JP3765466B2 - 光電変換素子及びフォトセンサアレイ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光電変換素子(フォトセンサ)、及び、光電変換素子を2次元配列して構成されるフォトセンサアレイに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷物や写真、あるいは、指等の微細な凹凸により指紋を読み取る2次元画像の読取装置として、光電変換素子(フォトセンサ)をマトリクス状に配列して構成されるフォトセンサアレイを有する構造のものがある。このようなフォトセンサアレイとして、一般に、単結晶シリコンからなるCCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像デバイスが用いられているが、単結晶シリコンを用いているため、製造コストが著しく高くなるという問題を有している。
【0003】
また、CCDは、周知の通り、フォトダイオードやフォトセンサをマトリクス状に配列した構成を有し、各フォトセンサの受光部に照射された光量に対応して発生する電荷を、水平走査回路及び垂直走査回路により検出し、照射光の輝度を検知するものであるが、このようなCCDを用いたフォトセンサシステムにおいては、走査された各フォトセンサを選択状態にするための選択トランジスタを個別に設ける必要があるため、センサ画素の数が増大するにしたがってシステム自体が大型化するという問題を有している。
【0004】
そこで、近年、これらの問題を解決するための構成として、フォトセンサ自体にフォトセンス機能と選択トランジスタ機能とを持たせた、いわゆる、ダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタ(以下、「ダブルゲート型フォトセンサ」という)をフォトセンサアレイに適用して、センサ画素の高密度化を図りつつ、システムの小型化及び低製造コスト化を図る試みがなされている。
【0005】
ここで、ダブルゲート型フォトセンサ及びダブルゲート型フォトセンサを適用したフォトセンサアレイについて説明する。
図23は、ダブルゲート型フォトセンサを適用したフォトセンサアレイの平面構成を示す概略図であり、図24は、ダブルゲート型フォトセンサの平面構成及び断面構成を示す概略図である。なお、図24(a)においては、便宜的にソース電極2(ソースラインSL)及びドレイン電極3(ドレインラインDL)をハッチングで示す。
【0006】
まず、ダブルゲート型フォトセンサを適用したフォトセンサアレイについて説明すると、フォトセンサアレイの平面構成は、たとえば、図23に示すように、ダブルゲート型フォトセンサPS相互が、直交するx、yの2方向にそれぞれ所定のピッチPspで格子(マトリクス)状に配置され、さらに、格子内部の素子間領域Rpを通して、ガラス基板等の絶縁性基板面側(図面背面側;詳しくは後述する)からの光がフォトセンサアレイ上(図面前面側)に載置された被写体(検知対象物)に照射されるように考慮されている。そのため、被写体に十分な光を照射して、受光感度を向上させるためには、素子間領域Rpを極力大きく確保する必要がある。
【0007】
このようなフォトセンサアレイに適用されるダブルゲート型フォトセンサPSは、図24(a)、(b)に示すように、光が入射されると電子−正孔対が生成される半導体層1と、半導体層1の両端部にそれぞれ設けられたn+シリコン層7、8と、n+シリコン層7、8上に設けられ、半導体層1を励起する光に対して遮光性を示すソース電極2及びドレイン電極3と、半導体層1の直上に設けられたブロック絶縁膜4と、ソース電極2及びドレイン電極3、ブロック絶縁膜4を覆う上部(トップ)ゲート絶縁膜5と、上部ゲート絶縁膜5上に設けられたトップゲート電極TGと、半導体層1の直下に設けられた下部(ボトム)ゲート絶縁膜6と、下部ゲート絶縁膜6下に設けられ、半導体層1を励起する光に対して遮光性を示すボトムゲート電極BGと、を有して構成されている。そして、このような構成を有するダブルゲート型フォトセンサは、ガラス基板等の透明な絶縁性基板9上に形成されている。
【0008】
ここで、トップゲート電極TG、ブロック絶縁膜4、上部ゲート絶縁膜5、下部ゲート絶縁膜6、トップゲート電極TG上に設けられる保護絶縁膜10は、いずれも半導体層1を励起する光に対して透過率の高い(透光性を示す)材質により構成され、一方、ソース電極2、ドレイン電極3及びボトムゲート電極BGは、いずれも半導体層1を励起する光に対して透過率の極めて低い(遮光性を示す)材質により構成されている。
【0009】
したがって、ダブルゲート型フォトセンサPSの上方から入射(照射)される光hν(図24(b)中の矢印)のみが、トップゲート電極TG及び透明な上部ゲート絶縁膜5、ブロック絶縁膜4を透過して、半導体層1に入射する。そして、半導体層1には、入射した光の量(入射光量)に応じて電子−正孔対が生成され、この電荷に応じた電圧信号を検出することにより、被写体の明暗情報を読み取ることができる。なお、ダブルゲート型フォトセンサの駆動制御方法については、具体的に後述する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したような2次元画像の読取装置への適用が検討されているダブルゲート型フォトセンサやフォトセンサアレイにおいては、次のような問題点を有している。
【0011】
(イ)図24に示したダブルゲート型フォトセンサPSの構成において、フォトセンサとしてのトランジスタ特性(トランジスタ感度または受光感度)は、チャネル領域を規定する諸寸法、すなわち、半導体層1のチャネル長L0とチャネル幅W0との比に基づいて設定される。
具体的には、フォトセンサのトランジスタ特性を決定する指標となるソース−ドレイン電流値Idsは、一般に、次の式で表される。
Ids ∝ W0/L0 (1)
ここで、図24に示した構成においては、チャネル長L0は、チャネル長方向(図面左右方向)のブロック絶縁膜4の長さに一致する。
【0012】
また、ダブルゲート型フォトセンサPSは、入射光量に応じて半導体層1内に生成される電荷(キャリヤ)に基づいて流れる上記ドレイン電流Idsにより、変位するドレイン電極3の電圧を読み取って画像を認識するように構成されているので、被写体の画像を高いコントラスト比で明確に認識するためには、被写体のうち、暗い部分に位置するダブルゲート型フォトセンサPSのドレイン電流Idsと、より明るい部分に位置するダブルゲート型フォトセンサPSのドレイン電流Idsとの差を大きくする必要がある。
【0013】
ここで、上記(1)式に示したように、ダブルゲート型フォトセンサPSのトランジスタ特性を決定するソース−ドレイン電流値Idsは、半導体層1のチャネル幅W0及びチャネル長L0の比に基づいて決定されるため、ダブルゲート型フォトセンサPSのトランジスタ特性(トランジスタ感度)を向上させるためには、W0/L0比をできるだけ大きく設計する方が望ましいことになる。
【0014】
一方、ダブルゲート型フォトセンサPSに高いトランジスタ特性を設定すると、W0/L0比が大きくなるため、半導体層1の平面構造は、図24(a)に示したように、必然的にチャネル幅W0が相対的に長く、チャネル長L0が相対的に短い長方形形状にならざるを得ない。また、ダブルゲート型フォトセンサPSは、半導体層1に入射された光のみを検知するので、図24(b)に示したように、半導体層1のうち、遮光性を示すソース電極2及びドレイン電極3により覆われていない部分のみが、上方から入射する光hνを検知することになる。
【0015】
したがって、図25に示すように、半導体層1の光を入射できる領域(以下、「入射有効領域」という)Ip0の形状は、短辺の長さがチャネル長L0よりも短いK0となり、長辺の長さがほぼW0となる略長方形形状になる。ここで、短辺の長さK0は、実質的にチャネル長L0に大きく依存しているため、半導体層1(または、入射有効領域Ip0)に入射する光が完全拡散光またはそれに近い光の場合、x方向から半導体層1に入射する光の量は、y方向から半導体層1に入射する光の量より小さくなり、光の入射方向に応じて偏りが顕著になる。なお、図25においては、便宜的に入射有効領域Ip0を、ソース電極2及びドレイン電極3とは異なるハッチングで示す。
【0016】
つまり、このようなダブルゲート型フォトセンサPSにおいては、チャネル領域が設けられる半導体層1の光を入射できる領域(入射有効領域Ip0)の形状が、y方向に顕著に長い長方形形状に設定されることになるため、図26に示すように、1つのダブルゲート型フォトセンサPSが実質的に検知可能な保護絶縁膜20の表面上の光の通過領域(以下、「検知可能領域」という)Ep0は、長方形形状の入射有効領域Ip0と実質的に相似形を有する縦長の領域(図中斜線でハッチングした領域)となり、ダブルゲート型フォトセンサPSのx方向については、所望の受光感度が得られる領域が狭くなる。
【0017】
そのため、ダブルゲート型フォトセンサPSのx、y方向における検知可能領域Ep0の広がり(フォトセンサの受光感度の分布特性(検知感度特性)に相当する)の偏りに起因して、読み取り画像に歪みが生じ、被写体の明暗情報を正確に読み取ることができなくなり、高いトランジスタ感度を実現しつつ、歪みを抑制した良好な画像情報の読み取りを同時に実現することができないという問題を有していた。なお、図26に示した検知可能領域Ep0は、ダブルゲート型フォトセンサPSの受光感度の分布範囲を模式的に示したものであって、厳密な分布範囲を示すものではない。
【0018】
(ロ)図24に示したようなダブルゲート型フォトセンサPSを、マトリクス状に配置し、図23に示したようなフォトセンサアレイを構成した場合、マトリクスに対応する、直交するx、yの2方向以外の斜め方向においては、光受光部となるダブルゲート型フォトセンサPS相互の離間距離が不均一となるため、x、yの2方向に比較して画像情報の読み取り精度の劣化が生じる。
【0019】
すなわち、フォトセンサアレイにおけるダブルゲート型フォトセンサPSの配置は、図23に示したように、ダブルゲート型フォトセンサPS相互が、直交するx、yの2方向に対してのみ、均等な寸法(ピッチ)Pspだけ離間するように配置されているため、マトリクスに対応するx、y方向に対して、斜め方向(0°、90°、180°、270°以外の適当な角度;たとえば、45°や60°方向)においては、ダブルゲート型フォトセンサPS相互のピッチがx、y方向に対して増大して不均一となり(たとえば、45°の場合には√2倍)、斜めにずれて載置された被写体に対して、均一かつ高精度な読み取り動作を実現することができないという問題を有していた。
【0020】
(ハ)上述したようなダブルゲート型フォトセンサPSを適用したフォトセンサアレイを備えた2次元画像の読取装置にあっては、たとえば、指紋のような被写体(指等)の凹凸や明暗パターン等による照射光の反射の違いを、可視光波長域の光hνが入射されると励起するアモルファスシリコン(a−Si)からなる半導体層1に生成されるキャリヤを利用して検出するものであるが、このキャリヤを蓄積するためのトップゲート電極TGは、指のような被写体と半導体層1との間に介在しているため、被写体から反射して入射し、半導体層1を励起する波長域の光を透過する性質を有している必要がある。そのため、トップゲート電極TGとして、ITO(Indium-Tin-Oxide)のような透明電極が用いられている。
【0021】
ここで、行方向(x方向)に隣接して配置されるダブルゲート型フォトセンサPSのトップゲート電極TG同士は、図23に示すように、互いにトップゲートラインTGLを介して接続された構成を有しているが、トップゲートラインTGL自体も上記トップゲート電極TGと一体的にITO等の透明電極により形成されている。しかしながら、このITOは、配線層として一般に利用されるクロム等の金属材料に比較して抵抗率が高く、信号の伝搬遅延を生じやすいという問題を有していた。
【0022】
そこで、このようなITOの高抵抗の問題を解決するために、幅広の配線層からなるトップゲートラインTGLを形成して、配線断面積を大きくすることにより、配線抵抗の低減を図ることができるが、ITOのような透明電極であっても、上記励起光(可視光)の透過光量の減衰を生じるため、安易に厚くするとトップゲートラインTGLが設けられた領域(x方向)に対するダブルゲート型フォトセンサPSの受光感度が低下して、受光感度の分布範囲のバランスが一層不均一になるといった問題を有していた。
【0023】
本発明は、上述した問題点を解決し、検知可能領域の広がりの偏りを改善しつつ、高いトランジスタ感度を実現することができる光電変換素子、及び、該光電変換素子を複数配列し、受光感度の分布範囲のバランス(検知感度特性)の良好なフォトセンサアレイを提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、上記第1の目的を達成しつつ、信号の遅延を抑制して良好に駆動することができるフォトセンサアレイを提供することを第2の目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の光電変換素子は、励起光が入射されることにより、キャリアを生成するキャリア発生領域を有する半導体層と、可視光に対して不透明であり、前記半導体層の前記キャリア発生領域を挟んで相互に対向する円弧形状のソース電極及びドレイン電極と、前記半導体層の上方に設けられた第1ゲート電極と、前記半導体層の下方に設けられた第2ゲート電極と、を備えた薄膜トランジスタで構成され、前記キャリア発生領域に入射される前記励起光に対する検知感度特性が、全周方向に略均一となるように、前記キャリア発生領域が略円弧形状に形成されていることを特徴とする。
【0025】
請求項1記載の発明によれば、ソース電極及びドレイン電極により規定され、半導体層に形成されるキャリヤ発生領域への励起光の入射により、光電変換素子の検知感度特性を示す検知可能領域(受光感度の分布範囲)の広がりが、全周方向に略均一になる範囲に設定される。したがって、検知可能領域の広がりの特定方向への偏りを改善して、歪みを抑制した良好な画像情報の読み取り動作が可能な光電変換素子を実現することができる。
【0026】
ここで、光電変換素子は、少なくとも、半導体層に形成されるキャリヤ発生領域が、略円状の円弧形状に形成されていることにより、キャリヤ発生領域に生成されるキャリヤに応じて流れるドレイン電流値のパラメータであるチャネル領域のW/L比を増大して、励起光の入射量が微量な場合であっても、十分ドレイン電流(ソース−ドレイン電流)を流して、良好な受光感度を実現することができるとともに、検知可能領域の広がりを良好に全周方向に略均一にすることができる。
【0027】
また、光電変換素子の半導体層は、真円形状、ドーナツ形状、略真円状の扇形状もしくは略円状の円弧形状に形成されていてもよい。これにより、例えば、ソース電極及びドレイン電極を、半導体層の形状に対応させて、相互に対向する円弧状の曲線形状を有するように配置することにより、チャネル領域のW/L比を良好に増大しつつ、略円状の円弧形状を有するキャリヤ発生領域を良好に形成することができる。
【0028】
請求項6記載のフォトセンサアレイは、励起光が入射されることにより、キャリアを生成するキャリア発生領域を有する半導体層と、可視光に対して不透明であり、前記半導体層の前記キャリア発生領域を挟んで相互に対向する円弧形状のソース電極及びドレイン電極と、前記半導体層の上方に設けられた第1ゲート電極と、前記半導体層の下方に設けられた第2ゲート電極と、を各々備えた薄膜トランジスタで構成され、前記キャリア発生領域に入射される前記励起光に対する検知感度特性が、全周方向に略均一となるように、前記キャリア発生領域がそれぞれ略円弧形状に形成されている複数の光電変換素子と、
前記複数の光電変換素子の前記第1ゲート電極相互を接続する第1ゲートラインと、
前記複数の光電変換素子の前記第2ゲート電極相互を接続する第2ゲートラインと、
を有し、
前記複数の光電変換素子が、前記第1ゲートラインおよび前記第2ゲートラインを介して、基板上に規則的に配置されていることを特徴とする。
【0029】
請求項6記載の発明によれば、基板上に規則的に配置される各光電変換素子が、全周方向に略均一な検知可能領域(受光感度の分布範囲)を有しているので、検知可能領域の広がりの特定方向への偏りを改善して、歪みを抑制した良好な画像情報の読み取り動作が可能なフォトセンサアレイを実現することができる。
【0030】
上記フォトセンサアレイに適用される光電変換素子は、少なくとも、半導体層に形成されるキャリヤ発生領域が、略円状の円弧形状に形成されているものであってもよい。これにより、フォトセンサアレイにおける各光電変換素子に流れるドレイン電流値のパラメータであるチャネル領域のW/L比を増大して、励起光の入射量が微量な場合であっても、良好な受光感度を実現することができるとともに、各光電変換素子における検知可能領域の広がりを良好に全周方向に略均一して、歪みを抑制した良好な画像情報の読み取り動作を実現することができる。
【0031】
また、上記フォトセンサアレイに適用される光電変換素子は、少なくとも、半導体層に形成されるキャリヤ発生領域が、略円状の円弧形状に形成されているものであってもよい。これにより、フォトセンサアレイを構成する各光電変換素子におけるチャネル領域のW/L比を増大しつつ、検知可能領域の広がりを良好に全周方向に略均一に設定することが可能なフォトセンサアレイを提供することができる。
【0032】
また、上記フォトセンサアレイに適用される光電変換素子は、半導体層が、真円形状、ドーナツ形状、略真円状の扇形状もしくは略円状の円弧形状に形成されているものであってもよい。これにより、例えば、ソース電極及びドレイン電極を、半導体層の形状に対応させて、相互に対向する円弧状の曲線形状を有するように配置することにより、フォトセンサアレイを構成する各光電変換素子におけるチャネル領域のW/L比を良好に増大しつつ、略円状の円弧形状を有するキャリヤ発生領域を良好に形成して、歪みを抑制した良好な画像情報の読み取りが可能なフォトセンサアレイを提供することができる。
【0033】
また、上記フォトセンサアレイにおいては、複数の光電変換素子同士を接続する第1ゲートラインが、励起光に対して透過性を示すとともに、光電変換素子に対して、それぞれ対称な位置に配置された平行する複数の配線層により構成された領域を有するものであってもよい。
このような構成によれば、第1ゲートラインが、光電変換素子に対して複数の配線層により対称な位置関係で配置されているので、各光電変換素子の受光感度の分布範囲のバランスを均等になるように設定することができるとともに、ゲートラインの配線断面積を実質的に増大させて配線抵抗を下げて、信号の伝搬遅延を抑制することができ、良好な画像情報の読み取り動作を行うことができる。
【0034】
さらに、上記フォトセンサアレイにおいて、複数の光電変換素子が、デルタ配列されていることにより、2次元的に隣接して配置された光電変換素子間の距離を、略全周にわたってより均等にすることができるので、被写体の載置角度(方向)に応じて異なる受光感度のバラツキを抑制して、被写体の載置角度に関わらず、良好な画像情報の読み取り動作を行うことができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る光電変換素子、フォトセンサアレイ及び2次元画像の読取装置の実施の形態について詳しく説明する。
まず、本発明に係る画像読取装置に適用されるダブルゲート型フォトセンサについて、図面を参照して説明する。
【0036】
<第1の実施形態>
図1は、本発明に係るフォトセンサアレイに適用されるダブルゲート型フォトセンサの一構成例を示す概略構成図である。ここでは、フォトセンサ部となる真円形状の半導体層を備え、該半導体層に形成されるチャネル領域を円弧状に形成したダブルゲート型フォトセンサの概略構成を示して具体的に説明する。なお、図1(a)においては、図示の都合上、便宜的にソース電極12(ソースラインSL)及びドレイン電極13(ドレインラインDL)をハッチングで示す。
【0037】
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSAは、可視光に対して透過性(透光性)を示す絶縁性基板19上に形成された単一のボトムゲート電極BGと、ボトムゲート電極BG上及び絶縁性基板19上に設けられたボトムゲート絶縁膜16と、ボトムゲート電極BGに対向するボトムゲート絶縁膜16上に設けられ、かつ、可視光が入射されると電子−正孔対を発生するアモルファスシリコン等からなる単一の真円形状の半導体層11Aと、半導体層11A上に所定の形状を有して一体的に形成されたブロック絶縁膜14Aと、真円形状の半導体層11Aの周縁領域に、ブロック絶縁膜14A上に一部が延在するように設けられたn+シリコン層17と、真円形状の半導体層11Aの略中央領域に、上記n+シリコン層17と離間し、かつ、ブロック絶縁膜14A上に一部が延在するように設けられたn+シリコン層18と、少なくともn+シリコン層17を覆うように設けられたドレイン電極13と、少なくともn+シリコン層18を覆うように設けられたソース電極12と、ボトムゲート絶縁膜16上、ブロック絶縁膜14A上、ソース電極12上及びドレイン電極13上の全域を覆うように形成されたトップゲート絶縁膜15と、トップゲート絶縁膜15上に半導体層11Aに対向するように設けられた単一のトップゲート電極TGと、トップゲート絶縁膜15上及びトップゲート電極TG上の全域を覆うように設けられた保護絶縁膜20と、から構成されている。
【0038】
次いで、上述したダブルゲート型フォトセンサPSAにおける主要部の形状について、図面を参照して詳しく説明する。
図2〜図4は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサの各部の平面構成を示す図であって、図2は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用される半導体層の平面構成を示す概略図であり、図3は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用されるブロック絶縁膜の平面構成を示す概略図であり、図4は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用されるn+シリコン層の平面構成を示す概略図である。なお、ここでは、各部の平面形状を便宜的にハッチングで示し、図1(a)、(b)に示した平面構成及び断面構成を適宜参照しながら説明する。
【0039】
ダブルゲート型フォトセンサPSAに適用される半導体層11Aは、図2に示すように、斜め格子状にハッチングされている領域に、単一のアモルファスシリコン層として真円形状に形成され、図1(a)に示したソース電極12及びドレイン電極13に対して平面的に重なる領域11aと、一体的に円弧形状に形成されるブロック絶縁膜14A(後述する)に対して平面的に重なるチャネル領域11bとを有している。ここで、半導体層11Aに設けられるチャネル領域11bは、後述するソース電極12及びドレイン電極13、ブロック絶縁膜14Aの形状に対応して、円弧状に形成されている。したがって、このチャネル領域11bのチャネル長方向は、半導体層11Aの真円中心から外方に放射する方向に設定される。また、ドレイン電極13は、半導体層11Aの外周の略3/4を覆っている。
【0040】
また、ダブルゲート型フォトセンサPSAに適用されるブロック絶縁膜14Aは、図3に示すように、上記半導体層11Aのチャネル領域11bを含む領域上に、半導体層11Aの真円形状に対応して略ドーナツ形状に形成されている。ここで、ブロック絶縁膜14Aは、略全周方向の外縁部がドレイン電極13と部分的かつ平面的に重なるように配置され、また、全周方向の内縁部がソース電極12と部分的かつ平面的に重なるように配置されている。なお、ソース電極12とソースラインSLとの接続部の近傍領域においては、ブロック絶縁膜14Aが半導体層11Aを完全に被覆するように形成されている。
【0041】
また、ダブルゲート型フォトセンサPSAに適用されるn+シリコン層17は、図4に示すように、上記半導体層11Aの略全周の外縁部から一部が上記ブロック絶縁膜14A上に延在するとともに、図1(b)に示すように、半導体層11Aとドレイン電極13との間に介在して、ドレイン電極13と略全域で平面的に重なるように円弧形状に形成されている。また、n+シリコン層18は、図4に示すように、上記半導体層11Aと同心円形状を有して、ブロック絶縁膜14Aを挟んでn+シリコン層17と対向し、かつ、図1(b)に示すように、ブロック絶縁膜14Aの開口部に露出する半導体層11A上から一部がブロック絶縁膜14A上に延在するとともに、半導体層11Aとソース電極12との間に介在して、ソース電極12と略全域で平面的に重なるように配置されている。
【0042】
さらに、ダブルゲート型フォトセンサPSAにおけるソース電極12は、図1(a)に示すように、ダブルゲート型フォトセンサPSAをマトリクス状に配置した場合(詳しくは、後述する)に、y方向(図面上下方向)に延在するソースラインSLからx方向(図面左右方向)に、対向するドレインラインDLに向けて突出する接続部の先端に、真円形状に形成されている。また、ドレイン電極13は、ダブルゲート型フォトセンサPSAのソースラインSLに対向して延在するドレインラインDLから突出し、真円形状を有するソース電極12に対向し、該ソース電極12を取り囲むように円弧形状に形成されている。すなわち、ソース電極12及びドレイン電極13は、半導体層11Aに形成されるチャネル領域11bを挟んで対向するように、円弧状の曲線形状を有して形成されている。
【0043】
なお、上述したダブルゲート型フォトセンサPSAの各部の構成(図1〜図4)において、ブロック絶縁膜14A、トップゲート絶縁膜15、ボトムゲート絶縁膜16、トップゲート電極21上に設けられた保護絶縁膜20は、窒化シリコン等の透光性の絶縁膜からなり、また、トップゲート電極TG及びトップゲートラインTGLa、TGLbは、上述したITO等の透光性の導電性材料からなり、ともに可視光に対して高い透過率を示す。一方、ソース電極12、ドレイン電極13、ボトムゲート電極BG及びボトムゲートラインBGLは、クロム、クロム合金、アルミ、アルミ合金等から選択された可視光の透過を遮断する遮光性の材質により構成されている。
【0044】
次に、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサにおけるトランジスタ特性について、図面を参照して説明する。
図5は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサにおける入射有効領域(キャリヤ発生領域)を示す概略図であり、図6は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサにおける励起光の入射有効領域と検知可能領域の広がり(検知感度特性)との関係を示す概略図である。
【0045】
ダブルゲート型フォトセンサPSAにおいて、光量に応じて流れるドレイン電流Idsは、上記(1)式に示したように、(チャネル幅W)/(チャネル長L)比に比例している。
ここで、上述したダブルゲート型フォトセンサPSAにおいて、図1、図3に示すように、ドレイン電流が流れるチャネル領域11bは、各々円弧状の曲線形状を有して形成されたソース電極12及びドレイン電極13が対向して配置された半導体層11Aに形成される略円弧状の領域に設定されている。
【0046】
すなわち、ダブルゲート型フォトセンサPSAのダブルゲート型フォトセンサのチャネル長は、対向するソース電極12及びドレイン電極13に挟まれて配置されたブロック絶縁膜14Aの幅寸法(ブロック絶縁膜14Aの外周半径と内周半径の差分)L1に設定され、チャネル幅は、ソース電極12とドレイン電極13が対向する円弧状の領域における円周方向の平均円弧寸法W1に設定されているので、このダブルゲート型フォトセンサPSAに流れるドレイン電流Idsは、概ね次式で表される。
Ids ∝ W1/L1 (2)
【0047】
ここで、チャネル長L1及びチャネル幅W1は、半導体層11A、ブロック絶縁膜14A、ソース電極12及びドレイン電極13等の配置、形状寸法(具体的には、真円形状及び円弧形状の半径又は直径)により、簡易に設定変更することができるので、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSAのチャネル長L1を、図24に示した従来構造のダブルゲート型フォトセンサPSのチャネル長と同等に設定し、かつ、ダブルゲート型フォトセンサPSAのチャネル領域11bの円弧形状の直径を、例えば、図24に示した従来構造のダブルゲート型フォトセンサPSのチャネル幅W0と同等に設定することにより、チャネル領域11bの平均円弧寸法(チャネル幅W1)を円弧形状に依存して、チャネル幅W0に比較し、概ね2倍(図1に示した約3π/4の円弧の場合)〜3倍(約πの真円に近似する場合)に設定することができるので、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSAのドレイン電流Idsを、ダブルゲート型フォトセンサPSの場合の2〜3倍に増大することができ、明状態でのプリチャージ電圧を十分に下げることができるとともに、明状態と暗状態におけるコントラスト比が小さい被写体であっても、十分に検知することができる。
【0048】
一方、ダブルゲート型フォトセンサPSAでは、図5に示すように、ソース電極12及びドレイン電極13は、可視光に対して不透明であるため、ダブルゲート型フォトセンサPSAの上方(図5の紙面手前側)から光が入射された場合に、ダブルゲート型フォトセンサのトランジスタ特性を決定するドレイン電流Idsに影響を及ぼすような正孔を発生させるキャリヤ発生領域(入射有効領域)Ip1は、対向するソース電極12及びドレイン電極13の離間距離をほぼ幅(短辺)寸法K1とし、チャネル領域11bの円周方向の平均円弧寸法をほぼ長さ(長辺)寸法W1(図1(a)参照)とする円弧形状の領域に近似する。
【0049】
また、上記入射有効領域Ip1は、略円状の円弧形状に形成されているため、図6に示すように、保護絶縁膜20の表面において指等の被写体による反射により入射有効領域Ip1に入射される光が通過する光の検知可能領域Ep1は、ダブルゲート型フォトセンサPSAの形成領域に対して、全周方向に略均一となる真円に近い形状に設定される。ここで、図6に示した光の検知可能領域Ep1は、チャネル領域11bを中心として、所定の受光感度(トランジスタ特性)が得られる領域を模式的に示したものであって、受光感度の分布範囲(検知感度特性)を厳密に示すものではない。
【0050】
したがって、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSAにおける検知可能領域Ep1は、図26に示した従来構造のダブルゲート型フォトセンサPSの検知可能領域Ep0に比較して、x、yのいずれの方向から入射する光の受光感度とも略均一になり、2次元画像の読み取り動作における画像情報の歪みが抑制される。
【0051】
このように、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSAによれば、半導体層11Aを真円形状に形成し、チャネル領域11bを円弧形状に形成することにより、ドレイン電流Idsを規定する値(W1/L1)を増大させることができるので、ダブルゲート型フォトセンサPSAの受光感度を簡易に向上させることができ、被写体の明状態と暗状態におけるコントラスト比が小さい場合であっても、明確に判別できるデータVoutを出力することができるとともに、入射有効領域(キャリヤ発生領域)Ip1を略円状の円弧形状に形成することができるので、検知可能領域Ep1の広がりを全周方向に略均一に設定して、半導体層11Aに入射される光に対する受光感度の分布範囲の平面的なバランスを均一化することができる。したがって、光の検知可能領域Ep1の偏り(方向性)を改善しつつ、高いトランジスタ感度を実現することができるので、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSAを、たとえば、指紋読取装置等に適用した場合、被写体の画像情報(すなわち、指紋)を、指の載置方向に影響されることなく、感度良く読み取ることができ、認証精度を向上させることができる。
【0052】
また、上述したダブルゲート型フォトセンサPSAによれば、受光感度が大幅に向上したことにより、図26に示した従来構造のダブルゲート型フォトセンサPSに比較して、小さな(僅かな)入射光量であっても、被写体の画像情報に含まれる明暗情報の読み取り動作を良好に行うことができるので、2次元画像読取装置に付設され、被写体に光を照射する面光源の照度を低減(抑制)することができ、2次元画像読取装置の消費電力を低減することができる。換言すれば、面光源の照度を一定とした場合には、受光感度の向上に伴い光蓄積時間を大幅に短縮することができ、2次元画像の読み取り性能に優れた読取装置を提供することができる。なお、2次元画像の読み取り動作については、詳しく後述する。
【0053】
また、受光感度が大幅に向上したことにより、図26に示した従来構造のダブルゲート型フォトセンサPSの場合と同等の入射光量に対して、過度の光ON電流が生じるため、このようなON電流を抑制する目的で、トップゲート電極TG及びボトムゲート電極BGに印加する駆動電圧を低下させて2次元画像の読み取り動作を制御することができるので、駆動電圧の低減によって、ダブルゲート型フォトセンサの特性の経時的な劣化を抑制し、フォトセンサアレイの信頼性(寿命)を長く持続(延命)させることもできる。
【0054】
さらに、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSAにおいては、従来のダブルゲート型フォトセンサに比較して、W/L比を数倍に増大したチャネル領域を単一のアモルファスシリコン層により構成していることにより、個別の半導体層を離間して設ける場合に比較して、ダブルゲート型フォトセンサ製造時のフォトリソグラフィー工程において、パターニングの解像限界を考慮する必要性が低くなるので、半導体層を容易に微細形成することができ、ダブルゲート型フォトセンサの小型化を図ることができる。したがって、フォトセンサアレイ及び2次元画像読取装置の小型化、あるいは、同一サイズのフォトセンサアレイ及び2次元画像読取装置において、高解像度による画像情報の読み取り動作を実現することができる。
【0055】
次に、上述したような構成を有するダブルゲート型フォトセンサをマトリクス状に配置して構成されるフォトセンサアレイの構成例について、図面を参照して説明する。
図7は、図1に示したダブルゲート型フォトセンサPSAをマトリクス状に配置したフォトセンサアレイの平面構成図である。
図7に示すように、本実施形態に係るフォトセンサアレイ100においては、真円形状に形成された半導体層を備え、該半導体層にフォトセンサ部となるキャリヤ発生領域を円弧状に形成したダブルゲート型フォトセンサPSAが、x、yの2方向にマトリクス状に配置されている。
【0056】
ここで、マトリクス状に配置されるダブルゲート型フォトセンサPSAが、互いに直交するx、yの2方向(行、列方向)にそれぞれ所定のピッチPspで等間隔に配置され、さらに、格子内部の素子間領域Rpを通して、面光源140からの光が被写体に照射されるように考慮されている。そのため、被写体に十分な量の光を照射するためには、素子間領域Rpをできるだけ大きく確保する方が望ましい。
【0057】
また、フォトセンサアレイ100の行方向に隣接して配置されるダブルゲート型フォトセンサPSAのトップゲート電極21同士は、互いに平面的に2本に分岐されたトップゲートラインTGLa、TGLbにより接続され、行方向に隣接して配置されるダブルゲート型フォトセンサPSAのボトムゲート電極22同士は、1本のボトムゲートラインにより接続された構成を有している。ここで、トップゲートラインTGLa、TGLbは、ダブルゲート型フォトセンサPSA間でボトムゲートラインBGLと平面的に重ならないように配置されている。
【0058】
また、列方向に隣接して配置されるダブルゲート型フォトセンサPSAのドレイン電極13同士は、ドレインラインDLに接続され、列方向に隣接して配置されるダブルゲート型フォトセンサPSAのソース電極12同士は、ソースラインSLに接続されている。ソースラインSLには、電圧Vss(たとえば、接地電位)が供給されている。
【0059】
ここで、2本のトップゲートラインTGLa、TGLbとボトムゲートラインBGLの位置関係は、隣接するダブルゲート型フォトセンサPSA間で、トップゲートラインTGLa、TGLbが、y方向(列方向)に互いに均等な位置関係かつ同等の配線幅、配線厚で平面的に分岐して、平行に延在するように形成され、一方、ボトムゲートラインBGLが、ダブルゲート型フォトセンサPSAの略中央を単一の細い配線層によりx方向(行方向)に延在するように形成されている。すなわち、ボトムゲートラインBGLに対して、トップゲートラインTGLa、TGLbが列方向の上下に略対称な位置関係で配置形成されている。
【0060】
このような構成により、ボトムゲートラインBGLを軸として、トップゲートラインTGLaとトップゲートラインTGLbとが行方向に実質的に線対称構造になるので、トップゲートラインTGLa側(上側)からトップゲートラインTGLaを透過して半導体層11Aに入射される励起光と、トップゲートラインTGLb側(下側)からトップゲートラインTGLbを透過して半導体層11Aに入射される励起光が同程度に減衰されて、ダブルゲート型フォトセンサPSAの上側と下側で入射光量のバランスが均一化される。
【0061】
加えて、ダブルゲート型フォトセンサPSA(または、半導体層11A)の中央からy方向に沿った線を軸として、ソースラインSLとドレインラインDLが実質的に線対称構造になるので、ソースラインSL側(右側)から半導体層11Aに入射される励起光と、ドレインラインDL(左側)から半導体層11Aに入射される励起光が同程度に遮光されて、ダブルゲート型フォトセンサPSAの右側と左側で入射光量のバランスが均一化される。
【0062】
したがって、本実施形態に係るフォトセンサアレイ100によれば、図6に示した検知可能領域Ep1の広がりの偏りを均一化して、2次元画像の読み取り時における歪みを抑制しつつ、高い受光感度を有するフォトセンサ部を備えたフォトセンサアレイ及び2次元画像読取装置を実現することができる。このとき、ダブルゲート型フォトセンサPSAのトップゲート電極TG相互を接続するトップゲートラインTGLa、TGLbは、互いに平面的に分岐して、y方向に均等(対称)な位置関係となるように配置形成されているので、幅広の単一のトップゲートラインを偏った位置に配置形成した場合に比較して、光の入射角度による受光感度のバラツキに影響を与えることがない。
【0063】
また、このような構成により、トップゲート電極21間が2本の配線層(トップゲートライン)により接続されることになるので、配線層1本当たりの断面積を従来のフォトセンサアレイにおけるトップゲートラインと同等とした場合、配線断面積を2倍に増加させることができ、抵抗率の高いITOにより形成されたトップゲートラインTGLa、TGLbの配線抵抗を半減させて読み取り動作信号の伝搬遅延を改善し、より良好な画像の読み取り動作を実現することができる。
【0064】
また、隣接するダブルゲート型フォトセンサPSA同士の間に配置されるトップゲートラインTGLa、TGLbとボトムゲートラインBGLとの平面的な重なり(積層構造における上下層での重なり)がほとんどないので、トップゲートラインTGLa、TGLbとボトムゲートラインBGLとの間の寄生容量がほとんど生じないため、信号の伝搬遅延や電圧降下を一層抑制することができる。
【0065】
さらに、図1(b)に示したような積層構造を有するダブルゲート型フォトセンサをフォトセンサアレイに適用した場合、積層構造の比較的上層に形成されるトップゲートラインTGLa、TGLbが2本の配線層により形成されているので、積層構造の上層ほど顕著となる段差や、フォトリソグラフィー工程で障害となる塵等のパーティクルに起因して、一方のトップゲートライン(たとえば、TGLa)が断線した場合であっても、他方のトップゲートライン(たとえば、TGLb)によりトップゲート電極TG相互を電気的に接続することができ、読み取り動作信号の伝搬を補償して、信頼性の高いフォトセンサアレイを提供することができる。
【0066】
なお、本実施形態においては、トップゲートラインを2本に分岐した構成について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、トップゲートラインを2本より多くの複数本に分岐して形成した構成とすることもできる。また、分岐して形成する対象となる配線層もトップゲートラインに限定されない。要するに、フォトセンサアレイ及び2次元画像読取装置に適用される他の配線層(たとえば、金属配線)に比較して配線抵抗が大きい配線層に良好に適用できることはいうまでもない。
【0067】
次に、上述したダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えた2次元画像の読取装置(フォトセンサシステム)について、図面を参照して説明する。
図8は、図7に示したフォトセンサアレイ100を備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。
【0068】
図8に示すように、本実施形態に係るフォトセンサシステムは、大別して、多数のダブルゲート型フォトセンサPSAを、たとえば、n行×m列のマトリクス状に配列したフォトセンサアレイ100と、行方向に隣接するダブルゲート型フォトセンサPSA同士のトップゲート端子(トップゲート電極TG)及びボトムゲート端子(ボトムゲート電極BG)をそれぞれ接続した複数のトップゲートラインTGL(詳しくは、TGLa、TGLb;以下、便宜的にTGLと記す)及び複数のボトムゲートラインBGLと、トップゲートラインTGL及びボトムゲートラインBGLに各々接続されたトップゲートドライバ110及びボトムゲートドライバ120と、各ダブルゲート型フォトセンサのドレイン端子D(ドレイン電極13)を列方向に接続したドレインラインDLと、ドレインラインDLに接続された検出回路(コラムスイッチ)131、プリチャージスイッチ132、増幅回路133からなるドレインドライバ130と、ソース端子S(ソース電極12;詳しくは、12a、12b)を列方向に接続し、電圧Vssが供給されたソースラインSLと、フォトセンサアレイ100の背面側に配置された面光源140と、を有して構成される。ここで、電圧Vssは、ドレインラインDLにプリチャージされる電圧と異なっていればよいが、接地電位が望ましい。
【0069】
なお、上述したように、トップゲートラインTGLは、トップゲート電極TGとともにITOで形成され、ボトムゲートラインBGL、ドレインラインDL並びにソースラインSLは、それぞれボトムゲート電極22、ドレイン電極13、ソース電極12と同一の遮光性の材料により一体的に形成されている。ここで、φtg及びφbgは、それぞれリセットパルスφT1、φT2、…φTi、…φTn、及び、読み出しパルスφB1、φB2、…φBi、…φBnを生成するための制御信号、φpgは、プリチャージ電圧Vpgを印加するタイミングを制御するプリチャージ信号である。
【0070】
このような構成を有するフォトセンサシステムにおいて、トップゲートドライバ110からトップゲートラインTGLを介して各ダブルゲート型フォトセンサPSAのトップゲート電極TGに電圧を印加することによりフォトセンス機能が実現され、ボトムゲートドライバ120からボトムゲートラインBGLを介して各ダブルゲート型フォトセンサPSAのボトムゲート電極BGに電圧を印加し、ドレインラインDLを介して検出信号を検出回路131に取り込んで、シリアルデータまたはパラレルデータVoutとして出力することにより選択読み出し機能が実現される。
【0071】
次に、上述したフォトセンサシステムの駆動制御方法について、図面を参照して説明する。
図9は、上述したフォトセンサシステムの駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートであり、図10は、ダブルゲート型フォトセンサの動作概念図であり、図11は、フォトセンサシステムの出力電圧の光応答特性を示す図である。図12は、フォトセンサシステムにおける指紋の読取状態を示す要部断面図である。
【0072】
まず、図12に示すように、指FNをフォトセンサシステムの保護絶縁膜20上に載置する。このとき、指FNの指紋を形成する突部FNaは、保護絶縁膜20と直接接するが、突部FNa間の溝部FNbは、保護絶縁膜20と直接接することはなく、間に空気が介在している。
【0073】
指FNが絶縁膜20上に載置されると、フォトセンサシステム100は、図9、図10(a)に示すように、i番目の行のトップゲートラインTGLに信号(リセットパルス;たとえばVtg=+15Vのハイレベル)φTiを印加し、このときi番目の行のボトムゲートラインBGLに0(V)の信号φTiを印加して、各ダブルゲート型フォトセンサPSAの半導体層11A及びブロック絶縁膜14Aにおける半導体層11Aとの界面近傍に蓄積されているキャリヤ(ここでは、正孔)を放出する(リセット期間Treset)リセット動作を行う。
【0074】
次いで、図12に示すようにダブルゲート型フォトセンサPSの絶縁性基板(ガラス基板)19の下方側に設けられた面光源140から可視光を含む波長域の光がダブルゲート型フォトセンサPSA側に出射される。
このとき、面光源140と半導体層11Aとの間には、不透明のボトムゲート電極BGが介在しているので、出射光が直接半導体層11Aに入射することはほとんどないが、素子間領域Rpにおける透明な絶縁性基板19と透光性を示す絶縁膜15、16、20を透過した光は、保護絶縁膜20上の指FNに照射される。
【0075】
指FNに照射された光は、指FNの突部FNaと保護絶縁膜20の界面や、指FNの表皮内で乱反射し、この反射した光hνは、透光性を示す絶縁膜15、20及びトップゲート電極TGを介して、最も近接するダブルゲート型フォトセンサPSAの半導体層11Aに入射される。なお、絶縁膜15、16、20の屈折率は1.8〜2.0程度、トップゲート電極TGの屈折率は2.0〜2.2程度に設定されている。
【0076】
これに対して、指FNの溝部FNbにおいては、溝部FNbで乱反射している間に空気中で減衰してしまい、最も近接しているダブルゲート型フォトセンサPSAであっても、十分な量の光が半導体層11Aに入射されない。
すなわち、指FNの指紋パターンに応じた反射光の半導体層11Aへの入射量に応じて半導体層11A内で生成し、蓄積されうるキャリヤの量が変位する。
そして、図9、図10(b)に示すように、フォトセンサシステムは、トップゲートラインTGLにローレベル(たとえばVtg=−15V)のバイアス電圧φTiを印加することにより、リセット動作を終了し、キャリヤ蓄積動作による光蓄積期間Taがスタートする光蓄積動作を行う。
【0077】
光蓄積期間Taにおいては、トップゲート電極TG側から入射した光量に応じて半導体層11A(詳しくは、チャネル領域11a、11b)で生成された電子−正孔対が生成され、半導体層11A及びブロック絶縁膜14Aにおける半導体層11Aとの界面近傍、すなわちチャネル領域11a、11b周辺に正孔が蓄積される。
【0078】
そして、プリチャージ動作においては、図9、図10(c)に示すように、光蓄積期間Taに並行して、プリチャージ信号φpgに基づいてプリチャージスイッチ132がONし、ドレインラインDLに所定の電圧(プリチャージ電圧)Vpgを印加し、ドレイン電極13に電荷を保持させる(プリチャージ期間Tprch)。
【0079】
次いで、読み出し動作においては、図9、図10(d)に示すように、プリチャージ期間Tprchを経過した後、選択モードの行のボトムゲートラインBGLにハイレベル(たとえばVbg=+10V)のバイアス電圧(読み出し選択信号;以下、読み出しパルスという)φBiを印加することにより、選択モードの行のダブルゲート型フォトセンサPSAをON状態にする(読み出し期間Tread)。
【0080】
ここで、読み出し期間Treadにおいては、チャネル領域に蓄積されたキャリヤ(正孔)がトップゲート電極TGに印加された逆極性のVtg(−15V)を緩和する方向に働くため、ボトムゲート電極BGのVbgによりnチャネルが形成され、ドレイン電流に応じてドレインラインDLの電圧(ドレインライン電圧)VDは、図11(a)に示すように、プリチャージ電圧Vpgから時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
【0081】
すなわち、光蓄積期間Taにおける光蓄積状態が暗状態で、チャネル領域にキャリヤ(正孔)が蓄積されていない場合には、図10(e)、図11(a)に示すように、トップゲート電極TGに負バイアスをかけることによって、nチャネルを形成するためのボトムゲート電極BGの正バイアスが打ち消され、ダブルゲート型フォトセンサPSAはOFF状態となり、ドレイン電圧、すなわち、ドレインラインDLの電圧VDが、ほぼそのまま保持されることになる。
【0082】
一方、光蓄積状態が明状態の場合には、図10(d)、図11(a)に示すように、チャネル領域に入射光量に応じたキャリヤ(正孔)が捕獲されているため、トップゲート電極TGの負バイアスを打ち消すように作用し、この打ち消された分だけボトムゲート電極BGの正バイアスによって、nチャネルが形成され、ダブルゲート型フォトセンサPSはON状態となり、ドレイン電流Idsが流れる。そして、この入射光量に応じたON抵抗に従って、ドレインラインDLの電圧VDは、低下することになる。
【0083】
したがって、図11(a)に示したように、ドレインラインDLの電圧VDの変化傾向は、トップゲート電極TGへのリセットパルスφTiの印加によるリセット動作の終了時点から、ボトムゲート電極BGに読み出しパルスφBiが印加されるまでの時間(光蓄積期間Ta)に受光した光量に深く関連し、蓄積されたキャリヤが少ない場合には緩やかに低下する傾向を示し、また、蓄積されたキャリヤが多い場合には急峻に低下する傾向を示す。そのため、読み出し期間Treadがスタートして、所定の時間経過後のドレインラインDLの電圧VDを検出することにより、あるいは、所定のしきい値電圧を基準にして、その電圧に至るまでの時間を検出することにより、照射光の光量が換算される。
【0084】
上述した一連の画像読み取り動作を1サイクルとして、(i+1)番目の行のダブルゲート型フォトセンサPSAにも同等の処理手順を繰り返すことにより、ダブルゲート型フォトセンサPSAを2次元のセンサシステムとして動作させることができる。
【0085】
なお、図9に示したタイミングチャートにおいて、プリチャージ期間Tprchの経過後、図10(f)、(g)に示すように、非選択モードでボトムゲートラインBGLにローレベル(たとえばVbg=0V)を印加した状態を継続すると、ダブルゲート型フォトセンサPSAはOFF状態を持続し、図11(b)に示すように、ドレインラインDLの電圧VDは、プリチャージ電圧Vpgを保持する。このように、ボトムゲートラインBGLへの電圧の印加状態により、ダブルゲート型フォトセンサPSAの読み出し状態を選択する選択機能が実現される。光量に応じて減衰されたドレインラインDLの電圧VDは、再び検出回路131へ読み出され、増幅回路133を経てVout電圧の信号として指紋等のパターン認証回路へシリアルまたはパラレル出力される。
【0086】
次に、本発明に係る画像読取装置に適用されるダブルゲート型フォトセンサの他の構成例について、図面を参照して説明する。なお、上述した実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化または省略する。
<第2の実施形態>
図13は、本発明に係るフォトセンサアレイに適用されるダブルゲート型フォトセンサの他の構成例を示す概略構成図であり、図13(a)は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサにおける半導体層の平面構成図であり、図13(b)は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサの概略断面図である。また、図14は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用される半導体層の平面構成を示す概略図であり、図15は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用されるブロック絶縁膜の平面構成を示す概略図である。なお、ここでは、各部の平面形状を便宜的にハッチングで示す。また、上述した実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0087】
上述した実施形態に示したダブルゲート型フォトセンサPSAにおいては、真円形状を有する半導体層11Aを備えた構成を示したが、本実施形態においては、ダブルゲート型フォトセンサPSBが、ドーナツ形状又はリング形状を有する半導体層を備え、該半導体層に円弧状のチャネル領域を形成した構成を有している。なお、以下に示す実施形態におけるダブルゲート型フォトセンサPSBは、上述したダブルゲート型フォトセンサPSAと同じ駆動方法によりフォトセンス機能を実現することができ、同等の作用効果を得ることができる。
【0088】
図13(a)、(b)に示すように、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSBは、可視光に対して透過性を示す絶縁性基板19上に形成された単一のボトムゲート電極BGと、ボトムゲート電極BG上及び絶縁性基板19上に設けられたボトムゲート絶縁膜16と、ボトムゲート電極BGに対向して設けられ、可視光が入射されると電子−正孔対を発生するアモルファスシリコン等からなる単一のドーナツ形状又はリング形状の半導体層11Bと、半導体層11B上に所定の形状を有して一体的に形成されたブロック絶縁膜14Bと、ドーナツ形状の半導体層11Bの周縁領域に、ブロック絶縁膜14B上に一部が延在するように設けられたn+シリコン層17と、ドーナツ形状の半導体層11Bの略中央領域に、上記n+シリコン層17と離間し、かつ、ブロック絶縁膜14B上に一部が延在するように設けられたn+シリコン層18と、少なくともn+シリコン層17を覆うように設けられたドレイン電極13と、少なくともn+シリコン層18を覆うように設けられたソース電極12と、ボトムゲート絶縁膜16上、ブロック絶縁膜14B上、ソース電極12上及びドレイン電極13上の全域を覆うように形成されたトップゲート絶縁膜15と、トップゲート絶縁膜15上に半導体層11Bに対向するように設けられた単一のトップゲート電極TGと、トップゲート絶縁膜15上及びトップゲート電極TG上の全域を覆うように設けられた保護絶縁膜20と、から構成されている。
【0089】
ここで、半導体層11Bは、図14に示すように、斜め格子状にハッチングされている領域にドーナツ形状又はリング形状に形成され、n+シリコン層17及びn+シリコン層18を介して、ソース電極12及びドレイン電極13に対して平面的に重なる領域11cと、ブロック絶縁膜14Bに対してそれぞれ平面的に重なる領域(チャネル領域)11dとを有している。
また、ブロック絶縁膜14Bは、図15に示すように、上記半導体層11Bのチャネル領域11dを含む領域上に、半導体層11Bの形状に対応して略ドーナツ形状に形成されている。
【0090】
また、n+シリコン層17は、図4に示した構成と同様に、上記半導体層11Bの略全周の外縁部から一部が上記ブロック絶縁膜14B上に延在するとともに、図13(b)に示すように、半導体層11Bとドレイン電極13との間に介在して、ドレイン電極13と略全域で平面的に重なるように円弧形状に形成されている。また、n+シリコン層18は、図4に示した構成と同様に、真円形状を有して、ブロック絶縁膜14Bを挟んでn+シリコン層17と対向し、かつ、図13(b)に示すように、ブロック絶縁膜14Bの開口部に露出するボトムゲート絶縁膜16及び半導体層11B上から一部がブロック絶縁膜14B上に延在するとともに、半導体層11Bとソース電極12との間に介在して、ソース電極12と略全域で平面的に重なるように配置されている。
【0091】
さらに、ソース電極12は、図1(a)に示した構成と同様に、y方向(図面上下方向)に延在するソースラインSLからx方向(図面左右方向)に突出する接続部の先端に、真円形状に形成されている。また、ドレイン電極13は、ソースラインSLに対向して延在するドレインラインDLから突出し、真円形状を有するソース電極12に対向し、該ソース電極12を取り囲むように円弧形状に形成されている。すなわち、ソース電極12及びドレイン電極13は、半導体層11Bに形成されるチャネル領域11dを挟んで対向するように、円弧状の曲線形状を有して形成されている。また、ドレイン電極13は、半導体層11Bの外周の略3/4を覆っている。
【0092】
このような構成を有するダブルゲート型フォトセンサPSBにおいては、図5に示した場合と同様に、キャリヤ発生領域(入射有効領域)Ip1は、半導体層11B、ブロック絶縁膜14B、ソース電極12及びドレイン電極13の形状や配置に基づいて、ソース電極12及びドレイン電極13の離間距離を幅寸法(図1、図5に示したK1)とし、チャネル領域11dの円周方向の平均円弧寸法(図1に示したW1)をほぼ長さ寸法とする円弧形状の領域に設定される。
また、上記入射有効領域Ip1により設定される検知可能領域は、図6に示した場合と同様に、ダブルゲート型フォトセンサPSBの形成領域に対して、全周方向に略均一となる真円に近い形状に設定される(図6に示した検知可能領域Ep1)。
【0093】
したがって、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSBによれば、半導体層11Bをドーナツ形状又はリング形状に形成し、チャネル領域11dを円弧形状に形成することにより、(1)式又は(2)式に示したドレイン電流Idsを規定するW/L比を増大させることができるので、ダブルゲート型フォトセンサPSBの受光感度を簡易に向上させることができるとともに、入射有効領域(キャリヤ発生領域)Ip1を略円状の円弧形状に形成することができるので、受光感度の分布範囲の平面的なバランスを全周方向に均一化することができる。
【0094】
<第3の実施形態>
図16は、本発明に係るフォトセンサアレイに適用されるダブルゲート型フォトセンサのさらに他の構成例を示す概略構成図であり、図17は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用される半導体層の平面構成を示す概略図であり、図18は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用されるブロック絶縁膜の平面構成を示す概略図である。なお、ここでは、各部の平面形状を便宜的にハッチングで示す。また、上述した実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0095】
上述した実施形態に示したダブルゲート型フォトセンサPSA、PSBにおいては、真円形状又はドーナツ形状を有する半導体層11A、11Bを備えた構成を示したが、本実施形態においては、ダブルゲート型フォトセンサPSCが、扇形状を有する半導体層を備え、該半導体層に円弧状のチャネル領域を形成した構成を有している。なお、以下に示す実施形態におけるダブルゲート型フォトセンサPSCは、上述したダブルゲート型フォトセンサPSAと同じ駆動方法によりフォトセンス機能を実現することができ、同等の作用効果を得ることができる。
【0096】
図16(a)、(b)に示すように、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSCは、可視光に対して透過性を示す絶縁性基板19上に形成された単一のボトムゲート電極BGと、ボトムゲート電極BG上及び絶縁性基板19上に設けられたボトムゲート絶縁膜16と、ボトムゲート電極BGに対向して設けられ、可視光が入射されると電子−正孔対を発生するアモルファスシリコン等からなる単一の扇形状の半導体層11Cと、半導体層11C上に所定の形状を有して一体的に形成されたブロック絶縁膜14Cと、扇形状の半導体層11Cの周縁領域に、ブロック絶縁膜14C上に一部が延在するように設けられたn+シリコン層17を介して設けられたドレイン電極13と、半導体層11Cの扇形状の中心点を含む領域に、上記n+シリコン層17及びドレイン電極13と離間し、かつ、ブロック絶縁膜14C上に一部が延在するように設けられたn+シリコン層18を介して設けられたソース電極12と、ボトムゲート絶縁膜16上、ブロック絶縁膜14C上、ソース電極12上及びドレイン電極13上の全域を覆うように形成されたトップゲート絶縁膜15と、トップゲート絶縁膜15上に半導体層11Cに対向するように設けられた単一のトップゲート電極TGと、トップゲート絶縁膜15上及びトップゲート電極TG上の全域を覆うように設けられた保護絶縁膜20と、から構成されている。
【0097】
ここで、半導体層11Cは、図17に示すように、斜め格子状にハッチングされている領域に略真円状の扇形状(例えば、3π/4の円弧を有する扇形状)に形成され、n+シリコン層17及びn+シリコン層18を介して、ソース電極12及びドレイン電極13に対して平面的に重なる領域11eと、ブロック絶縁膜14Cに対してそれぞれ平面的に重なる領域(チャネル領域)11fとを有している。
また、ブロック絶縁膜14Cは、図18に示すように、上記半導体層11Cのチャネル領域11fを含む領域上に、半導体層11Cの形状に対応して略円状の幅広の円弧形状に形成されている。
【0098】
なお、ソース電極12は、ソースラインSLからx方向(図面左右方向)に突出する接続部の先端に、真円形状を有して形成されている。ここで、ソース電極12は、図16(b)に示すように、ブロック絶縁膜14Cを挟んでn+シリコン層17と対向し、かつ、ブロック絶縁膜14Cの円弧形状の中心点を含む領域に露出する半導体層11C上から一部がブロック絶縁膜14C上に延在するn+シリコン層18上に形成されている。また、ドレイン電極13は、ドレインラインDLから突出し、真円形状を有するソース電極12に対向し、該ソース電極12を取り囲むように円弧形状を有して形成されている。ここで、ドレイン電極13は、図16(b)に示すように、上記半導体層11Cの円弧状の外縁部から一部が上記ブロック絶縁膜14C上に延在するn+シリコン層17上に形成されている。すなわち、ソース電極12及びドレイン電極13は、半導体層11Cに形成されるチャネル領域11fを挟んで対向するように、円弧状の曲線形状を有して形成されている。
【0099】
このような構成を有するダブルゲート型フォトセンサPSCにおいては、図5に示した場合と同様に、キャリヤ発生領域(入射有効領域)Ip1が円弧形状の領域に設定される。これにより、ダブルゲート型フォトセンサPSCにおける検知可能領域は、図6に示した場合と同様に、ダブルゲート型フォトセンサPSCの形成領域に対して、全周方向に略均一となる真円に近い形状に設定される(図6に示した検知可能領域Ep1)。
【0100】
したがって、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSCによれば、半導体層11Cを略真円状の扇形状に形成し、チャネル領域11f及び入射有効領域(キャリヤ発生領域)Ip1を略円状の円弧形状に形成することにより、ドレイン電流Idsを規定するW/L比を増大させて、ダブルゲート型フォトセンサPSCの受光感度を簡易に向上させることができるとともに、受光感度の分布範囲の平面的なバランスを全周方向に均一化することができる。
【0101】
<第4の実施形態>
図19は、本発明に係るフォトセンサアレイに適用されるダブルゲート型フォトセンサのさらに他の構成例を示す概略構成図であり、図20は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用される半導体層の平面構成を示す概略図であり、図21は、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用されるブロック絶縁膜の平面構成を示す概略図である。なお、ここでは、各部の平面形状を便宜的にハッチングで示す。また、上述した実施形態と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0102】
本実施形態においては、ダブルゲート型フォトセンサPSDが、幅広の円弧形状を有する半導体層を備え、該半導体層に円弧状のチャネル領域を形成した構成を有している。なお、以下に示す実施形態におけるダブルゲート型フォトセンサPSDは、上述したダブルゲート型フォトセンサPSAと同じ駆動方法によりフォトセンス機能を実現することができ、同等の作用効果を得ることができる。
【0103】
図19(a)、(b)に示すように、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSDは、可視光に対して透過性を示す絶縁性基板19上に形成された単一のボトムゲート電極BGと、ボトムゲート電極BG上及び絶縁性基板19上に設けられたボトムゲート絶縁膜16と、ボトムゲート電極BGに対向して設けられ、可視光が入射されると電子−正孔対を発生するアモルファスシリコン等からなる単一の幅広の円弧形状の半導体層11Dと、半導体層11D上に所定の形状を有して一体的に形成されたブロック絶縁膜14Dと、円弧形状の半導体層11Dの周縁領域に、ブロック絶縁膜14D上に一部が延在するように設けられたn+シリコン層17を介して設けられたドレイン電極13と、半導体層11Dの円弧形状の中心点を含む領域に、上記n+シリコン層17及びドレイン電極13と離間し、かつ、ブロック絶縁膜14D上に一部が延在するように設けられたn+シリコン層18を介して設けられたソース電極12と、ボトムゲート絶縁膜16上、ブロック絶縁膜14D上、ソース電極12上及びドレイン電極13上の全域を覆うように形成されたトップゲート絶縁膜15と、トップゲート絶縁膜15上に半導体層11Dに対向するように設けられた単一のトップゲート電極TGと、トップゲート絶縁膜15上及びトップゲート電極TG上の全域を覆うように設けられた保護絶縁膜20と、から構成されている。
【0104】
ここで、半導体層11Dは、図20に示すように、斜め格子状にハッチングされている領域に略円状の幅広の円弧形状(例えば、3π/4の幅広の円弧形状)に形成され、n+シリコン層17及びn+シリコン層18を介して、ソース電極12及びドレイン電極13に対して平面的に重なる領域11gと、ブロック絶縁膜14Dに対してそれぞれ平面的に重なる領域(チャネル領域)11hとを有している。
また、ブロック絶縁膜14Dは、図21に示すように、上記半導体層11Dのチャネル領域11hを含む領域上に、半導体層11Dの形状に対応して略円状の幅広の円弧形状に形成されている。
【0105】
なお、ソース電極12は、ソースラインSLからx方向(図面左右方向)に突出する接続部の先端に、真円形状を有して形成されている。ここで、ソース電極12は、図19(b)に示すように、ブロック絶縁膜14Dを挟んでn+シリコン層17と対向し、かつ、ブロック絶縁膜14Dの円弧形状の中心点を含む領域に露出するボトムゲート絶縁膜16及び半導体層11D上から一部がブロック絶縁膜14D上に延在するn+シリコン層18上に形成されている。また、ドレイン電極13は、ドレインラインDLから突出し、真円形状を有するソース電極12に対向し、該ソース電極12を取り囲むように円弧形状を有して形成されている。ここで、ドレイン電極13は、図19(b)に示すように、上記半導体層11Dの円弧状の外縁部から一部が上記ブロック絶縁膜14D上に延在するn+シリコン層17上に形成されている。すなわち、ソース電極12及びドレイン電極13は、半導体層11Dに形成されるチャネル領域11hを挟んで対向するように、円弧状の曲線形状を有して形成されている。
【0106】
このような構成を有するダブルゲート型フォトセンサPSDにおいては、図5に示した場合と同様に、キャリヤ発生領域(入射有効領域)Ip1が円弧形状の領域に設定されることにより、図6に示した場合と同様に、検知可能領域が、ダブルゲート型フォトセンサPSCの形成領域に対して、全周方向に略均一となる真円に近い形状に設定される(図6に示した検知可能領域Ep1)。
したがって、本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサPSDによれば、半導体層11Dを略円状の円弧形状に形成し、チャネル領域11f及び入射有効領域(キャリヤ発生領域)Ip1を略円状の円弧形状に形成することにより、ドレイン電流Idsを規定するW/L比を増大させて、ダブルゲート型フォトセンサPSDの受光感度を簡易に向上させることができるとともに、受光感度の分布範囲の平面的なバランスを全周方向に均一化することができる。
【0107】
次に、本発明に係るフォトセンサアレイの他の構成例について、図面を参照して説明する。
図22は、本発明に係るフォトセンサアレイの他の構成例を示す概略構成図である。なお、図22においては、図示の都合上、便宜的にソースラインSL(ソース電極)及びドレインラインDL(ドレイン電極)をハッチングで示す。
【0108】
上述した実施形態においては、ダブルゲート型フォトセンサを直交するx、yの2方向にマトリクス状に配置したフォトセンサアレイ(図7)を示したが、本実施形態に係るフォトセンサアレイ200は、図22に示すように、各ダブルゲート型フォトセンサPSEが、2次元平面に連続して設定された一辺がPsaの正三角形の各頂点位置に配置された、いわゆる、デルタ配列構造を有している。ここで、ダブルゲート型フォトセンサPSEは、上述した各実施形態に示したものを良好に適用することができる。
【0109】
ここで、本実施形態に係るフォトセンサアレイ200と、上述した図7に示したフォトセンサアレイ100におけるダブルゲート型フォトセンサPSAの配置と対比する。
フォトセンサアレイ100におけるダブルゲート型フォトセンサPSAは、x、yの直交する2方向にのみ、均等な寸法(ピッチ)Pspだけ離間するように配置されているため、x、y方向に対して斜め方向の角度θ(0°、90°、180°、270°以外の適当な角度;たとえば、45°や60°方向)においては、ダブルゲート型フォトセンサPS相互のピッチがx、y方向に対して増大して不均一となり易く(たとえば、互いにx方向またはy方向に対し45°の角度で斜めに配置されるダブルゲート型フォトセンサPS間の距離はピッチPspの√2倍)、斜め方向にずれて載置された被写体に対する読み取り精度が、載置状態がずれていない正規の被写体の読み取り精度に比較して、劣化する可能性があるという問題を有していた。
【0110】
これに対して、本実施形態に係るフォトセンサアレイ200においては、2次元平面に連続して設定された各正三角形の各頂点位置にフォトセンサ部となるダブルゲート型フォトセンサPSEが配置されているので、x方向にピッチPsaで均等にダブルゲート型フォトセンサPSEが配置されるとともに、角度θが60°、120°、240°、300°の各方向にも、ピッチPsaで均等にダブルゲート型フォトセンサPSEが配置されることになるので、被写体の載置状態(角度)が60°、120°、240°、300°方向にずれた場合であっても、概ね0°のときと同程度の精度で読取動作を行うことができる。
【0111】
したがって、2次元平面上に配置される全てのダブルゲート型フォトセンサPSEが、略全周方向に対して均一な受光感度の分布範囲のバランス(検知可能領域の拡がり)を有するとともに、略全周方向に対して等間隔なピッチPsaで配置されることになるので、読み取り対象となる2次元画像(被写体)がx、y方向に対して斜めに載置された場合であっても、画像読み取り時の歪みを抑制しつつ、高い読み取り精度で正確に読み取ることができる。
【0112】
また、各ダブルゲート型フォトセンサPSEがデルタ配列されているので、x方向のピッチPsaを図7に示したフォトセンサ部のピッチPspと同等に設定した場合、y方向のピッチPsbは、次式により表される。
Psb=Psa×sin60° (3)
このように、本実施形態に係るフォトセンサアレイ200おいては、上述した実施形態(図7)に比較して、y方向のピッチPsbが、x方向のピッチPsa(=Psp)よりも短くなるため、フォトセンサアレイ100における平面領域Mpを基準にすると、y方向に縮小された平面領域Mcで、同数のダブルゲート型フォトセンサPSEを配置することができ、2次元画像の読取装置の小型化を図ることができる。これは換言すれば、フォトセンサアレイ200は、フォトセンサアレイ100と同等の平面領域Mpに、1/sin60°倍(≒1.15倍)の数のダブルゲート型フォトセンサPSCを配置することができることになるので、センサ素子の高密度化を図ることができる。
【0113】
なお、図22に示したフォトセンサアレイ200においては、ダブルゲート型フォトセンサPSEとして、上述した各実施形態に示したものと同等の構成を示したが、本発明は、これに限定されるものではない。したがって、上述した各実施形態に示したダブルゲート型フォトセンサPSA〜PSD以外の他の構成を有するダブルゲート型フォトセンサを適用してもよいことはいうまでもない。
【0114】
以上説明したダブルゲート型フォトセンサ及びフォトセンサアレイを、図12に示したような2次元画像読取装置(図では、指紋読取装置)に適用することにより、フォトセンサアレイのガラス基板側に設けられた面光源140から、素子間領域の透明な絶縁膜を透過して、指FN等の被写体に照射された光の反射光hνが、マトリクス状に配置された各ダブルゲート型フォトセンサPSAに入射され、上述したように、読み取り時の歪みを低減しつつ、高精度、かつ、短時間で被写体の画像情報(明暗情報)の読み取りを実行することができる。
また、上述したように、フォトセンサアレイにおける受光感度を大幅に向上することができるので、相対的に面光源140の照度を低減することができ、読取装置の消費電力を削減することができる。
【0115】
また、以上説明したダブルゲート型フォトセンサアレイ100、200においては、同一行におけるトップゲートラインが、隣接するダブルゲート型フォトセンサ間で互いに平面的に複数本(たとえば、2本のトップゲートラインTGLa、TGLb)に分岐して、かつ、均等な位置関係かつ略同等の配線幅で平行に延在するように形成され、さらに、ダブルゲート型フォトセンサの略中央を接続して延伸するボトムゲートラインBGLに対して、列方向の上下に略対称な位置関係で配置形成されている。
【0116】
このような構成により、トップゲート電極TG間が実質的に2本(複数本)の配線層により接続されることになるので、配線断面積を増加させて、抵抗率の高いITOにより形成されたトップゲートラインTGLa、TGLbの配線抵抗を低減し、読み取り動作信号の伝搬遅延を抑制することができ、一層良好な画像の読み取り動作を実現することができる。
また、積層構造を有するダブルゲート型フォトセンサの比較的上層に形成されるトップゲートラインを、複数の配線層(101a、TGLb)により形成することができるので、積層構造に伴う段差やフォトリソグラフィー工程におけるパーティクルに起因して、特定の配線層に断線が生じた場合であっても、断線を生じていない残りの配線層によりトップゲート電極TG相互を電気的に接続することができ、読み取り動作信号の伝搬を補償して、信頼性の高いフォトセンサアレイを提供することができる。
【0117】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、ソース電極及びドレイン電極により規定され、半導体層に形成されるキャリヤ発生領域への励起光の入射により、光電変換素子の検知感度特性を示す検知可能領域(受光感度の分布範囲)の広がりが、全周方向に略均一になる範囲に設定される。したがって、検知可能領域の広がりの特定方向への偏りを改善して、歪みを抑制した良好な画像情報の読み取り動作が可能な光電変換素子を実現することができる。
【0118】
ここで、光電変換素子は、少なくとも、半導体層に形成されるキャリヤ発生領域が、略円状の円弧形状に形成されていることにより、キャリヤ発生領域に生成されるキャリヤに応じて流れるドレイン電流値のパラメータであるチャネル領域のW/L比を増大して、励起光の入射量が微量な場合であっても、十分ドレイン電流(ソース−ドレイン電流)を流して、良好な受光感度を実現することができるとともに、検知可能領域の広がりを良好に全周方向に略均一にすることができる。
【0119】
また、光電変換素子の半導体層は、真円形状、ドーナツ形状、略真円状の扇形状もしくは略円状の円弧形状に形成されていてもよい。これにより、例えば、ソース電極及びドレイン電極を、半導体層の形状に対応させて、相互に対向する円弧状の曲線形状を有するように配置することにより、チャネル領域のW/L比を良好に増大しつつ、略円状の円弧形状を有するキャリヤ発生領域を良好に形成することができる。
【0120】
請求項6記載の発明によれば、基板上に規則的に配置される各光電変換素子が、全周方向に略均一な検知可能領域(受光感度の分布範囲)を有しているので、検知可能領域の広がりの特定方向への偏りを改善して、歪みを抑制した良好な画像情報の読み取り動作が可能なフォトセンサアレイを実現することができる。
【0121】
上記フォトセンサアレイに適用される光電変換素子は、少なくとも、半導体層に形成されるキャリヤ発生領域が、略円状の円弧形状に形成されているものであってもよい。これにより、フォトセンサアレイにおける各光電変換素子に流れるドレイン電流値のパラメータであるチャネル領域のW/L比を増大して、励起光の入射量が微量な場合であっても、良好な受光感度を実現することができるとともに、各光電変換素子における検知可能領域の広がりを良好に全周方向に略均一して、歪みを抑制した良好な画像情報の読み取り動作を実現することができる。
【0122】
また、上記フォトセンサアレイに適用される光電変換素子は、少なくとも、半導体層に形成されるキャリヤ発生領域が、略円状の円弧形状に形成されているものであってもよい。これにより、フォトセンサアレイを構成する各光電変換素子におけるチャネル領域のW/L比を増大しつつ、検知可能領域の広がりを良好に全周方向に略均一に設定することが可能なフォトセンサアレイを提供することができる。
【0123】
また、上記フォトセンサアレイに適用される光電変換素子は、半導体層が、真円形状、ドーナツ形状、略真円状の扇形状もしくは略円状の円弧形状に形成されているものであってもよい。これにより、例えば、ソース電極及びドレイン電極を、半導体層の形状に対応させて、相互に対向する円弧状の曲線形状を有するように配置することにより、フォトセンサアレイを構成する各光電変換素子におけるチャネル領域のW/L比を良好に増大しつつ、略円状の円弧形状を有するキャリヤ発生領域を良好に形成して、歪みを抑制した良好な画像情報の読み取りが可能なフォトセンサアレイを提供することができる。
【0124】
また、上記フォトセンサアレイにおいては、複数の光電変換素子同士を接続する第1ゲートラインが、励起光に対して透過性を示すとともに、光電変換素子に対して、それぞれ対称な位置に配置された平行する複数の配線層により構成された領域を有するものであってもよい。
このような構成によれば、第1ゲートラインが、光電変換素子に対して複数の配線層により対称な位置関係で配置されているので、各光電変換素子の受光感度の分布範囲のバランスを均等になるように設定することができるとともに、ゲートラインの配線断面積を実質的に増大させて配線抵抗を下げて、信号の伝搬遅延を抑制することができ、良好な画像情報の読み取り動作を行うことができる。
【0125】
さらに、上記フォトセンサアレイにおいて、複数の光電変換素子が、デルタ配列されていることにより、2次元的に隣接して配置された光電変換素子間の距離を、略全周にわたってより均等にすることができるので、被写体の載置角度(方向)に応じて異なる受光感度のバラツキを抑制して、被写体の載置角度に関わらず、良好な画像情報の読み取り動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るダブルゲート型フォトセンサの第1の実施形態を示す概略構成図である。
【図2】第1の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用される半導体層の平面構成を示す概略図である。
【図3】第1の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用されるブロック絶縁膜の平面構成を示す概略図である。
【図4】第1の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用されるn+シリコン層の平面構成を示す概略図である。
【図5】第1の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサにおける入射有効領域(キャリヤ発生領域)を示す概略図である。
【図6】第1の実施形態に係る本実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサにおける励起光の入射有効領域と検知可能領域の広がりを示す概略図である。
【図7】第1の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサをマトリクス状に配置したフォトセンサアレイの平面構成図である。
【図8】本発明に係るフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。
【図9】図8に示したフォトセンサシステムの駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明に係るダブルゲート型フォトセンサの動作概念図である。
【図11】本発明に係るフォトセンサシステムの出力電圧の光応答特性を示す図である。
【図12】本発明に係るフォトセンサシステムにおける指紋の読取状態を示す要部断面図である。
【図13】本発明に係るダブルゲート型フォトセンサの第2の実施形態を示す概略構成図である。
【図14】第2の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用される半導体層の平面構成を示す概略図である。
【図15】第2の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用されるブロック絶縁膜の平面構成を示す概略図である。
【図16】本発明に係るダブルゲート型フォトセンサの第3の実施形態を示す概略構成図である。
【図17】第3の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用される半導体層の平面構成を示す概略図である。
【図18】第3の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用されるブロック絶縁膜の平面構成を示す概略図である。
【図19】本発明に係るダブルゲート型フォトセンサの第4の実施形態を示す概略構成図である。
【図20】第4の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用される半導体層の平面構成を示す概略図である。
【図21】第4の実施形態に係るダブルゲート型フォトセンサに適用されるブロック絶縁膜の平面構成を示す概略図である。
【図22】本発明に係るダブルゲート型フォトセンサをデルタ配列構造で配置したフォトセンサアレイの平面構成図である。
【図23】従来技術におけるダブルゲート型フォトセンサをマトリクス状に配置したフォトセンサアレイの平面構成図である。
【図24】従来技術におけるダブルゲート型フォトセンサの平面構成及び断面構成を示す概略図である。
【図25】従来技術におけるダブルゲート型フォトセンサにおける入射有効領域(キャリヤ発生領域)を示す概略図である。
【図26】従来技術におけるダブルゲート型フォトセンサにおける励起光の検知可能領域の広がりを示す概略図である。
【符号の説明】
PSA〜PSE、PS ダブルゲート型フォトセンサ
11A〜11D 半導体層
11b、11d、11f、11h チャネル領域
12 ソース電極
13 ドレイン電極
14A〜14D ブロック絶縁膜
17、18 n+シリコン層
19 絶縁性基板
TG トップゲート電極
BG ボトムゲート電極
TGLa、TGLb トップゲートライン
BGL ボトムゲートライン
SL ソースライン
DL ドレインライン
100、200 フォトセンサアレイ
Claims (8)
- 励起光が入射されることにより、キャリアを生成するキャリア発生領域を有する半導体層と、
可視光に対して不透明であり、前記半導体層の前記キャリア発生領域を挟んで相互に対向する円弧形状のソース電極及びドレイン電極と、
前記半導体層の上方に設けられた第1ゲート電極と、
前記半導体層の下方に設けられた第2ゲート電極と、
を備えた薄膜トランジスタで構成され、
前記キャリア発生領域に入射される前記励起光に対する検知感度特性が、全周方向に略均一となるように、前記キャリア発生領域が略円弧形状に形成されていることを特徴とする光電変換素子。 - 前記半導体層は、真円形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 前記半導体層は、ドーナツ形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 前記半導体層は、略真円状の扇形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 前記半導体層は、略円状の円弧形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。
- 励起光が入射されることにより、キャリアを生成するキャリア発生領域を有する半導体層と、可視光に対して不透明であり、前記半導体層の前記キャリア発生領域を挟んで相互に対向する円弧形状のソース電極及びドレイン電極と、前記半導体層の上方に設けられた第1ゲート電極と、前記半導体層の下方に設けられた第2ゲート電極と、を各々備えた薄膜トランジスタで構成され、前記キャリア発生領域に入射される前記励起光に対する検知感度特性が、全周方向に略均一となるように、前記キャリア発生領域がそれぞれ略円弧形状に形成されている複数の光電変換素子と、
前記複数の光電変換素子の前記第1ゲート電極相互を接続する第1ゲートラインと、
前記複数の光電変換素子の前記第2ゲート電極相互を接続する第2ゲートラインと、
を有し、
前記複数の光電変換素子が、前記第1ゲートラインおよび前記第2ゲートラインを介して、基板上に規則的に配置されていることを特徴とするフォトセンサアレイ。 - 前記第1ゲートラインは、前記励起光に対して透過性を示すとともに、前記複数の光電変換素子に対して、それぞれ対称な位置に配置された平行する複数の配線層により構成された領域を有することを特徴とする請求項6に記載のフォトセンサアレイ。
- 前記複数の光電変換素子は、デルタ配列されていることを特徴とする請求項6乃至7のいずれかに記載のフォトセンサアレイ。
Priority Applications (1)
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JP2000251182A JP3765466B2 (ja) | 2000-08-22 | 2000-08-22 | 光電変換素子及びフォトセンサアレイ |
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