JPWO2005010961A1 - 露光装置 - Google Patents
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Abstract
この露光装置は、レチクルと基板とを同期移動してレチクルのパターンを基板に露光する走査型露光装置であって、レチクルを照明するための露光光を射出する光源と、光源とレチクルとの間に設けられ、レチクルの移動に追従して移動する可動レチクルブラインドと、可動レチクルブラインドが配置される第1照明系ハウジングと、可動レチクルブラインドの移動により第1照明系ハウジングに伝達する振動を抑制又は除去する防振装置とを備えている。
Description
本発明は、マスクと基板とを同期移動してマスクのパターンを基板に露光する露光装置に関する。
本願は、2003年7月25日に出願された特願2003−279926号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
本願は、2003年7月25日に出願された特願2003−279926号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)上に形成されたパターンを、ウエハ等の感光性の基板上に転写するいわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、レチクルを支持するレチクルステージと基板を支持する基板ステージとを有し、レチクル上に形成されたパターンをレチクルステージ及び基板ステージを逐次移動しながら投影光学系を介して基板に転写するものである。露光装置としては、基板上にレチクルのパターン全体を同時に転写する一括型露光装置と、レチクルステージと基板ステージとを同期走査しつつレチクルのパターンを連続的に基板上に転写する走査型露光装置との2種類が主に知られている。走査型露光装置では、レチクルと基板とを同期移動しつつレチクル上のスリット状(矩形状)の照明領域を露光光で照明しレチクルのパターンを基板に露光するが、レチクル上のパターン形成領域以外の不要な部分の露光を防止するために、例えば、国際公開第99/63585号パンフレットに示すように、ブレード部材をレチクルと同期移動することでレチクル上の照明領域を制限する可動レチクルブラインドと呼ばれる遮光装置を備えたものがある。
ところで、露光処理のスループット向上の観点等からレチクルステージ及び基板ステージの移動の高速化及び高加速度化が求められており、これに伴って可動レチクルブラインドのブレード部材の移動も高速化及び高加速度化する必要がある。ところが、ブレード部材の高速化及び高加速度化に伴って振動が発生し、例えば照明光学系やこの照明光学系を支持する架台を振動させ、露光精度に影響を及ぼすという問題が生じるようになってきた。
ところで、露光処理のスループット向上の観点等からレチクルステージ及び基板ステージの移動の高速化及び高加速度化が求められており、これに伴って可動レチクルブラインドのブレード部材の移動も高速化及び高加速度化する必要がある。ところが、ブレード部材の高速化及び高加速度化に伴って振動が発生し、例えば照明光学系やこの照明光学系を支持する架台を振動させ、露光精度に影響を及ぼすという問題が生じるようになってきた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、光源とレチクル(マスク)との間に配置される可動レチクルブラインド等の移動体の移動により振動が生じても露光精度に与える影響を抑制できる露光装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、実施の形態に示す図1〜図13に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の第1の態様は、マスク(R)と基板(P)とを同期移動してマスク(R)のパターンを基板(P)に露光する露光装置(EX)であって、マスク(R)を照明するための照明光(EL)を射出する光源(1)とマスク(R)との間に設けられ、マスク(R)の移動に追従して移動する移動体(50、52、54)と、移動体(50、52、54)が配置される第1架台(6、59)と、移動体(50、52、54)の移動により第1架台(6、59)に伝達する振動を抑制又は除去する防振装置(20)とを備える。
本態様によれば、光源とマスクとの間に配置される移動体の移動により第1架台に伝達する振動を抑制又は除去する防振装置を設けたので、この第1架台の振動に起因する露光精度の劣化を抑え、精度良い露光処理を行うことができる。そして、振動を抑制することで移動体の移動を高速化及び高加速度化できるので露光処理のスループットを向上することができる。
また、本発明の第2の態様は、マスクと基板とを移動して、前記マスクのパターンを前記基板に露光する露光装置であって、前記マスクの照明領域を規定し、移動可能な第1移動体と、前記第1移動体の移動に応じて、前記第1移動体の移動方向と反対方向に移動する第2移動体とを備える。
また、本発明の第3の態様は、パターンが形成されたマスクを照明する照明装置であって、前記マスクの照明領域を規定し、移動可能な第1移動体と、前記第1移動体の移動に応じて、前記第1移動体の移動方向と反対方向に移動する第2移動体とを備える。
上記の課題を解決するために、本発明は、実施の形態に示す図1〜図13に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の第1の態様は、マスク(R)と基板(P)とを同期移動してマスク(R)のパターンを基板(P)に露光する露光装置(EX)であって、マスク(R)を照明するための照明光(EL)を射出する光源(1)とマスク(R)との間に設けられ、マスク(R)の移動に追従して移動する移動体(50、52、54)と、移動体(50、52、54)が配置される第1架台(6、59)と、移動体(50、52、54)の移動により第1架台(6、59)に伝達する振動を抑制又は除去する防振装置(20)とを備える。
本態様によれば、光源とマスクとの間に配置される移動体の移動により第1架台に伝達する振動を抑制又は除去する防振装置を設けたので、この第1架台の振動に起因する露光精度の劣化を抑え、精度良い露光処理を行うことができる。そして、振動を抑制することで移動体の移動を高速化及び高加速度化できるので露光処理のスループットを向上することができる。
また、本発明の第2の態様は、マスクと基板とを移動して、前記マスクのパターンを前記基板に露光する露光装置であって、前記マスクの照明領域を規定し、移動可能な第1移動体と、前記第1移動体の移動に応じて、前記第1移動体の移動方向と反対方向に移動する第2移動体とを備える。
また、本発明の第3の態様は、パターンが形成されたマスクを照明する照明装置であって、前記マスクの照明領域を規定し、移動可能な第1移動体と、前記第1移動体の移動に応じて、前記第1移動体の移動方向と反対方向に移動する第2移動体とを備える。
図1は、本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図2は、可動レチクルブラインドの概略を示す平面図である。
図3は、可動レチクルブラインドの概略を示す側面図である。
図4は、本発明に係る防振装置の一実施形態を示す平面図である。
図5は、固定レチクルブラインドの概略を示す図である。
図6は、マスクと可動レチクルブラインド及び固定レチクルブラインドにより設定された照明領域との関係を示す模式図である。
図7は、本発明に係る防振装置の他の実施形態を示す側面図である。
図8は、図7の平面図である。
図9は、調整装置の一部を構成する計測装置の一実施形態を示す図である。
図10は、本発明に係る防振装置の他の実施形態を示す側面図である。
図11は、本発明に係る防振装置の他の実施形態を示す平面図である。
図12は、本発明に係るの防振装置の他の実施形態を示す側面図である。
図13は、半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
図2は、可動レチクルブラインドの概略を示す平面図である。
図3は、可動レチクルブラインドの概略を示す側面図である。
図4は、本発明に係る防振装置の一実施形態を示す平面図である。
図5は、固定レチクルブラインドの概略を示す図である。
図6は、マスクと可動レチクルブラインド及び固定レチクルブラインドにより設定された照明領域との関係を示す模式図である。
図7は、本発明に係る防振装置の他の実施形態を示す側面図である。
図8は、図7の平面図である。
図9は、調整装置の一部を構成する計測装置の一実施形態を示す図である。
図10は、本発明に係る防振装置の他の実施形態を示す側面図である。
図11は、本発明に係る防振装置の他の実施形態を示す平面図である。
図12は、本発明に係るの防振装置の他の実施形態を示す側面図である。
図13は、半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の各実施例に限定されるものではなく、例えば、これら実施例の構成要素同士を適宜組み合わせてもよい。
図1は、本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、レチクル(マスク)Rを支持するレチクルステージRSTと、感光性の基板Pを支持する基板ステージPSTと、レチクルRを照明するための光束を射出する光源1と、光源1からの光束を露光光ELに変換し、レチクルステージRSTに支持されたレチクルRを露光光ELで照明する照明光学系IOPと、露光光ELで照明されたレチクルRのパターンの像を基板ステージPSTに支持された基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。レチクルRを介して露光光ELで基板Pを露光する本体部Sを構成する照明光学系IOPの一部である第2部分照明光学系IOP2、レチクルステージRST、投影光学系PL、及び基板ステージPSTなどは本体コラム(第2架台)10に支持されている。
本実施形態では、露光装置EXとしてレチクルRと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつレチクルRに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。
以下の説明において、水平面内においてレチクルRと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をY軸方向、水平面内においてY軸方向と直交する方向(非走査方向)をX軸方向、X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわり方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は、半導体ウエハ又はガラスプレート上にレジストを塗布したものを含む。
光源1としては、ここでは波長192〜194nmの間で酸素の吸収帯を避けるように狭帯化されたパルス紫外光を出力するArFエキシマレーザ光源が用いられており、この光源1の本体は、防振ユニット1Aを介して半導体製造工場のクリーンルーム内の床面FD上に設置されている。なお、光源1として、波長248nmのパルス紫外光を出力するKrFエキシマレーザ光源あるいは波長157nmのパルス紫外光を出力するF2レーザ光源等を用いても良い。また、光源1をクリーンルームよりクリーン度が低い別の部屋(サービスルーム)、あるいはクリーンルームの床下に設けられるユーティリティスペースに設置しても構わない。
照明光学系IOPは、光源1とレチクルステージRST(レチクルR)との間に設けられた第1部分照明光学系IOP1と第2部分照明光学系IOP2との2部分から構成されている。第1部分照明光学系IOP1は、第1照明系ハウジング(第1架台)6を有し、第2部分照明光学系IOP2は、第2照明系ハウジング(第2架台)8を有している。ここで、第1、第2照明系ハウジング6、8は部分照明光学系を収納する筐体及び鏡筒を含む。
第1部分照明光学系IOP1の第1照明系ハウジング6は、床面FDに水平に載置された装置の基準となるベースプレート(フレームキャスタ)BP上に防振ユニット5を介して設置されている。第2部分照明光学系IOP2(第2照明系ハウジング8)は、本体コラム10を構成する第2支持コラム14によって下方から支持されている。
光源1は、遮光性のベローズ及びパイプを介してビームマッチングユニットBMUの一端(入射端)に接続されており、このビームマッチングユニットBMUの他端(射出端)は、内部にリレー光学系を内蔵したパイプ2を介して照明光学系IOPの第1部分照明光学系IOP1に接続されている。ビームマッチングユニットBMU内にはリレー光学系や複数の可動反射鏡等が設けられており、これらの可動反射鏡等を用いて光源1から入射する狭帯化されたパルス紫外光(ArFエキシマレーザ光)の光路を第1部分照明光学系IOP1との間で位置的にマッチングさせている。
第1部分照明光学系IOP1の第1照明系ハウジング6内には、可変減光器、ビーム整形光学系、オプティカルインテグレータ、集光光学系、及びリレーレンズ系等が所定の位置関係で配置されている。光源1からのパルス紫外光がビームマッチングユニットBMU及びリレー光学系を介して第1部分照明光学系IOP1内に入射すると、このパルス紫外光は、可変減光器のNDフィルタにより所定のピーク強度に調整された後、ビーム整形光学系により、オプティカルインテグレータに効率よく入射するようにその断面形状が整形される。次いで、このパルス紫外光がオプティカルインテグレータに入射すると、射出端側に面光源、すなわち多数の光源像(点光源)から成る2次光源が形成される。これらの多数の点光源の各々から発散するパルス紫外光は、露光光ELとして可動レチクルブラインド50に到達する。
可動レチクルブラインド(移動体)50は、レチクルRに対する露光光ELの照明領域を規制する可動ブレード(可動遮光部材、移動体)52、54を備えており、ブラインドハウジング部(移動体ハウジング部)59内に収容されている。可動レチクルブラインド50及びこれを収容したブラインドハウジング部59は、第1照明系ハウジング6の射出端部近傍に取り付けられている。可動レチクルブラインド50の可動ブレード52、54は、レチクルRのパターン形成面(パターン面)とほぼ共役な位置に配置されている。そして、第1照明系ハウジング6とブラインドハウジング部59との間に防振装置20が設けられている。
図2は、可動レチクルブラインド50を+Z側から見た平面図、図3は側断面図である。
可動レチクルブラインド50は、第1照明系ハウジング6上にX方向に間隔をあけて配置され、走査方向であるY軸方向に延在する一対のYガイド51と、X軸方向に延在し、一端側がYガイド51に沿ってそれぞれY方向に移動自在なY可動ブレード(可動遮光部材)52と、Yガイド51のY軸方向両端側に設けられ、X軸方向に延在する一対のXガイド53と、Y軸方向に延在し、一端側がXガイド53に沿ってそれぞれX方向に移動自在なX可動ブレード(可動遮光部材)54とを備えている。Xガイド53のガイド面には非接触ベアリングであるエアベアリング53Aが設けられており、エアベアリング53AによりX可動ブレード54がXガイド53に対して非接触支持されている。また、X可動ブレード54の一端部にはリニアモータ56の一部を構成する可動子56Aが設けられ、この可動子56Aに対応して、Xガイド53に並ぶ位置にX軸方向に延在する固定子56Bが設けられている。ここで、リニアモータ56は、可動子56Aを磁石ユニットとし固定子56Bをコイルユニットとする所謂ムービングマグネット型リニアモータでもよいし、可動子56Aをコイルユニットとし固定子56Bを磁石ユニットとするムービングコイル型リニアモータでもよい。同様に、Yガイド51のガイド面には非接触ベアリングであるエアベアリング51Aが設けられており、エアベアリング51AによりY可動ブレード52がYガイド51に対して非接触支持されている。そして、Y可動ブレード52の一端部にはリニアモータ55の一部を構成する可動子55Aが設けられ、この可動子55Aに対応して、Yガイド51に並ぶ位置にY軸方向に延在する固定子55Bが設けられている。本実施形態において、リニアモータ55、56の固定子55B、56B、及びガイド51、53は、ブラインドハウジング部59の内壁面59Bに固定されている。また、ブラインドハウジング部59には不図示のエンコーダが設けられ、可動ブレード52、54に設けられたリニアスケールを読んで位置検出し、制御装置CONTに出力する。制御装置CONTはリニアモータ55、56を介して可動ブレード52、54を駆動することで、露光光ELが通過する光路を規制する矩形開口部Kの大きさを調整する。また、制御装置CONTは、走査露光時において、後述するレチクルレーザ干渉計の検出信号に基づきレチクルRの移動に追従してY可動ブレード52を移動し、レチクルR上の照明領域を規制するための矩形開口部KをレチクルRの移動に追従させる。
なお、走査露光中において、駆動される可動ブレードは主にスキャンブレードであるY可動ブレード52であって、非スキャンブレードであるX可動ブレード54は、非走査方向(X軸方向)に関するレチクルRのパターン形成領域の幅に応じて照明領域の大きさを設定するために、走査露光に先立って駆動されるだけである。したがって、このX可動ブレード54を駆動するために、リニアモータを用いずに例えば超音波モータ等の静止保持力を有するアクチュエータを用いるようにしてもよい。また、X可動ブレード54、Y可動ブレード52ともに、2枚のブレードを別々のガイド上で駆動しているが、共通のガイドにリニアモータを配置して2枚のブレードを駆動するように構成してもよい。
防振装置20は、可動レチクルブラインド50を収容するブラインドハウジング部59と、第1照明系ハウジング6との間に配置されている。本実施形態において、防振装置20は、緩衝材であるエアパッド(エアマウント)21により構成されている。図4に示すように、エアパッド21は、第1照明系ハウジング6の上端面6Aに沿って環状に配置されている。なお、本実施形態において、第1照明系ハウジング6の内部空間(露光光ELの光路)6Bは矩形状に形成されているが、円形状であってもよい。エアパッド21には圧力調整装置21Aが接続されており、制御装置CONTは、圧力調整装置21Aを制御することでエアパッド21の内圧を調整可能である。緩衝材としてのエアパッド21を、可動レチクルブラインド50を収容したブラインドハウジング部59と第1照明系ハウジング6との間に設けたことにより、可動ブレード52、54の移動により生じる振動が第1照明系ハウジング6に伝達することを抑制することができる。つまり、エアパッド21により、可動ブレード52、54の移動に伴う反力が、第1照明系ハウジング6に伝達することを抑制することができる。なお、防振装置20を構成する緩衝材として、エアパッド21の代わりにゴム等の弾性体を配置してもよい。あるいは、エアパッド21とゴム等の弾性体とを組み合わせて配置してもよい。
第2部分照明光学系IOP2は、第2照明系ハウジング8内に所定の位置関係で収納された固定レチクルブラインド(固定視野絞り)80、レンズ、ミラー、リレーレンズ系、及びコンデンサレンズ系等を備えている。固定レチクルブラインド80は、第2照明系ハウジング8の入射端部近傍のレチクルRのパターン形成面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上の照明領域を規定する矩形状(スリット状)の開口部81を有している。上述したように、第2部分照明光学系IOP2は本体部Sの一部を構成しており、可動レチクルブラインド50よりもレチクルR側に配置された構成となっている。
図5は固定レチクルブラインド(固定視野絞り)80の平面図である。固定レチクルブラインド80は、投影光学系PLの円形視野内の中央で走査露光時のレチクルRの移動方向(Y軸方向)と直交するX軸方向に直線状に延びたスリット状(矩形状)の開口部81を有している。なお、固定レチクルブラインド80の代わりに、矩形状の開口部を有するとともに、開口部の形状を任意の形に調整できる可変スリット装置を設けてもよい。
なお、固定レチクルブラインド80の配置面をレチクルRのパターン形成面に対する共役面から僅かにデフォーカスするのは、走査型露光装置、特にパルス光を露光光ELとする装置では、走査方向に関するパルス紫外光のレチクルR上での照明領域内の照度分布を台形状(すなわち両端でそれぞれスロープを持つ形状)とし、走査露光時の基板P上の各ショット領域内の積算光量の分布がほぼ均一になるようにするためであり、また、固定レチクルブラインド80のエッジ部が一部欠けていたり、正確に真直に形成されていないおそれもあるので、これらの影響を軽減するためにレチクルRのパターン形成領域上の照明領域の周縁部を適度にぼかすためである。
可動レチクルブラインド50の可動ブレード52、54で形成される矩形開口部Kを通過したパルス紫外光は、固定レチクルブラインド80の開口部81を一様な強度分布で照明する。固定レチクルブラインド80の開口部81を通過したパルス紫外光は、レンズ、ミラー、リレーレンズ系、及びコンデンサレンズ系などを経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の所定の照明領域(X軸方向に直線的に伸びたスリット状又は矩形状の照明領域)を均一な照度分布で照明する。
図1に戻って、第1部分照明光学系IOP1の第1照明系ハウジング6及びブラインドハウジング部59と、第2部分照明光学系IOP2の第2照明系ハウジング8及び本体コラム10とは、振動に関して独立している。本実施形態では、ブラインドハウジング部59と第2照明系ハウジング8とは僅かに離間して物理的に分離されている。なお、ブラインドハウジング部59と第2照明系ハウジング8との間に、両者の相対変位を可能にし、且つその内部を外気に対して気密状態にすることが可能な接続部材としての伸縮自在の蛇腹状部材を介して接合してもよい。こうすることにより、可動レチクルブラインド50の駆動に起因して露光動作中にブラインドハウジング部59に生じる振動が本体コラム10に支持された第2部分照明光学系IOP2に伝達されることを防止することができる。
本体コラム10は、ベースプレートBP上に設けられた複数本(ここでは4本)の支持部材11A〜11D(但し、紙面奥側の支柱11C、11Dは図示省略)及びこれらの支持部材11A〜11Dの上部にそれぞれ固定された防振ユニット13A〜13D(但し、図1においては紙面奥側の防振ユニット13C、13Dは図示せず)を介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤16と、この鏡筒定盤16の下面から下方に吊り下げられた吊り下げコラム18と、鏡筒定盤16上に設けられた第1、第2支持コラム12、14とを備えている。
鏡筒定盤16は、鋳物等で構成されており、その中央部に平面視円形の開口が形成され、その内部に投影光学系PLがその光軸方向をZ軸方向として上方から挿入されている。投影光学系PLの鏡筒部の外周部には、該鏡筒部に一体化されたフランジFLGが設けられている。このフランジFLGの素材としては、低熱膨張の材質、例えばインバー(Inver;ニッケル36%、マンガン0.25%、及び微量の炭素と他の元素を含む鉄からなる低膨張の合金)が用いられており、このフランジFLGは、投影光学系PLを鏡筒定盤16に対して点と面とV溝とを介して3点で支持するいわゆるキネマティック支持マウントを構成している。
吊り下げコラム18は、基板ベース定盤60と、基板ベース定盤60をほぼ水平に吊り下げ支持する4本の吊り下げ部材61とを備えている。また、第1支持コラム12は、鏡筒定盤16の上面に投影光学系PLを取り囲んで設けられた4本の脚65(紙面奥側の脚は図示省略)と、これら4本の脚65によってほぼ水平に支持されたレチクルベース定盤63とを備えている。同様に、第2支持コラム14は、鏡筒定盤16の上面に、第1支持コラム12を取り囲む状態で設けられた4本の支柱62(紙面奥側の支柱は図示省略)と、これら4本の支柱62によってほぼ水平に支持された天板64とによって構成されている。この第2支持コラム14の天板64によって、前述した第2部分照明光学系IOP2が支持されている。
レチクルステージRSTは、本体コラム14を構成する第1支持コラム12を構成するレチクルベース定盤63上に配置されている。レチクルステージRSTは、例えば磁気浮上型の2次元リニアアクチュエータ等から成るレチクルステージ駆動系によって駆動され、レチクルRをレチクルベース定盤63上でY軸方向に大きなストロークで直線駆動するとともに、X軸方向とθZ方向に関しても微小駆動が可能な構成となっている。
レチクルステージRSTの一部には、その位置や移動量を計測するための位置検出装置であるレチクルレーザ干渉計70からの測長ビームを反射する移動鏡71が取り付けられている。レチクルレーザ干渉計70は、レチクルベース定盤63に固定され、投影光学系PLの上端部側面に固定された固定鏡72を基準として、レチクルステージRST(すなわちレチクルR)のθZ回転を含むXY面内の位置を検出する。
レチクルレーザ干渉計70によって計測されるレチクルステージRST(レチクルR)の位置情報(又は速度情報)は、制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レチクルレーザ干渉計70から出力される位置情報(或いは速度情報)が指令値(目標位置、目標速度)と一致するように(具体的には基板ステージPSTと追従するように)レチクルステージ駆動系を制御する。
投影光学系PLとしては、ここでは、物体面(レチクルR)側及び像面(基板P)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や螢石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)のみから成る1/4、1/5、又は1/6縮小倍率の屈折光学系が使用されている。このため、レチクルRにパルス紫外光が照射されると、レチクルR上のパターン形成領域のうちパルス紫外光によって照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、そのパターンの部分倒立像がパルス紫外光の各パルス照射の度に投影光学系PLの像面側の円形視野の中央に矩形状(スリット状)に制限されて結像される。これにより、投影されたパターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置された基板P上の複数のショット領域のうちの1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
基板ステージPSTは、前述した吊り下げコラム18を構成する基板ベース定盤60上に配置され、例えば磁気浮上型の2次元リニアアクチュエータ等から成る基板ステージ駆動系によってXY面内で自在に駆動されるようになっている。基板ステージPSTは、基板ホルダPHを介して基板Pを真空吸着等により保持する。基板ステージPSTのXY位置及び回転量(ヨーイング量、ローリング量、ピッチング量)は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡75を基準として基板ステージPSTの一部に固定された移動鏡74の位置変化を計測する基板レーザ干渉計73によって所定の分解能でリアルタイムに計測される。この基板レーザ干渉計73の計測値は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、基板レーザ干渉計73の計測結果に基づいて、基板ステージ駆動系を制御する。
次に、上述した構成を有する露光装置EXの動作について説明する。
基板ステージPST上に基板Pが搬送され、フォーカス調整が終了すると、不図示のアライメント系を用いてレチクルRと基板Pとの位置決め(アライメント)が行われる。このようにして、基板Pの露光のための準備動作が終了すると、制御装置CONTは、アライメント結果に基づいて基板レーザ干渉計73の計測値をモニタしつつ基板ステージ駆動系を制御して基板P上に設定されたショット領域を露光するための走査開始位置に基板ステージPSTを移動する。
そして、制御装置CONTは、レチクルステージ駆動系及び基板ステージ駆動系を介してレチクルステージRST及び基板ステージPSTのY軸方向の走査を開始する。両ステージRST、PSTがそれぞれの目標走査速度に達すると、制御装置CONTは、パルス紫外光である露光光ELによりレチクルRのパターン形成領域に対する照明を開始する。
なお、この走査露光の開始に先立って、光源1の発光は開始されているが、図6の模式図に示すように、制御装置CONTは可動レチクルブラインド50の各可動ブレード52(54)を移動することで開口部K(照明領域IA)をレチクルステージRST(すなわちレチクルR)に対して同期移動させているため、レチクルR上のパターン形成領域PA外への露光光ELの照射が遮光される。図6に示す例では、レチクルRのパターン形成領域PAの周囲に遮光帯MBが設けられており、可動レチクルブラインド50の開口部Kで設定される照明領域IAは遮光帯MBに応じた大きさを有し、固定レチクルブラインド80の開口部81で設定される照明領域IBはX軸方向に延在するスリット状である。
制御装置CONTは、走査露光時にレチクルステージRSTのY軸方向の移動速度と基板ステージPSTのY軸方向の移動速度とが投影光学系PLの投影倍率に応じた速度比に維持されるようにレチクルステージ駆動系及びウエハステージ駆動系を介してレチクルステージRST及び基板ステージPSTを同期移動する。走査露光中においても、制御装置CONTは、可動レチクルブラインド50の可動ブレード52を駆動し、開口部K(照明領域IA)をレチクルRに追従するように移動する。可動ブレード52が移動することにより振動が発生しても、ブラインドハウジング部59と第1照明系ハウジング6との間に緩衝材であるエアパッド21が介在されていることにより、第1照明系ハウジング6に対する振動の伝達は抑制される。そして、レチクルRのパターン形成領域PAが露光光ELで逐次照明され、パターン形成領域PA全面に対する照明が完了することにより、基板P上のショット領域に対する走査露光が終了する。
以上説明したように、照明光学系IOP内に配置された可動ブレード52(54)の移動により第1照明系ハウジング6に伝達する振動を緩衝材であるエアパッド21で抑制するようにしたので、第1照明系ハウジング6(第1部分照明光学系IOP1)の振動に起因する露光精度の劣化を防止することができる。そして、振動を抑制することで可動ブレード52(54)の移動を高速化及び高加速度化でき、レチクルステージRST及び基板ステージPSTの走査移動速度及び加速度を向上できるので、露光処理のスループットを向上することができる。また、防振装置20をエアパッド21あるいはゴム等の弾性体で構成することで、安価且つ簡易な構成で第1照明系ハウジング6に伝達する振動を抑制することができる。
また、ブラインドハウジング部59は、第1照明系ハウジング6に対してYX方向に微動可能に保持されているため、運動量保存の法則により、可動ブレード52(54)に接続する可動子56Aの+X方向(又は−X方向)の移動に応じて固定子56B及びブラインドハウジング部59全体が−X方向(又は+X方向)に微少量移動する。この固定子56B及びブラインドハウジング部59全体の移動により、可動ブレード52(54)の移動に伴う反力が相殺される。つまり、本実施形態において、固定子56B及びブラインドハウジング部59全体が、可動ブレード52(54)が移動するときの反力を受けるカウンタマスとなっている。なお、固定子56B及びブラインドハウジング部59全体の移動により可動ブレード52(54)の位置に微少量の誤差が生じる場合は、その分を予め求めておき、可動ブレードの駆動指令信号にフィードフォワードすればよい。
なお、本実施形態では、第1照明系ハウジング6を第1架台として説明したが、この第1照明系ハウジング6を支持する架台を設けた場合、防振装置20は、この架台に対する振動の伝達を抑制あるいは除去することができる。
なお、上記実施形態において、エアパッド21は環状(無端状)に設けられているが、複数のエアパッド21を第1照明系ハウジング6とブラインドハウジング部59との間に島状に(離散的に)配置してもよい。こうすることにより、複数のエアパッド21それぞれの内圧を個別に調整することで、ブラインドハウジング部59と第1照明系ハウジング6との位置関係(第1照明系ハウジング6に対するブラインドハウジング部59の傾斜方向の姿勢)を調整することができる。
なお、上記実施形態において、Y可動ブレード52は、Y軸方向に移動し、X可動ブレード54はX軸方向に移動するように説明したが、これら可動ブレード52、54が回転方向(θZ方向)に微動可能であってもよい。また、固定レチクルブラインド80の開口部81がθZ方向に回転可能であってもよい。これにより、走査露光中にレチクルRに位置ずれが生じた場合でも、開口部Kや開口部81をレチクルRに対して正確に追従移動させることができる。
上記実施形態において、移動体は、可動レチクルブラインド50に限定されない。例えば、走査露光中に、レチクルRに対する露光光ELの照度調整や照明光学系IOPの光学特性調整のためにフィルタ装置を駆動(移動)する場合があるが、このフィルタ装置の移動により照明系ハウジングに伝達する振動を抑制又は除去するために、本発明を適用することができる。すなわち、光源1とレチクルRとの間に設けられた移動体の移動に起因して発生する振動の全てに対して本発明を適用可能である。
以下、本発明の他の実施形態について図7及び図8を参照しながら説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図7及び図8に示すように、防振装置20は、第1照明系ハウジング6とブラインドハウジング部59との間において複数(4箇所)の所定位置にそれぞれ設けられたピエゾ素子22と、これら複数のピエゾ素子22どうしの間に設けられた複数のエアパッド21とを備えている。また、ブラインドハウジング部59の複数の所定位置には、振動センサ(加速度センサ)23が取り付けられている。
この振動センサ23の役割について以下に説明する。例えば、床面FDから第1照明系ハウジング6を介してブラインドハウジング部59に伝達される振動や、可動ブレード52、54を駆動するための信号をリニアモータ55、56に与える信号ケーブルのテンション等によって、理想的な推力を可動ブレード52、54に対して与えられない場合がある。例えば推力が大きすぎてしまった場合、ブラインドハウジング部59は、所定の値以上に振動してしまう。振動センサ23は、このような所定値以上の振動を検出し、制御装置CONTに信号を送る。制御装置CONTは、振動センサ23が所定の許容値以上の振動を検出したときピエゾ素子22のそれぞれに対して振動センサの検出結果に基づいた駆動電圧を印加し、それぞれのピエゾ素子22を変位させる。これによって、所望の推力が可動ブレード52、54に与えられ、可動ブレード52、54を高精度に駆動することが可能となる。
なお、ここではピエゾ素子22を用いているが、もちろん、ピエゾ素子22以外の任意の防振用アクチュエータを用いることができる。また、ここではピエゾ素子22を4つ設けているが、少なくとも3つ設けられていればよい。
また、図9に示すように、第1照明系ハウジング6に対するブラインドハウジング部59の位置を計測する計測装置100を設けることができる。計測装置100は、ブラインドハウジング部59の+X側の側面において外方に突設されたL字状部材163の−Z側の面(この面はXY面にほぼ平行な面である)に固定された金属板160Aと、L字状部材163の+X側の面(この面はYZ面にほぼ平行な面である)に固定された金属板160Bと、これら金属板160A、160Bにそれぞれ対向して第1照明系ハウジング6の+X側の側面の外方に突設されたL字状取付部材162に取り付けられた2つの渦電流変位センサ161A、161Bとを備えている。渦電流変位センサ161A、161Bでは、絶縁体に巻いたコイルに交流電圧を加えておき、導電体からなる測定対象(この場合、金属板)に近づけると、コイルによって作られた交流磁界によって導電体に渦電流が発生する。この渦電流によって発生する磁界は、コイルの電流によって作られた磁界と逆方向であり、これら2つの磁界が重なりあって、コイルの出力に影響を与え、コイルを流れる電流の強さ及び位相が変化する。この変化は、測定対象がコイルに近いほど大きくなり、逆に遠いほど小さくなるので、コイルから電気信号を取り出すことにより、測定対象の位置、変位を知ることができる。したがって、渦電流変位センサ161A、161Bを用いれば、両者が静止状態にあるときでも測定対象の位置、変位の計測が可能、すなわち絶対距離の計測が可能である。
制御装置CONTは、計測装置100の計測結果に基づいて、ピエゾ素子22を駆動する。こうすることにより、外乱によって可動ブレード52、54の移動精度が悪化することがなく、精度良く可動ブレード52、54を駆動することができる。つまり、エアパッド21のみを第1照明系ハウジング6とブラインドハウジング部59との間に配置した場合、ブラインドハウジング部59から第1照明系ハウジング6へ伝達する振動を抑制することは可能であるが、外乱の影響によって可動レチクルブラインド50の位置(姿勢)が変位する可能性がある。この場合、レチクルR上で照明領域を所望状態に規定することができなくなる可能性が生じる。しかしながら、ピエゾ素子(アクチュエータ)22を使って、ブラインドハウジング部59の過剰な振動を除去することで、外乱の影響を抑制しつつ、レチクルR上で照明領域を所望状態に規定することができる。
なお、本実施形態において、制御装置CONTは、第1照明系ハウジング6に対するブラインドハウジング部59の位置を計測装置100で計測し、この計測結果に基づいてピエゾ素子22を駆動しているが、ブラインドハウジング部59(第1照明系ハウジング6)に対する第2照明系ハウジング8の位置を計測装置100で計測し、この計測結果に基づいてピエゾ素子22を駆動するようにしてもよい。
なお、制御装置CONTは、振動センサ23や計測装置100の検出信号に基づいて、ブラインドハウジング部59のベースプレートBP及び第2照明系ハウジング8に対する位置ずれを検出し、その検出結果を可動ブレード52(54)の位置制御にフィードバックしてもよい。これによって、第2照明系ハウジング8に対して第1照明系ハウジング6がずれたとしても、高精度に可動ブレード52(54)をレチクルRに追従させることができる。また、第2照明系ハウジング8に対する第1照明系ハウジング6の位置ずれを直接計測する計測装置を別個に設け、この計測装置からの検出信号を可動ブレード52(54)の位置制御にフィードバックしてもよい。
図10は、本発明の他の実施形態を示す図である。本実施形態において、エアパッド21は設けられておらず、ブラインドハウジング部59と第1照明系ハウジング6とは接続され、ブラインドハウジング部59は第1照明系ハウジング6の一部を構成している。そして、可動ブレード54(52)を駆動するリニアモータ56(55)の固定子56B(55B)は、非接触ベアリングであるエアベアリング25により、ブラインドハウジング部59の内壁面59Bに対して非接触支持されている。このため、運動量保存の法則により可動ブレード54に接続する可動子56Aの+X方向(又は−X方向)の移動に応じて固定子56Bが−X方向(+X方向)に移動する。この固定子56Bの移動により可動ブレード54の移動に伴う反力が相殺される。つまり、本実施形態において、固定子56Bが、可動ブレード54が移動するときの反力を受けるカウンタマスとなっている。これにより、可動ブレード54の移動により第1照明系ハウジング6(ブラインドハウジング部59)に伝達する振動を抑制することができる。
なお、固定子56B(55B)をカウンタマスとすることで、エアパッド(緩衝材)21やアクティブ防振のためのピエゾ素子22を設けない構成であっても防振効果を得ることができるが、カウンタマスとエアパッド(あるいはピエゾ素子)とを組み合わせることもできる。また、固定子55Bも内壁面59Bに対して非接触支持されており、カウンタマスとしての機能を有している。
図11は、本発明の他の実施形態を示す模式図である。
図11において図2に示す部材と同じ部材には同一の符号を付している。本実施形態は、図2に示す実施形態に対して、可動ブレードが移動するときの反力を受けるカウンタマスの機能を有する2つのバランサー90を加えたものである。図11に示すように、バランサー90はY方向に延びるリニアモータ91上に設けられており、リニアモータ91上を移動可能である。2つのリニアモータ91は、一対のリニアモータ55から同じ距離だけ離れて配置されている。このバランサー90は、制御装置CONTによって駆動が制御され、可動ブレード52の移動に伴って、その移動方向とは逆方向に移動する。可動ブレード52の重さに対してバランサー90の重さを4倍に設定すると、可動ブレード52の移動距離に対してバランサー90の移動距離を1/4にすることができる。バランサー90及びリニアモータ91は、それぞれブラインドハウジング部59内に設けられているので、可動ブレード52の移動に伴う反力はブラインドハウジング部59内で相殺され、第1照明系ハウジング6への伝達を抑制することができる。
なお、ブラインドハウジング部59内のスペースの関係で、例えば片側のリニアモータ91をX方向に沿ってリニアモータ55に近づけることも可能である。この場合、近づけた方のバランサー90の推力を、リニアモータ55からの距離に比例して大きくする必要がある。
また、バランサー90の重量を変えることができない場合は、バランサー90の加速度を変えて可動プレート52の反力を相殺するようにバランサー90が発生する推力を調整すればよい。
なお、図11に示す実施例では、2つの可動プレート52に対してそれぞれYガイド51およびリニアモータ55を設けているが、Yガイド51及びリニアモータ55の固定子55部を共用してもよい。具体的には、図11の上側のYガイド51と固定子55Bとを省略して、下側のYガイド51で2つの可動ブレード52をガイドするとともに、2つの可動プレート52を駆動する際に、図11の下側のリニアモータの固定子55Bを共用すればよい。この場合、図11の上側のバランサー90に与える推力は、下側のリニアモータ55から距離に比例して小さくすればよい。
図12は、本発明の他の実施形態を示す模式図である。図12において、リニアモータ56(55)の固定子56B(55B)はブラインドハウジング部59の内壁面59Bに対して離間しており、支持部材28を介して床面FD(あるいはベースプレートBP)に支持されている。すなわち、ブラインドハウジング部59及びこれに接続する第1照明系ハウジング6と、固定子56Bを支持する支持部材28とが振動に関して分離(独立)しており、可動ブレード54に接続する可動子56Aの移動に伴う反力は、床面FD(ベースプレートBP)に伝達されるようになっている。このように、可動ブレード54(52)の移動に伴う反力を、第1照明系ハウジング6(ブラインドハウジング部59)に対して振動的に分離された床面FDに逃がすことにより、第1照明系ハウジング6に振動が伝達されるのを防止することができる。ここで、第1照明系ハウジング6はベースプレートBPに対して防振ユニット5を介して支持されているため、支持部材28を介して床面FD(あるいはベースプレートBP)に逃がした振動は第1照明系ハウジング6に伝達されない。
なお、上記各実施形態において、露光装置EXの用途としては半導体製造用の露光装置や、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置に限定されることなく、薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(マスクも反射型タイプのものを用いる)、また、電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればいい。なお、電子線が通過する光路は真空状態にすることはいうまでもない。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
ステージの駆動装置として平面モータを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
本実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。
各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイスは、図13に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板(ウエハ、ガラスプレート)を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりマスクのパターンを感光基板Pに露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
産業上の利用の可能性
本発明は、マスクと基板とを同期移動して、前記マスクのパターンを前記基板に露光する露光装置であって、前記マスクを照明するための照明光を射出する光源と前記マスクとの間に設けられ、前記マスクの移動に追従して移動する移動体と、前記移動体が配置される第1架台と、前記移動体の移動により前記第1架台に伝達する振動を抑制又は除去する防振装置とを備えるので、精度良い露光処理を実現することができる。さらに、振動を抑制することで移動体の移動を高速化及び高加速度化できるので露光処理のスループットを向上することができる。
図1は、本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、レチクル(マスク)Rを支持するレチクルステージRSTと、感光性の基板Pを支持する基板ステージPSTと、レチクルRを照明するための光束を射出する光源1と、光源1からの光束を露光光ELに変換し、レチクルステージRSTに支持されたレチクルRを露光光ELで照明する照明光学系IOPと、露光光ELで照明されたレチクルRのパターンの像を基板ステージPSTに支持された基板Pに投影する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTとを備えている。レチクルRを介して露光光ELで基板Pを露光する本体部Sを構成する照明光学系IOPの一部である第2部分照明光学系IOP2、レチクルステージRST、投影光学系PL、及び基板ステージPSTなどは本体コラム(第2架台)10に支持されている。
本実施形態では、露光装置EXとしてレチクルRと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつレチクルRに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。
以下の説明において、水平面内においてレチクルRと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をY軸方向、水平面内においてY軸方向と直交する方向(非走査方向)をX軸方向、X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわり方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は、半導体ウエハ又はガラスプレート上にレジストを塗布したものを含む。
光源1としては、ここでは波長192〜194nmの間で酸素の吸収帯を避けるように狭帯化されたパルス紫外光を出力するArFエキシマレーザ光源が用いられており、この光源1の本体は、防振ユニット1Aを介して半導体製造工場のクリーンルーム内の床面FD上に設置されている。なお、光源1として、波長248nmのパルス紫外光を出力するKrFエキシマレーザ光源あるいは波長157nmのパルス紫外光を出力するF2レーザ光源等を用いても良い。また、光源1をクリーンルームよりクリーン度が低い別の部屋(サービスルーム)、あるいはクリーンルームの床下に設けられるユーティリティスペースに設置しても構わない。
照明光学系IOPは、光源1とレチクルステージRST(レチクルR)との間に設けられた第1部分照明光学系IOP1と第2部分照明光学系IOP2との2部分から構成されている。第1部分照明光学系IOP1は、第1照明系ハウジング(第1架台)6を有し、第2部分照明光学系IOP2は、第2照明系ハウジング(第2架台)8を有している。ここで、第1、第2照明系ハウジング6、8は部分照明光学系を収納する筐体及び鏡筒を含む。
第1部分照明光学系IOP1の第1照明系ハウジング6は、床面FDに水平に載置された装置の基準となるベースプレート(フレームキャスタ)BP上に防振ユニット5を介して設置されている。第2部分照明光学系IOP2(第2照明系ハウジング8)は、本体コラム10を構成する第2支持コラム14によって下方から支持されている。
光源1は、遮光性のベローズ及びパイプを介してビームマッチングユニットBMUの一端(入射端)に接続されており、このビームマッチングユニットBMUの他端(射出端)は、内部にリレー光学系を内蔵したパイプ2を介して照明光学系IOPの第1部分照明光学系IOP1に接続されている。ビームマッチングユニットBMU内にはリレー光学系や複数の可動反射鏡等が設けられており、これらの可動反射鏡等を用いて光源1から入射する狭帯化されたパルス紫外光(ArFエキシマレーザ光)の光路を第1部分照明光学系IOP1との間で位置的にマッチングさせている。
第1部分照明光学系IOP1の第1照明系ハウジング6内には、可変減光器、ビーム整形光学系、オプティカルインテグレータ、集光光学系、及びリレーレンズ系等が所定の位置関係で配置されている。光源1からのパルス紫外光がビームマッチングユニットBMU及びリレー光学系を介して第1部分照明光学系IOP1内に入射すると、このパルス紫外光は、可変減光器のNDフィルタにより所定のピーク強度に調整された後、ビーム整形光学系により、オプティカルインテグレータに効率よく入射するようにその断面形状が整形される。次いで、このパルス紫外光がオプティカルインテグレータに入射すると、射出端側に面光源、すなわち多数の光源像(点光源)から成る2次光源が形成される。これらの多数の点光源の各々から発散するパルス紫外光は、露光光ELとして可動レチクルブラインド50に到達する。
可動レチクルブラインド(移動体)50は、レチクルRに対する露光光ELの照明領域を規制する可動ブレード(可動遮光部材、移動体)52、54を備えており、ブラインドハウジング部(移動体ハウジング部)59内に収容されている。可動レチクルブラインド50及びこれを収容したブラインドハウジング部59は、第1照明系ハウジング6の射出端部近傍に取り付けられている。可動レチクルブラインド50の可動ブレード52、54は、レチクルRのパターン形成面(パターン面)とほぼ共役な位置に配置されている。そして、第1照明系ハウジング6とブラインドハウジング部59との間に防振装置20が設けられている。
図2は、可動レチクルブラインド50を+Z側から見た平面図、図3は側断面図である。
可動レチクルブラインド50は、第1照明系ハウジング6上にX方向に間隔をあけて配置され、走査方向であるY軸方向に延在する一対のYガイド51と、X軸方向に延在し、一端側がYガイド51に沿ってそれぞれY方向に移動自在なY可動ブレード(可動遮光部材)52と、Yガイド51のY軸方向両端側に設けられ、X軸方向に延在する一対のXガイド53と、Y軸方向に延在し、一端側がXガイド53に沿ってそれぞれX方向に移動自在なX可動ブレード(可動遮光部材)54とを備えている。Xガイド53のガイド面には非接触ベアリングであるエアベアリング53Aが設けられており、エアベアリング53AによりX可動ブレード54がXガイド53に対して非接触支持されている。また、X可動ブレード54の一端部にはリニアモータ56の一部を構成する可動子56Aが設けられ、この可動子56Aに対応して、Xガイド53に並ぶ位置にX軸方向に延在する固定子56Bが設けられている。ここで、リニアモータ56は、可動子56Aを磁石ユニットとし固定子56Bをコイルユニットとする所謂ムービングマグネット型リニアモータでもよいし、可動子56Aをコイルユニットとし固定子56Bを磁石ユニットとするムービングコイル型リニアモータでもよい。同様に、Yガイド51のガイド面には非接触ベアリングであるエアベアリング51Aが設けられており、エアベアリング51AによりY可動ブレード52がYガイド51に対して非接触支持されている。そして、Y可動ブレード52の一端部にはリニアモータ55の一部を構成する可動子55Aが設けられ、この可動子55Aに対応して、Yガイド51に並ぶ位置にY軸方向に延在する固定子55Bが設けられている。本実施形態において、リニアモータ55、56の固定子55B、56B、及びガイド51、53は、ブラインドハウジング部59の内壁面59Bに固定されている。また、ブラインドハウジング部59には不図示のエンコーダが設けられ、可動ブレード52、54に設けられたリニアスケールを読んで位置検出し、制御装置CONTに出力する。制御装置CONTはリニアモータ55、56を介して可動ブレード52、54を駆動することで、露光光ELが通過する光路を規制する矩形開口部Kの大きさを調整する。また、制御装置CONTは、走査露光時において、後述するレチクルレーザ干渉計の検出信号に基づきレチクルRの移動に追従してY可動ブレード52を移動し、レチクルR上の照明領域を規制するための矩形開口部KをレチクルRの移動に追従させる。
なお、走査露光中において、駆動される可動ブレードは主にスキャンブレードであるY可動ブレード52であって、非スキャンブレードであるX可動ブレード54は、非走査方向(X軸方向)に関するレチクルRのパターン形成領域の幅に応じて照明領域の大きさを設定するために、走査露光に先立って駆動されるだけである。したがって、このX可動ブレード54を駆動するために、リニアモータを用いずに例えば超音波モータ等の静止保持力を有するアクチュエータを用いるようにしてもよい。また、X可動ブレード54、Y可動ブレード52ともに、2枚のブレードを別々のガイド上で駆動しているが、共通のガイドにリニアモータを配置して2枚のブレードを駆動するように構成してもよい。
防振装置20は、可動レチクルブラインド50を収容するブラインドハウジング部59と、第1照明系ハウジング6との間に配置されている。本実施形態において、防振装置20は、緩衝材であるエアパッド(エアマウント)21により構成されている。図4に示すように、エアパッド21は、第1照明系ハウジング6の上端面6Aに沿って環状に配置されている。なお、本実施形態において、第1照明系ハウジング6の内部空間(露光光ELの光路)6Bは矩形状に形成されているが、円形状であってもよい。エアパッド21には圧力調整装置21Aが接続されており、制御装置CONTは、圧力調整装置21Aを制御することでエアパッド21の内圧を調整可能である。緩衝材としてのエアパッド21を、可動レチクルブラインド50を収容したブラインドハウジング部59と第1照明系ハウジング6との間に設けたことにより、可動ブレード52、54の移動により生じる振動が第1照明系ハウジング6に伝達することを抑制することができる。つまり、エアパッド21により、可動ブレード52、54の移動に伴う反力が、第1照明系ハウジング6に伝達することを抑制することができる。なお、防振装置20を構成する緩衝材として、エアパッド21の代わりにゴム等の弾性体を配置してもよい。あるいは、エアパッド21とゴム等の弾性体とを組み合わせて配置してもよい。
第2部分照明光学系IOP2は、第2照明系ハウジング8内に所定の位置関係で収納された固定レチクルブラインド(固定視野絞り)80、レンズ、ミラー、リレーレンズ系、及びコンデンサレンズ系等を備えている。固定レチクルブラインド80は、第2照明系ハウジング8の入射端部近傍のレチクルRのパターン形成面に対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、レチクルR上の照明領域を規定する矩形状(スリット状)の開口部81を有している。上述したように、第2部分照明光学系IOP2は本体部Sの一部を構成しており、可動レチクルブラインド50よりもレチクルR側に配置された構成となっている。
図5は固定レチクルブラインド(固定視野絞り)80の平面図である。固定レチクルブラインド80は、投影光学系PLの円形視野内の中央で走査露光時のレチクルRの移動方向(Y軸方向)と直交するX軸方向に直線状に延びたスリット状(矩形状)の開口部81を有している。なお、固定レチクルブラインド80の代わりに、矩形状の開口部を有するとともに、開口部の形状を任意の形に調整できる可変スリット装置を設けてもよい。
なお、固定レチクルブラインド80の配置面をレチクルRのパターン形成面に対する共役面から僅かにデフォーカスするのは、走査型露光装置、特にパルス光を露光光ELとする装置では、走査方向に関するパルス紫外光のレチクルR上での照明領域内の照度分布を台形状(すなわち両端でそれぞれスロープを持つ形状)とし、走査露光時の基板P上の各ショット領域内の積算光量の分布がほぼ均一になるようにするためであり、また、固定レチクルブラインド80のエッジ部が一部欠けていたり、正確に真直に形成されていないおそれもあるので、これらの影響を軽減するためにレチクルRのパターン形成領域上の照明領域の周縁部を適度にぼかすためである。
可動レチクルブラインド50の可動ブレード52、54で形成される矩形開口部Kを通過したパルス紫外光は、固定レチクルブラインド80の開口部81を一様な強度分布で照明する。固定レチクルブラインド80の開口部81を通過したパルス紫外光は、レンズ、ミラー、リレーレンズ系、及びコンデンサレンズ系などを経て、レチクルステージRST上に保持されたレチクルR上の所定の照明領域(X軸方向に直線的に伸びたスリット状又は矩形状の照明領域)を均一な照度分布で照明する。
図1に戻って、第1部分照明光学系IOP1の第1照明系ハウジング6及びブラインドハウジング部59と、第2部分照明光学系IOP2の第2照明系ハウジング8及び本体コラム10とは、振動に関して独立している。本実施形態では、ブラインドハウジング部59と第2照明系ハウジング8とは僅かに離間して物理的に分離されている。なお、ブラインドハウジング部59と第2照明系ハウジング8との間に、両者の相対変位を可能にし、且つその内部を外気に対して気密状態にすることが可能な接続部材としての伸縮自在の蛇腹状部材を介して接合してもよい。こうすることにより、可動レチクルブラインド50の駆動に起因して露光動作中にブラインドハウジング部59に生じる振動が本体コラム10に支持された第2部分照明光学系IOP2に伝達されることを防止することができる。
本体コラム10は、ベースプレートBP上に設けられた複数本(ここでは4本)の支持部材11A〜11D(但し、紙面奥側の支柱11C、11Dは図示省略)及びこれらの支持部材11A〜11Dの上部にそれぞれ固定された防振ユニット13A〜13D(但し、図1においては紙面奥側の防振ユニット13C、13Dは図示せず)を介してほぼ水平に支持された鏡筒定盤16と、この鏡筒定盤16の下面から下方に吊り下げられた吊り下げコラム18と、鏡筒定盤16上に設けられた第1、第2支持コラム12、14とを備えている。
鏡筒定盤16は、鋳物等で構成されており、その中央部に平面視円形の開口が形成され、その内部に投影光学系PLがその光軸方向をZ軸方向として上方から挿入されている。投影光学系PLの鏡筒部の外周部には、該鏡筒部に一体化されたフランジFLGが設けられている。このフランジFLGの素材としては、低熱膨張の材質、例えばインバー(Inver;ニッケル36%、マンガン0.25%、及び微量の炭素と他の元素を含む鉄からなる低膨張の合金)が用いられており、このフランジFLGは、投影光学系PLを鏡筒定盤16に対して点と面とV溝とを介して3点で支持するいわゆるキネマティック支持マウントを構成している。
吊り下げコラム18は、基板ベース定盤60と、基板ベース定盤60をほぼ水平に吊り下げ支持する4本の吊り下げ部材61とを備えている。また、第1支持コラム12は、鏡筒定盤16の上面に投影光学系PLを取り囲んで設けられた4本の脚65(紙面奥側の脚は図示省略)と、これら4本の脚65によってほぼ水平に支持されたレチクルベース定盤63とを備えている。同様に、第2支持コラム14は、鏡筒定盤16の上面に、第1支持コラム12を取り囲む状態で設けられた4本の支柱62(紙面奥側の支柱は図示省略)と、これら4本の支柱62によってほぼ水平に支持された天板64とによって構成されている。この第2支持コラム14の天板64によって、前述した第2部分照明光学系IOP2が支持されている。
レチクルステージRSTは、本体コラム14を構成する第1支持コラム12を構成するレチクルベース定盤63上に配置されている。レチクルステージRSTは、例えば磁気浮上型の2次元リニアアクチュエータ等から成るレチクルステージ駆動系によって駆動され、レチクルRをレチクルベース定盤63上でY軸方向に大きなストロークで直線駆動するとともに、X軸方向とθZ方向に関しても微小駆動が可能な構成となっている。
レチクルステージRSTの一部には、その位置や移動量を計測するための位置検出装置であるレチクルレーザ干渉計70からの測長ビームを反射する移動鏡71が取り付けられている。レチクルレーザ干渉計70は、レチクルベース定盤63に固定され、投影光学系PLの上端部側面に固定された固定鏡72を基準として、レチクルステージRST(すなわちレチクルR)のθZ回転を含むXY面内の位置を検出する。
レチクルレーザ干渉計70によって計測されるレチクルステージRST(レチクルR)の位置情報(又は速度情報)は、制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レチクルレーザ干渉計70から出力される位置情報(或いは速度情報)が指令値(目標位置、目標速度)と一致するように(具体的には基板ステージPSTと追従するように)レチクルステージ駆動系を制御する。
投影光学系PLとしては、ここでは、物体面(レチクルR)側及び像面(基板P)側の両方がテレセントリックで円形の投影視野を有し、石英や螢石を光学硝材とした屈折光学素子(レンズ素子)のみから成る1/4、1/5、又は1/6縮小倍率の屈折光学系が使用されている。このため、レチクルRにパルス紫外光が照射されると、レチクルR上のパターン形成領域のうちパルス紫外光によって照明された部分からの結像光束が投影光学系PLに入射し、そのパターンの部分倒立像がパルス紫外光の各パルス照射の度に投影光学系PLの像面側の円形視野の中央に矩形状(スリット状)に制限されて結像される。これにより、投影されたパターンの部分倒立像は、投影光学系PLの結像面に配置された基板P上の複数のショット領域のうちの1つのショット領域表面のレジスト層に縮小転写される。
基板ステージPSTは、前述した吊り下げコラム18を構成する基板ベース定盤60上に配置され、例えば磁気浮上型の2次元リニアアクチュエータ等から成る基板ステージ駆動系によってXY面内で自在に駆動されるようになっている。基板ステージPSTは、基板ホルダPHを介して基板Pを真空吸着等により保持する。基板ステージPSTのXY位置及び回転量(ヨーイング量、ローリング量、ピッチング量)は、投影光学系PLの鏡筒下端に固定された参照鏡75を基準として基板ステージPSTの一部に固定された移動鏡74の位置変化を計測する基板レーザ干渉計73によって所定の分解能でリアルタイムに計測される。この基板レーザ干渉計73の計測値は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、基板レーザ干渉計73の計測結果に基づいて、基板ステージ駆動系を制御する。
次に、上述した構成を有する露光装置EXの動作について説明する。
基板ステージPST上に基板Pが搬送され、フォーカス調整が終了すると、不図示のアライメント系を用いてレチクルRと基板Pとの位置決め(アライメント)が行われる。このようにして、基板Pの露光のための準備動作が終了すると、制御装置CONTは、アライメント結果に基づいて基板レーザ干渉計73の計測値をモニタしつつ基板ステージ駆動系を制御して基板P上に設定されたショット領域を露光するための走査開始位置に基板ステージPSTを移動する。
そして、制御装置CONTは、レチクルステージ駆動系及び基板ステージ駆動系を介してレチクルステージRST及び基板ステージPSTのY軸方向の走査を開始する。両ステージRST、PSTがそれぞれの目標走査速度に達すると、制御装置CONTは、パルス紫外光である露光光ELによりレチクルRのパターン形成領域に対する照明を開始する。
なお、この走査露光の開始に先立って、光源1の発光は開始されているが、図6の模式図に示すように、制御装置CONTは可動レチクルブラインド50の各可動ブレード52(54)を移動することで開口部K(照明領域IA)をレチクルステージRST(すなわちレチクルR)に対して同期移動させているため、レチクルR上のパターン形成領域PA外への露光光ELの照射が遮光される。図6に示す例では、レチクルRのパターン形成領域PAの周囲に遮光帯MBが設けられており、可動レチクルブラインド50の開口部Kで設定される照明領域IAは遮光帯MBに応じた大きさを有し、固定レチクルブラインド80の開口部81で設定される照明領域IBはX軸方向に延在するスリット状である。
制御装置CONTは、走査露光時にレチクルステージRSTのY軸方向の移動速度と基板ステージPSTのY軸方向の移動速度とが投影光学系PLの投影倍率に応じた速度比に維持されるようにレチクルステージ駆動系及びウエハステージ駆動系を介してレチクルステージRST及び基板ステージPSTを同期移動する。走査露光中においても、制御装置CONTは、可動レチクルブラインド50の可動ブレード52を駆動し、開口部K(照明領域IA)をレチクルRに追従するように移動する。可動ブレード52が移動することにより振動が発生しても、ブラインドハウジング部59と第1照明系ハウジング6との間に緩衝材であるエアパッド21が介在されていることにより、第1照明系ハウジング6に対する振動の伝達は抑制される。そして、レチクルRのパターン形成領域PAが露光光ELで逐次照明され、パターン形成領域PA全面に対する照明が完了することにより、基板P上のショット領域に対する走査露光が終了する。
以上説明したように、照明光学系IOP内に配置された可動ブレード52(54)の移動により第1照明系ハウジング6に伝達する振動を緩衝材であるエアパッド21で抑制するようにしたので、第1照明系ハウジング6(第1部分照明光学系IOP1)の振動に起因する露光精度の劣化を防止することができる。そして、振動を抑制することで可動ブレード52(54)の移動を高速化及び高加速度化でき、レチクルステージRST及び基板ステージPSTの走査移動速度及び加速度を向上できるので、露光処理のスループットを向上することができる。また、防振装置20をエアパッド21あるいはゴム等の弾性体で構成することで、安価且つ簡易な構成で第1照明系ハウジング6に伝達する振動を抑制することができる。
また、ブラインドハウジング部59は、第1照明系ハウジング6に対してYX方向に微動可能に保持されているため、運動量保存の法則により、可動ブレード52(54)に接続する可動子56Aの+X方向(又は−X方向)の移動に応じて固定子56B及びブラインドハウジング部59全体が−X方向(又は+X方向)に微少量移動する。この固定子56B及びブラインドハウジング部59全体の移動により、可動ブレード52(54)の移動に伴う反力が相殺される。つまり、本実施形態において、固定子56B及びブラインドハウジング部59全体が、可動ブレード52(54)が移動するときの反力を受けるカウンタマスとなっている。なお、固定子56B及びブラインドハウジング部59全体の移動により可動ブレード52(54)の位置に微少量の誤差が生じる場合は、その分を予め求めておき、可動ブレードの駆動指令信号にフィードフォワードすればよい。
なお、本実施形態では、第1照明系ハウジング6を第1架台として説明したが、この第1照明系ハウジング6を支持する架台を設けた場合、防振装置20は、この架台に対する振動の伝達を抑制あるいは除去することができる。
なお、上記実施形態において、エアパッド21は環状(無端状)に設けられているが、複数のエアパッド21を第1照明系ハウジング6とブラインドハウジング部59との間に島状に(離散的に)配置してもよい。こうすることにより、複数のエアパッド21それぞれの内圧を個別に調整することで、ブラインドハウジング部59と第1照明系ハウジング6との位置関係(第1照明系ハウジング6に対するブラインドハウジング部59の傾斜方向の姿勢)を調整することができる。
なお、上記実施形態において、Y可動ブレード52は、Y軸方向に移動し、X可動ブレード54はX軸方向に移動するように説明したが、これら可動ブレード52、54が回転方向(θZ方向)に微動可能であってもよい。また、固定レチクルブラインド80の開口部81がθZ方向に回転可能であってもよい。これにより、走査露光中にレチクルRに位置ずれが生じた場合でも、開口部Kや開口部81をレチクルRに対して正確に追従移動させることができる。
上記実施形態において、移動体は、可動レチクルブラインド50に限定されない。例えば、走査露光中に、レチクルRに対する露光光ELの照度調整や照明光学系IOPの光学特性調整のためにフィルタ装置を駆動(移動)する場合があるが、このフィルタ装置の移動により照明系ハウジングに伝達する振動を抑制又は除去するために、本発明を適用することができる。すなわち、光源1とレチクルRとの間に設けられた移動体の移動に起因して発生する振動の全てに対して本発明を適用可能である。
以下、本発明の他の実施形態について図7及び図8を参照しながら説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図7及び図8に示すように、防振装置20は、第1照明系ハウジング6とブラインドハウジング部59との間において複数(4箇所)の所定位置にそれぞれ設けられたピエゾ素子22と、これら複数のピエゾ素子22どうしの間に設けられた複数のエアパッド21とを備えている。また、ブラインドハウジング部59の複数の所定位置には、振動センサ(加速度センサ)23が取り付けられている。
この振動センサ23の役割について以下に説明する。例えば、床面FDから第1照明系ハウジング6を介してブラインドハウジング部59に伝達される振動や、可動ブレード52、54を駆動するための信号をリニアモータ55、56に与える信号ケーブルのテンション等によって、理想的な推力を可動ブレード52、54に対して与えられない場合がある。例えば推力が大きすぎてしまった場合、ブラインドハウジング部59は、所定の値以上に振動してしまう。振動センサ23は、このような所定値以上の振動を検出し、制御装置CONTに信号を送る。制御装置CONTは、振動センサ23が所定の許容値以上の振動を検出したときピエゾ素子22のそれぞれに対して振動センサの検出結果に基づいた駆動電圧を印加し、それぞれのピエゾ素子22を変位させる。これによって、所望の推力が可動ブレード52、54に与えられ、可動ブレード52、54を高精度に駆動することが可能となる。
なお、ここではピエゾ素子22を用いているが、もちろん、ピエゾ素子22以外の任意の防振用アクチュエータを用いることができる。また、ここではピエゾ素子22を4つ設けているが、少なくとも3つ設けられていればよい。
また、図9に示すように、第1照明系ハウジング6に対するブラインドハウジング部59の位置を計測する計測装置100を設けることができる。計測装置100は、ブラインドハウジング部59の+X側の側面において外方に突設されたL字状部材163の−Z側の面(この面はXY面にほぼ平行な面である)に固定された金属板160Aと、L字状部材163の+X側の面(この面はYZ面にほぼ平行な面である)に固定された金属板160Bと、これら金属板160A、160Bにそれぞれ対向して第1照明系ハウジング6の+X側の側面の外方に突設されたL字状取付部材162に取り付けられた2つの渦電流変位センサ161A、161Bとを備えている。渦電流変位センサ161A、161Bでは、絶縁体に巻いたコイルに交流電圧を加えておき、導電体からなる測定対象(この場合、金属板)に近づけると、コイルによって作られた交流磁界によって導電体に渦電流が発生する。この渦電流によって発生する磁界は、コイルの電流によって作られた磁界と逆方向であり、これら2つの磁界が重なりあって、コイルの出力に影響を与え、コイルを流れる電流の強さ及び位相が変化する。この変化は、測定対象がコイルに近いほど大きくなり、逆に遠いほど小さくなるので、コイルから電気信号を取り出すことにより、測定対象の位置、変位を知ることができる。したがって、渦電流変位センサ161A、161Bを用いれば、両者が静止状態にあるときでも測定対象の位置、変位の計測が可能、すなわち絶対距離の計測が可能である。
制御装置CONTは、計測装置100の計測結果に基づいて、ピエゾ素子22を駆動する。こうすることにより、外乱によって可動ブレード52、54の移動精度が悪化することがなく、精度良く可動ブレード52、54を駆動することができる。つまり、エアパッド21のみを第1照明系ハウジング6とブラインドハウジング部59との間に配置した場合、ブラインドハウジング部59から第1照明系ハウジング6へ伝達する振動を抑制することは可能であるが、外乱の影響によって可動レチクルブラインド50の位置(姿勢)が変位する可能性がある。この場合、レチクルR上で照明領域を所望状態に規定することができなくなる可能性が生じる。しかしながら、ピエゾ素子(アクチュエータ)22を使って、ブラインドハウジング部59の過剰な振動を除去することで、外乱の影響を抑制しつつ、レチクルR上で照明領域を所望状態に規定することができる。
なお、本実施形態において、制御装置CONTは、第1照明系ハウジング6に対するブラインドハウジング部59の位置を計測装置100で計測し、この計測結果に基づいてピエゾ素子22を駆動しているが、ブラインドハウジング部59(第1照明系ハウジング6)に対する第2照明系ハウジング8の位置を計測装置100で計測し、この計測結果に基づいてピエゾ素子22を駆動するようにしてもよい。
なお、制御装置CONTは、振動センサ23や計測装置100の検出信号に基づいて、ブラインドハウジング部59のベースプレートBP及び第2照明系ハウジング8に対する位置ずれを検出し、その検出結果を可動ブレード52(54)の位置制御にフィードバックしてもよい。これによって、第2照明系ハウジング8に対して第1照明系ハウジング6がずれたとしても、高精度に可動ブレード52(54)をレチクルRに追従させることができる。また、第2照明系ハウジング8に対する第1照明系ハウジング6の位置ずれを直接計測する計測装置を別個に設け、この計測装置からの検出信号を可動ブレード52(54)の位置制御にフィードバックしてもよい。
図10は、本発明の他の実施形態を示す図である。本実施形態において、エアパッド21は設けられておらず、ブラインドハウジング部59と第1照明系ハウジング6とは接続され、ブラインドハウジング部59は第1照明系ハウジング6の一部を構成している。そして、可動ブレード54(52)を駆動するリニアモータ56(55)の固定子56B(55B)は、非接触ベアリングであるエアベアリング25により、ブラインドハウジング部59の内壁面59Bに対して非接触支持されている。このため、運動量保存の法則により可動ブレード54に接続する可動子56Aの+X方向(又は−X方向)の移動に応じて固定子56Bが−X方向(+X方向)に移動する。この固定子56Bの移動により可動ブレード54の移動に伴う反力が相殺される。つまり、本実施形態において、固定子56Bが、可動ブレード54が移動するときの反力を受けるカウンタマスとなっている。これにより、可動ブレード54の移動により第1照明系ハウジング6(ブラインドハウジング部59)に伝達する振動を抑制することができる。
なお、固定子56B(55B)をカウンタマスとすることで、エアパッド(緩衝材)21やアクティブ防振のためのピエゾ素子22を設けない構成であっても防振効果を得ることができるが、カウンタマスとエアパッド(あるいはピエゾ素子)とを組み合わせることもできる。また、固定子55Bも内壁面59Bに対して非接触支持されており、カウンタマスとしての機能を有している。
図11は、本発明の他の実施形態を示す模式図である。
図11において図2に示す部材と同じ部材には同一の符号を付している。本実施形態は、図2に示す実施形態に対して、可動ブレードが移動するときの反力を受けるカウンタマスの機能を有する2つのバランサー90を加えたものである。図11に示すように、バランサー90はY方向に延びるリニアモータ91上に設けられており、リニアモータ91上を移動可能である。2つのリニアモータ91は、一対のリニアモータ55から同じ距離だけ離れて配置されている。このバランサー90は、制御装置CONTによって駆動が制御され、可動ブレード52の移動に伴って、その移動方向とは逆方向に移動する。可動ブレード52の重さに対してバランサー90の重さを4倍に設定すると、可動ブレード52の移動距離に対してバランサー90の移動距離を1/4にすることができる。バランサー90及びリニアモータ91は、それぞれブラインドハウジング部59内に設けられているので、可動ブレード52の移動に伴う反力はブラインドハウジング部59内で相殺され、第1照明系ハウジング6への伝達を抑制することができる。
なお、ブラインドハウジング部59内のスペースの関係で、例えば片側のリニアモータ91をX方向に沿ってリニアモータ55に近づけることも可能である。この場合、近づけた方のバランサー90の推力を、リニアモータ55からの距離に比例して大きくする必要がある。
また、バランサー90の重量を変えることができない場合は、バランサー90の加速度を変えて可動プレート52の反力を相殺するようにバランサー90が発生する推力を調整すればよい。
なお、図11に示す実施例では、2つの可動プレート52に対してそれぞれYガイド51およびリニアモータ55を設けているが、Yガイド51及びリニアモータ55の固定子55部を共用してもよい。具体的には、図11の上側のYガイド51と固定子55Bとを省略して、下側のYガイド51で2つの可動ブレード52をガイドするとともに、2つの可動プレート52を駆動する際に、図11の下側のリニアモータの固定子55Bを共用すればよい。この場合、図11の上側のバランサー90に与える推力は、下側のリニアモータ55から距離に比例して小さくすればよい。
図12は、本発明の他の実施形態を示す模式図である。図12において、リニアモータ56(55)の固定子56B(55B)はブラインドハウジング部59の内壁面59Bに対して離間しており、支持部材28を介して床面FD(あるいはベースプレートBP)に支持されている。すなわち、ブラインドハウジング部59及びこれに接続する第1照明系ハウジング6と、固定子56Bを支持する支持部材28とが振動に関して分離(独立)しており、可動ブレード54に接続する可動子56Aの移動に伴う反力は、床面FD(ベースプレートBP)に伝達されるようになっている。このように、可動ブレード54(52)の移動に伴う反力を、第1照明系ハウジング6(ブラインドハウジング部59)に対して振動的に分離された床面FDに逃がすことにより、第1照明系ハウジング6に振動が伝達されるのを防止することができる。ここで、第1照明系ハウジング6はベースプレートBPに対して防振ユニット5を介して支持されているため、支持部材28を介して床面FD(あるいはベースプレートBP)に逃がした振動は第1照明系ハウジング6に伝達されない。
なお、上記各実施形態において、露光装置EXの用途としては半導体製造用の露光装置や、角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置に限定されることなく、薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にし(マスクも反射型タイプのものを用いる)、また、電子線を用いる場合には光学系として電子レンズおよび偏向器からなる電子光学系を用いればいい。なお、電子線が通過する光路は真空状態にすることはいうまでもない。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
ステージの駆動装置として平面モータを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
本実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。
各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイスは、図13に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板(ウエハ、ガラスプレート)を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりマスクのパターンを感光基板Pに露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
産業上の利用の可能性
本発明は、マスクと基板とを同期移動して、前記マスクのパターンを前記基板に露光する露光装置であって、前記マスクを照明するための照明光を射出する光源と前記マスクとの間に設けられ、前記マスクの移動に追従して移動する移動体と、前記移動体が配置される第1架台と、前記移動体の移動により前記第1架台に伝達する振動を抑制又は除去する防振装置とを備えるので、精度良い露光処理を実現することができる。さらに、振動を抑制することで移動体の移動を高速化及び高加速度化できるので露光処理のスループットを向上することができる。
Claims (22)
- マスクと基板とを同期移動して、前記マスクのパターンを前記基板に露光する露光装置であって、
前記マスクを照明するための照明光を射出する光源と前記マスクとの間に設けられ、前記マスクの移動に追従して移動する移動体と、
前記移動体が配置される第1架台と、
前記移動体の移動により前記第1架台に伝達する振動を抑制又は除去する防振装置と、を備える。 - 請求項1記載の露光装置であって、
前記移動体は、前記照明光の照明領域を規制する可動遮光部材である。 - 請求項2記載の露光装置であって、
前記可動遮光部材は、前記マスクのパターン面とほぼ共役な位置に配置される。 - 請求項1記載の露光装置であって、
前記防振装置は、前記移動体を収容する移動体ハウジング部と前記第1架台との間に配置される緩衝材を含む。 - 請求項4記載の露光装置であって、
前記緩衝材は、エアパッドを含む。 - 請求項4記載の露光装置であって、
前記緩衝材は、弾性体を含む。 - 請求項4記載の露光装置であって、
前記移動体ハウジング部と前記第1架台との間に配置され、前記移動体ハウジング部と前記第1架台との位置関係を調整する調整装置を備える。 - 請求項1記載の露光装置であって、
前記防振装置は、前記移動体が移動するときの反力を受けるカウンタマスを有する。 - 請求項8記載の露光装置であって、
前記移動体は、前記移動体ハウジング部に対して非接触で保持されており、
前記カウンタマスは、前記移動体ハウジング部を含む。 - 請求項1記載の露光装置であって、
前記マスクを介して前記照明光で前記基板を露光する本体部と、
前記本体部が配置される第2架台とを備え、
前記第1架台と前記第2架台とは、振動に関して独立している。 - 請求項10記載の露光装置であって、
前記本体部は、前記照明光の照明領域を規定する固定視野絞りを有する。 - 請求項10記載の露光装置であって、
前記本体部は、前記マスクを介した前記照明光を前記基板上に投射する投影光学系を有する。 - 請求項1記載の露光装置であって、
前記照明光で前記マスクを照明する照明光学系を備え、
前記移動体は、前記照明光学系内に配置されている。 - 請求項10記載の露光装置であって、
前記照明光で前記マスクを照明する照明光学系を備え、
前記移動体は、前記照明光学系内に配置されており、
前記移動体よりも前記マスク側に配置される前記照明光学系の一部が前記本体部に設けられている。 - マスクと基板とを移動して、前記マスクのパターンを前記基板に露光する露光装置であって、
前記マスクの照明領域を規定し、移動可能な第1移動体と、
前記第1移動体の移動に応じて、前記第1移動体の移動方向と反対方向に移動する第2移動体とを備える。 - 請求項15記載の露光装置であって、
前記第2移動体の重量は、前記第1移動体の重量よりも大きい。 - 請求項15記載の露光装置であって、
前記第1移動体と前記第2移動体とは、共通の架台に支持されている。 - 請求項15記載の露光装置であって、
前記第2移動体を駆動する駆動装置を備える。 - パターンが形成されたマスクを照明する照明装置であって、
前記マスクの照明領域を規定し、移動可能な第1移動体と、
前記第1移動体の移動に応じて、前記第1移動体の移動方向と反対方向に移動する第2移動体とを備える。 - 請求項19記載の照明装置であって、
前記第2移動体の重量は、前記第1移動体の重量よりも大きい。 - 請求項19記載の露光装置であって、
前記第1移動体と前記第2移動体とは、共通の架台に支持されている。 - 請求項19記載の露光装置であって、
前記第2移動体を駆動する駆動装置を備える。
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