JPH0641539B2 - タイヤトレッドゴム配合用カーボンブラック - Google Patents

タイヤトレッドゴム配合用カーボンブラック

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ゴム成分に良好な耐摩耗性ならびにグリップ
性能を付与することができるタイヤトレッドゴム配合用
カーボンブラックに関する。
〔従来の技術〕
近時、自動車の高性能化に伴って高速性能や安定走行に
対する要求が高まり、タイヤトレッド部の性能向上につ
いての研究が活発におこなわれている。
とくに、高速安定走行に耐える高度の耐摩耗性と路面把
持力の大きい高グリップ性能を兼備するタイヤトレッド
の開発が急がれている。
カーボンブラックによるゴムの補強性能は、従来からそ
の比表面積（粒子径）やストラクチャーが支配的な因子
として考えられており、一般的にカーボンブラックの比
表面積やストラクチャーが大きいほど耐摩耗性は増大す
ることが知られている。
また、グリップ性能を向上させるための手段としては、
トレッド部に使用するゴム成分にスチレン含有率の高い
ＳＢＲを用いたり、あるいはプロセスオイルを高充填で
配合する等の方法が提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記した成分あるいはプロセスオイル等による
改善手段ではグリップ性能を十分に向上させることは困
難なうえに耐摩耗性が著しく減退化する問題点がある。
本発明は、これら問題点をゴム成分に配合するカーボン
ブラックの特性面から解決を図ったもので、高度の耐摩
耗性を維持しながら良好なグリップ性能を付与しえるタ
イヤトレッドゴム配合用カーボンブラックの提供を目的
としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するための本発明によるタイヤトレッド
ゴム配合用カーボンブラックは、窒素吸着比表面積（Ｎ
2ＳＡ）が120〜165m2／ｇ、ＤＢＰ吸油量が120ｍ／10
0ｇ以上のハード系領域に属し、かつ下記(1)式で定義さ
れるＧの値が下記(2)式の関係を満たす特性のタイヤト
レッドゴム配合用カーボンブラック。
但し、上式において、〔△Dst〕は遠心沈降法による凝
集体ストークス相当径分布における最大頻度の50％頻度
が得られる大小２点のストークス相当径の差、〔st〕
は上記凝集体ストークス相当径分布における最大頻度の
ストークス相当径（ｎｍ）、〔Ｎ2ＳＡ〕は窒素吸着比
表面積（m2／ｇ）、〔24M４〕は24M４ＤＢＰ吸油量（ｍ
／100ｇ）、〔IA〕はよう素吸着量（mg／ｇ）、ＤＢ
ＰはＤＢＰ吸油量（ｍ／100ｇ）、〔Tint〕は比着色
力（％）、〔CTAB〕はＣＴＡＢ比表面積（m2／ｇ）を指
すものとする。
上記したカーボンブラックの各特性は、以下の測定方法
による値が用いられる。
(1)窒素吸着比表面積（Ｎ2ＳＡ） ＡＳＴＭ Ｄ３０３７−８６“Standard Test Method f
or Carbon Black-Surfase Area by Nitrogen Adsorptio
n”Method Ｂによる。
(2)ＤＢＰ吸油量 JIS K6221(1975)「ゴム用カーボンブラックの試験方
法」６・１・２項、吸油量Ａ法による。
(3)st、ΔDst ＪＩＳ Ｋ６２２１（1982）５「乾燥試料の作り方」に
基づいて乾燥したカーボンブラック試料を少量の界面活
性剤を含む２０vol％エタノール水溶液と混合して、カ
ーボンブラック濃度50mg／の分散液を作成し、これを
超音波で十分に分散させて試料とする。ディスク・セン
トリフュージ装置（英国Joyes Lobel社製）を8000rpmの
回転速度に設定し、スピン液（温度25℃の２％グリセリ
ン水溶液）を10m加えたのち、１ｍのバッファー液
（温度25℃の20vol％エタノール水溶液）を注入する。
次いで、温度25℃のカーボンブラック分散液0.5mを注
射器で加えて遠心沈降を開始し、同時に記録計を作動さ
せて光学的に凝集体ストークス相当径の分布曲線を作成
する。得られた分布曲線における最大頻度のストークス
相当径をst（ｎｍ）とし、最大頻度の50％の頻度が得
られる大小２点のストークス相当径の差を△Dst（ｎ
ｍ）とする。この測定方法によるＡＳＴＭ Ｄ−24 Sta
ndard Reference Black Ｃ−３ Ｎ−234のstは80n
m、△Dstは60nmとなる。
(4)24M４ ＡＳＴＭ Ｄ3493-85a“Standard Test Method for Car
bon Black-Dibutyl Phthalate Absorption Number of C
ompressed Sample”による。
(5)ＩＡ JIS K6221-82“ゴム用カーボンブラックの試験方法”６
・１・１項による。
(6)Tint JIS K6221-82“ゴム用カーボンブラックの試験方法”６
・１・３項を用い、対比試料をＩＲＢ＃３による。
(7)ＣＴＡＢ ＡＳＴＭ Ｄ3765-80“Standard Test Method for Carb
on Black-CTAB(CETYLTRIMETHYL AMMONIUM BROMIDE)Surf
ace Area”による。
上記カーボンブラックの特性項目のうち、窒素吸着比表
面積（Ｎ2ＳＡ）120〜165m2／ｇおよびＤＢＰ吸油量120
ｍ／100ｇ以上の範囲は、通常のＳＡＦ（N110）、Ｉ
ＳＡＦ（N220）品種と同等のハード領域に属し、配合ゴ
ムに高度の耐摩耗性を付与するための前提要件となる。
この窒素吸着比表面積（Ｎ2ＳＡ）が120m2／ｇおよびＤ
ＢＰ吸油量が120ｍ／100ｇ未満ではタイヤトレッドに
耐える高耐耗性を付与することができず、また窒素吸着
比表面積（Ｎ2ＳＡ）が165m2／ｇを越えると分散加工性
が著しく悪化する。
(1)式および(2)式により導き出されるＧ値に関する選択
特性は、アグリゲート分布、比表面積、ストラクチャ
ー、着色力などカーボンブラックの有する粒子性状を多
面的に捕えたパラメーターで、従来品種のカーボンブラ
ックに比べ一定比表面積当たりのＧ値が有意に低位にあ
ることによって特長づけられる。そして、(2)式で与え
られる範囲のＧ値を満足する場合に、配合ゴムの耐摩耗
性を損ねずにグリップ性能を効果的に向上させることが
可能となる。しかし、Ｇ値が200-0.555〔Ｎ2ＳＡ〕未満
では耐摩耗性の低下が著しく、また255-0.555〔Ｎ2Ｓ
Ａ〕を越えると十分なグリップ性能が得られず、タイヤ
トレッドとしての要求性能を満足しなくなる。
これらの特性を具備するカーボンブラックは、炉頭部に
接線方向空気供給口と炉軸方向に挿着した燃焼バーナー
および原料油噴射ノズルを備える燃焼室とこれに連設す
る複数段の狭径、広径反応室を有する構造のオイルファ
ーネス炉を用い、生成反応温度、反応時間、燃焼ガス流
速、反応滞留時間などの諸条件を制御することによって
製造することができる。
本発明のカーボンブラックは、常法に従い、天然ゴム、
スチレンブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、イソプ
レンゴム、ブチルゴム、その他常用のカーボンブラック
で補強可能な各種合成ゴム、混合ゴムなどのエラストマ
ーに配合される。カーボンブラックの配合比率は、ゴム
成分100重量部に対し25〜150重量部の割合とし、加硫
剤、加硫促進剤、老化防止剤、加硫助剤、軟化剤、可塑
剤等の必要成分とともに混練してタイヤトレッド用ゴム
組成物を得る。
〔作用〕
配合ゴムに高度の耐摩耗性を付与させるには、カーボン
ブラックのΔDst／stの比を小さくしてアグリゲート
分布を狭くし、ＣＴＡＢ比表面積（ＣＴＡＢ）および着
色力（Tint）を高めることが有効であり、またＤＢＰ吸
油量当たりの24M4ＤＢＰ吸油量（24M4／ＤＢＰ）を増大
させ、更に表面活性度を上げること、すなわち（Ｎ2Ｓ
Ａ／ＩＡ）の比を高位に保持することが効果的である。
一方、グリップ性能の改善には表面活性度（Ｎ2ＳＡ／
ＩＡ）を抑制しつつΔDst／stの値を小さくしてアグ
リゲート分布を狭くし、また粒子径を小さくしてＣＴＡ
Ｂ比表面積（ＣＴＡＢ）を大きくすること、ならびに着
色力（Tint）を高くすることが有効である。本発明で定
義したＧ値はこれらの因子を巧に組み合わせることによ
り、配合ゴムの耐摩耗性を損なうことなくグリップ性能
を向上させるパラメーターとして機能するものであり、
配合ゴムの耐摩耗性とグリップ性能をバランスよく向
上、両立させることが可能となる。なお、本願発明のカ
ーボンブラックは従来品種のカーボンブラックに比べて
比表面積が同一水準にある場合にＧ値が有意に低いこと
により特徴づけられる。
そして、カーボンブラックの特性として窒素吸着比表面
積（Ｎ2ＳＡ）が120〜165m2／ｇ，ＤＢＰ吸油量が120m
／100ｇ以上であり、かつＧ値が(2)式の関係を満たす
場合に、タイヤトレッドゴムに要求される高度の耐摩耗
性を維持しながらグリップ性能を向上させるために有効
に機能する。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。
実施例１〜４、比較例１〜４ 炉頭部に接線方向空気供給口と炉軸方向に挿着された燃
焼バーナーおよび原料油噴射ノズルを有する燃焼室（直
径400mm、長さ500mm）を設置し、該燃焼室と同軸的に連
結する狭径反応室（前段：直径170mm、長さ500mm、後
段：直径150mm、長さ1000mm）およびこれに引続く広径
反応室（直径300mm）とから構成されたオイルファーネ
ス炉を用い発生条件を変えてカーボンブラックを製造し
た。
原料油としては比重（15/4℃）1.073、粘度（エングラ
ー40/20℃）2.10、トルエン不溶分0.03％、相関係数
（ＢＭＣＩ）140、初期沸点103℃の芳香族炭化水素を、
また燃料油には比重（15/4℃）0.903、粘度（CST 50
℃）16.1、残炭分5.4％、硫黄分1.8％、引火点96℃の炭
化水素油を用いた。
表Ｉに発生条件、表IIに得られた本発明カーボンブラッ
クの特性をそれぞれ実施例NO.と対比して示した。な
お、表IIの比較例１〜４は本発明の特性要件を外れる従
来品種のカーボンブラックを示したものである。
次に、これらのカーボンブラック試料を表IIIに示す配
合比により油展ＳＢＲに配合した。
表IIIの配合物を145℃の温度で加硫処理して得られたゴ
ム組成物につき各種ゴム特性を測定し、結果を表IVに示
した。
なお、ゴム特性の測定方法および測定条件は下記によっ
た。このうち、グリップ性能は損失係数（tan δ）が
指標となり、この値が大きいほどグリップ性能が向上す
ることを示す。
(1)損失係数（tan δ）、動的弾性率（Ε′） ヴィスコ・エラステック・スペクトロメーター（岩本製
作所製）を用い、次の条件により測定した。
試験片：長さ35mm、幅５mm、厚さ２mm 周波数：50Hz 温 度：25℃ 動的歪み率ε：1.2％ (2)摩耗量 ランボーン摩耗試験機（機械式スリップ機構）を用い、
次の条件で測定した。
試験片：厚さ10mm、外径44mm エメリーホイール：ＧＣタイプ、粒度＃80、硬度Ｈ 添加カーボンランダム粉：粒度＃80、添加量約９ｇ／分 エメリーホイール面と試験片との相対スリップ率： 24％、60％ 試験片回転数：535rpm 試験荷重：４Kg (3)その他 JIS K6301-75「加硫ゴム物理試験法」によった。
表IVの結果から、本発明の実施例は対応する比較例に比
べて同等の耐摩耗性を維持しながら、定比表面積に対応
するグリップ性能を示す損失係数（tan δ）が向上し
ており、更に操縦安定性を示す動的弾性率（Ε′）も高
いことが認められる。
〔発明の効果〕 本発明によれば、配合ゴムに対し高耐摩耗性を維持しな
がら定比表面積当たりのグリップ性能を有意に改善する
ことができるカーボンブラックが提供される。したがっ
て、高速性能や安定走行が要求されるタイヤトレッドゴ
ム配合用カーボンブラックとしての諸性能を満足しうる
有用性がある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】窒素吸着比表面積（Ｎ2ＳＡ）が120〜165m
    2／ｇ、ＤＢＰ吸油量が120ｍ／100ｇ以上のハード系
    領域に属し、かつ下記(1)式で定義されるＧの値が下記
    (2)式の関係を満たす特性のタイヤトレッドゴム配合用
    カーボンブラック。 但し、上式において、〔△Dst〕は遠心沈降法による凝
    集体ストークス相当径分布における最大頻度の50％頻度
    が得られる大小２点のストークス相当径の差、〔st〕
    は上記凝集体ストークス相当径分布における最大頻度の
    ストークス相当径（ｎｍ）、〔Ｎ2ＳＡ〕は窒素吸着比
    表面積（m2／ｇ）、〔24M４〕は24M４ＤＢＰ吸油量（ｍ
    ／100ｇ）、〔IA〕はよう素吸着量（mg／ｇ）、ＤＢ
    ＰはＤＢＰ吸油量（ｍ／100ｇ）、〔Tint〕は比着色
    力（％）、〔CTAB〕はＣＴＡＢ比表面積（m2／ｇ）を指
    すものとする。
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