JP4179446B2 - 画像読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読取装置に関し、特に、複数のセンサがマトリクス状又はライン状に配列されたセンサアレイ上に被写体を載置、接触させて、該センサアレイを走査駆動することにより、被写体の画像パターン(2次元画像)を読み取る画像読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷物や写真、あるいは、指紋等の微細な凹凸形状等の2次元の画像パターンを読み取る技術として、例えば、固体撮像デバイス(センサ)等をマトリクス状又はライン状に配列して構成されるセンサアレイを備え、各センサを走査駆動することにより、センサアレイ上に設けられた検知面に載置、接触された被写体の画像パターンを読み取る画像読取装置が知られている。
このような画像読取装置は、近年の個人情報や企業情報等の管理や保護、あるいは、防犯等のセキュリティに対する社会的な要求に伴って、指紋等の生体固有の情報を照合することにより個人を識別する、いわゆるバイオメトリック認証技術の分野への応用が盛んに研究、開発されている。
【0003】
ここで、従来技術における画像読取装置においては、被写体(例えば、指等の人体の一部)が所定の検知面に載置、接触された状態を検出して、画像読取動作を自動的に開始することにより、適切なタイミングで画像読取動作を実行するとともに、画像読取装置のセンサアレイを構成するセンサの素子特性の劣化(すなわち、センサを常時駆動させた場合における外光の入射に伴う読取特性の劣化等)を抑制する機能(被写体検出機能)を備えたものが知られている。この被写体検出機能を実現する技術としては、一般に、容量検出方式や抵抗検出方式、押圧力検出方式等の様々な手法が知られている。なお、上記被写体検出機能を実現する代表的な手法については、発明の実施の形態において詳しく後述する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来技術における画像読取装置においては、次に示すような問題を有していた。すなわち、
(1)上述したような被写体検出機能を備えた画像読取装置においては、例えば、図12(a)に示すように、センサアレイ100p上に設けられた検知面100sに、指FG等の被写体が載置されることにより、その画像パターン(指紋)の読取動作が開始されるが、一旦、画像読取動作が開始されると、少なくとも当該画像読取動作による全画像データの読み込みが終了するまで、センサアレイ100pの駆動動作が継続されるように構成されていた。
【0005】
そのため、画像読取動作の途中で、図12(b)に示すように、何らかの理由により検知面100sから被写体(指FG)が離間した場合であっても、画像読取動作(センサ10pの走査駆動)がそのまま継続されて不完全な画像データ(すなわち、本来の被写体画像とは異なる不正な画像データ)が取り込まれてしまい、画像データの取得後に実行される画像処理(例えば、指紋認証処理)において、誤動作を生じる(誤った指紋照合結果を導いてしまう)とともに、無駄な処理動作や処理時間を要してしまうという問題を有していた。
【0006】
(2)また、上述したような画像読取装置において、センサとしてフォトセンサを適用し、該画像読取装置を屋外等の外光照度が極めて高い環境下で使用する場合、図12(b)に示したように、被写体画像(指紋画像)の読取動作の途中で、被写体(指FG)が検知面100sから離間した場合には、センサアレイ100pを構成する各センサ10pの走査駆動中に、照度の高い外光が入射することになり、これにより、センサ10pに過大な電流が流下して素子特性の著しい劣化を招くという問題を有していた。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、被写体が検知面に載置されたことを検出して、被写体の画像パターンの読取動作を開始するとともに、該画像読取動作の途中で被写体が検知面から離間した場合に、該画像読取動作における無駄な処理動作や処理時間の発生を防止するとともに、外光の入射に伴うセンサの素子特性の劣化を防止することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の画像読取装置は、複数のセンサを配列したセンサアレイを備え、該センサアレイ上の検知面に載置された被写体の画像パターンを読み取る画像読取装置において、前記検知面への前記被写体の載置状態を検出して、該被写体の載置状態に応じた検出信号を出力する被写体検出手段と、前記被写体が前記検知面に載置されたときに前記被写体検出手段から出力される接触検出信号に基づいて、前記被写体の画像パターンを読み取る画像読取動作を開始するように前記センサアレイを制御するとともに、少なくとも、前記画像読取動作の実行中に前記被写体が前記検知面から離間したときに前記被写体検出手段から出力される離間検出信号に基づいて、前記画像読取動作を強制的に中断させて、終了するように前記センサアレイを制御する動作制御手段と、を備えていることを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記動作制御手段は、前記画像読取動作により前記被写体の所定の画像パターンの取得が完了したときに、前記画像読取動作を停止、終了するように前記センサアレイを制御することを特徴としている。
請求項3記載の画像読取装置は、請求項1又は2記載の画像読取装置において、前記動作制御手段は、少なくとも、前記センサアレイを駆動するための駆動電圧の供給を遮断することにより、前記画像読取動作を停止、終了させることを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の画像読取装置は、請求項3記載の画像読取装置において、前記動作制御手段は、前記画像読取動作が停止、終了された前記センサアレイに対して、前記駆動電圧を相殺する所定の電圧を供給することを特徴としている。
請求項5記載の画像読取装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置において、前記動作制御手段は、少なくとも、前記画像読取動作の実行中に、前記被写体検出手段からの前記離間検出信号を受信した場合には、所定の報知動作を実行することを特徴としている。
【0011】
請求項6記載の画像読取装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置において、前記センサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、少なくとも前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、を備え、前記第1のゲート電極又は前記第2のゲート電極のいずれか一方を前記検知面側として、前記駆動制御手段から前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極に前記駆動制御信号を供給することにより設定される所定の電荷蓄積期間に、前記検知面側から照射された光の量に対応する電荷が前記チャネル領域に発生して蓄積される構成を有し、該蓄積された電荷の量に基づいて出力される電圧により前記検知面に載置された前記被写体の画像パターンを読み取ることを特徴としている。
【0012】
すなわち、複数のセンサ(例えば、ダブルゲート型フォトセンサ)がマトリクス状又はライン状に配列されたセンサアレイの上方に設けられた検知面に載置、接触された被写体の画像パターンを読み取る画像読取装置において、少なくとも、センサアレイの上方に設けられた検知面への被写体の載置状態(接触、又は、離間)を検出する被写体検出手段と、該被写体検出手段により検出された被写体の載置状態に応じて、センサアレイ(センサ)における画像読取動作の開始及び終了を制御する動作制御手段と、を備え、特に、被写体が検知面に載置されることにより開始された画像読取動作の途中で、被写体の検知面からの離間を検出したときには、その検出信号(離間検出信号)に基づいて上記画像読取動作を強制的に停止して終了させるように制御される。
【0013】
これにより、被写体が載置されていない(離間した)状態では画像読取動作が確実に停止、終了されて、継続されることがなくなるので、不正な状態での画像読取動作、すなわち、不完全な画像データの取り込みが防止される。したがって、画像読取動作における無駄な処理動作や処理時間の発生を抑制して、迅速かつ良好な画像読取動作を実行することができるとともに、取り込んだ画像データに基づく画像処理を、誤動作を生じることなく良好に実行することができる。また、屋外等のように外光照度が高い環境下で使用する際に、被写体が検知面から離間した場合には、即座にセンサアレイ(センサ)の駆動動作が停止されるので、外光がセンサに入力することにより生じる素子特性の劣化を抑制することができる。
【0014】
なお、上記被写体検出手段において、検知面への被写体の載置、接触状態を検出する手法としては、例えば、センサアレイの周辺等に設けられ、センサアレイの上方に設けられる検知面への被写体の載置、接触に基づいて、特有の電気的な信号成分(抵抗値や容量値、電流値、電圧値等)の変化を検出する方法を良好に適用することができる。
【0015】
また、上記動作制御手段において、画像読取動作の停止、終了処理としては、例えば、センサを駆動するための駆動電圧(バイアス電圧)の供給を遮断するものであってもよいし、さらに、該駆動電圧の遮断後、各センサに残留する上記駆動電圧を打ち消して(相殺して)、各センサに印加される実効電圧がゼロになるように、所定の電圧(逆バイアス電圧)を印加するようにしたものであってもよい。これによれば、画像読取装置の中止、終了後に、再度被写体が載置、接触された場合であっても、各センサにおける実効電圧の偏りの影響を除去して、素子特性の劣化を抑制しつつ、良好な画像読取動作を実現することができる。
【0016】
さらに、上記画像読取動作の途中で、被写体が検知面から離間された場合には、動作制御手段は、該離間検出信号に基づいて、所定の報知手段(ブザーやスピーカ、表示デバイス等)を駆動して画像読取装置の使用者等に対して、被写体の接触状態や、画像読取動作の強制的な停止、終了処理の実行に関する情報を通知するものであってもよく、これによれば、画像読取動作の途中で被写体が離間された場合であっても、使用者等に再度の被写体の載置、接触(すなわち、画像読取動作のリトライ)を促すことができ、結果的に完全な画像データを取り込むことができる良好な画像読取動作を実現することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る画像読取装置の実施の形態について、詳しく説明する。
まず、本発明に係る画像読取装置に適用して良好なセンサの構成について説明する。
本発明に係る画像読取装置に適用されるセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像デバイスを用いることができる。
【0018】
CCDは、周知の通り、フォトダイオードや薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等のフォトセンサをマトリクス状に配列した構成を有し、各フォトセンサの受光部に照射された光量に対応して発生する電子−正孔対の量(電荷量)を、水平走査回路及び垂直走査回路により検出し、照射光の輝度を検知するものである。
ところで、このようなCCDを用いたフォトセンサシステムにおいては、走査された各フォトセンサを選択状態にするための選択トランジスタを個別に設ける必要があるため、検出画素数が増大するにしたがってシステム自体が大型化するという問題を有している。
【0019】
そこで、近年、このような問題を解決するための構成として、フォトセンサ自体にフォトセンス機能と選択トランジスタ機能とを持たせた、いわゆる、ダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタ(以下、「ダブルゲート型トランジスタ」という)が開発され、システムの小型化、及び、画素の高密度化(読取画像の高精細化)を図る試みがなされている。そのため、本発明における画像読取装置においても、このダブルゲート型トランジスタを良好に適用することができる。
【0020】
ここで、本発明に係る画像読取装置に適用可能なダブルゲート型トランジスタによるフォトセンサ(以下、「ダブルゲート型フォトセンサ」と記す)について、図面を参照して説明する。
<ダブルゲート型フォトセンサ>
図1は、ダブルゲート型フォトセンサの概略構成を示す断面構造図である。
【0021】
図1(a)に示すように、ダブルゲート型フォトセンサ10は、励起光(ここでは、可視光)が入射されると電子−正孔対が生成されるアモルファスシリコン等の半導体層(チャネル層)11と、半導体層11の両端にそれぞれ設けられたn+シリコンからなる不純物層17、18と、不純物層17、18上に形成されたクロム、クロム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等から選択され、可視光に対して不透明のドレイン電極12及びソース電極13と、半導体層11の上方(図面上方)にブロック絶縁膜14及び上部(トップ)ゲート絶縁膜15を介して形成された酸化スズ(SnO2)膜やITO(Indium-Tin-Oxide:インジウム−スズ酸化物)膜等の透明電極層からなり、可視光に対して透過性を示すトップゲート電極(第1のゲート電極)21と、半導体層11の下方(図面下方)に下部(ボトム)ゲート絶縁膜16を介して形成されたクロム、クロム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等から選択され、可視光に対して不透明なボトムゲート電極(第2のゲート電極)22と、を有して構成されている。そして、このような構成を有するダブルゲート型フォトセンサ10は、ガラス基板等の透明な絶縁性基板19上に形成されている。
【0022】
ここで、図1(a)において、トップゲート絶縁膜15、ブロック絶縁膜14、ボトムゲート絶縁膜16、トップゲート電極21上に設けられる保護絶縁膜20及び最上層の透明電極層30は、いずれも半導体層11を励起する可視光に対して高い透過率を有する材質、例えば、窒化シリコンや酸化シリコン、ITO等により構成されることにより、図面上方から入射する光のみを検知する構造を有している。なお、図1(a)に示した透明電極層30は、少なくとも、ダブルゲート型フォトセンサ10を複数配列することにより構成されるフォトセンサアレイ(後述する図5、図6参照)上に、載置、接触される被写体の接触状態を検出する被写体検出機能の構成要素(さらには、被写体に帯電した静電気を除去する静電気除去機能としての構成要素を兼ねるものであってもよい)の一例を示すものであるが、本発明に係る画像読取装置は、この構成に限定されるものではなく、透明電極層30を備えていない構成を有するものであってもよい。詳しくは、後述する。
【0023】
このようなダブルゲート型フォトセンサ10は、一般に、図1(b)に示すような等価回路により表される。ここで、TGはトップゲート電極21と電気的に接続されたトップゲート端子、BGはボトムゲート電極22と電気的に接続されたボトムゲート端子、Sはソース電極13と電気的に接続されたソース端子、Dはドレイン電極12と電気的に接続されたドレイン端子である。
【0024】
次いで、上述したダブルゲート型フォトセンサの駆動制御方法について、図面を参照して説明する。
図2は、ダブルゲート型フォトセンサの基本的な駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートであり、図3は、ダブルゲート型フォトセンサの動作概念図であり、図4は、ダブルゲート型フォトセンサの出力電圧の光応答特性を示す図である。ここでは、上述したダブルゲート型フォトセンサの構成(図1)を適宜参照しながら説明する。
【0025】
まず、リセット動作(初期化動作)においては、図2、図3(a)に示すように、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGにパルス電圧(以下、「リセットパルス」と記す;例えば、Vtg=+15Vのハイレベル)φTiを印加して、半導体層11、及び、ブロック絶縁膜14における半導体層11との界面近傍に蓄積されているキャリヤ(ここでは、正孔)を放出する(リセット期間Trst)。
【0026】
次いで、キャリヤ蓄積動作(電荷蓄積動作)においては、図2、図3(b)に示すように、トップゲート端子TGにローレベル(例えば、Vtg=−15V)のバイアス電圧φTiを印加することにより、リセット動作を終了し、キャリヤ蓄積動作による電荷蓄積期間Taがスタートする。電荷蓄積期間Taにおいては、トップゲート電極21側から入射した光量に応じて半導体層11の入射有効領域、すなわち、キャリヤ発生領域で電子−正孔対が生成され、半導体層11、及び、ブロック絶縁膜14における半導体層11との界面近傍、すなわち、チャネル領域周辺に正孔が蓄積される。
【0027】
そして、プリチャージ動作においては、図2、図3(c)に示すように、電荷蓄積期間Taに並行して、プリチャージ信号φpgに基づいてドレイン端子Dに所定の電圧(プリチャージ電圧)Vpgを印加し、ドレイン電極12に電荷を保持させる(プリチャージ期間Tprch)。
次いで、読み出し動作においては、図2、図3(d)に示すように、プリチャージ期間Tprchを経過した後、ボトムゲート端子BGにハイレベル(例えば、Vbg=+10V)のバイアス電圧(読み出し選択信号;以下、「読み出しパルス」と記す)φBiを印加すること(選択状態)により、ダブルゲート型フォトセンサ10をON状態にする(読み出し期間Tread)。
【0028】
ここで、読み出し期間Treadにおいては、チャネル領域に蓄積されたキャリヤ(正孔)が逆極性のトップゲート端子TGに印加されたVtg(−15V)を緩和する方向に働くため、ボトムゲート端子BGのVbg(+15V)によりnチャネルが形成され、ドレイン電流に応じてドレイン端子Dの電圧(ドレイン電圧)VDは、図4(a)に示すように、プリチャージ電圧Vpgから時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
【0029】
すなわち、電荷蓄積期間Taにおけるキャリヤ蓄積状態が明状態の場合には、図3(d)に示すように、チャネル領域に入射光量に応じたキャリヤ(正孔)が捕獲されているため、トップゲート端子TGの負バイアスを打ち消すように作用し、この打ち消された分だけボトムゲート端子BGの正バイアスによって、ダブルゲート型フォトセンサ10はON状態となる。そして、この入射光量に応じたON抵抗に従って、図4(a)に示すように、ドレイン電圧VDは、低下することになる。
【0030】
一方、キャリヤ蓄積状態が暗状態で、チャネル領域にキャリヤ(正孔)が蓄積されていない場合には、図3(e)に示すように、トップゲート端子TGに負バイアスをかけることによって、ボトムゲート端子BGの正バイアスが打ち消され、ダブルゲート型フォトセンサ10はOFF状態となり、図4(a)に示すように、ドレイン電圧VDが、ほぼそのまま保持されることになる。
【0031】
したがって、図4(a)に示したように、ドレイン電圧VDの変化傾向は、トップゲート端子TGへのリセットパルスφTiの印加によるリセット動作の終了時点から、ボトムゲート端子BGに読み出しパルスφBiが印加されるまでの時間(電荷蓄積期間Ta)に受光した光量に深く関連し、蓄積されたキャリヤが多い場合(明状態)には急峻に低下する傾向を示し、また、蓄積されたキャリヤが少ない場合(暗状態)には緩やかに低下する傾向を示す。そのため、読み出し期間Treadがスタートして、所定の時間経過後のドレイン電圧VD(=Vrd)を検出することにより、あるいは、所定のしきい値電圧を基準にして、その電圧に至るまでの時間を検出することにより、ダブルゲート型フォトセンサ10に入射した光(照射光)の光量が換算される。
【0032】
上述した一連の画像読取動作を1サイクルとして、i+1番目の行のダブルゲート型フォトセンサ10にも同等の処理手順を繰り返すことにより、ダブルゲート型フォトセンサを2次元のセンサシステムとして動作させることができる。
なお、図2に示したタイミングチャートにおいて、プリチャージ期間Tprchの経過後、図3(f)、(g)に示すように、ボトムゲート端子BGにローレベル(例えば、Vbg=0V)を印加した状態(非選択状態)を継続すると、ダブルゲート型フォトセンサ10はOFF状態を持続し、図4(b)に示すように、ドレイン電圧VDは、プリチャージ電圧Vpgに近似する電圧を保持する。このように、ボトムゲート端子BGへの電圧の印加状態により、ダブルゲート型フォトセンサ10の読み出し状態を選択、非選択状態に切り替える選択機能が実現される。
【0033】
<フォトセンサシステム>
次いで、上述したダブルゲート型フォトセンサを所定の形式で配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムについて、図面を参照して説明する。ここでは、複数のダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを示して説明するが、複数のダブルゲート型フォトセンサをX方向に1次元配列してライン状のセンサアレイを構成し、該センサアレイをX方向に直交するY方向に移動させて2次元領域を走査(スキャン)するものであってもよいことは言うまでもない。
【0034】
図5は、ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。
図5に示すように、フォトセンサシステムは、大別して、多数のダブルゲート型フォトセンサ10を、例えば、n行×m列(n、mは任意の自然数)のマトリクス状に配列したフォトセンサアレイ100と、各ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TG(トップゲート電極21)及びボトムゲート端子BG(ボトムゲート電極22)を各々行方向に接続して伸延するトップゲートライン101及びボトムゲートライン102と、各ダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン端子D(ドレイン電極12)を列方向に接続したドレインライン(データライン)103と、ソース端子S(ソース電極13)を列方向に接続するとともに、接地電位に接続されたソースライン(コモンライン)104と、トップゲートライン101に接続されたトップゲートドライバ110と、ボトムゲートライン102に接続されたボトムゲートドライバ120と、ドレインライン103に接続されたコラムスイッチ131、プリチャージスイッチ132、アンプ133からなるドレインドライバ130と、を有して構成されている。
【0035】
ここで、トップゲートライン101は、図1に示したトップゲート電極21とともに、ITO等の透明電極層で一体的に形成され、ボトムゲートライン102、ドレインライン103並びにソースライン104は、それぞれボトムゲート電極22、ドレイン電極12、ソース電極13と同一の励起光に不透明な材料で一体的に形成されている。また、ソースライン104には、後述するプリチャージ電圧Vpgに応じて設定される定電圧Vssが印加されるが、接地電位(GND)であってもよい。
【0036】
なお、図5において、φtgは、リセット電圧及び光キャリア蓄積電圧のいずれかとして選択的に出力される信号φT1、φT2、…φTi、…φTnを生成するための制御信号であり、φbgは、読み出し電圧及び非読み出し電圧のいずれかとして選択的に出力される信号φB1、φB2、…φBi、…φBnを生成するための制御信号、φpgは、プリチャージ電圧Vpgを印加するタイミングを制御するプリチャージ信号である。また、図5においては、ダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン側又はソース側となる各端子に対して、便宜的にドレイン及びソースの用語を固定的に用いるが、フォトセンサシステム(ダブルゲート型フォトセンサ10)の動作状態に応じて、各端子の機能が切り替わるものであることはいうまでもない。
【0037】
このような構成において、トップゲートドライバ110からトップゲートライン101を介して、トップゲート端子TGに信号φTi(iは任意の自然数;i=1、2、・・・n)を印加することにより、フォトセンス機能が実現され、ボトムゲートドライバ120からボトムゲートライン102を介して、ボトムゲート端子BGに信号φBiを印加し、ドレインライン103を介して検出信号をドレインドライバ130に取り込んで、シリアルデータ又はパラレルデータの出力電圧Voutとして出力することにより、選択読み出し機能が実現される。
【0038】
図6は、上述したようなフォトセンサシステムを適用した画像読取装置(指紋読取装置)の要部断面図である。なお、ここでは、説明及び図示の都合上、フォトセンサシステムの断面部分を表すハッチングを省略する。
図6に示すように、指紋等の画像パターンを読み取る画像読取装置においては、ダブルゲート型フォトセンサ10が形成されたガラス基板等の絶縁性基板19下方側に設けられたバックライト(面光源)BLから照射光Laを入射させ、この照射光Laがダブルゲート型フォトセンサ10(詳しくは、ボトムゲート電極22、ドレイン電極12、ソース電極13)の形成領域を除く、透明な絶縁性基板19と絶縁膜15、16、20を透過して、透明電極層30上面の検知面(指紋検出面)30aに載置された指(被写体)FGに照射される。
【0039】
そして、指紋読取装置による指紋の読取動作時においては、指FGの皮膚表層FGsの半透明層が、フォトセンサアレイ100の最上層に形成された透明電極層30に接触することにより、透明電極層30と皮膚表層FGsとの間の界面に屈折率の低い空気層がなくなる。ここで、皮膚表層FGsの厚さは、650nmより厚いため、指紋FPの凸部FPaにおいて内部に入射された光Laは、皮膚表層FGs内を散乱、反射しながら伝搬する。伝搬された光Lbの一部は、透明な電極層30、透明な絶縁膜20、15、14及びトップゲート電極21を透過してダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層11に励起光として入射される。このように、指FGの凸部FPaに対応する位置に配置されたダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層11に光が入射されて生成されるキャリヤ(正孔)が蓄積されることにより、上述した一連の駆動制御方法にしたがって、指FGの画像パターンを明暗情報として読み取ることができる。
【0040】
また、指紋FPの凹部FPbにおいては、照射された光Laは、透明電極層30の検知面30aと空気層との間の界面を通過し、空気層の先の指FGに到達して皮膚表層FGs内で散乱するが、皮膚表層FGsは空気より屈折率が高いため、ある角度で界面に入射された皮膚表層FGs内の光Lcは空気層に抜けにくく、凹部FPbに対応する位置に配置されたダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層11への入射が抑制される。
【0041】
このように、透明電極層30としてITO等の透明な導電性材料を適用していることにより、透明電極層30上に載置された指FGに照射され、散乱、反射した光が良好に各ダブルゲート型フォトセンサ10の半導体層11に入射されることになるので、指(被写体)FGの読取動作における読取感度特性が悪化することがなく、被写体の画像パターン(指紋)の読み取りが良好に行われる。
【0042】
なお、図6においては、フォトセンサアレイ100の最上層に透明電極層30が形成され、その上面の検知面に被写体である指FGが載置、接触される場合について説明したが、画像読取装置が透明電極層30を備えていない構成であっても、最上層となる保護絶縁膜20と指FG(被写体)との間で、上記と同等の光学的事象が生じるので、被写体の画像パターン(指紋)を良好に読み取ることができる。
【0043】
<画像読取装置>
次に、本発明に係る画像読取装置の具体的な実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態においては、センサとして、上述したダブルゲート型フォトセンサを適用した場合について説明する。
図7は、本発明に係る画像読取装置の一実施形態を示す概略構成図であり、図8は、本実施形態に係る画像読取装置の要部構成を示す概略図である。なお、ここでは、上述したフォトセンサシステムの構成(図5、図6)を適宜参照しながら説明する。また、図1、図5に示した構成と同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0044】
図7に示すように、本実施形態に係る画像読取装置200は、概略、上述したようなダブルゲート型フォトセンサ10がマトリクス状に配列されたフォトセンサアレイ100と、該フォトセンサアレイ100(ダブルゲート型フォトセンサ10)の行方向に接続されたトップゲートドライバ110及びボトムゲートドライバ120と、フォトセンサアレイ100の列方向に接続されたドレインドライバ130と、を備えたフォトセンサシステムの構成に加えて、フォトセンサアレイ100の上方に設けられた検知面への被写体の接触状態を検出する検出回路(被写体検出手段)40と、少なくとも、検出回路40から出力される接触検出信号に基づいて、上述したフォトセンサシステムにおける一連の画像読取動作を開始して、被写体の画像データを取得するとともに、離間検出信号に基づいて、該画像読取動作を停止して、終了処理する動作制御、さらには、取得した画像データに対する所定の画像処理(加工処理や照合処理等)の実行制御を行うコントローラ(動作制御手段)50と、を有して構成されている。
ここで、フォトセンサアレイ100、トップゲートドライバ110、ボトムゲートドライバ120及びドレインドライバ130は、上述したフォトセンサシステムと同等の構成を有しているので、その説明を省略する。また、アナログ−デジタル変換器(A/Dコンバータ)140は、ドレインドライバ130により読み出されたドレイン電圧(アナログ信号)をデジタル信号からなる画像出力信号(画像データ)に変換してコントローラ50に出力する機能を有するものである。
【0045】
検出回路40を含む、被写体検出機能を実現するための具体的な構成については後述するが、例えば、フォトセンサアレイ100の上方や周辺に設けられ、被写体の接触状態に応じて、抵抗値や容量値、電圧値、電流値等の電気的な信号成分が変化する機構(図8では、フォトセンサアレイ100上に形成された透明電極層30を示す;以下、便宜的に「被写体検出機構」とも記す)における信号(図7、図8中、点線矢印で表示)を常時監視して、検知面への被写体の接触状態又は離間状態を検出して、各状態に応じた検出信号(接触検出信号、離間検出信号)をコントローラ50に出力するように構成されている。ここで、検出回路40からコントローラ50に出力される検出信号としては、例えば、検知面への被写体の接触が検出された場合には、ハイレベルの接触検出信号及びローレベルの離間検出信号が出力され、一方、検知面からの被写体の離間が検出された場合には、ローレベルの接触検出信号及びハイレベルの離間検出信号が出力されるように設定する。
【0046】
また、コントローラ50は、図8に示すように、少なくとも、上記検出回路40から出力される検出信号(接触検出信号、離間検出信号)、及び、上述したフォトセンサシステムにおける一連の画像読取動作の完了時に生成される動作終了信号に基づいて、被写体画像の読取動作の開始及び停止を制御する動作制御部51と、該動作制御部51への検出信号(離間検出信号)及び動作終了信号の入力を制御するOR論理部52と、を備えて構成されている。
【0047】
動作制御部51は、検出回路40から出力される接触検出信号を、読取動作開始信号として、そのまま取り込むことにより、被写体画像の読取動作を開始する制御を実行するとともに、検出回路40から出力される離間検出信号と、動作制御部51内部において生成される動作終了信号との論理和(OR)演算出力を、読取動作停止信号として取り込むことにより、被写体画像の読取動作を停止する制御を実行する。
【0048】
これにより、動作制御部51(コントローラ50)は、検知面に被写体が接触された場合には、上記検出回路40から出力される接触検出信号(ハイレベル)に基づいて、フォトセンサシステムを被写体の画像読取動作を開始する状態に移行させ、一方、検知面から被写体が離間した場合には、検出回路40から出力される離間検出信号(ハイレベル)に基づいて、また、被写体の画像読取動作が完了した場合には、動作制御部51内で生成される動作終了信号(ハイレベル)に基づいて、被写体の画像読取動作を停止、終了する状態に移行させるように、フォトセンサシステムの各ドライバ(トップゲートドライバ110、ボトムゲートドライバ120、ドレインドライバ130)への制御信号φtg、φbg、φpgの出力を制御する。
【0049】
したがって、本実施形態に係る画像読取装置においては、検知面に被写体が接触された場合には、コントローラにより被写体の画像読取動作が自動的に開始され、画像読取動作の途中であっても被写体が検知面から離間した場合には、該画像読取動作が強制的に停止(中断)される。また、被写体の画像読取動作が(正常、強制的に関わらず)停止した場合には、コントローラによりフォトセンサシステムを画像読取状態から、少なくともフォトセンサアレイ(フォトセンサ)の駆動動作が停止された待機状態に移行するように制御される。
【0050】
なお、本実施形態に示したコントローラの構成は、本発明に適用可能な構成の一例を示したにすぎず、本発明はこの構成に何ら限定されるものではない。要するに、少なくとも、検出回路から出力される検出信号(接触検出信号と離間検出信号が単一の信号であってもよい)に基づいて、フォトセンサシステムにおける被写体画像の読取動作を開始又は停止することができるものであれば、他の構成を有するものであってもよい。
【0051】
次に、上述したような構成を有する画像読取装置における具体的な駆動制御動作について、図面を参照して説明する。
図9は、本実施形態に係る画像読取装置における駆動制御動作を示すフローチャートである。ここでは、上述した画像読取装置の構成(図7、図8)を適宜参照しつつ説明する。
【0052】
まず、画像読取装置200の電源が投入されると、検出回路40及びコントローラ50が駆動状態となり、フォトセンサアレイ100上に設けられた検知面への被写体の載置、接触状態を常時監視する待機状態に移行する(S101)。すなわち、検出回路40は、フォトセンサアレイ100の周辺等に設けられた被写体検出機構から得られる電気的な信号成分の変化を監視する状態を継続する。
【0053】
このような待機状態において、被写体が検知面に載置、接触されると、上記接触検出機構から得られる信号成分の変化により、検出回路40は検知面に被写体が接触した状態を検出してコントローラ50(動作制御部51)に対して接触検出信号を出力する。コントローラ50(動作制御部51)は、該接触検出信号を読取動作開始信号として取り込むことにより、上述した一連の処理ステップに基づく被写体画像の読取動作を開始する(S102)。すなわち、フォトセンサアレイ100を構成する各フォトセンサ10に対して、各ドライバ110、120、130から所定の駆動電圧(リセットパルス、プリチャージパルス、読み出しパルス)を各行ごとに順次印加することにより、被写体画像を走査しつつ読み取る動作を実行する。なお、このとき、検出回路40は、接触検出機構から得られる信号成分の変化を監視する動作を継続する。
【0054】
そして、上述したような被写体画像の読取動作が終了する以前に(すなわち、被写体画像の読取動作の実行途中に)、被写体が検知面から離れると、接触検出機構から得られる信号成分の変化により、検出回路40は検知面から被写体が離間した状態を検出し(S103、S104)、コントローラ50(動作制御部51)に対して離間検出信号を出力する。動作制御部51は、OR論理部52を介して、該離間検出信号を読取動作停止信号として取り込むことにより、被写体画像の読取動作を強制的に停止(中断)する。すなわち、各ドライバ110、120、130への制御信号φtg、φbg、φpgの出力を遮断することにより、フォトセンサアレイ100を構成する各フォトセンサ10への駆動電圧の印加を遮断する動作を実行する。これにより、画像読取装置(フォトセンサシステム)は、画像読取状態から終了状態(待機状態)に移行する(S105)。
【0055】
また、コントローラ50(動作制御部51)は、被写体画像の読取動作の実行途中で読取動作停止信号(離間検出信号)を取り込んだ場合には、ブザーやスピーカ、表示デバイス等の所定の報知手段を駆動して、画像読取装置200の使用者等に対して、画像読取動作の実行途中で被写体が検知面から離間し、画像読取動作が停止(中断)された旨を報知する動作を実行する(S106)。そして、検出回路40は、検知面に再び被写体が載置、接触されることに伴う上記信号成分の変化を監視する動作を継続する。
【0056】
一方、被写体画像の読取動作の実行途中で被写体が検知面から離間されることなく、画像読取動作が正常に完了した場合には(S103)、動作制御部51は、当該画像読取動作の完了に伴って動作制御部51内部で生成される動作終了信号に基づいて、各ドライバ110、120、130への制御信号φtg、φbg、φpgの出力を遮断することにより、フォトセンサアレイ100を構成する各フォトセンサ10への駆動電圧の印加を遮断する動作を実行する。これにより、画像読取装置(フォトセンサシステム)は、画像読取状態から終了状態(待機状態)に移行する(S107)。
そして、コントローラ50は、上述した画像読取動作により取得した被写体画像についての画像データに基づいて、所定の画像処理(例えば、本実施形態に係る画像読取装置を指紋読取装置に適用した場合にあっては、指紋照合処理等)を実行する(S108)。
【0057】
したがって、検知面に接触された被写体画像の読取動作の実行途中に、被写体が検知面から離間された場合には、当該画像読取動作が即座に中断されて終了されるので、画像読取動作における無駄な処理動作の継続や処理時間の浪費を抑制することができるとともに、駆動状態にあるフォトセンサへの外光の入射を防止して素子特性の劣化を抑制することができる。また、被写体が検知面から離間された場合に、所定の報知動作を実行することにより、使用者等に対して被写体の画像読取動作が正常に行われなかった(異常が発生した)旨を通知することができるとともに、被写体を再度検知面に接触、載置させて画像読取動作を実行するように促すことができるので、被写体の正常な読取画像を取得して、該読取画像に基づく画像処理を良好に実行することができる。さらに、画像読取動作の停止後、即座に待機状態に移行して、被写体の検知面への接触状態を監視する動作を継続するので、再度被写体が検知面に載置された場合に、迅速に画像読取動作を開始することができ、画像読取装置の使用上の利便性を向上させることができる。
【0058】
なお、上述した一連の処理ステップにおいて、画像読取動作が正常に、又は、強制的に停止、終了されたいずれの場合においても、上記画像読取動作に伴ってフォトセンサ(ダブルゲート型フォトセンサ)の各ゲート電極に印加される駆動電圧(バイアス電圧)の極性及び印加タイミングに起因して実効電圧の偏りが生じるため、このような特定の極性に偏った電圧がゲート電極に印加された状態が継続すると、ゲート電極に正孔がトラップされて、フォトセンサの感度特性の変化や素子特性の劣化が生じるという問題を有している。
【0059】
そこで、上述したような本実施形態に係る一連の処理ステップにおいて、画像読取動作の処理サイクル内に印加される実効電圧を、打ち消す(相殺する)ように逆バイアス電圧を各ゲート電極に印加する処理ステップを、例えば、上記処理ステップS105及びS107の直後に実行するようにしてもよい。このような駆動制御方法によれば、フォトセンサにおける実効電圧の偏りの影響を除去して、良好な読取画像を得ることができるとともに、素子特性の劣化を抑制することができる。
【0060】
また、上述した一連の処理ステップにおいては、処理ステップS102において、被写体の画像読取動作を実行する場合について説明したが、このステップにおいては、被写体の正規の画像読取動作のみならず、例えば、該正規の画像読取動作に先立って、被写体画像を用いて画像読取装置の感度調整動作(最適な読取感度の設定動作)を実行するものであってもよい。すなわち、処理ステップS102において、被写体を用いて感度調整用の画像読取動作を実行して最適読取感度を設定した後、正規の画像読取動作を連続的に実行するようにしてもよい。
【0061】
次に、本発明に係る画像読取装置に適用可能な被写体の検出方式(接触検出機構及び検出回路)の構成例について、図面を参照して簡単に説明する。ここで、本発明に係る画像読取装置においては、以下に示すような抵抗検出方式や容量検出方式の各構成を良好に適用することができるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、センサアレイ上に載置された被写体による押圧力を検出する圧力センサをセンサアレイの下部等に備えるものであってもよく、要するに、センサアレイの周辺等に設けられ、検知面への被写体の載置、接触状態に応じて信号成分の変化を生じるものを良好に適用することができる。
【0062】
図10は、本発明に係る画像読取装置に適用可能な抵抗検出方式の被写体検出機構を示す概略構成図であり、図11は、本発明に係る画像読取装置に適用可能な容量検出方式の被写体検出機構を示す概略構成図である。なお、以下に示す各被写体検出機構は、本発明に係る画像読取装置を指紋読取装置に適用した場合の具体例である。
【0063】
抵抗検出方式の画像読取装置(指紋読取装置)の一例は、図10(a)に示すように、概略、複数のフォトセンサ10がマトリクス状に配列されたフォトセンサアレイ100のアレイ領域を2分し、わずかな間隙GPを介して互いに離間するように形成された透明電極層30x、30yと、該透明電極層30x、30yのいずれか一方(例えば、透明電極層30x)に直流電圧を印加するとともに、他方(例えば、透明電極層30y)に接地電位を印加して、透明電極層30x、30y間に指FG等の被写体が載置、接触されることによる特有の電圧変化(もしくは、抵抗値変化)を検出して、画像読取動作を開始する検出回路40xと、透明電極層30x、30yと検出回路40xとの各引き出し配線と接地電位との間に個別に接続された逆並列ダイオード回路DCx、DCyと、を有して構成されている。
【0064】
このような被写体検出機構において、指FG等の被写体が透明電極層30x、30yの双方にまたがって載置、接触されると、指FG(人体)に帯電していた電荷(静電気)が引き出し配線及び逆並列ダイオード回路DCx、DCyを介して、接地電位に放電されるとともに、透明電極層30x、30y間が指FGを介して短絡することにより生じる電圧変化を、検出回路40xにより観測することにより、検知面への指FGの接触を検出して、各ドライバを起動して被写体の画像パターン(指紋)を読み取る画像読取動作が自動的に開始される。
【0065】
また、抵抗検出方式の画像読取装置の他の例は、図10(b)に示すように、概略、フォトセンサアレイ100の最上層に形成された透明電極層30と、少なくとも該透明電極層30とは電気的に離間して接地電位に接続され、フォトセンサアレイ100の周囲に設けられた導電性のシールドケース30zと、透明電極層30に直流電圧を印加して、透明電極層30とシールドケース30z間に指FG等の被写体が載置、接触されることによる特有の電圧変化(もしくは、抵抗値RLの変化)を検出して、画像読取動作を開始する検出回路40yと、を有して構成されている。
【0066】
このような被写体検出機構においても、指FG等の被写体が透明電極層30及びシールドケース30zの双方にまたがって載置、接触されると、透明電極層30及びシールドケース30z間の短絡により生じる電圧変化(抵抗値変化)を、検出回路40yにより観測することにより、検知面への指FGの接触を検出することができる。
【0067】
一方、容量検出方式の画像読取装置(指紋読取装置)の一例は、図11(a)に示すように、概略、複数のフォトセンサ10がマトリクス状に配列されたフォトセンサアレイ100のアレイ領域の略全域を覆うように形成された透明電極層30と、該透明電極層30に接続され、透明電極層30に被写体が載置、接触されることにより、接地電位に接続されたフォトセンサアレイ100と透明電極層30との間で生じる特有の容量変化を検出して、画像読取動作を開始する検出回路40zと、透明電極層30と検出回路40zとの引き出し配線と接地電位との間に接続された逆並列ダイオード回路DCzと、を有して構成されている。
【0068】
このような被写体検出機構において、指FG等の被写体が透明電極層30に載置、接触されると、指FG(人体)に帯電していた電荷(静電気)が引き出し配線及び逆並列ダイオード回路DCzを介して、接地電位に放電されるとともに、図11(b)、(c)に示すように、フォトセンサアレイ100自体が本来有する容量C1に誘電体としての指(人体)FGが接触することにより生じる容量変化(C1→C1+C2)を、検出回路40zにより観測することにより、検知面への指FGの接触を検出して、各ドライバを起動して被写体の画像パターン(指紋)を読み取る画像読取動作が自動的に開始される。
【0069】
以上、本発明に係る画像読取装置について、センサとして光学式のダブルゲート型フォトセンサを適用した場合の実施形態を示して説明したが、本発明に適用されるセンサは、このダブルゲート型フォトセンサに限定されるものではなく、フォトダイオードやTFT等、他の構成のフォトセンサを用いたフォトセンサシステムに対しても同様に適用することができる。また、光学式のいわゆるフォトセンサに限らず、例えば、指の凹凸に応じて変位する容量を読み取る容量式のセンサを適用するものであってもよい。
【0070】
【発明の効果】
本発明に係る画像読取装置によれば、複数のセンサ(例えば、ダブルゲート型フォトセンサ)がマトリクス状又はライン状に配列されたセンサアレイ上方の検知面に載置された被写体の画像パターンを読み取る画像読取装置において、少なくとも、センサアレイの上方に設けられた検知面への被写体の載置状態(接触、又は、離間)を検出する被写体検出手段と、該被写体検出手段により検出された被写体の載置状態に応じて、センサアレイ(センサ)における画像読取動作の開始及び終了を制御する動作制御手段と、を備えた構成を有し、特に、被写体が検知面に載置されることにより開始された画像読取動作の途中で、被写体の検知面からの離間を検出したときには、その検出信号(離間検出信号)に基づいて上記画像読取動作を強制的に中断させて、終了させるように制御されるので、被写体が載置されていない不正な状態での画像読取動作、すなわち、不完全な画像データの取り込みを防止することができる。
【0071】
したがって、画像読取動作における無駄な処理動作や処理時間の発生を抑制して、迅速かつ良好な画像読取動作を実行することができるとともに、取り込んだ画像データに基づく画像処理を、誤動作を生じることなく良好に実行することができる。また、屋外等のように外光照度が高い環境下で使用する際に、被写体が検知面から離間した場合であっても、即座にセンサアレイ(センサ)の駆動動作が停止されるので、外光がセンサに入力することにより生じる素子特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像読取装置に適用可能なダブルゲート型フォトセンサの概略構成を示す断面構造図である。
【図2】ダブルゲート型フォトセンサの基本的な駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
【図3】ダブルゲート型フォトセンサの動作概念図である。
【図4】ダブルゲート型フォトセンサの出力電圧の光応答特性を示す図である。
【図5】ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。
【図6】ダブルゲート型フォトセンサを備えたフォトセンサシステムを適用した画像読取装置(指紋読取装置)の要部断面図である。
【図7】本発明に係る画像読取装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図8】本実施形態に係る画像読取装置の要部構成を示す概略図である。
【図9】本実施形態に係る画像読取装置における駆動制御動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る画像読取装置に適用可能な抵抗検出方式の被写体検出機構を示す概略構成図である。
【図11】本発明に係る画像読取装置に適用可能な容量検出方式の被写体検出機構を示す概略構成図である。
【図12】従来技術における画像読取装置(指紋読取装置)の問題点を示す概略図である。
【符号の説明】
10 ダブルゲート型フォトセンサ
30 透明電極層
40 検出回路
50 コントローラ
51 動作制御部
52 OR論理部
100 フォトセンサアレイ
200 画像読取装置
FG 指
Claims (6)
- 複数のセンサを配列したセンサアレイを備え、該センサアレイ上の検知面に載置された被写体の画像パターンを読み取る画像読取装置において、
前記検知面への前記被写体の載置状態を検出して、該被写体の載置状態に応じた検出信号を出力する被写体検出手段と、
前記被写体が前記検知面に載置されたときに前記被写体検出手段から出力される接触検出信号に基づいて、前記被写体の画像パターンを読み取る画像読取動作を開始するように前記センサアレイを制御するとともに、少なくとも、前記画像読取動作の実行中に前記被写体が前記検知面から離間したときに、前記被写体検出手段から出力される離間検出信号に基づいて、前記画像読取動作を強制的に中断させて、終了するように前記センサアレイを制御する動作制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像読取装置。 - 前記動作制御手段は、前記画像読取動作により前記被写体の所定の画像パターンの取得が完了したときに、前記画像読取動作を停止、終了するように前記センサアレイを制御することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記動作制御手段は、少なくとも、前記センサアレイを駆動するための駆動電圧の供給を遮断することにより、前記画像読取動作を停止、終了させることを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
- 前記動作制御手段は、前記画像読取動作が停止、終了された前記センサアレイに対して、前記駆動電圧を相殺する所定の電圧を供給することを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
- 前記動作制御手段は、少なくとも、前記画像読取動作の実行中に、前記被写体検出手段からの前記離間検出信号を受信した場合には、所定の報知動作を実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置。
- 前記センサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、少なくとも前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、を備え、前記第1のゲート電極又は前記第2のゲート電極のいずれか一方を前記検知面側として、前記駆動制御手段から前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極に前記駆動制御信号を供給することにより設定される所定の電荷蓄積期間に、前記検知面側から照射された光の量に対応する電荷が前記チャネル領域に発生して蓄積される構成を有し、
該蓄積された電荷の量に基づいて出力される電圧により前記検知面に載置された前記被写体の画像パターンを読み取ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置。
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