法で分離帯を形成するために用いていた溶融糸は、3〜5デニールのフィラメントを10〜30本程度、合撚糸したものとされていた。すなわち、1本の溶融糸の太さは30〜150デニールであった。
ところで従来、インナーウェアーを仕立てるうえで、その元になる生地を編成するには、多くの場合、丸編み機が用いられていた。従ってこれにより編成される生地は筒状生地である。
この丸編み機は、円筒形のシリンダと、このシリンダ上に設けられる円板形のダイヤルとを有したもので、シリンダ周りには多数本のシリンダ針がそれらの長手方向を上下に向けて設けられ、またダイヤル上面には多数本のダイヤル針がそれらの長手方向を径方向へ向けつつ放射状配置で設けられている(例えば、特開2002−38359号公報、特開平4−11055号公報、特開平6−33349号公報、特開平5−25757号公報等参照)。
そして、シリンダ及びダイヤルの回転と共に、シリンダ針やダイヤル針が回転し、各シリンダ針の上下動とダイヤル針の前後動とでこれらの間でダブル素材の筒状生地(表裏が同じ編み組織となった生地)が編成されるというものであった。
また編成された筒状生地は、シリンダの内方を介して下方へ垂れ下げられ、このシリンダ下方に設置された巻取装置にて、一定トルクのもと巻き取ることを目標に、ロール状に巻き取られるようになっていた(例えば、特公平1−44819号公報、特公平1−59373号公報等参照)。
このような丸編み機のうち、インナーウェアー用とされるものは、細い糸を扱い且つ緻密な編み組織を編むためにハイゲージ丸編み機と呼ばれている。ハイゲージとは一般に17ゲージ以上を言う。この17ゲージとは、1インチの中に含まれるシリンダ針が17本以上あるということである。因みに、17ゲージ未満のものをローゲージ丸編み機と呼んでいる。このローゲージ丸編み機は、多くの場合、アウターウェアーを編成するのに用いられている。
しかし、従来のインナーウェアーでは、裾部を設けるために、身生地側の生地を折り返して縫製したり裾テープを縫いつけたりするのが一般的な手法であったので、殆どの場合、身生地側と裾部との間に、縫い合わせに伴う凸条が生じたり、生地重ねに伴う段差が生じたり、或いは縫い目が明確に判る形で現れたりしていた。
そのため、このようなインナーウェアーを着用すると、身生地側と裾部との境部分がアウターウェアー側にまで写り出て、外側から視認できるようになってしまい、見栄えが悪いということがあった。また、インナーウェアーであるが故に、上記凸条や段差、縫い目等が肌に直接に接触して肌触り感、ひいては着心地を低下させるということもあった。
勿論、裾部を仕上げるための手間が必要であるために、このことが、インナーウェアーとしての生産性を高めたり低コスト化を図ったりするうえで重大なネックとなるといったこともあった。
なお、インナーウェアーのなかで、上記のように例外的な製作方法を経るものとして、溶融糸による分離帯を採用してここで分離させるようにしたものでは、裾部を仕上げることに関しての手間等の問題は生じていない。しかし次の問題があった。
すなわち、分離帯に用いていた溶融糸には30〜150デニールといった比較的太いものを用いざるを得ないという事情がある。それは、この程度の太さがないと強度不足となり、従来のハイゲージ丸編み機では糸切れを起こして編成できなかったからである。
ところがこの分離帯は、溶融糸により形成してあるとは言っても、分離のため溶融した後も僅かながら裾部側に残留することがある。そのため、上記したように太い溶融糸を使った場合では、裾部側で残留した溶融糸の糸端が、ザラザラした肌触り感を生じさせてしまうということがあったのである。従ってこの点でも、インナーウェアーとしての着心地を低下させることに繋がることがあった。
のみならず、従来のインナーウェアーでは、その殆どのものが身生地全体を単一編み組織でまとめられており、例えば、保温性や体型補正等の各種機能をはじめ、模様や柄等の外観、質感等々を身生地中の一部分だけで変えたようなものは製品としては存在していなかった。そのため、売り手側からは製品の差別化をし難く、使用者側からも個性を出せないという不満があった。
これは、インナーウェアーを編成するのに用いられる従来のハイゲージ丸編み機に対して、給糸切換装置を装備させることができないことに起因していた。なお仮に、従来のハイゲージ丸編み機に給糸切換装置を装備させたとしても、巻取装置による引張作用を生地に付与させたところで編成作業が全く進行しない(即ち、編めない)という現象が起こっていたのである。従来、この現状が起こる理由については、何ら解明されていなかった。
そこで本発明は、上記事情に鑑み、見栄え、肌触り、着心地などに優れたインナーウェアーを提供することを目的とする。
また本発明は、身生地中の一部に、各種機能、外観、質感等の異なる部分を設けることで製品としての差別化及び使用者としての個性発揮に画期的な効果を奏することができるインナーウェアーを提供することを目的とする。
また本発明は、見栄え、肌触り、着心地などに優れたインナーウェアーや、身生地中の一部に、各種機能、外観、質感等の異なる部分を設けることで製品としての差別化及び使用者としての個性発揮に画期的な効果を奏することができるインナーウェアーにつき、これらを簡単、確実、且つ高生産性のもと、編成することができるようにしたハイゲージ丸編み機及びハイゲージ丸編み機を用いた編成方法を提供することを目的とする。
このような裾部の処理が必要な理由は、第一に、身生地側の生地のホツレを止めることにある。その他にも、外観的な縁取りとしての存在感やアクセントを持たせたり着用者への締め付け力を持たせたりするといったこともあった。
なお、アウターウェアーのなかには、身生地側を編成する過程で裾部をも一体的に仕上げしまい、その後、いちいち裾部の処理を必要としないものがあった。このように仕上げられた裾部は、身生地側との間に縫製部がないために凹凸がなく、すっきりした外観を呈していることが評価されている。
しかし、アウターウェアーに比べ、使用される糸が細く(30番手以上)且つ編み組織が緻密(カバーファクターで0.58以上)となるインナーウェアーでは、このような編成過程での裾部の一体仕上げは、原則としては不可能とされていた。ただ例外はあった。
その例外とは、インナーウェアーでも、丸編み機を用いたピース編により連続生地を編成し、ピース相互間に溶融糸を用いた分離帯を形成し、この分離帯を後工程で溶融させることでピースごとに分離し、各ピースをインナーウェアーとして仕立て上げるという製作方法を採用する場合である。この例外の製作方法を採用すれば、裾部としてその後の処理を必要としないものが得られた(例えば、特開平10−8361号公報参照)。
この例外の製作方法で分離帯を形成するために用いていた溶融糸は、3〜5デニールのフィラメントを10〜30本程度、合撚糸したものとされていた。すなわち、1本の溶融糸の太さは30〜150デニールであった。
ところで従来、インナーウェアーを仕立てるうえで、その元になる生地を編成するには、多くの場合、丸編み機が用いられていた。従ってこれにより編成される生地は筒状生地である。
この丸編み機は、円筒形のシリンダと、このシリンダ上に設けられる円板形のダイヤルとを有したもので、シリンダ周りには多数本のシリンダ針がそれらの長手方向を上下に向けて設けられ、またダイヤル上面には多数本のダイヤル針がそれらの長手方向を径方向へ向けつつ放射状配置で設けられている(例えば、特開2002−38359号公報、特開平4−11055号公報、特開平6−33349号公報、特開平5−25757号公報等参照)。
そして、シリンダ及びダイヤルの回転と共に、シリンダ針やダイヤル針が回転し、各シリンダ針の上下動とダイヤル針の前後動とでこれらの間でダブル素材の筒状生地(表裏が同じ編み組織となった生地)が編成されるというものであった。
また編成された筒状生地は、シリンダの内方を介して下方へ垂れ下げられ、このシリンダ下方に設置された巻取装置にて、一定トルクのもと巻き取ることを目標に、ロール状に巻き取られるようになっていた(例えば、特公平1−44819号公報、特公平1−59373号公報等参照)。
このような丸編み機のうち、インナーウェアー用とされるものは、細い糸を扱い且つ緻密な編み組織を編むためにハイゲージ丸編み機と呼ばれている。ハイゲージとは一般に17ゲージ以上を言う。この17ゲージとは、1インチの中に含まれるシリンダ針が17本以上あるということである。因みに、17ゲージ未満のものをローゲージ丸編み機と呼んでいる。このローゲージ丸編み機は、多くの場合、アウターウェアーを編成するのに用いられている。
しかし、従来のインナーウェアーでは、裾部を設けるために、身生地側の生地を折り返して縫製したり裾テープを縫いつけたりするのが一般的な手法であったので、殆どの場合、身生地側と裾部との間に、縫い合わせに伴う凸条が生じたり、生地重ねに伴う段差が生じたり、或いは縫い目が明確に判る形で現れたりしていた。
そのため、このようなインナーウェアーを着用すると、身生地側と裾部との境部分がアウターウェアー側にまで写り出て、外側から視認できるようになってしまい、見栄えが悪いということがあった。また、インナーウェアーであるが故に、上記凸条や段差、縫い目等が肌に直接に接触して肌触り感、ひいては着心地を低下させるということもあった。
勿論、裾部を仕上げるための手間が必要であるために、このことが、インナーウェアーとしての生産性を高めたり低コスト化を図ったりするうえで重大なネックとなるといったこともあった。
なお、インナーウェアーのなかで、上記のように例外的な製作方法を経るものとして、溶融糸による分離帯を採用してここで分離させるようにしたものでは、裾部を仕上げることに関しての手間等の問題は生じていない。しかし次の問題があった。
すなわち、分離帯に用いていた溶融糸には30〜150デニールといった比較的太いものを用いざるを得ないという事情がある。それは、この程度の太さがないと強度不足となり、従来のハイゲージ丸編み機では糸切れを起こして編成できなかったからである。
ところがこの分離帯は、溶融糸により形成してあるとは言っても、分離のため溶融した後も僅かながら裾部側に残留することがある。そのため、上記したように太い溶融糸を使った場合では、裾部側で残留した溶融糸の糸端が、ザラザラした肌触り感を生じさせてしまうということがあったのである。従ってこの点でも、インナーウェアーとしての着心地を低下させることに繋がることがあった。
のみならず、従来のインナーウェアーでは、その殆どのものが身生地全体を単一編み組織でまとめられており、例えば、保温性や体型補正等の各種機能をはじめ、模様や柄等の外観、質感等々を身生地中の一部分だけで変えたようなものは製品としては存在していなかった。そのため、売り手側からは製品の差別化をし難く、使用者側からも個性を出せないという不満があった。
これは、インナーウェアーを編成するのに用いられる従来のハイゲージ丸編み機に対して、給糸切換装置を装備させることができないことに起因していた。なお仮に、従来のハイゲージ丸編み機に給糸切換装置を装備させたとしても、巻取装置による引張作用を生地に付与させたところで編成作業が全く進行しない(即ち、編めない)という現象が起こっていたのである。従来、この現状が起こる理由については、何ら解明されていなかった。
そこで本発明は、上記事情に鑑み、見栄え、肌触り、着心地などに優れたインナーウェアーを提供することを目的とする。
また本発明は、身生地中の一部に、各種機能、外観、質感等の異なる部分を設けることで製品としての差別化及び使用者としての個性発揮に画期的な効果を奏することができるインナーウェアーを提供することを目的とする。
また本発明は、見栄え、肌触り、着心地などに優れたインナーウェアーや、身生地中の一部に、各種機能、外観、質感等の異なる部分を設けることで製品としての差別化及び使用者としての個性発揮に画期的な効果を奏することができるインナーウェアーにつき、これらを簡単、確実、且つ高生産性のもと、編成することができるようにしたハイゲージ丸編み機及びハイゲージ丸編み機を用いた編成方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るインナーウェアーは、ボディーサイズの筒形を呈したダブル素材より成る身生地と、この身生地の端部に質感を明確に異ならせて設けられた裾部とを有したものであって、このうち身生地と裾部とが、無縫製(シームレス)で繋がった構造とされている。
すなわち、裾部を設けるために身生地側の生地を折り返して縫製するものでも裾テープを縫いつけるものでもなく、それ故、身生地側と裾部との間には、縫い合わせに伴う凸条や、生地重ねに伴う段差、或いは縫い目が現れることがない。
従って、このインナーウェアーを着用した場合に、身生地側と裾部との境部分はアウターウェアー側に何ら悪影響を及ぼすものとはならず、見栄えを悪化させるおそれがない。勿論、上記凸条や段差、縫い目等がないので、これらを原因として着心地が低下することもない。また、裾部を仕上げるための手間も必要ないので、インナーウェアーとしての生産性を高めたり低コスト化を図ることにも対処できることになる。
本発明に係るインナーウェアーは、身生地に対し、一貫した編成過程の中で編み方を異ならせることによって機能、外観、質感等を異ならせた異質編成部が部分的に設けられたものとすることができる。このようなインナーウェアーは、従来、製品化されることがなかった画期的なものである。
本発明に係るインナーウェアーは、身生地に対し、一貫した編成過程の中で糸種を異ならせることによって機能、外観、質感等を異ならせた異質編成部が部分的に設けられたものとすることができる。このようなインナーウェアーは、従来、製品化されることがなかった画期的なものである。
本発明に係るインナーウェアーは、身生地に対し、一貫した編成過程の中でジャガード柄が部分的又は全面的に設けられたものとすることができる。このようなインナーウェアーは、従来、製品化されることがなかった画期的なものである。
本発明に係るインナーウェアーにおいて、身生地は、40番手以上の糸によりカバーファクターが0.60以上となるように編成されたものである。このような数値的なスペックは、インナーウェアーであることの前提(即ち、アウターウェアーではないこと)として必要な条件とされる。
本発明に係るインナーウェアーにおいて、裾部は、ピース編により連続生地とされた編成段階にあって30デニール未満の溶融糸で形成された分離帯を後工程で分離することによって形成された分離端を有したものとするのが好適である。
このような分離帯を有したものとすれば、この分離帯を後工程で分離することによって形成される裾部側の分離端では、仮に溶融糸の糸端が残留するとしても、この溶融糸が30デニール未満のものであることになる。そのため、裾部側で残留した溶融糸の糸端が、ザラザラした肌触り感を生じさせることはなく、従ってインナーウェアーとしての着心地が低下することもない。
以上のように、本発明に係るインナーウェアーは、見栄え、肌触り、着心地などに優れたものである。また本発明に係るインナーウェアーは、身生地中の一部に、各種機能、外観、質感等の異なる部分を設けることで製品としての差別化及び使用者としての個性発揮に画期的な効果を奏することができる。
一方、本発明に係るハイゲージ丸編み機は、シリンダ周りでその上周部から出没する状態で上下動自在に備えられたシリンダ針と、シリンダ上のダイヤル上面でその外周部から出入りする状態で前後動自在に備えられたダイヤル針とでダブル素材の筒状生地を編成するものである。そして、シリンダ針とダイヤル針との間の編成位置へ向けて供給される糸を編成中に変更可能にする給糸切換装置が装備されているものとする。このようなハイゲージ丸編み機を前提として、本発明では、針動作制御手段が設けられている。
この針動作制御手段は、ダイヤル針が後進によって形成済みのダイヤル側ループを解放し次に前進してゆく過程で、そのとき下降状態で待機しているシリンダ針を浮上位置まで上昇させ、この浮上状態で待機させるためのものである。このような針動作制御手段を具備させることで、編成中の筒状生地には下方への引き込み代が与えられることになる。このため、筒状生地自体に、動き的な余裕(ダイヤル針の動きに支配されないリラックス状態)が生じる。
従って、この編成された筒状生地に対してシリンダ下方へ向けた引っ張り作用を与えれば、確実な編成が続行されることになる。そしてこの状況は、給糸切換装置を具備させ、またそれを実際に作動させる場合に有効となるのである。
それ故、この給糸切換装置として溶融糸のセットが可能になる。その結果、このハイゲージ丸編み機においては、溶融糸で形成する分離帯を介したピース編をして、その連続生地を編成させることができる。そして、このような溶融糸による分離帯を形成できることから、インナーウェアーとして、身生地と裾部との間に縫い合わせに伴う凸条や、生地重ねに伴う段差、或いは縫い目が現れることのない無縫製(シームレス)状態のものを編成できることになる。
そのため、このインナーウェアーは、身生地側と裾部との境部分がアウターウェアー側に何ら悪影響を及ぼさないので、見栄え、肌触り、着心地などに優れたものとなるのである。
上記した針動作制御手段の具体例としては、シリンダ針の上下動を司るためにのシリンダカムによって実施することができる。このシリンダカムはシリンダに設けるものである。この場合、このシリンダカムは、シリンダ針が浮上状態での待機を可能にさせるようなカム形状を採用したものとすればよい。
本発明に係るハイゲージ丸編み機では、次のような選針システムが装備されたものとできる。即ち、この選針システムは、シリンダ針に対しその針下端に臨む配置でジャックが付随的に設けられ、これに伴い、このジャックの上下挙動を変更させることでシリンダ針の上昇の有無や上昇到達点の高低を切り替え可能にするものである。
この場合、針動作制御手段は、シリンダ針を浮上状態で待機させた後、次サイクルでの上昇動作を開始させるのに先駆けて一旦下降させ、このシリンダ針の下降で上記ジャックを所定位置へ確実復帰させる構造にさせるのが好適である。これは、シリンダ針を浮上状態で待機させることに伴い、万が一、ジャックに踊り等による位置ズレ(下がり不足等)が起こることを想定しての対策となっている。
また本発明に係るハイゲージ丸編み機では、次のような巻取装置が装備されたものとすることができる。即ち、この巻取装置は、上記した選針システムに加えて、シリンダ針とダイヤル針との間の編成位置で編成された筒状生地をシリンダ下方へ向けて引き下げて巻き取るものである。この場合、巻取装置には、選針システムの動作状況に適応させて巻取トルクに強弱をつけるトルク制御装置が設けられたものとするのが好適である。
このトルク制御装置は、選針システムにより、編成動作されるシリンダ針の本数が少なく設定された場合には巻取トルクを弱め、反対にシリンダ針の本数が多く設定された場合には巻取トルクを強めるといった具合の制御をするものであり、これによって、特にシリンダ針の本数が少なく設定された場合の糸切れを防止するための対策となっている。
なお、このトルク制御装置では、給糸切換装置の動作により、細い糸や強度的に切れやすい糸が選択された場合にも、巻取トルクを弱めるように制御して糸切れを防止させることも勿論可能である。
一方、本発明に係るハイゲージ丸編み機を用いた編成方法は、上下動するシリンダ針とこのシリンダ針の上端部に交差可能なレベルで前後動するダイヤル針とでダブル素材の筒状生地を編成してゆくなかで、必要に応じてこの編成位置へ向けて供給する糸を変更できるものとしてあり、そして、ダイヤル針が後進によって形成済みのダイヤル側ループを解放し次に前進してゆく過程で、その時点の状況に合わせて次のようにする。即ち、シリンダ針が下降状態で待機していればこれを浮上位置まで上昇させる。しかし、シリンダ針が浮上状態にあればこの浮上状態を維持させる。
このようにすることで、編成中の筒状生地に対して、その下方への引き込み代を与えるものである。このため、筒状生地自体に、動き的な余裕(ダイヤル針の動きに支配されないリラックス状態)が生じる。
以上のように、本発明に係るハイゲージ丸編み機及びハイゲージ丸編み機を用いた編成方法は、見栄え、肌触り、着心地などに優れたインナーウェアーや、身生地中の一部に、各種機能、外観、質感等の異なる部分を設けることで製品としての差別化及び使用者としての個性発揮に画期的な効果を奏することができるインナーウェアーにつき、これらを簡単、確実、且つ高生産性のもと、編成することができるものである。
即ち、本発明に係るインナーウェアーは、ボディーサイズの筒形を呈したダブル素材より成る身生地と、この身生地の端部に質感を明確に異ならせて設けられた裾部とを有したものであって、このうち身生地と裾部とが、無縫製(シームレス)で繋がった構造とされている。
すなわち、裾部を設けるために身生地側の生地を折り返して縫製するものでも裾テープを縫いつけるものでもなく、それ故、身生地側と裾部との間には、縫い合わせに伴う凸条や、生地重ねに伴う段差、或いは縫い目が現れることがない。
従って、このインナーウェアーを着用した場合に、身生地側と裾部との境部分はアウターウェアー側に何ら悪影響を及ぼすものとはならず、見栄えを悪化させるおそれがない。勿論、上記凸条や段差、縫い目等がないので、これらを原因として着心地が低下することもない。また、裾部を仕上げるための手間も必要ないので、インナーウェアーとしての生産性を高めたり低コスト化を図ることにも対処できることになる。
本発明に係るインナーウェアーは、身生地に対し、一貫した編成過程の中で編み方を異ならせることによって機能、外観、質感等を異ならせた異質編成部が部分的に設けられたものとすることができる。このようなインナーウェアーは、従来、製品化されることがなかった画期的なものである。
本発明に係るインナーウェアーは、身生地に対し、一貫した編成過程の中で糸種を異ならせることによって機能、外観、質感等を異ならせた異質編成部が部分的に設けられたものとすることができる。このようなインナーウェアーは、従来、製品化されることがなかった画期的なものである。
本発明に係るインナーウェアーは、身生地に対し、一貫した編成過程の中でジャガード柄が部分的又は全面的に設けられたものとすることができる。このようなインナーウェアーは、従来、製品化されることがなかった画期的なものである。
本発明に係るインナーウェアーにおいて、身生地は、40番手以上の糸によりカバーファクターが0.60以上となるように編成されたものである。このような数値的なスペックは、インナーウェアーであることの前提(即ち、アウターウェアーではないこと)として必要な条件とされる。
本発明に係るインナーウェアーにおいて、裾部は、ピース編により連続生地とされた編成段階にあって30デニール未満の溶融糸で形成された分離帯を後工程で分離することによって形成された分離端を有したものとするのが好適である。
このような分離帯を有したものとすれば、この分離帯を後工程で分離することによって形成される裾部側の分離端では、仮に溶融糸の糸端が残留するとしても、この溶融糸が30デニール未満のものであることになる。そのため、裾部側で残留した溶融糸の糸端が、ザラザラした肌触り感を生じさせることはなく、従ってインナーウェアーとしての着心地が低下することもない。
以上のように、本発明に係るインナーウェアーは、見栄え、肌触り、着心地などに優れたものである。また本発明に係るインナーウェアーは、身生地中の一部に、各種機能、外観、質感等の異なる部分を設けることで製品としての差別化及び使用者としての個性発揮に画期的な効果を奏することができる。
一方、本発明に係るハイゲージ丸編み機は、シリンダ周りでその上周部から出没する状態で上下動自在に備えられたシリンダ針と、シリンダ上のダイヤル上面でその外周部から出入りする状態で前後動自在に備えられたダイヤル針とでダブル素材の筒状生地を編成するものである。そして、シリンダ針とダイヤル針との間の編成位置へ向けて供給される糸を編成中に変更可能にする給糸切換装置が装備されているものとする。このようなハイゲージ丸編み機を前提として、本発明では、針動作制御手段が設けられている。
この針動作制御手段は、ダイヤル針が後進によって形成済みのダイヤル側ループを解放し次に前進してゆく過程で、そのとき下降状態で待機しているシリンダ針を浮上位置まで上昇させ、この浮上状態で待機させるためのものである。このような針動作制御手段を具備させることで、編成中の筒状生地には下方への引き込み代が与えられることになる。このため、筒状生地自体に、動き的な余裕(ダイヤル針の動きに支配されないリラックス状態)が生じる。
従って、この編成された筒状生地に対してシリンダ下方へ向けた引っ張り作用を与えれば、確実な編成が続行されることになる。そしてこの状況は、給糸切換装置を具備させ、またそれを実際に作動させる場合に有効となるのである。
それ故、この給糸切換装置として溶融糸のセットが可能になる。その結果、このハイゲージ丸編み機においては、溶融糸で形成する分離帯を介したピース編をして、その連続生地を編成させることができる。そして、このような溶融糸による分離帯を形成できることから、インナーウェアーとして、身生地と裾部との間に縫い合わせに伴う凸条や、生地重ねに伴う段差、或いは縫い目が現れることのない無縫製(シームレス)状態のものを編成できることになる。
そのため、このインナーウェアーは、身生地側と裾部との境部分がアウターウェアー側に何ら悪影響を及ぼさないので、見栄え、肌触り、着心地などに優れたものとなるのである。
上記した針動作制御手段の具体例としては、シリンダ針の上下動を司るためにのシリンダカムによって実施することができる。このシリンダカムはシリンダに設けるものである。この場合、このシリンダカムは、シリンダ針が浮上状態での待機を可能にさせるようなカム形状を採用したものとすればよい。
本発明に係るハイゲージ丸編み機では、次のような選針システムが装備されたものとできる。即ち、この選針システムは、シリンダ針に対しその針下端に臨む配置でジャックが付随的に設けられ、これに伴い、このジャックの上下挙動を変更させることでシリンダ針の上昇の有無や上昇到達点の高低を切り替え可能にするものである。
この場合、針動作制御手段は、シリンダ針を浮上状態で待機させた後、次サイクルでの上昇動作を開始させるのに先駆けて一旦下降させ、このシリンダ針の下降で上記ジャックを所定位置へ確実復帰させる構造にさせるのが好適である。これは、シリンダ針を浮上状態で待機させることに伴い、万が一、ジャックに踊り等による位置ズレ(下がり不足等)が起こることを想定しての対策となっている。
また本発明に係るハイゲージ丸編み機では、次のような巻取装置が装備されたものとすることができる。即ち、この巻取装置は、上記した選針システムに加えて、シリンダ針とダイヤル針との間の編成位置で編成された筒状生地をシリンダ下方へ向けて引き下げて巻き取るものである。この場合、巻取装置には、選針システムの動作状況に適応させて巻取トルクに強弱をつけるトルク制御装置が設けられたものとするのが好適である。
このトルク制御装置は、選針システムにより、編成動作されるシリンダ針の本数が少なく設定された場合には巻取トルクを弱め、反対にシリンダ針の本数が多く設定された場合には巻取トルクを強めるといった具合の制御をするものであり、これによって、特にシリンダ針の本数が少なく設定された場合の糸切れを防止するための対策となっている。
なお、このトルク制御装置では、給糸切換装置の動作により、細い糸や強度的に切れやすい糸が選択された場合にも、巻取トルクを弱めるように制御して糸切れを防止させることも勿論可能である。
一方、本発明に係るハイゲージ丸編み機を用いた編成方法は、上下動するシリンダ針とこのシリンダ針の上端部に交差可能なレベルで前後動するダイヤル針とでダブル素材の筒状生地を編成してゆくなかで、必要に応じてこの編成位置へ向けて供給する糸を変更できるものとしてあり、そして、ダイヤル針が後進によって形成済みのダイヤル側ループを解放し次に前進してゆく過程で、その時点の状況に合わせて次のようにする。即ち、シリンダ針が下降状態で待機していればこれを浮上位置まで上昇させる。しかし、シリンダ針が浮上状態にあればこの浮上状態を維持させる。
このようにすることで、編成中の筒状生地に対して、その下方への引き込み代を与えるものである。このため、筒状生地自体に、動き的な余裕(ダイヤル針の動きに支配されないリラックス状態)が生じる。
以上のように、本発明に係るハイゲージ丸編み機及びハイゲージ丸編み機を用いた編成方法は、見栄え、肌触り、着心地などに優れたインナーウェアーや、身生地中の一部に、各種機能、外観、質感等の異なる部分を設けることで製品としての差別化及び使用者としての個性発揮に画期的な効果を奏することができるインナーウェアーにつき、これらを簡単、確実、且つ高生産性のもと、編成することができるものである。
図1は本発明に係るインナーウェアーの第1実施形態を示した正面図である。
図2は図1のA−A線拡大断面図である。
図3は本発明に係るインナーウェアーの第2実施形態を示した正面図である。
図4は本発明に係るインナーウェアーの第3実施形態を示した正面図である。
図5は本発明に係るインナーウェアーの第4実施形態を示した正面図である。
図6は本発明に係るハイゲージ丸編み機の一実施形態を概略的に示した正面断面図である。
図7は下部カムブロックにつきシリンダカム及び選針カムが現れる位置で断面して示すと共にシリンダ針及びジャックの装填状況を並べて示した説明図である。
図8は図6のB−B線矢視図である。
図9はシリンダ針とダイヤル針との動作関係を図解した動き図である。
図10は図7のD部拡大図である。
図11は糸端処理装置の主要部を示す斜視図である。
図2は図1のA−A線拡大断面図である。
図3は本発明に係るインナーウェアーの第2実施形態を示した正面図である。
図4は本発明に係るインナーウェアーの第3実施形態を示した正面図である。
図5は本発明に係るインナーウェアーの第4実施形態を示した正面図である。
図6は本発明に係るハイゲージ丸編み機の一実施形態を概略的に示した正面断面図である。
図7は下部カムブロックにつきシリンダカム及び選針カムが現れる位置で断面して示すと共にシリンダ針及びジャックの装填状況を並べて示した説明図である。
図8は図6のB−B線矢視図である。
図9はシリンダ針とダイヤル針との動作関係を図解した動き図である。
図10は図7のD部拡大図である。
図11は糸端処理装置の主要部を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1及び図2は、本発明に係るインナーウェアー1の第1実施形態を示している。この第1実施形態のインナーウェアー1はボトムウェアーである。
このインナーウェアー1は、本体となる身生地2に対し、その端部処理の一つとしての裾部3が設けられたものである。この第1実施形態はボトムウェアーであるから、袖部3は両足部分の端部に該当する。
なお、腰部の開口周りにはゴム帯4が設けられたものとしてあるが、このゴム帯4も裾部3の概念に含ませてもよい。
身生地2は、筒状生地を元にして形成されている。筒形のサイズは、ボディーサイズとされており、幅詰めや縫い合わせなどすることなく、一般的な体型(成人男女用や子供用などごとに基本となるサイズは各種ある)の胴回りに対応したものとなっている。また、筒状生地自体はダブル素材(表裏が同じ編み組織となった生地)である。
この身生地2は、インナーウェアーとしての着心地を満足させるため、40番手以上の糸を用いて編成されている。この番手数は、数値が大きくなるほど糸が細くなるので、ここでは40番手(おおよそ133デニール相当)を含んでそれより細いことを意味している。
またこれに加え、身生地2はそのカバーファクターが0.60以上となるように編成されている。カバーファクターは、編地の粗密を表す指数であってK=1/(L×√英式綿番手)で求められるときのKの値である。但し、Lはループ長であって単位は(cm)である。
従って、このカバーファクターは、数値が大きくなるほど編地が緻密になるので、ここでは0.60を含んでそれより緻密であることを意味している。
裾部3は、上記したように身生地2の端部に設けられたもので、身生地2とは質感を明確に異ならせて形成されている。すなわち、このインナーウェアー1を一見することで身生地2と裾部3とを見分けることができる。
このように裾部3の質感を身生地2と異ならせるための手法は、編み組織や使用糸(太さ、材質、色等)を身生地2と異ならせることによるものとする。
例えば図2に示すように、身生地2が緻密な格子状の編み組織とされるのに対し、裾部3は、縦筋が明確に現れて横方向への伸縮が豊富となるような編み組織とするといった具合である。
そして、このように身生地2と裾部3とを有したインナーウェアー1において、これら身生地2と裾部3とは、一貫した編成過程の中で身生地2に必要とされる編成方法と裾部3に必要とされる編成方法とを所定時点で切り替えることによって作り分けたものである。
そのため、これら身生地2と裾部3とは無縫製(シームレス)で繋がった構造となる。すなわち、裾部3は、身生地2側の生地を折り返して縫製するものでも、或いは裾テープを縫いつけるものでもないので、身生地2側と裾部3との間には、縫い合わせに伴う凸条や、生地重ねに伴う段差、或いは縫い目が現れることがない。
従って、このインナーウェアー1を着用した場合に、身生地2側と裾部3との境部分はアウターウェアー(図示略)側に何ら悪影響を及ぼすものとはならず、見栄えを悪化させるおそれがない。
もとより、上記した凸条や段差、縫い目等がないので、これらを原因として着心地が低下するということもなく、また裾部3が身生地2と同時に編成される関係上、仕上げのための手間も不要になり、インナーウェアー1としての生産性を高めたり低コスト化を図ることにも対処できることになる。
ところで、図6に示すように、このインナーウェアー1の元になる筒状生地はピース編の連続生地Wとして編成される。
すなわち、身生地2用に充てられる部分と裾部3用に充てられる部分(必要に応じてゴム帯4用に充てられる部分をも含む)とを合わせた長さ分で1着のインナーウェアー1の仕立てに供されることとなるピースPが、細幅の分離帯Cを介して互いに連続したかたちとなっている。この分離帯Cは、溶融糸を用いて編成されたものとなっている。
従って、このように編成された連続生地Wを後工程で所定温度以上に加熱することで、分離帯Cが溶融し、各ピースPが分離することになるので、更にこれ以降の工程で、このように分離されたそれぞれのピースPを個々にインナーウェアー1として仕立ててゆくことになる。
このような分離帯Cは、溶融糸により形成してあるとは言っても、分離のため溶融した後も僅かながら残留することがある。分離帯Cは必ず裾部3に接した位置付けになっていることから、溶融糸の残留は裾部3側でも起こることになる。
そこで、この分離帯Cの編成に用いる溶融糸には、30デニール未満の細いものが好適とされる。例えば本第1実施形態では20デニールのものを用いた。このような細い溶融糸を用いた分離帯Cであれば、その分離時(溶融糸の溶融時)に、裾部3の口部端(分離によって生じる分離端)で、残留した溶融糸の糸端がザラザラした肌触り感を生じさせることはない。従って、この分離端を原因としてインナーウェアー1の着心地が低下することはない。
本第1実施形態のインナーウェアー1では、身生地2内の一部に異質編成部5が設けられている。この異質編成部5は、そのまわりを取り囲んでいる部分とは機能、外観、質感等が異なったものとされている。
この異質編成部5を形成させる方法としては、身生地2を編成するときの一貫した編成過程の中で、該当部分の編み方を部分的に異ならせる、といった方法を採用している。例えば、身生地2を基本的にはニット編みするものとしたうえで、異質編成部5だけはタック編みをする、或いはミスを適度に密集又は分散させて組み入れるといった具合である。
本第1実施形態のインナーウェアー1の場合、着用者の下腹部を覆う部分に対応させて広幅の異質編成部5を位置付けてあり、この異質編成部5での保温性能を高めさせるようにしてある。
なお、異質編成部5の位置付けやその広狭、形状、目的などは何ら限定されるものではなく、例えば身生地2において着用者の両大腿や臀部などに対応させて通気性(クール性)を高めさせるための異質編成部5を設けるといったことも可能である。また身生地2のなかで、体型の補正を要する適所に対応させて伸縮性(補正性)を高めさせるための異質編成部5を設けるといったことも可能である。
図3は、本発明に係るインナーウェアー1の第2実施形態を示している。この第2実施形態のインナーウェアー1もボトムウェアーである。
本第2実施形態のインナーウェアー1の場合、着用者の両大腿における膝上部分に対応させて、それぞれV字形で異質編成部6を位置付けてある。この異質編成部6も、そのまわりを取り囲んでいる部分とは機能、外観、質感等が異なったものとされているが、この異質編成部6を形成させる方法としては、身生地2を編成するときの一貫した編成過程の中で、該当部分に使用する糸種(太さ、材質、色等)を部分的に異ならせる、といった方法を採用している。従って、この点で第1実施形態の異質編成部5とは異なっている。
なお、異質編成部6の位置付けやその広狭、形状、目的などは何ら限定されるものではない。
図4は、本発明に係るインナーウェアー1の第3実施形態を示している。この第3実施形態のインナーウェアー1もボトムウェアーである。
本第3実施形態のインナーウェアー1の場合、一方の裾部3に近い部分にジャガード柄7を位置付けてある。このジャガード柄7は、身生地2を編成するときの一貫した編成過程の中で、所望される柄に合わせて編み方や糸種を異ならせている。
なお、ジャガード柄7の位置付けやその広狭、形状、目的などは何ら限定されるものではない。例えば図例ではチョウチョ柄としているが、これがキャラクターであったり、幾何学模様であったり、文字や図形であったりしてもよいものである。また身生地2の全面をジャガード柄7とすることも可能である。
図5は、本発明に係るインナーウェアー1の第4実施形態を示している。この第4実施形態のインナーウェアー1はシャツである。
この第4実施形態は、身生地2がシャツに合わせた形体をしている点、裾部3が着用者の腰回りを取り囲むようになる部分に相当している点、及び異質編成部5が着用者の腹部全般を覆うように位置付けられている点を除いては、基本的に第1実施形態のインナーウェアー1と同じである。
このように、本発明に係るインナーウェアー1は、ボトムウェアー、パンツ(男物及び女物)、スパッツ、ショーツなどの下物であると、キャミソール、シャツなどの上物であると、或いは腹巻き等であるとを一切問わず、実施可能である。
図6乃至図11は、本発明に係るハイゲージ丸編み機30の一実施形態を示している。
まず、主に図6に基づいて、このハイゲージ丸編み機30の概要を説明する。このハイゲージ丸編み機30では、上記した第1乃至第4実施形態のインナーウェアー1を仕立てるうえでその元になる連続生地W(筒状生地であってピース編されたもの)を編成することができる。
上記したように、第1乃至第4実施形態のインナーウェアー1では、身生地2がダブル素材(表裏が同じ編み組織となった生地)であるから、このハイゲージ丸編み機30は円筒形をしたシリンダ31と、このシリンダ31の上部に設けられた円板形をしたダイヤル32とを有した構成となっている。そして、シリンダ31の周りには多数本のシリンダ針33がそれらの長手方向を上下に向けて設けられ、またダイヤル32の上面には多数本のダイヤル針34がそれらの長手方向を径方向へ向けつつ放射状配置で設けられている。
また、上記のインナーウェアー1においてその身生地2は、40番手以上で且つカバーファクターが0.60以上であることから、このハイゲージ丸編み機30は、文字通りハイゲージ用(即ち、1インチの中に含まれるシリンダ針33の本数が17本以上とされる17ゲージ以上であるということ)である。
シリンダ31及びダイヤル32は軸心Fを中心に、回転駆動装置(図示略)によって回転駆動される。シリンダ31の周りには下部カムブロック35が円周配置で設けられており、この下部カムブロック35の内周面に、シリンダ針33に上下動を起こさせるためのシリンダカム(図7中の符号36参照)が設けられている。またダイヤル32の上部には上部カムブロック37が設けられており、この上部カムブロック37の下面に、ダイヤル針34に前後動を起こさせるためのダイヤルカム(図示略)が設けられている。
従って、シリンダ31及びダイヤル32が回転されるとき、シリンダ針33やダイヤル針34も一緒に軸心Fまわりを回転し、各シリンダ針33がシリンダカム36によって所定タイミングで上下動されると共に、各ダイヤル針34がダイヤルカム(図示略)によって所定タイミングで前後動される。
これにより、シリンダ針33が上昇し且つダイヤル針34が前進したときの再接近位置を編成位置Rとして、この編成位置Rに給糸装置(図示略)によって給糸され、この編成位置Rを起点に連続生地Wが編成されることになる。なお、図示は省略するが、上記した編成位置Rはシリンダ31の上周部に沿った円周配置で複数箇所あって、これに伴い、給糸装置も各編成位置Rに少なくとも1台の割り当てで複数台設けられていることになる。
編成された連続生地Wは、シリンダ31の内方を介して下方へ垂れ下げられる。そこで、このシリンダ31の下方には吊り枠38を介して巻取装置39が設けられている。この巻取装置39は、2本一組のピンチローラ40とその下部の巻取ローラ41とを有したもので、これらが巻取モータ42により、チェーンや歯車列などの伝動手段43を介して駆動されるようになっている。従って、編成され垂れ下がり状態とされた連続生地Wが、巻取ローラ41まわりでロール状に巻き取られることになる。
次に、このハイゲージ丸編み機30についての特徴的構成を説明する。
このハイゲージ丸編み機30には給糸切換装置45が装備されている。この給糸切換装置45は、個々の編成位置Rへ向けて複数本の糸S1,S2が供給可能となっているとき(即ち、一箇所の編成位置Rに対して複数の給糸装置が割り当てられているとき)に、これらの糸S1,S2を一貫した編成作業の中で変更させるようにしたものである。
また、このハイゲージ丸編み機30には選針システム46が装備されている。図7に示すように、この選針システム46は、個々のシリンダ針33に対して1対1対応で設けられるジャック47と、このジャック47の上下動を必要に応じてオン/オフ切り替えさせる選針機48とを有している。またこの選針システム46はスイングカム49を有している。
ジャック47は、その上端部をシリンダ針33の針下端へ臨ませた配置とされており、このジャック47が所定量を超えて上昇したときにシリンダ針33を押し上げて、このシリンダ針33をも付随的に上昇させるようになっている。このジャック47は、下部カムブロック35の内周面でシリンダカム36の下部に沿って設けられた選針カム50に支配され、上下動する。しかし、選針機48を作動させたとき、このジャック47は選針カム50から上下挙動を受けない位置(シリンダ31に対する径方向外方)へと引き出され、もって選針カム50のカム形状がどうであろうと上下動しない状態とされる。
選針機48は、流体圧シリンダやソレノイド等とすればよいが、周辺機材への帯磁的影響等を払拭するという面からは流体圧シリンダを採用するのが好適である。
このように、ジャック47が選針カム50によって上下動したり、或いは選針機48の作動によって上下動しなかったりすることで、シリンダ針33が押し上げられたり押し上げられなかったりすることになる。
一方、スイングカム49は、シリンダ針33を上下動させるシリンダカム36に対し、その周方向中途部で上下方向へ広げられたスペース51に設けられている。そして、揺動軸52を中心に揺動可能とされている。このスイングカム49はその背側(上部)形状をカムとするものであって、揺動の有無により、背側形状の傾きを異ならせ、もってシリンダ針33の上昇到達点を高くしたり中間高さにしたり切り替えできるようになっている。また、このスイングカム49の下部側には空通路53が形成されている。
このように、この選針システム46では、ジャック47が選針カム50により上昇されるとシリンダ針33が押し上げられ、結果、このシリンダ針33は、スイングカム49の傾きに応じて上昇到達点を高くしたり或いは中間高さにしたりするものとなり、また選針機48によってジャック47が選針カム50から外されて上昇しないとシリンダ針33も押し上げられないために、このシリンダ針33は空通路53を素通りすることになってスイングカム49の作用を受けないこととなり、結果、このシリンダ針33も上昇しないことになる。
従って、シリンダ針33は高い位置への上昇でニット編成位置となり、中間高さへの上昇でタック編成位置となり、上昇しないときにウエルト(ミス発生)位置となるのである。
なお、図8に示すように、選針機48は、シリンダ31及び下部カムブロック35を取り囲む円周配置で複数台設けられている。更に、このハイゲージ丸編み機30には、針動作制御手段56が設けられている。
本実施形態において、針動作制御手段56は、シリンダカム36のカム形状として実施した。すなわち、このシリンダカム36は、シリンダ針33が所定のタイミングで浮上状態となり、この浮上状態で暫時的に待機するようなカム形状を採用したものとなっている。
このシリンダカム36のカム形状を説明するにあたっては、図9に示したシリンダ針33及びダイヤル針34の動作から先に説明する。図9(A)において、シリンダ針33は、編成中最新のシリンダ側ループ60を保持し、そのままシリンダ31の上端部から突出することのない下降状態で待機している。これに対してダイヤル針34は、形成済みのダイヤル側ループ61aを一つ解放し、編成中最新となるダイヤル側ループ61を保持したまま後進する状況となっている。図9(B)において、ダイヤル針34は後進を終えて前進に転じている。このときもシリンダ針33は、シリンダ31の上端部から突出することのない下降状態で待機している。図9(C)において、ダイヤル針34は前進を続け、べら34aが開かれて編成中最新のダイヤル側ループ61を解放へ向けて準備する(べら34aの後側へ抜けさせる)状況にある。
そして、ここからが特徴的な動きであって、上記のようにダイヤル針34が前進していく過程でシリンダ針33は上昇を開始し、シリンダ側ループ60がシリンダ31の上端から露出するようになる浮上位置まで到達するようになっている。このとき、シリンダ針33がシリンダ31に上端から突出する量hはおおよそ1mm程度である。そして、この浮上位置に達した時点から、この浮上状態を暫時的に待機させるようになっている。
このようなタイミングでシリンダ針33が浮上することで、シリンダ針33に保持されたシリンダ側ループ60及びダイヤル針34に保持されたダイヤル側ループ61には共にリラックス状態が与えられ、その結果、連続生地W自体に、動き的な余裕が生じることになる。即ち、ダイヤル側ループ61がダイヤル針34の動きに支配されないことになり、これによって無理矢理引き込まれないことになり、これによってリラックス状態が得られるということである。従って、編成中の連続生地Wにはその全体として下方への引き込み代が与えられる。
そこでこの連続生地Wに対し、上記した巻取装置39(図6参照)によってシリンダ31の下方へ向けた引っ張り作用Gを与えれば、以後、確実な編成が継続されることになる。
これらの説明から明らかなように、上記した針動作制御手段56は、シリンダ針33に上記詳説の浮上乃至浮上待機動作を与えるための構成となっているもので、これをシリンダカム36のカム形状として実現させるために、図7中のD部、即ち、図10に拡大して示すカム形状を採用しているのである。
この図10において、シリンダカム36に二点鎖線で示す部分63は、従来のカム形状であり、この二点鎖線で示す部分63に対して上側へ凹むようになっている部分64で、シリンダ針33を浮上待機位置へ向けて上昇させるべくガイドする。
なお、シリンダ針33は、浮上状態で所定時間待機された後、次サイクルへ向けて上昇動作に入る(図10中に符号65を付した傾斜部分がこの上昇動作をガイドする部分である)が、このとき、この上昇を開始させるのに先駆けて、一旦シリンダ針33を下降させるのが好適とされる。
図10中に符号66を付した下向きの台形状突出部分が、このシリンダ針33を下降させるためのガイドである。このようにシリンダ針33を下降させる理由は、ジャック47を所定の下降位置へ確実に復帰させることにある。なぜなら、シリンダ針33を浮上乃至浮上待機させているとき、このシリンダ針33がジャック47による押し上げを受けない位置まで上昇し、両者間にギャップgが生じている、といったことがあるからである。
なお、このギャップgが生じるのは下部カムブロック35におけるシリンダカム36と選針カム50との形状乃至寸法的な事情によるものであり、必然的なものではない。しかし、ギャップgが生じることでシリンダ針33とジャック47とが縁切り状になっていると、走行振動などによってジャック47に踊り等が生じ、これに伴ってジャック47に上下方向の位置ズレが起こるおそれがある。
このような場合、上記のように下向きの台形状突出部分66でシリンダ針33を一旦下降させると、このシリンダ針33によりジャック47を強制的に押し下げることができ、その結果として、ジャック47を所定の下降位置へ確実に復帰させることができるようになるのである。これにより、ジャック47の以後の動きが正確になる。
このような針動作制御手段56を具備したハイゲージ丸編み機30であれば、糸切れを起こしやすいとされる糸(細い糸や強度的に切れやすい糸など)の使用が可能になる。そのため、このハイゲージ丸編み機30に給糸切換装置45を装備させ、また選針システム46を装備させることが可能になるのである。
従って、例えば溶融糸の使用が可能であり、この溶融糸で形成する分離帯Cを介したピース編が実施できることになるから、結果として、このハイゲージ丸編み機30により、本発明に係るインナーウェアー1の元となる連続生地Wを編成することができるわけである。
但し、細い糸や強度的に切れやすい糸を使用する場合、殊に、溶融糸により分離帯Cを形成させるときのように、糸自体の材質に加えて糸の編成中の糸使用本数が少ないようなときには、上記した巻取装置39に対して、以下の構成を採用するのが一層、好適となる。すなわち、図6に示すように、巻取装置39に対してトルク制御装置70を設けるのである。
このトルク制御装置70は、主として選針システム46の動作状況に適応させて巻取トルクに強弱をつけるべく制御可能にするためのものである。これは、巻取トルクを一定にしようと努めていた従来の考え方とは、その根幹を異にするものと言える。
具体的には、選針システム46が、編成動作させるシリンダ針33の本数を少なく設定した場合に巻取トルクを弱め、反対に編成動作させるシリンダ針33の本数を多く設定した場合には巻取トルクを強めるようにするのである。このように制御することによって、特に編成動作させるシリンダ針33の本数が少ない場合の糸切れを防止することができる。また、このトルク制御装置70では、給糸切換装置45の動作により、細い糸や強度的に切れやすい糸が選択された場合にも、巻取トルクを弱めるように制御することができる。
このトルク制御装置70は、巻取モータ42にサーボモータを用いたり、或いは伝動手段43中にパウダークラッチ等のクラッチ(図示略)を組み込んだりして、巻取ローラ41の回転トルクを遠隔操作できるものとしたうえで、選針システム46の各選針機48からの動作情報を制御部71で処理して、その処理結果を巻取モータ42や伝動手段43等へ出力するようになっている。
なお、選針システム46に対して、どの選針機48にどのような動作をさせるか(シリンダ針33を何本編成動作させるか)といった指示は、ハイゲージ丸編み機30に対する当初の運転計画に基づいたものであるから、この運転計画に沿ってトルク制御装置70をパターン制御させるようにすればよい。
しかし、実際に選針システム46(各選針機48)の動作状況や、編成されつつある連続生地Wの状態、或いは給糸状態にある各糸S1,S2の張力等をセンサ類で検出して、それを制御部71で処理し、その処理結果でフィードバック制御などのリアルタイム制御を行うようにしてもよい。
図11は、シリンダ針33に沿って設置が推奨される糸端処理装置75の主要部を示している。この糸端処理装置75は、給糸装置(図示略)側での糸が無くなったとき、給糸切換装置45によって糸S1,S2の切り替えが行われたとき、或いは万が一、糸が途中で切断されたとき等々に、発生する糸端を編成中の生地内へ目立たないように編み込ませるためのものである。
そのための構造として、シリンダ針33の長手方向に沿ってエアを吹き上げるエア噴出孔76がシリンダ針33の並設方向に複数並んで設けられたエアノズル77を、シリンダ31の上端周部に沿って所定間隔で設けておき、このエアノズル77に対し、ハイゲージ丸編み機30の作動中にエアを供給するといったものである。
以上詳説したところから明らかなように、本発明に係るハイゲージ丸編み機30を用いた編成方法は、上下動するシリンダ針33とこのシリンダ針33の上端部に交差可能なレベルで前後動するダイヤル針34とでダブル素材の筒状生地を編成してゆくなかにあって、必要に応じてこの編成位置Rへ向けて供給する糸S1,S2を変更できるものとしてあり、そして、ダイヤル針34が後進によって形成済みのダイヤル側ループ61aを解放し、次に前進してゆく過程で、この時点でもし、シリンダ針33が下降状態で待機していればこれを浮上位置まで上昇させ、或いはこの時点でシリンダ針33が浮上状態にあればこの浮上状態を維持させるようにするものである。
このようにすることで、編成中の筒状生地に下方への引き込み代を与えるものである。このため、筒状生地自体に、動き的な余裕(ダイヤル針34の動きに支配されないリラックス状態)が生じ、傷のない筒状生地を確実且つ高能率で編成することができるのである。また細い糸や強度的に切れやすい糸の使用も可能であるので、本発明に係るインナーウェアー1の元になる連続生地Wを編成できることになるのである。
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
図1及び図2は、本発明に係るインナーウェアー1の第1実施形態を示している。この第1実施形態のインナーウェアー1はボトムウェアーである。
このインナーウェアー1は、本体となる身生地2に対し、その端部処理の一つとしての裾部3が設けられたものである。この第1実施形態はボトムウェアーであるから、袖部3は両足部分の端部に該当する。
なお、腰部の開口周りにはゴム帯4が設けられたものとしてあるが、このゴム帯4も裾部3の概念に含ませてもよい。
身生地2は、筒状生地を元にして形成されている。筒形のサイズは、ボディーサイズとされており、幅詰めや縫い合わせなどすることなく、一般的な体型(成人男女用や子供用などごとに基本となるサイズは各種ある)の胴回りに対応したものとなっている。また、筒状生地自体はダブル素材(表裏が同じ編み組織となった生地)である。
この身生地2は、インナーウェアーとしての着心地を満足させるため、40番手以上の糸を用いて編成されている。この番手数は、数値が大きくなるほど糸が細くなるので、ここでは40番手(おおよそ133デニール相当)を含んでそれより細いことを意味している。
またこれに加え、身生地2はそのカバーファクターが0.60以上となるように編成されている。カバーファクターは、編地の粗密を表す指数であってK=1/(L×√英式綿番手)で求められるときのKの値である。但し、Lはループ長であって単位は(cm)である。
従って、このカバーファクターは、数値が大きくなるほど編地が緻密になるので、ここでは0.60を含んでそれより緻密であることを意味している。
裾部3は、上記したように身生地2の端部に設けられたもので、身生地2とは質感を明確に異ならせて形成されている。すなわち、このインナーウェアー1を一見することで身生地2と裾部3とを見分けることができる。
このように裾部3の質感を身生地2と異ならせるための手法は、編み組織や使用糸(太さ、材質、色等)を身生地2と異ならせることによるものとする。
例えば図2に示すように、身生地2が緻密な格子状の編み組織とされるのに対し、裾部3は、縦筋が明確に現れて横方向への伸縮が豊富となるような編み組織とするといった具合である。
そして、このように身生地2と裾部3とを有したインナーウェアー1において、これら身生地2と裾部3とは、一貫した編成過程の中で身生地2に必要とされる編成方法と裾部3に必要とされる編成方法とを所定時点で切り替えることによって作り分けたものである。
そのため、これら身生地2と裾部3とは無縫製(シームレス)で繋がった構造となる。すなわち、裾部3は、身生地2側の生地を折り返して縫製するものでも、或いは裾テープを縫いつけるものでもないので、身生地2側と裾部3との間には、縫い合わせに伴う凸条や、生地重ねに伴う段差、或いは縫い目が現れることがない。
従って、このインナーウェアー1を着用した場合に、身生地2側と裾部3との境部分はアウターウェアー(図示略)側に何ら悪影響を及ぼすものとはならず、見栄えを悪化させるおそれがない。
もとより、上記した凸条や段差、縫い目等がないので、これらを原因として着心地が低下するということもなく、また裾部3が身生地2と同時に編成される関係上、仕上げのための手間も不要になり、インナーウェアー1としての生産性を高めたり低コスト化を図ることにも対処できることになる。
ところで、図6に示すように、このインナーウェアー1の元になる筒状生地はピース編の連続生地Wとして編成される。
すなわち、身生地2用に充てられる部分と裾部3用に充てられる部分(必要に応じてゴム帯4用に充てられる部分をも含む)とを合わせた長さ分で1着のインナーウェアー1の仕立てに供されることとなるピースPが、細幅の分離帯Cを介して互いに連続したかたちとなっている。この分離帯Cは、溶融糸を用いて編成されたものとなっている。
従って、このように編成された連続生地Wを後工程で所定温度以上に加熱することで、分離帯Cが溶融し、各ピースPが分離することになるので、更にこれ以降の工程で、このように分離されたそれぞれのピースPを個々にインナーウェアー1として仕立ててゆくことになる。
このような分離帯Cは、溶融糸により形成してあるとは言っても、分離のため溶融した後も僅かながら残留することがある。分離帯Cは必ず裾部3に接した位置付けになっていることから、溶融糸の残留は裾部3側でも起こることになる。
そこで、この分離帯Cの編成に用いる溶融糸には、30デニール未満の細いものが好適とされる。例えば本第1実施形態では20デニールのものを用いた。このような細い溶融糸を用いた分離帯Cであれば、その分離時(溶融糸の溶融時)に、裾部3の口部端(分離によって生じる分離端)で、残留した溶融糸の糸端がザラザラした肌触り感を生じさせることはない。従って、この分離端を原因としてインナーウェアー1の着心地が低下することはない。
本第1実施形態のインナーウェアー1では、身生地2内の一部に異質編成部5が設けられている。この異質編成部5は、そのまわりを取り囲んでいる部分とは機能、外観、質感等が異なったものとされている。
この異質編成部5を形成させる方法としては、身生地2を編成するときの一貫した編成過程の中で、該当部分の編み方を部分的に異ならせる、といった方法を採用している。例えば、身生地2を基本的にはニット編みするものとしたうえで、異質編成部5だけはタック編みをする、或いはミスを適度に密集又は分散させて組み入れるといった具合である。
本第1実施形態のインナーウェアー1の場合、着用者の下腹部を覆う部分に対応させて広幅の異質編成部5を位置付けてあり、この異質編成部5での保温性能を高めさせるようにしてある。
なお、異質編成部5の位置付けやその広狭、形状、目的などは何ら限定されるものではなく、例えば身生地2において着用者の両大腿や臀部などに対応させて通気性(クール性)を高めさせるための異質編成部5を設けるといったことも可能である。また身生地2のなかで、体型の補正を要する適所に対応させて伸縮性(補正性)を高めさせるための異質編成部5を設けるといったことも可能である。
図3は、本発明に係るインナーウェアー1の第2実施形態を示している。この第2実施形態のインナーウェアー1もボトムウェアーである。
本第2実施形態のインナーウェアー1の場合、着用者の両大腿における膝上部分に対応させて、それぞれV字形で異質編成部6を位置付けてある。この異質編成部6も、そのまわりを取り囲んでいる部分とは機能、外観、質感等が異なったものとされているが、この異質編成部6を形成させる方法としては、身生地2を編成するときの一貫した編成過程の中で、該当部分に使用する糸種(太さ、材質、色等)を部分的に異ならせる、といった方法を採用している。従って、この点で第1実施形態の異質編成部5とは異なっている。
なお、異質編成部6の位置付けやその広狭、形状、目的などは何ら限定されるものではない。
図4は、本発明に係るインナーウェアー1の第3実施形態を示している。この第3実施形態のインナーウェアー1もボトムウェアーである。
本第3実施形態のインナーウェアー1の場合、一方の裾部3に近い部分にジャガード柄7を位置付けてある。このジャガード柄7は、身生地2を編成するときの一貫した編成過程の中で、所望される柄に合わせて編み方や糸種を異ならせている。
なお、ジャガード柄7の位置付けやその広狭、形状、目的などは何ら限定されるものではない。例えば図例ではチョウチョ柄としているが、これがキャラクターであったり、幾何学模様であったり、文字や図形であったりしてもよいものである。また身生地2の全面をジャガード柄7とすることも可能である。
図5は、本発明に係るインナーウェアー1の第4実施形態を示している。この第4実施形態のインナーウェアー1はシャツである。
この第4実施形態は、身生地2がシャツに合わせた形体をしている点、裾部3が着用者の腰回りを取り囲むようになる部分に相当している点、及び異質編成部5が着用者の腹部全般を覆うように位置付けられている点を除いては、基本的に第1実施形態のインナーウェアー1と同じである。
このように、本発明に係るインナーウェアー1は、ボトムウェアー、パンツ(男物及び女物)、スパッツ、ショーツなどの下物であると、キャミソール、シャツなどの上物であると、或いは腹巻き等であるとを一切問わず、実施可能である。
図6乃至図11は、本発明に係るハイゲージ丸編み機30の一実施形態を示している。
まず、主に図6に基づいて、このハイゲージ丸編み機30の概要を説明する。このハイゲージ丸編み機30では、上記した第1乃至第4実施形態のインナーウェアー1を仕立てるうえでその元になる連続生地W(筒状生地であってピース編されたもの)を編成することができる。
上記したように、第1乃至第4実施形態のインナーウェアー1では、身生地2がダブル素材(表裏が同じ編み組織となった生地)であるから、このハイゲージ丸編み機30は円筒形をしたシリンダ31と、このシリンダ31の上部に設けられた円板形をしたダイヤル32とを有した構成となっている。そして、シリンダ31の周りには多数本のシリンダ針33がそれらの長手方向を上下に向けて設けられ、またダイヤル32の上面には多数本のダイヤル針34がそれらの長手方向を径方向へ向けつつ放射状配置で設けられている。
また、上記のインナーウェアー1においてその身生地2は、40番手以上で且つカバーファクターが0.60以上であることから、このハイゲージ丸編み機30は、文字通りハイゲージ用(即ち、1インチの中に含まれるシリンダ針33の本数が17本以上とされる17ゲージ以上であるということ)である。
シリンダ31及びダイヤル32は軸心Fを中心に、回転駆動装置(図示略)によって回転駆動される。シリンダ31の周りには下部カムブロック35が円周配置で設けられており、この下部カムブロック35の内周面に、シリンダ針33に上下動を起こさせるためのシリンダカム(図7中の符号36参照)が設けられている。またダイヤル32の上部には上部カムブロック37が設けられており、この上部カムブロック37の下面に、ダイヤル針34に前後動を起こさせるためのダイヤルカム(図示略)が設けられている。
従って、シリンダ31及びダイヤル32が回転されるとき、シリンダ針33やダイヤル針34も一緒に軸心Fまわりを回転し、各シリンダ針33がシリンダカム36によって所定タイミングで上下動されると共に、各ダイヤル針34がダイヤルカム(図示略)によって所定タイミングで前後動される。
これにより、シリンダ針33が上昇し且つダイヤル針34が前進したときの再接近位置を編成位置Rとして、この編成位置Rに給糸装置(図示略)によって給糸され、この編成位置Rを起点に連続生地Wが編成されることになる。なお、図示は省略するが、上記した編成位置Rはシリンダ31の上周部に沿った円周配置で複数箇所あって、これに伴い、給糸装置も各編成位置Rに少なくとも1台の割り当てで複数台設けられていることになる。
編成された連続生地Wは、シリンダ31の内方を介して下方へ垂れ下げられる。そこで、このシリンダ31の下方には吊り枠38を介して巻取装置39が設けられている。この巻取装置39は、2本一組のピンチローラ40とその下部の巻取ローラ41とを有したもので、これらが巻取モータ42により、チェーンや歯車列などの伝動手段43を介して駆動されるようになっている。従って、編成され垂れ下がり状態とされた連続生地Wが、巻取ローラ41まわりでロール状に巻き取られることになる。
次に、このハイゲージ丸編み機30についての特徴的構成を説明する。
このハイゲージ丸編み機30には給糸切換装置45が装備されている。この給糸切換装置45は、個々の編成位置Rへ向けて複数本の糸S1,S2が供給可能となっているとき(即ち、一箇所の編成位置Rに対して複数の給糸装置が割り当てられているとき)に、これらの糸S1,S2を一貫した編成作業の中で変更させるようにしたものである。
また、このハイゲージ丸編み機30には選針システム46が装備されている。図7に示すように、この選針システム46は、個々のシリンダ針33に対して1対1対応で設けられるジャック47と、このジャック47の上下動を必要に応じてオン/オフ切り替えさせる選針機48とを有している。またこの選針システム46はスイングカム49を有している。
ジャック47は、その上端部をシリンダ針33の針下端へ臨ませた配置とされており、このジャック47が所定量を超えて上昇したときにシリンダ針33を押し上げて、このシリンダ針33をも付随的に上昇させるようになっている。このジャック47は、下部カムブロック35の内周面でシリンダカム36の下部に沿って設けられた選針カム50に支配され、上下動する。しかし、選針機48を作動させたとき、このジャック47は選針カム50から上下挙動を受けない位置(シリンダ31に対する径方向外方)へと引き出され、もって選針カム50のカム形状がどうであろうと上下動しない状態とされる。
選針機48は、流体圧シリンダやソレノイド等とすればよいが、周辺機材への帯磁的影響等を払拭するという面からは流体圧シリンダを採用するのが好適である。
このように、ジャック47が選針カム50によって上下動したり、或いは選針機48の作動によって上下動しなかったりすることで、シリンダ針33が押し上げられたり押し上げられなかったりすることになる。
一方、スイングカム49は、シリンダ針33を上下動させるシリンダカム36に対し、その周方向中途部で上下方向へ広げられたスペース51に設けられている。そして、揺動軸52を中心に揺動可能とされている。このスイングカム49はその背側(上部)形状をカムとするものであって、揺動の有無により、背側形状の傾きを異ならせ、もってシリンダ針33の上昇到達点を高くしたり中間高さにしたり切り替えできるようになっている。また、このスイングカム49の下部側には空通路53が形成されている。
このように、この選針システム46では、ジャック47が選針カム50により上昇されるとシリンダ針33が押し上げられ、結果、このシリンダ針33は、スイングカム49の傾きに応じて上昇到達点を高くしたり或いは中間高さにしたりするものとなり、また選針機48によってジャック47が選針カム50から外されて上昇しないとシリンダ針33も押し上げられないために、このシリンダ針33は空通路53を素通りすることになってスイングカム49の作用を受けないこととなり、結果、このシリンダ針33も上昇しないことになる。
従って、シリンダ針33は高い位置への上昇でニット編成位置となり、中間高さへの上昇でタック編成位置となり、上昇しないときにウエルト(ミス発生)位置となるのである。
なお、図8に示すように、選針機48は、シリンダ31及び下部カムブロック35を取り囲む円周配置で複数台設けられている。更に、このハイゲージ丸編み機30には、針動作制御手段56が設けられている。
本実施形態において、針動作制御手段56は、シリンダカム36のカム形状として実施した。すなわち、このシリンダカム36は、シリンダ針33が所定のタイミングで浮上状態となり、この浮上状態で暫時的に待機するようなカム形状を採用したものとなっている。
このシリンダカム36のカム形状を説明するにあたっては、図9に示したシリンダ針33及びダイヤル針34の動作から先に説明する。図9(A)において、シリンダ針33は、編成中最新のシリンダ側ループ60を保持し、そのままシリンダ31の上端部から突出することのない下降状態で待機している。これに対してダイヤル針34は、形成済みのダイヤル側ループ61aを一つ解放し、編成中最新となるダイヤル側ループ61を保持したまま後進する状況となっている。図9(B)において、ダイヤル針34は後進を終えて前進に転じている。このときもシリンダ針33は、シリンダ31の上端部から突出することのない下降状態で待機している。図9(C)において、ダイヤル針34は前進を続け、べら34aが開かれて編成中最新のダイヤル側ループ61を解放へ向けて準備する(べら34aの後側へ抜けさせる)状況にある。
そして、ここからが特徴的な動きであって、上記のようにダイヤル針34が前進していく過程でシリンダ針33は上昇を開始し、シリンダ側ループ60がシリンダ31の上端から露出するようになる浮上位置まで到達するようになっている。このとき、シリンダ針33がシリンダ31に上端から突出する量hはおおよそ1mm程度である。そして、この浮上位置に達した時点から、この浮上状態を暫時的に待機させるようになっている。
このようなタイミングでシリンダ針33が浮上することで、シリンダ針33に保持されたシリンダ側ループ60及びダイヤル針34に保持されたダイヤル側ループ61には共にリラックス状態が与えられ、その結果、連続生地W自体に、動き的な余裕が生じることになる。即ち、ダイヤル側ループ61がダイヤル針34の動きに支配されないことになり、これによって無理矢理引き込まれないことになり、これによってリラックス状態が得られるということである。従って、編成中の連続生地Wにはその全体として下方への引き込み代が与えられる。
そこでこの連続生地Wに対し、上記した巻取装置39(図6参照)によってシリンダ31の下方へ向けた引っ張り作用Gを与えれば、以後、確実な編成が継続されることになる。
これらの説明から明らかなように、上記した針動作制御手段56は、シリンダ針33に上記詳説の浮上乃至浮上待機動作を与えるための構成となっているもので、これをシリンダカム36のカム形状として実現させるために、図7中のD部、即ち、図10に拡大して示すカム形状を採用しているのである。
この図10において、シリンダカム36に二点鎖線で示す部分63は、従来のカム形状であり、この二点鎖線で示す部分63に対して上側へ凹むようになっている部分64で、シリンダ針33を浮上待機位置へ向けて上昇させるべくガイドする。
なお、シリンダ針33は、浮上状態で所定時間待機された後、次サイクルへ向けて上昇動作に入る(図10中に符号65を付した傾斜部分がこの上昇動作をガイドする部分である)が、このとき、この上昇を開始させるのに先駆けて、一旦シリンダ針33を下降させるのが好適とされる。
図10中に符号66を付した下向きの台形状突出部分が、このシリンダ針33を下降させるためのガイドである。このようにシリンダ針33を下降させる理由は、ジャック47を所定の下降位置へ確実に復帰させることにある。なぜなら、シリンダ針33を浮上乃至浮上待機させているとき、このシリンダ針33がジャック47による押し上げを受けない位置まで上昇し、両者間にギャップgが生じている、といったことがあるからである。
なお、このギャップgが生じるのは下部カムブロック35におけるシリンダカム36と選針カム50との形状乃至寸法的な事情によるものであり、必然的なものではない。しかし、ギャップgが生じることでシリンダ針33とジャック47とが縁切り状になっていると、走行振動などによってジャック47に踊り等が生じ、これに伴ってジャック47に上下方向の位置ズレが起こるおそれがある。
このような場合、上記のように下向きの台形状突出部分66でシリンダ針33を一旦下降させると、このシリンダ針33によりジャック47を強制的に押し下げることができ、その結果として、ジャック47を所定の下降位置へ確実に復帰させることができるようになるのである。これにより、ジャック47の以後の動きが正確になる。
このような針動作制御手段56を具備したハイゲージ丸編み機30であれば、糸切れを起こしやすいとされる糸(細い糸や強度的に切れやすい糸など)の使用が可能になる。そのため、このハイゲージ丸編み機30に給糸切換装置45を装備させ、また選針システム46を装備させることが可能になるのである。
従って、例えば溶融糸の使用が可能であり、この溶融糸で形成する分離帯Cを介したピース編が実施できることになるから、結果として、このハイゲージ丸編み機30により、本発明に係るインナーウェアー1の元となる連続生地Wを編成することができるわけである。
但し、細い糸や強度的に切れやすい糸を使用する場合、殊に、溶融糸により分離帯Cを形成させるときのように、糸自体の材質に加えて糸の編成中の糸使用本数が少ないようなときには、上記した巻取装置39に対して、以下の構成を採用するのが一層、好適となる。すなわち、図6に示すように、巻取装置39に対してトルク制御装置70を設けるのである。
このトルク制御装置70は、主として選針システム46の動作状況に適応させて巻取トルクに強弱をつけるべく制御可能にするためのものである。これは、巻取トルクを一定にしようと努めていた従来の考え方とは、その根幹を異にするものと言える。
具体的には、選針システム46が、編成動作させるシリンダ針33の本数を少なく設定した場合に巻取トルクを弱め、反対に編成動作させるシリンダ針33の本数を多く設定した場合には巻取トルクを強めるようにするのである。このように制御することによって、特に編成動作させるシリンダ針33の本数が少ない場合の糸切れを防止することができる。また、このトルク制御装置70では、給糸切換装置45の動作により、細い糸や強度的に切れやすい糸が選択された場合にも、巻取トルクを弱めるように制御することができる。
このトルク制御装置70は、巻取モータ42にサーボモータを用いたり、或いは伝動手段43中にパウダークラッチ等のクラッチ(図示略)を組み込んだりして、巻取ローラ41の回転トルクを遠隔操作できるものとしたうえで、選針システム46の各選針機48からの動作情報を制御部71で処理して、その処理結果を巻取モータ42や伝動手段43等へ出力するようになっている。
なお、選針システム46に対して、どの選針機48にどのような動作をさせるか(シリンダ針33を何本編成動作させるか)といった指示は、ハイゲージ丸編み機30に対する当初の運転計画に基づいたものであるから、この運転計画に沿ってトルク制御装置70をパターン制御させるようにすればよい。
しかし、実際に選針システム46(各選針機48)の動作状況や、編成されつつある連続生地Wの状態、或いは給糸状態にある各糸S1,S2の張力等をセンサ類で検出して、それを制御部71で処理し、その処理結果でフィードバック制御などのリアルタイム制御を行うようにしてもよい。
図11は、シリンダ針33に沿って設置が推奨される糸端処理装置75の主要部を示している。この糸端処理装置75は、給糸装置(図示略)側での糸が無くなったとき、給糸切換装置45によって糸S1,S2の切り替えが行われたとき、或いは万が一、糸が途中で切断されたとき等々に、発生する糸端を編成中の生地内へ目立たないように編み込ませるためのものである。
そのための構造として、シリンダ針33の長手方向に沿ってエアを吹き上げるエア噴出孔76がシリンダ針33の並設方向に複数並んで設けられたエアノズル77を、シリンダ31の上端周部に沿って所定間隔で設けておき、このエアノズル77に対し、ハイゲージ丸編み機30の作動中にエアを供給するといったものである。
以上詳説したところから明らかなように、本発明に係るハイゲージ丸編み機30を用いた編成方法は、上下動するシリンダ針33とこのシリンダ針33の上端部に交差可能なレベルで前後動するダイヤル針34とでダブル素材の筒状生地を編成してゆくなかにあって、必要に応じてこの編成位置Rへ向けて供給する糸S1,S2を変更できるものとしてあり、そして、ダイヤル針34が後進によって形成済みのダイヤル側ループ61aを解放し、次に前進してゆく過程で、この時点でもし、シリンダ針33が下降状態で待機していればこれを浮上位置まで上昇させ、或いはこの時点でシリンダ針33が浮上状態にあればこの浮上状態を維持させるようにするものである。
このようにすることで、編成中の筒状生地に下方への引き込み代を与えるものである。このため、筒状生地自体に、動き的な余裕(ダイヤル針34の動きに支配されないリラックス状態)が生じ、傷のない筒状生地を確実且つ高能率で編成することができるのである。また細い糸や強度的に切れやすい糸の使用も可能であるので、本発明に係るインナーウェアー1の元になる連続生地Wを編成できることになるのである。
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。
本発明は、ボトムウェアー、パンツ、スパッツ、ショーツなどの下物のインナーウェアーや、キャミソール、シャツなどの上物のインナーウェアーとして有用に適用できる。本発明は、主としてインナーウェアーを編成することのできるハイゲージ丸編み機として有用に適用できる。但し、アウターウェアーの編成に使用できることを除外するものではない。本発明は、ハイゲージ丸編み機を用いた編成方法として有用に適用できる。
Claims (11)
- ボディーサイズの筒形を呈したダブル素材より成る身生地(2)と、この身生地(2)の端部に質感を明確に異ならせて設けられた裾部(3)とを有し、上記身生地(2)と裾部(3)とが無縫製で繋がった構造とされていることを特徴とするインナーウェアー。
- 前記身生地(2)には、一貫した編成過程の中で編み方を異ならせることによって機能、外観、質感等を異ならせた異質編成部(5)が部分的に設けられていることを特徴とする請求項1記載のインナーウェアー。
- 前記身生地(2)には、一貫した編成過程の中で糸種を異ならせることによって機能、外観、質感等を異ならせた異質編成部(6)が部分的に設けられていることを特徴とする請求項1記載のインナーウェアー。
- 前記身生地(2)には、一貫した編成過程の中でジャガード柄(7)が部分的又は全面的に設けられていることを特徴とする請求項1記載のインナーウェアー。
- 前記身生地(2)は、40番手以上の糸によりカバーファクターが0.60以上となるように編成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインナーウェアー。
- 前記裾部(3)は、ピース編により連続生地(W)とされた編成段階にあって30デニール未満の溶融糸で形成された分離帯(C)を後工程で分離することによって形成された分離端を有したものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインナーウェアー。
- シリンダ(31)周りでその上周部から出没する状態で上下動自在に備えられたシリンダ針(33)と、シリンダ(31)上のダイヤル(32)上面でその外周部から出入りする状態で前後動自在に備えられたダイヤル針(34)とでダブル素材の筒状生地を編成するハイゲージ丸編み機において、
シリンダ針(33)とダイヤル針(34)との間の編成位置(R)へ向けて供給される糸(S1,S2)を編成中に変更可能にする給糸切換装置(45)が装備されており、
ダイヤル針(34)が後進によって形成済みのダイヤル側ループ(61a)を解放し次に前進してゆく過程で、シリンダ針(33)を浮上位置で待機させるための針動作制御手段(56)が設けられていることを特徴とするハイゲージ丸編み機。 - 前記針動作制御手段(56)は、シリンダ針(33)の上下動を司るためにシリンダ(31)に設けられるシリンダカム(36)に対してシリンダ針(33)に浮上状態での待機を可能にさせるカム形状を採用したものであることを特徴とする請求項7記載のハイゲージ丸編み機。
- 前記シリンダ針(33)に対しその針下端に臨む配置でジャック(47)が付随的に設けられ、これに伴い、このジャック(47)の上下挙動を変更させることでシリンダ針(33)の上昇の有無や上昇到達点の高低を切り替え可能にする選針システム(46)が装備されるものとなっており、
前記針動作制御手段(56)は、シリンダ針(33)を浮上状態で待機させた後、次サイクルでの上昇動作を開始させるのに先駆けて一旦下降させ、このシリンダ針(33)の下降で上記ジャック(47)を所定位置へ確実復帰させる構造になっていることを特徴とする請求項7又は請求項8記載のハイゲージ丸編み機。 - 前記シリンダ針(33)に対しその針下端に臨む配置でジャック(47)が付随的に設けられ、これに伴い、このジャック(47)の上下挙動を変更させることでシリンダ針(33)の上昇の有無や上昇到達点の高低を切り替え可能にする選針システム(46)が装備されるものとなっていると共に、シリンダ針(33)とダイヤル針(34)との間の編成位置(R)で編成された筒状生地をシリンダ(31)下方へ向けて引き下げて巻き取る巻取装置(39)が装備されており、
この巻取装置(39)には、上記選針システム(46)の動作状況に適応させて巻取トルクに強弱をつけるトルク制御装置(70)が設けられていることを特徴とする請求項7又は請求項8記載のハイゲージ丸編み機。 - 上下動するシリンダ針(33)とこのシリンダ針(33)の上端部に交差可能なレベルで前後動するダイヤル針(34)とでダブル素材の筒状生地を編成しつつ必要に応じてこの編成位置(R)へ向けて供給する糸(S1,S2)を変更可能にしたハイゲージ丸編み機(30)を用いた編成方法において、
ダイヤル針(34)が後進によって形成済みのダイヤル側ループ(61a)を解放し次に前進してゆく過程で、そのときシリンダ針(33)が下降状態で待機していればこれを浮上位置まで上昇させ又はシリンダ針(33)が浮上状態にあればこの浮上状態を維持させ、これにより編成中の筒状生地に下方への引き込み代を与えることを特徴とするハイゲージ丸編み機を用いた編成方法。
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