JP7283080B2 - ポリオレフィン製微多孔膜、電池用セパレータおよび二次電池 - Google Patents
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Description
また、特許文献2や特許文献3のように、微多孔膜の高強度化のため、結晶核剤を添加する提案も多くなされている。その中で結晶核剤を添加した微多孔膜は、高強度化および耐電圧特性向上の効果が得られているものの、熱収縮、特に高温下の溶融熱収縮特性との両立は不十分な場合があった。
(1)126℃での半結晶化時間T1/2が200秒以下であり、50%空孔率および膜厚20μm換算における突刺強度が6.0N/20μm以上であり、溶融熱収縮応力のMD方向をPMD、TD方向をPTDとしたとき、少なくとも一方が0.8MPa以下であり、PMDとPTDの和であるPMD+TDが1.5MPa以下であることを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜。
(2)ポロメーターより観測される最大孔径が45nm以下であり、平均流量孔径/最大孔径の比が0.6以上であることを特徴とする前記(1)記載のポリオレフィン製微多孔膜。
(3)DSCより観測される141℃以上融解ピーク面積割合が25%以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
(4)空孔率が30%以上であることを特徴とする前記(1)~(3)のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
(5)MD+TD引張破断強度が350MPa以上であることを特徴とする前記(1)~(4)のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
(6)ポリエチレンを主成分としてなることを特徴とする前記(1)~(5)のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
(7)膜厚20μm換算における透気抵抗度が50~600sec/100ccであることを特徴とする前記(1)~(6)のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
(8)結晶核剤を含むことを特徴とする前記(1)~(7)のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
(9)ポリオレフィン製微多孔膜中の重量平均分子量1.0×106以上のポリエチレン含有割合が25質量%以下であることを特徴とする前記(1)~(8)のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜。
(10)前記(1)~(9)のいずれかに記載のポリオレフィン製微多孔膜からなる電池用セパレータ。
(11)前記(10)に記載のセパレータを用いた二次電池。
以下に本発明を詳述する。本発明の実施形態にかかるポリオレフィン製微多孔膜は、126℃半結晶化時間T1/2が200秒以下であり、50%空孔率および膜厚20μm換算における突刺強度が6.0N/20μm以上であり、溶融熱収縮応力のMD方向をPMD、TD方向をPTDとしたとき少なくとも一方が0.8MPa以下であり、PMDとPTDの和であるPMD+TDが1.5MPa以下である。
ポリオレフィン製微多孔膜における126℃半結晶化時間T1/2は、200秒以下であり、好ましくは180秒以下であり、さらに好ましくは165秒以下である。126℃半結晶化時間T1/2が200秒を超えると、結晶化の際、結晶構造が不均一化し、ポリオレフィン製微多孔膜への負荷に対する応力分散の効率が下がるため、機械的強度が低いポリオレフィン製微多孔膜となりやすい。126℃半結晶化時間T1/2の下限は、特に限定されないが、1秒以上であることが好ましく、10秒以上であることがより好ましい。
126℃半結晶化時間T1/2が1秒を下回るには、結晶核剤等を過剰に添加する必要があり、その結果、経済性および、膜物性、生産性に悪影響を及ぼす懸念があるため好ましくない。126℃半結晶化時間T1/2は結晶核剤の添加等により制御可能であり、制御方法の詳細は後述する。
ここで、50%空孔率および膜厚20μm換算における突刺強度とは、ポリオレフィン製微多孔膜の空孔率が50%のポリオレフィン製微多孔膜の膜厚を20μmに換算した際の突刺強度をいう(以下、50%空孔率および膜厚20μm換算突刺強度と略記する場合がある。)。
50%空孔率および膜厚20μm換算における突刺強度は、高ければよりよいとされるが、ポリオレフィン製微多孔膜の限界強度を考慮すると本発明の実施形態にかかる微多孔膜の上限値は30N/20μmである。本発明の実施形態にかかるポリオレフィン製微多孔膜の50%空孔率および膜厚20μm換算における突刺強度は、結晶核剤の添加などによりポリオレフィン混合物の結晶化速度を制御し、結晶を微細化することや、温度や延伸条件により、結晶構造を制御することで調整することができる。制御方法の詳細は後述する。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン製微多孔膜は、PMDとPTDの和であるPMD+TDが1.5MPa以下である。より好ましくは1.3MPa以下であり、さらに好ましくは1.2MPa以下である。PMD+TDが1.5MPaを超えると、電池釘刺し試験等において亀裂や孔の収縮が大きくなり発火の程度が大きくなる場合があるため好ましくない。溶融熱収縮応力のMD方向とTD方向との和であるPMD+TDは、低ければよりよいとされるが、0.2MPa未満にするためには、上記と同様に生産性が低下する場合があるため、好ましくなく、0.2MPa以上が好ましい。本発明の実施形態にかかるポリオレフィン製微多孔膜のPMD+TDは、ポリオレフィン混合物の分子量や延伸の温度や条件により、調整することができる。制御方法の詳細は後述する。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン製微多孔膜の膜厚は、好ましくは1~2000μm、より好ましくは1~1000μmである。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン製微多孔膜は、ポリオレフィン樹脂を主成分とする混合物からなる。ここで本願における主成分とはポリオレフィン樹脂が50質量%以上含有されていることである。そして、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上含有されていることである。
以下、本発明について、項目毎に説明する。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4-メチル-ペンテン-1)、エチレン-プロピレン共重合体、ポリ四フッ化エチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリカーボネートが例示される。
前記ポリオレフィン樹脂は、2種以上のポリオレフィンからなる混合物であってもよい。
前記ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂を含むことが好ましい。ポリエチレン樹脂の含有量は、ポリオレフィン樹脂中90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。ポリオレフィン樹脂中のポリエチレン樹脂の比率を前記範囲内とすると、得られるポリオレフィン製微多孔膜の強度の向上を図ることができる。
前記ポリエチレン樹脂としては、(I)エチレンホモポリマー、または(II)エチレンと、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1等のコモノマーとのコポリマーおよびそれらの混合物を用いることができる。
中でも、経済性および膜強度の観点から、エチレンホモポリマーであることが好ましく、重量平均分子量(Mw)が1×104以上1×106未満の高密度ポリエチレンであることが好ましい。ポリエチレン樹脂の分子量分散(MwD)としては、押出成型性、安定した結晶化制御による物性コントロールの観点から、例えば、1~20が好ましく、3~10がより好ましい。
このポリエチレン樹脂は、単独のポリエチレンであってもよく、2種以上のポリエチレンからなる混合物であってもよい。
前記ポリオレフィン樹脂は、必要に応じて、前記ポリエチレン樹脂以外のその他の樹脂成分を含むことができる。その他の樹脂成分としては、耐熱性樹脂であることが好ましく、耐熱性樹脂としては、例えば、融点が150℃以上の結晶性樹脂(部分的に結晶性である樹脂を含む)、及び/又はガラス点移転(TG)が150℃以上の非晶性樹脂が挙げられる。ここでTGはJIS K7121に準拠して測定した値である。
また、その他の樹脂成分として、必要に応じて、前記ポリエチレン以外の他のポリオレフィンを含んでもよく、Mwが1.0×104~4.0×106のポリブテン-1ポリブテン-1、ポリペンテン-1、ポリヘキセン-1、ポリオクテン-1及びMwが1.0×103~1.0×104のポリエチレンワックスからなる群から選ばれた少なくとも一種を用いてもよい。
前記ポリエチレン以外のポリオレフィンの含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜調節できるが、前記ポリオレフィン樹脂中、10質量%以下が好ましく、5質量%未満がさらに好ましく、0質量%であることがより好ましい。
本実施態様の微多孔膜は、結晶核剤を含むことが好ましい。
本実施態様の微多孔膜に用いることができる結晶核剤としては、特に限定はなく、ポリオレフィン樹脂用に使用されている一般的な化合物系、微粒子系結晶核剤を使用できる。結晶核剤としては、結晶核剤を予めポリオレフィン樹脂に混合、分散したマスターバッチであってもよい。
前記のような結晶核剤のポリオレフィン樹脂への混合方法に特に限定はなく、溶融混練前に予めポリオレフィン樹脂原料や製膜製溶剤と混ぜ合わせてもよく、溶融混練の途中で投入し混合してもよい。
結晶核剤の配合量は特に限定されないが、その上限は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、その下限は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して0.00001質量部以上が好ましく、0.0001質量部以上がより好ましい。結晶核剤の配合量が上記範囲内であると、ポリオレフィン樹脂への良好な分散性、製造プロセス上の良好な取り扱い作業性や経済性が期待できる。
化合物系結晶核剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、4-第三ブチル安息香酸アルミニウム塩、アジピン酸ナトリウム及び2ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート等の環状炭化水素カルボン酸金属塩、ラウリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪族カルボン酸金属塩、ナトリウムビス(4-第三ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート及びリチウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ第三ブチルフェニル)ホスフェート等の、ジベンジリデンソルビトール、ビス(メチルベンジリデン)ソルビトール及びビス(ジメチルベンジリデン)ソルビトール等のアセタール骨格を有する化合物を用いることができる。さらに強度向上の観点から、芳香族リン酸エステル系金属塩、脂肪族金属塩を用いることが好ましい。
微粒子系結晶核剤としては、例えば、シリカ、アルミナ等の微粒子系結晶核剤を用いることができる。
市販されている結晶核剤としては、例えば、「ゲルオールD」(新日本理化社製)、「アデカスタブ」(アデカ社製)、「HYPERFORM」(ミリケンケミカル社製)「パインクリスタル」(荒川工業化学社製)、または「IRGACLEAR D」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等を用いることができる。また、結晶核剤が配合されたポリエチレン樹脂マスターバッチとしては、例えば「リケマスター」(理研ビタミン社製)等が商業的に入手可能である。
なお、上述したようなポリオレフィン樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤(例えば、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-ターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン等)、紫外線吸収剤、顔料、染料、などの各種添加剤を本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。
ポリオレフィン樹脂に結晶核剤以外の添加剤を配合する場合、その配合量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して、0.01質量部~10質量部であることが好ましい。0.01質量部未満では、十分な効果が得られなかったり、製造時の添加量制御が難しかったり、10質量部を超えると経済性に劣ったりする場合があるからである。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン製微多孔膜の製造方法としては、上述した特性を有するポリオレフィン製微多孔膜が製造できれば、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、日本国特許第2132327号および日本国特許第3347835号公報、国際特許公開2006/137540号等に記載された方法を用いることができる。具体的には、下記の工程(1)~(5)を含むことが好ましく、下記の工程(6)をさらに含んでもよく、さらに下記の工程(7)及び/又は(8)を含むこともできる。
(2)前記ポリオレフィン樹脂組成物を押出し、冷却しゲル状シートを形成する工程
(3)前記ゲル状シートを延伸する第1の延伸工程
(4)前記延伸後のゲル状シートから成膜用溶剤を除去する工程
(5)前記成膜用溶剤除去後のシートを乾燥する工程
(6)前記乾燥後のシートを延伸する第2の延伸工程
(7)前記乾燥後のシートを熱処理する工程
(8)前記延伸工程後のシートに対して架橋処理及び/又は親水化処理する工程
(1)ポリオレフィン樹脂組成物の調製工程
ポリオレフィン樹脂に、結晶核剤および適当な成膜用溶剤を配合した後、溶融混練し、ポリオレフィン樹脂組成物を調製する。溶融混練方法として、例えば日本国特許第2132327号および日本国特許第3347835号公報に記載の二軸押出機を用いる方法を利用することができる。溶融混練方法は公知であるので説明を省略する。
ポリオレフィン樹脂組成物中、ポリオレフィン樹脂と成膜用溶剤との配合割合は、特に限定されないが、ポリオレフィン樹脂20~50質量部に対して、成膜溶剤50~80質量部であることが好ましい。より好ましくはポリオレフィン樹脂25~40質量部に対して、成膜溶剤60~75質量部である。
ポリオレフィン樹脂組成物に配合する結晶核剤の配合量は、前記のとおりである。
ポリオレフィン樹脂組成物を押出機からダイに送給し、シート状に押し出す。同一または異なる組成の複数のポリオレフィン樹脂組成物を、押出機から一つのダイに送給し、そこで層状に積層し、シート状に押出してもよい。
押出方法はフラットダイ法及びインフレーション法のいずれでもよい。押出し温度は140~250℃が好ましく、押出速度は0.2~15m/分が好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物の各押出量を調節することにより、膜厚を調節することができる。
押出し方法としては、例えば日本国特許第2132327号公報および日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。
得られた押出し成形体を冷却することにより、ゲル状シートを形成する。ゲル状シートの形成方法として、例えば日本国特許第2132327号公報および日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。冷却は少なくともゲル化温度までは50℃/分以上の速度で行うのが好ましく、より好ましくは100℃/分以上、さらに好ましくは150℃/分以上である。ゲルシートの冷却は50℃以下まで行うのが好ましく、より好ましくは40℃以下、さらに好ましくは30℃以下、特に好ましくは20℃以下まで行うのがよいとされる。本発明の実施形態にかかるポリオレフィン組成物は結晶核剤等の添加により、結晶化速度が速くなっていることに加え、前記範囲内の条件でゲルシートの冷却を実施することにより、ゲルシートの構造均一性を上げることが可能となり、後の延伸工程におけるさらなる強度向上を促すことが可能となる。
次に、得られたゲル状シートを少なくとも一軸方向に延伸する。ゲル状シートは成膜用溶剤を含むので、均一に延伸できる。ゲル状シートは、加熱後、テンター法、ロール法、インフレーション法、又はこれらの組合せにより所定の倍率で延伸するのが好ましい。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよいが、二軸延伸が好ましい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸、逐次延伸及び多段延伸(例えば同時二軸延伸及び逐次延伸の組合せ)のいずれでもよい。
本工程における延伸倍率(面積延伸倍率)は、一軸延伸の場合、5倍以上が好ましく、10~100倍がより好ましい。二軸延伸の場合、30倍以上が好ましく、45倍以上がより好ましく、75倍以上が特に好ましい。また、長手及び横手方向(MD及びTD方向)のいずれも5倍以上が好ましく、MD方向とTD方向での延伸倍率は、互いに同じでも異なってもよい。延伸倍率が30倍を下回ると、機械的強度が低くなる場合があるため好ましくない。また、延伸倍率が150倍以上となると破膜の可能性が高くなり、好ましくない。なお、本工程における延伸倍率とは、本工程直前の微多孔膜を基準として、次工程に供される直前の微多孔膜の面積延伸倍率のことをいう。
結晶分散温度(TCD)は、ASTM D4065による動的粘弾性の温度特性測定により求められる。超高分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン以外のポリエチレン及びポリエチレン組成物は約90~100℃の結晶分散温度を有するので、延伸温度を90~130℃とするのが好ましく、より好ましくは110~120℃にし、さらに好ましくは114~117℃にする。
以上のような延伸によりポリエチレンラメラ間に開裂が起こり、ポリエチレン相が微細化し、多数のフィブリルが形成される。フィブリルは三次元的に不規則に連結した網目構造を形成する。
洗浄溶媒を用いて、成膜用溶剤の除去(洗浄)を行う。ポリオレフィン相は成膜用溶剤相と相分離しているので、成膜用溶剤を除去すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔(空隙)を有する多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒およびこれを用いた成膜用溶剤の除去方法は公知であるので説明を省略する。例えば日本国特許第2132327号公報や日本国特開2002-256099号公報に開示の方法を利用することができる。
成膜用溶剤を除去した微多孔膜を、加熱乾燥法又は風乾法により乾燥する。乾燥温度はポリオレフィン樹脂の結晶分散温度(TCD)以下であるのが好ましく、特にTCDより5℃以上低いのが好ましい。乾燥は、微多孔膜を100質量部(乾燥重量)として、残存洗浄溶媒が5質量部以下になるまで行うのが好ましく、3質量部以下になるまで行うのがより好ましい。
乾燥後の微多孔膜を、少なくとも一軸方向に延伸することが好ましい。微多孔膜の延伸は、加熱しながら前記と同様にテンター法やロール法等により行うことができる。延伸は一軸延伸でも二軸延伸でもよい。二軸延伸の場合、同時二軸延伸及び逐次延伸のいずれでもよい。
本工程における延伸温度は、特に限定されないが、通常90~135℃であり、より好ましくは95~130℃である。
本工程における微多孔膜の延伸の一軸方向への延伸倍率(面積延伸倍率)は、下限が1.0倍以上であるのが好ましく、より好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上である。また、上限が5.0倍以下とするのが好ましい。一軸延伸の場合、延伸倍率はMD方向又はTD方向に1.0~5.0倍とする。二軸延伸の場合、面積延伸倍率は、下限が1.0倍以上であるのが好ましく、より好ましくは1.1倍以上、さらに好ましくは1.2倍以上である。上限は16.0倍以下が好適であり、MD方向及びTD方向に各々1.0~4.0倍とし、MD方向とTD方向での延伸倍率が互いに同じでも異なってもよい。なお、本工程における延伸倍率とは、本工程直前の微多孔膜を基準として、次工程に供される直前の微多孔膜の延伸倍率のことをいう。
また、乾燥後の微多孔膜は、熱処理を行うことができる。熱処理によって結晶が安定化し、ラメラが均一化される。熱処理方法としては、熱固定処理及び/又は熱緩和処理を用いることができる。熱固定処理とは、膜の寸法が変わらないように保持しながら加熱する熱処理である。熱緩和処理とは、膜を加熱中にMD方向やTD方向に熱収縮させる熱処理である。熱固定処理は、テンター方式又はロール方式により行うのが好ましい。例えば、熱緩和処理方法としては、日本国特開2002-256099号公報に開示の方法があげられるように、MD方向やTD方向に0.95倍以下の縮小を実施することで、各方向の溶融収縮応力を低減させることが可能であり、好ましい。しかしながら、0.7倍以下の収縮を実施すると膜のたるみが発生しやすくなるので好ましくない。熱処理温度はポリオレフィン樹脂のTCD~TMの範囲内が好ましく、微多孔膜の延伸温度±5℃の範囲内がより好ましく、微多孔膜の第2の延伸温度±3℃の範囲内が特に好ましい。
また、接合後又は延伸後の微多孔膜に対して、さらに、架橋処理および親水化処理を行うこともできる。
例えば、微多孔膜に対して、Α線、Β線、Γ線、電子線等の電離放射線の照射することに、架橋処理を行う。電子線の照射の場合、0.1~100MRADの電子線量が好ましく、100~300KVの加速電圧が好ましい。架橋処理により微多孔膜のメルトダウン温度が上昇する。
また、親水化処理は、モノマーグラフト、界面活性剤処理、コロナ放電等により行うことができる。モノマーグラフトは架橋処理後に行うのが好ましい。
前記ポリオレフィン製微多孔膜の少なくとも一方の表面に、多孔層を設け、積層多孔膜としてもよい。多孔層としては、例えば、フィラーと樹脂バインダとを含むフィラー含有樹脂溶液や耐熱性樹脂溶液を用いて形成される多孔層を挙げることができる。
本発明の実施形態にかかるポリオレフィン製微多孔膜は、水系電解液を使用する電池、非水系電解質を使用する電池のいずれにも好適に使用できる。具体的には、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池、ニッケル-亜鉛電池、銀-亜鉛電池、リチウム二次電池、リチウムポリマー二次電池等の二次電池のセパレータとして好ましく用いることができる。中でも、リチウムイオン二次電池のセパレータとして用いるのが好ましい。
リチウムイオン二次電池は、正極と負極がセパレータを介して積層されており、セパレータが電解液(電解質)を含有している。電極の構造は特に限定されず、従来公知の構造を用いることができ、例えば、円盤状の正極及び負極が対向するように配設された電極構造(コイン型)、平板状の正極及び負極が交互に積層された電極構造(積層型)、積層された帯状の正極及び負極が巻回された電極構造(捲回型)等にすることができる。
リチウムイオン二次電池に使用される、集電体、正極、正極活物質、負極、負極活物質および電解液は、特に限定されず、従来公知の材料を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本発明は、前記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、実施例で用いた評価法、分析の各法および材料は、以下の通りである。
微多孔膜の95mm×95mmの範囲内における5点の膜厚を、接触厚み計(株式会社ミツトヨ製ライトマチック)により測定し、膜厚Tの平均値を求めた。
5cm角の試料を微多孔膜から切り取り、その体積(cm3)と重量(g)を求め、それらとポリマー密度(g/cm3)より、次式を用いて計算した。以上の測定を同じ微多孔膜中の異なる箇所で3点行い、空孔率の平均値を求めた。
空孔率=[(体積-重量/ポリマー密度)/体積]×100
膜厚T1(μm)の微多孔膜に対して、JIS P 8117(2009年)に準拠して、透気抵抗度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)で測定した透気抵抗度G1(sec./100cc)を、式:G2=(G1×20)/T1により、膜厚を20μmに換算したときの透気抵抗度G2に換算した。以上の測定を同じ微多孔膜中の異なる箇所で3点行い、透気抵抗度G2の平均値を求めた。
以下の測定を同じ微多孔膜中の異なる箇所で3点行い、最大孔径と平均孔径/最大孔径の平均値を求めた。パームポロメーター(PMI社製、CFP-1500A)を用いて、DRY-UP、WET-UPの順で、最大孔径及び平均流量孔径を測定した。WET-UPには表面張力が既知のPMI社製GALWICK(商品名)で十分に浸した微多孔膜に圧力をかけ、空気が貫通し始める圧力から換算される孔径を最大孔径とした。
平均流量孔径については、DRY-UP測定で圧力、流量曲線の1/2の傾きを示す曲線と、WET-UP測定の曲線が交わる点の圧力から孔径を換算した。圧力と孔径の換算は下記の数式を用いた。
D=C・Γ/P
(上記式中、「D(μm)」は微多孔膜の孔径、「Γ(mN/m)」は液体の表面張力、「P(Pa)」は圧力、「C」は定数とした。
MARUBISHI社製の突刺計を用い、先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1mmの針で、膜厚T1(μm)、空孔率P1(%)の微多孔膜を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重を測定した。最大荷重の測定値L1(N)を、式:L2=(L1×20)/T1×50/(100-P1)により、膜厚を20μmおよび空孔率を50%としたときの最大荷重L2に換算し、50%空孔率および膜厚20μm換算における突刺強度とした。以上の測定を同じ微多孔膜中の異なる箇所で3点行い、50%空孔率および膜厚20μm換算突刺強度の平均値を求めた。
UHMwPE、HDPEおよびポリオレフィン製微多孔膜重量平均分子量は以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めた。
・測定装置:WATERS CORPORATION製GPC-150C
・カラム:昭和電工株式会社製SHODEX UT806M
・カラム温度:135℃
・溶媒(移動相):O-ジクロルベンゼン
・溶媒流速:1.0 mL/分
・試料濃度:0.1 wt%(溶解条件:135℃/1H)
・インジェクション量:500μL
・検出器:WATERS CORPORATION製ディファレンシャルリフラクトメーター(RI検出器)
・検量線:単分散ポリスチレン標準試料を用いて得られた検量線から、所定の換算定数を用いて作成した。
ポリオレフィン製微多孔膜中のMw1.0×106以上のポリエチレン含有割合は上記方法でのポリオレフィン製微多孔膜の重量平均分子量の測定結果より求めた。
以下の方法で同じ微多孔膜中の異なる箇所で測定を3点行い、平均値を126℃半結晶化時間T1/2とした。126℃半結晶化時間T1/2は、以下の方法で測定した。ポリオレフィン製微多孔膜を測定パンに封入し、PARKING ELMER製 PYRIS DIAMOND DSCを用いて、230℃まで昇温して完全に溶融させたのち、230℃で10分間保持した。そして、126℃まで30℃/minで降温させ、126℃で保持した。126℃での等温制御に入った後の熱量の時間変化を記録し、そのピーク面積が半分になる時間を126℃半結晶化時間T1/2とした。
以下の方法で測定を同じ微多孔膜中の異なる箇所で3点行い、141℃以上結晶融解ピークの面積割合とした。ポリオレフィン製微多孔膜を測定パンに封入し、PARKING ELMER製 PYRIS DIAMOND DSCを用いて、230℃まで昇温して、結晶融解ピークの測定を行った。得られた結晶融解ピーク全体の融解熱量と141℃以上の融解熱量の比を141℃以上結晶融解ピーク面積割合(141℃以上融解ピーク面積割合)とした。
微多孔膜の固体熱収縮率は95mm×95mmに切り出した微多孔膜を105℃で8時間加熱し、加熱前後の微多孔膜のMDおよびTDの寸法の変化率とした。以上の測定を同じ微多孔膜中の異なる箇所で3点行い、MDおよびTD固体熱収縮率の平均値を求めた。
熱機械的分析装置(セイコーインスルメンツ社製 TMA/SS 6100)を用いて、温度を昇温走査し収縮荷重(mN)の測定を行った。測定条件は、サンプル形状;幅3mm×長さ10mm、初期荷重:9.8mN、温度走査範囲30~200℃、昇温速度;10℃/minである。測定はMDとTD両方で実施し、溶融熱収縮応力Pは、得られた収縮荷重曲線における130℃以上の最大収縮荷重N(mN)を、下記式に代入し算出した。以上の測定をMDとTDについて同じ微多孔膜中の異なる箇所で、各3点ずつ測定を実施し、その平均値をそれぞれMD溶融熱収縮応力およびTD溶融熱収縮応力とし、それらの和をMD+TD溶融熱収縮応力とした。
(11)MD+TD引張破断強度(MPa)
引張試験機(島津オートグラフAGS-J型)を用いて引張試験を行い、サンプル破断時の強度を、試験前のサンプル断面積で除し、引張破断強度(MPa)とした。測定条件は、温度;23±2℃、サンプル形状;幅10mm×長さ50mm、チャック間距離;20mm、引張速度;100mm/minである。以上の測定をMDとTDについて同じ微多孔膜中の異なる箇所で、各3点ずつ測定を実施し、その平均値であるMD引張破断強度とTD引張破断強度の和をMD+TD引張破断強度とした。
電極間での耐電圧性を評価するために、以下のように破壊電圧試験実施した。
一辺150mmの正方形のアルミニウム板上に、直径60mmの円状に切り出した微多孔膜を置き、その上に真鍮製の直径50mm、高さ30mm、重さ 500gの円柱電極を置いて、菊水電子工業製TOS5051A耐絶縁破壊特性試験器を接続した。0.2kV/秒の昇圧速度で電圧を加え、膜厚T1(μm)、空孔率P1(%)の微多孔膜が絶縁破壊したときの電圧(V1)を読み取った。測定値(V1)(kV)を、式:V2=V1/T1×50/(100-P1)により、空孔率を50%としたときの単位膜厚での破壊電圧V2に換算した。絶縁破壊電圧の測定はそれぞれ15回行い、平均値を得た。平均値が0.15kV/μm以上の場合、局所短絡の可能性が低くなるため○、0.15kV/μm未満の場合×とした。
電池に外部衝撃を与えた際の短絡耐性を評価するために下記の手順に従って円筒電池を作製し、衝撃短絡試験を実施した。
<正極の作製>
活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoO2を92.2質量%、導電剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、活物質塗付量250g/m2、活物質嵩密度3.00g/cm3にて、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布した。そして、130℃で3分間乾燥し、ロールプレス機で圧縮成形した後、幅約57mmに切断して帯状にした。
活物質として人造グラファイト96.9質量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン-ブタジエン共重合体ラテックス1.7質量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、活物質塗付量106g/m2、活物質嵩密度1.55g/cm3という高充填密度にて、負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗付した。そして、120℃で3分間乾燥し、ロールプレス機で圧縮成形した後、幅約58mmに切断して帯状にした。
エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPF6を濃度1.0mol/lとなるように溶解させて調製した。
実施例、比較例に記載のセパレータを、60mmにスリットして帯状にした。
帯状負極、セパレータ、帯状正極、セパレータの順に重ね、100gfの巻取張力で渦巻状に複数回捲回することで電極板積層体を作製した。この電極板積層体を、外径が18mmで高さが65mmのステンレス製容器に収納し、正極集電体から導出したアルミニウム製タブを容器蓋端子部に、負極集電体から導出したニッケル製タブを容器壁に溶接した。そして、真空下80℃で12時間の乾燥を行った後、アルゴンボックス内にて容器内に上記非水電解液を注入し、封口した。
組立てた電池を1/3Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後4.2Vの定電圧充電を5時間行い、その後1/3Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。次に、1Cの電流値で電圧4.2Vまで定電流充電した後4.2Vの定電圧充電を2時間行い、その後1Cの電流で3.0Vの終止電圧まで放電を行った。最後に1Cの電流値で4.2Vまで定電流充電をした後に4.2Vの定電圧充電を2時間行い前処理とした。
上記方法により電池を20個作製した後、それぞれに対して衝撃試験を行い、短絡した電池の数に基づいて耐衝撃短絡性(安全性)を評価した。まず、作成した電池を105℃で1時間加熱し、高さ2mから自由落下させた後、10分間放置した。その後、端子電圧の測定を行い、端子電圧が試験前の90%未満であったものを「短絡した状態」と判定した。そして、測定結果を集計し、短絡した電池の数が少ないほど耐衝撃短絡性が良好であると評価した。評価基準は以下の通りである。
短絡した電池の数が20個中0~4個の場合:○
20個中5~10個短絡した場合:△
20個中11個以上短絡した場合:×
重量平均分子量(Mw)が2.0×106の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)10質量部と、Mwが2.8×105の高密度ポリエチレン(HDPE)90質量部とからなるポリエチレン(PE)組成物100質量部に、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-ターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.375質量部、および、マスターバッチ リケマスターCN-002(理研ビタミン製:核剤含有量約2質量%)1質量部をドライブレンドし、混合物を得た。
得られたポリオレフィン樹脂を含む混合物30質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン70質量部を供給し、スクリュー回転数Nsを200rpmに保持しながら、210℃の温度で溶融混練して、ポリエチレン樹脂組成物を調製した。
得られたポリエチレン樹脂組成物を、二軸押出機からTダイに供給し、180℃/minの速度で冷却し、シート状成形体となるように押し出した。押し出した成形体を、20℃に温調した冷却ロールで引き取りながら冷却し、ゲル状シートを形成した。得られたゲル状シートを延伸温度115℃でMDに9倍、TDに9倍となるように同時二軸延伸を行った。延伸後の膜を25℃に温調した塩化メチレンの洗浄槽内にて洗浄し、流動パラフィンを除去した。洗浄した膜を60℃に調整された乾燥炉で乾燥し、テンター内にて125℃で40秒間熱固定処理することにより厚さ7μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表1に示した。
ポリエチレン樹脂組成物のゲル状シートをMDに7倍、TDに7倍となるように同時二軸延伸を実施した以外は、実施例1と同様にして、厚さ12μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表1に示した。
重量平均分子量(Mw)が2.8×105の高密度ポリエチレン(HDPE)100質量部からなるポリエチレン(PE)組成物100質量部に対し、テトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-ターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.375質量部、および、マスターバッチ リケマスターCN-002(理研ビタミン製:核剤含有量約2質量%)1質量部をドライブレンドし、混合物を得た。そして得られた混合物35質量部を強混練タイプの二軸押出機に投入し、二軸押出機のサイドフィーダーから流動パラフィン65質量部を供給し、スクリュー回転数Nsを200rpmに保持しながら、210℃の温度で溶融混練して、ポリエチレン樹脂組成物を調製した以外は、実施例1と同様にして、厚さ7μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表1に示した。
重量平均分子量(Mw)が2.8×105の高密度ポリエチレン(HDPE)100質量部からなるポリエチレン(PE)組成物100質量部使用した以外は、実施例1と同様にして、厚さ7μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表1に示した。
ポリエチレン樹脂組成物のゲル状シートをMDに7倍、TDに7倍となるように同時二軸延伸を実施した以外は実施例3と同様にして、厚さ12μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表1に示した。
ポリエチレン樹脂組成物のゲル状シートをMDに7倍、TDに7倍となるように同時二軸延伸を実施し、流動パラフィンを除去後、洗浄した膜を60℃に調整された乾燥炉で乾燥し、テンター内にて130℃で1.21倍でMD方向に延伸後、TD方向に1.21倍延伸し、TD方向に0.9倍縮小させ、40秒間熱固定処理すること以外は、実施例1と同様にして、厚さ11μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表1に示した。
マスターバッチ リケマスターCN-002(理研ビタミン製)を配合せず、ポリエチレン樹脂組成物のゲル状シートをMDに5倍、TDに5倍となるように同時二軸延伸を実施した以外は実施例4と同様にして、厚さ20μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表2に示した。
ポリエチレン樹脂組成物のゲル状シートをMDに7倍、TDに7倍となるように同時二軸延伸を実施した以外は比較例1と同様にして、厚さ7μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表2に示した。
マスターバッチ リケマスターCN-002(理研ビタミン製)を配合せずポリエチレン樹脂組成物のゲル状シートをMDに5倍、TDに5倍となるように同時二軸延伸を実施した以外は実施例1と同様にして、厚さ20μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表2に示した。
ポリエチレン樹脂組成物のゲル状シートをMDに5倍、TDに5倍となるように同時二軸延伸を実施した以外は実施例1と同様にして、厚さ20μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表3に示した。
重量平均分子量(Mw)が2.0×106の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)30質量部と、Mwが2.8×105の高密度ポリエチレン(HDPE)70質量部とからなるポリエチレン(PE)組成物100質量部を使用する以外は、比較例3と同様にして、厚さ20μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表3に示した。
ポリエチレン樹脂組成物のゲル状シートをMDに9倍、TDに9倍となるように同時二軸延伸を実施した以外は、比較例5と同様にして厚さ12μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表3に示した。
重量平均分子量(Mw)が4.15×106の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)30質量部と、Mwが5.6×105の高密度ポリエチレン(HDPE)70質量部とからなるポリエチレン(PE)組成物100質量部にテトラキス[メチレン-3-(3,5-ジ-ターシャリーブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート]メタン0.375質量部をドライブレンドし、混合物を得た。ポリエチレン濃度が30質量%となるように流動パラフィン(松村石油研究所社製スモイルP-350:沸点480℃)とデカリン(和光純薬工業社製、沸点193℃)の混合溶媒中に溶解させ、ポリエチレン溶液を作製した。該ポリエチレン溶液の組成はポリエチレン:流動パラフィン:デカリン=30:67.5:2.5(質量比)である。このポリエチレン溶液を148℃でダイから押し出し、水浴中で冷却してゲル状シートを作製した。この際、ゲル状シートは、ダイから押し出した後、冷却速度が90℃/分となるよう冷却した。上記ゲルシートを縦延伸、横延伸を逐次行う2軸延伸にて延伸した。ここで、縦延伸は延伸倍率6倍、延伸温度は90℃、横延伸は延伸倍率9倍、延伸温度は105℃とした。横延伸の後に135℃で熱固定を行った。次にこれを塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィンとデカリンを抽出した。その後、50℃で乾燥し、120℃でアニール処理することでポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表3に示した。
マスターバッチ リケマスターCN-002(理研ビタミン製)を配合しない以外は、実施例6と同様にして、厚さ11μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表4に示した。
ポリエチレン樹脂組成物のゲル状シートをMDに5倍、TDに5倍となるように同時二軸延伸を実施した以外は実施例4と同様にして、厚さ20μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表4に示した。
マスターバッチ リケマスターCN-002(理研ビタミン製)を配合し、ポリエチレン樹脂組成物のゲル状シートをMDに7倍、TDに7倍となるように同時二軸延伸を実施した以外は比較例5と同様にして、厚さ12μmのポリオレフィン製微多孔膜を得た。得られた微多孔膜の特性を表4に示した。
本出願は、2017年9月27日出願の日本特許出願(特願2017-186142)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Claims (9)
- 126℃半結晶化時間T1/2が200秒以下であり、50%空孔率および膜厚20μm換算における突刺強度が7.5N/20μm以上であり、溶融熱収縮応力のMD方向をPMD、TD方向をPTDとしたとき少なくとも一方が0.8MPa以下であり、該PMDと該PTDの和であるPMD+TDが1.5MPa以下であるポリオレフィン製微多孔膜であって、
前記ポリオレフィン製微多孔膜はポリオレフィン樹脂を90質量%以上含有しており、
前記ポリオレフィン樹脂はポリエチレン樹脂を90質量%以上含有しており、
前記ポリオレフィン製微多孔膜における重量平均分子量1.0×106以上のポリエチレン含有割合が25質量%以下であることを特徴とするポリオレフィン製微多孔膜。 - ポロメーターより観測される最大孔径が45nm以下であり、平均流量孔径/最大孔径の比が0.6以上あることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- DSCより観測される141℃以上融解ピーク面積割合が、25%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- 空孔率が30%以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- MD+TD引張破断強度が350MPa以上であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- 膜厚20μm換算における透気抵抗度が50~600sec/100ccであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- 結晶核剤を含むことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載のポリオレフィン製微多孔膜からなる電池用セパレータ。
- 請求項8に記載のセパレータを用いた二次電池。
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