JPH09216964A - 多孔質フィルムおよびそれを用いた電池用セパレータ並びに電池 - Google Patents

多孔質フィルムおよびそれを用いた電池用セパレータ並びに電池

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JPH09216964A
JPH09216964A JP8023515A JP2351596A JPH09216964A JP H09216964 A JPH09216964 A JP H09216964A JP 8023515 A JP8023515 A JP 8023515A JP 2351596 A JP2351596 A JP 2351596A JP H09216964 A JPH09216964 A JP H09216964A
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polyethylene
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Abstract

(57)【要約】 【課題】架橋ポリオレフィンとポリエチレンとを必須成
分とした多孔質フィルムを用いることにより、電池用セ
パレータのSD特性および滑り性を向上させる。 【解決手段】シラン基導入の未架橋PE30重量部、高密度
PE70重量部、架橋触媒のマスターバッチ1.5重量部をヘ
ンシェルミキサーでドライブレンドし、ついでTダイ押
出機によりフィルム状に成形して樹脂フィルムを作製す
る。これを25℃延伸率140%で1軸延伸し、 ついで95℃
で同方向に延伸率160%で1軸延伸して多孔質樹脂フ
ィルムを作製する。これを、60℃,湿度90%の加熱器に
24時間いれて架橋反応を行い電池用セパレータを作製す
る。図1に示すように、この電池用セパレータは、SD
開始温度が約130℃未満であり、また130℃以上で約105
〜106 Ω・cm2 の高い電気抵抗をとり、これを約170℃
付近まで維持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質フィルムお
よびこれを用いた電池用セパレータ並びに電池に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】樹脂から形成された多孔質フィルムの用
途は広く、分離膜、建築用通気性フィルム、衣料用通気
性フィルム等の様々な分野で用いられている。このなか
でも、電池の分野において、多孔質フィルムは電池用セ
パレータとして注目されており、これに使用する種々タ
イプの多孔質フィルムが開発されている。
【0003】すなわち、近年において、電子機器のコー
ドレス化、ポータブル化に伴い、これらの駆動用電源と
して、高エネルギー密度、高起電力、自己放電の少ない
リチウム電池あるいはリチウムイオン電池(以下「リチ
ウム電池」という)が注目を集めているが、このリチウ
ム電池に使用されている電池用セパレータとしては、イ
オン透過性を確保して電池内部の電気抵抗を小さくする
ために、多孔質フィルムが用いられている。
【0004】リチウム電池は、電解液として有機溶媒等
の非水電解液が使用されているが、外部短絡や誤接続な
どにより電池内部に異常電流が流れると、電池内部温度
が著しく上昇するという問題がある。この結果、リチウ
ム電池を組み込んだ電子機器に熱的ダメージを与えるお
それがある。
【0005】そこで、この問題を解決するために、リチ
ウム電池において、電池用セパレータ(多孔質フィル
ム)に対しては、異常電流による電池内部の温度上昇が
あった場合、電池用セパレータの電気抵抗を増加させて
電池反応を停止させ、電池内部温度のそれ以上の上昇を
防止する機能である、シャットダウン特性(Shut−
down、以下、「SD特性」と略す)が必須の機能と
されている。すなわち、異常電流が流れ電池内部温度が
一定温度まで上昇すると、樹脂の溶融により電池用セパ
レータの多孔質構造が無孔質となり、イオンの透過が遮
断されて電池内部の電気抵抗が増大するのである。
【0006】このSD特性の発現温度としては、リチウ
ム電池をはじめとする非水電解液電池の安全性等の理由
から、約110〜140℃とされ、しかも増大した電気
抵抗をある一定温度まで維持することが望ましいとされ
ている。このような増大した電気抵抗を一定温度まで維
持することを電池用セパレータの耐熱性といい、増大し
た電気抵抗を維持出来る上限温度を耐熱温度という。
【0007】このSD特性を有する電池用セパレータ
(多孔質フィルム)としては、以下に示すようなものが
知られている。
【0008】まず、多孔質ポリプロピレンフィルム単独
あるいは多孔質ポリエチレンフィルム単独の電池用セパ
レータが知られている(特公昭46−40119号公
報、特公平6−18915号公報)。この電池用セパレ
ータは、高ドラフト比でフィルムを成形し、これを熱処
理した後に延伸してラメラ間を剥離させることによって
多孔質化させたものである。
【0009】しかし、この電池用セパレータは、つぎの
問題がある。すなわち、上記電池用セパレータが、多孔
質ポリプロピレンフィルム製の場合、SD発現温度が1
70℃と高いという問題がある。また、多孔質ポリエチ
レンフィルム製の場合は、SD発現温度は低いが、耐熱
温度が低いという問題がある。
【0010】他方、特開平2−21559号公報には、
通常の分子量を有するポリエチレンと高分子量ポリエチ
レンとの混合物から形成された多孔質フィルム製の電池
用セパレータが開示されている。しかし、この電池用セ
パレータでは、高分子量ポリエチレンを用いることか
ら、これを溶媒に膨潤させる工程が必要であり、また多
孔質化において液体や固体の抽出工程や大量の溶剤を使
用するためそれを回収する工程など、工程数が多くそれ
に伴いコストがかかり、電池用セパレータも高価なもの
となる。また、その製造において、不純物が混入する可
能性があり、電池用セパレータの性能に影響を及ぼすお
それがある。
【0011】また、特公平4−38101号公報および
特開平3−59947号公報には、二種類の多孔質フィ
ルムを接着剤や加熱圧着等により貼着して一体化した電
池用セパレータが開示されている。具体的には、多孔質
ポリプロピレンフィルムと多孔質ポリエチレンフィルム
とを貼着したもの、あるいは多孔質ポリエチレンフィル
ムと多孔質架橋ポリエチレンフィルムとを貼着したもの
である。
【0012】このような構成の電池用セパレータは、S
D発現温度も適当な範囲であり、また耐熱温度も高いこ
とから、優れたSD特性を期待できるものである。
【0013】しかし、貼着の際に、多孔質フィルムの微
孔の一部が、接着剤あるいは加熱圧着による樹脂の溶融
により閉塞されてしまう。このため、この電池用セパレ
ータは、正常通電時の電気抵抗が高くなるおそれがあ
る。また、二種類の多孔質フィルムを貼着するため、電
池用セパレータの厚みが厚くなり、このことは、電池の
小型化や高エネルギー密度化をすすめる上で問題とな
る。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の多孔
質フィルム製電池用セパレータの問題を解決するため
に、本発明者は、ポリエチレンとポリプロピレンとの樹
脂混合物を多孔質フィルムに成形した電池用セパレータ
を提案した(特開平4−206257号公報)。この電
池用セパレータは、前述の電池用セパレータに比べ、S
D特性に優れ、また薄膜化も可能であり、製造効率の点
において問題がないものである。
【0015】しかしながら、この電池用セパレータにお
いても、つぎのような問題があり、その解決が切望され
ている。すなわち、この電池用セパレータでは、ポリプ
ロピレンの含有量を増やすと滑り性が悪くなるという問
題がある。このため、電池用セパレータを電池に組み込
む際には、ピンを用いて電池用セパレータを巻き込んで
いき、巻き込み終了後ピンを抜き取る必要があるが、こ
のピンの抜け性が悪くなり、この結果、電池の製造効率
が低下することがある。
【0016】本発明は、このような事情に鑑みなされた
もので、薄膜でSD特性および滑り性に優れた電池用セ
パレータに適用可能な多孔質フィルムおよびそれを用い
た電池用セパレータ並びに電池の提供をその目的とす
る。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の多孔質フィルムは、樹脂製の多孔質フィル
ムであって、前記樹脂が架橋ポリオレフィンおよびポリ
エチレンを必須成分とし、前記両樹脂の合計重量に対
し、前記架橋ポリオレフィンの割合が10〜80重量%
であり、前記ポリエチレンの割合が20〜90重量%で
あるいう構成をとる。
【0018】すなわち、本発明の多孔質フィルムは、単
層構造であることから薄膜化が可能であり、また上記二
種類の樹脂を必須成分とすることから、SD特性にも優
れるものである。そして、架橋ポリオレフィンが使用さ
れていることから、滑り性にも優れるものである。した
がって。この多孔質フィルムは、電池用セパレータ、特
にリチウム電池等の非水電解液電池用の電池用セパレー
タとして最適なものである。
【0019】本発明において、滑り性がさらに優れるよ
うになるという理由から、上記架橋ポリオレフィンとし
ては、架橋ポリエチレンが好ましい。
【0020】また、製造効率が向上するという理由か
ら、上記架橋ポリオレフィンは、ポリオレフィンに導入
された活性シラン基と水との架橋反応により架橋された
架橋ポリオレフィンであることが好ましい。すなわち、
架橋ポリオレフィンの製造において、上記方法の他、電
子線照射による架橋法があるが、この方法に使用する装
置および設備が大掛かりなものであるからである。
【0021】そして、本発明の電池用セパレータは、前
記本発明の多孔質フィルムからなるものであり、また、
本発明の電池は、正極と負極とが電池用セパレータで隔
離された電池であって、上記電池用セパレータとして、
前記本発明の電池用セパレータを用いたものである。ま
た、本発明の電池は、前記本発明の電池用セパレータを
用いることから、電解液として非水電解液を用いたもの
において、安全性が優れるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を具体的に説明す
る。
【0023】本発明の多孔質フィルムは、樹脂製であ
り、架橋ポリオレフィンおよびポリエチレンを必須成分
とするものである。
【0024】上記必須成分の一つである架橋ポリオレフ
ィンとしては、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリブ
テン,4−メチルペンテン等の未架橋ポリオレフィンを
架橋したものがあげられる。そして、架橋法としては、
先に述べたように、未架橋ポリオレフィンに活性シラン
基を導入し、上記活性シラン基と水との架橋反応により
行うことが好ましい。そして、この活性シラン基と水と
の架橋法において、シラン架橋性コンパウンドを用いる
ことが好ましい。このシラン架橋性コンパウンドは、ポ
リオレフィンの側鎖に活性シラン基を導入したものであ
り、水との反応により、下記(化1)で表されるよう
に、架橋反応が進むものである。
【0025】
【化1】
【0026】もう一方の必須成分であるポリエチレン
(PE)としては高密度PE、中密度PE、低密度P
E、線状低密度PEや、エチレンとビニル化合物との共
重合体があげられる。これらの中でも、気孔率を高くす
る理由から結晶性の高い高密度PEが好ましい。
【0027】そして、本発明において、上記架橋ポリオ
レフィンとポリエチレンとの割合は、これら両者の合計
重量に対し、上記架橋ポリオレフィンが10〜80重量
%であり、上記ポリエチレンが20〜90重量%であ
る。すなわち、架橋ポリオレフィンの割合が80重量%
を越える(ポリエチレの割合が20重量%未満)と、S
D発現温度が高くなり、所定温度での電気抵抗の増大が
不充分となるおそれがあるからである。これとは逆に、
架橋ポリオレフィンの割合が10重量%未満(ポリエチ
レの割合が90重量%を越える)となると、増大した電
気抵抗が適当な温度まで維持されなくり、耐熱性に劣る
ようになるおそれがあるからでる。そして、上記割合の
好適範囲は、架橋ポリオレフィンの割合が20〜80重
量%であり、ポリエチレンの割合が20〜90重量%で
ある。
【0028】そして、本発明の多孔質フィルムにおい
て、上記二つの必須成分の他に、これらの機能を害しな
い範囲において、界面活性剤、老化防止剤、可塑剤、着
色剤、難燃剤、相溶化剤等の添加剤を含有してもよい。
【0029】つぎに、本発明の多孔質フィルムの製造方
法について説明する。本発明の多孔質フィルムは、例え
ば、未架橋ポリオレフィンとポリエチレンとを混合して
樹脂組成物を調製してこれをフィルム状に成形し、つい
でこのフィルムを延伸法により多孔質化した後、上記未
架橋ポリオレフィンを架橋することにより作製できる。
【0030】すなわち、まず、ポリマー中に活性シラン
基を持つ未架橋ポリオレフィンとポリエチレンとを前述
の所定割合で配合して混合し樹脂組成物を調製するが、
この配合の際に、架橋促進剤として、架橋触媒も同時に
配合してもよい。架橋触媒の配合は、少量の未架橋ポリ
オレフィンと架橋触媒とを予め混合し、この混合物を配
合する、いわゆるマスターバッチ法を適用すると、架橋
触媒の分散が良好となって好ましい。また、上記樹脂組
成物には、必要に応じ、前述の添加剤を適量配合しても
よく、この場合は、上記未架橋ポリオレフィン等と同時
に配合すればよい。そして、上記混合は、例えば、ヘン
シェルミキサーを用いてのドライブレンドで行うことが
できる。
【0031】つぎに、この樹脂組成物を、フィルム状に
成形する。この成形は、例えば、熱可塑性樹脂のフィル
ム成形法であるTダイ式押出法やインフレーション法等
により行うことができる。また、成形条件は、成形法の
種類に応じ適宜決定されるが、例えば、ドラフト比が、
通常、20以上好ましくは50以上であり、フィルムの
引取速度が、通常、5m/分〜200m/分、好ましく
は10m/分〜100m/分である。なお、上記ドラフ
ト比(D)は、フィルムの引取速度(V2)をダイスか
ら押し出される樹脂の線速度(V1)で除した値であ
り、下記式(数1)で表されるものである。
【0032】
【数1】
【0033】そして、得られたフィルム(無多孔質)に
ついて、熱処理(アニーリング)を行うことが好まし
い。この熱処理は、フィルムの結晶性の向上等を目的と
して行われるものである。上記熱処理の条件は、未架橋
ポリオレフィンの架橋温度未満でかつ融点以下の温度で
ある。具体的には、未架橋ポリオレフィンがポリエチレ
ンの場合は130℃以下、ポリプロピレンの場合は16
5℃以下で行われる。また、熱処理に要する時間は、フ
ィルムの未架橋ポリオレフィンとポリエチレンの割合
や、上記熱処理温度などに応じて設定されるが、通常、
約2秒〜50時間、好ましくは10秒〜24時間であ
る。
【0034】このようにして熱処理した後、これを延伸
することにより、多孔質化処理を行う。この延伸法とし
ては、低温で延伸した後、高温で延伸する2段階延伸法
を適用することが好ましい。
【0035】すなわち、まず、フィルムに対し、1軸方
向で低温延伸を行う。このときの温度は、通常、−20
〜60℃である。すなわち、−20℃未満で温度が低す
ぎると延伸中にフィルムの破断を生じやすく、逆に60
℃を越え高すぎると多孔質化し難い。延伸の作業性の点
から温度を−20〜55℃とするのが好ましい。この延
伸は、例えば、ロール式延伸、テンター式延伸などによ
り行うことができる。
【0036】そして、このときの延伸率は限定されるも
のではないが、通常20〜400%好ましくは50〜3
00%とされる。なお、この延伸率[M1(%)]は下
記式(数2)によって表されるものであり、この式(数
2)におけるL0は低温延伸前の寸法であり、L1は低
温延伸後の寸法である。
【0037】
【数2】
【0038】そして、上記低温延伸に続き、高温延伸を
行う。すなわち、上記フィルムに対し、60℃〜ポリエ
チレンの融点以下の温度範囲で1軸あるいは2軸延伸を
行う。なお、高温延伸時の延伸率は通常約10〜500
%である。この延伸率[M2(%)]は下記式(数3)
により表される。この式(数3)におけるL2は高温延
伸後の寸法、L1は低温延伸後の寸法(即ち、高温延伸
前の寸法)である。
【0039】
【数3】
【0040】つぎに、この延伸処理に続き、ヒートセッ
ト処理を行うことが好ましい。これは、延伸法により多
孔質化処理を行った場合は、フィルムに延伸歪みが残留
することから、これを除去するためである。このヒート
セットは、通常、得られた多孔質フィルムを延伸温度〜
ポリエチレンの融点以下の温度の範囲で、延伸後のフィ
ルムの長さの約35%〜50%減少させた状態で5秒〜
24時間で一定時間保持することにより行われる。
【0041】また、テンター式延伸により、横延伸を行
ってもよい。
【0042】そして、得られた多孔質フィルムにおい
て、未架橋ポリオレフィンを架橋させる。この架橋は、
先に述べた活性シラン基と水との反応によるものである
ことが好ましい。この場合、多孔質フィルムを40℃以
上の温水中に浸漬する方法や蒸気室中に入れることによ
り架橋することができる。この架橋処理に要する時間
は、多孔質フィルムにおける未架橋ポリオレフィンの割
合、熱処理温度、湿度等に応じ適宜設定されるが、通常
約2秒〜50時間、好ましくは10秒〜30時間であ
る。また、架橋の程度は、通常、ゲル分率で20%以
上、耐熱温度の点から好ましくはゲル分率で30%以上
である。
【0043】このようにして本発明の多孔質フィルムを
作製することができる。そして、先に述べたように、こ
の多孔質フィルムは、電池用セパレータとして最適なも
のである。すなわち、この多孔質フィルムは、ガーレー
値が1500sec/100cc以下であり、この値
は、電池用セパレーターとして好ましいものである。な
お、ガーレー値は、電池用セパレータのイオン透過性を
表す代用特性であり、JIS P 8117に準じて測
定することができる。
【0044】そして、この多孔質フィルムを電池用セパ
レータとした場合、120〜130℃の範囲の特定温度
において、その電気抵抗値が室温の抵抗値の数十倍〜数
千倍以上に急激に上昇し、SD開始温度より少なくとも
25℃高い温度まで維持され、耐熱温度も高く、安全性
に優れたものである。また、滑り性がよいことから、電
池製造における巻込み時のピンの抜け性も良くなる。
【0045】なお、本発明の多孔質フィルムについて、
電池用セパレータに適用した場合を説明したが、これに
限定されるものではない。すなわち、本発明の多孔質フ
ィルムは、電池用セパレータの用途の他、分離膜、建築
用通気性フィルム、衣料用通気性フィルム等幅広い用途
に適用できる。
【0046】また、本発明の電池は、その形態に応じ従
来公知の方法により上記電池用セパレータ(多孔質フィ
ルム)を組み込んで作製することができる。
【0047】
【実施例】つぎに、実施例について比較例と併せて説明
する。
【0048】
【実施例1】シラン活性基が導入された未架橋ポリエチ
レン(メルトインデックス0.8、三菱化学社製、リン
クロンHF−700N)30重量部、メルトインデック
ス0.4で密度0.968g/cm3 の高密度ポリエチ
レン70重量部、架橋触媒マスターバッチ(三菱化学社
製、リンクロンHZ050)1.5重量部をヘンシェル
ミキサーでドライブレンドし、これをTダイ押出機でフ
ィルム状に成形した。
【0049】このフィルムを、125℃のロールに1分
間接触させ熱処理を行った。その後、ロール延伸機を用
い、温度25℃で延伸率が140%になるように低温延
伸し、さらに95℃で同方向に延伸率が160%になる
ように高温延伸した。そして、延伸後、温度105℃に
おいて延伸方向の20%収縮(高温延伸後の寸法を基準
として)させてヒートセットを行い、ついで、60℃、
湿度90%の加熱器に24時間いれて架橋反応を行い、
厚み25μmの多孔質フィルムを作製した。
【0050】
【比較例1】メルトインデックス0.4で密度0.96
8g/cm3 の高密度ポリエチレンをTダイ押出機を用
いフィルム状に成形し、フィルムを作製した。
【0051】このフィルムを、125℃のロールに1分
間接触させ熱処理を行った。その後、ロール延伸機を用
い、温度25℃で、延伸率が100%になるように低温
延伸し、さらに115℃にて同方向に延伸率が300%
になるように高温延伸した。そして、延伸後、温度11
5℃において延伸方向の10%収縮(高温延伸後の寸法
を基準として)させてヒートセットをすることにより、
厚み25μmの多孔質フィルムを得た。
【0052】
【比較例2】メルトインデックス1.2で密度0.96
6g/cm3 の高密度ポリエチレン40重量部とメルト
インデックス2.0で密度0.90g/cm3 のポリプ
ロピレン60重量部とをヘンシェルミキサーでドライブ
レンドし、これをTダイ押出機を用いフィルム状に成形
し、フィルムを作製した。
【0053】このフィルムを、2枚の厚み50μmのポ
リエチレンテレフタレートのフィルムに間に挟み、これ
を151℃のロールに1分間接触させ熱処理を行った。
その後、ロール延伸機を用い、温度25℃で、延伸率が
100%になるように低温延伸し、さらに95℃にて同
方向に延伸率が140%になるように高温延伸した。そ
して、延伸後、温度105℃において延伸方向の20%
収縮(高温延伸後の寸法を基準として)させてヒートセ
ットをすることにより、白色で厚み25μmの多孔質フ
ィルムを得た。
【0054】このようにして得られた実施例1および比
較例1,2の各多孔質フィルムについて、SD特性,ガ
ーレー値,滑り性を測定,評価した。なお、これら特性
の測定,評価は、以下に示す方法により行った。また、
メルトインデックスおよび密度の測定方法も併せて下記
に示す。
【0055】(メルトインデックス)ASTM D 1
238に準じて測定した。単位は(g/10min)で
ある。
【0056】(密度)ASTM D 1505に準じて
測定した。単位は(g/cm3 )である。
【0057】(ガーレー値)JIS P 8117に準
じて測定した。単位は(sec/100cc)である。
【0058】(SD特性)図6に示すような、電気抵抗
測定装置を用いてSD特性を調べた。図示のように、こ
の電気抵抗測定装置は、その略中央に電池用セパレータ
2が配置され、この両面(図面において左右)のそれぞ
れに白金電極(直径20mm)1が対向態で配置されて
いる。そして、これら白金電極1のそれぞれの電池用セ
パレータ2と接していない側にはPP製不織布5を介し
てポリテトラフルオロエチレン製の板4が装置全体を締
め付ける状態で配置されている。また、装置の上下に
は、シリコーンゴム製のパッキン3が装置を封止する状
態で配置されている。
【0059】上記PP製不織布5には、電解液が含浸さ
れており、これは、プロピレンカーボネートとジメトキ
シエタンを同容量ずつ混合し、これにLiBF4 を1m
ol/リットルの濃度になるように溶解させたものであ
る。なお、図示していないが、白金板電極1には、抵抗
計が接続されており、白金電極1と電池用セパレータ2
との間には薄型熱電対が配置されている。
【0060】そして、この電気抵抗測定装置を乾燥器中
にセットし、約10℃/分の速度で昇温させ、各温度に
おける電気抵抗値を測定した。この電気抵抗値は、国産
電機工業社製のLCRメーターKC−532型を用い、
1KHzの交流抵抗を測定し、この値を下記式(数4)
により換算して求めたものである。なお、この電気抵抗
値は、膜抵抗と電解液抵抗を含んだ値である。
【0061】
【数4】
【0062】(滑り性)往復動摩擦試験機(Model
AFT−15B,オリエンテック社製)を用い、圧着
銅球(直径10mm),重り(100g),移動速度1
50mm/分,温度25℃の条件で、サンプル(多孔質
フィルム)の長手方向に対し垂直な方向の動摩擦係数を
測定し、これにより滑り性を評価した。
【0063】上記測定,評価の結果、実施例1の多孔質
フィルムのガーレー値は1000sec/100ccで
あり、動摩擦係数が0.21で滑り性も優れたものであ
った。また、この多孔質フィルムのSD特性を図1のグ
ラフに示す。図示のように、この多孔質フィルムは、約
128℃で電気抵抗の急激な上昇が始まり、約132℃
で室温の電気抵抗値の約1万倍の高い値に到達し、しか
もこの高い電気抵抗値を170℃付近まで維持した。こ
のことから、この実施例1の多孔質フィルムは、耐熱温
度が高く、優れたSD特性を有し、電池用セパレータと
してしての特性を全て備えたものといえる。
【0064】一方、比較例1の多孔質フィルムのガーレ
ー値は600sec/100ccであった。また、動摩
擦係数は0.29であり、滑り性に優れていた。しか
し、この多孔質フィルムのSD特性は充分でなかった。
すなわち、図2のグラフに示すように、この多孔質フィ
ルムは、約128℃で電気抵抗の上昇が始まるものの、
その上昇は約100倍の小さいものであり、しかも温度
160℃で急激に低下した。このことから、比較例1の
多孔質フィルムは、耐熱温度が低く、SD特性も悪いと
いえる。
【0065】また、比較例2の多孔質フィルムは、図3
に示すように、SD特性に優れていたが、動摩擦係数が
0.67と高く滑り性が悪かった。
【0066】
【実施例2】メルトインデックス0.8のシラン基導入
未架橋ポリエチレン60重量部、メルトインデックス
0.4で密度0.968g/cm3 の高密度ポリエチレ
ン40重量部、実施例1と同じ架橋触媒マスターバッチ
3重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンドし、こ
れをTダイ押出機でフィルム状に成形しフィルムを得
た。これ以外は、実施例1と同様にして多孔質フィルム
を作製した。
【0067】
【実施例3】メルトインデックス0.8のシラン基導入
未架橋ポリエチレン10重量部、メルトインデックス
0.4で密度0.968g/cm3 の高密度ポリエチレ
ン90重量部、実施例1と同じ架橋触媒マスターバッチ
0.5重量部をヘンシェルミキサーでドライブレンド
し、これをTダイ押出機でフィルム状に成形しフィルム
を得た。これ以外は、実施例1と同様にして多孔質フィ
ルムを作製した。
【0068】このようにして得られた実施例2および3
の多孔質フィルムについて、実施例1と同様にしてガー
レー値,滑り性,SD特性を測定,評価した。その結果
を、下記の表1に示す。なお、併せて、実施例1、比較
例2、3の結果も同表に示す。また、実施例2のSD特
性を図4に、実施例3のSD特性を図5に示す。
【0069】
【表1】
【0070】上記表1に示す結果から、実施例2、3の
多孔質フィルムは、共に、滑り性(動摩擦係数が低い)
に優れていることがわかる。また、図4および図5か
ら、実施例2、3の各多孔質フィルムは、共に、SD特
性に優れていることがわかる。これらの結果から、実施
例2、3の多孔質フィルムは、電池用セパレータに最適
であるといえる。
【0071】
【発明の効果】以上のように、本発明の多孔質フィルム
は、架橋ポリオレフィンおよびポリエチレンを必須成分
とし、上記両樹脂の割合が、上記両樹脂の合計重量に対
し、上記架橋ポリオレフィンが10〜80重量%であり
上記ポリエチレンが20〜90重量%であるということ
により、薄膜化が可能であり、SD特性に優れ、しかも
滑り性に優れるものである。このため、本発明の多孔質
フィルムは、そのまま高性能の電池用セパレータとして
用いることができる。そして、この電池用セパレータを
電池、特に非水電解液電池に適用すれば、小型化および
高エネルギー密度化を図ることができ、また、安全性に
も優れるようになり、さらに、電池製造時における電池
用セパレータの巻き込み時のピンの抜け性が良くなり、
この結果、電池の製造効率も向上するようになる。さら
に、本発明の多孔質フィルムは、前記のような性能を有
していることから、電池用セパレータの用途の他に、例
えば、分離膜、建築用通気性フィルム、衣料用通気性フ
ィルム等の幅広い用途に適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の多孔質フィルムのSD特性
を示すグラフ図である。
【図2】比較例の多孔質フィルムのSD特性を示すグラ
フ図である。
【図3】比較例の多孔質フィルムのSD特性を示すグラ
フ図である。
【図4】本発明のその他の実施例の多孔質フィルムのS
D特性を示すグラフ図である。
【図5】本発明のその他の実施例の多孔質フィルムのS
D特性を示すグラフ図である。
【図6】電池用セパレーターのSD特性を測定するため
の装置の概略を示す断面図である。
【符号の説明】
1 白金電極 2 電池用セパータ 3 シリコーンゴム製のパッキン 4 ポリテトラフルオロエチレン製の板 5 PP製不織布

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂製の多孔質フィルムであって、前記
    樹脂が架橋ポリオレフィンおよびポリエチレンを必須成
    分とし、前記両樹脂の合計重量に対し、前記架橋ポリオ
    レフィンの割合が10〜80重量%であり、前記ポリエ
    チレンの割合が20〜90重量%であることを特徴とす
    る多孔質フィルム。
  2. 【請求項2】 架橋ポリオレフィンが架橋ポリエチレン
    である請求項1に記載の多孔質フィルム。
  3. 【請求項3】 架橋ポリオレフィンが、ポリオレフィン
    に導入された活性シラン基と水との架橋反応により架橋
    された架橋ポリオレフィンである請求項1または2記載
    の多孔質フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多
    孔質フィルムからなる電池用セパレータ。
  5. 【請求項5】 正極と負極とが電池用セパレータで隔離
    された電池であって、上記電池用セパレータとして、請
    求項4に記載の電池用セパレータが用いられた電池。
  6. 【請求項6】 電解液が非水電解液である請求項5に記
    載の電池。
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