以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。また、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さないことがある。また、便宜上、ゲート絶縁膜等の絶縁膜は上面図には表さないことがある。
なお、本明細書等において「上」という用語は、構成要素の位置関係が「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁膜上のゲート電極」の表現であれば、ゲート絶縁膜とゲート電極との間に他の構成要素を含むものを除外しない。「下」についても同様である。
また、本明細書等において「電極」や「配線」という用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」という用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。
また、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」という用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
なお、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。
例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線などが含まれる。
なお、以下の説明において、第1、第2などの序数詞は、説明の便宜上付したものであり、その数を限定するものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、半導体装置の構成および作製方法の一態様を、図1乃至図4を用いて説明する。
<半導体装置の構成例>
図1(A)乃至図1(D)に、半導体装置の例として、トップゲート型のトランジスタ150および容量素子160を有する半導体装置の平面図および断面図の一例を示す。図1(A)は平面図であり、図1(B)は図1(A)における一点鎖線A−Bの断面図であり、図1(C)は図1(A)における一点鎖線C−Dの断面図であり、図1(D)は図1(A)における一点鎖線E−Fの断面図である。
図1に示すトランジスタ150は、絶縁表面を有する基板100上に設けられた、不純物添加領域102a、不純物添加領域102aを囲うチャネル形成領域102c、並びにチャネル形成領域102cを囲う不純物添加領域102bを含む酸化物半導体膜102と、酸化物半導体膜102上に設けられたゲート絶縁膜104と、ゲート絶縁膜104上の、チャネル形成領域102cと重畳するゲート電極106と、ゲート電極106の側面を少なくとも覆う側壁絶縁膜108aおよび側壁絶縁膜108bと、酸化物半導体膜102上の、ゲート電極106に囲まれ、不純物添加領域102aと電気的に接続されたソース電極110aと、酸化物半導体膜102の不純物添加領域102bの側端部を覆い、不純物添加領域102bと電気的に接続されたドレイン電極110bと、ソース電極110a、ドレイン電極110b、酸化物半導体膜102、側壁絶縁膜108a、側壁絶縁膜108bおよびゲート電極106上のバリア膜112と、バリア膜112上の層間絶縁膜114と、バリア膜112および層間絶縁膜114に設けられた開口を介してソース電極110aおよびドレイン電極110bとそれぞれ電気的に接続する配線116aおよび配線116bと、を有する構造となっている。
なお、ソース電極110aおよびドレイン電極110bは、互いに置換することが可能である。すなわち、本発明の一態様は、図1に示すようにソース電極110aがドレイン電極110bに囲まれる構成に限定されず、ドレイン電極がソース電極に囲まれる構成とすることも可能である。
また、図1に示す容量素子160は、下部電極膜130、上部電極膜134および、下部電極膜130と上部電極膜134の間に挟まれる電極間絶縁膜132を備える構造となっている。
<半導体装置の作製方法>
図2乃至図4を用いて、図1に示す半導体装置の作製工程の一例について説明する。
まず、基板100上に酸化物半導体膜102を形成する(図2(A)参照)。なお、酸化物半導体膜102を成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させ、絶縁表面を有する基板100の表面に付着している粉状物質(パーティクル、ごみともいう)や有機物を除去する処理(逆スパッタ処理とも言われる)を行うことが好ましい。なお、アルゴンに代えて、窒素、ヘリウム、酸素などのガスを用いてもよい。
基板100としては、アルミノシリケートガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラスなどのガラス材料を用いる。また、シリコンや炭化シリコンなどの単結晶半導体基板、多結晶半導体基板、シリコンゲルマニウムなどの化合物半導体基板、SOI基板などを適用することもでき、これらの基板上に半導体素子が設けられたものを、基板100として用いてもよい。
また、絶縁表面を有する基板100上に下地絶縁膜を形成してもよい。下地絶縁膜は、PE−CVD法またはスパッタリング法を用いて50nm以上2μm以下の膜厚で、酸化シリコン膜、酸化ガリウム膜、酸化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、または窒化酸化シリコン膜から選ばれた一層またはこれらの積層膜を用いる。下地絶縁膜により、基板100側からの不純物の侵入を抑制することができる。
下地絶縁膜は、加熱処理により酸素を放出する絶縁膜(酸素供給膜)を用いると好ましい。
「熱処理により酸素を放出する」とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy:昇温脱離ガス分光法)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上、好ましくは3.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは1.0×1020atoms/cm3以上、さらに好ましくは3.0×1020atoms/cm3以上であることをいう。
ここで、TDS分析にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量の測定方法について、以下に説明する。
TDS分析による気体の放出量は、スペクトルの積分値に比例する。このため、測定したスペクトルの積分値と標準試料の基準値との比により、気体の放出量を計算することができる。標準試料の基準値は、所定の原子密度を有する試料において、スペクトルの積分値に対する原子密度の割合である。
例えば、標準試料である所定の密度の水素を含むシリコンウェハのTDS分析結果、および絶縁膜のTDS分析結果から、絶縁膜の酸素分子の放出量(NO2)は、式(1)で求めることができる。ここで、TDS分析で得られる質量電荷比(M/z)が32で検出されるスペクトルの全てが酸素分子由来と仮定する。M/zが32のものとしてほかにCH3OHがあるが、存在する可能性が低いものとしてここでは考慮しない。また、酸素原子の同位体であるM/zが17の酸素原子およびM/zが18の酸素原子を含む酸素分子についても、自然界における存在比率が極微量であるため考慮しない。
NH2は、標準試料から脱離した水素分子を密度で換算した値である。SH2は、標準試料をTDSによるスペクトルの積分値である。ここで、標準試料の基準値を、NH2/SH2とする。SO2は、絶縁膜のTDS分析によるスペクトルの積分値である。αは、TDSにおけるスペクトル強度に影響する係数である。式(1)の詳細に関しては、特開平6−275697号公報を参照する。なお、上記絶縁膜の酸素の放出量は、電子科学株式会社製の昇温脱離分析装置EMD−WA1000S/Wを用い、標準試料として1×1016atoms/cm2の水素原子を含むシリコンウェハを用いて測定する。
また、TDS分析において、酸素の一部は酸素原子として検出される。酸素分子と酸素原子の比率は、酸素分子のイオン化率から算出することができる。なお、上述のαは酸素分子のイオン化率を含むため、酸素分子の放出量を評価することで、酸素原子の放出量についても見積もることができる。
なお、NO2は酸素分子の放出量である。酸素原子に換算したときの放出量は、酸素分子の放出量の2倍となる。
また、酸素供給膜の水素濃度が、7.2×1020atoms/cm3以上である場合には、トランジスタの初期特性のバラツキの増大、トランジスタの電気特性に関するチャネル長依存性の増大、さらにBTストレス試験において、大きく劣化するため、過剰酸素を含む絶縁膜の水素濃度は、7.2×1020atoms/cm3未満とする。即ち、酸化物半導体膜の水素濃度は5×1019atoms/cm3以下、かつ、過剰酸素を含む絶縁膜の水素濃度は、7.2×1020atoms/cm3未満とすることが好ましい。
さらに酸化物半導体膜を包み、かつ、過剰酸素を含む絶縁膜の外側に配置されるように、酸化物半導体膜の酸素の放出を抑えるブロッキング膜(AlOxなど)を設けると好ましい。
過剰酸素を含む絶縁膜またはブロッキング膜で酸化物半導体膜を包み込むことで、酸化物半導体膜において、化学量論比組成とほぼ一致するような状態、または化学量論的組成より酸素が多い過飽和の状態とすることができる。例えば、酸化物半導体膜の化学量論的組成が In:Ga:Zn:O=1:1:1:4[原子数比]である場合、 IGZOに含まれる酸素の原子数比は4より多い状態となる。
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンなどの「酸化窒化物」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものを示す。
なお、本明細書中において、窒化酸化シリコンなどの「窒化酸化物」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものを示す。
酸化物半導体膜102は、スパッタリング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、CVD法、パルスレーザ堆積法、ALD(Atomic Layer Deposition)法等を用いて成膜すればよい。また、酸化物半導体膜102は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタリング装置を用いて成膜してもよい。なお、酸化物半導体膜の膜厚は5nmより大きく200nm以下とし、10nm以上30nm以下とすることが好ましい。
酸化物半導体膜102中の酸素欠損をできるだけ少なくするためには、酸化物半導体膜102は、成膜雰囲気中のガス種に占める酸素ガスの割合が高い状態で成膜することが好ましいため、装置内に酸素を導入することが可能で、かつ、ガス流量の調整ができるスパッタリング装置を用いることが好ましいといえる。そして、スパッタリング装置の成膜チャンバー内への導入ガスは、全体の90%以上を酸素ガスとして、酸素ガスに加えて他のガスを用いる場合は、当該ガスは希ガスを用いることが望ましい。また、より好ましくは成膜チャンバー内への導入ガスを酸素ガスのみとし、成膜雰囲気中のガス種に占める酸素ガスの割合を極力100%に近づけることが望ましい。
また、酸化物半導体膜102に水素が多量に含まれると、酸化物半導体と結合することによって、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子を生じてしまう。これにより、トランジスタのしきい値電圧がマイナス方向にシフトしてしまう。そのため、酸化物半導体膜102において、水素濃度は、5×1018atoms/cm3未満、好ましくは1×1018atoms/cm3以下、より好ましくは5×1017atoms/cm3以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm3以下とすることが望ましい。なお、上述の酸化物半導体膜中の水素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)で測定されるものである。
上述の理由により、酸化物半導体膜102を成膜する際に用いるガスとしては、水、水素、水酸基または水素化物などの不純物が含まれないことが好ましい。または、純度が6N以上好ましくは7N以上(即ち、ガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)のガスを用いることが好ましい。
また、酸化物半導体膜102を成膜するにあたり、成膜室内の水分(水、水蒸気、水素、水酸基または水酸化物を含む)を除去するために、吸着型の真空ポンプ、例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段は、ターボ分子ポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて排気した成膜室は、例えば、水素原子、水(H2O)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該成膜室で成膜した酸化物半導体膜102に含まれる水素、水分などの不純物の濃度を低減できる。
一方、酸化物半導体膜102に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、酸化物半導体と結合することによって、キャリアが生成されることがあり、トランジスタのオフ電流が上昇する原因となる。そのため、酸化物半導体膜102において、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度は、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下とすることが望ましい。
なお、スパッタリング装置にて用いるターゲットは、相対密度が90%以上100%以下、好ましくは95%以上100%以下であることが望ましい。相対密度の高いターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜102は緻密な膜となる。
酸化物半導体膜102の材料として、例えば、In−M−Zn−O系材料を用いればよい。ここで、金属元素Mは酸素との結合エネルギーがInおよびZnよりも高い元素である。または、In−M−Zn−O系材料から酸素が脱離することを抑制する機能を有する元素である。金属元素Mの作用によって、酸化物半導体膜の酸素欠損の生成が抑制される。そのため、酸素欠損に起因するトランジスタの電気特性の変動を低減することができ、信頼性の高いトランジスタを得ることができる。
金属元素Mは、具体的にはAl、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Ga、Y、Zr、Nb、Mo、Sn、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、TaまたはWとすればよく、好ましくはAl、Ti、Ga、Y、Zr、CeまたはHfとする。金属元素Mは、前述の元素から一種または二種以上選択すればよい。また、金属元素Mに変えてGeを用いることもできる。
ここで、In−M−Zn−O系材料で表される酸化物半導体は、Inの濃度が高いほどキャリア移動度およびキャリア密度が高まる。結果、Inの濃度が高いほど導電率の高い酸化物半導体となる。
酸化物半導体膜102は、例えば非単結晶を有してもよい。非単結晶は、例えば、CAAC(C Axis Aligned Crystal)、多結晶、微結晶、非晶質部を有する。非晶質部は、微結晶、CAACよりも欠陥準位密度が高い。また、微結晶は、CAACよりも欠陥準位密度が高い。なお、CAACを有する酸化物半導体を、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)と呼ぶ。
酸化物半導体膜102は、例えばCAAC−OSを有してもよい。CAAC−OSは、例えば、c軸配向し、a軸または/およびb軸はマクロに揃っていない。
酸化物半導体膜102は、例えば微結晶を有してもよい。なお、微結晶を有する酸化物半導体を、微結晶酸化物半導体と呼ぶ。微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満のサイズの微結晶(ナノ結晶ともいう。)を膜中に含む。または、微結晶酸化物半導体膜は、例えば、1nm以上10nm未満の結晶部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体を有している。
酸化物半導体膜102は、例えば非晶質部を有してもよい。なお、非晶質部を有する酸化物半導体を、非晶質酸化物半導体と呼ぶ。非晶質酸化物半導体膜は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。または、非晶質酸化物半導体膜は、例えば、完全な非晶質であり、結晶部を有さない。
なお、酸化物半導体膜102が、CAAC−OS、微結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体の混合膜であってもよい。混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、を有する。また、混合膜は、例えば、非晶質酸化物半導体の領域と、微結晶酸化物半導体の領域と、CAAC−OSの領域と、の積層構造を有してもよい。
なお、酸化物半導体膜102は、例えば、単結晶を有してもよい。
酸化物半導体膜102は、複数の結晶部を有し、当該結晶部のc軸が被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向に揃っていることが好ましい。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。そのような酸化物半導体膜の一例としては、CAAC−OS膜がある。
CAAC−OS膜は、完全な非晶質ではない。CAAC−OS膜は、例えば、結晶部および非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体を有している。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部との境界、結晶部と結晶部との境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には明確な粒界(グレインバウンダリーともいう。)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は、粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、例えば、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃い、かつab面に垂直な方向から見て金属原子が三角形状または六角形状に配列し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸およびb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、80°以上100°以下、好ましくは85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−10°以上10°以下、好ましくは−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状または表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。また、結晶部は、成膜したとき、または成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行ったときに形成される。従って、結晶部のc軸は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトルまたは表面の法線ベクトルに平行な方向になるように揃う。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気特性の変動が小さい。よって、当該トランジスタは、信頼性が高い。
また、酸化物半導体膜は成膜直後において、化学量論的組成より酸素が多い過飽和の状態とすることが好ましい。例えば、スパッタリング法を用いて酸化物半導体膜を成膜する場合、成膜ガスの酸素の占める割合が多い条件で成膜することが好ましく、特に酸素雰囲気(酸素ガス100%)で成膜を行うことが好ましい。成膜ガスの酸素の占める割合が多い条件、特に酸素ガス100%の雰囲気で成膜すると、例えば、成膜温度を300℃以上としても、膜中からのZnの放出が抑えられる。
また、酸化物半導体膜102は、複数の酸化物半導体膜が積層された構造でもよい。例えば、酸化物半導体膜102を、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜の積層として、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜に、異なる組成の金属酸化物を用いてもよい。例えば、第1の酸化物半導体膜に三元系金属の酸化物を用い、第2の酸化物半導体膜に二元系金属の酸化物を用いてもよい。また、例えば、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜を、どちらも三元系金属の酸化物としてもよい。
また、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜の構成元素を同一とし、両者の組成を異ならせてもよい。例えば、第1の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:1:1とし、第2の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=3:1:2としてもよい。また、第1の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=1:3:2とし、第2の酸化物半導体膜の原子数比をIn:Ga:Zn=2:1:3としてもよい。
この時、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜のうち、ゲート電極に近い側(チャネル側)の酸化物半導体膜のInとGaの含有率をIn>Gaとするとよい。またゲート電極から遠い側(バックチャネル側)の酸化物半導体膜のInとGaの含有率をIn≦Gaとするとよい。
酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることによりs軌道のオーバーラップが多くなる傾向があるため、In>Gaの組成となる酸化物はIn≦Gaの組成となる酸化物と比較して高い移動度を備える。また、GaはInと比較して酸素欠損の形成エネルギーが大きく酸素欠損が生じにくいため、In≦Gaの組成となる酸化物はIn>Gaの組成となる酸化物と比較して安定した特性を備える。
チャネル側にIn>Gaの組成となる酸化物半導体を適用し、バックチャネル側にIn≦Gaの組成となる酸化物半導体を適用することで、トランジスタの移動度および信頼性をさらに高めることが可能となる。
また、また、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜に、結晶性の異なる酸化物半導体を適用してもよい。すなわち、単結晶酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、非晶質酸化物半導体、またはCAAC−OS膜を適宜組み合わせた構成としてもよい。また、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜の少なくともどちらか一方に非晶質酸化物半導体を適用すると、酸化物半導体膜102の内部応力や外部からの応力を緩和し、トランジスタの特性ばらつきが低減され、また、トランジスタの信頼性をさらに高めることが可能となる。
一方で、非晶質酸化物半導体は水素などのドナーとなる不純物を吸収しやすく、また、酸素欠損が生じやすいためn型化されやすい。このため、チャネル側の酸化物半導体膜は、CAAC−OS膜などの結晶性を有する酸化物半導体を適用することが好ましい。
また、酸化物半導体膜102を3層以上の積層構造とし、複数層の結晶性半導体膜で非晶質半導体膜を挟む構造としてもよい。また、結晶性半導体膜と非晶質半導体膜を交互に積層する構造としてもよい。
また、酸化物半導体膜102を複数層の積層構造とする場合の上記構成は、それぞれを適宜組み合わせて用いることができる。
また、酸化物半導体膜102を複数層の積層構造とし、各酸化物半導体膜の形成後に酸素を添加してもよい。酸素の添加は、酸素雰囲気下による熱処理や、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、酸素を含む雰囲気下で行うプラズマ処理などを用いることができる。
各酸化物半導体膜の形成毎に酸素を添加することで、酸化物半導体内の酸素欠損を低減する効果を高めることができる。
また、本実施の形態に示すトランジスタは、チャネルが形成される酸化物半導体膜にCAAC−OS膜を適用する場合に特に有用である。具体的に述べると、CAAC−OS膜は、側面端部から酸素の脱離に起因して当該側面近傍の領域が低抵抗化されやすい傾向があるからである。
以下、CAAC−OS膜の側面(端面)から酸素が脱離しやすい点について詳述する。
ここでは、酸化物半導体膜の一例として、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(以下、IGZOと呼ぶ)における、過剰酸素(化学量論比を越えて存在している酸素原子)および酸素欠損の動きやすさについて、科学技術計算結果を参照して説明する。
なお、計算はIn:Ga:Zn=3:1:2の原子数比のIGZOの一つのIn−O面に過剰酸素または酸素欠損が一つ存在するモデルを構造最適化によって作成(図18(A)乃至図18(C)および図20(A)乃至図20(C)を参照)し、NEB(Nudged Elastic Band)法を用いて最小エネルギー経路に沿った中間構造に対するエネルギーをそれぞれ算出した。
計算は、密度汎関数理論(DFT)に基づく計算プログラムソフト「OpenMX」を用いて行った。パラメータについて以下に説明する。
基底関数には、擬原子局在基底関数を用いた。この基底関数は、分極基底系STO(Slater Type Orbital)に分類される。
汎関数には、GGA/PBE(Generalized−Gradient−Approximation/Perdew−Burke−Ernzerhof)を用いた。
カットオフエネルギーは200Ryとした。
サンプリングk点は、5×5×3とした。
過剰酸素の動きやすさについての計算では、計算モデル内に存在する原子の数を85個とし、酸素欠損の動きやすさについての計算では、計算モデル内に存在する原子の数を83個とした。
過剰酸素または酸素欠損の動きやすさは、過剰酸素または酸素欠損が各々のサイトへ移動する際に越えることを要するエネルギーバリアの高さEbを計算することにより評価する。すなわち、移動に際して越えるエネルギーバリアの高さEbが高ければ移動しにくく、エネルギーバリアの高さEbが低ければ移動しやすい。
まず、過剰酸素の移動について説明する。過剰酸素の移動の計算に用いたモデルを図18に示す。計算は、以下の2つの遷移形態について行った。計算結果は、図19に示す。図19では、横軸を(過剰酸素の移動の)経路長とし、縦軸を図18(A)のモデルAの状態のエネルギーを基準(0eV)とした(移動に要する)エネルギーとしている。
過剰酸素の移動について、前記2つの遷移形態のうち、第1の遷移は、モデルAからモデルBへの遷移である。第2の遷移は、モデルAからモデルCへの遷移である。
なお、図18(A)乃至図18(C)中の”1”と表記されている酸素原子をモデルAの第1の酸素原子と呼ぶ。図18(A)乃至図18(C)中の”2”と表記されている酸素原子をモデルAの第2の酸素原子と呼ぶ。図18(A)乃至図18(C)中の”3”と表記されている酸素原子をモデルAの第3の酸素原子と呼ぶ。
図19から明らかなように、第1の遷移のエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)は、0.53eVであり、第2の遷移のエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)は、2.38eVである。そのため、第1の遷移では第2の遷移よりもエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)が低い。そのため、第1の遷移に要するエネルギーは第2の遷移に要するエネルギーよりも小さく、第1の遷移のほうが第2の遷移よりも起こりやすいといえる。
すなわち、モデルAの第1の酸素原子の移動は、モデルAの第3の酸素原子を押し出す方向よりも、モデルAの第2の酸素原子を押し出す方向に移動しやすいといえる。したがって、酸素原子はインジウム原子の層を越えて移動するよりもインジウム原子の層に沿って移動しやすいといえる。
次に、酸素欠損の移動について説明する。酸素欠損の移動の計算に用いたモデルを図20に示す。計算は、以下の2つの遷移形態について行った。計算結果は、図21に示す。図21では、横軸を(酸素欠損の移動の)経路長とし、縦軸を図20(A)のモデルAの状態のエネルギーを基準(0eV)とした(移動に要する)エネルギーとしている。
酸素欠損の移動について、前記2つの遷移形態のうち、第1の遷移は、モデルAからモデルBへの遷移である。第2の遷移は、モデルAからモデルCへの遷移である。
なお、図20(A)乃至図20(C)中の点線で描画している丸は、酸素欠損を表している。
図21から明らかなように、第1の遷移のエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)は、1.81eVであり、第2の遷移のエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)は、4.10eVである。そのため、第1の遷移では第2の遷移よりもエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)が低い。そのため、第1の遷移に要するエネルギーは第2の遷移に要するエネルギーよりも小さく、第1の遷移のほうが第2の遷移よりも起こりやすいといえる。
すなわち、モデルAの酸素欠損はモデルCの酸素欠損の位置よりも、モデルBの酸素欠損の位置の方に移動しやすいといえる。したがって、酸素欠損もインジウム原子の層を越えて移動するよりもインジウム原子の層に沿って移動しやすいといえる。
次に、前記した4つの遷移形態の起こりやすさを別の側面から比較するために、これらの遷移の温度依存性について説明する。前記した4つの遷移形態とは、(1)過剰酸素の第1の遷移(2)過剰酸素の第2の遷移(3)酸素欠損の第1の遷移(4)酸素欠損の第2の遷移の4つである。
これらの遷移の温度依存性は、単位時間あたりの移動頻度により比較する。ここで、ある温度T(K)における移動頻度Z(/秒)は、化学的に安定な位置における酸素原子の振動数Zo(/秒)を用いると、以下の式(2)で表される。
なお、前記式(2)において、Ebmaxは各遷移におけるエネルギーバリアの高さEbの最大値であり、kはボルツマン定数である。また、Zo=1.0×1013(/秒)を計算に用いる。
過剰酸素または酸素欠損が1秒間あたりに1度だけエネルギーバリアの高さEbの最大値(Ebmax)を越えて移動する場合(Z=1(/秒)の場合)、Tについて前記式(2)を解くと以下の通りである。
(1)過剰酸素の第1の遷移 Z=1においてT=206K(−67℃)
(2)過剰酸素の第2の遷移 Z=1においてT=923K(650℃)
(3)酸素欠損の第1の遷移 Z=1においてT=701K(428℃)
(4)酸素欠損の第2の遷移 Z=1においてT=1590K(1317℃)
一方、T=300K(27℃)の場合のZは、以下の通りである。
(1)過剰酸素の第1の遷移 T=300KにおいてZ=1.2×104(/秒)
(2)過剰酸素の第2の遷移 T=300KにおいてZ=1.0×10−27(/秒)
(3)酸素欠損の第1の遷移 T=300KにおいてZ=4.3×10−18(/秒)
(4)酸素欠損の第2の遷移 T=300KにおいてZ=1.4×10−56(/秒)
また、T=723K(450℃)の場合のZは、以下の通りである。
(1)過剰酸素の第1の遷移 T=723KにおいてZ=2.0×109(/秒)
(2)過剰酸素の第2の遷移 T=723KにおいてZ=2.5×10−4(/秒)
(3)酸素欠損の第1の遷移 T=723KにおいてZ=2.5(/秒)
(4)酸素欠損の第2の遷移 T=723KにおいてZ=2.5×10−16(/秒)
前記計算結果に鑑みると、過剰酸素は、T=300KにおいてもT=723Kにおいても、インジウム原子の層を越えて移動するよりもインジウム原子の層に沿って移動しやすいといえる。また、酸素欠損も、T=300KにおいてもT=723Kにおいても、インジウム原子の層を越えて移動するよりもインジウム原子の層に沿って移動しやすいといえる。
また、T=300Kにおいて、インジウム原子の層に沿った過剰酸素の移動は非常に起こりやすいが、他の遷移形態は起こりにくい。T=723Kにおいては、インジウム原子の層に沿う過剰酸素の移動のみならず、インジウム原子の層に沿う酸素欠損の移動も起こりやすいが、過剰酸素についても酸素欠損についてもインジウム原子の層を越える移動は困難である。
したがって、例えば、CAAC−OS膜のように、インジウム原子の層が当該膜の被形成面または表面に平行な面上に存在する場合には、過剰酸素および酸素欠損のいずれも当該層の被形成面または表面に沿って移動しやすいといえる。
以上説明したように、CAAC−OS膜で形成された酸化物半導体膜では当該膜の被形成面または表面に沿って移動しやすい。そのため、当該膜の側面からの酸素抜けが問題となる。酸素抜けが生じると過剰酸素の数が減少してしまい、酸素欠損を埋めることが困難になる。酸素欠損が存在すると、スイッチング素子に用いるには好ましくないレベルにまでCAAC−OS膜で形成された酸化物半導体膜の導電性が高まるおそれがある。
なお、前記説明では過剰酸素または酸素欠損がインジウム原子の層を越える場合について説明したが、酸化物半導体膜に含まれるインジウム以外の金属についても同様である。
前記説明した酸素抜けは、CAAC−OS膜で形成された酸化物半導体膜が島状に加工されている場合に特に顕著である。酸化物半導体膜が島状に加工されていると、酸化物半導体膜の側面の面積が増大するためである。
次に、絶縁表面を有する基板100および酸化物半導体膜102上に導電膜を成膜し、フォトリソグラフィ法、印刷法、インクジェット法などを用いて導電膜上にマスクを形成し、当該マスクを用いて導電膜の一部を選択的に除去して導電膜をパターン形成する(図2(B)参照)。
パターン形成した導電膜は、トランジスタ150においては、島状に形成された導電膜および島状に形成された導電膜を囲う導電膜があり、島状に形成された導電膜は、後の工程にて酸化物半導体膜102中に形成される不純物添加領域102aと電気的に接続されたソース電極110aとして機能する。また、島状に形成された導電膜を囲う導電膜は、酸化物半導体膜102の側端部を覆い、後の工程にて酸化物半導体膜102中に形成される不純物添加領域102bと電気的に接続されたドレイン電極110bとして機能する。なお、ドレイン電極110bの内周および外周が閉曲線、多角形または一部が曲線かつ残部が折れ線である。容量素子160においては、下部電極膜130として機能する。
ソース電極110a、ドレイン電極110bおよび下部電極膜130を形成するための導電膜としては、真空蒸着法やスパッタリング法などの物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)やプラズマCVD法などの化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)を用いて成膜すればよい。なお、導電膜の膜厚は、50nm以上1000nm以下とし、100nm以上700nm以下とすることが好ましい。
導電膜の材料としては、トランジスタ150および容量素子160の作製工程にて行われる加熱処理に耐えられる材料を用いる。例えば、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素を含む金属膜、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。また、アルミニウム、銅などの金属膜の下側または上側の一方または双方にチタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属膜またはそれらの金属窒化物膜(窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)を積層させた構成としても良い。または、導電性の金属酸化物を用いて導電膜を成膜してもよい。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ(In2O3−SnO2、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛(In2O3−ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
ソース電極110a、ドレイン電極110bの一部に銅膜やアルミニウム膜を用いる場合、銅やアルミニウムが酸化物半導体膜102に達することを防止するためのバリア膜を設けることが好ましい。銅やアルミニウムの移動を阻害するバリア膜としては、窒化タンタル膜、タングステン膜、窒化タングステン膜、モリブデン膜、窒化モリブデン膜、チタン膜、窒化チタン膜、クロム膜、窒化クロム膜が挙げられる。これらを適宜選択して、銅膜と接して設けることで、銅やアルミニウム膜が酸化物半導体膜102に達することを防止することができる。
また、ソース電極110a、ドレイン電極110bを積層構造とする場合は、例えば、膜厚30nmの窒化タンタル膜、膜厚200nmの銅膜、膜厚30nmのタングステン膜を積層してソース電極110a、ドレイン電極110bとすることができる。また、膜厚30nmの窒化タンタル膜に代えて、タングステン膜、窒化タングステン膜、窒化モリブデン膜、窒化チタン膜を用いてもよい。また、膜厚30nmのタングステン膜に代えて、モリブデン膜、タンタル膜、チタン膜を形成してもよい。銅膜を用いることにより、配線抵抗を低減することができる。また、銅膜上に、タングステン膜またはモリブデン膜を積層することで、銅が酸化物半導体膜102に達することを防止できる。
また、ソース電極110a、ドレイン電極110b、並びにそれらと同時に形成することのできる他の電極や配線は、端部をテーパー形状にすることが好ましい。電極や配線の端部をテーパー形状とすることで、それらの上部に形成される絶縁膜等の被覆性を向上させることができ、該被覆性の不良にともなう電気特性の低下や信頼性の低下を抑えることができる。なお、電極や配線の端部のテーパー角は60°±20°とすることがより好ましい。
なお、ソース電極110a、ドレイン電極110bおよび下部電極膜130を形成する際、酸化物半導体膜102は様々なダメージ(例えば、スパッタリング法を用いて導電膜を成膜する場合、導電膜を構成する元素が酸化物半導体膜102に対して衝突する。また、ドライエッチング法により導電膜の一部を除去する場合、エッチングガスが酸化物半導体膜102に対して衝突する)に曝される。このため、酸化物半導体膜102としてCAAC−OS膜などの結晶性を有する膜を形成した場合、一部が非晶質化する場合がある。この場合、ソース電極110a、ドレイン電極110bおよび下部電極膜130の形成後に加熱処理を行うことによって、酸化物半導体膜102の結晶性を回復することができる。当該加熱処理の加熱条件としては、300℃以上700℃以下、好ましくは300℃以上450℃以下の温度範囲で、酸素雰囲気下で行うことが好ましい。また、窒素雰囲気下、減圧下、大気(超乾燥エア)下で加熱処理を行ってもよい。
また、ドライエッチングやウェットエッチングなど、ガスや溶液などを用いてソース電極110a、ドレイン電極110bおよび下部電極膜130を形成する場合、酸化物半導体膜102の表面には、トランジスタ150の電気特性に悪影響を及ぼす不純物元素(例えば、銅、アルミニウム、塩素など)が付着する場合がある。このため、ソース電極110a、ドレイン電極110bおよび下部電極膜130形成後に、酸化物半導体膜102の表面をシュウ酸や希フッ酸などに曝す、またはプラズマ処理(例えば、N2Oプラズマ処理など。)を行うことにより、酸化物半導体膜102表面の不純物を除去することが好ましい。具体的には、酸化物半導体膜102の表面における銅濃度は1×1018atoms/cm3以下、好ましくは1×1017atoms/cm3以下とすることが望ましい。また、酸化物半導体膜の表面におけるアルミニウム濃度は1×1018atoms/cm3以下とすることが望ましい。また、酸化物半導体膜の表面における塩素濃度は2×1018atoms/cm3以下とすることが望ましい。
以上、酸化物半導体膜102の側端部をドレイン電極110bで覆うことで、酸化物半導体膜102側端部からの酸素脱離を防ぎ、寄生チャネルの生成を防ぐことができる。また、ソース電極(またはドレイン電極)と、酸化物半導体膜の側端部とが電気的に接続されない構造のトランジスタを作製することにより、ゲート電極とソース電極間の電圧に応じてソース電極とドレイン電極間の電流が適切に流れ、良好な電気特性を有することができる。
次に、絶縁表面を有する基板100、酸化物半導体膜102、ソース電極110a、ドレイン電極110bおよび下部電極膜130上に絶縁膜103を形成する(図2(C)参照)。なお、当該絶縁膜103は、後の工程にて加工を行うことにより、トランジスタ150においてはゲート絶縁膜104として機能し、容量素子160においては電極間絶縁膜132として機能する。
絶縁膜103は、十分な耐圧および絶縁性を有する酸素供給膜を用いることが好ましい。絶縁膜103としては、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法などの物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)やプラズマCVD法などの化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)を用いて、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ランタン膜などを単層または積層して形成することができる。
なお、絶縁膜103として酸素供給膜を用いることにより、上述の下地絶縁膜にて記載した内容と同様に、加熱処理によって当該酸化物絶縁膜の酸素の一部を放出させて酸化物半導体膜102に酸素を供給し、酸化物半導体膜102中の酸素欠損を補填することができる。なお、絶縁膜103に対して加熱処理を行うタイミングについては、絶縁膜103の成膜後であれば特段の限定はない。
また、絶縁膜103を積層構造とする場合、酸素供給膜上に酸素透過性や水蒸気透過性(水分透過性ともよぶ)の低いバリア膜が積層された構造が好ましい。これにより、酸化物半導体膜102から酸素が抜けてしまうことを抑制することができるため、酸素供給膜中の酸素を、酸化物半導体膜102に効率的に供給することができる。また、水素や水分が酸化物半導体膜102に侵入して拡散することを抑制することができる。酸素透過性や水蒸気透過性の低い膜としては、例えば、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜などを用いることができる。酸化アルミニウム膜を用いる場合、膜を高密度(膜密度3.2g/cm3以上、好ましくは3.6g/cm3以上)とすることによって、トランジスタ150に安定な電気特性を付与することができる。
酸素供給膜を、加熱処理により一部の酸素を放出させることのできる膜とするには、例えば、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法、プラズマ処理などを用い、膜中に酸素を添加すれば。好ましくは、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)方式を用いて、マイクロ波(例えば、周波数2.45GHz)により励起された酸素プラズマにより、膜中に酸素を添加すればよい。当該酸素プラズマ処理は、基板側(基板側に設置されたバイアス印加装置や基板自体)に直流バイアスを印加した状態でプラズマ処理を行うことが好ましいといえる。
なお、下地絶縁膜の説明にて記載した酸素供給膜についても、上述の酸素添加処理を行って形成することができる。
また、バリア膜は、上述のように酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜を直接形成する以外に、例えば、金属膜(酸化添加処理を行うことで、低い酸素透過性および低い水蒸気透過性を発現できる金属膜。例えば、アルミニウム膜などがある)を形成し、当該金属膜に対して酸素添加処理を行うことで、低い酸素透過性および低い水蒸気透過性を備えたバリア膜とすることもできる。このような方法により形成された膜は、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化酸化アルミニウム膜を直接形成する場合と比較してパーティクルの発生が少ないため、半導体装置の歩留まりの低減を抑制できる。
なお、下地絶縁膜の説明にて記載した酸素供給膜の基板側にバリア膜を形成してもよく、該バリア膜についても、上述の方法を用いて形成することができる。
次に、絶縁膜103上に導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成して当該レジストマスクを用いて導電膜を選択的にエッチングし、トランジスタ150のゲート電極106および容量素子160の上部電極膜134(および、これと同じ層で形成される配線を含む)を形成する(図2(D)参照)。なお、ゲート電極106は、ソース電極110aを囲うように形成される。また、ゲート電極106の内周および外周が閉曲線、多角形または一部が曲線かつ残部が折れ線である。
ゲート電極106および上部電極膜134を形成する導電膜としては、例えば、真空蒸着法やスパッタリング法などの物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)やプラズマCVD法などの化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)を用いて、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料を用いることができる。ゲート電極106および上部電極膜134に用いる導電膜としては、導電性の金属酸化物を用いて形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、インジウムスズ酸化物(In2O3−SnO2、ITOと略記する場合がある)、インジウム亜鉛酸化物(In2O3−ZnO)、または、これらの金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含有させたものを用いることができる。ゲート電極106および上部電極膜134は、上記の材料を用いて単層でまたは積層して形成することができる。形成方法も特に限定されず、蒸着法、CVD法、スパッタリング法、スピンコート法などの各種成膜方法を用いることができる。
また、絶縁膜103と接する側の導電膜の一層として、窒素を含む金属酸化物、具体的には、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜や、窒素を含むIn−Sn−O膜や、窒素を含むIn−Ga−O膜や、窒素を含むIn−Zn−O膜や、窒素を含むSn−O膜や、窒素を含むIn−O膜や、金属窒化膜(InN、SnNなど)を用いることができる。これらの膜は5eV(電子ボルト)、好ましくは5.5eV(電子ボルト)以上の仕事関数を有し、当該膜をゲート電極として用いた場合、トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。
ゲート電極106の一部に銅膜やアルミニウム膜を用いる場合、銅やアルミニウムが酸化物半導体膜102に達することを防止するためのバリア膜を設けることが好ましい。銅やアルミニウムの移動を阻害するバリア膜としては、窒化タンタル膜、タングステン膜、窒化タングステン膜、モリブデン膜、窒化モリブデン膜、チタン膜、窒化チタン膜、クロム膜、窒化クロム膜が挙げられる。これらを適宜選択して、銅膜と接して設けることで、銅やアルミニウム膜が酸化物半導体膜102に達することを防止することができる。
また、ゲート電極106を積層構造とする場合は、例えば、膜厚30nmの窒化タンタル膜、膜厚200nmの銅膜、膜厚30nmのタングステン膜を積層してソース電極110a、ドレイン電極110bとすることができる。また、膜厚30nmの窒化タンタル膜に代えて、タングステン膜、窒化タングステン膜、窒化モリブデン膜、窒化チタン膜を用いてもよい。また、膜厚30nmのタングステン膜に代えて、モリブデン膜、タンタル膜、チタン膜を形成してもよい。銅膜を用いることにより、配線抵抗を低減することができる。また、銅膜上に、タングステン膜またはモリブデン膜を積層することで、銅が酸化物半導体膜102に達することを防止できる。また、タングステン膜またはモリブデン膜は、仕事関数が比較的高いため、ゲート電極106として用いると、トランジスタのしきい値電圧がプラスになりやすい(すなわち、ノーマリーオフのトランジスタとなりやすい)ため、好適である。なお、絶縁膜103によって、銅が酸化物半導体膜102に達することを防止することができれば、タングステン膜およびモリブデン膜は形成しなくともよい。
なお、ゲート電極106および上部電極膜134を形成するためのレジストマスクは、インクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。また、導電膜のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。
次に、酸化物半導体膜102に不純物122を添加する処理を行って、自己整合的に不純物添加領域102a、不純物添加領域102bおよびチャネル形成領域102cを形成してもよい(図3(A)参照)。なお、チャネル形成領域102cの内側の酸化物半導体膜102中に不純物添加領域102aが形成され、チャネル形成領域102cの外側の酸化物半導体膜102中に不純物添加領域102bが形成される。
この際、ゲート電極106がマスクとして機能するため、ゲート電極106と重なる酸化物半導体膜102中には、不純物122が添加されず、チャネル形成領域102cが自己整合的に形成される。なお、ソース電極110aおよびドレイン電極110bと重なる酸化物半導体膜102にも不純物122が添加されないため、当該領域もチャネル形成領域102cと同一膜質を有する領域であると言えるが、本明細書では酸化物半導体膜を、「ゲート電極に電圧を印加することによりチャネルが形成される領域」と「ゲート電極に電圧を印加してもチャネルが形成されない領域」の2つに分けて説明を行うため、ソース電極110aおよびドレイン電極110bと重なる酸化物半導体膜102も広義の範囲では後者が当てはまり、本明細書では、不純物添加領域102aおよび不純物添加領域102bとして扱う。言い換えると、不純物添加領域102aおよび不純物添加領域102bは、酸化物半導体膜102中のチャネル形成領域102c以外の領域とも言える。
なお、酸化物半導体膜102のうち、不純物122が添加された領域は結晶構造が乱れ、非晶質状態になりやすい。このため、酸化物半導体膜102としてCAAC−OS膜などの結晶性を有する膜を用い、当該膜に対して不純物122を添加した場合、チャネル形成領域102cは不純物が添加されず結晶性を有する酸化物半導体膜の状態を保ち、ソース電極110aおよびドレイン電極110bと重ならない不純物添加領域102aおよび不純物添加領域102bは不純物が添加されて非晶質状態の酸化物半導体膜(または、非晶質状態を多く含む酸化物半導体膜)になりやすい。
非晶質状態の酸化物半導体膜(または、非晶質状態を多く含む酸化物半導体膜)は、CAAC−OS膜などの結晶性を有する酸化物半導体膜から水素などのドナーとなる不純物を吸収しやすいため、チャネル形成領域102cから不純物添加領域102aおよび不純物添加領域102bに当該不純物が吸収(ゲッタリングとも表現できる)されトランジスタ150の電気特性を良好なものとすることができる。
なお、不純物122としては、15族元素(代表的にはリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb))、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、窒素(N)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、インジウム(In)、フッ素(F)、塩素(Cl)、チタン(Ti)、および亜鉛(Zn)のいずれかから選択される一以上を用いることができる。また、酸化物半導体膜102に不純物122を添加する方法として、イオンドーピング法またはイオンインプランテーション法を用いることができる。
なお、酸化物半導体膜102に不純物122を添加する処理は、複数回行っても良い。酸化物半導体膜102に不純物122を添加する処理を複数回行う場合、不純物122は複数回すべてにおいて同じであってもよいし、1回の処理毎に変えてもよい。
なお、不純物122を添加する際に、図3(A)に示すように不純物122を注入する必要の無い部分をレジストマスク120などで覆った状態で不純物122を添加してもよい。これにより、不純物122の注入による膜へのダメージを低減することができる。
次に、ゲート電極106および上部電極膜134上に絶縁膜を形成し、該絶縁膜をエッチングして側壁絶縁膜108(側壁絶縁膜108a、側壁絶縁膜108bおよび側壁絶縁膜108c)を形成する(図3(B)参照)。さらに、ゲート電極106、側壁絶縁膜108をマスクとして、絶縁膜103を選択的にエッチングし、ゲート絶縁膜104および電極間絶縁膜132を形成する(図3(C)参照)。
側壁絶縁膜108となる絶縁膜は、絶縁膜103と同様の方法および材料を用いて形成すればよいが、好ましくは、酸化物絶縁膜(酸素供給膜)を用いて形成することが好ましい。これにより、加熱処理により絶縁膜中の酸素を、チャネル形成領域102cに供給することができる。
なお、側壁絶縁膜108となる絶縁膜は単層構造としてもよいが、本実施の形態のように酸素供給膜として機能する第1の膜と該第1の膜上の第2の膜のように複数の領域を有する構造とすることが好ましい。以下で理由を説明する。
また、側壁絶縁膜108形成後に膜中の深い部分(つまり、酸化物半導体膜102に近い部分)にまで酸素を添加する場合、イオン注入法やイオンドーピング法などを用い、強いエネルギーで酸素イオンを膜中に添加する処理が必要なる。このため、酸化物半導体膜102中に酸素イオンが強いエネルギーで添加され、酸化物半導体膜102の構造に悪影響を与える(例えば、酸化物半導体膜102の結晶性が悪くなるなど)場合がある。
上述の問題を解消するために、まずは第1の膜を薄く(具体的には、側壁絶縁膜108全体の膜厚の1/5以下、好ましくは1/10以下)形成し、酸化物半導体膜102へのダメージが無い、または少ない酸素添加処理(例えば、ICP方式を用いて、マイクロ波(例えば、周波数2.45GHz)により励起された酸素プラズマを用いたプラズマ処理など)を用いて、第1の膜を、加熱処理により酸素供給が可能な膜とする。その後、第2の膜を形成することで、側壁絶縁膜を平坦化処理に対応できる膜厚とすればよい。なお、側壁絶縁膜108に対して加熱処理を行うタイミングについては、側壁絶縁膜108の成膜後であれば特段の限定はない。
なお、本実施の形態では、第1の膜と第2の膜を同一の材料により形成しており、両者の界面を正確に確認することは難しいため、点線にて第1の膜と第2の膜を区別している。しかし、異なる材料を用いて第1の膜と第2の膜を形成した場合は、この限りではない。
次に、ソース電極110a、ドレイン電極110b、酸化物半導体膜102、側壁絶縁膜108、ゲート電極106、下部電極膜130および上部電極膜134上に導電膜111を形成する(図3(D)参照)。
導電膜111としては、真空蒸着法やスパッタリング法などの物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)やプラズマCVD法などの化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)を用いてアルミニウムやチタン等を成膜すればよい。
次に、導電膜111に不純物124を添加し、N2雰囲気下で熱処理を行、酸化物半導体膜102に金属を拡散させる(図4(A)参照)。
不純物124としては、例えば、アルゴンを用いることができる。不純物124の添加は、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法で行うプラズマ処理などを用いることができる。
次に、導電膜111を除去する(図4(B)参照)。
このようにすることで、導電膜111の金属が酸化物半導体膜102に拡散し、不純物添加領域102aおよび不純物添加領域102bにおける酸化物半導体膜102の結晶構造が乱れ、酸化物半導体膜102が非晶質状態になり、導電膜111が接していた酸化物半導体膜102の領域をさらに低抵抗な領域102a1および低抵抗な領域102b1にすることができる。
次に、ソース電極110a、ドレイン電極110b、酸化物半導体膜102、側壁絶縁膜108、ゲート電極106、下部電極膜130および上部電極膜134上にバリア膜112を形成し、バリア膜112上に層間絶縁膜114を形成する(図4(C)参照)。
バリア膜112は、酸化アルミニウム膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化窒化アルミニウム膜、または酸化ガリウム膜などの無機絶縁膜などを用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化マグネシウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ランタン膜、酸化バリウム膜、または金属窒化物膜(例えば、窒化アルミニウム膜)も用いることができる。
また、先述した導電膜111としてアルミニウム膜を用い、アルミニウム膜に不純物124として酸素を添加することによって得られる酸化アルミニウム膜をバリア膜112に用いることもできる。
このようにすることで、導電膜111をそのまま用いることができ、バリア膜成膜時によるパーティクル、ごみなどの発生を抑制することができる。また、導電膜111を除去する工程および新たにバリア膜112を形成する工程を省くことができる。
層間絶縁膜114の材料としては、酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化タンタル、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化窒化アルミニウム、または窒化酸化シリコン等を用いて形成することができる。層間絶縁膜114は、単層でも積層でも構わない。また、層間絶縁膜114は、ゲート絶縁膜104などと同様に酸素供給膜とバリア膜の積層構造としてもよい。
次に、バリア膜112および層間絶縁膜114に設けられた開口を介してソース電極110aおよびドレイン電極110bとそれぞれ電気的に接続する配線116aおよび配線116bを形成する(図4(D)参照)。
配線116aおよび配線116bは、ゲート電極106と同様な材料および方法を用いて形成することができる。このようにして、トランジスタ150および容量素子160を作製することができる。
なお、本実施の形態では、トランジスタ150のドレイン電極110bが酸化物半導体膜102の上面に接して形成された構造であるが、図5に示すようにドレイン電極110bが酸化物半導体膜102の下面に接して形成された構造としてもよい。
上述構造は、本実施の形態にて記載した酸化物半導体膜102とドレイン電極110bの形成順序を逆にすることで形成することができ、その他の工程については本実施の形態に記載の作製方法を参照して形成することができる。
上述の構造は、導電膜を加工してドレイン電極110bを形成した後に酸化物半導体膜102を形成するため、ドレイン電極110b形成時に酸化物半導体膜102にダメージを与えることが無いため、トランジスタの電気特性を良好なものとできる。
以上、酸化物半導体膜102の側端部をドレイン電極110bで覆うことで、酸化物半導体膜102側端部からの酸素脱離を防ぎ、寄生チャネルの生成を防ぐことができる。また、ソース電極(またはドレイン電極)と、酸化物半導体膜の側端部とが電気的に接続されない構造のトランジスタを作製することにより、ゲート電極とソース電極間の電圧に応じてソース電極とドレイン電極間の電流が適切に流れ、良好な電気特性を有することができる。また、該トランジスタと同一工程で、トランジスタのドレイン電極、ゲート絶縁膜およびゲート電極と同一の材料を用いて容量素子を形成することができる。
よって、良好なトランジスタ特性を有する、酸化物半導体を用いたトランジスタを提供すること、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、トランジスタと容量素子を同一工程にて形成できるため容量素子を効率よく形成できる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1にて記載した構造とは異なる構造の半導体装置について、その構造および作製方法の一態様を図6乃至図10を用いて説明する。
<半導体装置の構成例>
図6(A)乃至図6(D)に、半導体装置の例として、トップゲート型のトランジスタ170および容量素子180を有する半導体装置の平面図および断面図の一例を示す。図6(A)は平面図であり、図6(B)は図6(A)における一点鎖線A−Bの断面図であり、図6(C)は図6(A)における一点鎖線C−Dの断面図であり、図6(D)は図6(A)における一点鎖線E−Fの断面図である。
図6に示すトランジスタ170は、下地絶縁膜101と、下地絶縁膜101に埋め込まれ、上面の少なくとも一部が下地絶縁膜101から露出したソース電極110aと、下地絶縁膜101およびソース電極110a上に設けられた、不純物添加領域102a、不純物添加領域102aを囲うチャネル形成領域102c、およびチャネル形成領域102cを囲う不純物添加領域102bを含む酸化物半導体膜102と、酸化物半導体膜102上に設けられたゲート絶縁膜104と、ゲート絶縁膜104上の、チャネル形成領域102cと重畳するゲート電極106と、ゲート電極106の側面を少なくとも覆う側壁絶縁膜108aおよび側壁絶縁膜108bと、酸化物半導体膜102の不純物添加領域102bの側端部を覆い、不純物添加領域102bと電気的に接続されたドレイン電極110bと、ドレイン電極110b、酸化物半導体膜102、側壁絶縁膜108a、側壁絶縁膜108bおよびゲート電極106上のバリア膜112と、バリア膜112上の層間絶縁膜114と、バリア膜112および層間絶縁膜114に設けられた開口を介してドレイン電極110bとそれぞれ電気的に接続する配線116bと、を有する構造となっている。
なお、ソース電極110aおよびドレイン電極110bは、互いに置換することが可能である。すなわち、本発明の一態様は、図6に示すようにソース電極110aがドレイン電極110bに囲まれる構成に限定されず、ドレイン電極がソース電極に囲まれる構成とすることも可能である。
また、図6に示す容量素子180は、下部電極膜130、上部電極膜134および、下部電極膜130と上部電極膜134の間に挟まれる電極間絶縁膜132を備える構造となっている。
<半導体装置の作製方法>
図7乃至図10を用いて、図6に示す半導体装置の作製工程の一例について説明する。
まず、基板(図示せず)上に下地絶縁膜101を形成する(図7(A)参照)。
基板および下地絶縁膜101は、実施の形態1の基板100および下地絶縁膜と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
次に、フォトリソグラフィ工程により下地絶縁膜101上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行って開口を設け、下地絶縁膜101上および開口を充填するように導電膜109を形成する(図7(B)参照)。
次に、下地絶縁膜101が露出するまで導電膜109に対して除去(研磨)処理を行い、ソース電極110aを形成する(図7(C)参照)。
除去方法としては化学的機械研磨(Chemical Mechanical Polishing:CMP)処理を用いることが好適である。
なお、本実施の形態では、除去処理にCMP処理を用いたが、他の除去処理を用いてもよい。または、CMP処理等の研磨処理と、エッチング(ドライエッチング、ウェットエッチング)処理や、プラズマ処理などを組み合わせてもよい。除去処理に、エッチング処理、プラズマ処理などを組み合わせて行う場合、工程順は特に限定されず、導電膜109の材料、膜厚、および表面の凹凸状態に合わせて適宜設定すればよい。また、CMP処理で導電膜109の大部分を除去し、残りの導電膜109をドライエッチング処理で除去してもよい。
なお、CMP処理は、1回のみ行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回に分けてCMP処理を行う場合は、高い研磨レートの一次研磨を行った後、低い研磨レートの仕上げ研磨を行うことが好ましい。このように研磨レートの異なる研磨を組み合わせることによって、ソース電極110aの表面の平坦性をより向上させることができる。
上記のような構成にすることで、下地絶縁膜101の上面とソース電極110aの上面との高さを揃えることができ、後の工程で形成される薄膜の被覆性を向上させることができ、薄い膜や配線の段切れを抑制することができる。
導電膜109は、実施の形態1のソース電極110aおよびドレイン電極110bとなる導電膜と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
次に、下地絶縁膜101およびソース電極110a上に酸化物半導体膜102を形成する(図7(D)参照)。
酸化物半導体膜102は、実施の形態1と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
次に、下地絶縁膜101および酸化物半導体膜102上に導電膜を成膜し、フォトリソグラフィ法、印刷法、インクジェット法などを用いて導電膜上にマスクを形成し、当該マスクを用いて導電膜の一部を選択的に除去して導電膜をパターン形成する(図8(A)参照)。
パターン形成した導電膜は、トランジスタ170においては、ソース電極110aを囲う導電膜は、酸化物半導体膜102の側端部を覆い、後の工程にて酸化物半導体膜102中に形成される不純物添加領域102bと電気的に接続されたドレイン電極110bとして機能する。なお、また、ドレイン電極110bの内周および外周が閉曲線、多角形または一部が曲線かつ残部が折れ線である。容量素子180においては、下部電極膜130として機能する。
ドレイン電極110bおよび下部電極膜130となる導電膜は、実施の形態1のソース電極110aおよびドレイン電極110bとなる導電膜と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
以上、ソース電極(またはドレイン電極)と、酸化物半導体膜の側端部とが電気的に接続されない構造のトランジスタを作製することにより、ゲート電極とソース電極間の電圧に応じてソース電極とドレイン電極間の電流が適切に流れ、良好な電気特性を有することができる。
次に、下地絶縁膜101、酸化物半導体膜102、ドレイン電極110bおよび下部電極膜130上に絶縁膜103を形成する(図8(B)参照)。なお、当該絶縁膜103は、後の工程にて加工を行うことにより、トランジスタ170においてはゲート絶縁膜104として機能し、容量素子180においては電極間絶縁膜132として機能する。
絶縁膜103は、実施の形態1と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
次に、絶縁膜103上に導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ工程により導電膜上にレジストマスクを形成して当該レジストマスクを用いて導電膜を選択的にエッチングし、トランジスタ160のゲート電極106および容量素子180の上部電極膜134(および、これと同じ層で形成される配線を含む)を形成する(図8(C)参照)。なお、ゲート電極106は、ソース電極110aを囲うように形成される。また、ゲート電極106の内周および外周が閉曲線、多角形または一部が曲線かつ残部が折れ線である。
上記導電膜は、実施の形態1と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
次に、酸化物半導体膜102に不純物122を添加する処理を行って、自己整合的に不純物添加領域102a、不純物添加領域102bおよびチャネル形成領域102cを形成してもよい(図8(D)参照)。なお、チャネル形成領域102cの内側の酸化物半導体膜102中に不純物添加領域102aが形成され、チャネル形成領域102cの外側の酸化物半導体膜102中に不純物添加領域102bが形成される。
この際、ゲート電極106がマスクとして機能するため、ゲート電極106と重なる酸化物半導体膜102中には、不純物122が添加されず、チャネル形成領域102cが自己整合的に形成される。なお、ドレイン電極110bと重なる酸化物半導体膜102にも不純物122が添加されないため、当該領域もチャネル形成領域102cと同一膜質を有する領域であると言えるが、本明細書では酸化物半導体膜を、「ゲート電極に電圧を印加することによりチャネルが形成される領域」と「ゲート電極に電圧を印加してもチャネルが形成されない領域」の2つに分けて説明を行うため、ドレイン電極110bと重なる酸化物半導体膜102も広義の範囲では後者が当てはまり、本明細書では、不純物添加領域102aおよび不純物添加領域102bとして扱う。言い換えると、不純物添加領域102aおよび不純物添加領域102bは、酸化物半導体膜102中のチャネル形成領域102c以外の領域とも言える。
なお、不純物122を添加する際に、図8(D)に示すように不純物122を注入する必要の無い部分をレジストマスク120などで覆った状態で不純物122を添加してもよい。これにより、不純物122の注入による膜へのダメージを低減することができる。
不純物122の種類、添加方法等は、実施の形態1と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
次に、ゲート電極106および上部電極膜134上に絶縁膜を形成し、該絶縁膜をエッチングして側壁絶縁膜108(側壁絶縁膜108a、側壁絶縁膜108bおよび側壁絶縁膜108c)を形成する(図9(A)参照)。さらに、ゲート電極106、側壁絶縁膜108をマスクとして、絶縁膜103を選択的にエッチングし、ゲート絶縁膜104および電極間絶縁膜132を形成する(図9(B)参照)。
側壁絶縁膜108は、実施の形態1と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
次に、ドレイン電極110b、酸化物半導体膜102、側壁絶縁膜108、ゲート電極106、下部電極膜130および上部電極膜134上に導電膜111を形成する(図9(C)参照)。
導電膜111は、実施の形態1と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
次に、導電膜111に不純物124を添加し、N2雰囲気下で熱処理を行、酸化物半導体膜102に金属を拡散させる(図9(D)参照)。
不純物124の種類、添加方法等は、実施の形態1と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
次に、導電膜111を除去する(図10(A)参照)。
このようにすることで、導電膜111の金属が酸化物半導体膜102に拡散し、不純物添加領域102aおよび不純物添加領域102bにおける酸化物半導体膜102の結晶構造が乱れ、酸化物半導体膜102が非晶質状態になり、導電膜111が接していた酸化物半導体膜102の領域をさらに低抵抗な領域102a1および低抵抗な領域102b1にすることができる。
次に、ソース電極110a、ドレイン電極110b、酸化物半導体膜102、側壁絶縁膜108、ゲート電極106、下部電極膜130および上部電極膜134上にバリア膜112を形成し、バリア膜112上に層間絶縁膜114を形成する(図10(B)参照)。
バリア膜112は、実施の形態1と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
本実施の形態では、導電膜111としてアルミニウム膜を用い、アルミニウム膜に不純物124として酸素を添加することによって得られる酸化アルミニウム膜をバリア膜112に用いる。
また、先述した導電膜111としてアルミニウム膜を用い、アルミニウム膜に不純物124として酸素を添加することによって得られる酸化アルミニウム膜をバリア膜112に用いることもできる。
このようにすることで、導電膜111をそのまま用いることができ、バリア膜成膜時によるパーティクル、ごみなどの発生を抑制することができる。また、導電膜111を除去する工程および新たにバリア膜112を形成する工程を省くことができる。
層間絶縁膜114は、実施の形態1と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
次に、バリア膜112および層間絶縁膜114に設けられた開口を介してドレイン電極110bとそれぞれ電気的に接続する配線116bを形成する(図10(C)参照)。
配線116bは、実施の形態1と同様な材料および方法を用いて形成することができる。
このようにして、トランジスタ170および容量素子180を作製することができる。
なお、本実施の形態では、トランジスタ170のドレイン電極110bが酸化物半導体膜102の上面に接して形成された構造であるが、図5に示すようにドレイン電極110bが酸化物半導体膜102の下面に接して形成された構造としてもよい。
以上、酸化物半導体膜102の側端部をドレイン電極110bで覆うことで、酸化物半導体膜102側端部からの酸素脱離を防ぎ、寄生チャネルの生成を防ぐことができる。また、ソース電極(またはドレイン電極)と、酸化物半導体膜の側端部とが電気的に接続されない構造のトランジスタを作製することにより、ゲート電極とソース電極間の電圧に応じてソース電極とドレイン電極間の電流が適切に流れ、良好な電気特性を有することができる。また、該トランジスタと同一工程で、トランジスタのドレイン電極、ゲート絶縁膜およびゲート電極と同一の材料を用いて容量素子を形成することができる。
よって、良好なトランジスタ特性を有する、酸化物半導体を用いたトランジスタを提供すること、酸化物半導体を用いたトランジスタを有する信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また、トランジスタと容量素子を同一工程にて形成できるため容量素子を効率よく形成できる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1または実施の形態2に示す半導体装置を使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置の一例を、図面を用いて説明する。
図11は、半導体装置の構成の一例である。図11(A)に、半導体装置の断面図を、図11(B)に半導体装置の平面図を、図11(C)に半導体装置の回路図をそれぞれ示す。ここで、図11(A)は、図11(B)のG−Hにおける断面に相当する。
図11(A)および図11(B)に示す半導体装置は、下層に第1の半導体材料を用いたトランジスタ460を有し、上層に第2の半導体材料を用いたトランジスタ462およびトランジスタ462と同一工程により作製された容量素子464を有する。本実施の形態では、トランジスタ462および容量素子464として、実施の形態1のトランジスタ150および容量素子160を用いた場合の例を記載するが、上述の他の実施の形態で示すトランジスタおよび容量素子の構造を適用してもよい。
ここで、第1の半導体材料と第2の半導体材料は異なる禁制帯幅を持つ材料とすることが望ましい。例えば、第2の半導体材料を酸化物半導体以外の半導体材料(例えば、シリコン系半導体材料または化合物系半導体材料を)とし、第1の半導体材料を酸化物半導体とすればよい。酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタは、高速動作が容易である。一方で、酸化物半導体を用いたトランジスタは、その特性により長時間の電荷保持を可能とする。
なお、上記トランジスタは、いずれもnチャネル型トランジスタであるものとして説明するが、pチャネル型トランジスタを用いることができるのは言うまでもない。また、半導体装置に用いられる材料や半導体装置の構造など、半導体装置の具体的な構成をここで示すものに限定する必要はない。
トランジスタ460は、図11(A)に示すように酸化物半導体以外の半導体材料(例えば、シリコン、ゲルマニウム、または化合物半導体材料など。化合物半導体材料としては、例えば、GaAs、InP、SiC、ZnSe、GaN、SiGeなどを用いることができる。)を含む基板400に設けられたチャネル形成領域416と、チャネル形成領域416を挟むように設けられた不純物添加領域420と、不純物添加領域420に接する金属間化合物領域424と、チャネル形成領域416上に設けられたゲート絶縁膜408と、ゲート絶縁膜408上に設けられたゲート電極410と、を有する。なお、図において、明示的にはソース電極やドレイン電極を有しない場合があるが、便宜上、このような状態を含めてトランジスタと呼ぶ場合がある。また、この場合、トランジスタの接続関係を説明するために、ソース領域やドレイン領域を含めてソース電極やドレイン電極と表現することがある。つまり、本明細書において、ソース電極との記載には、ソース領域が含まれうる。
基板400上のトランジスタ460を覆うように絶縁膜428、および絶縁膜430が設けられている。なお、トランジスタ460において、ゲート電極410の側面に側壁絶縁膜(サイドウォール絶縁膜)を設け、不純物濃度が異なる領域を含む不純物添加領域420としてもよい。
単結晶半導体基板を用いたトランジスタ460は、高速動作が可能である。このため、当該トランジスタを読み出し用のトランジスタとして用いることで、情報の読み出しを高速に行うことができる。トランジスタ460を覆うように絶縁膜を2層形成する。そして、絶縁膜428および絶縁膜430上にトランジスタ462および容量素子464を形成する前処理として、絶縁膜428および絶縁膜430に除去処理を施して、絶縁膜428、絶縁膜430を平坦化し、同時にゲート電極410の上面を露出させる。なお、ここでの除去処理は、上述実施の形態に記載した除去処理と同様である。
絶縁膜428、絶縁膜430は、代表的には酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、窒化酸化シリコン膜、窒化酸化アルミニウム膜などの無機絶縁膜を用いることができる。絶縁膜428、絶縁膜430は、プラズマCVD法またはスパッタリング法等を用いて形成することができる。
また、ポリイミド、アクリル樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、等の有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)等を用いることができる。有機材料を用いる場合、スピンコート法、印刷法などの湿式法によって絶縁膜428、絶縁膜430を形成してもよい。
なお、本実施の形態において、絶縁膜428として窒化シリコン膜、絶縁膜430として酸化シリコン膜を用いる。
本実施の形態では、除去処理(例えば、CMP処理)により十分に平坦化した絶縁膜428、絶縁膜430(好ましくは絶縁膜428および絶縁膜430表面の平均面粗さは0.15nm以下)の上に、第1の層間膜442および第2の層間膜444が設けられている。第1の層間膜442および第2の層間膜444は、実施の形態1の絶縁膜103と同様の方法および材料を用いて形成することができる。
また、第1の層間膜442および第2の層間膜444に形成した開口部を介してゲート電極410と電気的に接続された配線446が第2の層間膜444上に設けられ、配線446を形成することにより生じた段差を平坦にする平坦化膜として機能する第3の層間膜448が設けられている。配線446は、実施の形態1の配線116aおよび配線116bと同様の方法および材料を用いて形成することができる。また、第3の層間膜448は、実施の形態1の層間絶縁膜114と同様の方法および材料を用いて形成することができる。
また、第3の層間膜448上には、下層(トランジスタ460のある層)と上層(トランジスタ462のある層)の間でトランジスタの特性に影響を及ぼし得る不純物の移動を抑制する機能を有する第4の層間膜450が設けられ、第4の層間膜450上には、トランジスタ462の半導体膜(特に、チャネル形成領域102c)に酸素を供給する機能を有する下地絶縁膜452が設けられている。第4の層間膜450としては、実施の形態1のバリア膜112と同様の方法および材料を用いて形成することができる。また、下地絶縁膜452としては、実施の形態1の酸素供給膜と同様の方法および材料を用いて形成することができる。
そして、下地絶縁膜452上にはトランジスタ462が設けられており、トランジスタ462のドレイン電極として機能し、かつ容量素子464の絶縁膜を挟む下部電極として機能するドレイン電極110bが、第4の層間膜450および下地絶縁膜452に設けられた開口部を通して配線446と電気的に接続されている。また、トランジスタ462は、配線116aにより層間絶縁膜114上に取り出され、配線116b上には保護膜456が設けられている。保護膜456は、層間絶縁膜114と同様の方法および材料を用いて形成すればよい。なお、本実施の形態のトランジスタと容量素子の構造は実施の形態1にて記載したドレイン電極110bと下部電極膜130が繋がった構成である以外は、構造や各構成要素は実施の形態1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図11(A)に示すトランジスタ462は、チャネル形成領域に酸化物半導体材料を用いたトランジスタである。ここで、トランジスタ462に含まれる酸化物半導体膜102は、上述の実施の形態にて記載したように、水分や水素などの不純物が極力除去されて高純度化されたものであることが望ましい。また、酸素欠損が十分に補填されたものであることが好ましい。このような酸化物半導体膜を用いることで、オフ電流の極めて小さいトランジスタ462を得ることができる。
トランジスタ462は、オフ電流が極めて小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作を必要としない、或いは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ない半導体記憶装置とすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
図11(A)および図11(B)において、トランジスタ460と、トランジスタ462とは、少なくとも一部が重畳するように設けられており、トランジスタ460のソース領域またはドレイン領域と酸化物半導体膜102の一部が重畳するように設けられていることが好ましい。また、トランジスタ460および容量素子464が重畳するように設けられていることが好ましい。例えば、容量素子464の下部電極膜として機能するドレイン電極110bおよび上部電極膜134は、トランジスタ460と少なくとも一部が重畳して設けられている。このような平面レイアウトを採用することにより、半導体装置の占有面積の低減を図ることができるため、高集積化を図ることができる。
なお、本実施の形態では、トランジスタ460のゲート電極410と、トランジスタ462のドレイン電極および容量素子464の下部電極膜として機能するドレイン電極110bは、配線446を介して電気的に接続されているが、直接接続していてもよい。また、本実施の形態では、トランジスタ460を含む層とトランジスタ462を含む層の間に、第1の層間膜442乃至第4の層間膜450および下地絶縁膜452が存在しているが、必ずしも全ての膜が必要ではなく、どの膜を形成するかについては、半導体装置に必要とされる特性、信頼性およびコストなどを鑑み、実施者が適宜選択すればよい。
次に、図11(A)および図11(B)に対応する回路構成の一例を図11(C)に示す。
図11(C)において、第1の配線(1st Line)とトランジスタ460のソース電極が電気的に接続され、第2の配線(2nd Line)とトランジスタ460のドレイン電極が電気的に接続されている。また、第3の配線(3rd Line)とトランジスタ462のソース電極(またはドレイン電極)が電気的に接続され、第4の配線(4th Line)と、トランジスタ462のゲート電極が電気的に接続されている。そして、トランジスタ460のゲート電極と、トランジスタ462のドレイン電極(またはソース電極)は、容量素子464の電極の他方と電気的に接続され、第5の配線(5th Line)と、容量素子464の電極の一方が電気的に接続されている。
図11(C)に示す半導体装置では、トランジスタ460のゲート電極の電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。なお、トランジスタ460の酸化物半導体は活性層(チャネル形成領域とも言える)に酸化物半導体(Oxide Semiconductor(OS))を用いているため、トランジスタの回路記号の横にOSという符号を付している。本明細書の他の図面についてもOSという符号を付しているトランジスタは上述と同様の意味を持つ。
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、第4の配線の電位を、トランジスタ462がオン状態となる電位にして、トランジスタ462をオン状態とする。これにより、第3の配線の電位が、トランジスタ460のゲート電極、および容量素子464に与えられる。すなわち、トランジスタ460のゲート電極には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のいずれかが与えられるものとする。その後、第4の配線の電位を、トランジスタ462がオフ状態となる電位にして、トランジスタ462をオフ状態とすることにより、トランジスタ460のゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
トランジスタ462のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ460のゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。
次に情報の読み出しについて説明する。第1の配線に所定の電位(定電位)を与えた状態で、第5の配線に適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ460のゲート電極に保持された電荷量に応じて、第2の配線は異なる電位をとる。一般に、トランジスタ460をnチャネル型とすると、トランジスタ460のゲート電極にHighレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ460のゲート電極にLowレベル電荷が与えられている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ460を「オン状態」とするために必要な第5の配線の電位をいうものとする。したがって、第5の配線の電位をVth_HとVth_Lの中間の電位V0とすることにより、トランジスタ460のゲート電極に与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいて、Highレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ460は「オン状態」となる。Lowレベル電荷が与えられていた場合には、第5の配線の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ460は「オフ状態」のままである。このため、第2の配線の電位を見ることで、保持されている情報を読み出すことができる。
なお、メモリセルをアレイ状に配置して用いる場合、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように情報を読み出さない場合には、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ460が「オフ状態」となるような電位、つまり、Vth_Hより小さい電位を第5の配線に与えればよい。または、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ460が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を第5の配線に与えればよい。
本実施の形態に示す半導体装置では、チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたオフ電流の極めて小さいトランジスタを適用することで、極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、ゲート絶縁膜の劣化といった問題が全く生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
以上のように、微細化および高集積化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装置、および該半導体装置の作製方法を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、実施の形態1または実施の形態2に示すトランジスタを使用し、電力が供給されない状況でも記憶内容の保持が可能で、かつ、書き込み回数にも制限が無い半導体装置について、実施の形態3に示した構成と異なる構成について、図12および図13を用いて説明を行う。
図12(A)は、半導体装置の回路構成の一例を示し、図12(B)は半導体装置の一例を示す概念図である。まず、図12(A)に示す半導体装置について説明を行い、続けて図12(B)に示す半導体装置について、以下説明を行う。
図12(A)に示す半導体装置において、ビット線BLとトランジスタ462のソース電極またはドレイン電極とは電気的に接続され、ワード線WLとトランジスタ462のゲート電極とは電気的に接続され、トランジスタ462のソース電極またはドレイン電極と容量素子464の第1の端子とは電気的に接続されている。
次に、図12(A)に示す半導体装置(メモリセル650)に、情報の書き込みおよび保持を行う場合について説明する。
まず、ワード線WLの電位を、トランジスタ462がオン状態となる電位として、トランジスタ462をオン状態とする。これにより、ビット線BLの電位が、容量素子464の第1の端子に与えられる(書き込み)。その後、ワード線WLの電位を、トランジスタ462がオフ状態となる電位として、トランジスタ462をオフ状態とすることにより、容量素子464の第1の端子の電位が保持される(保持)。
酸化物半導体を用いたトランジスタ462は、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。このため、トランジスタ462をオフ状態とすることで、容量素子464の第1の端子の電位(あるいは、容量素子464に蓄積された電荷)を極めて長時間にわたって保持することが可能である。
次に、情報の読み出しについて説明する。トランジスタ462がオン状態となると、浮遊状態であるビット線BLと容量素子464とが導通し、ビット線BLと容量素子464の間で電荷が再分配される。その結果、ビット線BLの電位が変化する。ビット線BLの電位の変化量は、容量素子464の第1の端子の電位(あるいは容量素子464に蓄積された電荷)によって、異なる値をとる。
例えば、容量素子464の第1の端子の電位をV、容量素子464の容量をC、ビット線BLが有する容量成分(以下、ビット線容量とも呼ぶ)をCB、電荷が再分配される前のビット線BLの電位をVB0とすると、電荷が再分配された後のビット線BLの電位は、(CB×VB0+C×V)/(CB+C)となる。従って、メモリセル650の状態として、容量素子464の第1の端子の電位がV1とV0(V1>V0)の2つの状態をとるとすると、電位V1を保持している場合のビット線BLの電位(=CB×VB0+C×V1)/(CB+C))は、電位V0を保持している場合のビット線BLの電位(=CB×VB0+C×V0)/(CB+C))よりも高くなることがわかる。
そして、ビット線BLの電位を所定の電位と比較することで、情報を読み出すことができる。
このように、図12(A)に示す半導体装置は、トランジスタ462のオフ電流が極めて小さいという特徴から、容量素子464に蓄積された電荷は長時間にわたって保持することができる。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
次に、図12(B)に示す半導体装置について、説明を行う。
図12(B)に示す半導体装置は、上部に記憶回路として図12(A)に示したメモリセル650を複数有するメモリセルアレイ651aおよびメモリセルアレイ651bを有し、下部に、メモリセルアレイ651(メモリセルアレイ651aおよびメモリセルアレイ651b)を動作させるために必要な周辺回路653を有する。なお、周辺回路653は、メモリセルアレイ651と電気的に接続されている。このような構成とすることにより、半導体装置の小型化を図ることができる。
周辺回路653に設けられるトランジスタは、トランジスタ462とは異なる半導体材料を用いるのがより好ましい。例えば、シリコン、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、またはガリウムヒ素等を用いることができ、単結晶半導体を用いることが好ましい。他に、有機半導体材料などを用いてもよい。このような半導体材料を用いたトランジスタは、十分な高速動作が可能である。したがって、該トランジスタにより、高速動作が要求される各種回路(論理回路、駆動回路など)を好適に実現することが可能である。
なお、図12(B)に示した半導体装置では、2つのメモリセルアレイ651(メモリセルアレイ651aと、メモリセルアレイ651b)が積層された構成を例示したが、積層するメモリセルの数はこれに限定されない。3つ以上のメモリセルを積層する構成としても良い。
次に、図12(A)に示したメモリセル650の具体的な構成について図13を用いて説明を行う。
図13は、メモリセル650の構成の一例である。図13(A)に、メモリセル650の断面図を、図13(B)にメモリセル650の平面図をそれぞれ示す。ここで、図13(A)は、図13(B)のI−Jにおける断面に相当する。
下地絶縁膜452上に設けられたトランジスタ462は、実施の形態1または実施の形態3で示した構成と同一の構成とすることができる。
図13(A)および図13(B)に示す半導体装置は、上層に第2の半導体材料を含んで構成されるトランジスタ462およびトランジスタ462と同一工程により作製された容量素子464を備えている。また、下層に第1の半導体材料を含んで構成されるトランジスタ492を備えている。本実施の形態では、トランジスタ462および容量素子464として、実施の形態1のトランジスタ150および容量素子160を用いた場合の例を記載するが、上述の他の実施の形態で示すトランジスタおよび容量素子の構造を適用してもよい。
トランジスタ462のドレイン電極110bが容量素子464の下部電極膜として機能し、トランジスタ462のゲート電極106と容量素子464の上部電極が、同一材料および同一工程により形成されている。また、トランジスタ462のゲート絶縁膜104と容量素子464の電極間絶縁膜132が、同一材料および同一工程により形成されている。そして、トランジスタ462と容量素子464は、ドレイン電極110bにより電気的に接続されている。
トランジスタ462および容量素子464の上には層間絶縁膜114が設けられ、層間絶縁膜114上に、メモリセル650と隣接するメモリセル650を接続するための配線116bが、トランジスタ462のドレイン電極110bに接して設けられている。なお、配線116bは、図12(A)の回路図におけるビット線BLに相当する。また、配線116cによりトランジスタ462のゲート電極として機能するゲート電極106が層間絶縁膜114上に取り出されている。なお、配線116cは、図12(B)の回路図におけるワード線WLに相当する。
図13(A)に示す平面レイアウトを採用することにより、半導体装置の占有面積の低減を図ることができるため、高集積化を図ることができる。
以上のように、下地絶縁膜452上に形成された複数のメモリセルは、酸化物半導体を用いたトランジスタにより形成されている。酸化物半導体を用いたトランジスタは、オフ電流が小さいため、これを用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。
なお、図13(A)のように、実施の形態3と同様にトランジスタ462を含む層の下にトランジスタ492を含む層など複数の層を積層してもよい。例えば、図13(A)では、単結晶半導体基板を活性層として用いたトランジスタ492および、MOS構造の容量素子494を備える層が、トランジスタ462を含む層の下に設けられている。なお、トランジスタ492および、MOS構造の容量素子494を備える層に設けられた各半導体素子は、隔壁490により各々が分離されている。
このように、酸化物半導体以外の材料を用いたトランジスタ(換言すると、十分な高速動作が可能なトランジスタ)を用いた周辺回路と、酸化物半導体を用いたトランジスタ(より広義には、十分にオフ電流が小さいトランジスタ)を用いた記憶回路とを一体に備えることで、これまでにない特徴を有する半導体装置を実現することができる。また、周辺回路と記憶回路を積層構造とすることにより、半導体装置の集積化を図ることができる。
以上のように、微細化および高集積化を実現し、かつ高い電気的特性を付与された半導体装置、および該半導体装置の作製方法を提供することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態5)
上記実施の形態に開示したトランジスタを少なくとも一部に用いてCPU(Central Processing Unit)を構成することができる。
図14(A)は、CPUの具体的な構成を示すブロック図である。図14(A)に示すCPUは、基板1190上に、演算回路(ALU:Arithmetic logic unit)1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、タイミングコントローラ1195、レジスタ1196、レジスタコントローラ1197、バスインターフェース(Bus I/F)1198、書き換え可能なROM1199、およびROMインターフェース(ROM I/F)1189を有している。基板1190は、半導体基板、SOI基板、ガラス基板などを用いる。ROM1199およびROMインターフェース1189は、別チップに設けてもよい。もちろん、図14(A)に示すCPUは、その構成を簡略化して示した一例にすぎず、実際のCPUはその用途によって多種多様な構成を有している。
バスインターフェース1198を介してCPUに入力された命令は、インストラクションデコーダ1193に入力され、デコードされた後、ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195に入力される。
ALUコントローラ1192、インタラプトコントローラ1194、レジスタコントローラ1197、タイミングコントローラ1195は、デコードされた命令に基づき、各種制御を行う。具体的にALUコントローラ1192は、ALU1191の動作を制御するための信号を生成する。また、インタラプトコントローラ1194は、CPUのプログラム実行中に、外部の入出力装置や、周辺回路からの割り込み要求を、その優先度やマスク状態から判断し、処理する。レジスタコントローラ1197は、レジスタ1196のアドレスを生成し、CPUの状態に応じてレジスタ1196の読み出しや書き込みを行う。
また、タイミングコントローラ1195は、ALU1191、ALUコントローラ1192、インストラクションデコーダ1193、インタラプトコントローラ1194、およびレジスタコントローラ1197の動作のタイミングを制御する信号を生成する。例えば、タイミングコントローラ1195は、基準クロック信号CLK1を元に、内部クロック信号CLK2を生成する内部クロック生成部を備えており、内部クロック信号CLK2を上記各種回路に供給する。
図14(A)に示すCPUでは、レジスタ1196に、メモリセルが設けられている。レジスタ1196のメモリセルには、上記実施の形態に記載されている半導体装置を含むメモリセルを用いることができる。
図14(A)に示すCPUにおいて、レジスタコントローラ1197は、ALU1191からの指示に従い、レジスタ1196における保持動作の選択を行う。すなわち、レジスタ1196が有するメモリセルにおいて、論理(値)を反転させる論理素子によるデータの保持を行うか、容量素子によるデータの保持を行うかを、選択する。論理(値)を反転させる論理素子によるデータの保持が選択されている場合、レジスタ1196内のメモリセルへの、電源電圧の供給が行われる。容量素子におけるデータの保持が選択されている場合、容量素子へのデータの書き換えが行われ、レジスタ1196内のメモリセルへの電源電圧の供給を停止することができる。
電源停止に関しては、図14(B)または図14(C)に示すように、メモリセル群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設けることにより行うことができる。以下に図14(B)および図14(C)の回路の説明を行う。
図14(B)および図14(C)では、メモリセルへの電源電位の供給を制御するスイッチング素子に、上記実施の形態に開示したトランジスタを含む記憶回路の構成の一例を示す。
図14(B)に示す記憶装置は、スイッチング素子1141と、メモリセル1142を複数有するメモリセル群1143とを有している。具体的に、各メモリセル1142には、上記実施の形態に記載されているメモリセルを用いることができる。メモリセル群1143が有する各メモリセル1142には、スイッチング素子1141を介して、ハイレベルの電源電位VDDが供給されている。さらに、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142には、信号INの電位と、ローレベルの電源電位VSSの電位が与えられている。
図14(B)では、スイッチング素子1141として、上記実施の形態に開示したトランジスタを用いており、該トランジスタは、そのゲート電極に与えられる信号SigAによりスイッチングが制御される。
なお、図14(B)では、スイッチング素子1141がトランジスタを一つだけ有する構成を示しているが、特に限定されず、トランジスタを複数有していてもよい。スイッチング素子1141が、スイッチング素子として機能するトランジスタを複数有している場合、上記複数のトランジスタは並列に接続されていてもよいし、直列に接続されていてもよいし、直列と並列が組み合わされて接続されていてもよい。
また、図14(B)では、スイッチング素子1141により、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142への、ハイレベルの電源電位VDDの供給が制御されているが、スイッチング素子1141により、ローレベルの電源電位VSSの供給が制御されていてもよい。
また、図14(C)には、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142に、スイッチング素子1141を介して、ローレベルの電源電位VSSが供給されている、記憶装置の一例を示す。スイッチング素子1141により、メモリセル群1143が有する各メモリセル1142への、ローレベルの電源電位VSSの供給を制御することができる。
メモリセル群と、電源電位VDDまたは電源電位VSSの与えられているノード間に、スイッチング素子を設け、一時的にCPUの動作を停止し、電源電圧の供給を停止した場合においてもデータを保持することが可能であり、消費電力の低減を行うことができる。具体的には、例えば、パーソナルコンピュータのユーザーが、キーボードなどの入力装置への情報の入力を停止している間でも、CPUの動作を停止することができ、それにより消費電力を低減することができる。
ここでは、CPUを例に挙げて説明したが、DSP(Digital Signal Processor)、カスタムLSI、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のLSIにも応用可能である。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
ところで、不揮発性のランダムアクセスメモリとして磁気トンネル接合素子(MTJ素子)が知られている。MTJ素子は、絶縁膜を介して上下に配置している膜中のスピンの向きが並行であれば低抵抗状態、反並行であれば高抵抗状態となることで情報を記憶する素子である。したがって、本実施の形態で示す酸化物半導体を用いたメモリとは原理が全く異なっている。表1はMTJ素子と、本実施の形態に係る半導体装置との対比を示す。
MTJ素子は磁性材料を使用するためキュリー温度以上にすると磁性が失われてしまうという欠点がある。また、MTJ素子は電流駆動であるため、シリコンのバイポーラデバイスと相性が良いが、バイポーラデバイスは集積化に不向きである。そして、MTJ素子は書き込み電流が微少とはいえメモリの大容量化によって消費電力が増大してしまうといった問題がある。
原理的にMTJ素子は磁界耐性に弱く強磁界にさらされるとスピンの向きが狂いやすい。また、MTJ素子に用いる磁性体のナノスケール化によって生じる磁化揺らぎを制御する必要がある。
さらに、MTJ素子は希土類元素を使用するため、金属汚染を嫌うシリコン半導体のプロセスに組み入れるには相当の注意を要する。MTJ素子はビット当たりの材料コストから見ても高価であると考えられる。
一方、本実施の形態で示す酸化物半導体を用いたトランジスタは、チャネルを形成する半導体材料が金属酸化物であること以外は、素子構造や動作原理がシリコンMOSFETと同様である。また、酸化物半導体を用いたトランジスタは磁界の影響を受けず、ソフトエラーも生じ得ないといった特質を有する。このことからシリコン集積回路と非常に整合性が良いといえる。
また、酸化物半導体を用いたトランジスタとシリコンを用いたトランジスタを組み合わせるメモリは、表1に示したように、スピントロニクスデバイスに比べて、耐熱性、3D化(3層以上の積層構造化)、磁界耐性など多くの点で有利である。なお、表1にあるオーバーヘッドの電力とは、複数のプロセッサが一つのロックについてスピンする時に、これらのプロセッサは、ロックについて競い、バスおよびシステム相互接続上で過剰なトラフィックを生成することによってシステム性能を低下させる、所謂オーバーヘッドに消費される電力のことである。
このように、スピントロニクスデバイスに比べて有利な点の多い酸化物半導体を用いたメモリを利用することで、CPUの省電力化が実現可能となる。
(実施の形態6)
本明細書に開示する半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画または動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯無線機、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、エアコンディショナーなどの空調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、煙感知器、放射線測定器、透析装置等の医療機器、などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム等の産業機器も挙げられる。また、石油を用いたエンジンや、非水系二次電池からの電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電気機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型または大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船が挙げられる。これらの電子機器の具体例を図15に示す。
図15(A)は、表示部を有するテーブル9000を示している。テーブル9000は、筐体9001に表示部9003が組み込まれており、表示部9003により映像を表示することが可能である。なお、4本の脚部9002により筐体9001を支持した構成を示している。また、電力供給のための電源コード9005を筐体9001に有している。
実施の形態1または実施の形態2に示すトランジスタは、表示部9003に用いることが可能であり、電子機器に高い信頼性を付与することができる。
表示部9003は、タッチ入力機能を有しており、テーブル9000の表示部9003に表示された表示ボタン9004を指などで触れることで、画面操作や、情報を入力することができ、また他の家電製品との通信を可能とする、または制御を可能とすることで、画面操作により他の家電製品をコントロールする制御装置としてもよい。例えば、イメージセンサ機能を有する半導体装置を用いれば、表示部9003にタッチ入力機能を持たせることができる。
また、筐体9001に設けられたヒンジによって、表示部9003の画面を床に対して垂直に立てることもでき、テレビジョン装置としても利用できる。狭い部屋においては、大きな画面のテレビジョン装置は設置すると自由な空間が狭くなってしまうが、テーブルに表示部が内蔵されていれば、部屋の空間を有効に利用することができる。
図15(B)は、携帯音楽プレーヤであり、本体3021には表示部3023と、耳に装着するための固定部3022と、スピーカー、操作ボタン3024、外部メモリスロット3025等が設けられている。実施の形態1または実施の形態2のトランジスタ、または実施の形態3または実施の形態4に示した半導体装置を本体3021に内蔵されているメモリやCPUなどに適用することにより、より省電力化された携帯音楽プレイヤー(PDA)とすることができる。
さらに、図15(B)に示す携帯音楽プレーヤにアンテナやマイク機能や無線機能を持たせ、携帯電話と連携させれば、乗用車などを運転しながらワイヤレスによるハンズフリーでの会話も可能である。
図15(C)はコンピュータであり、CPUを含む本体9201、筐体9202、表示部9203、キーボード9204、外部接続ポート9205、ポインティングデバイス9206等を含む。コンピュータは、本発明の一態様を用いて作製される半導体装置をその表示部9203に用いることにより作製される。実施の形態5に示したCPUを利用すれば、省電力化されたコンピュータとすることが可能となる。
図16(A)および図16(B)は2つ折り可能なタブレット型端末である。図16(A)は、開いた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、表示部9631a、表示部9631b、表示モード切り替えスイッチ9034、電源スイッチ9035、省電力モード切り替えスイッチ9036、留め具9033、操作スイッチ9038、を有する。
図16(A)および図16(B)に示すような携帯機器においては、画像データの一時記憶などにメモリとしてSRAMまたはDRAMが使用されている。例えば、実施の形態3または実施の形態4に説明した半導体装置をメモリとして使用することができる。先の実施の形態で説明した半導体装置をメモリに採用することによって、情報の書き込みおよび読み出しが高速で、長期間の記憶保持が可能で、かつ消費電力が十分に低減することができる。
また、表示部9631aは、一部をタッチパネルの領域9632aとすることができ、表示された操作キー9638にふれることでデータ入力をすることができる。なお、表示部9631aにおいては、一例として半分の領域が表示のみの機能を有する構成、もう半分の領域がタッチパネルの機能を有する構成を示しているが該構成に限定されない。表示部9631aの全ての領域がタッチパネルの機能を有する構成としても良い。例えば、表示部9631aの全面をキーボードボタン表示させてタッチパネルとし、表示部9631bを表示画面として用いることができる。
また、表示部9631bにおいても表示部9631aと同様に、表示部9631bの一部をタッチパネルの領域9632bとすることができる。また、タッチパネルのキーボード表示切り替えボタン9639が表示されている位置に指やスタイラスなどでふれることで表示部9631bにキーボードボタン表示することができる。
また、タッチパネルの領域9632aとタッチパネルの領域9632bに対して同時にタッチ入力することもできる。
また、表示モード切り替えスイッチ9034は、縦表示または横表示などの表示の向きを切り替え、白黒表示やカラー表示の切り替えなどを選択できる。省電力モード切り替えスイッチ9036は、タブレット型端末に内蔵している光センサで検出される使用時の外光の光量に応じて表示の輝度を最適なものとすることができる。タブレット型端末は光センサだけでなく、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサなどの他の検出装置を内蔵させてもよい。
また、図16(A)では表示部9631bと表示部9631aの表示面積が同じ例を示しているが特に限定されず、一方のサイズともう一方のサイズが異なっていてもよく、表示の品質も異なっていてもよい。例えば一方が他方よりも高精細な表示を行える表示パネルとしてもよい。
図16(B)は、閉じた状態であり、タブレット型端末は、筐体9630、太陽電池9633、充放電制御回路9634、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する。なお、図16(B)では充放電制御回路9634の一例としてバッテリー9635、DCDCコンバータ9636を有する構成について示している。
なお、タブレット型端末は2つ折り可能なため、未使用時に筐体9630を閉じた状態にすることができる。従って、表示部9631a、表示部9631bを保護できるため、耐久性に優れ、長期使用の観点からも信頼性の優れたタブレット型端末を提供できる。
また、この他にも図16(A)および図16(B)に示したタブレット型端末は、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示する機能、カレンダー、日付または時刻などを表示部に表示する機能、表示部に表示した情報をタッチ入力操作または編集するタッチ入力機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、等を有することができる。
タブレット型端末の表面に装着された太陽電池9633によって、電力をタッチパネル、表示部、または映像信号処理部等に供給することができる。なお、太陽電池9633は、筐体9630の一面または二面に効率的なバッテリー9635の充電を行う構成とすることができるため好適である。なおバッテリー9635としては、リチウムイオン電池を用いると、小型化を図れる等の利点がある。
また、図16(B)に示す充放電制御回路9634の構成、および動作について図16(C)にブロック図を示し説明する。図16(C)には、太陽電池9633、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3、表示部9631について示しており、バッテリー9635、DCDCコンバータ9636、コンバータ9637、スイッチSW1乃至SW3が、図16(B)に示す充放電制御回路9634に対応する箇所となる。
まず、外光により太陽電池9633により発電がされる場合の動作の例について説明する。太陽電池で発電した電力は、バッテリー9635を充電するための電圧となるようDCDCコンバータ9636で昇圧または降圧がなされる。そして、表示部9631の動作に太陽電池9633からの電力が用いられる際にはスイッチSW1をオンにし、コンバータ9637で表示部9631に必要な電圧に昇圧または降圧をすることとなる。また、表示部9631での表示を行わない際には、SW1をオフにし、SW2をオンにしてバッテリー9635の充電を行う構成とすればよい。
なお、太陽電池9633については、発電手段の一例として示したが、特に限定されず、圧電素子(ピエゾ素子)や熱電変換素子(ペルティエ素子)などの他の発電手段によるバッテリー9635の充電を行う構成であってもよい。例えば、無線(非接触)で電力を送受信して充電する無接点電力電送モジュールや、また他の充電手段を組み合わせて行う構成としてもよい。
図17(A)において、テレビジョン装置8000は、筐体8001に表示部8002が組み込まれており、表示部8002により映像を表示し、スピーカー部8003から音声を出力することが可能である。実施の形態1または実施の形態2に示すトランジスタを用いて表示部8002に用いることが可能である。
表示部8002は、液晶表示装置、有機EL素子などの発光素子を各画素に備えた発光装置、電気泳動表示装置、DMD(Digital Micromirror Device)、PDP(Plasma Display Panel)などの、半導体表示装置を用いることができる。
テレビジョン装置8000は、受信機やモデムなどを備えていてもよい。テレビジョン装置8000は、受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
また、テレビジョン装置8000は、情報通信を行うためのCPUや、メモリを備えていてもよい。テレビジョン装置8000は、実施の形態3乃至実施の形態5のいずれかに示すメモリやCPUを用いることが可能である。
図17(A)において、室内機8200および室外機8204を有するエアコンディショナーは、実施の形態5のCPUを用いた電気機器の一例である。具体的に、室内機8200は、筐体8201、送風口8202、CPU8203等を有する。図17(A)において、CPU8203が、室内機8200に設けられている場合を例示しているが、CPU8203は室外機8204に設けられていてもよい。或いは、室内機8200と室外機8204の両方に、CPU8203が設けられていてもよい。実施の形態5に示したCPUは、酸化物半導体を用いたCPUであるため、耐熱性に優れており、信頼性の高いエアコンディショナーを実現できる。
図17(A)において、電気冷凍冷蔵庫8300は、酸化物半導体を用いたCPUを備える電気機器の一例である。具体的に、電気冷凍冷蔵庫8300は、筐体8301、冷蔵室用扉8302、冷凍室用扉8303、CPU8304等を有する。図17(A)では、CPU8304が、筐体8301の内部に設けられている。実施の形態5に示したCPUを電気冷凍冷蔵庫8300のCPU8304に用いることによって省電力化が図れる。
図17(B)および図17(C)において、電気機器の一例である電気自動車の例を示す。電気自動車9700には、二次電池9701が搭載されている。二次電池9701の電力は、制御回路9702により出力が調整されて、駆動装置9703に供給される。制御回路9702は、図示しないROM、RAM、CPU等を有する処理装置9704によって制御される。実施の形態5に示したCPUを電気自動車9700のCPUに用いることによって省電力化が図れる。
駆動装置9703は、直流電動機若しくは交流電動機単体、または電動機と内燃機関と、を組み合わせて構成される。処理装置9704は、電気自動車9700の運転者の操作情報(加速、減速、停止など)や走行時の情報(上り坂や下り坂等の情報、駆動輪にかかる負荷情報など)の入力情報に基づき、制御回路9702に制御信号を出力する。制御回路9702は、処理装置9704の制御信号により、二次電池9701から供給される電気エネルギーを調整して駆動装置9703の出力を制御する。交流電動機を搭載している場合は、図示していないが、直流を交流に変換するインバータも内蔵される。
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。