JP4253835B2 - 画像読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読取装置に関し、特に、複数のセンサをマトリクス状に配列したセンサアレイ上に被検出体を接触させて、その画像パターン(2次元画像)を読み取る画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷物や写真、あるいは、指紋等の微細な凹凸の形状等を読み取る2次元画像の読取装置として、例えば、光電変換素子(フォトセンサ)をマトリクス状に配列して構成されるフォトセンサアレイ上に設けられた検知面に被検出体を載置、接触させて、該被検出体の画像パターンを読み取る構造のものがある。
【0003】
そして、このような被検出体が検知面に直接接触する構造を有する画像読取装置においては、被検出体に帯電した静電気による素子破壊や誤動作の発生を抑制するために、静電気を放電、除去する機能(以下、「静電気除去機能」という)を備えたものが知られている。
【0004】
ここで、上述したような静電除去機能を備えた画像読取装置の従来例(例えば、特許文献1参照)について簡単に説明する。なお、ここでは、画像読取装置の一例として、指紋読取装置を示して説明する。
図12は、従来技術において静電気除去機能を備えた画像読取装置(指紋読取装置)の一構成例を示す概略構成図である。
【0005】
従来技術における画像読取装置(指紋読取装置)は、例えば、図12(a)、(b)に示すように、概略、透明な絶縁性基板STの一面側に複数のフォトセンサ10pがマトリクス状に配列されたフォトセンサデバイスPDと、少なくとも複数のフォトセンサ10pが配置されたアレイ領域の全域を覆うように形成された透明電極層30pと、該透明電極層30pを接地電位に接続する引き出し配線LNpと、フォトセンサデバイスPDの背面側に配置され、透明電極層30pの上面に設けられた検知面DTに載置された被検出体に対して照射光LTpを発光する面光源BLと、を有して構成されている。なお、図中、ISは絶縁性基板ST上に形成されたフォトセンサ10pを保護するための保護絶縁膜であり、Rpは引き出し配線LNpの配線抵抗である。
【0006】
このような画像読取装置において、図12(b)に示すように、指FG等の被検出体が透明電極層30p上面の検知面DTに載置、接触されると、指(人体)FGに帯電していた電荷(静電気)が引き出し配線LNpを介して、接地電位に放電される。すなわち、指FGに帯電した電荷に起因する過大電流が、比較的低抵抗である引き出し配線LNp(配線抵抗Rp)を介して接地電位に流れるので、静電気によるフォトセンサデバイスPD(具体的には、フォトセンサ10p)の素子破壊や画像読取装置の誤動作の発生を抑制することができる。ここで、従来技術においては、指の接触による放電電圧は、概ね3〜4kVであって、静電気耐圧が5kV以上あればよいことが記載され、この静電気耐圧を得るために、透明電極層30pのシート抵抗を50Ω/□以下、より望ましくは、15〜20Ω/□程度に設定することが記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002―50750号公報(第6頁〜7頁、第7〜9図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の画像読取装置においては、次に示すような問題を有していた。
すなわち、図12に示したような画像読取装置においては、透明電極層30p上面の検知面DTに載置された被写体(指FG)に対して、面光源BLから所定の波長の照射光LTpを発光し、フォトセンサデバイスPD及び透明電極層30pを透過して被写体に到達した照射光LTpのうち、被写体表面の凹凸パターンや明暗パターンに応じて反射した光(反射光)LTrを、マトリクス状に配列された各フォトセンサ10pにより受光して電気信号に変換することにより、被写体(指FG)の画像パターンを読み取る動作が行われる。
【0009】
そのため、検知面DTを構成する透明電極層30pの膜材料としては、静電気を引き出し配線LNpを介して放電するための導電性を有するとともに、照射光LTp及び反射光LTrを良好に透過させる光透過性を有している必要がある。ここで、従来技術においては、一般に、透明電極層として、酸化スズ(SnO2)膜やITO(Indium-Tin-Oxide:インジウム−スズ酸化物)膜等の透光性の導電膜が用いられている。
【0010】
そして、前述のように、従来技術において、透明電極層のシート抵抗を50Ω/□以下、好ましくは15〜20Ω/□程度、とすれば所定の静電気耐圧を得ることができ、透明電極層にITO膜を用いた場合、その膜厚は概ね1500〜2000Å程度となることが記載されている。
ところで、上記の透明電極層のシート抵抗値の条件は、指の接触による放電電圧に対し、静電気耐圧が5kV以上あればよい、という条件に基づいて求められたものであった。しかしながら、その後、本願発明者らが鋭意研究、検証したところ、人体は10kV以上に帯電する場合があることが分かり、回路設計上は10kV以上(より具体的には、10kV乃至15kV以上)の静電気耐圧を有していることが必要であることが分かった。
【0011】
これに対し、従来技術における考え方に基づいた場合、更に透明電極層を低抵抗とすることによって、必要な静電気耐圧を得ることができると予想される。その場合、透明電極層の膜厚を更に厚くしなければならない。しかし、この透明電極層は、上述のように、照射光や反射光を良好に透過して、被写体画像パターンの読み取りを阻害しないものでなければならないため、膜厚をむやみに厚くすることはできない。そのため、透明電極層の低抵抗化のみによって、所望の絶縁耐圧を得ることはできなかった。
【0012】
また、図12(b)に示すように、フォトセンサデバイスPDは、絶縁性基板STの一面側に複数のフォトセンサ10pがマトリクス状に配列され、その上層にフォトセンサ10pを保護するための保護絶縁膜ISが積層された構成を有している。ここで、保護絶縁膜ISには、シリコン窒化膜SiN等の光透過性を有する絶縁性材料が適用されるが、上述した画像読取装置の構成においては、この保護絶縁膜ISを介して、透明電極膜30pとフォトセンサ10pを駆動制御するための電極や配線層とが対向して配置されるため、寄生容量が形成されることになる。
【0013】
そして、本願発明者らは、鋭意研究により、後述するように、絶縁耐圧には、前述の透明電極層の抵抗のみならず、この寄生容量も関係しており、絶縁耐圧は透明電極層の抵抗と容量に基づく時定数に密接に関係していることを見出した。これにより、所望の絶縁耐圧を得るためには、透明電極層の膜厚(抵抗)及び保護絶縁膜の膜厚(容量)を適切な値に設定する必要があることが分かったが、従来においては、この点は何ら考慮されていなかった。
【0014】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、フォトセンサデバイス上の検知面に載置、接触された被検出体に帯電した静電気を十分に放電、除去して、静電気による素子の破壊やシステムの誤動作の発生を回避することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の画像読取装置は、絶縁性基板の一面側に配列された複数のフォトセンサと、該複数のフォトセンサを被覆するように設けられた透光性絶縁膜と、を有して構成されるフォトセンサデバイスを備え、該フォトセンサデバイス上に被検出体を載置して、該被検出体の画像パターンを読み取る画像読取装置において、前記画像読取装置は、少なくとも、前記透光性絶縁膜上に、前記被検出体が直接載置、接触される検知面を備えた透明電極膜と、該透明電極膜を所定の低電位電源に接続する配線と、前記透明電極膜と前記配線との間に介在する、前記透明電極膜の抵抗値より低い抵抗値を有する導電性部材と、を有し、前記各フォトセンサはトランジスタ構造を有し、少なくとも、前記絶縁性基板の前記一面側に形成された半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されるソース電極とドレイン電極と前記チャネル領域に対して絶縁膜を介して形成されるゲート電極とを含む複数の制御電極と、該各制御電極に接続される複数の信号配線と、を有し、前記検知面と前記低電位電源間に存在する、前記透明電極層と前記導電性部材とにより構成される抵抗成分と、前記透光性絶縁膜を介して相互に対向して配置される前記透明電極膜と前記フォトセンサの前記各制御電極及び前記各信号配線とにより形成される容量成分と、により規定される時定数が0.3μsec以下に設定されていることを特徴としている。
【0016】
請求項2記載の画像読取装置は、請求項1 記載の画像読取装置において、前記画像読取装置において、前記時定数は0.25μsec以下になるように設定されていることを特徴としている。
請求項3記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記抵抗成分の値は、30Ω以下になるように設定されていることを特徴としている。
請求項4記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記画像読取装置は、前記容量成分が、10nF以下の静電容量になるように設定されていることを特徴としている。
【0017】
請求項5記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記導電性部材は、該透明電極膜上の所定の領域に電気的に接続して設けられていることを特徴としている。
【0018】
請求項6記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記導電性部材は、クロム、アルミニウム、もしくは、クロムを含む合金材料、アルミニウムを含む合金材料から選択された導電性材料により構成されていることを特徴としている。
請求項7記載の画像読取装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の画像読取装置において、前記透明電極膜は、インジウム−スズ酸化物を主体とする材質を有していることを特徴としている。
【0019】
請求項8記載の画像読取装置は、請求項1乃至7のいずれかに記載の画像読取装置において、前記フォトセンサは、前記ゲート電極として、前記チャネル領域の情報及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、を有し、前記第1のゲート電極にリセットパルスを印加して前記フォトセンサを初期化し、前記ドレイン電極にプリチャージパルスを印加した後、前記第2のゲート電極に読み出しパルスを印加することにより、前記初期化終了から前記読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に、前記チャネル領域に蓄積された電荷に対応する電圧を出力電圧として出力し、前記画像読取装置は、前記プリチャージパルスに係る信号電圧と前記出力電圧との差分を、明暗信号として観測することを特徴としている。
請求項9記載の画像読取装置は、請求項1乃至8のいずれかに記載の画像読取装置において、前記被検出体として人体を観測し、該人体固有の画像パターンを読み取ることを特徴としている。
【0020】
すなわち、本発明に係る画像読取装置は、複数のフォトセンサをマトリクス状に配列したフォトセンサデバイスの最上層に、検知面を構成するとともに、接地電位(低電位電源)に接続された透明電極層(透明電極膜)を備えた画像読取装置において、各フォトセンサはトランジスタ構造を有し、少なくとも、絶縁性基板の前記一面側に形成された半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されるソース電極とドレイン電極と前記チャネル領域に対して絶縁膜を介して形成されるゲート電極とを含む複数の制御電極と、該各制御電極に接続される複数の信号配線と、を有し、検知面と低電位電源間の抵抗(抵抗成分)と、保護絶縁膜等(透光性絶縁膜)を介して対向して配置される透明導電層と各フォトセンサの各制御電極及び各信号配線により形成される静電容量(容量成分)と、の積により規定される時定数が、概ね0.3μsec以下、より望ましくは、概ね0.25μsec以下になるように設定された構成を有している。
【0021】
ここで、上記時定数の数値範囲を実現するために、透明電極層の周縁部に透明電極層よりも抵抗値の低いクロムやアルミニウム等からなる導電性部材を電気的に接続して設け、透明導電膜と前記導電部材とにより構成される抵抗成分を概ね30Ω以下に設定して、検知面と低電位電源間の抵抗成分の値を透明電極層の抵抗値より低くするものであってもよい。
【0022】
このような構成によれば、本発明に係る画像読取装置を、人体のように極めて大きい(10乃至15kV以上)静電気が帯電する対象物を被検出体とする指紋読取装置等に適用する場合であっても、透明電極層から引き出し配線を介して接地電位に至る電流経路における抵抗成分を低減して、被検出体に帯電した電荷を流れやすくすることができるので、検知面(透明電極層)に印加される静電気を良好に接地電位に放電して、フォトセンサの素子破壊やシステムの誤動作の発生を良好に防止又は抑制することができる。
【0023】
また、本発明に係る画像読取装置によれば、従前の構成に対して、特別な構成を付加することなく、透明電極層及び保護絶縁膜等の膜構造や膜質(膜厚や成膜条件、材料組成等)を制御するのみで、所望の時定数を有する構成を比較的簡易かつ安価に実現することができるので、既存の構成に良好に適用して、優れた静電気除去機能を有する画像読取装置を提供することができる。
【0024】
さらに、透明電極層の周縁部に低抵抗の導電性部材を設けた構成にあっては、該導電性部材が透明電極層に電気的に接続されていることにより、透明電極層の抵抗を実質的に低く設定することができるとともに、透明電極層の膜厚を厚く形成することなく、透明電極層から導電性部材及び引き出し配線を介して接地電位に至る電流経路の抵抗成分を一層低く設定することができるので、被写体に帯電した静電気を接地電位に良好に放電しつつ、透明電極層における光の反射や散乱等を抑制して、フォトセンサデバイスの読取感度や精度を良好に確保することができる。
【0025】
また、上記画像読取装置を構成するフォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域の上方及び下方にトップゲート電極(第1のゲート電極)及びボトムゲート電極(第2のゲート電極)を備え、トップゲート電極にリセットパルスを印加してセンサを初期化した後、ボトムゲート電極に読み出しパルスを印加することにより、初期化終了から読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に、チャネル領域に蓄積された電荷に対応する電圧を出力する、いわゆる、ダブルゲート型フォトセンサを適用するものであってもよい。これにより、フォトセンサデバイスを構成する各フォトセンサを小型薄型化して、読取画素を高密度化して被検出体の画像パターンを高精細な画像として読み取ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る画像読取装置の実施の形態について、詳しく説明する。
まず、本発明に係る画像読取装置に適用して良好なフォトセンサの構成について説明する。
本発明に係る画像読取装置に適用可能なフォトセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像デバイスを良好に用いることができる。
【0027】
CCDは、周知の通り、フォトダイオードや薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等のフォトセンサをライン状又はマトリクス状に配列した構成を有し、各フォトセンサの受光部に照射された光量に対応して発生する電子−正孔対の量(電荷量)を、水平走査回路及び垂直走査回路により検出し、照射光の輝度を検知するものであり、デジタルビデオカメラや複写機等、様々な撮像装置や画像読取装置に適用されている。
ところで、このようなCCDを用いたフォトセンサシステムにおいては、走査された各フォトセンサを選択状態にするための選択トランジスタを各フォトセンサごとに個別に設ける必要があるため、検出精度の向上等に伴って検出画素数を増大させると、システム自体が大型化するという問題を有している。
【0028】
そこで、近年、このような問題を解決するための構成として、フォトセンサ自体にフォトセンス機能と選択トランジスタ機能とを持たせた、いわゆる、ダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタ(以下、「ダブルゲート型トランジスタ」と記す)が開発され、システムの小型化、及び、画素の高密度化を図る試みがなされている。そのため、本発明における画像読取装置においても、このダブルゲート型トランジスタを良好に適用することができる。
ダブルゲート型フォトセンサやこれを適用したフォトセンサシステムの具体的な構造や動作については、上述した特許文献1にも詳しく説明されているが、概ね、以下に示す通りである。
【0029】
<ダブルゲート型フォトセンサ>
図1は、本発明に係る画像読取装置に適用可能なダブルゲート型トランジスタによるフォトセンサ(以下、「ダブルゲート型フォトセンサ」と記す)の概略構成を示す断面構造図である。
図1(a)に示すように、ダブルゲート型フォトセンサ10は、概略、励起光(ここでは、可視光)が入射されると、電子−正孔対が生成されるアモルファスシリコン等の半導体層(チャネル層)11と、半導体層11の両端に、各々n+シリコンからなる不純物層17、18を介して形成され、クロム、クロム合金、アルミ、アルミ合金等から選択された導電性材料からなり、可視光に対して不透明なドレイン電極12及びソース電極13と、半導体層11の上方(図面上方)にブロック絶縁膜14及び上部(トップ)ゲート絶縁膜15を介して形成された酸化スズやITO等の透明電極層からなり、可視光に対して透過性を示すトップゲート電極(第1のゲート電極)21と、半導体層11の下方(図面下方)に下部(ボトム)ゲート絶縁膜16を介して形成されたクロム、クロム合金、アルミ、アルミ合金等から選択された導電性材料からなり、可視光に対して不透明なボトムゲート電極(第2のゲート電極)22と、を有して構成されている。
【0030】
そして、このような構成を有するダブルゲート型フォトセンサ10は、図1(a)に示すように、ガラス基板等の透明な絶縁性基板19上に形成されている。また、ダブルゲート型フォトセンサ10上(具体的には、トップゲート絶縁膜15及びトップゲート電極21上)には、保護絶縁膜20を介して、透明電極層30が設けられた構成を有している。
ここで、図1(a)において、トップゲート絶縁膜15、ブロック絶縁膜14、ボトムゲート絶縁膜16を構成する絶縁膜、及び、トップゲート電極21上に設けられる保護絶縁膜20は、いずれも半導体層11を励起する可視光に対して高い透過率を有する材質、例えば、窒化シリコンや酸化シリコン等により構成され、また、最上層の透明電極層30も、可視光に対して高い透過率を有するとともに、導電性を有する材質、例えば、ITO等により構成されていることにより、図面上方から入射する光のみを検知する構造を有している。
【0031】
なお、このようなダブルゲート型フォトセンサ10は、一般に、図1(b)に示すような等価回路により表される。ここで、TGはトップゲート電極21に電気的に接続されたトップゲート端子、BGはボトムゲート電極22に電気的に接続されたボトムゲート端子、Sはソース電極13に電気的に接続されたソース端子、Dはドレイン電極12に電気的に接続されたドレイン端子である。
【0032】
<フォトセンサシステム>
図2は、上述したダブルゲート型フォトセンサを絶縁性基板19上に2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ(フォトセンサデバイス)を備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。なお、ここでは、複数のダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを示して説明するが、複数のダブルゲート型フォトセンサを、例えば、X方向に1次元配列してラインセンサアレイを構成し、該ラインセンサアレイをX方向に直交するY方向に移動させて2次元領域を走査(スキャン)するものであってもよい。
【0033】
図2に示すように、フォトセンサシステムは、大別して、多数のダブルゲート型フォトセンサ10を、例えば、n行×m列(n、mは任意の自然数)のマトリクス状に配列したフォトセンサアレイ100と、各ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TG(トップゲート電極21)及びボトムゲート端子BG(ボトムゲート電極22)を各々行方向に接続して伸延するトップゲートライン101及びボトムゲートライン102と、各ダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン端子D(ドレイン電極12)を列方向に接続したドレインライン(データライン)103と、ソース端子S(ソース電極13)を列方向に接続するとともに、接地電位に接続されたソースライン(コモンライン)104と、トップゲートライン101に接続されたトップゲートドライバ110と、ボトムゲートライン102に接続されたボトムゲートドライバ120と、ドレインライン103に接続され、コラムスイッチ131、プリチャージスイッチ132、出力アンプ133等を備えてなるドレインドライバ130と、を有して構成されている。
【0034】
なお、図2において、φtgは、リセット電圧及び光キャリア蓄積電圧のいずれかとして選択的に出力される信号φT1、φT2、…φTi、…φTnを生成するための制御信号であり、φbgは、読み出し電圧及び非読み出し電圧のいずれかとして選択的に出力される信号φB1、φB2、…φBi、…φBnを生成するための制御信号、φpgは、プリチャージ電圧Vpgを印加するタイミングを制御するプリチャージ信号である。
【0035】
図3は、上述したフォトセンサシステムにおける基本的な駆動制御方法を示すタイミングチャートである。
図3に示すように、まず、リセット動作(初期化動作)においては、トップゲートドライバ110によりトップゲートライン101を介して、特定の行(例えば、i行目、ここで、iは任意の自然数;i=1、2、・・・n)のダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGにパルス電圧(以下、「リセットパルス」と記す;例えば、Vtg=+15Vのハイレベル)φTiを印加して、半導体層11、及び、ブロック絶縁膜14における半導体層11との界面近傍に蓄積されているキャリヤ(ここでは、正孔)を放出する(リセット期間Trst)。
【0036】
次いで、電荷蓄積動作(光蓄積動作)においては、トップゲートドライバ110により、トップゲート端子TGにローレベル(例えば、Vtg=−15V)のバイアス電圧φTiを印加することにより、リセット動作を終了し、キャリヤ蓄積動作による電荷蓄積期間Taがスタートする。電荷蓄積期間Taにおいては、トップゲート電極21側から入射した光量に応じて半導体層11の入射有効領域、すなわち、キャリヤ発生領域で電子−正孔対が生成され、半導体層11、及び、ブロック絶縁膜14における半導体層11との界面近傍、すなわち、チャネル領域周辺に正孔が蓄積される。
【0037】
そして、プリチャージ動作においては、ドレインドライバ130により、上記電荷蓄積期間Taに並行して、プリチャージ信号φpgに基づいてドレインライン103を介して、ドレイン端子Dに所定の電圧(プリチャージ電圧)Vpgを印加し、ドレイン電極12に電荷を保持させる(プリチャージ期間Tprch)。
次いで、読み出し動作においては、上記プリチャージ期間Tprchを経過した後、ボトムゲートドライバ120によりボトムゲートライン102を介して、ボトムゲート端子BGにハイレベル(例えば、Vbg=+10V)のバイアス電圧(読み出し選択信号;以下、「読み出しパルス」と記す)φBiを印加すること(選択状態)により、ダブルゲート型フォトセンサ110をON状態にする(読み出し期間Tread)。
【0038】
ここで、読み出し期間Treadにおいては、チャネル領域に蓄積されたキャリヤ(正孔)が逆極性のトップゲート端子TGに印加されたVtg(−15V)を緩和する方向に働くため、ボトムゲート端子BGのVbg(+15V)によりnチャネルが形成され、ドレイン電流に応じてドレイン端子Dの電圧(ドレイン電圧)VDは、プリチャージ電圧Vpgから時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
【0039】
すなわち、電荷蓄積期間Taにおける光蓄積状態が明状態の場合には、チャネル領域に入射光量に応じたキャリヤ(正孔)が捕獲されているため、トップゲート端子TGの負バイアスを打ち消すように作用し、この打ち消された分だけボトムゲート端子BGの正バイアスによって、ダブルゲート型フォトセンサ110はON状態となる。そして、この入射光量に応じたON抵抗に従って、ドレイン電圧VDは、低下することになる。一方、光蓄積状態が暗状態で、チャネル領域にキャリヤ(正孔)が蓄積されていない場合には、トップゲート端子TGに負バイアスをかけることによって、ボトムゲート端子BGの正バイアスが打ち消され、ダブルゲート型フォトセンサ10はOFF状態となり、ドレイン電圧VDが、ほぼそのまま保持されることになる。
【0040】
したがって、ドレイン電圧VDの変化傾向は、トップゲート端子TGへのリセットパルスφTiの印加によるリセット動作の終了時点から、ボトムゲート端子BGに読み出しパルスφBiが印加されるまでの時間(電荷蓄積期間Ta)に受光した光量に密接に関連し、蓄積されたキャリヤが多い場合(明状態)には急峻に低下する傾向を示し、また、蓄積されたキャリヤが少ない場合(暗状態)には緩やかに低下する傾向を示す。そのため、読み出し期間Treadがスタートして、所定の時間経過後のドレイン電圧VD(=Vrd)を検出することにより、あるいは、所定のしきい値電圧を基準にして、その電圧に至るまでの時間を検出することにより、ダブルゲート型フォトセンサ110に入射した光(照射光)の光量が換算される。
【0041】
すなわち、トップゲートドライバ210からトップゲートライン101を介して、トップゲート端子TGに信号φTiを印加することにより、フォトセンス機能が実現され、ボトムゲートドライバ220からボトムゲートライン102を介して、ボトムゲート端子BGに信号φBiを印加し、ドレインライン103を介して検出信号をドレインドライバ230に取り込んで、シリアルデータ又はパラレルデータの出力電圧Voutとして出力することにより、選択読み出し機能が実現される。
【0042】
そして、このような特定の行に対する一連の画像読取動作を1サイクルとして、上述したフォトセンサアレイ100における各行(i、i+1、・・・)ごとのダブルゲート型フォトセンサ群に対して、同等の処理手順を繰り返すことにより、ダブルゲート型フォトセンサを用いたフォトセンサシステムを2次元画像の読取装置として動作させることができる。
【0043】
ここで、特に、上述したようなフォトセンサシステムを備えた画像読取装置を指紋読取装置に適用した場合の概略動作について説明する。
図4は、上述したようなフォトセンサシステムを備えた指紋読取装置の要部断面図である。なお、ここでは、説明及び図示の都合上、フォトセンサシステムの断面部分を表すハッチングの一部を省略する。
【0044】
図4に示すように、指紋読取装置においては、ダブルゲート型フォトセンサ10が形成されたガラス基板等の絶縁性基板19の下方側に設けられたバックライト(面光源)BLから照射光LTaを入射させ、この照射光LTaがダブルゲート型フォトセンサ10(詳しくは、可視光に対して不透明な材料で形成されたボトムゲート電極22、ドレイン電極12、ソース電極13)の形成領域を除く、透明な絶縁性基板19及びトップゲート絶縁膜15、ボトムゲート絶縁膜16、保護絶縁膜20を透過して、透明電極層30上の指紋検知面(検知面)DTに載置された指FGに照射される。
【0045】
そして、指紋読取装置による指紋の検出時においては、指FGの皮膚表層FSの半透明層が、フォトセンサアレイ100(フォトセンサデバイスPD)上に形成された透明電極層30上面の検知面DTに接触することにより、透明電極層30と皮膚表層FSとの間の界面に屈折率の低い空気層がなくなる。ここで、皮膚表層FSの厚さは、650nmより厚いため、指紋FPの凸部FPaにおいて内部に入射された光LTaは、皮膚表層FS内を散乱、反射しながら伝搬する。伝搬された光LTbの一部は、透明な透明電極層30、透明な保護絶縁膜20、トップゲート絶縁膜15、ブロック絶縁膜14及びトップゲート電極21を透過してダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層11に励起光として入射される。
【0046】
また、指紋FGの凹部FPbにおいては、照射された光LTaは、透明電極層30の指紋検知面DTと空気層との間の界面を通過し、空気層の先の指FGに到達して皮膚表層FS内で散乱するが、皮膚表層FSは空気より屈折率が高いため、ある角度で界面に入射された皮膚表層FS内の光LTcは空気層に抜けにくく、凹部FPbに対応する位置に配置されたダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層11への入射が抑制される。
【0047】
このように、指FGの凸部FPa及び凹部FPbの各々に対応する位置に配置されたダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層11に光LTb、LTcが入射されて生成、蓄積されるキャリヤ(正孔)の量の違いにより、上述した駆動制御方法に示したように、指FGの画像パターン(指紋の凹凸パターン)を明暗情報として読み取ることができる。
【0048】
<第1の実施形態>
次に、本発明に係る画像読取装置に、上述したフォトセンサシステムを適用した構成について、第1の実施形態を示して説明する。
図5は、本発明に係る画像読取装置の第1の実施形態の全体構成を示す概略構成図であり、図6は、本実施形態に係る画像読取装置の要部構成を示す概略断面図である。なお、ここでは、上述したダブルゲート型フォトセンサ及びフォトセンサシステムの構成(図1、図2、図4)を適宜参照しながら説明する。
【0049】
図5、図6に示すように、本実施形態に係る画像読取装置は、概略、上述した構成を有するダブルゲート型フォトセンサ10を、絶縁性基板19の一面側にマトリクス状に配列して形成されたフォトセンサアレイ100、及び、該フォトセンサアレイ100上に形成された保護絶縁膜(透光性絶縁膜)20からなるフォトセンサデバイスPDと、フォトセンサアレイ100のアレイ領域を含む領域であって、保護絶縁膜20上に一面的に形成された透明電極層(透明電極膜)30と、フォトセンサデバイスPD(フォトセンサアレイ100)に配設されたトップゲートライン101に接続され、リセット期間Trstにおいて特定の行のダブルゲート型フォトセンサ10群にリセットパルスφTiを印加するトップゲートドライバ110と、フォトセンサデバイスPDに配設されたボトムゲートライン102に接続され、読み出し期間Treadにおいて特定の行のダブルゲート型フォトセンサ10群に読み出しパルスφBiを印加するボトムゲートドライバ120と、フォトセンサデバイスPDに配設されたドレインライン103に接続され、プリチャージ期間Tprchにおいてプリチャージ電圧を印加するとともに、読み出し期間Treadにおいて特定の行のダブルゲート型フォトセンサ10群に蓄積されたキャリヤの量を出力電圧として検出するドレインドライバ130と、を有して構成されている。
【0050】
ここで、図5に示すように、上述した画像読取装置の各構成(フォトセンサデバイスPD、透明電極層30、トップゲートドライバ110、ボトムゲートドライバ120、ドレインドライバ130)は、例えば、ガラス基板やフィルム基板等の透明な絶縁性基板200の一面側に搭載され、該絶縁性基板200上には、トップゲートドライバ110及びボトムゲートドライバ120、ドレインドライバ130の各々と、図示を省略した外部のコントローラや電源供給手段等と電気的に接続するための引き出し配線LNt、LNb、LNdが配設されている。また、絶縁性基板200上には、フォトセンサデバイスPD上に形成される透明電極層30と接地電位とを接続するための引き出し配線LNgが配設されている。ここで、引き出し配線LNt、LNb、LNd、LNgは、絶縁性基板200の一端側に設けられた接続端子群(図示を省略)を介して、外部のコントローラや電源供給手段等と接続されるように構成されていてもよい。
【0051】
また、図6に示すように、フォトセンサデバイスPDの他面側(絶縁性基板200の他面側)には、透明電極層30上面の検知面DTに載置、接触される被検出体(例えば、指等)に均一な光を照射する面光源BLが配置されている。したがって、上述したフォトセンサデバイスPD(ダブルゲート型フォトセンサ10)の構成において示した絶縁性基板19と、図5及び図6に示す絶縁性基板200とは、同一のガラス基板等から構成されるものであってもよい。
【0052】
以下、本実施形態に係る画像読取装置に適用される静電気除去機能について、具体的に説明する。
まず、上述したような構成を有する画像読取装置においては、図6に示すように、透明電極層30が有する抵抗及び引き出し配線LNgの配線抵抗からなる抵抗成分Rが透明電極層30と接地電位との間に形成されるとともに、透明電極層30、保護絶縁膜20等の絶縁膜(トップゲート絶縁膜15、ボトムゲート絶縁膜16;以下、「保護絶縁膜等」と記す)、及び、個別のダブルゲート型フォトセンサ10の各電極(具体的には、トップゲート電極21と一体的に形成されるトップゲートライン101、ボトムゲート電極22と一体的に形成されるボトムゲートライン102、ドレイン電極12と一体的に形成されるドレインライン103、及び、ソース電極13と一体的に形成されるソースライン104)により形成される静電容量(寄生容量)C0が、透明電極層30に分布して付加された回路構成と等価と考えることができる。ここで、各ダブルゲート型フォトセンサ10に形成される静電容量C0の総和が容量成分Cに相当する。
【0053】
一方、従来技術においても説明したように、静電気が帯電しやすい被検出体(人体等)の画像パターンを読み取る画像読取装置においては、被検出体が検知面DTに載置、接触された際に、静電気による素子破壊や画像読取装置の誤動作を防止するために、被検出体に帯電する静電気以上の耐圧(静電気耐圧)を備えていることが要求される。ここで、前述のように、人体を被検出体とした場合には、概ね10kV乃至15kV以上の静電気が帯電することが判明したため、上述した構成を有する画像読取装置(指紋読取装置)においても、同等以上の静電気耐圧が要求される。
【0054】
そこで、本願発明者は、このような観点に基づいて、上記抵抗成分R及び容量成分Cと、静電気耐圧との関係について、各種実験を行い、その結果を鋭意検討したところ、画像読取装置における静電気耐圧が、上記抵抗成分R及び容量成分Cの積により規定される時定数τ(=C×R)と密接に関連していることを見出し、これに基づいて、人体を被検出体とする画像読取装置(指紋読取装置)において、十分な静電気耐圧を確保するために最適な時定数τの数値範囲を見出した。
【0055】
まず、本実施形態に係る画像読取装置に適用した試験方法について説明する。
図7は、本実施形態に係る画像読取装置における静電耐圧と時定数の関係を測定する際に適用した試験方法を示す概略図である。
図7(a)、(b)に示すように、本実施形態においては、上述した構成を有する画像読取装置に対して、人体帯電モデルによるESD(静電気放電)試験法を適用し、透明電極層30及びダブルゲート型フォトセンサ10の全ての電極を接地電位に接続した全端子接地状態(図7(a))と、透明電極層30のみを接地電位に接続した透明電極接地状態(図7(b))の各々について、時定数τを規定する透明電極層30の抵抗(抵抗成分R)及び静電容量(容量成分C)の数値と、静電気耐圧に相当する印加電圧の数値を計測した。ここで、時定数τの数値を任意に設定する手法として、透明電極層30の膜厚を変化させることにより、透明電極層30の抵抗の数値を任意に設定し、また、保護絶縁膜20の膜厚を変化させることにより、透明電極層30に付加される静電容量の数値を任意に設定し、以て、時定数τの数値を変化させるようにした。
【0056】
具体的には、全端子接地状態におけるEDS試験においては、図7(a)に示すように、透明電極層30及び保護絶縁膜20を任意の膜厚で形成したフォトセンサデバイスPDを、試料台STG上に設置し、透明電極層30を引き出し配線LNgを介して接地電位に接続するとともに、ダブルゲート型フォトセンサ10の各電極も接地電位に接続した状態に設定する。次いで、透明電極層30上の検知面DTに対して放電ガンSPを接触させて、任意の電圧を印加することにより、帯電した被検出体が接触した場合と同等の状態に設定する。
【0057】
一方、透明電極接地状態におけるEDS試験においては、図7(b)に示すように、試料台STG上に設置されたフォトセンサデバイスPDにおいて、透明電極層30のみを引き出し配線LNgを介して接地電位に接続するとともに、ダブルゲート型フォトセンサ10の各電極をフローティング状態(浮遊電圧状態)にした状態に設定する。次いで、透明電極層30上の検知面DTに対して放電ガンSPを接触させて、任意の電圧を印加する。
【0058】
このような試験方法により、透明電極層30に印加された電圧に基づく電荷は、透明電極層30とダブルゲート型フォトセンサ10の各電極との電位差に基づいて、保護絶縁膜20等により形成される静電容量に保持、蓄積されるとともに、透明電極層30と接地電位との間の電位差にしたがって、透明電極層30よりも低い配線抵抗を有する引き出し配線LNgを介して、接地電位に接続された試料台STGに徐々に流れる。そして、放電ガンSPによる印加電圧を変化させたとき、フォトセンサデバイスPD(ダブルゲート型フォトセンサ10)の破壊が生じず良好に保たれる、最大の印加電圧を静電気耐圧として計測した。
【0059】
図8は、上記試験方法による画像読取装置の時定数と静電気耐圧の関係を示すグラフである。ここでは、透明電極層30としてITO膜を適用し、透明電極層30の膜厚を、50nm(500Å)、150nm(1500Å)に設定するとともに、保護絶縁膜20等としてシリコン窒化膜を適用し、保護絶縁膜20の膜厚を600nm(6000Å)、800nm(8000Å)、1000nm(1μm)に設定した場合における静電気耐圧(最大印加電圧)を計測した。
まず、透明電極層30のシート抵抗及び保護絶縁膜20の静電容量と時定数τの関係、並びに、該時定数における静電気耐圧の測定データを表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1に示すように、透明電極層30を形成するITO膜においては、膜厚が厚くなるほどシート抵抗が減少する傾向を示す。なお、本実施形態において、透明電極層30は略正方形に形成されているため、透明電極層30の抵抗値はシート抵抗と同じになる。そのため、以降、透明電極層30の抵抗をシート抵抗で表す。
一方、保護絶縁膜20を形成するシリコン窒化膜においては、膜厚が厚くなるほど静電容量が減少する傾向を示す。したがって、これらのシート抵抗(抵抗成分R)と静電容量(容量成分C)の積により規定される時定数τは、透明電極層30の膜厚が厚く形成され(すなわち、シート抵抗が低く設定され)、かつ、保護絶縁膜20の膜厚が厚く形成される(すなわち、静電容量が低く設定される)ほど小さくなる。
【0062】
そして、表1に示した数値を有するシート抵抗及び静電容量に設定された画像読取装置において、上記試験方法に基づいて静電気耐圧を測定すると、表1及び図8に示すように、いずれの試験方法においても、時定数τが小さいほど静電気耐圧が大きくなる傾向を示すことが判明した。
このことから、本実施形態に係る画像読取装置を、例えば、人体を被検出体とする指紋読取装置等に適用する場合、人体が帯電する静電気(10乃至15kV)以上の耐圧を実現するためには、透明電極層30の膜厚を厚くしてシート抵抗(抵抗成分R)を低く設定するとともに、保護絶縁膜20等の膜厚を厚くして静電容量(容量成分C)を低く設定して、時定数τを極力小さくすることが有効であることがわかる。
【0063】
しかしながら、上述したように、透明電極層30及び保護絶縁膜20等は、被検出体の画像パターンに応じた光を各ダブルゲート型フォトセンサ10に良好に入射させるために高い透光性を有している必要があるため、上記静電気耐圧を向上させる(時定数τを小さくする)ために透明電極層30及び保護絶縁膜20等の膜厚を厚く形成することは、膜内での光の反射や散乱、減衰等により透光特性を劣化させて、フォトセンサデバイスの読取感度や精度の低下を招く可能性を有している。したがって、静電気耐圧を十分確保しつつ、適正な読取感度を実現することができる時定数τの数値範囲を決定する必要がある。
【0064】
そこで、本願発明者は、このような実験結果、及び、フォトセンサデバイスに要求される読取感度等の条件に基づいて、鋭意検討した結果、図8に示すように、10乃至15kV以上の静電気耐圧(静電気除去機能)と良好なデバイス特性(読取感度や精度)を実現するためには、時定数τが概ね0.3μsec以下(10kV以上の静電気耐圧の場合)、より好ましくは、0.25μsec以下(15kV以上の静電気耐圧の場合)になるように、透明電極層30のシート抵抗及び保護絶縁膜20の静電容量を設定することが有効であることを見出した。なお、この場合においても、時定数τを0.3μsec以下にするために、透明電極層30及び保護絶縁膜20等の膜厚を極端に厚く形成しないようにすることが好ましく、成膜条件や材料組成等により極力薄い膜厚で、上記時定数τの数値範囲を実現することが好ましい。
【0065】
ここで、上記時定数τの数値範囲を規定する0.3μsecは、表1に示した測定データに基づいて検証すると、透明電極層30のシート抵抗を概ね30Ω/□以下となるように形成し、保護絶縁膜20により形成される静電容量を概ね10nF以下になるように形成した構成に相当する。そして、このシート抵抗と静電容量の数値範囲は、本実施形態においては、表1に示したように、透明導電層30となるITO膜の膜厚を概ね150nm(1500Å)以上になるように成膜し、保護絶縁膜20となるシリコン窒化膜の膜厚を概ね600nm(6000Å)以上になるように成膜した構成に相当するが、シート抵抗や静電容量と膜厚との関係は、成膜条件や材料組成、結晶状態等に大きく依存するため、必ずしも一義的な関係を有するものではなく、また、透明電極層30と保護絶縁膜20の膜厚(シート抵抗と静電容量)の組み合わせも個別に設定されるものであるので、これらの膜厚のみによって時定数τや静電気耐圧が一義的に決定されるものではない。
【0066】
したがって、本実施形態に係る画像読取装置においては、透明電極層の抵抗成分及び保護絶縁膜等の容量成分(静電容量)の積により規定される時定数を、0.3μsec以下となる数値範囲に限定的に設定することにより、画像読取装置を、人体のように極めて大きい(10乃至15kV以上)静電気が帯電する対象物を被検出体とする指紋読取装置等に適用する場合であっても、検知面に印加される静電気を良好に接地電位に放電することができるので、フォトセンサの素子破壊やシステムの誤動作の発生を良好に防止又は抑制することができる。
【0067】
また、本実施形態に係る画像読取装置においては、従前の構成に対して、特別な構成を付加することなく、透明電極層及び保護絶縁膜等の膜質(膜厚や成膜条件、材料組成等)を制御するのみで、所望の時定数τを有する構成を比較的簡易かつ安価に実現することができるので、既存の構成に良好に適用して、静電気除去機能に優れた画像読取装置を提供することができる。
【0068】
<第2の実施形態>
次に、本発明に係る画像読取装置の第2の実施形態について説明する。
図9は、本発明に係る画像読取装置の第2の実施形態の全体構成を示す概略構成図であり、図10は、本実施形態に係る画像読取装置の要部構成を示す概略断面図である。図11は、本発明に係る画像読取装置の第2の実施形態の他の構成例を示す概略構成図である。なお、ここでは、上述したダブルゲート型フォトセンサ及びフォトセンサシステムの構成を適宜参照しながら説明する。
【0069】
図9、図10に示すように、本実施形態に係る画像読取装置は、上述した第1の実施形態(図5参照)と同様の構成を有するフォトセンサデバイスPD上に形成される透明電極層30が、フォトセンサアレイ100の受光領域(アレイ領域)ARの外方に延在するように形成され、該透明電極層30の任意の領域に、透明電極層30及び接地電位に電気的に接続された導電性部材FRが設けられた構成を有している。
【0070】
ここで、導電性部材FRは、その設置領域を特に限定するものではないが、例えば、図9、図10に示すように、透明電極層30の周縁部であって、フォトセンサアレイ100のアレイ領域AR上に重ならない領域であり、かつ、透明電極層30上の検知面DTに被検出体が載置、接触された状態においても、該被検出体が直接導電性部材FRに接触しない領域に形成されている。すなわち、導電性部材FRは、少なくともアレイ領域ARを露出するように、アレイ領域ARの周辺の透明電極層30上に設けられている。
【0071】
また、導電性部材FRは、任意の箇所から延在する引き出し配線LNfにより、絶縁性基板200外部の接地電位と接続され、これにより、透明電極層30を接地電位に電気的に接続している。ここで、導電性部材FRを構成する導電性材料としては、透明電極層30を構成するITO膜や酸化スズ膜等に比較して、電気抵抗が極めて小さい良導体を良好に適用することができ、例えば、クロム、アルミニウム、もしくは、クロムを含む合金材料、アルミニウムを含む合金材料等から選択された導電性材料を良好に適用することができる。
【0072】
ここで、本実施形態に係る画像読取装置において、透明電極層30のシート抵抗は、導電性部材FRを有しない場合には、前述の第1の実施形態の形態と同じとなるため、30Ω/□以下とすることが必要となる。そして、透明電極層30のシート抵抗が概ね30Ω/□以下になるように設定するためには、前述のように、透明電極層30の成膜条件や材料組成等にもよるが、概ね150nm(1500Å)以上の膜厚を有している必要がある。しかしながら、上述した第1の実施形態においても説明したように、フォトセンサアレイ100上の透明電極層30や保護絶縁膜20等の膜厚を厚く形成すると、透明電極層30や保護絶縁膜20等の光透過性を劣化させて、フォトセンサデバイスの読取感度や精度を悪化させる可能性を有している。
【0073】
そこで、本実施形態においては、低抵抗材料からなる導電性部材FRを透明電極層30の周縁部に設け、透明電極層30と導電性部材FRとを電気的に接続するように構成している。これにより、前述の抵抗成分Rは、透明電極層30と導電性部材FRとを合わせて構成されるものとなるため、実質的に透明電極層30の抵抗を低減することができる。
すなわち、例えば、透明電極層30の膜厚を比較的薄く(例えば、50nm(500Å)程度)形成して、透明電極層30単独での抵抗が高くなった場合であっても、低抵抗の導電性部材FRと合わせた抵抗成分Rは低くすることができるので、実質的に透明電極層30のシート抵抗を概ね30Ω/□以下に設定した場合と同等の電気特性(放電特性)を得ることができるようにしている。
【0074】
このように、透明電極層30の周縁部に、良導体からなる導電性部材FR及び引き出し配線LNfを介して接地電位に接続することにより、透明電極層30のシート抵抗を実質的に低抵抗になるように設定することができるとともに、透明電極層30から導電性部材FR及び引き出し配線LNfを介して接地電位に至る電流経路における抵抗値を全体として低く設定することができるので、透明電極層30の膜厚を比較的薄く形成することができる。したがって、透明電極層30上の検知面DTに、人体のように極めて大きい(10乃至15kV以上)静電気が帯電した被検出体(指等)が、載置、接触された場合であっても、透明電極層30から導電性部材FR及び引き出し配線LNfを介して、接地電位に良好に放電することができ、フォトセンサデバイスPDへの過大な電圧の印加や過電流の流下を抑制して、ダブルゲート型フォトセンサ10の素子破壊やシステムの誤動作の発生を良好に防止又は抑制することができるとともに、フォトセンサデバイスの読取感度や精度を良好に確保することができる。
【0075】
なお、本実施形態においては、図9、図10に示したように、導電性部材FRを、透明電極層30の周縁部であって、フォトセンサアレイ100のアレイ領域ARに重ならない領域であり、かつ、被検出体が直接接触しない領域に形成した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、図11(a)、(b)に示すように、透明電極層30上の検知面DTに被検出体(例えば、指FG)が載置、接触された状態において、被検出体が検知面DT及び導電性部材FRの双方に接触するように構成したものであってもよい。この場合、被検出体が検知面DTに接触する前に、導電性部材FRに接触するように、その設置領域や形状が適宜に設定されていることが望ましい。
【0076】
このような構成を有する画像読取装置によれば、透明電極層上の検知面への被検出体の載置、接触に際して、検知面(透明電極層)への被検出体の接触と同時に、もしくは、検知面への接触に先立って、低抵抗の導電性部材に被検出体が接触するので、被検出体に帯電した静電気を低抵抗の導電性部材及び引き出し配線を介して接地電位に良好に放電することができ、フォトセンサの素子破壊やシステムの誤動作の発生を良好に防止又は抑制することができる。
また、本実施形態においては、アレイ領域AR周辺に延在するように形成された透明電極層30上に導電性部材FRを積層形成する場合についてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、少なくとも導電性部材FRの一部が透明電極層30に電気的に接触した構成を有するものであってもよい。
【0077】
<第3の実施形態>
次に、本発明に係る画像読取装置の第3の実施形態について説明する。
本実施形態においては、上述した第1の実施形態に示した時定数を所定の数値範囲に設定することにより静電気耐圧を向上させる静電気除去機能と、第2の実施形態に示した透明電極層の周縁部に低抵抗の導電性部材を設けて、透明電極層のシート抵抗を実質的に低減することにより静電気耐圧を向上させる静電気除去機能の双方を備えた構成を有している。
【0078】
具体的には、第2の実施形態に示した全体構成(図9、図10)において、フォトセンサアレイ100のアレイ領域ARの外方にまで延在して形成された透明電極層30の周縁部に、該透明電極層30よりも低抵抗の導電性部材FRが設けられているとともに、該透明電極層30のシート抵抗(抵抗成分)と保護絶縁膜20等により形成される静電容量(容量成分)とにより規定される時定数τの実質的な数値が、概ね0.3μsec以下になるように設定されている。
【0079】
ここで、本実施形態に係る画像読取装置においては、第2の実施形態に示したように、透明電極層30の周縁部に、該透明電極層30よりも低抵抗の導電性部材FRが電気的に接続する構成を有していることにより、透明電極層30から導電性部材FR及び引き出し配線LNfを介して接地電位に至る電流経路における抵抗値を全体として低減することができるので、透明電極層30のシート抵抗を実質的に低く設定した場合と同等の効果が得られる。
【0080】
これにより、第1の実施形態に示したように、透明電極層30のシート抵抗と保護絶縁膜20等による静電容量との積により規定される時定数τを、透明電極層30の膜厚を厚くする等の、膜質の変更制御を行うことなく、実質的に低く設定することができるので、表1及び図8に示したように、静電気耐圧の向上を図ることができる。したがって、比較的簡易な構成により、検知面を構成する透明電極層の膜厚を薄く形成しつつ、そのシート抵抗を実質的に低く設定して、検知面における時定数を低減して静電気の放電特性を向上させることができるので、フォトセンサの素子破壊やシステムの誤動作の発生を良好に防止又は抑制することができるとともに、フォトセンサデバイスの読取感度や精度を良好に確保することができる画像読取装置を提供することができる。
【0081】
なお、上述した実施形態においては、フォトセンサシステムに適用するセンサとしてダブルゲート型フォトセンサを適用した場合について示したが、本発明に適用されるセンサは、これに限定されるものではなく、フォトダイオードやTFT等、他の構成のフォトセンサを用いたフォトセンサシステムに対しても同様に適用することができることはいうまでもない。
また、以上の説明では被検出体として「指」を例に示し、読取対象となる画像として「指紋」を例に示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述したような静電気に帯電しやすい性質を有する被検出体であれば、指以外の人体の特定の部位や他の物体を検出対象とするものであってもよい。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る画像読取装置によれば、複数のフォトセンサをマトリクス状に配列したフォトセンサデバイスの最上層に、検知面を構成するとともに、接地電位に接続された透明電極層を備えた画像読取装置において、各フォトセンサはトランジスタ構造を有し、少なくとも、絶縁性基板の前記一面側に形成された半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されるソース電極とドレイン電極と前記チャネル領域に対して絶縁膜を介して形成されるゲート電極とを含む複数の制御電極と、該各制御電極に接続される複数の信号配線と、を有し、検知面と接地電位間の抵抗と、保護絶縁膜等(透光性絶縁膜)を介して対向して配置される透明導電層と各フォトセンサの各制御電極及び各信号配線により形成される静電容量との積により規定される時定数が、概ね0.3μsec以下、より望ましくは、概ね0.25μsec以下になるように設定された構成を有しているので、本発明に係る画像読取装置を、例えば、人体のように極めて大きい(10乃至15kV以上)静電気が帯電する対象物を被検出体とする指紋読取装置等に適用する場合であっても、透明電極層から接地電位に至る電流経路における抵抗成分を低減して、被検出体に帯電した電荷を流れやすくすることができる。
【0083】
したがって、検知面(透明電極層)に印加される静電気を良好に接地電位に放電することができ、フォトセンサの素子破壊やシステムの誤動作の発生を良好に防止又は抑制することができる。
また、本発明に係る静電気除去機能の構成によれば、従前の構成に対して、特別な構成を付加することなく、透明電極層及び保護絶縁膜等の膜質(膜厚や成膜条件、材料組成等)を制御するのみで、所望の時定数を有する構成を比較的簡易かつ安価に実現することができるので、既存の構成に良好に適用して、優れた静電気除去機能を有する画像読取装置を提供することができる。
【0084】
さらに、透明電極層の周縁部に低抵抗の導電性部材を設けて接地電位に接続した構成においては、検知面と低電位電源間の抵抗成分の値を透明電極層の抵抗値より低くすることができて、透明電極層の膜厚を厚く形成することなく、透明電極層から導電性部材を介して接地電位に至る電流経路の抵抗成分を一層低く設定することができるので、被写体に帯電した静電気を接地電位に良好に放電しつつ、透明電極層における光の反射や散乱等を抑制して、フォトセンサデバイスの読取感度や精度を良好に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像読取装置に適用可能なダブルゲート型トランジスタによるフォトセンサの概略構成を示す断面構造図である。
【図2】ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。
【図3】フォトセンサシステムにおける基本的な駆動制御方法を示すタイミングチャートである。
【図4】フォトセンサシステムを備えた指紋読取装置の要部断面図である。
【図5】本実施形態に係る画像読取装置の要部構成を示す概略断面図である。
【図6】本実施形態に係る接触検出装置の接触検知動作の一例を示す概念図である。
【図7】本実施形態に係る画像読取装置における静電耐圧と時定数の関係を測定する際に適用した試験方法を示す概略図である。
【図8】画像読取装置の静電気耐圧と時定数の関係を示すグラフである。
【図9】本発明に係る画像読取装置の第2の実施形態の全体構成を示す概略構成図である。
【図10】本実施形態に係る画像読取装置の要部構成を示す概略断面図である。
【図11】本発明に係る画像読取装置の第2の実施形態の他の構成例を示す概略構成図である。
【図12】従来技術において静電気除去機能を備えた画像読取装置の一構成例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
FG 指
10 ダブルゲート型フォトセンサ
20 保護絶縁膜
30 透明電極層
DT 検知面
PD フォトセンサデバイス
FR 導電性部材
AR アレイ領域
LNg、LNf 引き出し配線
Claims (9)
- 絶縁性基板の一面側に配列された複数のフォトセンサと、該複数のフォトセンサを被覆するように設けられた透光性絶縁膜と、を有して構成されるフォトセンサデバイスを備え、該フォトセンサデバイス上に被検出体を載置して、該被検出体の画像パターンを読み取る画像読取装置において、
前記画像読取装置は、少なくとも、
前記透光性絶縁膜上に、
前記被検出体が直接載置、接触される検知面を備えた透明電極膜と、
該透明電極膜を所定の低電位電源に接続する配線と、
前記透明電極膜と前記配線との間に介在する、前記透明電極膜の抵抗値より低い抵抗値を有する導電性部材と、
を有し、
前記各フォトセンサはトランジスタ構造を有し、少なくとも、前記絶縁性基板の前記一面側に形成された半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されるソース電極とドレイン電極と前記チャネル領域に対して絶縁膜を介して形成されるゲート電極とを含む複数の制御電極と、該各制御電極に接続される複数の信号配線と、を有し、
前記検知面と前記低電位電源間に存在する、前記透明電極膜と前記導電性部材とにより構成される抵抗成分と、前記透光性絶縁膜を介して相互に対向して配置される前記透明電極膜と前記フォトセンサの前記各制御電極及び前記各信号配線とにより形成される容量成分と、により規定される時定数が0.3μsec以下に設定されていることを特徴とする画像読取装置。 - 前記画像読取装置において、前記時定数は0.25μsec以下になるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記抵抗成分の値は、30Ω以下になるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記画像読取装置は、前記容量成分が、10nF以下の静電容量になるように設定されていることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記導電性部材は、該透明電極膜上の所定の領域に電気的に接続して設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記導電性部材は、クロム、アルミニウム、もしくは、クロムを含む合金材料、アルミニウムを含む合金材料から選択された導電性材料により構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記透明電極膜は、インジウム−スズ酸化物を主体とする材質を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の画像読取装置。
- 前記フォトセンサは、前記ゲート電極として、前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、を有し、
前記第1のゲート電極にリセットパルスを印加して前記フォトセンサを初期化し、前記ドレイン電極にプリチャージパルスを印加した後、前記第2のゲート電極に読み出しパルスを印加することにより、前記初期化終了から前記読み出しパルスの印加までの電荷蓄積期間に、前記チャネル領域に蓄積された電荷に対応する電圧を出力電圧として出力し、
前記画像読取装置は、前記プリチャージパルスに係る信号電圧と前記出力電圧との差分を、明暗信号として観測することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像読取装置。 - 前記画像読取装置は、前記被検出体として人体を観測し、該人体固有の画像パターンを読み取ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像読取装置。
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