[0007] 本発明の第1の態様によれば、リソグラフィ工程における使用に適したマスクアセンブリが提供され、このマスクアセンブリは、パターニングデバイスと、ペリクルを支持するように構成されマウントを用いてパターニングデバイスに搭載されたペリクルフレームと、を備えており、マウントは、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に間隙が存在するようにペリクルフレームをパターニングデバイスに対して懸架(suspend)し、マウントは、パターニングデバイスとペリクルフレームとの間の取り外し可能に係合可能な取り付けを提供する。取り外し可能に係合可能な取り付けは、運動学的連結又は(過剰)拘束取り付け((over)constrained attachment)であってもよい。過剰拘束取り付け又は過剰決定取り付け(overdetermined attachment)は、例えば、ペリクルフレームに沿って4つ以上の取り付け点を設けることによって実現される。ここで、運動学的連結とは、非過剰拘束連結(non−overconstrained connection)ならびに過剰拘束連結(overconstrained connection)の両方を含む広い意味で理解される。また、過剰拘束と拘束とは、本明細書においては同じ意味で用いられる。
[0008] 本発明のこの態様は、ペリクルフレームがパターニングデバイスから取り外されること、及びその後、例えばパターニングデバイスの洗浄を可能にするために、交換されることを可能にするので、有利である。また、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に間隙があるため、ペリクルフレームは、パターニングデバイスに取り付けられるとき、パターニングデバイスに擦れない。このことは、ペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けるときに汚染粒子が発生し得る程度を低減する。間隙寸法は、低圧では周囲の気体媒体(例えば空気又はN2)がより高速で流れるように、その一方で高圧の場合には気体がより低速で流れるように、変更され得る。特に低圧では、保護されたパターン領域の上方の容積にデブリ粒子が進入するのを食い止めるために、流速がより速いことが極めて重要である。
[0009] マウントは、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に運動学的連結を提供し得る。本明細書において、運動学的連結とは、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に(マウント又はサブマウントを介して)拘束を適用することとして理解され、その結果、ペリクルフレームの自由度の減少がもたらされる。運動学的連結は、ペリクルフレームが膨張するとき、自由に膨張できる1又は2方向(自由度)を有する。
[0010] マウントは複数のサブマウントを備えていてもよい。
[0011] 各サブマウントは運動学的サブマウントであってもよい。
[0012] 各サブマウントは、そのサブマウントにおけるパターニングデバイスに対するペリクルフレームの一区画の移動を可能にするように構成された弾性の構成要素を含んでいてもよい。本明細書において、弾性の構成要素とは、撓み性/可撓性を保証する非剛性の部分を意味する。
[0013] 各サブマウントは、そのサブマウントにおける少なくとも1つの方向の移動が防止されるように、そのサブマウントにおけるパターニングデバイスに対するペリクルフレームの移動を限られた数の自由度に抑制するように構成されていてもよい。本明細書において、そのようなサブマウントは、運動力学的拘束と考えられる。ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に運動力学的拘束を加えることは、対応してペリクルフレームの自由度を減少させるであろう。例えば、(サブ)マウントはz方向では係止され、x方向もしくはy方向のいずれか又はx方向及びy方向の両方での膨張は可能にしてもよい。
[0014] 各サブマウントは、パターニングデバイス又はペリクルフレームのうち一方に取り付けられた突起と、パターニングデバイス又はペリクルフレームのうち他方に取り付けられた係合機構とを備えていてもよく、係合機構は突起を収容するとともにこれと係合するように構成されている。突起はスタッドとも称され得る。
[0015] 係合機構は、突起に対する係合機構のいくらかの移動を可能にするように構成された1つ以上の弾性部材を備えていてもよい。
[0016] 係合機構は、1つ以上のアームによってペリクルフレーム又はパターニングデバイスに連結された係止部材を備えていてもよい。
[0017] 1つ以上のアームは、ペリクルフレーム又はパターニングデバイスの平面に概ね平行に延伸していてもよい。
[0018] 第1の係合機構の1つ以上のアームは、ペリクルフレーム又はパターニングデバイスの縁に概ね平行に延伸してもよく、第2の係合機構の1つ以上のアームは、ペリクルフレーム又はパターニングデバイスの縁に概ね垂直に延伸してもよい。
[0019] 係止部材は、2つのアームによってペリクルフレーム又はパターニングデバイスに連結されてもよい。
[0020] 突起はシャフトに設けられた遠位ヘッドを備えていてもよく、係止部材は遠位ヘッドの下でシャフトと係合するように構成されていてもよい。パターニングデバイスへの取り付けのために設けられた突起の下部は円形(又は他の形状)の断面を有していてもよく、パターニングデバイスに取り付けられるために底部には平坦な表面を備える。シャフト及び/又は遠位ヘッドは、係止部材とのヘルツ接触を提供するように配置されてもよい。
[0021] 係止部材は、突起の遠位ヘッドの下の第1の係止位置から突起の遠位ヘッドの下ではない第2の非係止位置へと移動可能な固定されていない端部を有する一対のばねを備えていてもよい。ばねは互いに切り離され得る。
[0022] ばねの固定されていない端部は、突起の遠位ヘッドの下にあるように弾性的に付勢されてもよい。ばねの固定されていない端部は、係止位置と非係止位置との間の中間位置へと弾性的に付勢されてもよい。
[0023] ばねの固定されていない端部は、突起のシャフトに接触しないように弾性的に付勢されてもよい。ばねの固定されていない端部は、突起に接触しないように弾性的に付勢されてもよい。ばねの固定されていない端部は、平衡位置にあるとき、係止部材の他の部分に接触しないように弾性的に付勢されてもよい。
[0024] 係止部材は、ばねの固定されていない端部を突起の遠位ヘッドに押し付けるように弾性的に付勢された部材をさらに備えていてもよい。
[0025] この部材は、一対の弾性のアームの間に延在する連結部材であってもよい。代替的には、この部材は単一の弾性のアーム上に提供されてもよい。
[0026] 弾性の1つ又は複数のアームは、パターニングデバイスのパターン表面に概ね垂直な方向に撓むように構成されていてもよい。
[0027] 弾性の1つ又は複数のアームは、パターニングデバイスのパターン表面に概ね平行な方向には撓まないように構成されていてもよい。
[0028] 係止部材は、各々が内側に突出する係合タブを遠位端に有する一対の係合アームを備えていてもよく、係合タブは突起の遠位ヘッドと係合し、係合アームは突起の遠位ヘッドから遠ざかる方向に弾性変形可能である。
[0029] 各サブマウントの各係止部材の係合アームは、いずれも略同じ方向に延伸していてもよい。
[0030] 係合アームは、いずれもリソグラフィ装置の非スキャン方向に対応する方向に延伸していてもよい。
[0031] 第1の係合機構の係合アームは、その係合機構の1つ以上のアームに概ね平行に延伸していてもよく、第2の係合機構の係合アームは、その係合機構の1つ以上のアームに概ね垂直に延伸していてもよい。
[0032] 係合アームは、係合タブを突起の遠位ヘッドに押し付けるように弾性的に付勢されてもよい。
[0033] 係合アームは、パターニングデバイスのパターン表面に概ね平行な方向には撓まないように構成されていてもよい。
[0034] 係止部材は、遠位ヘッドを通過して突起のシャフトと係合することを可能にするように弾性変形可能であってもよい。
[0035] 係止部材は支持部に搭載された係止板を備えていてもよく、係止板は、係止板の凹部が遠位ヘッドの下でシャフトと係合する位置まで移動可能である。
[0036] 係合機構は、ペリクルフレームがパターニングデバイスに接触するのを防止する移動制限構成要素をさらに備えていてもよい。
[0037] 係合機構は、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間の間隙を維持する移動制限構成要素をさらに備えていてもよい。
[0038] 移動制限構成要素は、突起の遠位面と係合するように構成されたキャップを備えていてもよい。
[0039] マウントは3つ以上のサブマウントを備えていてもよい。
[0040] マウントは4つのサブマウントを備えていてもよい。
[0041] マスクアセンブリの一側部に2つのサブマウントが設けられていてもよく、マスクアセンブリの反対の側部に2つのサブマウントが設けられていてもよい。
[0042] ペリクルフレームの各側部は、第1の方向の移動を可能にするサブマウントと、第1の方向に略垂直であるか又は別の角度を形成する第2の方向の移動を可能にするサブマウントとを備えていてもよい。
[0043] サブマウントは、ペリクルフレームの対向する側部の等価な位置に、相補対として設けられてもよい。
[0044] ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間の間隙は、少なくとも100ミクロンであってもよい。
[0045] ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間の間隙は、300ミクロン未満であってもよい。
[0046] ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間の間隙は、200ミクロン乃至300ミクロンであってもよい。
[0047] ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間の間隙は、サブマウントの付近では他の箇所におけるよりも小さくてもよい。
[0048] サブマウントの付近の間隙は、例えば200ミクロン未満であってもよい。
[0049] サブマウントの付近の間隙は、およそ100ミクロン未満であってもよく、例えば50nmなど1ミクロン未満でさえあり得る。
[0050] 本発明の第2の態様によれば、サブマウントを突起に取り付ける方法が提供され、サブマウントは固定されていない端部を有する一対のばねと部材とを備えており、突起はシャフトに設けられた遠位ヘッドを備えており、この方法は、ばねの固定されていない端部を部材との接触から離れて遠ざかるように移動させることと、突起の下に空間を創出するために部材を突起の遠位ヘッドから遠ざかるように移動させることと、ばねの固定されていない端部が突起の遠位ヘッドの下の空間内の平衡位置に移動することを可能にすることと、部材がばねの固定されていない端部を突起の遠位ヘッドに押し付けるように部材が弾性付勢の下で遠位ヘッドに向かって移動することを可能にすることと、を備える。
[0051] 本発明の第3の態様によれば、サブマウントを突起から取り外す方法が提供され、サブマウントは、固定されていない端部を有する一対のばねと部材とを備え、突起は、シャフトに設けられた遠位ヘッドを備え、この方法は、ばねの固定されていない端部が遠位ヘッドから遠ざかるように移動することを可能にするために部材を突起の遠位ヘッドから遠ざかるように移動させることと、ばねの固定されていない端部を離れるように移動させることと、部材が弾性付勢の下で遠位ヘッドに向かって移動することを可能にすることと、ばねの固定されていない端部が一緒に移動して部材の側部を押圧することを可能にすることと、を備える。
[0052] ばねの固定されていない端部は、一対のアクチュエータアームによって離れるように移動されてもよい。
[0053] 部材は、部材によって連結された一対の弾性のアームを押圧する一対のピンによって移動されてもよい。
[0054] サブマウントはペリクルフレームに設けられてもよく、突起はパターニングデバイスに設けられてもよい。
[0055] 本発明の第4の態様によれば、サブマウントを突起に取り付ける方法が提供され、サブマウントは、1つ以上のアームによってペリクルフレームに連結された係止部材を有する係合機構を備え、係止部材は、各々が内側に突出する係合タブを遠位端に有する一対の係合アームを備え、この方法は、係合タブと係合機構のキャップとの間の分離を拡大するために係合アームの端部を平衡位置から遠ざかるように移動させることと、係合タブが突起の遠位ヘッドと概ね整列するまでサブマウントと突起とを互いに対して横に移動させることと、係合タブが突起の遠位ヘッドを押圧するように係合アームが弾性付勢の下で遠位ヘッドに向かって移動することを可能にすることと、を備える。
[0056] サブマウントはペリクルフレームに連結された複数のサブマウントのうちの1つであってもよく、複数のサブマウントはいずれも関連する突起に対して同時に横に移動され、又は、突起はいずれも関連するサブマウントに対して同時に横に移動される。
[0057] 係合アームは、係合アームを押圧する一対のピンによって移動されてもよい。
[0058] サブマウントはペリクルフレームに設けられてもよく、突起はパターニングデバイスに設けられる。
[0059] 本発明の第5の態様によれば、リソグラフィ工程における使用に適したマスクアセンブリが提供され、このマスクアセンブリは、パターニングデバイスと、ペリクルを支持するペリクルフレームとを備えており、ペリクルフレームはパターニングデバイスに搭載され、ペリクルフレームはキャッピング層を備えている。
[0060] ペリクルフレームに設けられたキャッピング層は、ペリクルに設けられたキャッピング層と同一の材料から形成されてもよい。
[0061] 本発明の第6の態様によれば、リソグラフィ工程における使用に適したマスクアセンブリが提供され、このマスクアセンブリは、パターニングデバイスと、ペリクルを支持するペリクルフレームとを備えており、ペリクルフレームはパターニングデバイスに搭載され、ペリクルフレーム及びペリクルは、同一の材料から、又は同一の熱膨張率を有する異なる材料から形成される。
[0062] ペリクルフレーム及びペリクルを同一の材料から、又は同一の熱膨張率を有する異なる材料から作製することは、ペリクルフレーム及びペリクルが加熱されたときに異なる割合で膨張する場合に起こり得る屈曲を回避する(すなわち、バイメタル片に見られる種類の屈曲を回避する)ので、有利である。
[0063] 本発明の第7の態様によれば、リソグラフィ工程における使用に適したマスクアセンブリが提供され、このマスクアセンブリは、パターニングデバイスと、パターニングデバイスに固定されたサブフレームと、ペリクルを支持するように構成されたペリクルフレームと、ペリクルフレームのサブフレームへの取り付け及びペリクルフレームのサブフレームからの取り外しを可能にするように動作可能な機械的取り付けインタフェースとを備えている。
[0064] 機械的取り付けインタフェースは、ペリクルフレームをパターニングデバイスに接着することを要さずに、ペリクルフレームがパターニングデバイスに便利に取り付けられ取り外されることを可能にする。これは、パターニングデバイスに取り付けられたペリクルフレームを交換することによるペリクルの便利な交換を可能にする。ペリクルフレームをパターニングデバイスに便利に取り付け取り外すことが可能であることは、パターニングデバイスの追加的な領域がペリクルフレームのために用いられることを可能にし得る。なぜなら、ペリクルフレームをパターニングデバイスから取り外すことによって、これらの領域へのアクセスが提供され得るからである。パターニングデバイスの追加的な領域がペリクルフレームのために用いられることを可能にすることは、ペリクルフレームの寸法が増大されることを可能にし、それによってペリクルフレームの強度を高める。
[0065] パターニングデバイスはパターニングデバイスの前面に、前面の範囲がパターニングデバイスの後面に対して小さくなる切取部を含んでいてもよく、切取部はペリクルフレームの一部を収容するように構成される。
[0066] 切取部は、ペリクルフレームの範囲が増大されることを可能にし、それによってペリクルフレームの強度を高める。切取部はパターニングデバイスに対するペリクルフレームの位置を制約するので、切取部は、パターニングデバイス上でのペリクルフレームの正確な位置決めを提供し得る。
[0067] 切取部は、パターニングデバイスの前面の外側範囲に隣接して位置決めされてもよい。
[0068] サブフレームは切取部に隣接して位置決めされてもよい。
[0069] サブフレームはパターニングデバイスに接合されてもよい。
[0070] サブフレームはグルーが配置される凹部を有し、グルーは、凹部とパターニングデバイスとによって囲まれた容積内に位置決めされる。
[0071] 囲まれた容積内にグルーを配置することは、グルーからのアウトガスの産物を拘束するので、アウトガスの産物がパターニングデバイスを汚染するのを防止する。また、グルー接合を(パターン領域と比較して)小さな領域に、且つパターニングデバイスのパターン領域から離れて提供することによって、レチクル、ペリクルフレーム、及びペリクル膜に生じる変形が少なくなる。
[0072] 本発明の第8の態様によれば、リソグラフィ工程における使用に適したマスクアセンブリが提供され、このマスクアセンブリは、パターニングデバイスと、ペリクルを支持するように構成されマウントを用いてパターニングデバイスに搭載されたペリクルフレームとを備えており、マウントは、パターニングデバイスに対するペリクルフレームの少なくとも一区画の移動を可能にするように構成された可撓性の構成要素を含む。
[0073] パターニングデバイスに対するペリクルフレームの一区画の移動を可能にするように構成された可撓性の構成要素を含むことは、パターニングデバイスにかかる応力を低減する。例えば、使用の際、パターニングデバイス及び/又はペリクルフレームは(例えばパターニングデバイス及び/又はペリクルフレームの加熱及び冷却に起因して)膨張及び収縮し得る。パターニングデバイス及び/又はペリクルフレームの膨張及び収縮は、ペリクルフレームとパターニングデバイスとが互いに取り付けられる点の周囲に応力を発生し得る。パターニングデバイスに対するペリクルフレームの区画の移動を可能にすることは、発生された応力を低減する。
[0074] マウントは、パターニングデバイスに対してペリクルフレーム全体が回転又は並進運動を与えられることを防止するべく、ペリクルフレームの移動を制約するように構成されていてもよい。
[0075] マウントは複数のサブマウントを備えていてもよく、各サブマウントは異なる位置でパターニングデバイスとペリクルフレームとの間の取り付けを提供し、各サブマウントはその位置におけるパターニングデバイスに対するペリクルフレームの一区画の移動を可能にするように構成された可撓性の構成要素を含む。
[0076] 各サブマウントは、そのサブマウントにおける少なくとも1つの方向の移動が防止されるように、そのサブマウントにおけるパターニングデバイスに対するペリクルフレームの移動を限られた数の自由度に抑制するように構成されていてもよい。
[0077] マウントは3つのサブマウントを備えていてもよい。
[0078] 可撓性の構成要素は弾性要素を備えていてもよい。
[0079] 本発明の第9の態様によれば、リソグラフィ工程における使用に適したマスクアセンブリが提供され、このマスクアセンブリは、パターニングデバイスと、ペリクルを支持するように構成されパターニングデバイスの一領域を囲むようにマウントを用いてパターニングデバイスに搭載されたペリクルフレームとを備えており、ペリクルフレームは伸張部分及び非伸張部分を含み、ペリクルフレームの伸張部分はペリクルフレームの非伸張部分の幅よりも大きい幅を有する。
[0080] 伸張部分は、ペリクルがペリクルフレームに取り付けられ得る追加的な表面領域を提供する。これは、(ペリクルの残りの部分に対して増大された厚さを有する)ペリクルの境界部の範囲が増加されることを可能にする。増加された範囲を備えた境界部を有するペリクルは、境界部を把持することによるペリクルの便利な取り扱いを可能にし得る。
[0081] 1つ以上の穴は、伸張部分に設けられてもよく、気体がペリクルフレームを通って流れることを可能にするように構成されていてもよい。
[0082] 伸張部分の増大された幅は、伸張部分がペリクルフレームの残りの部分に対して高められた強度を有することを意味し得る。これは、伸張部分を、ペリクルフレームの強度を有意に備えることなく気体がペリクルフレームを通って流れることを可能にするために、穴を支持するのに適したものにし得る。
[0083] 伸張部分のうち少なくとも1つは、アライメントマークを備えていてもよい。
[0084] 伸張部分は、くり抜き部分を含んでいてもよい。
[0085] マスクアセンブリは、ペリクルフレームによって支持され得るペリクルをさらに備えていてもよい。ペリクルは、ペリクルの残りの部分よりも大きい厚さを有する境界部を含んでいてもよい。
[0086] ペリクルの境界部は、ペリクルフレームの伸張部分と対応する伸張部分を含んでいてもよい。
[0087] ペリクルの伸張部分は、気体が通過して流れ得る気孔を含んでいてもよく、気孔は、気体が気孔を通ってペリクルとパターニングデバイスとの間の容積に流入及び流出することを可能にするべくペリクルフレームのくり抜き部分と整列される。伸張部分はアライメントマークを備えていてもよい。
[0088] 気体がペリクルの気孔を通って流れることを可能にすることは、ペリクルフレームにおける穴又はフィルタの必要を減少させ又は除去し、それによってペリクルフレームの強度を高め得る。
[0089] マスクアセンブリは、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に間隙を提供するように構成されていてもよく、間隙は、使用時に、気体が間隙を通ってペリクルフレームによって支持されたペリクルとパターニングデバイスとの間の容積に流入及び流出可能となるように構成されている。
[0090] ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に間隙を提供することは、ペリクルフレームに穴又はフィルタを設けることなしにペリクルの全体にわたる圧力均等化を可能にする。
[0091] ペリクルフレームはフレームの本体に窓を含んでいてもよく、窓は1つ以上の放射ビームの透過を可能にするように構成されている。
[0092] 窓は、ペリクルフレームがパターニングデバイスに装着されるときに、パターニングデバイスのアライメントマーク又は識別マークへのアクセスを可能にし得る。
[0093] 窓は、粒子が窓を通過するのを防止するように構成されていてもよい。
[0094] ペリクルフレームは、ペリクルフレームを通って延伸するがペリクルフレームを通るパターニングデバイスへの直接的な見通し線は提供しない穴を含んでいてもよい。
[0095] ペリクルフレームを通って延伸する穴は、ペリクルフレームを通る直接的で妨害のない経路を提供しなくてもよい。
[0096] マスクアセンブリは、ペリクルフレームがパターニングデバイスの前面の全体を実質的に包囲するように構成されていてもよい。
[0097] ペリクルフレームは光学的圧着によってパターニングデバイスに取り付けられてもよい。
[0098] 光学的圧着による取り付けは、ペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けるためにグルーを用いる必要を減少させ又はなくし得る。これは、グルーからのアウトガスの産物の存在を有利に低減する。
[0099] マスクアセンブリは、ペリクルフレームによって支持されたペリクルをさらに備えていてもよく、パターニングデバイスとペリクルとの間には導電経路が提供される。
[00100] パターニングデバイスとペリクルフレームとの間に導電性材料が提供されてもよく、ペリクルフレームとペリクルとの間に導電性材料が提供されてもよい。
[0100] 本発明の第10の態様によれば、リソグラフィ工程における使用に適したパターニングデバイスが提供され、このパターニングデバイスは、パターンを付与された前面と、支持構造への固定に適した後面とを備えており、前面は、前面の範囲が後面に対して小さくなる切取部を含み、切取部はペリクルフレームの一部を収容するように構成されている。
[0101] パターニングデバイスは、パターニングデバイスに固定されたサブフレームをさらに備えていてもよく、サブフレームは、ペリクルフレームをサブフレームに選択的に取り付けるように動作可能な機械的取り付けインタフェースを含む。
[0102] 本発明の第11の態様によれば、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、先行するいずれかの請求項によるマスクアセンブリであってパターニングされた放射ビームを形成するべく放射ビームの断面にパターンを付与するように構成されたマスクアセンブリを支持する支持構造と、基板を保持するように構築された基板テーブルと、パターニングされた放射ビームを基板上に投影するように構成された投影システムとを備えるリソグラフィ装置が提供される。
[0103] 本発明の第12の態様によれば、リソグラフィ装置内で使用されるペリクルアセンブリが提供され、このペリクルアセンブリは、パターニングデバイスへの取り付けに適したペリクルフレームと、ペリクルフレームによって支持されたペリクルとを備え、このペリクルは、平面を定義するようにペリクルフレームの全体にわたって延伸する薄膜部と、ペリクルフレームに取り付けられ薄膜部の厚さよりも大きい厚さを有する境界部とを備え、境界部のうち少なくともいくらかは、薄膜部によって定義される平面から出てペリクルフレームから遠ざかるように延伸する。
[0104] 境界部の、薄膜部によって定義される平面から出てペリクルフレームから遠ざかるように延伸する厚さは、境界部の、薄膜部によって定義される平面から出てペリクルフレームに向かって延伸する厚さよりも大きくてもよい。
[0105] 境界部は、境界部がペリクルフレームに取り付けられる第1の表面を有していてもよく、第1の表面は、薄膜部によって定義される平面と略同一平面となってもよい。
[0106] 本発明の第13の態様によれば、パターニングデバイスへの取り付け及びパターニングデバイスに隣接するペリクルの支持に適したペリクルフレームが提供され、パターニングデバイスは、パターン領域を有するとともにリソグラフィ工程における使用に適しており、ペリクルフレームは、ペリクル又はパターニングデバイスのペリクルフレームへの取り付けのためのグルーを収容するように構成された凹部を備え、凹部は、使用時に、ペリクル又はパターニングデバイスのペリクルフレームへの取り付けが、グルーからのアウトガスの産物がパターニングデバイスのパターン領域に到達するのを防止するべく、グルーをパターニングデバイスのパターン領域から密閉させるように構成されている。
[0107] 凹部は、使用時に、ペリクル又はパターニングデバイスのペリクルフレームへの取り付けが、凹部とペリクル又はパターニングデバイスとによって囲まれた容積内にグルーを閉じ込めさせるように構成されていてもよい。
[0108] ペリクルフレームは複数の凹部を備えていてもよく、その複数の凹部のうち少なくとも1つは、ペリクルのペリクルフレームへの取り付け用のグルーを収容するように構成されていてもよく、凹部のうち少なくとも1つは、パターニングデバイスのペリクルフレームへの取り付け用のグルーを収容するように構成されていてもよい。
[0109] 複数の凹部はペリクルフレームの周囲に分布していてもよく、各凹部は、途中まではペリクルフレームの外縁からペリクルフレームの内縁へと延伸し、ペリクルフレームの外縁に戻る。
[0110] 第14の態様によれば、第7の態様によるペリクルフレームと、ペリクルフレーム内の凹部に配置されたグルーによってペリクルフレームに取り付けられたペリクルとを備えるペリクルアセンブリが提供される。
[0111] 本発明の第15の態様によれば、パターニングデバイス、ペリクルフレーム、及びペリクルを収容し、ペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けて、ペリクルフレームがパターニングデバイスに隣接してペリクルを支持するマスクアセンブリを形成するように構成されたペリクルフレーム取り付け装置と、ペリクルフレーム取り付け装置からマスクアセンブリを受け取ってマスクアセンブリを支持するように構成された支持構造、マスクアセンブリのパターニングデバイスがパターニングされた放射ビームを形成するべく調整された放射ビームの断面にパターンを付与するように構成されているところ、放射ビームを調整して、調整された放射ビームでマスクアセンブリを照明するように構成された照明システム、基板を保持するように構築された基板テーブル、及びパターニングされた放射ビームを基板上に投影するように構成された投影システムを備えるリソグラフィ装置と、を備えるリソグラフィシステムが提供され、このリソグラフィシステムは、リソグラフィ装置での使用のためにペリクルフレーム取り付け装置からリソグラフィ装置へとマスクアセンブリを輸送するように構成されたマスクアセンブリ輸送デバイスをさらに備える。
[0112] ペリクルフレーム取り付け装置は、密閉環境でペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けるように構成されていてもよい。
[0113] ペリクルフレーム取り付け装置は、ペリクルフレーム取り付け装置の密閉環境を真空圧条件まで排気するように構成された真空ポンプを備えていてもよい。
[0114] マスクアセンブリ輸送デバイスは、ペリクルフレーム取り付け装置からリソグラフィ装置へとマスクアセンブリを密閉環境で輸送するように構成されていてもよい。
[0115] マスクアセンブリ輸送デバイスは、マスクアセンブリ取り付け装置の密閉環境を真空圧条件まで排気するように構成された真空ポンプを備えていてもよい。
[0116] リソグラフィシステムは、ペリクル、ペリクルフレーム、及びパターニングデバイスのうち1つ以上を汚染又は欠陥のうち少なくとも一方について検査するように構成された検査装置をさらに備えていてもよい。
[0117] ペリクルフレーム取り付け装置は、ペリクルフレームに取り付けられたペリクルを収容するとともに、ペリクルを取り付けられたペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けるように構成されていてもよい。
[0118] 照明システムはEUV放射ビームを調整するように構成されていてもよい。
[0119] ペリクルフレーム取り付け装置は、EUV放射線に対して実質的に透明のペリクルを収容するように構成されていてもよい。
[0120] 本発明の第16の態様によれば、パターニングデバイスと、ペリクルフレーム及びペリクルを備えるペリクルアセンブリとを収容するように構成されたペリクルフレーム取り付け装置が提供され、ペリクル取り付けデバイスは、ペリクルフレームに設けられたサブマウントの係合機構を動作させるように構成されたアクチュエータを備えており、アクチュエータは、ペリクルアセンブリを収容する制御環境をペリクルフレーム取り付け装置の他の部分から分離するパーティションに設けられた開口を貫通して突出する。
[0121] パーティションは、ペリクルフレーム縁及び/又はパターニングデバイスのアライメントマークがパーティションの反対側から視認できるように位置決めされた窓を含んでいてもよい。
[0122] アクチュエータは、パーティションの平面に垂直に移動可能なピンを備えていてもよい。
[0123] アクチュエータは、互いに接近し及び遠ざかるように移動可能な一対のアームを備えていてもよい。
[0124] アクチュエータの端部は頑丈な材料の被覆を備えていてもよい。
[0125] ペリクルフレーム取り付け装置は制御環境内に気体出口を含んでいてもよく、気体出口は、パーティションの反対側の気体圧力よりも高い圧力で気体を供給するように構成されている。
[0126] 本発明の第17の態様によれば、ペリクル及びペリクルフレームを収容し、ペリクルをペリクルフレームに取り付けてペリクルアセンブリを形成し、ペリクルアセンブリの輸送に適した密閉包装によってペリクルアセンブリを密閉包装内に密閉するように構成されたペリクル取り付け装置が提供される。
[0127] ペリクル取り付け装置は、密閉環境でペリクルをペリクルフレームに取り付けるように構成されていてもよい。
[0128] ペリクル取り付け装置は、密閉環境を真空圧条件まで排気するように構成された真空ポンプをさらに備えていてもよい。
[0129] ペリクル取り付け装置は、ペリクル及びペリクルフレームのうち一方又は両方を汚染又は欠陥のうち少なくとも一方について検査するように構成された検査装置をさらに備えていてもよい。
[0130] 本発明の第18の態様によれば、パターニングデバイスを保持するように構成されたテーブルと、スタッドをパターニングデバイスと接触させるスタッドマニピュレータとを備えるスタッド取り付け装置が提供され、スタッドマニピュレータはパターニングデバイスを収容する制御環境からパーティションによって分離されており、パーティションは、パターニングデバイスに接触するためにスタッドが貫通して突出し得る穴を含む。スタッドが、例えば接着によってパターニングデバイスに取り付けられているときには、パターニングデバイスのパターン領域から離れて位置する(パターン領域と比較して)小さな接合領域に起因して、レチクル、ペリクルフレーム、及び/又はペリクル膜自体に生じる変形が少なくなるであろう。
[0131] スタッドマニピュレータは複数のスタッドマニピュレータのうちの1つであってもよく、パーティションの穴は複数の穴のうちの1つであってもよい。
[0132] スタッド取り付け装置は制御環境内に気体出口を含んでいてもよく、気体出口は、パーティションの反対側の気体圧力よりも高い圧力で気体を供給するように構成されている。
[0133] スタッドマニピュレータの周囲には、使用時にパターニングデバイスに対して密閉してパターニングデバイスのスタッド収容部分をパターニングデバイスの他の部分から隔離するシールが提供されてもよい。
[0134] 送気チャネル及び気体抽出チャネルが提供されてもよく、これらを介して気体の流れがパターニングデバイスのスタッド収容部分に及びそこから提供される。
[0135] 本発明の第19の態様によれば、パターニングデバイスを保持するように構成されたテーブルと、スタッドの端部を収容するように配置されるとともにスタッドをパターニングデバイスに取り付けるグルーの強度を減少させることによりスタッドがパターニングデバイスから取り外されることを可能にするためにスタッドを加熱するヒータを含むアクチュエータとを備えるスタッド取り外し装置が提供される。
[0136] アクチュエータは、各々が、スタッドの遠位ヘッドを収容し保持するように構成されたスタッドグリッパを備えていてもよい。
[0137] スタッドグリッパは、スタッドの首部よりも幅広くスタッドの遠位ヘッドよりも狭い分離を有する一対のフランジを備えていてもよい。
[0138] スタッドグリッパの周囲には、使用時にパターニングデバイスに対して密閉してパターニングデバイスのスタッド保持部分をパターニングデバイスの他の部分から隔離するシールが提供されてもよい。
[0139] 送気チャネル及び気体抽出チャネルが提供されてもよく、これらを介して気体の流れがパターニングデバイスのスタッド保持部分に及びそこから提供される。
[0140] 本発明の第20の態様によれば、パターニングデバイスとペリクルフレームに支持されたペリクルとを備えるマスクアセンブリが提供され、ペリクルフレームにはチャネルが設けられ、又はペリクルフレームとパターニングデバイスとの間には間隙が存在し、チャネル又は間隙の壁はエレクトレット材料を備える。
[0141] チャネル又は間隙の壁はエレクトレット材料の被覆を備えていてもよい。
[0142] 本発明の第21の態様によれば、パターニングデバイス及びフレームを備えるマスクアセンブリが提供され、フレームはペリクルを備えていない。換言すれば、膜又は薄膜がフレームの全体に延伸しない。
[0143] 本発明の第22の態様によれば、パターニングデバイスとペリクルフレームに支持されたペリクルとを備えるマスクアセンブリが提供され、ペリクルの外面には放射線吸収材料が提供される。
[0144] ペリクルフレームは、2mmよりも有意に大きい厚さを有し得る。「厚さ」という用語は、パターニングデバイスの平面に平行な方向におけるペリクルフレームの幅(例えばX方向及びY方向のペリクルフレームの幅)を参照するものと解釈され得る。
[0145] ペリクルフレームは、3mm以上の厚さを有し得る。
[0146] 本発明の第23の態様によれば、基部及び遠位ヘッドを備えるスタッドが提供され、基部は平坦な底面を有し、この平坦な底面にはポリマ膜が共有結合されている。
[0147] スタッドの基部のポリマ膜は、ファンデルワールス力によって可逆的にマスクに接合されてもよい。
[0148] 本発明の第24の態様によれば、サブマウントを突起に取り付ける方法が提供され、この方法は、非係止位置から突起に隣接するが接触しない中間位置へと係止部材を移動させることと、その後、保持部材を用いて、係止部材が突起を押圧する係止位置へと係止部材を移動させることと、を備える。
[0149] 係止部材は、係止部材の表面が突起の表面に対して摺動することなく、係止位置へと移動され得る。
[0150] 係止部材は、係止部材を突起の表面に略垂直な方向に移動させることによって、係止位置へと移動され得る。係止部材と突起との間で接触が発生するときに、両者の表面の互いに対する摺動が存在しないので、これは有利である。
[0151] サブマウントはペリクルフレームに取り付けられてもよく、突起はマスクから延伸してもよい。
[0152] 係止部材は、固定されていない端部を有する一対のばねを備えていてもよい。
[0153] 本発明の第25の態様によれば、サブマウントを突起から取り外す方法が提供され、この方法は、保持部材を係止部材から遠ざかるように移動させることと、係止部材が突起を押圧する係止位置から突起に隣接するが接触しない中間位置へと係止部材を移動させることと、その後、係止部材が保持部材を押圧する非係止位置へと係止部材を移動させることと、を備える。
[0154] 本発明の第26の態様によれば、リソグラフィ装置内で使用されるマスクアセンブリが提供され、このマスクアセンブリは、パターニングデバイスと、ペリクルを支持するように構成されマウントを用いてパターニングデバイスに搭載されたペリクルフレームとを備えており、マウントはペリクルフレームがパターニングデバイスに対して懸架されるように構成されており、マウントはパターニングデバイスとペリクルフレームとの間に取り外し可能な取り付けを提供し、マウントは、パターニングデバイス又はペリクルフレームのうち一方に取り付けられた突起と、突起と係合するように構成された係合機構であって弾性変形可能なアームを備える係合機構とを備えており、弾性変形可能アームは、開いた構造では係合機構の係止位置への突起の移行を可能にし、閉じた構造では突起と係合するように配置され、それによって突起は係合機構の係止位置に係止される。係合機構の係止位置への突起の移行は、突起との機械的な摺動接触なしに行われるように手配される。
[0155] 本発明の第26の態様によれば、リソグラフィ装置内で使用されるマスクアセンブリが提供され、このマスクアセンブリは、パターニングデバイスと、ペリクルを支持するように構成されマウントを用いてパターニングデバイスに搭載されたペリクルフレームとを備えており、マウントは、ペリクルフレームがパターニングデバイス上に過剰拘束されるように構成されている。
[0156] 上記に記載された又は以下の説明において参照される1つ以上の態様又は特徴は、1つ以上の他の態様又は特徴と組み合わせられ得ることが察知されるであろう。
[0157] 次に本発明の実施形態を、単なる例として、添付の概略的な図面を参照して説明する。
[0187] 図1は、本発明の一実施形態によるマスクアセンブリを含むリソグラフィシステムを示す。リソグラフィシステムは、放射線源SO及びリソグラフィ装置LAを備える。放射線源SOは、極紫外(EUV)放射ビームBを生成するように構成されている。リソグラフィ装置LAは、照明システムILと、パターニングデバイスMA(例えばマスク)を含むマスクアセンブリ15を支持するように構成された支持構造MTと、投影システムPSと、基板Wを支持するように構成された基板テーブルWTとを備える。照明システムILは、パターニングデバイスMAに入射する前に放射ビームBを調整するように構成されている。投影システムは、放射ビームB(今やパターニングデバイスMAによってパターニングされている)を基板W上に投影するように構成されている。基板Wは先に形成されたパターンを含んでいてもよい。その場合、リソグラフィ装置は、パターニングされた放射ビームBを先に基板W上に形成されたパターンと整列させる。
[0188] 放射線源SO、照明システムIL、及び投影システムPSはすべて、外部環境から隔離され得るように構築及び配置されていてもよい。放射線源においては大気圧を下回る圧力の気体(例えば水素)が提供されてもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPSにおいては真空が提供されてもよい。照明システムIL及び/又は投影システムPSにおいては大気圧を大きく下回る圧力の少量の気体(例えば水素)が提供されてもよい。
[0189] 図1に示される放射線源SOは、レーザ生成プラズマ(LPP)源と称され得る種類のものである。例えばCO2レーザであり得るレーザ1は、レーザビーム2を介して、エネルギを、燃料エミッタ3から提供されるスズ(Sn)などの燃料に付与する(deposit)ように配置される。以下の説明においてはスズを参照するが、任意の適当な燃料が使用されてもよい。燃料は、例えば液状であってもよく、例えば金属又は合金であってもよい。燃料エミッタ3は、例えば液滴の形態のスズを、プラズマ形成領域4に向かう軌道に沿って方向付けるように構成されたノズルを備えていてもよい。レーザビーム2は、プラズマ形成領域4においてスズに入射する。スズへのレーザエネルギの付与は、プラズマ形成領域4においてプラズマ7を発生させる。EUV放射線を含む放射線は、プラズマのイオンの脱励起及び再結合の間にプラズマ7から放出される。
[0190] EUV放射線は、近垂直入射放射コレクタ5(より一般的に垂直入射放射コレクタと称されることもある)によって集められ集束される。コレクタ5は、EUV放射線(例えば13.5nmなど所望の波長を有するEUV放射線)を反射するように配置された多層構造を有していてもよい。コレクタ5は、楕円の形状を有していてもよく、2つの楕円焦点を有する。第1の焦点はプラズマ形成領域4にあってもよく、第2の焦点は、後述するように、中間焦点6にあってもよい。
[0191] レーザ生成プラズマ(LPP)源の他の実施形態においては、コレクタ5は、斜入射角度でEUV放射線を受けてそのEUV放射線を中間焦点に集束するように構成された、所謂斜入射コレクタであってもよい。斜入射コレクタは、例えば、複数の斜入射リフレクタを備えた入れ子式コレクタであってもよい。斜入射リフレクタは、光軸Oを中心として軸方向に対称的に配設されてもよい。
[0192] 放射線源SOは1つ以上の汚染物トラップ(図示しない)を含んでいてもよい。例えば、汚染物トラップは、プラズマ形成領域4と放射線コレクタ5との間に位置していてもよい。汚染物トラップは、例えば回転ホイルトラップであってもよいし、又は任意の他の適当な形態の汚染物トラップであってもよい。
[0193] レーザ1は放射線源SOから分離されていてもよい。その場合、レーザビーム2は、例えば適当な方向付けミラー及び/又はビームエキスパンダを備えたビームデリバリシステム(図示しない)、及び/又は他の光学素子の助けを借りて、レーザ1から放射線源SOへと渡されてもよい。レーザ1及び放射線源SOは、併せて放射線システムと見なされ得る。
[0194] コレクタ5によって反射された放射線は放射ビームBを形成する。放射ビームBは点6で集束されてプラズマ形成領域4の画像を形成し、これは照明システムILのための仮想放射線源として作用する。放射ビームBが集束される点6は、中間焦点と称されてもよい。放射線源SOは、中間焦点6が放射線源の内包構造体9の開口8に又はその付近に位置するように配置される。
[0195] 放射ビームBは、放射線源SOから、放射ビームを調整するように構成された照明システムIL内に進入する。照明システムILは、ファセット視野ミラーデバイス10及びファセットフィールドミラーデバイス11を含んでいてもよい。ファセット視野ミラーデバイス10及びファセットフィールドミラーデバイス11は、所望の断面形状及び所望の角度分布を有する放射ビームBを、併せて提供する。放射ビームBは照明システムILを通過し、支持構造MTによって保持されるマスクアセンブリ15に入射する。マスクアセンブリ15は、パターニングデバイスMAと、ペリクルフレーム17によって定位置に保持されるペリクル19とを含む。パターニングデバイスMAは放射ビームBを反射しパターニングする。照明システムILは、ファセット視野ミラーデバイス10及びファセットフィールドミラーデバイス11に加えて又は代えて、他のミラー又はデバイスを含んでいてもよい。マスクアセンブリ15は、ペリクル付きレチクル(pellicleized reticle)ともいう。
[0196] パターニングデバイスMAからの反射に続き、パターニングされた放射ビームBは投影システムPSに入る。投影システムは、基板テーブルWTによって保持される基板W上に放射ビームBを投影するように構成された複数のミラーを備える。投影システムPSはある縮小率を放射ビームに適用してもよく、パターニングデバイスMA上の対応するフィーチャよりも小さなフィーチャを有する画像を形成する。例えば、4という縮小率が適用されてもよい。図1の投影システムPSは2つのミラーを有しているが、投影システムは任意の数のミラー(例えば6つのミラー)を含んでいてもよい。
[0197] リソグラフィ装置は、例えばスキャンモードにおいて用いられてもよく、その場合、支持構造(例えばマスクテーブル)MTと基板テーブルWTとは同期してスキャンされ、それと同時に、放射ビームに付与されたパターンが基板W上に投影される(すなわち動的露光)。支持構造(例えばマスクテーブル)MTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの縮小及び画像反転特性によって決定され得る。基板W上に入射するパターニングされた放射ビームは、一筋の放射線を含んでいてもよい。その一筋の放射線は、露光スリットとも称され得る。スキャン露光の間、基板テーブルWT及び支持構造MTの移動は、露光スリットが基板Wの露光フィールド上を進行するようなものであり得る。
[0198] 図1に示される放射線源SO及び/又はリソグラフィ装置は、図示されていない構成要素を含んでいてもよい。例えば、放射線源SOには分光フィルタが設けられていてもよい。分光フィルタは、EUV放射線については実質的に透過性であってもよいが、赤外線など他の波長の放射線については実質的に遮断性である。
[0199] リソグラフィシステムの他の実施形態においては、放射線源SOは他の形態をとり得る。例えば、代替的な実施形態においては、放射線源SOは1つ以上の自由電子レーザを備えていてもよい。1つ以上の自由電子レーザは、1つ以上のリソグラフィ装置に提供され得るEUV放射線を放出するように構成されていてもよい。
[0200] 上記で簡単に述べたように、マスクアセンブリ15は、パターニングデバイスMAに隣接して設けられるペリクル19を含む。ペリクル19は、放射ビームBが、照明システムILからパターニングデバイスMAに接近するとき及びパターニングデバイスMAによって投影システムPSの方へ反射されるときの両方においてペリクル19を通過するように、放射ビームBの経路内に設けられる。ペリクル19は、EUV放射線に対して実質的に透明の(しかし少量のEUV放射線を吸収するであろう)薄膜を備える。本明細書において、EUVに対して透明なペリクル又はEUV放射線について実質的に透明の膜とは、ペリクル19がEUV放射線の少なくとも65%、好適にはEUV放射線の少なくとも80%、より好適には少なくとも90%について透過性であることを意味する。ペリクル19は、パターニングデバイスMAを粒子汚染から保護するように作用する。
[0201] リソグラフィ装置LAの内部の清浄な環境を維持するための努力がなされ得る一方で、リソグラフィ装置LAの内部には依然として粒子が存在し得る。ペリクル19が存在しなければ、粒子はパターニングデバイスMA上に堆積し得る。パターニングデバイス上の粒子は、放射ビームBに付与されるパターン及び基板Wに転写されるパターンに悪影響を及ぼし得る。ペリクル19は、粒子がパターニングデバイスMA上に堆積するのを防止するために、パターニングデバイスMAとリソグラフィ装置LA内の環境との間に障壁を有利に提供する。
[0202] ペリクル19は、ペリクル19の表面上に入射する粒子が放射ビームBの焦点面内に存在しないようにパターニングデバイスMAから十分な距離をとって位置決めされる。この、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの分離は、ペリクル19の表面上の粒子が放射ビームBにパターンを付与する程度を減少させるように作用する。放射線のビームB内であるが放射線のビームBの焦点面内ではない(すなわち、パターニングデバイスMAの表面ではない)位置に粒子が存在している場合には、粒子の画像は基板Wの表面では合焦状態とはならないことが察知されるであろう。いくつかの実施形態においては、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの分離は、例えば、約1mm乃至10mm、例えば1mm乃至5mm、より好適には2mm乃至2.5mmであってもよい。
[0203] 図2A、図2B、及び図2Cは、本発明の一実施形態によるマスクアセンブリ15の概略図である。図2Aは、マスクアセンブリ15の平面図を示す。図2Bは、図2Aに示されるマスクアセンブリ15の線A−Aに沿った断面を示す。図2Bは、図2Aに示されるマスクアセンブリ15の線B−Bに沿った断面を示す。図2A、図2B、及び図2Cを通じて一致したデカルト座標系が用いられ、ここでy方向は放射ビームBに対するパターニングデバイスMAのスキャン方向を示す。
[0204] マスクアセンブリ15は、パターニングデバイスMAと、ペリクルフレーム17と、ペリクル19とを含む。ペリクル19は、EUV放射線に対して実質的に透明の薄膜を備える。ペリクル19は、粒子汚染に対する障壁を提供しつつEUV放射線に対して実質的に透明である任意の材料から形成され得る。
[0205] 例えば、ペリクル19はポリシリコン(pSi)膜から形成されてもよい。ペリクル19(例えばポリシリコン膜)の片側又は両側は、熱放射率の向上のために、金属層(例えばRu層)などのキャッピング層を被せられていてもよい。代替的な一例においては、ペリクル19は、モリブデン(Mo)と珪化ジルコニウム(ZrSi)との多層スタックから形成されてもよい。そのMo/ZrSiスタックは、片側又は両側でキャッピング層を被せられていてもよい。他の材料、例えばグラフェン、シリセン、窒化シリコン、フラーレン、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、又はEUV放射線に対して実質的に透明の他の材料が、他の実施形態におけるペリクル19としての使用に適しているであろう。
[0206] キャッピング層は、元素Nb,Zr,Y,La,Ceと、Mo,Nb,Ru,Zr,Y,La,Ceの合金と、Mo,Nb,Ru,Zr,Y,La及びCeの珪化物と、そのような合金の珪化物と、Mo,Nb,Ru,Zr,La,Ceの酸化物と、Mo,Nb,Ru,Zr,Y,La,Ceの合金の酸化物と、Mo,Nb,Ru,Zr,Y,La,Ceの炭化物と、そのような合金の炭化物と、Mo,Nb,Ru,Zr,La,Ceの窒化物と、No,Nb,Ru,Zr,La,Y,Ceの合金の窒化物と、からなる群から選択された耐火材料であってもよい。
[0207] 上記で参照したキャッピング層は、EUV放射線の存在下において水素ガスから発生し得るとともにペリクル19に損傷を引き起こし得る水素ラジカル(又は他の反応種)の影響を低減させるのに役立ち得る。
[0208] キャッピング層は、ペリクルフレーム17(又はペリクルフレームの他の実施形態)上にも設けられ得る。キャッピング層は、ペリクル19上に設けられたキャッピング層と同一の材料から形成されてもよい。
[0209] ペリクル膜19の厚さは、材料特性(例えば強度、EUV透明度)に依存するであろう。好適には、ペリクル19の厚さは、5乃至100nmの範囲内である。例えば、Mo/ZrSi多層スタックから作られたペリクル膜は、厚さ約25nmであり得る。あるいは、ポリシリコンから作られたペリクルは、厚さ約40nmであり得る。グラフェンペリクルは、例えば厚さ約10nmであり得る。
[0210] ペリクルによるEUV放射線の透過は、ペリクルの厚さと、ペリクル及びキャッピング層が形成される材料の純度とに依存する。ペリクルは、所与のEUV放射線の透過を可能にするのに十分なほど薄くてもよい。例えば、ペリクルは、入射するEUV放射線の約65%よりも多くを透過するように十分薄くてもよい。例えば、ペリクルは、入射するEUV放射線の少なくとも約85%、又は入射するEUV放射線の少なくとも約90%を透過するように十分薄いのが望ましいであろう。
[0211] パターニングデバイスMAはパターン領域21を備える。パターン領域21には、パターン領域21からの放射線(例えばEUV放射線)の反射によって基板Wに転写されるパターンが設けられる。パターン領域21は、パターニングデバイスMAの前面FSに配設される。パターニングデバイスMAの反対の後面BSは、支持構造MTに固定(例えばクランプ留め)されてもよい。例えば、パターニングデバイスの後面BSは、静電クランプを用いて支持構造MTにクランプ留めされてもよい。
[0212] ペリクルフレーム17は、ペリクルフレーム17がパターン領域21の周囲に延伸してこれを包囲するように、中央に長方形の開口を含む。図2A乃至図2Cの実施形態においては、ペリクルフレーム17によって提供される開口は長方形であるが、他の実施形態においては、ペリクルフレームによって提供される開口は任意の適当な形状を有していてもよい。ペリクル19は、パターニングデバイスMAのパターン領域21全体にわたって懸架されるようにペリクルフレーム17に取り付けられる。ペリクル19は、ペリクル19の残りの部分と比較して増大された厚さを有する境界部20を含む。例えば、境界部20は、約60nmの厚さを有していてもよい。境界部20は、ペリクルがペリクルフレーム17に取り付けられる領域においてペリクル19の強度を増大させるのに役立つ。境界部20は、ペリクル19の取り扱いの際に把持され得るペリクル19の一部を追加的に提供してもよい。例えば、ペリクル19をペリクルフレーム17に適用し又はそこから取り外すとき、境界部20は、ペリクル19を扱うために把持され得る。境界部20の増大された厚さは、把持時の損傷及び/又は切断に対する境界部20の耐性を有利に高める。境界部は、ペリクルの残りの部分と同一又は異なる材料から形成されていてもよい。ペリクルの膜がポリシリコンから形成されている実施形態においては、境界部もポリシリコンから形成されていてもよい。
[0213] 基板Wに転写されるパターンはパターン領域21に含まれているが、パターニングデバイスMAは、パターン領域21の外部に他のパターン領域又はマーキングを含んでいてもよい。例えば、パターニングデバイスMAは、パターニングデバイスMAを整列させるために用いられ得るアライメントマーク23を含んでいてもよい。パターニングデバイスは、追加的又は代替的には、パターニングデバイスMAを識別するために用いられ得る1つ以上の識別マーク(例えば1つ以上のバーコード)を含んでいてもよい。
[0214] 図2A,図2B及び図2Cに示される実施形態においては、パターニングデバイスMAは、パターニングデバイスMAの前面FSの範囲がパターニングデバイスMAの後面BSに比べて縮小されている切取部25(図2B及び図2Cにおいてもっともよく見て取れる)を含む。切取部25は、図2Bに示すように、ペリクルフレーム17の一部を収容するように構成されている。切取部は、パターニングデバイスMAの前面FSの外側範囲に隣接して位置決めされる。もっとも、他の実施形態においては、ペリクルフレーム17は、パターニングデバイスMAの前部又は側部に、切取部を有することなく取り付けられてもよい。一実施形態においては、ペリクルフレームは、スキャン方向に平行なパターニングデバイスMAの2つの側部に取り付けられてもよい。別の一実施形態においては、ペリクルフレームは、スキャン方向に垂直なパターニングデバイスMAの2つの側部に取り付けられてもよい。さらに別の一実施形態においては、上述の前部取り付けと側部取り付けとの組み合わせも予想される。
[0215] ペリクルフレーム17をパターニングデバイスMAに取り付け得るインタフェースを提供するために、パターニングデバイスは、x軸に平行な(よってスキャン方向に垂直な)、パターン領域21の2つの側部に沿って延伸するサブフレーム27を備えていてもよい。サブフレーム27は切取部25に隣接して位置決めされる。各サブフレーム27は凹部29を含み、この凹部は、閉じた容積を定義するように、サブフレーム27とパターニングデバイスMAとに囲まれている。サブフレーム27をパターニングデバイスMAに固定するために、グルー31(接着剤とも称され得る)が凹部29内に配設される。最初に凹部29内に適用されるとき、グルーは、グルーが収縮する硬化プロセスを経験し得る。グルーの収縮は、サブフレーム27をパターニングデバイスMAに固定するように、サブフレーム27をパターニングデバイスMAの方へと引っ張り得る。サブフレーム27は、2つ以上の凹部29を含んでいてもよい。ペリクル境界部20は、ペリクルをペリクルフレーム17に取り付けるための凹部を含んでいてもよい。グルー31を収容するために、パターニングデバイスMA又はペリクルフレームの構成要素にも凹部が設けられ得る。
[0216] グルー31を凹部29とパターニングデバイスMAとによって定義される閉じた容積内に配置することにより、グルー31は周囲環境から密閉される。アウトガスによってグルーから気体が放出され得るため、グルーを周囲環境から密閉することは有利である。グルーからのアウトガスの産物は、パターニングデバイスMAが保持されている環境を不利に汚染し得る。グルーを周囲環境から(凹部29内に)密閉することは、グルーからのアウトガスの産物が凹部29内に閉じ込められることを保証し、したがって、パターニングデバイスMAが保持されている環境のグルー31からのアウトガスによる汚染を有利に防止する。
[0217] 特に、グルー31からのアウトガスの産物がパターニングデバイスMAのパターン領域21に到達するのを防止するようにグルーを密閉するのが有利である。グルーからのアウトガスの産物がパターン領域21に到達すると、放射ビームBに転写されるパターン及びひいては基板Wに転写されるパターンは、悪影響を受け得る。したがって、基板Wに転写されるパターンの品質を保全するために、グルー31からのアウトガスの産物がパターン領域21に到達するのを防止するようにグルー31を密閉するのが望ましい。
[0218] いくつかの実施形態においては、サブフレーム27は、グルー31のアウトガスの産物のうち限られた量を、その産物がパターン領域21から遠ざかって進むように、凹部29から一方向に漏出させるように構成されていてもよい。例えば、サブフレーム27は、産物がパターニングデバイスMAのパターン領域21に到達するのを依然として防止しつつ産物がサブフレーム27の外側に向かって漏出し得るように構成されていてもよい。
[0219] パターニングデバイスMAは定期的に洗浄されてもよい。例えば、パターニングデバイスMAを洗浄するために、パターニングデバイスMAに洗浄液が適用されてもよい。洗浄液を用いてパターニングデバイスMAを洗浄するときには、洗浄液が、マスクアセンブリ15の要素をまとめて固定するのに用いられるグルーと接触することを防止するのが望ましい。もしも洗浄液がグルーと接触すると、グルーは洗浄液によって溶解され得る。洗浄液によって溶解されたグルーは、洗浄プロセスの際、マスクアセンブリ15の構成要素全体に広がり得る。例えば、グルーは、パターニングデバイスMAのパターン領域21と接触し得る。パターニングデバイスMAのパターン領域21と接触したグルーは、放射ビームBに転写されるパターン、及びひいては基板Wに転写されるパターンに悪影響を及ぼし得る。グルーが密閉された容積内に配置されない既知のマスクアセンブリにおいては、パターニングデバイスが洗浄液を用いて洗浄可能となる前に、まず残存グルーがマスクアセンブリから除去されなければならない。図2Bに示されるようにグルー31を密閉された凹部29内に密閉することによって、パターニングデバイスMAは、サブフレーム27がグルー31によってパターニングデバイスMAに取り付けられたままで、洗浄液とグルーとの接触の危険なしに、洗浄されることができる。
[0220] サブフレーム27は、ペリクルフレーム17をサブフレーム27に選択的に取り付け及び取り外すように動作可能な取り付けインタフェース32を含む。したがって、取り付けインタフェース32は、ペリクルフレーム17をパターニングデバイスMAに固定するために用いられる。取り付けインタフェース32は、グルーを必要とすることなしに、ペリクルフレーム17をパターニングデバイスMAに機械的に取り付け及び取り外すための手段を提供する。ペリクルフレーム17は、ペリクルフレーム17をサブフレーム27に固定するように取り付けインタフェース32と連結する構成要素を含んでいてもよい。取り付けインタフェース32は、任意の適当な形態をとり得る。例えば、取り付けインタフェース32は、ペリクルフレーム17をサブフレーム27に留めるのに適した1つ以上の留め具(例えばねじ)を収容するように構成された開口を備えていてもよい。いくつかの実施形態においては、取り付けインタフェース32は、ペリクルフレーム17をサブフレーム27に固定するように、ペリクルフレーム17に磁力を作用させる磁気構成要素を含んでいてもよい。いくつかの実施形態においては、取り付けインタフェース32は、ペリクルフレーム17とサブフレーム27との相対移動に抵抗するように、ペリクルフレーム17に摩擦力を作用させるように構成された表面を含んでいてもよい。ペリクルフレームを(サブフレーム27を介して)パターニングデバイスMAに取り付けるためのグルーの使用を不要にすることは、パターニングデバイスが保持される環境のグルーからのアウトガスによる汚染の危険を有利に低減する。
[0221] 上記で説明されたように、サブフレーム27の取り付けインタフェース32は、ペリクルフレーム17をパターニングデバイスMAに接着することを要さずに、ペリクルフレーム17(及びペリクル19)の迅速且つ便利な取り付け及びパターニングデバイスMAからの清浄な取り外し(撤去により粒子が実質的に引き起こされない)を提供し得る。ペリクル19はパターニングデバイスMAよりも短い寿命を有し得るので、マスクアセンブリ15のペリクル19は定期的に交換されてもよい。例えば、ペリクル19は約2週間毎に交換されてもよい。既知のマスクアセンブリは、パターニングデバイスに永久的に取り付けられたペリクルフレームを含み得る。マスクアセンブリのペリクルは、パターニングデバイスMAに永久的に取り付けられたペリクルフレームに新たなペリクルを接着することによって交換されてもよい。このように(定期的に新たなペリクルをペリクルフレームに接着することによって)ペリクルを交換することは、グルーからのアウトガスによって引き起こされる汚染の危険を増大させ得る。
[0222] 図2A乃至図2Cに示されるマスクアセンブリ15は、(ペリクル19が取り付けられた状態の)ペリクルフレーム17をパターニングデバイスMAから取り外し、新たなペリクルフレーム17及びペリクル19を、グルーを用いずに、パターニングデバイスMAに取り付けることによって、ペリクルの交換を有利に可能にする。したがって、そのような既知のマスクアセンブリと比較して、グルーからのアウトガスによる汚染の可能性が有利に低減される。図2A乃至図2Cの容易に交換可能なペリクルフレーム17のさらなる利点は、ペリクルフレーム17が、(例えば洗浄液を用いた)パターニングデバイスの洗浄又は検査を可能にするために、パターニングデバイスMAから取り外され得るということである。パターニングデバイスMAからのペリクルフレーム17の取り外し後、パターニングデバイスに存在するグルーは、サブフレーム27の凹部29内に密閉されたもののみである。したがって、パターニングデバイスMAは、洗浄液とグルーとの接触を回避しつつ、洗浄液によって洗浄され得る。
[0223] 図2Cからわかるように、y軸に沿って延伸するペリクルフレーム17の側部は、パターニングデバイスMAの切取部には位置していない。その代わりに、ペリクルフレーム17とパターニングデバイスMAの前面FSとの間には間隙Gが残されている。こうしたペリクルフレームの設計とは対照的に、ペリクルを備えた既知のマスクのほとんどは、粒子によるマスクの汚染の危険性をできる限り低減させるために、フィルタ又は弁によって制御されたペリクルフレームの開口、スリット又は間隙を有する。本実施形態によるペリクルフレーム17は、その代わりに、フレーム外周の一部又は全周に延伸する開放された間隙を有するので、ペリクルフレーム17は懸架されていると見なされ得る。間隙Gは、ペリクル19とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の容積に空気が流入及び流出することを可能にする。間隙の寸法を制御することによって、(たとえフィルタがない場合であっても)気体流によって循環され得る粒子汚染のほとんどを軽減することが依然として可能であることが判明している。しかしながら、必要な場合には、圧力差が適切に制御される限りは、ペリクルフレーム内又はフレームとパターニングデバイスとの間の間隙にフィルタが挿入されてもよい。
[0224] 使用にあたり、マスクアセンブリ15は大きな圧力変化に曝され得る。例えば、マスクアセンブリ15は、真空圧条件まで排気されたロードロックを介してリソグラフィ装置内にロードされる前に、リソグラフィ装置の外側の大気圧条件に曝露され得る。マスクアセンブリ15は、大気圧条件まで通気されたロードロックを介してリソグラフィ装置からアンロードされる前に、リソグラフィ装置の内側にある間、真空圧条件を経験し得る。したがって、マスクアセンブリ15は、圧力の大きな増加及び減少を経験する。
[0225] マスクアセンブリが曝露される圧力条件の変化は、ペリクル19の全体にわたって圧力差が存在する事態を引き起こし得る。例えば、マスクアセンブリ15が真空排気されるロードロック内にあるとき、ペリクル19とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の容積が、マスクアセンブリ15の外側が真空排気されるのと同じ速さで真空排気されない場合には、ペリクル19とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の容積内の圧力は、マスクアセンブリ15の外側の圧力よりも大きくなるであろう。したがって、ペリクル19の全体にわたって圧力差が存在し得る。ペリクル19は、典型的には、圧力差に曝露されたときに屈曲し得る薄い可撓性膜である。例えば、ペリクル19とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の容積内の圧力がマスクアセンブリ15の外側の圧力よりも大きい場合には、ペリクル19は、パターニングデバイスMAから遠ざかるように屈曲し得る。逆に、ペリクル19とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の容積内の圧力がマスクアセンブリ15の外側の圧力よりも小さい場合(例えば、マスクアセンブリ15が曝露される圧力条件の増加時)には、ペリクル19は、パターニングデバイスMAに向かって屈曲し得る。
[0226] ペリクル19の屈曲は、ペリクル19が他の構成要素と接触する事態を引き起こし得る。例えば、パターニングデバイスに向かって屈曲されたペリクル19は、パターニングデバイスMAの前面FSと接触し得る。パターニングデバイスMAから遠ざかるように屈曲するペリクル19は、リソグラフィ装置の他の構成要素と接触し得る。ペリクル19の過度の屈曲及び/又は別の構成要素と接触するペリクルは、ペリクル又は周囲の構成要素に損傷を引き起こし得るとともに、ペリクル19の切断をもたらし得る。したがって、ペリクルへの損傷を回避するためには、ペリクル19の全体にわたって存在する圧力差を制限するのが望ましい。圧力差はペリクル破壊閾値よりも低く維持され得るが、この閾値はペリクルを形成するために用いられる材料の強度に依存する。いくつかの実施形態においては、例えばペリクルの皺を緩和するために、小さな圧力差が望ましいかもしれない。
[0227] ペリクルフレーム17とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の間隙Gは、ペリクル19とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の容積に気体が流入及び流出することを可能にする。ペリクル19とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の容積に気体が流入及び流出することを可能にすることは、ペリクル19の両側の圧力均等化を可能にするので、ペリクル19は、ペリクル19の全体にわたって損傷を与える圧力差に曝されない。
[0228] ペリクルフレーム17とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の間隙Gの寸法は、パターニングデバイスMAの前面FSとペリクル19との間の容積に気体が流入及び流出し得る速さに影響を及ぼすであろう。パターニングデバイスMAの前面FSとペリクル19との間の容積に気体が流入及び流出し得る速さは、ペリクル19の全体にわたる圧力差の大きさに影響を及ぼすであろう。例えば、間隙Gの寸法を増大させることは、パターニングデバイスMAの前面FSとペリクル19との間の容積に気体が流入及び流出し得る速さを増加させるであろう。気体流の速さの増加は、ペリクル19の全体にわたって存在する圧力差を制限し得る。
[0229] ペリクル19の全体にわたって存在する圧力差を制限するためには、ペリクル19とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の容積に十分な速さの気体が流入及び流出することを可能にする十分に大きな間隙Gを設けることが望ましいであろうが、粒子が間隙Gを通過するのを防止することもまた望ましい。間隙Gを通過する粒子は、パターニングデバイスMA上に堆積し得る。上述したように、パターニングデバイスMA上に堆積した粒子は、放射ビームBに転写されるパターン及び基板Wに転写されるパターンに悪影響を及ぼし得る。したがって、ペリクル19とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の容積に入り込む粒子の寸法及び/又は数を制限するために、間隙Gの寸法を制限するのが望ましいかもしれない。
[0230] 一実施形態においては、間隙Gは、0.1mm乃至0.5mmの範囲内の幅35、例えば約0.2乃至0.3mmの幅を有し得る。そのような実施形態においては、間隙Gは、いくらかの粒子が間隙Gを通過できるのに十分な程度に大きくてもよい。しかしながら、リソグラフィ装置LA内に位置決めされると、マスクアセンブリ15に向かって進む粒子の大半は、間隙Gと一致しない方向に進み得る。例えば、粒子は、ペリクル19又はペリクルフレーム17と衝突するが間隙Gは通過しない方向からマスクアセンブリに向かって進み得る。したがって、間隙Gがリソグラフィ装置LA内に存在するいくらかの粒子よりも大きいことは、極端に問題にはならないであろう。なぜなら、粒子が間隙Gを通過する可能性は比較的小さいためである。
[0231] ペリクルフレームがパターニングデバイスに接着される既知のマスクアセンブリにおいては、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に間隙が設けられるようにペリクルフレームを構成することが可能であり得る。しかしながら、グルーが間隙に流入して間隙に寸法を減少させるとともにアウトガスを通じて汚染を引き起こす可能性があることから、これは現実には達成が困難であろう。こうした問題は、図2Cに示される実施形態と、本明細書に記載のさらなる実施形態とによれば回避される。
[0232] ペリクルフレーム17は、追加的な気体通路、開口、弁及び/又はフィルタ(図2A乃至図2Cには図示しない)をさらに備えていてもよく、これらはペリクル19の全体にわたる圧力均等化を可能にする。気体通路及び/又はフィルタは、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間の容積に入り込み得る粒子の数を減少させ又は制限するように構成されていてもよい。図3は、気体通路37が設けられているペリクルフレーム17の一部の概略図である。気体通路37は、ペリクルフレーム17を貫通する直接的で妨害のない経路が提供されないように構成されている。ペリクルフレーム17を貫通する直接的で妨害のない経路を提供しない気体通路37は、ラビリンス穴と称され得る。気体通路37がペリクルフレーム17を貫通する直接的で妨害のない経路を提供しないので、気体通路37に進入する粒子は、気体通路37を通過するよりもむしろ気体通路37の壁に衝突するであろう。したがって、ラビリンス穴構造の気体通路37を提供することは、ペリクルフレーム17を貫通する直接的で妨害のない経路を提供する気体通路に比べ、気体通路37を通過する粒子の数を減少させ得る。ラビリンス穴は、ペリクルフレーム17を貫通する直接的な(見通し線)経路を提供しない任意の適当な構造を有し得る。直接的で妨害のない経路を提供しない気体通路又はラビリンス穴は、マスクアセンブリ、ペリクルアセンブリ又はその要素の輸送に適した包装(スタッド輸送用梱包など)においても同様に(さらなるフィルタと組み合わせて又はさらなるフィルタを有さずに)提供され得るものであり、ラビリンス穴は、包装の容積内に入り込み得る粒子の数を減少させる/制限するように構成されつつも、圧力均等化を可能にする。
[0233] いくつかの実施形態においては、ペリクルフレーム17を貫通する直接的で妨害のない経路は提供するがペリクルフレーム17を通るパターニングデバイスMAへの直接的な見通し線は提供しない穴が、ペリクルフレーム17を貫通して設けられてもよい。ペリクルフレーム17を貫通する直接的で妨害のない経路を提供する穴を設けることは、気体がその穴を通って流れ得る速さを増加させ得る。しかしながら、ペリクルフレーム17を貫通する直接的で妨害のない経路を提供する穴は、汚染がペリクルフレーム17を通過し得る経路を提供する。もっとも、穴の直径よりも小さい寸法を有し制限された角度範囲内にある方向から穴に到達する汚染にしか、穴を通過することはできないであろう。したがって、限られた量の汚染のみが穴を通過することになるであろう。また、穴を通るパターニングデバイスMAまでの直接的な見通し線が提供されないので、穴を通過する汚染はパターニングデバイスの方へは進まないであろうし、したがってパターニングデバイスMA上に堆積する可能性は低くなる。
[0234] ペリクルフレーム17は、追加的又は代替的には、気体がペリクルフレーム17を通過することは可能にするが粒子がペリクルフレーム17を通過することは防止する1つ以上のフィルタを備えていてもよい。1つ以上のフィルタは、例えば、y軸に平行に延伸するペリクルフレーム17の側部に設けられていてもよい。追加的又は代替的には、x軸に平行に延伸するペリクルフレーム17の側部に1つ以上のフィルタが設けられていてもよい。
[0235] いくつかの実施形態においては、マスクアセンブリ15は、ペリクルフレーム17とパターニングデバイスMAとの間に間隙Gを含んでいなくてもよく、ペリクルフレーム17はパターニングデバイスMAと接触していてもよい。そのような実施形態においては、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間の容積に気体が流入及び流出することを可能にするために、ペリクルフレーム17に穴及び/又はフィルタが設けられてもよい。そのようなマスクアセンブリはやはり、ペリクルフレーム17がパターニングデバイスMAに取り外し可能に取り付けられるように配置され得る。
[0236] 例えば図2Bからは、パターニングデバイスMAに切取部25を設けると、パターニングデバイスMAが切取部25を含まない場合よりも、ペリクルフレーム17の一部がz方向により大きな範囲を有することが可能になることがわかる。ペリクルフレーム17のz方向のより大きな範囲は、ペリクルフレーム17のフィルタ及び/又は気体通路が位置し得る追加的な空間を有利に提供する。
[0237] パターニングデバイスに切取部25を設けることは、ペリクルフレーム17にとって利用可能な容積を増加させるので、ペリクルフレーム17の寸法を増大させることが可能になる。所与の外形寸法を有するマスクアセンブリ15に基づくインフラストラクチャが存在し得るため、マスクアセンブリ15の外形寸法は、ペリクルフレーム17の寸法の増大によっては実質的に変更されないままであるのが望ましいであろう。特に、切取部25は、ペリクルフレーム17のz方向の範囲が増大されることを可能にする。例えば、切取部を含まないマスクアセンブリは、z方向に約2mmの範囲を有するペリクルフレーム17を含み得るが、これはペリクルとパターニングデバイスの前面との間の分離に等しい。図2A乃至図2Cのパターニングデバイスにおける切取部25の提供は、ペリクル19とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の分離又はマスクアセンブリ15の外形寸法を変更することなしに、ペリクルフレーム17のz方向の寸法が約6又は7mmまで拡張されることを可能にし得る。
[0238] 切取部が用いられない別の一実施形態において、ペリクルフレームのためにより多くの容積を得るための代替的な手法は、センサ及びアライメントマーカなどマスク上に存在する非パターン要素の位置を外側に移すというものである。そのようにすると、ペリクルが例えば、道具類(tooling)によって侵入されない126mm×152mm=19152mm2の面積を占めるようにすることができる。
[0239] 図2A乃至図2Cに示される実施形態は切取部25を含んでいるが、いくつかの実施形態は切取部25を含んでいなくてもよい。そのような実施形態においては、ペリクルフレーム17のz方向の範囲は、パターニングデバイスMAの前面FSとペリクル19との間の分離と同一であってもよい。換言すれば、ペリクルフレーム17の底面は、パターニングデバイスMAの前面FS上にあるか、又はこれに隣接していてもよい。
[0240] マスクアセンブリ15から(サブフレーム27に設けられた取り付けインタフェース33との相互作用によって)容易に取り外し可能なペリクルフレーム17を設けることは、ペリクルフレームのz方向以外の方向の範囲が増大されることを可能にし得る。例えば、ペリクルフレーム17の寸法は、マスクアセンブリ15の外形寸法を増大させることなく、(一般的なマスクアセンブリに対して)x方向及び/又はy方向に増大され得る。
[0241] パターニングデバイスMAのいくらかの領域は、パターニングデバイスMAが関係する1つ以上のプロセスを実施するために、アクセス可能であることが望ましいかもしれない。例えば、パターニングデバイスは、パターニングデバイスMAの所与の予約領域へのアクセスを必要とするツールを用いて(例えばリソグラフィ装置の外部で)取り扱われ得る。したがって、恒久的に取り付けられたペリクルフレームを含むパターニングデバイスMAは、パターニングデバイスの所与の予約領域へのアクセスを保全するために、ペリクルフレームのために利用可能な領域を限定的にしか含まないかもしれない。ペリクルフレームのために用いられ得るパターニングデバイスの領域についてのこうした制約は、例えばx方向及び/又はy方向のペリクルフレームの範囲を制限し得る。一般的なマスクアセンブリとは対照的に、マスクアセンブリ15から容易に取り外し可能なペリクルフレーム17を提供することは、ペリクルフレーム17がいくつかのプロセス(例えばパターニングデバイスの取り扱い)における使用のために予約されたパターニングデバイスMAの領域を覆うことを可能にし得る。なぜなら、パターニングデバイスMAからペリクルフレーム17を取り外すことによって予約領域へのアクセスが達成されるためである。したがって、ペリクルフレーム17の例えばx方向及び/又はy方向の範囲は、パターニングデバイスMAの予約領域へのアクセスを依然として提供しながら、増大され得る。
[0242] ペリクルフレーム17の寸法を(例えば3mm乃至5mmの幅を有するように)増大させることは、ペリクルフレーム17の強度及び/又は剛性を高め得る。フレームの強度及び/又は剛性を高めることは、発生するかもしれないペリクルフレーム17の屈曲又は歪みを有利に低減し得る。例えば、ペリクル19は、ペリクル19が機械的応力を受けるようにペリクルフレーム17に適用され得るので、ペリクル19には張力が存在する。ペリクル19の張力は、ペリクルフレーム17の側部を互いの方に引っ張る役割を果たし、これはペリクル19がパターニングデバイスMAに向かって弛む事態をもたらし得る。ペリクルフレーム17の剛性の増加は、ペリクル19の張力によって歪められることに対するフレーム17の耐性を高める。ペリクル19の張力によって歪められることに対するフレーム17の耐性を高めることは、ペリクル19がより大きな程度の張力をもって(フレーム17の歪みを引き起こすことなく)フレーム17に適用されることを可能にし得る。ペリクル19をより大きな程度の張力をもってペリクルフレーム17に適用することは、レチクルの全体にわたる圧力差に曝されたときの屈曲に対するペリクルの耐性を有利に高め得る。
[0243] ペリクルフレーム17の強度及び/又は剛性の増加は、ペリクルフレーム17の寸法の増大によって引き起こされ得る。ペリクルフレーム17の剛性は、ペリクルフレーム17とパターニングデバイスMAの切取部25の側部及びサブフレーム27の側部との相互作用によって、さらに高められ得る。ペリクルフレーム17と接触する切取部25及びサブフレーム27の側部は、(例えばペリクル19の張力によって引き起こされる)内向きの引張力に曝されたときにペリクルフレーム17が当たる面を提供する。したがって、ペリクルフレーム17と切取部25及びサブフレーム27の側部との相互作用は、フレーム17の屈曲又は歪みに対するフレーム17の耐性を高める。
[0244] パターニングデバイスMAの切取部25のさらなる利点は、ペリクルフレーム17をパターニングデバイス上に正確に位置決めする手段を提供するということである。切取部を含まずペリクルフレームが接着され得る既知のパターニングデバイスは、パターニングデバイスに対するペリクルフレームの位置を規定するインタフェースを提供しない。したがって、ペリクルフレームの位置は制約されず、ペリクルフレームがパターニングデバイスに接着される精度に依存する。図2A乃至図2CのパターニングデバイスMAの切取部25は、パターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム17の位置についての制約を有利に提供し、それによってペリクルフレーム17がパターニングデバイスMA上に位置決めされる精度を高める。
[0245] 図4A、図4B、及び図4Cは、本発明の代替的な一実施形態によるマスクアセンブリ15’の概略図である。図4Aは、マスクアセンブリ15’の平面図を示す。図4Bは、図4Aに示されるマスクアセンブリ15’の線A’−A’に沿った断面を示す。図4Cは、図4Aに示されるマスクアセンブリ15’の線B’−B’に沿った断面を示す。図4A乃至図4Cに示されるマスクアセンブリ15’の実施形態の特徴であって図2A乃至Cに示されるマスクアセンブリ15の実施形態の特徴と同一又は均等なものは、同じ参照番号で表される。簡潔にするため、図4A乃至図4Cに関しては、同じ特徴の詳細な説明は行わない。これらの特徴は図2A乃至図2Cの説明から容易に理解されるであろうためである。
[0246] 図4A乃至図4Cに示されるマスクアセンブリ15’は、x方向及びy方向のいずれにおいてもパターニングデバイスMAの全範囲の周囲に延伸するペリクルフレーム17を含む。図2A乃至図2Cのマスクアセンブリ15とは対照的に、パターニングデバイスMAの切取部25及びサブフレーム27は、(図2A乃至図2Cにおけるx軸に平行に延伸するマスクアセンブリ15の側部とは違って)y軸に平行に延伸するマスクアセンブリ15’の側部に設けられている。x軸に平行に延伸するペリクルフレーム17の側部は、パターニングデバイスMAの前面FSに完全には達しない。その結果、パターニングデバイスMAの前面FSとペリクルフレーム17との間に間隙Gが存在している。ペリクルフレーム17はパターニングデバイスMAに対して懸架されていると考えられてもよい。図2A乃至図2Cを参照して説明したように、パターニングデバイスMAの前面FSとペリクルフレーム17との間の間隙Gは、ペリクル19の全体にわたる圧力均等化を可能にするべく、ペリクル19とパターニングデバイスMAとの間の容積に気体が流入及び流出することを可能にする。
[0247] 図4A乃至図4Cのマスクアセンブリ15’において、x方向のペリクルフレーム17の範囲がパターニングデバイスMAの範囲と均等になるようにペリクルフレーム17をx方向に延伸させると、ペリクルフレーム17は、パターニングデバイスMAの、アライメントマーク23が設けられた領域と重なり合うことになる。マスクアセンブリ15のアライメントにあたり、アライメントマーク23はアライメント放射ビーム(図示しない)で照明されてもよく、アライメントマーク23からのアライメント放射ビームの反射が測定されてもよい。パターニングデバイスMAのアライメントを可能にするために、ペリクルフレーム17がパターニングデバイスMAに装着されるときには、(図4B及び図4Cに示されるように)ペリクルフレーム17の本体に窓39が設けられ、これを通じてアライメント放射ビーム及び/又は反射されたアライメント放射ビームが伝播し得る。窓39は、粒子が窓39を通じて伝播することを防止するために、透明材料で覆われていてもよい。
[0248] いくつかの実施形態においては、放射線が複数のアライメントマーク23に向かって及び/又はそこから遠ざかって伝播することを可能にするために、複数の窓39がペリクルフレーム17に設けられてもよい。いくつかの実施形態においては、放射線との相互作用が必要とされる、アライメントマーク以外のマークが、パターニングデバイスMA上に設けられてもよい。例えば、パターニングデバイスを識別するために、1つ以上の識別マーク(例えば1つ以上のバーコード)又はアライメントセンサがパターニングデバイスMA上に設けられてもよい。アライメントマーク23と同様、識別マークは、識別放射ビームで識別マークを照明するとともに識別マークから反射された反射識別放射ビームを測定することによって読み取られ得る。パターニングデバイスMA上に設けられた1つ以上の識別マークを読み取るために、1つ以上の窓39がペリクルフレーム17に設けられてもよい。
[0249] 図4Aと図2Aとの比較からは、図4Aに示されるマスクアセンブリ15’の実施形態においては、ペリクルフレーム17が取り付けられるサブフレーム27が、図2Aに示されるマスクアセンブリ15の実施形態におけるよりも、パターン領域21から遠くに位置決めされていることがわかる。ペリクルフレーム17がパターニングデバイスMAに取り付けられている点とパターン領域21との間のより大きな分離は、ペリクルフレーム17の取り付けのパターン領域21への影響を有利に減少させ得る。例えば、グルー31からのアウトガスの産物を収容するための努力が(例えばグルー31をサブフレーム27の凹部29内に配置することによって)なされる一方で、アウトガスの産物は依然として放出され得る。アウトガスの産物が放出される場合に、(図4A乃至図4Cに示される配置によって達成されるように)放出点(例えばサブフレーム27)とパターン領域21との間の距離を増加することは、アウトガスの産物のパターン領域21への影響を有利に低減し得る。
[0250] リソグラフィ装置内での使用にあたり、マスクアセンブリは放射線(例えばEUV放射線)に曝露される。マスクアセンブリが暴露される放射線の一部はマスクアセンブリの構成要素によって吸収され得るが、これはマスクアセンブリの構成要素の加熱をもたらし得る。マスクアセンブリの構成要素の加熱は、加熱された構成要素の膨張をもたらし得る。特に、マスクアセンブリの構成要素は、異なる速さで且つ異なる量で加熱され得るとともに膨張し得るが、これはマスクアセンブリの構成要素が応力を受けるようになる事態につながり得る。例えば、ペリクルフレーム17とパターニングデバイスMAとは、異なる割合で膨張し得る。したがって、ペリクルフレーム17がパターニングデバイスMAに取り付けられている点は、とりわけ、パターニングデバイスMA及び/又はペリクルフレーム17上の、応力に曝され得る点である。パターニングデバイスMAへの応力付与は、パターニングデバイスMAの歪みをもたらし得る。パターニングデバイスMAが、パターニングデバイスMAのパターン領域21に近い位置で応力を受けるとともに歪められると、パターン領域21に提供されたパターンは歪められ得る。パターン領域21に提供されたパターンの歪みは、基板Wに転写されるパターンの望ましくない歪みをもたらし得る。したがって、パターン領域21に提供されたパターンの歪みを低減するためには、パターニングデバイスMA上の応力に曝される点とパターン領域21との間の距離を増大させるのが望ましいであろう。よって、(図4A乃至図4Cに図示されるマスクアセンブリ15’によって達成されるように)ペリクルフレーム17がパターニングデバイスMAに取り付けられている点とパターン領域21との間の距離を増大させるのが望ましいであろう。
[0251] 上記で図2A乃至図2C及び図4A乃至図4Cを参照して説明したマスクアセンブリ15,15’の実施形態は、いくつかの異なる特徴(例えば切取部25、間隙G及びサブフレーム27)を含んでいる。しかしながら、本発明のいくつかの実施形態は、図2A乃至図2C及び図4A乃至図4Cの実施形態の特徴のすべてを含んでいなくてもよい。例えば、いくつかの実施形態は、パターニングデバイスの切取部25を含み得るが、サブフレーム27は含まないかもしれない。そのような実施形態においては、(取り付けインタフェース32を介した取り付けとは違って)ペリクルフレームをパターニングデバイスMAに接着することによって、ペリクルフレームがパターニングデバイスMAに取り付けられてもよい。他の実施形態においては、マスクアセンブリは、取り付けインタフェース32を含むサブフレーム27を含み得るが、切取部25は含まないかもしれない。概して、説明した実施形態のいずれの特徴も、単独で用いられてもよいし、あるいは説明した実施形態の他の特徴のいずれかと任意の組み合わせで用いられてもよい。
[0252] 図5は、本発明の代替的な一実施形態によるマスクアセンブリ115の概略図である。マスクアセンブリ115は、パターニングデバイスMAと、ペリクル119を支持するペリクルフレーム117とを備える。パターニングデバイスMAはパターン領域21を含む。ペリクルフレーム117は、3つのサブマウント110を備えたマウントを介してパターニングデバイスMAに取り付けられる。サブマウント110は、ペリクルフレーム17の一部の区画がパターニングデバイスMAに対して移動することを可能にするように構成されている。サブマウント110は併せてペリクルフレーム117のための運動学的マウントとして機能し得る。3つよりも多くのサブマウントが提供されてもよい。
[0253] サブマウント110は、各々が、パターニングデバイスMAに取り付けられそこから延伸する突起140(スタッドとも称され得る)を備える。突起140は、例えば、パターニングデバイスMAに接着されてもよい。いくつかの実施形態においては、突起140は、パターニングデバイスMAの切取部に配置されていてもよい(図5には図示しない)。いくつかの実施形態においては、突起140は、パターニングデバイスMAに取り付けられたサブフレーム(図5には図示しない)に取り外し可能に固定されていてもよく、それによってペリクルフレーム117はパターニングデバイスに便利に取り付け及び取り外しされることができる。
[0254] 突起140は、ブラケット144を介してペリクルフレーム117に連結された板ばね142に取り付けられている。ブラケット144は不撓性であってもよい。
板ばね142は、パターニングデバイスMAに取り付けられたピン140に対するペリクルフレーム117の一区画の移動を可能にする。したがって、サブマウント110の板ばね142は、パターニングデバイス110に対するペリクルフレームの区画の移動を可能にする。
[0255] 図5に示す運動学的マウントを介してパターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム117の区画の移動を可能にすることは、パターニングデバイスに応力を生じさせることなく、パターニングデバイスMA及びペリクルフレーム117の独立した膨張及び収縮を有利に可能にする。例えば、ペリクルフレーム117が加熱されパターニングデバイスMAに対して膨張すると、そのペリクルフレーム117の膨張は、板ばね142の撓みを引き起こし得る。したがって、パターニングデバイスMAの膨張は、パターニングデバイスMAに応力を生じさせる代わりに、板ばね142によって吸収され得る。
[0256] サブマウント110は、パターニングデバイスに対するペリクルフレーム117の膨張及び収縮を可能にするようにペリクルフレーム117の区画がパターニングデバイスMAに対して移動することを可能にするが、パターニングデバイスに対するペリクルフレーム117全体の移動は抑制するのが望ましいであろう。例えば、各サブマウント110は、そのサブマウントにおけるペリクルフレームの移動を限られた数の自由度に抑制するように(すなわちそのサブマウントにおいて少なくとも1つの方向の移動が防止されるように)構成されていてもよい。各サブマウント110におけるペリクルフレーム117の移動の抑制の組み合わせは、パターニングデバイスに対するペリクルフレーム117全体の移動を防止するように作用し得るので、ペリクルフレーム117全体がパターニングデバイスMAに対して固定される。つまり、サブマウント110は、ペリクルフレーム117が膨張及び収縮することは可能にするが、パターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム117の有意な並進運動又は回転は防止するように作用する。
[0257] 図5の実施形態はペリクルフレーム117の区画がパターニングデバイスMAに対して移動することを可能にする板ばねを含んでいるが、一般的には任意の可撓性の要素が用いられ得る。可撓性の要素は弾性の要素であってもよい。いくつかの実施形態においては、可撓性の要素はペリクルフレーム自体の一部であってもよい。例えば、ペリクルフレームは取り付け点でマウントに取り付けられてもよい。ペリクルフレームの、取り付け点に隣接する部分は、フレームの取り付け点を含む一部分が可撓性となるようにフレームから切り出されてもよく、それによってフレームの残りの部分に対する取り付け点の移動が可能になる。
[0258] 図5の運動学的マウント配置は、ペリクルフレーム117がパターニングデバイスMAに取り付けられる点を3つのピン140に減少させる。ピン140をパターニングデバイスMAに取り付けるためにグルー(接着剤とも称され得る)が用いられる実施形態においては、グルーは、(例えば図2A乃至図2C及び図4A乃至図4Cの実施形態におけるサブフレーム27の各々の長さとは違って)3つのピン140がパターニングデバイスMAに取り付けられる領域においてのみ用いられるであろう。グルーが用いられるマスクアセンブリ115の領域を減少させることは、グルーからのアウトガスの影響を有利に減少させる。
[0259] 図5の運動学的マウント配置においては、ペリクルフレーム117のz方向の範囲は、ペリクルフレーム117とパターニングデバイスMAの前面との間に間隙が残されるようなものであってもよい。間隙は、ペリクル119の全体にわたる圧力均等化を可能にするべく、ペリクル119とパターニングデバイスMAとの間の容積に気体が流入及び流出することを可能にする。図5に示されるサブマウント110の配置は、パターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム117の移動を可能にするようにペリクルフレーム117をパターニングデバイスMA上に搭載するために用いられ得る運動学的マウント配置の一例に過ぎない。他の実施形態においては、ペリクルフレーム117をパターニングデバイスMA上に搭載するために、1つ以上のサブマウントの他の配置が用いられてもよい。各サブマウントは、パターニングデバイスとペリクルフレームとの間の異なる位置での取り付けを提供し得る。各サブマウントは、その位置におけるパターニングデバイスに対するペリクルフレームの移動を可能にするように構成された可撓性の構成要素を含んでいてもよい。
[0260] 1つ以上のサブマウントは、ペリクルフレーム117及び/又はパターニングデバイスMAの熱膨張に起因してパターニングデバイスMAにおいて発生する応力を低減するように、ペリクルフレーム117の区画がパターニングデバイスMAに対して移動することを可能にする1つ以上の可撓性の要素(例えば板ばね142)を備えていてもよい。1つ以上のサブマウントは、各サブマウント110におけるパターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム117の移動を離散的な数の(a discrete number of)自由度に(すなわち、そのサブマウントにおいて少なくとも1つの方向の移動が防止されるように)拘束し得る。複数のサブマウント110の組み合わせは、パターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム117全体の有意な並進運動又は回転を防止するべく、パターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム117全体の移動を拘束するように作用し得る。ペリクルフレームのパターニングデバイスへの過剰決定連結(overdetermined connection)を提供し、且つそれをペリクルフレームの変形が補償されオーバレイへの影響が最小化されるようにフレームの撓み性(すなわち可撓性)と組み合わせるのが有利であることがわかっている。例えば、ペリクルフレームは、垂直方向(z軸)では過剰決定され得るとともに、x−y平面内では1自由度を有し得る。
[0261] 図6は、本発明の代替的な一実施形態によるマスクアセンブリ215の概略図である。マスクアセンブリ215は、パターニングデバイスMAと、ペリクル219を支持するペリクルフレーム217とを備える。パターニングデバイスMAはパターン領域21を含む。ペリクルフレーム217は、パターン領域21を取り囲むようにパターン領域21の周りに延伸する。
[0262] ペリクルフレーム217は、ペリクルフレーム217の残りの部分と比較したときにx方向に増大された範囲を有する伸張部分231を含む。伸張部分231はリブであると考えられてもよい。ペリクルフレーム217の、伸張部分231を形成しない部分は、非伸張部分と称され得る。伸張部分におけるペリクルフレーム217の幅247は、非伸張部分におけるペリクルフレーム217の幅245よりも大きい。
[0263] 図7は、ペリクルフレーム217の一部の拡大図の概略図である。ペリクルフレーム217の、図7に示される部分は、伸張部分231を含む。ペリクル219は、ペリクル219の、ペリクルフレーム217に取り付けられる領域に、境界部220を含む。境界部220は、ペリクル219のメイン膜に対して増大された厚さを有する。境界部220は、ペリクル219の取り扱いの際(例えば、ペリクル219のペリクルフレーム217への取り付け及び取り外しの際)にペリクル219を把持するために用いられ得る。
[0264] ペリクル219の境界部220の幅は、ペリクルフレーム217の幅245によって制限され得る。いくつかの実施形態においては、境界部はペリクルフレーム217の範囲を超えて内側に延伸し得る。しかしながら、ペリクルの、放射ビームBを伝播する部分は、境界部220からではなくメインペリクル膜から形成されるのが望ましいであろう。したがって、境界部がペリクルフレーム217を越えて延伸する範囲は、ペリクル219が放射ビームBを伝播する必要によって制限され得る。ペリクルフレーム217の幅245は、パターニングデバイスMAの空間要件によって制限され得る。例えば、パターニングデバイスMAの領域は、パターニングデバイスMAのこれらの領域を他の目的で使用するため(例えばアライメントマーク223及び/又は識別マークを配置するため)に、ペリクルフレーム217がない状態で残しておくのが望ましいかもしれない。
[0265] いくつかの実施形態においては、ペリクルフレームの幅245は約2mm以下に制限され得る。そのような実施形態においては、ペリクル219の境界部220の幅もまた約2mm以下に制限され得る。用途によっては、境界部220の幅は、(例えばペリクルの境界部を把持することによる)ペリクル219の取り扱いを可能にするために、2mmよりも大きいのが望ましいであろう。図6及び図7に示される実施形態におけるペリクルフレーム217の伸張部分231の提供は、ペリクル219の、ペリクルフレーム217の伸張部分231に対応する位置において、ペリクル219の境界部220が伸張されることを可能にする。伸張部分231におけるペリクルフレーム217の幅247は、例えば約5mmであってもよい。したがって、伸張部分231は、ペリクル219の境界部220が、ペリクル219の、ペリクルフレーム217の伸張部分231に対応する領域において、約5mmの幅を有することを可能にし得る。増大された幅(例えば約5mmの幅)を有するペリクル219の境界領域220の領域を設けることは、ペリクルの取り扱いの際に便利に把持され得るペリクル219の領域を提供する。
[0266] ペリクルフレーム217の伸張部分231は、パターニングデバイスMAの、他の目的のためには必要とされない領域に位置決めされ得る。例えば、伸張部分231は、アライメントマーク223及び/又は識別マークを妨害しないように、パターニングデバイスMA上のアライメントマーク223及び/又は識別マークの周りに延伸してもよい(図6には図示しない)。伸張部分231には、アライメントマーク223及び/又は識別マークを可視のままにしつつこれらのマークを覆って延伸可能なように、窓が設けられてもよい。
[0267] いくつかの実施形態においては、ペリクルフレーム217の伸張部分231は、さらなる目的のために用いられ得る。例えば、伸張部分231のうち1つ以上には、(図6に示されるように)1つ以上のアライメントマーク223が設けられてもよく、それによってアライメントマークに必要なパターニングデバイスMAの空間の量が減少される。
伸張部分231に設けられたアライメントマーク223は、パターニングデバイスMA上のアライメントマーク223と同じ種類のものであってもよいし、又は異なっていてもよい。いくつかの実施形態においては、ペリクルフレーム217の伸張部分231に設けられたアライメントマーク223は、パターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム217のアライメントを確認するために用いられ得る。アライメントマーク223を有する伸張部分231は、ペリクル膜をパターニングデバイスMA及びペリクルフレーム217と整列させるために用いられ得る。アライメントマーク223は、ペリクルフレームの後面(すなわちパターニングデバイスMAに対向する面)にも設置され得る。よって、例えばパターニングデバイスに空白区域が設けられている場合には、パターニングデバイスを通したアライメントが可能であり得る。これは、ペリクルをパターニングデバイスMA及びペリクルフレーム217と整列させるときにも有用であり得る。そのような場合には、フレームを有するパターニングデバイスのペリクルに対するアライメントは後面から行われてもよいのに対し、ペリクルのアライメントは前面から行われてもよい。
[0268] マスクアセンブリの他の実施形態の文脈で上記において説明したように、ペリクル219の全体にわたる圧力均等化を可能にするべく、ペリクル219とパターニングデバイスMAとの間の容積に気体が流入及び流出するための手段を提供するのが望ましい。いくつかの実施形態においては、気体流のための手段は、ペリクルフレーム217を貫通して延伸する穴(例えば図3に示されるような1つ以上のラビリンス穴)を備えていてもよい。
[0269] ペリクルフレーム217に穴を設けることは、穴が設けられた領域においてペリクルフレーム217を構造的に弱め得る。いくつかの実施形態においては、ペリクルフレーム217の伸張部分231に、ペリクルフレーム217を貫通する1つ以上の穴が設けられてもよい。ペリクルフレーム217の伸張部分231はペリクルフレーム217の非伸張部分と比較して増大された幅を有するので、ペリクルフレーム217は伸張部分231において機械的により強くなり得る。したがって、ペリクルフレーム217を貫通する穴を設けることによってペリクルフレーム217を弱めることは、ペリクルフレーム217の伸張部分231においては、より少ない影響を有する。なぜなら、伸張部分231が(ペリクルフレーム217の非伸張部分と比較して)増大された機械的強度を有するためである。
[0270] 図8Aは、本発明の代替的な一実施形態によるペリクルフレーム217’の一部の概略図である。ペリクルフレーム217’は、ペリクルフレーム217’の非伸張部分の幅245’よりも大きい幅247’を有する伸張部分231’を含む。図8Aに示されるペリクルフレーム217’は、ペリクルフレーム217’の伸張部分231’が中空区画261を含み、その周囲にフレーム217’が延伸している点を除いて、図6及び図7のペリクルフレーム217と同一である。説明を容易にするため、図8Aにはペリクルは示されていない。
[0271] 図8Bは、図8Aのペリクルフレーム217’への装着に適したペリクル219’の一部の概略図である。ペリクル219’は境界部220’を含む。境界部220’の幅は、ペリクルフレーム217’の伸張部分231’に対応する領域において、増大されている。境界部220’の、増大された幅を有する領域は、ペリクル219’に気孔が形成されている領域263を含む。気孔は、例えば、エアロゲルのように気孔が無作為に分布している多孔質材料の包含によって、又は平行な列の形など所与の方向で分布している気孔を設けることによって、提供され得る。気孔は、気体がペリクル219’を通って流れることを可能にするように構成されている。ペリクル219’がペリクルフレーム217’に装着されているとき、気孔を含む領域263はペリクルフレーム217’の中空区画261と整列しており、それによって気体が気孔を通りペリクル219’とパターニングデバイスMAとの間の容積に流入及び流出することが可能になる。したがって、ペリクル219’の気孔を含む領域263は、ペリクル219’の全体にわたる圧力均等化を可能にする。
[0272] ペリクル219’に気孔を設けることによって、気体はペリクル219’の気孔を介してペリクル219’とパターニングデバイスMAとの間の容積に流入及び流出することができるため、ペリクルフレーム217’の穴及び/又はフィルタの数が減少又は削減され得る。ペリクルフレーム217’の穴及び/又はフィルタの数を減少させ又は削減することは、ペリクルフレーム217’の強度を有利に高め得る。
[0273] 上記では、ペリクルがペリクルフレームによってパターニングデバイスMAの上方の所定の位置に保持される、マスクアセンブリの様々な実施形態を説明してきた。使用の際、ペリクル上には電荷が蓄積し得る。例えば、ペリクルのEUV放射線への曝露は、ペリクル上での電荷の蓄積をもたらし得る。追加的又は代替的には、電荷は、パターニングデバイスMAの静電クランプに起因してペリクル上に蓄積し得る。パターニングデバイスMAの静電クランプは、パターニングデバイスMA及びペリクルがコンデンサとして作用するように、且つパターニングデバイスMAとペリクルとの間に電位差が存在するように、パターニングデバイスMAを帯電させてもよく、それによってペリクル上での電荷の蓄積がもたらされる。ペリクルとリソグラフィ装置LAの別の構成要素との間で放電が発生するのを回避するために、ペリクルから電荷を放散するための手段を提供するのが望ましいであろう。ペリクルから電荷を放散するためには、ペリクルとパターニングデバイスとの間に導電経路が設けられてもよい。
[0274] 図9はマスクアセンブリ315の一部の概略図であり、ペリクルとパターニングデバイスMAとの間に導電経路が設けられている。マスクアセンブリ315は、グルー331(接着剤とも称され得る)によってパターニングデバイスMAに固定されたペリクルフレーム317を含む。本明細書においては取り付けの他の形態もまた予想される。境界部320を含むペリクル319はグルー331によってペリクルフレーム317に固定される。グルーには導電性のものもあり得、したがってペリクル319とペリクルフレーム317との間及びペリクルフレーム317とパターニングデバイスMAとの間に導電経路を提供し得る。しかしながら、グルーには導電性ではないものもあり得、よってマスクアセンブリ315の構成要素の間に導電経路を提供しない。マスクアセンブリ315の構成要素の間に導電経路を提供するために、ペリクル319とペリクルフレーム317との間及びペリクルフレーム317とパターニングデバイスMAとの間には、導電性材料332が配置される。導電性材料332は、例えば、はんだ材料であってもよい。導電性材料332の提供はバンプ接合と称され得るもので、半導体素子間に提供されるバンプ接合と類似のものであってもよい。
[0275] ペリクルフレーム317は導電性であってもよい。例えば、ペリクルフレーム317は導電性金属から形成されてもよい。したがって、ペリクル319とペリクルフレーム317との間及びペリクルフレーム317とパターニングデバイスMAとの間に導電性材料332を提供することは、ペリクル319とパターニングデバイスMAとの間に(ペリクルフレーム317を通して)導電経路を提供することを可能にし得る。よって、ペリクル上に蓄積し得る電荷は、導電経路を介して放散され得る。
[0276] 上記では、マスクアセンブリの構成要素をまとめて固定するためにグルー(接着剤とも称され得る)が用いられる、マスクアセンブリの様々な実施形態を説明してきた。しかしながら、上述したように、マスクアセンブリにおけるグルーの使用はグルーからのアウトガスをもたらすかもしれず、これはマスクアセンブリが配置されている環境を汚染し得る。マスクアセンブリにおけるグルーの使用を回避するために、いくつかの実施形態においては、マスクアセンブリの構成要素は(グルーの使用とは違って)光学的圧着を用いて固定されてもよい。光学的圧着は、2つの表面が、それらの表面が合わせられたときに表面間の分子間力(例えばファンデルワールス力)がそれらの表面を互いに固定するのに十分であるように、互いに密接して適合されるときに発生する。
[0277] 光学的圧着は、例えば、ペリクルフレームをパターニングデバイスMAに固定するために用いられ得る。ペリクルフレームをパターニングデバイスMAに固定するためには、ペリクルフレームの表面及びパターニングデバイスの一領域が、光学的圧着を可能にするべく十分に滑らかである必要があるであろう。いくつかの実施形態においては、光学的圧着を可能にするべく十分に滑らかにするために、パターニングデバイスMAの一領域が処理され得る。他の実施形態においては、パターニングデバイスMAの一領域上に膜が堆積されてもよく、それによってその膜とペリクルフレームとの間の光学的圧着が可能になる。膜は、例えば、リソグラフィ工程を用いてパターニングデバイス上にパターニングされてもよい。
[0278] ペリクルフレームは、必要なとき(例えばペリクルを交換するため)にパターニングデバイスからのペリクルフレームの便利な取り外しを可能にするように、光学的圧着を用いてパターニングデバイスに固定されてもよい。マスクアセンブリにおける光学的圧着の使用は、マスクアセンブリにおけるグルーの使用の必要を有利に軽減し、それによってグルーからのアウトガスの影響を回避する。いくつかの実施形態においては、マスクアセンブリのいくつかの構成要素は光学的圧着を用いてまとめて固定されてもよく、いくつかの構成要素はグルーでまとめて固定されてもよい。いくつかの実施形態においては、マスクアセンブリの1つ以上の構成要素は、機械的インタフェース(例えば、図2Bに示される取り付けインタフェース32)によってまとめて固定されてもよい。
[0279] いくつかの実施形態においては、ペリクルフレームは、他の形態の接合を用いてパターニングデバイスに取り付けられてもよい。例えば、ペリクルフレームをパターニングデバイスMAに固定するためには、陽極接合又は水酸基接合が用いられ得る。
[0280] 光学的又は他の形態又は接合及び接触は、時として分子的に滑らか且つ平坦な合わせ面を必要とし得る。本明細書中の一実施形態においては、ペリクルフレームの表面に、又はマスクに接合される取り外し可能な突起(スタッド)の基部に、ポリマ膜を共有結合させることが提案される。本明細書において、共有結合とは、正常の条件下で(例えば摩減又は灰化が用いられない限りは)ポリマ膜が突起の基部に固定されたままであることを保証する不可逆的接合を意味する。ポリマ膜の厚さは、好適には1ミクロン未満であり、より好適には100nm未満である。一実施形態においては、突起とマスクとの接合を達成するために、ポリマ膜で被覆された突起(スタッド)の表面又はペリクルフレーム表面が、清浄な条件下で清浄なマスク上に押し当てられてもよい。
[0281] 合わせ面が滑らか、平坦且つ清浄であるため、ポリマ膜は、マスク表面とファンデルワールス接触するように変形し、例えば10MPa程度の接合強度を提供し得る。ポリマ膜は、比較的薄いので、有機アウトガス材料を含まず、機械的に剛性且つ水分に対して安定であり得る。ポリマ膜は真空に曝されないか、又は接合表面の縁でごくわずかな程度にしか曝されないため、周囲環境におけるポリマ膜の反応種への曝露は最小化される。ポリマ膜接合の利点は、ポリマ膜が、取り外し可能な要素(例えばペリクルフレーム表面又は突起の基部)の表面には共有結合的(すなわち不可逆的)に接合され、マスクにはファンデルワールス力を介して(すなわち可逆的に)接合されるので、取り外し可能な要素がマスクからきれいに剥離され得るということである。
[0282] 例えば、ガラスのスタッド(又はその基面)は、ガラスとの共有結合を創出するべくトリメトキシシラン第二級アミンで処理されてもよく、その場合、ビスフェノールAジグリシジルエーテルとの反応を開始するために第二級アミンが用いられ得る。
[0283] 図10は、本発明の一実施形態によるマスクアセンブリ415の概略図である。マスクアセンブリ415は、ペリクルフレーム417及びペリクル419を備えたペリクルアセンブリ416を含む。ペリクルフレーム417はパターニングデバイスMAへの取り付けに適しており、図10においては、グルー431(接着剤とも称され得る)によってパターニングデバイスMAに取り付けられているものとして示されている。ペリクルフレーム417は、パターンが形成されるパターニングデバイスMAの前面FSに取り付けられている。
[0284] ペリクル419はペリクルフレーム417によって支持されている。図10に示される実施形態においては、ペリクル419はグルー431によってペリクルフレーム417に取り付けられている。他の実施形態においては、ペリクル419は、他の手段によって(例えば光学的圧着によって)ペリクルフレーム417に取り付けられてもよい。ペリクル419は、薄膜部421及び境界部420を備える。薄膜部421はペリクルフレーム417の全体にわたって延伸し、平面441を定義する(すなわち、薄膜部421は平面441内にある)。境界部420は(図10に示される例においてはグルー431によって)ペリクルフレーム417に取り付けられ、薄膜部421の厚さよりも大きい厚さを有する。図10においては、境界部420が、薄膜部421によって定義される平面441を出てペリクルフレーム417から遠ざかるように延伸することが見て取れる。したがって、図10に示されるペリクル419は、例えば図2B,図4B及び図9に示される、境界部がペリクルによって定義される平面から出てペリクルフレームに向かって延伸する実施形態と比較して、ペリクルフレーム417に対して上下反転している。
[0285] 境界部がペリクル419の薄膜部421によって定義される平面441から出てペリクルフレーム417から遠ざかって延伸するようにペリクル419を配置することは、ペリクル419の薄膜部421とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の分離445を変更することなく、ペリクルフレーム417のz方向の範囲を増大させることを有利に可能にする。ペリクル419の薄膜部421とパターニングデバイスの前面FSとの間に所与の分離445が存在するようにペリクル419を配置するのが望ましいかもしれない。薄膜部421とパターニングデバイスMAの前面FSとの間の所与の分離445は、業界標準に対応していてもよく、及び/又は所望の光学特性を提供し得る。例えば、ペリクル419を、パターニングデバイスMAの前面FSと薄膜部421との間の分離445が約2mm、最大で2.5mm、又はさらには最大で3mm(例えば2mm乃至3mm)となるように配置するのが望ましいであろう。
[0286] 境界部が(例えば図2B,図4B及び図9に示されるように)ペリクルの薄膜部によって定義される平面から出てペリクルフレームに向かって延伸する実施形態においては、ペリクルフレームのz方向の範囲及び境界部のz方向の厚さは、いずれもペリクルの薄膜部とパターニングデバイスMAの前面FSとの間にある。したがって、そのような実施形態においては、ペリクルフレームのz方向の範囲はペリクルの境界部の厚さによって制限される。図2B,図4B及び図9に示される配置とは対照的に、境界部420がペリクル419の薄膜部421によって定義される平面441から出てペリクルフレーム417から遠ざかって延伸する、図10に示される実施形態においては、パターニングデバイスMAの前面FSとペリクル419の薄膜部421との間の分離445のz方向の略全範囲がペリクルフレーム417のために利用可能である。したがって、ペリクルフレーム417のz方向の範囲は増大され得る。
[0287] 本発明の他の実施形態を参照して上記において説明したように、ペリクルフレーム417のz方向の範囲を増大させることは、ペリクル419の全体にわたる圧力均等化を可能にするべく、ペリクル419とパターニングデバイスMAとの間の容積に(例えばペリクルフレーム417に設けられた1つ以上のフィルタ及び/又は穴を通って)気体が流入及び流出するための手段を提供するのに利用可能なペリクルフレーム417上の空間を有利に増大させる。ペリクルフレーム417のz方向の範囲を増大させることは、さらに、ペリクルフレーム417に取り付けられたときのペリクル419の張力がペリクルフレーム417の強度の増加に起因して増大されることを可能にし得る。
[0288] 図10に示される配置においては、境界部420の厚さ全体が、平面441を出てペリクルフレーム417から遠ざかるように延伸する。この配置の結果、境界部420がペリクルフレーム417に取り付けられる境界部420の第1の表面447が、ペリクル419の薄膜部421によって定義される平面441と略同一平面となる。境界部420の第1の表面447がペリクル419の薄膜部421によって定義される平面441と略同一平面である実施形態においては、ペリクル419の薄膜部421とパターニングデバイスの前面FSとの間の分離445は、ペリクルフレーム417のz方向の範囲に大きく依存し、境界部420のz方向の厚さには依存しない。境界部420の厚さにもはや依存しないため、これは、ペリクル419の薄膜部421のz方向の位置が制御され得る精度を有利に高めるであろう。
[0289] 他の実施形態においては、境界部420の平面441から出てペリクルフレーム417から遠ざかるように延伸する部分に加えて、境界部420は、平面441から出てペリクルフレーム417に向かって延伸するいくらかの厚さも含み得る。そのような実施形態においては、境界部420の第1の表面447は、ペリクル419の薄膜部421によって定義される平面441と同一平面ではないかもしれない。いくつかの実施形態においては、境界部420の、平面441から出てペリクルフレーム417から遠ざかるように延伸する厚さは、境界部420の、平面441から出てペリクルフレーム417に向かって延伸する厚さよりも大きくてもよい。
[0290] ペリクルの薄膜部421は、上記では平面441を定義するものとして説明されているが、実際には、薄膜部421はz方向にいくらかの範囲を有しており、したがって薄膜部421全体が単一平面内にあるのではないことが察知されるであろう。概して、薄膜部421によって定義される平面は、薄膜部421の、パターニングデバイスMAの前面FSにもっとも近接した表面が位置する平面であるものと考えられ得る。
[0291] 上記では、ペリクルをペリクルフレームに取り付けるためにグルーが用いられる、及び/又はペリクルフレームをパターニングデバイスMAに取り付けるためにグルーが用いられる、様々な実施形態を説明してきた。上記で述べたように、グルーからはアウトガスによって気体が放出され得る。グルーからのアウトガスの産物は、パターニングデバイスMAを不利に汚染し得るとともに、特にパターニングデバイスのパターン領域を汚染し得る。パターニングデバイスMAのパターン領域の汚染は、放射ビームBに転写されるパターンと、ひいては放射ビームBによって基板Wに転写されるパターンとに悪影響を及ぼし得る。したがって、グルーからのアウトガスの産物に起因するパターニングデバイスMAの汚染を低減するのが望ましい。
[0292] 図11は、グルーからのアウトガスの産物に起因するパターニングデバイスMAの汚染を低減するように構成された特徴を含むマスクアセンブリ515の一部の概略図である。マスクアセンブリ515は、パターニングデバイスMAと、ペリクルフレーム517と、ペリクル519とを含む。図11に示される実施形態においては、ペリクル519は、ペリクル519の残りの部分に対して増大された厚さを有する境界部520を含む。しかしながら、他の実施形態においては、ペリクル519は境界部を含んでいなくてもよく、又は図11に示される境界部520とは異なって配置された境界部520を含んでいてもよい(例えば、境界部は、図10に示される境界部420と同様に配置されてもよい)。
[0293] ペリクル519はグルー531(接着剤とも称され得る)によってペリクルフレーム517に取り付けられており、ペリクルフレーム517はグルー531によってパターニングデバイスMAに取り付けられている。ペリクルフレーム517は、ペリクル519(この場合、ペリクル境界部520)のペリクルフレーム517への取り付け用のグルー531を収容するように構成された第1の凹部529を含む。第1の凹部529は、ペリクル519のペリクルフレーム517への取り付けによって、グルー531が第1の凹部529とペリクル519とに囲まれた容積内に閉じ込められるように構成される。図11に示されるようにグルー531を閉じた容積内に封入することは、グルー531からのアウトガスの産物を閉じた容積内に有利に閉じ込め、それによってグルー531からのアウトガスの産物によるパターニングデバイスMAの汚染が低減される。別の一実施形態においては、凹部は、アウトガスを可能にするべく部分的に開いていてもよく、その開口は、アウトガス材料がパターニングデバイスMAのパターン領域から遠ざかって方向付けられる(例えばペリクルフレーム517から外側に向けられる)ように配置される。
[0294] ペリクルフレーム517は、ペリクルフレーム517のパターニングデバイスMAへの取り付け用のグルー531を収容するように構成された第2の凹部528も含む。第1の凹部529と同様、第2の凹部528は、ペリクルフレーム517のパターニングデバイスMAへの取り付けによって、グルー531が第2の凹部528とパターニングデバイスMAとに囲まれた容積内に閉じ込められるように構成される。したがって、グルー531からのアウトガスの産物は閉じた容積内に有利に閉じ込められ、それによってグルー531からのアウトガスの産物によるパターニングデバイスMAの汚染が低減される。
[0295] 図11に示される第1及び第2の凹部は閉じた容積内にグルーを閉じ込めるが、他の実施形態においては、第1及び/又は第2の凹部は、グルーからのアウトガスの産物がペリクルフレームの外側に放出されるように、ペリクルフレームの外側に開放されていてもよい。第1及び/又は第2の凹部は、グルーからのアウトガスの産物がパターニングデバイスMAのパターン領域に到達することを防止するために、グルーがパターニングデバイスMAのパターン領域から密閉されるように構成されていてもよく、それによってパターニングデバイスMAのパターン領域の汚染が低減される。
[0296] 図11に示されるペリクルフレーム517の実施形態は、ペリクル519のペリクルフレーム517への取り付け用のグルー531を収容するように構成された第1の凹部529と、ペリクルフレーム517のパターニングデバイスMAへの取り付け用のグルー531を収容するように構成された第2の凹部528とを含んでいる。しかしながら、他の実施形態においては、ペリクルフレーム517は単一の凹部しか含まなくてもよい。概して、ペリクルフレーム517は、ペリクル519又はパターニングデバイスMAのペリクルフレーム517への取り付け用のグルー531を収容するように構成された凹部を含み得る。凹部は、ペリクル519又はパターニングデバイスMAのペリクルフレーム517への取り付けによってグルー531がパターニングデバイスMAのパターン領域から密閉されるように構成される。例えば、グルー532は、凹部とペリクル519又はパターニングデバイスMAとに囲まれた容積内に閉じ込められ得る。
[0297] いくつかの実施形態においては、ペリクルフレーム517は複数の凹部を含んでいてもよい。複数の凹部のうち少なくとも1つは、ペリクル519のペリクルフレーム517への取り付け用のグルーを収容するように構成されていてもよく、複数の凹部のうち少なくとも1つは、パターニングデバイスMAのペリクルフレーム517への取り付け用のグルーを収容するように構成されていてもよい。
[0298] 上記ではペリクルフレームの具体的な実施形態を参照して1つ以上の凹部を含むペリクルフレームを説明してきたが、1つ以上の凹部は、本文書の全体を通じて記載される実施形態など、ペリクルフレームの他の実施形態に有利に含まれ得る。
[0299] 図12乃至図14には、本発明のさらなる代替的な実施形態によるマスクアセンブリが図示されている。この実施形態においては、ペリクルフレーム及びペリクルがパターニングデバイス(例えばマスク)に対して懸架されている。ペリクルフレームはパターニングデバイスと取り外し可能に係合可能である。取り外し可能な係合は、複数のサブマウント(例えば2つ、3つ、4つ又はもっと多くのサブマウント)を備えたマウントによって提供され、ペリクルフレーム(及びペリクル)が容易且つ便利にパターニングデバイスから取り外されることを可能にする。パターニングデバイスからのペリクルフレーム及びペリクルの取り外しは清浄であり得る。すなわち実質的に汚染粒子を発生させない。その後、ペリクルフレーム及びペリクルは、パターニングデバイスに容易に再取り付け可能であり、又は新たなペリクルフレーム及びペリクルと交換されてもよい。
[0300] まず図12を参照すると、ペリクル619がペリクルフレーム617に取り付けられている。ペリクル619は、例えば、ペリクルフレーム617に接着され得る。ペリクルフレーム617は4つの係合機構650A乃至Dを備えており、その各々が、(図13及び図14に関連して後述されるように)パターニングデバイスから延伸する突起(例えばスタッドと称され得る)を収容するように構成されている。2つの係合機構650A,Bがペリクルフレーム617の片側部に設けられており、2つの係合機構650C,Dがペリクルフレームの反対の側部に設けられているが、4つのフレーム側部の各々に1つの係合機構など、他の取り付けの組み合わせもまた可能であり得る。係合機構は、ペリクルフレーム617の、リソグラフィ装置内での使用時にスキャン方向(図12においては従来の表記法に従ってy方向として示されている)に配向されるであろう側部に設けられている。しかしながら、係合機構は、ペリクルフレーム617の、リソグラフィ装置内での使用時にスキャン方向に垂直(図12においては従来の表記法に従ってx方向として示されている)に配向されるであろう側部に設けられてもよい。
[0301] 突起は、パターニングデバイスの前面に位置していてもよい。追加的又は代替的には、突起は、パターニングデバイスの側部に位置していてもよい。突起は、パターニングデバイスの側部から上向きに延伸してもよい。そのような配置においては、突起は、パターニングデバイスの側部への確実な接合を容易にするために、各々が平坦化された側面を有し得る。
[0302] 図13は、1つの係合機構650BとパターニングデバイスMAから突出する突起651との係合を示す。図13Aは断面斜視図であり、図13Bは一方から見た断面図である。突起651は、スタッドとも称され、例えば、パターニングデバイスMAに接着されていてもよいし、又は他の接合手段(光学接触、磁力又はファンデルワールス力など)によって取り付けられていてもよい。係合機構650Bと突起651とは併せてサブマウント610を形成する。突起651は、基部657から延伸するシャフト655上に位置する遠位ヘッド653を備える。基部657は、例えばグルーを用いて又は基部657に共有結合されたポリマ膜を介してパターニングデバイスMAに固定されるとともに、ファンデルワールス力を介してパターニングデバイスMAに取り付けられている。ポリマ膜を介した接合が用いられるときには、突起651は、所望のときに(例えば突起の存在なしにパターニングデバイスの洗浄を可能にするために)パターニングデバイスMAから剥離され得る。図示されたシャフト655及び遠位ヘッド653は円筒形であるが、これらは任意の適当な断面形状を有していてもよい。
[0303] 係合機構650Bは、ペリクルフレーム617に設けられた開口(例えば円形の穴)に収容される(概ね円形の)外壁660を有する。図中では外壁660及び開口は円形であるものとして図示されているが、他の形状も可能である。外壁は空間を定義し、その内部に係合機構650Bの他の構成要素が提供される。外壁660を収容する円形の穴は、フレームの外縁から突出するタブ620に設けられる(タブ620は図12においてもっとも明確に見て取れる)。係合機構650Bは、他の配置においては、任意の適当な形状の外壁を有し、ペリクルフレーム617には、その外壁を収容するために、対応する形状の穴が設けられる。係合機構650Bは、グルー又は任意の他の種類の接合を用いてペリクルフレーム617に固定され得る。
[0304] 外壁660からは一対のアーム662が延伸する。アーム662は、図13においては一方のみが示されており、外壁660によって定義される空間を横断して延伸しているが、外壁の反対側と連結されてはいない。アーム662は、例えば弾性の材料から作製され、したがって弾性のアーム662を形成する。アーム662の遠位端(distal end)の間には連結部材663が延在している。アーム662と連結部材663とは、併せて概ねU形状の支持部を形成する。図示される係合機構650Bのアーム662はy方向に延伸している。しかしながら、アームは他の方向に延伸してもよい。概ねU形状の支持部の遠位端には係止部材670が連結されている。係止部材670は突起651と係合し、それによってペリクルフレーム617をパターニングデバイスMAに固定する。係止部材670は図14を参照して以下でさらに説明される。アーム662は弾性部材の例である。他の弾性部材が用いられてもよい。
[0305] 概ねU形状の支持部の遠位端にはキャップ666が設けられ、(図13に示されるように)突起651の遠位ヘッド653の上方に、少なくとも途中まで延在するように構成される。キャップ666は突起の遠位ヘッド653に載置され、パターニングデバイスMAに向かうペリクルフレーム617の移動を制限する。このように、キャップは、ペリクルフレーム617のz方向の移動を制限する移動制限構成要素である。キャップに代えて、他の適当な移動制限構成要素が用いられてもよい。
[0306] 図13Bからもっとも容易に見て取れるように、サブマウント610は、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に間隙G(スリットであると考えられてもよい)が存在するように、ペリクルフレーム617をパターニングデバイスMAに対して懸架する。間隙Gは、キャップ666と突起651の遠位ヘッド653との間の係合によって(又は何らかの他の移動制限構成要素によって)維持され得る。間隙Gは、外部環境と、ペリクルとパターニングデバイスとの間の空間との間での圧力の均等化を可能にするのに十分なほど広くてもよい。また、間隙Gは、外部環境からペリクルとパターニングデバイスとの間の空間への汚染粒子の潜在的な経路を所望のように限定するのに十分なほど狭くてもよい。
[0307] 外部環境と、ペリクルとパターニングデバイスとの間の空間との間での圧力の均等化を可能にするためには、間隙Gは、例えば少なくとも100ミクロンであり得る。間隙Gは、例えば500ミクロン未満であってもよく、より好適には300ミクロン未満であってもよい。間隙Gは、例えば200ミクロン乃至300ミクロンであってもよい。間隙Gは、例えば、250ミクロンという最大寸法を有していてもよい(これは、外部環境からペリクルとパターニングデバイスとの間の空間への汚染粒子の潜在的な経路に所望レベルの限定を提供し得る)。間隙Gはこの寸法を、ペリクルフレームの周囲を取り巻いて有していてもよい。代替的には、間隙Gは、ペリクルフレームの周囲で変化する寸法を有していてもよく、例えばいくつかの部分はおよそ100ミクロンの寸法を有し、他の部分はおよそ250ミクロンの寸法を有していてもよい。一実施形態においては、間隙は、汚染粒子がより発生しやすいか又はパターニングデバイスのパターン領域へと輸送されやすい箇所においては、より小さな寸法を有していてもよい。そのような箇所の例は、ペリクルフレーム617がパターニングデバイスMAに連結される位置(例えばサブマウント610において)である。
[0308] 図14A及び図14Bは、上から見たサブマウント610を示すとともに、突起651が係合機構650Bと係合する手法を図示している。まず図14Aを参照すると、係合機構650Bの係止部材670は一対のU形状部材670A,Bを備えている。U形状部材は、概ねU形状の支持部の遠位端から突出している。U形状部材は、それぞれ、概ねU形状の支持部に連結された一方の端部と、固定されていない反対の端部とを有する。各U形状部材670A,Bは、図14Aと図14Bとを比較することによってわかるように、x方向に移動可能であり、固定されていない端部は最大量の移動が可能である。係合機構650Bはいくらかの弾性を有する材料(例えば鋼又は他の金属、又はプラスチック)から形成されており、したがって、U形状部材670A,Bの固定されていない端部は、力によってx方向に移動される場合、その力が印加されなくなると、当初の位置に戻るであろう。
[0309] ペリクルフレーム617をパターニングデバイスMAに固定するために、ペリクルフレームはパターニングデバイスに対して、突起651が係合機構650A乃至Dと整列するように位置決めされる。ペリクルフレーム617はその後、パターニングデバイスMAに向かって(又はその逆に)移動される。突起651の遠位ヘッド653は丸みを帯びた上面を有しており、これがU形状部材670A,Bの固定されていない端部を押し離す。したがって、U形状部材は、図14Aに示されるように、突起651の遠位ヘッド653を通過するまでは外側に移動する。
[0310] U形状部材670A,Bの弾性の性質は、一旦遠位ヘッド653を通過すると、これらのU形状部材を当初の位置へ戻らせる。すなわち図14Bに示される位置へと内側に移動させる。こうして、U形状部材の固定されていない端部は、突起651のヘッド653の下に移動する。遠位ヘッド653の下部は、曲面ではなく平面を有する。その結果、ペリクルフレーム617をパターニングデバイスMAから引き離す力を印加することは、U形状部材670A,Bの固定されていない端部の外側への移動は引き起こさないであろう。よって、U形状部材は突起の遠位ヘッド653の下の所定の位置に留まり、ペリクルフレーム617はパターニングデバイスMAに確実に取り付けられる。
[0311] 上記の記載は、ペリクルフレーム617がパターニングデバイスMAに向かって移動されるときにU形状部材670A,Bがいかにして自動的に遠位ヘッド653を係合させるかを説明するものであるが、代替的なアプローチにおいては、U形状部材は、遠位ヘッドを係合させるように(例えば手動で又は自動化されたプローブを用いて)操作されてもよい。そのようなアプローチにおいては、U形状部材670A,Bは、(例えばプローブを用いて)押し離され、遠位ヘッド653を通り越して押されるように下向きに押される。その後、U形状部材は互いに向かって移動され、遠位ヘッド653の下で突起651を係合させるように上方に引っ張られる。これは能動的に(例えばプローブを用いて)行われてもよいし、又はU形状部材の弾性がこの移動を発生させることを可能にすることによって受動的に行われてもよい。これによって、ペリクルフレーム617は、パターニングデバイスMAの方に引き寄せられて係合される。上記に記載されたアプローチと比較したこのアプローチの利点は、望まない汚染粒子を発生し得る遠位ヘッド653でのU形状部材670A,Bの摩擦を回避するということである。
[0312] ペリクルフレーム617をパターニングデバイスMAから取り外すことが望まれる場合には、これは、プローブ又は他の適当な部材を用いてU形状部材670A,Bの固定されていない端部を図14Aに示される位置へと押し離すことによって達成される。これにより、係合機構650Bが突起651から解放され、ペリクルフレーム617がパターニングデバイスMAから取り外されることが可能になる。このようにして係合機構650Bを突起651から解放することは、表面間での摩擦を介して粒子デブリを生成することを回避し得る(これは清浄な取り外しと称され得る)。
[0313] 各係合機構650A乃至Dは、突起651と係合されたとき、ペリクルフレーム617をパターニングデバイスMAから懸架する(とともにそれによって間隙Gを提供する)サブマウント610を形成する。これらのサブマウント610は、併せて、ペリクルフレーム617をパターニングデバイスMAから懸架するマウントを形成する。マウントは、パターニングデバイスMAに対するペリクルフレームの回転又は並進運動を実質的に防止するべく、ペリクルフレーム617全体の移動を制約するように構成されている。各サブマウント610は、そのサブマウントの位置におけるパターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム617の移動を限られた数の自由度に抑制するように構成されている(すなわち、そのサブマウントにおいて少なくとも1方向の移動が防止される)。各サブマウントによって1方向の移動が防止されるが、他の方向の移動は許容される。その結果、サブマウントは併せて、パターニングデバイスMAの有意な屈曲を引き起こすことなくペリクルフレーム617の膨張及び収縮を可能にする運動学的マウント配置を形成する。これを以下においてより詳細に説明する。
[0314] 図12においては、各係合機構650A乃至Dによって許容される移動の方向を示すために、双頭の矢印が用いられている。図12において、第1の係合機構650Aは、パターニングデバイスに対するペリクルフレーム617のy方向の移動は許可するが、x方向の移動は防止する。第2の係合機構650Bは、x方向の移動は許可するが、y方向の移動は許可しない。このように、ペリクルフレーム617の一側部は、x方向の移動を許可する係合機構と、y方向の移動を許可する係合機構とを備えている。ペリクルフレーム617の反対の側部においては、第3の係合機構650Cが、x方向の移動は許可するがy方向の移動は防止し、第4の係合機構650Dが、y方向の移動は許可するがx方向の移動は防止する。
[0315] 上述のように、各係合機構は、突起651と係合されたとき、サブマウント610を形成する。サブマウント610は運動学的サブマウントと称され得る。運動学的サブマウント610は、併せて運動学的マウント配置を形成する。各サブマウント610は、そのサブマウントの位置におけるパターニングデバイスに対するペリクルフレーム617のいくらかの移動を可能にする。したがって、例えば膨張又は収縮に起因するペリクルフレーム617の局所的な移動が、パターニングデバイスの有意な反りを引き起こすのに十分なほど強い力がパターニングデバイスMAに加えられることなしに、起こり得る。ペリクルフレーム617とパターニングデバイスMAとの間に弾性のない不撓性の連結が提供された場合には、ペリクルフレームの膨張又は収縮は、パターニングデバイスの反りを引き起こしやすいであろう。サブマウント650A乃至Dの運動学的な性質は、そのような反りを発生し難くする。
[0316] ペリクルフレーム617の対向する側部の等価な位置に設けられたサブマウントは、相補対である。各相補対は、パターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム617のx方向及びy方向のいくらかの局所的な移動は許可するが、ペリクルフレーム617の一端部全部の移動は防止する。例えば、第1の係合機構650A及び第3の係合機構650Cを備えるサブマウントは、ペリクルフレーム617の局所的な移動は許可するが、ペリクルフレームの左側の端部全部の移動は防止する。つまり、ペリクルフレーム617の左側の端部は、パターニングデバイスMAに対してx方向(及びy方向)に移動することを防止される。第2の係合機構650B及び第4の係合機構650Dを備えるサブマウントも同様に、ペリクルフレーム617の局所的な移動は許可するが、ペリクルフレームの右側の端部全部の移動は防止する。つまり、ペリクルフレーム617の右側の端部は、例えば、パターニングデバイスMAに対してx方向(及びy方向)に移動することを防止される。
[0317] 各サブマウント610が一方向の移動は許可するが別の方向の移動は防止する手法は、図14Bを参照するともっともよく理解され得る。図14Bにおいて、(U形状部材670A,Bによって形成された)係止部材670を支持する係合機構650Bのアーム662は、y方向に延伸している。上述したように、係合機構650Bは弾性の材料から形成される。アーム662はy方向に延伸するとともに弾性であるため、x方向でのアームのいくらかの屈曲が可能である。これは、係合機構650Bの外壁660に対する係止部材670のx方向の移動を可能にする。しかしながら、アームはy方向に延伸しているため、y方向での係止部材670の等価な移動は不可能である。
[0318] 各係合機構650A乃至Dのアーム662の配向は、どの方向で移動が許容されるのか及びどの方向で移動が防止されるのかを決定するであろう。図12は係合機構650A乃至Dの配向の特定の組み合わせを示しているが、他の配向が用いられてもよい。配向は任意の方向であってもよく、ペリクルフレーム617の動的移動を制限しつつパターニングデバイスMAの変形の可能性を低減する運動学的連結を提供するように選択され得る。
[0319] 図12乃至図14は特定の形状のサブマウント610を備える運動学的マウント配置を示しているが、他の適当な運動学的マウント配置が用いられてもよい。運動学的サブマウントは任意の適当な形態を有し得る。
[0320] 図15は、本発明の代替的な一実施形態によるサブマウント710を示す。図16は、サブマウント710を断面で示す。サブマウントは、図12乃至図14に図示されたサブマウントと共通のいくつかの特徴を含んでおり、これらは図15及び16との関連では詳細には説明されない。しかしながら、サブマウント710は、図12乃至図14に示されたサブマウントとは異なるものである。例えば、サブマウント710は、概ね長方形の外壁760を有するとともに、異なる係止部材770を含む。図15Aは係止されていない構成のサブマウントを示し(すなわち、ペリクルフレーム717はパターニングデバイスMAから遠ざかるように持ち上げられ得る)、図15Bは係止された構成のサブマウントを示す(すなわち、ペリクルフレーム717は、パターニングデバイスMAから遠ざかるように持ち上げられることはできず、その代わりに定位置に保持される)。他の図と同様、実施形態の説明を容易にするために、デカルト座標が示されている。従来の通知に従い、y方向はリソグラフィ装置におけるパターニングデバイスMAのスキャン方向と一致する。
[0321] 図15に示される係合機構750は、ペリクルフレーム717の長方形の穴に収容される長方形の外壁760を備える。一対のアーム762が外壁760によって定義される空間の全体にわたってy方向に延伸している。アーム762の遠位端の間には連結部材763が延在している。アーム762は弾性部材の例である。他の弾性部材が用いられてもよい。アーム762と連結部材763とは、併せて概ねU形状の支持部を形成する。図示される係合機構のアーム762はy方向に延伸しているが、他の係合機構のアームは(例えば図12に図示される構成に対応する構造で)他の方向に延伸していてもよい。
概ねU形状の支持部の遠位端には係止部材770が連結される。係止部材770は突起751(スタッドと称され得る)と係合し、それによって(図16に示されるように)ペリクルフレーム717をパターニングデバイスMAに固定する。突起751は図13及び図14に図示された突起651と対応していてもよい。
[0322] 概ねU形状の支持部の遠位端にはキャップ766が設けられ、突起751の遠位ヘッドの上方に、少なくとも途中まで延在するように構成される。これは、パターニングデバイスMAに向かうペリクルフレーム717の移動を制限する。キャップ766は、ペリクルフレーム717とパターニングデバイスMAとの間の間隙G(図16を参照)を維持する。
[0323] 係止部材770は、図14との関連で上述された係止部材と同様、U形状部材の遠位端から延伸する一対のアームを備える。しかしながら、図15に図示される実施形態においては、アーム780は遠位端で連結部材781によって連結されている。連結部材781から延伸する支持部785によって、係止板784が支持される。係止板784は、突起751から分離されている位置から突起751と係合する位置まで、y方向で移動可能である。
[0324] アーム780及び支持部785は、z方向の移動度を提供し、ひいてはばねとして作用する。これは、係止板784のz方向のいくらかの移動を可能にする。図15Aにおいては、z方向の力が印加されていないので、アーム780及び支持部785はパターニングデバイスMAの平面に略平行である。アーム780及び支持部785に対して下向きの力が印加されていないときには、係止板784のシャフト受け凹部786は突起751のシャフトと整列しておらず、したがって突起と係合することはできない。
[0325] 下向きの力が係止板784に印加されると、アーム780及び支持部785は下向きに屈曲する。アーム780及び支持部785のこの屈曲の結果、係止板784は突起751のシャフトと整列する。その後、係止板784は、シャフトが係止板のシャフト受け凹部786に収容されるように、y方向に移動され得る。係止板784に印加される下向きの力はその後取り除かれ、するとアーム780及び支持部785の弾性が係止板784を上向きに突起751の遠位ヘッドに押し付ける。この力は、係止板784を定位置に保持するのを助ける。こうして係合機構760は図15Bに示される構成で定位置に係止される。支持部785は、係止板784を定位置に保つ保持部材であると考えられてもよい。係止板784は係止部材の一例である。
[0326] 支持部785からは一対の柱792が上向きに突出している。柱792は突起751から遠ざかるy方向の移動を制限し、それによって係止板784のy方向の過剰な移動を防止する。
[0327] 図16からは、係合機構750の外壁760がペリクルフレーム717の底部の下に突出していることがわかる。図16と図13Bとの比較からは、図13Bにおいては外壁660がペリクルフレーム717の底面と略同一平面であるため、これが先に説明された実施形態と比較しての相違点であることがわかる。図16に示される実施形態におけるペリクルフレーム717とパターニングデバイスMAとの間の間隙Gは、先の実施形態との関連で上述した間隙と対応し得る。しかしながら、係合機構750とパターニングデバイスMAとの間の間隙GMは、有意に小さくてもよい((例えばおよそ100μm)。係合機構750とパターニングデバイスMAとの間の間隙GMは、ペリクルフレーム717を取り巻く外周の小部分であり、したがってペリクル719とパターニングデバイスMAとの間の空間への気体の流入及び流出に有意な影響は有さない。(ペリクルフレーム717とパターニングデバイスMAとの間の間隙Gよりも)小さな間隙GMは、係合機構によって発生された汚染粒子がペリクル(図16には図示しない)とパターニングデバイスMAとの間の空間に進入する可能性を低減するので、有利である。係合機構750は汚染粒子の発生を回避するように設計され得るが、ペリクルフレーム717をパターニングデバイスMAに固定するためには係合機構の表面間に何らかの取り外し可能な係合が必要であり、この係合の結果としていくらかの汚染粒子が発生され得る。係合機構750の付近により小さな間隙GMを設けることは、そのような汚染粒子がパターニングデバイスMAのパターン領域に到達するおそれを低減する。
[0328] 図12乃至図14に図示された実施形態は係止部材650A乃至Dの付近に小さな間隙GMを有さないが、係止部材を、ペリクルフレーム617の底面を越えて突出するように変形することによって、小さな間隙が設けられてもよい。概して、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に間隙が設けられる実施形態においては、その間隙は、サブマウントの付近において、他の箇所の間隙よりも小さくてもよい。サブマウントの付近の間隙は、例えば200μmであってもよく、例えばおよそ100μm以下であってもよい。
[0329] 係止部材770はアーム762の遠位端に連結されているので、アームの方向に対していくらかの横向きの移動が可能である。したがって、図15に示されたサブマウントの位置におけるパターニングデバイスMAに対するペリクルフレーム717のx方向のいくらかの移動が可能である。アーム762は弾性の材料(例えば鋼などの金属)から形成されるので、当初の配向に戻りやすい。サブマウント710は運動学的サブマウントであるものと考えられてもよい。アーム762はx方向よりもz方向に有意に厚く、その結果、x方向のアームの屈曲と比較すると、z方向で可能なアームの屈曲は有意に少ない。よって、アーム762は、x方向の移動を可能にしつつ、y方向及びz方向のペリクルフレーム717の局所的な移動を防止又は実質的に防止し得る。
[0330] 係止板784は、プローブが係止板と係合して係止板を移動させることを可能にする穴790を備えている。プローブは、手動で操作されてもよく、又はアクチュエータによって自動的に操作されてもよい。プローブは穴790に収容され、(図16に図示されるように)係止部材770を下向きに押すために用いられる。その後、プローブは、係止板784をy方向に摺動させて突起751と係合させる。次いで、プローブは穴790から除去される。
[0331] 図12乃至図14に示された係合機構と比較して、図15及び図16に示された係合機構750の利点は、突起との係合がより容易であるということである。図12乃至図14の係合機構はU形状部材670A,Bを備えており、これらは突起の係合を達成するために押し離されるとともに下向きに押されるが、これは(例えば自動的に作動されるプローブを用いて)達成するのが比較的困難な運動の形態である。図15及び図16の係合機構は、摺動する板784を下向きに押してからこの係止板を突起に向かって摺動させさえすればよい。さらなる利点は、図15及び図16の係合機構は、突起と係合されたとき、垂直方向の弾性付勢しか含まないが、この係合機構は、突起と係合されたとき、水平方向の弾性付勢も含み得るという点である。さらに、図15及び図16の係合機構によって提供される(例えば図15においてはx方向の)運動学的移動は、係止板784と突起との間の係合を維持するために用いられる弾性付勢に略垂直な方向のものである。こうした係合弾性付勢からの運動学的移動の切り離しは、弾性付勢と運動学的移動とが同じ方向(例えば図14においてはx方向)である図12乃至図14に示された実施形態によっては提供されない。運動学的移動を係合弾性付勢から切り離すためには、係合機構の他の構成が用いられてもよい。
[0332] 運動学的マウント配置(例えば複数の運動学的サブマウントを備える)は、ペリクルフレーム616,716全体がパターニングデバイスMAに対する回転又並進運動を経験するのを実質的に防止し得る。運動学的マウント配置は、パターニングデバイスMAの反りを引き起こすことなくペリクルフレームの局所的な膨張及び収縮を可能にし得る。換言すれば、パターニングデバイスMAの有意な屈曲が回避される。「有意な屈曲」という用語は、(例えば、パターンが、そのパターンを用いて形成された集積回路が正確に機能することを可能にするのに十分なほど精密でないなど)基板上に投影されるパターンの精度に顕著な影響を有するであろう屈曲の量として理解されてもよい。
[0333] 図12乃至図16に関連して説明された実施形態の弾性のアーム662,762は、ペリクルフレーム617,717をパターニングデバイスMAに連結する弾性の構成要素の例である。他の適当な種類の弾性の構成要素が用いられてもよい。
[0334] 図12乃至図16に図示された実施形態においては、突起651,751はパターニングデバイスMAに設けられており、係合機構650,750はペリクルフレーム617,717に設けられている。しかしながら、この配置は、反転されて、突起がペリクルフレームに設けられ、係合機構がパターニングデバイスに設けられてもよい。
[0335] 本発明の一実施形態によるペリクルフレームは、例えば、シリコンから形成されてもよい。ペリクルフレームは、使用にあたり、水素ラジカル及び漂遊EUV放射線(stray EUV radiation)に曝され得る。これらはフレームの表面を溶解して望ましくないアウトガスを引き起こし得る。そのようなアウトガスを防止又は低減するために、ペリクルフレーム上にキャッピング層が設けられてもよい。キャッピング層は、例えば、SiOx、SiN、ZrO又は他のEUV耐性酸化物であってもよい。
[0336] 一実施形態においては、ペリクルフレーム及びペリクルは同一の材料(例えばポリシリコン)から形成され得る。ペリクルフレームとペリクルとを同一の材料から形成することの利点は、両者が同一の熱膨張率を有するので、EUV放射ビームからの熱を受けたときに同じように振る舞うことが予期され得るという点である。したがって、バイメタル片に見られる種類の屈曲が回避される。一実施形態においては、ペリクルフレームとペリクルとの間にいかなる種類のさらなる接合も必要とされないように、ペリクルフレームはペリクルと一体である(すなわちこれらは2つの別個の部品ではなく、単一の本体を形成するように一体化されている)。そのような一体型のペリクルアセンブリは、例えば、ペリクル境界がペリクルフレームとなるように、ペリクル膜を製造するときに1mm以上の幅を有する厚いペリクル境界を残すことによって作製されてもよい。そのような一体型のペリクルアセンブリの製造の一例は、境界がフレームとなるように当初のウェーハ厚さでペリクルの境界を維持しつつ、2mmのウェーハの内部領域を除去してペリクル膜を形成するというものである。一体型のペリクルアセンブリをパターニングデバイスに固定するための取り外し可能なマウントは、その後、ペリクル膜又はパターニングデバイスのパターン領域に向かってアウトガスが発生しないように、一体型のペリクルフレームに接着されてもよい。
[0337] 一実施形態においては、ペリクルフレーム及びペリクルは、同一の熱膨張率を有する異なる材料から形成され得る。これは同じ利点を提供する。そのような材料の一例は、ポリシリコン及び熱的に整合されたガラス(すなわちポリシリコンの熱膨張率に整合された熱膨張率を有するガラス)である。
[0338] ペリクルのペリクルフレームへの接着は、任意の適当な手法で達成され得る。一実施形態においては、略U形状(又はV形状)の凹部がペリクルフレームの周囲に分散していてもよい。各凹部は、途中まではペリクルフレームの外縁からペリクルフレームの内縁へと延伸し、ペリクルフレームの外縁に戻るように形成されている。凹部は、ペリクルフレームの外縁には連結するが、ペリクルフレームの内縁には連結しない。したがって、凹部はそれぞれがペリクルフレームの表面に1つの島を定義する。
[0339] ペリクルはペリクルフレームに保持されてもよく、グルーがペリクルフレームの外縁で凹部の端部に導入されてもよい。グルーは毛管作用によって凹部内に引き込まれ、ペリクルをペリクルフレームに固定するであろう。凹部はペリクルフレームの内縁には連結しないので、グルーはペリクルフレームの内縁まで進むのを防止され、それによってペリクルとパターニングデバイスとの間の空間に直接進入するのを防止される。経時的にはグルーのいくらかのアウトガスが発生し得るが、このアウトガスはペリクルフレームの外縁から出て行くので、ペリクルとパターニングデバイスとの間の空間において有意な汚染は引き起こさないであろう。
[0340] 一般的に、ペリクル境界とペリクルフレームとの間のグルーが提供される凹部は、ペリクルフレームの外面に向かって開いて構成され得る。これは、凹部からのアウトガスがパターニングデバイスのパターン領域から遠ざかるように方向付けられることを保証する。一般的に、ペリクル境界とペリクルフレームとの間のグルーが提供される凹部は、ペリクルフレームの内面に向かっては開かないように構成され得る。これは、凹部からのアウトガスがパターニングデバイスのパターン領域に向かって方向付けられないことを保証する。同じアプローチは、突起(スタッドとも称され得る)をパターニングデバイスに接着するために用いられる凹部を構成するときにも用いられ得る。
[0341] 図12に示されるサブマウント位置は一実施形態に過ぎず、サブマウントは他の位置に提供されてもよい。同様に、他の数のサブマウントが提供されてもよい。例えば、図5に示される配置に対応する配置においては、3つのサブマウントが提供され得る。
[0342] 図17及び図18は、本発明の代替的な一実施形態によるサブマウントを示す。図17はサブマウント910を斜視図で示し、図18はこのサブマウントを断面斜視図で示す。サブマウント910は、図15及び図16に図示されたサブマウントと共通又は類似のいくつかの特徴を含んでいる。適切な場合には、これらは図17及び図18との関連では詳細には説明されない。サブマウント910は、スタッド951及び係合機構950を備える。
[0343] 図17及び図18に示される係合機構950は、ペリクルフレームの長方形の穴(図示しない)に収容されるように構成された長方形の外壁960を備える。係合機構950は、他の配置においては、任意の適当な形状の外壁を有していてもよく、その外壁を収容するためにペリクルフレームには対応する形状の穴(図示しない)が設けられる。係合機構950は、グルー又は任意の他の種類の接合を用いてペリクルフレームに固定され得る。係合機構950は必ずしもペリクルフレームの穴に収容される必要はなく、任意の適当な手法でペリクルフレームに取り付けられ得る。これは他の係合機構(例えば本文書の他の箇所に記載された係合機構)にも当てはまる。
[0344] 一対のアーム962が外壁960によって定義される空間の全体にわたって延伸する。アーム962の遠位端の間には連結部材963が延在している。アーム962と連結部材963とは、併せて概ねU形状の支持部を形成する。連結部材963からは第2の一対のアーム980が延伸しており、外壁760によって定義される空間を横断して戻る。これらのアーム980は遠位端で第2の連結部材981によって連結されている。第2の連結部材981からは第3の一対のアーム983が延伸しており、これらは外壁960によって定義される空間を横断して戻るように延伸する。この第3の対のアームは、略板状の形態をしている。第3の対のアーム983の間には第3の連結部材984が延在しており、それによってこれらが連結されている。第3の連結部材984上にはブロック985が提供される。代替的な配置(図示しない)においては、この部材は単一の弾性のアーム上に提供されてもよい。代替的な配置(図示しない)においては、この部材は、単一の弾性のアーム上又は複数の弾性のアーム上に提供された複数の副部材を備えていてもよい。
[0345] 第3の対のアーム983は、キャップ963から遠ざかるように移動可能である。第3の対のアーム983は弾性であるため、キャップ966から遠ざかるように押された後、平衡位置に戻るであろう。第3の対のアーム983は、ばねであると考えられてもよい。第3の対のアーム983は、Z方向に撓むことができる。しかしながら、第3の対のアーム983は、X方向及びY方向には撓まないように構成されている。これは、第3の対のアーム983の板状の形態を介して達成される。アームは、X方向及びY方向において、Z方向におけるよりも厚い。アーム983は、アームの板状の表面に垂直の方向には屈曲可能であるが、他の方向には屈曲し得ない。アーム983の近位端には、Z方向の屈曲を容易にするために、溝が形成されてもよい(溝はZ方向のアームの厚さを減少させ、それによって可撓性を高める)。一対のアームの代わりに、単一の弾性のアームに関して類似の構成が用いられてもよい。
[0346] 概して、アーム962,980,983は弾性部材の例である。他の弾性部材が用いられてもよい。
[0347] 係合機構950はさらに、係止部材として作用する一対のばね990を備える。各ばね990は第1の連結部材963上に搭載される。各ばね990は、外壁960によって定義される空間を横断して延伸し、それから、使用時にマスク(図示しない)から延伸するスタッド951の位置と一致する位置へとその空間を横断して戻るように延伸している。図示されるばね990は、連結部材963とは反対の端部にループ部分991を含む線ばねである。しかしながら、任意の適当な形態のばねが用いられ得る。
[0348] 図17及び図18において、ばね990の固定されていない端部992は、ブロック985を貫通するものとして図示されている。もっとも、実用においては、ばね端部は、(係合機構750がスタッド951に固定されていれば)ブロック985の上方に位置するか、又は(係合機構がスタッドに固定されていなければ)ブロックの両側に位置するであろう。
[0349] 第1の連結部材963からはキャップ966が延伸している。キャップは、スタッド951の遠位ヘッドの上方に、少なくとも途中まで延伸するように構成されている。スタッド951はマスクから突出しているところ、これは、マスクに向かうペリクルフレーム(図示しない)の移動を制限する。他の実施形態と同様、キャップ966は、ペリクルフレームとマスクとの間の間隙を維持するように構成され得る。
[0350] 図19は、係合機構950をスタッド951から係脱する方法を概略的に示す。
[0351] 図19Aは、遠位ヘッド953を含むスタッド951を断面で示すとともに、係合機構の第3の連結部材984及びブロック985をさらに示す。キャップ966及びばねの固定されていない端部992も示されている。図19Aにおいては、係合機構950はスタッド951に固定されている。第3の連結部材984は、その平衡位置から遠ざかるように下向きに付勢されている。第3の連結部材984を支持するアーム983は弾性であり、第3の連結部材984を上向きに押す上向き力を加える。第3の連結部材984によって加えられる上向き力は、ばねの固定されていない端部992をスタッド951の遠位ヘッド953に押し付けるとともに、遠位ヘッドをキャップ966に押し付ける。このことの同等な表現の手法としては、第3の連結部材984が平衡位置から下向きに移動し、その結果第3の連結部材984とキャップ966とを引き寄せる力が加えられて、これが次いでばねの固定されていない端部992をスタッド951の遠位ヘッド953に押し付ける。第3の連結部材984は、ばねの固定されていない端部992を係止位置に保つ保持部材である。図19Aに示されるように係合機構950がスタッド951に固定されているとき、ペリクルフレーム(図示しない)は確実に定位置に保持され、それによって(例えば基板の曝露の際にリソグラフィ装置内での)マスク及びペリクルアセンブリの使用が可能になる。
[0352] ばねの固定されていない端部992は、スタッド951の遠位ヘッド953の下にあるものとして参照されてもよい。これは、スタッドが特定の配向を有さなければならないことを示唆しようとするものではなく、ばねの固定されていない端部992が、遠位ヘッド953の、遠位ヘッドの外面とは反対側にあることを意味するものとして解釈されてよい。図19Aに示される固定されていない各ばね端部992の位置は、第1の位置と称され得る。
[0353] 係合機構950をスタッド951から係脱するために用いられ得る一連のステップが図19B乃至図19Eに図示されている。
[0354] まず図19Bを参照すると、第1のステップは、第3の連結部材984を下向きに、スタッド951の遠位ヘッド953から遠ざかるように押すというものである。この下向きの移動は、図19Bにおいて矢印で示されている。図17を参照すると、第3の対のアーム983の端部を押すことによって第3の連結部材984を下向きに押すために、一対のピン860(同図では一部が図示されている)が用いられる。ピン860は、以下においてさらに説明されるペリクルフレーム取り付け及び取り外し装置857の一部を形成し得る。図19Bにおいて見て取れるように、第3の連結部材984を下向きに押すと、ブロック985がばねの固定されていない端部992から遠ざかるように移動するので、これらの間にはもはや接触が存在しなくなる。ばねは、ブロック985によって上向きに付勢されなくなったときに、ばねの固定されていない端部992が、スタッド951の遠位ヘッド953との接触から遠ざかるように移動するように、下向きの付勢も含み得る。したがって、一旦第1の連結部材984及びブロック985が図示されるように下向きに移動されると、ばねの固定されていない端部992はもはやブロック985又はスタッド951と接触しなくなる。ばねの固定されていない端部992は、図19Bにおいては平衡位置にある。ばねの固定されていない端部992の位置は、中間位置と称され得る。ばねの固定されていない端部992は、スタッド951と隣接してはいるが接触はしていない。
[0355] 図19Cを参照すると、ばねの固定されていない端部992は押し離されていて、もはやスタッド951の遠位ヘッド953の下に位置しておらず、且つブロック985の外端よりも外側に配置されている。図17を参照すると、ばね990の固定されていない端部992を図19Cに示されるように外側に移動するためには、一対のアクチュエータアーム863が用いられ得る。アクチュエータアーム863は、ペリクルフレーム取り付け及び取り外し装置857(以下においてさらに説明される)の一部を形成し得る。
[0356] 図19Dに図示されるように、一旦ばねの固定されていない端部992が分離されると、ピン860によって第3の連結部材984に加えられる下向き力が解放され、その結果、第3の連結部材はその平衡位置へと上向きに移動する。第3の連結部材の平衡位置はばねから離れているので、第3の連結部材984はばね992とは接触しない。
[0357] 最終的には、図19Eに示されるように、アクチュエータアーム863によってばねに加えられている外向き力が除去される。ばねの固定されていない端部992は、その平衡位置に向かって移動するが、ブロック985の側部に押し付けられるので、平衡位置には到達しない。ばねの固定されていない端部992は、非係止位置にある。
[0358] 係合機構950が図19Eに示される構成を有するときには、ピン860もアクチュエータアーム863も、係合機構950に力を加えていない(係合機構と接触していない)。係合機構950が図19Eに示される構成であるとき、係合機構はもはやスタッド951に固定されてはおらず、スタッドから遠ざかるように持ち上げられ得る。
[0359] 図19の検討から察知されるように、係合機構950をスタッド951から係脱するために用いられるステップはいずれも、1つの表面を別の表面の上で摺動させる動きを伴わない。その代わりに、構成要素は、面との係合から遠ざかるように移動され、又は面と係合するように移動される。例えば、ばねの固定されていない端部992は、遠位ヘッドと接触するとき、遠位ヘッド953に略垂直な方向に移動している。1つの構成要素表面の別の構成要素表面に対する摺動を回避することは有利である。なぜなら、そのような摺動は、レチクルに入射し得る粒子汚染を発生しやすいであろうし、それによってパターンが基板上に投影される精度に悪影響を及ぼすためである。
[0360] 上述したマスクアセンブリの様々な実施形態の説明からは、マスクアセンブリが、ペリクルをペリクルフレームに取り付けることによって、及びペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けることによって、リソグラフィ装置内での使用のために準備され得ることがわかるであろう。パターニングデバイスMAと、パターニングデバイスに隣接してペリクルフレームによって支持されるペリクルとを備えるマスクアセンブリは、リソグラフィ装置LAとは別に準備され、マスクアセンブリは、リソグラフィ装置LA内での使用のためにリソグラフィ装置LAへと輸送され得る。例えば、ペリクルを支持するペリクルフレームは、パターニングデバイスにパターンが付与される現場で、マスクアセンブリを形成するように、パターニングデバイスに取り付けられてもよい。その後、マスクアセンブリは、リソグラフィ装置LAが位置している別の現場に輸送されてもよく、マスクアセンブリは、リソグラフィ装置LA内での使用のためにリソグラフィ装置LAに提供されてもよい。
[0361] ペリクルがペリクルフレームによって定位置に保持されているマスクアセンブリは繊細であり、マスクアセンブリの輸送にはペリクルの損傷の危険があり得る。マスクアセンブリをリソグラフィ装置LAとは別の環境内で組み立てることは、さらに、マスクアセンブリが様々な圧力条件に曝されるという結果をもたらし得る。例えば、マスクアセンブリは、周囲圧力条件下でリソグラフィ装置に輸送されるかもしれない。その後、マスクアセンブリは、真空圧条件まで排気されたロードロックを介してリソグラフィ装置LA内にロードされ得る。上述したように、マスクアセンブリが曝露される圧力条件の変化は、ペリクルの全体にわたって圧力差が存在する事態を引き起こし得るものであり、これはペリクルを屈曲させるかもしれず、ペリクルの損傷の危険もあり得る。一実施形態においては、リソグラフィシステムは、ペリクルフレーム取り付け装置に連結されたリソグラフィ装置LAを備えていてもよい。その場合、マスク及びペリクルを備えたマスクアセンブリは、制御環境(例えば真空環境)内に留まったままで、ペリクルフレーム取り付け装置からリソグラフィ装置に直接移送され得る。
[0362] 図20は、マスクアセンブリ815の組み立て及びマスクアセンブリのリソグラフィ装置LAへの移送に適した装置の概略図である。図20は、ペリクル819をペリクルフレーム817に取り付けるために用いられ得るペリクル取り付け装置855と、ペリクルアセンブリを輸送するために用いられ得るペリクルアセンブリ輸送デバイス881とを示す。また、スタッド851をマスクMAに取り付けるために用いられ得るスタッド取り付け装置840と、スタッドを取り付けられたマスクを輸送するために用いられ得るマスク輸送デバイス880とが図示されている。ペリクルフレーム817(及びペリクル819)をマスクMAに取り付けるために用いられ、それによってマスクアセンブリ815を形成する、ペリクルフレーム取り付け装置857も図示されている。ペリクルフレーム取り付け装置857からリソグラフィ装置LAへとマスクアセンブリ815を輸送するために用いられ得るマスクアセンブリ輸送デバイス853も示されている。
[0363] ペリクル取り付け装置855は、リソグラフィ装置が位置している現場とは別の現場に位置していてもよい。スタッド取り付け装置840は、リソグラフィ装置LAが位置している現場とは別の現場に位置していてもよい。代替的には、ペリクル取り付け装置855及びスタッド取り付け装置840の一方又は両方が、リソグラフィ装置LAが位置している現場(例えばリソグラフィ製造所)と同一の現場に位置していてもよい。
[0364] ペリクル取り付け装置855は、ペリクル819と、ペリクルフレーム817と、係合機構(図示しない)とを受け取る。ペリクル819及びペリクルフレーム817は、ペリクル取り付け装置855内に手動で設置され得る。ペリクルフレーム817の係合機構収容開口(例えば上記で詳述された位置)にはグルーが分配される。グルーの分配は手動であってもよいし、又は自動(もしくは部分的に自動)であってもよい。係合機構及びペリクルフレーム817は(例えば機械的アライメント装置を用いて)互いに対して整列され、その後係合機構はペリクルフレームの開口に挿入される。
[0365] グルーは、ペリクルフレーム81上のペリクル受け位置(例えば上記で詳述した位置)にも分配される。グルーの分配は手動であってもよいし、又は自動(もしくは部分的に自動)であってもよい。ペリクル819をペリクルフレーム817に対して整列させるためには光学システムが用いられ、その後ペリクルはペリクルフレームに対してクランプ留めされる。
[0366] ペリクル819は、グルーを硬化させるのに十分な期間、室温で、ペリクルフレーム817に対してクランプ留めされた状態で保たれ、それによってペリクルはペリクルフレームに固定される。その後、クランプは除去される。次いで、(ペリクル取り付け装置の一部を形成し得る)硬化炉を用いて、高温でのグルーの追加的な硬化が実施される。これもまた、係合機構をペリクルフレーム817に取り付けるグルーを硬化させるであろう。
[0367] 上記においてはペリクル819をペリクルフレーム817に取り付けるためのグルーの使用が説明されたが、ペリクルは、任意の適当な取り付け手段(グルーを使用しないものを含む)を用いてペリクルフレームに取り付けられてもよい。
[0368] 結果としてもたらされるペリクルアセンブリ816は、粒子検査ツールを用いて検査される。粒子検査ツールは、ペリクル取り付け装置855の一部を形成していてもよい(又は別個のツールであってもよい)。粒子検査ツールは、ペリクル819及び/又はペリクルフレーム817上に配置された粒子を検査するように構成されていてもよい。粒子検査ツールは、例えば、所与の粒子閾値よりも大きい数の粒子を有するペリクルアセンブリを拒絶し得る。粒子検査ツールは、ペリクル819及び/又はペリクルフレーム817を、このペリクルとペリクルフレームとが貼り合わされる前に検査するためにも用いられ得る。
[0369] ペリクル取り付け装置855は、検査に続き、ペリクルアセンブリ816をペリクルアセンブリ輸送デバイス881(密閉ボックス)内に密閉するように構成されている。図示するように、ペリクルアセンブリ輸送デバイス881は、ペリクル819がペリクルフレーム817の下となる配向でペリクルアセンブリを保持するように配置され得る。輸送デバイス881は密閉されているので、ペリクルアセンブリは、ペリクルアセンブリ816が汚染されることなく、輸送可能である。ペリクルアセンブリ816は、輸送デバイス881に入った状態でペリクルフレーム取り付け装置857へと輸送され得る。
[0370] ペリクル取り付け装置855は密閉環境を含んでいてもよい。
密閉環境の内部の粒子の数を減少させるべく、密閉環境は清浄環境として維持され、それによってペリクル819上に堆積され得る粒子の数は減少される。密閉環境は、例えば、密閉環境内の真空を維持するように排気され得る。ペリクル取り付け装置855は、例えば、ペリクルが製造される現場に位置していてもよい。いくつかの実施形態においては、ペリクル819は、ペリクル819が製造されるペリクル製造ツール(図示しない)からペリクル取り付け装置855に直接提供され得る。ペリクル819は、例えば、ペリクル819を密閉された清浄環境内に保持したままで、ペリクル製造ツールからペリクル取り付け装置855に提供されてもよい。これは、ペリクル819が、ペリクル取り付け装置855に提供される前に、汚染され又は損傷する可能性を低減し得る。
[0371] ペリクル819のペリクルフレーム817への取り付けは、ペリクル819の望ましい張力を達成するように制御され得る。例えば、ペリクル819の張力は、ペリクル819のペリクルフレーム817への取り付けの最中又は後に測定されてもよく、また、この張力は、ペリクル819の望ましい張力を達成するために、測定に応じて調整されてもよい。ペリクル819の張力は、例えば、ペリクル819を引き伸ばすようにペリクルフレーム817の構成要素に外向き力を印加することによって維持され得る。
[0372] 一実施形態においては、パターニングデバイス(マスクと称され得る)MAは、(例えば図12乃至図19との関連で上記で説明したように)係合機構によって収容される突起を備えていてもよい。パターニングデバイスは、例えば4つの突起(本明細書においてはスタッドと称される)を収容し得る。図20に示されるように、スタッド851をマスクMAに取り付けるために、スタッド取り付け装置840が用いられてもよい。
[0373] スタッド851及びマスクMAは、スタッド取り付け装置840内に手動で設置され得る。マスクMAは、スタッド取り付け装置840の残りの部分から分離された制御環境841内に保持されてもよい。分離はパーティション842によって提供されてもよく、このパーティションは開口を有していて、スタッド851はマスクMAと接触するためにその開口を貫通して突出する。制御環境841は、(例えば制御環境の出口を通じて送気することによって)スタッド取り付け装置840の他の部分よりも高い圧力に保たれ得る。これは、スタッド取り付け装置の他の部分から制御環境841内への汚染粒子の通過を抑制又は防止するであろう。
[0374] スタッド取り付け装置840は、スタッドを正確に設置するためのロボット又はアクチュエータといったスタッドマニピュレータ(図示しない)を含んでいてもよい。スタッドをパターニングデバイスに設置するのに適したアクチュエータの一例は、ローレンツアクチュエータ(図示しない)である。スタッド取り付け装置840は、マスクMAに取り付けられるスタッドの表面に所与の量のグルー又は接着剤を自動的に提供するデバイスも含み得る(が、接着剤の塗布は予め手動で行われてもよい)。
[0375] スタッド取り付け装置840はさらに、スタッドを正確に位置決めするために、レチクル上に存在するアライメントマーカに対してスタッドを整列させる光学アライメントシステムを含んでいてもよい。例えば、従来マスクに提供されパターンのアライメントに用いられているアライメントマーカが、スタッドを整列させるためにも用いられ得る。
[0376] スタッド取り付け装置は、マスクMAの位置を調整するためにX−Y−Z及びRz方向に移動可能なマスクテーブルを含んでいてもよい。マスクMAを支持するテーブルの位置は、機械的粗微調整デバイスによって手動で、あるいは自動(もしくは半自動)アクチュエータ又はアライメント及び位置決めに適した任意の他の種類のデバイスであってパターニングデバイステーブルと結合されたものを用いて、調整可能であってもよい。
[0377] 一旦スタッド851とマスクMAとが整列されると、スタッドはローレンツアクチュエータを用いてマスクMAに押し付けられる。ローレンツアクチュエータは、スタッドをz方向のみに移動させるように構成されていてもよい。スタッド851は、グルーを硬化させるのに十分な期間、室温で、マスクMAに保持され、それによってスタッドはマスクに固定される。次いで、(スタッド取り付け装置840の一部を形成し得る)硬化炉を用いて、高温でのグルーの追加的な硬化が実施される。
[0378] マスクMA及びスタッド851は、(スタッド取り付け装置840の一部を形成し得る)粒子検査ツールを用いて検査されてもよい。
[0379] スタッド取り付け装置840は、マスクMA及びスタッド851をマスクMA輸送デバイス880(密閉ボックス)内に密閉する。マスク輸送デバイス880は密閉されているので、マスクMA及びスタッド851は、マスクが汚染されることなく、輸送可能である。マスクMA及びスタッドは、輸送デバイス880に入った状態でペリクルフレーム取り付け装置857へと輸送され得る。
[0380] 一実施形態においては、マスクは、(汚染の危険性を低減するために)密閉ボックスに入った状態でスタッド取り付け装置840に提供される。ボックスは、スタッド851がマスクMAに取り付けられる直前まで密閉されたままであってもよく、それによって汚染がマスクに伝わり得る時間が最小化される。
[0381] スタッド取り付け装置840の制御環境841は、部分的には、後でマスクMA輸送デバイス880(密閉ボックス)を形成するハウジングによって提供され得る。ハウジングは輸送デバイス880の壁及びルーフを形成してもよく、輸送デバイスの床は、スタッド851が取り付けられた後(例えば直後)に装着される板によって形成される。
ハウジングをこのように用いることは、汚染物がマスクMAに入射することを防止する助けとなり得る。ハウジングはポッドのカバー(a cover of a pod)を備えていてもよい。スタッド取り付け装置840のマスクテーブルは、ハウジングを受け取るように構成されていてもよい。
[0382] 同様に、ペリクル取り付け装置855もまた、部分的には、後でペリクルアセンブリ輸送デバイス881を形成するハウジングによって提供されてもよい。
[0383] 輸送デバイス881内のペリクルアセンブリ816と輸送デバイス880内のマスクMA(及びスタッド851)とは、いずれもペリクルフレーム取り付け装置857へと輸送される。ペリクルフレーム取り付け装置857は、1つ以上のリソグラフィ装置も設けられている製造所において提供されてもよい。
[0384] ペリクルフレーム取り付け装置857は、マスクアセンブリ815を形成するべく、ペリクルアセンブリ816のペリクルフレーム817をパターニングデバイスMA上のスタッド851に取り付けるように構成されている。ペリクルフレーム取り付け装置857は、ペリクルフレーム取り付け装置の残りの部分から分離された制御環境859を含んでいてもよい。分離はパーティション862によって提供されてもよく、このパーティションは開口を有していて、その開口を貫通してアクチュエータが延伸する(図20には図示しない)。アクチュエータは制御システム870(以下で詳述する)によって動作する。制御環境の内部の粒子の数を減少させるべく、制御環境859は清浄環境として維持され、それによってマスクアセンブリ815上に堆積され得る粒子の数は減少される。制御環境859は、(例えば制御環境の出口を通じて送気することによって)ペリクルフレーム取り付け装置857の他の部分よりも高い圧力に保たれ得る。これは、ペリクルフレーム取り付け装置857の他の部分から制御環境859内への汚染粒子の通過を抑制又は防止するであろう。
[0385] ペリクルフレーム取り付け装置857によって組み立てられたマスクアセンブリ815は、マスクアセンブリ輸送デバイス853に入った状態でペリクルフレーム取り付け装置からリソグラフィ装置LAへと輸送される。マスクアセンブリ輸送デバイス853は密閉された清浄環境を備えていてもよく、マスクアセンブリ815はその中に入った状態で輸送される。これは、マスクアセンブリの輸送中にマスクアセンブリ815が汚染され又は損傷する可能性を低減する。密閉された清浄環境は、例えば、真空まで排気され得る。
[0386] ペリクルフレーム取り付け装置857は、ペリクルアセンブリ816をパターニングデバイスに/から搭載し、取り外し、又は再搭載するために用いられ得る。ペリクルフレーム取り付け装置857は係合機構のためのクリップマニピュレータを備えていてもよく、これはパターニングデバイスを支持する板の上に設置された持ち上げ可能な板に固定されている。
[0387] パターニングデバイスMAは、例えば、アライメントマークを備えていてもよい。ペリクルフレーム817は、パターニングデバイス上のアライメントマークに対して位置決めされ得る。ペリクルフレーム817をパターニングデバイス上のアライメントマークに対して整列させることは、ペリクルフレーム817のパターニングデバイスMAへの取り付けに際して、ペリクルフレーム817がパターニングデバイスMA上に位置決めされる精度を有利に高め得る。
[0388] いくつかの実施形態においては、パターニングデバイスMAは、例えばパターニングデバイスMAから粒子を除去するために、ペリクルフレーム取り付け装置857内で洗浄されてもよい。他の実施形態においては、パターニングデバイスMAの洗浄は、専用の洗浄ツール内で実施され得る。
[0389] 図示される実施形態はマスクの前部に取り付けられたペリクルフレームを示しているが、他の実施形態においては、ペリクルフレームはマスクの他の部分に取り付けられてもよい。例えば、ペリクルフレームはマスクの側部に取り付けられてもよい。これは、例えば、ペリクルフレームとマスクの側部との間に取り外し可能に係合可能な取り付けを提供するサブマウントを用いて達成され得る。代替的な配置では、ペリクルフレームは、マスクの側部のいくつかの取り付け位置とマスクの前部のいくつかの取り付け位置との組み合わせを通じてマスクに取り付けられてもよい。取り付けは、例えば、ペリクルフレームとマスクとを取り外し可能に係合するサブマウントによって提供され得る。
[0390] いくつかの実施形態においては、ペリクルフレーム取り付け装置857は粒子検査ツール(図示しない)を含んでいてもよい。粒子検査ツールは、マスクアセンブリ815上に配置された粒子についてマスクアセンブリ815を検査するように構成されていてもよい。粒子検査ツールは、例えば、所与の粒子閾値よりも大きい数の粒子が配置されているマスクアセンブリ815を拒絶し得る。
[0391] いくつかの実施形態においては、ペリクルフレーム取り付け装置857は、パターニングデバイス上のパターンの欠陥を検査するパターン検査システムを含んでいてもよい。パターン検査システムは、ペリクルフレーム817がパターニングデバイスMAに取り付けられる前及び/又は後にパターンを検査し得る。
[0392] ペリクルフレーム817のパターニングデバイスMAへの取り付けは、ペリクル819の望ましい張力を達成するように制御され得る。例えば、ペリクル819の張力は、ペリクルフレーム817のパターニングデバイスMAへの取り付けの際に測定されてもよく、また、この張力は、ペリクル819の望ましい張力を達成するために、測定に応じて調整されてもよい。リソグラフィ装置LAは、例えば、図1に図示されたリソグラフィ装置LAと類似のものであってもよい。リソグラフィ装置LAは、マスクアセンブリ輸送デバイス853からマスクアセンブリ815を受け取ってそのマスクアセンブリ815をリソグラフィ装置LAの支持構造MT上にロードするように構成された構成要素を含んでいてもよい。マスクアセンブリ815は、照明システムILによって提供される調整された放射ビームBで照明され得る。マスクアセンブリ815のパターニングデバイスMAは、パターニングされた放射ビームを形成するように、調整された放射ビームの断面にパターンを付与してもよい。パターニングされた放射ビームは、投影システムPSによって、基板テーブルWTに保持された基板W上に投影され得る。調整された放射ビームは、例えば、EUV放射線を含み得る。調整された放射ビームがEUV放射線を含む実施形態においては、マスクアセンブリ815のペリクル819は、EUV放射線に対して略透明であってもよい。
[0393] いくつかの実施形態においては、ペリクルアセンブリ816は、ペリクルフレーム取り付け装置857において真空条件下で、マスクアセンブリ815を形成するべくパターニングデバイスMAに取り付けられる。マスクアセンブリ815は、その後、真空条件下でマスクアセンブリ輸送デバイス853によってリソグラフィ装置LAへと輸送されてもよく、真空条件下でリソグラフィ装置LA内に保持されてもよい。したがって、マスクアセンブリ815は、ペリクルフレーム取り付け装置857内での組み立て及びリソグラフィ装置内での使用を通じて概ね同一の圧力条件に曝され得る。これは、マスクアセンブリ815が曝される圧力変化を有利に低減し、ひいてはペリクル819の全体にわたって発生し得る圧力差を低減する。マスクアセンブリ815が(例えばマスクアセンブリ815をその組み立て及び使用を通じて真空に保持することによって)比較的安定した圧力条件に曝される場合、ペリクル819の全体にわたる圧力均等化を可能にするためにペリクル819とパターニングデバイスMAとの間の容積への気流の出入りの手段を提供する必要が低減される。これは、例えば、ペリクルフレーム817に設けられるフィルタ及び/又は穴の数及び/又は寸法が減少されることを可能にし、それによってペリクルフレーム817の設計が有利に単純化される。
[0394] いくつかの実施形態においては、パターニングデバイスMA及び/又はペリクル819は、構成要素が真空に保持されたままで、ペリクルフレーム取り付け装置857内で粒子及び/又は欠陥について検査され得る。したがって、パターニングデバイスMA及び/又はペリクル819は、リソグラフィ装置での使用の際に曝されるのと同様の圧力条件下で有利に検査される。真空条件まで排気する際にパターニングデバイスMA及び/又はペリクル上に堆積され得る粒子がペリクルフレーム取り付け装置857において検出され得るので、これは有利である。
[0395] いくつかの実施形態においては、リソグラフィシステムLSは、粒子及び/又は欠陥についてマスクアセンブリ815の1つ以上の構成要素を検査するように構成された別個の検査装置(図示しない)をさらに備えていてもよい。マスクアセンブリ815は、例えば、ペリクルフレーム取り付け装置857内で組み立てられた後、マスクアセンブリ815をリソグラフィ装置LAに輸送する前に、(例えばマスクアセンブリ輸送デバイス853によって)検査装置へと輸送され得る。
[0396] 上記で説明した本発明の実施形態は、マスクアセンブリ815が自動化(又は半自動化)されたプロセスで組み立てられリソグラフィ装置LAへと渡されることを有利に可能にする。マスクアセンブリ815の組み立て及び輸送はすべて、例えば真空圧条件まで排気された、密閉された清浄環境内で行われ得る。これは、リソグラフィ装置LA内でのマスクアセンブリ815の使用の前にマスクアセンブリ815の構成要素が汚染され又は損傷する可能性を低減し得る。
[0397] 一般的に、ペリクル819の使用寿命はパターニングデバイスMAの使用寿命よりも短い。したがって、パターニングデバイスMAの繰り返し使用を可能にするべく、ペリクルアセンブリ816をパターニングデバイスMAから取り外し、そのペリクルアセンブリを新たなペリクルアセンブリと交換するのが望ましいであろう。ペリクルアセンブリ816の交換は、例えば、ペリクルフレーム取り付け装置857内で行われ得る。例えば、リソグラフィ装置LA内での使用の後、マスクアセンブリ815は、ペリクルフレーム取り付け装置857でのペリクルアセンブリの交換のために、マスクアセンブリ輸送デバイス853を用いてペリクルフレーム取り付け装置857へと戻されてもよい。パターニングデバイスMAは、ペリクルアセンブリ816が取り外された後、パターニングデバイスMAから汚染物を除去するべく、洗浄プロセスにかけられてもよい。
[0398] なお、マスクMAのパターニングされた側は、図20に示される様々な作業の間、下向きにされている。マスクMAのパターニングされた側を下向きで保つことは、汚染粒子がパターンに入射する可能性を減少させるため、有利である(汚染粒子は下方に落下しやすいので、マスクの反対の側に入射するであろう)。
[0399] ペリクルフレーム取り付け装置857の一実施形態が図21及び図22に図示されている。図21はペリクルフレーム取り付け装置857の一部を斜視図で示し、図22は上から見たパーティション862を示す。
[0400] まず図21を参照すると、ペリクルアセンブリ816がペリクルフレーム取り付け装置857の支持部890によって保持されている。ペリクルアセンブリ816のフレーム817は4つの係合機構950を備えており、これらは上記において図17及び図18との関連で説明した係合機構と対応するものである。ペリクルフレーム取り付け装置857は、アクチュエータ、アライメントシステム、及びセンサを備えた制御システム870を含む。アクチュエータ(そのうち1つが視認でき891と標識されている)は、ペリクルアセンブリ816の位置をX,Y,Z及びRz方向で調整するために用いられ得る。制御システム870は2つの結像センサを備えており、その一方892が視認でき、ペリクルフレーム817の一部を観察するように位置決めされている。結像センサ892は、ペリクルフレーム817の角を観察するように位置決めされていてもよい。制御システム870はさらに、マスクMA上に設けられたアライメントマークを観察するように構成されたアライメントシステム(視認できない)を備える。そのようなアライメントシステムは当該技術分野においてはよく知られており、ここではこれ以上説明しない。パーティション862がペリクルアセンブリ816を制御システム870から分離する。
[0401] 図22はパーティション862をさらに詳細に図示している。見て取れるように、パーティション862は4つの窓を備えている。窓のうち2つ893は、アライメントシステムがマスクMA上に設けられたアライメントマークを観察することができるように位置決めされている。他の2つの窓894は、結像システム892がペリクルフレーム817を観察する(例えばペリクルフレームの角を観察する)ことができるように位置決めされている。窓893,894は、例えば石英から形成され得る。
[0402] パーティション862はさらに穴の組895を備えており、これらの穴の組はペリクルアセンブリ816の係合機構950の位置と対応するように位置決めされている。1つの穴の組895が図22の右手側により詳細に図示されている。見て取れるように、4つの穴が設けられている。穴のうち3つ896は、ペリクルフレーム取り付け装置857のピン860,861を収容するように寸法決めされている。残りの穴897は、ペリクルフレーム取り付け装置のアクチュエータアーム863を収容するように寸法決めされている。ピン860,861及びアクチュエータアーム863は、図17に示されたピン及びアクチュエータに対応する。図22からわかるように、開口896,897は、ピン860,861及びアクチュエータアーム863のx方向及びy方向の移動を可能にするほど十分に大きい。
[0403] 使用時には、ペリクルアセンブリ816とスタッド851(図21には図示しない)を有するマスクMAとが、ペリクルフレーム取り付け装置857内にロードされる。これらは汚染に曝されることなくペリクルフレーム取り付け装置857内に移送され得る。例えば、輸送デバイス880,881はペリクルフレーム取り付け装置857のロードロック(図示しない)内に収容されてもよく、ペリクルアセンブリ816及びマスクMAはロードロック内で輸送デバイスから取り外されてもよい。ペリクルアセンブリ816及びマスクMAはその後、パーティション862の上方の制御環境859に移送され得る。
[0404] 上記で詳述したように、パーティション862の上方の制御環境859は、パーティションの下の圧力よりも高い圧力に保たれ得る。図22から察知されるように、パーティション862の開口896,897は比較的小さいので、汚染物が開口を通過して制御環境に進入する可能性を制限する。この可能性は、フィードパーティション862の環境に対する制御環境859の過圧によってさらに低減される。
[0405] アライメントシステム(図示しない)及び結像システム892は、マスクMAに対するペリクルアセンブリ816の位置を監視するために用いられる。マスクMAは(例えば静電クランプを用いて)定位置にクランプ留めされてもよい。ペリクルアセンブリ816はピン861上に載置され、ペリクルアセンブリの位置はアクチュエータ891を用いて調整され得る。アクチュエータは、ピン860,861及びアクチュエータアーム863(これらはすべて一緒に移動する)の位置を制御する。アクチュエータ891の動作は手動であってもよいし、又は自動コントローラによって制御されてもよい。一旦ペリクルアセンブリ816がマスクMAに対して位置決めされると、ピン860及びアクチュエータアーム863を用いて係合機構950がスタッド951に係合される。
[0406] 係合機構950がスタッド951に係合するプロセスは、図19に示されたプロセスの逆であり、図19を参照すれば理解されるであえろう。もっとも、係合機構950及びスタッド951はペリクルフレーム取り付け装置857内では図19における図示とは反転されるので、以下の説明において、上向きの方向を参照する記載は、図19における下向きの方向に対応する(その逆もまた同様である)。略言すれば、アクチュエータアーム863がばねの端部992を押し離し、その後ピン860が第3の連結部材984を上向きに押す。これは、スタッド951の遠位ヘッド953と第3の連結部材984のブロック985との間に空間を創出する。その後、アクチュエータアーム863はともに戻り、それによって、ばね端部992が自身の弾性付勢により遠位ヘッド953とブロック985との間の空間に入ることが可能になる。次いで、ピン860は引き込まれ、第3の連結部材984が自身の弾性付勢によって下向きに移動するとともにそれによってばね端部992を定位置に固定することを可能にする。係合機構950のキャップ966は、第3の連結部材984によって印加される弾性付勢により、スタッド951の遠位ヘッド953に対して押圧される。
[0407] このようにして、4つの係合機構950は各々がスタッド951と係合され、それによってペリクルアセンブリ816がマスクMAに固定される。上記で言及したように、ペリクルフレームアセンブリ816をマスクMAに取り付けるこの方法は、構成要素の互いに対する摺動を要さず、したがって汚染粒子が発生する危険を最小化する。
[0408] ピン860,861及びアクチュエータアーム863の動作は手動、自動、又は半自動であり得る。
[0409] ピン860,861の、係合機構950と接触する表面は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの材料又は何らかの他の頑丈な材料の被覆を備えていてもよい。同様に、アクチュエータアーム863の、係合機構950と接触する表面は、PEEK又は何らかの他の頑丈な材料の被覆を備えていてもよい。
[0410] 一旦ペリクルアセンブリ816とマスクMAとが連結されてマスクアセンブリ815を形成すると、そのマスクアセンブリは、リソグラフィ装置LAへの輸送のために、マスクアセンブリ輸送デバイス853内に設置され得る。
[0411] (例えばペリクル上で汚染が検出された場合には)ペリクルアセンブリ816をマスクMAから取り外すことが望まれるかもしれない。この取り外しはペリクルフレーム取り付け装置857によって実施され得る。例えば、取り外しは、上記で説明され図19に図示されたステップを用いて実施されてもよい。
[0412] スタッド851をマスクMAから取り外すことが望まれるかもしれない。この取り外しはスタッド取り外し装置(図示しない)を用いて実施され得る。スタッド取り外し装置は、スタッド取り付け装置840に概ね対応した形態を有し得る。例えば、スタッド取り外し装置は制御環境を含んでいてもよく、マスクMAはスタッド取り外しの際にその内部に保持される。制御環境は装置の他の部分よりも高い圧力を有する。スタッド取り外しツールは、例えば、スタッド851の端部を収容するように配置されるとともにスタッドをマスクMAに取り付けるグルーを溶かすためにスタッドを加熱するヒータを含むアクチュエータを備えていてもよい。ヒータ及びアクチュエータのスタッドへのアライメントは、手動、半自動又は自動のシステムを用いて実施され得る。グルーが溶かされると、スタッドは、ローレンツアクチュエータなどのアクチュエータを用いてマスクMAから取り外され得る。ローレンツアクチュエータは、スタッドをz方向にのみ牽引するように構成されていてもよい。グルーは、スタッド取り外し装置851内に設けられた洗浄装置を用いてマスク(及び任意選択的にはスタッド)から洗浄され得る。マスクMAは、マスクから汚染物を除去するように構成された洗浄装置への輸送のために、密閉ボックス内に設置されてもよい。
[0413] 一実施形態においては、グルーを加熱して溶かすことに代えて、適当な溶媒の適用によってグルーが溶解されてもよい。
[0414] スタッド取り外し装置は、スタッド取り付け装置840と同一の装置であってもよい。つまり、同一の装置がスタッドを取り付けるため及びスタッドを取り外すために用いられてもよい。
[0415] 次に、図23乃至図27に関連して、スタッド取り付け及びスタッド取り外し装置の実施形態を説明する。
[0416] スタッド取り付け装置840の一実施形態が、図23において、より詳細に図示されている(スタッドは突起とも称され得る)。スタッドは、図26に関連して以下で説明されるように、スタッドマニピュレータを用いてパターニングデバイス(例えばマスク)に取り付けられる。マスクに固定される前にスタッドの位置をX,Y,Z及びRz方向で調整するために、アクチュエータが用いられ得る(アクチュエータはスタッドマニピュレータの位置を調整し得る)。アクチュエータは、自動、手動、又は半自動(すなわち部分的に自動且つ部分的に手動)であってもよい。パーティション842が、マスクが提供されている制御環境からアクチュエータを分離する。アクチュエータは、パーティション842の下に位置するボックス843内に提供されてもよい。パーティション842の下には、アライメント測定システム844も提供される。アライメント測定システムは、例えば結像システムを備えていてもよく、これらの結像システムは、突起(スタッド)がマスクに固定される前に正確な位置に位置決めされることを保証するために用いられる。
[0417] やはり図23に図示されているのは、ハウジング879を上昇又は下降させるために用いられ得る昇降ユニット845であり、これは(図20との関連で上記で説明された)マスク輸送デバイス880の一部を構成する。マスク(視認できない)及びハウジング879は、昇降ユニット845とともに、制御環境(壁は図示しない)内に提供され得る。制御環境は、汚染がパーティションの開口を通って制御環境内に流入するのを抑制するように、パーティション842の反対側の圧力よりも高い圧力に保たれ得る。制御環境は、入口からの気体の流れを提供されてもよく、気体が通って流れる出口を含んでいてもよい(流れは、制御環境内の圧力がパーティション842の下の圧力よりも高いレベルに保たれ得るように十分に拘束される)。この気体の流れは、制御環境から汚染物を除去する助けとなり得る。汚染物が制御環境内に進入するのを防止又は抑制するために、気体入口には、汚染物を収集するフィルタが設けられてもよい。
[0418] マスクがスタッド取り付け装置840と接触する点は、PEEK又は何らかの他の頑丈な材料の被覆を備えていてもよい。同様に、マスクがハウジング879と接触する点は、PEEK又は何らかの他の頑丈な材料の被覆を備えていてもよい。
[0419] 図24にはスタッド取り付け装置840の一部がより詳細に示されている。スタッドマニピュレータ1100がスタッド851及びパターニングデバイスMA(例えばマスク)とともに図示されている。パターニングデバイスが提供される環境をスタッドマニピュレータ1100が提供される環境から分離するパーティション842も図示されている。スタッドマニピュレータ1100は、スタッド851の底面がカップから外向きに向けられるようにスタッド851(突起とも称され得る)を収容するように寸法決めされたカップ1102を備えている。カップ1102は、例えば、PEEK又は何らかの他の頑丈な材料から形成され得る。カップ1102はマニピュレータヘッド1104内に保持されており、マニピュレータヘッドはマニピュレータ本体1106上に支持されている。ばね1108が、マニピュレータ本体に設けられたフランジ1110に対して押し付けられ、マニピュレータヘッド1104をマスクMAの方へと付勢する。マスクMAは(図示するように)スタッドマニピュレータ1100の上方に位置していてもよく、その場合、ばね1108は、マニピュレータ本体1106及びマニピュレータヘッド1104を上向きに付勢する。
[0420] スタッドマニピュレータ1100はスタッド851をマスクMAに押し付け、それによってスタッドがマスクに固定されることを可能にする。一実施形態においては、スタッドはその基部にグルー又は接着剤を備えていてもよく、スタッドマニピュレータ1100は、そのグルー又は接着剤が硬化するまで、スタッド851をマスクMAに押し付け得る。一旦これが行われると、マスクMAは、スタッドマニピュレータ1100から遠ざかるように持ち上げられ得る。
[0421] 一実施形態においては、スタッドマニピュレータ1100は、スタッド851を加熱するように構成されたヒータを含んでいてもよい。スタッド851がマスクMAに保持されているとき、ヒータは、スタッドを加熱するために用いられてもよく、それによってグルー又は接着剤の硬化が加速される。これは、スタッド取り付け装置840のスループットを向上させる。スタッド851を加熱することによってもたらされる硬化は、前硬化であってもよいし、又は本硬化であってもよい。前硬化が用いられる場合には、マスクMA及びスタッド851は、硬化のために炉に移送され得る。スタッド851の加熱が本硬化をもたらす場合には、マスク及びスタッドを炉に移送する必要はない。炉は汚染粒子の源であり得るため、これは有利である。
[0422] 一実施形態においては、スタッドマニピュレータ1100は、(ばね1108に加えて又はこれに代えて)スタッド851をマスクMAに押し付けるように動作可能なアクチュエータ(図示しない)を含んでいてもよい。アクチュエータはさらに、一旦スタッドがマスクMAに固定されると、カップ1102をスタッド851から遠ざかるように移動させ得る。アクチュエータ(図示しない)は、スタッドがマスクMAに固定される前にスタッドマニピュレータの位置をX,Y,Z及びRz方向で調整するために用いられ得る。
[0423] マニピュレータヘッド1104の外周の周りにはシール1112が延伸している。このシール1112は、上から見たスタッドマニピュレータ1100を示す図25においてもっとも明確に見て取れる(マスクMAを通して見たところで、マスクは図25においては説明を容易にするために透明である)。図25からわかるように、図示される実施形態においては、シール1112は形状が環状である。しかしながら、シールは任意の適当な形状を有し得る。シール1112は、シールをマスクMAに押し付けるシール支持部1116によって支持されている。これは、マスクMAの、シール1112の周内部分を密閉するとともに、その部分をマスクMAの、シールの周の外側にある部分から隔離する。
[0424] 再び図24を参照すると、マニピュレータヘッド1104には気体抽出チャネル1114が設けられており、この気体抽出チャネルはマニピュレータヘッドの外面から遠ざかるように延伸している。シール1112の基端部には送気チャネル1118が設けられており、マスクMAの、シールの内側に位置する領域が送気されることを可能にする。これは図24に矢印で概略的に示されている。気体はマニピュレータヘッドの気体抽出チャネル1114を介して抽出される。気体抽出チャネル1114は、図25においてもっともよく見て取れるように、マニピュレータヘッド1104の周囲に分散している。汚染物(例えばスタッド851に提供されたグルーに由来する粒子)を輸送する気体の流れは、気体抽出チャネル1114から外部にもたらされ、それによってこれらの汚染物がマスクMAの表面に付着するのを防止する。他の箇所に説明されているように、マスクMAの表面上の粒子はリソグラフィ装置によって基板上に投影されるパターンにエラーを引き起こし得るため、これは有利である。気体は、例えば空気であってもよい。
[0425] 一実施形態においては、シール1112は、シールとマスクとの間をいくらかの気体が流れ得るように、マスクMAに対して不完全な密閉を形成し得る。シールの内側の気体の圧力は、シールの外側の気体の圧力よりも低くてもよく、その結果、気体はシールの外側からシールの内側へと流れ、その後気体抽出チャネル1114を通って流出する。汚染粒子が気体の流れによってマスクMAのシール1112の外側の領域から輸送され、シールを通過して、抽出チャネル1114から外に流出するので、これは有利である。
[0426] 図26は、スタッド取り外し装置1150、スタッド851、及びパターニングデバイスMA(例えばマスク)の一部を断面で示す。スタッド取り外し装置1150は、図27の斜視図に示されるスタッドグリッパ1154を備えている。スタッドグリッパは一対の対向するフランジ1156を備えており、これらはスタッド851の首部よりも幅広いがスタッドの遠位ヘッド853よりも狭い間隙を確立するように互いに向かって延伸している。対向するフランジ1156の下には、スタッド851の遠位ヘッド853よりも幅広く、したがってスタッドの遠位ヘッドを収容可能な凹部1158が設けられている。凹部1158及び対向するフランジ1156は、スタッドグリッパ1154の一端で外向きに広がっている。
[0427] 図26及び図27を組み合わせて参照すると、スタッドグリッパ1154は、マスクMAに接近したり遠ざかったりするように(z方向)移動可能であり且つマスクの表面と概ね平行な方向(図26ではx方向として特定されている)にも移動可能であるアクチュエータ1160によって支持されている。使用時には、アクチュエータ1160は当初、図26に示される位置の左の位置にあり、z方向でマスクMAから分離されている。その後、アクチュエータ1160はスタッドグリッパ1154を、マスクMAに隣接するが接触しないところまでz方向で移動させる。次いで、アクチュエータ1160は、(図31及び32に示されるように)スタッド851の遠位ヘッド853が広がった端部を介してスタッドグリッパに進入し、その後広がっていない部分に位置するように、スタッドグリッパ1154をx方向で移動させる。アクチュエータ1160はその後、スタッド851をマスクMAから遠ざけるように牽引する力を印加する。この力は略定力であり得る。同時に、スタッド851には、スタッドをマスクMAに固定しているグルー又は接着剤を溶かすため、アクチュエータ1160を介して熱が届けられる。一旦グルー又は接着剤が溶けると、スタッドはマスクMAから取り外され、アクチュエータ1160によってマスクから遠ざかるように移動される。
[0428] パーティション1142が、マスクMAが提供されている制御環境からスタッド取り外し装置の大部分を分離する。マスクMAの、スタッド851が設けられている領域の周囲には、シール1162が延伸している。シール1162はスタッド取り付け装置840のシール1112と同じ機能を果たす。すなわち、マスクの、スタッド851の周囲の領域を、マスクの他の領域から隔離する。送気チャネル1162及び気体抽出チャネル1164は、スタッド851の付近まで送気し、その後その気体を取り除く。これは、汚染物がマスクに付着せずにマスクMAから引き離されることを可能にする。汚染物は、例えば、スタッド851をマスクMAに取り付けるグルー又は接着剤に由来する粒子を含み得る。気体は、例えば空気であってもよい。
[0429] 一実施形態においては、シール1162は、シールとマスクとの間をいくらかの気体が流れ得るように、マスクMAに対して不完全な密閉を形成し得る。シールの内側の気体の圧力は、シールの外側の気体の圧力よりも低くてもよく、その結果、気体はシールの外側からシールの内側へと流れ、その後気体抽出チャネル1164を通って流出する。汚染粒子が気体の流れによってマスクMAのシール1162の外側の領域から輸送され、シールを通過して、抽出チャネル1164の外に流出するので、これは有利である。
[0430] スタッド取り外し装置1150は、図26及び図27に示されるような、追加的なスタッドグリッパ1154及び関連する要素をさらに備えていてもよい。例えば、マスクMA上の各スタッドについて1つずつ、4つのスタッドグリッパ及び他の要素が設けられていてもよい。スタッド取り外し装置は、形態が、図23に図示されたスタッド取り付け装置840に概ね対応していてもよい。例えば、スタッドグリッパの位置をX,Y,Z及びRz方向で調整するために、アクチュエータが用いられ得る。アクチュエータは、自動、手動、又は半自動(すなわち部分的に自動且つ部分的に手動)であってもよい。パーティション1142は、マスクが提供されている制御環境からアクチュエータを分離し得る。アクチュエータは、パーティション1142の下に位置するボックス内に提供されてもよい。パーティション842の下には、アライメント測定システムも提供され得る。アライメント測定システムは、例えば結像システムを備えていてもよく、これらの結像システムは、スタッドグリッパ1154がスタッド851と係合する前に正確な位置に位置決めされることを保証するために用いられる。
[0431] スタッド取り外し装置1150は、ハウジングを上昇又は下降させるために用いられ得る昇降ユニットを備えていてもよく、これは(図20との関連で上記で説明された)マスク輸送デバイス880の一部を形成する。マスク(視認できない)及びハウジング879は、昇降ユニット845とともに、制御環境(壁は図示しない)内に提供され得る。制御環境は、汚染がパーティションの開口を通って制御環境内に流入するのを抑制するように、パーティション1142の反対側の圧力よりも高い圧力に保たれ得る。制御環境は、入口からの気体の流れを提供されてもよく、気体が通って流れる出口を含んでいてもよい(流れは、制御環境内の圧力がパーティション1142の下の圧力よりも高いレベルに保たれ得るように十分に拘束される)。この気体の流れは、制御環境から汚染物を除去する助けとなり得る。汚染物が制御環境内に進入するのを防止又は抑制するために、気体入口には、汚染物を収集するフィルタが設けられてもよい。
[0432] マスクがスタッド取り外し装置1150と接触する点は、PEEK又は何らかの他の頑丈な材料の被覆を備えていてもよい。同様に、マスクがハウジングと接触する点は、PEEK又は何らかの他の頑丈な材料の被覆を備えていてもよい。
[0433] スタッド取り付け装置840及びスタッド取り外し装置1150は、単一の装置として提供されてもよいし、又は別個の装置として提供されてもよい。
[0434] 昇降ユニット845及びハウジングは図23にのみ図示されており、スタッド取り付け装置840の一部として示されている。しかしながら、昇降ユニットは、ペリクルフレーム取り付け及び/又は取り外し装置の一部として同様に提供されてもよく、及び/又はスタッド取り外し装置の一部として同様に提供されてもよい。昇降ユニットは、マスク輸送デバイスの一部を形成し得るハウジングを上昇又は下降させるように構成されていてもよい。パターニングデバイス(例えばマスク)がハウジングによって保持されてもよい。マスク、ハウジング、及び昇降ユニットは、制御環境内に提供されてもよい。
[0435] 図28は、本発明の代替的な一実施形態によるサブマウント1010を示す。サブマウント1010は、突起1051と係合された係合機構1050を備える。係合機構1050はペリクルフレーム(図示しない)上に設けられ、突起1051はマスク(図示しない)などのパターニングデバイスから突出する。代替的な配置においては、サブマウント1050はパターニングデバイス上に設けられてもよく、突起1051はペリクルフレーム上に設けられてもよい。図28Aは上から見たサブマウント1010を示し、図28Bはこのサブマウントを斜視図で示す。サブマウント1010は、他の図に図示されたサブマウントと共通のいくつかの特徴を含んでおり、これらは本実施形態との関連では詳細には説明されない。
[0436] 係合機構1050は、ペリクルフレームの長方形の穴(図示しない)に収容されるように構成された長方形の外壁1060を備える。一対のアーム1062が外壁1060によって定義される空間の全体にわたってy方向に延伸している。アーム1062の遠位端の間には連結部材1063が延在している。アーム1062は弾性部材の例である。他の弾性部材が用いられてもよい。アーム1062と連結部材1063とは、併せて概ねU形状の支持部を形成する。概ねU形状の支持部の遠位端には係止部材1070が連結される。係止部材1070は突起1051(スタッドと称され得る)と係合し、それによってペリクルフレームをパターニングデバイスに固定する。
[0437] 係止部材1070は、係合タブ1081を有する一対の係合アーム1080を備えるとともに、さらにキャップ1066を備える。図28Bにおいて最もよく見て取れるように、係止部材1070が突起1051と係合されるとき、係合タブ1081は突起の遠位ヘッド1053の下面を押圧し、キャップ1066は遠位ヘッド1053の上面を押圧する。この、突起1051の遠位ヘッド1053に対する係合タブ1081及びキャップ1066の押圧は、係合機構1050を突起に固定して、安定したサブマウント1010を提供する。
[0438] キャップ1066及び係合アーム1080は、中間アーム1082a,bから延伸している。中間アーム1082は、連結部材1063から延伸するとともに、外壁1060によって概ね定義される空間を横切って戻るようにy方向に延伸する。中間アーム1082a,bの間には連結部材1083が延在している。中間アーム1082a,bと連結部材1083とは、併せて概ねU形状の支持部を形成する。
[0439] このように、アーム1062と連結部材1063とによって形成される第1の概ねU形状の支持部は、外壁1060によって概ね定義される空間を横切ってy方向に延伸し、支持アーム1082a,bと連結部材1083とによって形成される第2のU形状の支持部は、その空間を横切って戻るように延伸する。
[0440] 第1の概ねU形状の支持部を形成するアーム1062はx方向にいくらかの可撓性を有しており、これが係止部材1070のx方向でのいくらかの移動を可能にする。よって、サブマウント1010は、そのサブマウントの位置におけるパターニングデバイスに対するペリクルフレームのx方向のいくらかの移動を可能にする。アーム1062は弾性の材料から形成されるので、当初の配向に戻りやすい。サブマウント1010は運動学的サブマウントであるものと考えられてもよい。アーム1062は(図28Bにおいて最もよく見て取れるように)x方向よりもz方向に有意に厚く、その結果、x方向のアームの屈曲と比較すると、z方向で可能なアームの屈曲は有意に少ない。アームはy方向に延伸しているので、y方向での有意な移動は提供しない。したがって、アーム1062は、x方向のいくらかの移動を可能にしつつ、y方向及びz方向のペリクルフレームの局所的な移動を防止し又は実質的に防止し得る。代替的な一実施形態(図28には図示しない)においては、アーム1062及び連結部材1063は、概ねU形状の支持部がy方向にいくらかの可撓性を有するように、外壁1060によって概ね定義される空間を横切ってx方向に延伸してもよく、これは係止部材1070のy方向でのいくらかの移動を可能にする。よって、アーム1062は、y方向のいくらかの移動を可能にしつつ、x方向及びz方向のペリクルフレームの局所的な移動を防止し又は実質的に防止し得る。アーム1062及び連結部材1063の2つの均等な設計は、突起1051(すなわちスタッド)に連結されるマウントの2つの異なるシフト方向を可能にする。
[0441] 係止部材1070は、第1の支持アーム1082aから延伸するキャップ1066と、第2の支持アーム1082bから延伸する係合アーム1080とを備えている。第1の支持アーム1082aはアーム1062よりもx方向に有意に厚く、したがってアーム1062と比較してx方向の有意な移動を可能にする。第2の支持アーム1082bはx方向にアーム1062と同様の厚さを有するが、中間アーム1082a,bの間に延在する連結部材1083が、第2の支持アーム1082bのx方向の移動を抑制する。なぜなら、そのような移動は、第1の支持アーム1082aも移動する場合にのみ発生し得るためである。
[0442] 係合アーム1080は、第2の支持アーム1082bから、キャップ1066の全体的な方向に延伸している。係合アーム1080の近位端は、第2の支持アーム1082bの大部分に沿って延伸している(それによって係合アーム1080がパターニングデバイスのパターン表面に概ね平行な方向に撓むのを実質的に防止する)。係合アーム1080は、キャップ1066の全体的な方向に延伸するにつれて次第に細くなる。係合タブ1081は、係合アーム1080の遠位端から内側に延伸して、突起1051の遠位ヘッド1053の下面と係合する。ブロック1054は係合タブ1081の上方に設けられ、以下でさらに説明するように、アクチュエータ受け面を提供する。係合アーム1080はz方向に弾性変形可能である。係合アーム1080はz方向に屈曲するほど十分に薄くてもよい。追加的又は代替的には、係合アーム1080のz方向のいくらかの屈曲は、係合アーム1080が支持アーム1082bに連結する点においてy方向に延伸する溝1055によって容易になり得る。
[0443] 外壁1060からはタブ1056が外向きに延伸する。これらのタブは、係合機構1050をペリクルフレーム(図示しない)に固定するために用いられ得る。
[0444] 図29及び図30は、係合機構1050が突起1051と係合される手法を概略的に図示する。両図は、係合機構及び突起の、一側部から見た断面及び上から見た様子を示す。まず図29を参照すると、係合アーム1080は、係合アームの遠位端を押圧するアクチュエータ(図示しない)を用いて、キャップ1066から押し離される。図29からわかるように、この時点では、係合機構1050と突起1051との間に接触はない。
[0445] 係合機構は、突起1051の遠位ヘッド1053が係合アーム1080から突出する係合タブ1081の上方に位置するまで、x方向に移動される。この移動は、係合機構1050が固定されているペリクルフレームを移動させ、ひいては係合機構全部を一斉に移動させることによって達成される。
[0446] 一旦係合機構1050が定位置となると、係合アーム1080を突起1051の遠位ヘッド1053から押し離していたアクチュエータは取り除かれる。係合アーム1080は弾性であるため、上向きに移動し、遠位ヘッド1053の下面を押圧する。したがって、係合タブ1081は遠位ヘッド1053をキャップ1066に押し付け、それによって係合機構1050を突起1051に固定する。これは図30に図示されている。
[0447] 係合機構1050を突起1051から切り離すためには、上記の順序が逆転される。
[0448] 図31は、ペリクルフレーム1017に固定された4つの係合機構1050a乃至dを示す。サブマウントのうち2つ1050a,dはy方向の移動が可能であるように構成されており、2つのサブマウント1050b、cはx方向の移動が可能であるように構成されている。もっとも、4つすべてのサブマウント1050a乃至dがy方向の移動を介してサブマウントと突起(図示しない)との間での係合を達成させるように構成されており、したがって、見て取れるように、4つすべてのサブマウントがy方向に延伸する係合アーム1080を含む。この構成の考え得る欠点は、y方向のスキャン移動の突然の減速が、係合機構1050a乃至dが(ペリクルフレーム1017の慣性に起因して)突起への取り付けから滑り出る事態を引き起こし得るということである。これは、例えば、マスク支持構造MT(図1を参照)の「クラッシュ」が存在する場合に起こり得る。代替的な配置においては、4つすべてのサブマウントが、x方向(すなわち非スキャン方向)に延伸する係合アームを含んでいてもよい。いずれも非スキャン方向に延伸する係合アームを有することは、突然のy方向の減速が係合機構の切り離しを引き起こす可能性を回避するので、有利である。一般的に、各サブマウントの係合アームは、いずれも略同じ方向に延伸する。
[0449] x方向の移動を可能にするために、サブマウント1050b,cの係止部材1070を支持するアーム1062は、y方向に延伸している。これらのアームは、x方向に弾性的に可撓性であるため、x方向の移動を提供する。よって、サブマウントのうち2つ1050b,cの係合アームは、そのサブマウントのアーム1062に概ね平行に延伸し、サブマウントのうち2つ1050a,dの係合アームは、そのサブマウントのアーム1062に概ね垂直に延伸する。
[0450] サブマウント1050a乃至dは、図28に図示されたタブ1056とは異なる構成を有するタブ1017と共に図示されている。もっとも、タブは、サブマウント1050a乃至dとペリクルフレーム1017との間の係合を容易にするという同じ機能を提供するものである。任意の適当な構成のタブが用いられ得る。
[0451] 図32A乃至図32Hは、係合機構1050が突起1051と係合される手法をより詳細に図示する。まず図32Aを参照すると、ピン1090が、係合機構1050のキャップ1066に接触するまでz方向に移動される。
[0452] 図32Bを参照すると、次に、2つのL形状部材が、それらの遠位端が第1の支持アーム1082aの最下面を越えるまでz方向に移動される。その後、L形状部材1091は、L形状部材の遠位端が支持アーム1082aのコーナ板1089の下にくるまでマイナスx方向に移動される。図32Cに示されるように、L形状部材1091はその後、支持アーム1082aのコーナ板1089と接触するまでz方向に移動される。ピン1090及びL形状部材1091は、併せて係合機構1050を把持し、係合機構のその後の移動を可能にする。
[0453] 図32Dを参照すると、アクチュエータ1092はz方向に移動され、係合アーム1080の遠位端に設けられたブロック1054を押圧する。アクチュエータ1092は係合アーム1080を下向きに押し、それによって係合タブ1081とキャップ1066との間の空間を拡大する。係合アーム1080は、図32Dにおいては、図の作成に用いられたソフトウェアの制約により、下向きに屈曲されていない。
[0454] 図32Eを参照すると、係合機構1050はその後、図示されるように、突起1051の上方に位置決めされる。次いで、係合機構1050は、突起1051の遠位端1053がキャップ1066の下に位置し且つ係合タブ1081の上に位置するまでx方向に移動される。上記で言及したように、すべての係合機構1050a乃至dはペリクルフレーム1017の移動(図31を参照)を介して一斉に移動される。代替的な配置においては、ペリクルフレームを移動させることに代えて、パターニングデバイス及び突起1051がすべて移動されてもよい。概して、必要とされるのは、突起と係合機構との間の横の相対移動のみである。横移動の方向は、係合アーム1080の配向に依存するであろう(そして例えばx方向ではなくy方向であり得る)。
[0455] 図32Fを参照すると、一旦キャップ1066が遠位ヘッド1053の上方に位置決めされ係合タブ1081が遠位ヘッド1053の下になると、アクチュエータ1092は引っ込められる。係合アーム1080の弾性は、当初の位置に戻り、ひいては係合タブ1081を遠位ヘッド1053の下面に押し付ける程度のものである。係合タブ1081は遠位ヘッド1053をキャップ1066に押し付ける。これにより、係合機構1050は突起1051に固定される。
[0456] 図32Gを参照すると、L形状部材1091は、下向きに移動され、その後、支持アーム1082aのコーナ板1089から離れて位置するまでx方向に移動される。その後、L形状部材1091は引っ込められる。
[0457] 図32Hを参照すると、最後のステップでは、ピン1090が引っ込められる。
[0458] 係合機構1050は突起1051に固定され、ひいてはペリクルフレーム(図示しない)のための安定したサブマウント1010を提供する。ペリクルフレームはこうしてパターニングデバイスに確実に取り付けられる。ペリクル、ペリクルフレーム、及びパターニングデバイス(これらは併せてマスクアセンブリと称され得る)は、その後、リソグラフィ装置LAへの輸送のために、マスクアセンブリ輸送デバイス853内に設置され得る(図20を参照)。
[0459] 図27A乃至図27Hに図示されたステップは、係合機構1050を突起1051から取り外すためには反転され、それによってペリクルフレームがパターニングデバイスから取り外される。
[0460] 係合機構1050が突起1051に固定されるステップはいずれも、構成要素間に何ら摺動を要さない。換言すれば、摺動時に互いに対する面の摩擦が必要とされない。そのような摩擦は望まない粒子汚染を引き起こしやすいので、これは有利である。
[0461] 係合機構1050に接触するピン1090、L形状部材1091、及びアクチュエータ1092の表面は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの材料又は何らかの他の頑丈な材料の被覆を備えていてもよい。
[0462] 図32に図示されたステップを実行するために用いられ得るペリクルフレーム取り付け装置(図示しない)は、図21及び図22に図示されたペリクルフレーム取り付け装置857と概ね対応していてもよい。特に、ペリクルフレーム取り付け装置は、アクチュエータ、アライメントシステム、及びセンサを備えた制御システム含み得る。アクチュエータは、図32に図示されたピン1090及びL形状部材1091に連結されてもよく、係合タブ1081を突起1051の遠位ヘッド1053と整列させるためのペリクルアセンブリのX方向の並進運動を含め、X,Y,Z及びRz方向でペリクルアセンブリの位置を調整するために用いられ得る。追加的なアクチュエータは、図2に図示されたアクチュエータ1092と対応していてもよい。制御システムは、ペリクルフレームの一部を観察するように位置決めされた2つの結像センサを備えていてもよい。結像センサは、ペリクルフレームの角を観察するように位置決めされていてもよい。制御システムはさらに、パターニングデバイス上に設けられたアライメントマークを観察するように構成されたアライメントシステムを備えていてもよい。
[0463] パーティションがペリクルアセンブリを制御システムから分離してもよい。ピン1090、L形状部材1091及びアクチュエータ1092は、パーティションに設けられた穴を貫通して突出してもよい。パーティションには窓が設けられていてもよい。
[0464] リソグラフィ装置内では、使用中のペリクルフレームを収容するために、限られた空間が利用可能であり得る。この限られた空間はペリクルフレームの幅を制限するという効果を有し得るが、これは転じてペリクルフレームの剛性を制限するであろう。この制限された剛性は問題となり得る。なぜなら、ペリクルは張力下にあるのでペリクルフレームを内側に撓ませるかもしれず、これはペリクルの望まない弛みを発生させ得るためである。この問題は、ペリクルフレームの厚さを、マスクの画像境界部と重複するように内側に拡張することによって、対処され得る。
[0465] マスクの画像境界部は、マスクのパターン領域の外周の周りに提供された放射線吸収材料を備える。パターンを基板上に投影するためにマスクが使用されているときには、レチクルマスキングブレードがマスクの照明を限定するが、その意図はマスクのパターン領域のみが照明されることである。しかしながら、実用においては、放射線の周辺部(penumbra)が画像境界部に入射し、望ましくない手法で反射される(例えば、基板上の曝露されている領域に隣接する露光領域に反射される)であろう。画像境界部に提供された放射線吸収材料は、これが発生するのを防止する。先に画像境界部によって占められていた空間を占めるようにペリクルフレームが内側に拡張されると、ペリクルフレームは、望ましくない手法で周辺部を反射しやすい。吸収材料をペリクルフレームの外面(すなわちEUV放射線ビームが入射する面)に適用することによって、これが回避される。ペリクルフレームの外面は、ペリクルが置かれている平面に略平行である。
[0466] 本発明の実施形態による幅を広げられたフレームは、フレームの剛性を増大させるとともに、それによってペリクルがより高い張力を備えることを可能にするので、有利である。基板上への周辺部の反射は、吸収材料をペリクルフレームの外面に提供することによって回避される。
[0467] 本発明の実施形態のさらなる利益は、放射線吸収材料が、EUV放射線を吸収することに加え、DUV放射線を吸収するという点である。これは既存のシステムと比較して有益である。なぜなら、既存のシステムにおいては、周辺部DUV放射線ののうち有意な割合(例えば50%)がペリクルから反射され、基板上の曝露されている領域に隣接する露光領域に望ましくない手法で入射する。この、先に反射されたDUV放射線は、次にペリクルフレーム上の放射線吸収材料によって吸収される(ペリクルフレームは内側に拡張されているので、以前はDUV放射線が反射されていたであろうペリクル領域を占めている)。
[0468] 幅を広げられたペリクルフレームは、例えば、2mmよりも有意に大きい幅を有していてもよい。例えば、ペリクルフレームは、3mm以上の幅を有し得る。ペリクルフレームは、例えば、3mm乃至4mmの幅を有し得る。従来のペリクルフレームは、例えば、2mmの幅を有し得る。幅を、例えば3mmに増大させることは、ペリクルフレームの剛性の非常に大幅な増大を提供するであろう。なぜなら、曲げ剛性は厚さの3乗に対応するためである。
[0469] 一実施形態においては、気体通路37(図3を参照)、間隙G(図4,図13を参照)、又はペリクルとマスクとの間の空間内への汚染の他の可能な経路は、エレクトレット材料で被覆されてもよい。エレクトレット材料は、チャネル又は間隙を通過する粒子を吸引及び捕獲する永久荷電を示す。これは粒子がペリクルとマスクとの間の空間に進入するのを防止する。他の箇所で述べたように、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間の間隙Gは300μm未満、例えば200μm未満であり得る。エレクトレット材料をこの間隙の両側の表面上に提供することで、相当な数の粒子を捕獲するであろう有意な電界が発生する。電界は最小の汚染粒子を捕獲する可能性が高い。
[0470] 一実施形態においては、ペリクルのないフレームがマスクに取り付けられてもよい。これはペリクルが存在しなければ無意味であるように思われるかもしれないが、実用においては、汚染粒子のうち有意な割合が視斜角でマスクに入射するので、マスクの周囲に延伸するフレームによって遮断されるのである。ペリクルを備えていないフレームは、ペリクルなしフレーム(pellicle−less frame)と称され得る。ペリクルなしフレームは、例えば、他の実施形態との関連で上述した特徴のうちいくつか又はすべてを含んでいてもよい。ペリクルなしフレームは、(例えば他の実施形態との関連で上述したように)マスクに取り付け可能及びマスクから取り外し可能であってもよい。代替的には、ペリクルなしフレームは、永久的にマスクに連結されていてもよい。ペリクルが存在しないので、ペリクル洗浄のためにフレームを取り外す必要はない。同様に、マスク自体が、ペリクルなしフレームを取り外すことなくアクセス可能であり、したがって必要な場合にはフレームを取り外すことなく洗浄され得る。ペリクルなしフレームは、ペリクルを収容するように設計された特徴を含む必要がないので、ペリクルフレームよりも単純な構成を有し得る。また、ペリクルによって加えられる張力に耐えることが要求されないので、より薄くてもよい。
[0471] 本発明のいくつかの実施形態はスタッドを参照して説明されているが、文脈が許す場合には、本発明の実施形態は、任意の形態の突起を使用し得る。
[0472] 本文書におけるマスクの参照はパターニングデバイスの参照として解釈されてもよい(マスクはパターニングデバイスの一例である)。
[0473] 上記においては、ペリクルがペリクルの残りの部分と比べて増大された厚さを有する境界部を含んでいるペリクルの実施形態が説明されているが、ペリクルのいくつかの実施形態は、ペリクルの残りの部分と比べて増大された厚さを有する境界部を含んでいなくてもよい。したがって、別段の明記がない限り、本文書において、ペリクルの参照は、ペリクルの残りの部分と比べて増大された厚さを有する境界部を有さないペリクルを含むものと理解されるべきである。
[0474] 本発明の具体的な実施形態の文脈で、マスクアセンブリの様々な発明の態様が上記で説明され図面に示されている。これらの態様のうちいずれもが組み合わせられて単一の実施形態になり得ることが察知されるであろう。例えば、ある実施形態の1つ以上の特徴は、別の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせられてもよい。また、本明細書においては、2つ以上の本発明の態様を含むいくつかの実施形態が説明されているが、単一の本発明の態様のみを含む実施形態も考えられることがさらに察知されるであろう。概して、説明した実施形態のいずれの特徴も、単独で用いられてもよいし、あるいは説明した実施形態の他の特徴のいずれかと任意の組み合わせで用いられてもよい。
[0475] 本文中では、リソグラフィ装置の文脈における本発明の実施形態を特に参照しているかもしれないが、本発明の実施形態は他の装置において用いられてもよい。本発明の実施形態は、マスク検査装置、計測装置、あるいはウェーハ(もしくは他の基板)又はマスク(若しくは他のパターニングデバイス)などの物体を測定又は加工する任意の装置の一部を形成してもよい。これらの装置は概してリソグラフィツールと称され得る。そのようなリソグラフィツールは、真空条件又は大気(非真空)条件を利用し得る。
[0476] 「EUV放射線」という用語は、4乃至20nmの範囲内、例えば13乃至14nmの範囲内の波長を有する電磁放射線を包含するものと考えられてもよい。EUV放射線は、10nm未満、例えば、6.7nm又は6.8nmなど4乃至10nmの範囲内の波長を有していてもよい。
[0477] 本文中ではICの製造におけるリソグラフィ装置の使用を特に参照しているかもしれないが、本明細書に記載のリソグラフィ装置は他の用途も有し得ることが理解されるべきである。考えられる他の用途は、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用の案内及び検出パターン、フラットパネル表示器、液晶表示器(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造を含む。また、ペリクルアセンブリはリソグラフィ装置における使用に適しているが、取り外し可能な薄いペリクル/ペリクルフレームが予想される場合には、非リソグラフィ用途にも用いられ得ることが理解されるべきである。
[0478] 上記では本発明の具体的な実施形態を記載したが、本発明は記載されたものとは異なって実施され得ることが察知されるであろう。上記の記載は、例示的であることを意図されたものであって、限定的であることは意図されていない。したがって、当業者には、記載された本発明の変更が、特許請求の範囲及び以下に記載の条項の範囲を逸脱することなく行われ得ることが明らかであろう。
1. パターニングデバイス、ペリクルフレーム、及びペリクルを収容し、ペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けて、ペリクルフレームがパターニングデバイスに隣接してペリクルを支持するマスクアセンブリを形成するように構成されたペリクルフレーム取り付け装置と;
ペリクルフレーム取り付け装置からマスクアセンブリを受け取ってマスクアセンブリを支持するように構成された支持構造、マスクアセンブリのパターニングデバイスがパターニングされた放射ビームを形成するべく調整された放射ビームの断面にパターンを付与するように構成されているところ、放射ビームを調整して、調整された放射ビームでマスクアセンブリを照明するように構成された照明システム、基板を保持するように構成された基板テーブル、及び、パターニングされた放射ビームを基板上に投影するように構成された投影システム、を備えるリソグラフィ装置と;
を備えるリソグラフィシステムであって、
リソグラフィ装置内での使用のためにペリクルフレーム取り付け装置からリソグラフィ装置へとマスクアセンブリを輸送するように構成されたマスクアセンブリ輸送デバイスをさらに備える、リソグラフィシステム。
2. ペリクルフレーム取り付け装置は、密閉環境でペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けるように構成されている、条項1のリソグラフィシステム。
3. ペリクルフレーム取り付け装置は、ペリクルフレーム装置の密閉環境を真空圧条件まで排気するように構成された真空ポンプを備える、条項2のリソグラフィシステム。
4. マスクアセンブリ輸送デバイスは、ペリクルフレーム取り付け装置からリソグラフィ装置へとマスクアセンブリを密閉環境で輸送するように構成されている、条項1乃至3のいずれかのリソグラフィシステム。
5. マスクアセンブリ輸送デバイスは、マスクアセンブリ取り付け装置の密閉環境を真空圧条件まで排気するように構成された真空ポンプを備える、条項4のリソグラフィシステム。
6. ペリクル、ペリクルフレーム、及びパターニングデバイスのうち1つ以上を汚染又は欠陥のうち少なくとも一方について検査するように構成された検査装置をさらに備える、条項1乃至5のいずれかのリソグラフィシステム。
7. ペリクルフレーム取り付け装置は、ペリクルフレームに取り付けられたペリクルを収容するとともに、ペリクルを取り付けられたペリクルフレームをパターニングデバイスに取り付けるように構成されている、条項1乃至6のいずれかのリソグラフィシステム。
8. 照明システムはEUV放射ビームを調整するように構成されている、条項1乃至7のいずれかのリソグラフィシステム。
9. ペリクルフレーム取り付け装置は、EUV放射線に対して実質的に透明のペリクルを収容するように構成されている、条項8のリソグラフィシステム。
10. パターニングデバイスと、ペリクルフレーム及びペリクルを備えるペリクルアセンブリとを収容するように構成されたペリクルフレーム取り付け装置であって、ペリクルフレームに設けられたサブマウントの係合機構を動作させるように構成されたアクチュエータを備えており、アクチュエータは、ペリクルアセンブリを収容する制御環境をペリクルフレーム取り付け装置の他の部分から分離するパーティションに設けられた開口を貫通して突出する、ペリクル取り付けデバイス。
11. パーティションは、ペリクルフレーム縁及び/又はパターニングデバイスのアライメントマークがパーティションの反対側から視認できるように位置決めされた窓を含む、条項10のペリクルフレーム取り付け装置。
12. アクチュエータはパーティションの平面に垂直に移動可能なピンを備える、条項10又は条項11のペリクルフレーム取り付け装置。
13. アクチュエータは互いに接近し及び遠ざかるように移動可能な一対のアームを備える、条項10乃至12のいずれかのペリクルフレーム取り付け装置。
14. アクチュエータの端部は頑丈な材料の被覆を備える、条項12又は13のペリクルフレーム取り付け装置。
15. ペリクルフレーム取り付け装置は制御環境内に気体出口を含み、気体出口は、パーティションの反対側の気体圧力よりも高い圧力で気体を供給するように構成されている、条項10乃至14のいずれかのペリクルフレーム取り付け装置。
16. ペリクル及びペリクルフレームを収容し、
ペリクルをペリクルフレームに取り付けてペリクルアセンブリを形成し、
ペリクルアセンブリの輸送に適した密閉包装によってペリクルアセンブリを密閉包装内に密閉するように構成されている、ペリクル取り付け装置。
17. ペリクル取り付け装置は、密閉環境でペリクルをペリクルフレームに取り付けるように構成されている、条項16のペリクル取り付け装置。
18. 密閉環境を真空圧条件まで排気するように構成された真空ポンプをさらに備える、条項17のペリクル取り付け装置。
19. ペリクル及びペリクルフレームのうち一方又は両方を汚染又は欠陥のうち少なくとも一方について検査するように構成された検査装置をさらに備える、条項16乃至18のいずれかのペリクル取り付け装置。
20. パターニングデバイスを保持するように構成されたテーブルと、スタッドをパターニングデバイスと接触させるように構成されたスタッドマニピュレータとを備え、スタッドマニピュレータはパターニングデバイスを収容する制御環境からパーティションによって分離されており、パーティションは、パターニングデバイスに接触するためにスタッドが貫通して突出し得る穴を含む、スタッド取り付け装置。
21. スタッドマニピュレータは複数のスタッドマニピュレータのうちの1つであり、パーティションの穴は複数の穴のうちの1つである、条項20のスタッド取り付け装置。
22. スタッド取り付け装置は制御環境内に気体出口を含み、気体出口は、パーティションの反対側の気体圧力よりも高い圧力で気体を供給するように構成されている、条項19又は条項20のスタッド取り付け装置。
23. スタッドマニピュレータの周囲には、使用時にパターニングデバイスに対して密閉してパターニングデバイスのスタッド収容部分をパターニングデバイスの他の部分から隔離するシールが提供される、条項20乃至22のいずれかのスタッド取り付け装置。
24. 送気チャネル及び気体抽出チャネルが提供され、これらを介して気体の流れがパターニングデバイスのスタッド収容部分に及びそこから提供される、条項23のスタッド取り付け装置。
25. パターニングデバイスを保持するように構成されたテーブルと、スタッドの端部を収容するように配置されたアクチュエータであってスタッドをパターニングデバイスに取り付けるグルーの強度を減少させることによりスタッドをパターニングデバイスから取り外すことを可能にするためにスタッドを加熱するヒータを含むアクチュエータとを備える、スタッド取り外し装置。
26. アクチュエータは、各々が、スタッドの遠位ヘッドを収容し保持するように構成されたスタッドグリッパを備える、条項25のスタッド取り外し装置。
27. スタッドグリッパは、スタッドの首部よりも幅広くスタッドの遠位ヘッドよりも狭い分離を有する一対のフランジを備える、条項26のスタッド取り外し装置。
28. スタッドグリッパの周囲には、使用時にパターニングデバイスに対して密閉してパターニングデバイスのスタッド保持部分をパターニングデバイスの他の部分から隔離するシールが提供される、条項25乃至27のいずれかのスタッド取り外し装置。
29. 送気チャネル及び気体抽出チャネルが提供され、これらを介して気体の流れがパターニングデバイスのスタッド保持部分に及びそこから提供される、条項28のスタッド取り外し装置。
30. サブマウントを突起に取り付ける方法であって、非係止位置から突起に隣接するが接触しない中間位置へと係止部材を移動させることと、その後、保持部材を用いて、係止部材が突起を押圧する係止位置へと係止部材を移動させることと、を備える方法。
31. 係止部材は、係止部材の表面が突起の表面に対して摺動することなく係止位置へと移動される、条項30の方法。
32. 係止部材は、係止位置にあるときに接触する突起の表面に略垂直な方向に係止部材を移動させることによって係止位置へと移動される、条項30又は31の方法。
33. サブマウントはペリクルフレームに取り付けられ、突起はマスクから延伸してもよい、条項30乃至32のいずれかの方法。
34. 係止部材は固定されていない端部を有する一対のばねを備える、条項30乃至33のいずれかの方法。
35.サブマウントを突起から取り外す方法であって、保持部材を係止部材から遠ざかるように移動させることと、係止部材が突起を押圧する係止位置から突起に隣接するが接触しない中間位置へと係止部材を移動させることと、その後、係止部材が保持部材を押圧する非係止位置へと係止部材を移動させることと、を備える方法。
36. サブマウントを突起に取り付ける方法であって、サブマウントは固定されていない端部を有する一対のばねと部材とを備えており、突起はシャフトに設けられた遠位ヘッドを備えており、
ばねの固定されていない端部を部材との接触から離れて遠ざかるように移動させることと、
突起の下に空間を創出するために部材を突起の遠位ヘッドから遠ざかるように移動させることと、
ばねの固定されていない端部が突起の遠位ヘッドの下の空間内の平衡位置に移動することを可能にすることと、
部材がばねの固定されていない端部を突起の遠位ヘッドに押し付けるように部材が弾性付勢の下で遠位ヘッドに向かって移動することを可能にすることと、
を備える方法。
37. サブマウントを突起から取り外す方法であって、サブマウントは固定されていない端部を有する一対のばねと部材とを備えており、突起はシャフトに設けられた遠位ヘッドを備えており、
ばねの固定されていない端部が遠位ヘッドから遠ざかるように移動することを可能にするために部材を突起の遠位ヘッドから遠ざかるように移動させることと、
ばねの固定されていない端部を離れるように移動させることと、
部材が弾性付勢の下で遠位ヘッドに向かって移動することを可能にすることと、
ばねの固定されていない端部が一緒に移動して部材の側部を押圧することを可能にすることと、
を備える方法。
38. ばねの固定されていない端部は、一対のアクチュエータアームによって離れるように移動される、条項36又は条項37の方法。
39. 部材は、部材によって連結された一対の弾性のアームを押圧する一対のピンによって移動される、条項36乃至38のいずれかの方法。
40. サブマウントはペリクルフレームに設けられ、突起はパターニングデバイスに設けられる、条項36乃至39のいずれかの方法。
41. リソグラフィ工程における使用に適したマスクアセンブリであって、パターニングデバイスと、ペリクルを支持するペリクルフレームとを備えており、ペリクルフレームはパターニングデバイスに搭載され、ペリクルフレームはキャッピング層を備えており、ペリクルフレームに設けられたキャッピング層はペリクルに設けられたキャッピング層と同一の材料から形成されている、マスクアセンブリ。
42. リソグラフィ工程における使用に適したマスクアセンブリであって、
パターニングデバイスと、
ペリクルを支持するように構成されパターニングデバイスの一領域を囲むようにマウントを用いてパターニングデバイスに取り付けられたペリクルフレームと、
を備えており、
ペリクルフレームは伸張部分及び非伸張部分を含み、ペリクルフレームの伸張部分はペリクルフレームの非伸張部分の幅よりも大きい幅を有する、マスクアセンブリ。
43. 1つ以上の穴が伸張部分に設けられ、気体がペリクルフレームを通って流れることを可能にするように構成されている、条項42のマスクアセンブリ。
44. 伸張部分のうち少なくとも1つはアライメントマークを備える、条項42又は43のマスクアセンブリ。
45. 伸張部分はくり抜き部分を含む、条項42乃至44のいずれかのマスクアセンブリ。
46. ペリクルフレームによって支持されたペリクルをさらに備え、ペリクルは、ペリクルの残りの部分よりも大きい厚さを有する境界部を含む、条項42乃至45のいずれかのマスクアセンブリ。
47. ペリクルの境界部は、ペリクルフレームの伸張部分と対応する伸張部分を含む、条項46のマスクアセンブリ。
48. ペリクルの伸張部分は、気体が通過して流れ得る気孔を含み、気孔は、気体が気孔を通ってペリクルとパターニングデバイスとの間の容積に流入及び流出することを可能にするべくペリクルフレームのくり抜き部分と整列される、条項45及び条項47のマスクアセンブリ。
49. マスクアセンブリは、ペリクルフレームとパターニングデバイスとの間に間隙を提供するように構成されていてもよく、間隙は、使用時に、気体が間隙を通ってペリクルフレームによって支持されたペリクルとパターニングデバイスとの間の容積に流入及び流出可能となるように構成されている、条項42乃至48のいずれかのマスクアセンブリ。
50. ペリクルフレームはフレームの本体に窓を含み、窓は1つ以上の放射ビームの透過を可能にするように構成されている、条項42乃至49のいずれかのマスクアセンブリ。
51. 窓は粒子が窓を通過するのを防止するように構成されている、条項50のマスクアセンブリ。
52. ペリクルフレームは、ペリクルフレームを通って延伸するがペリクルフレームを通るパターニングデバイスへの直接的な見通し線は提供しない穴を含む、条項42乃至51のいずれかのマスクアセンブリ。
53. ペリクルフレームを通って延伸する穴は、ペリクルフレームを通る直接的で妨害のない経路を提供しない、条項52のマスクアセンブリ。
54. マスクアセンブリは、ペリクルフレームがパターニングデバイスの前面の全体を実質的に包囲するように構成されている、条項42乃至53のいずれかのマスクアセンブリ。
55. ペリクルフレームは光学的圧着によってパターニングデバイスに取り付けられる、条項42乃至54のいずれかのマスクアセンブリ。
56. ペリクルフレームによって支持されたペリクルをさらに備え、パターニングデバイスとペリクルとの間には導電経路が提供される、条項42乃至55のいずれかのマスクアセンブリ。
57. パターニングデバイスとペリクルフレームとの間に導電性材料が提供され、ペリクルフレームとペリクルとの間に導電性材料が提供される、条項56のマスクアセンブリ。
58. リソグラフィ工程における使用に適したマスクアセンブリであって、
パターニングデバイスと、
パターニングデバイスに固定されたサブフレームと、
ペリクルを支持するように構成されたペリクルフレームと、
ペリクルフレームのサブフレームへの取り付け及びペリクルフレームのサブフレームからの取り外しを可能にするように動作可能な機械的取り付けインタフェースと、
を備え、
パターニングデバイスは、パターニングデバイスの前面に、前面の範囲がパターニングデバイスの後面に対して小さくなる切取部を含み、切取部はペリクルフレームの一部を収容するように構成されている、マスクアセンブリ。
59. 切取部は、パターニングデバイスの前面の外側範囲に隣接して位置決めされる、条項58のマスクアセンブリ。
60. サブフレームは切取部に隣接して位置決めされる、条項58又は59のマスクアセンブリ。
61. サブフレームはパターニングデバイスに接合されている、条項58乃至60のいずれかのマスクアセンブリ。
62. サブフレームはグルーが配置される凹部を有し、グルーは、凹部とパターニングデバイスとによって囲まれた容積内に位置決めされる、条項61のマスクアセンブリ。
63. リソグラフィ工程における使用に適したパターニングデバイスであって、
パターンを付与された前面と、
支持構造への固定に適した後面と、
を備え、
前面は、前面の範囲が後面に対して小さくなる切取部を含み、切取部はペリクルフレームの一部を収容するように構成されている、パターニングデバイス。
64. パターニングデバイスに固定されたサブフレームをさらに備え、サブフレームは、ペリクルフレームをサブフレームに選択的に取り付けるように動作可能な機械的取り付けインタフェースを含む、条項63のパターニングデバイス。
65. パターニングデバイスとペリクルフレームに支持されたペリクルとを備えるマスクアセンブリであって、ペリクルフレームにはチャネルが設けられ、又はペリクルフレームとパターニングデバイスとの間には間隙が存在し、チャネル又は間隙の壁はエレクトレット材料を備える、マスクアセンブリ。
66. チャネル又は間隙の壁はエレクトレット材料の被覆を備える、条項65のマスクアセンブリ。
67. パターニングデバイス及び取り外し可能に係合可能なフレームを備えるマスクアセンブリであって、フレームはペリクルを備えていない、マスクアセンブリ。
68.基部及び遠位ヘッドを備えるスタッドであって、基部は平坦な底面を有し、この平坦な底面にはポリマ膜が共有結合されている、スタッド。
69.スタッドの基部のポリマ膜は、ファンデルワールス力によって可逆的にマスクに接合される、マスクと条項68のスタッドとを備えるマスクアセンブリ。