添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下に説明する実施の形態は本発明の構成の例であり、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本実施形態のペリクルは、ペリクル枠体の最も長い辺の長さが、1400mm以上、特に1700mm以上、2100mm以下であって、ペリクル有効面積(ペリクル枠体の開口部の面積)が20000cm2以上、特に23000cm2以上の場合に顕著な効果を奏する。尚、TFTLCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)の製造に用いるマスク等に要求されている大きさから、有効面積の上限は40000cm2であれば十分である。
前述のように、従来は、大型のマスク自身の自重の撓みについては、撓みに追従するようなペリクルにすることで露光中に問題が発生しないようにしていた。これに対して本実施形態では、大型のマスク自身の自重による撓みという課題に対し、ペリクルでマスクの撓みを抑制するという全く新しい解決手段を採用している。
具体的には、ペリクルの対向する1対の辺に沿ってマスクの支持台が設置されるが、ペリクル枠体をマスクの支持台の一部として機能させることで、マスクの撓みを抑制する。その際、マスクが徐々に自重で撓んだとしてもペリクルが剥がれることが無いように、ペリクル枠体の平坦性を維持することが重要である。ところが、ペリクル枠体を構成する辺は、細く厚みが小さく長さが長いため、ペリクル枠体の平坦性を出すことは容易ではない上、加工が多くなるほど平坦性が悪くなる傾向にある。また、ペリクル枠体の面積が大きくなるほどペリクル枠体全体の平坦性を出すことが困難になる。そこで、本実施形態では、ペリクル枠体の1対の辺に一定領域の第1溝部を設けることで、剛性を維持しつつ、内部応力を解放している。これによって、ペリクル枠体の平坦性を維持し、マスクが自重で撓んだとしてもペリクルが剥がれるのを防いでいる。
図1〜3に示されるように、ペリクル1は、長方形の開口部2aを内側に有するペリクル枠体2を備えている。ペリクル枠体2の開口部2aの形状は、マスク3の形状と相似であり、本実施形態では長方形を例示するが、マスクが正方形の場合には正方形となる。ペリクル枠体2は、対向する1対の長辺4と、対向する1対の短辺5とを有している。長辺4とは、ペリクル枠体2の最も長い辺であり、短辺5とは、ペリクル枠体2の最も短い辺である。より具体的に説明すると、開口部2aが長方形の場合は、直交する2辺のうち長い方が長辺4、短い方が短辺5であり、開口部2aが正方形の場合は、4辺とも同じ長さである。ペリクル枠体2の各辺の断面形状としては、矩形形状が最も好ましい。
ペリクル1は、ペリクル枠体2の上縁面2cに接着されたペリクル膜6と、ペリクル枠体2の下縁面2dに塗着された粘着材7とを更に備え、粘着材7を介してマスク3に接着されている。マスク3に接着される前のペリクル1は、ペリクル枠体2の下縁面2dに粘着材7を介して保護フィルム(不図示)が粘着された構造を有している。
1対の長辺4の外側面(外側)4aにはそれぞれ、長辺4の長さに対して4.0%以上10%未満の長さを有する凹形状の第1溝部8が設けられている。第1溝部8は、nを2以上の自然数として、複数の第1溝81、82・・・8nからなることがより好ましい。本実施形態では、第1溝部8は、3つの第1溝81、82、83からなっている。第1溝部8の長さ、即ち、複数の第1溝81、82・・・8nの長さの合計は、長辺4の長さ対して、4.0%以上10.0%未満である。更に、4.5%以上10%未満であることが好ましく、5.0%以上9.9%以下であることがより好ましい。
上記範囲内にあると、1対の長辺4は、250μm以下の平坦性を保ちつつ、マスク3を支持する支持台10(図4参照)に沿って設置されたときに、マスク3の自重撓みを抑制することが可能となる。ここでいう平坦性とは、ペリクル枠体2の石定盤からのうねりの測定値である。例えば、ペリクル枠体2を石定盤に静置し、ペリクル枠体2の上部(石定盤の反対側)からレーザーを入光させ、レーザー変位計にて厚みを測定する。石定盤をゼロ点とし、入光側のペリクル枠体2から石定盤までの距離を測定する。ここで、測定数は1辺で32点とし、辺の両端から30mmの点を各々測定し、更にその間を30点等間隔になるように測定する。これを4辺において行い、4辺においてゼロ点からの高さが一番高い点及び一番低い点の高さの差を平坦性とする。
ペリクル枠体2の平坦性は、マスク3に平坦性良く貼り付けるために、最も長い辺の長さが1400mm以上の場合でも、最も長い辺の長さが300mm程度の場合と同程度であることが重要になっている。ペリクル枠体2の平坦性が悪いと、粘着材7がペリクル枠体2の平坦性に沿って成型されるためマスク3に貼り付けた時にエアパスが入る可能性があり、そのエアパスがきっかけとなって剥がれが生じたり、そこから異物が混入したりする可能性がでてくる。
1対の長辺4がマスク3を支持する支持台10に沿って設置される場合、1対の長辺4には剛性をもたせた方がよいため、剛性の観点からは、1対の長辺4には加工を施さない方が好ましい。しかし、長辺4には、切削による内部応力が残留(以下、「残留応力」という)すると考えられている。残留応力は外観からは見えないため、残留応力が残った状態でペリクル枠体2が完成すると、そのペリクル枠体2をペリクル1として製造する工程での加熱等でペリクル枠体2の平坦性が更に悪くなる。その結果、ペリクル膜6を接着する接着剤及び粘着材7が平坦に塗布できずにペリクル膜6の貼付けが悪くなったり、粘着材7の成型性が悪くなったりして、マスク3に貼り付けた場合にエアパスが発生する可能性もある。したがって、前述の通り、1対の長辺4に第1溝部8を設け、ペリクル枠体2の平坦性を維持する必要がある。また、溝部の長さが辺の長さに対して4.0%以上10%未満であると、辺に対して加工時に残留応力が残らないような加工になるためより好ましい。
また、ペリクル枠体2の1対の短辺5に沿って支持台10が設置された場合も同様にすることで、短辺5に剛性をもたせることが可能になり、少しでもマスク3の撓みを抑制可能とする。同様にするとは、1対の短辺5の外側面(外側)5aにそれぞれ、短辺5の長さに対して4.0%以上10.0%未満の長さを有する凹形状の溝部を設けるようにすることである。
第1溝部8を複数の第1溝81、82・・・8nで構成することによって、このような残留応力をより解放することができ、好ましい。更には、ペリクル枠体2の状態で熱処理等をすることでペリクル枠体2全体の熱応力を低減できる効果がある上に、均一に長辺4の剛性を保つことが可能になり、好適である。
nは、特に3以上であることが好ましい。例えば、nが3の場合は、3つの第1溝81、82、83を両端部より若干離れた所に左右に1つずつ設け、残り1つは、短辺5の中央付近(例えば、中心から左右に100mm前後)に設けるとより好ましい。nが4の場合は、両端部より若干離れた所に左右に1つずつと、短辺5の中央付近(中心から左右に200mm前後)に2つというように、両端側と中央寄りに設けると好ましい。
上記のような配置をとることで、切削時の応力をバランスよく解放することができ、平坦性と辺全体の剛性のバランスを保ったままペリクル1を製作することができる。また、応力は角部に集中しやすいが、角部に曲率Rをもたせて角部の応力を逃がすように切削しているため、角部より若干離れた所に応力がかかりやすくなっていると考えられる。したがって、両端部より若干離れた場所に第1溝部8をもつ方が好ましいと推測される。
一つの第1溝8xを構成する長さは、20mm以上であることが好ましく、更には30mm以上、特に35mm以上であることが好ましい。上限としては、100mm以下であり、90mm以下、80mm以下であると更に好ましい。残留応力を緩和するためには第1溝8xは長い方がよいが、剛性と平坦性を考慮すると第1溝8xは上記範囲が好ましい。また、第1溝8xの長さが短い場合は、切削時のバリが少ない上に異物の付着が少なく、洗浄性もよいため更に好ましい。
第1溝8xの各々の間隔は200mm以上800mm以下が好ましい。特に300mm以上750mm以下が好ましく、更には350mm以上700mm以下が好ましい。両端からではなく、第1溝8x同士の間隔である。例えば、3ヵ所の場合は、辺の中央付近に1ヵ所と200mm以上800mm以下空けて両脇に2ヵ所といった具合である。上記範囲内にあると角部の剛性を保持しつつ更に平坦性がよくなるため好ましい。
1対の短辺5の外側面(外側)5aにはそれぞれ、短辺5の長さに対して8%以上の長さを有する凹形状の第2溝部9が設けられている。第2溝部9の長さは、短辺5の長さに対して、8%以上の好ましくは10%以上、更に好ましくは30%以上、最も好ましくは100%である。本実施形態では、100%である。つまり、本実施形態では、第2溝部9は、短辺5の全長に渡る長さを有している。なお、第2溝部9は、mを2以上の自然数として、複数の第2溝91、92・・・9mからなっていてもよい。このとき、第2溝部9の長さは、複数の第2溝91、92・・・9mの長さの合計である。なお、短辺5にも、前述したように長辺4と同様に、切削による残留応力が存在すると考えられるが、第2溝部9を設けることによって、残留応力が解放され、ペリクル枠体2の平坦性が維持される。
支持台10は長辺4に沿って配置されるため、短辺5は、マスク3を支持しない辺に相当する。したがって、短辺5は、少しでもマスク3が自重で撓んだ場合、マスク3に追従する必要がある。上記範囲内であれば、短辺5は、剛性を落とすことでマスク3に対する追従性が良くなり、マスク3から剥がれる心配がなくなる。
第1溝部8、第2溝部9について説明する。第1溝部8、第2溝部9は、ペリクル枠体2の外側面4a,5aに設けることが冶具または装置の設計上好ましい。更に、把持時にペリクル膜6の接着剤(図示せず)またはマスク3との粘着材7に余計な力が働くことがないように、上縁面2c及び下縁面2dから離間した位置に設けることが好ましい。
第1溝部8の深さd4は、長辺4の外側面4aを基準として、長辺4の幅W4の0.01〜0.9倍の深さが好ましく、0.01〜0.5倍の深さがより好ましく、0.01〜0.3倍の深さが更に好ましい。同様に、第2溝部9の深さd5は、短辺5の外側面5aを基準として、短辺5の幅W5の0.01〜0.9倍の深さが好ましく、0.01〜0.5倍の深さがより好ましく、0.01〜0.3倍の深さが更に好ましい。
第1溝部8、第2溝部9の断面形状としては、矩形、台形、多角形、円形・半円形又は楕円形等、特には問わない。また、第1溝部8、第2溝部9が深くなる方向に沿って第1溝部8の高さh4、第2溝部9の高さh5が小さくなったり、大きくなったりする形態でもよい。必要に応じて第1溝部8、第2溝部9に曲率R、C面を設けても良い。
本実施形態のペリクル枠体2を構成する材料は、例えば、機械構造用炭素鋼(SCシリーズ等)、工具鋼(炭素工具鋼SKシリーズ、高速度工具鋼SKHシリーズ、合金工具鋼SKSシリーズ、SKDシリーズ、SKTシリーズ等)、マルテンサイト系ステンレスシリーズ(SUS403、SUS410、SUS410S、SUS420J1、SUS420J2、SUS429J1、SUS440A等)、アルミニウム、アルミニウム合金(5000系、6000系、7000系等)等の金属、セラミックス(SiC、AlN、Al2O3等)、セラミックスと金属の複合材料(Al-SiC、Al-AlN、Al-Al2O3等)があげられ、中でもアルミニウム及びその合金をあげることができ、より具体的にはアルミニウムとマグネシウムの合金、アルミニウムとマグニシウムそしてケイ素の合金、アルミニウムと亜鉛そしてマグネシウムの合金、または樹脂(複合材料、ガラス繊維強化樹脂、カーボン入り強化樹脂など)等をあげることができる。
また、ペリクル枠体2は一体物でも、複数の部材の接合物でもどちらの場合でもよい。
尚、上記の各鋼材は磁性材料のため磁石で固定出来、特に大型のペリクル枠体2の場合、加工作業が良くなり好ましく用いられる。ペリクル枠体2の表面に、黒色クロムメッキ、黒色アルマイト、黒色塗装、黒色セラミックス化等の黒色化処理を施すことも出来る。
この中で、黒色アルマイト処理についてさらに説明する。ペリクル枠体2としては一般に5000系のアルミニウム合金を用いることが多いので、アルミニウム合金を例にあげて説明する。一般的な黒色アルマイト処理は、アルミニウム合金でペリクル枠体2を成形後、アルマイト処理し、この処理により発生した微細な孔を黒色化剤で封入処理し、そしてその微細孔をふさぐ封孔処理を施して黒色アルマイト処理がなされる。しかし、このようにして一般的な方法で作られた支持枠の表面を、電子顕微鏡で観察すると、細かいひびわれ(マイクロクラック)の発生が確認される。このようなマイクロクラックはパターンの微細化が進展し、配線幅が一層狭くなると、該クラックに入り込んだ極小さい異物の落下も問題となる。そこで、このようなマイクロクラックの発生を防止する方法として以下のような方法をとることが好ましい。
先ず、ペリクル枠体2の表面をアルマイト処理する。このアルマイト処理は、硫酸濃度10〜20%、電流密度1〜2A/dm2、電解液温度15〜30℃、通電時間10〜30分の範囲で行われる。その際、アルミニウム合金の表面にはミクロな孔(直径50〜200Å、ピッチ500〜1500Å)が規則正しく多数形成される。その後、この孔を使って黒色化処理を行う。黒色化処理は枠からの光の反射を防止するために行うので黒色に限らず黒に近い、茶色、紺色等の濃い色も含むものである。黒色化処理には、染色、電解着色等が挙げられる。染色は、黒色の染料を溶解した液の中に浸漬することでこの孔に染料を吸着させ色調を得る方法であり、また、電解着色は、この孔に電気的に金属元素を析出させ色調を得る方法である。染色は例えば、染料濃度3〜10g/L、染色液温度50〜65℃にて行う。
続いて、この孔を塞ぐ封孔処理が施される。この処理には、例えば低温封孔剤とよばれる日華化学工業(株)製ハードウォール3(商品名)封孔助剤6〜12g/Lを加えた煮沸水が使われる。この時の封孔によりアルマイト膜表面の微細な孔が埋められアルマイト膜は緻密になっていくのであるが、封孔の温度を100℃より若干低い温度、例えば70〜95℃、より好ましくは80〜90℃で封孔処理を行えば、極めて均一な表面性を有し、実質的にマイクロクラックのないペリクル枠体2を作ることができる。
尚、マイクロクラックの有無の判断は、ペリクル枠2表面を電子顕微鏡にて1000倍に拡大した写真において10cm(実寸法0.1mm)の直線を引き、その直線に交差するクラック数を計算する。クラックの幅は、その電子顕微鏡写真で観察できるもの、即ちクラック幅0.1μm以上のものを計数する。この数値が多いほどクラックが高密度で存在すると判断する。
必要に応じてペリクル枠体2の開口部2aに接する面又は全面に、異物を補足するための粘着材(アクリル系、酢酸ビニル系、シリコン系、ゴム系等)、グリース(シリコーン系、フッ素系等)を塗布しても良い。
また、必要に応じてペリクル枠体2の内部と外部を貫通する微細な穴を開けて、ペリクル1とマスク3で形成された空間の内外の気圧差がなくなるようにすると、ペリクル膜6の膨らみ、凹みを防止出来る。また、この時、微細な穴の外側に異物除去フィルターを取り付けると、気圧調整が可能な上、ペリクル1とマスク3で形成された空間の中に異物が侵入することを防げるので好ましい。ペリクル1とマスク3で形成された空間容積が大きい場合には、これらの穴、フィルターを複数個設けると、気圧変動によるペリクル膜6の膨らみ、凹みの回復時間が短くなり、好ましい。
本実施形態のペリクル枠体2は、上記の要件を満足することで、最も長い辺が1400mm以上の大型のペリクル枠体2の平坦性をよくすることが可能である。これによって本実施形態のペリクル枠体2は、ペリクル1をマスク3に貼着後もエアパス等が生じることがなく、しかも、ペリクル1自体のハンドリング時に自重による撓みがないため膜シワが生じることがないといった優れた効果を奏するものである。
本実施形態におけるペリクル枠体2を構成する各辺4,5の幅W4、W5について説明する。図2に示されるように、ペリクル枠体2の長辺4の幅W4は、17mm以上30mm以下であり、好ましくは下限が17.5mm以上、最も好ましくは18mm以上である。一方、上限は30mm以下であり、好ましくは28mm以下、最も好ましくは25mm以下である。この幅は、一般的なペリクル枠体を構成する辺の幅よりも太いものとなっている。
また、図3に示されるように、短辺5の幅W5は、19mm以上30mm以下であり、好ましくは下限が19.5mm以上、最も好ましくは20mm以上である。一方、上限は30mm以下であり、好ましくは28mm以下、最も好ましくは25mm以下である。この幅は、一般的なペリクル枠体を構成する辺の幅よりも太いものとなっている。上記範囲内であれば、短辺5の幅W5が長辺4の幅W4より大きくても、長辺4の幅W4が短辺5の幅W5より大きくても、或いは、長辺4の幅W4が短辺5の幅W5と同じでもよい。
また、図2、及び図3に示されるように、ペリクル枠体2の厚みtについては、好ましくは4.0mm以上で、より好ましくは5.0mm以上で、更に好ましくは6.0mm以上である。また、上限は15.0mm以下が好ましく、より好ましくは13.0mm以下、さらに好ましくは10.0mm以下である。
上述のペリクル枠体2は、開口部2aの面積が16000cm2以上であり、このペリクル枠体2にペリクル膜6を展張して接着することで超大型のペリクル1を製作できる。以下に、ペリクル膜6の詳細、及びペリクル枠体2にペリクル膜6を接着することで製造されるペリクル1、更に、マスク3へのペリクル1の貼り付け(固着)方法について説明する。
ペリクル膜6としては、セルロース誘導体(ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等、あるいはこれら2種以上の混合物)、フッ素系ポリマー(テトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンの3元コポリマー、主鎖に環状構造を持つポリマーであるデュ・ポン社製のテフロンAF(商品名)(「テフロン」は登録商標)、旭硝子社製のサイトップ(商品名)、アウジモント社製のアルゴフロン(商品名)等)等のポリマー等が用いられる。
ペリクル膜6は、例えばポリマー溶液から成膜された薄膜が使用されている。この薄膜には張力が存在する。一方、この張力は、ペリクル膜6が撓んだりしわが入らないようにするために必要である。ペリクル膜6が撓んだりしわが入ると、ペリクル膜6に付着した異物をエアブローで除去する時に、ペリクル膜6が大きく振動し除去し難い。また、ペリクル膜6の高さが場所により変わるために、ペリクル膜6の異物検査機が正常に機能しない。また、ペリクル膜6の光学的高さ測定に誤差を及ぼす等の問題が生じる。
現在用いられている一括露光液晶露光機の光源である超高圧水銀ランプに対しては、耐光性、コストの点から、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが好ましく使用される。
ペリクル膜6の膜厚は、0.5μm〜10μm程度が好適であり、本実施形態の大型のペリクル1では、ペリクル膜6の強度、均一な膜の作り易さから、2μm〜8μmが好ましい。上記のポリマーは、夫々に適した溶媒(ケトン系、エステル系、アルコール系、フッ素系等)により、ポリマー溶液とする。上記のセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートに対しては、乳酸エチル等のエステル系が好ましい。ポリマー溶液は必要に応じてデプスフィルター、メンブレンフィルター等により濾過される。
ポリマー溶液の成膜法には、スピンコート法、ロールコート法、ナイフコート法、キャスト法等があるが、均一性、異物の管理の点から、スピンコート法が好ましい。スピンコート法により成膜基板上に成膜した後、必要に応じてホットプレート、クリーンオーヴン、(遠)赤外線加熱等により溶媒を乾燥することにより、均一な膜が形成される。この時の成膜基板としては、合成石英、溶融石英、無アルカリガラス、低アルカリガラス、ソーダライムガラス等が利用出来る。
本実施形態のペリクル1は大型であるため、ペリクル膜6の成膜に用いられる成膜基板もサイズが大きく、乾燥時の温度斑により成膜基板が割れることがある。これを防ぐために、成膜基板の熱膨張係数は小さいほど好ましい。特に、0℃〜300℃における線膨張係数が50×10−7m/℃以下であることが好ましい。
また、成膜基板の表面には、シリコーン系、フッ素系等の材料により、あらかじめ離型処理を施しておけば良い。また、上記のペリクル膜6の片側、あるいは両側に、該ペリクル膜6よりも屈折率の低い層(即ち、反射防止層)を形成することにより、露光光線に対する透過率を高めることが出来、好ましい。
反射防止層の材料としては、フッ素系ポリマー(テトラフルオロエチレン−ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレンの3元コポリマー、主鎖に環状構造を持つポリマーであるデュ・ポン社製のテフロンAF(商品名)(「テフロン」は登録商標)、旭硝子社製のサイトップ(商品名)、アウジモント社製のアルゴフロン(商品名)、ポリフルオロアクリレート等)、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム等屈折率の低い材料が使用される。
反射防止層は、ポリマーの場合、前述と同様のスピンコート法により、無機物の場合、真空蒸着、スパッタリング等の薄膜形成法により形成することが出来る。異物の点からは、ポリマー溶液によるスピンコート法が好ましい。デュ・ポン社製のテフロンAF(商品名)(「テフロン」は登録商標)、アウジモンド社製のアルゴフロン(商品名)は屈折率が小さいので反射防止効果が高く好ましい。
上記により成膜基板上に形成されたペリクル膜6は、アルミニウム合金、ステンレススチール、樹脂等に粘着材を貼り付けた仮枠により、成膜基板から剥がし取って所望のペリクル枠体2に貼り替えても良い。また成膜基板上で所望のペリクル枠体2を接着後、成膜基板から剥がし取っても良い。このようにして得られた大型のペリクル膜6は、ペリクル枠体2に張力を架けて接着剤により貼着される。
ペリクル膜6は、張力が適度な範囲にあると、その自重及びペリクル膜6内外の気圧差等により膜面の鉛直方向に膨らんだり凹んだりするのを抑制して露光不良を防止することが出来る。また、ペリクル膜6に付着した異物をエアブローで除去する時に該ペリクル膜6が大きく振動し、異物を除去し難いという問題を解決出来、更には、ペリクル膜6の高さが場所により変わるために該ペリクル膜6の異物検査機が正常に機能しないという問題、また、ペリクル膜6の光学的高さ測定に誤差を及ぼすといった問題を解決出来る。また大型のペリクル1内外の気圧変動に対する追従性能を確保することが出来る。
ペリクル膜6とペリクル枠体2に接着するための接着剤は、ペリクル膜6の材質とペリクル枠体2の材質によって適宜選択する。たとえば、エポキシ系、アクリル系、シリコーン系、フッ素系等の接着剤が使用される。また、接着剤の硬化方法は夫々の接着剤に適した硬化方法(熱硬化、光硬化、嫌気性硬化等)が採用される。発塵性、コスト、作業性の面から、アクリル系の紫外線硬化型接着剤が好ましい。
ペリクル枠体2をマスク3に貼り付けるための粘着材7には、それ自身に粘着力のあるホットメルト系(ゴム系、アクリル系)、基材の両面に粘着材7を塗布したテープ系(基材としてアクリル系、PVC系等のシートあるいはゴム系、ポリオレフィン系、ウレタン系等のフォーム等が適用出来、粘着材7としてゴム系、アクリル系、シリコーン系等の粘着性材料が適用される)等が使用される。
本実施形態に係る大型のペリクル1では、粘着材7として、ペリクル1をマスク3に低荷重で均一に貼り付けるために、比較的柔らかいホットメルト材料、フォームが好適である。フォームの場合は、その断面にアクリル系、酢酸ビニル系の粘着性材料あるいは非粘着性材料で覆うことにより、フォームからの発塵を防ぐことが出来る。
粘着材7の厚さは通常0.2mm以上とされるが、マスク3への均一な貼付のために、好ましくは1mm以上とされる。粘着材7の粘着面をマスク3に貼り付けるまでの間保護するために、シリコーン、フッ素で離型処理されたポリエステルフィルムが使用される。
ペリクル1を輸送する際のケースは、アクリル系、ABS系、PVC系、PET系等の材料を、射出成型、真空成型することにより作成される。これらの材料は帯電を防止するために、帯電防止剤を練り込んでも良いし、帯電防止構造をもったポリマー(クレハ製BAYON(商標)、旭化成製ADION(商標))を利用しても良い。
本実施形態に係る超大型のペリクル1のケースは、輸送中にケースが歪みケース内のペリクルのダメージを与えないように、ケースの蓋、トレイ、またはその両方にリブ構造を設け、外力に対する抵抗性を高めることが好ましい。
又、ペリクル枠体2は、確実に把持できることに加えて、その後の収納容器からのペリクル1の取り出しに際し、ペリクル枠体2に撓み、ねじれを生じさせることなく、取り出すことができる方法が要求されている。そして、特に、ペリクル1自体が大きくなり、ハンドリングも困難となる大型のものにおいては、収納・運搬・保管に際しては、確実な把持はもちろん、収納容器からの取り出しの際、取り出し後直接マスク等に貼り付けられるよう、保護フィルムと粘着材7の界面からペリクル1の歪み撓みを生じさせることなく取り出す方法が要求されている。
そこで、本実施形態では、短辺5に把持用としても有効な第2溝部9を設けている。その結果、最も長い辺の長さが1400mm〜2100mmの大型のペリクル1の把持を達成可能としている。なお、本実施形態では、第2溝部9を主体的に把持用として用いることを想定して説明したが、マスク3からの制約を受けないように、例えば、長辺4、短辺5に、それぞれ把持用の凸部を形成して大型のペリクル1の把持を達成可能とすることもできる。
以上説明したように本実施形態のペリクル枠体2は、面積が20000cm2以上40000cm2以下の長方形の開口部を内側に有する大型のペリクル枠体2であって、1対の長辺4を有し、長辺4の外側面4aには長辺4の長さに対して4.0%以上10%未満の長さを有する凹形状の第1溝部8が設けられ、長辺4の平坦性は、250μm以下である、ことを特徴とする。
これによれば、長辺4の残留応力が解放されて、平坦性を維持できると共に、剛性を維持できる。その結果、長辺4に沿って支持台10が設置される大型のマスク3において、ペリクル枠体2が支持台10を補強することになり、マスク3の撓みを抑制することができる。
また、ペリクル枠体2は、短辺5を有し、短辺5の外側面5aには短辺5の長さに対して8%以上の長さを有する凹形状の第2溝部9が設けられている。この第2溝部9を把持用として用いることで、ハンドリングがし易くなる。なお、第2溝部9を設けることで、短辺5の剛性は落ちたとしても、長辺4の剛性は、好適に維持されるので、マスク3への貼り付け時のマスク3の撓みは最小限に抑えられる。また、若干の軽量化により、マスク3への貼り付け時のマスク3の撓みも抑制される。更に、第2溝部9は、短辺5の長さに対して8%以上の長さを有するので、短辺5は、マスク3が撓んだ場合に追従し易くなる。
また、ペリクル枠体2では、第2溝部9は、短辺5の全長に渡る長さを有するので、更にハンドリングの自由度が上がる。また、第2溝部9を短辺5の一部ではなく、全長に渡る長さとすることで、より軽量化でき、その結果、ペリクル枠体2をマスク3に貼り付けた際のマスク3の撓みに対する影響を低減でき、マスク3の撓みをより抑制できる。更に、全長に渡る長さとすることでマスク3の撓みに対する追従性の向上にもつながる。
また、ペリクル枠体2では、長辺4の幅W4は、長辺4の幅W4は、17〜30mmであり、短辺5の幅W5は、19〜30mmである。このように各辺4,5の幅W4、W5を一般的なペリクル枠体を構成する辺の幅よりも太くするので、マスク3に貼り付けて用いた際に、ペリクル枠体2による支持台10の補強機能がより高まり、マスク3の撓みがより抑止される。
また、ペリクル枠体2では、第1溝部8は、3つの第1溝81、82、83からなっている。このように分散して溝81、82、83を設ける方が、平坦性及び剛性維持の効果がより発揮される。
また、ペリクル枠体2は、3つの第1溝81、82、83の各々の間隔は、200〜800mmであるため、更に平坦性がよくなる。
また、ペリクル1は、上記のペリクル枠体2と、ペリクル枠体2の上縁面2cに設けられたペリクル膜6と、ペリクル枠体2の下縁面2dに設けられた粘着材7と、を備える。
これによれば、ペリクル枠体2の長辺4の応力が解放されて平坦性を維持できると共に、剛性を維持できる。その結果、大型のマスク3に貼り付けて用いた際に、マスク3の撓みを抑制することができる。
なお、上記の本実施形態では、長辺4を支持台10に沿って(近接して)配置することを想定しており、長辺4に第1溝部8を形成する態様を説明したが、短辺5を支持台10に沿って(近接して)配置する場合には、短辺5の外側面5aに、短辺5の長さに対して4.0%以上10%未満の長さを有する凹形状の第1溝部8を形成し、一方で、長辺4の外側面4aに、長辺4の長さに対して8%以上の長さを有する凹形状の第2溝部9を形成してもよい。ただし、マスク3の撓み抑制という点では、短辺5よりも長辺4の方が、影響が大きく、従って、長辺4に第1溝部8を形成して剛性と平坦性とを維持する上記の実施形態の方が、マスク3の撓み抑制の効果が大きくなる。
以下に、実施例をあげてより具体的に本発明を説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
長辺の長さが1800mm、短辺の長さが1600mm、長辺の幅が17mm、短辺の幅が17mm、厚みが6.5mmである長方形のアルミニウム合金の枠体を準備した。各長辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、周方向に長さ50mm、高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。溝は長辺に3ヵ所設け、溝の間隔は、左端から200mm+溝+625mm+溝+625mm+溝+200mmとした。他方の長辺も同様に溝を設けた。また、各短辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、短辺の全辺に沿って高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。
上記枠体に黒色アルマイト処理を施し、ペリクル枠体とした。ハンドリングする場合は、短辺のみを把持した。このペリクル枠体の長辺側の平坦性を評価した。平坦性は、ペリクル枠体を石定盤に静置し、レーザー変位計にて測定した。測定方法は前述の通りとした。その結果を表1に記載する。
また、上記のようなペリクル枠体を用いてペリクルを作成し、その性能評価を実施した。具体的な内容を以下に示す。
まず、ペリクル膜としては、主膜及び反射防止層からなる厚み4μmの一様なペリクル膜を用いた。ペリクル膜は、セルロースエステルのポリマー溶液を低アルカリガラス上にスピンコートで塗布して主膜を形成し、その主膜上にフッ素ポリマー溶液をスピンコートで塗布して反射防止膜を形成することで得られた。
次に、ペリクル枠体の上縁面に接着剤を塗布し、下縁面に粘着材7を塗布した。続いて、上記で得られたペリクル膜をペリクル枠体の上縁面上に展張・接着し、ペリクルとした。粘着材7は、スチレンエチレンブチレンスチレン系共重合体粘着材(厚さ2mm)を塗布成型し、0.1mmのPETフィルムをライナー(保護フィルム)として用いて保護した。
次に、ライナーを取り除き、ペリクルをマスクに貼り付けた。尚、各部材は使用前に超音波洗浄を行った。尚マスクとして、1700mm×1850mm、厚み18mmの石英ガラスを使用した。
ペリクルがマスクの自重を抑制しているかどうかを測定した。図4(a)に示されるように、ペリクルが貼付された面を下にしてマスクの長辺を支持台で支持し、マスクを空中に浮かせた状態で放置して、自重撓みを測定した。測定結果を表1に記載する。自重撓みの評価基準として、図4(b)に示されるように、ペリクルを貼っていない上記と同じ大きさの石英ガラスからなるマスクについて同様に自重撓みを測定した結果を用いた。即ち、ペリクルを貼っていないマスクの自重撓みより撓みが大きい場合を「×」、撓みが同じか少ない場合を「○」とした。
[実施例2]
長辺の長さが1800mm、短辺の長さが1600mm、長辺の幅が18mm、短辺の幅が20mm、厚みが6.5mmである長方形のアルミニウム合金の枠体を準備した。各長辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、長さ35mm、高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。溝は長辺に5ヵ所設け、溝の間隔は、左端から250mm+溝+306.25mm+溝+306.25m+溝+306.25mm+溝+306.25mm+溝+150mmとした。他方の長辺も同様に溝を設けた。
また、各短辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、短辺の中央、および短辺の両端から250mmの3ヵ所に、周方向に長さ50mm、高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。
上記枠体に黒色アルマイト処理を施し、ペリクル枠体とした。ハンドリングする場合は、長辺のみを把持した。このペリクル枠体の短辺側の平坦性を評価した。その結果を表1に記載する。
上記のペリクル枠体を使用して実施例1のようにペリクルを作製し、ペリクルの性能評価を実施した。その結果を表1に記載する。但し、今回の石英ガラスからなるマスクは2つの短辺を支持した。評価基準に使った石英ガラスからなるマスクも2つの短辺を支持し測定した。
[実施例3]
長辺の長さが2000mm、短辺の長さが1800mm、長辺の幅が22mm、短辺の幅が19mm、厚みが6.5mmである長方形のアルミニウム合金の枠体を準備した。各長辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、周方向の長さ50mm、高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。溝は長辺に3ヵ所設け、溝の間隔は、左端から300mm+溝+625mm+溝+675mm+溝+250mmとした。他方の長辺も同様に溝を設けた。
また、各短辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、短辺の全辺に沿って高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。
上記枠体に黒色アルマイト処理を施し、ペリクル枠体とした。ハンドリングする場合は、短辺のみを把持した。このペリクル枠体の長辺側の平坦性を評価した。その結果を表1に記載する。
上記のペリクル枠体を使用して実施例1のようにペリクルを作製し、ペリクルの性能評価を実施した。その結果を表1に記載する。ただし、マスクとして1900mm×2050mm、厚み22mmの石英ガラスを用い、2つの長辺を支持した。評価基準に使ったマスクも同じ大きさの石英ガラスとし、2つの長辺を支持した。
[実施例4]
長辺の長さが1800mm、短辺の長さが1600mm、長辺の幅が20mm、短辺の幅が22mm、厚みが6.5mmである長方形のアルミニウム合金の枠体を準備した。各長辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、周方向の長さ150mm、高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。溝は長辺に4ヵ所設け、溝の間隔は、左端から150mm+溝+300mm+溝+300mm+溝+300mm+溝+150mmとした。他方の長辺も同様に溝を設けた。
また、各短辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、周方向の長さ40mm、高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。溝は短辺に3ヵ所設け、溝の間隔は、左端から250mm+溝+490mm+溝+490mm+溝+250mmとした。他方の短辺も同様に溝を設けた。
上記枠体に黒色アルマイト処理を施し、ペリクル枠体とした。ハンドリングする場合は、長辺のみを把持した。このペリクル枠体の短辺側の平坦性を評価した。その結果を表1に記載する。
上記のペリクル枠体を使用して実施例1のようにペリクルを作製し、ペリクルの性能評価を実施した。その結果を表1に記載する。但し、石英ガラスは、実施例2と同様に扱う。
[実施例5]
長辺の長さが2000mm、短辺の長さが1800mm、長辺の幅が16.5mm、短辺の幅が18mm、厚みが6.5mmである長方形のアルミニウム合金の枠体を準備した。各短辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、開口部の周方向に長さ50mm、開口部の高さ1.5mm、溝の深さ3mmの溝を設けた。溝は短辺に3ヵ所設け、溝の間隔は、左端から250mm+溝+575mm+溝+575mm+溝+250mmとした。他方の短辺も同様に溝を設けた。また、各長辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、長辺の全辺に沿って開口部の高さ1.5mm、深さ3mmの溝を設けた。
上記枠体に黒色アルマイト処理を施し、ペリクル枠体とした。ハンドリングする場合は、長辺のみを把持した。このペリクル枠体の短辺側の平坦性を評価した。その結果を表1に記載する。
上記の枠体を使用して実施例1のようにペリクルを作製し、ペリクルの性能評価を実施した。その結果を表1に記載する。ただし、貼り付けた石英ガラスの大きさは1900mm×2050mm、厚み22mmであり、2つの短辺を支持した。評価基準に使った石英ガラスも同じ大きさの石英ガラスとし、2つの短辺を支持した。
[比較例1]
長辺に溝を設けない以外は、実施例1と同様のペリクル枠体を作製し、ペリクル枠体の長辺側の平坦性とペリクルの性能評価を実施1にならって評価した。
[比較例2]
長辺の長さが1800mm、短辺の長さが1600mm、長辺の幅が17mm、短辺の幅が17mm、厚みが6.5mmである長方形のアルミニウム合金の枠体を準備した。各長辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、周方向の長さ150mm、高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。溝は長辺に2ヵ所設け、溝の間隔は、左端から100mm+溝+400mm+溝+1000mmとした。他方の長辺も線対称となるように溝を設けた。
また、各短辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、周方向の長さ300mm、高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。溝は短辺に3ヵ所設け、溝の間隔は、左端から200mm+溝+600mm+溝+200mmとした。他方の短辺も同様に溝を設けた。
上記枠体に黒色アルマイト処理を施し、ペリクル枠体とした。ハンドリングする場合は、短辺のみを把持した。このペリクル枠体の長辺側の平坦性を評価した。その結果を表1に記載する。
上記のペリクル枠体を使用して実施例1のようにペリクルを作製し、ペリクルの性能評価を実施例1にならって評価した。た。その結果を表1に記載する。
[比較例3]
長辺の長さが2000mm、短辺の長さが1800mm、長辺の幅が18mm、短辺の幅が16mm、厚みが6.5mmである長方形のアルミニウム合金の枠体を準備した。各長辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、長辺の全辺に沿って高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。
また、各短辺の外側面には、枠体の下縁面から3mmの位置に、周方向の長さ200mm、高さ1.5mmの開口部を有する深さ3mmの溝を設けた。溝は短辺に2ヵ所設け、溝の間隔は、左端から400mm+溝+800mm+溝+400mmとした。他方の短辺も同様に溝を設けた。
上記枠体に黒色アルマイト処理を施し、ペリクル枠体とした。ハンドリングする場合は、長辺のみを把持した。このペリクル枠体の短辺側の平坦性を評価した。その結果を表1に記載する。
上記のペリクル枠体を使用して実施例1のようにペリクルを作製し、ペリクルの性能評価を実施例2と同様に評価した。