JP5836200B2 - キサンテン骨格を有する化合物、着色組成物、インクジェット記録用インク、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
特許文献3、4には、トナーやカラーフィルターに好適に用いられる着色剤として、スルホ基を1つ有するキサンテン誘導体にスルホンアミド基を導入しうる旨が記載されている。
本発明は、耐湿性に優れ、かつ色相、印画濃度及び耐オゾン性に優れた画像を形成することができる化合物、該化合物を含有する着色組成物、及びインクジェット記録用インク、並びに、該化合物を用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下のとおりである。なお、本明細書において「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
下記一般式(3)で表される化合物を含む着色組成物。
一般式(3)中、
R 3 は各々独立にOMもしくはNH 2 を表すか、又はR 3 は各々独立にOMもしくはNR−L−CO 2 Mを表す。
但し、前記R 3 が各々独立にOMもしくはNH 2 を表すとき、R 3 の少なくとも一つはNH 2 を表す。
但し、R 3 が各々独立にOMもしくはNR−L−CO 2 Mを表すとき、R 3 の少なくとも一つはNR−L−CO 2 Mを表す。
Rは、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lはアルキレン基、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
R201、R202、及びR203は各々独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アルキル基又はアシルアミノ基を表す。
n201及びn202は各々独立に0〜4の数を表し、n203は0〜4の数を表す。
n201、n202、及びn203がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR201、R202、及びR203は同じであっても異なっていてもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
<2>
前記R 201、R202、及びR203が、各々独立にアルキル基又はアシルアミノ基を表す、<1>に記載の着色組成物。
<3>
前記R 201、R202、及びR203が、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す、<1>又は<2>に記載の着色組成物。
<4>
前記n201、及びn202が、各々独立に2〜4の数を表す、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<5>
前記n203が、0を表す、<1>〜<4>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<6>
前記Mが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンである、<1>〜<5>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<7>
一般式(3)で表される化合物を1〜20質量%含有する、<1>〜<6>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<8>
<1>〜<7>のいずれか一項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
<9>
<1>〜<7>のいずれか一項に記載の着色組成物、又は<8>に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
<10>
下記一般式(3)で表される化合物。
一般式(3)中、
R3は各々独立にOMもしくはNH2を表すか、又はR3は各々独立にOMもしくはNR−L−CO2Mを表す。
但し、前記R3が各々独立にOMもしくはNH2を表すとき、R3の少なくとも一つはNH2を表す。
但し、R3が各々独立にOMもしくはNR−L−CO2Mを表すとき、R3の少なくとも一つはNR−L−CO2Mを表す。
Rは、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lはアルキレン基、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
R201、R202、及びR203は各々独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アルキル基又はアシルアミノ基を表す。
n201及びn202は各々独立に0〜4の数を表し、n203は0〜4の数を表す。
n201、n202、及びn203がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR201、R202、及びR203は同じであっても異なっていてもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
本発明は、上記<1>〜<10>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記〔1〕〜〔11〕)についても記載している。
〔1〕
下記一般式(1)で表される化合物を含む着色組成物。
R1及びR2は、R1=R2=H、又はR1=R、R2=−L−CO2Mを表す。
Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lは2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
nは1〜4の数を表し、mは0〜3の数を表す。但し、m+nは4である。
〔2〕
一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、〔1〕に記載の着色組成物。
R1及びR2がR1=R2=Hのとき、R3は各々独立にOM又はNH2を表す。但し、R1及びR2がR1=R2=Hのとき、R3の少なくとも一つはNH2を表す。
R1及びR2がR1=R、R2=−L−CO2Mのとき、R3は各々独立にOM又はNR−L−CO2Mを表す。但し、R1及びR2がR1=R、R2=−L−CO2Mのとき、R3の少なくとも一つはNR−L−CO2Mを表す。
Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lは2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
R201、R202、及びR203は各々独立に1価の置換基を表す。
n201及びn202は各々独立に0〜4の数を表し、n203は0〜4の数を表す。n201、n202、及びn203がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR201、R202、及びR203は同じであっても異なっていてもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
〔3〕
R101、R102、R103、R201、R202、及びR203が、各々独立にアルキル基又はアシルアミノ基を表す、〔1〕又は〔2〕に記載の着色組成物。
〔4〕
R101、R102、R103、R201、R202、及びR203が、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の着色組成物。
〔5〕
n101、n102、n201、及びn202が、各々独立に2〜4の数を表す、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の着色組成物。
〔6〕
n103、及びn203が、0を表す、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の着色組成物。
〔7〕
Mが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンである、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の着色組成物。
〔8〕
一般式(1)で表される化合物を1〜20質量%含有する、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の着色組成物。
〔9〕
〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
〔10〕
〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の着色組成物、又は〔9〕に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
〔11〕
下記一般式(1)で表される化合物。
R1及びR2は、R1=R2=H、又はR1=R、R2=−L−CO2Mを表す。
Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lは2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
nは1〜4の数を表し、mは0〜3の数を表す。但し、m+nは4である。
まず、本発明において、置換基群Aについて定義する。
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物を含む着色組成物に関する。
R1及びR2は、R1=R2=H、又はR1=R、R2=−L−CO2Mを表す。
Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lは2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
nは1〜4の数を表し、mは0〜3の数を表す。但し、m+nは4である。
以下、上記一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)中、R1及びR2は、R1=R2=H、又はR1=R、R2=−L−CO2Mを表す。
一般式(1)中、nは1〜4の数を表し、mは0〜3の数を表す。但し、m+nは4である。
すなわち、一般式(1)で表される化合物は、一般式(2)で表される化合物において4個の水素原子を、スルホンアミド基で、若しくはスルホンアミド基及びスルホ基で置換したキサンテン染料、又は、置換スルホンアミド基で、若しくは置換スルホンアミド基及びスルホ基で置換したキサンテン染料である。
さらに、R1=R2=Hの場合、スルホンアミド基を有することにより、該基と印画媒体表面に存在するシリカやアルミナ等が有する水酸基との間に水素結合が生じることから、印画媒体上での染料の拡散が抑制されるため、耐湿性に優れた染料となると推定される。R1=R、R2=−L−CO2Mの場合においても、詳細な作用機構は不明であるが、同様に耐湿性に優れた染料となる。
さらに、本願の一般式(1)で表される化合物は、SO2NR1R2及びスルホ基の合計が5である。これによりスルホ基による十分な水溶性を確保しつつ、十分な耐湿性を両立させることができる。スルホ基による溶解性と、SO2NR1R2による上述のような耐湿性の作用機構を推定しているが、従来のようにSO2NR1R2及びスルホ基の合計が3以下であると、水溶性と耐湿性のバランスが取れないという問題があった。
また、水溶性と耐湿性を両立する観点でSO2NR1R2及びスルホ基の合計を5としたことで、著しく優れた耐オゾン性を有する。作用機構は不明であるが、スルホ基及びSO2NR1R2、電子求引的に働き、染料の酸化反応を著しく遅延させているためだと推定している。
Rが1価の置換基を表す場合、該1価の置換基はアルキル基、フェニル基、またはナフチル基が好ましく、アルキル基、フェニル基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
Rがアルキル基を表す場合、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが更に好ましい。
前記1価の置換基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基などが挙げられる。
前記1価の置換基は無置換であることが好ましい。
Rは、水素原子又は無置換のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましい。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lがアルキレン基を表す場合、炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることが更に好ましい。
前記2価の連結基は置換基を有していてもよく、置換基としては水酸基、ハロゲン、アルコキシ基、アリールオキシ基などが挙げられる。
前記2価の連結基は無置換であることが好ましい。
Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
前記R1及びR2がR1=R2=Hのとき、耐湿性、染料の水溶性の観点から、nは1〜3であることが好ましく、2であることが好ましい。
前記R1及びR2がR1=R、R2=−L−CO2Mのとき、耐湿性、染料の水溶性の観点から、nは1〜3であることが好ましく、2であることが好ましい。
R101、R102、及びR103が表す1価の置換基としては、前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、原材料の入手性、合成の容易性の観点から、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基、アシルアミノ基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
前記アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシル基などが挙げられる。
前記アルキル基は無置換のアルキル基であることが好ましい。
前記アシルアミノ基は、モノアシルアミノ基であることが好ましい。
R104及びR105が1価の置換基を表す場合、該1価の置換基としては、前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、置換又は無置換のアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基がより好ましい。
吸収特性及び耐オゾン性の観点から、R104及びR105は水素原子であることが好ましい。
n101、及びn102がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR101、及びR102は同じであっても異なっていてもよい。
n103が2以上の数を表す場合は、複数のR103は同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(1)中、Mが水素原子である場合は遊離酸の形態であり、Mがカウンターカチオンの場合は塩の形態である。
塩を形成するカウンターカチオンとしては、1価のカウンターカチオンが挙げられ、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機カチオンなどが好ましい。
有機カチオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム等が挙げられる。
原材料の入手性、染料の水溶性、インクジェットインクとして用いた場合の他の染料との二次色作成時の光沢発生抑制の観点から、アルカリ金属イオンであることが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンがより好ましい。特にナトリウムイオンは安価であることから好ましい。
本発明においては、合成の容易さ(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点から、前記一般式(1)で表される化合物が塩の形態であることが好ましく、リチウム塩、ナトリウム塩、又はカリウム塩であることがより好ましく、ナトリウム塩であることが更に好ましい。
前記一般式(1)中、Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。すなわち、前記一般式(1)で表される化合物は塩の形態であるとは、全てのスルホ基が塩となっている場合、及び、一部のスルホ基が遊離酸の形態で、かつ一部のスルホ基が塩となっている場合を含む。また、塩を形成するカウンターカチオンも一種でも複数種でもよい。
本発明においては、合成の容易さ(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点から、前記一般式(1)で表される化合物は塩の形態であることが好ましく、全てのスルホ基が塩となっている場合がより好ましい。
下記一般式(3)で表される化合物は、窒素原子に隣接して導入されたスルホ基の立体障害によって、窒素原子への酸化性ガス(酸素やオゾン)の攻撃を阻害可能であるため、耐オゾン性の観点で特に優れるものと考えられる。
前記R1及びR2がR1=R2=Hのとき、R3は各々独立にOM又はNH2を表す。但し、前記R1及びR2がR1=R2=Hのとき、R3の少なくとも一つはNH2を表す。
前記R1及びR2がR1=R、R2=−L−CO2Mのとき、R3は各々独立にOM又はNR−L−CO2Mを表す。但し、前記R1及びR2がR1=R、R2=−L−CO2Mのとき、R3の少なくとも一つはNR−L−CO2Mを表す。
Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lは2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
R201、R202、及びR203は各々独立に1価の置換基を表す。
n201及びn202は各々独立に0〜4の数を表し、n203は0〜4の数を表す。n201、n202、及びn203がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR201、R202、及びR203は同じであっても異なっていてもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
R3のうち、耐湿性、染料の水溶性の観点から、1つ〜3つがNH2であることが好ましく、2つがNH2であることが好ましい。
R3のうち、耐湿性、染料の水溶性の観点から、1つ〜3つがNR−L−CO2Mであることが好ましく、2つがNR−L−CO2Mであることが好ましい。
R3が表すNR−L−CO2MにおけるR及びLの具体例及び好ましい範囲は、R1又はR2におけるR及びLの具体例及び好ましい範囲と同様である。
一般式(3)におけるn201及びn202は各々独立に0〜4の数を表し、原材料の入手性、合成の容易さの観点から、1〜4の数が好ましく、2〜4の数が好ましく、2又は3が更に好ましい。
従来公知のキサンテン染料の合成法に準じてキサンテン染料を合成した後に、もしくは市販されているキサンテン染料を用いて、クロロスルホン酸/オキシ塩化リン併用によってクロロスルホニル化した後に、染料に対してn当量のアンモニアもしくはアミノ酸(NHR−L−CO2M)を反応させた後に、未反応のスルホニルクロライドをアルカリ加水分解することで合成することができる(下記スキーム参照)。詳細は後述する実施例で例示する。
本発明の着色組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明の着色組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、本発明の化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明の着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。
次に本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
本発明は、本発明の着色組成物を含有するインクジェット記録用インクにも関する。
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に前記本発明の化合物(混合物)を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いたインクである。
必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
本発明は、本発明の着色組成物又はインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法にも関する。
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。
支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体として、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。
ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
本発明は、下記一般式(1)で表される化合物にも関する。
R1及びR2は、R1=R2=H、又はR1=R、R2=−L−CO2Mを表す。
Rは、水素原子又は1価の置換基を表す。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lは2価の連結基を表す。Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
nは1〜4の数を表し、mは0〜3の数を表す。但し、m+nは4である。
〔例示化合物(1B)の合成〕
500mL三つ口フラスコにクロロスルホン酸120g、オキシ塩化リン12.4gを加え、室温にて撹拌した。ここへゆっくりとアシッドレッド289(中外化成製、純度71%)19.1gを分割添加した後に、内温70℃で1時間反応させた。放冷にて室温まで冷却し、600gの氷へ注意深く注ぎ込み、析出した結晶をろ別し、冷飽和食塩水で洗浄した(ペーストA、約81g)。
1000mLビーカー中に300mLの水を加え、2N水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に調整した。ここへ塩化アンモニウム2.64gを加えて、溶解させた後に、5℃以下に冷却し、先ほどのペーストAを内温5℃以下で分割添加した。水を50mL加え、2N水酸化ナトリウム水溶液でpH8.5に保ちつつ、内温を55℃まで上昇させ、pH変化がなくなるまで反応させた。反応液をワットマン社製GF/Fフィルタで塵取りろ過し、得られたろ液に対して、25%質量相当の塩化ナトリウムを加え、濃塩酸を用いてpHを2.0に調整し、析出した結晶をろ別した。得られた結晶を600mLの水中で、2N水酸化ナトリウムでpHを9に調整して溶解させ、透析チューブを用いて、電気伝導度が10μS以下になるまで脱塩したのちに、再度ワットマン社製GF/Fフィルターで塵取りろ過し、得られたろ液を濃縮完固することで、例示化合物(1B)の光沢結晶10.0gを得た。
MSスペクトルから、m=2,n=2の(M−H)−に相当する894と、m=1、n=3の(M−H)−に相当する893に相当する894が観測された。またカールフィッシャー法による水分測定値を用いた染料含率とイオンクロマトによるナトリウムイオンの含有率から、例示化合物(1B)の比率であることを確認した。
下記の成分に脱イオン水を加え100gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後KOH 10mol/LにてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しマゼンタ用インク液を調製した。
染料(下記化合物(1A)) 3.50g
ジエチレングリコール 10.65g
グリセリン 14.70g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12.70g
トリエタノールアミン 0.65g
オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業(株)製)
0.9g
染料を、下記表1、2に示すように変更した以外は、インク液1の調製と同様にして、インク液2〜8、比較用のインク液として比較例インク液1〜4を調整した。
なお、比較例3、4のインク液は、色素が溶解せず、評価ができなかった。
以上の各実施例及び比較例のインクジェット記録用インクについて、下記評価を行った。その結果を表1及び2に示した。
なお、表1、2において、色相、耐オゾン性、印画濃度及び耐湿性は、各インクジェット記録用インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)でフォト光沢紙(EPSON社製PM写真紙<光沢>(KA420PSK、EPSON))に画像を記録した後で評価したものである。
色相については、目視にて最良、良好及び不良の3段階で評価した。下記表1及び2中、Aは色相が最良、Bは良好であったことを示し、Cは色相が不良であったことを示す。
シーメンス型オゾナイザーの二重ガラス管内に乾燥空気を通しながら、5kV交流電圧を印加し、これを用いてオゾンガス濃度が0.5±0.1ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に、前記画像を形成したフォト光沢紙を7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
印画したサンプルの100%濃度部分のX−lite(商品名、エックスライト社)を用いて濃度測定し、2.3以上をA、2.2以上2.3未満をB、2.2以下をCの3段階で評価した。
印画したサンプルを35℃80%RHの湿度条件下で1週間保存し、画像のにじみに関して、にじみがない、もしくは殆どわからないレベルである場合をA、僅かににじんでいる場合をB、明らかににじんでいる場合をCの3段階で評価した。
Claims (10)
- 下記一般式(3)で表される化合物を含む着色組成物。
一般式(3)中、
R 3 は各々独立にOMもしくはNH 2 を表すか、又はR 3 は各々独立にOMもしくはNR−L−CO 2 Mを表す。
但し、前記R 3 が各々独立にOMもしくはNH 2 を表すとき、R 3 の少なくとも一つはNH 2 を表す。
但し、R 3 が各々独立にOMもしくはNR−L−CO 2 Mを表すとき、R 3 の少なくとも一つはNR−L−CO 2 Mを表す。
Rは、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lはアルキレン基、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
R201、R202、及びR203は各々独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アルキル基又はアシルアミノ基を表す。
n201及びn202は各々独立に0〜4の数を表し、n203は0〜4の数を表す。
n201、n202、及びn203がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR201、R202、及びR203は同じであっても異なっていてもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。 - 前記R 201、R202、及びR203が、各々独立にアルキル基又はアシルアミノ基を表す、請求項1に記載の着色組成物。
- 前記R 201、R202、及びR203が、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す、請求項1又は2に記載の着色組成物。
- 前記n201、及びn202が、各々独立に2〜4の数を表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記n203が、0を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記Mが、リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 一般式(3)で表される化合物を1〜20質量%含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の着色組成物、又は請求項8に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
- 下記一般式(3)で表される化合物。
一般式(3)中、
R3は各々独立にOMもしくはNH2を表すか、又はR3は各々独立にOMもしくはNR−L−CO2Mを表す。
但し、前記R3が各々独立にOMもしくはNH2を表すとき、R3の少なくとも一つはNH2を表す。
但し、R3が各々独立にOMもしくはNR−L−CO2Mを表すとき、R3の少なくとも一つはNR−L−CO2Mを表す。
Rは、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。Rが複数存在する場合、Rはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
Lはアルキレン基、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Lが複数存在する場合、Lはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
R201、R202、及びR203は各々独立にハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アルキル基又はアシルアミノ基を表す。
n201及びn202は各々独立に0〜4の数を表し、n203は0〜4の数を表す。
n201、n202、及びn203がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR201、R202、及びR203は同じであっても異なっていてもよい。
Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mが複数存在する場合、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
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