JP2000299094A - 多孔質フィルム積層体及びそれを用いた電池用セパレータ - Google Patents

多孔質フィルム積層体及びそれを用いた電池用セパレータ

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JP2000299094A
JP2000299094A JP11106677A JP10667799A JP2000299094A JP 2000299094 A JP2000299094 A JP 2000299094A JP 11106677 A JP11106677 A JP 11106677A JP 10667799 A JP10667799 A JP 10667799A JP 2000299094 A JP2000299094 A JP 2000299094A
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stretching
porous film
porous
film laminate
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JP11106677A
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Shotaro Urawa
正太郎 浦和
Tetsuo Akazawa
哲夫 赤澤
Eiji Ueno
英司 植野
Masayuki Kiuchi
政行 木内
Tomoji Nakakita
友二 中北
Hidenori Mitsui
秀則 三井
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Ube Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 リチウム電池等の電池用セパレータとして、
電池組立時や使用時の短絡のない機械的強度に優れ、ガ
ーレー値が小さく、かつ膜幅方向におけるガーレー値の
バラツキの小さな電池用セパレータを提供する。 【解決手段】 非多孔質フィルム積層体を延伸法により
多孔化した多孔質フィルム積層体において、延伸方向と
多孔質フィルム積層体のうち少なくとも1層の配向方向
とが異なっており、且つ延伸後の多孔質フィルムの膜幅
保持率が85%以上である多孔質フィルム積層体、及び
それを用いた電池用セパレータに関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池用セパレータ
や電解コンデンサ用隔膜等として有用な多孔質フィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電池用セパレータや電解コンデン
サ用隔膜等としてポリオレフィン系多孔質フィルムが使
用されている。特に、近年技術の高度化に伴い、リチウ
ム電池等においては高精度、高機能のセパレータが要求
されるようになってきた。
【0003】電池を例にとってみると、近年高エネルギ
ー密度、高起電力、自己放電の少ないリチウム電池のよ
うな非水電解液電池、特にリチウム二次電池が開発、実
用化されている。リチウム電池の負極としては例えば金
属リチウム、リチウムと他の金属との合金、カーボンや
グラファイト等のリチウムイオンを吸着する能力又はイ
ンターカレーションにより吸蔵する能力を有する炭素材
料、リチウムイオンをドーピングした導電性高分子材料
等が知られており、また正極としては例えば(CFXn
で示されるフッ化黒鉛、MnO2、V25、CuO、A
2CrO4、TiO2、LiCoO4、LiMn24等の
金属酸化物や硫化物、塩化物が知られている。このよう
なリチウム二次電池の構成材料であるセパレータの役割
は、正負両極の短絡を防止することにあり、以下のよう
な種々の多孔質フィルムが提案されている。
【0004】ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可
塑性樹脂の単層の多孔質フィルム(特公昭46−401
19号公報、特公昭55−32531号公報、特公昭5
9−37292号公報、特開昭60−23954号公
報、特開平2−75151号公報、米国特許第3679
538号明細書等)。 分子量の異なるポリエチレン混合物やポリエチレンと
ポリプロピレンの混合物を素材とした多孔質フィルム
(特開平2−21559号公報、特開平5−33130
6号公報等)。 支持体に熱可塑性樹脂や不織布を用いた多孔質フィル
ム(特開平3−245457号公報、特開平1−258
358号公報等)。 材質の異なる熱可塑性樹脂の多孔質膜が複数枚積層さ
れた多孔質フィルム積層体(特開昭62−10857号
公報、特開昭63−308866号公報、特開平2−7
7108号公報、特開平5−13062号公報、特公平
3−65776号公報、特開平6−55629号公報、
特開平6−20671号公報、特開平7−307146
号公報等)。 上記多孔質フィルムは、一般に未延伸のフィルムを延伸
により多孔化する延伸法や、抽出可能な充填剤、可塑剤
等を配合した未延伸フィルムから溶媒で充填剤、可塑剤
等を抽出して多孔化し、必要に応じて抽出前または抽出
後に1軸または2軸延伸を施す抽出法で製造されてい
る。
【0005】リチウム電池の極板表面には、しばしば数
μm程度の凹凸が存在する。このため、ポリオレフィン
系多孔質フィルムを電池用セパレータとしてリチウム電
池に組込むと、極板表面の凹凸によってフィルムが損傷
され、短絡に至ることが懸念されている。そこで、機械
的強度の異なる2種類の多孔質フィルムの組み合せによ
るフィルム強度の向上が提案されているが、未だ十分と
は言えず、更に改良の余地がある。
【0006】また、これらの多孔質フィルムの多孔化方
法には大別して延伸法(乾式法)と抽出法(湿式法)と
がある、湿式法は熱可塑性樹脂に充填剤や可塑剤を配合
した樹脂組成物を押出してフィルムを製造し、その後フ
ィルムから充填剤や可塑剤を抽出して多孔化して、多孔
質フィルムを得る方法であるが、この方法では充填剤や
可塑剤の配合や抽出を必要とし、微細で均一な孔径を有
する多孔質フィルムにするためには操作工程が複雑化す
るだけでなく、抽出液の処理等の問題がある。これに対
して延伸法(乾式法)は、熱可塑性樹脂を押出した後に
延伸多孔化する方法で製造される。この延伸法(乾式
法)は全く溶剤を使用しない乾式プロセスであるため極
めて簡便で安全性に優れ且つ低コストのプロセスである
上に、微細で均一な孔径の多孔質フィルムが得られる点
で電池用セパレータの製造方法として湿式法に比較して
優れている。これらの優れた特徴を有する延伸法により
得られた多孔質フィルムを使用した電池用セパレータと
して各種のものが提案されているが、電池用セパレータ
の使用条件が苛酷になるにしたがい、さらに機械的強度
等に優れたセパレータが求められている。
【0007】そこで、例えば特開昭59−12559号
公報には電池用のセパレータとして、方向性のある微細
孔を多数有する少なくとも2枚のフィルムをその微細孔
の方向を直交させて貼り合わせたボタン型電池について
開示されている。しかしながら、同公報では短冊状にフ
ィルムを裁断して配向方向を交差させて貼り合わせて使
用する方法であり、連続したフィルムではないために円
筒型電池や角型電池といった電池には適用が困難であ
り、また、引裂強度等のフィルム特性の面でも未だ十分
ではなく、さらに優れたフィルムが要望されていた。
【0008】前記課題を解決する方法として、特開平8
−236098号公報には、連続する交差層微孔性バッ
テリーセパレータ及びその製造方法について開示されて
いる。しかしながら、同公報の方法では、インフレーシ
ョン法により製造された管状フィルムをつぶして押出し
ロール上に巻きつけた後、延伸多孔化して得られたフィ
ルムをラセン状に切断し、次いで連続した継ぎ目のない
微孔性セパレータを単軸配向が交差するように貼り合わ
せるものである。
【0009】前記公報に開示された微孔性セパレータ
は、微孔性セパレータ同士を貼り合わせる際に加熱・押
圧されるので微細孔の一部が閉塞することがあり、ま
た、インフレーション法により作成した管状のフィルム
をつぶして押出しロール上に巻きつけた後に延伸するた
めにフィルムの両端部に折目が生じ、両端部と中央部と
の間で微細孔の形状にばらつきが生じ易く、セパレータ
の特性面で未だ十分ではなく、さらに優れた連続した継
ぎ目のない多孔質フィルムが望まれている。
【0010】また、特開平10−330520号公報に
は、非多孔膜フィルムの配向方向が平行にならないよう
に加熱一体化した非多孔膜積層フィルムを、一軸延伸し
て多孔質フィルムとする製造方法について開示されてい
る。同公報の方法では、延伸方向と非多孔膜フィルムと
の配向方向を異ならせ、特に機械的強度を改善するため
に延伸方向と配向方向との角度を大きく交差するように
して貼り合わせた後、一軸延伸して多孔質フィルムを製
造するものであり、多孔質フィルムの孔を潰すことがな
いという特徴を有している。
【0011】しかしながら、前記公報に開示されている
非多孔膜積層フィルムを従来から知られているロール式
延伸により一軸延伸する微多孔性セパレータの製造方法
では、配向結晶化した非多孔質フィルムの結晶ラメラ間
の剥離が効率的に行われず、延伸方向に対する直角方向
(幅方向)のフィルム膜幅減少の大きな多孔質フィルム
しか得られない。このため、フィルム膜幅方向における
両端部と中央部との間で微細孔の形状にバラツキが生じ
易く、フィルム幅方向における透気度(ガーレー値)の
バラツキが大きくなると共に、平均的な透気度(ガーレ
ー値)も大きくなり、セパレータの特性面で未だ十分で
はない。そこで、さらにフィルム特性に優れ、かつ連続
して継ぎ目がなく、しかもフィルム膜幅減少が小さい多
孔質フィルムが望まれている。
【0012】本発明の目的は、リチウム電池等の電池用
セパレータとして、電池組立時や使用時の短絡のない機
械的強度に優れ、しかも延伸後の多孔質フィルムの膜幅
保持率が大きいポリオレフィン系多孔質フィルム及びそ
れを用いた電池用セパレータを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、非多孔質フィ
ルム積層体を延伸法により多孔化した多孔質フィルム積
層体において、延伸方向と多孔質フィルム積層体のうち
少なくとも1層の配向方向とが異なっており、且つ延伸
後の多孔質フィルムの膜幅保持率が85%以上であるこ
とを特徴とする多孔質フィルム積層体に関する。また、
本発明は、延伸して得られる多孔質フィルム積層体の配
向方向と延伸方向とのなす角度(θ2)が、延伸後の多
孔質フィルムの膜幅保持率を85%としたときの配向方
向と延伸方向とのなす角度(θ1)以上であることを特
徴とする多孔質フィルム積層体に関する。さらに、本発
明は、少なくとも2層のフィルムの配向方向が交差する
ように積層した後、幅方向の長さを一定としつつ、延伸
して多孔化することを特徴とする多孔質フィルム積層体
の製造方法に関する。また、本発明は、少なくとも2層
のフィルムの配向方向が交差するように積層した後、縦
一軸に延伸した後、一軸延伸時に生じた幅方向のフィル
ム長さ減少を横延伸によって復元することを特徴とする
多孔質フィルム積層体の製造方法に関する。さらにま
た、本発明は、多孔質フィルム積層体を構成要素として
含有する電池用セパレータにおいて、該多孔質フィルム
積層体が前記多孔質フィルム積層体であることを特徴と
する電池用セパレータに関する。本発明において、多孔
質フィルム積層体が非多孔質フィルム積層体の幅方向の
長さを一定としつつ、延伸して得られたものが好まし
い。また、本発明において、多孔質フィルム積層体が非
多孔質フィルム積層体を縦一軸に延伸した後、一軸延伸
時に生じた幅方向のフィルム長さ減少を横延伸によって
復元して得られたものが好ましい。さらに、本発明にお
いて、ガーレー値が5〜600sec/100ccであ
って、引裂強度が1.5kg/cm以上である前記多孔
質フィルム積層体が好ましい。さらにまた、本発明にお
いて、非多孔質フィルム積層体を延伸法により多孔化し
た多孔質フィルム積層体において、多孔質フィルム積層
体のうち少なくとも1層の多孔質フィルムのNz係数が
1.05以上であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明における多孔質フィルムと
しては、ポリオレフィンフィルムが好適に使用され、具
体例としては、例えばポリプロピレン、ポリ4−メチル
ペンテン−1、ポリ3−メチルブテン−1等の高融点ポ
リオレフィンフィルム、或いはポリエチレン、ポリブテ
ン、エチレンプロピレン共重合体等の低融点ポリオレフ
ィンフィルムが挙げられる。好適には高融点ポリオレフ
ィンフィルムとしてはポリプロピレンフィルム、低融点
ポリオレフィンフィルムとしてはポリエチレンフィルム
が使用され、ポリプロピレンは高分子分析ハンドブック
(日本分析化学会集)の記載に基づいて帰属した13C−
NMRスペクトルからピーク高さ法によって算出された
アイソタクチックペンタッド分率(mmmm)が92〜
99%のものが好ましく、またポリエチレンは高密度ポ
リエチレンが好ましいが中密度ポリエチレンでもよい。
高融点ポリオレフィンフィルム及び低融点ポリオレフィ
ンフィルムには、電池用セパレータとしての特性を損わ
ない範囲において、界面活性剤、老化防止剤、可塑剤、
難燃剤、着色剤等の添加剤、或いはガラス繊維、ケイ素
系繊維等の補強材が適宜含まれていてもよい。
【0015】延伸多孔化に供される各フィルムは、Tダ
イ法、インフレーション法、湿式溶液法等それ自体公知
の成形法で成形されるが、本発明において連続する多孔
質フィルム積層体を得るためには、積層される少なくと
も1つのフィルムをインフレーション法により成形する
のがよい。次いで、前記フィルムを積層した後、延伸多
孔化される。延伸多孔化の方法としては、多孔質フィル
ム積層体の幅方向の長さ減少を低減するためには、フィ
ルムの幅方向の両端をチャック、ピンチロール等で固定
しつつ延伸する方法、フィルムを縦一軸に延伸した後、
一軸延伸時に生じた幅方向のフィルム長さ減少を横延伸
によって復元する方法等がある。いずれの方法でも本発
明の多孔質フィルム積層体を製造することができる。な
お、従来から知られているロール式延伸のみの一軸延伸
による製造方法では、延伸後の多孔質フィルム膜幅の減
少が大きくなり、本発明の多孔質フィルム積層体は得ら
れない。そこで、本発明者らは、一軸延伸時の初期ロー
ル間長を出来るだけ短くすることにより、多孔質フィル
ムの膜幅減少を小さくする検討を行った。しかしなが
ら、ロール間長を短くすることにより、延伸工程におけ
るロール段数が増加することになり、生産効率が低下す
ると共に、フィルム表面の平滑性が悪化することとな
り、特性のバラツキが大きくなり、延伸後の多孔質フィ
ルムの膜幅保持率が大きく、特性の優れた多孔質フィル
ムを得ることはできず、しかも、透気度(ガーレー値)
の小さな多孔質フィルムを得ることはできなかった。し
たがって、本発明の多孔質フィルム積層体の製造方法と
しては、前記したように、少なくとも2層のフィルムの
配向方向が交差するように積層した後、幅方向の長さを
一定としつつ、延伸して多孔化する多孔質フィルム積層
体の製造方法、あるいは、少なくとも2層のフィルムの
配向方向が交差するように積層した後、縦一軸に延伸し
た後、一軸延伸時に生じた幅方向のフィルム長さ減少を
横延伸によって復元する多孔質フィルム積層体の製造方
法がよい。
【0016】多孔質フィルム積層体の製造方法の具体例
としては、例えばポリプロピレンフィルムとポリエチレ
ンフィルムとをそれぞれ溶融押し出し積層した後、延伸
多孔化する方法があり、本発明の電池用セパレータを製
造することができる。溶融押出方法はTダイ法、インフ
レーション法等により行われる。例えばフィルムをTダ
イにより溶融成形する場合、一般にそれぞれの樹脂の溶
融温度より20〜100℃高い温度で、ドラフト比10
〜1000、好ましくは50〜500のドラフト比で行
われ、また引取速度は特に限定されないが通常10〜1
00m/分で成形される。
【0017】本発明の多孔質フィルム積層体は、例えば
以下のような方法により製造することができる。 (a) ポリプロピレンフィルムを環状ダイ成形機によ
り溶融押出しして、巻取り方向に配向したチューブ状の
非多孔化フィルムを得た。溶融押出しは、一般に樹脂の
溶融温度より20〜100℃高い温度で、ドラフト比1
0〜1000、好ましくは50〜500のドラフト比で
行われ、また引取速度は特に限定されないが通常10〜
100m/minで成形される。次に、このフィルムを
巻取り方向に対して90°未満、例えば22.5°の角
度で螺旋状にスリットしてロールに巻き取った。 (b) 一方、ポリエチレンフィルムをTダイ成形機に
より溶融押出しして、巻取り方向に高度に配向したフラ
ット状の非多孔化フィルムを得た。 (c) 前記(a)の螺旋状にスリットした第一のフィ
ルムと(b)の第二のフィルムを積層し、新たに(a)の螺
旋状にスリットした第三のフィルムを第二フィルムの上
に積層した3層フィルムを温度100〜150℃、例え
ば130℃、線圧1〜10(kg/cm)、例えば3.
7(kg/cm)の熱ニップロールに0.1〜10(m
/min)、例えば2(m/min)の速度で結合一体
化し、巻き取った。得られた非多孔化フィルム積層体の
巻取り方向に対して、第一フィルムと第三フィルムの配
向方向は、22.5°の角度でそれぞれ巻取り方向に対
して対称位置にあった。
【0018】前記配向方向が交差した非多孔化フィルム
積層体は、非多孔化フィルム積層体の巻取り方向に延伸
され多孔化される。延伸多孔化の方法としては、多孔質
フィルムの幅方向の長さ減少を低減するために、フィル
ムの幅方向の両端をチャック、ピンチロール等で固定し
つつ延伸する方法、フィルムを縦一軸に延伸した後、一
軸延伸時に生じた幅方向のフィルム長さ減少を横延伸に
よって復元する方法等がある。いずれの方法でも本発明
の多孔質フィルム積層体を製造することができる。延伸
温度は70〜140℃、特に100〜135℃が好まし
く、この範囲を外れると十分に多孔化されないので適当
でない。延伸の倍率は、100〜400%の範囲が好ま
しい。延伸倍率が低すぎると、ガーレー値が大となり、
また高すぎるとガーレー値が小となりすぎるので上記範
囲が好適である。
【0019】また、例えばポリエチレンフィルムと積層
されたポリプロピレンフィルムを延伸する場合は、延伸
は、低温延伸した後、高温延伸するのが好ましい。低温
延伸する際の温度は、マイナス20℃〜プラス50℃、
特に20〜40℃が好ましい。この延伸温度が低すぎる
と作業中にフィルムの破断が生じ易く、逆に高すぎると
多孔化が不十分になるので好ましくない。低温延伸の倍
率は5〜200%、好ましくは10〜100%の範囲で
ある。延伸倍率が低すぎると、空孔率が小さいものしか
得られず、また高すぎると所定の空孔率と孔径のものが
得られなくなるので上記範囲が適当である。本発明にお
いて低温延伸倍率(E1)は次の式(1)に従う。式
(1)のL1は低温延伸後のフィルム寸法を意味し、L0
は低温延伸前のフィルム寸法を意味する。
【0020】 式(1) E1=[(L1−L0)/L0]×100
【0021】低温延伸したフィルムは、次いで高温延伸
される。高温延伸は普通には加熱空気循環オーブン中で
行われる。高温延伸の温度は70〜140℃、特に10
0〜135℃が好ましい。この範囲を外れると十分に多
孔化されないので適当でない。また高温延伸は低温延伸
の温度より40〜100℃高い温度で行うのが好適であ
る。高温延伸の倍率は100〜400%の範囲が好まし
い。延伸倍率が低すぎると、ガーレー値が大となり、ま
た高すぎるとガーレー値が小となりすぎるので上記範囲
が好適である。本発明において高温延伸倍率(E2)は
次の式(2)に従う。式(2)のL2は高温延伸後のフ
ィルム寸法を意味し、また、L1は低温延伸後のフィル
ム寸法を意味する。
【0022】 式(2) E2=[(L2−L1)/L1]×100
【0023】延伸多孔化工程における多孔質フィルムの
幅方向の長さ減少を低減するためには、非多孔質フィル
ムを加熱空気循環オーブン中で熱処理を行うことが好ま
しく、また、延伸時においては、テンターで固定し、低
温、高温での縦一軸延伸を行う方法、並びに高温延伸で
縦一軸に延伸を行った後に高温横延伸を行う方法があ
る。高温横延伸には、加熱空気循環オーブン中でフィル
ムの幅方向の両端をチャックで固定してテンター方式に
より幅方向に延伸する方法、スパイラルロールを用いて
リード角に従った延伸を行う方法などがある。高温横延
伸の温度は、70〜135℃、特に好ましくは100〜
130℃である。この範囲をはずれると、高温横延伸し
ても空孔率、極大孔径及びガーレー値が改良されないの
で適当でない。
【0024】非多孔化フィルム積層体のうち少なくとも
1層の配向方向が延伸方向と異なっている場合、低温延
伸及び高温延伸によって、多孔質フィルムの幅方向の長
さは、延伸方向と配向方向との角度を大きく交差するよ
うに貼り合わせたものほど著しく減少する。特に、膜幅
保持率が85%より小さい場合は、ガーレー値が大きい
多孔質フィルムとなるため、高温横延伸は必要となる。
高温横延伸の延伸倍率は、この幅方向の長さの減少を適
切に復元する範囲で行うのが好ましい。高温横延伸の延
伸倍率は、5〜80%、より好ましくは10〜60%で
ある。延伸倍率が低すぎると、高温縦延伸時に生じた幅
方向のフィルム長さ減少を復元するに至らず、また高す
ぎるとフィルムの厚みのバラツキが大きくなり、しかも
場合によっては多孔質フィルムの破膜が生じるので、上
記範囲が好適である。本発明において、高温横延伸倍率
(E3)は次の式(3)に従う。式(3)のW2は高温横
延伸後のフィルムの幅方向長さを意味し、W1は低温延
伸及び高温延伸後のフィルムの幅方向の長さを意味す
る。
【0025】 式(3) E3=[(W2−W1)/W1]×100
【0026】本発明において、延伸して得られる多孔質
フィルム積層体の配向方向と延伸方向とのなす角度θ2
は、延伸後の多孔質フィルムの膜幅保持率を85%とし
たときの配向方向と延伸方向とのなす角度θ1以上であ
る。θ2がθ1よりも過度に小さい場合には、延伸後の多
孔質フィルムの膜幅保持率が小さくなり、フィルム膜幅
方向における両端部と中央部との間で微細孔の形状にバ
ラツキが大きくなり、フィルム幅方向におけるガーレー
値のバラツキが大きくなると共に、ガーレー値も大きく
なり、所望の多孔質フィルム積層体が得られない。角度
θ1、角度θ2と延伸倍率および膜幅保持率は次のような
関係にある。0<θ1,θ2<90°でかつ θ2≧θ1
場合tanθ2≧tanθ1 となる。延伸前の非多孔質
フィルム積層体の配向方向と巻取り方向とのなす角度を
θ0とすると、tanθ1とtanθ0の関係は下記式
(4)で表される。
【0027】 式(4) tanθ1=0.85×(1/E4)×tanθ0 ここで、E4=1+[(L2−L0)/L0] ただし、式(4)中、θ0は非多孔質フィルム積層体の
巻取り方向と配向方向とのなす角度を意味し、θ1は延
伸後の多孔質フィルムの膜幅保持率を85%としたとき
の配向方向と延伸方向とのなす角度であり、また、E4
は、延伸倍率による延伸比を意味する。また、L2は高
温延伸後のフィルムの長さを意味し、L0は低温延伸ま
たは高温延伸前のフィルムの長さを意味する。また、非
多孔化フィルム積層体のうち配向方向が延伸方向と異な
るものが複数層存在する場合、それらの層の配向方向は
延伸方向に対して対称位置にあってもまた対象位置にな
くてもよく、配向方向が延伸方向と異なっていればよ
い。
【0028】本発明において、低温延伸と高温延伸をし
た後、高温延伸の温度で熱固定するのが好ましい。熱固
定は、延伸時に作用した応力残留によるフィルムの延伸
方向への収縮を防ぐために予め延伸後のフィルム長さが
10〜50%減少する程度熱収縮させる方法や、延伸方
向の寸法が変化しないように規制して加熱する方法等で
行われる。この熱固定によって寸法安定性のよい所期の
課題を満たすセパレータとすることができる。
【0029】このようにして製造される電池用セパレー
タの多孔質フィルムは、前記製造条件の選択によっても
多少異なるが、空孔率は30〜90%、好ましくは35
〜60%、極大孔径は0.02〜2μm、好ましくは
0.05〜0.5μmである。空孔率が低すぎると電池
用セパレータとして使用したときの機能が十分でなく、
また大きすぎると電池の安全性が悪くなる。また極大孔
径が小さすぎると、電池用セパレータとして使用したと
きイオンの移動性が悪くなり、極大孔径が大きすぎると
イオン移動が大きすぎるので不適当である。
【0030】前記配向方向が交差した非多孔化フィルム
の延伸多孔化は、3層非多孔質フィルム積層体の場合、
70〜140℃、例えば120℃で30分間熱処理後、
室温(25℃)にて40〜400%/minの歪速度で
5〜200%、例えば25%低温延伸(初期延伸)す
る。次に70〜140℃、例えば120℃で数分間保持
した後、100〜400%、例えば150%高温延伸
し、数分間熱固定することにより多孔質フィルム化する
のが好ましい。
【0031】本発明における多孔質フィルム積層体にお
いて、ガーレー値が過度に小さいと微細孔が使用時に閉
塞しやすく、過度に大きいとフィルム強度が低下するの
で、ガーレー値が5〜600sec/100ccとする
のが好ましい。また、多孔質フィルム積層体において、
引裂強度が過度に小さいと電池製造時や電池使用時の落
下等にフィルムの破損が生じやすいので、引裂強度は
1.5kg/cm以上であることが好ましい。また、本
発明において多孔質フィルム積層体のうち少なくとも1
層の多孔質フィルムのNz係数が1.05より大である
場合には、引裂強度が大きくなるのでよい。なお、Nz
係数の測定方法については後述する。
【0032】
【実施例】以下に実施例及び比較例を示し、本発明の多
孔質フィルム積層体について更に詳細に説明するが、本
発明はこれらに限定されるものではない。
【0033】実施例1 (a)MFR 1(g/10min)のホモポリプロピ
レン((株)グランドポリマー製:B101)100重
量部とMFR 1.8(g/10min)、エチレン含
量12.5%のエチレン・プロピレンブロックコポリマ
ー(日本ポリケム(株)製:BC8)43重量部とをブレ
ンドし、環状ダイ成形機により溶融押出しして、厚み1
2μmの巻取り方向に配向したチューブ状の非多孔化フ
ィルムを得た。このフィルムの複屈折Δnは、14×1
-3、弾性回復率ERは、63%であった。次に、この
フィルムを巻取り方向に対してそれぞれ15°、22.
5°、30°の角度で螺旋状にスリットした。 (b)MI 0.3(g/10min)、融点133
℃、Mw3.8×105、Mw/Mn18(GPCによ
る測定)の高密度ポリエチレン(三井化学(株)製:52
02B)をTダイ成形機により溶融押出しして、厚み8
μmの巻取り方向に高度に配向したフラット状の非多孔
化フィルムを得た。このフィルムの複屈折Δnは、37
×10-3、弾性回復率ERは、37%であった。 (c)(a)の螺旋状にスリットした第一のフィルムと
(b)の第二のフィルムを積層し、新たに(a)の螺旋
状にスリットした第三のフィルムを第二のフィルムの上
に積層した3層フィルムを温度130℃、線圧3.7
(kg/cm)の熱ニップロールに2(m/min)の
速度で結合一体化し、巻き取った。この非多孔化フィル
ム3層積層体の巻取り方向に対して、第一のフィルムと
第三のフィルムの配向方向は、それぞれ15°、22.
5°、30°の角度でそれぞれ巻取り方向に対して対称
位置にあった。すなわち、第一のフィルムと第三のフィ
ルムとの積層交差角度は、30°、45°、60°であ
った。 (d)非多孔化フィルム3層積層体を120℃で30分
間熱処理後、チャック間距離100mmで室温(25
℃)にて延伸方向(MD)に対して幅方向(TD)拘束
の条件下で20(mm/min)の速度で25%初期延
伸する。次に120℃で3分間保持した後、上記同様に
TD方向拘束の条件下で20(mm/min)の速度
で、150%まで延伸し、3分間熱固定することにより
微多孔フィルム化した。得られた多孔質フィルム積層体
の膜幅保持率は100%である。 (e)多孔質フィルムの物性値 表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】(f)物性測定方法 ガーレー値 JIS P8117に準拠して測定した。測定装置は、
東洋精機(株)製B型を用い、試験片を直径28.6±
0.1mm、面積645mm2の円孔に装着し、質量5
67±1.0gの荷重をかけて筒内の空気を試験円孔部
から筒外へ通過させる。空気100ccが通過する時間
を測定し、ガ−レー値(透気度)とした。なお、表中、
ガーレー値は幅方向(TD)における幅中央部と両端部
の3点の平均値をガーレー値として求めた。また、各点
のガ−レー値の最大値と最小値との差を求め、表中、ガ
ーレー R 最大−最小として示した。 引裂強度(エルメンドルフ引裂法) JIS K7128B法に準拠して測定した。測定装置
は、東洋精機(株)製エルメンドルフ引裂試験機を用
い、ノッチのある1号試験片を装置に水平に取付けて、
試験片の延伸方向(MD)と幅方向(TD)の引裂強度
を測定した。 加熱収縮率 50mm×50mmの試験片を採取し、延伸方向(M
D)と幅方向(TD)の中央部に十字クロスの線を入
れ、それぞれの長さを鋼尺にて測定する。次に、試験片
を紙に挟み、オーブン(105±5℃)内で2時間加熱
処理後、室温(23±3℃)にて60分間放冷する。放
冷後、十字クロスの長さを測定し、次式により加熱収縮
率を算出した。 加熱収縮率(%)=(LA−LB)/LA×100 LA:加熱前の十字クロス線の長さ(mm) LB:加熱後の十字クロス線の長さ(mm) 非多孔化フィルムの複屈折Δn オリンパス光学工業(株)製偏光顕微鏡にコンペンセー
ター(オリンパス光学工業(株)製U−CTB)を取付
け、試料を顕微鏡にセットし、θA、θBを測定し、次式
より平均値を求めた。 θ=|θA−θB|/2 次に、次式より得られたレタデーション量(Г)から複
屈折Δnを算出した。 Δn=Г/t t;試験片の厚み Г=C×2×|(1−sin2θ/ω21/2−(1−s
in2θ/ε21/2|×(1/ε2−1/ω2) C(コンペンセーター定数):d×ω/2(1/ε2
1/ω2) ω=1.66158,ε=1.48762,d=プリズ
ムの厚み 非多孔化フィルムの弾性回復率(ER) (1)非多孔化ポリプロピレン(PP)フィルムのER
の測定 PPフィルムは、25℃、65%相対湿度において試料
幅10mm×長さ50mmで引張試験機にセットし、5
0mm/minの速度で100%まで伸長した後、直ち
に同速度で弛緩させて次式によりERを求める。 ER=(100%伸長時の長さ(mm)−100%伸長
後荷重0となった時の長さ(mm))/伸長前の長さ
(mm)×100(%) (2)非多孔化ポリエチレン(PE)フィルムのERの
測定 PEフィルムは、25℃、65%相対湿度において試料
幅15mm×長さ2インチで引張試験機にセットし、2
インチ/minの速度で50%まで伸長した後、1分間
伸長状態で保持し、その後同速度で弛緩させて次式より
ERを求める。ER=(50%伸長時の長さ(mm)−
50%伸長後荷重0となった時の長さ(mm))/(5
0%伸長時の長さ(mm)−伸長前の長さ(mm))×
100(%) Nz係数と配向角 王子製紙(株)製の自動複屈折計(型式KOBRA−2
1ADH)を用いて積層多孔フィルムの内、配向方向が
延伸方向と異なるフィルムを剥離した。そのフィルム
は、透過光が乱反射するため、流動パラフィンを塗布し
全体を透明にした後、両面を押さえて余分の流動パラフ
ィンを拭き取り屈折率と配向角を測定した。配向角θ1
は、延伸後の多孔質フィルムの膜幅保持率を85%とし
たときの配向方向と延伸方向を基準(角度0°)とし、
計算により求めた角度であり、配向角θ2は、延伸方向
を基準(角度0°)としてそれと成す角度から求め、N
z係数は、次式より算出した。 Nz=(nx−nz)/(nx−ny) 但し、nx:延伸方向の屈折率 ny:フィルムの幅
方向の屈折率 nz:フィルムの厚み方向の屈折率 Nz=1(ny=nz)一軸配向 Nz>1(ny>nz)二軸配向性が大きくなる。
【0036】実施例2 (a)実施例1(c)の第一のフィルムと第三のフィル
ムの巻取り方向に対して15°の角度を持った非多孔質
フィルム3層積層体を、TD方向に拘束をしない自由の
条件下で、120℃で3分間保持した後、初期チャック
間距離62mmおよび100mmで室温(25℃)にて
20(mm/min)の速度で25%初期延伸する。次
に20(mm/min)の速度で150%まで延伸し、
3分間熱固定することにより微多孔フィルム化した。そ
のもののTD方向の膜幅保持率は79%,72%であっ
た。 (b)前記の多孔フィルムのTD方向をチャックに挟み
かえ、各試料の膜幅減少した分を延伸により復元し、3
分間熱固定した。 (c)多孔質フィルムの物性値 表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】比較例1 (a)実施例1(a)のチューブ状の非多孔化フィルム
を巻取り方向にスリットして第一及び第三のフィルムと
した。 (b)それ以外は実施例1と同様に非多孔化フィルム3
層積層体を調製し、TD方向を実施例1と同様に拘束し
たものと、拘束しない自由の条件化で延伸多孔化し、層
構成PP/PE/PP3層の微多孔フィルムを得た。 (c)多孔質フィルムの物性値表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】比較例2 (a) 実施例1(c)の配向方向15°の非多孔化フ
ィルム3層積層体を120℃で3分間保持した後、TD
方向に拘束をしない自由の条件下で、チャック間距離6
2mm、74mm,100mmで、室温(25℃)にて
20(mm/min)の速度で25%初期延伸する。次
に120℃で3分間保持した後、150%まで延伸し、
3分間熱固定することにより微多孔フィルム化した。 (b)多孔質フィルムの物性値 表4に示す。
【0041】
【表4】 比較例3 (a) 実施例1(c)の配向方向30°の非多孔化フ
ィルム3層積層体を120℃で3分間保持した後、TD
方向に拘束をしない自由の条件下で、チャック間距離6
2mm、74mm,100mmで、室温(25℃)にて
20(mm/min)の速度で25%初期延伸する。次
に120℃で3分間保持した後、150%まで延伸し、
3分間熱固定することにより微多孔フィルム化した。 (b)多孔質フィルムの物性値 表5に示す。
【0042】
【表5】
【0043】比較例4 (a)実施例1(a)のチューブ状の非多孔化フィルム
をつぶしてフラット状にし温度150℃で30分間熱処
理後、室温(25℃)にてチャック間距離50mm、T
D方向に拘束をしない自由の条件下で非多孔化フィルム
の配向方向に20(mm/min)の速度で25%初期
延伸する。次に、同じ方向に120℃で3分間保持した
後、20(mm/min)の速度で150%まで延伸
し、3分間熱固定することにより微多孔フィルム化し
た。次に、このチューブ状の微多孔膜フィルムを巻取り
方向(延伸方向)に対してそれぞれ15°、22.5
°、30°の角度で螺旋状にスリットした。 (b)実施例1(b)の高密度ポリエチレンフィルムを
温度120℃で30分間熱処理後、室温(25℃)にて
チャック間距離50mm、TD方向に拘束をしない自由
の条件下で非多孔化フィルムの配向方向に20(mm/
min)の速度で25%初期延伸する。次に同じ方向に
120℃で3分間保持した後、20(mm/min)の
速度で150%まで延伸し、3分間熱固定することによ
り微多孔フィルム化した。 (c)(a)の螺旋状にスリットした第一の微多孔フィ
ルムと(b)の第二の微多孔フィルムとを接着剤(アク
リルゴム10%、イソヘキサン54%、ジメチルエーテ
ル36%のスプレー式接着剤)を介して積層し、新たに
接着剤を介して(a)の螺旋状にスリットした第三の微
多孔フィルムを積層した。第一の微多孔フィルムと第三
の微多孔フィルムの配向方向は微多孔化フィルム三層積
層体の延伸方向に対してそれぞれ15°、22.5°、
30°の角度で、それぞれ巻取り方向に対して対称位置
にあった。 (d)多孔質フィルムの物性値 表6に示す。
【0044】
【表6】
【0045】実施例3 (a)MFR4(g/10min)、融点160℃、M
w4.6×105、Mw/Mn10(GPCによる測
定)、のホモポリプロピレン((株)グランドポリマー
製:F104)を環状ダイ成形機により溶融押出しし
て、厚み12.8μmの巻取り方向に配向したチューブ
状の非多孔化フィルムを得た。このフィルムの複屈折Δ
nは、12×10-3、弾性回復率ERは、55%であっ
た。次に、このフィルムを巻取り方向に対して22.5
°の角度で螺旋状にスリットし、第一のフィルムと第三
のフィルムに供した。 (b)第一のフィルムと実施例1(b)のポリエチレン
製非多孔化フィルムの第二のフィルムと第三のフィルム
を順に積層し、実施例1と同じ条件で結合一体化し、巻
き取った。この非多孔化フィルム3層積層体の巻取り方
向に対して、第一のフィルムと第三のフィルムの配向方
向は、22.5°の角度でそれぞれ巻取り方向に対して
対称位置にあった。 (c)非多孔化フィルム3層積層体を120℃で30分
間熱処理後、チャック間距離100mmで室温(25
℃)にてTD方向に拘束した条件下で、20(mm/m
in)の速度で25%初期延伸する。次に120℃で3
分間保持した後、150%まで延伸し、3分間熱固定す
ることにより微多孔フィルム化した。 (d)多孔質フィルムの物性値 表7に示す。
【0046】
【表7】
【0047】比較例5 (a)実施例3(a)のチューブ状の非多孔化フィルム
を巻取り方向にスリットして第一及び第三のフィルムと
した。 (b)それ以外は実施例3と同様に非多孔化フィルム3
層積層体を調製し、TD方向を拘束した条件と拘束しな
い自由の条件下で延伸多孔化し、層構成PP/PE/P
P3層の微多孔フィルムを得た。 (c)多孔質フィルムの物性値 表8に示す。
【0048】
【表8】
【0049】比較例6 (a)実施例3(c)の非多孔化フィルム3層積層体
を、120℃で30分間熱処理後、室温(25℃)にて
チャック間距離100mmのTD方向を拘束しない自由
の条件下で、20(mm/min)の速度で25%初期
延伸する。次に120℃で3分間保持した後、150%
まで延伸し、3分間熱固定することにより層構成PP/
PE/PP3層の微多孔フィルムを得た。 (b)多孔フィルムの物性値 表9に示す。
【0050】
【表9】
【0051】実施例4 (a)実施例1の高密度ポリエチレンを環状ダイ成形機
により溶融押出しして、厚み13μmの巻取り方向に配
向したチューブ状の非多孔化フィルムを得た。このフィ
ルムの複屈折Δnは、32×10-3、弾性回復率ER
は、35%であった。次に、このフィルムを22.5°
の角度で螺旋状にスリットし、第一のフィルム、第三の
フィルムに供した。 (b)実施例2のホモポリプロピレンを用い、Tダイ成
形機により溶融押出しして、厚み12μmの巻取り方向
に配向したフラット状の非多孔化フィルムを得た。この
フィルムの複屈折Δnは、16×10-3、弾性回復率E
Rは、91%であり、このフィルムを第二のフィルムに
供した。 (c)第一のフィルム、第二のフィルムそして第三のフ
ィルムを順に積層し、温度120℃にする以外は、実施
例1と同じ条件で結合一体化し、巻き取った。この非多
孔化フィルム3層積層体の巻取り方向に対して、第一の
フィルムと第三のフィルムの配向方向は、22.5°の
角度で巻取り方向に対して対称位置にあった。 (d)非多孔化フィルム3層積層体を120℃で30分
間熱処理後、室温(25℃)にてチャック間距離100
mmのTD方向に拘束した条件下で、20(mm/mi
n)の速度で25%初期延伸する。次に120℃で3分
間保持した後、150%まで延伸し、3分間熱固定する
ことにより層構成PE/PP/PE3層の微多孔フィル
ムを得た。 (e)多孔質フィルムの物性値 表10に示す。
【0052】
【表10】 比較例7 (a)実施例4(a)のチューブ状の非多孔化フィルム
を巻取り方向にスリットして第一及び第三のフィルムと
した。 (b)それ以外は実施例4と同様に非多孔化フィルム3
層積層体を調製し、TD方向を拘束した条件と拘束しな
い自由の条件化で延伸多孔化し、層構成PE/PP/P
E3層の微多孔フィルムを得た。 (c)多孔質フィルムの物性値 表11に示す。
【0053】
【表11】
【0054】実施例5 (a)実施例4(a)のポリエチレン製非多孔化フィル
ムを巻取り方向に対して45°の角度で螺旋状にスリッ
トし、第二のフィルムに供した。 (b)実施例4(b)のポリプロピレン製非多孔化フィ
ルムを第一のフィルム及び第三のフィルムに供した。 (c)第一のフィルム、第二のフィルム、第三のフィル
ムを積層し、実施例1と同条件で結合一体化し、巻き取
った。この非多孔化フィルム3層積層体の巻取り方向に
対して、第一のフィルムと第二のフィルム及び第二のフ
ィルムと第三のフィルムの配向方向は、45°の角度で
あった。 (d)非多孔化フィルム3層積層体を120℃で30分
間熱処理後、室温(25℃)にてチャック間距離100
mmのTD方向に拘束した条件下で、20(mm/mi
n)の速度で25%初期延伸する。次に120℃で3分
間保持した後、150%まで延伸し、3分間熱固定する
ことにより層構成PP/PE/PP3層の微多孔フィル
ムを得た。 (c)多孔質フィルムの物性値 表12に示す。
【0055】
【表12】
【0056】実施例6 (a)実施例4(a)のポリエチレン製非多孔化フィル
ムを巻取り方向に対して22.5°の角度で螺旋状にス
リットし、第二のフィルムと第三のフィルムに供した。 (b)実施例4(b)のポリプロピレン製非多孔化フィ
ルムを第一のフィルム及び第四のフィルムに供した。 (c)第一のフィルム、第二のフィルム、第三のフィル
ムそして第四のフィルムを積層し、実施例1と同条件で
結合一体化し、巻き取った。この非多孔化フィルム4層
積層体の巻取り方向に対して、第二のフィルムと第三の
フィルムの配向方向は、22.5°の角度で巻取り方向
に対して対称位置にあった。 (d)非多孔化フィルム4層積層体を120℃で30分
間熱処理後、室温(25℃)にてチャック間距離100
mmのTD方向に拘束した条件下で、20(mm/mi
n)の速度で25%初期延伸する。次に120℃で3分
間保持した後、150%まで延伸し、3分間熱固定する
ことにより層構成PP/PE/PE/PP4層の微多孔
フィルムを得た。 (e)多孔質フィルムの物性値 表13に示す。
【0057】
【表13】
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、リチウム電池等の電池
用セパレータとして、電池組立時や使用時の短絡のない
機械的強度に優れ、ガーレー値が小さく、かつ膜幅方向
におけるガーレー値のバラツキの小さな電池用セパレー
タを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木内 政行 山口県宇部市西本町1−12−32 宇部興産 株式会社高分子研究所内 (72)発明者 中北 友二 山口県宇部市西本町1−12−32 宇部興産 株式会社高分子研究所内 (72)発明者 三井 秀則 山口県宇部市西本町1−12−32 宇部興産 株式会社高分子研究所内 Fターム(参考) 4F071 AA15X AA20 AA20X AA75 AF08Y AF16Y AF31 AF35Y BB07 BC01 BC12 BC17 5H021 BB05 CC00 CC04 HH00 HH01 HH06 HH10

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非多孔質フィルム積層体を延伸法により
    多孔化した多孔質フィルム積層体において、延伸方向と
    多孔質フィルム積層体のうち少なくとも1層の配向方向
    とが異なっており、且つ延伸後の多孔質フィルムの膜幅
    保持率が85%以上であることを特徴とする多孔質フィ
    ルム積層体。
  2. 【請求項2】 延伸して得られる多孔質フィルム積層体
    の配向方向と延伸方向とのなす角度(θ2)が、延伸後
    の多孔質フィルムの膜幅保持率を85%としたときの配
    向方向と延伸方向とのなす角度(θ1)以上であること
    を特徴とする多孔質フィルム積層体。
  3. 【請求項3】 多孔質フィルム積層体が非多孔質フィル
    ム積層体の幅方向の長さを一定としつつ、延伸して得ら
    れたものである請求項1または2記載の多孔質フィルム
    積層体。
  4. 【請求項4】 多孔質フィルム積層体が非多孔質フィル
    ム積層体を縦一軸に延伸した後、一軸延伸時に生じた幅
    方向のフィルム長さ減少を横延伸によって復元して得ら
    れたものである請求項1または2記載の多孔質フィルム
    積層体。
  5. 【請求項5】 ガーレー値が5〜600sec/100
    ccであって、引裂強度が1.5kg/cm以上である
    請求項1〜4記載の多孔質フィルム積層体。
  6. 【請求項6】 非多孔質フィルム積層体を延伸法により
    多孔化した多孔質フィルム積層体において、多孔質フィ
    ルム積層体のうち少なくとも1層の多孔質フィルムのN
    z係数が1.05以上であることを特徴とする請求項1
    〜5記載の多孔質フィルム積層体。
  7. 【請求項7】 少なくとも2層のフィルムの配向方向が
    交差するように積層した後、幅方向の長さを一定としつ
    つ、延伸して多孔化することを特徴とする多孔質フィル
    ム積層体の製造方法。
  8. 【請求項8】 少なくとも2層のフィルムの配向方向が
    交差するように積層した後、縦一軸に延伸した後、一軸
    延伸時に生じた幅方向のフィルム長さ減少を横延伸によ
    って復元することを特徴とする多孔質フィルム積層体の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 多孔質フィルム積層体を構成要素として
    含有する電池用セパレータにおいて、該多孔質フィルム
    積層体が請求項1〜6記載の多孔質フィルム積層体であ
    ることを特徴とする電池用セパレータ。
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