JP2011007935A - ペリクルフレーム及びリソグラフィ用ペリクル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ペリクルフレームの断面が、上辺及び下辺が平行で面積が20mm2以下の四辺形の少なくとも片方の側辺に、曲線を含む窪みを有する形状であることを特徴とするペリクルフレーム、及び、ペリクルフレームの一端面にペリクル膜接着剤を介してペリクル膜が張設され、他端面に露光原版接着剤を設けたリソグラフィ用ペリクル。ここで、好ましくは、前記曲線が、円、楕円、双曲線及び放物線よりなる凸状曲線群から選ばれる。
【選択図】図2
Description
ペリクルは、露光原版の表面に形成されたパターン領域を囲むように設置される。ペリクルは、露光原版上にゴミが付着することを防止するために設けられるものであるから、このパターン領域とペリクル外部とはペリクル外部の塵埃がパターン面に付着しないように隔離されている。
ペリクル貼り付けによるマスク平坦度の変化の要因は、幾つかあるが、一番大きな要因は、ペリクルフレームの平坦度であることが分かってきた。
一般に、ペリクルフレームの平坦度は20〜80μm程度であるが、このように平坦度が劣るフレームを用いたペリクルをマスクに貼り付けると、フレームの形状がマスクに転写されマスクの変形を生じてしまう。ペリクルは、貼り付けの時、約200〜400N(20〜40kg重)の大きな力でマスクに押し付けられる。マスク表面の平坦度は、ペリクルフレームに比べて平らであるから、ペリクルのマスクへの押し付けが終わると、ペリクルフレームは元の形状に戻ろうとするために、ペリクルフレームがマスクを変形させてしまう。
(1)ペリクルフレームバーの断面が、上辺及び下辺が平行で面積が20mm2以下の四辺形の少なくとも片方の側辺に、曲線を含む窪みを有する形状であることを特徴とするペリクルフレーム、
(2)前記曲線が、円、楕円、双曲線及び放物線よりなる凸状曲線から選ばれた、(1)に記載のペリクルフレーム、
(3)前記窪みが凸状曲線のみよりなる、(1)又は(2)に記載のペリクルフレーム、
(4)前記窪みが少なくとも一本の直線を含む、(1)又は(2)に記載のペリクルフレーム、
(5)前記窪みが少なくとも一本の前記上辺に平行な直線を含む、(4)に記載のペリクルフレーム、
(6)前記ペリクルフレームバーの断面積が6mm2以下である、(1)〜(5)いずれか1つに記載のペリクルフレーム、
(7)ヤング率が1〜80GPaである材料で構成された、(1)〜(6)いずれか1つに記載のペリクルフレーム、
(8)アルミニウム合金で構成された、(1)〜(7)いずれか1つに記載のペリクルフレーム、
(9)ペリクルフレームの平坦度が20μm以下である、(1)〜(8)いずれか1つに記載のペリクルフレーム、
(10)(1)〜(9)いずれか1つに記載のペリクルフレームの一端面にペリクル膜接着剤を介してペリクル膜が張設され、他端面に露光原版接着剤を設けたリソグラフィ用ペリクル。
以下に図面も参照しながら本発明を説明する。
図1に断面図として示したように、本発明のリソグラフィ用のペリクル10は、ペリクルフレーム3の上端面にペリクル膜貼り付け用接着層2を介してペリクル膜1を張設したもので、この場合、リソグラフィ用のペリクル10を露光原版(マスク又はレチクル)5に粘着させるための接着用粘着層4が通常ペリクルフレーム3の下端面に形成され、該接着用粘着層4の下端面にライナー(不図示)を剥離可能に貼着してなるものである。また、ペリクルフレーム3には不図示の気圧調整用穴(通気口)が設置されていてもよく、さらにパーティクル除去の目的でこの通気口に除塵用フィルター(不図示)が設けられていてもよい。
ペリクルフレームには、ジグ穴を設けてもよい。ジグ穴の深さ方向の形状は、特定されず、貫通さえしなければ、円柱の先にテーパーを有する凹みであってもよい。
前記気圧調整用穴及びジグ穴を設ける箇所は、その断面形状が凸状曲線を含む窪みを設ける前の四辺形であることが好ましく、矩形であることがより好ましい。
また、別方法として、上述のペリクルフレームは、所定の断面形状を有する金型中にエンジニアリングプラスチックを射出成形することにより製造することも可能である。
凸状曲線を含む窪みは、凸状曲線のみよりなることが好ましい。凸状曲線のみよりなる形状としては、半円、部分円、半楕円、部分楕円、部分双曲線及び部分放物線が例示できる。楕円、双曲線及び放物線の円錐曲線の部分形状においては、その頂点近傍を含む部分曲線であることが好ましい。窪みに含まれる凸状曲線は、側辺から内側に向かって凸状でも凹状でもよい。
本発明において、窪みは、前記凸状曲線及び少なくとも一本の直線を含むこともまた好ましい。この窪み形状としては、前記凸状曲線とこれと交差する直線を弦として囲まれた弓形形状、前記凸状曲線と少なくとも一本の直線を含む形状が例示できる。後者の例には、四半円、四半楕円が含まれる。前記窪みが少なくとも一本の前記上辺に平行な直線を含むことも好ましい。二本の前記上辺に平行な直線と側辺側に凸状の窪みであってもよい。
基本四辺形の形状は、上辺及び下辺が平行である。この四辺形としては、正方形を含む矩形、台形、平行四辺形が含まれ、矩形が好ましい。台形としては上辺が下辺よりも短くても長くてもよい。
本発明のペリクルフレームは、上辺部及び下辺部の両側において上下方向に所定の厚さを有することが好ましい。
(a)の形状は本発明に係るペリクルフレームの断面一形状であり、上辺及び下辺が平行で面積が20mm2以下の基本四辺形である、縦長の矩形の両側辺にそれらの略中央において部分円状の窪みを有し、中狭の中間部16により上辺部13及び下辺部15が接続された形状である。
(b)の形状は、基本四辺形である矩形の側辺の片方にのみに半円状の窪みを有する。
(c)の形状は、矩形の片方の側辺に四半円の窪みを有し、直線部分は上辺と平行である。
(d)の形状は、矩形の両方の側辺に部分円の窪みを有し、直線部分はいずれも上辺と平行である。
(e)の形状は、矩形の片方の側辺から2本の直線とやや凹状の曲線からなる窪みを有する。
上記の断面形状例の中では、変形応力が小さい点から、(a)、及び(d)が好ましく、(d)がより好ましい。
なお、基本四辺形を平行四辺形又は台形として、その両側辺又は片方の側辺から、凸状曲線を含む窪みを有する形状に変形することもできる。
中間部は、上辺部と下辺部の中間部において幅の狭い領域を有するが、上記(c)に例示するように、上辺部又は下辺部寄りにおいて中間部が幅広であってもよい。
また、上辺部及び/又は下辺部の厚さは、少なくとも0.4mm以上であることが好ましく、0.4〜0.8mmとすることがより好ましい。
本発明のペリクルフレームの断面積が6mm2以下であることが好ましく、1〜6mm2であることがより好ましい。本発明のようにペリクルフレームの中間部を幅狭くすることにより、この小さな断面積が達成しやすくなる。このように断面積を小さくすると、一定材質では変形応力を小さくして、その結果、マスクの変形も小さくすることができる。
ペリクルフレームを構成する上記材料としては、アルミニウム、マグネシウム合金、合成樹脂等が例示でき、アルミニウムが好ましく使用できる。
アルミニウムとしては、従来使用されているアルミニウム合金材が使用でき、好ましくは、JIS A7075、JIS A6061、JIS A5052材等が用いられるが、上述した断面形状を有し、ペリクルフレームとしての強度が確保される限り特に制限はない。ペリクルフレーム表面は、ポリマー被膜を設ける前に、サンドブラストや化学研磨によって粗化することが好ましい。本発明において、このフレーム表面の粗化の方法については、従来公知の方法を採用できる。アルミニウム合金材に対して、ステンレス、カーボランダム、ガラスビーズ等によって表面をブラスト処理し、さらにNaOH等によって化学研磨を行い、表面を粗化する方法が好ましい。
このような低いヤング率の材料を使用すると、断面積が6mm2を超え12mm2の断面積でも、変形応力を小さくして、マスクの変形も小さくすることができる。
本発明のペリクルフレームバーの断面積は、12mm2以下であることが好ましい。
ペリクルフレームの断面積を1〜6mm2にした場合、低いヤング率の材料を使用する程、相乗効果によりマスクの変形も小さくすることができる。
ペリクルフレーム表面の黒色アルマイト被膜の形成方法としては、一般的にNaOHなどのアルカリ処理浴で数十秒処理した後、希硫酸水溶液中で陽極酸化を行い、次いで黒色染色、封孔処理することで、表面に黒色の酸化被膜を設けることができる。
電着塗装については、熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂のいずれも使用できる。また、それぞれに対してアニオン電着塗装、カチオン電着塗装のいずれをも使用することができる。本発明では耐紫外線性能も求められるため、熱硬化型樹脂のアニオン電着塗装が、コーティングの安定性、外観、強度の点から好ましい。
(実施例1)
サイトップCTX−S(旭硝子(株)製商品名)をパーフルオロトリブチルアミンに溶解させた5%溶液をシリコンウエハ上に滴下し、スピンコート法により830rpmでウエハを回転させ、ウエハ上に広げた。その後、室温で30分間乾燥後、さらに180℃で乾燥し、均一な膜とした。これに接着剤を塗布したアルミニウム枠を貼り付け、膜だけを剥離しペリクル膜とした。上記のサイトップCTX−S膜を必要枚数作製して、実施例1〜8及び比較例で使用した。
このフレームの平坦度をマスク粘着剤を塗布する側から測定したところ、20μmであった。このフレームの片端面にマスク粘着剤を塗布し、もう一方の片端面に膜接着剤を塗布した。その後、先に剥離したペリクル膜をアルミニウム合金製フレームの膜接着剤側に貼り付け、フレームの外周の膜を切断し、ペリクルを完成させた。
なお、マスクの平坦度は、Tropel社のUltraFlatを使用して測定した。またフレームの平坦度はXY軸プログラムステージを有するレーザー変位計で測定した。
また、「マスクの最大変形レンジ」とは、マスクの形状を2回測定し、マスク各点の高さの差のうち、+/−側それぞれの最大変化量の絶対値の和と定義される。なおペリクル貼り付けによりマスクが変形した場合には、平坦度が変化していない場合でも最大変形レンジは大きな値となることがあるので、マスクの変形/歪みの指標として最大変形レンジは平坦度よりも有効である。
アルミニウム合金製で、外寸が149mm×115mm×3.0mm、上辺及び下辺の幅が2mm(断面形状は図3(a)に示し、断面積3.79mm2)のペリクルフレームを製作した。なお、断面形状は、高さ3.0mm、幅2.0mmの矩形の両側面から、半径1.042mmの円弧を高さ2.0mm、奥行き0.75mmの寸法でその中央部で取り除いた形状とした。上辺部及び下辺部の厚さは、それらの端部で0.5mmであり、中央帯部の幅も0.5mmであった。このフレームの平坦度をマスク粘着剤を塗布する側から測定したところ、10μmであった。このフレームの片端面にマスク粘着剤を塗布し、もう一方の片端面に膜接着剤を塗布した。その後、先に剥離したペリクル膜をアルミニウム合金製フレームの膜接着剤側に貼り付け、フレームの外周の膜を切断しペリクルを完成させた。
マグネシウム合金製で、外寸が149mm×122mm×3.5mm、上辺及び下辺の幅が2mm(断面形状が図3(a)であり、断面積が4.33mm2)の断面形状が実施例1と同じペリクルフレームを製作した。このフレームの平坦度をマスク粘着剤を塗布する側から測定したところ、20μmであった。このフレームの片端面にマスク粘着剤を塗布し、もう一方の片端面に膜接着剤を塗布した。その後、先に剥離したペリクル膜をマグネシウム合金製フレームの膜接着剤側に貼り付け、フレームの外周の膜を切断し、ペリクルを完成させた。
ポリカーボネート樹脂製で、外寸が149mm×122mm×3.5mm、上辺及び下辺の幅が2mm(断面形状が図3(a)であり、断面積4.33mm2)の断面形状が実施例1と同じペリクルフレームを製作した。このフレームの平坦度をマスク粘着剤を塗布する側から測定したところ、20μmであった。このフレームの片端面にマスク粘着剤を塗布し、もう一方の片端面に膜接着剤を塗布した。その後、先に剥離したペリクル膜をポリカーボネート樹脂製フレームの膜接着剤側に貼り付け、フレームの外周の膜を切断し、ペリクルを完成させた。
アルミニウム合金製で、外寸が149mm×122mm×3.5mm、上辺及び下辺の幅が2mm(断面形状が図3(b)であり、断面積4.55mm2)のペリクルフレームを製作した。なお、断面形状は、高さ3.5mm、幅2.0mmの矩形の片側面から、半径1.25mmの円弧を高さ2.5mm、奥行き1.25mmの寸法でその中央部で取り除いた形状とした。上辺部及び下辺部の厚さは、それらの片端部で0.5mmであり、中央帯部の幅は0.75mmであった。このフレームの平坦度をマスク粘着剤を塗布する側から測定したところ、20μmであった。このフレームの片端面にマスク粘着剤を塗布し、もう一方の片端面に膜接着剤を塗布した。その後、先に剥離したペリクル膜をアルミニウム合金製フレームの膜接着剤側に貼り付け、フレームの外周の膜を切断しペリクルを完成させた。
アルミニウム合金製で、外寸が149mm×122mm×3.5mm、上辺及び下辺の幅が2mm(断面形状が図3(c)であり、断面積5.23mm2)のペリクルフレームを製作した。なお、断面形状は、高さ3.5mm、幅2.0mmの矩形の片側面から、半径1.5mmの1/4円弧を高さ1.5mm、奥行き1.5mmの寸法で取り除いた形状とした。上辺部の厚さは片端部で0.5mmであった。このフレームの平坦度を、マスク粘着剤を塗布する側から測定したところ、20μmであった。このフレームの片端面にマスク粘着剤を塗布し、もう一方の片端面に膜接着剤を塗布した。その後、先に剥離したペリクル膜をアルミニウム合金製フレームの膜接着剤側に貼り付け、フレームの外周の膜を切断しペリクルを完成させた。
アルミニウム合金製で、外寸が149mm×122mm×3.5mm、上辺及び下辺の幅が2mm(断面形状が図3(d)であり、断面積3.92mm2)のペリクルフレームを製作した。なお、断面形状は、高さ3.5mm、幅2.0mmの矩形の片側面から、半径3.92mmの片円弧を高さ2.5mm、奥行き0.9mmの寸法で取り除き、相対する側面からは同様の3.92mmの片円弧を同様の寸法で上下逆になるように取り除いた形状とした。上辺部及び下辺部の厚さは、それらの端部で0.5mmであった。このフレームの平坦度をマスク粘着剤を塗布する側から測定したところ、20μmであった。このフレームの片端面にマスク粘着剤を塗布し、もう一方の片端面に膜接着剤を塗布した。その後、先に剥離したペリクル膜をアルミニウム合金製フレームの膜接着剤側に貼り付け、フレームの外周の膜を切断しペリクルを完成させた。
ポリカーボネート樹脂製で、外寸が149mm×122mm×3.5mm、上辺及び下辺の幅が2mm(断面形状が図3(d)であり、断面積3.92mm2)の断面形状が実施例7と同じペリクルフレームを製作した。このフレームの平坦度をマスク粘着剤を塗布する側から測定したところ、20μmであった。このフレームの片端面にマスク粘着剤を塗布し、もう一方の片端面に膜接着剤を塗布した。その後、先に剥離したペリクル膜をポリカーボネート樹脂製フレームの膜接着剤側に貼り付け、フレームの外周の膜を切断しペリクルを完成させた。
アルミニウム合金製で、外寸が149mm×122mm×3.5mm、幅が2mm(断面形状は長方形であり、断面積7.00mm2)のペリクルフレームを製作した。このフレームの平坦度をマスク粘着剤を塗布する側から測定したところ、20μmであった。このフレームの片端面にマスク粘着剤を塗布し、もう一方の片端面に膜接着剤を塗布した。その後、先に剥離したペリクル膜をアルミニウム合金製フレームの膜接着剤側に貼り付け、フレームの外周の膜を切断し、ペリクルを完成させた。
2:接着層
3:ペリクルフレーム
4:接着用粘着層
5:露光原版
10:ペリクル
12:上辺
13:上辺部
14:下辺
15:下辺部
16:中間部
17:側辺
18:曲線形状を含む窪み
19:側辺
Claims (10)
- ペリクルフレームバーの断面が、上辺及び下辺が平行で面積が20mm2以下の四辺形の少なくとも片方の側辺に、曲線を含む窪みを有する形状であることを特徴とするペリクルフレーム。
- 前記曲線が、円、楕円、双曲線及び放物線よりなる凸状曲線から選ばれた、請求項1に記載のペリクルフレーム。
- 前記窪みが凸状曲線のみよりなる、請求項1又は2に記載のペリクルフレーム。
- 前記窪みが少なくとも一本の直線を含む、請求項1又は2に記載のペリクルフレーム。
- 前記窪みが少なくとも一本の前記上辺に平行な直線を含む、請求項4に記載のペリクルフレーム。
- 前記ペリクルフレームバーの断面積が6mm2以下である、請求項1〜5いずれか1つに記載のペリクルフレーム。
- ヤング率が1〜80GPaである材料で構成された、請求項1〜6いずれか1つに記載のペリクルフレーム。
- アルミニウム合金で構成された、請求項1〜7いずれか1つに記載のペリクルフレーム。
- ペリクルフレームの平坦度が20μm以下である、請求項1〜8いずれか1つに記載のペリクルフレーム。
- 請求項1〜9いずれか1つに記載のペリクルフレームの一端面にペリクル膜接着剤を介してペリクル膜が張設され、他端面に露光原版接着剤を設けたリソグラフィ用ペリクル。
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