JP6988880B2 - ポリオレフィン微多孔膜 - Google Patents
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Description
式:K値(mV/hr)=[V1(mV)−V2(mV)]/24(hr)
上記式中、V1、V2は、それぞれ、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物を含む正極と、負極活物質として人造黒鉛を含む負極と、前記ポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータと、非水電解液と、を備える二次電池を、室温において、0.5Cで3.85Vまで定電流充電し、続いて3.85Vで0.05Cになるまで定電圧充電を行った後、前記二次電池を24時間放置した後の開回路電圧(V1)、及び、前記二次電池を48時間放置した後の開回路電圧(V2)を示す。
本明細書において、ポリオレフィン微多孔膜とは、ポリオレフィンを主成分として含む微多孔膜をいい、例えば、ポリオレフィンを微多孔膜全量に対して90質量%以上含む微多孔膜をいう。以下、本実施形態のポリオレフィン微多孔膜の物性について説明する。
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、K値(mV/hr)と膜厚(μm)とを乗じた値が、0.40mV・μm/hr以下であり、好ましくは0.36mV・μm/hr以下、より好ましくは0.32mV・μm/hr、さらに好ましくは0.28mV・μm/hrである。なお、K値は、「単位時間あたりの開回路電圧の低下量(mV/hr)」(以下、「自己放電量」ともいう。)を示し、以下の式より求めることができる。
式:K値(mV/hr)=[V1(mV)−V2(mV)]/24(hr)
前記式中、V1、V2は、それぞれ、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物を含む正極と、負極活物質として黒鉛を含む負極と、前記ポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータと、非水電解液と、を備える二次電池を、室温(25℃)において、0.5Cで3.85Vまで定電流充電し、続いて3.85Vで0.05Cになるまで定電圧充電を行った後、前記二次電池を24時間放置した後の開回路電圧(V1)、及び、前記二次電池を48時間放置した後の開回路電圧(V2)を示す。
なお、K値と、膜厚とを乗じた値の下限は、特に限定されないが、例えば、0.01mV・μm/hr以上である。
[(V1−V2)/24]×t≦0.40・・・式(1)
0.01≦[(V1−V2)/24]×t≦0.40・・・式(2)
0.01≦[(V1−V2)/24]×t≦0.36・・・式(3)
0.01≦[(V1−V2)/24]×t≦0.32・・・式(4)
0.01≦[(V1−V2)/24]×t≦0.28・・・式(5)。
K値を算出する際に用いることのできる評価用二次電池は、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2を含む正極、負極活物質として黒鉛を含む負極、非水電解液として、1.15モル/リットルのLiPF6を溶解させたエチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)/ジメチルカーボネート(DMC)混合溶液、を用いることができる。上記評価用二次電池は、上記正極、ポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータ、及び、上記負極を積層した後、常法により巻回電極体を作製し、電池缶に挿入し、電解液を含浸させ、封口して、作製する。以下に、評価用電池の製造方法の一例を説明する。
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2、導電材としてアセチレンブラック、及び、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を93.5:4.0:2.5の質量比で混合して、溶媒N−メチルピロリドン(NMP)に混合分散させてスラリーを調製する。このスラリーを正極集電体となる厚さ12μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧延した。圧延後のものを30mm幅にスリットして正極とする。なお、正極における正極活物質の目付は、35.5mg/cm2とする。
負極活物質として人造黒鉛、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスとを98:1:1の質量比となるように、精製水に混合分散させてスラリーを調製する。このスラリーを負極集電体となる厚さ10μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧延した。圧延後のものを33mm幅にスリットして負極とする。なお、負極における負極活物質の目付は、17.7mg/cm2とする。
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジメチルカーボネート=3:5:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.15mol/リットルとなるように溶解させる。さらに、非水電解液100質量%に対して0.5質量%のビニレンカーボネートを添加し、非水電解液を調製する。
上記の正極、ポリオレフィン微多孔膜及び上記の負極を積層した後、扁平状の巻回電極体(高さ2.2mm×幅36mm×奥行29mm)を作製する。この扁平状の巻回電極体の各電極へ、シーラント付タブを溶接し、正極リード、負極リードとした。扁平状の巻回電極体部分をアルミラミネートフィルムで挟み、一部開口部を残してシールし、これを真空オーブンにて80℃で6時間乾燥した後、速やかに非水電解液を0.7mL注液し、真空シーラーでシールし、80℃、1MPaで1時間プレス成型する。続いて、プレス成型により得られた二次電池の充放電を実施した。充放電条件は300mA電流値で、電池電圧4.2Vまで定電流充電した後、電池電圧4.2Vで15mAになるまで定電圧充電を行う。10分の休止後、300mAの電流値で電池電圧3.0Vまで定電流放電を行い、10分休止する。以上の充放電を3サイクル実施し、電池容量300mAhの試験用二次電池を作製する。
単位時間あたりの開回路電圧の低下量(mV/hr)を示すK値は、例えば、ポリオレフィン微多孔膜の膜厚が4μm以上7.5μm以下の範囲である場合、0.1Vm/hr以下とすることができ、好ましくは0.08Vm/hr以下である。また、この場合のK値の下限は、例えば、0.005mV/hr以上である。K値が上記範囲である場合、自己放電特性に優れる。また、よりK値が低いポリオレフィン微多孔膜は、高出力で大容量の二次電池の用途に特に適する。
ポリオレフィン微多孔膜の膜厚の上限は、特に限定されないが、例えば、30μm以下であり、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは7.5μm以下である。膜厚の下限は、特に限定されないが、例えば、1μm以上であり、好ましくは2μm以上である。膜厚が上記範囲である場合、ポリオレフィン微多孔膜を二次電池用セパレータとして使用した場合、電池容量が向上する。また、膜厚が、7.5μm以下である場合、内部抵抗が低減され、レート特性に優れる二次電池を得ることができる。本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、薄膜化した際でも優れた自己放電特性及びレート特性を有する。膜厚は、ポリオレフィン微多孔膜を製造する際の延伸条件などを調節することにより、上記範囲とすることができる。
ポリオレフィン微多孔膜の透気度(ガーレー値)の上限は、200秒/100cm3以下であり、好ましくは180秒/100cm3以下である。また、透気度(ガーレー値)の下限は、例えば、10秒/100cm3以上である。透気度が上記範囲である場合、二次電池用セパレータとして用いた際、イオン透過性に優れ、このセパレータを組み込んだ二次電池は、内部抵抗がより低減され、レート特性に優れる。透気度は、ポリオレフィン微多孔膜を製造する際の延伸条件などを調節することにより、上記範囲とすることができる。
式:P2=P1(秒/100cm3)×5(μm)/膜厚T1(μm)
(ヘーズ値)
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜は、JIS K 7136に準拠して測定されるヘーズ値が好ましくは90%以下である。ポリオレフィン微多孔膜のヘーズ値が、上記範囲である場合、このポリオレフィン微多孔膜をセパレータとして用いた二次電池の自己放電特性が向上する。この理由は特に限定されないが、ヘーズ値が上記範囲である場合、孔構造が微細で均一な微多孔膜となり、セパレータを介した自己放電が抑制されるためと推定される。すなわち、ヘーズ値は、ポリオレフィン微多孔膜の孔構造の均一性及び微細さを評価する指標の一つとして用いることができる。なお、ポリオレフィン微多孔膜のヘーズ値の下限は、例えば、70%以上であり、好ましくは80%以上である。
また、ポリオレフィン微多孔膜は、単位厚み(1μm)あたりの突刺強度が0.45N/μm以上であることが好ましく、0.50N/μm以上であることがより好ましく、0.53N以上であることが更に好ましい。突刺強度が上記範囲である場合、ポリオレフィン微多孔膜を薄膜化した際も膜強度に優れ、このポリオレフィン微多孔膜をセパレータとして用いた二次電池は、電極の短絡の発生及び自己放電が抑制される。また、単位厚み(1μm)あたりの突刺強度の上限は、特に限定されないが、例えば、1.40N/μm以下である。
式:膜厚強度(1μm換算)=測定された突刺強度(N)×1(μm)/膜厚T1(μm)
(平均孔径)
ポリオレフィン微多孔膜の平均孔径(平均流量径)は、好ましくは10nm以上60nm以下であり、より好ましくは15nm以上40nm以下である。平均孔径が上記範囲であるセパレータは、透気度や空孔率の低下が抑制される上に、粗大孔に由来する、脆弱部での自己放電発生が抑制される。電池の容量および出力の向上が期待できる。平均孔径は、パームポロメーターを用いて、Dry−up、Wet−upの順で測定することができる。
ポリオレフィン微多孔膜の空孔率は、特に限定されないが、例えば、10%以上70%以下である。ポリオレフィン微多孔膜を二次電池用セパレータとして用いる場合、ポリオレフィン微多孔膜の空孔率の下限は、好ましくは20%以上であり、より好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上である。空孔率の下限が上記範囲であることにより、電解液の保持量を高め、高いイオン透過性を確保することができる。また、空孔率が上記範囲であることにより、レート特性を向上させることができる。空孔率は、製造過程において、ポリオレフィン樹脂の構成成分の配合割合や延伸倍率、熱固定条件などを調節することにより、上記範囲とできる。
式:空孔率(%)=(w2−w1)/w2×100
(組成)
ポリオレフィン微多孔膜は、ポリオレフィン樹脂を主成分として含む。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを用いることができる。ポリエチレンとしては、特に限定されず、種々のポリエチレンを用いることができ、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が用いられる。なお、ポリエチレンは、エチレンの単独重合体であってもよく、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合体であってもよい。α−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン、酢酸ビニル、メタクリル酸メチル、スチレン等が挙げられる。
ポリオレフィン微多孔膜は、超高分子量ポリエチレンを含まない場合、結晶造核剤を含むことが好ましい。結晶造核剤を含有することにより、高い機械的強度と低いK値を得ることができる。また、ポリオレフィン微多孔膜は、超高分子量ポリエチレン及び結晶造核剤の両方を含んでもよい。両方を含むことにより、突刺強度を向上させ、K値を低下させることができる。
化合物系結晶造核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4−第三ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム及び2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボキシレート等の環状炭化水素カルボン酸金属塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪族カルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4−第三ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート及びリチウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等の、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール及びビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等のアセタール骨格を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、膜強度向上の観点から、芳香族リン酸エステル系金属塩、脂肪族金属塩を用いることが好ましい。
微粒子系結晶造核剤としては、例えば、シリカ、アルミナ等の微粒子系結晶造核剤が挙げられる。
本実施形態のポリオレフィン微多孔膜の重量平均分子量(Mw)は、例えば、7×105以上1.5×106未満程度である。Mwがこの範囲である場合、成形性、機械的強度等に優れる。なお、ポリオレフィン微多孔膜のMwは、ポリオレフィン樹脂の構成成分の配合割合や溶融混錬の条件を適宜調整することにより、上記範囲とすることができる。なお、ポリオレフィン微多孔膜のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される値である。
ポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、上記の特性を有するポリオレフィン微多孔膜が得られれば、特に限定されず、公知のポリオレフィン微多孔膜の製造方法を用いることができる。ポリオレフィン微多孔膜の製造方法としては、例えば、乾式の製膜方法及び湿式の製膜方法が挙げられる。本実施形態のポリオレフィン微多孔膜の製造方法としては、膜の構造及び物性の制御の容易性の観点から湿式の製膜方法が好ましい。湿式の製膜方法としては、例えば、日本国特許第2132327号および日本国特許第3347835号の明細書、国際公開2006/137540号等に記載された方法を用いることができる。
[膜厚]
微多孔膜の95mm×95mmの範囲内における5点の膜厚を接触厚み計(株式会社ミツトヨ製ライトマチック)により測定し、平均値を求めた。
JIS K 7136:2000に準拠して、微多孔膜を3cm×3cmの大きさに切り取って試験片とし、ヘーズメーターNDH5000(日本電工工業社製、光源:白色LED)を用いてヘーズを測定した。
パームポロメーター(PMI社製、CFP−1500A)を用いて、Dry−up、Wet−upの順で測定した。平均孔径(平均流量径)については、Dry−up測定で圧力、流量曲線の1/2の傾きを示す曲線と、Wet−up測定の曲線が交わる点の圧力から孔径を換算した。圧力と孔径の換算は下記の数式を用いた。
d=C・γ/P
上記式中、「d(μm)」は微多孔質膜の孔径、「γ(mN/m)」は液体の表面張力、「P(Pa)」は圧力、「C」は定数とした。
先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1mmの針で、膜厚T1(μm)の微多孔質膜を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重L1(N)を測定した。また、単位厚み(1μm)あたりの突刺強度L2(N)を下記式により算出した。
式:L2=L1/T1
[透気度(透気抵抗度;ガーレー値)]
膜厚T1(μm)の微多孔膜に対して、JIS P−8117に準拠して、透気度計(旭精工株式会社製、EGO−1T)で測定した透気抵抗度P1(sec/100cm3)を測定した。
得られたポリオレフィン微多孔膜の重量平均分子量(Mw)は以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
・測定装置:Waters Corporation製GPC−150C
・カラム:昭和電工株式会社製Shodex UT806M
・カラム温度:135℃
・溶媒(移動相):o−ジクロルベンゼン
・溶媒流速:1.0 ml/分
・試料濃度:0.1 wt%(溶解条件:135℃/1h)
・インジェクション量:500μl
・検出器:Waters Corporation製ディファレンシャルリフラクトメーター(RI検出器)
・検量線:単分散ポリスチレン標準試料を用いて得られた検量線から、ポリエチレン換算定数(0.468)を用いて作成した。
下記の(評価用電池の作製方法)にて組み立てた試験用二次電池0.5Cの電流値で電池電圧3.85Vまで定電流充電した後、電池電圧3.85Vで0.05Cになるまで定電圧充電を行った。この電池を24時間放置した後の開回路電圧を計測し、この値をV1とした。この電池について、さらに24時間放置、つまり充電後計48時間放置した後の開回路電圧を計測し、この値をV2とした。得られたV1、V2の値からK値を下記の式により算出した。
式:K値=(V1−V2)/24
[評価用電池の作製方法]
評価に用いた電池(評価用電池)は、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2、負極活物質として黒鉛、電解液としてEC/EMC/DMCの混合溶媒に調製した1mol/LのLiPF6を使用し、正極、ポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータ、及び、負極を積層した後、常法により巻回電極体を作製し、電池缶に挿入し、電解液を含浸させ、封口して、作製した。以下に、評価用電池の製造方法の詳細を説明する。
正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2、導電材としてアセチレンブラック、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを93.5:4.0:2.5の質量比で混合して、溶媒N−メチルピロリドン(NMP)に混合分散させてスラリーを調製した。このスラリーを正極集電体となる厚さ12μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧延した。圧延後のものを30mm幅にスリットして正極とした。
負極活物質として人造黒鉛、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスとを98:1:1の質量比となるように、精製水に混合分散させてスラリーを調製した。このスラリーを負極集電体となる厚さ10μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧延した。圧延後のものを33mm幅にスリットして負極とした。
エチレンカーボネート:エチルメチルカーボネート:ジメチルカーボネート=3:5:2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.15mol/リットルとなるように溶解させた。さらに、非水電解液100質量%に対して0.5質量%のビニレンカーボネートを添加し、非水電解液を調製した。
上記の正極、ポリオレフィン微多孔膜及び上記の負極を積層した後、扁平状の巻回電極体(高さ2.2mm×幅36mm×奥行29mm)を作製した。この扁平状の巻回電極体の各電極へ、シーラント付タブを溶接し、正極リード、負極リードとした。扁平状の巻回電極体部分をアルミラミネートフィルムで挟み、一部開口部を残してシールし、これを真空オーブンにて80℃で6時間乾燥、乾燥後は速やかに電解液を0.7mL注液し、真空シーラーでシールし、80℃、1MPaで1時間プレス成型した。続いて、充放電を実施した。充放電条件は300mA電流値で、電池電圧4.2Vまで定電流充電した後、電池電圧4.2Vで15mAになるまで定電圧充電を行った。10分の休止後、300mAの電流値で電池電圧3.0Vまで定電流放電を行い、10分休止した。以上の充放電を3サイクル実施し、電池容量300mAhの試験用二次電池を作製した。
表1に示す組成で、ポリオレフィン樹脂[Mwが2.0×106の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)およびMwが6.0×105の高密度ポリエチレン(HDPE)]25質量部と流動パラフィン75重量部とを二軸押出機にて、溶融混練し、ポリオレフィン溶液を調製した。ポリオレフィン溶液を、二軸押出機からTダイに供給し、押し出した。押出し成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。ゲル状シートを、テンター延伸機により110℃でMD方向及びTD方向ともに5倍で同時二軸延伸(湿式延伸)した。延伸ゲル状シートを20cm×20cmのアルミニウム枠板に固定し、25℃に温調した塩化メチレン浴中に浸漬し、100rpmで3分間揺動しながら流動パラフィンを除去し、室温で風乾し、乾燥膜を得た。乾燥膜を、バッチ式延伸機を用いて、126℃で表1に記載の乾式延伸倍率にてMD方向、TD方向に乾式延伸した。次に、この膜をテンター法により、126℃で8%収縮させながら熱緩和処理を行った。得られたポリオレフィン微多孔質膜の製造条件、評価結果等を表1に記載した。なお、表1中、総面倍率は、湿式延伸前のゲル状シートを基準として、乾式延伸後(熱固定処理前)のポリオレフィン微多孔膜の面積延伸倍率を示す。
表1に示す組成でポリオレフィン樹脂と流動パラフィンとを二軸押出機にて、溶融混練し、表1に示す製造条件でポリオレフィン微多孔膜の製造を行った。得られたポリオレフィン微多孔質膜の評価結果等を表1に記載した。
実施例のポリオレフィン微多孔膜は、K値と膜厚とを乗じた値が0.40以下であり、かつ、透気度が200秒/100cm3以下であるため、自己放電特性及びレート特性との両方に優れることが示された。
Claims (4)
- 下記式で求められるK値(mV/hr)と膜厚(μm)とを乗じた値が、0.40mV・μm/hr以下であり、かつ、透気度が200秒/100cm3以下であり、
前記膜厚が2μm以上10μm以下であるポリオレフィン微多孔膜。
式:K値(mV/hr)=[V1(mV)−V2(mV)]/24(hr)
(前記式中、V1、V2は、それぞれ、正極活物質としてリチウムコバルト複合酸化物を含む正極と、負極活物質として黒鉛を含む負極と、前記ポリオレフィン微多孔膜からなるセパレータと、非水電解液と、を備える二次電池を、室温において、0.5Cで3.85Vまで定電流充電し、続いて3.85Vで0.05Cになるまで定電圧充電を行った後、前記二次電池を24時間放置した後の開回路電圧(V1)、及び、前記二次電池を48時間放置した後の開回路電圧(V2)を示す。) - 前記膜厚が7.5μm以下である請求項1に記載のポリオレフィン微多孔膜。
- 単位厚みあたりの突刺強度が0.45N/μm以上である請求項1又は2に記載のポリオレフィン微多孔膜。
- 高密度ポリエチレンを50重量%以上含む請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のポリオレフィン微多孔膜。
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