JP4120116B2 - 複合多孔質フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電池用セパレータや電解コンデンサ用隔膜等として有用な複合多孔質フィルム及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電池用セパレータや電解コンデンサ用隔膜等としてポリオレフィン系多孔質フィルムが使用されている。特に、近年技術の高度化に伴い、リチウム電池等においては高精度、高機能のセパレータが要求されるようになってきた。
【0003】
電池を例にとってみると、近年高エネルギー密度、高起電力、自己放電の少ないリチウム電池のような非水電解液電池、特にリチウム二次電池が開発、実用化されている。リチウム電池の負極としては例えば金属リチウム、リチウムと他の金属との合金、カーボンやグラファイト等のリチウムイオンを吸着する能力又はインターカレーションにより吸蔵する能力を有する炭素材料、リチウムイオンをドーピングした導電性高分子材料等が知られており、また正極としては例えば(CFxnで示されるフッ化黒鉛、MnO2、V25、CuO、Ag2CrO4、TiO2、LiCoO4、LiMn24等の金属酸化物や硫化物、塩化物が知られている。
【0004】
また、非水電解液として、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等の有機溶媒にLiPF6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252等の電解質を溶解したものが使用されている。
【0005】
このようなリチウム電池の構成材料であるセパレータの役割は、正負両極の短絡を防止するとともに電池反応を阻害しないこと、並びに異常時に熱閉塞して電池の発熱、発火を防ぐことにあり、以下のような種々の多孔質フィルムが提案されている。
【0006】
ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂の単層の多孔質フィルム(特公昭46−40119号公報、特公昭55−32531号公報、特公昭59−37292号公報、特開昭60−23954号公報、特開平2−75151号公報、米国特許第3679538号明細書等)。
分子量の異なるポリエチレン混合物やポリエチレンとポリプロピレンの混合物を素材とした多孔質フィルム(特開平2−21559号公報、特開平5−331306号公報)。
支持体に熱可塑性樹脂や不織布を用いた多孔質フィルム(特開平3−245457号公報、特開平1−258358号公報等)。
ポリエチレン及びポリプロピレンからなる多孔質膜が複数枚積層された積層多孔質フィルム(特開昭62−10857号公報、特開平2−77108号公報、特開平6−55629号公報、特開平6−20671号公報、特開平7−307146号公報)。
【0007】
これらの、多孔質フィルムの多孔化方法には大別して延伸法(乾式法)と抽出法(湿式法)とがある。
抽出法では、高密度ポリエチレンを主成分とした熱可塑性樹脂組成物に充填材や可塑剤を配合したものをフィルム状に押し出し成形し、その後フィルムから充填材や可塑剤を抽出することで多孔化を行う。フィルムは、充填材や可塑剤の抽出を行う前或いは後に二軸延伸されるため、機械的強度の異方性を緩和することが可能であるが、二軸延伸に由来して機械方向のみならずフィルムの幅方向にも熱収縮するという問題がある。
一方、延伸法では、熱可塑性樹脂を溶融押し出しする過程で結晶構造を制御し、その後、延伸に伴うクレーズの発生及び成長によって多孔化を行う。延伸は一軸延伸であるため、機械的強度の異方性が大きいという問題があるが、フィルムの幅方向への熱収縮はない。また、高密度ポリエチレンに比較して融点の高いポリプロピレンを使用することで、耐熱性の高い多孔質膜を得ることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
リチウム二次電池に組込まれるセパレータの重要な役割の一つは、異常時に孔閉塞して電流を遮断し、電池の発熱、発火を防ぐヒューズ機能である。多孔質フィルムを電池用セパレータとして用いる場合、適当な温度域で孔閉塞して無孔化し、しかも正負両極を短絡させないように無孔化したフィルムが耐熱性を有する必要がある。
ところが、抽出法によって製造された多孔質フィルムを電池用セパレータとして用いると、温度上昇とともにフィルムの幅方向に熱収縮して幅方向の寸法が小さくなり、幅方向端部の電極が露出して短絡を引き起すことが懸念されている。さらに、抽出法による多孔質フィルムは高密度ポリエチレンを主成分としているため、高分子量化或いは架橋といった処理を施しても、耐熱性という観点からは未だ改良の余地がある。
【0009】
多孔質フィルムが熱閉塞して無孔化する温度域は、電池の正常使用中に誤作動しない範囲においては低いことが望ましい。しかしながら、従来の延伸法による多孔質フィルムの製造法では、材料ポリマーの選択及び製造条件の制約から、熱閉塞する温度域を下げることが困難であった。
本発明の目的は、リチウム電池用セパレータとして、使用時の信頼性及び安全性が高く、しかもヒューズ機能に優れた複合多孔質フィルムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究の結果、延伸法により製造された多孔質フィルムを基材に用いて特定の処理を行うことにより、リチウム電池用セパレータとして使用時の信頼性及び安全性が高く、しかもヒューズ機能に優れた複合多孔質フィルムが得られることを見出した。
すなわち、本発明は、多数の貫通微細孔を有する複合多孔質フィルムであって、該複合多孔質フィルムが延伸法により製造された多孔質フィルムを基材とし、該基材とポリエチレンを有機溶媒に溶解した粘性溶液とを接触させて得られてなることを特徴とする複合多孔質フィルムに関する。
本発明において、前記基材用多孔質フィルムが0.1〜20重量%のポリエチレンを配合したポリプロピレン多孔質膜であることが好ましい。
また本発明において、基材と接触させる粘性溶液中のポリエチレンが、融点105〜125℃のポリエチレンであることが好ましい。
また、本発明は、多数の貫通微細孔を有する複合多孔質フィルムの製造方法であって、延伸法により製造された多孔質フィルムを基材とし、該基材用多孔質フィルム層の層間、層上及び層中から選ばれる少なくとも1種の層構成となるように、ポリエチレンを有機溶剤に溶解した粘性溶液を導入した後、有機溶剤を除去することを特徴とする複合多孔質フィルムの製造方法に関する。
本発明において、前記基材用多孔質フィルムとして、0.1〜20重量%のポリエチレンを配合したポリプロピレン多孔質膜を使用するのが好ましい。
本発明において、前記基材と接触させる粘性溶液中のポリエチレンが、融点105〜125℃のポリエチレンであることが好ましい。
本発明における複合多孔質フィルムは、電池用セパレータとして好適に使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の複合多孔質フィルムの基材用多孔質層に使用されるポリプロピレンは、ペンタッド分率が94%以上であって、数平均分子量が5万以上、より好ましくは8万以上のものが機械的強度が高く好ましい。さらに、ポリプロピレンの融点は155℃以上、さらに好ましくは160℃以上が好適である。
【0012】
ポリプロピレンのペンタッド分率は、高分子分析ハンドブック(日本分析化学会編集)の記載に基づいて帰属した13C−NMRスペクトルから、ピーク高さ法によって算出した。13C−NMRの測定は、日本電子製 EX−400型 FT−NMRを使用して、o−ジクロロベンゼン中、測定温度130℃、積算回数8000回の条件で行った。ペンタッド分率はポリプロピレンの立体規則性の指標であり、この値が100%に近づくに伴って、ポリプロピレンの剛性及び融点が高くなる。
【0013】
また、ポリプロピレンに適宜配合するポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等があり、好ましくは高密度ポリエチレンである。ポリプロピレンとポリエチレンの合計重量中に占めるポリエチレンの割合は、0.1〜20重量%、特に2〜10重量%とするのが好ましい。ポリエチレンの割合が0.1重量%より過度に小さくなると、基材用多孔質層と抽出法によって導入する多孔質層の間の密着性が悪くなり、ポリエチレンの割合が20重量%より過度に大きくなると基材用多孔質層を延伸法によって多孔化することが困難となる。
【0014】
ポリプロピレンとポリエチレンを配合する方法については特に制限はないが、通常の混練機を用いた混練により配合することができる。例えば、一軸押出機、二軸押出機、ミキシングロール等を用いて溶融混練し、ペレットを得ることできる。また、ヘンシェルミキサー、タンブラー等を用いてドライブレンドによって配合しても良い。また、電池用セパレータとしての特性を損わない範囲において、界面活性剤、老化防止剤、可塑剤、難燃剤、着色剤、或いはガラス繊維、ケイ素系繊維等の補強材が適宜含まれても良い。
【0015】
本発明の複合多孔質フィルムの基材用多孔質層を製造する方法としては、ポリプロピレンの単層多孔フィルムを製造する特開平2−75151号公報等の公知の方法がある。溶融押出方法はTダイによる溶融押出成形法、インフレーション法等により行われる。例えばフィルムをTダイにより溶融成形する場合、一般に樹脂の溶融温度より20〜60℃高い温度で、ドラフト比10〜1000、好ましくは100〜500のドラフト比で行われ、また引取速度は特に限定されないが通常10〜100m/分で成形される。
【0016】
溶融押出しされたポリプロピレンフィルムは、結晶性及びその配向性を高めるために熱処理される。熱処理温度は、120℃以上150℃以下が好ましく、より好ましくは130℃以上140℃以下である。
【0017】
熱処理されたポリプロピレンフィルムは、その複屈折が15×10-3〜25×10-3、好ましくは17×10-3〜23×10-3で、100%伸長時の弾性回復率が80〜94%、好ましくは84〜92%の範囲にあるのがよい。
複屈折がこれらの範囲をはずれると、延伸しても多孔化が十分にできないので適当ではなく、また弾性回復率が上記範囲をはずれた場合も多孔化の程度が十分でなくなり、延伸後の多孔質フィルムの孔径や孔径分布、空孔率、機械的強度等に影響し品質にバラツキが生じ易くなる。
【0018】
本発明において、複屈折は偏光顕微鏡を使用し、直交ニコル下でベレックコンペンセータを用いて測定された値である。
また、弾性回復率は、次の式(1)による。
なお、ポリプロピレンフィルムは、25℃、65%相対湿度において試料幅10mm、長さ50mmで引張試験機にセットし50mm/minの速度で100%まで伸長した後、直ちに同速度で弛緩させたものを測定した。
【0019】
式(1)
弾性回復率(%)=〔(100%伸長時の長さ−100%伸長後荷重0となった時の長さ)/伸長前の長さ〕×100
【0020】
熱処理されたポリプロピレンフィルムは、延伸により多孔化する。延伸は普通には加熱空気循環オーブン中で行われる。延伸温度は70〜140℃、特に100〜135℃が好ましく、この範囲を外れると十分に多孔化されないので適当でない。延伸の倍率は、100〜400%の範囲である。延伸倍率が低すぎると、透気度が高く、また高すぎると透気度が低くなりすぎるので上記範囲が好適である。
本発明において延伸倍率(E1)は次の式(2)に従う。式(2)のL1は延伸後のフィルム寸法を意味し、L0は延伸前のフィルム寸法を意味する。
【0021】
式(2) E1=〔(L1−L0)/L0]〕×100
【0022】
本発明において、基材用多孔質層は延伸をした後、延伸温度と同じ温度で熱固定する。熱固定は、延伸時に作用した応力残留によるフィルムの延伸方向への収縮を防ぐために予め延伸後のフィルム長さが10〜50%減少する程度熱収縮させる方法や、延伸方向の寸法が変化しないように規制して加熱する方法等で行われる。この熱固定によって寸法安定性のよい多孔質フィルムを得ることができる。このような方法により得られた多孔質フィルムの膜厚は5〜50μm、空孔率は30〜80%、極大孔径は0.02〜5μm、透気度(ガーレー値)は30〜500秒/100ccとするのが好ましい。
【0023】
延伸法によって多孔化された基材用多孔質層は、次いで抽出法による多孔質層の導入によって複合化される。抽出法による多孔質層に使用されるポリエチレンとしては、中密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンが好ましく、ポリエチレンの融点は、105℃以上125℃以下、好ましくは110℃以上120℃以下のものが電池用セパレータとしてヒューズ機能に優れるので好ましい。ポリエチレンの分子量は、5万以上、より好ましくは8万以上のものが好適である。
【0024】
多孔質フィルムの複合化は、前記延伸法によって製造した基材用多孔質層に、該ポリエチレンを有機溶剤に溶解した粘性溶液を導入することで行われる。導入された粘性液体は、その後、有機溶剤の抽出によって多孔化され複合多孔質フィルムが得られる。抽出法によって既に多孔化されたポリエチレン多孔質膜を、延伸法によって多孔化されたポリプロピレン多孔質膜に熱圧着等の方法で張り合せようとすると、多孔質膜間の密着性が悪いだけでなく、ポリエチレン多孔質膜の孔構造が損なわれるので適当でない。
【0025】
抽出法による多孔質層に使用されるポリエチレンは、デカン、ドデカン等の炭化水素、デカノール、ドデカノール等のアルコール類、流動パラフィン、パラフィンワックス、プロセスオイル等の鉱油、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジシクロヘキシル等のフタル酸エステル類、セバシン酸ジオクチル等のセバシン酸エステル類等の有機溶剤に溶解して粘性液体とされる。ポリエチレンを有機溶剤に溶解する方法としては、連続的に混練機中で溶解させる方法、バッチ式にオートクレーブ中で加熱撹拌して溶解する方法等がある。
【0026】
ポリエチレンと有機溶剤の混合比は、セパレータの構成によっても異なるが、前記粘性液体中に占めるポリエチレンの割合が5〜60重量%、好ましくは15〜40重量%である。ポリエチレンの割合が5重量%より小さいと、抽出法によって導入する多孔質層の空孔率が大きくなりすぎるため適当でなく、ポリエチレンの割合が60重量%より大きいと、粘性液体を基材用多孔質層に塗布或いは含浸することが困難となる。
【0027】
延伸法により多孔質化された基材用多孔質フィルム層の層間、層上及び層中から選ばれる少なくとも1種の層構成となるように、ポリエチレンを有機溶剤に溶解した粘性溶液が導入される。粘性液体を導入する方法としては、該粘性液体をTダイから押出して冷却固化したシート状ポリエチレン組成物を基材用多孔質層間に挟み込んで熱溶着する方法、該粘性液体をスプレー法或いはドクターブレード法を用いて基材用多孔質層上に薄くコーティングする方法、該粘性液体中に基材用多孔質層を浸して脱気し、基材用多孔質膜の細孔中に粘性液体を含浸する方法等がある。
【0028】
熱溶着、塗布或いは含浸された前記粘性液体は、抽出溶媒を用いて有機溶剤を抽出することで多孔化される。有機溶剤の抽出はポリエチレンの融点よりも10℃以下、好ましくはポリエチレンの融点よりも20℃以下の温度で行われる。抽出溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジメチルクロライド、1,1,1−トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素等が用いられる。有機溶剤抽出後の複合多孔質フィルムは、ポリエチレンの融点以下の温度で乾燥、熱固定される。
【0029】
このようにして得られた複合多孔質フィルムは、延伸法による基材用多孔質層で抽出法によるポリエチレン多孔質層を挟み込んだ複合多孔質フィルム、延伸法による基材用多孔質層の表裏面に抽出法によるポリエチレン多孔質層を塗布した複合多孔質フィルム、延伸法による基材用多孔質層の細孔中にポリエチレン多孔質層を包含した複合多孔質フィルムから選ばれる少なくとも1種の層構成を有していれば良い。
但し、複合多孔質フィルムの製造の面を考慮すると、ポリエチレンを有機溶剤に溶解した粘性溶液を延伸法により多孔質化された基材用多孔質層間に挟み込んだ層構成が、基材用多孔質層の表裏面に粘性溶液を塗布する方法よりも厚みムラが小さく、特性のばらつきの小さい複合多孔質フィルムが得られ、且つ、表層の基材用多孔質層が該粘性溶液から有機溶剤を抽出して多孔化する際の溶剤抽出速度調整材として働くので、孔径の制御を容易に行なうことができることから特に好ましい。
これらの複合多孔質フィルムを構成するポリエチレン多孔質層は、製造過程において延伸という工程を経ない点で、従来の抽出法による多孔質膜とは異なる。
【0030】
複合多孔質フィルムの膜厚は10〜100μm、好ましくは20〜50μm、空孔率は30〜80%、好ましくは35〜60%、極大孔径は0.02〜5μm、好ましくは0.05〜0.80μm、透気度(ガーレー値)は50〜1000秒/100ccとするのがよい。空孔率が低すぎると電池用セパレータとして使用したときの機能が十分でなく、また大きすぎると機械的強度が低下する。また、極大孔径が小さすぎると、電池用セパレータとして使用したときイオンの移動性が悪くなり、極大孔径が大きすぎるとイオン移動が大きすぎるので不適当である。さらに、透気度が小さすぎるとヒューズ機能が低下し、透気度が大きすぎると電池用セパレータとして使用したときイオンの移動性が悪くなるので不適当である。
【0031】
本発明の複合多孔質フィルムは、延伸法により製造された基材用多孔質層に、抽出法による多孔質層を導入することで、電池用セパレータとして使用した際の信頼性並びに電池異常時のヒューズ機能の改良を行っている。
本発明の複合多孔質フィルムの製造方法は、延伸法による多孔質層を基材として用いることで、抽出法による多孔質層を簡便なプロセスで取入れることを可能とした。
【0032】
【実施例】
次に実施例及び比較例を示し、本発明の多孔質フィルムについて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】
実施例1
数平均分子量70000、ペンタッド分率94.3%、結晶化温度112℃のポリプロピレンに密度0.964、融点132℃の高密度ポリエチレン(三井化学株式会社製 ハイゼックス5202B)を3重量%配合し、吐出幅400mm、吐出リップ開度2mmのTダイを使用して溶融押出しした。
吐出フィルムは、80℃の冷却ロールに導かれ、25℃の冷風が吹きつけられて冷却された後、50m/minで引取られた。
得られたポリプロピレン組成物フィルムの膜厚は12μmであった。
この未延伸ポリプロピレンフィルムは、引取り方向を固定された状態で、140℃に30分間熱処理した後、室温まで冷却した。
熱処理された未延伸ポリプロピレンフィルムの複屈折は、22.4×10-3、100%延伸時の弾性回復率は92%であった
【0034】
熱処理された未延伸ポリプロピレン組成物フィルムは、恒温槽を装着したテンシロン万能試験機(オリエンテック株式会社製 RTA−500)を用いて、125℃で総延伸量180%になるまで延伸し、次いで65%緩和させ、1分間熱固定して基材用多孔質フィルムとした。
【0035】
密度0.930、融点122℃の直鎖低密度ポリエチレンを150℃のn−ドデカノールに30重量%の濃度で溶解した後、厚さ15μmのシート状に圧縮成形した。このシート状ポリエチレン組成物を基材用多孔質フィルムで挟み込み、120℃で熱溶着して複合化を行った。複合フィルムは、室温まで冷却した後、抽出溶媒としてアセトンを用いてn−ドデカノールを抽出し、多孔質化を行った。複合多孔質フィルムの膜厚は35μmであった。
【0036】
得られた多孔質フィルムのガーレー値、熱閉塞温度及び幅方向熱収縮率の測定結果を表1に、電気抵抗の温度依存性を図1に示す。
上記評価の方法は以下に従って行った
1)ガーレー値
JIS P8117に準じて測定した。
測定装置としてB型ガーレーデンソメーター(東洋精機社製)を使用した。試料片を直径28.6mm、面積645mm2の円孔に締付ける。内筒重量567gにより、筒内の空気を試験円孔部から筒外へ通過させる。空気100ccが通過する時間を測定し、透気度(ガーレー値)とした。
2)熱閉塞温度及び電気抵抗の温度依存性
自製の電気抵抗測定用セル(図2)を用いて、熱閉塞温度を測定した。試料は、ジメトキシエタン/プロピレンカーボネートの1:1(vol/vol)混合液に過塩素酸リチウムを溶解して1M/Lに調製した非水電解液に浸して脱気し、該非水電解液を微多孔中に含ませた。この試料をニッケル製電極間に挟み込み、測定用セル内にセットして、オーブン中で10℃/minの速度で昇温を行った。電極間の電気抵抗は日置電気(株)製3520 LCR HiTESTERを用いて測定した。測定は室温から行い、抵抗値が測定開始時の100倍以上になる温度を熱閉塞温度とした。
3)熱収縮率
初期長200mmに目盛りを記した試料を、無拘束状態で105℃に設定したオーブン中で8時間静置し、取出した後の寸法を測定した。熱収縮率は次の式(3)に従う。式(3)のL3はオーブンから取出した後のフィルムの幅方向の寸法を意味し、L2は初期のフィルムの幅方向の寸法を意味する。
(式3) 熱収縮率=〔(L3−L2)/L2〕×100
【0037】
比較例1
吐出幅400mm、吐出リップ開度2mmのTダイを使用し、数平均分子量70000、ペンタッド分率94.3%、結晶化温度112℃のポリプロピレンを溶融押出しした。
吐出フィルムは、80℃の冷却ロールに導かれ、25℃の冷風が吹きつけられて冷却された後、50m/minで引取られた。
吐出幅400mm、吐出リップ開度2mmのTダイを使用し、密度0.964、メルトインデックス0.33、融点132℃の高密度ポリエチレン(三井化学株式会社製 ハイゼックス5202B)を溶融押出した。
吐出フィルムは、125℃の冷却ロールに導かれ、25℃の冷風が吹きつけられて冷却された後、10m/minで引取られた。
【0038】
これらの未延伸フィルムは、引取り方向を固定された状態で、熱風循環オーブン中にて熱処理された。次いで熱処理されたフィルムは、ポリプロピレンを表面層に、ポリエチレンを中間層に配した3層構成に熱圧着により積層された。積層未延伸フィルムは、35℃に保持されたニップロール間で25%低温延伸された後、120℃に加熱された熱風循環オーブン中でロール周速差を利用して総延伸量180%まで高温延伸され、さらに25%緩和させて熱固定することで積層多孔質フィルムを得た。
得られた多孔質フィルムのガーレー値、熱閉塞温度及び幅方向熱収縮率の測定結果を表1に、電気抵抗の温度依存性を図1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004120116
【0040】
【発明の効果】
本発明の電池用セパレータは、延伸法による基材用多孔質層に抽出法による多孔質層を導入することで、使用時の信頼性及び安全性が高く、しかもヒューズ機能に優れた複合多孔質フィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電気抵抗の温度依存性を示す図である。
【図2】 電気抵抗の温度依存性を測定するための電気抵抗測定用セルである。
【符号の説明】
1:トップケース(アルミニウム製)
2:トップ集電体(ステンレス製)
3:トップ電極(ニッケル製)
4:ボトム電極(ニッケル製)
5:ボトム集電体(ステンレス製)
6:ボトムケース(テフロン製)
7:スペーサ(テフロン製)
8:セパレータ(試料)
9:六角穴付きボルト
10:蝶ナット
11:カラー(黄銅)
12:スプリング(SUS)

Claims (7)

  1. 多数の貫通微細孔を有する複合多孔質フィルムであって、該複合多孔質フィルムが延伸法により製造された多孔質フィルムを基材とし、該基材とポリエチレンを有機溶媒に溶解した粘性溶液とを接触させて得られてなることを特徴とする複合多孔質フィルム。
  2. 基材用多孔質フィルムが0.1〜20重量%のポリエチレンを配合したポリプロピレン多孔質膜である請求項1記載の複合多孔質フィルム。
  3. 基材と接触させる粘性溶液中のポリエチレンが、融点105〜125℃のポリエチレンである請求項1記載の複合多孔質フィルム。
  4. 多数の貫通微細孔を有する複合多孔質フィルムの製造方法であって、延伸法により製造された多孔質フィルムを基材とし、該基材用多孔質フィルム層の層間、層上及び層中から選ばれる少なくとも1種の層構成となるように、ポリエチレンを有機溶剤に溶解した粘性溶液を導入した後、有機溶剤を除去することを特徴とする複合多孔質フィルムの製造方法。
  5. 基材用多孔質フィルムが0.1〜20重量%のポリエチレンを配合したポリプロピレン多孔質膜である請求項4記載の複合多孔質フィルムの製造方法。
  6. 基材と接触させる粘性溶液中のポリエチレンが、融点105〜125℃のポリエチレンである請求項4記載の複合多孔質フィルムの製造方法。
  7. 請求項1〜6記載の複合多孔質フィルムからなる電池用セパレータ。
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