JP2004235461A - 露光システム - Google Patents
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Abstract
【課題】静的な安定を維持しつつ、装置の大型化及び高価格化を招くことなく露光ユニットと処理ユニットとを容易に位置決めする。
【解決手段】マスクに形成されたパターンを基板上に露光する露光ユニットEUと、露光ユニットEUと第1方向に離間して配置された処理ユニットIUとを有する。露光ユニットEUと処理ユニットIUとを少なくとも第1方向に関して拘束するとともに、第1方向と異なる少なくとも1方向に自由度を持って接続する接続装置63を有する。
【選択図】 図1
【解決手段】マスクに形成されたパターンを基板上に露光する露光ユニットEUと、露光ユニットEUと第1方向に離間して配置された処理ユニットIUとを有する。露光ユニットEUと処理ユニットIUとを少なくとも第1方向に関して拘束するとともに、第1方向と異なる少なくとも1方向に自由度を持って接続する接続装置63を有する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光ユニット及び露光に関する処理を行う処理ユニットを有する露光システムに関し、例えば、露光ユニットに露光光を導く照明光学系や露光ユニットに基板を搬送する基板搬送部を含む処理ユニットを有する場合に用いて好適な露光システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体デバイスの製造工程の1つであるリソグラフィ工程においては、マスク又はレチクル(以下、レチクルと称する)に形成された回路パターンをレジスト(感光剤)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板上に転写する種々の露光装置が用いられている。例えば、半導体デバイス用の露光装置としては、近年における集積回路の高集積化に伴うパターンの最小線幅(デバイスルール)の微細化に応じて、レチクルのパターンを投影光学系を用いてウエハ上に縮小転写する縮小投影露光装置が主として用いられている。
【0003】
この縮小投影露光装置としては、レチクルのパターンをウエハ上の複数のショット領域(露光領域)に順次転写するステップ・アンド・リピート方式の静止露光型の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパを改良したもので、特開平8−166043号公報等に開示されるようなレチクルとウエハとを一次元方向に同期移動してレチクルパターンをウエハ上の各ショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)が知られている。
【0004】
これらの縮小投影露光装置においては、床面に先ず装置の基準になるベースプレートが設置され、その上に床振動を遮断するための防振台を介してレチクルステージ、ウエハステージおよび投影光学系(投影レンズ)等を支持する本体コラムが載置されたものが露光ユニットとして多く用いられている。最近のステージ装置では、前記防振台として、内圧が制御可能なエアマウント、ボイスコイルモータ等のアクチュエータを備え、本体コラム(メインフレーム)に取り付けられた、例えば6個の加速度計の計測値に基づいて前記ボイスコイルモータ等を制御することにより本体コラムの振動を制御するアクティブ防振台が採用されている。そして、露光ユニットにおいては、アクティブ除振台によって床面からの振動が遮断され、また露光装置本体内部に設置されたウエハステージなどの重量物が加減速移動する際に発生する振動も抑制される。
【0005】
また、走査型の露光装置においては、露光に際して照明用光学系内に配設されるレチクルブラインドを駆動する。このときに発生する振動が、数nm程度の精度を要求される投影露光装置では無視できないものとなっている。すなわち、レチクルブラインドは、レチクルのパターン部分以外の範囲に照明光が照射されて不必要な光が感光基板に当たるのを防止するためのものであり、繰り返し行われるスキャン露光動作時にはレチクルステージ及びウエハステージと同期してスキャン動作を繰り返すが、このスキャン動作時に、ステッピングモータとボールねじなどを用いたレチクルブラインドの開閉駆動機構から発生する振動が投影露光の精度に影響を及ぼす場合があった。
【0006】
そこで、このような不都合を回避する手段として、例えば特許文献1には、照明光学系を可動ブレード(レチクルブラインド)を含む第1部分光学系と可動ブレードを含まない第2部分光学系とに分離し、第2部分光学系を露光本体部(露光ユニット)を構成する本体コラム上に設置し、第1部分光学系を露光本体部と分離してベースプレート上に設置することで、可動ブレードの駆動に起因する振動が発生した場合でも露光本体部に及ぼす悪影響を抑制する技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、照明光学系の少なくとも一部とは別体に本体部(露光ユニット)を設けるとともに、本体部とは別体に設けられた照明光学系の少なくとも一部と本体部との相対位置ずれ量を所定値内に収めるように位置決めする駆動装置を設けることで、照明光学系と本体部との相対位置関係を所定範囲内に維持する技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−35772号公報
【特許文献2】
国際公開WO99/25011号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。照明光学系と露光ユニットとの間の位置ずれ量を考慮すると、照明光学系をベースプレート上に設置することが望ましいが、特許文献1の技術では照明光学系の一部が露光ユニットに片持ちで支持されるため、ベースプレートにおける振動特性が著しく低下してしまう。通常、ベースプレートは、静的な安定性の観点から設置される床部に対して三点で支持されることが望ましく、またベースプレートの剛性が装置性能に現れにくくするためには、床部に対する支持部はアクティブ除振台の直下に配置することが望ましいと考えられるが、上記の片持ち状態を脱却するために、照明光学系の直下にも床部に対する支持部を設けると、ベースプレートが四点以上で床部に支持されることになり、静的な安定性を維持できなくなる。
【0010】
一方、特許文献2の技術では、照明光学系と露光ユニットとがベースプレートも含めて分離されており、また、照明光学系も露光ユニットに片持ちで支持されていないので、上記特許文献1の技術で懸念される問題は生じないが、照明光学系と露光ユニットとの間の位置ずれが生じやすくなる。さらに、特許文献2の技術では、生じた位置ずれを所定値内に収めることは可能だが、露光ユニットと照明光学系とを6自由度で相対移動させているので、駆動装置の構成が複雑になり装置の大型化及び高価格化を招いてしまう。特に、露光装置の稼動初期状態等で駆動装置が十分に機能しない場合には、露光ユニットと照明光学系とを位置決めすることが困難である。鉛直方向の相対位置ずれに関しては、レベリングフット等を用いて手動で位置決めすることが可能であるが、水平方向(露光ユニットと照明光学系との列設方向)に関しては手動で位置調整することは極めて困難である。
【0011】
このような問題は、露光ユニットと照明光学系との間のみではなく、露光処理に関して所定の処理を行う各種処理ユニットと露光ユニットとの間で発生する可能性がある。
【0012】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、静的な安定を維持しつつ、装置の大型化及び高価格化を招くことなく露光ユニットと処理ユニットとを容易に位置決めできる露光システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図6に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の露光システムは、マスク(R)に形成されたパターンを基板(W)上に露光する露光ユニット(EU)と、露光ユニット(EU)と第1方向(Y方向)に離間して配置された処理ユニット(IU)とを有する露光システム(ES)であって、露光ユニット(EU)と処理ユニット(IU)とを少なくとも第1方向(Y方向)に関して拘束するとともに、第1方向(Y方向)と異なる少なくとも1方向(θX)に自由度を持って接続する接続装置(63、63’)を有することを特徴とするものである。
【0014】
従って、本発明の露光システムでは、露光ユニット(EU)と処理ユニット(IU)とが離間しているので、露光ユニット(EU)を床部に対して静的に安定した三点で支持することができる。また、本発明では、露光ユニット(EU)と処理ユニット(IU)とを列設方向である第1方向(Y方向)に関しては拘束して接続しているので、これらの間に位置ずれが生じることを防止できるとともに、第1方向とは異なる例えばθX(X軸と平行な軸周り方向)に関しては自由度を持って接続するので、手動及び自動のいずれの場合でも容易に位置決めできる。このように本発明では、接続装置(63、63’)により露光ユニット(EU)と処理ユニット(IU)とを接続するだけなので、装置の大型化及び高価格化を防止することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の露光システムの第1の実施形態を、図1ないし図7を参照して説明する。
ここでは、露光システムを構成する露光ユニットとして、レチクルとウエハとを一次元方向(ここではY軸方向とする)に同期移動しつつ、レチクルに形成された半導体デバイスの回路パターンをウエハ上に転写する、ステップ・アンド・スキャン方式、またはステップ・アンド・スティッチ方式からなる走査露光方式の露光ユニットを使用する場合の例を用いて説明する。
【0016】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る露光システムの平面図であり、図1(b)は正面図である。この図に示す露光システムESは、後述するレチクルステージ、ウエハステージおよび投影光学系を有し、ウエハ等の基板にパターンを露光する露光ユニットEUと、この露光ユニットEUに対して第1方向であるY方向(より詳細には+Y方向)に離間して設置され、露光ユニットEUに露光光を導く照明光学系を含む照明ユニット(処理ユニット)IUとを主体に構成されている。
【0017】
露光ユニットEUは、床部FD上に三ヶ所配設された設置部61に三点で支持される。照明ユニットIUは、床部FD上に配設された設置部62に支持されるとともに、下端部(−Z方向端部)近傍でX方向に間隔をあけて配置された接続部(接続装置)63によって露光ユニットEUと接続されている。設置部62は、例えばハーモニックドライブやピエゾ素子等の駆動装置で構成されており(適宜、駆動装置62と称する)、駆動制御装置(制御装置)64の制御の下で、照明ユニットIUをZ方向に駆動する構成となっている。
【0018】
接続部63は、図2(a)に示すように、X方向に延在する回転軸65を有しY方向に延出する連結部66において照明ユニットIUと連結される回転部63aと、回転軸65周りに回転自在に嵌合するとともに、露光ユニットEUに連結された連結部63bとから構成されている。これら回転部63aと連結部63bとは、回転部63a周りに回転可能な対偶(回転継手)をなしており、露光ユニットEUと照明ユニットIUとをX軸と平行な軸周りの方向(適宜θX方向と称する)に自由度を持って接続するとともに、この方向以外の方向については高い剛性を持って拘束するように接続している。
【0019】
さらに、接続部63のY方向の剛性は、露光ユニットEU及び照明ユニットIUの固有振動数に基づいて設定されている。より詳細には、本実施の形態では、例えば露光ユニットEUの固有振動数は50〜80Hz程度であり、また照明ユニットIUの固有振動数は20〜30Hz程度であるため、接続部63の固有振動数(剛性)をこれらと異ならせることで、例えばこれらの間に設定することで、いずれかに振動が生じた場合でも互いに振動の伝達を防止することが可能になる。
【0020】
なお、接続部63と駆動装置62とは、XY平面内で三角形を作成するように配置され、かつ、照明ユニットIUのXY平面内での重心がこの三角形の範囲に位置するように配置されている。これにより、照明ユニットIUを安定した状態で配置することができる。また、駆動装置62は、駆動装置62の駆動量に対する照明光(露光光)の変位量を小さくし、露光ユニットEUに対する照明光の微調整を可能とするため、各接続部63から離間した位置に配置される。
【0021】
図1に戻り、照明ユニットIUには、接続部63のそれぞれ上方に位置して、露光ユニットEUとの間の相対位置(距離)を検出する位置検出センサ(位置検出装置)67が設けられており、位置検出センサ67の検出結果は上記駆動制御装置64に出力される。駆動制御装置64は、位置検出センサ67の検出結果に基づいて駆動装置62の駆動を制御することで、露光ユニットEUに対する照明ユニットIUの相対位置を調整する。
【0022】
露光光の光源90としては、ここでは波長192〜194nmの間で酸素の吸収帯を避けるように狭帯化されたパルス紫外光を出力するArFエキシマレーザ光源が用いられている。光源90には、不図示の光源制御装置が併設されており、この光源制御装置では、射出されるパルス紫外光の発振中心波長及びスペクトル半値幅の制御、パルス発振のトリガ制御、レーザチャンバ内のガスの制御等を行うようになっている。なお、光源90として、波長248nmのパルス紫外光を出力するKrFエキシマレーザ光源あるいは波長157nmのパルス紫外光を出力するF2レーザ光源等用いても良い。また、光源90をクリーンルームよりクリーン度が低い別の部屋(サービスルーム)、あるいはクリーンルームの床下に設けられるユーティリティスペースに設置しても構わない。また、光源90は、ビームマッチングユニットBMUの一端(入射端)に接続されており、このビームマッチングユニットの他端(出射端)は、照明ユニット(照明光学系)IUに接続されている。ビームマッチングユニットBMU内には、リレー光学系や複数の可動反射鏡等(いずれも不図示)が設けられており、これらの可動反射鏡等を用いて光源から入射する狭帯化されたパルス紫外光(ArFエキシマレーザ光)の光路を照明光学系との間で位置的にマッチングさせている。
【0023】
照明ユニットIUに含まれる照明光学系は、所定の位置関係で配置されたミラー91、可変減光器92、ビーム整形光学系93、オプティカルインテグレータ94、集光光学系、振動ミラー、照明系開口絞り板95、ビームスプリッタ、リレーレンズ系、及びレチクルブラインド機構を構成する可動視野絞りとしての可動レチクルブラインド68(図5参照)等を備えている。光源90からのパルス紫外光がビームマッチングユニット及びリレー光学系を介して照明光学系内に入射すると、このパルス紫外光は、可変減光器のNDフィルタにより所定のピーク強度に調整された後、ビーム整形光学系により、オプティカルインテグレータに効率よく入射するようにその断面形状が整形される。次いで、このパルス紫外光がオプティカルインテグレータに入射すると、射出端側に面光源、すなわち多数の光源像(点光源)から成る2次光源が形成される。これらの多数の点光源の各々から発散するパルス紫外光は、照明系開口絞り板上のいずれかの開口絞りを通過した後、露光光として可動レチクルブラインド68に到達する。この可動レチクルブラインド68は、不要な部分の露光を防止するため、走査露光の開始時及び終了時に可動ブレードにより後述するように固定レチクルブラインドによって規定されるレチクルR上の照明領域を露光領域として更に制限するために用いられるものである。
【0024】
次に、露光ユニット(露光装置)EUについて説明する。
露光ユニットEUは、照明ユニットIUから出射されたパルス紫外光である露光用照明光(以下、「照明光」と略述する)ILによりレチクルR上の矩形状(あるいは円弧状)の照明領域を均一な照度で照明する本体照明系IBと、レチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、レチクルRから射出される照明光をウエハ(基板)W上に投射(投影)する投影光学系PL、ウエハWを保持する基板ステージとしてのウエハステージWST、これら投影光学系PL、レチクルステージRST及びウエハステージWSTが搭載されたボディとしての本体コラム14、及び本体コラム14の振動を抑制あるいは除去する防振システム等を備えている。
【0025】
本体照明系IBは、所定の位置関係で配置された固定レチクルブラインド96、レンズ系97、ミラー系98等を備えている。固定レチクルブラインド96は、照明ユニットIUからの入射端近傍でありレチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上の照明領域を規定する所定形状の開口部が形成されている。この固定レチクルブラインド96の開口部は、投影光学系PLの円形視野内の中央で走査露光時のレチクルRの移動方向(Y軸方向)と直交したX軸方向に直線的に伸びたスリット状又は矩形状に形成される。可動レチクルブラインド68の開口部を通過した照明光ILは、固定レチクルブラインド96の開口部を一様な強度分布で照明する。固定レチクルブラインド96の開口部を通った照明光ILは、レンズ系97、ミラー系98等を経て、レチクルステージRST(後述)上に保持されたレチクルR上の所定の照明領域(X軸方向に直線的に伸びたスリット状又は矩形状の照明領域)を均一な照度分布で照明する。
【0026】
露光ユニットEUについて、図3を用いて更に説明する。図3は、露光ユニットEUの全体構成の概略図であり、露光ユニットEUを装置正面(Y軸方向)から見た図である。本体コラム14は、床部FDの上方に上述した設置部61(図3では2つのみ図示)に支持されて、水平に載置された装置の基準となる矩形板状のベースプレートBPと、このベースプレートBP上面で設置部61と対応する位置(XY平面内で略同一座標)にそれぞれ配置された防振ユニット16A〜16C(但し、図3においては紙面奥側の防振ユニット16Cは図示せず)及びこれらの防振ユニット16A〜16Cを介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤18と、ベースプレートBP上に防振ユニット99A〜99Cを介してほぼ水平に(但し、図3においては紙面奥側の防振ユニット99Cは図示せず)支持されたウエハステージ定盤22と、鏡筒定盤18に装着されたファーストインバと呼ばれる投影光学系PLの支持部材24(以下、「ファーストインバ24」と呼ぶ)と、鏡筒定盤18上に立設されたセカンドインバと呼ばれるレチクルステージ定盤25の支持部材26(以下、「セカンドインバ26」と呼ぶ)とを備えている。なお、ウエハステージ定盤22は、鋳鉄にセラミックスが溶射等によりコーティングされた構成になっている。
【0027】
防振ユニット16A〜16Cは、ベースプレートBPの上部に直列に配置されたアクチュエータ部28と内圧が調整可能なエアマウント30とをそれぞれ含んで構成されている。防振ユニット16A〜16Cの各アクチュエータ部28には、ボイスコイルモータがそれぞれ少なくとも1つ含まれている。この場合、防振ユニット16A〜16Cの全体としてアクチュエータ部に、鉛直方向(すなわち図3のZ方向)駆動用のボイスコイルモータが少なくとも3個、X方向駆動用のボイスコイルモータ及びY方向駆動用のボイスコイルモータが合計で少なくとも3個(但し、X方向駆動用のボイスコイルモータ及びY方向駆動用のボイスコイルモータが各1つ含まれる)含まれている。なお、防振ユニット99A〜99Cも、防振ユニット16A〜16Cと同様に、アクチュエータ部と内圧が調整可能なエアマウントとをそれぞれ含んで構成されている。
【0028】
鏡筒定盤18には、図3では図示が省略されているが、該鏡筒定盤18を含む本体コラム14のZ軸方向の振動を検出する振動センサ(例えば半導体加速度センサ等の加速度計)が少なくとも3つ、X方向、Y方向の振動を検出する振動センサ(例えば半導体加速度センサ等の加速度計)が合計で少なくとも3つ(但し、X方向振動検出用センサ及びY方向振動検出用センサを各1つ含む)取り付けられている。そして、これらの少なくとも6つの振動センサ(以下、便宜上「振動センサ群32」と呼ぶ)の出力が後述する主制御装置50(図5参照)に供給され、該主制御装置50によって本体コラム14の6自由度方向の運動が求められ、防振ユニット16A〜16Cが制御されるようになっている。すなわち、本実施形態では、振動センサ群と防振ユニット16A〜16Cと、主制御装置50とによって本体コラム14の振動を制振するためのアクテイブ防振システムが構成されている。
【0029】
セカンドインバ26は、側面視略台形状で底面及び上面が八角形の多面体の全体形状を有し、各側面に台形状の開口が形成され、底面が完全に開口したフレームである。このセカンドインバ26の上面はレチクルステージ定盤25を支持する支持プレートとされており、該支持プレートには、照明光ILの通路を成す矩形の開口部(不図示)が形成され、この開口部を含む領域の上面にレチクルステージ定盤25が載置されている。レチクルステージ定盤25にも開口部に対向して所定の開口が形成されている。
【0030】
レチクルステージRSTは、上記レチクルステージ定盤25上に配置されている。レチクルステージRSTは、レチクルRをレチクルステージ定盤25上でY軸方向に大きなストロークで直線駆動するとともに、X軸方向及びθZ方向(Z軸回りの回転方向)に関しても微小駆動が可能な構成となっている。
【0031】
レチクルステージRSTは、レチクルステージ定盤25上にY軸方向に沿って設けられた不図示のYガイドに沿って移動するマスク粗動ステージとしてのレチクル粗動ステージ11と、このレチクル粗動ステージ11上を一対のXボイスコイルモータ36A、36B(図3では図示せず、図5参照)と一対のYボイスコイルモータ36C、36D(図3では図示せず、図5参照)とによってX、Y、θZ方向に微少駆動されるマスク微動ステージとしてのレチクル微動ステージ12とを含んで構成されている。レチクルRはレチクル微動ステージ12に、例えば真空吸着等によって固定されている。
【0032】
レチクル粗動ステージ11は、不図示のエアベアリングによってYガイドに対して非接触で支持されており、Yリニアモータ34A、34B(図3では図示せず、図5参照)によってY軸方向に所定ストロークで駆動される構成になっている。本実施形態では、Yリニアモータ34A、34B、Xボイスコイルモータ36A、36B及びYボイスコイルモータ36C、36DによってレチクルステージRSTの駆動系37(図5参照)が構成されている。
【0033】
Yリニアモータ34A、34Bのそれぞれは、レチクルステージ定盤25上に複数のエアベアリングによって浮上支持されY軸方向に延びる固定子と、該固定子に対応して設けられレチクル粗動ステージ11に固定された可動子とから構成されている。従って、本実施形態では、レチクルステージRSTが走査方向(Y軸方向)に移動する際には、一対のYリニアモータ34A、34Bの可動子と固定子とが相対的に逆方向に移動する。すなわち、レチクルステージRSTと固定子とが相対的に逆方向に移動する。レチクルステージRSTと固定子とレチクルステージ定盤25との3者間の摩擦が零である場合には、運動量保存の法則が成立し、レチクルステージRSTの移動に伴う固定子の移動量は、レチクルステージRST全体と固定子との重量比で決定される。このため、レチクルステージRSTの走査方向の加減速時の反力は固定子の移動によって吸収されるので、上記反力によってレチクルステージ定盤25が振動するのを効果的に防止することができる。また、レチクルステージRSTと固定子とが相対的に逆方向に移動して、レチクルステージRST、レチクルステージ定盤25等を含む系の全体の重心位置が所定の位置に維持されるので、重心位置の移動による偏荷重が発生しないようになっている。かかる詳細は、例えば、特開平8−63231号公報に記載されている。
【0034】
レチクル微動ステージ12の一部には、その位置や移動量を計測するための位置計測装置であるレチクルレーザ干渉計システム38からの測長ビームを反射する移動鏡40が取り付けられている。レチクルレーザ干渉計システム38は、鏡筒定盤18の上面に固定されている。レチクルレーザ干渉計システム38に対応した固定鏡42は、投影光学系PLの鏡筒の側面に設けられている。そして、レチクルレーザ干渉計システム38によってレチクルステージRST(具体的にはレチクル微動ステージ12)のX,Y,θZ方向の位置計測が投影光学系PLを基準として行われる。
【0035】
上記のレチクルレーザ干渉計システム38によって計測されるレチクルステージRST(即ちレチクルR)の位置情報(又は速度情報)はステージ制御装置44(図3では図示せず、図5参照)及びこれを介して主制御装置50に供給される(図5参照)。ステージ制御装置44は、基本的にはレチクルレーザ干渉計システム38から出力される位置情報(或いは速度情報)が主制御装置50からの指令値(目標位置、目標速度)と一致するように上記のYリニアモータ34A、34B及びボイスコイルモータ36A〜36Dを制御する。
【0036】
前記鏡筒定盤18の中央部には円形開口が形成されており、この円形開口内に上端にフランジが設けられた円筒状部材から成るファーストインバ24が挿入され、このファーストインバ24の内部に投影光学系PLがその光軸方向をZ軸方向として上方から挿入されている。ファーストインバ24の素材としては、低熱膨張の材質、例えばインバー(Inver;ニッケル36%、マンガン0.25%、及び微量の炭素と他の元素を含む鉄からなる低膨張の合金)が用いられている。
【0037】
投影光学系PLの鏡筒部の外周部には、該鏡筒部に一体化された鋳物等から成るフランジFLGが設けられている。このフランジFLGは、投影光学系PLをファーストインバ24に対して点と面とV溝とを介して3点で支持するいわゆるキネマティック支持マウントを構成している。このようなキネマティック支持構造を採用すると、投影光学系PLのファーストインバ24に対する組み付けが容易で、しかも組み付け後のファーストインバ24及び投影光学系PLの振動、温度変化、姿勢変化等に起因する応力を最も効果的に軽減できるという利点がある。
【0038】
前記投影光学系PLとしては、ここでは、物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や螢石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)のみから成り投影倍率βが1/4(又は1/5)の屈折光学系が使用されている。このため、レチクルRに照明光ILが照射されると、レチクルR上の回路パターン領域のうちの照明光ILによって照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が投影光学系PLの像面側の円形視野の中央にスリット状に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうちの1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
【0039】
前記ウエハステージWSTは、ウエハWを保持してXY2次元方向に移動する。これを更に詳述すると、ウエハステージWSTは、図3では簡略化して示されているが、実際には、図4に示されるように、ウエハステージ定盤22、移動ステージ1、移動ステージ1をY方向に駆動するYモータ71、移動ステージ1をX方向に駆動するXモータ72を主体として構成されている。
【0040】
移動ステージ1は、ウエハステージ定盤22上にエアベアリング1aを介して浮上支持されている。移動ステージ1には、試料台(ホルダ)73がそれぞれ載置され、試料台73上には感光基板であるウエハWが真空吸着等によってそれぞれ保持される。試料台73は、移動ステージ1に対してX方向、Y方向およびZ軸回りの回転方向に微動可能であるとともに、レベリングおよびフォーカシングを行うためにZ方向の変位、および2軸の回り(すなわち、X軸およびY軸回り)の傾斜が可能な構成になっている。
【0041】
Xモータ72は、移動ステージ1をステップ移動方向であるX方向に駆動するものであって、X方向に延在するXガイドバー2に埋設された不図示のX固定子(以下XガイドバーをX固定子として説明する)と、移動ステージ1に設けられ、X固定子との間の電磁気的相互作用によりX方向に駆動されるX移動子(不図示)とから構成されている。
【0042】
Yモータ71は、移動ステージ1をスキャン方向(走査方向)であるY方向に駆動するものであって、Xガイドバー2の両端に設けられたY移動子74、74(図4では一つのみ図示)と、Y移動子74、74との間の電磁気的相互作用により当該Y移動子74、74をY方向に駆動させるY固定子76、76とから構成されている。Y固定子76、76は、ウエハステージ定盤22上にエアパッド75、75を介してそれぞれY方向に移動自在にそれぞれ浮揚支持されている。このため、移動ステージ1の例えば+Y方向の移動に応じて、Y固定子76は、運動量保存の法則により−Y方向に移動する。換言すると、Y固定子76は、カウンタマスとして機能しており、その移動により移動ステージ1の移動に伴う反力を相殺するとともに、ウエハステージ定盤22に対して重心位置の変化を防ぐことができる。
【0043】
前記移動ステージ1上面のX方向一側の端部には、移動鏡79XがY方向に延設され、Y方向の一側の端部には、移動鏡79YがX方向に延設されている。これらの移動鏡79X、79Yに位置検出装置であるウエハレーザ干渉計システム80(図3参照)を構成する各レーザ干渉計からの測長ビームがそれぞれ照射されている。なお、これらの測長ビームに対応する各レーザ干渉計の少なくとも一方は、測長軸を2本有する2軸干渉計が用いられている。
【0044】
ウエハレーザ干渉計システム80を構成する各レーザ干渉計に対応する各固定鏡は、投影光学系PLの鏡筒の下端部に固定されている。ウエハレーザ干渉計システム80は、鏡筒定盤18上面に配置されている。なお、前述の如く、ウエハステージWST上には、移動鏡として移動鏡79X、79Yが設けられ、これに対応して固定鏡もX方向位置計測用の固定鏡とY方向位置計測用の固定鏡とがそれぞれ設けられ、レーザ干渉計もX方向位置計測用のものとY方向位置計測用のものとが設けられているが、図3ではこれらが代表的に移動鏡79、固定鏡81、ウエハレーザ干渉計システム80として示されている。
【0045】
上記のウエハレーザ干渉計システム80によってウエハステージWSTのX,Y,θZ方向の位置計測が投影光学系PLを基準として行われる。そして、ウエハレーザ干渉計システム80によって計測されるウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)はステージ制御装置44及びこれを介して主制御装置50に送られる。ステージ制御装置44は、基本的にはウエハレーザ干渉計システム80から出力される位置情報(或いは速度情報)が主制御装置50から与えられる指令値(目標位置、目標速度)と一致するように上記のYモータ71及びXモータ72を制御する。
【0046】
図5には、本実施形態に係る露光ユニットEUの制御系の主要な構成がブロック図にて示されている。この制御系は、マイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)から成る制御系としての主制御装置50を中心として構成されている。この図に示すように、振動センサ群32の計測結果は、主制御装置50に出力される。主制御装置50は、入力した計測結果に基づいて防振ユニット16A〜16Cの駆動をそれぞれ制御する。ステージ制御装置44は、主制御装置50の制御下で、レチクルレーザ干渉計システム38およびウエハレーザ干渉計システム80の計測結果に基づいて、Yリニアモータ34A、34B、Xボイスコイルモータ36A、36B、Yボイスコイルモータ36C、36D、Yモータ71、Xモータ72の駆動を制御する。また、上述したように、駆動制御装置64は、主制御装置50の制御の下、位置検出センサ67の検出結果に基づいて駆動装置62の駆動を制御する。
【0047】
次に、上記の構成の露光システムESの中、露光ユニットEUと照明ユニットIUとの接続について説明する。
露光ユニットEU及び照明ユニットIUを設置した際には、照明ユニットIUは露光ユニットEUに対して離間して配置されており、また露光ユニットEUを防振ユニット16A〜16Cの直下に位置する設置部61で三点支持することになるため、露光ユニットEUは静的な安定を維持した状態で設置される。また、例えば季節による環境変化で床部FDの表面状態が変動した場合、露光ユニットEUと照明ユニットIUとの相対位置関係も変動する。
【0048】
このとき、露光ユニットEUと照明ユニットIUとの相対位置は、位置検出センサ67によって検出されており、駆動制御装置64は位置検出センサ67の検出結果が所定のしきい値を超えると、しきい値内に収まるように駆動装置62をZ方向に駆動する。ここで、露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続する接続部63は、露光ユニットEUと照明ユニットIUとを、回転部63aが連結部63bに対して回転自在でX軸と平行な軸周りに自由度を持って、且つこの方向以外の方向には拘束して接続しているため、駆動装置62の駆動により、露光ユニットEUと照明ユニットIUとはX軸と平行な軸周りにのみ相対移動し、他の方向に関する相対位置関係は維持された状態で所定の相対位置関係に位置調整される。なお、照明ユニットIUは、駆動装置62によるZ方向への駆動により接続部63の回転軸65周りに回転するため、位置検出センサ67が配置された上方では略Y方向に移動することになる。そのため、駆動制御装置64は、照明ユニットIU上方の略Y方向への移動量を、駆動装置62のZ方向への駆動量に換算して駆動する。
【0049】
続いて、露光ユニットEUにおける露光動作について説明する。
前提として、ウエハW上のショット領域を適正露光量(目標露光量)で走査露光するための各種の露光条件が予め設定される。また、不図示のレチクル顕微鏡及び不図示のオフアクシス・アライメントセンサ等を用いたレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業が行われ、その後、アライメントセンサを用いたウエハWのファインアライメント(EGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)等)が終了し、ウエハW上の複数のショット領域の配列座標が求められる。
【0050】
このようにして、ウエハWの露光のための準備動作が終了すると、ステージ制御装置44では、主制御装置50からの指示に応じてアライメント結果に基づいてウエハレーザ干渉計システム80の計測値をモニタしつつYモータ71、及びXモータ72を制御してウエハWの第1ショットの露光のための走査開始位置に移動ステージ1を移動する。
【0051】
そして、ステージ制御装置44では、主制御装置50からの指示に応じてレチクル駆動部37及びウエハ駆動部39を介してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとのY方向の走査を開始し、両ステージRST、WSTがそれぞれの目標走査速度に達すると、可動レチクルブラインド68で設定された照明ユニットIUからの照明光ILによってレチクルRのパターン領域が照明され始め、走査露光が開始される。
【0052】
ステージ制御装置44では、特に上記の走査露光時にレチクルステージRSTのY軸方向の移動速度とウエハステージWSTのY軸方向の移動速度とが投影光学系PLの投影倍率(1/5倍或いは1/4倍)に応じた速度比に維持されるようにレチクルステージRST及びウエハステージWST(移動ステージ1)を同期制御する。そして、レチクルRのパターン領域の異なる領域が照明光ILで逐次照明され、パターン領域全面に対する照明が完了することにより、ウエハW上の第1ショットの走査露光が終了する。これにより、レチクルRのパターンが投影光学系PLを介して第1ショットに縮小転写される。
【0053】
ステージ制御装置44は、上記レチクルステージRST及びウエハステージWSTの駆動と同期して、可動レチクルブラインド68を駆動することでレチクルRのパターン部分以外の範囲に照明光が照射されて不必要な光がウエハWに当たるのを防止する。この可動レチクルブラインド68の駆動に伴って振動が発生するが、露光ユニットEUと照明ユニットIUとが離間して(分離して)配置されているため、この振動が露光ユニットEUに伝わることを防止できる。
【0054】
逆に、露光ユニットEUにおいて、レチクルステージRST及びウエハステージWSTの駆動により振動が生じた場合でも、この振動が照明ユニットIUに伝わることを防止できる。さらに、これら露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続する接続部63の固有振動数が露光ユニットEU及び照明ユニットIUの各固有振動数と異なっているため、一方で振動が生じた場合でも、その振動が他方に伝わり、露光精度に悪影響を及ぼすことを防止できる。つまり、接続部63は、露光ユニットEUから照明ユニットIUへの振動伝達に関してはローパスフィルタとして機能し、逆に照明ユニットIUから露光ユニットEUへの振動伝達に関してはハイパスフィルタとして機能することで、双方向で振動伝達を阻止することが可能となっている。
【0055】
このようにして、第1ショットの走査露光が終了すると、ステージ制御装置44により主制御装置50の指示に応じてウエハ駆動部39を介して移動ステージ1がX、Y軸方向にステップ移動され、第2ショットの露光のため走査開始位置に移動される。このステッピングの際に、ステージ制御装置44ではウエハレーザ干渉計システム80の計測値に基づいて移動ステージ1のX、Y、θZ方向の位置変位をリアルタイムに計測する。この計測結果に基づき、ステージ制御装置44ではウエハ駆動部39を制御してXY位置変位が所定の状態になるように移動ステージ1の位置を制御する。
【0056】
そして、主制御装置50の指示に基づきステージ制御装置44では第2ショットに対して上記と同様の走査露光を行う。このようにして、ウエハW上のショットの走査露光と次ショット露光のためのステッピング動作とが繰り返し行われ、ウエハW上の露光対象ショットの全てにレチクルRのパターンが順次転写される。すなわち、以上のようにして、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われる。
【0057】
このように、本実施の形態では、露光ユニットEUと照明ユニットIUとを離間して配置することで露光ユニットEUを静的な安定を維持した状態で設置できることに加えて、少なくとも一つの方向に自由度を持つ簡素な構成の回転継手により露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続するので、自由度を持つ方向に照明ユニットIUを駆動して露光ユニットEUとの相対位置を容易に調整でき、また他の方向に関しては相対位置を維持することができる。従って、複雑で大型の装置構成が不要になり、装置の大型化及び高価格化を防止することができる。特に、本実施の形態では、位置検出センサ67の検出結果に基づいて駆動装置62を駆動しているので、容易、且つ迅速に露光ユニットEUと照明ユニットIUとの相対位置を調整できる。
【0058】
また、本実施の形態では、接続部63の固有振動数を露光ユニットEU及び照明ユニットIUの固有振動数に基づき設定しているので、他方のユニットへ振動が伝わることを防止でき、振動に起因する露光不良の発生を未然に防ぐことができる。しかも、本実施の形態では、照明ユニットIUの重心を接続部63、駆動装置62で囲まれる範囲内に位置させているので、照明ユニットIUを安定した状態で設置することも可能となっている。
【0059】
なお、上記実施の形態では、露光ユニットEUと照明ユニットIUとを一方向に自由度を持って接続するフレクシャー構造の接続部として、図2(a)に示す回転継手を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図2(b)に示すように、長さ方向略中央部でZ方向両側にそれぞれX方向を中心軸とする正面視半円形の切欠部69、69を有し、X軸と平行な軸周りに弾性変形可能な弾性部材からなる接続部63’を用いてもよい。この場合、切欠部69を半円形状とすることで、接続部63’の弾性変形時の応力集中を緩和することができ、接続部63’の高寿命化を図ることができる。なお、弾性部材63’の材質としては、例えばリン青銅、ベリリウム銅等の高靱性を有するものを用いることが好ましい。
【0060】
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態を示す概略的な平面図である。
この図において、図1に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施の形態においても位置検出センサや駆動制御装置が設けられているが、図6では便宜上、図示を省略している。
【0061】
この図に示すように、本実施の形態では、露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続する接続部63がX方向略中央部に1ヶ所設けられており、照明ユニットIUを支持するとともに、Z方向に向けて駆動する駆動装置62が照明ユニットIUのX方向両側に位置して2ヶ所設けられている。接続部63としては、例えばユニバーサルジョイントが用いられ、X軸と平行な軸周りの方向及びY軸と平行な軸周りの方向に自由度を持って、且つ他の方向については拘束状態で露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続している。そして、駆動装置62は、互いに独立して照明ユニットIUをZ方向に駆動する。
【0062】
本実施の形態では、上記第1の実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、X軸と平行な軸周り及びY軸と平行な軸周りの方向のそれぞれについて照明ユニットIUの位置を調整することができ、露光ユニットEUと照明ユニットIUとの相対位置をより高精度に調整することが可能である。
【0063】
なお、上記実施の形態では、照明ユニットIUを駆動装置62によってZ方向に駆動する構成としたが、これに限られるものではなく、例えばボルト・ナットやレベリングフット等を用いた機構により、照明ユニットIU内の光学指標を見ながら、それぞれ手動で高さ調整を実施してもよい。また、上記実施の形態では、位置検出センサ67により露光ユニットEUと照明ユニットIUとの距離を検出する構成としたが、その他の構成としては、露光光の光路の変位量を検出する検出装置を設け、検出した光路変位量に基づいて駆動装置62を駆動する構成としてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、X軸と平行な軸周りの方向に自由度を持って接続する構成、X軸と平行な軸周り及びY軸と平行な軸周りの方向に自由度を持って接続する構成の例を用いて説明したが、さらにZ軸と平行な軸周りの方向に自由度を持って露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続する構成であってもよい。この場合、XY平面と平行な少なくとも一方向に照明ユニットIUを駆動する駆動装置を設ければよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、露光ユニットEUに接続する処理ユニットとして照明ユニットIUの例を用いて説明したが、他の処理装置、例えば露光ユニットEUに対してレチクルRやウエハW等の基板の搬送処理を行う搬送部に対して、少なくとも一方向に自由度を持って露光ユニットEUと接続する構成としてもよい。この場合、簡単な構成で露光ユニットと基板搬送部の相対位置を調整することができ、これらの相対位置ずれに起因する基板受け渡しミス等を防止することが可能になり、生産効率の向上にも寄与できる。
【0066】
なお、本実施の形態の基板としては、半導体デバイス用の半導体ウエハWのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0067】
露光ユニット(露光装置)EUとしては、レチクルRとウエハWとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパー;USP5,473,410)の他に、レチクルRとウエハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)にも適用することができる。また、本発明はウエハW上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用可能である。
【0068】
露光ユニットEUの種類としては、ウエハWに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0069】
また、不図示の露光用光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)、Ar2レーザ(126nm)のみならず、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高調波などを用いてもよい。
【0070】
例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、かつ非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を露光光として用いてもよい。なお、単一波長レーザの発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0071】
また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する波長5〜50nm程度の軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いてもよく、EUV露光装置では反射型レチクルが用いられ、かつ投影光学系が複数枚(例えば3〜6枚程度)の反射光学素子(ミラー)のみからなる縮小系となっている。
【0072】
投影光学系PLの倍率は、縮小系のみならず等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(レチクルRも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。
【0073】
ウエハステージWSTやレチクルステージRSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージWST、RSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0074】
各ステージWST、RSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニット(永久磁石)と、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージWST、RSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージWST、RSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージWST、RSTの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0075】
以上のように、本願実施形態の露光ユニットEUは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光ユニットEUへの組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光ユニットEUへの組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光ユニットEUへの組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光ユニット全体としての各種精度が確保される。なお、露光ユニットの製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0076】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図7に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、シリコン材料からウエハを製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、静的な安定を維持しつつ、装置の大型化及び高価格化を招くことなく露光ユニットと処理ユニットとを容易に位置決めすることができる。また、本発明では、振動に起因する露光不良の発生を未然に防ぐことができるとともに、処理ユニットを安定した状態で設置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る露光システムの平面図であり、(b)は正面図である。
【図2】(a)は接続部の正面図であり、(b)は別形態の接続部の正面図である。
【図3】露光システムを構成する露光ユニットの概略構成図である。
【図4】露光ユニットを構成するウエハステージの外観斜視図である。
【図5】露光ユニットの制御ブロック図である。
【図6】別形態の露光システムを示す概略平面図である。
【図7】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
ES 露光システム
EU 露光ユニット(露光装置)
IU 照明ユニット(処理ユニット)
R レチクル(マスク)
W ウエハ(基板)
62 設置部(駆動装置)
63、63’ 接続部(接続装置)
64 駆動制御装置(制御装置)
67 位置検出センサ(位置検出装置)
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光ユニット及び露光に関する処理を行う処理ユニットを有する露光システムに関し、例えば、露光ユニットに露光光を導く照明光学系や露光ユニットに基板を搬送する基板搬送部を含む処理ユニットを有する場合に用いて好適な露光システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体デバイスの製造工程の1つであるリソグラフィ工程においては、マスク又はレチクル(以下、レチクルと称する)に形成された回路パターンをレジスト(感光剤)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板上に転写する種々の露光装置が用いられている。例えば、半導体デバイス用の露光装置としては、近年における集積回路の高集積化に伴うパターンの最小線幅(デバイスルール)の微細化に応じて、レチクルのパターンを投影光学系を用いてウエハ上に縮小転写する縮小投影露光装置が主として用いられている。
【0003】
この縮小投影露光装置としては、レチクルのパターンをウエハ上の複数のショット領域(露光領域)に順次転写するステップ・アンド・リピート方式の静止露光型の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、このステッパを改良したもので、特開平8−166043号公報等に開示されるようなレチクルとウエハとを一次元方向に同期移動してレチクルパターンをウエハ上の各ショット領域に転写するステップ・アンド・スキャン方式の走査露光型の露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ)が知られている。
【0004】
これらの縮小投影露光装置においては、床面に先ず装置の基準になるベースプレートが設置され、その上に床振動を遮断するための防振台を介してレチクルステージ、ウエハステージおよび投影光学系(投影レンズ)等を支持する本体コラムが載置されたものが露光ユニットとして多く用いられている。最近のステージ装置では、前記防振台として、内圧が制御可能なエアマウント、ボイスコイルモータ等のアクチュエータを備え、本体コラム(メインフレーム)に取り付けられた、例えば6個の加速度計の計測値に基づいて前記ボイスコイルモータ等を制御することにより本体コラムの振動を制御するアクティブ防振台が採用されている。そして、露光ユニットにおいては、アクティブ除振台によって床面からの振動が遮断され、また露光装置本体内部に設置されたウエハステージなどの重量物が加減速移動する際に発生する振動も抑制される。
【0005】
また、走査型の露光装置においては、露光に際して照明用光学系内に配設されるレチクルブラインドを駆動する。このときに発生する振動が、数nm程度の精度を要求される投影露光装置では無視できないものとなっている。すなわち、レチクルブラインドは、レチクルのパターン部分以外の範囲に照明光が照射されて不必要な光が感光基板に当たるのを防止するためのものであり、繰り返し行われるスキャン露光動作時にはレチクルステージ及びウエハステージと同期してスキャン動作を繰り返すが、このスキャン動作時に、ステッピングモータとボールねじなどを用いたレチクルブラインドの開閉駆動機構から発生する振動が投影露光の精度に影響を及ぼす場合があった。
【0006】
そこで、このような不都合を回避する手段として、例えば特許文献1には、照明光学系を可動ブレード(レチクルブラインド)を含む第1部分光学系と可動ブレードを含まない第2部分光学系とに分離し、第2部分光学系を露光本体部(露光ユニット)を構成する本体コラム上に設置し、第1部分光学系を露光本体部と分離してベースプレート上に設置することで、可動ブレードの駆動に起因する振動が発生した場合でも露光本体部に及ぼす悪影響を抑制する技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、照明光学系の少なくとも一部とは別体に本体部(露光ユニット)を設けるとともに、本体部とは別体に設けられた照明光学系の少なくとも一部と本体部との相対位置ずれ量を所定値内に収めるように位置決めする駆動装置を設けることで、照明光学系と本体部との相対位置関係を所定範囲内に維持する技術が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−35772号公報
【特許文献2】
国際公開WO99/25011号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。照明光学系と露光ユニットとの間の位置ずれ量を考慮すると、照明光学系をベースプレート上に設置することが望ましいが、特許文献1の技術では照明光学系の一部が露光ユニットに片持ちで支持されるため、ベースプレートにおける振動特性が著しく低下してしまう。通常、ベースプレートは、静的な安定性の観点から設置される床部に対して三点で支持されることが望ましく、またベースプレートの剛性が装置性能に現れにくくするためには、床部に対する支持部はアクティブ除振台の直下に配置することが望ましいと考えられるが、上記の片持ち状態を脱却するために、照明光学系の直下にも床部に対する支持部を設けると、ベースプレートが四点以上で床部に支持されることになり、静的な安定性を維持できなくなる。
【0010】
一方、特許文献2の技術では、照明光学系と露光ユニットとがベースプレートも含めて分離されており、また、照明光学系も露光ユニットに片持ちで支持されていないので、上記特許文献1の技術で懸念される問題は生じないが、照明光学系と露光ユニットとの間の位置ずれが生じやすくなる。さらに、特許文献2の技術では、生じた位置ずれを所定値内に収めることは可能だが、露光ユニットと照明光学系とを6自由度で相対移動させているので、駆動装置の構成が複雑になり装置の大型化及び高価格化を招いてしまう。特に、露光装置の稼動初期状態等で駆動装置が十分に機能しない場合には、露光ユニットと照明光学系とを位置決めすることが困難である。鉛直方向の相対位置ずれに関しては、レベリングフット等を用いて手動で位置決めすることが可能であるが、水平方向(露光ユニットと照明光学系との列設方向)に関しては手動で位置調整することは極めて困難である。
【0011】
このような問題は、露光ユニットと照明光学系との間のみではなく、露光処理に関して所定の処理を行う各種処理ユニットと露光ユニットとの間で発生する可能性がある。
【0012】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、静的な安定を維持しつつ、装置の大型化及び高価格化を招くことなく露光ユニットと処理ユニットとを容易に位置決めできる露光システムを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明は、実施の形態を示す図1ないし図6に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の露光システムは、マスク(R)に形成されたパターンを基板(W)上に露光する露光ユニット(EU)と、露光ユニット(EU)と第1方向(Y方向)に離間して配置された処理ユニット(IU)とを有する露光システム(ES)であって、露光ユニット(EU)と処理ユニット(IU)とを少なくとも第1方向(Y方向)に関して拘束するとともに、第1方向(Y方向)と異なる少なくとも1方向(θX)に自由度を持って接続する接続装置(63、63’)を有することを特徴とするものである。
【0014】
従って、本発明の露光システムでは、露光ユニット(EU)と処理ユニット(IU)とが離間しているので、露光ユニット(EU)を床部に対して静的に安定した三点で支持することができる。また、本発明では、露光ユニット(EU)と処理ユニット(IU)とを列設方向である第1方向(Y方向)に関しては拘束して接続しているので、これらの間に位置ずれが生じることを防止できるとともに、第1方向とは異なる例えばθX(X軸と平行な軸周り方向)に関しては自由度を持って接続するので、手動及び自動のいずれの場合でも容易に位置決めできる。このように本発明では、接続装置(63、63’)により露光ユニット(EU)と処理ユニット(IU)とを接続するだけなので、装置の大型化及び高価格化を防止することもできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の露光システムの第1の実施形態を、図1ないし図7を参照して説明する。
ここでは、露光システムを構成する露光ユニットとして、レチクルとウエハとを一次元方向(ここではY軸方向とする)に同期移動しつつ、レチクルに形成された半導体デバイスの回路パターンをウエハ上に転写する、ステップ・アンド・スキャン方式、またはステップ・アンド・スティッチ方式からなる走査露光方式の露光ユニットを使用する場合の例を用いて説明する。
【0016】
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る露光システムの平面図であり、図1(b)は正面図である。この図に示す露光システムESは、後述するレチクルステージ、ウエハステージおよび投影光学系を有し、ウエハ等の基板にパターンを露光する露光ユニットEUと、この露光ユニットEUに対して第1方向であるY方向(より詳細には+Y方向)に離間して設置され、露光ユニットEUに露光光を導く照明光学系を含む照明ユニット(処理ユニット)IUとを主体に構成されている。
【0017】
露光ユニットEUは、床部FD上に三ヶ所配設された設置部61に三点で支持される。照明ユニットIUは、床部FD上に配設された設置部62に支持されるとともに、下端部(−Z方向端部)近傍でX方向に間隔をあけて配置された接続部(接続装置)63によって露光ユニットEUと接続されている。設置部62は、例えばハーモニックドライブやピエゾ素子等の駆動装置で構成されており(適宜、駆動装置62と称する)、駆動制御装置(制御装置)64の制御の下で、照明ユニットIUをZ方向に駆動する構成となっている。
【0018】
接続部63は、図2(a)に示すように、X方向に延在する回転軸65を有しY方向に延出する連結部66において照明ユニットIUと連結される回転部63aと、回転軸65周りに回転自在に嵌合するとともに、露光ユニットEUに連結された連結部63bとから構成されている。これら回転部63aと連結部63bとは、回転部63a周りに回転可能な対偶(回転継手)をなしており、露光ユニットEUと照明ユニットIUとをX軸と平行な軸周りの方向(適宜θX方向と称する)に自由度を持って接続するとともに、この方向以外の方向については高い剛性を持って拘束するように接続している。
【0019】
さらに、接続部63のY方向の剛性は、露光ユニットEU及び照明ユニットIUの固有振動数に基づいて設定されている。より詳細には、本実施の形態では、例えば露光ユニットEUの固有振動数は50〜80Hz程度であり、また照明ユニットIUの固有振動数は20〜30Hz程度であるため、接続部63の固有振動数(剛性)をこれらと異ならせることで、例えばこれらの間に設定することで、いずれかに振動が生じた場合でも互いに振動の伝達を防止することが可能になる。
【0020】
なお、接続部63と駆動装置62とは、XY平面内で三角形を作成するように配置され、かつ、照明ユニットIUのXY平面内での重心がこの三角形の範囲に位置するように配置されている。これにより、照明ユニットIUを安定した状態で配置することができる。また、駆動装置62は、駆動装置62の駆動量に対する照明光(露光光)の変位量を小さくし、露光ユニットEUに対する照明光の微調整を可能とするため、各接続部63から離間した位置に配置される。
【0021】
図1に戻り、照明ユニットIUには、接続部63のそれぞれ上方に位置して、露光ユニットEUとの間の相対位置(距離)を検出する位置検出センサ(位置検出装置)67が設けられており、位置検出センサ67の検出結果は上記駆動制御装置64に出力される。駆動制御装置64は、位置検出センサ67の検出結果に基づいて駆動装置62の駆動を制御することで、露光ユニットEUに対する照明ユニットIUの相対位置を調整する。
【0022】
露光光の光源90としては、ここでは波長192〜194nmの間で酸素の吸収帯を避けるように狭帯化されたパルス紫外光を出力するArFエキシマレーザ光源が用いられている。光源90には、不図示の光源制御装置が併設されており、この光源制御装置では、射出されるパルス紫外光の発振中心波長及びスペクトル半値幅の制御、パルス発振のトリガ制御、レーザチャンバ内のガスの制御等を行うようになっている。なお、光源90として、波長248nmのパルス紫外光を出力するKrFエキシマレーザ光源あるいは波長157nmのパルス紫外光を出力するF2レーザ光源等用いても良い。また、光源90をクリーンルームよりクリーン度が低い別の部屋(サービスルーム)、あるいはクリーンルームの床下に設けられるユーティリティスペースに設置しても構わない。また、光源90は、ビームマッチングユニットBMUの一端(入射端)に接続されており、このビームマッチングユニットの他端(出射端)は、照明ユニット(照明光学系)IUに接続されている。ビームマッチングユニットBMU内には、リレー光学系や複数の可動反射鏡等(いずれも不図示)が設けられており、これらの可動反射鏡等を用いて光源から入射する狭帯化されたパルス紫外光(ArFエキシマレーザ光)の光路を照明光学系との間で位置的にマッチングさせている。
【0023】
照明ユニットIUに含まれる照明光学系は、所定の位置関係で配置されたミラー91、可変減光器92、ビーム整形光学系93、オプティカルインテグレータ94、集光光学系、振動ミラー、照明系開口絞り板95、ビームスプリッタ、リレーレンズ系、及びレチクルブラインド機構を構成する可動視野絞りとしての可動レチクルブラインド68(図5参照)等を備えている。光源90からのパルス紫外光がビームマッチングユニット及びリレー光学系を介して照明光学系内に入射すると、このパルス紫外光は、可変減光器のNDフィルタにより所定のピーク強度に調整された後、ビーム整形光学系により、オプティカルインテグレータに効率よく入射するようにその断面形状が整形される。次いで、このパルス紫外光がオプティカルインテグレータに入射すると、射出端側に面光源、すなわち多数の光源像(点光源)から成る2次光源が形成される。これらの多数の点光源の各々から発散するパルス紫外光は、照明系開口絞り板上のいずれかの開口絞りを通過した後、露光光として可動レチクルブラインド68に到達する。この可動レチクルブラインド68は、不要な部分の露光を防止するため、走査露光の開始時及び終了時に可動ブレードにより後述するように固定レチクルブラインドによって規定されるレチクルR上の照明領域を露光領域として更に制限するために用いられるものである。
【0024】
次に、露光ユニット(露光装置)EUについて説明する。
露光ユニットEUは、照明ユニットIUから出射されたパルス紫外光である露光用照明光(以下、「照明光」と略述する)ILによりレチクルR上の矩形状(あるいは円弧状)の照明領域を均一な照度で照明する本体照明系IBと、レチクルRを保持するマスクステージとしてのレチクルステージRST、レチクルRから射出される照明光をウエハ(基板)W上に投射(投影)する投影光学系PL、ウエハWを保持する基板ステージとしてのウエハステージWST、これら投影光学系PL、レチクルステージRST及びウエハステージWSTが搭載されたボディとしての本体コラム14、及び本体コラム14の振動を抑制あるいは除去する防振システム等を備えている。
【0025】
本体照明系IBは、所定の位置関係で配置された固定レチクルブラインド96、レンズ系97、ミラー系98等を備えている。固定レチクルブラインド96は、照明ユニットIUからの入射端近傍でありレチクルRのパターン面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上の照明領域を規定する所定形状の開口部が形成されている。この固定レチクルブラインド96の開口部は、投影光学系PLの円形視野内の中央で走査露光時のレチクルRの移動方向(Y軸方向)と直交したX軸方向に直線的に伸びたスリット状又は矩形状に形成される。可動レチクルブラインド68の開口部を通過した照明光ILは、固定レチクルブラインド96の開口部を一様な強度分布で照明する。固定レチクルブラインド96の開口部を通った照明光ILは、レンズ系97、ミラー系98等を経て、レチクルステージRST(後述)上に保持されたレチクルR上の所定の照明領域(X軸方向に直線的に伸びたスリット状又は矩形状の照明領域)を均一な照度分布で照明する。
【0026】
露光ユニットEUについて、図3を用いて更に説明する。図3は、露光ユニットEUの全体構成の概略図であり、露光ユニットEUを装置正面(Y軸方向)から見た図である。本体コラム14は、床部FDの上方に上述した設置部61(図3では2つのみ図示)に支持されて、水平に載置された装置の基準となる矩形板状のベースプレートBPと、このベースプレートBP上面で設置部61と対応する位置(XY平面内で略同一座標)にそれぞれ配置された防振ユニット16A〜16C(但し、図3においては紙面奥側の防振ユニット16Cは図示せず)及びこれらの防振ユニット16A〜16Cを介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤18と、ベースプレートBP上に防振ユニット99A〜99Cを介してほぼ水平に(但し、図3においては紙面奥側の防振ユニット99Cは図示せず)支持されたウエハステージ定盤22と、鏡筒定盤18に装着されたファーストインバと呼ばれる投影光学系PLの支持部材24(以下、「ファーストインバ24」と呼ぶ)と、鏡筒定盤18上に立設されたセカンドインバと呼ばれるレチクルステージ定盤25の支持部材26(以下、「セカンドインバ26」と呼ぶ)とを備えている。なお、ウエハステージ定盤22は、鋳鉄にセラミックスが溶射等によりコーティングされた構成になっている。
【0027】
防振ユニット16A〜16Cは、ベースプレートBPの上部に直列に配置されたアクチュエータ部28と内圧が調整可能なエアマウント30とをそれぞれ含んで構成されている。防振ユニット16A〜16Cの各アクチュエータ部28には、ボイスコイルモータがそれぞれ少なくとも1つ含まれている。この場合、防振ユニット16A〜16Cの全体としてアクチュエータ部に、鉛直方向(すなわち図3のZ方向)駆動用のボイスコイルモータが少なくとも3個、X方向駆動用のボイスコイルモータ及びY方向駆動用のボイスコイルモータが合計で少なくとも3個(但し、X方向駆動用のボイスコイルモータ及びY方向駆動用のボイスコイルモータが各1つ含まれる)含まれている。なお、防振ユニット99A〜99Cも、防振ユニット16A〜16Cと同様に、アクチュエータ部と内圧が調整可能なエアマウントとをそれぞれ含んで構成されている。
【0028】
鏡筒定盤18には、図3では図示が省略されているが、該鏡筒定盤18を含む本体コラム14のZ軸方向の振動を検出する振動センサ(例えば半導体加速度センサ等の加速度計)が少なくとも3つ、X方向、Y方向の振動を検出する振動センサ(例えば半導体加速度センサ等の加速度計)が合計で少なくとも3つ(但し、X方向振動検出用センサ及びY方向振動検出用センサを各1つ含む)取り付けられている。そして、これらの少なくとも6つの振動センサ(以下、便宜上「振動センサ群32」と呼ぶ)の出力が後述する主制御装置50(図5参照)に供給され、該主制御装置50によって本体コラム14の6自由度方向の運動が求められ、防振ユニット16A〜16Cが制御されるようになっている。すなわち、本実施形態では、振動センサ群と防振ユニット16A〜16Cと、主制御装置50とによって本体コラム14の振動を制振するためのアクテイブ防振システムが構成されている。
【0029】
セカンドインバ26は、側面視略台形状で底面及び上面が八角形の多面体の全体形状を有し、各側面に台形状の開口が形成され、底面が完全に開口したフレームである。このセカンドインバ26の上面はレチクルステージ定盤25を支持する支持プレートとされており、該支持プレートには、照明光ILの通路を成す矩形の開口部(不図示)が形成され、この開口部を含む領域の上面にレチクルステージ定盤25が載置されている。レチクルステージ定盤25にも開口部に対向して所定の開口が形成されている。
【0030】
レチクルステージRSTは、上記レチクルステージ定盤25上に配置されている。レチクルステージRSTは、レチクルRをレチクルステージ定盤25上でY軸方向に大きなストロークで直線駆動するとともに、X軸方向及びθZ方向(Z軸回りの回転方向)に関しても微小駆動が可能な構成となっている。
【0031】
レチクルステージRSTは、レチクルステージ定盤25上にY軸方向に沿って設けられた不図示のYガイドに沿って移動するマスク粗動ステージとしてのレチクル粗動ステージ11と、このレチクル粗動ステージ11上を一対のXボイスコイルモータ36A、36B(図3では図示せず、図5参照)と一対のYボイスコイルモータ36C、36D(図3では図示せず、図5参照)とによってX、Y、θZ方向に微少駆動されるマスク微動ステージとしてのレチクル微動ステージ12とを含んで構成されている。レチクルRはレチクル微動ステージ12に、例えば真空吸着等によって固定されている。
【0032】
レチクル粗動ステージ11は、不図示のエアベアリングによってYガイドに対して非接触で支持されており、Yリニアモータ34A、34B(図3では図示せず、図5参照)によってY軸方向に所定ストロークで駆動される構成になっている。本実施形態では、Yリニアモータ34A、34B、Xボイスコイルモータ36A、36B及びYボイスコイルモータ36C、36DによってレチクルステージRSTの駆動系37(図5参照)が構成されている。
【0033】
Yリニアモータ34A、34Bのそれぞれは、レチクルステージ定盤25上に複数のエアベアリングによって浮上支持されY軸方向に延びる固定子と、該固定子に対応して設けられレチクル粗動ステージ11に固定された可動子とから構成されている。従って、本実施形態では、レチクルステージRSTが走査方向(Y軸方向)に移動する際には、一対のYリニアモータ34A、34Bの可動子と固定子とが相対的に逆方向に移動する。すなわち、レチクルステージRSTと固定子とが相対的に逆方向に移動する。レチクルステージRSTと固定子とレチクルステージ定盤25との3者間の摩擦が零である場合には、運動量保存の法則が成立し、レチクルステージRSTの移動に伴う固定子の移動量は、レチクルステージRST全体と固定子との重量比で決定される。このため、レチクルステージRSTの走査方向の加減速時の反力は固定子の移動によって吸収されるので、上記反力によってレチクルステージ定盤25が振動するのを効果的に防止することができる。また、レチクルステージRSTと固定子とが相対的に逆方向に移動して、レチクルステージRST、レチクルステージ定盤25等を含む系の全体の重心位置が所定の位置に維持されるので、重心位置の移動による偏荷重が発生しないようになっている。かかる詳細は、例えば、特開平8−63231号公報に記載されている。
【0034】
レチクル微動ステージ12の一部には、その位置や移動量を計測するための位置計測装置であるレチクルレーザ干渉計システム38からの測長ビームを反射する移動鏡40が取り付けられている。レチクルレーザ干渉計システム38は、鏡筒定盤18の上面に固定されている。レチクルレーザ干渉計システム38に対応した固定鏡42は、投影光学系PLの鏡筒の側面に設けられている。そして、レチクルレーザ干渉計システム38によってレチクルステージRST(具体的にはレチクル微動ステージ12)のX,Y,θZ方向の位置計測が投影光学系PLを基準として行われる。
【0035】
上記のレチクルレーザ干渉計システム38によって計測されるレチクルステージRST(即ちレチクルR)の位置情報(又は速度情報)はステージ制御装置44(図3では図示せず、図5参照)及びこれを介して主制御装置50に供給される(図5参照)。ステージ制御装置44は、基本的にはレチクルレーザ干渉計システム38から出力される位置情報(或いは速度情報)が主制御装置50からの指令値(目標位置、目標速度)と一致するように上記のYリニアモータ34A、34B及びボイスコイルモータ36A〜36Dを制御する。
【0036】
前記鏡筒定盤18の中央部には円形開口が形成されており、この円形開口内に上端にフランジが設けられた円筒状部材から成るファーストインバ24が挿入され、このファーストインバ24の内部に投影光学系PLがその光軸方向をZ軸方向として上方から挿入されている。ファーストインバ24の素材としては、低熱膨張の材質、例えばインバー(Inver;ニッケル36%、マンガン0.25%、及び微量の炭素と他の元素を含む鉄からなる低膨張の合金)が用いられている。
【0037】
投影光学系PLの鏡筒部の外周部には、該鏡筒部に一体化された鋳物等から成るフランジFLGが設けられている。このフランジFLGは、投影光学系PLをファーストインバ24に対して点と面とV溝とを介して3点で支持するいわゆるキネマティック支持マウントを構成している。このようなキネマティック支持構造を採用すると、投影光学系PLのファーストインバ24に対する組み付けが容易で、しかも組み付け後のファーストインバ24及び投影光学系PLの振動、温度変化、姿勢変化等に起因する応力を最も効果的に軽減できるという利点がある。
【0038】
前記投影光学系PLとしては、ここでは、物体面(レチクルR)側と像面(ウエハW)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や螢石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)のみから成り投影倍率βが1/4(又は1/5)の屈折光学系が使用されている。このため、レチクルRに照明光ILが照射されると、レチクルR上の回路パターン領域のうちの照明光ILによって照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、その回路パターンの部分倒立像が投影光学系PLの像面側の円形視野の中央にスリット状に制限されて結像される。これにより、投影された回路パターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置されたウエハW上の複数のショット領域のうちの1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
【0039】
前記ウエハステージWSTは、ウエハWを保持してXY2次元方向に移動する。これを更に詳述すると、ウエハステージWSTは、図3では簡略化して示されているが、実際には、図4に示されるように、ウエハステージ定盤22、移動ステージ1、移動ステージ1をY方向に駆動するYモータ71、移動ステージ1をX方向に駆動するXモータ72を主体として構成されている。
【0040】
移動ステージ1は、ウエハステージ定盤22上にエアベアリング1aを介して浮上支持されている。移動ステージ1には、試料台(ホルダ)73がそれぞれ載置され、試料台73上には感光基板であるウエハWが真空吸着等によってそれぞれ保持される。試料台73は、移動ステージ1に対してX方向、Y方向およびZ軸回りの回転方向に微動可能であるとともに、レベリングおよびフォーカシングを行うためにZ方向の変位、および2軸の回り(すなわち、X軸およびY軸回り)の傾斜が可能な構成になっている。
【0041】
Xモータ72は、移動ステージ1をステップ移動方向であるX方向に駆動するものであって、X方向に延在するXガイドバー2に埋設された不図示のX固定子(以下XガイドバーをX固定子として説明する)と、移動ステージ1に設けられ、X固定子との間の電磁気的相互作用によりX方向に駆動されるX移動子(不図示)とから構成されている。
【0042】
Yモータ71は、移動ステージ1をスキャン方向(走査方向)であるY方向に駆動するものであって、Xガイドバー2の両端に設けられたY移動子74、74(図4では一つのみ図示)と、Y移動子74、74との間の電磁気的相互作用により当該Y移動子74、74をY方向に駆動させるY固定子76、76とから構成されている。Y固定子76、76は、ウエハステージ定盤22上にエアパッド75、75を介してそれぞれY方向に移動自在にそれぞれ浮揚支持されている。このため、移動ステージ1の例えば+Y方向の移動に応じて、Y固定子76は、運動量保存の法則により−Y方向に移動する。換言すると、Y固定子76は、カウンタマスとして機能しており、その移動により移動ステージ1の移動に伴う反力を相殺するとともに、ウエハステージ定盤22に対して重心位置の変化を防ぐことができる。
【0043】
前記移動ステージ1上面のX方向一側の端部には、移動鏡79XがY方向に延設され、Y方向の一側の端部には、移動鏡79YがX方向に延設されている。これらの移動鏡79X、79Yに位置検出装置であるウエハレーザ干渉計システム80(図3参照)を構成する各レーザ干渉計からの測長ビームがそれぞれ照射されている。なお、これらの測長ビームに対応する各レーザ干渉計の少なくとも一方は、測長軸を2本有する2軸干渉計が用いられている。
【0044】
ウエハレーザ干渉計システム80を構成する各レーザ干渉計に対応する各固定鏡は、投影光学系PLの鏡筒の下端部に固定されている。ウエハレーザ干渉計システム80は、鏡筒定盤18上面に配置されている。なお、前述の如く、ウエハステージWST上には、移動鏡として移動鏡79X、79Yが設けられ、これに対応して固定鏡もX方向位置計測用の固定鏡とY方向位置計測用の固定鏡とがそれぞれ設けられ、レーザ干渉計もX方向位置計測用のものとY方向位置計測用のものとが設けられているが、図3ではこれらが代表的に移動鏡79、固定鏡81、ウエハレーザ干渉計システム80として示されている。
【0045】
上記のウエハレーザ干渉計システム80によってウエハステージWSTのX,Y,θZ方向の位置計測が投影光学系PLを基準として行われる。そして、ウエハレーザ干渉計システム80によって計測されるウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)はステージ制御装置44及びこれを介して主制御装置50に送られる。ステージ制御装置44は、基本的にはウエハレーザ干渉計システム80から出力される位置情報(或いは速度情報)が主制御装置50から与えられる指令値(目標位置、目標速度)と一致するように上記のYモータ71及びXモータ72を制御する。
【0046】
図5には、本実施形態に係る露光ユニットEUの制御系の主要な構成がブロック図にて示されている。この制御系は、マイクロコンピュータ(あるいはワークステーション)から成る制御系としての主制御装置50を中心として構成されている。この図に示すように、振動センサ群32の計測結果は、主制御装置50に出力される。主制御装置50は、入力した計測結果に基づいて防振ユニット16A〜16Cの駆動をそれぞれ制御する。ステージ制御装置44は、主制御装置50の制御下で、レチクルレーザ干渉計システム38およびウエハレーザ干渉計システム80の計測結果に基づいて、Yリニアモータ34A、34B、Xボイスコイルモータ36A、36B、Yボイスコイルモータ36C、36D、Yモータ71、Xモータ72の駆動を制御する。また、上述したように、駆動制御装置64は、主制御装置50の制御の下、位置検出センサ67の検出結果に基づいて駆動装置62の駆動を制御する。
【0047】
次に、上記の構成の露光システムESの中、露光ユニットEUと照明ユニットIUとの接続について説明する。
露光ユニットEU及び照明ユニットIUを設置した際には、照明ユニットIUは露光ユニットEUに対して離間して配置されており、また露光ユニットEUを防振ユニット16A〜16Cの直下に位置する設置部61で三点支持することになるため、露光ユニットEUは静的な安定を維持した状態で設置される。また、例えば季節による環境変化で床部FDの表面状態が変動した場合、露光ユニットEUと照明ユニットIUとの相対位置関係も変動する。
【0048】
このとき、露光ユニットEUと照明ユニットIUとの相対位置は、位置検出センサ67によって検出されており、駆動制御装置64は位置検出センサ67の検出結果が所定のしきい値を超えると、しきい値内に収まるように駆動装置62をZ方向に駆動する。ここで、露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続する接続部63は、露光ユニットEUと照明ユニットIUとを、回転部63aが連結部63bに対して回転自在でX軸と平行な軸周りに自由度を持って、且つこの方向以外の方向には拘束して接続しているため、駆動装置62の駆動により、露光ユニットEUと照明ユニットIUとはX軸と平行な軸周りにのみ相対移動し、他の方向に関する相対位置関係は維持された状態で所定の相対位置関係に位置調整される。なお、照明ユニットIUは、駆動装置62によるZ方向への駆動により接続部63の回転軸65周りに回転するため、位置検出センサ67が配置された上方では略Y方向に移動することになる。そのため、駆動制御装置64は、照明ユニットIU上方の略Y方向への移動量を、駆動装置62のZ方向への駆動量に換算して駆動する。
【0049】
続いて、露光ユニットEUにおける露光動作について説明する。
前提として、ウエハW上のショット領域を適正露光量(目標露光量)で走査露光するための各種の露光条件が予め設定される。また、不図示のレチクル顕微鏡及び不図示のオフアクシス・アライメントセンサ等を用いたレチクルアライメント、ベースライン計測等の準備作業が行われ、その後、アライメントセンサを用いたウエハWのファインアライメント(EGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)等)が終了し、ウエハW上の複数のショット領域の配列座標が求められる。
【0050】
このようにして、ウエハWの露光のための準備動作が終了すると、ステージ制御装置44では、主制御装置50からの指示に応じてアライメント結果に基づいてウエハレーザ干渉計システム80の計測値をモニタしつつYモータ71、及びXモータ72を制御してウエハWの第1ショットの露光のための走査開始位置に移動ステージ1を移動する。
【0051】
そして、ステージ制御装置44では、主制御装置50からの指示に応じてレチクル駆動部37及びウエハ駆動部39を介してレチクルステージRSTとウエハステージWSTとのY方向の走査を開始し、両ステージRST、WSTがそれぞれの目標走査速度に達すると、可動レチクルブラインド68で設定された照明ユニットIUからの照明光ILによってレチクルRのパターン領域が照明され始め、走査露光が開始される。
【0052】
ステージ制御装置44では、特に上記の走査露光時にレチクルステージRSTのY軸方向の移動速度とウエハステージWSTのY軸方向の移動速度とが投影光学系PLの投影倍率(1/5倍或いは1/4倍)に応じた速度比に維持されるようにレチクルステージRST及びウエハステージWST(移動ステージ1)を同期制御する。そして、レチクルRのパターン領域の異なる領域が照明光ILで逐次照明され、パターン領域全面に対する照明が完了することにより、ウエハW上の第1ショットの走査露光が終了する。これにより、レチクルRのパターンが投影光学系PLを介して第1ショットに縮小転写される。
【0053】
ステージ制御装置44は、上記レチクルステージRST及びウエハステージWSTの駆動と同期して、可動レチクルブラインド68を駆動することでレチクルRのパターン部分以外の範囲に照明光が照射されて不必要な光がウエハWに当たるのを防止する。この可動レチクルブラインド68の駆動に伴って振動が発生するが、露光ユニットEUと照明ユニットIUとが離間して(分離して)配置されているため、この振動が露光ユニットEUに伝わることを防止できる。
【0054】
逆に、露光ユニットEUにおいて、レチクルステージRST及びウエハステージWSTの駆動により振動が生じた場合でも、この振動が照明ユニットIUに伝わることを防止できる。さらに、これら露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続する接続部63の固有振動数が露光ユニットEU及び照明ユニットIUの各固有振動数と異なっているため、一方で振動が生じた場合でも、その振動が他方に伝わり、露光精度に悪影響を及ぼすことを防止できる。つまり、接続部63は、露光ユニットEUから照明ユニットIUへの振動伝達に関してはローパスフィルタとして機能し、逆に照明ユニットIUから露光ユニットEUへの振動伝達に関してはハイパスフィルタとして機能することで、双方向で振動伝達を阻止することが可能となっている。
【0055】
このようにして、第1ショットの走査露光が終了すると、ステージ制御装置44により主制御装置50の指示に応じてウエハ駆動部39を介して移動ステージ1がX、Y軸方向にステップ移動され、第2ショットの露光のため走査開始位置に移動される。このステッピングの際に、ステージ制御装置44ではウエハレーザ干渉計システム80の計測値に基づいて移動ステージ1のX、Y、θZ方向の位置変位をリアルタイムに計測する。この計測結果に基づき、ステージ制御装置44ではウエハ駆動部39を制御してXY位置変位が所定の状態になるように移動ステージ1の位置を制御する。
【0056】
そして、主制御装置50の指示に基づきステージ制御装置44では第2ショットに対して上記と同様の走査露光を行う。このようにして、ウエハW上のショットの走査露光と次ショット露光のためのステッピング動作とが繰り返し行われ、ウエハW上の露光対象ショットの全てにレチクルRのパターンが順次転写される。すなわち、以上のようにして、ステップ・アンド・スキャン方式の露光が行われる。
【0057】
このように、本実施の形態では、露光ユニットEUと照明ユニットIUとを離間して配置することで露光ユニットEUを静的な安定を維持した状態で設置できることに加えて、少なくとも一つの方向に自由度を持つ簡素な構成の回転継手により露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続するので、自由度を持つ方向に照明ユニットIUを駆動して露光ユニットEUとの相対位置を容易に調整でき、また他の方向に関しては相対位置を維持することができる。従って、複雑で大型の装置構成が不要になり、装置の大型化及び高価格化を防止することができる。特に、本実施の形態では、位置検出センサ67の検出結果に基づいて駆動装置62を駆動しているので、容易、且つ迅速に露光ユニットEUと照明ユニットIUとの相対位置を調整できる。
【0058】
また、本実施の形態では、接続部63の固有振動数を露光ユニットEU及び照明ユニットIUの固有振動数に基づき設定しているので、他方のユニットへ振動が伝わることを防止でき、振動に起因する露光不良の発生を未然に防ぐことができる。しかも、本実施の形態では、照明ユニットIUの重心を接続部63、駆動装置62で囲まれる範囲内に位置させているので、照明ユニットIUを安定した状態で設置することも可能となっている。
【0059】
なお、上記実施の形態では、露光ユニットEUと照明ユニットIUとを一方向に自由度を持って接続するフレクシャー構造の接続部として、図2(a)に示す回転継手を用いて説明したが、これに限定されるものではなく、例えば図2(b)に示すように、長さ方向略中央部でZ方向両側にそれぞれX方向を中心軸とする正面視半円形の切欠部69、69を有し、X軸と平行な軸周りに弾性変形可能な弾性部材からなる接続部63’を用いてもよい。この場合、切欠部69を半円形状とすることで、接続部63’の弾性変形時の応力集中を緩和することができ、接続部63’の高寿命化を図ることができる。なお、弾性部材63’の材質としては、例えばリン青銅、ベリリウム銅等の高靱性を有するものを用いることが好ましい。
【0060】
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態を示す概略的な平面図である。
この図において、図1に示す第1の実施形態の構成要素と同一の要素については同一符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施の形態においても位置検出センサや駆動制御装置が設けられているが、図6では便宜上、図示を省略している。
【0061】
この図に示すように、本実施の形態では、露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続する接続部63がX方向略中央部に1ヶ所設けられており、照明ユニットIUを支持するとともに、Z方向に向けて駆動する駆動装置62が照明ユニットIUのX方向両側に位置して2ヶ所設けられている。接続部63としては、例えばユニバーサルジョイントが用いられ、X軸と平行な軸周りの方向及びY軸と平行な軸周りの方向に自由度を持って、且つ他の方向については拘束状態で露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続している。そして、駆動装置62は、互いに独立して照明ユニットIUをZ方向に駆動する。
【0062】
本実施の形態では、上記第1の実施形態と同様の作用・効果が得られることに加えて、X軸と平行な軸周り及びY軸と平行な軸周りの方向のそれぞれについて照明ユニットIUの位置を調整することができ、露光ユニットEUと照明ユニットIUとの相対位置をより高精度に調整することが可能である。
【0063】
なお、上記実施の形態では、照明ユニットIUを駆動装置62によってZ方向に駆動する構成としたが、これに限られるものではなく、例えばボルト・ナットやレベリングフット等を用いた機構により、照明ユニットIU内の光学指標を見ながら、それぞれ手動で高さ調整を実施してもよい。また、上記実施の形態では、位置検出センサ67により露光ユニットEUと照明ユニットIUとの距離を検出する構成としたが、その他の構成としては、露光光の光路の変位量を検出する検出装置を設け、検出した光路変位量に基づいて駆動装置62を駆動する構成としてもよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、X軸と平行な軸周りの方向に自由度を持って接続する構成、X軸と平行な軸周り及びY軸と平行な軸周りの方向に自由度を持って接続する構成の例を用いて説明したが、さらにZ軸と平行な軸周りの方向に自由度を持って露光ユニットEUと照明ユニットIUとを接続する構成であってもよい。この場合、XY平面と平行な少なくとも一方向に照明ユニットIUを駆動する駆動装置を設ければよい。
【0065】
また、上記実施の形態では、露光ユニットEUに接続する処理ユニットとして照明ユニットIUの例を用いて説明したが、他の処理装置、例えば露光ユニットEUに対してレチクルRやウエハW等の基板の搬送処理を行う搬送部に対して、少なくとも一方向に自由度を持って露光ユニットEUと接続する構成としてもよい。この場合、簡単な構成で露光ユニットと基板搬送部の相対位置を調整することができ、これらの相対位置ずれに起因する基板受け渡しミス等を防止することが可能になり、生産効率の向上にも寄与できる。
【0066】
なお、本実施の形態の基板としては、半導体デバイス用の半導体ウエハWのみならず、液晶ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
【0067】
露光ユニット(露光装置)EUとしては、レチクルRとウエハWとを同期移動してレチクルRのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニング・ステッパー;USP5,473,410)の他に、レチクルRとウエハWとを静止した状態でレチクルRのパターンを露光し、ウエハWを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパー)にも適用することができる。また、本発明はウエハW上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用可能である。
【0068】
露光ユニットEUの種類としては、ウエハWに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0069】
また、不図示の露光用光源として、超高圧水銀ランプから発生する輝線(g線(436nm)、h線(404.nm)、i線(365nm))、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)、Ar2レーザ(126nm)のみならず、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いることができる。例えば、電子線を用いる場合には電子銃として、熱電子放射型のランタンヘキサボライト(LaB6)、タンタル(Ta)を用いることができる。また、YAGレーザや半導体レーザ等の高調波などを用いてもよい。
【0070】
例えば、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域又は可視域の単一波長レーザを、例えばエルビウム(又はエルビウムとイットリビウムの両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、かつ非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を露光光として用いてもよい。なお、単一波長レーザの発振波長を1.544〜1.553μmの範囲内とすると、193〜194nmの範囲内の8倍高調波、即ちArFエキシマレーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られ、発振波長を1.57〜1.58μmの範囲内とすると、157〜158nmの範囲内の10倍高調波、即ちF2レーザとほぼ同一波長となる紫外光が得られる。
【0071】
また、レーザプラズマ光源、又はSORから発生する波長5〜50nm程度の軟X線領域、例えば波長13.4nm、又は11.5nmのEUV(Extreme Ultra Violet)光を露光光として用いてもよく、EUV露光装置では反射型レチクルが用いられ、かつ投影光学系が複数枚(例えば3〜6枚程度)の反射光学素子(ミラー)のみからなる縮小系となっている。
【0072】
投影光学系PLの倍率は、縮小系のみならず等倍系および拡大系のいずれでもよい。また、投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(レチクルRも反射型タイプのものを用いる)、また電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればよい。なお、電子線が通過する光路は、真空状態にすることはいうまでもない。
【0073】
ウエハステージWSTやレチクルステージRSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージWST、RSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
【0074】
各ステージWST、RSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニット(永久磁石)と、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージWST、RSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージWST、RSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージWST、RSTの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0075】
以上のように、本願実施形態の露光ユニットEUは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光ユニットEUへの組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光ユニットEUへの組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光ユニットEUへの組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光ユニット全体としての各種精度が確保される。なお、露光ユニットの製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0076】
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図7に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、シリコン材料からウエハを製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりレチクルのパターンをウエハに露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、静的な安定を維持しつつ、装置の大型化及び高価格化を招くことなく露光ユニットと処理ユニットとを容易に位置決めすることができる。また、本発明では、振動に起因する露光不良の発生を未然に防ぐことができるとともに、処理ユニットを安定した状態で設置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る露光システムの平面図であり、(b)は正面図である。
【図2】(a)は接続部の正面図であり、(b)は別形態の接続部の正面図である。
【図3】露光システムを構成する露光ユニットの概略構成図である。
【図4】露光ユニットを構成するウエハステージの外観斜視図である。
【図5】露光ユニットの制御ブロック図である。
【図6】別形態の露光システムを示す概略平面図である。
【図7】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
ES 露光システム
EU 露光ユニット(露光装置)
IU 照明ユニット(処理ユニット)
R レチクル(マスク)
W ウエハ(基板)
62 設置部(駆動装置)
63、63’ 接続部(接続装置)
64 駆動制御装置(制御装置)
67 位置検出センサ(位置検出装置)
Claims (14)
- マスクに形成されたパターンを基板上に露光する露光ユニットと、該露光ユニットと第1方向に離間して配置された処理ユニットとを有する露光システムであって、
前記露光ユニットと前記処理ユニットとを少なくとも前記第1方向に関して拘束するとともに、前記第1方向と異なる少なくとも1方向に自由度を持って接続する接続装置を有することを特徴とする露光システム。 - 請求項1記載の露光システムにおいて、
前記接続装置の前記第1方向の剛性は、前記露光ユニットの固有振動数に基づいて設定されることを特徴とする露光システム。 - 請求項1または2記載の露光システムにおいて、
前記接続装置は、前記自由度を有する方向に回転可能な回転継手と、前記自由度を有する方向に弾性変形可能な弾性部材との少なくともいずれか一方であることを特徴とする露光システム。 - 請求項1から3のいずれかに記載の露光システムにおいて、
前記自由度を有する方向は、前記第1方向と直交する第2方向を軸とする回転方向であることを特徴とする露光システム。 - 請求項4記載の露光システムにおいて、
前記第1方向と前記第2方向とは鉛直方向と直交する方向であることを特徴とする露光システム。 - 請求項1から5のいずれかに記載の露光システムにおいて、
前記露光ユニットと前記処理ユニットとを前記自由度を持つ方向に相対移動させる駆動装置を備えることを特徴とする露光システム。 - 請求項6記載の露光システムにおいて、
前記露光ユニットと前記処理ユニットとの相対位置を検出する検出装置と、
該検出装置の検出結果に基づいて前記駆動装置を制御する制御装置とを備えることを特徴とする露光システム。 - 請求項6または7記載の露光システムにおいて、
前記駆動装置は、前記接続装置の位置に基づいて配置されることを特徴とする露光システム。 - 請求項6から8のいずれかに記載の露光システムにおいて、
前記処理ユニットの重心が前記駆動装置と前記接続装置とで囲まれた範囲内にあることを特徴とする露光システム。 - 請求項1から9のいずれかに記載の露光システムにおいて、
前記処理ユニットは、前記露光ユニットに前記基板と、前記マスクとの少なくとも一方を搬送する搬送部を含むことを特徴とする露光システム。 - 請求項1から9のいずれかに記載の露光システムにおいて、
前記処理ユニットは、前記露光ユニットに露光光を導く照明光学系を含むことを特徴とする露光システム。 - 請求項11記載の露光システムにおいて、
前記駆動装置は、当該駆動装置の駆動に伴う前記露光光の光路の変位量に基づいて駆動されることを特徴とする露光システム。 - 請求項11または12に記載の露光システムにおいて、
前記第1の方向は、前記露光ユニットと前記処理ユニットとの間における前記照明光学系の光軸と平行であることを特徴とする露光システム。 - 請求項11から13のいずれかに記載の露光システムにおいて、
前記処理ユニットは、前記基板上に露光される前記パターンの露光領域を決定する可変視野絞りを含むことを特徴とする露光システム。
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JP2011007935A (ja) * | 2009-06-24 | 2011-01-13 | Shin-Etsu Chemical Co Ltd | ペリクルフレーム及びリソグラフィ用ペリクル |
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-
2003
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