実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
また、本明細書における島状の酸化物半導体層の端部とは、島状の酸化物半導体層の平面視における外縁を意味し、側面や端面も同意である。
また、本明細書等における「第1」、「第2」、「第3」などの序数は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
また、図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
また、トランジスタの「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の流れる方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」を含む用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
また、図面をわかりやすくするため、上面図において一部の構成要素の記載を省略する場合がある。
まず、従来のトランジスタ9910の構成を、図55を用いて説明しておく。図55(A)は、従来のトランジスタ9910の平面視を示す図(上面図)である。図55(B)は、図55(A)中でT1−T2の鎖線で示した部位の断面視を示す図(断面図)であり、図55(C)は、図55(A)中でT3−T4の鎖線で示した部位の断面視を示す図である。図55(C)は、酸化物半導体層9904の端部に沿った部位の断面を示している。
図55に示す従来のトランジスタ9910は、基板9901上に絶縁層9903が形成され、絶縁層9903上に酸化物半導体層9904が形成され、酸化物半導体層9904上にソース電極9905及びドレイン電極9906が形成され、酸化物半導体層9904、ソース電極9905及びドレイン電極9906上に絶縁層9907が形成され、絶縁層9907上の酸化物半導体層9904と重畳する位置にゲート電極9908が形成された構成を有している。また、酸化物半導体層9904は、チャネル形成領域9904a、低抵抗領域9904b及び低抵抗領域9904cを有する。酸化物半導体層9904中の、ゲート電極9908と重畳する領域がチャネル形成領域9904aとなる。
図55(B)及び図55(C)は、従来のトランジスタ9910のチャネル長方向に沿った断面を示しており、図55(B)は従来のトランジスタ9910の中央付近における断面を示し、図55(C)は、従来のトランジスタ9910のソース電極9905からドレイン電極9906に達する酸化物半導体層9904の端部における断面を示している。
トランジスタ9910がオフ状態の時は、チャネル形成領域9904aにチャネルが形成されないため、ソース電極9905及びドレイン電極9906は電気的に分離される。ただし、酸化物半導体層9904の端部に酸素欠損に起因する寄生チャネルが生じると、図55(C)に示すように、寄生チャネルを介してソース電極9905及びドレイン電極9906が電気的に接続され、ソース電極9905及びドレイン電極9906間にリーク電流9911が流れてしまう。
リーク電流9911は消費電力の増大や、しきい値電圧のマイナスシフトなどの、トランジスタの電気特性劣化の原因となる。また、寄生チャネルの大きさは酸素欠損の程度によって変わるため、トランジスタの電気特性のばらつきを増大させる原因となる。また、酸化物半導体層9904の端部に生じた酸素欠損は、トランジスタの信頼性を悪化させる原因にもなりえる。
(実施の形態1)
本実施の形態の半導体装置の構造例について図面を参照して説明する。図1(A)は、本実施の形態のトランジスタ110及び容量素子111の上面図であり、図1(B)は、図1(A)に示す上面図中のA1−A2線における断面図である。図1(C)は、図1(A)に示す上面図中のB1−B2線における断面図である。図1(D)は、図1(A)に示す上面図中のC1−C2線における断面図である。
図1(A)、図1(B)、及び図1(C)に示すトランジスタ110は、下地絶縁層101上に酸化物半導体層102、酸化物半導体層102の外縁を覆いソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極104、ソース電極又はドレイン電極の他方として機能する電極108を有している。またトランジスタ110は、酸化物半導体層102、電極104、及び電極108を覆って、ゲート絶縁層103を有している。またトランジスタ110は、酸化物半導体層102上に、ゲート絶縁層103を介して、ゲート電極105を有している。ゲート絶縁層103及びゲート電極105を覆って、第1の絶縁層107及び第2の絶縁層109が積層されている。さらに、第2の絶縁層109上には、第2の絶縁層109、第1の絶縁層107、及びゲート絶縁層103に設けられた開口を介して、電極108に電気的に接続される電極106が形成されている。
図1(A)に示されるように、トランジスタ110において、酸化物半導体層102の外縁は、ソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極104に覆われている。さらに、酸化物半導体層102上には、ゲート絶縁層103を介して、平面形状が環状であるゲート電極105が形成されている。ソース電極又はドレイン電極の他方である電極108は、電極108の外側を環状のゲート電極105によって囲まれている。また環状のゲート電極105は、環状のゲート電極105の外側をソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極104に囲まれている。
トランジスタ110のチャネル形成領域は、ソース電極及びドレイン電極である電極104及び電極108に挟まれた領域のうち、ゲート絶縁層103を挟んでゲート電極105と重畳する領域に形成される。酸化物半導体層102の外縁は、ソース電極又はドレイン電極の一方である電極104によって覆われているため、チャネル形成領域が、酸化物半導体層102の外縁に設けられることはない。
よって、本実施の形態では、寄生チャネルが形成される酸化物半導体層の外縁に、ソース電極又はドレイン電極の一方で覆う構成にすることにより、寄生チャネルの発生を抑制可能なトランジスタを得ることができる。
図1(A)、図1(B)、及び図1(D)に示す容量素子111は、下地絶縁層101上に、電極104及び電極108と同様の材料及び同様の工程で形成された電極114、電極114上に設けられたゲート絶縁層103を有している。容量素子111は、電極114上にゲート絶縁層103を挟んで設けられた電極115を有している。電極115は、ゲート電極105と同様の材料及び同様の工程で形成される。電極114及び電極115は、容量素子111の一対の電極として機能し、ゲート絶縁層103は、誘電体として機能する。ゲート絶縁層103及び電極115を覆って、第1の絶縁層107及び第2の絶縁層109が積層されている。
上述のように、容量素子111の一対の電極の一方である電極114は、電極104及び電極108と同様の材料及び同様の工程で形成される。容量素子111の誘電体は、ゲート絶縁層103である。また、容量素子111の一対の電極の他方である電極115は、ゲート電極105と同様の材料及び同様の工程で形成される。以上より、トランジスタ110と容量素子111は、同一平面上に作製することが可能である。トランジスタ110と容量素子111を同一平面上に作製することにより、半導体装置の作製工程を削減でき、生産性を高めることが可能となる。
なお図1(A)に示すように、本実施の形態において、酸化物半導体層102の平面形状は矩形であるが、形状はこれに限定されない。酸化物半導体層102の平面形状は矩形だけでなく、矩形以外の多角形(例えば三角形)や丸形であってもよい。また矩形は、正方形も含むものとする。
また酸化物半導体層102のうち、ソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極104に重畳する領域が、ソース領域またはドレイン領域の一方として機能する。また酸化物半導体層102のうち、ソース電極又はドレイン電極の他方として機能する電極108に重畳する領域が、ソース領域またはドレイン領域の他方として機能する。
後述する作製工程において、酸化物半導体層102に、酸化物半導体の導電性を変化させる不純物元素が添加されない場合は、ソース領域及びチャネル形成領域との間、並びに、ドレイン領域及びチャネル形成領域との間に、オフセット領域が設けられる。すなわち、チャネル形成領域、ソース領域、ドレイン領域、オフセット領域は、自己整合により形成される。オフセット領域を設けることにより、ゲート電極とソース電極間に生じる寄生容量を低減することができる。また、ゲート電極とドレイン電極間に生じる寄生容量を低減することができる。なおキャリアが流れる距離であるチャネル形成領域の長さ(チャネル長ともいう)は、60nm未満が好ましい。
また、自己整合によりチャネル形成領域が形成されるため、トランジスタの微細化が実現し易く、オン特性(例えば、オン電流及び電界効果移動度)が高く、高速動作が可能となる。
一方、後述する作製工程において、酸化物半導体層102に、ゲート電極105をマスクとして、酸化物半導体の導電性を変化させる不純物元素を添加する場合は、ソース領域及びチャネル形成領域との間、並びに、ドレイン領域及びチャネル形成領域との間に、自己整合的に低抵抗領域が形成される。当該低抵抗領域が形成されると、トランジスタ110のオン抵抗を低減し、動作速度を向上させることができる。
また、図2に示すトランジスタ112のように、ゲート電極135が、ソース電極及びドレイン電極である電極104及び電極108と重畳する場合は、オフセット領域は形成されない。また、図2に示すトランジスタ112では、ソース領域及びチャネル形成領域との間、並びに、ドレイン領域及びチャネル形成領域との間に、自己整合的に不純物元素を添加できないため、低抵抗領域は形成されない。
なお、図2(A)は、本実施の形態のトランジスタ112及び容量素子111の上面図であり、図2(B)は、図2(A)に示す上面図中のA3−A4線における断面図である。図2(C)は、図2(A)に示す上面図中のB3−B4線における断面図である。図2(D)は、図2(A)に示す上面図中のC3−C4線における断面図である。なお、図面をわかりやすくするため、図2(A)では一部の構成要素の記載を省略している。
本実施の形態では図示しないが、下地絶縁層101の下方には、トランジスタ110とは異なる半導体装置、例えば、酸化物半導体層とは異なる禁制帯幅を持つ半導体層を有するトランジスタを有していてもよい。
下地絶縁層101は、酸化物半導体層102から遠い方から順に、第1の下地絶縁層101a及び第2の下地絶縁層101bを積層した構成を有している。第1の下地絶縁層101aは、下地絶縁層101の下方に設けられる半導体装置に含まれる元素が後に形成される酸化物半導体層102に混入することを防ぐために設けられる。
また、第1の下地絶縁層101aは、酸化物半導体層102の酸素の放出を抑えるブロッキング層としての機能を有する。
特に、第1の下地絶縁層101aは、水素、水分、水素化物、または水酸化物などの不純物や、酸素に対するバリア性を有する材料を用いることが好ましい。第1の下地絶縁層101aにバリア性を有する材料を適用することで、外部からの不純物の浸入を防ぐとともに、酸化物半導体層102からの酸素の脱離を防ぐことができる。
第1の下地絶縁層101aは、酸化シリコン膜、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、またはこれらの混合材料を含む膜から選ばれた、単層または積層構造とすることができる。
なお、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであり、濃度範囲として酸素が55〜65原子%、窒素が1〜20原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲において、合計100原子%となるように各元素を任意の濃度で含むものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであり、濃度範囲として酸素が15〜30原子%、窒素が20〜35原子%、Siが25〜35原子%、水素が15〜25原子%の範囲において、合計100原子%となるように各元素を任意の濃度で含むものをいう。
第2の下地絶縁層101bは、第1の下地絶縁層101aと同じ材料を用いてもよいが、第2の下地絶縁層101bは化学量論的組成を超える酸素を含む領域(以下、酸素過剰領域とも表記する)を有する。第2の下地絶縁層101bが化学量論的組成を超える酸素を含むと、第2の下地絶縁層101bに含まれる過剰な酸素によって、後に形成される酸化物半導体層102の酸素欠損を補填することが可能であるため好ましい。第2の下地絶縁層101bが積層構造の場合は、少なくとも酸化物半導体層102と接する層において酸素過剰領域を有するのが好ましい。第2の下地絶縁層101bに酸素過剰領域を設けるには、例えば、酸素雰囲気下にて第2の下地絶縁層101bを成膜すればよい。または、成膜後の第2の下地絶縁層101bに、酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオンのいずれかを含む)を注入して、酸素過剰領域を形成しても良い。酸素の注入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、プラズマ処理などを用いることができる。
酸化物半導体層102は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。また、酸化物半導体層102は、非晶質構造を有していてもよいし、結晶質構造を有していてもよい。酸化物半導体層102を非晶質構造とする場合には、作製工程において、成膜した酸化物半導体層に熱処理を行うことによって、結晶性酸化物半導体層としてもよい。非晶質酸化物半導体層を結晶化させる熱処理の温度は、250℃以上700℃以下、好ましくは、400℃以上、より好ましくは500℃以上、さらに好ましくは550℃以上とする。なお、当該熱処理は、作製工程における他の熱処理を兼ねることも可能である。
酸化物半導体層102は、下地絶縁層101上に酸化物半導体膜を成膜し、その後成膜された当該酸化物半導体膜を、所定の形状に加工することによって形成すればよい。
当該酸化物半導体膜の成膜方法は、スパッタリング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を適宜用いることができる。また、当該酸化物半導体膜は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタリング装置を用いて成膜してもよい。
当該酸化物半導体膜を成膜する際、できる限り酸化物半導体膜に含まれる水素濃度を低減させることが好ましい。水素濃度を低減させるには、例えば、スパッタリング法を用いて成膜を行う場合には、スパッタリング装置の成膜室内に供給する雰囲気ガスとして、水素、水、水酸基または水素化物などの不純物が除去された高純度の希ガス(代表的にはアルゴン)、酸素、及び希ガスと酸素との混合ガスを適宜用いる。
また、成膜室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入して成膜を行うことで、成膜された当該酸化物半導体膜の水素濃度を低減させることができる。成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプは、例えば、水素分子、水(H2O)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等の排気能力が高いため、クライオポンプを用いて排気した成膜室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
また、当該酸化物半導体膜をスパッタリング法で成膜する場合、成膜に用いる金属酸化物ターゲットの相対密度(充填率)は90%以上100%以下、好ましくは95%以上99.9%以下とする。相対密度の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜を緻密な膜とすることができる。
また、可能であれば下地絶縁層101を高温に保持した状態で当該酸化物半導体膜を成膜することも、当該酸化物半導体膜中に含まれうる不純物濃度を低減するのに有効である。下地絶縁層101を加熱する温度としては、150℃以上450℃以下とすればよく、好ましくは加熱温度が200℃以上350℃以下とすればよい。また、成膜時に下地絶縁層101を高温で加熱することで、結晶性酸化物半導体膜を形成することができる。
当該酸化物半導体膜に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてジルコニウム(Zr)を有することが好ましい。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物、という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素を含んでもよい。
また、酸化物半導体膜は、化学式InMO3(ZnO)m(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Sn、Zn、Ga、Al、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、In2SnO5(ZnO)n(n>0)で表記される材料を用いてもよい。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1あるいはIn:Ga:Zn=2:2:1の原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いることができる。あるいは、In:Sn:Zn=1:1:1、In:Sn:Zn=2:1:3あるいはIn:Sn:Zn=2:1:5の原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物を用いるとよい。
しかし、これらに限られず、必要とするトランジスタの電気特性(電界効果移動度、しきい値電圧、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする電気特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い電界効果移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより電界効果移動度を上げることができる。
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物と、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成が近傍であるとは、a、b、cが、
(a―A)2+(b―B)2+(c―C)2≦r2
を満たすことを言い、rは、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
なお、当該酸化物半導体膜は、成膜時に酸素が多く含まれるような条件(例えば、酸素100%の雰囲気下でスパッタリング法により成膜を行うなど)で成膜して、酸素を多く含む(好ましくは酸化物半導体が結晶状態における化学量論的組成に対し、酸素の含有量が過剰な領域が含まれている)膜とすることが好ましい。
また当該酸化物半導体膜を、成膜する際に用いるスパッタリングガスは水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。
なお、当該酸化物半導体膜は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう)、微結晶、または非晶質(アモルファスともいう)などの状態をとる。
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いたトランジスタは動作させた際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い電界効果移動度を得ることができる。
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めれば、該結晶性を有する酸化物半導体を用いたトランジスタは、アモルファス状態の酸化物半導体を用いたトランジスタ以上の電界効果移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、具体的には、平均面粗さ(Ra)が0.15nm以下、好ましくは0.1nm以下の表面上に形成するとよい。
なお、Raは、JIS B0601:2001(ISO4287:1997)で定義されている算術平均粗さを曲面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」で表現でき、以下の式(1)にて定義される。
ここで、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標(x1,y1,f(x1,y1)),(x1,y2,f(x1,y2)),(x2,y1,f(x2,y1)),(x2,y2,f(x2,y2))の4点で表される四角形の領域とし、指定面をxy平面に投影した長方形の面積をS0、基準面の高さ(指定面の平均の高さ)をZ0とする。Raは原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて測定可能である。
また、酸化物半導体としてIn−Zn系酸化物の材料を用いる場合、原子数比で、In/Zn=0.5以上50以下、好ましくはIn/Zn=1以上20以下、さらに好ましくはIn/Zn=1.5以上15以下とする。Znの原子数比を好ましい前記範囲とすることで、トランジスタの電界効果移動度を向上させることができる。ここで、化合物の原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
酸化物半導体膜は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質を有する。非晶質は、微結晶、CAACよりも欠陥準位密度が高い。また、微結晶は、CAACよりも欠陥準位密度が高い。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。
酸化物半導体膜は、例えばCAAC−OSを有してもよい。CAAC−OSは、例えば、c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃っていない。
酸化物半導体膜は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を、微結晶酸化物半導体と呼ぶ。微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満のサイズの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を膜中に含む。または、微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満の結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体を有している。
酸化物半導体膜は、例えば非晶質を有してもよい。なお、非晶質を有する酸化物半導体を、非晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質酸化物半導体膜は、例えば、完全な非晶質であり、結晶部を有さない酸化物半導体を有している。
なお、酸化物半導体膜が、CAAC−OS、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体の混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、を有する。また、混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、の積層構造を有してもよい。
なお、酸化物半導体膜は、例えば、単結晶を有してもよい。
酸化物半導体膜は、複数の結晶部を有し、当該結晶部のc軸が被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っていることが好ましい。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。そのような酸化物半導体膜の一例としては、CAAC−OS膜がある。
CAAC−OS膜は、完全な非晶質ではない。CAAC−OS膜は、例えば結晶部および非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体を有している。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界、結晶部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には明確な粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、例えば、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向から見て金属原子が三角形状または六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−10°以上10°以下、好ましくは−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃っている。結晶部は、成膜することにより、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
なお、酸化物半導体を構成する酸素の一部は窒素で置換されてもよい。
当該酸化物半導体膜の成膜前に、当該酸化物半導体膜の成膜表面に平坦化処理を行ってもよい。平坦化処理としては、特に限定されないが、研磨処理(例えば、化学的機械研磨法)、ドライエッチング処理、プラズマ処理を用いることができる。
プラズマ処理としては、例えば、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタリングを行うことができる。逆スパッタリングとは、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウム、酸素などを用いてもよい。逆スパッタリングを行うと、当該酸化物半導体膜の成膜表面に付着している粉状物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することができる。
平坦化処理として、研磨処理、ドライエッチング処理、プラズマ処理は複数回行ってもよく、それらを組み合わせて行ってもよい。また、組み合わせて行う場合、工程順も特に限定されず、当該酸化物半導体膜の成膜表面の凹凸状態に合わせて適宜設定すればよい。
また、当該酸化物半導体膜に、当該酸化物半導体膜に含まれる過剰な水素(水や水酸基を含む)を除去(脱水化または脱水素化)するための熱処理を行うのが好ましい。熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、または基板の歪み点未満とする。熱処理は減圧下または窒素雰囲気下などで行うことができる。
この熱処理によって、n型不純物である水素を酸化物半導体から除去することができる。例えば、脱水化又は脱水素化処理後の酸化物半導体膜に含まれる水素濃度を、5×1019/cm3以下、好ましくは5×1018/cm3以下とすることができる。
なお、脱水化または脱水素化のための熱処理は、当該酸化物半導体膜の成膜後であればトランジスタ110の作製工程においてどのタイミングで行ってもよい。但し、ゲート絶縁層103又は第1の絶縁層107として酸化アルミニウム膜を用いる場合には、当該酸化アルミニウム膜を形成する前に行うのが好ましい。また、脱水化又は脱水素化のための熱処理は、複数回行ってもよく、他の加熱処理と兼ねてもよい。
熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
また、熱処理で当該酸化物半導体膜を加熱した後、加熱温度を維持、またはその加熱温度から徐冷しながら同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度の一酸化二窒素ガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気)を導入してもよい。酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち、酸素ガスまたは一酸化二窒素ガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスの作用により、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程によって同時に減少してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給することによって、当該酸化物半導体膜を高純度化及びi型(真性)化することができる。
また、脱水化又は脱水素化処理を行った酸化物半導体膜に、酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素イオン、のいずれかを含む)を導入して膜中に酸素を供給してもよい。
脱水化または脱水素化処理を行った酸化物半導体膜に、酸素を導入して膜中に酸素を供給することによって、酸化物半導体膜を高純度化、及びi型(真性)化することができる。高純度化し、i型(真性)化した酸化物半導体膜を有するトランジスタは、電気特性変動が抑制されており、電気的に安定である。
酸素の導入工程において、酸化物半導体膜に直接酸素を導入してもよいし、後に形成されるゲート絶縁層103や第1の絶縁層107などの他の膜を通過して所定の形状を有する酸化物半導体層へ酸素を導入してもよい。酸素を他の膜を通過して導入する場合は、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いればよいが、露出された酸化物半導体膜へ直接酸素を導入する場合は、上記の方法に加えてプラズマ処理なども用いることができる。
当該酸化物半導体膜への酸素の導入は、脱水化又は脱水素化処理を行った後であればよく、特に限定されない。また、上記脱水化または脱水素化処理を行った酸化物半導体層への酸素の導入は、複数回行ってもよい。また、脱水化又は脱水素化処理と、酸素の導入を、交互に複数回繰り返して行ってもよい。
なお、酸化物半導体膜への酸素の導入は、所定の形状に加工する前に行ってもよいし、所定の形状に加工した後に行ってもよい。
このように、水や水素などの不純物を除去すると共に、酸化物半導体の構成元素である酸素を供給することでi型化を実現する。この点、シリコンなどのように不純物元素を添加してのi型化ではなく、従来にない技術思想を含むものといえる。
なお、当該酸化物半導体膜として、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、または非晶質酸化物半導体、CAAC−OS膜の単層だけでなく、これらから選ばれた少なくとも2層を積層したものを用いてもよい。また、酸化物半導体の積層は、同じ結晶性を有する層の積層でもよいし、異なる結晶性を有する層の積層でもよい。
次に、トランジスタ110、容量素子111の作製方法について、図3ならびに図4の断面図、および図5ならびに図6の上面図を用いて説明する。なお、トランジスタ112も、トランジスタ110と同様に作製することができる。
まず、下地絶縁層101上に、当該酸化物半導体膜を所定の形状に加工して酸化物半導体層102を形成する(図3(A)、図4(A)、図4(B)、及び図5(A)参照)。
次に、下地絶縁層101及び酸化物半導体層102を覆って、第1の導電膜116を成膜する(図3(B)、図4(C)、図4(D)、及び図5(B)参照)。
第1の導電膜116は、後の加熱処理に耐えられる材料を用いる。例えば、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)等から選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の低抵抗な金属膜の下側又は上側の一方または双方にチタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)等の高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。低抵抗な金属膜の下側又は上側の一方または双方に、高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜を積層すると、低抵抗な金属膜の金属の移動(拡散)を阻害できるので好適である。すなわち、第1の導電膜116を、第1の導電層、第2の導電層である金属膜、及び第3の導電層の積層とし、第2の導電層として低抵抗な導電層を用いる。第1の導電層及び第3の導電層の少なくとも一方に、第2の導電層の金属の移動を阻害できる材料を用いる。また、第2の導電層上の第3の導電層は、当該第2の導電層の端部を覆う構成にすると、第2の導電層の端部からの金属の移動を抑制することができるので好適である。
例えば第1の導電膜116として、タングステン(W)、銅(Cu)、窒化タンタルを積層したものを用い、低抵抗な銅(Cu)を、銅の移動を阻害するタングステン(W)及び窒化タンタルで挟めばよい。また第1の導電膜116としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(In2O3−SnO2、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛(In2O3−ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
第1の導電膜116上にレジストマスクを形成し、レジストマスクをマスクとして、第1の導電膜116の一部を選択的に除去して酸化物半導体層102の外縁を覆うソース電極又はドレイン電極の一方である電極104、ソース電極又はドレイン電極の他方である電極108、及び、容量素子111の一対の電極の一方として機能する電極114を形成する(図3(C)、図4(E)、図4(F)、及び図5(C)参照)。
特に図5(C)に示されるように、ソース電極又はドレイン電極の他方である電極108は、ソース電極又はドレイン電極の一方である電極104によって囲まれるように配置される。
第1の導電膜116のエッチングは、ドライエッチング法またはウェットエッチング法により行うことができる。また、第1の導電膜116のエッチングを、ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を組み合わせて行ってもよい。第1の導電膜116上に形成するレジストマスクはフォトリソグラフィ法、印刷法、インクジェット法等を適宜用いることができる。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
第1の導電膜116のエッチングをドライエッチング法で行う場合は、エッチングガスとしてハロゲン元素を含むガスを用いることができる。ハロゲン元素を含むガスの一例としては、塩素(Cl2)、三塩化硼素(BCl3)、四塩化珪素(SiCl4)もしくは四塩化炭素(CCl4)などを代表とする塩素系ガス、四フッ化炭素(CF4)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)もしくはトリフルオロメタン(CHF3)などを代表とするフッ素系ガス、臭化水素(HBr)または酸素を適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。また、ドライエッチング法としては、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法を用いることができる。
また、プラズマ源として、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)プラズマ、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、マイクロ波励起表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)などを用いることができる。特に、ICP、ECR、HWP、及びSWPは、高密度のプラズマを生成することができる。ドライエッチング法で行うエッチング(以下、「ドライエッチング処理」ともいう)は、所望の加工形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節して行う。
なお、形成された電極104、電極108、及び電極114の端部がテーパー形状であると、後に積層する絶縁層や導電層の被覆性が向上するため好ましい。
具体的には、電極104、電極108、及び電極114の断面形状が台形または三角形状となるように、電極104、電極108、及び電極114の端部をテーパー形状とする。ここで、電極104、電極108、及び電極114の端部のテーパー角θを、60°以下、好ましくは45°以下、さらに好ましくは30°以下とする。なお、テーパー角θとは、テーパー形状を有する層を、その断面(基板の表面と直交する面)に垂直な方向から観察した際に、当該層の側面と底面がなす傾斜角を示す。また、テーパー角が90°未満である場合を順テーパーといい、テーパー角が90°以上である場合を逆テーパーという。なお、電極104、電極108、及び電極114に限らず、各層の端部を順テーパー形状とすることで、その上に形成する層が途切れてしまう現象(段切れ)を防ぎ、被覆性を向上させることができる。
また、電極104、電極108、及び電極114の端部を階段形状としてもよい。電極104、電極108、及び電極114の端部を階段状とすることで、その上に形成する層の段切れを防ぎ、被覆性を向上させることができる。なお、電極104、電極108、及び電極114に限らず、各層の端部を順テーパー形状または階段形状とすることで、その上に被覆する層が途切れてしまう現象(段切れ)を防ぎ、被覆性を良好なものとすることができる。
なお、電極104及び電極108の形成により露出した酸化物半導体層102の表面には、電極104及び電極108を構成する元素や、成膜室内に存在する元素、エッチングに用いたエッチングガスを構成する元素が不純物として付着する場合がある。
不純物が付着すると、トランジスタのオフ電流の増加、またはトランジスタの電気特性の劣化がもたらされやすい。また、酸化物半導体層102に寄生チャネルが生じやすくなり、電気的に分離されるべき電極が酸化物半導体層102を介して電気的に接続されやすくなる。
そこで、電極104及び電極108を形成するためのエッチングが終了した後、酸化物半導体層102の表面や側面に付着した不純物を除去するための洗浄処理(不純物除去処理)を行ってもよい。
不純物除去処理は、プラズマ処理、または溶液による処理によって行うことができる。プラズマ処理としては、酸素プラズマ処理または一酸化二窒素プラズマ処理などを用いることができる。また、プラズマ処理として希ガス(代表的にはアルゴン)を用いてもよい。
また、溶液による洗浄処理としては、TMAH溶液などのアルカリ性の溶液、リン酸や希フッ化水素酸などの酸性の溶液、水などを用いて行うことができる。例えば、希フッ化水素酸を用いる場合、50wt%フッ化水素酸を、水で1/105乃至1/102程度、好ましくは1/105乃至1/103程度に希釈した希フッ化水素酸を使用する。すなわち、濃度が0.5重量%乃至5×10−4重量%の希フッ化水素酸、好ましくは5×10−2重量%乃至5×10−4重量%の希フッ化水素酸を洗浄処理に用いることが望ましい。洗浄処理により、露出した酸化物半導体層102の表面に付着した上記不純物を除去することができる。
また、希フッ化水素酸溶液を用いて不純物除去処理を行うと、露出した酸化物半導体層102の表面をエッチングすることができる。すなわち、露出した酸化物半導体層102の表面に付着した不純物や、酸化物半導体層102内の表面近傍に混入した不純物を、酸化物半導体層102の一部とともに除去することができる。これにより、電極104及び電極108と重畳する領域の厚さが、電極104及び電極108と重畳しない領域の厚さより大きくなる。
不純物除去処理を行うことで、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)を用いた分析により得られる濃度ピークにおいて、酸化物半導体層表面における塩素濃度を1×1019/cm3以下(好ましくは5×1018/cm3以下、さらに好ましくは1×1018/cm3以下)とすることができる。また、ホウ素濃度を1×1019/cm3以下(好ましくは5×1018/cm3以下、さらに好ましくは1×1018/cm3以下)とすることができる。また、アルミニウム濃度を1×1019/cm3以下(好ましくは5×1018/cm3以下、さらに好ましくは1×1018/cm3以下)とすることができる。
不純物除去処理を行うことで、安定した電気特性を有する信頼性の高いトランジスタ110を実現することができる。
次いで、酸化物半導体層102、電極104、電極108、電極114を覆うゲート絶縁層103を形成する。
ゲート絶縁層103(第1のゲート絶縁層103a及び第2のゲート絶縁層103bの積層)は、1nm以上20nm以下の膜厚で、スパッタリング法、MBE法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD法等を適宜用いて形成することができる。また、ゲート絶縁層103は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタ装置を用いて成膜してもよい。
ゲート絶縁層103の材料としては、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化窒化アルミニウム、又は窒化酸化シリコン等を用いることができる。ゲート絶縁層103のうち、酸化物半導体層102と接する第1のゲート絶縁層103aは、酸素を含むことが好ましい。特に、第2の下地絶縁層101bと同様に、酸化物半導体層102と接する領域において酸素過剰領域を有するのが好ましい。特に、第1のゲート絶縁層103aは、膜中(バルク中)に少なくとも化学量論的組成を超える量の酸素が存在することが好ましく、例えば、第1のゲート絶縁層103aとして、酸化シリコンを用いる場合には、SiO2+α(ただし、α>0)とするのが好ましい。本実施の形態では、ゲート絶縁層103として、SiO2+α(ただし、α>0)である酸化シリコンを用いる。この酸化シリコンをゲート絶縁層103として用いることで、酸化物半導体層102に酸素を供給することができ、特性を良好にすることができる。さらに、ゲート絶縁層103は、作製するトランジスタのサイズやゲート絶縁層103の段差被覆性を考慮して形成することが好ましい。
また、ゲート絶縁層103のうち、後の工程で形成されるゲート電極105に接する第2のゲート絶縁層103bは、ゲート電極105に含まれる元素が酸化物半導体層102に混入することを防ぐ機能、及び、酸化物半導体層102の酸素の放出を抑えるブロッキング層としての機能を有する。
また、ゲート絶縁層103の材料として酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOyx>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSiOxNy(x>0、y>0))、ハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))、酸化ランタンなどのhigh−k材料を用いることでゲートリーク電流を低減できる。さらに、第1のゲート絶縁層103a及び第2のゲート絶縁層103bはそれぞれ、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
次いで、ゲート絶縁層103を介して酸化物半導体層102上にゲート電極105を形成する。まずゲート絶縁層103上に、第2の導電膜117を成膜する(図3(D)、図4(G)、図4(H)、及び図6(A)参照)。
第2の導電膜117は、プラズマCVD法またはスパッタリング法等により、ゲート絶縁層103上に成膜される。
また、第2の導電膜117の材料は、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)から選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また第1の導電膜116と同様に、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の低抵抗な金属膜の下側又は上側の一方または双方に、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)等の高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜を積層すると、低抵抗な金属膜の金属の移動(拡散)を阻害できるので好適である。すなわち、第1の導電膜116と同様に、第2の導電膜117を、第1の導電層、第2の導電層である金属膜、及び第3の導電層の積層とし、第2の導電層として低抵抗な導電層を用いる。第1の導電層及び第3の導電層の少なくとも一方に、第2の導電層の金属の移動を阻害できる材料を用いる。また、第2の導電層上の第3の導電層は、当該第2の導電層の端部を覆う構成にすると、第2の導電層の端部からの金属の移動を抑制することができるので好適である。
例えば第2の導電膜117として、タングステン(W)、銅(Cu)、窒化タンタルを積層したものを用い、低抵抗な銅(Cu)を、銅の移動を阻害するタングステン(W)及び窒化タンタルで挟めばよい。また、第2の導電膜117としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコンに代表される半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。第2の導電膜117は、単層構造としてもよいし、積層構造としてもよい。
また、第2の導電膜117の材料として、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を用いることもできる。また、上記導電性材料と、上記金属材料の積層構造とすることもできる。
また、ゲート絶縁層103と接する第2の導電膜117の一層として、窒素を含む金属酸化物、具体的には、窒素を含むIn−Ga−Zn系酸化物や、窒素を含むIn−Sn系酸化物や、窒素を含むIn−Ga系酸化物や、窒素を含むIn−Zn系酸化物や、窒素を含むSn系酸化物や、窒素を含むIn系酸化物や、金属窒化膜(InN、SnNなど)を用いることができる。これらの膜は5eV(電子ボルト)以上、好ましくは5.5eV(電子ボルト)以上の仕事関数を有し、ゲート電極として用いた場合、トランジスタのしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。
なお、ゲート電極105及び電極115は、ゲート絶縁層103上に設けられた第2の導電膜117を、レジストマスクを用いて加工することによって形成することができる。ここで、加工に用いるレジストマスクは、フォトリソグラフィ法などによって形成されたレジストマスクに、スリミング処理を行って、より微細なパターンを有するマスクとするのが好ましい。
スリミング処理としては、例えば、ラジカル状態の酸素(酸素ラジカル)などを用いるアッシング処理を適用することができる。ただし、スリミング処理はフォトリソグラフィ法などによって形成されたマスクをより微細なパターンに加工できる処理であれば、アッシング処理に限定する必要はない。また、スリミング処理によって形成されるマスクによってトランジスタのチャネル長(L)が決定されることになるため、当該スリミング処理としては制御性の良好な処理を適用することができる。
スリミング処理の結果、フォトリソグラフィ法などによって形成されたレジストマスクを、露光装置の解像限界以下、好ましくは1/2以下、より好ましくは1/3以下の線幅まで微細化することが可能である。例えば、線幅は、30nm以上2000nm以下、好ましくは50nm以上350nm以下とすることができる。これにより、トランジスタのさらなる微細化を達成することができる。
以上のように、第2の導電膜117の一部を選択的に除去することにより、環状のゲート電極105、及び容量素子111の一対の電極の他方である電極115を形成することができる(図3(E)、図4(I)、図4(J)、及び図6(B)参照)。
特に図6(B)に示されるように、環状のゲート電極105は、ソース電極又はドレイン電極の他方である電極108の外側に、電極108の周辺を囲むように設けられる。さらにソース電極又はドレイン電極の一方である電極104は、環状のゲート電極105の外側に、環状のゲート電極105の周辺を囲むように設けられている。
なお、形成されたゲート電極105及び電極115の端部がテーパー形状であると、後に積層する絶縁層や導電層の被覆性が向上するため好ましい。
なお、ゲート電極105を形成後、酸化物半導体の導電性を変化させる不純物元素を、ゲート電極105をマスクとして、酸化物半導体層102に添加すると、ソース領域及びチャネル形成領域との間、並びに、ドレイン領域及びチャネル形成領域との間に、自己整合的に低抵抗領域が形成される。当該低抵抗領域が形成されると、トランジスタ110のオン抵抗を低減し、動作速度を向上させることができる。
当該不純物元素の添加は、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いて行うことができる。
当該不純物元素は、酸化物半導体層の導電率を変化させる不純物である。このような不純物元素としては、15族元素(代表的には窒素(N)、リン(P)、砒素(As)、およびアンチモン(Sb))、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、インジウム(In)、フッ素(F)、塩素(Cl)、チタン(Ti)、および亜鉛(Zn)のいずれかから選択される一以上を用いることができる。
また、酸化物半導体層102に当該不純物元素を添加しない場合は、ソース領域及びチャネル形成領域との間、並びに、ドレイン領域及びチャネル形成領域との間に、自己整合的にオフセット領域が形成される。オフセット領域を設けることにより、ゲート電極とソース電極間に生じる寄生容量を低減することができる。また、ゲート電極とドレイン電極間に生じる寄生容量を低減することができる。
なお、トランジスタ112が有するゲート電極135は、ゲート電極105の形状を、ゲート電極105の一部が電極104及び電極108と重畳するように変更することで形成することができる。
また、トランジスタ112のように、ゲート電極135の一部と、ソース電極及びドレイン電極である電極104及び電極108が重畳する場合は、上述のように、オフセット領域は形成されない。また、トランジスタ112では、上述のように、ソース領域及びチャネル形成領域との間、並びに、ドレイン領域及びチャネル形成領域との間に、自己整合的に不純物元素を添加できないため、低抵抗領域は形成されない。
次いで、ゲート絶縁層103、ゲート電極105、及び電極115を覆って、第1の絶縁層107を形成する。
第1の絶縁層107は、プラズマCVD法、スパッタリング法、または蒸着法等により成膜することができる。第1の絶縁層107は、代表的には酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化窒化アルミニウム、または酸化ガリウムなどの無機絶縁材料などを用いることができる。
また、第1の絶縁層107として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化バリウム、または金属窒化物(例えば、窒化アルミニウム)も用いることができる。
第1の絶縁層107は、単層でも積層でもよく、例えば酸化シリコン及び酸化アルミニウムの積層を用いることができる。酸化アルミニウムは、水素、水分などの不純物、及び酸素の両方に対して膜を通過させない遮断効果(ブロック効果)が高く、作製工程中及び作製後において、変動要因となる水素、水分などの不純物の酸化物半導体層102への混入、及び酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素の酸化物半導体層102からの放出を抑制するブロッキング層として機能するため好適である。
また、例えば第1の絶縁層107として酸化アルミニウムを用いる場合は、アルミニウムを成膜し、当該アルミニウムに酸素ドープ処理を行うことによって形成した酸化アルミニウムを用いてもよい。
なお、上記の「酸素ドープ処理」とは、酸素(少なくとも、酸素ラジカル、酸素原子、酸素分子、オゾン、酸素イオン(酸素分子イオン)、及び/又は酸素クラスタイオンのいずれかを含む)をバルクに導入することをいう。なお、当該「バルク」の用語は、酸素を、薄膜表面のみでなく薄膜内部に添加することを明確にする趣旨で用いている。また、「酸素ドープ処理」には、プラズマ化した酸素をバルクに添加する「酸素プラズマドープ処理」が含まれる。酸素ドープ処理は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、酸素雰囲気下で行うプラズマ処理などを用いて行うことができる。例えば、酸素を含む雰囲気下で行うプラズマ処理を行う場合は、アッシング装置を用いることができる。なお、イオン注入法として、ガスクラスタイオンビームを用いてもよい。
酸素ドープ処理における供給ガスとしては、酸素、一酸化二窒素、二酸化窒素、二酸化炭素、一酸化炭素などの酸素を含むガスを用いることができる。また、上述の酸素を含むガスに希ガスを添加してもよい。
また、酸素ドープ処理は、酸素が導入される膜の全面を一度に処理してもよいし、例えば、線状のイオンビームを用いてもよい。線状のイオンビームを用いる場合には、酸素が導入される膜又はイオンビームの少なくとも一方を相対的に移動(スキャン)させることで、酸素が導入される層の全面に酸素を導入することができる。
第1の絶縁層107は、スパッタリング法など、第1の絶縁層107に水、水素等の不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することが好ましい。
酸化物半導体膜の成膜時と同様に、第1の絶縁層107の成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ(クライオポンプなど)を用いることが好ましい。クライオポンプを用いて排気した成膜室で成膜した第1の絶縁層107に含まれる不純物の濃度を低減できる。また、第1の絶縁層107の成膜室内の残留水分を除去するための排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。
本実施の形態では、第1の絶縁層107として、酸化物半導体層102に接する側から順に、酸化シリコン及び酸化アルミニウムとの積層構造を用いるものとする。なお、酸化アルミニウムを高密度(膜密度3.2g/cm3以上、好ましくは3.6g/cm3以上)とすることによって、トランジスタ110に安定な電気特性を付与することができる。膜密度はラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)や、X線反射率測定法(XRR:X−Ray Reflection)によって測定することができる。
次いで第1の絶縁層107上に、第2の絶縁層109を形成する。第2の絶縁層109は、トランジスタ起因の表面凹凸を低減する平坦化絶縁膜として機能することが好ましい。第2の絶縁層109の材料としては、第1の絶縁層107に用いる上記材料の中から適宜選択して用いることができる。また、第2の絶縁層109は、上記材料の他にポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、平坦化絶縁膜を形成してもよい。また、第2の絶縁層109を設けず、第1の絶縁層107のみを設ける構成にしてもよい。
以上説明したように、酸化物半導体層102に十分な酸素が供給され酸素が過飽和の状態とするため、酸化物半導体層102を包みこむように過剰酸素を含む絶縁層を接して設けることが好ましい。上述のように、酸化物半導体層102と接する第2の下地絶縁層101b及び第1のゲート絶縁層103aに過剰酸素を含む絶縁層、又は酸化物半導体層102と接する領域に酸素過剰領域を含む絶縁層を用いる。
さらに過剰酸素を含む絶縁層の外側に配置されるように、外部からの不純物の浸入を防ぐと共に、酸化物半導体層102の酸素の放出を抑制するブロッキング層を設けることが好ましい。本実施の形態では、第1の下地絶縁層101a、第2のゲート絶縁層103b、及び第1の絶縁層107がブロッキング層として機能する。
酸化物半導体層102の上下に、過剰酸素を含む絶縁層及び酸素の放出を抑制するブロッキング層を設けることで、酸化物半導体層102において化学量論的組成とほぼ一致するような状態、或いは化学量論的組成より酸素が多い過飽和の状態とすることができる。例えば、酸化物半導体層102の化学量論的組成が、In:Ga:Zn:Oが1:1:1:4[原子数比]である場合、酸化物半導体層102に含まれる酸素の原子数比を4以上とすることができる。
次いで、第2の絶縁層109上にマスクを形成し(図示せず)、当該マスクを用いて、第2の絶縁層109、第1の絶縁層107、及びゲート絶縁層103のそれぞれの一部を除去して、電極108に達する開口を形成する。なお、第2の絶縁層109を設けない場合は、第1の絶縁層107及びゲート絶縁層103をエッチングして、電極108に達する開口を形成する。
次いで、当該開口を埋め込むように、第2の絶縁層109上に電極106となる第3の導電膜を形成する。当該第3の導電膜をエッチング等により一部除去し、電極108に電気的に接続される電極106を形成する(図1(A)乃至図1(D)参照)。第3の導電膜として、第1の導電膜116又は第2の導電膜117と同様の材料を用いることができる。また第1の導電膜116及び第2の導電膜117と同様に、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等の低抵抗な金属膜の下側又は上側の一方または双方に、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、タンタル(Ta)等の高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜を積層すると、低抵抗な金属膜の金属の移動(拡散)を阻害できるので好適である。例えば第3の導電膜として、タングステン(W)、銅(Cu)、窒化タンタルを積層したものを用い、低抵抗な銅(Cu)をバリアメタルであるタングステン(W)及び窒化タンタルで挟めばよい。すなわち、第1の導電膜116と同様に、第3の導電膜を、第1の導電層、第2の導電層である金属膜、及び第3の導電層の積層とし、第2の導電層として低抵抗な導電層を用いる。第1の導電層及び第3の導電層の少なくとも一方に、第2の導電層の金属の移動を阻害できる材料を用いる。また、第2の導電層上の第3の導電層は、当該第2の導電層の端部を覆う構成にすると、第2の導電層の端部からの金属の移動を抑制することができるので好適である。
なお、形成された電極106の端部がテーパー形状であると、後に積層する絶縁層や導電層の被覆性が向上するため好ましい。
ここで、上記第1の導電膜116を、第1の導電層、第2の導電層である金属膜、及び第3の導電層の積層とし、第2の導電層として低抵抗な導電層を用い、第1の導電層及び第3の導電層に、第2の導電層の金属の移動を阻害できる材料を用いて、電極104、電極108、及び電極114を作製した半導体装置の断面図を、図7(A)に示す。
図7(A)に示す電極104は、第1の電極104a、第2の電極104b、及び第3の電極104cが積層された電極である。また、電極108は、第1の電極108a、第2の電極108b、及び第3の電極108cが積層された電極である。また、電極114は、第1の電極114a、第2の電極114b、及び第3の電極114cが積層された電極である。
図7(A)では、電極104、電極108、及び電極114それぞれの第2の電極104b、第2の電極108b、及び第2の電極114bの材料として、例えば銅を用いる。また、電極104、電極108、及び電極114それぞれの第1の電極104a、第1の電極108a、及び第1の電極114aの材料として、例えば、銅の移動(拡散)を抑制するタングステン(W)を用いる。また、電極104、電極108、及び電極114それぞれの第3の電極104c、第3の電極108c、及び第3の電極114cの材料として、例えば窒化タンタルを用いる。図7(A)に示す電極構造では、銅を封じ込めるためにフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程が増加してしまうが、第2の電極の材料である銅の拡散を抑制する効果は非常に高く、半導体装置の信頼性を高めることができる。
また、第2の電極上の第3の電極を、当該第2の電極の端部を覆う構成にした半導体装置の断面図を、図7(B)に示す。図7(B)に示すように、第3の電極104c、第3の電極108c、及び第3の電極114cを、それぞれ、第2の電極104b、第2の電極108b、及び第2の電極114bそれぞれの端部を覆う構成にすると、第2の電極の金属、例えば銅の移動をより抑制する効果が増大するので好適である。図7(B)に示す電極構造では、銅を封じ込めるためにフォトリソグラフィ工程およびエッチング工程が増加してしまうが、第2の電極の材料である銅の拡散を抑制する効果は非常に高く、半導体装置の信頼性を高めることができる。
なお、酸化物半導体層102を、複数の酸化物半導体層が積層された構造としてもよい。例えば、酸化物半導体層102を、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層の積層として、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層に異なる組成の金属酸化物を用いてもよい。例えば、第1の酸化物半導体層に三元系金属の酸化物を用い、第2の酸化物半導体層に二元系金属の酸化物を用いてもよい。また、例えば、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層を、どちらも三元系金属の酸化物としてもよい。
また、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層の構成元素を同一とし、両者の組成を異ならせてもよい。例えば、第1の酸化物半導体層の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1とし、第2の酸化物半導体層の原子数比をIn:Ga:Zn=3:1:2としてもよい。また、第1の酸化物半導体層の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2とし、第2の酸化物半導体層の原子数比をIn:Ga:Zn=2:1:3としてもよい。また、第1の酸化物半導体層または、第2の酸化物半導体層の原子数比をIn:Ga:Zn=1:6:4、In:Ga:Zn=1:9:6、またはIn:Ga:Zn=1:9:0としてもよい。
この時、第1の酸化物半導体層と第2の酸化物半導体層のうち、ゲート電極に近い側(チャネル側)の酸化物半導体層のInとGaの含有率をIn>Gaとするとよい。またゲート電極から遠い側(バックチャネル側)の酸化物半導体層のInとGaの含有率をIn≦Gaとするとよい。
酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることによりs軌道のオーバーラップが多くなる傾向があるため、In>Gaの組成となる酸化物はIn≦Gaの組成となる酸化物と比較して高い移動度を備える。また、GaはInと比較して酸素欠損の形成エネルギーが大きく酸素欠損が生じにくいため、In≦Gaの組成となる酸化物はIn>Gaの組成となる酸化物と比較して安定した特性を備える。
チャネル側にIn>Gaの組成となる酸化物半導体を適用し、バックチャネル側にIn≦Gaの組成となる酸化物半導体を適用することで、トランジスタの移動度及び信頼性をさらに高めることが可能となる。
また、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜に、結晶性の異なる酸化物半導体膜を適用してもよい。すなわち、単結晶酸化物半導体膜、多結晶酸化物半導体膜、微結晶酸化物半導体膜、非晶質酸化物半導体膜、またはCAAC−OS膜を適宜組み合わせた構成としてもよい。また、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜の少なくともどちらか一方に非晶質酸化物半導体を適用すると、酸化物半導体層102の内部応力や外部からの応力を緩和し、トランジスタの特性ばらつきが低減され、また、トランジスタの信頼性をさらに高めることが可能となる。
一方で、非晶質酸化物半導体は水素などのドナーとなる不純物を吸収しやすく、また、酸素欠損が生じやすいためn型化されやすい。このため、チャネル側の酸化物半導体膜は、CAAC−OSなどの結晶性を有する酸化物半導体を適用することが好ましい。
また、酸化物半導体層102を3層以上の積層構造とし、複数層の結晶性を有する酸化物半導体層で非晶質酸化物半導体層を挟む構造としてもよい。また、結晶性を有する酸化物半導体層と非晶質酸化物半導体層を交互に積層する構造としてもよい。
酸化物半導体層102を複数層の積層構造とする場合の上記構成は、それぞれを適宜組み合わせて用いることができる。
また、酸化物半導体層102を複数層の積層構造とし、各酸化物半導体層の形成後に酸素を導入してもよい。酸素の導入は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、酸素を含む雰囲気下で行うプラズマ処理などを用いることができる。
各酸化物半導体層の形成毎に酸素を導入することで、酸化物半導体内の酸素欠損を低減する効果を高めることができる。
また、本実施の形態に示すトランジスタは、酸化物半導体層102としてCAAC−OSを用いる場合に特に有用である。CAAC−OSで形成された酸化物半導体層は、外縁(端面)から酸素が脱離しやすいからである。なお、この点については、下記の参考例において詳述する。
以上説明したように、本実施の形態により、寄生チャネルの発生を抑制可能なトランジスタを得ることができる。また、当該トランジスタを用いることにより、動作特性の向上が図られた半導体装置を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で開示したトランジスタとは異なる構造を有するトランジスタについて説明する。
本実施の形態のトランジスタ及び容量素子を図8に示す。図8に示すトランジスタ120は、図1に示すトランジスタ110とほぼ同様の構造を有するが、ソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極124(電極124a及び電極124b)が、酸化物半導体層102の外縁を全て覆っていないという点で、トランジスタ110とは異なる。
図8(A)は、本実施の形態のトランジスタ120及び容量素子111の上面図であり、図8(B)は、図8(A)に示す上面図中のA5−A6線における断面図である。図8(C)は、図8(A)に示す上面図中のB5−B6線における断面図である。図8(D)は、図8(A)に示す上面図中のC5−C6線における断面図である。
トランジスタ120のソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極124a及び電極124bには、同電位が印加されるので、電気的には同一の電極として機能する。電極124a及び電極124bは、それぞれ酸化物半導体層102の外縁の一部を覆わない構成とする。
トランジスタ120に示す構成とすることで、トランジスタの占有面積を小さくすることが可能となる。また、トランジスタ120は、酸化物半導体層102の外縁がソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極124(電極124a及び電極124b)にのみ接する構成であるため、ソース電極又はドレイン電極の他方として機能する電極108と、電極124が寄生チャネルを介して電気的に接続されることがない。酸化物半導体層102の外縁が、ソース電極からドレイン電極に達しない構成とすることで、寄生チャネルの発生を抑制可能なトランジスタを得ることができる。
また、図9に示すように、ゲート電極125が、酸化物半導体層102の外縁を越えて延伸したトランジスタ121において、当該ゲート電極125が延伸した酸化物半導体層102の外縁には低抵抗領域が形成される恐れがある。しかしながら、トランジスタ120と同様に、酸化物半導体層102の外縁がソース電極又はドレイン電極の一方として機能する電極124(電極124a及び電極124b)にのみ接する構成であるため、寄生チャネルは発生せず、トランジスタ121の電気特性は低下しない。
なお、図9(A)は、本実施の形態のトランジスタ120及び容量素子111の上面図であり、図9(B)は、図9(A)に示す上面図中のA7−A8線における断面図である。図9(C)は、図9(A)に示す上面図中のB7−B8線における断面図である。図9(D)は、図9(A)に示す上面図中のC7−C8線における断面図である。
なお、図9においては、ゲート電極125は、電極124a及び電極124bに覆われていない酸化物半導体層102の外縁の一方を越えて延伸しているが、これに限定されない。ゲート電極125が電極124a及び電極124bに覆われていない外縁の両方を越えて延伸している場合でも、寄生チャネルは発生せず、トランジスタ121の電気特性は低下しない。
以上説明したように、本実施の形態により、寄生チャネルの発生を抑制できるトランジスタを得ることができる。また、当該トランジスタを用いることにより、動作特性の向上が図られた半導体装置を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で開示したトランジスタと異なる構成を有するトランジスタ250と、トランジスタ250と同時に作製可能な容量素子の構成及び作製方法について説明する。
図10(A1)は、トランジスタ250の上面図であり、図10(A2)は、容量素子255の上面図である。また、図10(B1)は、図10(A1)中でX1−X2の鎖線で示した部位の断面図であり、図10(B2)は、図10(A2)中でY1−Y2の鎖線で示した部位の断面図である。
図10(A1)および図10(B1)を用いて、トランジスタ250の構成について説明する。図10(A1)に示す上面図において、トランジスタ250は、環状のゲート電極208の内側にソース電極205が形成され、環状のゲート電極208の外側にドレイン電極206が形成された構成を有する。なお、便宜上、本明細書中ではソース電極205及びドレイン電極206に相当する部位の呼称を固定して用いているが、実際の回路動作においてはソースとドレインが入れ替わる場合がある。よって、トランジスタ250は、環状のゲート電極208の内側にソース電極205またはドレイン電極206の一方が形成され、環状のゲート電極208の外側にソース電極205またはドレイン電極206の他方が形成された構成を有すると言い換えることができる。すなわち、トランジスタ250は、平面視において、ソース電極205またはドレイン電極206の一方をゲート電極208で囲む構成を有する。
また、酸化物半導体層204中の、環状のゲート電極208と重畳する領域がチャネル形成領域204aとなるため、チャネル形成領域204aも環状となる。トランジスタ250は、環状のチャネル形成領域204aの内側にソース電極205またはドレイン電極206の一方が形成され、環状のチャネル形成領域204aの外側にソース電極205またはドレイン電極206の他方が形成された構成を有すると言い換えることができる。すなわち、トランジスタ250は、平面視において、ソース電極205またはドレイン電極206の一方をチャネル形成領域204aで囲む構成を有する。
また、図10(B1)において、基板201上に配線202が形成され、配線202上に絶縁層203が形成されている。また、絶縁層203上に酸化物半導体層204が形成され、酸化物半導体層204上にソース電極205、及びドレイン電極206が形成されている。酸化物半導体層204は、チャネル形成領域204a、低抵抗領域204b及び低抵抗領域204cを有する。酸化物半導体層中の、ソース電極205またはドレイン電極206が接する領域と、チャネル形成領域の間に低抵抗領域を設けることで、トランジスタのオン電流を増加させ、トランジスタの電界効果移動度を高めることができる。
また、ソース電極205は、絶縁層203に形成された開口213を介して配線202と電気的に接続している。また、酸化物半導体層204、ソース電極205、及びドレイン電極206上に絶縁層207が形成され、絶縁層207上にゲート電極208が形成されている。また、ゲート電極208上に絶縁層209が形成され、絶縁層209上に平坦化絶縁層210が形成されている。絶縁層207はゲート絶縁層として機能することができる。
絶縁層203、絶縁層207、及び絶縁層209は、単層でもよいし複数層の積層でもよい。特に、絶縁層203及び絶縁層207を複数層の積層とする場合は、酸化物半導体層204と接する層に、酸素を多く含む層を用いることが好ましい。
また、酸化物半導体層204の端部をドレイン電極206で覆うことで、酸化物半導体層204端部からの酸素脱離を軽減し、寄生チャネルの生成を抑制することができる。トランジスタ250は、少なくともゲート電極208、ソース電極205、ドレイン電極206、絶縁層207、及び酸化物半導体層204で構成される。なお、本実施の形態で開示するトランジスタ250は、トップゲート構造のトランジスタの一種である。
また、図10(A2)および図10(B2)を用いて、容量素子255の構成について説明する。容量素子255は、容量電極221と容量電極222の間に、絶縁層207を挟む構成を有する。図10(B2)において、基板201上に絶縁層203が形成され、絶縁層203上に容量電極221が形成されている。容量電極221は、ソース電極205、及びドレイン電極206と同じ層を用いて形成することができる。また、容量電極221上に絶縁層207が形成され、絶縁層207上に容量電極222が形成されている。容量電極222は、ゲート電極208と同じ層を用いて形成することができる。また、容量電極222上に絶縁層209が形成され、絶縁層209上に平坦化絶縁層210が形成されている。
トランジスタ250と容量素子255は、同一平面上に形成することができる。
次に、トランジスタ250と異なる構成を有するトランジスタ260について、図11を用いて説明する。図11(A)は、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタ260の上面図であり、図11(B)は、図11(A)中でV1−V2の鎖線で示した部位の断面図である。また、図11(C)は、図11(A)中でV3−V4の鎖線で示した部位の断面図である。
トランジスタ260とトランジスタ250は、ドレイン電極206の構成が異なる。トランジスタ250は酸化物半導体層204の端部の全周をドレイン電極206で覆う構成を有していたが、トランジスタ260は酸化物半導体層204の端部の一部をドレイン電極206で覆わない構成としている。なお、平面視においてソース電極205またはドレイン電極206の一方を、ゲート電極208またはチャネル形成領域204aで囲む構成はトランジスタ250と同じである。
トランジスタ260に示す構成とすることで、トランジスタの占有面積を小さくすることが可能となる。また、トランジスタ260も、酸化物半導体層204の端部がドレイン電極206にのみ接する構成であるため、ソース電極205とドレイン電極206が寄生チャネルを介して電気的に接続されることがない。酸化物半導体層204の端部が、ソース電極205からドレイン電極206に達しない構成とすることで、消費電力が少なく、電気特性が良好なトランジスタを実現することができる。
続いて、トランジスタ250及び容量素子255の作製方法の一例を、図12乃至図14を用いて説明する。図12はトランジスタ250の作製方法を説明する上面図であり、図13及び図14は、トランジスタ250及び容量素子255の作製方法を説明する断面図である。
まず、基板201上に配線202を形成し、配線202上に絶縁層203を形成する。(図12(A)、図13(A)参照)。基板201に使用することができる基板に大きな制限はないが、少なくとも、後の熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、ガラス基板、セラミック基板、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。また、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板201として用いてもよい。
ガラス基板としては、例えば、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスまたはアルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス基板を用いるとよい。他に、石英基板、サファイア基板などを用いることができる。また、基板201として、可撓性基板(フレキシブル基板)を用いてもよい。可撓性基板を用いる場合、可撓性基板上に、トランジスタ250を直接作製してもよいし、他の作製基板上にトランジスタ250を作製し、その後可撓性基板に剥離、転置してもよい。なお、作製基板から可撓性基板に剥離、転置するために、作製基板とトランジスタとの間に、剥離層を設けるとよい。本実施の形態では、基板201として、アルミノホウケイ酸ガラスを用いる。
基板201上に、後に配線202となる導電層を、スパッタリング法、真空蒸着法、またはメッキ法を用いて形成する。該導電層は、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ネオジム(Nd)、スカンジウム(Sc)から選ばれた金属材料、上述した金属元素を成分とする合金材料、上述した金属元素の窒化物材料などを用いて形成することができる。また、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、ジルコニウム(Zr)、ベリリウム(Be)のいずれか一または複数から選択された金属元素を含む材料用いてもよい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
また、配線202となる導電層は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウムを用いた単層構造、アルミニウム上にチタンを積層する二層構造、窒化チタン上にチタンを積層する二層構造、窒化チタン上にタングステンを積層する二層構造、窒化タンタル上にタングステンを積層する二層構造、Cu−Mg−Al合金上に銅を積層する二層構造、窒化チタン上に銅を積層し、さらにその上にタングステンを形成する三層構造、タングステン上に銅を積層し、さらにその上に窒化タンタルを形成する三層構造などがある。配線202となる導電層に銅を用いることにより、配線202の配線抵抗を低減することができる。また、銅を、タングステン、モリブデン、タンタルなどの高融点金属や、該金属の窒化物と積層することで、銅の他の層への拡散を防止できる。
また、配線202となる導電層は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素を含む材料の積層構造とすることもできる。
本実施の形態では、配線202となる導電層として、スパッタリング法により厚さ100nmのタングステンを形成する。
次に、配線202となる導電層の一部を選択的にエッチングして、配線202(これと同じ層で形成される他の配線を含む)を形成する。導電層の一部を選択的にエッチングする場合は、導電層上にレジストマスクを形成し、ドライエッチング法またはウェットエッチング法により、導電層の不要部分を除去すればよい。また、導電層のエッチングを、ドライエッチング法とウェットエッチング法の両方を組み合わせて行ってもよい。導電層上に形成するレジストマスクはフォトリソグラフィ法、印刷法、インクジェット法等を適宜用いることができる。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
導電層のエッチングをドライエッチング法で行う場合は、エッチングガスとしてハロゲン元素を含むガスを用いることができる。ハロゲン元素を含むガスの一例としては、塩素(Cl2)、三塩化硼素(BCl3)、四塩化珪素(SiCl4)もしくは四塩化炭素(CCl4)などを代表とする塩素系ガス、四フッ化炭素(CF4)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)もしくはトリフルオロメタン(CHF3)などを代表とするフッ素系ガス、臭化水素(HBr)または酸素を適宜用いることができる。また用いるエッチング用ガスに不活性気体を添加してもよい。また、ドライエッチング法としては、反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)法を用いることができる。
また、プラズマ源として、容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotron Resonance)プラズマ、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、マイクロ波励起表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)などを用いることができる。特に、ICP、ECR、HWP、及びSWPは、高密度のプラズマを生成することができる。ドライエッチング法で行うエッチング(以下、「ドライエッチング処理」ともいう)は、所望の加工形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節して行う。
なお、フォトリソグラフィ法を用いて導電層や絶縁層上に任意形状のレジストマスクを形成する工程をフォトリソグラフィ工程というが、一般にレジストマスク形成後には、エッチング工程とレジストマスクの剥離工程が行われることが多い。このため、本明細書でいうフォトリソグラフィ工程には、レジストマスクの形成工程と、導電層または絶縁層のエッチング工程と、レジストマスクの剥離工程が含まれている場合がある。
次いで、配線202上に絶縁層203を形成する(図13(A)参照)。
絶縁層203は、スパッタリング法、MBE法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD法等を適宜用いて形成することができる。また、μ波(例えば周波数2.45GHz)を用いた高密度プラズマCVD法などを適用することができる。また、絶縁層203は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタ装置を用いて成膜してもよい。
絶縁層203の材料としては、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、窒化シリコン、酸化シリコン、窒化酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンから選ばれた材料を、単層でまたは積層して形成することができる。
絶縁層203は、後に形成される酸化物半導体層204と接する部分において酸素を含むことが好ましい。さらに、酸化物半導体層204と接する絶縁層203は、層中(バルク中)に少なくとも化学量論的組成を超える量の酸素が存在することが好ましい。例えば、絶縁層203として、酸化シリコンを用いる場合には、SiO2+α(ただし、α>0)とする。本実施の形態では、絶縁層203として、SiO2+α(ただし、α>0)である酸化シリコンを用いる。この酸化シリコンが酸化物半導体層204と接することで、酸化物半導体層204に酸素を供給することができ、トランジスタの電気特性を良好にすることができる。
また、絶縁層203を、上述した酸素を過剰に含む絶縁層と、窒化シリコンや酸化アルミニウムなどの、水素、水、水素化物、または水酸化物などの不純物や、酸素に対するバリア性を有する材料で形成された絶縁層(以下、バリア層ともいう)の積層としてもよい。バリア性を有する材料で形成することで、基板側からの上記不純物の侵入を防ぐとともに、酸素を過剰に含む絶縁層に含まれる酸素の基板側への拡散を防ぐことができる。
本実施の形態では、基板201上に絶縁層203としてプラズマCVD法を用いて厚さ200nmの酸化窒化シリコンを形成する。また、絶縁層203形成時の温度は、基板201及び配線202が耐えうる温度以下で、より高いほうが好ましい。例えば、基板201を350℃以上450℃以下の温度に加熱しながら絶縁層203を形成する。なお、絶縁層203形成時の温度は一定であることが好ましい。例えば、絶縁層203の形成を、基板を350℃に加熱して行う。
また、絶縁層203の形成後、減圧下、窒素雰囲気下、希ガス雰囲気下、または超乾燥エア窒素雰囲気下において、加熱処理を行ってもよい。加熱処理により絶縁層203に含まれる水素、水、水素化物、または水酸化物などの濃度を低減することができる。加熱処理温度は、基板201及び配線202が耐えうる温度以下で、より高い温度で行うことが好ましい。具体的には、絶縁層203の成膜温度以上、基板201の歪点未満で行うことが好ましい。
また、絶縁層203の形成後、絶縁層203に酸素ドープ処理を行い、絶縁層203を酸素過剰な状態としてもよい。なお、絶縁層203への酸素ドープ処理は、上記加熱処理後に行うことが好ましい。上記加熱処理と酸素ドープ処理は、複数回繰り返し行ってもよい。
また、上記加熱処理と酸素ドープ処理を、交互に複数回繰り返して行ってもよい。
次に、絶縁層203上に、後に酸化物半導体層204となる酸化物半導体層214(図示せず)をスパッタリング法により形成する。
なお、酸化物半導体層214は、上記実施の形態で開示した酸化物半導体と同様の材料および方法で形成することができる。
なお、酸化物半導体層214は、酸素が多く含まれるような条件で形成して、酸素を多く含むまたは酸素が過飽和な状態(好ましくは酸化物半導体が結晶状態における化学量論的組成に対し、酸素の含有量が過剰な領域が含まれている状態)とすることが好ましい。
例えば、スパッタリング法を用いて酸化物半導体層を形成する場合、スパッタリングガスの酸素の占める割合が多い条件で行うことが好ましく、スパッタリングガスを酸素ガス100%として行うことが好ましい。スパッタリングガス中の酸素ガスの占める割合が多い条件、特に酸素ガス100%で成膜すると、例えば形成温度を300℃以上としても、酸化物半導体層中からのZnの放出が抑えられる。
また、酸化物半導体層214の形成に先立ち、絶縁層203の酸化物半導体層214が接して形成される領域に、平坦化処理を行ってもよい。
また、酸化物半導体層214は、銅、アルミニウム、塩素などの不純物がほとんど含まれない高純度化されたものであることが望ましい。トランジスタの製造工程において、これらの不純物が混入または酸化物半導体層表面に付着する恐れのない工程を適宜選択することが好ましい。具体的には、酸化物半導体層中の銅濃度は1×1018atoms/cm3以下、好ましくは1×1017atoms/cm3以下とする。また、酸化物半導体層中のアルミニウム濃度は1×1018atoms/cm3以下とする。また、酸化物半導体層中の塩素濃度は2×1018atoms/cm3以下とする。
また、酸化物半導体層214中のナトリウム(Na)、リチウム(Li)、カリウム(K)などのアルカリ金属の濃度は、Naは5×1016atoms/cm3以下、好ましくは1×1016atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1015atoms/cm3以下、Liは5×1015atoms/cm3以下、好ましくは1×1015atoms/cm3以下、Kは5×1015atoms/cm3以下、好ましくは1×1015atoms/cm3以下とする。
本実施の形態においては、酸化物半導体層214として、AC電源装置を有するスパッタリング装置を用いたスパッタリング法により、厚さ35nmのIn−Ga−Zn系酸化物(IGZO)を形成する。スパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、組成として、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いる。
まず、減圧状態に保持された成膜室内に基板201を保持する。そして、成膜室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて絶縁層203上に酸化物半導体層214を形成する。成膜室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子、水(H2O)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で形成した酸化物半導体層214に含まれる不純物の濃度を低減できる。
また、絶縁層203と酸化物半導体層214を大気に解放せずに連続的に形成してもよい。絶縁層203と酸化物半導体層214とを大気に曝露せずに連続して形成すると、絶縁層203表面に水素や水などの不純物が付着することを防止することができる。
次に、フォトリソグラフィ工程により酸化物半導体層214の一部を選択的にエッチングし、島状の酸化物半導体層204を形成する(図12(B)、図13(B)参照)。また、酸化物半導体層204を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
なお、酸化物半導体層214のエッチングは、ドライエッチング法でもウェットエッチング法でもよく、両方を用いてもよい。ウェットエッチング法により、酸化物半導体層214のエッチングを行う場合は、エッチング液として、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液や、シュウ酸を含む溶液などを用いることができる。また、ITO−07N(関東化学社製)を用いてもよい。また、ドライエッチング法で酸化物半導体層のエッチングを行う場合は、例えば、ECRまたはICPなどの高密度プラズマ源を用いたドライエッチング法を用いることができる。また、広い面積に渡って一様な放電が得られやすいドライエッチング法として、ECCP(Enhanced Capacitively Coupled Plasma)モードを用いたドライエッチング法がある。このドライエッチング法であれば、例えば基板として、第10世代の3mを超えるサイズの基板を用いる場合にも対応することができる。
また、酸化物半導体層204形成後に、酸化物半導体層204中の過剰な水素(水や水酸基を含む)を除去(脱水化または脱水素化)するための加熱処理を行ってもよい。加熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、または基板の歪み点未満とする。加熱処理は減圧下又は窒素雰囲気下などで行うことができる。例えば、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層204に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行う。
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
例えば、加熱処理として、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基板を入れ、数分間加熱した後、基板を不活性ガス中から出すGRTAを行ってもよい。
なお、加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
また、加熱処理により酸化物半導体層204を加熱した後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度の一酸化二窒素ガス、又は超乾燥エア(キャビティリングダウン分光法(CRDS:Cavity Ring−Down Spectroscopy)を用いた露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気)を導入してもよい。酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち、酸素ガスまたは一酸化二窒素ガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガス又は一酸化二窒素ガスの作用により、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程によって同時に減少してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給することによって、酸化物半導体内の酸素欠損が低減され、酸化物半導体層204をi型(真性)または実質的にi型化することができる。
脱水化又は脱水素化のための加熱処理は、酸化物半導体層の形成後であれば、島状の酸化物半導体層204の形成前に行ってもよく、形成後に行ってもよい。また、脱水化又は脱水素化のための加熱処理は、複数回行ってもよく、他の加熱処理と兼ねてもよい。
また、脱水化又は脱水素化処理によって、酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素が同時に脱離して減少してしまう恐れがある。酸化物半導体層において、酸素が脱離した箇所では酸素欠損が存在し、該酸素欠損に起因してトランジスタの電気特性変動を招くドナー準位が生じてしまう。
このため、脱水化又は脱水素化処理を行った酸化物半導体層204に、酸素ドープ処理を行い、酸化物半導体層204中に酸素を供給してもよい。
脱水化又は脱水素化処理を行った酸化物半導体層204に、酸素を導入して層中に酸素を供給することによって、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程によって生じた酸化物半導体内の酸素欠損を低減し、酸化物半導体層204をi型(真性)化することができる。i型(真性)化した酸化物半導体層204を有するトランジスタは、電気特性変動が抑制されており、電気的に安定である。
酸化物半導体層204に酸素導入する場合、酸素ドープ処理を酸化物半導体層204に直接行ってもよいし、他の層を介して行ってもよい。
また、酸素ドープ処理により、酸化物半導体層204を構成する元素と水素の間の結合、或いは該元素と水酸基の間の結合を切断するとともに、これらの水素または水酸基が酸素と反応することで水を生成するため、酸素ドープ処理後に加熱処理を行うと、不純物である水素または水酸基が、水として脱離しやすくなる。このため、酸化物半導体層204へ酸素を導入した後に加熱処理を行ってもよい。その後、さらに酸化物半導体層204に酸素を導入し、酸化物半導体層204を酸素過剰な状態としてもよい。また、酸化物半導体層204への酸素ドープ処理と加熱処理は、それぞれを交互に複数回行ってもよい。また、加熱処理と酸素ドープ処理を同時に行ってもよい。
このように、酸化物半導体層204は水素などの不純物が十分に除去されることにより高純度化され、また、十分な酸素が供給されて酸化物半導体層204中の酸素欠損が低減されることにより、i型(真性)または実質的にi型(真性)化されたものであることが望ましい。
電子供与体(ドナー)となる水または水素などの不純物が低減されて高純度化された酸化物半導体(purified OS)は、その後、酸化物半導体に酸素を供給して、酸化物半導体内の酸素欠損を低減することによりi型(真性)の酸化物半導体又はi型に限りなく近い(実質的にi型化した)酸化物半導体とすることができる。チャネルが形成される半導体層にi型または実質的にi型化された酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が著しく低いという特性を有する。
具体的に、高純度化された酸化物半導体層の水素濃度は、SIMSによる水素濃度の測定値が、5×1019atoms/cm3以下、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。また、酸化物半導体層204に十分な酸素が供給されて酸素が過飽和の状態とするため、酸化物半導体層204を挟むように酸素を多く含む絶縁層を接して設けることが好ましい。
また、酸素を多く含む絶縁層の水素濃度もトランジスタの特性に影響を与えるため重要である。酸素を多く含む絶縁層の水素濃度が、7.2×1020atoms/cm3以上である場合には、トランジスタの初期特性のバラツキの増大、L長依存性の増大、さらにBTストレス試験において大きく劣化するため、酸素を多く含む絶縁層の水素濃度は、7.2×1020atoms/cm3未満とする。即ち、酸化物半導体層の水素濃度は5×1019atoms/cm3以下、且つ、酸素を多く含む絶縁層の水素濃度は、7.2×1020atoms/cm3未満とすることが好ましい。
ここで、水素濃度のSIMS分析について触れておく。SIMS分析は、その原理上、試料表面近傍や、材質が異なる層との積層界面近傍のデータを正確に得ることが困難であることが知られている。そこで、層中における水素濃度の厚さ方向の分布をSIMSで分析する場合、対象となる層が存在する範囲において、値に極端な変動が無く、ほぼ一定の値が得られる領域における平均値を、水素濃度として採用する。また、測定の対象となる層の厚さが小さい場合、隣接する層内の水素濃度の影響を受けて、ほぼ一定の値が得られる領域を見いだせない場合がある。この場合、当該層が存在する領域における、水素濃度の最大値または最小値を、当該層中の水素濃度として採用する。さらに、当該層が存在する領域において、最大値を有する山型のピーク、最小値を有する谷型のピークが存在しない場合、変曲点の値を水素濃度として採用する。
次に、フォトリソグラフィ工程により、配線202と重畳する、酸化物半導体層204及び絶縁層203の一部を選択的にエッチングし、配線202に達する開口213を形成する(図12(C)、図13(C)参照)。また、開口213を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。酸化物半導体層204及び絶縁層203のエッチングは、ドライエッチング法でもウェットエッチング法でもよく、両方を用いてもよい。
次いで、フォトリソグラフィ工程により、酸化物半導体層204上にソース電極205、ドレイン電極206、及び図12に図示しない容量電極221(これと同じ層で形成される配線を含む)を形成する(図12(D)、図13(D)参照)。ソース電極205、ドレイン電極206、及び容量電極221は、配線202と同様の材料及び方法で形成することができる。
本実施の形態では、ソース電極205、ドレイン電極206、及び容量電極221を形成するための導電層としてスパッタリング法により厚さ200nmのチタンを形成する。該導電層のエッチングは、例えば、エッチングガス(BCl3:Cl2=750sccm:150sccm)を用い、バイアス電力を1500Wとし、ICP電源電力を0Wとし、圧力を2.0PaとしたICPエッチング法により行うことができる。
また、ソース電極205及びドレイン電極206を形成するためのエッチングが終了した後、酸化物半導体層204の表面に付着した不純物を除去するための洗浄処理(不純物除去処理)を行うことが好ましい。
不純物除去処理を行うことで、安定した電気特性を有する信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
次いで、酸化物半導体層204の一部に接し、ソース電極205及びドレイン電極206上に、絶縁層207を形成する(図13(E)参照)。絶縁層207は絶縁層203と同様の材料及び方法で形成することが出来る。絶縁層207は、トランジスタ250のゲート絶縁層として機能する。また、容量素子255の誘電体として機能する。
容量素子は対向する二つの電極の間に誘電体を挟む構成を有し、誘電体の厚さが薄いほど(対向する二つの電極間距離が短いほど)、また、誘電体の誘電率が大きいほど容量値が大きくなる。ただし、容量素子の容量値を増やすために誘電体を薄くすると、二つの電極間に生じるリーク電流が増加しやすくなり、また、容量素子の絶縁耐圧が低下しやすくなる。
トランジスタのゲート電極、ゲート絶縁層、半導体層が重畳する部分は、容量素子として機能する(以下、「ゲート容量」ともいう)。なお、半導体層の、ゲート絶縁層を介してゲート電極と重畳する領域にチャネルが形成される。すなわち、ゲート電極と、チャネル形成領域が容量素子の二つの電極として機能し、ゲート絶縁層が容量素子の誘電体として機能する。ゲート容量の容量値は大きいほうが好ましいが、容量値を増やすためにゲート絶縁層を薄くすると、前述のリーク電流の増加や、絶縁耐圧の低下といった問題が生じやすい。
そこで、絶縁層207として、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSixOyNz(x>0、y>0、z>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAlxOyNz(x>0、y>0、z>0))、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いると、絶縁層207を厚くしても、ゲート電極208と酸化物半導体層204間の容量値を十分確保することが可能となる。
例えば、絶縁層207として誘電率が大きいhigh−k材料を用いると、絶縁層207を厚くしても、絶縁層207に酸化シリコンを用いた場合と同等の容量値を実現できるため、ゲート電極208と酸化物半導体層204間に生じるリーク電流を低減できる。また、容量電極222と容量電極221間に生じるリーク電流を低減できる。また、ゲート電極208と同じ層を用いて形成された配線と、該配線と重畳する他の配線との間に生じるリーク電流を低減できる。なお、絶縁層207をhigh−k材料と、他の絶縁材料との積層構造としてもよい。
なお、絶縁層207は、酸化物半導体層204と接する部分において酸素を含むことが好ましい。本実施の形態においては、酸化物半導体層204と接する絶縁層207は、層中(バルク中)に少なくとも化学量論的組成を超える量の酸素が存在することが好ましい。例えば、絶縁層207として、酸化シリコンを用いる場合には、SiO2+α(ただし、α>0)とする。本実施の形態では、絶縁層207として、SiO2+α(ただし、α>0)である酸化シリコンを用いる。この酸化シリコンを絶縁層207として用いることで、酸化物半導体層204に酸素を供給することができ、特性を良好にすることができる。
また、絶縁層207は、上述した酸素を過剰に含む絶縁層と、窒化シリコンや酸化アルミニウムなどの、水素、水、水素化物、または水酸化物などの不純物や、酸素に対するバリア性を有する材料で形成された絶縁層の積層とすることが好ましい。酸化物半導体層204に接して酸素を過剰に含む絶縁層を形成し、酸素を過剰に含む絶縁層にバリア性を有する絶縁層を積層することで、酸化物半導体層204への不純物の侵入を防ぐとともに、酸素を過剰に含む絶縁層に含まれる酸素を効果的に酸化物半導体層204へ供給することができる。
また、絶縁層207を形成する前に、酸素、一酸化二窒素、もしくは希ガス(代表的にはアルゴン)などを用いたプラズマ処理により、被形成面の表面に付着した水分や有機物などの不純物を除去することが好ましい。
また、絶縁層207の形成後、絶縁層207に酸素ドープ処理を行い、絶縁層207を酸素過剰な状態としてもよい。また、絶縁層207の形成後、酸素ドープ処理の前に、減圧下、窒素雰囲気下、希ガス雰囲気下、または超乾燥エア窒素雰囲気下において、加熱処理を行ってもよい。加熱処理により絶縁層207に含まれる水素、水、水素化物、または水酸化物などの濃度を低減することができる。加熱処理温度は、基板201が耐えうる温度以下で、より高い温度で行うことが好ましい。具体的には、絶縁層207の成膜温度以上、基板201の歪点未満で行うことが好ましい。
また、酸素の供給源となる酸素を多く(過剰に)含む絶縁層207を酸化物半導体層204と接して設け、その後上記加熱処理を行うことにより絶縁層207から酸化物半導体層204へ酸素を供給することができる。
酸化物半導体層204へ酸素を供給することにより、酸化物半導体層204中の酸素欠損を補填することができる。絶縁層207の厚さは、1nm以上50nm以下が好ましい。絶縁層207の厚さは、作製するトランジスタのサイズやソース電極205、ドレイン電極206、及び容量電極221の段差被覆性を考慮して決定すればよい。
次に、ゲート電極208及び容量電極222を形成する(これと同じ層で形成される他の配線を含む)(図12(E)、図14(A)参照)。ゲート電極208及び容量電極222は、配線202、ソース電極205、ドレイン電極206、及び容量電極221と同様の材料及び方法で形成することができる。
本実施の形態では、厚さ100nmのタングステン膜を用いて、ゲート電極208及び容量電極222を形成する。
次に、ゲート電極208をマスクとして酸化物半導体層204にドーパント231を導入し、低抵抗領域204b、低抵抗領域204cを形成する(図12(F)、図14(B)参照)。
ドーパント231は、酸化物半導体層204の導電率を変化させる不純物元素である。ドーパント231としては、15族元素(代表的にはリン(P)、砒素(As)、およびアンチモン(Sb))、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、フッ素(F)、塩素(Cl)、チタン(Ti)、及び亜鉛(Zn)のいずれかから選択される一以上を用いることができる。
ドーパント231の導入方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。その際には、ドーパント231の単体のイオンあるいはフッ化物、塩化物のイオンを用いると好ましい。
本実施の形態では、ドーパント231をイオン注入法により絶縁層207を通過して酸化物半導体層204に導入する。ドーパント231の導入工程は、通過させる層の厚さを考慮し、加速電圧、ドーズ量を適宜設定して行えばよい。本実施の形態では、ドーパント231としてリンを用いて、イオン注入法でリンイオンの注入を行う。なお、ドーパント231のドーズ量は1×1013ions/cm2以上5×1016ions/cm2以下とすればよい。
低抵抗領域におけるドーパント231の濃度は、5×1018/cm3以上1×1022/cm3以下であることが好ましい。
また、ドーパント231を導入する際に、基板201を加熱しながら行ってもよい。
なお、酸化物半導体層204にドーパント231を導入する処理は、複数回行ってもよく、ドーパント231の種類も複数種用いてもよい。
また、ドーパント231の導入処理後、加熱処理を行ってもよい。加熱条件としては、温度300℃以上700℃以下、好ましくは300℃以上450℃以下で1時間、酸素雰囲気下で行うことが好ましい。また、窒素雰囲気下、減圧下、大気(超乾燥エア)下で加熱処理を行ってもよい。
本実施の形態では、イオン注入法により酸化物半導体層204に、リン(P)イオンを注入する。なお、リン(P)イオンの注入条件は加速電圧30kV、ドーズ量を1.0×1015ions/cm2とする。
なお、酸化物半導体層204に結晶性を有する酸化物半導体用いた場合、ドーパント231の導入により、一部が非晶質化する場合がある。
ドーパント231の導入により、チャネル形成領域204aを挟んで低抵抗領域204b、低抵抗領域204cが設けられた酸化物半導体層204が形成される。
次いで、絶縁層207、ゲート電極208、及び容量電極222の上に絶縁層209を形成する(図14(C)参照)。絶縁層209は、絶縁層203または絶縁層207と同様の材料及び方法で形成することができる。例えば、絶縁層209として、酸化シリコンや、酸化窒化シリコンなどをスパッタリング法やCVD法で形成して用いることができる。また、絶縁層209に酸素ドープ処理を行い、酸素を過剰に含む絶縁層としてもよい。
また、絶縁層209を、トランジスタへの水素、水などの不純物、及び酸素の両方に対して通過させない遮断効果(ブロック効果)が高い、バリア性を有する材料を用いて形成した層(以下、バリア層ともいう)としてもよい。また、絶縁層209を、前述した絶縁層とバリア層の積層としてもよい。
バリア層は、例えば、酸素が導入されることによって金属酸化物となる金属層を形成し、該金属層に酸素ドープ処理を行うことで形成することも可能である。金属酸化物層となる金属材料としては、アルミニウムの他に、マグネシウムを添加したアルミニウム、チタンを添加したアルミニウム、絶縁層207上に接するアルミニウムとアルミニウム上に接するマグネシウムの積層、又は、絶縁層207上に接するアルミニウムとアルミニウム上に接するチタンの積層、等を用いることができる。
絶縁層209の形成後、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の温度は、例えば250℃以上600℃以下、好ましくは300℃以上600℃以下とすることができる。
以上の工程によって、トランジスタ250が形成される。なお、トランジスタ250上にさらに絶縁層を形成してもかまわない。本実施の形態では、トランジスタ260上に平坦化絶縁層210を形成する例を示す(図14(D)参照)。
平坦化絶縁層210としては、例えばポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂等の、耐熱性を有する有機絶縁材料を用いることができる。また上記有機絶縁材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等の単層、又は積層を用いることができる。
また、平坦化絶縁層210を、絶縁層形成後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理などの平坦化処理を行うことで形成してもよい。
なお、本実施の形態に示すトランジスタは、酸化物半導体層204としてCAAC−OS膜を用いる場合、特に有用である。CAAC−OS膜は、端部から酸素が脱離しやすいからである。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態3で開示したトランジスタ250及びトランジスタ260と異なる構成を有するトランジスタについて、図15及び図16を用いて説明する。図15(A1)は、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタ270の平面視を示す図(上面図)であり、図15(B1)は、図15(A1)中でW1−W2の鎖線で示した部位の断面視を示す図(断面図)である。また、図15(A2)は、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタ280の平面視を示す図(上面図)であり、図15(B2)は、図15(A2)中でZ1−Z2の鎖線で示した部位の断面視を示す図(断面図)である。なお、図面をわかりやすくするため、図15(A1)および図15(A2)において一部の構成要素の記載を省略している。
トランジスタ270は、トランジスタ250とゲート電極208の形状が異なる構成を有する。また、トランジスタ280は、トランジスタ260とゲート電極208の形状が異なる構成を有する。具体的には、トランジスタ270及びトランジスタ280は、ゲート電極208がソース電極205及びドレイン電極206と重畳するように形成されている。なお、平面視においてソース電極205またはドレイン電極206の一方をチャネル形成領域204aで囲む構成はトランジスタ250及びトランジスタ260と同じである。
このような構成とすることにより、酸化物半導体層204中のソース電極205が接する領域からドレイン電極206が接する領域までをチャネル形成領域とすることができるため、低抵抗領域204b、低抵抗領域204cを形成するための工程を削減することができ、半導体装置の生産性を向上することができる。
また、ゲート電極208を、ソース電極205またはドレイン電極206の一方と重畳させ、ソース電極205またはドレイン電極206の他方とゲート電極208の間に位置する酸化物半導体層204中に、オフセット領域を形成してもよい。オフセット領域を設けることで、ゲート電極208と、ソース電極205またはドレイン電極206の他方との間の電界集中を緩和し、トランジスタの信頼性を高めることができる。
なお、トランジスタ280において、ゲート電極208が酸化物半導体層204の端部の全周を覆う必要はない。
図16(A)は、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタ290の平面視を示す図(上面図)であり、図16(B)は、図16(A)中でQ1−Q2の鎖線で示した部位の断面視を示す図(断面図)である。なお、図面をわかりやすくするため、図16(A)において一部の構成要素の記載を省略している。
トランジスタ290は、トランジスタ250と平面視における形状が異なる構成を有する。トランジスタ290は円形状の、ゲート電極208、ソース電極205、及びドレイン電極206を有する。ゲート電極208、ソース電極205、及びドレイン電極206を円形状に配置することで、ソース電極205からドレイン電極206までの距離を、場所に寄らず等しくすることが可能となり、酸化物半導体層204に効率よく電流を流すことが出来る。よって、さらに電気特性が良好なトランジスタを実現することが可能となる。
また、図16では、ソース電極205をソース電極205a、ソース電極205b、ソース電極205cの積層とし、ドレイン電極206を、ドレイン電極206a、ドレイン電極206b、ドレイン電極206cの積層とする例を示している。例えば、スパッタリング法により、ソース電極205a及びドレイン電極206aとして厚さ50nmのタングステン膜を形成し、ソース電極205b及びドレイン電極206bとして厚さ400nmの銅膜を形成し、ソース電極205c及びドレイン電極206cとして厚さ100nmの窒化タンタル膜を形成する。
ソース電極205及びドレイン電極206に銅を用いることにより、配線抵抗を低減することができる。また、ソース電極205a及びドレイン電極206aをタングステンで形成し、ソース電極205b及びドレイン電極206bを銅で形成し、ソース電極205b及びドレイン電極206bを窒化タンタルで形成したソース電極205c及びドレイン電極206cで覆うことで、ソース電極205及びドレイン電極206に用いた銅が他の層に拡散することを防ぐことができる。なお、例えば、ソース電極205a及びドレイン電極206aは窒化タングステン膜でも良いし、タングステンと窒化タングステンの積層でもよい。
また、配線202、ゲート電極208を上記のような積層としてもよい。
なお、平面視において、ソース電極205またはドレイン電極206の一方をチャネル形成領域204aで囲む構成を有する点は、トランジスタ270、トランジスタ280及びトランジスタ290も、トランジスタ250及びトランジスタ260と同じである。また、酸化物半導体層204の端部が、ソース電極205からドレイン電極206に達しない構成を有する点も同じである。
よって、トランジスタ270、トランジスタ280及びトランジスタ290も、トランジスタ250及びトランジスタ260と同様に、ソース電極205とドレイン電極206が寄生チャネルを介して電気的に接続されることがないため、消費電力が少なく、電気特性が良好なトランジスタを実現することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で開示したトランジスタと異なる構成を有するトランジスタと、トランジスタと同時に作製可能な容量素子の構成及び作製方法について説明する。
図17(A)は、本発明の一態様におけるトランジスタ310の上面図であり、図17(B)は、図17(A)に示す線分E1−E2における断面図、図17(C)は、図17(A)に示す線分E3−E4における断面図である。
図17(A)、(B)、(C)に示すトランジスタは、第1の絶縁層311に埋設された第1の電極312、該第1の電極と接する酸化物半導体層313、該酸化物半導体層の端部と接する第2の電極314、該酸化物半導体層および該第2の電極を覆う第2の絶縁層315、該第2の絶縁層上に形成された第3の電極316を有する。また、該第2の絶縁層および該第3の電極上には第3の絶縁層317を保護膜として設けることが好ましい。さらに必要に応じて平坦化膜318を設けてもよい。
図17(A)、(B)、(C)に示すトランジスタは、電界効果型トランジスタであり、第1の電極312はソース電極、第2の電極314はドレイン電極、第3の電極316はゲート電極として機能する。また、第2の絶縁層315はゲート絶縁層であり、第3の絶縁層317は酸化物半導体層313からの酸素の脱離および該酸化物半導体層への水素や水分の混入を抑える保護膜として機能する。
第1の電極312は第1の絶縁層311に埋設されており、図示されていない第1の電極312の一方の端部は、電源線や信号線などの配線、または他のトランジスタと電気的に接続することができる。また、第1の電極312の他方の端部は、第1の絶縁層311表面と連続する平面となるように平坦化加工されており、酸化物半導体層313の一方の面と電気的に接続されている。
酸化物半導体層313は島状に加工されており、その端部を覆うように第2の電極314が形成されている。第2の電極314で酸化物半導体層313の端部を覆うことで、該端部からの酸素の離脱を抑制する効果を付与することができる。
第3の電極316は、第2の絶縁層315を介して酸化物半導体層313上に形成されている。該第3の電極の上面形状は環状であり、その内側に第1の電極312が位置し、外側に第2の電極314が位置する。
ここで、酸化物半導体層313において、第3の電極316および第2の電極314と重畳しない領域は高抵抗であり、トランジスタのオン電流低下を抑制するため、不純物を添加して低抵抗とすることが好ましい。したがって、酸化物半導体層313には、不純物が添加されない高抵抗領域313aおよび不純物が添加された低抵抗領域313bが存在する。
上記のトランジスタ構造では、上述した寄生チャネルとなりやすい酸化物半導体層313の端部がゲート電極である第3の電極316と重畳していないため、酸化物半導体層313の端部の寄生チャネルとしての作用を抑えることができ、トランジスタの電気特性および信頼性を向上させることができる。
なお、本発明の一態様のトランジスタは、図17(A)、(B)、(C)に例示した構造に限らず、図18(A)、(B)、(C)に示すように第2の電極314が酸化物半導体層313の端部の一部を覆う形状であってもよい。図18(A)は、本発明の一態様におけるトランジスタ320の上面図であり、図18(B)は、図18(A)に示す線分F1−F2における断面図、図18(C)は、図18(A)に示す線分F3−F4における断面図である。なお、図18(A)、(B)、(C)では矩形の酸化物半導体層313の一辺およびその対向する一辺を覆う第2の電極314を例示したが、これに限らず、酸化物半導体層313の端部のいずれか一部が第2の電極314で覆われる形状であればよい。
また、図19(A)、(B)、(C)に示すように、酸化物半導体層313の端部の一部を第3の電極316で覆う構造としてもよい。図19(A)は、本発明の一態様におけるトランジスタ330の上面図であり、図19(B)は、図19(A)に示す線分G1−G2における断面図、図19(C)は、図19(A)に示す線分G3−G4における断面図である。なお、図19(A)、(B)、(C)では矩形の酸化物半導体層313の一辺およびその対向する一辺を覆う第3の電極316を例示したが、これに限らず、酸化物半導体層313の端部のいずれか一部が第3の電極316で覆われる形状であればよい。
また、図20(A)、(B)、(C)に示すように、第3の電極316が第1の電極312の一部および第2の電極314の一部と重畳する構造としてもよい。該構造とすることで第1の電極312および第2の電極314間において、酸化物半導体層313の第3の電極316と重畳する領域が全てチャネル形成領域となるため、前述した酸化物半導体層313に不純物を添加する工程が不要となる。図20(A)は、本発明の一態様におけるトランジスタ340の上面図であり、図20(B)は、図20(A)に示す線分H1−H2における断面図、図20(C)は、図20(A)に示す線分H3−H4における断面図である。
なお、本発明の一態様のトランジスタの作製工程においては、図21に例示する容量素子350を同時に同一面上に作製することができる。容量素子350は、例えば記憶装置の電荷保持用素子などに用いることができる。図21(A)は、容量素子350の上面図であり、図21(B)は、図21(A)に示す線分J1−J2における断面図である。
また、図17(A)、(B)、(C)乃至図20(A)、(B)、(C)においては、上面の外周形状が概略矩形となる形状の酸化物半導体層313、第1の電極312、第2の電極314および第3の電極316を例示したが、それに限らず、図22(A)、(B)に示すように上面形状が円形や多角形であってもよい。なお、第2の電極314または第3の電極316と、それに電気的に接続される配線は任意の位置で接続することができ、その位置は限定されない。
次に、図17(A)、(B)、(C)に示す本発明の一態様のトランジスタ310の作製方法の一例を、図23および図24を用いて説明する。なお、図23および図24において、左側の図は上面図、右側の図は断面図である。
前述したように、図示されていない第1の電極312の一方の端部は、電源線や信号線などの配線、または他のトランジスタと電気的に接続することができる。したがって、第1の電極312には、電源線や信号線などの配線または他のトランジスタと電気的に接続されたコンタクトプラグ、もしくは該コンタクトプラグと電気的に接続された導電層を用いることができる。
まず、基板上に形成された、電源線や信号線、または他のトランジスタ上に層間絶縁膜として第1の絶縁層311を形成する。
第1の絶縁層311は、プラズマCVD法またはスパッタ法等により、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウムなどの酸化物絶縁膜、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁膜、またはこれらの混合材料を用いて形成することができる。また、上記材料の積層であってもよく、少なくとも酸化物半導体層313と接する上層は酸化物半導体層313への酸素の供給源となりえる酸素を含む材料で形成することが好ましい。
次に、電源線や信号線などの配線、または他のトランジスタの電極に通じるコンタクトホールを形成する。該コンタクトホールは、フォトリソグラフィ工程を用いて形成すればよい。
次に、該コンタクトホールを充填するように導電膜をスパッタ法などにより形成する。該導電膜としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン等から選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金、または上述した元素を組み合わせた合金などを用いることができる。また、該導電膜は単層でも2層以上の積層としてもよい。例えば、アルミニウムや銅などの金属膜の下側、または上側、若しくはその両方にクロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステン等の高融点金属膜やそれらの導電性窒化膜を積層する構成とすることもできる。また、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジム、スカンジウムのいずれか、またはこれらを複数組み合わせた材料を用いてもよい。
そして、CMP等によって平坦化処理を行うことで表面の不要な導電膜を除去し、該コンタクトホールを充填するコンタクトプラグを形成する。該コンタクトプラグは、図23(A)に図示したトランジスタのソース電極となる第1の電極312として用いることができる。
また、上記コンタクトプラグ上に導電膜を形成し、該導電膜を島状に加工した後、該導電膜を覆う絶縁膜を形成し、再びCMP法等によって平坦化処理を行うことでコンタクトプラグとは形状の異なる第1の電極312を得る方法を行ってもよい。該導電膜には、上述した導電膜と同じ材料を用いることができる。
なお、上記CMP等による平坦化処理に加え、ドライエッチング処理、プラズマ処理を行ってもよい。プラズマ処理としては、例えば、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行うことができる。逆スパッタとは、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法をいう。なお、アルゴンに代えて窒素、ヘリウム、酸素などを用いてもよい。逆スパッタを行うと、酸化物半導体層の成膜表面に付着している粉状物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することができる。
次に、第1の絶縁層311および第1の電極312上に酸化物半導体膜を成膜し、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて島状に加工して酸化物半導体層313を形成する(図23(B)参照)。
なお、酸化物半導体層313を形成するための酸化物半導体は、上記実施の形態で開示した酸化物半導体と同様の材料および方法で形成することができる。
酸化物半導体膜は成膜後に、該酸化物半導体膜に含まれる過剰な水素(水や水酸基を含む)を低減または除去(脱水化または脱水素化)するための熱処理を行うことが好ましい。熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、または基板にガラス基板などを用いている場合は、基板の歪み点未満とする。熱処理は減圧下または窒素雰囲気下などで行うことが好ましい。
この熱処理によって、n型の導電性を付与する不純物である水素を酸化物半導体膜から低減または除去することができる。また、第1の絶縁層311として酸素を含む絶縁層を適用した場合、この熱処理によって第1の絶縁層311に含まれる酸素が酸化物半導体膜へと供給されうる。酸化物半導体膜の脱水化または脱水素化処理によって同時に脱離する酸素を第1の絶縁層311から供給することによって、酸化物半導体膜の酸素欠損を補填することが可能である。
なお、脱水化または脱水素化のための熱処理は、島状の酸化物半導体層313を形成後や、トランジスタの作製工程の他の加熱処理と兼ねてもよい。
上記熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
また、熱処理で酸化物半導体膜を加熱した後、加熱温度を維持、またはその加熱温度から徐冷しながら同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度の一酸化二窒素ガス、または超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下の空気)を導入してもよい。酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、熱処理装置に導入する酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち、酸素ガスまたは一酸化二窒素ガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガスまたは一酸化二窒素ガスの作用により、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程によって同時に減少してしまった酸化物半導体膜を構成する主成分材料である酸素を供給することによって、酸化物半導体膜を高純度化およびi型(真性)化することができる。
また、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、プラズマ処理法などによって、酸化物半導体膜に酸素を供給する方法を用いてもよい。この場合は、酸化物半導体膜に直接酸素を供給する他、後に形成される第2の絶縁層315を介して酸素を供給してもよい。
酸化物半導体膜への酸素の導入は、脱水化または脱水素化処理を行った後であれば工程順は限定されない。また、上記脱水化または脱水素化処理を行った酸化物半導体膜への酸素の導入は複数回行ってもよい。また、脱水化又は脱水素化処理と、酸素の導入を、交互に複数回繰り返して行ってもよい。
次に、酸化物半導体層313の端部に、第2の電極314(これと同じ層で形成される配線等を含む)となる導電膜を形成する。該導電膜には、第1の電極312と同様の材料を用いることができる。そして、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いてトランジスタのドレイン電極となる第2の電極314を形成する(図23(C)参照)。
なお、第2の電極314(ドレイン電極)の形成により露出した酸化物半導体層313の表面には、第2の電極314を構成する元素や、成膜室内に存在する元素、エッチングに用いたエッチングガスを構成する元素が不純物として付着する場合がある。
よって、第2の電極314を形成するためのエッチングが終了した後、酸化物半導体層313の表面に付着した不純物を除去するための洗浄処理(不純物除去処理)を行うことが好ましい。
次に、酸化物半導体層313および第2の電極314を覆うように、第2の絶縁層315をプラズマCVD法またはスパッタ法等により形成する。
第2の絶縁層315はゲート絶縁層であり、材料としては、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、または窒化酸化シリコン膜を用いて形成することができる。
また、第2の絶縁層315の材料として酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート、ハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))、酸化ランタンなどのhigh−k材料を用いることでゲートリーク電流を低減できる。さらに、第2の絶縁層315は、単層構造としても良いし、積層構造としても良い。
なお、第2の絶縁層315は、酸化物半導体層313と接する絶縁層であるため、酸素を含む絶縁層とすることが好ましく、可能な限り水、水素などの不純物が含まれないことが好ましい。しかしながら、プラズマCVD法では、スパッタ法と比較して膜中の水素濃度を低減させることが困難である。したがって、プラズマCVD法で第2の絶縁層315を形成する場合は、成膜後に水素原子の低減、または除去を目的とした熱処理(脱水化または脱水素化処理)を行うことが好ましい。
熱処理の温度は、250℃以上650℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、またはガラス基板を用いている場合は、ガラス基板の歪み点未満とする。例えば、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、第2の絶縁層315に対して真空(減圧)雰囲気下650℃において1時間の加熱処理を行う。
熱処理によって、第2の絶縁層315の脱水化または脱水素化を行うことができ、トランジスタの特性変動を引き起こす水素、または水などの不純物が排除された第2の絶縁層315を形成することができる。
脱水化または脱水素化処理を行う熱処理においては、第2の絶縁層315表面は水素または水等の放出を妨害するような状態(例えば、水素または水等を通過させない膜などを設けるなど)とせず、第2の絶縁層315は表面を露出した状態とすることが好ましい。
また、脱水化または脱水素化のための熱処理は、複数回行ってもよく、他の熱処理と兼ねてもよい。
また、脱水化または脱水素化された第2の絶縁層315に対して酸素ドープ処理を行ってもよい。この処理において、同時に酸化物半導体層313に酸素を供給してもよい。
次に、第2の絶縁層315上にスパッタ法等で導電膜を形成し、フォトリソグラフィ法およびエッチング法を用いて、上面が環状の第3の電極316を形成する(図24(A)参照)。第3の電極316はトランジスタのゲート電極であり、図示したように第1の電極312および第2の電極314と重畳しない位置に形成することによって、寄生容量を低減することができる。ただし、第3の電極316に接続される配線の一部は、第2の電極314と重畳する。
第3の電極316は、上記実施の形態に示したゲート電極と同様の材料及び方法で形成することができる。
例えば、図25に示すように、中間層に銅352、上層または下層の一方に銅の拡散を防止する窒化タングステン351、他方に窒化タンタル353を形成した三層構造の導電層を第3の電極316として用いることができる。なお、第1の電極312および第2の電極314にも該三層構造の導電層を適用することができる。図25に示す電極構造では、銅を封じ込めるためにフォトリソグラフィ工程が増加してしまうが、銅の拡散を抑制する効果は非常に高く、トランジスタの信頼性を高めることができる。
第3の電極316形成後には熱処理を行ってもよい。例えば、GRTA装置により、650℃、1分〜5分間、熱処理を行えばよい。また、電気炉により、500℃、30分〜1時間、熱処理を行ってもよい。
次に、酸化物半導体層313において、第2の電極314および第3の電極316と重畳しない領域を低抵抗化するため、該領域に不純物を添加し、低抵抗領域313bを形成する(図24(B)参照)。
酸化物半導体層313の導電率を向上させる不純物としては、例えば、リン(P)、砒素(As)、およびアンチモン(Sb)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、インジウム(In)、フッ素(F)、塩素(Cl)、チタン(Ti)、および亜鉛(Zn)のいずれかから選択される一つ以上を用いることができる。
該不純物は、第3の電極316をマスクとすることで、第2の絶縁膜を通過して酸化物半導体層313に局部的に添加することができる。該不純物の添加方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。その際には、該不純物の単体、フッ化物、または塩化物のイオンを用いることが好ましい。
該不純物の添加工程は、加速電圧、ドーズ量などの注入条件、また、通過させる膜の膜厚を適宜設定して制御すればよい。例えば、酸化物半導体層313に添加される不純物としてリンを用いる場合、不純物が添加される領域の不純物濃度を5×1018/cm3以上1×1022/cm3以下とすることが好ましい。
なお、不純物の添加は、基板を加熱しながら行ってもよい。また、酸化物半導体層313への不純物添加処理は、複数回行ってもよく、不純物の種類も複数種用いてもよい。
また、不純物の添加処理後に熱処理を行ってもよい。例えば、酸素雰囲気下において、300℃以上700℃以下、好ましくは300℃以上450℃以下で1時間行えばよい。また、窒素雰囲気下、減圧下、大気(超乾燥エア)下で熱処理を行ってもよい。
次に、第2の絶縁層315および第3の電極316上に保護膜として第3の絶縁層317を形成することが好ましい。第3の絶縁層317としては、例えば、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、または窒化酸化シリコン膜などの絶縁膜を用いることができる。
なお、第3の絶縁層317としては、酸化アルミニウム膜を用いることがより好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果(ブロック効果)が高い。したがって、酸化アルミニウム膜は、作製工程中および作製後において、変動要因となる水素、水分などの不純物の酸化物半導体層への混入、および酸化物半導体層を構成する主成分材料である酸素の酸化物半導体層からの放出を防止する保護膜として機能する。なお、酸化アルミニウム膜は、酸化アルミニウム膜をスパッタ法などで直接成膜する、またはアルミニウム(Al)膜をスパッタ法等で成膜後に、酸素プラズマ処理、酸素のイオン注入、酸素のイオンドーピングなどを行うことによって形成することができる。
なお、第3の絶縁層317は、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、または窒化酸化シリコン膜のいずれか一つ以上の絶縁膜と酸化アルミニウム膜との積層であってもよい。
また、第3の絶縁層317に対して加酸素化処理を行ってもよい。例えば、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、プラズマ処理法などによって、第3の絶縁層317に酸素を供給することができる。
なお、第3の絶縁層317を形成後に、100℃以上400℃以下の熱処理を行ってもよい。この熱処理は、一定の加熱温度を保持して加熱してもよいし、室温から、100℃以上400℃以下の加熱温度への昇温と、加熱温度から室温までの降温を複数回繰り返して行ってもよい。また、この熱処理を、減圧下で行ってもよい。減圧下で熱処理を行うと、加熱時間を短縮することができる。この熱処理よって、各絶縁層に含まれる酸素を酸化物半導体層313へ供給しうるため、トランジスタの信頼性を向上することができる。
次に、必要に応じて、第3の絶縁層317上に平坦化膜318を形成する。該平坦化膜としては、第3の絶縁層317として用いることのできる絶縁膜の他、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミドアミド系樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂等の耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また、上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで平坦化絶縁層を形成してもよい。
例えば、平坦化膜318として、膜厚1500nmのアクリル樹脂膜を形成すればよい。アクリル樹脂膜は塗布法による塗布後、焼成(例えば、窒素雰囲気下、250℃、1時間)して形成することができる。
なお、図18(A)、(B)、(C)乃至図20(A)、(B)、(C)に示す構造のトランジスタは、上記のトランジスタ310の作製方法において、第2の電極314および第3の電極316の形状を適宜変更することで形成することができる。また、図20(A)、(B)、(C)に示す構造のトランジスタにおいては、低抵抗領域313bを形成するための不純物添加工程を省くことができる。
また、図21に示す容量素子は、上記のトランジスタ310の作製方法におけるフォトリソグラフィ工程において、トランジスタ310の構成要素とは異なる形状のマスクを用いることで工程を増加させることなく、トランジスタ310と同時に形成することができる。
以上により、本発明の一態様である寄生チャネルの発生を抑制したトランジスタを形成することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、上記実施の形態で開示したトランジスタと異なる構成を有するトランジスタと、トランジスタと同時に作製可能な容量素子の構成及び作製方法について説明する。
図26は、本発明の一態様に係るトランジスタ410の構造例を示す図である。具体的には、図26(A)は、当該トランジスタの上面図であり、図26(B)は、図26(A)に示すK1−K2線における断面図であり、図26(C)は、図26(A)に示すK3−K4線における断面図である。
図26に示すトランジスタ410は、酸化物半導体層401と、酸化物半導体層401と接する絶縁層402と、絶縁層402を介して酸化物半導体層401と重畳し、且つ酸化物半導体層401と重畳する環状部が設けられている導電層403と、当該環状部の内側の領域において酸化物半導体層401と接する導電層404と、当該環状部の外側の領域において酸化物半導体層401と接する導電層405とを有する。そして、図26に示すトランジスタ410においては、導電層403がゲートとして機能し、導電層404がソース及びドレインの一方として機能し、導電層405がソース及びドレインの他方として機能する。さらに、図26に示すトランジスタ410においては、絶縁層402、導電層403及び導電層404が酸化物半導体層401の上面側に設けられ、導電層405が酸化物半導体層401の下面側に設けられている。
なお、図26に示す導電層405には、酸化物半導体層401と接する環状部が設けられている。また、導電層405は、上面が絶縁層406の上面と略同一平面を形成するように設けられており、当該上面において酸化物半導体層401と接している。また、図26に示すトランジスタ410上には、絶縁層407と、絶縁層407上において延在する導電層408とが設けられている。なお、導電層408は、絶縁層402及び絶縁層407に設けられている開口411において導電層404に接している。
図26に示すトランジスタ410においては、導電層404(ソース及びドレインの一方)と酸化物半導体層401の端部が電気的に接続する場合に、両者間に少なくとも導電層403(ゲート)と重畳する領域の酸化物半導体層401が介在することになる。ここで、導電層403(ゲート)と重畳する領域とは、トランジスタ410の導電層403(ゲート)と導電層404又は導電層405(ソース)間の電圧に応じてチャネル(本来的なチャネル)が形成される領域である。よって、トランジスタ410においては、酸化物半導体層401の端部が低抵抗化するか否かに関わらず、本来的なチャネルを形成するか否かに基づいて導電層404と導電層405(ソースとドレイン)を電気的に接続させるか否かを選択することが可能である。その結果、トランジスタ410においては、スイッチングの制御を容易に行うことが可能である。
なお、酸化物半導体層401を形成するための酸化物半導体は、上記実施の形態で開示した酸化物半導体と同様の材料および方法で形成することができる。
絶縁層402として、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、又は酸化ガリウムなどの無機絶縁材料を適用することができる。また、これらの材料の積層を適用することもできる。なお、酸化アルミニウムは、水素などの不純物、及び酸素の両方に対して膜を透過させない遮断(ブロッキング)効果が高い。よって、絶縁層402として酸化アルミニウムを含む層を適用することで、酸化物半導体層401からの酸素の脱離を防止するとともに、酸化物半導体層401への水素などの不純物の混入を防止することができる。
また、絶縁層402として、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSixOy(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート、ハフニウムアルミネート(HfAlxOy(x>0、y>0))、又は酸化ランタンなど(いわゆるhigh−k材料)を含む膜を適用することもできる。このような膜を用いることでゲートリーク電流の低減が可能である。
導電層403として、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素又はこれらの元素を成分とする合金からなる膜を適用することができる。また、導電層403として、窒素を含む金属酸化物、具体的には、窒素を含むIn−Ga−Zn系酸化物、窒素を含むIn−Sn系酸化物、窒素を含むIn−Ga系酸化物、窒素を含むIn−Zn系酸化物、窒素を含むSn系酸化物、窒素を含むIn系酸化物、又は金属窒化物(InN、SnNなど)を適用することもできる。これらの窒化膜は5eV(電子ボルト)以上、好ましくは5.5eV(電子ボルト)以上の仕事関数を有し、ゲートとして用いた場合、トランジスタのしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。また、これらの膜の積層を適用することもできる。
導電層404及び導電層405として、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素、これらの元素を成分とする合金、又はこれらの元素を含む窒化物からなる膜を適用することができる。また、これらの膜の積層を適用することもできる。
絶縁層406として、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、又は酸化ガリウムなどの無機絶縁材料を適用することができる。また、これらの材料の積層を適用することもできる。なお、酸化アルミニウムは、水素などの不純物、及び酸素の両方に対して膜を透過させない遮断(ブロッキング)効果が高い。よって、絶縁層402として酸化アルミニウムを含む材料を適用することで、酸化物半導体層401からの酸素の脱離を防止するとともに、酸化物半導体層401への水素などの不純物の混入を防止することができる。
絶縁層407として、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、又は酸化ガリウムなどの無機絶縁材料を適用することができる。また、ポリイミド、アクリル等の有機絶縁材料を適用することもできる。また、これらの材料の積層を適用することもできる。
導電層408として、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素、これらの元素を成分とする合金、又はこれらの元素を含む窒化物からなる材料を適用することができる。また、これらの積層を適用することもできる。
図27、図28は、図26に示すトランジスタ410の作製工程例を示す図である。具体的には、図27(A1)〜(C1)、図28(A1)〜(C1)は、トランジスタ410の作製工程を示す上面図であり、図27(A2)〜(C2)、図28(A2)〜(C2)は、図28(A1)〜(C1)、図28(A1)〜(C1)に示すK1−K2線における断面図である。
まず、絶縁層406を成膜する。なお、当該成膜の方法としては、プラズマCVD法、スパッタリング法などが挙げられる。また、当該絶縁膜の形成後に、水又は水素の含有量の低減を目的とした熱処理を行ってもよい。例えば、減圧下又は不活性雰囲気下において、300℃以上700℃以下、1時間以下の熱処理を行えばよい。これにより、後に形成される酸化物半導体層401への水素の混入を抑制することができる。さらに、当該絶縁膜が酸化アルミニウム膜を含む場合には、当該酸化アルミニウム膜を、直接成膜すること又はアルミニウム膜を成膜後に酸化処理を行うことによって形成することができる。なお、当該酸化処理としては、酸素プラズマ処理又は酸素ドーピング処理などが挙げられる。
次いで、絶縁層406に開口412を形成する。例えば、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁層406上にマスクを形成し、絶縁層406を部分的にエッチングすることで開口412を形成する。
次いで、導電膜を成膜する。なお、当該成膜の方法としては、スパッタリング法などが挙げられる。
次いで、絶縁層406上に設けられている導電膜を切削(研削、研磨)することによって除去する。なお、当該切削の方法としては、CMP法などが挙げられる。以上により、絶縁層406と、上面が絶縁層406と略同一平面を形成する導電層405とが形成される。
次いで、酸化物半導体膜を成膜する。なお、当該成膜の方法としては、スパッタリング法などが挙げられる。さらに、当該成膜の条件としては、酸化物半導体膜に酸素が多く含まれるような条件(例えば、酸素95%以上100%以下の雰囲気下でのスパッタリング法による成膜など)であることが好ましい。これにより、当該酸化物半導体膜に含まれる酸素の量を多くする(好ましくは酸化物半導体が結晶状態における化学量論的組成に対し、酸素の含有量が過剰な領域が含む)ことができる。
また、上記実施の形態で示したように、当該酸化物半導体膜の形成後又は酸化物半導体層401の形成後に、熱処理を行ってもよい。絶縁層406が酸素を含む絶縁層である場合、この熱処理によって絶縁層406に含まれる酸素が当該酸化物半導体膜又は酸化物半導体層401へと供給されうる。そのため、当該熱処理によって当該酸化物半導体膜又は酸化物半導体層401に酸素欠損が生じる場合であっても、絶縁層406からの酸素供給により当該酸素欠損を補填することが可能である。
次いで、当該酸化物半導体膜を部分的に除去する。例えば、フォトリソグラフィ法を用いて当該酸化物半導体膜上にマスクを形成し、当該酸化物半導体膜を部分的にエッチングすることで除去する。その結果、酸化物半導体層401が形成される。
次いで、導電膜を成膜する。なお、当該成膜の方法としては、スパッタリング法などが挙げられる。当該導電膜の成膜後又は導電層404の形成後に熱処理を行ってもよい。例えば、高温のガスを用いて熱処理を行うGRTA装置により、650℃、1分〜5分間の熱処理を行ってもよい。なお、GRTAにおける高温のガスには、アルゴンなどの希ガス又は窒素などの不活性気体を用いる。また、電気炉により、500℃、30分〜1時間、熱処理を行ってもよい。
次いで、当該導電膜を部分的に除去する。例えば、フォトリソグラフィ法を用いて当該導電膜上にマスクを形成し、当該導電膜を部分的にエッチングすることで除去する。その結果、導電層404が形成される。
次いで、絶縁層402を成膜する。当該成膜の方法としては、プラズマCVD法、スパッタリング法などが挙げられる。
さらに、絶縁層402が酸化アルミニウムを含む場合には、当該酸化アルミニウムを、直接成膜すること又はアルミニウムを成膜後に酸化処理を行うことによって形成することができる。なお、当該酸化処理としては、酸素プラズマ処理又は酸素ドーピング処理などが挙げられる。
次いで、導電膜を成膜する。なお、当該成膜の方法としては、スパッタリング法などが挙げられる。また、当該導電膜の成膜後又は導電層403の形成後に熱処理を行ってもよい。例えば、高温のガスを用いて熱処理を行うGRTA装置により、650℃、1分〜5分間の熱処理を行ってもよい。なお、GRTAにおける高温のガスには、アルゴンなどの希ガス又は窒素などの不活性気体を用いる。また、電気炉により、500℃、30分〜1時間、熱処理を行ってもよい。
次いで、当該導電膜を部分的に除去する。例えば、フォトリソグラフィ法を用いて当該導電膜上にマスクを形成し、当該導電膜を部分的にエッチングすることで除去する。その結果、導電層403が形成される。
次いで、絶縁層407を成膜する。当該成膜の方法としては、プラズマCVD法、スパッタリング法、塗布法などが挙げられる。
次いで、絶縁層407及び絶縁層402に開口411を形成する。例えば、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁層407上にマスクを形成し、絶縁層407及び絶縁層402を部分的にエッチングすることで開口411を形成する。
次いで、導電膜を成膜する。なお、当該成膜の方法としては、スパッタリング法などが挙げられる。
次いで、当該導電膜を部分的に除去する。例えば、フォトリソグラフィ法を用いて当該導電膜上にマスクを形成し、当該導電膜を部分的にエッチングすることで除去する。その結果、導電層408が形成される。
本発明の一態様のトランジスタは、上述した構造に限定されない。図29に、本発明の一態様のトランジスタの変形構造例を、トランジスタ420、及びトランジスタ430として示す。図29に示す構造を有するトランジスタ420、及びトランジスタ430も本発明の一態様である。
図29(A)はトランジスタ420の上面図であり、図29(B)は、図29(A)に示すM1−M2線における断面図である。図29(C)はトランジスタ430の上面図であり、図29(D)は、図29(C)に示すN1−N2線における断面図である。
図29(A)、(B)に示すトランジスタ420は、図26に示すトランジスタ410が有する導電層405(ソース及びドレインの他方)を導電部405A、5B及び接続部405Cに置換した構造を有する。なお、導電部405A及び導電部405Bは、酸化物半導体層401に接する導電層であり、接続部405Cは、絶縁層402及び絶縁層407に設けられている開口413において導電部405A及び導電部405Bと接する導電層である。図29(A)、(B)に示すトランジスタ420では、図26に示すトランジスタ410と比較して、ソース及びドレインの他方と、ゲート(導電層403)又はソース及びドレインの一方(導電層404)との間に生じる寄生容量を低減することが可能である。他方、図26に示すトランジスタ410では、図29(A)、(B)に示すトランジスタ420と比較して、電流駆動能力を高くすること(オン電流を増加させること)が可能である。具体的に述べると、図26に示すトランジスタ410は、図29(A)、(B)に示すトランジスタ420と比較して、酸化物半導体層401と導電層405との接触面積が広い。そのため、図26に示すトランジスタ410においては、図29(A)、(B)に示すトランジスタ420と比較して、導電層405がソースとなる場合の電流駆動能力を高くすることが可能である。
なお、図29(A)、(B)に示すトランジスタ420の構造の一部を変形させたトランジスタも本発明の一態様のトランジスタである。例えば、ソース及びドレインの他方として、それぞれが酸化物半導体層401と接し且つ全てが電気的に接続されている3以上の導電部を有するトランジスタも本発明の一態様のトランジスタである。
図29(C)、(D)に示すトランジスタ430は、図26に示すトランジスタ410と比較して、導電層403の一部と導電層405の一部を重畳する点が異なる。図29(C)、(D)に示すトランジスタ430では、図26に示すトランジスタ410と比較して、電流駆動能力を高くすることが可能である。具体的に述べると、図26に示すトランジスタ410では、導電層403(ゲート)と重畳しない領域の酸化物半導体層401が高抵抗な領域となる可能性がある。これに対して、図29(C)、(D)に示すトランジスタ430では、図26に示すトランジスタ410と比較して、導電層403(ゲート)と重畳しない領域が少ない。そのため、図29(A)、(B)においては、図26に示すトランジスタ410に示すトランジスタと比較して、電流駆動能力を高くすることが可能である。他方、図26に示すトランジスタ410では、図29(C)、(D)に示すトランジスタ430と比較して、導電層403と、導電層405との間に生じる寄生容量を低減することが可能である。
本発明の一態様のトランジスタの作製工程は、上述した工程に限定されない。例えば、以下に示すトランジスタの作製工程も本発明の一態様である。
図27(C1)、(C2)に示す工程後であって、図28(A1)、(A2)に示す工程前に酸化物半導体層401の表面に付着した不純物を除去するため、上記実施の形態に示した洗浄処理(不純物除去処理)を行っても良い。洗浄処理により、酸化物半導体層401の表面近傍の領域が当該不純物の存在に起因して低抵抗化することを抑制することができる。
図30は、本発明の一態様のトランジスタの変形作製工程例を示す図である。なお、ここでは、図27、図28を参照して説明したトランジスタの作製工程に、酸化物半導体層401に低抵抗化領域を形成する工程が付加された作製工程について図30(A)、(B)を参照して説明する。
図28(A1)、(A2)に示す工程後であって、図28(B1)、(B2)に示す工程前に酸化物半導体層401を低抵抗化する不純物の注入を行ってもよい。この際、導電層403及び導電層404がマスクとなる。なお、当該不純物としては、ヘリウム、ホウ素、窒素、フッ素、ネオン、アルミニウム、リン、アルゴン、ヒ素、クリプトン、インジウム、スズ、アンチモンおよびキセノンから選ばれた一種以上の元素が挙げられる。また、その方法としては、イオン注入法、イオンドーピング法が挙げられる。特に、イオン注入法を用いることが好ましい。
不純物の添加された領域は低抵抗化する。その結果、酸化物半導体層401は、領域401Aと、領域401Aよりも低抵抗な領域401Bとが形成される。
図30に示す工程を図27、図28に示すトランジスタの作製工程に付加することによって、形成されるトランジスタの電流駆動能力を高くすることが可能である。他方、図30に示す工程を行わない場合には、トランジスタの作製工程の低減を図ることが可能である。
なお、図30(B)に示すように低抵抗化領域が設けられた酸化物半導体層401を有するトランジスタも本発明の一態様のトランジスタである。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本明細書に示すトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置の一例を、図面を用いて説明する。
図31は、半導体装置の構成の一例である。図31(A)に、半導体装置の断面図を、図31(B)に半導体装置の上面図を、図31(C)に半導体装置の回路図をそれぞれ示す。ここで、図31(A)は、図31(B)のP1−P2、及びP3−P4における断面に相当する。
図31(A)及び図31(B)に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ560を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトランジスタ110を有するものである。図31に示すトランジスタ110は、実施の形態1で説明したトランジスタ110である。なお、トランジスタ110の代わりに、トランジスタ110と異なる構成を有するトランジスタを用いてもよい。
ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが望ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコンなど)とし、第2の半導体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、その特性により長時間の電荷保持を可能とする。
なお、上記トランジスタは、いずれもnチャネル型トランジスタであるものとして説明するが、pチャネル型トランジスタを用いることができるのはいうまでもない。また、本明細書で例示したトランジスタを用いる以外の点(記憶装置に用いられる材料や記憶装置の構造など)の具体的な構成は、本明細書などに開示する構成に限定されない。
図31(A)におけるトランジスタ560は、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含む基板500に設けられたチャネル形成領域516と、チャネル形成領域516を挟むように設けられた不純物領域520と、不純物領域520に接する金属間化合物領域524と、チャネル形成領域516上に設けられたゲート絶縁層508と、ゲート絶縁層508上に設けられたゲート電極510と、を有する。なお、図において、明示的にはソース電極やドレイン電極を有しない場合があるが、便宜上、このような状態を含めてトランジスタと呼ぶ場合がある。また、この場合、トランジスタの接続関係を説明するために、ソース領域やドレイン領域を含めてソース電極やドレイン電極と表現することがある。つまり、本明細書において、ソース電極との記載には、ソース領域が含まれうる。
基板500上にはトランジスタ560を囲むように素子分離絶縁層506が設けられており、トランジスタ560を覆うように絶縁層528及び絶縁層530が設けられている。なお、トランジスタ560において、ゲート電極510の側面に側壁絶縁層(サイドウォール絶縁層)を設け、不純物濃度が異なる領域を含む不純物領域520としてもよい。また、素子分離絶縁層506は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)や、STI(Shallow Trench Isolation)などの素子分離技術を用いて形成することができる。
単結晶半導体基板を用いたトランジスタ560は、高速動作が可能である。このため、当該トランジスタを読み出し用のトランジスタとして用いることで、情報の読み出しを高速に行うことができる。トランジスタ560を覆うように絶縁層528及び絶縁層530を形成する。トランジスタ110および容量素子564の形成前の処理として、絶縁層528及び絶縁層530に対してCMP処理行う。CMP処理を行うことで、トランジスタ110が形成される表面の平坦性を高め、同時にゲート電極510の上面を露出させる。
絶縁層528及び絶縁層530は、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁層528及び絶縁層530は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて形成することができる。
また、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。有機材料を用いる場合、スピンコート法、印刷法などの湿式法によって絶縁層528及び絶縁層530を形成してもよい。
なお、本実施の形態において、絶縁層528として窒化シリコン膜、絶縁層530として酸化シリコン膜を用いる。
トランジスタ560とトランジスタ110との間には、第1の下地絶縁層101a及び第2の下地絶縁層101bが形成されている。第1の下地絶縁層101aは、トランジスタ560からの水素や水等が酸化物半導体層102に混入することを防ぐ機能、及び、酸化物半導体層102の酸素の放出を抑えるブロッキング層としての機能を有する。また第2の下地絶縁層101bは、酸化物半導体層102に酸素を供給するための過剰酸素を含む絶縁層である。これにより、トランジスタ110の酸化物半導体層102は、第2の下地絶縁層101bから酸素が供給されることにより、後に形成される酸化物半導体層102の酸素欠損を補填することができる。
なお、図31では絶縁層528、絶縁層530、第1の下地絶縁層101a、及び第2の下地絶縁層101bを形成する構成を用いたが、絶縁層528が第1の下地絶縁層101aと同様にブロッキング層として機能する場合、及び絶縁層530が第2の下地絶縁層101bと同様に、酸化物半導体層102に酸素を供給する機能を有する場合は、第1の下地絶縁層101a及び第2の下地絶縁層101bを設けない構成にすることが可能である。
図31(A)に示すトランジスタ110は、実施の形態1で説明したように、酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタである。ここで、トランジスタ110に含まれる酸化物半導体層102は、高純度化されたものであることが望ましい。高純度化された酸化物半導体を用いることで、極めて優れたオフ特性のトランジスタ110を得ることができる。
トランジスタ110は、オフ電流が小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体記憶装置とすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
本実施の形態では、ソース電極又はドレイン電極の他方である電極108は、電極106を介して、トランジスタ560のゲート電極510と電気的に接続する。なお、トランジスタ560のゲート電極510に達する開口を形成するためには、第1のゲート絶縁層103a、第2のゲート絶縁層103b、第1の絶縁層107、及び第2の絶縁層109をエッチングして、電極108に達する開口を形成する際に、第1のゲート絶縁層103a、第2のゲート絶縁層103b、第1の絶縁層107、及び第2の絶縁層109中の、トランジスタ560のゲート電極510上の領域に開口を形成する。
次いで、当該開口を埋め込むように、第2の絶縁層109上に電極106となる第3の導電膜を形成する。当該第3の導電膜をエッチング等により一部除去し、電極108及びトランジスタ560のゲート電極510に電気的に接続される電極106を形成すればよい。
トランジスタ110上には、第1の絶縁層107、第2の絶縁層109、及び絶縁層550が単層または積層で設けられている。本実施の形態では、絶縁層550として、酸化アルミニウム膜を用いる。酸化アルミニウム膜を高密度(膜密度3.2g/cm3以上、好ましくは3.6g/cm3以上)とすることによって、トランジスタ110に安定な電気特性を付与することができる。
また、絶縁層550を介して、電極106と重畳する領域には、導電層553が設けられており、電極106と、絶縁層550と、導電層553とによって、容量素子564が構成される。電極106は、トランジスタ110のソース電極又はドレイン電極の他方である電極108と電気的に接続されているので、トランジスタ110のソース電極又はドレイン電極の他方である電極108は、容量素子564の一方の電極として機能すると言える。また導電層553は、容量素子564の他方の電極として機能する。なお、容量が不要の場合には、容量素子564を設けない構成とすることもできる。また、容量素子564は、別途、トランジスタ110の上方に設けてもよい。さらに、図1に示されるように、トランジスタ110と同じ平面に設けてもよい。
トランジスタ110および容量素子564の上には絶縁層552が設けられている。そして、絶縁層552上には配線556が設けられ、その配線556はトランジスタ110と他のトランジスタを接続するために設けられている。図31(A)には図示しないが、配線556は、絶縁層550、絶縁層552などに形成された開口に形成された電極を介して、電極104又は電極108、あるいは電極108と電気的に接続されている電極106と電気的に接続される。ここで、該電極は、少なくともトランジスタ110の酸化物半導体層102の一部と重畳するように設けられることが好ましい。
図31(A)及び図31(B)において、トランジスタ560と、トランジスタ110とは、少なくとも一部が重畳するように設けられており、トランジスタ560のソース領域またはドレイン領域と酸化物半導体層102の一部が重畳するように設けられているのが好ましい。また、トランジスタ110及び容量素子564が、トランジスタ560の少なくとも一部と重畳するように設けられている。例えば、容量素子564の導電層553は、トランジスタ560のゲート電極510と少なくとも一部が重畳して設けられている。このような平面レイアウトを採用することにより、半導体装置の占有面積の低減を図ることができるため、高集積化を図ることができる。
なお、電極106及び配線556の電気的接続は、電極106及び配線556を直接接触させて行ってもよいし、電極106及び配線556の間の絶縁膜に電極を設けて、該電極を介して行ってもよい。また、間に介する電極は、複数でもよい。
次に、図31(A)及び図31(B)に対応する回路構成の一例を図31(C)に示す。
図31(C)において、第1の配線(1st Line)とトランジスタ560のソース電極とは、電気的に接続され、第2の配線(2nd Line)とトランジスタ560のドレイン電極とは、電気的に接続されている。また、第3の配線(3rd Line)とトランジスタ110のソース電極又はドレイン電極の一方とは、電気的に接続され、第4の配線(4th Line)と、トランジスタ110のゲート電極とは、電気的に接続されている。そして、トランジスタ560のゲート電極と、トランジスタ110のソース電極又はドレイン電極の他方は、容量素子564の電極の他方と電気的に接続され、第5の配線(5th Line)と、容量素子564の電極の他方は電気的に接続されている。
図31(C)に示す半導体装置では、トランジスタ560のゲート電極の電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線の電位を、トランジスタ110がオン状態となる電位にして、トランジスタ110をオン状態とする。これにより、第3の配線の電位が、トランジスタ560のゲート電極、および容量素子564の一方の電極が接続するノード555に与えられる。すなわち、ノード555には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ110がオフ状態となる電位にして、トランジスタ110をオフ状態とすることにより、トランジスタ560のゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
トランジスタ110のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ560のゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線に適切な電位(読み出し電位)を与えると、ノード555に保持された電荷量に応じて、第2の配線は異なる電位をとる。一般に、トランジスタ560をnチャネル型とすると、トランジスタ560のゲート電極にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、トランジスタ560のゲート電極にLowレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ560を「オン状態」とするために必要な第5の配線の電位をいうものとする。したがって、第5の配線の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、トランジスタ560のゲート電極に与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ560は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ560は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線の電位を見ることで、保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ560が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線に与えればよい。または、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ560が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線に与えればよい。
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、ゲート絶縁層の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
以上説明したように、本実施の形態により、寄生チャネルの発生を抑制可能なトランジスタを得ることができる。
また本実施の形態により、当該トランジスタを用いることにより、動作特性の向上が図られた半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態においては、本明細書に示すトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置について、実施の形態7に示した構成と異なる構成について説明を行う。
図32は、半導体装置の斜視図である。図32に示す半導体装置は上部に記憶回路としてメモリセルを複数含む、メモリセルアレイ(メモリセルアレイ3400a乃至メモリセルアレイ3400n(ただし、nは2以上の整数))を複数層有し、下部にメモリセルアレイ3400a乃至メモリセルアレイ3400nを動作させるために必要な論理回路3004を有する。
図33に、図32に示した半導体装置の部分拡大図を示す。図33では、論理回路3004、メモリセルアレイ3400a及びメモリセルアレイ3400bを図示しており、メモリセルアレイ3400a又はメモリセルアレイ3400bに含まれる複数のメモリセルのうち、メモリセル3170aと、メモリセル3170bを代表で示す。メモリセル3170a及びメモリセル3170bとしては、例えば、実施の形態7において説明した回路構成と同様の構成とすることもできる。
なお、メモリセル3170aに含まれるトランジスタを、トランジスタ3171aとして示す。メモリセル3170bに含まれるトランジスタを、トランジスタ3171bとして示す。トランジスタ3171a及びトランジスタ3171bは、酸化物半導体層にチャネル形成領域を有する。酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタの構成については、上記実施の形態において説明した構成と同様であるため、説明は省略する。
なお図33においては、トランジスタ3171a及びトランジスタ3171bとして、実施の形態1で説明したトランジスタ110を例示しているが、トランジスタ110以外のトランジスタを用いることもできる。
また、論理回路3004は、酸化物半導体以外の半導体材料をチャネル形成領域として用いたトランジスタ3001を有する。
ここで、酸化物半導体以外の半導体材料とは、上記実施の形態で述べたように、第2の半導体材料である酸化物半導体とは異なる禁制帯幅を持つ第1の半導体材料(シリコンなど)に相当する。第1の半導体材料を用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、第2の半導体材料である酸化物半導体を用いたトランジスタは、その特性により長時間の電荷保持を可能とする。
トランジスタ3001は、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含む基板3000に素子分離絶縁層3116を設け、素子分離絶縁層3116に囲まれた領域にチャネル形成領域となる領域を形成することによって得られるトランジスタとすることができる。なお、トランジスタ3001は、絶縁表面上に形成されたシリコン膜等の半導体膜や、SOI基板のシリコン膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタであってもよい。トランジスタ3001の構成については、公知の構成を用いることが可能であるため、説明は省略する。
トランジスタ3171aが形成された層と、トランジスタ3001が形成された層との間には、配線3100a及び配線3100bが形成されている。配線3100aとトランジスタ3001が形成された層との間には、絶縁層3140aが設けられ、配線3100aと配線3100bとの間には、絶縁層3141aが設けられ、配線3100bとトランジスタ3171aが形成された層との間には、絶縁層3142aが設けられている。
同様に、トランジスタ3171bが形成された層と、トランジスタ3171aが形成された層との間には、配線3100c及び配線3100dが形成されている。配線3100cとトランジスタ3171aが形成された層との間には、絶縁層3140bが設けられ、配線3100cと配線3100dとの間には、絶縁層3141bが設けられ、配線3100dとトランジスタ3171bが形成された層との間には、絶縁層3142bが設けられている。
絶縁層3140a、絶縁層3141a、絶縁層3142a、絶縁層3140b、絶縁層3141b、絶縁層3142bは、層間絶縁膜として機能し、その表面は平坦化された構成とすることができる。
配線3100a、配線3100b、配線3100c、配線3100dによって、メモリセル間の電気的接続や、論理回路3004とメモリセルとの電気的接続等を行うことができる。
論理回路3004に含まれる電極3303は、上部に設けられた回路と電気的に接続することができる。
例えば、図33に示すように、電極3505によって電極3303は配線3100aと電気的に接続することができる。配線3100aは、電極3503aによって、配線3100bと電気的に接続することができる。配線3100bは、トランジスタ3171aのソース電極又はドレイン電極の一方と電気的に接続されている電極3501aと電気的に接続することができる。こうして、配線3100a及び電極3303を、トランジスタ3171aのソースまたはドレインと電気的に接続することができる。電極3501aは、電極3503bによって、配線3100cと電気的に接続することができる。
なお、図33では、2つのメモリセル(メモリセル3170aと、メモリセル3170b)が積層された構成を例として示したが、積層するメモリセルの数はこれに限定されない。
図33では、電極3303とトランジスタ3171aとの電気的接続は、配線3100aを介して行われる例を示したがこれに限定されない。電極3303とトランジスタ3171aとの電気的接続は、配線3100bを介して行われてもよいし、配線3100aと配線3100bの両方を介して行われてもよい。または、配線3100aも配線3100bも介さず、他の電極を用いて行われてもよい。
また、図33では、トランジスタ3171aが形成された層と、トランジスタ3001が形成された層との間には、配線3100a及び配線3100bとの、2つの配線が設けられた構成を示したがこれに限定されない。トランジスタ3171aが形成された層と、トランジスタ3001が形成された層との間に、1つの配線が設けられていてもよいし、3つ以上の配線が設けられていてもよい。
また、図33では、トランジスタ3171bが形成された層と、トランジスタ3171aが形成された層との間には、配線3100c及び配線3100dとの、2つの配線が設けられた構成を示したがこれに限定されない。トランジスタ3171bが形成された層と、トランジスタ3171aが形成された層との間に、1つの配線が設けられていてもよいし、3つ以上の配線が設けられていてもよい。
本実施の形態で示すように、第2の半導体材料である酸化物半導体とは異なる禁制帯幅を持つ第1の半導体材料を用いたトランジスタに積層して、第2の半導体材料である酸化物半導体層を用いた複数のトランジスタが設けられている。当該複数のトランジスタのチャネル形成領域は、当該単一の酸化物半導体層の異なる領域に形成されている。また、当該単一の酸化物半導体層の異なる領域にチャネル形成領域を有する複数のトランジスタ上に、更に絶縁層を介して、チャネル形成領域が別の単一の酸化物半導体層の異なる領域に形成される、別の複数のトランジスタを設けてもよい。当該トランジスタの構成は、実施の形態1乃至実施の形態3に示されるとおりである。
以上説明したように、本実施の形態により、寄生チャネルの発生を抑制可能なトランジスタを得ることができる。
また本実施の形態により、当該トランジスタを用いることにより、動作特性の向上が図られた半導体装置を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
本実施の形態では、本明細書に示すトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置の一例を、図面を用いて説明する。
図34は、半導体装置の構成の一例である。図34(A)に、半導体装置の断面図を、図34(B)に半導体装置の上面図を、図34(C)に半導体装置の回路図をそれぞれ示す。ここで、図34(A)は、図34(B)のQ1−Q2、及びQ3−Q4における断面に相当する。なお、図34(B)においては、図34(A)に示す半導体装置の一部の構成要素の記載を省略している。
図34(A)及び図34(B)に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ669を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトランジスタ662を有するものである。本実施の形態では、トランジスタ662として、実施の形態3で開示したトランジスタ250を用いる例を示す。
ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが望ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコンなど)とし、第2の半導体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、その特性により長時間の電荷保持を可能とする。
なお、上記トランジスタは、いずれもnチャネル型トランジスタであるものとして説明するが、pチャネル型トランジスタを用いることができるのはいうまでもない。また、本明細書で例示したトランジスタを用いる点以外の点(記憶装置に用いられる材料や記憶装置の構造など)の具体的な構成は、本明細書などに開示する構成に限定されない。
図34(A)におけるトランジスタ669は、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含む基板600に設けられたチャネル形成領域616と、チャネル形成領域616を挟むように設けられた不純物領域620と、不純物領域620に接する金属間化合物領域624と、チャネル形成領域616上に設けられたゲート絶縁層608と、ゲート絶縁層608上に設けられたゲート電極610と、を有する。なお、図において、明示的にはソース電極やドレイン電極を有しない場合があるが、便宜上、このような状態を含めてトランジスタと呼ぶ場合がある。また、この場合、トランジスタの接続関係を説明するために、ソース領域やドレイン領域を含めてソース電極やドレイン電極と表現することがある。つまり、本明細書において、ソース電極との記載には、ソース領域が含まれうる。
基板600上にはトランジスタ669を囲むように素子分離絶縁層606が設けられており、トランジスタ669を覆うように絶縁層628、及び絶縁層630が設けられている。なお、トランジスタ669において、ゲート電極610の側面に側壁絶縁層(サイドウォール絶縁層)を設け、不純物濃度が異なる領域を含む不純物領域620としてもよい。なお、素子分離絶縁層606は、LOCOSや、STIなどの素子分離技術を用いて形成することができる。
単結晶半導体基板を用いたトランジスタ669は、高速動作が可能である。このため、当該トランジスタを読み出し用のトランジスタとして用いることで、情報の読み出しを高速に行うことができる。トランジスタ669を覆うように絶縁層を2層形成し、トランジスタ662及び容量素子664の形成前の処理として、該絶縁層2層にCMP処理を施して、平坦化した絶縁層628、絶縁層630を形成し、同時にゲート電極610の上面を露出させる。
絶縁層628、絶縁層630は、代表的には酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化シリコン、窒化酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることができる。絶縁層628、絶縁層630は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて形成することができる。
また、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。有機材料を用いる場合、スピンコート法、印刷法などの湿式法によって絶縁層628、絶縁層630を形成してもよい。
なお、本実施の形態において、絶縁層628として窒化シリコン膜、絶縁層630として酸化シリコン膜を用いる。
絶縁層630表面において、酸化物半導体層644形成領域に、平坦化処理を行うことが好ましい。本実施の形態では、研磨処理(例えばCMP処理)により十分に平坦化した(好ましくは絶縁層630表面の平均面粗さは0.15nm以下)絶縁層630上に酸化物半導体層644を形成する。
図34(A)に示すトランジスタ662は、酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタである。トランジスタ662は、酸化物半導体層644、環状のゲート電極638、ソース電極636、環状のドレイン電極637、ゲート絶縁層として機能する絶縁層661を有する。ここで、トランジスタ662に含まれる酸化物半導体層644は、チャネル形成領域644aにi型化、または実質的にi型化された酸化物半導体を用いることが好ましい。チャネル形成領域644aにi型化された酸化物半導体を用いることで、極めて優れたオフ特性のトランジスタ662を得ることができる。
トランジスタ662は、オフ電流が小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体装置とすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
トランジスタ662上には、絶縁層635、絶縁層668が単層または積層で設けられている。本実施の形態では、絶縁層668として、酸化アルミニウムを用いる。酸化アルミニウムを高密度(密度3.2g/cm3以上、好ましくは3.6g/cm3以上)とすることによって、トランジスタ662に安定な電気特性を付与することができる。
また、ドレイン電極637と同じ層で形成される配線647と、ゲート電極638と同じ層で形成される電極646が絶縁層661を介して重畳して、容量素子664を形成する。すなわち、トランジスタ662と容量素子664は同一平面上に形成することが出来る。配線647は、容量素子664の一方の電極として機能し、電極646は、容量素子664の他方の電極として機能する。なお、容量が不要の場合には、容量素子664を設けない構成とすることもできる。
配線663、配線665は絶縁層635上に同一の工程において同時に形成することができる。また、配線663により、電極646とソース電極636が、絶縁層635、絶縁層668、絶縁層661に形成した開口を介して電気的に接続する。また、配線665は、絶縁層635、絶縁層668、絶縁層661に形成した他の開口を介して、ドレイン電極637と電気的に接続する。
また、トランジスタ662及び容量素子664の上には絶縁層652が設けられている。また、絶縁層652上に必要に応じて配線667を設けてもよい。図34(A)には図示しないが、配線667を、絶縁層652に設けた開口を介して配線663と電気的に接続してもよい。ここで、該電極は、少なくともトランジスタ662の酸化物半導体層644の一部と重畳するように設けられることが好ましい。
また、配線667を、ゲート電極638、ソース電極636またはドレイン電極637と電気的に接続する構成としてもよい。配線667と、ゲート電極638、ソース電極636またはドレイン電極637の電気的接続は、ゲート電極638、ソース電極636またはドレイン電極637と配線667を直接接触させて行ってもよいし、ゲート電極638、ソース電極636またはドレイン電極637と配線667の間の絶縁層に電極を設けて、該電極を介して行ってもよい。また、間に介する電極は、複数あってもよい。
トランジスタ662が有するソース電極636は、絶縁層632に形成された開口を介して配線633と電気的に接続されている。また、配線633は、トランジスタ669のゲート電極610と電気的に接続されている。すなわち、ソース電極636は、ゲート電極610と電気的に接続されている。また、トランジスタ669とトランジスタ662を重畳させ、トランジスタ669が有するソース電極636と、トランジスタ662が有するゲート電極610を配線633を介さず直接接続する構成としてもよい。トランジスタ669とトランジスタ662を重畳させることで半導体装置の占有面積の低減を図ることができるため、高集積化を図ることができる。
次に、図34(A)及び図34(B)に対応する回路構成の一例を図34(C)に示す。
図34(C)において、第1の配線(1st Line)とトランジスタ669のソース電極とは、電気的に接続され、第2の配線(2nd Line)とトランジスタ669のドレイン電極とは、電気的に接続されている。また、第3の配線(3rd Line)とトランジスタ662のソース電極またはドレイン電極の一方とは、電気的に接続され、第4の配線(4th Line)と、トランジスタ662のゲート電極とは、電気的に接続されている。そして、トランジスタ669のゲート電極と、トランジスタ662のソース電極またはドレイン電極の他方は、容量素子664の電極の一方と電気的に接続され、第5の配線(5th Line)と、容量素子664の電極の他方は電気的に接続されている。
図34(C)に示す半導体装置では、トランジスタ669のゲート電極の電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込み及び保持について説明する。まず、第4の配線の電位を、トランジスタ662がオン状態となる電位にして、トランジスタ662をオン状態とする。これにより、第3の配線の電位が、トランジスタ669のゲート電極、及び容量素子664に与えられる。すなわち、トランジスタ669のゲート電極には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ662がオフ状態となる電位にして、トランジスタ662をオフ状態とすることにより、トランジスタ669のゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
トランジスタ662のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ669のゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ669のゲート電極に保持された電荷量に応じて、第2の配線は異なる電位をとる。一般に、トランジスタ669をnチャネル型とすると、トランジスタ669のゲート電極にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ669のゲート電極にLowレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ669を「オン状態」とするために必要な第5の配線の電位をいうものとする。したがって、第5の配線の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、トランジスタ669のゲート電極に与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ669は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ669は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線の電位を見ることで、保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ669が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線に与えればよい。または、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ669が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線に与えればよい。
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
このように酸化物半導体を用いたトランジスタによって不揮発性のランダムアクセスメモリを実現することが可能となる。
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、ゲート絶縁層の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
以上のように、微細化及び高集積化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装置を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態10)
本実施の形態では、上記実施の形態に示すトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置について、実施の形態9に示した構成と異なる構成について、図35及び図36を用いて説明を行う。
図35(A)は、半導体装置の回路構成の一例を示し、図35(B)は半導体装置の一例を示す概念図である。まず、図35(A)に示す半導体装置について説明を行い、続けて図35(B)に示す半導体装置について説明する。
図35(A)に示す半導体装置において、ビット線BLとトランジスタ662のソース電極又はドレイン電極とは電気的に接続され、ワード線WLとトランジスタ662のゲート電極とは電気的に接続され、トランジスタ662のソース電極又はドレイン電極と容量素子654の第1の端子とは電気的に接続されている。
次に、図35(A)に示す半導体装置(メモリセル650)に、情報の書き込み及び保持を行う場合について説明する。
まず、ワード線WLの電位を、トランジスタ662がオン状態となる電位として、トランジスタ662をオン状態とする。これにより、ビット線BLの電位が、容量素子654の第1の端子に与えられる(書き込み)。その後、ワード線WLの電位を、トランジスタ662がオフ状態となる電位として、トランジスタ662をオフ状態とすることにより、容量素子654の第1の端子の電位が保持される(保持)。
酸化物半導体を用いたトランジスタ662は、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。このため、トランジスタ662をオフ状態とすることで、容量素子654の第1の端子の電位(あるいは、容量素子654に蓄積された電荷)を極めて長時間にわたって保持することが可能である。
次に、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ662がオン状態となると、浮遊状態であるビット線BLと容量素子654とが導通し、ビット線BLと容量素子654の間で電荷が再分配される。その結果、ビット線BLの電位が変化する。ビット線BLの電位の変化量は、容量素子654の第1の端子の電位(あるいは容量素子654に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
例えば、容量素子654の第1の端子の電位をV、容量素子654の容量をC、ビット線BLが有する容量成分(以下、ビット線容量とも呼ぶ)をCB、電荷が再分配される前のビット線BLの電位をVB0とすると、電荷が再分配された後のビット線BLの電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。従って、メモリセル650の状態として、容量素子654の第1の端子の電位がV1とV0(V1>V0)の2状態をとるとすると、電位V1を保持している場合のビット線BLの電位(=(CB×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合のビット線BLの電位(=(CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、ビット線BLの電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
このように、図35(A)に示す半導体装置は、トランジスタ662のオフ電流が極めて小さいという特徴から、容量素子654に蓄積された電荷は長時間にわたって保持することができる。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
次に、図35(B)に示す半導体装置について、説明を行う。
図35(B)に示す半導体装置は、上部に記憶回路として図35(A)に示したメモリセル650を複数有するメモリセルアレイ651a及び651bを有し、下部に、メモリセルアレイ651(メモリセルアレイ651a及び651b)を動作させるために必要な周辺回路653を有する。なお、周辺回路653は、メモリセルアレイ651と電気的に接続されている。
図35(B)に示した構成とすることにより、周辺回路653をメモリセルアレイ651の直下に設けることができるため半導体装置の小型化を図ることができる。
周辺回路653に設けられるトランジスタは、トランジスタ662とは異なる半導体材料を用いるのがより好ましい。例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素等を用いることができ、単結晶半導体を用いることが好ましい。他に、有機半導体材料などを用いてもよい。このような半導体材料を用いたトランジスタは、十分な高速動作が可能である。したがって、該トランジスタにより、高速動作が要求される各種回路(論理回路、駆動回路など)を好適に実現することが可能である。
なお、図35(B)に示した半導体装置では、2つのメモリセルアレイ651(メモリセルアレイ651aと、メモリセルアレイ651b)が積層された構成を例示したが、積層するメモリセルアレイの数はこれに限定されない。3つ以上のメモリセルアレイを積層する構成としても良い。
次に、図35(A)に示したメモリセル650の具体的な構成について図36を用いて説明を行う。
図36は、メモリセル650の構成の一例である。図36(A)に、メモリセル650の断面図を、図36(B)にメモリセル650の上面図をそれぞれ示す。ここで、図36(A)は、図36(B)のR1−R2、及びR3−R4における断面に相当する。なお、図面をわかりやすくするため、図36(B)では一部の構成要素の記載を省略している。
図36(A)及び図36(B)に示すトランジスタ662は、上記実施の形態で示した構成と同一の構成とすることができる。
絶縁層680上に配線633が形成され、配線633上に絶縁層632が形成されている。絶縁層632上に設けられたトランジスタ662は、絶縁層668及び絶縁層652で覆われている。また、絶縁層632を介して、トランジスタ662のソース電極636と重畳する領域には、配線633が設けられている。ソース電極636と配線633は、絶縁層632に形成された開口を介して電気的に接続されている。
トランジスタ662のドレイン電極637と重畳する領域には、絶縁層645を介して配線656が設けられている。ドレイン電極637、絶縁層645、及び配線656により容量素子654が構成される。すなわち、ドレイン電極637は、容量素子654の一方の電極として機能し、配線656は、容量素子654の他方の電極として機能し、絶縁層645が誘電体として機能する。
トランジスタ662及び容量素子654を覆う絶縁層652上には配線660が設けられ、その配線660はメモリセル650と隣接するメモリセル650を接続するために設けられている。図示しないが、配線660を絶縁層652、絶縁層668、に設けた開口を介してゲート電極638と電気的に接続してもよい。また、配線660を、絶縁層652、絶縁層668、絶縁層661に設けた開口を介してトランジスタ662のソース電極636またはドレイン電極637と電気的に接続してもよい。なお、本実施の形態における配線660は、図35(A)の回路図におけるビット線BLに相当する。
図36(A)及び図36(B)において、配線633は、隣接するメモリセルに含まれるトランジスタのソース電極636と電気的に接続してもよい。このような平面レイアウトを採用することにより、半導体装置の占有面積の低減を図ることができるため、高集積化を図ることができる。
図36(B)に示す平面レイアウトを採用することにより、半導体装置の占有面積の低減を図ることができるため、半導体装置の高集積化を図ることができる。
図37は、図35(B)に示した半導体装置の積層構成の一例を示す断面図である。図37では、周辺回路653、メモリセルアレイ651a及びメモリセルアレイ651bの一部の積層構成を図示している。図37では、メモリセルアレイ651aが複数有するメモリセル650の一つをメモリセル650aとして示している。また、メモリセルアレイ651bが複数有するメモリセル650の一つをメモリセル650bとして示している。また、メモリセル650aが有するトランジスタ662をトランジスタ662aとして示し、メモリセル650bが有するトランジスタ662をトランジスタ662bとして示している。
周辺回路653が有するトランジスタ681は、酸化物半導体以外の材料(例えば、シリコンなど)で形成された基板670に設けられている。トランジスタ681は、素子分離絶縁層685に囲まれた領域に、チャネル形成領域となる領域を形成することによって得られるトランジスタとすることができる。なお、トランジスタ681は、絶縁表面上に形成されたシリコン等の半導体層や、SOI基板のシリコン層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタであってもよい。トランジスタ681の構成については、公知の構成を用いることが可能であるため、説明は省略する。
また、メモリセルアレイ651bは絶縁層671を介して周辺回路653上に形成され、メモリセルアレイ651aは絶縁層672を介してメモリセルアレイ651b上に形成されている。メモリセルアレイ651aは配線660aを介してさらに他の回路と電気的に接続することができる。
また、絶縁層671、絶縁層672は、層間絶縁層として機能し、その表面は平坦化された構成とすることができる。
周辺回路653、メモリセルアレイ651a及びメモリセルアレイ651bは、配線673、配線674、配線675、配線660bにより電気的に接続されている。
また、トランジスタ662a及びトランジスタ662bは、酸化物半導体を用いたトランジスタにより形成されている。酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
また、酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタ(換言すると、十分な高速動作が可能なトランジスタ)を用いた周辺回路と、酸化物半導体を用いたトランジスタ(より広義には、十分にオフ電流が小さいトランジスタ)を用いた記憶回路とを一体に備えることで、これまでにない特徴を有する半導体装置を実現することができる。また、周辺回路と記憶回路を積層構造とすることにより、半導体装置の集積化を図ることができる。
以上のように、微細化及び高集積化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装置、及び該半導体装置の作製方法を提供することができる。また、従来よりも少ないフォトリソグラフィ工程により半導体装置を作製することが可能となるため、低コストで、生産性の良い半導体装置を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態11)
本実施の形態では、本発明の一態様であるトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を、図面を用いて説明する。
図38は、半導体装置の構成の一例である。図38(A)に、半導体装置の断面図を、図38(B)に半導体装置の回路図をそれぞれ示す。
図38(A)および図38(B)に示す半導体装置は、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ3200を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトランジスタ3202および容量素子3204を有している。
なお、本実施の形態では、トランジスタ3202および容量素子3204として、実施の形態5に開示したトランジスタ310、及び容量素子350を用いる例を示している。
ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが望ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコンなど)とし、第2の半導体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、その特性により長時間の電荷保持を可能とする。
なお、上記トランジスタは、いずれもnチャネル型トランジスタであるものとして説明するが、pチャネル型トランジスタを用いることができるのはいうまでもない。また、本明細書で例示したトランジスタを適用する点以外の点(記憶装置に用いられる材料や記憶装置の構造など)の具体的な構成は、本明細書などに開示する構成に限定されない。
図38(A)におけるトランジスタ3200は、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含む基板3000に設けられたチャネル形成領域と、チャネル形成領域を挟むように設けられた不純物領域と、不純物領域に接する金属間化合物領域と、チャネル形成領域上に設けられたゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に設けられたゲート電極と、を有する。なお、図において、明示的にはソース電極やドレイン電極を有しない場合があるが、便宜上、このような状態を含めてトランジスタと呼ぶ場合がある。また、この場合、トランジスタの接続関係を説明するために、ソース領域やドレイン領域を含めてソース電極やドレイン電極と表現することがある。つまり、本明細書において、ソース電極との記載には、ソース領域が含まれうる。
基板3000上にはトランジスタ3200を囲むように素子分離絶縁層3116が設けられており、トランジスタ3200を覆うように絶縁層3220が設けられている。なお、素子分離絶縁層3116は、LOCOSや、STIなどの素子分離技術を用いて形成することができる。
例えば、結晶性シリコン基板を用いたトランジスタ3200は、高速動作が可能である。このため、当該トランジスタを読み出し用のトランジスタとして用いることで、情報の読み出しを高速に行うことができる。トランジスタ3202および容量素子3204の形成前の処理として、トランジスタ3200を覆う絶縁層3220にCMP処理を施して、絶縁層3220を平坦化すると同時にトランジスタ3200のゲート電極の上面を露出させる。
トランジスタ3200のゲート電極上には、該ゲート電極と電気的に接続する接続配線3210および絶縁層3222が設けられている。
また、絶縁層3222にはコンタクトホールが複数形成されており、該コンタクトホールには、トランジスタ3202と電気的に接続するコンタクトプラグ3215、および容量素子3204の一方の電極と電気的に接続するコンタクトプラグ3216が形成されている。なお、実施の形態5で説明したように、コンタクトプラグ3215は、トランジスタ3202のソース電極として作用する。
なお、容量素子は、接続配線3210、絶縁層3222およびトランジスタ3202のドレイン電極と同時に形成することのできる導電層(例えば、容量素子3204でコンタクトプラグが接している層)で形成してもよい。その場合、コンタクトプラグ3216は不要である。
図38(A)に示すトランジスタ3202は、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトップゲート型トランジスタである。トランジスタ3202は、オフ電流が小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体記憶装置とすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
図38(A)に示すように、トランジスタ3200とトランジスタ3202は重畳するように形成することができるため、その占有面積を低減することができる。したがって、半導体装置の集積度を高めることができる。
次に、図38(A)に対応する回路構成の一例を図38(B)に示す。
図38(B)において、第1の配線(1st Line)とトランジスタ3200のソース電極とは、電気的に接続され、第2の配線(2nd Line)とトランジスタ3200のドレイン電極とは、電気的に接続されている。また、第3の配線(3rd Line)とトランジスタ3202のソース電極またはドレイン電極の一方とは、電気的に接続され、第4の配線(4th Line)と、トランジスタ3202のゲート電極とは、電気的に接続されている。そして、トランジスタ3200のゲート電極と、トランジスタ3202のソース電極またはドレイン電極の一方は、容量素子3204の電極の他方と電気的に接続され、第5の配線(5th Line)と、容量素子3204の電極の他方は電気的に接続されている。
図38(B)に示す半導体装置では、トランジスタ3200のゲート電極の電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線の電位を、トランジスタ3202がオン状態となる電位にして、トランジスタ3202をオン状態とする。これにより、第3の配線の電位が、トランジスタ3200のゲート電極、および容量素子3204に与えられる。すなわち、トランジスタ3200のゲート電極には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ3202がオフ状態となる電位にして、トランジスタ3202をオフ状態とすることにより、トランジスタ3200のゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
トランジスタ3202のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ3200のゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ3200のゲート電極に保持された電荷量に応じて、第2の配線は異なる電位をとる。一般に、トランジスタ3200をnチャネル型とすると、トランジスタ3200のゲート電極にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Hは、トランジスタ3200のゲート電極にLowレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ3200を「オン状態」とするために必要な第5の配線の電位をいうものとする。したがって、第5の配線の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、トランジスタ3200のゲート電極に与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ3200は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ3200は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線の電位を判別することで、保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ3200が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線に与えればよい。または、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ3200が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線に与えればよい。
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、ゲート絶縁層の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
以上のように、微細化および高集積化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装置、および該半導体装置の作製方法を提供することができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態12)
本実施の形態では、実施の形態5に示すトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置について、実施の形態11に示した構成と異なる半導体装置の説明を行う。
図39(A)は、半導体装置の回路構成の一例を示し、図39(B)は半導体装置の一例を示す概念図である。なお、当該半導体装置に含まれるトランジスタ4162および容量素子4254としては、実施の形態5で説明したトランジスタおよび容量素子を用いることができる。
図39(A)に示す半導体装置において、ビット線BLとトランジスタ4162のソース電極とは電気的に接続され、ワード線WLとトランジスタ4162のゲート電極とは電気的に接続され、トランジスタ4162のドレイン電極と容量素子4254の一方の端子とは電気的に接続されている。
次に、図39(A)に示す半導体装置(メモリセル4250)に、情報の書き込みおよび保持を行う場合について説明する。
まず、ワード線WLの電位を、トランジスタ4162がオン状態となる電位として、トランジスタ4162をオン状態とする。これにより、ビット線BLの電位が、容量素子4254の一方の端子に与えられる(書き込み)。その後、ワード線WLの電位を、トランジスタ4162がオフ状態となる電位として、トランジスタ4162をオフ状態とすることにより、容量素子4254の一方の端子の電位が保持される(保持)。
酸化物半導体を用いたトランジスタ4162は、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。このため、トランジスタ4162をオフ状態とすることで、容量素子4254の第1の端子の電位(あるいは、容量素子4254に蓄積された電荷)を極めて長時間にわたって保持することが可能である。
次に、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ4162がオン状態となると、浮遊状態であるビット線BLと容量素子4254とが導通し、ビット線BLと容量素子4254の間で電荷が再分配される。その結果、ビット線BLの電位が変化する。ビット線BLの電位の変化量は、容量素子4254の第1の端子の電位(あるいは容量素子4254に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
例えば、容量素子4254の第1の端子の電位をV、容量素子4254の容量をC、ビット線BLが有する容量成分(以下、ビット線容量とも呼ぶ)をCB、電荷が再分配される前のビット線BLの電位をVB0とすると、電荷が再分配された後のビット線BLの電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。したがって、メモリセル4250の状態として、容量素子4254の第1の端子の電位がV1とV0(V1>V0)の2状態をとるとすると、電位V1を保持している場合のビット線BLの電位(=(CB×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合のビット線BLの電位(=CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、ビット線BLの電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
このように、図39(A)に示す半導体装置は、トランジスタ4162のオフ電流が極めて小さいという特徴から、容量素子4254に蓄積された電荷は長時間にわたって保持することができる。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
次に、図39(B)に示す半導体装置について、説明を行う。
図39(B)に示す半導体装置は、上部に記憶回路として図39(A)に示したメモリセル4250を複数有するメモリセルアレイ4251(メモリセルアレイ4251aおよび4251b)を有し、下部に、メモリセルアレイ4251を動作させるために必要な周辺回路4253を有する。なお、周辺回路4253は、メモリセルアレイ4251と電気的に接続されている。
図39(B)に示した構成とすることにより、周辺回路4253をメモリセルアレイ4251の直下に設けることができるため半導体装置の小型化を図ることができる。
周辺回路4253に設けられるトランジスタは、トランジスタ4162とは異なる半導体材料を用いることが好ましい。例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素等を用いることができ、単結晶半導体を用いることがより好ましい。他に、有機半導体材料などを用いてもよい。このような半導体材料を用いたトランジスタは、十分な高速動作が可能である。したがって、該トランジスタにより、高速動作が要求される各種回路(論理回路、駆動回路など)を好適に実現することが可能である。
なお、図39(B)に示した半導体装置では、メモリセルアレイ4251がメモリセルアレイ4251aとメモリセルアレイ4251bの積層である構成を例示したが、積層するメモリセルアレイの数はこれに限定されない。3つ以上のメモリセルアレイを積層する構成としても良いし、単層であってもよい。
次に、図39(A)に示したメモリセル4250の具体的な構成について図40を用いて説明を行う。
図40は、基板4000上に形成されたメモリセル4250の構成の一例の断面図である。図40において、トランジスタ4162のソース電極と配線4222(ビット線BL)とは電気的に接続され、トランジスタ4162のドレイン電極と容量素子4254の一方の電極とは電気的に接続されている。また、トランジスタ4162のゲート電極(第3の電極316)は、図示されない領域において、配線4223(ワード線WL)と電気的に接続されている。
なお、トランジスタ4162のドレイン電極と容量素子4254の一方の電極は同一層で形成された構成を例示しているが、別の接続配線等によって電気的に接続されてもよい。また、配線4222をビット線BLとして例示したが、コンタクトプラグ等を介して配線4222と電気的に接続する別の配線をビット線BLとしてもよい。
なお、基板4000をメモリセル4250を駆動するための周辺回路を含む基板に入れ替え、上記メモリセル4250の構成と該周辺回路を電気的に接続することで図39(B)に示す半導体装置を形成することができる。なお、前述したように、メモリセルアレイ4251の積層数は限られず、それぞれのメモリセルアレイが駆動できるように該周辺回路と電気的に接続されていればよい。
トランジスタ4162は、酸化物半導体を用いて形成されている。酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が小さいため、長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
また、酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタ(換言すると、十分な高速動作が可能なトランジスタ)を用いた周辺回路と、酸化物半導体を用いたトランジスタ(より広義には、十分にオフ電流が小さいトランジスタ)を用いた記憶回路とを一体に備えることで、これまでにない特徴を有する半導体装置を実現することができる。また、周辺回路と記憶回路を積層構造とすることにより、半導体装置の集積化を図ることができる。
以上のように、微細化および高集積化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装置を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態13)
本実施の形態では、本発明の一態様であるトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置(記憶装置)の一例を、図41及び図42を用いて説明する。
図41(A)は、記憶装置が有するメモリセルの回路構成の一例を示し、図41(B)は記憶装置の一例を示す概念図である。まず、図41(A)に示す記憶装置のメモリセルについて説明を行い、続けて図41(B)に示す記憶装置について説明する。
図41(A)に示すメモリセルにおいて、ビット線BLとトランジスタ701のソース又はドレインとが電気的に接続され、ワード線WLとトランジスタ701のゲートとが電気的に接続され、トランジスタ701のソース又はドレインと容量素子702の一方の電極とが電気的に接続されている。なお、図41に示す記憶装置においては、トランジスタ701として、上述したトランジスタが適用されている。
次に、図41(A)に示すメモリセルに、情報の書き込み及び保持を行う場合について説明する。
まず、情報の書き込みについて説明する。
ワード線WLの電位を、トランジスタ701がオン状態となる電位として、トランジスタ701をオン状態とする。これにより、ビット線BLの電位が、容量素子702の一方の電極に与えられる(書き込み)。その後、ワード線WLの電位を、トランジスタ701がオフ状態となる電位として、トランジスタ701をオフ状態とする。これにより、容量素子702の一方の電極の電位が保持される(保持)。
酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタ701は、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。このため、トランジスタ701をオフ状態とすることで、容量素子702の一方の電極の電位(蓄積されている電荷)を極めて長時間にわたって保持することが可能である。
次に、情報の読み出しについて説明する。
ビット線BLを浮遊状態とする。そして、ワード線WLの電位を、トランジスタ701がオン状態となる電位として、トランジスタ701をオン状態とする。これにより、浮遊状態にあるビット線BLと容量素子702の一方の電極とが導通し、ビット線BLと容量素子702の間で電荷が再分配される。その結果、ビット線BLの電位が変化する。ビット線BLの電位の変化量は、容量素子702の一方の電極の電位(蓄積されている電荷)によって、異なる値となる。
例えば、容量素子702の一方の電極の電位をV、容量素子702の容量をC、ビット線BLが有する容量成分(以下、ビット線容量とも呼ぶ)をCB、電荷が再分配される前のビット線BLの電位をVB0とすると、電荷が再分配された後のビット線BLの電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。従って、メモリセルの状態として、容量素子702の一方の電極の電位がV1とV0(V1>V0)の2状態をとるとすると、電位V1を保持している場合のビット線BLの電位(=(CB×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合のビット線BLの電位(=CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、ビット線BLの電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
このように、図41(A)に示す記憶装置では、トランジスタ701のオフ電流が極めて小さいという特徴から、容量素子702に蓄積された電荷が長時間にわたって保持される。つまり、リフレッシュ動作が不要となる、又は、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となる。そのため、消費電力を低減することができる。また、電力の供給がない場合であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
次に、図41(B)に示す半導体装置について、説明を行う。
図41(B)に示す記憶装置は、上部に図41(A)に示したメモリセルを複数有するメモリセルアレイ700a及び700bを有し、下部に、メモリセルアレイ700(メモリセルアレイ700a、700b)を動作させるために必要な周辺回路711を有する。なお、周辺回路711は、メモリセルアレイ700と電気的に接続されている。
図41(B)に示した構成とすることにより、周辺回路711をメモリセルアレイ700の直下に設けることができるため記憶装置の小型化を図ることができる。
周辺回路711に設けられるトランジスタは、トランジスタ701とは異なる半導体材料を用いるのがより好ましい。例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素等を用いることができ、単結晶半導体を用いることが好ましい。このような半導体材料を用いたトランジスタは、十分な高速動作が可能である。したがって、該トランジスタにより、高速動作が要求される各種回路(論理回路、駆動回路など)を好適に実現することが可能である。
なお、図41(B)に示した記憶装置では、2つのメモリセルアレイ(メモリセルアレイ700aと、メモリセルアレイ700b)が積層された構成を例示したが、積層するメモリセルアレイの数はこれに限定されない。3つ以上のメモリセルアレイを積層する構成としても良い。また、記憶装置が単層のメモリセルアレイ(メモリセルアレイ700aのみ)を有する構成としてもよい。
ところで、不揮発性のランダムアクセスメモリとして磁気トンネル接合素子(MTJ素子)が知られている。MTJ素子は、絶縁膜を介して上下に配置している強磁性体膜の磁化の向きが並行であれば低抵抗状態、反並行であれば高抵抗状態となることで情報を記憶する素子である。したがって、本実施の形態で示す酸化物半導体を用いたメモリとは原理が全く異なっている。表1はMTJ素子と、上述した記憶装置との対比を示す。
酸化物半導体を用いたトランジスタとシリコンを用いたトランジスタを組み合わせるメモリは、表1に示したように、スピントロニクスデバイスと比べて、駆動方式、書き込み原理、材料などが大きく異なっている。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタとシリコンを用いたトランジスタを組み合わせるメモリは、表1に示したように、スピントロニクスデバイスに比べて、耐熱性、3D化(3層以上の積層構造化)、磁界耐性など多くの点で有利である。なお、表1にあるオーバーヘッドの電力とは、プロセッサ内のメモリ部などに書きこむ電力など、所謂オーバーヘッドに消費される電力のことである。
このように、スピントロニクスデバイスに比べて有利な点の多い酸化物半導体を用いたメモリを利用することで、CPUの省電力化が実現可能となる。
図42は、図41に示すメモリセルの構造例を示す図である。具体的には、図42(A)は、メモリセルの上面図であり、図42(B)は、図42(A)に示すI1−I2線における断面図である。なお、図42においては、トランジスタ701として図1に示すトランジスタを適用する場合について図示している。
図42に示すメモリセルは、図26に例示したトランジスタ410と同様の構造を有するトランジスタ701と、導電層408を介して導電層404(ソース及びドレインの一方)に電気的に接続されている容量素子702とを有する。なお、容量素子702は、一方の電極として導電層431、他方の電極として導電層432、及び誘電体として絶縁層402を有する。ここで、導電層431は、導電層403の形成工程時に同時に形成することが可能な導電層であり、導電層432は、導電層404の形成工程時に同時に形成することが可能な導電層である。すなわち、図42に示す容量素子702は、図1に示すトランジスタ701と同時に作製することが可能である。よって、図42に示す構造のメモリセルは、トランジスタ単体の作製工程と比較して、工程数が増加することがない点で好ましい。
なお、図41に示すメモリセルの構造は、図42に示す構造に限定されない。例えば、図43(A)、(B)に示す構造とすることが可能である。なお、図43(A)は、メモリセルの上面図であり、図43(B)は、図43(A)に示すI3−I4線における断面図である。具体的には、図43に示すメモリセルは、図1に示す構造を有するトランジスタ701と、一方の電極として導電層431、他方の電極として導電層432、及び誘電体として絶縁層402を有する容量素子702とを有する。そして、トランジスタ701の導電層405と、容量素子702の導電層432とが接している。
(実施の形態14)
次いで、上述の記憶装置と異なる構成の記憶装置について図44及び図45を参照して説明する。なお、以下に示す記憶装置も上述の記憶装置と同様に、上述したトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い記憶装置である。
図44は、記憶装置が有するメモリセルの構成例を示す図である。図44において、第1の配線(1st Line)とトランジスタ760のソースとは、電気的に接続され、第2の配線(2nd Line)とトランジスタ760のドレインとは、電気的に接続されている。また、第3の配線(3rd Line)とトランジスタ701のソース及びドレインの一方とは、電気的に接続され、第4の配線(4th Line)と、トランジスタ701のゲートとは、電気的に接続されている。そして、トランジスタ760のゲートと、トランジスタ701のソース及びドレインの他方は、容量素子702の一方の電極と電気的に接続され、第5の配線(5th Line)と、容量素子702の他方の電極と電気的に接続されている。なお、図44に示すメモリセルにおいては、トランジスタ701として、上述したトランジスタが適用されている。
図44に示す記憶装置では、トランジスタ760のゲートの電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
情報の書き込み及び保持について説明する。
まず、第4の配線の電位を、トランジスタ701がオン状態となる電位にして、トランジスタ760をオン状態とする。これにより、第3の配線の電位が、トランジスタ760のゲート、及び容量素子702に与えられる。すなわち、トランジスタ760のゲートには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ701がオフ状態となる電位にして、トランジスタ701をオフ状態とすることにより、トランジスタ760のゲートに与えられた電荷が保持される(保持)。
トランジスタ701のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ760のゲートの電荷は長時間にわたって保持される。
次に、情報の読み出しについて説明する。
第1の配線に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ760のゲートに保持された電荷量に応じて、第2の配線は異なる電位をとる。一般に、トランジスタ760をnチャネル型とすると、トランジスタ760のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ760のゲートにLowレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ760を「オン状態」とするために必要な第5の配線の電位をいうものとする。したがって、第5の配線の電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、トランジスタ760のゲートに与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ760は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ760は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線の電位を見ることで、保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、ゲートの状態にかかわらずトランジスタ760が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線に与えればよい。または、ゲートの状態にかかわらずトランジスタ760が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線に与えればよい。
図44に示すメモリセルでは、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となる、又は、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となる。そのため、消費電力を低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
このように酸化物半導体を用いたトランジスタによって不揮発性のランダムアクセスメモリを実現することが可能となる。
また、図44に示すメモリセルでは、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、ゲート絶縁層の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
図45は、図44に示すメモリセルの構造例を示す図である。具体的には、図45(A)は、メモリセルの上面図であり、図45(B)は、図45(A)に示すS1−S2線における断面図である。なお、図45においては、トランジスタ701及び容量素子702として図42に示すトランジスタ701及び容量素子702を適用する場合について図示している。
図45(A)及び図45(B)に示すメモリセルは、下部に第1の半導体材料を用いたトランジスタ760を有し、上部に第2の半導体材料を用いたトランジスタ701を有するものである。図45においてはトランジスタ701として、図1に示すトランジスタを適用する例を示す。
ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが望ましい。例えば、第1の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(シリコンなど)とし、第2の半導体材料を酸化物半導体とすることができる。酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、その特性により長時間の電荷保持を可能とする。
なお、上記トランジスタは、いずれもnチャネル型トランジスタであるものとして説明するが、pチャネル型トランジスタを用いることができるのはいうまでもない。また、本明細書で例示したトランジスタを適用する点以外の点(記憶装置に用いられる材料や記憶装置の構造など)の具体的な構成は、本明細書などに開示する構成に限定されない。
まず、下部の構造について説明する。
図45(B)に示すトランジスタ760は、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含む基板703に設けられたチャネル形成領域716と、チャネル形成領域716を挟むように設けられた不純物領域720と、不純物領域720に接する金属間化合物領域724と、チャネル形成領域716上に設けられたゲート絶縁層708と、ゲート絶縁層708上に設けられたゲート電極710と、を有する。なお、図において、明示的にはソース電極やドレイン電極を有しない場合があるが、便宜上、このような状態を含めてトランジスタと呼ぶ場合がある。また、この場合、トランジスタの接続関係を説明するために、ソース領域やドレイン領域を含めてソース電極やドレイン電極と表現することがある。つまり、本明細書において、ソース電極との記載には、ソース領域が含まれうる。
基板703上には、トランジスタ760を覆うように絶縁層728、及び絶縁層730が設けられている。なお、トランジスタ760において、ゲート電極710の側面に側壁絶縁層(サイドウォール絶縁層)を設け、不純物濃度が異なる領域を含む不純物領域720としてもよい。なお、トランジスタ760は、素子分離絶縁層に囲まれた領域に設けられることが好ましい。ここで、素子分離絶縁層とは、LOCOSや、STIなどの素子分離技術を用いて形成される絶縁層を指す。
単結晶半導体基板を用いたトランジスタ760は、高速動作が可能である。このため、当該トランジスタを読み出し用のトランジスタとして用いることで、情報の読み出しを高速に行うことができる。トランジスタ760を覆うように絶縁層728、および絶縁層730を形成し、トランジスタ701及び容量素子702の形成前の処理として、絶縁層728、および絶縁層730にCMP処理を施して、平坦化した絶縁層728、絶縁層730を形成し、同時にゲート電極710の上面を露出させる。
絶縁層728、絶縁層730は、代表的には酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化シリコン、窒化酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いることができる。絶縁層728、絶縁層730は、プラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いて形成することができる。
また、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。有機材料を用いる場合、スピンコート法、印刷法などの湿式法によって絶縁層728、絶縁層730を形成してもよい。
次いで、上部の構造について説明する。
トランジスタ701のソース及びドレインの一方(導電層404)は、導電層408、並びに絶縁層402、絶縁層406、絶縁層407の開口に設けられている導電層435、導電層436、及び導電層437を介してトランジスタ760のゲート電極710が電気的に接続されている。ここで、導電層435は、導電層403、導電層431の形成工程時に同時に形成することが可能な導電層であり、導電層436は、導電層404、導電層432の形成工程時に同時に形成することが可能な導電層であり、導電層437は、導電層405の形成工程時に同時に形成することが可能な導電層である。すなわち、図45に示す記憶装置では、図42に示す記憶装置と比較して、導電層435、導電層436、導電層437の形成のための工程が追加されることはない。
なお、図44に示すメモリセルの構造は、図45に示す構造に限定されない。例えば、図44に示すメモリセルとして、図43に示すトランジスタ701及び容量素子702と、ゲート電極710が図43に示す導電層405に電気的に接続されているトランジスタ760とを有する構造とすることが可能である。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態15)
上記実施の形態に開示したトランジスタを少なくとも一部に用いてCPU(Central Processing Unit)を構成することができる。
図46(A)は、CPUの具体的な構成を示すブロック図である。図46(A)に示すCPUは、基板1190上に、演算回路であるALU(ALU:Arithmetic logic unit)1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース(Bus I/F)1198、書き換え可能なROM1199、及びROMインターフェース(ROM I/F)1189を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199及びROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図46(A)に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行なう。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行なう。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、及びレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えばタイミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
図46(A)に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ1196のメモリセルには、上記実施の形態に記載されているメモリセルを用いることができる。
図46(A)に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1196が有するメモリセルにおいて、論理(値)を反転させる論理素子によるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。論理(値)を反転させる論理素子によるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
電源停止に関しては、図46(B)または図46(C)に示すように、メモリセル群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設けることにより行うことができる。以下に図46(B)及び図46(C)の回路の説明を行う。
図46(B)及び図46(C)では、メモリセルへの電源電位の供給を制御するスイッチング素子に、上記実施の形態に開示したトランジスタを含む記憶回路の構成の一例を示す。
図46(B)に示す記憶装置は、スイッチング素子1141と、メモリセル1142を複数有するメモリセル群1143とを有している。具体的に、各メモリセル1142には、上記実施の形態に開示したメモリセルを用いることができる。メモリセル群1143が有する各メモリセル1142には、スイッチング素子1141を介して、ハイレベルの電源電位VDDが供給されている。さらに、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142には、信号INの電位と、ローレベルの電源電位VSSの電位が与えられている。
図46(B)では、スイッチング素子1141として、上記実施の形態に開示したトランジスタを用いており、該トランジスタは、そのゲート電極に与えられる信号SigAによりスイッチングが制御される。
なお、図46(B)では、スイッチング素子1141がトランジスタを一つだけ有する構成を示しているが、特に限定されず、トランジスタを複数有していてもよい。スイッチング素子1141が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよいし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
また、図46(B)では、スイッチング素子1141により、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142への、ハイレベルの電源電位VDDの供給が制御されているが、スイッチング素子1141により、ローレベルの電源電位VSSの供給が制御されていてもよい。
また、図46(C)には、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142に、スイッチング素子1141を介して、ローレベルの電源電位VSSが供給されている、記憶装置の一例を示す。スイッチング素子1141により、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142への、ローレベルの電源電位VSSの供給を制御することができる。
メモリセル群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設け、一時的にCPUの動作を停止し、電源電圧の供給を停止した場合においてもデータを保持することが可能であり、消費電力の低減を行うことができる。具体的には、例えば、パーソナルコンピュータのユーザーが、キーボードなどの入力装置への情報の入力を停止している間でも、CPUの動作を停止することができ、それにより消費電力を低減することができる。
本実施の形態では、CPUを例に挙げて説明したが、上記実施の形態に開示したトランジスタは、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のLSIに用いることも可能である。
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態16)
本実施の形態では、上記実施の形態で示した半導体装置を電気機器に応用した場合の例について説明する。より具体的には、上記実施の形態で示した半導体装置を携帯電話、スマートフォン、電子書籍などの携帯機器に応用した場合の例を図47乃至図50を用いて説明する。
携帯電話、スマートフォン、電子書籍などの携帯機器においては、画像データの一時記憶などにSRAMまたはDRAMが使用されている。SRAMまたはDRAMが使用される理由としてはフラッシュメモリでは応答が遅く、画像処理では不向きであるためである。一方で、SRAMまたはDRAMを画像データの一時記憶に用いた場合、以下の特徴がある。
通常のSRAMは、図47(A)に示すように1つのメモリセルがトランジスタ801、トランジスタ802、トランジスタ803、トランジスタ804、トランジスタ805、及びトランジスタ806の6個のトランジスタで構成されており、それをXデコーダ807、Yデコーダ808にて駆動している。トランジスタ803とトランジスタ805、トランジスタ804とトランジスタ806はインバータを構成し、高速駆動を可能としている。しかし1つのメモリセルが6トランジスタで構成されているため、セル面積が大きいという欠点がある。デザインルールの最小寸法をFとしたときにSRAMのメモリセル面積は通常100〜150F2である。このためSRAMはビットあたりの単価が各種メモリの中で最も高い。
それに対して、DRAMはメモリセルが図47(B)に示すようにトランジスタ811、容量素子812によって構成され、それをXデコーダ813、Yデコーダ814にて駆動している。1つのセルが1つのトランジスタ及び1つの容量を有する構成になっており、面積が小さい。DRAMのメモリセル面積は通常10F2以下である。ただし、DRAMは常にリフレッシュが必要であり、書き換えをおこなわない場合でも電力を消費する。
しかし、先の実施の形態で説明した半導体装置のメモリセル面積は、10F2前後であり、且つ頻繁なリフレッシュは不要である。したがって、メモリセル面積が縮小され、且つ消費電力が低減することができる。
図48に携帯機器のブロック図を示す。図48に示す携帯機器はRF回路901、アナログベースバンド回路902、デジタルベースバンド回路903、バッテリー904、電源回路905、アプリケーションプロセッサ906、フラッシュメモリ910、ディスプレイコントローラ911、メモリ回路912、ディスプレイ913、タッチセンサ919、音声回路917、キーボード918などより構成されている。ディスプレイ913は表示部914、ソースドライバ915、ゲートドライバ916によって構成されている。アプリケーションプロセッサ906はCPU907、DSP908、インターフェース909を有している。一般にメモリ回路912はSRAMまたはDRAMで構成されており、この部分に先の実施の形態で説明した半導体装置を採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減することができる。
図49に、ディスプレイのメモリ回路950に先の実施の形態で説明した半導体装置を使用した例を示す。図49に示すメモリ回路950は、メモリ952、メモリ953、スイッチ954、スイッチ955およびメモリコントローラ951により構成されている。また、メモリ回路は、信号線から入力された画像データ(入力画像データ)、メモリ952、及びメモリ953に記憶されたデータ(記憶画像データ)を読み出し、及び制御を行うディスプレイコントローラ956と、ディスプレイコントローラ956からの信号により表示するディスプレイ957が接続されている。
まず、ある画像データがアプリケーションプロセッサ(図示しない)によって、形成される(入力画像データA)。入力画像データAは、スイッチ954を介してメモリ952に記憶される。そしてメモリ952に記憶された画像データ(記憶画像データA)は、スイッチ955、及びディスプレイコントローラ956を介してディスプレイ957に送られ、表示される。
入力画像データAに変更が無い場合、記憶画像データAは、通常30〜60Hz程度の周期でメモリ952からスイッチ955を介して、ディスプレイコントローラ956から読み出される。
次に、例えばユーザーが画面を書き換える操作をしたとき(すなわち、入力画像データAに変更が有る場合)、アプリケーションプロセッサは新たな画像データ(入力画像データB)を形成する。入力画像データBはスイッチ954を介してメモリ953に記憶される。この間も定期的にメモリ952からスイッチ955を介して記憶画像データAは読み出されている。メモリ953に新たな画像データ(記憶画像データB)が記憶し終わると、ディスプレイ957の次のフレームより、記憶画像データBは読み出され、スイッチ955、及びディスプレイコントローラ956を介して、ディスプレイ957に記憶画像データBが送られ、表示がおこなわれる。この読み出しはさらに次に新たな画像データがメモリ952に記憶されるまで継続される。
このようにメモリ952及びメモリ953は交互に画像データの書き込みと、画像データの読み出しを行うことによって、ディスプレイ957の表示をおこなう。なお、メモリ952及びメモリ953はそれぞれ別のメモリには限定されず、1つのメモリを分割して使用してもよい。先の実施の形態で説明した半導体装置をメモリ952及びメモリ953に採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減することができる。
図50に電子書籍のブロック図を示す。図50はバッテリー1101、電源回路1102、マイクロプロセッサ1103、フラッシュメモリ1104、音声回路1105、キーボード1106、メモリ回路1107、タッチパネル1108、ディスプレイ1109、ディスプレイコントローラ1110によって構成される。
ここでは、図50のメモリ回路1107に先の実施の形態で説明した半導体装置を使用することができる。メモリ回路1107の役割は書籍の内容を一時的に保持する機能を持つ。機能の例としては、ユーザーがハイライト機能を使用する場合などがある。ユーザーが電子書籍を読んでいるときに、特定の箇所にマーキングをしたい場合がある。このマーキング機能をハイライト機能と言い、表示の色を変える、アンダーラインを引く、文字を太くする、文字の書体を変えるなどによって、周囲との違いを示すことである。ユーザーが指定した箇所の情報を記憶し、保持する機能である。この情報を長期に保存する場合にはフラッシュメモリ1104にコピーしても良い。このような場合においても、先の実施の形態で説明した半導体装置を採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が十分に低減することができる。
以上説明したように、本実施の形態により、寄生チャネルの発生を抑制可能なトランジスタを得ることができる。
また本実施の形態により、当該トランジスタを用いることにより、動作特性の向上が図られた半導体装置を提供することができる。
以上のように、本実施の形態に示す携帯機器には、先の実施の形態に係る半導体装置が搭載されている。このため、読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、且つ消費電力が低減され、信頼性の高い携帯機器が実現される。
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態17)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレイヤー、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯無線機、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、エアコンディショナーなどの空調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、煙感知器、放射線測定器、透析装置等の医療機器、などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム等の産業機器も挙げられる。また、石油を用いたエンジンや、非水系二次電池からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電気機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船が挙げられる。これらの電子機器の具体例を図51乃至図53に示す。
図51(A)は、表示部を有するテーブル9000を示している。テーブル9000は、筐体9001に表示部9003が組み込まれており、表示部9003により映像を表示することが可能である。なお、4本の脚部9002により筐体9001を支持した構成を示している。また、電力供給のための電源コード9005を筐体9001に有している。
上記実施の形態に示したトランジスタは、表示部9003に用いることが可能であり、電子機器に高い信頼性を付与することができる。
表示部9003は、タッチ入力機能を有しており、テーブル9000の表示部9003に表示された表示ボタン9004を指などで触れることで、画面操作や、情報を入力することができ、また他の家電製品との通信を可能とする、又は制御を可能とすることで、画面操作により他の家電製品をコントロールする制御装置としてもよい。例えば、イメージセンサ機能を有する半導体装置を用いれば、表示部9003にタッチ入力機能を持たせることができる。
また、筐体9001に設けられたヒンジによって、表示部9003の画面を床に対して垂直に立てることもでき、テレビジョン装置としても利用できる。狭い部屋においては、大きな画面のテレビジョン装置は設置すると自由な空間が狭くなってしまうが、テーブルに表示部が内蔵されていれば、部屋の空間を有効に利用することができる。
図51(B)は、携帯音楽プレイヤーであり、本体8021には表示部8023と、耳に装着するための固定部8022と、スピーカ、操作ボタン8024、外部メモリスロット8025等が設けられている。上記実施の形態に示したトランジスタ、または記憶装置を本体8021に内蔵されているメモリやCPUなどに適用することにより、より省電力化された携帯音楽プレイヤー(PDA)とすることができる。
さらに、図51(B)に示す携帯音楽プレイヤーにアンテナやマイク機能や無線機能を持たせ、携帯電話と連携させれば、乗用車などを運転しながらワイヤレスによるハンズフリーでの会話も可能である。
図51(C)はコンピュータであり、CPUを含む本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。コンピュータは、本発明の一態様を用いて作製される半導体装置をその表示部9203に用いることにより作製される。また、実施の形態5に示したCPUを利用すれば、省電力化されたコンピュータとすることが可能となる。
図52(A)及び図52(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図52(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631aと表示部9631bを有する表示部9631、表示モード切り替えスイッチ9626、電源スイッチ9627、省電力モード切り替えスイッチ9625、留め具9629、操作スイッチ9628、を有する。
上記実施の形態に示すトランジスタは、表示部9631a、表示部9631bに用いることが可能であり、信頼性の高いタブレット型端末とすることが可能となる。
表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9626は、縦表示又は横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9625は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図52(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図52(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する。なお、図52(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示している。
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図52(A)及び図52(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作又は編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、又は映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の片面又は両面に設けることができ、バッテリー9635の充電を効率的に行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図52(B)に示す充放電制御回路9634の構成、及び動作について図52(C)にブロック図を示し説明する。図52(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図52(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧又は降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧又は降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
なお太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力伝送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
図53(A)において、テレビジョン装置8000は、筐体8001に表示部8002が組み込まれており、表示部8002により映像を表示し、スピーカ部8003から音声を出力することが可能である。上記実施の形態に示すトランジスタを用いて表示部8002に用いることが可能である。
表示部8002は、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)などの、半導体表示装置を用いることができる。
テレビジョン装置8000は、受信機やモデムなどを備えていてもよい。テレビジョン装置8000は、受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
また、テレビジョン装置8000は、情報通信を行うためのCPUや、メモリを備えていてもよい。テレビジョン装置8000は、実施の形態4乃至6のいずれかに示すメモリやCPUを用いることが可能である。
図53(A)において、室内機8200及び室外機8204を有するエアコンディショナーは、上記実施の形態に示したCPUを用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、CPU8203等を有する。図53(A)において、CPU8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、CPU8203は室外機8204に設けられていてもよい。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、CPU8203が設けられていてもよい。実施の形態6に示したCPUは、酸化物半導体を用いたCPUであるため、耐熱性に優れており、信頼性の高いエアコンディショナーを実現できる。
図53(A)において、電気冷凍冷蔵庫8300は、酸化物半導体を用いたCPUを備える電気機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、CPU8304等を有する。図53(A)では、CPU8304が、筐体8301の内部に設けられている。実施の形態6に示したCPUを電気冷凍冷蔵庫8300のCPU8304に用いることによって省電力化が図れる。
図53(B)及び図53(C)において、電気機器の一例である電気自動車の例を示す。図53(C)は、電気自動車9700の内部に関する図である。電気自動車9700には、二次電池9701が搭載されている。二次電池9701の電力は、制御回路9702により出力が調整されて、駆動装置9703に供給される。制御回路9702は、図示しないROM、RAM、CPU等を有する処理装置9704によって制御される。実施の形態6に示したCPUを電気自動車9700のCPUに用いることによって省電力化が図れる。
駆動装置9703は、直流電動機若しくは交流電動機単体、又は電動機と内燃機関と、を組み合わせて構成される。処理装置9704は、電気自動車9700の運転者の操作情報(加速、減速、停止など)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路9702に制御信号を出力する。制御回路9702は、処理装置9704の制御信号により、二次電池9701から供給される電気エネルギーを調整して駆動装置9703の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は、図示していないが、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(参考例)
CAAC−OS膜の側面から酸素が脱離しやすい点について詳述しておく。一例として、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZO)における、過剰酸素(化学量論的組成を越えて存在している酸素原子)及び酸素欠損の動きやすさについて、科学技術計算結果を参照して説明する。
なお、計算は、原子数比がIn:Ga:Zn=3:1:2となるIGZOのIn−O面に過剰酸素または酸素欠損が一つ存在するモデルを構造最適化によって作成(図56(A)乃至(C)及び図58(A)乃至(C)を参照)し、NEB(Nudged Elastic Band)法を用いて最小エネルギー経路に沿った中間構造に対するエネルギーをそれぞれ算出した。
計算は、密度汎関数理論(DFT)に基づく計算プログラムソフト「OpenMX」を用いて行った。パラメータについて以下に説明する。
基底関数には、擬原子局在基底関数を用いた。この基底関数は、分極基底系STO(Slater Type Orbital)に分類される。
汎関数には、GGA/PBE(Generalized−Gradient−Approximation/Perdew−Burke−Ernzerhof)を用いた。
カットオフエネルギーは200Ryとした。
サンプリングk点は、5×5×3とした。
過剰酸素の動きやすさについての計算では、計算モデル内に存在する原子の数を85個とし、酸素欠損の動きやすさについての計算では、計算モデル内に存在する原子の数を83個とした。
過剰酸素または酸素欠損の動きやすさは、過剰酸素または酸素欠損が各々のサイトへ移動する際に越えることを要するエネルギーバリアの高さEbを計算することにより評価する。すなわち、移動に際して越えるエネルギーバリアの高さEbが高ければ移動しにくく、エネルギーバリアの高さEbが低ければ移動しやすい。
まず、過剰酸素の移動について説明する。過剰酸素の移動の計算に用いたモデルを図56に示す。計算は、以下の2つの遷移形態について行った。計算結果は、図57に示す。図57では、横軸を(過剰酸素の移動の)経路長とし、縦軸を図56(A)のモデルAの状態のエネルギーに対する(移動に要する)エネルギーとしている。
過剰酸素の移動について、前記2つの遷移形態のうち、第1の遷移は、モデルAからモデルBへの遷移である。第2の遷移は、モデルAからモデルCへの遷移である。
なお、図56(A)乃至(C)中の”1”と表記されている酸素原子をモデルAの第1の酸素原子と呼ぶ。図56(A)乃至(C)中の”2”と表記されている酸素原子をモデルAの第2の酸素原子と呼ぶ。図56(A)乃至(C)中の”3”と表記されている酸素原子をモデルAの第3の酸素原子と呼ぶ。
図57から明らかなように、第1の遷移のエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)は、0.53eVであり、第2の遷移のエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)は、2.38eVである。そのため、第1の遷移では第2の遷移よりもエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)が低い。そのため、第1の遷移に要するエネルギーは第2の遷移に要するエネルギーよりも小さく、第1の遷移のほうが第2の遷移よりも起こりやすいといえる。
すなわち、モデルAの第1の酸素原子の移動は、モデルAの第3の酸素原子を押し出す方向よりも、モデルAの第2の酸素原子を押し出す方向に移動しやすいといえる。従って、酸素原子はインジウム原子の層を横断して移動するよりもインジウム原子の層に沿って移動しやすいといえる。
次に、酸素欠損の移動について説明する。酸素欠損の移動の計算に用いたモデルを図58に示す。計算は、以下の2つの遷移形態について行った。計算結果は、図59に示す。図59では、横軸を(酸素欠損の移動の)経路長とし、縦軸を図58(A)のモデルAの状態のエネルギーに対する(移動に要する)エネルギーとしている。
酸素欠損の移動について、前記2つの遷移形態のうち、第1の遷移は、モデルAからモデルBへの遷移である。第2の遷移は、モデルAからモデルCへの遷移である。
なお、図58(A)乃至(C)中の点線で描画している丸は、酸素欠損を表している。
図59から明らかなように、第1の遷移のエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)は、1.81eVであり、第2の遷移のエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)は、4.10eVである。そのため、第1の遷移では第2の遷移よりもエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)が低い。そのため、第1の遷移に要するエネルギーは第2の遷移に要するエネルギーよりも小さく、第1の遷移のほうが第2の遷移よりも起こりやすいといえる。
すなわち、モデルAの酸素欠損はモデルCの酸素欠損の位置よりも、モデルBの酸素欠損の位置のほうが移動しやすいといえる。従って、酸素欠損もインジウム原子の層を横断して移動するよりもインジウム原子の層に沿って移動しやすいといえる。
次に、前記した4つの遷移形態の起こりやすさを別の側面から比較するために、これらの遷移の温度依存性について説明する。前記した4つの遷移形態は、(1)過剰酸素の第1の遷移(2)過剰酸素の第2の遷移(3)酸素欠損の第1の遷移(4)酸素欠損の第2の遷移の4つである。
これらの遷移の温度依存性は、単位時間あたりの移動頻度により比較する。ここで、ある温度T(K)における移動頻度Z(/秒)は、化学的に安定な位置における酸素原子の振動数Zo(/秒)を用いると、以下の式(2)で表される。
なお、前記式(2)において、Ebmaxは各遷移におけるエネルギーバリアの高さEbの最大値であり、kはボルツマン定数である。また、Zo=1.0×1013(/秒)を計算に用いる。
過剰酸素または酸素欠損が1秒間あたりに1度だけエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)を越えて移動する場合(Z=1(/秒)の場合)、Tについて前記式(2)を解くと以下の通りである。
(1)過剰酸素の第1の遷移 Z=1においてT=206K(−67℃)
(2)過剰酸素の第2の遷移 Z=1においてT=923K(650℃)
(3)酸素欠損の第1の遷移 Z=1においてT=701K(428℃)
(4)酸素欠損の第2の遷移 Z=1においてT=1590K(1317℃)
一方、T=300K(27℃)の場合のZは、以下の通りである。
(1)過剰酸素の第1の遷移 T=300KにおいてZ=1.2×104(/秒)
(2)過剰酸素の第2の遷移 T=300KにおいてZ=1.0×10−27(/秒)
(3)酸素欠損の第1の遷移 T=300KにおいてZ=4.3×10−18(/秒)
(4)酸素欠損の第2の遷移 T=300KにおいてZ=1.4×10−56(/秒)
また、T=723K(450℃)の場合のZは、以下の通りである。
(1)過剰酸素の第1の遷移 T=723KにおいてZ=2.0×109(/秒)
(2)過剰酸素の第2の遷移 T=723KにおいてZ=2.5×10−4(/秒)
(3)酸素欠損の第1の遷移 T=723KにおいてZ=2.5(/秒)
(4)酸素欠損の第2の遷移 T=723KにおいてZ=2.5×10−16(/秒)
前記計算結果に鑑みると、過剰酸素は、T=300KにおいてもT=723Kにおいても、インジウム原子の層を横断して移動するよりもインジウム原子の層に沿って移動しやすいといえる。また、酸素欠損も、T=300KにおいてもT=723Kにおいても、インジウム原子の層を横断して移動するよりもインジウム原子の層に沿って移動しやすいといえる。
また、T=300Kにおいて、インジウム原子の層に沿った過剰酸素の移動は非常に起こりやすいが、他の遷移形態は起こりにくい。T=723Kにおいては、インジウム原子の層に沿う過剰酸素の移動のみならず、インジウム原子の層に沿う酸素欠損の移動も起こりやすいが、過剰酸素についても酸素欠損についてもインジウム原子の層を横断する移動は困難である。
従って、例えばCAAC−OS膜のように、インジウム原子の層が当該層の被形成面または表面に平行な面上に存在する場合には、過剰酸素及び酸素欠損のいずれも当該層の被形成面または表面に沿って移動しやすいといえる。
以上説明したように、CAAC−OS膜では当該層の被形成面または表面に沿って移動しやすい。そのため、当該層の側面からの酸素抜けが問題となる。酸素抜けが生じると過剰酸素の数が減少してしまい、酸素欠損を埋めることが困難になる。酸素欠損が存在すると、スイッチング素子に用いるには好ましくないレベルにまでCAAC−OS膜の導電性が高まるおそれがある。
なお、前記説明では過剰酸素または酸素欠損がインジウム原子の層を横断する場合について説明したが、酸化物半導体層に含まれるインジウム以外の金属についても同様である。
続いて、島状のCAAC−OS膜の酸素脱離について、昇温脱離ガス分光法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)を用いて分析した結果を説明しておく。
分析は、4種類の試料についておこなった。図60は、各試料の構造を説明する概略図である。図60(A1)は、試料7810の上面図であり、図60(B1)は、図60(A1)中のU1−U2の鎖線で示した部位の断面図である。図60(A2)は、試料7820の上面図であり、図60(B2)は、図60(A2)中のU3−U4の鎖線で示した部位の断面図である。図60(A3)は、試料7830の上面図であり、図60(B3)は、図60(A3)中のU5−U6の鎖線で示した部位の断面図である。図60(A4)は、試料7840の上面図であり、図60(B4)は、図60(A4)中のU7−U8の鎖線で示した部位の断面図である。なお、図面をわかりやすくするため、図60(A1)乃至図60(A4)において、一部の構成要素の記載を省略している。
図60(A1)及び図60(B1)に示す試料7810は、シリコンウェハーを用いた基板7801上に、下地層7802として厚さ20nmの熱酸化膜を有し、下地層7802上の全面に、厚さ300nmの酸化物半導体層7803を有する。酸化物半導体層7803は、組成がIn:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]の金属酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により形成したCAAC−OS膜である。
図60(A2)及び図60(B2)に示す試料7820は、試料7810の酸化物半導体層7803を、フォトリソグラフィ工程を用いて島状の酸化物半導体層7804とした構成を有する。島状の酸化物半導体層7804は、一つが10μm×10μmの大きさを有し、基板7801上の全面に、3μm間隔でマトリクス状に配置されている。
図60(A3)及び図60(B3)に示す試料7830は、試料7820の島状の酸化物半導体層7804と重畳して金属層7805を有する。具体的には、試料7810上に金属層7805となる厚さ100nmのタングステン層を形成し、フォトリソグラフィ工程を用いてタングステン層と酸化物半導体層7803を同一工程でエッチングして形成する。よって、金属層7805は島状の酸化物半導体層7804の上面にのみ接して形成されている。金属層7805及び島状の酸化物半導体層7804は、一つが10μm×10μmの大きさを有し、基板7801上の全面に、13μm間隔でマトリクス状に配置されている。
図60(A4)及び図60(B4)に示す試料7840は、試料7820の島状の酸化物半導体層7804の端部を覆うように金属層7806が形成された構成を有する。具体的には、試料7820上に金属層7806となる厚さ100nmのタングステン層を形成し、フォトリソグラフィ工程を用いて島状の酸化物半導体層7804の上面と重畳する8μm×8μmの領域のタングステン層を除去して形成した。
図61に、試料7810乃至試料7840のTDS分析結果を示す。図61(A)は試料7810のTDS分析結果であり、図61(B)は試料7820のTDS分析結果であり、図61(C)は試料7830のTDS分析結果であり、図61(D)は試料7840のTDS分析結果である。図61(A)乃至図61(D)において、横軸は基板温度を示し、縦軸は酸素分子の検出強度を示している。図61(B)及び図61(C)より、島状の酸化物半導体層7804の側面が露出した試料7820及び試料7830では、基板温度の上昇に伴い酸素分子が検出され、基板温度が200℃付近で最も強く検出されていることがわかる。また、図61(A)及び図61(D)より、試料7810及び試料7840では、基板温度が上昇しても酸素分子の検出強度にほとんど変化が見られず、ノイズレベルのままであった。試料7840は端面が金属層7806で覆われており、試料7810は酸化物半導体層7803を島状としていないため、実質的に側面が無いと見なすことができる。
このことから、島状の酸化物半導体層の酸素脱離は、端面からの酸素脱離が支配的であることがわかる。また、島状の酸化物半導体層の端面を金属層で覆うことで、酸化物半導体層内部の酸素脱離を防ぐ効果が得られることがわかる。