JP4007752B2 - 大型ペリクル用枠体及び大型ペリクル - Google Patents

大型ペリクル用枠体及び大型ペリクル Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、IC(集積回路)、LSI(大規模集積回路)、TFT型LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)等の半導体装置を製造する際のリソグラフィー工程で使用されるフォトマスクやレティクルに異物が付着することを防止するために用いられるペリクル用枠体及びそれを用いたペリクルに関するものであり、特にTFT型LCDを製造するために好適な大型ペリクル用枠体及び大型ペリクルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体回路パターン等の製造においては、フォトマスクやレティクルの両面側にペリクルと称する防塵手段を配置してフォトマスクやレティクルへの異物の付着を防止することが行われている。
【0003】
ペリクルの一般的な構造としては、金属、セラミックス、あるいはポリマー製の枠体の片側に、ポリマーあるいはガラス等の透明な薄膜を貼り付け、その反対側に、マスクに貼り付けるための粘着材を設けたものが挙げられる。例えば、ペリクルはフォトマスクやレティクルの形状に合わせた形状を有する厚さ数ミリ程度の枠体の一方の縁面に厚さ10μm以下のニトロセルロース或いはセルロース誘導体等の透明な高分子膜からなるペリクル膜を展張して接着し、且つ枠体の他方の縁面に粘着材を介してフォトマスクやレティクルの表面に貼着される。
【0004】
フォトマスクやレティクルの表面に異物が付着した場合、その異物が半導体ウエハー上に形成されたフォトレジスト上に結像して回路パターン欠陥の原因となるが、フォトマスクやレティクルの少なくともパターン面にペリクルを配置した場合、ペリクルの表面に付着した異物はフォーカス位置がずれるために、半導体ウエハー上に形成されたフォトレジスト上に結像することがなく、回路パターンに欠陥を生じさせることがない。
【0005】
従来のペリクル膜を展張して貼着支持するための枠体は、直径5インチ(127mm)や6インチ(152.4mm)の半導体ウエハに応じた大きさで形成されており、枠体の縦横の辺は同じ断面積の方形状の断面を有する枠体で構成され、ペリクル膜を貼着する枠体の縦の辺の幅と横の辺の幅とが等しくなるように構成されているのが一般的である。
【0006】
近年では、各種のマルチメディアの普及により、高画質、高精細表示が可能な大型のカラーTFT型LCDのフォトリソグラフィ工程で使用される大型のフォトマスクに適用出来る大型ペリクルが要望されている。
【0007】
特に、コンピュータディスプレイやテレビジョン用に、大きなサイズの液晶パネルの開発が進んでいる。このような大型液晶パネルを製造する際のフォトリソグラフィ工程には、LSIと同様のサイズの5インチ又は6インチのレティクルを使用する分割露光方式と、より大きなサイズのマスクを使用する一括露光方式とがある。近年の液晶パネルの大型化に伴い、生産効率の点から、一括露光方式が使用されることが多くなってきている。一括露光方式においてもLSIの製造プロセスと同様、マスクへの異物付着を防止するためにペリクルが使用され、それに伴いペリクルのサイズも大きくなってきている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、露光プロセスで使用される光源は、超高圧水銀ランプから放射されるg線、h線、i線、あるいは、波長300nm前後の近紫外線が使用される。これらの光を吸収せず、十分な耐久性を持たせるために、マスクの材料には高純度の石英が使用されることが多いが、これはサイズが大きくなるに従って、幾何級数的に高価になる。従って、経済的な負担を軽減するために、マスクのサイズは、目的とする液晶パネルを製造するための最小限の大きさが求められている。
【0009】
マスクの寿命を延ばすために、ペリクルを貼り付けることは必須となっているが、上記のような状況から、ペリクル枠体のサイズは大きくなる一方、マスクサイズを最小限に抑えるために、ペリクルを貼り付けるために必要な面積も最小限に抑えること、すなわち、外径寸法は小さく、内径寸法は大きくすることが求められている。
【0010】
ところが、このような大きなサイズのペリクルには次のような問題点がある。第一の問題点は、ペリクル枠体の撓みである。ペリクル膜、特に大きなサイズの膜では、膜が弛んだり、しわが入らないように、ある程度の張力が必要である。この膜張力によりペリクル枠体が内側に撓むが、この撓みによる露光部への干渉が無視出来なくなってきている。また、前述のように、ペリクルの外径寸法とマスクサイズはかなり近く、マスクへのペリクル貼り付けには高精度が要求されるが、ペリクル枠体の撓みは、ペリクル10のマスクへの貼り付け精度悪化にもつながる。
【0011】
第二の問題点は、マスクのアライメントマークに関する問題である。マスクのアライメントマークは、ペリクル枠体の外径の外側に設けられている。マスクにペリクルを貼り付ける際には、ペリクルがアライメントマークの上にかからないように貼り付ける必要がある。
【0012】
しかし、前述のようにマスクサイズを最小限に抑えるために、ペリクル枠体の外径とアライメントマークとの間隔が非常に狭くなり、ペリクルの貼り付けに要求される精度は、従来のペリクル貼り付け装置の精度を超えるものになった。そのため、ペリクルの貼り付け歩留まりが低下するという問題が生じる。
【0013】
そこで、上記の課題を解決するために発明者は鋭意検討の結果、以下の知見に到達した。即ち、大型ペリクル膜を展張して貼着支持する長辺と短辺とを有する方形状の大型ペリクル用枠体において、長辺の幅を短辺の幅よりも大きくし、長辺の強度を確保することによって長辺の枠体の内側に向かう撓みを抑制出来るものである。また、大型ペリクル膜が貼着される長辺と短辺の貼着面の幅を略等しくすることで接着剤を均一に塗布することが出来る。
【0014】
更に、ペリクル枠体の外周部のマスクアライメントマークに対応する位置に凹部を設けることにより、マスクやレティクルの露光領域を最大限に利用出来る。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するための本発明に係る大型ペリクル用枠体及び大型ペリクルは、以下の構成を特徴とする。即ち、本発明の第1の特徴は、大型ペリクル膜を展張して貼着支持する長辺と短辺とを有する方形状の大型ペリクル用枠体であって、前記大型ペリクル膜を展張する面積が1000cm以上で且つ前記枠体の長辺の幅が該枠体の短辺の幅の1.05倍〜5倍であり、且つ前記枠体の長辺の幅が4 mm 〜30 mm で、且つ前記枠体の短辺の幅が3 mm 〜23 mm とされたことを特徴とする大型ペリクル用枠体及びそれを用いた大型ペリクルであ
【0016】
第2の特徴としては、大型ペリクル膜を展張して貼着支持する長辺と短辺とを有する方形状の大型ペリクル用枠体であって、前記大型ペリクル膜を展張する面積が1000 cm 以上であり、且つ前記枠体の長辺の幅が該枠体の短辺の幅よりも大きく、且つ少なくとも前記枠体の長辺のペリクル膜貼着面に傾斜面を形成して前記枠体の長辺及び短辺の貼着面の幅を略等しくした大型ペリクル用枠体及びそれを用いた大型ペリクルである。
【0017】
このような構成にすることによって、接着剤を枠体に均一に塗布することが出来る。また、枠体の長辺及び短辺の貼着面の幅を略等しくするために少なくとも長辺の貼着面側に傾斜面を形成することが好ましい。
【0018】
第3の特徴は、大型ペリクル用枠体の外周部の所定の位置に、マスクのアライメントマークを露出させるための凹部を設けて構成する大型ペリクル用枠体及びそれを用いた大型ペリクルである。
【0019】
また前記アライメントマーク露出用凹部の両側の外頂部を曲面に形成することが好ましい。この曲面Rの大きさは半径1mm以上が好ましく、半径5mm以上が更に好ましい。
【0020】
第4の特徴は、前記アライメントマーク露出用凹部の両側の内頂部を曲面に形成した大型ペリクル用枠体及びそれを用いた大型ペリクルである。この曲面Rの大きさは半径1mm以上が好ましく、半径5mm以上が更に好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
図により本発明に係る大型ペリクル用枠体及びこれを用いた大型ペリクルの一実施形態を具体的に説明する。図1は本発明に係る大型ペリクル用枠体及びこれを用いた大型ペリクルの構成を示す斜視図、図2は本発明に係る大型ペリクル用枠体及びこれを用いた大型ペリクルの構成を示す平面図、図3(a)は図2のA−A断面図、図3(b)は図2のB−B断面図、図4(a)は他の形状を示す断面図、図4(b)は他の形状を示す断面図である。
【0022】
また、図5(a),(b)は枠体の長辺と短辺の貼着面の幅を略等しくするために各貼着面側に形成された平面状の傾斜面の他の一例を示す図、図6(a)〜(c)は大型ペリクル膜が貼着される枠体の貼着面の幅が大きい場合で接着剤が不均一に塗布された場合の課題を説明する図である。
【0023】
また、図7は図6の他の形状を示す場合の例を示す図、図8(a)〜(e)は枠体の長辺と短辺の貼着面の幅を略等しくするために各貼着面側に形成された曲面状の傾斜面や段差、或いは片側のみに平面状や曲面状の傾斜面や段差を形成した一例を示す模式図である。
【0024】
また、図9はアライメントマークを設けたペリクル枠体を示す平面図、図10は図9の部分拡大図である。
【0025】
先ず、本発明に係る大型ペリクル用枠体について説明する。図1及び図2に示すように、本発明に用いる大型ペリクル用枠体1(以下、単に「枠体1」という)は方形状で形成され、その大きさは、長辺1aが400mm〜2000mm、短辺1bが250mm〜1500mmである。
【0026】
この枠体1に展張して貼着支持される大型ペリクル膜2(以下、単に「ペリクル膜2」という)の面積は、1000cm以上が好ましく、1200 cm以上がより好ましい。
【0027】
長辺1aの幅Waは、短辺1bの幅Wbよりも大きく、好ましくは、1.05倍〜20倍、より好ましくは、1.1倍〜10倍、更に好ましくは1.3倍〜5倍である。例えば、長辺1aの幅Waは4mm〜30mm、短辺1bの幅Wbは3mm〜23mmである。
【0028】
本発明に用いるペリクル枠体1の材質としては、機械構造用炭素鋼(SCシリーズ等)、工具鋼(炭素工具鋼SKシリーズ、高速度工具鋼SKHシリーズ、合金工具鋼SKSシリーズ、SKDシリーズ、SKTシリーズ等)、マルテンサイト系ステンレスシリーズ(SUS403、SUS410、SUS410S、SUS420J1、SUS420J2、SUS429J1、SUS440A等)、アルミニウム合金(5000系、6000系、7000系等)等の金属、セラミックス(SiC、AlN、Al2O3等)、セラミックスと金属の複合材料(Al-SiC、Al-AlN、Al-Al2O3等)、樹脂(ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケトン等)が挙げられる。
【0029】
上記の各鋼材は磁性材料のため磁石で固定出来、特に大型ペリクル10の枠体1の場合、加工作業が良くなり好ましく用いられる。ペリクル枠体1の表面に、黒色クロムメッキ、黒色アルマイト、黒色塗装等の黒色化処理を施すことも出来る。
【0030】
必要に応じてペリクル枠体1の内壁面又は全面に、異物を補足するための粘着材(アクリル系、酢酸ビニル系、シリコン系、ゴム系等)やグリース(シリコーン系、フッ素系等)を塗布しても良い。
【0031】
また、必要に応じてペリクル枠体1の内部と外部を貫通する微細な穴を開けて、ペリクル10とフォトマスク6で形成された空間の内外の気圧差がなくなるようにすると、膜の膨らみや凹みを防止出来る。
【0032】
また、この時、微細な穴の外側に異物除去フィルターを取り付けると、気圧調整が可能な上、ペリクル10とフォトマスク6で形成された空間の中に異物が侵入することを防げるので好ましい。
【0033】
ペリクル10とフォトマスク6で形成された空間容積が大きい場合には、これらの穴やフィルターを複数個設けると、気圧変動による膜の膨らみや凹みの回復時間が短くなり、好ましい。
【0034】
ペリクル膜2は、ポリマー溶液からスピンコート法で成膜された薄膜が好ましく使用されている。この薄膜には張力が存在する。一方、この張力は、ペリクル膜2が撓んだりしわが入らないようにするために必要である。
【0035】
ペリクル膜2が撓んだりしわが入ると、ペリクル膜2に付着した異物をエアブローで除去する時に、該ペリクル膜2が大きく振動し除去し難い。また、ペリクル膜2の高さが場所により変わるために、ペリクル膜2の異物検査機が正常に機能しない。また、ペリクル膜2の光学的高さ測定に誤差を及ぼす等の問題が生じる。
【0036】
本発明では、ペリクル膜2の張力による撓み量の大きなペリクル枠体1の長辺1aの幅Waのみを大きくすることにより長辺1aの撓みを防ぐ。短辺1bの幅Wbは従来通りとする(図1、図2参照)。このことにより、高価なフォトマスク6の大きさを必要最小限にすることが出来る。
【0037】
また、ペリクル枠体1の長辺1aの撓みが生じないので、ペリクル枠体1の外径を基準とする従来のペリクル貼り付け装置により、ペリクル10のフォトマスク6への貼付けを精度良く行うことが出来る。
【0038】
また、ペリクル枠体1の内側ぎりぎりまで露光パターンを設けることが出来、この点からも非常に高価なフォトマスク6の面積を最小限に抑えることが出来る。前記ペリクル枠体1の長辺1aの幅Waは、短辺1bの幅Wbの1.3倍以上であると、撓み防止には効果的である。
【0039】
また、本発明は、前記枠体1の長辺1a及び短辺1bのペリクル膜2の貼着面1a1,1b1の幅Wc,Wdを略等しくしたことを特徴とする大型ペリクル枠体1である。ここで述べる長辺1aと短辺1bのペリクル膜2の貼着面1a1,1b1の幅Wc,Wdが略等しいとは、長辺1aと短辺1bの膜貼着面1a1,1b1の幅Wc,Wdの差が長辺1aと短辺1bの幅Wa,Wbの差より小さいことを意味する。つまり後述する図3及び図4の断面図を用いて説明すると、Wa−Wb>Wc−Wdであることを意味する。
【0040】
前記のようにペリクル枠体1の長辺1aの幅Wa、短辺1bの幅Wbが異なる場合、ペリクル膜2の貼着面1a1,1b1の幅Wc,Wdも異なってしまう。一方、ペリクル膜2とペリクル枠体1の接着剤は、接着剤塗布装置、例えばX−Yディスペンサーロボット等を用いて塗布される。
【0041】
この場合、通常、長辺1aと短辺1bでの単位長さ当たりの接着剤塗布量は同じであるため、ペリクル膜2をペリクル枠体1に貼り付けた際に、短辺1bでは接着剤量が多くなってしまい、接着剤が枠体1の膜貼着面1b1をはみ出して枠体1の内周部へ垂れることがある。
【0042】
また、図7(a)に示すように、長辺1aでは接着剤量が不足して膜貼着面1a1の全面に均一に広がらず、内側ではペリクル膜2とペリクル枠体1との間に狭い隙間5が出来、この隙間5に異物が挟まれることがある。
【0043】
また、図7(b)に示すように外側では、接着後の余膜切断時にペリクル膜2の外縁2aの膜片が残り、ペリクルハンドリング中の発塵の原因ともなる。そのため、長辺1aと短辺1bの膜貼着面1a1,1b1の幅Wc,Wdを略等しくすることで、従来通りの簡単な接着剤塗布装置を用いても、より好ましいペリクル10が得られる。
【0044】
また、長辺1aと短辺1bの膜貼着面1a1,1b1の幅Wc,Wdを略等しくする方法として、ペリクル枠体1の少なくとも枠体1の長辺1aのペリクル膜2の貼着面側に傾斜面を形成すれば、段差が無く傾斜面を形成することが出来、ペリクル枠体1に異物が堆積することを防ぐことが出来る。
【0045】
更に本発明では、図9に示すペリクル枠体1の外周部所定の位置にアライメントマーク露出用凹部8を設けることも出来る。ペリクル枠体1の長辺1a中央部にマスクアライメントマーク露出用凹部8を設けたので、ペリクル枠体1の長辺1aの外径(幅)を太くしてもマスクアライメントマーク7と枠体1の外径との間に隙間9を一定量確保出来る。
【0046】
これにより、大型ペリクル10をフォトマスク6に貼り付ける際、マスクアライメントマーク7上に大型ペリクル10を貼り付けてしまうことなく、貼り付け歩留まりを向上させることが出来る。好ましくは、前記マスクアライメントマーク露出用凹部8の両側の外頂部8aを曲面に形成する。更に好ましくは前記外頂部8aに設けた曲面Rの大きさが半径1mm以上にする。
【0047】
マスクアライメントマーク露出用凹部8の外頂部8aを曲面に形成すると、ペリクル10の輸送、或いはペリクル10をフォトマスク6に貼り付ける際のフォトマスク6のハンドリング等による接触や振動や衝撃等によってアライメントマーク露出用凹部8の外頂部8aが他の部材との摩擦で発塵する心配がない。また、より好ましくは、曲面Rの大きさを半径1mm以上にすれば発塵防止に効果的である。
【0048】
更に、前記マスクアライメントマーク露出用凹部8の両側の内頂部8bについても、曲面に形成することが好ましい。更に好ましくは、前記マスクアライメントマーク露出用凹部8の両側の内頂部8bに設けた曲面Rの大きさが半径1mm以上である。
【0049】
マスクアライメントマーク露出用凹部8の内頂部8bに曲面を形成すると、ペリクル枠体1に異物が溜まり難い構造となり、ペリクル10の製造工程におけるペリクル枠体1の洗浄によって確実に異物が除去出来るようになる。
【0050】
本発明に係る大型ペリクル10は、前記に述べたペリクル枠体1を利用し、以下のように作成する。
【0051】
ペリクル膜2としては、セルロース誘導体(ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等、あるいはこれら2種以上の混合物)、フッ素系ポリマー(テトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンの3元コポリマー、主鎖に環状構造を持つポリマーであるデュ・ポン社製のテフロンAF(商品名)、旭硝子社製のサイトップ(商品名)、アウジモント社製のアルゴフロン(商品名)等)等のポリマー等が用いられる。
【0052】
現在用いられている一括露光液晶露光機の光源である超高圧水銀ランプに対しては、耐光性やコストの点から、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが好ましく使用される。
【0053】
ペリクル膜2の膜厚は、0.5μm〜10μm程度が好適であり、本発明に係る大型ペリクル10では、ペリクル膜2の強度や均一な膜の作り易さから、2μm〜8μmが好ましい。上記のポリマーは、夫々に適した溶媒(ケトン系、エステル系、アルコール系、フッ素系等)により、ポリマー溶液とする。
【0054】
上記のセルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートに対しては、乳酸エチル等のエステル系が好ましい。ポリマー溶液は必要に応じてデプスフィルター、メンブレンフィルター等により濾過される。
【0055】
ポリマー溶液の成膜法には、スピンコート法、ロールコート法、ナイフコート法、キャスト法等があるが、均一性や異物の管理の点から、スピンコート法が好ましい。スピンコート法により成膜基板上に成膜した後、必要に応じてホットプレート、クリーンオーヴン、(遠)赤外線加熱等により溶媒を乾燥することにより、均一な膜が形成される。この時の成膜基板としては、合成石英、溶融石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラス等が利用出来る。
【0056】
本発明に係る大型ペリクル成膜用の基板サイズは大きいので、乾燥時の温度斑により成膜基板が割れることがある。これを防ぐために、成膜用基板の熱膨張係数は小さいほど好ましい。特に、0℃〜300℃における線膨張係数が50×10−7m/℃以下であることが好ましい。
【0057】
また、基板表面には、シリコーン系、フッ素系等の材料により、あらかじめ離型処理を施しておけば良い。また、上記のペリクル膜2の片側、あるいは両側に、該ペリクル膜2よりも屈折率の低い層(即ち、反射防止層)を形成することにより、露光光線に対する透過率を高めることが出来、好ましい。
【0058】
反射防止層の材料としては、フッ素系ポリマー(テトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンの3元コポリマー、主鎖に環状構造を持つポリマーであるデュ・ポン社製のテフロンAF(商品名)、旭硝子社製のサイトップ(商品名)、アウジモント社製のアルゴフロン(商品名)、ポリフルオロアクリレート等)や、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム等屈折率の低い材料が使用される。
【0059】
反射防止層は、ポリマーの場合、前述と同様のスピンコート法により、無機物の場合、真空蒸着やスパッタリング等の薄膜形成法により形成することが出来る。異物の点からは、ポリマー溶液によるスピンコート法が好ましい。デュ・ポン社製のテフロンAF(商品名)、アウジモンド社製のアルゴフロン(商品名)は屈折率が小さいので反射防止効果が高く好ましい。
【0060】
上記により基板上に形成されたペリクル膜2は、アルミニウム合金、ステンレススチール、樹脂等に粘着材を貼り付けた仮枠により、基板から剥がし取って所望のペリクル枠体1に貼り替えても良い。また基板上で所望のペリクル枠体1を接着後、基板から剥がし取っても良い。
【0061】
このようにして得られた大型ペリクル膜2は、ペリクル枠体1に張力を架けて接着剤により貼着される。得られた大型ペリクル10は、枠体1に展張して貼着支持された大型ペリクル膜2の張力が好ましくは1×10−3N/mm〜1N/mmであり、より好ましくは6×10−3N/mm〜6×10−1N/mmである。
【0062】
膜の張力が上記範囲にあると、大型ペリクル膜2がその自重や大型ペリクル膜2内外の気圧差により大型ペリクル膜2の膜面の鉛直方向に膨らんだり凹んだりするのを抑制して露光不良を防止することが出来る。
【0063】
また、ペリクル膜2に付着した異物をエアブローで除去する時に該ペリクル膜2が大きく振動し、異物を除去し難いという問題を解決出来、更には、ペリクル膜2の高さが場所により変わるために該ペリクル膜2の異物検査機が正常に機能しないという問題を解決出来、また、ペリクル膜2の光学的高さ測定に誤差を及ぼすといった問題を解決出来る。また大型ペリクル10内外の気圧変動に対する追従性能を確保することが出来る。
【0064】
ぺリクル膜2とペリクル枠体1に接着するための膜接着剤は、ペリクル膜2の材質とペリクル枠体1の材質によって適宜選択する。たとえば、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系等の接着剤が使用される。
【0065】
また、硬化方法は夫々の接着剤に適した硬化方法(熱硬化、光硬化、嫌気性硬化等)が採用される。発塵性、コスト、作業性の面から、アクリル系の紫外線硬化型接着剤が好ましい。
【0066】
ペリクル枠体1をフォトマスク6に貼り付けるためのマスク粘着材には、それ自身に粘着力のあるホットメルト系(ゴム系、アクリル系)、基材の両面に粘着材を塗布したテープ系(基材としてアクリル系、PVC系等のシートあるいはゴム系、ポリオレフィン系、ウレタン系等のフォーム等が適用出来、粘着材としてゴム系、アクリル系、シリコーン系等の粘着材が適用される)等が使用される。
【0067】
本発明に係る大型ペリクル10では、マスク粘着材として、ペリクル10をフォトマスク6に低荷重で均一に貼り付けるために、比較的柔らかいホットメルト材料やフォームが好適である。フォームの場合は、その断面にアクリル系や酢酸ビニル系の粘着性材料あるいは非粘着性材料で覆うことにより、フォームからの発塵を防ぐことが出来る。
【0068】
マスク粘着材の厚さは通常0.2mm以上とされるが、フォトマスク6への均一な貼付のために、好ましくは1mm以上とされる。上記マスク粘着材の粘着面をフォトマスク6に貼り付けるまでの間保護するために、シリコーンやフッ素で離型処理されたポリエステルフィルムが使用される。
【0069】
ペリクル10を輸送する際のケースは、アクリル系、ABS系、PVC系、PET系等の材料を、射出成型や真空成型することにより作成される。これらの材料は帯電を防止するために、帯電防止剤を練り込んでも良いし、帯電防止構造をもったポリマー(クレハ製BAYON(商標)、旭化成工業製ADION(商標))を利用しても良い。
【0070】
本発明に係る大型ペリクル10用のケースは、輸送中にケースが歪みケース内のペリクル10のダメージを与えないように、ケースのふた、トレイ、またはその両方にリブ構造を設け、外力に対する抵抗性を高めることが好ましい。
【0071】
図1及び図2において、1は厚さ10μm以下のセルロース誘導体等の透明な高分子膜で構成される大型ペリクル膜2を展張して貼着支持する構造鋼により構成される大型ペリクル用枠体1である。
【0072】
ペリクル枠体1は互いに異なる所定の幅と、等しい所定の高さと、異なる所定の長さとを夫々有する長辺1aと短辺1bからなる方形状の枠で構成されている。該枠体1の長辺1a及び短辺1bの一方の面は、枠体1の全体に亘って平坦面で構成されており、それらの面にはペリクル膜2を貼着するための貼着面1a1,1b1が形成されている。
【0073】
枠体1のペリクル膜2を展張する面積は1000cm以上で構成され、該枠体1の長辺1aの幅Waは短辺1bの幅Wbより大きい。このように大型ペリクル膜2を展張する面積が1000cm以上であることから、かかる大型ペリクル10は大型のTFT型LCDのフォトリソグラフィ工程で使用される大型のフォトマスク6に適用することが出来る。
【0074】
また、枠体1の長辺1aの幅Waを短辺1bの幅Wbよりも大きく(長辺1aの幅Waを短辺1bの幅Wbの1.3倍以上)して該長辺1aの強度を確保し、該長辺1aの枠体1の内側に向かう撓みを抑制することが出来る。
【0075】
枠体1の長辺1aの幅Waが大きく、該長辺1aの貼着面1a1の幅Wcが比較的大きい場合、図6(a)に示すように、長辺1aの貼着面1a1とペリクル膜2との間に設けられる接着剤3を該貼着面1a1に塗布する際に気泡4が混入する虞があり、ペリクル10の輸送中に該気泡4が気圧変動により膨張して破裂し、接着剤3の破片がペリクル膜2に付着する虞がある。
【0076】
また、図6(b),(c)に示すように、接着剤3が長辺1aの貼着面1a1の全域に亘って均一に塗布出来ない虞があり、図6(b)に示すように、ペリクル膜2の内側に隙間5が出来た場合には、該隙間5に異物が侵入し、ペリクル10により保護されたはずのフォトマスク6やレチィクルに異物が付着する虞がある。
【0077】
また、図6(c)に示すように、ペリクル膜2の外側に隙間が出来た場合には、該ペリクル膜2の外縁2aに自由端部が形成され、振動や擦れによって発塵源となる虞がある。
【0078】
図3(a),(b)に示す実施形態では、枠体1の長辺1a及び短辺1bの貼着面1a1,1b1側には所定の傾斜角度を有する平面状の傾斜面1a2,1b2が形成されている。
【0079】
ここでは、長辺1a及び短辺1bの傾斜面1a2,1b2を形成した高さ位置は略等しく、且つ長辺1aの傾斜面1a2の傾斜角度が短辺1bの傾斜1b2の傾斜角度よりも小さくなるように設定され、これによって長辺1a及び短辺1bの貼着面1a1,1b1の幅Wc,Wdが夫々略等しくなっている。
【0080】
ペリクル膜2が貼着される長辺1aと短辺1bの貼着面1a1,1b1の幅Wc,Wdを略等しくしたことにより貼着面1a1,1b1に接着剤を均一に塗布することが出来、図6(a)〜(c)に示すような前述の問題が発生する虞がない。接着剤が均一に塗布出来る貼着面1a1,1b1の好ましい幅Wc,Wdは2mm〜12mm程度である。
【0081】
本実施形態では、ペリクル枠体1の長辺1aと短辺1bの両方の貼着面1a1,1b1側に平面状の傾斜面1a2,1b2を形成するという簡単な手法により、長辺1a及び短辺1bの貼着面1a1,1b1側の幅Wc,Wdを略等しくしており、好ましい。
【0082】
尚、図3では、枠体1の長辺1a及び短辺1bの傾斜面1a2,1b2を形成した高さ位置が略等しく、且つ長辺1aの傾斜面1a2の傾斜角度が短辺1bの傾斜面1b2の傾斜角度よりも小さくなるように設定した一実施形態について説明した。
【0083】
しかし、他の構成として、図5に示すように、枠体1の長辺1a及び短辺1bの傾斜面1a2,1b2の傾斜角度が等しく、且つ長辺1aの傾斜面1a2を形成した高さ位置が短辺1bの傾斜面1b2を形成した高さ位置よりも低くなるように設定しても良い。
【0084】
また、枠体1の短辺1bの幅Wbが比較的小さい場合には、傾斜面1b2を省略して断面方形(即ち、ストレート形状)で構成しても良いし、図4及び図8(a)に示すように枠体1の長辺1a及び短辺1bの貼着面1a1,1b1側の片側(内側)のみに平面状の傾斜面1a2,1b2を形成しても良い。
【0085】
また、平面状の傾斜面1a2,1b2の代わりに、図8(b),(c)に示すように曲面状の傾斜面1a3,1b3であっても良いし、図8(d),(e)に示すように段差1a4,1b4を形成しても良い。
【0086】
また、これらの形状に限定されることなく、他の種々の形状で構成してペリクル枠体1の長辺1a及び短辺1bの貼着面1a1,1b1の幅Wc,Wdを略等しくすることでも、前述と同様な効果を得ることが出来る。
【0087】
また、図9に示すような他の実施形態について説明すると、大型ペリクル10は、内径を大きくして露光有効エリアを拡大することが出来るように構成されている。図9及び図10に示すように、ペリクル枠体1の長辺1aの略中央の両外側にアライメントマーク露出用凹部8が設けられている。
【0088】
また、横断面がコの字形に形成され、アライメントマーク露出用凹部8の外隅の両側の外頂部8a及び内隅の両側の内頂部8bには彎曲面(R)が設けてある。6はマスクであって、その略中央の両側に位置合わせ用のアライメントマーク7が設けられている。
【0089】
従って、ペリクル枠体1をフォトマスク6に載置した際には、フォトマスク6上に予め記入されたアライメントマーク7がこのアライメントマーク露出用凹部8内に位置して露出し、上方から容易に見ることが出来るように構成されている。そのため露光有効エリアを最大限に利用出来るとともに、フォトマスク6の位置合わせを正確で且つ容易に行うことが出来る。
【0090】
以下、実施例に基づき、本発明を更に詳細に説明する。
【0091】
<実施例1>
大型ペリクル用枠体1は、長辺1aの長さが732mm、短辺1bの長さが436mm、ペリクル膜2を展張する面積が3191.52cmのものを用いる。ペリクル枠体1の長辺1aの幅Waは9mm、短辺1bの幅Wbは4mm、長辺1aの接着剤貼着面Wcは6mm、短辺1bの接着剤貼着面Wdは3mmである。ペリクル枠体1の高さは5.2mmである。この時の長辺1aの幅Waは、短辺1bの幅Wbの2.25倍である。
【0092】
ペリクル枠体1の材質としては構造鋼を用い、枠体1の断面形状は図4に示すように枠体1の内側面に傾斜面1a2,1b2を設けた形状のものを用いる。ペリクル膜2としては、セルロースエステルのポリマー溶液を低アルカリガラス上に塗布しスピンコートで主膜を形成する。
【0093】
次いで、その膜上にフッ素ポリマー溶液をスピンコートで塗布して反射防止層を成形した厚み4μmのペリクル膜2を用いる。得られたペリクル膜2を上記ペリクル枠体1に展張して貼着する。この時のペリクル膜2の張力は、6×10−2N/mmであった。
【0094】
また、ペリクル枠体1をフォトマスク6に貼り付ける際のマスク粘着材には、基材にフォームを用いた厚み0.8mmの両面テープを使用する。ペリクル枠体1のマスク接着面にこの両面テープを貼り、フォトマスク6の所定位置に貼り付ける。尚、各部材は使用前に超音波洗浄を行う。フォトマスク6のサイズは、750mm×500mmのものを使用する。
【0095】
得られた大型ペリクル10は、ペリクル枠体1の撓みがなく、通常のペリクル貼り付け装置により精度良くフォトマスク6に貼り付けることが出来、露光領域への影響もなかった。また、長辺1a、短辺1bとも枠体1にペリクル膜2が均一に接着されており、枠体1内側への接着剤のはみ出しがなく、且つ余膜切断時に膜片が残ることがなかった。
【0096】
また、枠体1の膜貼着面側に傾斜面1a2,1b2を設けており、この箇所を集光灯で観察した結果、挟まれた異物は見られなかった。
【0097】
<実施例2>
図9に示すように、アライメントマーク露出用凹部8を設けた以外は前記実施例1と同様のペリクル枠体1を用いる。この枠体1には、長辺1aの中央部の外側にアライメントマーク露出用凹部8を設けている。図10に示すように、アライメントマーク露出用凹部8の各サイズは、Weが24mm、Wfが37mm、Wgが1mm、外頂部8aの曲面がR7(半径7mm)、内頂部8bの曲面がR15(半径15mm)である。
【0098】
このペリクル枠体1により、実施例1と同様にして大型ペリクル10を作成した。フォトマスク6のサイズは、750mm×498mmのものを用いた。得られた大型ペリクル10は、ペリクル枠体1の撓みがなく、通常のペリクル貼り付け装置により精度良くフォトマスク6に貼り付けることが出来、露光領域への影響もなかった。
【0099】
また、長辺1a、短辺1bとも枠体1にペリクル膜2が均一に接着されており、枠体1内側への接着剤のはみ出しがなく且つ余膜切断時に膜片が残ることがなかった。
【0100】
また、枠体1の膜貼着面側に傾斜面1a2,1b2を設けており、この箇所を集光灯で観察した結果、挟まれた異物は見られなかった。更に大型ペリクル10について集光灯を用いてフレーム外周全周にわたり目視検査を行ったが、異物の付着がなかった。また、このペリクル10をPET製のケースに収納し、輸送を行った後、再度検査を行ったが、ペリクル膜2にも枠体1にも異物の付着がなかった。
【0101】
<比較例1>
ペリクル用枠体1は、撓みを防ぐために縦横とも同じ断面積でペリクル枠体1の幅を大きくしたものを用いる。ペリクル枠体1としては、長辺1aの長さが742mm、短辺1bの長さが436mm、ペリクル膜2を展張する面積は3235.12cmのものを用いる。
【0102】
また、ペリクル枠体1の長辺1aの幅Waは9mm、短辺1bの幅Wbは9mm、長辺1aの接着剤貼着面の幅Wcは6mm、短辺1bの接着剤貼着面の幅Wdは4mmである。枠体1の高さは5.2mmである。この時の長辺1aの幅Waは、短辺1bの幅Wbの等倍である。ペリクル枠体1は構造鋼であり、枠体1の断面形状は矩形のものを用いる。このペリクル枠体1を用いて前記実施例1と同様に大型ペリクル10を作成する。
【0103】
有効露光面積が前記実施例1,2と同様にし、且つマスクハンドリング用のスペース(ペリクル10の外周とフォトマスク6の外径との寸法差)を同じ値にするためには、前記実施例1,2よりも一回り大きな760mm×500mmのサイズのフォトマスク6が必要となる。
【0104】
得られた大型ペリクル10について、集光灯にて枠体1の膜貼着面を観察すると、短辺1bの接着剤貼着面1b1では良好に接着されているが、長辺1aの接着剤貼着面1a1では余膜切断時の膜片が残っており、また、ペリクル膜2と枠体1の膜貼着面間及び枠体1の段差部に異物が挟まれているのが観察された。
【0105】
【発明の効果】
本発明の大型ペリクル用枠体によれば、次のような効果が得られる。大型ペリクル膜を展張して貼着支持する長辺と短辺とを有する方形状の大型ペリクル枠体において、大型ペリクル膜を展張する面積が1000cm以上で且つ枠体の長辺の幅が短辺の幅より大きくしたことにより、ペリクル膜の張力によるフレームの撓みも生じないので、ペリクル枠の内側ぎりぎりまで露光パターンを設けることが出来る。
【0106】
これにより、非常に高価なマスクの面積を最小限に抑えることが出来、経済的な負担を大きく軽減することが出来る。また、ペリクル膜の張力によるフレームの撓みも生じないので、ペリクル枠の外径を基準とする従来のペリクル貼り付け装置により、ペリクルのフォトマスクへの貼付けを精度良く行うことが出来る。
【0107】
また、本発明の大型ペリクルは、少なくとも前記枠体の長辺のペリクル膜貼着面に傾斜面を形成して前記枠体の長辺及び短辺の貼着面の幅を略等しくしたことによって、従来通りの簡単な接着剤塗布装置によっても、ペリクル膜のペリクル枠体への接着を、しわや弛み等を生じることなく均一に行うことが出来る。
【0108】
また、本発明の大型ペリクルにおいては、大型ペリクル用枠体の外周部の所定の位置に、マスクのアライメントマークを露出させるための凹部を設けることによって、ペリクル枠体の外形とマスクアライメントマークの間に余裕が出来、ペリクルのマスクへの貼り付け歩留まりを向上させることが出来る。
【0109】
更に、前記アライメントマーク露出用凹部の両側の外頂部及び/又は内頂部に曲面状に形成することにより、ペリクル枠体とペリクル収納ケースとの接触による発塵を引き起こすことなくペリクルを輸送することが出来る。またペリクル枠体に異物が溜まり難い構造であるから、ペリクル製造工程におけるペリクル枠体の洗浄が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る大型ペリクル用枠体及びこれを用いた大型ペリクルの構成を示す斜視図である。
【図2】 本発明に係る大型ペリクル用枠体及びこれを用いた大型ペリクルの構成を示す平面図である。
【図3】 (a)は図2のA−A断面図、(b)は図2のB−B断面図である。
【図4】 (a)は他の形状を示す断面図、(b)は他の形状を示す断面図である。
【図5】 (a),(b)は枠体の長辺と短辺の貼着面の幅を略等しくするために各貼着面側に形成された平面状の傾斜面の他の一例を示す図である。
【図6】 (a)〜(c)は大型ペリクル膜が貼着される枠体の貼着面の幅が大きい場合で接着剤が不均一に塗布された場合の課題を説明する図である。
【図7】 図6の他の形状を示す場合の例を示す図である。
【図8】 (a)〜(e)は枠体の長辺と短辺の貼着面の幅を略等しくするために各貼着面側に形成された曲面状の傾斜面や段差、或いは片側のみに平面状や曲面状の傾斜面や段差を形成した一例を示す模式図である。
【図9】 アライメントマークを設けたペリクル枠体を示す平面図である。
【図10】 図9の部分拡大図である。
【符号の説明】
1…ペリクル枠体
1a…長辺
1b…短辺
1a1,1b1…貼着面
1a2,1b2…平面状の傾斜面
1a3,1b3…曲面状の傾斜面
1a4,1b4…段差
2…ペリクル膜
2a…外縁
3…接着剤
4…気泡
5…隙間
6…フォトマスク
7…アライメントマーク
8…アライメントマーク露出用凹部
8a…外頂部
8b…内頂部
9…隙間
10…大型ペリクル

Claims (6)

  1. 大型ペリクル膜を展張して貼着支持する長辺と短辺とを有する方形状の大型ペリクル用枠体であって、
    前記大型ペリクル膜を展張する面積が1000cm以上であり、且つ前記枠体の長辺の幅が該枠体の短辺の幅の1.05倍〜5倍であり、且つ前記枠体の長辺の幅が4 mm 〜30 mm で、且つ前記枠体の短辺の幅が3 mm 〜23 mm とされたことを特徴とする大型ペリクル用枠体。
  2. 大型ペリクル膜を展張して貼着支持する長辺と短辺とを有する方形状の大型ペリクル用枠体であって
    前記大型ペリクル膜を展張する面積が1000 cm 以上であり、且つ前記枠体の長辺の幅が該枠体の短辺の幅よりも大きく、且つ少なくとも前記枠体の長辺のペリクル膜貼着面に傾斜面を形成して前記枠体の長辺及び短辺の貼着面の幅を略等しくしたことを特徴とする大型ペリクル用枠体。
  3. 前記大型ペリクル用枠体の外周部の所定の位置に、マスクのアライメントマークを露出させるための凹部を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の大型ペリクル用枠体。
  4. 前記アライメントマーク露出用凹部の両側の外頂部を曲面に形成したことを特徴とする請求項に記載の大型ペリクル用枠体。
  5. 前記アライメントマーク露出用凹部の両側の内頂部を曲面に形成したことを特徴とする請求項に記載の大型ペリクル用枠体。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の大型ペリクル用枠体にペリクル膜を貼り付けたことを特徴とする大型ペリクル。
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