JP5189614B2 - ペリクル及びその取り付け方法、並びにペリクル付マスク及びマスク - Google Patents

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Description

本発明は、LSI、超LSIなどの半導体装置又は液晶表示板を製造する際のリソグラフィ用マスクのゴミよけとして使用される、リソグラフィ用のペリクル及びその取り付け方法、並びにペリクル付マスク及びマスクに関する。
LSI、超LSIなどの半導体製造又は液晶表示板などの製造においては、半導体ウエハ又は液晶用原板に光を照射してパターンを作製するが、この場合に用いる露光原版にゴミが付着していると、このゴミが光を吸収したり、光を曲げてしまうために、転写したパターンが変形したり、エッジががさついたものとなるほか、下地が黒く汚れたりして、寸法、品質、外観などが損なわれるという問題があった。なお、本発明において、「露光原版」とは、リソグラフィ用マスク(単に「マスク」ともいう。)及びレチクルの総称である。以下、マスクを例にして説明する。
これらの作業は通常クリーンルームで行われているが、このクリーンルーム内でも露光原版を常に清浄に保つことが難しいので、露光原版の表面にゴミよけのための露光用の光を良く通過させるペリクルを貼り付ける方法が採られている。
ペリクルの基本的な構成は、ペリクルフレーム及びこれに張設したペリクル膜からなる。ペリクル膜は、露光に用いる光(g線、i線、248nm、193nm等)を良く透過させるニトロセルロース、酢酸セルロース、フッ素系ポリマーなどからなる。ペリクルフレームの上辺部にペリクル膜の良溶媒を塗布し、ペリクル膜を風乾して接着するか、アクリル樹脂、エポキシ樹脂やフッ素樹脂などの接着剤で接着する。さらに、ペリクルフレームの下辺部には露光原版を装着するために、ポリブテン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂又はシリコーン樹脂等からなる粘着層、及び粘着層の保護を目的としたレチクル粘着剤保護用ライナーを設ける。
ペリクルは、露光原版の表面に形成されたパターン領域を囲むように設置される。ペリクルは、露光原版上にゴミが付着することを防止するために設けられるものであるから、このパターン領域とペリクル外部とはペリクル外部の塵埃がパターン面に付着しないように隔離されている。
近年、LSIのデザインルールはサブクオーターミクロンへと微細化が進んでおり、それに伴い、露光光源の短波長化が進んでいる、すなわち、これまで主流であった、水銀ランプによるg線(436nm)、i線(365nm)から、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)などに移行しつつある。微細化が進むとマスク及びシリコンウエハに要求される平坦性もますます厳しくなってきている。
ペリクルは、マスクが完成した後でパターンのゴミよけのためにマスクに貼り付けられる。ペリクルをマスクに貼り付けるとマスクの平坦度が変化することがある。マスクの平坦度が悪くなると、上記で述べたように、焦点ズレ等の問題が発生する可能性がある。また、平坦度が変化すると、マスク上に描かれたパターンの形状が変化し、マスクの重ね合わせ精度に問題がでるという支障もきたす。
ペリクル貼り付けによるマスク平坦度の変化の要因は、幾つかあるが、一番大きな要因は、ペリクルフレームの平坦度であることが分かってきた。
ペリクルは、ペリクルフレームの片側にあるマスク粘着剤を介してマスクに貼り付けられるが、ペリクルをマスクに貼り付ける場合は、通常ペリクルを20〜30kg程度の力でマスクに圧着する。一般にマスクの平坦性は、TIR値で数μm以下、最先端のマスクでは1μm以下であるが、ペリクルフレームの平坦性は、一般的に数10μm程度と、マスクのそれと比較して大きい。そのため、ペリクルがマスクに貼り付けられると、フレームの凹凸でマスクの平坦度が変化することがある。ここでペリクルフレームの平坦度をマスクの平坦度並に高くすれば、マスクの平坦性変化を減少させることが可能になると考えられる。
ペリクルフレームは、一般に、アルミ合金で出来ている。半導体リソグラフィ用のペリクルフレームでは、幅が150mm程度、長さが110〜130mm程度であり、一般に断面が矩形の形状を有するペリクルフレームバーにより構成されている。一般にはアルミ合金の板からペリクルフレーム形状に切り出したり、フレーム形状にアルミ材を押し出し成型することでフレームを製作しているが、幅が2mm程度と細いため変形し易く、平坦なフレームを作るのは容易ではない。そのためペリクルフレームにおいてマスク並の平坦度を達成するのは非常に困難である。
このペリクルフレームの変形に起因するマスクの変形を防止するために、特許文献1は、ペリクルをマスクに貼り付けるためのマスク粘着剤の厚みが0.4mm以上であるペリクル、また、マスク粘着剤の23℃における弾性率が0.5MPa以下であるペリクルを開示している。
特開2008−65258号公報
近年、マスクに要求される平坦性も、パターン面で平坦度2μmの要求から徐々に厳しくなっており、65nmノード以降では好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.25μmという要求が出てきている。
一般に、ペリクルフレームの平坦度は10〜30μm程度であるが、マスクと比較して平坦度が劣るペリクルフレームを用いたペリクルをマスクに貼り付けると、フレームの形状がマスクに転写されマスクの変形を生じてしまう。ペリクルは、貼り付けの時、約200〜400N(20〜40kg重)の大きな力でマスクに押し付けられる。マスク表面の平坦度は、ペリクルフレームに比べて平坦が良いから、ペリクルのマスクへの押し付けが終わると、ペリクルフレームは元の形状に戻ろうとするために、ペリクルフレームがマスクを変形させてしまう。
マスクが変形した場合、マスクの平坦度が悪くなる場合があり、その場合露光装置内でデフォーカスの問題が発生する。一方でマスクが変形して平坦度が良くなる場合もあるが、この場合でもマスク表面に形成されたパターンが歪み、その結果露光したときにウエハに転写されたパターン像が歪んでしまうという問題が発生する。このパターンの歪みはマスクの平坦度が悪くなる場合も発生するので、結局ペリクルを貼り付けることによりマスクが変形する場合は、必ずパターン像が歪んでしまうという問題が発生する。
本発明が解決しようとする課題は、ペリクルをマスクに貼り付けても、ペリクルフレームの変形に起因するマスクの変形を極力低減することができるリソグラフィ用ペリクル及びその取り付け方法、並びにペリクル付マスク及びマスクを提供することである。
本発明の上記課題は、以下の手段(1)、(3)、(4)、(5)又は(6)により解決された。好ましい実施態様(2)と共に列記する。
(1)ペリクル膜と、前記ペリクル膜が一端面に張設され他端面が開放されたペリクルフレームと、前記ペリクルフレームをマスクに粘着させるための粘着層とを有し、前記粘着層が、表面にマスク画像を有するマスクの側面と粘着可能に前記ペリクルフレームの内周面に設けられたことを特徴とするペリクル、
(2)前記粘着層の厚さが前記ペリクルフレームの開放端面側により薄く、前記マスクの側面が、前記マスクの裏面から前記マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜しており、前記粘着層と前記マスクの側面が合致可能な形状である、上記(1)に記載のペリクル、
(3)ペリクル膜と、前記ペリクル膜が一端面に張設され他端面が開放されたペリクルフレームとを有するペリクルの前記ペリクルフレームの内周面をマスクの側面に固定することを特徴とする、ペリクルの取り付け方法、
(4)上記(2)に記載のペリクルと、前記マスクの裏面から前記マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜しているマスクの側面とを粘着させることにより、前記マスクの側面と前記ペリクルフレーム内周面とを粘着することを特徴とする、ペリクルの取り付け方法、
(5)上記(1)又は(2)に記載のペリクルとマスクとを粘着した、ペリクル付マスク、
(6)マスクの側面が、マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜していることを特徴とするマスク。
本発明によれば、ペリクルをマスクの側面に取り付けることにより、ペリクルをマスクに取り付けた際のマスクの変形を極力低減することができる。したがって、本発明によれば、マスクのパターン面の変形を極力低減することができ、よって、マスク上に描かれたパターンをより忠実に再現し、マスクの重ね合わせ精度の向上を図ることができる。
本発明のペリクルの基本的構成を示す概念図である。 本発明のペリクルが取り付けられたマスクが透過型露光装置において保持された状態を示す概略断面図である。 本発明のペリクルが取り付けられたマスクがEUV露光装置において保持された状態を示す概略断面図である。 一般的なペリクルの基本的構成を示す概念図である。 一般的なペリクルが取り付けられたマスクが透過型露光装置において保持された状態を示す概略断面図である。
本発明のペリクルを説明するに先立ち、一般的なペリクルの基本的構成について図4を参照しながら説明する。図4(a)は、一般的なペリクルの基本的構成を示す概略斜視図である。図4(b)は、一般的なペリクルが取り付けられたペリクル付マスクの断面構成の例を示す概略断面図である。
図4に示すように、一般的なペリクル11は、ペリクルフレーム12の上端面に接着層(図示せず)を介してペリクル膜13を張設したもので、この場合、ペリクル11をマスク14に粘着させるための粘着層15がペリクルフレーム12の下端面に形成されてなるものである。また、ペリクルフレーム12に気圧調整用穴(通気口)16が設置されていて、さらにパーティクル除去の目的で除塵用フィルター17が設けられていてもよい。
このような一般的なペリクルの場合、前述したように、マスクに取り付けた際に、ペリクルフレームの変形に起因してマスクが変形してしまうという問題がある。
上記図4に示す一般的なペリクルに対して、本発明のペリクルは、ペリクル膜と、前記ペリクル膜が一端面に張設され他端面が開放されたペリクルフレームと、前記ペリクルフレームをマスクにシールするための粘着層とを有し、前記粘着層が、表面にマスク画像を有するマスクの側面と粘着可能に前記ペリクルフレームの内周面に設けられたことを特徴とする。本発明のペリクルは、かかる構成により、マスクに取り付けた際のマスクの変形を極力低減することを可能とするものである。また、本発明のペリクルの取り付け方法は、ペリクル膜と、前記ペリクル膜が一端面に張設され他端面が開放されたペリクルフレームとを有するペリクルの前記ペリクルフレームの内周面をマスクの側面に固定することを特徴とする。さらに、本発明のペリクルが取り付けられる本発明のマスクは、マスクの側面が、マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜していることを特徴とする。
以下、本発明のペリクルについて詳述する。
まず、本発明のペリクルの基本的構成について図1を参照しながら説明する。図1(a)は、本発明のペリクルの基本的構成を示す概略斜視図である。図1(b)及び図1(c)は、本発明のペリクルが取り付けられたペリクル付マスクの断面構成の例を示す概略断面図である。
図1(a)に示すように、本発明のペリクル1は、ペリクルフレーム2の上端面に、粘着層(図示せず)を介してペリクル膜3を張設したもので、この場合、ペリクル1をマスク4に粘着させるための粘着層5がペリクルフレーム2の内周面に形成されてなるものである。また、ペリクルフレーム2に気圧調整用穴(通気口)6が設置されていて、さらにパーティクル除去の目的で除塵用フィルター7が設けられていてもよい。
これらペリクル構成部材の大きさは通常のペリクル、例えば半導体リソグラフィ用ペリクル、大型液晶表示板製造リソグラフィ工程用ペリクル等と同様であり、また、その材質も公知の材質を使用することができる。
ペリクル膜の種類については特に制限はなく、例えば従来エキシマレーザー用に使用されている、非晶質フッ素ポリマー等が用いられる。非晶質フッ素ポリマーの例としては、サイトップ(旭硝子(株)製商品名)、テフロン(登録商標)AF(デュポン社製商品名)等が挙げられる。これらのポリマーは、そのペリクル膜作製時に必要に応じて溶媒に溶解して使用してもよく、例えばフッ素系溶媒などで適宜溶解することができる。
一方、EUV露光用のペリクルの場合は、シリコン薄膜がペリクル膜として使用される可能性が高い。
ペリクルフレームの母材に関しては、従来使用されているアルミニウム合金材、好ましくは、JIS A7075、JIS A6061、JIS A5052材等が用いられるが、アルミニウム合金材を使用する場合は、ペリクルフレームとしての強度が確保される限り特に制限はない。ペリクルフレーム表面は、ポリマー被膜を設ける前に、サンドブラストや化学研磨によって粗化することが好ましい。本発明において、このフレーム表面の粗化の方法は従来公知の方法を採用できる。アルミニウム合金材に対して、ステンレス、カーボランダム、ガラスビーズ等によって表面をブラスト処理し、さらにNaOH等によって化学研磨を行って表面を粗化する方法が好ましい。
なお、ペリクルフレーム2の形状は、図1(a)に示す矩形状に限定されるものではなく、ペリクルを取り付けるべきマスクの形状などに応じて種々の形状とすることができる。
粘着層5に使用する接着剤は、各種の接着剤を適宜選択でき、アクリル接着剤や、SEBS(ポリ(スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン))系接着剤及びシリコーン系接着剤が好ましく使用でき、アクリル接着剤又はシリコーン系接着剤がより好ましく使用できる。
本発明のペリクルが取り付けられるマスク4は、透過型のマスクであっても、反射型のマスクであってもよいが、後述する露光装置における保持方法の観点から、反射型のマスクであることが好ましい。
透過型のマスクは、例えば露光光として、g線、i線、h線、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光などが用いられる透過型露光装置に使用されるものである。
また、反射型のマスクは、例えば露光光として波長13.5nmの極端紫外(Extreme UltraViolet、EUV)光が用いられるEUV露光装置に使用されるものである。
図1(b)は、本発明のペリクル1をマスク4に取り付けた状態のペリクル付マスクの断面構成の一例を示している。
図1(b)に示すように、ペリクルフレーム2の内周面には、ほぼ均一の厚さで粘着層5が形成されている。この粘着層5が、マスク4のマスク画像が形成された表面(パターン面)にほぼ垂直なマスク4の側面に粘着している。こうして、パターン面をペリクル1側に向け、ペリクルフレーム2内に収まった状態で、マスク4がペリクル1に取り付けられている。
このように、ペリクル1をマスク4の側面に取り付けることにより、ペリクルフレーム2の歪みによりマスク4のパターン面に垂直な方向に加わる応力を低減することができる。このため、ペリクルフレーム2の歪みによるマスク4の変形を極力低減することができる。こうして、ペリクル1の取り付けによるマスク4の平坦度の変化を極力低減することができ、マスク4のパターン面の変形も極力低減することができる。したがって、マスク4上に描かれたパターンをより忠実に再現することができ、マスク4の重ね合わせ精度の向上を図ることができる。
また、図1(c)は、本発明のペリクル1をマスク4に取り付けた状態のペリクル付マスクの断面構成の他の例を示している。図1(c)に示す例は、図1(b)に示す例と比較して、ペリクル1のマスク4への取り付けが容易になるようにしたものである。
図1(c)に示すように、ペリクルフレーム2の内周面には、厚さがペリクルフレーム2の開放端面側により薄い粘着層5が形成されている。他方、マスク4の側面は、マスク4の裏面からパターン面に向かうに従い内側に傾斜している。これら粘着層5とマスク4の側面は合致可能な形状となっており、傾斜したマスク4の側面に、厚さがペリクルフレーム2の開放端面側により薄い粘着層5が合致して粘着している。こうして、パターン面をペリクル1側に向け、ペリクルフレーム2内に収まった状態で、マスク4がペリクル1に取り付けられている。
本発明のペリクル1のマスク4への取り付け方法においては、図1(b)及び図1(c)に示すように、パターン面をペリクル1側に向けたマスク4をペリクルフレーム2内に収める。これとともに、マスク4の側面とペリクルフレーム2の内周面とを粘着層5により粘着固定する。
ここで、図1(c)に示す例では、上述のように、粘着層5の厚さをペリクルフレーム2の開放端面側により薄くするとともに、ペリクル1を取り付けるべきマスク4の側面をマスク4の裏面からパターン面に向かうに従い内側に傾斜させ、粘着層5とマスク4の側面を合致可能な形状としている。このため、粘着層5を容易にマスク4の側面に接触させることができる。こうして、図1(c)に示す例では、粘着層5の厚さがほぼ均一で、マスク4の側面がマスク4のパターン面にほぼ垂直な図1(b)に示す例と比較して、ペリクル1をマスク4に容易に取り付けることができる。
次に、本発明のペリクルを取り付けたペリクル付マスクの露光装置における保持方法について図2、図3及び図5を参照しながら説明する。図2、図3及び図5は、それぞれ露光装置においてマスクが保持された状態を示す概略断面図である。
まず、透過型露光装置におけるマスクの保持方法について説明する。
現状において、半導体プロセス等の露光工程では、一般的に透過型のマスクが用いられている。かかる透過型のマスクが使用される透過型露光装置において、ペリクルが取り付けられた透過型のマスクは、ペリクルにより隔離されたパターン面を下に向けて保持される。露光光としてのレーザー光は、上方からマスクのパターン面とは反対の裏面に入射され、マスク及びペリクル膜を透過して下方に出射する。こうして下方に出射したレーザー光により、マスクパターンが露光対象のウエハなどの基板に投影され、マスクパターンが基板に転写される。
図5は、図4に示す一般的なペリクル11が取り付けられた透過型のマスク14が透過型露光装置において保持された状態を示す概略断面図である。
図4に示す一般的なペリクル11が取り付けられた透過型のマスク14の場合、マスク14のパターン面には、ペリクル11により隔離された隔離領域と、その外側のペリクル11により隔離されていない非隔離領域とが存在している。このため、図5に示すように、透過型露光装置のマスク保持部8により、パターン面を下方に向けたマスク14の非隔離領域における両端部が下方から支持される。こうして、透過型露光装置において、図4に示す一般的なペリクル11が取り付けられた透過型のマスク14は、ペリクル11が取り付けられたパターン面を下方に向けた状態で保持される。
かかる保持状態の透過型のマスク14に対して、露光光としてのレーザー光は、図5に示すように、上方からマスク14のパターン面とは反対の裏面に入射され(入射レーザー光LI)、マスク14及びペリクル膜13を透過して下方に出射する(透過レーザー光LT)。
これに対して、図1に示す本発明のペリクル1が取り付けられた透過型のマスク4の場合、ペリクル1がマスク4の側面に取り付けられ、マスク4全体がペリクルフレーム2内に収まっている。このため、上記図5に示すように透過型露光装置のマスク保持部8により下方から支持することは困難である。そこで、この場合には、他の方法によりマスク4を保持することが好ましい。
図2は、本発明のペリクル1が取り付けられた透過型のマスク4が透過型露光装置において保持された状態を示す概略断面図である。
図2に示すように、本発明のペリクル1が取り付けられた透過型のマスク4の場合、ペリクル1が取り付けられたパターン面を下方に向けた状態で、その両端部が透過型露光装置のマスク保持部8により吊持される。こうして、透過型露光装置において、本発明のペリクル1が取り付けられた透過型のマスク4は、ペリクル1が取り付けられたパターン面を下方に向けた状態で保持される。
かかる保持状態の透過型のマスク4に対して、露光光としてのレーザー光は、図2に示すように、上方からマスク4のパターン面とは反対の裏面に入射され(入射レーザー光LI)、マスク4及びペリクル膜3を透過して下方に出射する(透過レーザー光LT)。
上記透過型露光装置に対して、EUV露光装置では反射型のマスクが使用される。以下、EUV露光装置におけるマスクの保持方法について説明する。
EUV露光装置において、露光光としてのEUV光は、反射型のマスクのパターン面に入射され、マスクにより反射される。こうして反射されたEUV光により、マスクパターンが露光対象のウエハなどの基板に投影され、マスクパターンが基板に転写される。このように、EUV露光装置においては、露光光として照射されたEUV光がマスクの裏面から出射することがない。したがって、本発明のペリクルが取り付けられたマスクも、マスクの裏面を支持して容易に保持することができる。
図3は、図1に示す本発明のペリクル1が取り付けられた反射型のマスク4がEUV露光装置において保持された状態を示す概略断面図である。
図3に示すように、本発明のペリクル1が取り付けられた反射型のマスク4の場合、EUV露光装置のマスク保持部9により、その裏面が下方から支持される。こうして、EUV露光装置において、本発明のペリクル1が取り付けられた反射型のマスク4は、ペリクル1が取り付けられたパターン面を上方に向けた状態で保持される。
かかる保持状態の反射型のマスク4に対して、露光光としてのEUV光は、図3に示すように、反射型のマスクのパターン面に入射され(入射EUV光EUVI)、マスクにより反射される(反射EUV光EUVR)。
このように、本発明のペリクルが取り付けられた反射型のマスクは、EUV露光装置において、その裏面を下方から支持することで容易に保持することができる。
さらに、本発明のペリクルが取り付けられたマスクの場合、図3に示すように、ペリクル1をマスク4に固定する粘着層5が、ペリクルフレーム2の内周面とマスク4の側面との間に存在している。このため、EUV露光装置において、マスクのパターン面で散乱したEUV光が粘着層に照射される可能性が非常に低い。EUV光が粘着層に照射されると粘着層が劣化し、分解ガス等が発生し、ペリクル閉空間が汚染される可能性がある。しかし粘着層がマスクの側面にあると、EUV光は粘着層には照射されず、したがって、粘着層にEUV光が当たり劣化することを防ぐという効果もある。
(実施例1)
アルミニウム合金製のペリクルフレーム(外形サイズ158mm角、高さ10mm、肉厚2mm)を純水で洗浄後、その内周面に信越化学工業(株)製のシリコーン粘着剤(製品名:X−40−3122A)を塗布し、180℃に加熱して粘着剤を硬化させ粘着層を形成した。粘着層の厚みは1mmであった。
その後フレームの片端面に旭硝子(株)製のフッ素樹脂(商品名:サイトップCTX−S)を住友3M(株)製のフッ素溶液(商品名:NOVEC7300)に溶解させたフッ素樹脂溶液(濃度6%)を塗布し、その後130℃でペリクルフレームの加熱を行い溶媒を蒸発させフッ素樹脂を硬化させ接着剤層を形成した。
その後、上記ペリクルフレームよりも大きなアルミニウム枠に取ったペリクル膜に上記ペリクルフレームの接着剤層側を貼り付け、接着剤層を加熱することにより、ペリクル膜を接着剤層に固定し、ペリクルフレームよりも外側の部分を除去し、ペリクルを完成させた。
このペリクルを、平坦度が0.25μmのマスクの側面に貼り付けたところ、マスクの平坦度は0.25μmのままであり、平坦度は変化しなかった。
(実施例2)
アルミニウム合金製のペリクルフレーム(外形サイズ158mm角、高さ10mm、肉厚2mm)を純水で洗浄後、その内周面に信越化学工業(株)製のシリコーン粘着剤(製品名:X−40−3122A)を塗布し、1時間放置した。その後外形サイズの底辺が154mm角、上面が152mm角で、側面が上方に向かって徐々に狭くなっており、厚みが7mmで側面に離型剤が塗布された石英板を上記ペリクルフレームの内側に接触させ、その後180℃に加熱して粘着剤を硬化させた。石英板をペリクルフレームから外して、フレーム内面の上方に行くほど徐々に厚みが厚くなる粘着層を形成した。
その後フレームの片端面に旭硝子(株)製のフッ素樹脂(商品名:サイトップCTX−S)を住友3M(株)製のフッ素溶液(商品名:NOVEC7300)に溶解させたフッ素樹脂溶液(濃度6%)を塗布し、その後130℃でペリクルフレームの加熱を行い溶媒を蒸発させフッ素樹脂を硬化させ接着剤層を形成した。
その後、上記ペリクルフレームよりも大きなアルミニウム枠に取ったペリクル膜に上記ペリクルフレームの接着剤層側を貼り付け、接着剤層を加熱することにより、ペリクル膜を接着剤層に固定し、ペリクルフレームよりも外側の部分を除去し、ペリクルを完成させた。
このペリクルを、マスク画像が設けられた表面に向かうに従い側面が内側に傾斜している平坦度が0.25μmのマスクの側面に貼り付けたところ、マスクの平坦度は0.25μmのままであり、平坦度は変化しなかった。
(比較例)
アルミニウム合金製のペリクルフレーム(外形サイズ149mm×122mm、高さ5.8mm、肉厚2mm)を純水で洗浄後、その片端面に信越化学工業(株)製のシリコーン粘着剤(製品名:X−40−3122A)を塗布し、180℃に加熱して粘着剤を硬化させ粘着層を形成した。
その後、フレームの反対面に旭硝子(株)製のフッ素樹脂(商品名:サイトップCTX−S)を住友3M(株)製のフッ素溶液(商品名:NOVEC7300)に溶解させたフッ素樹脂溶液(濃度6%)を塗布し、その後130℃でペリクルフレームの加熱を行い溶媒を蒸発させフッ素樹脂を硬化させ接着剤層を形成した。
その後、上記ペリクルフレームよりも大きなアルミニウム枠に取ったペリクル膜に上記ペリクルフレームの接着剤層側を貼り付け、接着剤層を加熱することにより、ペリクル膜を接着剤層に固定し、ペリクルフレームよりも外側の部分を除去し、ペリクルを完成させた。
このペリクルを、平坦度が0.25μmのマスクのマスク画像が設けられた表面に貼り付けたところ、マスクの平坦度は0.30μmに変化した。
1、11:ペリクル
2、12:ペリクルフレーム
3、13:ペリクル膜
4、14:マスク
5、15:粘着層
6、16:気圧調整用穴(通気口)
7、17:除塵用フィルター
8:透過型露光装置のマスク保持部
9:EUV露光装置のマスク保持部
I:入射レーザー光
T:透過レーザー光
EUVI:入射EUV光
EUVR:反射EUV光

Claims (6)

  1. ペリクル膜と、前記ペリクル膜が一端面に張設され他端面が開放されたペリクルフレームと、前記ペリクルフレームをマスクに粘着させるための粘着層とを有し、前記粘着層が、表面にマスク画像を有するマスクの側面と粘着可能に前記ペリクルフレームの開放された端面近傍の内周面に設けられたことを特徴とするペリクル。
  2. 前記粘着層の厚さが前記ペリクルフレームの開放端面側により薄く、前記マスクの側面が、前記マスクの裏面から前記マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜しており、前記粘着層と前記マスクの側面が合致可能な形状である、請求項1に記載のペリクル。
  3. ペリクル膜と、前記ペリクル膜が一端面に張設され他端面が開放されたペリクルフレームとを有するペリクルを、前記ペリクルフレームの開放された端面近傍の内周面に設けた粘着層によりマスクの側面に固定することを特徴とする、ペリクルの取り付け方法。
  4. 請求項2に記載のペリクルと、前記マスクの裏面から前記マスク画像が設けられた表面に向かうに従い内側に傾斜しているマスクの側面とを粘着させることにより、前記マスクの側面と前記ペリクルフレーム内周面とを粘着することを特徴とする、ペリクルの取り付け方法。
  5. 請求項1又は2に記載のペリクルとマスクとを粘着した、ペリクル付マスク。
  6. マスクの側面が、マスクの裏面から始まってマスク画像が設けられた表面に向うに従い連続的に内側に傾斜しているマスク。
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