JP5189614B2 - ペリクル及びその取り付け方法、並びにペリクル付マスク及びマスク - Google Patents
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Description
ペリクルは、露光原版の表面に形成されたパターン領域を囲むように設置される。ペリクルは、露光原版上にゴミが付着することを防止するために設けられるものであるから、このパターン領域とペリクル外部とはペリクル外部の塵埃がパターン面に付着しないように隔離されている。
ペリクル貼り付けによるマスク平坦度の変化の要因は、幾つかあるが、一番大きな要因は、ペリクルフレームの平坦度であることが分かってきた。
マスクが変形した場合、マスクの平坦度が悪くなる場合があり、その場合露光装置内でデフォーカスの問題が発生する。一方でマスクが変形して平坦度が良くなる場合もあるが、この場合でもマスク表面に形成されたパターンが歪み、その結果露光したときにウエハに転写されたパターン像が歪んでしまうという問題が発生する。このパターンの歪みはマスクの平坦度が悪くなる場合も発生するので、結局ペリクルを貼り付けることによりマスクが変形する場合は、必ずパターン像が歪んでしまうという問題が発生する。
(1)ペリクル膜と、前記ペリクル膜が一端面に張設され他端面が開放されたペリクルフレームと、前記ペリクルフレームをマスクに粘着させるための粘着層とを有し、前記粘着層が、表面にマスク画像を有するマスクの側面と粘着可能に前記ペリクルフレームの内周面に設けられたことを特徴とするペリクル、
(2)前記粘着層の厚さが前記ペリクルフレームの開放端面側により薄く、前記マスクの側面が、前記マスクの裏面から前記マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜しており、前記粘着層と前記マスクの側面が合致可能な形状である、上記(1)に記載のペリクル、
(3)ペリクル膜と、前記ペリクル膜が一端面に張設され他端面が開放されたペリクルフレームとを有するペリクルの前記ペリクルフレームの内周面をマスクの側面に固定することを特徴とする、ペリクルの取り付け方法、
(4)上記(2)に記載のペリクルと、前記マスクの裏面から前記マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜しているマスクの側面とを粘着させることにより、前記マスクの側面と前記ペリクルフレーム内周面とを粘着することを特徴とする、ペリクルの取り付け方法、
(5)上記(1)又は(2)に記載のペリクルとマスクとを粘着した、ペリクル付マスク、
(6)マスクの側面が、マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜していることを特徴とするマスク。
図4に示すように、一般的なペリクル11は、ペリクルフレーム12の上端面に接着層(図示せず)を介してペリクル膜13を張設したもので、この場合、ペリクル11をマスク14に粘着させるための粘着層15がペリクルフレーム12の下端面に形成されてなるものである。また、ペリクルフレーム12に気圧調整用穴(通気口)16が設置されていて、さらにパーティクル除去の目的で除塵用フィルター17が設けられていてもよい。
このような一般的なペリクルの場合、前述したように、マスクに取り付けた際に、ペリクルフレームの変形に起因してマスクが変形してしまうという問題がある。
以下、本発明のペリクルについて詳述する。
図1(a)に示すように、本発明のペリクル1は、ペリクルフレーム2の上端面に、粘着層(図示せず)を介してペリクル膜3を張設したもので、この場合、ペリクル1をマスク4に粘着させるための粘着層5がペリクルフレーム2の内周面に形成されてなるものである。また、ペリクルフレーム2に気圧調整用穴(通気口)6が設置されていて、さらにパーティクル除去の目的で除塵用フィルター7が設けられていてもよい。
ペリクル膜の種類については特に制限はなく、例えば従来エキシマレーザー用に使用されている、非晶質フッ素ポリマー等が用いられる。非晶質フッ素ポリマーの例としては、サイトップ(旭硝子(株)製商品名)、テフロン(登録商標)AF(デュポン社製商品名)等が挙げられる。これらのポリマーは、そのペリクル膜作製時に必要に応じて溶媒に溶解して使用してもよく、例えばフッ素系溶媒などで適宜溶解することができる。
一方、EUV露光用のペリクルの場合は、シリコン薄膜がペリクル膜として使用される可能性が高い。
なお、ペリクルフレーム2の形状は、図1(a)に示す矩形状に限定されるものではなく、ペリクルを取り付けるべきマスクの形状などに応じて種々の形状とすることができる。
透過型のマスクは、例えば露光光として、g線、i線、h線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光などが用いられる透過型露光装置に使用されるものである。
また、反射型のマスクは、例えば露光光として波長13.5nmの極端紫外(Extreme UltraViolet、EUV)光が用いられるEUV露光装置に使用されるものである。
図1(b)に示すように、ペリクルフレーム2の内周面には、ほぼ均一の厚さで粘着層5が形成されている。この粘着層5が、マスク4のマスク画像が形成された表面(パターン面)にほぼ垂直なマスク4の側面に粘着している。こうして、パターン面をペリクル1側に向け、ペリクルフレーム2内に収まった状態で、マスク4がペリクル1に取り付けられている。
このように、ペリクル1をマスク4の側面に取り付けることにより、ペリクルフレーム2の歪みによりマスク4のパターン面に垂直な方向に加わる応力を低減することができる。このため、ペリクルフレーム2の歪みによるマスク4の変形を極力低減することができる。こうして、ペリクル1の取り付けによるマスク4の平坦度の変化を極力低減することができ、マスク4のパターン面の変形も極力低減することができる。したがって、マスク4上に描かれたパターンをより忠実に再現することができ、マスク4の重ね合わせ精度の向上を図ることができる。
図1(c)に示すように、ペリクルフレーム2の内周面には、厚さがペリクルフレーム2の開放端面側により薄い粘着層5が形成されている。他方、マスク4の側面は、マスク4の裏面からパターン面に向かうに従い内側に傾斜している。これら粘着層5とマスク4の側面は合致可能な形状となっており、傾斜したマスク4の側面に、厚さがペリクルフレーム2の開放端面側により薄い粘着層5が合致して粘着している。こうして、パターン面をペリクル1側に向け、ペリクルフレーム2内に収まった状態で、マスク4がペリクル1に取り付けられている。
ここで、図1(c)に示す例では、上述のように、粘着層5の厚さをペリクルフレーム2の開放端面側により薄くするとともに、ペリクル1を取り付けるべきマスク4の側面をマスク4の裏面からパターン面に向かうに従い内側に傾斜させ、粘着層5とマスク4の側面を合致可能な形状としている。このため、粘着層5を容易にマスク4の側面に接触させることができる。こうして、図1(c)に示す例では、粘着層5の厚さがほぼ均一で、マスク4の側面がマスク4のパターン面にほぼ垂直な図1(b)に示す例と比較して、ペリクル1をマスク4に容易に取り付けることができる。
現状において、半導体プロセス等の露光工程では、一般的に透過型のマスクが用いられている。かかる透過型のマスクが使用される透過型露光装置において、ペリクルが取り付けられた透過型のマスクは、ペリクルにより隔離されたパターン面を下に向けて保持される。露光光としてのレーザー光は、上方からマスクのパターン面とは反対の裏面に入射され、マスク及びペリクル膜を透過して下方に出射する。こうして下方に出射したレーザー光により、マスクパターンが露光対象のウエハなどの基板に投影され、マスクパターンが基板に転写される。
図4に示す一般的なペリクル11が取り付けられた透過型のマスク14の場合、マスク14のパターン面には、ペリクル11により隔離された隔離領域と、その外側のペリクル11により隔離されていない非隔離領域とが存在している。このため、図5に示すように、透過型露光装置のマスク保持部8により、パターン面を下方に向けたマスク14の非隔離領域における両端部が下方から支持される。こうして、透過型露光装置において、図4に示す一般的なペリクル11が取り付けられた透過型のマスク14は、ペリクル11が取り付けられたパターン面を下方に向けた状態で保持される。
かかる保持状態の透過型のマスク14に対して、露光光としてのレーザー光は、図5に示すように、上方からマスク14のパターン面とは反対の裏面に入射され(入射レーザー光LI)、マスク14及びペリクル膜13を透過して下方に出射する(透過レーザー光LT)。
図2は、本発明のペリクル1が取り付けられた透過型のマスク4が透過型露光装置において保持された状態を示す概略断面図である。
図2に示すように、本発明のペリクル1が取り付けられた透過型のマスク4の場合、ペリクル1が取り付けられたパターン面を下方に向けた状態で、その両端部が透過型露光装置のマスク保持部8により吊持される。こうして、透過型露光装置において、本発明のペリクル1が取り付けられた透過型のマスク4は、ペリクル1が取り付けられたパターン面を下方に向けた状態で保持される。
かかる保持状態の透過型のマスク4に対して、露光光としてのレーザー光は、図2に示すように、上方からマスク4のパターン面とは反対の裏面に入射され(入射レーザー光LI)、マスク4及びペリクル膜3を透過して下方に出射する(透過レーザー光LT)。
EUV露光装置において、露光光としてのEUV光は、反射型のマスクのパターン面に入射され、マスクにより反射される。こうして反射されたEUV光により、マスクパターンが露光対象のウエハなどの基板に投影され、マスクパターンが基板に転写される。このように、EUV露光装置においては、露光光として照射されたEUV光がマスクの裏面から出射することがない。したがって、本発明のペリクルが取り付けられたマスクも、マスクの裏面を支持して容易に保持することができる。
図3は、図1に示す本発明のペリクル1が取り付けられた反射型のマスク4がEUV露光装置において保持された状態を示す概略断面図である。
図3に示すように、本発明のペリクル1が取り付けられた反射型のマスク4の場合、EUV露光装置のマスク保持部9により、その裏面が下方から支持される。こうして、EUV露光装置において、本発明のペリクル1が取り付けられた反射型のマスク4は、ペリクル1が取り付けられたパターン面を上方に向けた状態で保持される。
かかる保持状態の反射型のマスク4に対して、露光光としてのEUV光は、図3に示すように、反射型のマスクのパターン面に入射され(入射EUV光EUVI)、マスクにより反射される(反射EUV光EUVR)。
このように、本発明のペリクルが取り付けられた反射型のマスクは、EUV露光装置において、その裏面を下方から支持することで容易に保持することができる。
アルミニウム合金製のペリクルフレーム(外形サイズ158mm角、高さ10mm、肉厚2mm)を純水で洗浄後、その内周面に信越化学工業(株)製のシリコーン粘着剤(製品名:X−40−3122A)を塗布し、180℃に加熱して粘着剤を硬化させ粘着層を形成した。粘着層の厚みは1mmであった。
その後フレームの片端面に旭硝子(株)製のフッ素樹脂(商品名:サイトップCTX−S)を住友3M(株)製のフッ素溶液(商品名:NOVEC7300)に溶解させたフッ素樹脂溶液(濃度6%)を塗布し、その後130℃でペリクルフレームの加熱を行い溶媒を蒸発させフッ素樹脂を硬化させ接着剤層を形成した。
その後、上記ペリクルフレームよりも大きなアルミニウム枠に取ったペリクル膜に上記ペリクルフレームの接着剤層側を貼り付け、接着剤層を加熱することにより、ペリクル膜を接着剤層に固定し、ペリクルフレームよりも外側の部分を除去し、ペリクルを完成させた。
このペリクルを、平坦度が0.25μmのマスクの側面に貼り付けたところ、マスクの平坦度は0.25μmのままであり、平坦度は変化しなかった。
アルミニウム合金製のペリクルフレーム(外形サイズ158mm角、高さ10mm、肉厚2mm)を純水で洗浄後、その内周面に信越化学工業(株)製のシリコーン粘着剤(製品名:X−40−3122A)を塗布し、1時間放置した。その後外形サイズの底辺が154mm角、上面が152mm角で、側面が上方に向かって徐々に狭くなっており、厚みが7mmで側面に離型剤が塗布された石英板を上記ペリクルフレームの内側に接触させ、その後180℃に加熱して粘着剤を硬化させた。石英板をペリクルフレームから外して、フレーム内面の上方に行くほど徐々に厚みが厚くなる粘着層を形成した。
その後フレームの片端面に旭硝子(株)製のフッ素樹脂(商品名:サイトップCTX−S)を住友3M(株)製のフッ素溶液(商品名:NOVEC7300)に溶解させたフッ素樹脂溶液(濃度6%)を塗布し、その後130℃でペリクルフレームの加熱を行い溶媒を蒸発させフッ素樹脂を硬化させ接着剤層を形成した。
その後、上記ペリクルフレームよりも大きなアルミニウム枠に取ったペリクル膜に上記ペリクルフレームの接着剤層側を貼り付け、接着剤層を加熱することにより、ペリクル膜を接着剤層に固定し、ペリクルフレームよりも外側の部分を除去し、ペリクルを完成させた。
このペリクルを、マスク画像が設けられた表面に向かうに従い側面が内側に傾斜している平坦度が0.25μmのマスクの側面に貼り付けたところ、マスクの平坦度は0.25μmのままであり、平坦度は変化しなかった。
アルミニウム合金製のペリクルフレーム(外形サイズ149mm×122mm、高さ5.8mm、肉厚2mm)を純水で洗浄後、その片端面に信越化学工業(株)製のシリコーン粘着剤(製品名:X−40−3122A)を塗布し、180℃に加熱して粘着剤を硬化させ粘着層を形成した。
その後、フレームの反対面に旭硝子(株)製のフッ素樹脂(商品名:サイトップCTX−S)を住友3M(株)製のフッ素溶液(商品名:NOVEC7300)に溶解させたフッ素樹脂溶液(濃度6%)を塗布し、その後130℃でペリクルフレームの加熱を行い溶媒を蒸発させフッ素樹脂を硬化させ接着剤層を形成した。
その後、上記ペリクルフレームよりも大きなアルミニウム枠に取ったペリクル膜に上記ペリクルフレームの接着剤層側を貼り付け、接着剤層を加熱することにより、ペリクル膜を接着剤層に固定し、ペリクルフレームよりも外側の部分を除去し、ペリクルを完成させた。
このペリクルを、平坦度が0.25μmのマスクのマスク画像が設けられた表面に貼り付けたところ、マスクの平坦度は0.30μmに変化した。
2、12:ペリクルフレーム
3、13:ペリクル膜
4、14:マスク
5、15:粘着層
6、16:気圧調整用穴(通気口)
7、17:除塵用フィルター
8:透過型露光装置のマスク保持部
9:EUV露光装置のマスク保持部
LI:入射レーザー光
LT:透過レーザー光
EUVI:入射EUV光
EUVR:反射EUV光
Claims (6)
- ペリクル膜と、前記ペリクル膜が一端面に張設され他端面が開放されたペリクルフレームと、前記ペリクルフレームをマスクに粘着させるための粘着層とを有し、前記粘着層が、表面にマスク画像を有するマスクの側面と粘着可能に前記ペリクルフレームの開放された端面近傍の内周面に設けられたことを特徴とするペリクル。
- 前記粘着層の厚さが前記ペリクルフレームの開放端面側により薄く、前記マスクの側面が、前記マスクの裏面から前記マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜しており、前記粘着層と前記マスクの側面が合致可能な形状である、請求項1に記載のペリクル。
- ペリクル膜と、前記ペリクル膜が一端面に張設され他端面が開放されたペリクルフレームとを有するペリクルを、前記ペリクルフレームの開放された端面近傍の内周面に設けた粘着層によりマスクの側面に固定することを特徴とする、ペリクルの取り付け方法。
- 請求項2に記載のペリクルと、前記マスクの裏面から前記マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜しているマスクの側面とを粘着させることにより、前記マスクの側面と前記ペリクルフレーム内周面とを粘着することを特徴とする、ペリクルの取り付け方法。
- 請求項1又は2に記載のペリクルとマスクとを粘着した、ペリクル付マスク。
- マスクの側面が、マスクの裏面から始まってマスク画像が設けられた表面に向うに従い連続的に内側に傾斜しているマスク。
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