JP4010156B2 - 画像読取装置及びその感度設定方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、画像読取装置及びその感度設定方法に関し、特に、複数のセンサがマトリクス状又はライン状に配列されたセンサアレイを備え、該センサアレイを走査駆動することにより、被写体の画像パターンを読み取る画像読取装置及びその感度設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、印刷物や写真、あるいは、指紋等の微細な凹凸形状等の2次元の画像パターンを読み取る技術として、例えば、光電変換素子(フォトセンサ)等のセンサをマトリクス状あるいはライン状に配列して構成されるセンサアレイを走査駆動することにより、所定の検知面上に載置、接触された被写体の画像パターンを読み取る画像読取装置が知られている。
【0003】
このような画像読取装置は、近年の個人情報や企業情報等の管理や保護、あるいは、防犯等のセキュリティに対する社会的な要求の高まりに伴って、指紋認証システム(指紋照合装置)等の個人認証の技術分野への応用が盛んに研究、開発されている。
【0004】
ここで、画像読取装置に適用されるセンサアレイとしては、一般に、CCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像デバイスが用いられている。CCDは、周知の通り、フォトダイオードや薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等のフォトセンサを複数配列した構成を有し、各フォトセンサの受光部に照射された光量に対応して発生する電子−正孔対の電荷量を、水平走査回路及び垂直走査回路により検出し、照射光の輝度を検知している。
【0005】
ところが、このようなCCDを適用したフォトセンサシステム(画像読取装置のうち、センサアレイ、水平走査回路及び垂直走査回路等を含む主要部分;詳しくは後述する)においては、基礎技術が確立されており、画像読取装置等の実製品への適用が容易であるという利点を有しているものの、フォトセンサアレイの構造上、走査された各フォトセンサを選択状態にするための選択トランジスタを個別に設ける必要があるため、被写体画像の読取精度を向上(高精細化)させるためにセンサアレイを構成する画素数を増加させると、それにしたがってシステム自体が大型化してしまうという問題を有していた。
【0006】
そこで、近年、このような問題を解決するための構成として、フォトセンサ自体にフォトセンス機能と選択トランジスタ機能とを持たせるようにした、いわゆる、ダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタ(以下、「ダブルゲート型フォトセンサ」という)をフォトセンサシステムに適用して、システムの小型化、及び、画素の高密度化を図る試みがなされている。
【0007】
このようなフォトセンサシステムは、概略、ガラス基板等の一面側にトップゲート電極及びボトムゲート電極を備えたダブルゲート型フォトセンサをマトリクス状に形成して、フォトセンサアレイを構成し、例えば、ガラス基板の背面側に設けられた光源から照射光を照射して、ガラス基板の一面側(フォトセンサアレイの上方)に載置された被写体の2次元画像(被写体画像;例えば、指の指紋パターン等)に応じた反射光を、ダブルゲート型フォトセンサにより明暗情報として検出し、上記被写体画像を読み取るものである。
【0008】
ここで、フォトセンサアレイによる画像読取動作は、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサへのリセットパルスの印加による初期化終了時から読み出しパルスが印加されるまでの電荷蓄積期間において、各ダブルゲート型フォトセンサごとに蓄積されるキャリヤ(正孔)の蓄積量に対応する出力電圧(ドレイン電圧)を読み出すことにより、明暗情報を検出する一連の動作ステップ(リセット動作→電荷蓄積動作→プリチャージ動作→読み出し動作)により被写体画像の読み取りが行われる。
【0009】
なお、このような一連の動作ステップは、上述したダブルゲート型フォトセンサを適用した場合に限らず、周知のフォトダイオードやフォトトランジスタ等をフォトセンサとして用いたフォトセンサシステムにおいても、同様の動作ステップが実行される。また、上述したダブルゲート型フォトセンサ、及び、フォトセンサアレイの具体的な構成及び動作については、後述する発明の実施の形態において詳しく説明する。
【0010】
ところで、上述したようなダブルゲート型フォトセンサ等、各種のフォトセンサを適用したフォトセンサシステムにおいては、屋内外等の使用環境や、被写体自体の明るさ等の種々の外的要因に関わらず、被写体画像を良好に読み取るために、該環境等に応じてフォトセンサの読取感度(上記ダブルゲート型フォトセンサにおいては、電荷蓄積期間)を適切に調整して設定する必要がある。
【0011】
フォトセンサにおける適切な読取感度は、環境照度等の周囲の条件に依存して異なるため、従来においては、環境照度を検出するための回路を別個に設けたり、正規のスキャン動作を開始する前に検知面に載置された標準試料等を、読取感度を複数段階に変えて読み取る動作(以下、「感度調整用読取動作」という)を行い、その検出結果や読取結果に基づいて、環境照度等の周囲の条件に応じた最適な読取感度を求める手法を採用していた。
【0012】
ここで、感度調整用読取動作により最適な読取感度を設定する手法としては、例えば、特許3116950号公報等に、フォトセンサ(ダブルゲート型フォトセンサ)をマトリクス状に配列したフォトセンサアレイにおいて、各行ごとに読取感度が段階的に異なる(変わる)ように設定して、所定の被写体画像を読み取り、各行ごと(すなわち、各読取感度ごと)に検出される明度データから算出されたデータ範囲(最大画素値と最小画素値との差分;ダイナミックレンジ)に基づいて、最適な画像読取状態にある行(ダイナミックレンジが最大となる行)を判別し、該行に設定された読取感度(電荷蓄積期間)を最適感度として、正規の被写体画像を読み取る際の感度として設定する手法が記載されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来技術においては、以下に示すような問題を有していた。
すなわち、フォトセンサアレイを構成するフォトセンサの素子欠陥や素子特性のばらつき、あるいは、検知面への異物の付着等により、感度調整用読取動作において輝点や滅点等となる異常な画素データが検出される画素が存在する場合は、感度調整用読取動作により得られた各行ごとの画素データ(明度データ)をそのまま用いると、本来、適切な画素データに基づいて算出されるダイナミックレンジが最大となる行とは異なる行において、ダイナミックレンジが最大となるため、不適切な画像読取感度が設定されてしまい、正規の画像読み取り動作により取得される被写体画像の画質の著しい劣化を招くことがあるという問題を有していた。そのため、例えば、このようなフォトセンサアレイを搭載した画像読取装置を指紋照合装置に適用した場合、良好な画質の被写体画像を取得することができず、指紋照合処理における誤作動を生じる可能性を有していた。
【0014】
また、このような問題点を生じさせないようにするために、画像読取装置やフォトセンサデバイスの製造メーカーは、素子欠陥のない、又は、素子欠陥の発生が極めて少ないフォトセンサアレイが製造されるように、製造過程における品質管理を厳密に行わなければならず、そのため、製造歩留まりを向上することができる有望かつ適切な技術や手法の実現が望まれていた。
【0015】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑み、複数のフォトセンサにより構成されるフォトセンサアレイを備え、正規の画像読取動作とは別個に感度調整用読取動作を実行するフォトセンサシステムにおいて、異常画素等により検出される異常な画素データの影響を除去して、適切な画像読取感度を設定して、正規の画像読取動作において良好な被写体画像を得ることができる画像読取装置及びその感度調整方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の画像読取装置は、複数のフォトセンサからなるフォトセンサアレイを備え、該フォトセンサアレイ上の検知面に載置された被写体の画像を読み取る画像読取装置において、前記被写体に対する正規の画像読取動作に適用される画像読取感度を設定する感度調整用読取動作において、前記画像読取感度を画素データ群ごとに複数段階に変化させて、感度調整用の所定の画像を読み取る感度調整用読取手段と、該感度調整用読取手段により読み取られた前記所定の画像の画像パターンにおける前記各画像読取感度に対応する前記各画素データ群に対して、最大値及び最小値を含む予め設定された個数の特定の画素データを当該特定の画素データが異常値であるか否かの判定を経ることなく一義的に取り除く特定データ除去手段と、前記特定の画素データを除いた前記各画素データ群に基づいて、前記被写体画像の正規の読取動作に適した画像読取感度を設定する読取感度設定動作を行う読取感度設定手段と、を備えることを特徴としている。
【0017】
請求項2記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記読取感度設定手段は、少なくとも、前記特定データ除去手段により前記特定の画素データが取り除かれた前記画素データ群に属する前記画素データ相互の大小関係を比較して、前記画素データ群のうち、最大値及び最小値となる画素データを抽出するデータ比較手段と、少なくとも、前記データ比較手段により抽出された前記画素データの最大値及び最小値に基づいて、前記画像読取感度ごとに前記画素データ群のデータ範囲を算出するデータ算出手段と、前記データ算出手段により算出された前記画像読取感度ごとの前記画素データ群のデータ範囲のうち、最大となるデータ範囲を有する前記画像読取感度を抽出する読取感度抽出手段と、前記抽出された画像読取感度を、前記被写体に対する正規の画像読取動作の際の画像読取感度として決定する読取感度決定手段と、を有することを特徴としている。
【0018】
請求項3記載の画像読取装置は、請求項1記載の画像読取装置において、前記特定データ除去手段は、前記感度調整用読取動作により前記各画像読取感度に対応して得られた前記各画素データ群に対し、前記最大値から大きい順に複数個の前記画素データ及び前記最小値から小さい順に複数個の前記画素データを取り除くことを特徴としている。
【0019】
請求項4記載の画像読取装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置において、前記感度調整用読取手段は、前記感度調整用読取動作において、前記フォトセンサアレイの所定の行数ごとに段階的に異なる画像読取感度を設定して、前記感度調整用の所定の画像を1回のみ読み取ることを特徴としている。
【0020】
請求項5記載の画像読取装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置において、前記感度調整用読取手段は、前記感度調整用読取動作において、前記フォトセンサアレイの有効読取領域の全域について、前記感度調整用の所定の画像を読み取ることを特徴としている。請求項6記載の画像読取装置は、請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置において、前記感度調整用読取手段は、前記感度調整用読取動作において、前記フォトセンサアレイの有効読取領域内に予め設定された検出領域についてのみ、前記感度調整用の所定の画像を読み取ることを特徴としている。
【0021】
請求項7に記載の画像読取装置は、請求項6に記載の画像読取装置において、前記検出領域は、前記特定の画素データを除いた前記画素データ群が、少なくとも前記読取感度設定手段による前記読取感度設定動作が正常に実行可能な最小限の数の画素データが得られる領域に設定されていることを特徴としている。請求項8記載の画像読取装置は、請求項1乃至7のいずれかに記載の画像読取装置において、前記画素データは、前記所定の画像の画像パターンに対応した明度データであることを特徴としている。
【0022】
請求項9記載の画像読取装置は、請求項1乃至8のいずれかに記載の画像読取装置において、前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、少なくとも前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、を備え、前記第1のゲート電極又は前記第2のゲート電極のいずれか一方を光照射側として、所定の電荷蓄積期間に、前記光照射側から照射された光の量に対応する電荷が前記チャネル領域に発生、蓄積される構成を有し、該蓄積された電荷の量に基づいて前記画素データが生成されることを特徴としている。請求項10記載の画像読取装置は、請求項1乃至9のいずれかに記載の画像読取装置において、前記読取感度設定手段は、前記読取感度設定動作において、前記フォトセンサにおける電荷蓄積期間を制御することにより、前記画像読取感度を任意に調整することを特徴としている。
【0023】
請求項11記載の画像読取装置の感度設定方法は、複数のフォトセンサからなるフォトセンサアレイを備え、該フォトセンサアレイ上の検知面に載置された被写体の画像を読み取る画像読取装置の感度設定方法において、前記フォトセンサアレイを構成する各フォトセンサに対して、画像読取感度を複数段階に変化させて、感度調整用の所定の画像を読み取る手順と、読み取られた前記所定の画像の画像パターンにおける前記各画像読取感度に対応する前記各画素データ群に対して、最大値及び最小値を含む予め設定された個数の特定の画素データを当該特定の画素データが異常値であるか否かの判定動作を行うことなく一義的に取り除く手順と、前記特定の画素データが取り除かれた前記各画素データ群に基づいて、前記被写体画像の正規の読取動作に適した画像読取感度を設定する手順と、を含むことを特徴としている。
【0024】
請求項12記載の画像読取装置の感度設定方法は、請求項11記載の画像読取装置の感度設定方法において、前記特定の画素データを取り除く手順は、前記各画像読取感度に対応して得られた前記各画素データ群に含まれる全ての画素データに対して相互に大小関係を比較して、前記画素データを順に並べ替える処理と、並べ替えられた前記画素データの配列における両端から所定の個数の前記画素データを取り除く処理と、を含んでいることを特徴としている。
【0025】
請求項13記載の画像読取装置の感度設定方法は、請求項11記載の画像読取装置の感度設定方法において、前記特定の画素データを取り除く手順は、前記画像読取感度ごとに得られた前記各画素データ群に含まれる全ての画素データに対して相互に大小関係を比較して、最大値又は最小値となる前記画素データを抽出して除去する処理を所定回数繰り返すことを特徴としている。
【0026】
すなわち、本発明に係る画像読取装置及びその感度設定方法は、フォトセンサを複数配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムにおいて、被写体の画像を読み取る正規の画像読み取り動作とは独立して(別個のタイミングで)、又は、上記正規の画像読み取り動作に先立って実行される感度調整用読み取り動作の際に、フォトセンサアレイを構成する各フォトセンサから得られる画素データ(明度データ)から、所定の明度条件を満たす予め設定された所定数の画素データを当該画素データが異常値であるか否かの判定を経ることなく一義的に除去し、該除去処理後の画素データに基づいて、最適な画像読取感度の設定処理を実行するように構成されている。
【0027】
具体的には、各フォトセンサから得られる画素データのうち、明度データ値が最大及び最小となる画素データを除去、もしくは、画素データから明度データ値の大きい順及び小さい順に、1個又は複数個の予め設定された個数の画素データをその画素データが異常値であるか否かの判断を経ることなく一義的に除去する。これにより、素子欠陥が存在する場合や検知面にゴミが付着している場合であっても、輝点又は滅点のような異常値として検出される画素データが予め除去されて、感度調整用読取動作の対象となる画像(又は、正規の画像読取動作に対象となる被写体画像)本来のパターンに対応した画素データが得られることになるので、異常な画素データの影響を排除して、適切な画像読取感度を比較的簡易な処理動作により抽出、設定することができる。
【0028】
したがって、被写体の正規の読み取り動作において、適切な画像読取感度で良好な画質の被写体画像を取得することができるので、指紋照合処理等における誤動作の発生等を抑制して照合精度を向上させることができ、信頼性の高い画像読取装置を実現することができる。また、このことは換言すれば、フォトセンサアレイにある程度の個数の素子欠陥が存在している場合や、検知面にある程度汚れが付着している場合等であっても、良好な画像読取感度を設定することができることを意味する。よって、画像読取装置やセンサアレイ等のデバイスの歩留まりの向上や、メンテナンス作業等の軽減を図ることができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るフォトセンサシステム及びその駆動制御方法の実施の形態について、詳しく説明する。なお、以下に示す実施形態においては、本発明に係るフォトセンサシステムにダブルゲート型フォトセンサを適用した場合について具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、上述した周知のフォトダイオードや薄膜トランジスタ等からなるフォトセンサを適用したものであってもよい。
【0030】
<ダブルゲート型フォトセンサ>
まず、ダブルゲート型フォトセンサの基本構成について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、ダブルゲート型フォトセンサの概略構成を示す断面構造図である。
図1(a)に示すように、ダブルゲート型フォトセンサ10は、励起光(ここでは、可視光)が入射されると電子−正孔対が生成されるアモルファスシリコン等の半導体層(チャネル層)11と、半導体層11の両端にそれぞれ設けられたn+シリコンからなる不純物層17、18と、不純物層17、18上に形成されたクロム、クロム合金、アルミ、アルミ合金等から選択され、可視光に対して不透明のソース電極12及びドレイン電極13と、半導体層11の上方(図面上方)にブロック絶縁膜14及び上部(トップ)ゲート絶縁膜15を介して形成されたITO(Indium-Tin-Oxide:インジウム−スズ酸化物)等の透明導電層からなり、可視光に対して透過性を示すトップゲート電極(第1のゲート電極)21と、半導体層11の下方(図面下方)に下部(ボトム)ゲート絶縁膜16を介して形成されたクロム、クロム合金、アルミ、アルミ合金等から選択され、可視光に対して不透明なボトムゲート電極(第2のゲート電極)22と、を有して構成されている。そして、このような構成を有するダブルゲート型フォトセンサ10は、ガラス基板等の透明な絶縁性基板19上に形成されている。
【0031】
ここで、図1(a)において、トップゲート絶縁膜15、ブロック絶縁膜14、ボトムゲート絶縁膜16、及び、トップゲート電極21上に設けられる保護絶縁膜20は、いずれも半導体層11を励起する可視光に対して、高い透過率を有する材質、例えば、窒化シリコンや酸化シリコン等により構成されることにより、図面上方から入射する光のみを検知する構造を有している。
【0032】
すなわち、ダブルゲート型フォトセンサ10は、半導体層11を共通のチャネル領域として、半導体層11、ソース電極12、ドレイン電極13及びトップゲート電極21により形成される上部MOSトランジスタと、半導体層11、ソース電極12、ドレイン電極13及びボトムゲート電極22により形成される下部MOSトランジスタとからなる2つのMOSトランジスタの組み合わせた構造が、ガラス基板等の透明な絶縁性基板19上に形成されている。
【0033】
なお、このようなダブルゲート型フォトセンサ10は、一般に、図1(b)に示すような等価回路により表される。ここで、TGはトップゲート電極21と電気的に接続されたトップゲート端子、BGはボトムゲート電極22と電気的に接続されたボトムゲート端子、Sはソース電極12と電気的に接続されたソース端子、Dはドレイン電極13と電気的に接続されたドレイン端子である。
【0034】
次いで、上述したダブルゲート型フォトセンサの駆動制御方法について、図面を参照して説明する。
図2は、ダブルゲート型フォトセンサの基本的な駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートであり、図3は、ダブルゲート型フォトセンサの動作概念図であり、図4は、ダブルゲート型フォトセンサの出力電圧の光応答特性を示す図である。ここでは、上述したダブルゲート型フォトセンサの構成(図1)を適宜参照しながら説明する。
【0035】
まず、リセット動作においては、図2、図3(a)に示すように、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGにパルス電圧(以下、「リセットパルス」と記す;例えば、Vtg=+15Vのハイレベル)φTを印加して、半導体層11、及び、ブロック絶縁膜14における半導体層11との界面近傍に蓄積されているキャリヤ(ここでは、正孔)を放出する(リセット期間Trst)。
【0036】
次いで、電荷蓄積動作においては、図2、図3(b)に示すように、トップゲート端子TGにローレベル(例えば、Vtg=−15V)のバイアス電圧φTを印加することにより、リセット動作を終了し、キャリヤ蓄積動作(電荷蓄積動作)による電荷蓄積期間Taがスタートする。電荷蓄積期間Taにおいては、トップゲート電極21側から入射した光量に応じて半導体層11の入射有効領域、すなわち、キャリヤ発生領域で電子−正孔対が生成され、半導体層11、及び、ブロック絶縁膜14における半導体層11との界面近傍、すなわち、チャネル領域周辺に正孔が蓄積される。
【0037】
そして、プリチャージ動作においては、図2、図3(c)に示すように、電荷蓄積期間Taに平行して、プリチャージパルスφpgに基づいてドレイン端子Dに所定の電圧(プリチャージ電圧)Vpgを印加し、ドレイン電極13に電荷を保持させる(プリチャージ期間Tprch)。
次いで、読み出し動作においては、図2、図3(d)に示すように、プリチャージ期間Tprchを経過した後、ボトムゲート端子BGにハイレベル(例えば、Vbg=+10V)のバイアス電圧(読み出し選択信号;以下、「読み出しパルス」と記す)φBを印加すること(選択状態)により、ダブルゲート型フォトセンサ10をON状態にする(読み出し期間Tread)。
【0038】
ここで、読み出し期間Treadにおいては、チャネル領域に蓄積されたキャリヤ(正孔)が逆極性のトップゲート端子TGに印加されたVtg(−15V)を緩和する方向に働くため、ボトムゲート端子BGのVbg(+15V)によりnチャネルが形成され、ドレイン電流に応じてドレイン端子Dの電圧(ドレイン電圧)VDは、図4(a)に示すように、プリチャージ電圧Vpgから時間の経過とともに徐々に低下する傾向を示す。
【0039】
すなわち、電荷蓄積期間Taにおける電荷蓄積状態が明状態の場合には、図3(d)に示すように、チャネル領域に入射光量に応じたキャリヤ(正孔)が捕獲されているため、トップゲート端子TGの負バイアスを打ち消すように作用し、この打ち消された分だけボトムゲート端子BGの正バイアスによって、ダブルゲート型フォトセンサ10はON状態となる。そして、この入射光量に応じたON抵抗に従って、図4(a)に示すように、ドレイン電圧VDは、低下することになる。
【0040】
一方、電荷蓄積状態が暗状態で、チャネル領域にキャリヤ(正孔)が蓄積されていない場合には、図3(e)に示すように、トップゲート端子TGに負バイアスをかけることによって、ボトムゲート端子BGの正バイアスが打ち消され、ダブルゲート型フォトセンサ10はOFF状態となり、図4(a)に示すように、ドレイン電圧(ドレインライン103の電圧)VDが、ほぼそのまま保持されることになる。
【0041】
したがって、図4(a)に示したように、ドレイン電圧VDの変化傾向は、トップゲート端子TGへのリセットパルスφTの印加によるリセット動作の終了時点から、ボトムゲート端子BGに読み出しパルスφBが印加されるまでの時間(電荷蓄積期間Ta)に受光した光量に深く関連し、蓄積されたキャリヤが多い場合(明状態)には急峻に低下する傾向を示し、また、蓄積されたキャリヤが少ない場合(暗状態)には緩やかに低下する傾向を示す。そのため、読み出し期間Treadがスタートして、所定の時間経過後のドレイン電圧VD(=Vrd)を検出することにより、あるいは、所定のしきい値電圧を基準にして、その電圧に至るまでの時間を検出することにより、ダブルゲート型フォトセンサ10に入射した光(照射光)の光量が換算される。
【0042】
なお、図2に示したタイミングチャートにおいて、プリチャージ期間Tprchの経過後、図3(f)、(g)に示すように、ボトムゲート端子BGにローレベル(例えば、Vbg=0V)を印加した状態(非選択状態)を継続すると、ダブルゲート型フォトセンサ10はOFF状態を持続し、図4(b)に示すように、ドレイン電圧VDは、プリチャージ電圧Vpgに近似する電圧を保持する。このように、ボトムゲート端子BGへの電圧の印加状態により、ダブルゲート型フォトセンサ10の読み出し状態を選択、非選択状態に切り替える選択機能が実現される。
【0043】
<フォトセンサシステム>
次いで、上述したダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムについて、図面を参照して説明する。
図5は、ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。
【0044】
図5に示すように、フォトセンサシステムは、大別して、多数のダブルゲート型フォトセンサ10を、例えば、n行×m列(n、mは任意の自然数)のマトリクス状に配列したフォトセンサアレイ100と、各ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TG(トップゲート電極21)及びボトムゲート端子BG(ボトムゲート電極22)を各々行方向に接続して伸延するトップゲートライン101及びボトムゲートライン102と、各ダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン端子D(ドレイン電極13)を列方向に接続したドレインライン(データライン)103と、ソース端子S(ソース電極12)を列方向に接続するとともに、接地電位に接続されたソースライン(コモンライン)104と、トップゲートライン101に接続されたトップゲートドライバ110と、ボトムゲートライン102に接続されたボトムゲートドライバ120と、ドレインライン103に接続されたコラムスイッチ131、プリチャージスイッチ132、アンプ133からなるドレインドライバ130と、を有して構成されている。
【0045】
ここで、トップゲートライン101は、図1に示したトップゲート電極21とともに、ITO等の透明導電層で一体的に形成され、ボトムゲートライン102、ドレインライン103並びにソースライン104は、それぞれボトムゲート電極22、ソース電極12、ドレイン電極13と同一の励起光に不透明な材料で一体的に形成されている。また、ソースライン104には、後述するプリチャージ電圧Vpgに応じて設定される定電圧Vssが印加されるが、接地電位(GND)であってもよい。
【0046】
なお、図5において、φtgは、リセット電圧及び光キャリア蓄積電圧のいずれかとして選択的に出力されるパルス信号φT1、φT2、…φTk、…φTnを生成するための制御信号であり、φbgは、読み出し電圧及び非読み出し電圧のいずれかとして選択的に出力されるパルス信号φB1、φB2、…φBk、…φBnを生成するための制御信号、φpgは、プリチャージ電圧Vpgを印加するタイミングを制御するプリチャージパルスである。
【0047】
このような構成において、トップゲートドライバ110からトップゲートライン101を介して、トップゲート端子TGに信号φTk(kは任意の自然数;k=1、2、・・・n)を印加することにより、フォトセンス機能が実現され、ボトムゲートドライバ120からボトムゲートライン102を介して、ボトムゲート端子BGに信号φBkを印加し、ドレインライン103を介して検出信号をドレインドライバ130に取り込んで、シリアルデータ又はパラレルデータの出力電圧Voutとして出力することにより、選択読み出し機能が実現される。
【0048】
上述したフォトセンサシステムの駆動制御方法は、基本的には、上述したダブルゲート型フォトセンサの駆動制御方法(図2参照)を1処理サイクルとして、フォトセンサアレイを構成するマトリクスの行数分シリアル(時系列的)に繰り返すことにより実現されるが、例えば、読取精度を高精細化するためにフォトセンサアレイを高密度化した場合には、被写体画像の読取所要時間が増大して、フォトセンサシステムの実用化の面で好ましくない。そこで、ダブルゲート型フォトセンサを用いたフォトセンサシステムにおいては、例えば、上述した特開2001−148807号公報等に記載されているように、以下に示すような駆動制御方法を適用することにより読取所要時間を大幅に短縮することができる。
【0049】
図6は、上述したフォトセンサシステムの駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、図5に示したフォトセンサシステムの構成を適宜参照しながら、駆動制御方法を説明する。
図6に示すように、まず、トップゲートドライバ110からトップゲートライン101を介して、リセットパルスφT1、φT2、…φTk-1、φTk、…φTnを順次印加して、リセット期間Trstをスタートし、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10を初期化する。
【0050】
次いで、リセットパルスφT1、φT2、…φTk-1、φTk、…φTnが順次立ち下がり、リセット期間Trstが終了することにより、電荷蓄積期間Taがスタートして、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10に入射される光量に応じてチャネル領域に電荷(正孔)が発生し、蓄積される。ここで、図6に示すように、電荷蓄積期間Ta内に並行して、ドレインドライバ130にプリチャージパルスφpgを印加することにより、プリチャージ期間Tprchをスタートし、ドレインライン103にプリチャージ電圧Vpgを印加して各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン電極に所定の電圧を保持させるプリチャージ動作が行われる。
【0051】
次いで、電荷蓄積期間Ta及びプリチャージ期間Tprchが終了したダブルゲート型フォトセンサ10に対して、他の行におけるリセット動作、プリチャージ動作及び読み出し動作のための各信号の印加タイミングと時間的に重ならないタイミングで、各行ごとにボトムゲートドライバ120からボトムゲートライン102を介して、読み出しパルスφB1、φB2、…φBk-1、φBk、…φBnを順次印加して、読み出し期間Treadをスタートし、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10に蓄積された電荷に対応するドレイン電圧VD1、VD2、VD3、…VDmの変化を、ドレインドライバ130により、各ドレインライン103を介して同時に検出し、シリアルデータ又はパラレルデータからなる出力電圧Voutとして読み出す。
【0052】
ここで、本駆動制御方法においては、行ごとのリセットパルスφT1、φT2、φT3、…φTn、読み出しパルスφB1、φB2、φB3、…φBn、及び、プリチャージパルスφpgの印加タイミングの間隔(Tdelay)を、次の(1)式に示すように、リセットパルスによるリセット期間Trstと、読み出しパルスによる読み出し期間Treadと、プリチャージパルスによるプリチャージ期間Tprchとの合計時間、又は、それ以上に設定する。
Tdelay=Trst+Tprch+Tread ・・・(1)
【0053】
これにより、リセット動作、プリチャージ動作、読み出し動作が時間的に重なって実行されることがなく、さらに、各行ごとの処理サイクルの一部を時間的にオーバーラップさせることができるので、全ての行におけるリセット動作が終了する前に読み出し動作を行うことができ、2次元画像の読み出し動作を良好に実行しつつ、当該読出所要時間を大幅に短縮することができる。
【0054】
<画像読取装置>
次に、本発明に係る画像読取装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態においては、フォトセンサとして、上述したダブルゲート型フォトセンサを適用し、トップゲート電極を第1のゲート電極として電圧(リセットパルス)を印加することにより、フォトセンス機能を実現するとともに、ボトムゲート電極を第2のゲート電極として電圧(読み出しパルス)を印加することにより、チャネル領域に蓄積された電荷量を読み出す機能を実現するものとして説明する。
【0055】
図7は、本発明に係る画像読取装置の全体構成を示すブロック図である。なお、ここでは、図1、図5に示したダブルゲート型フォトセンサ及びフォトセンサシステムの構成を適宜参照しながら説明する。また、図5に示したフォトセンサシステムと同等の構成については、同一の符号を付して、その説明を簡略化又は省略する。
【0056】
図7に示すように、本実施形態に係る画像読取装置は、大別して、図5に示したフォトセンサシステムと同様に、ダブルゲート型フォトセンサ10を2次元配列して構成されるフォトセンサアレイ100と、ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TGに所定のタイミングで、所定のトップゲート電圧(リセットパルス)を印加するトップゲートドライバ110と、ダブルゲート型フォトセンサ10のボトムゲート端子BGに所定のタイミングで、所定のボトムゲート電圧(読み出しパルス)を印加するボトムゲートドライバ120と、ダブルゲート型フォトセンサ10へのプリチャージ電圧の印加及びドレイン電圧の読み出しを行うコラムスイッチ131、プリチャージスイッチ132、アンプ133からなるドレインドライバ130と、読み出されたドレイン電圧(アナログ信号)をデジタル信号からなる画像出力信号(画像データ)に変換するアナログ−デジタル変換器(以下、「A/Dコンバータ」と記す)140と、フォトセンサアレイ100による被写体画像の読み取り動作制御や画像データの照合、加工等の所定の処理を実行する外部機能部200とのデータのやり取り等を行うとともに、画像読取装置の全体動作を制御して、上述した画像読み取り動作、並びに、後述する感度調整用読取動作及び読取感度設定動作(すなわち、本発明に係る画像読取装置の感度設定方法)を実行制御する機能を備えたコントローラ(感度調整用読取手段、読取感度設定手段)150と、コントローラ150のワークエリアとして用いられ、取得した画像データ(画素データ)や画像読取感度の設定等に関連する処理データ等を一時的に記憶(格納)するRAM160と、コントローラ150の制御プログラムや制御用各種データを保持するROM170と、を有して構成されている。
ここで、フォトセンサアレイ100、トップゲートドライバ110、ボトムゲートドライバ120、ドレインドライバ130は、図5に示したフォトセンサシステムと同等の構成及び機能を有しているので、その詳細な説明を省略する。
【0057】
コントローラ150は、トップゲートドライバ110及びボトムゲートドライバ120に制御信号φtg、φbgを出力することにより、図2及び図6に示したように、トップゲートドライバ110及びボトムゲートドライバ120の各々から、フォトセンサアレイ100を構成する各ダブルゲート型フォトセンサ10のトップゲート端子TG及びボトムゲート端子BGに所定の信号電圧(リセットパルスφTk、読み出しパルスφBk)を印加する動作を制御する。
【0058】
また、コントローラ150は、被写体画像の読み取り動作において、プリチャージスイッチ132にプリチャージパルスφpgを出力することにより、各ダブルゲート型フォトセンサ10のドレイン端子Dにプリチャージ電圧Vpgを印加し、読み取られた被写体の画像パターンに対応して各ダブルゲート型フォトセンサ10に蓄積された電荷量に応じたドレイン電圧(データライン電圧)VDがコラムスイッチ131により検出され、アンプ133及びA/Dコンバータ140を介してデジタル信号に変換されて、画像データ(画像出力信号)として入力される。コントローラ150は、この画像データに対して、所定の画像処理を施したり、RAM160への書き込み、読み出しを行うとともに、画像データの照合や加工等の所定の処理を実行する外部機能部200に対するインターフェースとしての機能をも備えている。
【0059】
さらに、コントローラ150は、後述するように、トップゲートドライバ110及びボトムゲートドライバ120に出力する制御信号を変更制御することにより、正規の画像読み取り動作に先立って、又は、任意のタイミングで単独で、感度調整用の画像を読み取る動作(感度調整用読取動作)を実行して、被写体の状態や外光照度等の周辺環境に対応して被写体画像を最適に読み込むことができる画像読取感度、すなわち、ダブルゲート型フォトセンサ10の最適な電荷蓄積時間Taを設定する機能(読取感度設定動作)、及び、上記感度調整用読取動作において、感度調整用の画像の画像パターンに対応して読み取られた画素データ(明度データ又は輝度データ;本出願においては、「明度データ」と記す)から、検知面に付着した異物(ごみ等)やフォトセンサアレイに存在する素子欠陥に起因する異常な画素データの影響を防止又は抑制するために、特定の画素データを除去する機能(特定データ除去動作)を有している。
【0060】
<コントローラ>
次に、本実施形態に係るフォトセンサシステムに適用されるコントローラの具体的な構成及び動作について、図面を参照して、さらに詳しく説明する。
まず、コントローラの具体的な装置構成について説明する。
図8は、本実施形態に係るフォトセンサシステムに適用されるコントローラの一構成例を示す概念的な構成図である。
【0061】
図8に示すように、本実施形態におけるコントローラ150は、トップゲートドライバ110やボトムゲートドライバ120、プリチャージスイッチ132における動作を制御するデバイスコントローラ151と、RAM160やROM170との間でデータの書き込み/読み出し等を行い、各種データを管理するデータコントローラ152と、これらのコントローラ151、152を所定の制御プログラムにしたがって統括するとともに、外部機能部200等とのインターフェースを担い、制御信号のやり取りを行うメインコントローラ153と、を有している。
【0062】
また、コントローラ150は、フォトセンサアレイ100からA/Dコンバータ140を介してデジタル信号として入力される画像データ(画像出力信号)に基づいて、該画像データに含まれる当初の画素データ(以下、便宜的に「原画素データ」とも記す)相互、もしくは、本発明に係る特定画素データの除去動作により特定の画素データが除去処理された後の画素データ(以下、便宜的に「処理後画素データ」とも記す)相互の大小関係を比較して最大値及び最小値を抽出するとともに、後述する加算器155により算出されるダイナミックレンジ(画素データ群のデータ範囲)の最大値を抽出するデータ比較器(データ比較手段、読取感度抽出手段)154と、データ比較器154により抽出された処理後画素データの最大値及び最小値の差分からダイナミックレンジを算出する加算器(データ算出手段)155と、A/Dコンバータ140、データ比較器154、加算器155を介して処理された画像データ及び処理データを入力とし、これらのデータを必要に応じてRAM160への書き込みや読み出し、あるいは、データ比較器154や加算器155への再入力、データコントローラ152を介しての外部機能部200への出力等を切換制御するデータセレクタ156と、データコントローラ152からの制御信号に基づいて、フォトセンサアレイ100の画像読取感度を最適化するように、デバイスコントローラ151からトップゲートドライバ110及びボトムゲートドライバ120に出力する制御信号φtg、φbgのタイミングを設定制御する感度設定レジスタ157と、を有している。
【0063】
ここで、上述したメインコントローラ153は、上記データ比較器154により抽出される所定の条件に基づく特定の画素データ、例えば、原画素データのうちの最大値又は最小値となる画素データを除外した残りの画素データ群のみを、データセレクタ156を介してRAM160の所定の記憶領域に書き込むようにすることにより、最大値又は最小値となる画素データを除外した画素データ(処理後画素データ)群を生成することができ、本発明に係る特定データ除去手段としての機能を備えている。なお、コントローラ150(メインコントローラ153)による特定画素データの除去動作については、詳しく後述する。
【0064】
また、感度設定レジスタ157によりフォトセンサアレイ100、トップゲートドライバ110及びボトムゲートドライバ120に設定される最適な画像読取感度の設定方法(読取感度設定動作)についても、詳しくは後述するが、例えば、上述したデータ比較器154及び加算器155等を利用して、フォトセンサアレイ100から入力される画像データ(原画素データ)から各読取感度ごとに特定の画素データが除去された後の処理後画素データ群に含まれる画素データ相互の大小関係を比較して、当該読取感度における最大値及び最小値を抽出し、さらに、該最大値及び最小値の差分に基づいて算出されるダイナミックレンジ(すなわち、明度データのデータ範囲)から極大値を抽出、もしくは、各読取感度ごとのダイナミックレンジ相互の差分(すなわち、一次微分値)から最小値を抽出して、上述したメインコントローラ153により、該極大値や最小値となるダイナミックレンジを有する読取感度を、被写体の画像パターンに対応した良好なコントラストを有する画像データであると判断して、当該画像読取感度(電荷蓄積期間)を最適値として決定して、データコントローラ152を介して感度設定レジスタに所定の制御信号を出力するように制御される。したがって、メインコントローラは、本発明に係る読取感度決定手段としての機能をも備えている。
【0065】
<コントローラにおける処理動作の概略>
次いで、上述したような構成を有するコントローラの概略的な処理動作(本発明に係る画像読取装置の感度設定方法)について、図面を参照して説明する。
図9は、本実施形態に係る画像読取装置に適用されるコントローラにより実現される処理動作の一例を示すフローチャートである。なお、ここでは、図7、図8に示した2次元画像読取装置の構成を適宜参照しながら説明する。
【0066】
上述したように、本実施形態に係るコントローラ150は、被写体に対する正規の画像読み取り動作に先立って、もしくは、該正規の画像読み取り動作とは独立した任意のタイミングで、以下に示すような感度調整用読取動作及び読取感度設定動作を順次実行するように、上記画像読取装置(フォトセンサシステム)の各構成を制御する。ここで、以下に示す一連の処理手順は、コントローラ150によって、例えば、ROM170にあらかじめ格納された制御プログラムがRAM160にロードされて、実行されることにより実現される。
【0067】
本実施形態に係るコントローラの処理動作は、具体的には、図9に示すように、まず、被写体の正規の読み取り動作に先立つ任意のタイミングで、メインコントローラ153により感度調整用読取動作が開始され、データコントローラ152を介して、感度設定レジスタ157に感度調整用読取動作のための画像読取感度が設定されて、フォトセンサアレイ100の一面側に設けられた検知面に載置された感度調整用の画像(例えば、正規の画像読取動作において読取対象となる被写体の画像であってもよい)を読み取る動作を実行する(S101)。
【0068】
ここで、感度設定レジスタ157に設定される画像読取感度(すなわち、フォトセンサアレイ100を構成する各フォトセンサ10に設定される電荷蓄積期間)は、例えば、フォトセンサアレイ100の行ごと、あるいは、所定の複数行ごと、もしくは、上記感度調整用画像の1画面ごとに、段階的に順次異なるように制御され、上述した画像読取動作(図6参照)と同様に、各行ごとにフォトセンサ10を順次駆動することにより、単一の感度調整用画像を複数の異なる画像読取感度で読み取る感度調整用読取動作を実行する。なお、感度調整用読取動作の具体例については、詳しく後述する。
そして、このような感度調整用読取動作により得られた感度調整用画像の画像データは、例えば、一旦データセレクタ156を介してRAM160に格納されるか、もしくは、直接データ比較器154に直接入力される。
【0069】
次いで、データコントローラ152によりデータセレクタ156を介して、上記ステップS101により得られた画像データのうち、各読取感度ごと(すなわち、各行ごと、あるいは、所定の複数行ごと、もしくは、上記感度調整用画像の1画面ごと)の各フォトセンサ10から得られた原画素データ(明度データ)を抽出してデータ比較器154に読み込む(S102)。
【0070】
次いで、データ比較器154は読み込まれた原画素データ相互の大小関係を比較し、所定の条件を満たす特定の画素データ、すなわち、明度データ値が最大値となる画素データ、もしくは、明度データ値の大きい順に複数個の画素データ群(図中では省略)を抽出する(S103)。そして、例えば、データセレクタ156を介して、データ比較器154により比較処理された原画素データ群のうち、本ステップS103により抽出された最大値となる画素データ、又は、最大値を含む所定個数の画素データ群のみを除外指定して、残りの画素データ群をRAM160の所定の記憶領域に格納することにより、原画素データ群から特定の画素データを除いた画素データ群(処理後画素データ)が生成される(S104)。なお、特定の画素データの除去動作の具体例については、詳しく後述する。
【0071】
次いで、データコントローラ152によりデータセレクタ156を介して、上記ステップS104により最大値、又は、最大値を含む所定個数の画素データ群が除去された処理後画素データ群のうち、所定の画像読取感度における処理後画素データを抽出してデータ比較器154に読み込み(S105)、各読取感度ごとに処理後画素データ相互の大小関係を比較して、明度データ値が最大値となる画素データ(最も明るい階調を有する画素の明度データ)及び最小値となる画素データ(最も暗い階調を有する画素の明度データ)を抽出する(S106)。
【0072】
そして、データコントローラ152により制御される加算器155により、各読取感度ごとに抽出された画素データ(明度データ)の最大値と最小値の差分、すなわち、ダイナミックレンジ(データ範囲)を算出し、その結果をデータセレクタ156を介して、RAM160に一旦格納する(S107)。このようなダイナミックレンジの算出処理を読取感度ごとに生成された上記処理後画素データについて実行する。
【0073】
次いで、RAM160に格納された各読取感度ごとのダイナミックレンジをデータセレクタ156を介して、データ比較器154に読み込み、画像読取感度に対するダイナミックレンジの変化傾向から、ダイナミックレンジが最大となる極大値を抽出し(S108)、該極大値に対応する画像読取感度を抽出して特定する。これにより、メインコントローラ153は、特定された当該画像読取感度を、感度調整用画像(もしくは、正規の被写体画像)の画像パターンに対応した良好なコントラストを得ることができる最適な画像読取感度であると判断する。
そして、メインコントローラ153は、データコントローラ152を介して感度設定レジスタ157に所定の制御信号を出力し、上記最適な画像読取感度に対応する電荷蓄積期間を書き換え設定して、読取感度設定動作を終了する。なお、最適な読取感度の抽出、設定動作の具体例については、詳しく後述する。
【0074】
<感度調整用読取動作>
次いで、上述したコントローラの処理動作に適用される感度調整用読取動作(ステップS101)について、図面を参照して具体的に説明する。
図10は、本実施形態に係る感度調整用読取動作において、対象となる領域及びその読取動作の一具体例を示す概念図であり、図11は、本実施形態に係る感度調整用読取動作において、対象となる領域及びその読取動作の他の具体例を示す概念図である。
【0075】
本実施形態に適用される感度調整用読取動作は、具体的には、デバイスコントローラ151からトップゲートドライバ110、ボトムゲートドライバ120、プリチャージスイッチ132に出力、設定される各制御信号及び画像読取感度(電荷蓄積期間)に基づいて、上述したフォトセンサアレイの画像読み取り動作(図5、図6参照)と同様に、検知面に載置された感度調整用の画像を、図10に示すように、フォトセンサアレイ100の有効読取面(有効読取領域)30について、又は、図11に示すように、有効読取面30内に予め設定された所定の領域(行範囲及び列範囲)からなる検出エリア(検出領域)40について読み取る。
【0076】
ここで、フォトセンサアレイ100を構成する各フォトセンサ10に設定される画像読取感度(すなわち、電荷蓄積期間)は、例えば、読み取り動作において同時に駆動されるフォトセンサ群ごと(すなわち、行ごと)に、段階的に順次異なるように設定されるものであってもよいし、所定の複数行ごとに順次異なるように設定されるものであってもよいし、有効読取面30の全域や検出エリア40の全域のように、読取画像の全域ごと(すなわち、一画面ごと)に、異なるように設定されるものであってもよい。
【0077】
また、感度調整用読取動作におけるフォトセンサ10の具体的な駆動方法は、例えば、図10(a)に示すように、256行×196列の画素(すなわち、256×196個のフォトセンサ)からなるフォトセンサアレイ100における全ての行について順次読み取るものであってもよいし、図10(b)に示すように、10行目、20行目、・・・180行目、190行目、・・・のように複数行おき(ここでは、10行おき)の特定の行について、順次読み取るものであってもよい。
【0078】
また、フォトセンサ10の駆動方法の他の具体例としては、感度調整用の画像を、例えば、図11(a)に示すように、64行目〜191行目の行範囲及び67列目〜130列目の列範囲からなる検出エリア40の全ての行について順次読み取るものであってもよいし、図11(b)に示すように、70行目、80行目、・・・180行目、190行目のように複数行おき(ここでは、10行おき)の特定の行について、順次読み取るものであってもよい。
【0079】
なお、本実施形態においては、感度調整用読取動作の対象となる領域(有効読取面30、検出エリア40)として、被写体の正規の画像読取動作の際に読取対象となる領域をそのまま設定するものであってもよいし、上記検出エリア40として、本実施形態に適用される特定画素データの除去動作及び最適読取感度の設定動作において、少なくとも、良好に処理動作を実行することができる必要最低限(最小限)の画素データ数以上を有しているように、領域(行範囲及び列範囲)に含まれる画素数を設定するようにしてもよい。これにより、本実施形態に係る感度調整用読取動作の対象となる領域は、上述した検出エリア40の設定領域(64行目〜191行目までの128行及び67列目〜130列目までの64列)に限定されるものではなく、より限定された(画素数の少ない)行範囲及び列範囲からなる領域を設定するものであってもよい。なお、検出エリアとして設定可能な必要最低限の領域設定については、具体的な検証例を示して詳しく後述する。
【0080】
したがって、本実施形態に係る感度調整用読取動作においては、以下に示すような画像読取感度の設定動作を良好に適用することができる。
図12は、本実施形態に係る感度調整用読取動作に適用可能な画像読取感度(電荷蓄積期間)の設定動作の一例を示すタイミングチャートであり、図13は、本実施形態に係る感度調整用読取動作に適用可能な画像読取感度(電荷蓄積期間)の設定動作の他の例を示すタイミングチャートである。ここでは、図1及び図5に示したフォトセンサシステムの構成を適宜参照しながら説明する。
【0081】
すなわち、上記図10及び図11に示したフォトセンサ10の駆動方法においてフォトセンサアレイ又は検出エリアの全行又は特定の行について、段階的に異なる画像読取感度を設定する手法としては、図12に示すように、まず、フォトセンサアレイ100を構成するダブルゲート型フォトセンサ10の各々に対して、一括して同時にリセットパルスφT1、φT2、…φTnを印加してリセット動作を実行して、全ての行におけるダブルゲート型フォトセンサ10の電荷蓄積期間T1、T2、…Tn- 1、Tnを一斉にスタートした後、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10に印加されるプリチャージ信号φpg及び読み出しパルスφB1、φB2、…φBnを所定の時間間隔(遅れ時間Tdelay)で段階的に変化させることにより、各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10におけるプリチャージ動作及び読み出し動作のタイミングを順次異ならせて、各行ごとに設定される電荷蓄積期間T1、T2、…Tn- 1、Tnを上記時間間隔(Tdelay)で相互に変化させるように制御する。
【0082】
これにより、感度調整用読取動作において、読取動作の対象となる各行ごと(上記図10、図11に示したように全行であってもよいし、特定の行であってもよい)に異なる画像読取感度(すなわち、行数分の異なる読取感度)で読み取られた画像データを、1回(1画面分)の感度調整用画像(被写体画像)の読取動作により取得することができる。
【0083】
また、本実施形態に係る画像読取感度の他の設定方法としては、図13に示すように、まず、フォトセンサアレイ100を構成する各行ごとのダブルゲート型フォトセンサ10に対して、1行目からn行目の順方向に所定の時間間隔(遅れ時間Tdelay)で順次リセットパルスφT1、φT2、…φTnを印加してリセット動作を実行して、電荷蓄積期間TA1、TA2、…TAn- 1、TAnをスタートした後、n行目から1行目の逆方向に所定の時間間隔(遅れ時間Tdelay)でプリチャージ信号φpg及び読み出しパルスφBn、φBn−1、…φB2、φB1を順次印加することにより、各行ごとに設定される電荷蓄積期間TA1、TA2、…TAn- 1、TAnを所定の時間間隔(上記遅れ時間時間Tdelayの2倍の時間)で相互に変化させるように制御する。
【0084】
これにより、読取動作の対象となる各行ごと(上記図10、図11に示したように全行であってもよいし、特定の行であってもよい)に上記遅れ時間Tdelayの2倍の時間間隔を有する異なる画像読取感度で読み取られた画像データを、1回の感度調整用画像の読取動作により取得することができ、上記図12に示した手法に比較して、読み取りを行った行数分以上の感度設定幅で読み取られた画像データを取得することができる。
【0085】
なお、本発明に係る画像読取装置に適用される画像読取感度(電荷蓄積期間)の設定方法は、上述した各具体例に示した手法に限定されるものではなく、感度調整用画像又は被写体画像を異なる読取感度で読み取り、画像データを取得できるものであれば、例えば、単一の読取感度により感度調整用画像の一画面分を読み取った後、読取感度を変更して該感度調整用画像の一画面分を再度読み取る動作を複数回繰り返して、異なる読取感度による画像データを取得するようにしたものであってもよいし、さらに他の方法であってもよいことはいうまでもない。
【0086】
<特定画素データの除去動作>
次いで、上述したコントローラの処理動作に適用される特定の画素データの除去動作(ステップS103、S104)について、具体例を示して説明する。
本実施形態に適用される特定の画素データの除去動作のうち、特に、明度データ値の大きい順に1乃至複数個の画素データを抽出する動作としては、以下に示すような手法を適用することができる。
具体的には、まず、上述したようなステップS103において、各読取感度ごとにデータ比較器154に読み込まれた原画素データ相互の明度データ値の大小関係を比較して、各原画素データを明度データ値の大きい順に並び替えるように、データセレクタ156を介してRAM160に格納する。
【0087】
そして、ステップS104〜S106において、ダイナミックレンジの算出のためにRAM160に格納された画素データをデータ比較器154に再度読み込む際に、各読取感度ごとの上記並び替えられた原画素データ群の配列から、明度データ値の大きい順にi番目(iは、任意の自然数)までの所定の個数の画素データを一義的に除外指定して、残りの画素データ群(処理後画素データに相当する)からなる配列のうち、明度データ値が最大となる画素データ(すなわち、上記除外指定された画素データの次に位置する画素データ)、及び、上記配列のうち、明度データ値が最小となる画素データ(すなわち、配列の最後に位置する画素データ)を各々最大値及び最小値として、データセレクタ156を介して読み出し、加算器155により、当該画素データの最大値と最小値の差分(すなわち、ダイナミックレンジ)を算出する。
【0088】
これによれば、各画素データ相互を比較して、大小関係に基づいて各画素データを並べ替えることにより、極めて簡易な処理により原画素データ群から、明度データ値が最大(最上位の明度)となる画素データ、又は、明度データ値の大きい方から所定個数の画素データが一義的に除外されるとともに、処理後画素データ群から最大値及び最小値となる画素データが抽出されることになる。
【0089】
図14は、本実施形態に適用される特定の画素データの除去動作の他の手法を示す概念図である。なお、ここでは、各行ごとに異なる画像読取感度を設定した場合について説明する。
本実施形態に適用される特定の画素データの除去動作の他の手法は、まず、上述したようなステップS103において、各行ごと(各読取感度ごと)にデータ比較器154に読み込まれた原画素データ群に対して、フォトセンサアレイ上で隣接して配置された画素(フォトセンサ)相互の画素データの大小関係を、例えば、当該行の1画素目から順次大きい画素データを抽出するようにして比較する。
【0090】
具体的には、図14(a)、(b)に示すように、1行分の画素データ群(m個)において、1画素目の画素データ(第1画素データ)と2画素目の画素データ(第2画素データ)とを比較して、明度データ値の大きい(明度の高い)方の画素データを抽出し、次いで、当該抽出された画素データと3画素目の画素データ(第3画素データ)とをさらに比較して明度データ値の大きい方の画素データを抽出する処理を、当該行のm番目の画素データまで実行する。
【0091】
これによれば、各隣接画素相互の画素データの比較により、常時明度データ値の大きい方の画素データのみが抽出されて、次の比較処理における一方側の対象となるので、1行分の画素データ群について、上記比較及び抽出処理を順次繰り返し実行することにより、明度データ値が最大(最上位の明度)となる画素データのみが抽出されることになる。
【0092】
一方、図14(c)、(d)に示すように、上述した比較、抽出処理において、明度データ値の小さい(明度の低い)方の画素データを抽出して、例えば、データセレクタ156を介して、RAM160の所定の記憶領域に順次格納し、上記明度データ値が最大となる画素データの抽出処理の終了後に、当該画素データ群をデータ比較器154に再び読み出して、上述した比較、抽出処理と同様に、1番目の画素データ(第1画素データと第2画素データの比較による明度の低い方の画素データ)と2番目の画素データ(第1画素データと第2画素データのうち、明度の高い方の画素データと、第3画素データとの比較による明度の低い方の画素データ)とを比較して、明度データ値の大きい(明度の高い)方の画素データを抽出し、次いで、当該抽出された画素データと3番目の画素データとをさらに比較して明度データ値の大きい方の画素データを抽出する処理を、当該行の(m−1)番目の画素データまで実行する。
【0093】
これによれば、明度データ値が最大(最上位の明度)となる画素データが抽出された残りの画素データ群の中から、画素データ相互の比較により、常時明度データ値の大きい方の画素データのみが抽出される処理が順次繰り返し実行されることになるので、当該読取感度(行)において明度データ値が2番目に最大となる画素データのみが抽出されることになる。そして、このような画素データ相互の比較、抽出処理を、i回(iは、任意の自然数)繰り返し実行することにより、明度データ値の大きい順にi番目までの所定の個数の画素データが抽出される。
【0094】
ここで、各読取感度ごとの原画素データ群から、明度データ値が最大となる画素データを1個のみ除去するように設定した場合、フォトセンサアレイを構成するフォトセンサの素子欠陥に起因する異常な画素データの影響を排除する際に有効である。すなわち、本実施形態に適用可能なフォトセンサシステムにおける実製品レベルでの素子欠陥の発生数は、本願発明者の検証によれば、フォトセンサアレイを構成する1行当たり概ね1個あるか否かといった程度であって、1行に複数の素子欠陥があることは皆無に等しいので、明度データ値が最大となる唯一の画素データのみを除く簡易な手法を良好に適用することができる。
【0095】
一方、各読取感度ごとの原画素データ群から、明度データ値の大きい方から所定個数(複数個)の画素データを除去するように設定した手法は、フォトセンサアレイ上の検知面に付着する比較的大きな異物や、複数画素にまたがって発生した素子欠陥に起因する異常な画素データの影響を排除する際に有効に適用することができる。
【0096】
なお、上述した特定画素データの除去動作に適用される各手法においては、フォトセンサアレイを構成するフォトセンサの素子欠陥や素子特性のばらつき、あるいは、検知面への異物の付着等により、輝点となる異常画素(輝点欠陥)が存在する場合に、原画素データ群から明度データ値が最大となる画素データ、又は、最大値を含む明度データ値が大きい所定個数の画素データ群を一義的に抽出して除去する手法についてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、明度データ値が最小となる画素データ、又は、該最小値を含む明度データ値が小さい所定個数の画素データ群のみを一義的に除外するようにしてもよい。
【0097】
これによれば、検知面上に付着した異物が周囲の画像パターンに対して相対的に暗く(黒く)検出される滅点欠陥が生じた場合であっても、当該画素における異常な画素データを、最適読取感度の抽出、設定動作の開始前に一義的に除去して、画像読取感度が本来の適切な状態よりも高い方向にずれて設定されることを防止又は抑制することができるので、正規の画像読み取り動作において良好な画質の被写体画像を得ることができる。
【0098】
また、上述したように、最適読取感度の抽出、設定動作を適切に実行するための必要最低限の画素データ数を確保できる場合には、上記明度データ値が大きい順の所定個数の画素データ群及び明度データ値が小さい順の所定個数の画素データ群の双方を除外するようにして、輝点欠陥及び滅点欠陥の双方の影響を排除するようにしてもよい。
【0099】
<検出エリアの領域設定条件>
ここで、上述した特定画素データの除去動作における除去可能な特定画素データの数と、感度調整用読取動作における検出エリアの領域設定について、具体的に検証する。
上述したように、本実施形態に係る特定画素データの除去動作においては、各読取感度ごとの画素データ群(原画素データ群)から、明度データ値が最大又は最小となる所定の個数(複数)の画素データが除去されるが、上述した感度調整用読取動作における読取動作時間を短縮する目的で、対象となる領域(すなわち、検出エリア40)を何ら条件や制限を設けることなく小さく(画素数を少なく)設定した場合、上記特定画素データの除去動作により複数個の画素データが一義的に除去されて、処理後の画素データ数が減少することにより、最適読取感度の抽出、設定動作が正常に実行されなくなる可能性がある。
【0100】
したがって、感度調整用読取動作の対象となる領域は、特定画素データの除去動作において所定数の画素データが除去された後であっても、良好に最適読取感度の抽出、設定動作を実行することができる程度の画素データ数を有しているように、予め必要最低限の画素数(もしくは、行範囲及び列範囲)を設定しておく必要がある。
【0101】
具体的には、本願発明者による検証によれば、本実施形態に係る画像読取装置を指紋読取装置に適用した場合、一般に、成人の指紋の明暗縞(明暗パターン)の間隔は、300μm程度であることが知られており、これに対して、本実施形態に係る画像読取装置に適用されるフォトセンサアレイにおいては、画素(ダブルゲート型フォトセンサ)の間隔を50μm程度に微細化して製造することができるので、上記指紋画像の1つの明暗縞を検出するためには概ね6画素を必要とすることになる。
【0102】
一方、上述したような最適読取感度の抽出、設定動作においては、より最適な画像読取感度を抽出する精度を確保するため、少なくとも、概ね8本程度の明暗縞に相当する数(概ね48画素程度)の画素データ群を必要とする。したがって、上述したような特定画素データの除去動作により、素子欠陥や検知面への異物の付着による異常な画素データの影響を排除するため、例えば、10個程度の画素データを除去するように条件を設定した場合、感度調整用読取動作の対象となる領域として、各画像読取感度ごと(例えば、各行ごと)に少なくとも10本程度の明暗縞に相当する画素数(60画素数程度)を有するように設定することにより、上記10画素分を明度データ値の大きい画素データとして除去した場合であっても、最適な画像読取感度の抽出精度を十分確保することができる画素数(概ね50画素)の画素データ群を残すことができる。
【0103】
このように、上述した感度調整用読取動作における検出エリアは、最適読取感度の抽出、設定動作において、被写体となる画像パターンに基づいて最適な画像読取感度の抽出精度を十分確保することができる必要最低限の画素数と、特定画素データの除去動作において、フォトセンサアレイに発生する素子欠陥の頻度や検知面に付着する異物の大きさ等に基づいて除去対象となる特定画素データの数等をパラメータとして、領域に含まれる画素数(もしくは、行範囲及び列範囲)が設定される。
なお、本検証例は、本実施形態に係る画像読取装置を指紋読取装置に適用した場合の、ごく一例を示したにすぎず、本発明はこれに限定されるものではなく、上述した被写体の画像パターンやフォトセンサの製造精度、画像読取装置の使用環境等に応じて、適宜設定されるものであることはいうまでもない。
【0104】
次に、上述したような本発明に係る画像読取装置を指紋読取装置に適用した場合における有効性について、従来の手法と比較しながら一部実験データを示して説明する。なお、ここでは、上述した実施形態に示した画像読取装置の感度設定動作(図9)を適宜参照しつつ、最適読取感度の抽出、設定動作(ステップS106〜S109)についても併せて説明する。
【0105】
図15は、本実施形態に係る画像読取装置作において、素子欠陥(輝点欠陥)等に起因する異常画素が存在するフォトセンサアレイで感度調整用読取動作を行って被写体画像(感度調整用画像)を読み取った場合の指紋の画像パターンを示す実験画像であり、図16は、上記感度調整用読取動作により得られた指紋画像の任意の行における画素データ(明度データ)の変化を示す概略図であり、図17は、上記感度調整用読取動作により得られた指紋画像から得られた画素データ(明度データ)に基づくダイナミックレンジの変化、及び、行番号とダイナミックレンジ、画像読取感度(電荷蓄積期間)との対応表を示す図である。
【0106】
また、図18は、異常画素が存在するフォトセンサアレイを用いて画像読取感度を設定した場合の指紋の画像パターンと、本実施形態に係る画像読取装置の感度設定方法を適用した場合の指紋の画像パターンを示す実験画像である。そして、図19は、本実施形態に係る特定画素データの除去動作により得られた画素データ(明度データ)の変化を示す概略図であり、図20は、本実施形態に係る特定画素データの除去動作により得られた画素データ(明度データ)に基づくダイナミックレンジの変化、及び、行番号とダイナミックレンジ、画像読取感度(電荷蓄積期間)との対応表を示す図である。
【0107】
まず、図15(a)に示すように、正規の画像読取動作における被写体である指FGの画像パターン(指紋)を感度調整用の画像として用い、少なくとも、256行×196列の画素(フォトセンサ)からなるフォトセンサアレイ100の有効読取面30内に予め設定された64行目〜191行目の行範囲(128行)及び67列目〜130列目の列範囲(64列)からなる検出エリア40に対して、各行ごとのフォトセンサ群に上述したように順次異なる電荷蓄積期間を設定して上記指FGの画像パターンを読み取る感度調整用読取動作を実行することにより、図15(b)に示すように、一画面分の画像読取動作で各行ごとに画像読取感度が段階的に異なる指紋画像を得る。ここで、図15(a)に示したフォトセンサアレイ100には、図示を省略した素子欠陥が存在し、図15(b)に示すように、検出エリア40内の指紋画像中に異常に高い明度データ値を示す輝点欠陥ILが発生している。
【0108】
このような指紋画像において、図16に示すように、明度データ値の明状態(白として観測される)と暗状態(黒として観測される)との間を、例えば256階調に設定し、任意の行(画像読取感度)の各画素における明度データ値の変化を検証すると、例えば、図16(b)に示すように、図15(b)に示した輝点欠陥ILが発生した位置に対応する104行目の列番号Rpに、明度データ値が異常に高い画素データが観測された。なお、図16においては、検出エリア40内の任意の行として、便宜的に80行目、104行目、128行目、152行目及び176行目について、列ごとの明度データ値の変化傾向を示した。
【0109】
ここで、上述した従来技術における感度設定方法においては、図15、図16に示したような異常画素(輝点欠陥IL)の有無にかかわらず、各行ごと(画像読取感度ごと)に明度データ値の最大値と最小値を抽出して、その差分からダイナミックレンジを算出するようにしていたため、上記104行目に存在する輝点欠陥ILにより、当該画素の明度データ値が飽和して最大値を示すことにより、図17(a)、(b)に示すように、ダイナミックレンジが本来、最大値MA1を示す行番号RCaとは異なる104行目に、見かけ上の最大値MA2が出現して、この最大値MA2を示す104行目に設定された画像読取感度(すなわち、フォトセンサの電荷蓄積期間T104)を、最適な画像読取感度であると誤って判断する問題を有していた。
【0110】
そして、図15(b)に示すように、104行目の画像読取感度が最適な画像読取感度よりも低く(電荷蓄積期間が短く)設定されている場合にあっては、このような誤った画像読取感度が設定された状態で、正規の画像読取動作を実行すると、図18(a)に示すように、全体的に暗く、画質の低い被写体画像が得られることになり、例えば、読み取った指紋画像と予め登録された指紋画像とを比較、認証する指紋照合処理において、誤動作等を生じ、照合精度が劣化する可能性があった。
【0111】
これに対して、本発明に係る画像読取装置及び感度設定方法においては、図15(b)に示したように、フォトセンサアレイに存在する素子欠陥に起因して、指紋画像に輝点欠陥ILが発生した場合、上述したような特定画素データの除去動作により、図19に示すように、各画像読取感度ごと(各行ごと)の画素データ群のうち、明度データ値が大きい方から1個又は複数個(図19では、1個の場合を示す;各行とも除去した画素データの位置を矢印で示す)の画素データを一義的に除去する処理を実行することにより、図19(b)に示すように、少なくとも、明度データ値が異常に高く観測された列番号Rpの画素データが必ず除去されることになる。
【0112】
ここで、本発明に係る特定画素データの除去動作においては、図19(a)、(c)〜(e)に示すように、異常画素(輝点欠陥IL)が存在しない行においても明度データ値が最大となる画素データが除去されることになるが、図20(a)に示すように、各行におけるダイナミックレンジの変化傾向は、大きく変化することがないので、ダイナミックレンジが本来、最大値MA1を示す行番号RCaを良好に特定して、図20(b)に示すように、当該行(例えば、176行目)に設定された画像読取感度(電荷蓄積期間T176)を抽出して、最適な画像読取感度として設定することができる。
【0113】
したがって、このような最適な画像読取感度で正規の画像読取動作を実行すると、図18(b)に示すように、全体的に画像パターンの明暗のコントラストが良好で、画質の高い被写体画像が得られることになり、指紋照合処理における誤動作の発生を防止又は抑制することができる。このことは、フォトセンサアレイにある程度の個数の素子欠陥が存在している場合や、検知面にある程度汚れが付着している場合等であっても、良好な画像読取感度を設定することができることを意味するものであり、換言すれば、画像読取装置やセンサアレイ等のデバイスの歩留まり向上、及び、メンテナンス作業等の軽減が可能な有効な技術を提供することができることを意味している。
【0114】
なお、上述した特定画素データの除去動作において、明度データ値が大きい順に複数個の画素を除去する場合であっても、最適読取感度の抽出動作の対象となる各行におけるダイナミックレンジ相互の変化傾向は、図20(a)に示した場合と同様に、大きく変化することがないので、上述した場合と同様に、ダイナミックレンジが最大値を示す行番号RCaを良好に特定して、最適な画像読取感度を設定することができる。
【0115】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るフォトセンサシステム及びその駆動制御方法によれば、フォトセンサを複数配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムにおいて、被写体の画像を読み取る正規の画像読み取り動作とは独立して、又は、上記正規の画像読み取り動作に先立って実行される感度調整用読み取り動作の際に、フォトセンサアレイを構成する各フォトセンサから得られる画素データ(明度データ)から、明度データ値が最大及び最小となる画素データを除去、もしくは、画素データから明度データ値の大きい順及び小さい順に、1個又は複数個の予め設定された個数の画素データをその画素データが異常値であるか否かの判断を経ることなく一義的に除去し、該除去処理後の画素データに基づいて、最適な画像読取感度の設定処理を実行するように構成されているので、フォトセンサアレイに素子欠陥が存在する場合や検知面にゴミが付着している場合であっても、輝点又は滅点のような異常な画素データの影響を排除して、適切な画像読取感度を比較的簡易な処理動作により設定することができる。
【0116】
したがって、被写体の正規の読み取り動作において、適切な画像読取感度で良好な画質の被写体画像を取得することができるので、指紋照合処理等における誤動作の発生等を抑制して照合精度を向上させることができ、信頼性の高い画像読取装置を実現することができる。また、このことから、フォトセンサアレイにある程度の個数の素子欠陥が存在している場合や、検知面にある程度汚れが付着している場合等であっても、良好な画像読取感度を設定することができるので、画像読取装置やセンサアレイ等のデバイスの歩留まりの向上や、メンテナンス作業等の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像読取装置に適用可能なダブルゲート型フォトセンサの概略構成を示す断面構造図である。
【図2】ダブルゲート型フォトセンサの基本的な駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
【図3】ダブルゲート型フォトセンサの動作概念図である。
【図4】ダブルゲート型フォトセンサの出力電圧の光応答特性を示す図である。
【図5】ダブルゲート型フォトセンサを2次元配列して構成されるフォトセンサアレイを備えたフォトセンサシステムの概略構成図である。
【図6】図5に示したフォトセンサシステムの駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明に係る画像読取装置の全体構成を示すブロック図である。
【図8】一実施形態に係るフォトセンサシステムに適用されるコントローラの一構成例を示す概念的な構成図である。
【図9】本実施形態に係る画像読取装置に適用されるコントローラにより実現される処理動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る感度調整用読取動作において、対象となる領域及びその読取動作の一具体例を示す概念図である。
【図11】本実施形態に係る感度調整用読取動作において、対象となる領域及びその読取動作の他の具体例を示す概念図である。
【図12】本実施形態に係る感度調整用読取動作に適用可能な画像読取感度(電荷蓄積期間)の設定動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図13】本実施形態に係る感度調整用読取動作に適用可能な画像読取感度(電荷蓄積期間)の設定動作の他の例を示すタイミングチャートである。
【図14】本実施形態に適用される特定の画素データの除去動作の他の手法を示す概念図である。
【図15】異常画素が存在するフォトセンサアレイで被写体画像(感度調整用画像)を読み取った場合の指紋の画像パターンを示す実験画像である。
【図16】上記感度調整用読取動作により得られた指紋画像の任意の行における画素データ(明度データ)の変化を示す概略図である。
【図17】上記感度調整用読取動作により得られた指紋画像から得られた画素データ(明度データ)に基づくダイナミックレンジの変化、及び、行番号とダイナミックレンジ、画像読取感度(電荷蓄積期間)との対応表を示す図である。
【図18】異常画素が存在するフォトセンサアレイを用いて画像読取感度を設定した場合の指紋の画像パターンと、本実施形態に係る画像読取装置の感度設定方法を適用した場合の指紋の画像パターンを示す実験画像である。
【図19】本実施形態に係る特定画素データの除去動作により得られた画素データ(明度データ)の変化を示す概略図である。
【図20】本実施形態に係る特定画素データの除去動作により得られた画素データ(明度データ)に基づくダイナミックレンジの変化、及び、行番号とダイナミックレンジ、画像読取感度(電荷蓄積期間)との対応表を示す図である。
【符号の説明】
10 ダブルゲート型フォトセンサ
30 有効読取面
40 検出エリア
100 フォトセンサアレイ
150 コントローラ
153 メインコントローラ
154 データ比較器
155 加算器
157 感度設定レジスタ
Claims (13)
- 複数のフォトセンサからなるフォトセンサアレイを備え、該フォトセンサアレイ上の検知面に載置された被写体の画像を読み取る画像読取装置において、
前記被写体に対する正規の画像読取動作に適用される画像読取感度を設定する感度調整用読取動作において、前記画像読取感度を画素データ群ごとに複数段階に変化させて、感度調整用の所定の画像を読み取る感度調整用読取手段と、
該感度調整用読取手段により読み取られた前記所定の画像の画像パターンにおける前記各画像読取感度に対応する前記各画素データ群に対して、最大値及び最小値を含む予め設定された個数の特定の画素データを当該特定の画素データが異常値であるか否かの判定を経ることなく一義的に取り除く特定データ除去手段と、
前記特定の画素データを除いた前記各画素データ群に基づいて、前記被写体画像の正規の読取動作に適した画像読取感度を設定する読取感度設定動作を行う読取感度設定手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。 - 前記読取感度設定手段は、
少なくとも、前記特定データ除去手段により前記特定の画素データが取り除かれた前記画素データ群に属する前記画素データ相互の大小関係を比較して、前記画素データ群のうち、最大値及び最小値となる画素データを抽出するデータ比較手段と、
少なくとも、前記データ比較手段により抽出された前記画素データの最大値及び最小値に基づいて、前記画像読取感度ごとに前記画素データ群のデータ範囲を算出するデータ算出手段と、
前記データ算出手段により算出された前記画像読取感度ごとの前記画素データ群のデータ範囲のうち、最大となるデータ範囲を有する前記画像読取感度を抽出する読取感度抽出手段と、
前記抽出された画像読取感度を、前記被写体に対する正規の画像読取動作の際の画像読取感度として決定する読取感度決定手段と、
を有することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。 - 前記特定データ除去手段は、前記感度調整用読取動作により前記各画像読取感度に対応して得られた前記各画素データ群に対し、前記最大値から大きい順に複数個の前記画素データ及び前記最小値から小さい順に複数個の前記画素データを取り除くことを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
- 前記感度調整用読取手段は、前記感度調整用読取動作において、前記フォトセンサアレイの所定の行数ごとに段階的に異なる画像読取感度を設定して、前記感度調整用の所定の画像を1回のみ読み取ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像読取装置。
- 前記感度調整用読取手段は、前記感度調整用読取動作において、前記フォトセンサアレイの有効読取領域の全域について、前記感度調整用の所定の画像を読み取ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像読取装置。
- 前記感度調整用読取手段は、前記感度調整用読取動作において、前記フォトセンサアレイの有効読取領域内に予め設定された検出領域についてのみ、前記感度調整用の所定の画像を読み取ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取装置。
- 前記検出領域は、前記特定の画素データを除いた前記画素データ群が、少なくとも前記読取感度設定手段による前記読取感度設定動作が正常に実行可能な最小限の数の画素データが得られる領域に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
- 前記画素データは、前記所定の画像の画像パターンに対応した明度データであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像読取装置。
- 前記フォトセンサは、半導体層からなるチャネル領域を挟んで形成されたソース電極及びドレイン電極と、少なくとも前記チャネル領域の上方及び下方に各々絶縁膜を介して形成された第1のゲート電極及び第2のゲート電極と、を備え、
前記第1のゲート電極又は前記第2のゲート電極のいずれか一方を光照射側として、所定の電荷蓄積期間に、前記光照射側から照射された光の量に対応する電荷が前記チャネル領域に発生、蓄積される構成を有し、該蓄積された電荷の量に基づいて前記画素データが生成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像読取装置。 - 前記読取感度設定手段は、前記読取感度設定動作において、前記フォトセンサにおける電荷蓄積期間を制御することにより、前記画像読取感度を任意に調整することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像読取装置。
- 複数のフォトセンサからなるフォトセンサアレイを備え、該フォトセンサアレイ上の検知面に載置された被写体の画像を読み取る画像読取装置の感度設定方法において、
前記フォトセンサアレイを構成する各フォトセンサに対して、画像読取感度を複数段階に変化させて、感度調整用の所定の画像を読み取る手順と、
読み取られた前記所定の画像の画像パターンにおける前記各画像読取感度に対応する前記各画素データ群に対して、最大値及び最小値を含む予め設定された個数の特定の画素データを当該特定の画素データが異常値であるか否かの判定動作を行うことなく一義的に取り除く手順と、
前記特定の画素データが取り除かれた前記各画素データ群に基づいて、前記被写体画像の正規の読取動作に適した画像読取感度を設定する手順と、
を含むことを特徴とする画像読取装置の感度設定方法。 - 前記特定の画素データを取り除く手順は、
前記各画像読取感度に対応して得られた前記各画素データ群に含まれる全ての画素データに対して相互に大小関係を比較して、前記画素データを順に並べ替える処理と、
並べ替えられた前記画素データの配列における両端から所定の個数の前記画素データを取り除く処理と、
を含んでいることを特徴とする請求項11記載の画像読取装置の感度設定方法。 - 前記特定の画素データを取り除く手順は、前記画像読取感度ごとに得られた前記各画素データ群に含まれる全ての画素データに対して相互に大小関係を比較して、最大値又は最小値となる前記画素データを抽出して除去する処理を所定回数繰り返すことを特徴とする請求項11記載の画像読取装置の感度設定方法。
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