JPH06172587A - ゴム組成物 - Google Patents

ゴム組成物

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JPH06172587A
JPH06172587A JP4350448A JP35044892A JPH06172587A JP H06172587 A JPH06172587 A JP H06172587A JP 4350448 A JP4350448 A JP 4350448A JP 35044892 A JP35044892 A JP 35044892A JP H06172587 A JPH06172587 A JP H06172587A
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仁志 植
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 乗用車や軽トラックを対象とするタイヤのト
レッド用として好適な高水準の耐摩耗性能ならびに反発
弾性を兼備するゴム組成物を提供する。 【構成】 CTAB比表面積が60〜100m2/g 、圧縮DB
Pが 110〜130ml/100gのハード系領域に属し、かつ下記
の選択的特性を有するファーネスカーボンブラックをゴ
ム成分 100重量部に35〜100 重量配合してなるゴム組成
物。 (1) 10≦N2SA−IA≦20 (2)1.13 Dstモード径−23.33 ≦ΔDst≦1.13Dstモー
ド径−13.33 (3) Dp モード径≧2.66Dmpモード径+0.516 但し、Dp モード径は示差走査熱量計(DSC) で測定され
るカーボンブラック粒間のポア径分布における最大頻度
のモード径、Dmpモード径は水銀圧入法で測定される同
様のモード径を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、乗用車や軽トラック用
のタイヤトレッド部材として好適なゴム組成物、詳しく
は優れた耐摩耗性能を維持しながら高い反発弾性を具備
する低発熱性のゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ゴム補強用のカーボンブラックには、具
備特性に応じた多様の品種があり、これらの品種特性が
ゴムに配合した組成物の諸性能を決定付けるための主要
な因子となる。このため、通常ゴムへの配合に当たって
は、部材用途に適合する品種特性のカーボンブラックを
選定使用する手段が慣用されている。
【0003】例えば、ここ数年来、省資源、省エネルギ
ーの社会的要求に対応するため低燃費タイヤの開発が盛
んにおこなわれてきたが、このような低燃費タイヤに対
しては比較的粒子径が大きい品種のカーボンブラックを
相対的に少ない量でゴム成分に配合した低発熱性で高反
発弾性を備えるゴム組成物が有効である。ところが、粒
子径が大きく比表面積の小さなカーボンブラックのゴム
配合は、低燃費性能を改善する目的には有効であるが、
湿潤路面での制動性および耐摩耗性といった面の特性低
下が避けられない。したがって、粒子径が小さく、比表
面積の大きいカーボンブラックを用いて配合ゴムに高耐
摩耗性と高反発弾性を与える低発熱性とを同時に付与す
ることができれば、タイヤトレッド用ゴム部材として理
想的なものとなる。
【0004】本出願人は、上述した背反的ゴム性能を、
配合するカーボンブラックの特性面とくに粒子径、比表
面積、ストラクチャー等の基本特性に加えて一層ミクロ
な選択的特性を付加することによって両立させる研究を
系統的に継続しており、既に下記のような開発提案をお
こなっている。 (1) 窒素吸着比表面積(N2SA)が60m2/g以上、圧縮DB
Pが112ml/100g 以上のカーボンブラックに凝集体の
ストークスモード径および同分布を一定値以上に維持さ
せた、配合ゴムに高補強性能と高反発弾性を同時に付与
することができるカーボンブラック(特公平1−53978
号公報) 。 (2) N2 SA60m2/g以上、DBP108ml/100g 以
上、一定比表面積当たりの真比重値を公知のカーボンブ
ラックのそれより著しく低い特定範囲に設定するととも
に着色力ならびに凝集体モード径当たりの分布幅を一定
値以上に維持する特性のカーボンブラックを配合した高
耐摩耗性と高反発弾性を兼備するゴム組成物(特開昭59
−140241号公報) 。 (3) N2 SAが65〜84m2/g、N2 SA/ヨウ素吸着
量(IA)の比が1.10〜1.35の範囲にあり、圧縮D
BP、ブラックネス、ヨウ素吸着量および凝集体モード
径を変数とする関係式値を一定値以上に設定した、配合
ゴムに高耐摩耗性と高反発弾性を同時に付与することが
できるカーボンブラック(特開昭62−58792 号公報) 。 (4) N2 SAが75〜105m2/g、圧縮DBP110ml
/100g 以上で、一定比表面積当たりの真比重値を公知の
カーボンブララックのそれより低い特定範囲に設定する
と共に、粒子凝集体空隙直径ならびに凝集体モード径当
たりの分布幅を一定値以上に維持させた、配合ゴムに高
耐摩耗性と高反発弾性を併有させることができるカーボ
ンブラック(特開平1−201367号公報) 。 (5) 窒素吸着比表面積(N2SA)が60〜100m2/gのハー
ド系領域に属し、かつアグリゲート粒間ポアのモード径
(Dp)がDp ≦1.543×(Dstモード径)−55.
0〕の関係式を満たすフアーネスカーボンブラックを配
合した、高水準の反発弾性を保持しながら優れた耐摩耗
性を有する低発熱性ゴム組成物(特開平4−209640号公
報)。
【0005】このほか、米国特許第4360627号明
細書にはタイヤトレッドラバー用として、N2 SA85
〜95m2/g、24M4 DBP100〜104ml/100g 、T
int95〜105%で、凝集体ストークスモード径の分
布(ΔD50)を180mμ以上とした高耐摩耗性と高反
発弾性を達成するカーボンブラックが開示され、また米
国特許第4548980号明細書には、省エネルギー用
タイヤに必要な低ころがり抵抗と高度のウエットグリッ
プ性能を得るためのカーボンブラック特性として、N2
SA75〜105m2/g、N2 SA−IA≧15、N2
A−CTABSA≦5、24M4 DBP≦110、Tint
90〜110、ΔTint ≦−3が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、低燃費
タイヤに対する品質要求はますます高度化しており、よ
り高水準の反発弾性と耐摩耗性を両立させたゴム組成物
の開発が引き続き求められているのが現状である。
【0007】本発明は、このような要請に基づき従来技
術とは異なるカーボンブラックの粒子コロイダル性状と
配合ゴム性能との技術的因果関係を解明して開発に至っ
たもので、その目的は、乗用車や軽トラックを対象とし
たタイヤのトレッド用として好適な高耐摩耗性と低発熱
性を兼備するゴム組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるゴム組成物は、CTAB比表面積が6
0〜100m2/g、圧縮DBPが110〜130ml/100g
のハード系領域に属し、かつ下記の関係式 (1)〜(3) に
よる選択的特性を有するフアーネスカーボンブラックを
ゴム成分100重量部に対し35〜100重量部の割合
で配合してなることを構成上の特徴とする。 (1) 10≦N2 SA−IA≦20 (2) 1.13Dstモード径−23.33≦ΔDst≦1.13Dst
モード径−13.33 (3) Dpモード径≧2.66Dmpモード径+0.516 但し、(1) 式のN2 SAは窒素吸着比表面積、IAは沃
素吸着量を指す。(2)式のDstモード径はディスクセン
トリフュージ装置(DCF) により測定されるカーボンブラ
ックアグリゲートのストークスモード径、ΔDstは同ス
トークス径分布の半値幅を示す。また (3)式のDpモー
ド径は示差走査熱量計(DSC) により測定されるカーボン
ブラックアグリゲート粒間のポア径分布における最大頻
度のモード径、Dmpモード径は水銀圧入法で得られるカ
ーボンブラックアグリゲート粒間のポア径分布における
最大頻度のモード径を示す。
【0009】上記構成によるカーボンブラックの各特性
には、以下の測定方法によって得られる値が用いられ
る。 CTAB比表面積;ASTM D3765−89“Stan
dard Test Method for Carbon Black-CTAB(Cetyltrimet
hylammonium Bromide) Surface Area ”による。この方
法によるIRB #6のCTAB比表面積測定値は、77
m2/gである。 圧縮DBP(24M4DBP) ;ASTM D3493−91
“Standard Test Method for Carbon Black −n-Dibuty
l Phthalate Absorption Number of Compressed Sampl
e”による。この方法によるIRB #6の圧縮DBP吸
油量測定値は、87ml/100g である。 N2 SA(窒素吸着比表面積);ASTM D3037
−88“Standard Test Method for Carbon Black-Surf
ace Area by Nitrogen Absorption ”MethodBによる。
この方法によるIRB #6のN2 SA測定値は、76m2
/gである。 IA(沃素吸着量);JIS K6221(1982)「ゴム
用カーボンブラックの試験方法」6・1・1項による。
この方法によるIRB #6の沃素吸着量測定値は、80
mg/gである。
【0010】Dstモード径、ΔDst;乾燥カーボンブラ
ック試料を少量の界面活性剤を含む20vol%エタノール
水溶液と混合してカーボンブラック濃度50mg/lの分散
液を作製し、これを超音波で十分に分散させて試料とす
る。ディスク・セントリフュージ装置(英国Joyes Lobe
l 社製)を8000rpm の回転数に設定し、スピン液
(2wt% グリセリン水溶液)を10ml加えたのち、1ml
のバッファー液(20vol%エタノール水溶液)を注入す
る。ついで、カーボンブラック分散液0.5mlを注射器
で加えて遠心沈降を開始し、同時に記録計を作動させて
光学的にカーボンブラックアグリゲートのストークス相
当径の分布曲線を作成する。得られた分布曲線における
最大頻度のストークス相当径をDstモード径(nm)とし、
最大頻度の50%の頻度が得られる大小2点のストーク
ス相当径の差をΔDst(nm)とする。この測定法によるI
RB #6のDstモード径は92nm、ΔDstは68nmであ
る。
【0011】Dpモード径 ;JIS K6221(1982)
5「乾燥試料の作り方」に基づいて乾燥したのち、精秤
採取したカーボンブラック試料を蒸留水と混合してカー
ボンブラック濃度が0.250g/cm3 のペーストを作成
し、超音波で十分に分散させる。超音波分散後10分以
内に示差走査熱量計(DSC, Mettler 社製 DSC30) でアグ
リゲート粒間ポアの分布測定を開始する。この場合のペ
ースト採取量は約3〜5mgの範囲内とし、アルミ製のサ
ンプル容器に入れてシールしたのち、ペーストの質量を
確認して前記DSC装置にセットする。ついで、次のス
テップで測定する。 室温から−80℃まで急冷する。 −80℃から−5℃まで10℃/min. の速度で加熱す
る。 −5℃から−0.1℃まで1℃/min. の速度で加熱し
たのち、−0.1℃ (蒸留水の凝固点より0.1 ℃低い温
度) に10分間保持する。 −0.1℃から−8℃まで0.1℃/min. の速度で徐
々に冷却し、補償エネルギーを記録する。 そして、の段階で得られた補償エネルギーのチャート
から各温度(0.1℃刻み)の山の高さ(y)を読み取り、
下記(1) 、(2) 式からアグリゲート粒間のポア径(D
p)およびポア径分布(ΔV/ΔDp)を得る。 Dp=(135.34/ΔT)+1.14 ……(1) ΔV/ΔDp=K・(ΔT)2 /(Wa・y) ……(2) (1) および(2) 式において、ΔTは蒸留水の凝固点降下
幅、Waは蒸留水の凝固熱、KはDSC装置の感度やサ
ンプルの質量を考慮に入れた係数である。これらの式は
Brunらによって導かれたもので、Thermochimica Acta,2
1(1977) 59〜88“A NEW METHOD FOR THE SIMULTANEOUS
DETERMINATION OF THE SIZE AND THE SHAPE OF PORES :
THE THERMOPOROMETRY”に詳説されている。なお、この
方法で測定したIRB #6のDpモード径は、95.3
nmである。
【0012】Dmpモード径;水銀ポロシメーター(マイ
クロメリティクス社製、Pore Sizer 9300 )の専用セル
(3ml)中に粒度0.25〜0.50mmに調整したカー
ボンブラックペレット0.2g を装填したのち、圧力2
5〜2000lb/in2の範囲で水銀を圧入し、圧入水銀量
が急激に増加する点の圧力を測定する。この圧力値から
カーボンブラックのアグリゲート粒間ポア径を算出し、
Dmpモード径(nm)とする。なお、この方法で測定したI
RB #6のDmpモード径は、40nmである。
【0013】本発明の特性を備えるフアーネスカーボン
ブラックは、炉頭部に接線方向空気供給口と炉軸方向に
装着された燃焼バーナーを備える燃焼室と、該燃焼室と
同軸的に連設された原料油噴射ノズルを有する多段の狭
径反応室および広径反応室により構成されるオイルフア
ーネス炉を用い、原料油の分割導入条件、燃料油および
空気の供給量、酸素ガスの添加条件などを調整すること
によって製造することができる。
【0014】上記のフアーネスカーボンブラックは、常
法に従って天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリブ
タジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、その他常
用のカーボンブラックで補強可能な各種ゴム、混合ゴム
などのエラストマーに配合する。カーボンブラックの配
合比率は、ゴム成分100重量部に対し35〜100重
量部とし、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、加硫助
剤、軟化剤、可塑剤等の必要成分とともに混練して本発
明のゴム組成物を得る。
【0015】
【作用】本発明で特定したファーネスカーボンブラック
特性項目のうち、CTAB比表面積が60〜100m2/g
および圧縮DBPが110〜130ml/100g の範囲にあ
る粒子性状はハード系領域に属し、配合ゴムに高度の耐
摩耗性と適度の発熱性を保持させるための前提条件とな
る。CTAB比表面積が60m2/g未満であると耐摩耗性
の面で不十分となり、他方、100m2/gを上廻ると発熱
性が増大し、特に低燃費タイヤ用カーボンブラックとし
ての使用は困難となる。また、圧縮DBPが110ml/1
00g 未満であると十分な耐摩耗性が付与できず、130
ml/100g を越えるとゴム配合時の粘度が高くなって加工
性が低下する。
【0016】関係式(1) の特性は主に発熱性を抑制する
要素となるもので、(N2 SA−IA)の値が10未満
では低燃費タイヤ用ゴム組成物に必要な発熱性の低下が
不十分となり、他方、この値が20を越えるとゴム配合
時の粘度が高くなって実用性に乏しくなる。関係式(2)
に関与するカーボンブラックのアグリゲート分布(ΔD
st)は、広くなり過ぎると耐摩耗性の後退が大きくな
り、逆に狭くなり過ぎると発熱性の抑制効果が減退す
る。関係式(2) で規制した〔1.13Dstモード径−23.
33≦ΔDst≦1.13Dstモード径−13.33〕は、配
合ゴムに高水準の耐摩耗性と低発熱性を付与するために
最適なアグリゲート分布範囲となる。
【0017】関係式(3) も高耐摩耗性と低発熱性との両
立化に機能する特性要素となる。すなわち、カーボンブ
ラックアグリゲート粒間ポアのモード径は、カーボンブ
ラックが強固に融着結合した凝集体(アグリゲート)の
性状を示すパラメータとなるもので、測定方法によって
その値は相違する。示差走査熱量計(DSC) により測定さ
れるDpモード径は、カーボンブラックが蒸留水に分散
した状態でのアグリゲート粒間のポア径であるため、水
銀圧入法で得られるDmpモード径に比べると測定値は大
きくなる。発明者らの検討によると上市されている一般
のカーボンブラックは次式の関係にあることが確認され
た。 Dpモード径=(2.66Dmpモード径−8.343)
±5 例えば、IRB #6のDpモード径の実測値は95.3
nmであるが、この値はDmpモード径実測値40nmから算
出される上式によるDpモード径(93.1 〜103.1nm)の範
囲に入っている。本発明の選択的特性を示すカーボンブ
ラックのDpモード径は、Dmpモード径との関係におい
て上式から算出される値よりも更に高位にあり、これが
関係式(3) で特定する(2.66Dmpモード径+0.5
16)の算出値と同等以上の水準に位置している場合
に、配合ゴムに対し耐摩耗性を損ねずに低発熱性を向上
させるために有効な機能を果たす。
【0018】上記のような配合ファーネスカーボンブラ
ックの独特な性状特性ならびに機能が総合的に作用し
て、ゴム組成物に優れた耐摩耗性能と高水準の反発弾性
を示す低発熱性能を付与することが可能となる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。
【0020】実施例1〜4、比較例1〜3 炉頭部に接線方向空気供給口と炉軸方向に装着した燃焼
バーナーを有する燃焼室(直径900mm 、長さ1000mm) 、
該燃焼室と同軸的に連結され各々炉壁を貫通する原料油
噴射ノズルを備える第1段狭径反応室(直径250mm 、長
さ400mm)、第2段狭径反応室(直径200mm 、長さ400m
m)、第3段狭径反応室(直径250mm 、長さ400mm)、およ
び引き続く広径反応室(直径450mm)とから構成されたオ
イルファーネス炉を設置した。原料油には、比重(15/4
℃)1.073、粘度(エングラー40/20 ℃)2.1
0、トルエン不溶分0.03%、相関係数(BMCI)140
の芳香族炭化水素油を用い、燃料油としては、比重(15/
4 ℃)0.903,粘度(cst/50 ℃)16.1、残炭分
5.4%、引火点96℃の炭化水素油を用いた。
【0021】上記の反応炉、原料油および燃料油を用
い、各狭径反応室に対する原料油の分割供給量、燃料油
量、空気供給量、酸素ガス供給量等の生成条件を変えて
ファーネスカーボンブラックを製造した。得られたカー
ボンブラックの特性を生成条件と対応させて表1に示し
た。また、表2には参考例1〜3として市販のハード系
カーボンブラック品種の特性を示した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】 表注:(1) N351〔東海カーボン(株)製、シースト
NH〕 (2) N347〔東海カーボン(株)製、シースト3H〕 (3) N339〔東海カーボン(株)製、シーストKH〕
【0024】次に、表1および表2の各カーボンブラッ
ク試料を表3に示す配合比により油展スチレンブタジエ
ンゴム〔日本合成ゴム(株)製、JSR1712 〕に配合し
た。
【0025】
【表3】
【0026】表3の配合物を145℃の温度で50分間
加硫して得られた各ゴム組成物につき各種ゴム試験をお
こない、その測定結果を表4(実施例、比較例)および
表5(参考例)に示した。なお、ゴム特性の測定は下記
によった。このうち、摩耗量は参考例3のカーボンブラ
ックを100とした場合の相対指数で示した。また、t
anδ(損失係数)は発熱性の指標となるもので、測定
値が小さくなるほど発熱度が低いことを示す。 摩耗量;ランボーン摩耗試験機(機械式スリップ機構)
を用い、次の条件で測定した。 試験片:厚さ10mm、外径44mm エメリーホイール:GCタイプ、粒度 #80、硬度H 添加カーボランダム粉:粒度 #80、添加量 約9g/mi
n. エメリーホイール面と試験片の相対スリップ率:24
%、60% 試験片回転数:535rpm 試験荷重:4kg
【0027】tanδ(損失係数);Visco Elastic Spe
ctrometer(岩本製作所製)を用い、次の条件で測定し
た。 試験片:厚さ2mm、長さ30mm、幅5mm 周波数:50Hz 動的歪率:1.2% 温 度:60℃ その他の特性; JIS K6301「加硫ゴム物理試験法」によった。
【0028】
【表4】
【0029】
【表5】
【0030】表4および表5から、実施例の結果は同水
準のN2 SAを有しながら本発明の選択的特性要件を外
れる比較例、参考例に比べ、同等ないしそれ以上の高耐
摩耗性能を有しながら発熱性の指標となるtanδ(損
失係数)が優位に低下し、反発弾性が大幅に向上してい
ることが認められる。また、その他の補強特性も高水準
に維持されていることが判る。比較例1はΔDstが低い
ため比表面積が同等の実施例2と比べ耐摩耗性は同等レ
ベルにあるが、tanδが高くなっている。逆にΔDst
が高い比較例2はtanδは低くなっているが、耐摩耗
性が大きく後退している。Dpモード径が低い比較例3
は比較例1と比較例2の中間的な特性を示しているが、
改良幅が実施例に比べて小さい。
【0031】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば従来技術
とは異なるカーボンブラックのミクロなコロイダル性状
を選択規制することにより優れた耐摩耗性能と高い反発
弾性を備える低発熱性のゴム組成物を提供することがで
きる。したがって、乗用車や軽トラック用のタイヤトレ
ッド部材に適用して効果的な低燃費化を図ることが可能
となる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 CTAB比表面積が60〜100m2/g、
    圧縮DBPが110〜130ml/100g のハード系領域に
    属し、かつ下記の関係式 (1)〜(3) による選択的特性を
    有するファーネスカーボンブラックを、ゴム成分100
    重量部に対し35〜100重量部の割合で配合してなる
    ゴム組成物。 (1) 10≦N2 SA−IA≦20 (2) 1.13Dstモード径−23.33≦ΔDst≦1.13Dst
    モード径−13.33 (3) Dpモード径≧2.66Dmpモード径+0.516 但し、(1) 式のN2 SAは窒素吸着比表面積、IAは沃
    素吸着量を指す。 (2)式のDstモード径はディスクセン
    トリフュージ装置(DCF) により測定されるカーボンブラ
    ックアグリゲートのストークスモード径、ΔDstは同ス
    トークス径分布の半値幅を示す。また (3)式のDpモー
    ド径は示差走査熱量計(DSC) により測定されるカーボン
    ブラックアグリゲート粒間のポア径分布における最大頻
    度のモード径、Dmpモード径は水銀圧入法で得られるカ
    ーボンブラックアグリゲート粒間のポア径分布における
    最大頻度のモード径を示す。
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