JP5779493B2 - 着色組成物、インクジェット記録用インク、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Description
本発明は、耐オゾン性、耐光性等の画像堅牢性と良好な色相とを十分に両立する着色組成物を提供することを目的とする。また、該着色組成物を含むインクジェット記録用インク、及び該インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
<1>
下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(4)で表される化合物とを含む着色組成物。
一般式(1)中、Dは下記一般式(2)で表される化合物からn個の水素原子を取り除いた残基を表し、nは4〜6の数を表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
一般式(2)中、R 101 、R 102 、及びR 103 は各々独立に1価の置換基を表し、R 104 及びR 105 は各々独立に水素原子又は1価の置換基を表し、n101及びn102は各々独立に0〜5の数を表し、n103は0〜4の数を表す。n101、n102及びn103がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR 101 、R 102 、及びR 103 は同じであっても異なっていてもよい。
一般式(4)中、Z 1 は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子求引性基を表す。
Z 2 は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、アシル基、又はヘテロ環基を表す。
R 23 及びR 24 は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。ただし、R 23 及びR 24 が共に水素原子であることはない。
R 21 及びR 22 は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。また、R 21 とR 23 、またはR 23 とR 24 が結合して5または6員環を形成してもよい。
R 25 及びR 29 は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。但し、R 25 及びR 29 が共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらは更に置換されていてもよい。
R 26 、R 27 、及びR 28 は、それぞれ独立にR 21 及びR 22 と同義であり、R 2
5 とR 26 、又は、R 28 とR 29 で互いに縮環していてもよい。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。
上記Z 1 、Z 2 、R 21 、R 22 、R 23 、R 24 及びQの各基は、更に置換基を有し
ていてもよい。
但し、一般式(4)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
<2>
前記一般式(1)におけるnが4である、<1>に記載の着色組成物。
<3>
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、<1>又は<2>に記載の着色組成物。
一般式(3)中、R 201 、R 202 、及びR 203 は各々独立に1価の置換基を表し、n201及びn202は各々独立に0〜4の数を表し、n203は0〜4の数を表す。
n201、n202、及びn203がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR 201 、R 202 、及びR 203 は同じであっても異なっていてもよい。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
<4>
前記R 101 、R 102 、R 103 、R 201 、R 202 、及びR 203 が、各々独立にアルキル基又はアシルアミノ基を表す、<1>〜<3>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<5>
前記R 101 、R 102 、R 103 、R 201 、R 202 、及びR 203 が、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す、<1>〜<4>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<6>
前記n101、n102、n201、及びn202が、各々独立に2〜4の数を表す、<1>〜<5>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<7>
前記n103、及びn203が、0を表す、<1>〜<6>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<8>
前記一般式(1)で表される化合物の塩が、リチウム塩、ナトリウム塩、又はカリウム塩である、<1>〜<7>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<9>
一般式(4)における前記イオン性親水性基が、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基、及び4級アンモニウム基より選択された少なくとも1つの基である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<10>
一般式(4)中、R 23 及びR 24 がそれぞれ独立に、水素原子、芳香族基、又はヘテロ基を表す<1>〜<9>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<11>
一般式(1)で表される化合物又はその塩を1〜10質量%含有する<1>〜<10>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<12>
一般式(4)で表される化合物を1〜10質量%含有する<1>〜<11>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<13>
一般式(1)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物との質量比が1/9〜9/1である<1>〜<12>のいずれか一項に記載の着色組成物。
<14>
<1>〜<13>のいずれか一項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
<15>
<1>〜<13>のいずれか一項に記載の着色組成物、又は<14>に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
本発明は、前記<1>〜<15>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項についても参考のため記載している。
下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(4)で表される化合物とを含む着色組成物。
Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、アシル基、又はヘテロ環基を表す。
R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。ただし、R23及びR24が共に水素原子であることはない。
R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。また、R21とR23、またはR23とR24が結合して5または6員環を形成してもよい。
R25及びR29は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。但し、R25及びR29が共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらは更に置換されていてもよい。
R26、R27、及びR28は、それぞれ独立にR21及びR22と同義であり、R25とR26、又は、R28とR29で互いに縮環していてもよい。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。
上記Z1、Z2、R21、R22、R23、R24及びQの各基は、更に置換基を有していてもよい。
但し、一般式(4)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
[2]
前記一般式(1)におけるnが4である、上記[1]に記載の着色組成物。
[3]
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、上記[1]又は[2]に記載の着色組成物。
[4]
前記R101、R102、R103、R201、R202、及びR203が、各々独立にアルキル基又はアシルアミノ基を表す、上記[1]〜[3]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[5]
前記R101、R102、R103、R201、R202、及びR203が、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す、上記[1]〜[4]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[6]
前記n101、n102、n201、及びn202が、各々独立に2〜4の数を表す、上記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[7]
前記n103、及びn203が、0を表す、上記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[8]
前記一般式(1)で表される化合物の塩が、リチウム塩、ナトリウム塩、又はカリウム塩である、上記[1]〜[7]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[9]
一般式(4)における前記イオン性親水性基が、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基、及び4級アンモニウム基より選択された少なくとも1つの基である、上記[1]〜[8]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[10]
一般式(4)中、R23及びR24がそれぞれ独立に、水素原子、芳香族基、又はヘテロ基を表す上記[1]〜[9]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[11]
一般式(1)で表される化合物又はその塩を1〜10質量%含有する上記[1]〜[10]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[12]
一般式(4)で表される化合物を1〜10質量%含有する上記[1]〜[11]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[13]
一般式(1)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物との質量比が1/9〜9/1である上記[1]〜[12]のいずれか一項に記載の着色組成物。
[14]
上記[1]〜[13]のいずれか一項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
[15]
上記[1]〜[13]のいずれか一項に記載の着色組成物、又は上記[14]に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
まず、本発明において、置換基群Aについて定義する。
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
本発明の着色組成物は、下記一般式(1)で表される化合物を含有する。
R101、R102、及びR103が表す1価の置換基としては、前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、原材料の入手性、合成の容易性の観点から、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アルキル基、アシルアミノ基が好ましく、アルキル基、アシルアミノ基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
前記アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子、ヒドロキシル基などが挙げられる。
前記アルキル基は無置換のアルキル基であることが好ましい。
前記アシルアミノ基は、モノアシルアミノ基であることが好ましい。
R104及びR105が1価の置換基を表す場合、該1価の置換基としては、前記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、置換又は無置換のアルキル基が好ましく、無置換のアルキル基がより好ましい。
吸収特性及び耐オゾン性の観点から、R104及びR105は水素原子であることが好ましい。
n101、及びn102がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR101、及びR102は同じであっても異なっていてもよい。
n103が2以上の数を表す場合は、複数のR103は同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(1)中、Mが水素原子である場合は遊離酸の形態であり、Mがカウンターカチオンの場合は塩の形態である。
塩を形成するカウンターカチオンとしては、1価のカウンターカチオンが挙げられ、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、有機カチオンなどが好ましい。
有機カチオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム等が挙げられる。
原材料の入手性、染料の水溶性、インクジェットインクとして用いた場合の他の染料との二次色作成時の光沢発生抑制の観点から、アルカリ金属イオンであることが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンがより好ましい。特にナトリウムイオンは安価であることから好ましい。
本発明においては、合成の容易さ(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点から、前記一般式(1)で表される化合物は塩の形態であることが好ましく、リチウム塩、ナトリウム塩、又はカリウム塩であることがより好ましく、ナトリウム塩であることが更に好ましい。
前記一般式(1)中、Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。すなわち、前記一般式(1)で表される化合物が塩の形態であるとは、全てのスルホ基が塩となっている場合、及び、一部のスルホ基が遊離酸の形態で、かつ一部のスルホ基が塩となっている場合を含む。また、塩を形成するカウンターカチオンも一種でも複数種でもよい。
本発明においては、合成の容易さ(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点から、前記一般式(1)で表される化合物は塩の形態であることが好ましく、全てのスルホ基が塩となっている場合がより好ましい。
下記一般式(3)で表される化合物は、窒素原子に隣接して導入されたスルホ基の立体障害によって、窒素原子への酸化性ガス(酸素やオゾン)の攻撃を阻害可能であるため、耐オゾン性及び耐光性の観点で特に優れるものと考えられる。
一般式(3)におけるn201及びn202は各々独立に0〜4の数を表し、原材料の入手性、合成の容易さの観点から、1〜4の数が好ましく、2〜4の数が好ましく、2又は3が更に好ましい。
従来公知のキサンテン染料の合成法に準じてキサンテン染料を合成した後に、もしくは市販されているキサンテン染料を用いて、クロロスルホン酸/オキシ塩化リン併用によってクロロスルホニル化した後に、アルカリ加水分解することで合成することができる(下記スキーム参照)。詳細は後述する実施例で例示する。
Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、アシル基、又はヘテロ環基を表す。
R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。ただし、R23及びR24が共に水素原子であることはない。
R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。また、R21とR23、またはR23とR24が結合して5または6員環を形成してもよい。
R25及びR29は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。但し、R25及びR29が共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらは更に置換されていてもよい。
R26、R27、及びR28は、それぞれ独立にR21及びR22と同義であり、R25とR26、又は、R28とR29で互いに縮環していてもよい。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。
上記Z1、Z2、R21、R22、R23、R24及びQの各基は、更に置換基を有していてもよい。
但し、一般式(4)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。
脂肪族基としては、アルキル基、シクロアルキル基等が挙げられる。
芳香族基としては、アリール基等が挙げられる。
また、芳香族基及び脂肪族基に該当する基として、アラルキル基が挙げられる。
アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の置換基群Aが挙げられ、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、およびイオン性親水性基であることが好ましい。
置換基を有するアルキル基としては、ヒドロキシエチル基、メトキシエチル基、シアノエチル基、トリフルオロメチル基、3−スルホプロピル基および4−スルホブチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の置換基群Aが挙げられ、イオン性親水性基であることが好ましい。
アラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の置換基群Aが挙げられ、イオン性親水性基であることが好ましい。
アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の置換基群Aや、アミド基、スルホンアミド基、エステル基等が挙げられ、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、エステル基、又はイオン性親水性基であることが好ましい。
置換基を有するアリール基としては、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニルおよびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基等が挙げられる。
ヘテロ環基は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の置換基群Aや、アミド基、スルホンアミド基、エステル基等が挙げられ、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ヒドロキシ基、エステル基およびイオン性親水性基であることが好ましい。
アシル基は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の置換基群Aが挙げられ、イオン性親水性基であることが好ましい。
脂肪族基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
芳香族基としては、アリール基等が挙げられる。
また、芳香族基及び脂肪族基に該当する基として、アラルキル基が挙げられる。
ただし、R23及びR24が共に水素原子であることはない。
各基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例も上述のZ2に記載の例と同様である。
アルケニル基は置換基を有していてもよく、置換基としては前述の置換基群Aが挙げられ、イオン性親水性基であることが好ましい。
各基はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては前述の置換基群Aが挙げられる。
R23が、水素原子又はヘテロ環基であり、R24が芳香族基であることが特に好ましい。
ヘテロ環基としては、好ましくはベンズオキサゾリル基、又はベンゾチアゾリル基が特に好ましく、より具体的には、無置換またはスルホ基(塩の状態も含む)が置換したベンゾチアゾリル基が好ましい。
芳香族基としては、好ましくはアルキル基及びスルホ基(塩の状態も含む)から選ばれる少なくとも1つの基が置換したアリール基であり、アルキル基及びスルホ基から選ばれる少なくとも1つの基が置換したフェニル基が特に好ましい。
前記スルホ基が塩の状態である場合の対カチオンの具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)で表される化合物が塩となる場合の具体例及び好ましい範囲と同様である。
脂肪族基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
芳香族基としては、アリール基等が挙げられる。
また、芳香族基及び脂肪族基に該当する基として、アラルキル基が挙げられる。
各基はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては前述の置換基群Aが挙げられる。
アルキル基、アルコキシ基はさらに置換基を有していてもよく、置換基としては前述の置換基群Aが挙げられる。
R26、R27、及びR28の具体例はR21及びR22の具体例と同様であり、好ましい範囲も同様であるが、R26、R27、及びR28として、水素原子、アルキル基、又はスルホ基(塩の状態も含む)が好ましく、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(最も好ましくはメチル基)、又はスルホ基がより好ましい。
前記スルホ基が塩の状態である場合の対カチオンの具体例及び好ましい範囲は、前記一般式(1)で表される化合物が塩となる場合の具体例及び好ましい範囲と同様である。
脂肪族基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基等が挙げられる。
芳香族基としては、アリール基等が挙げられる。
また、芳香族基及び脂肪族基に該当する基として、アラルキル基が挙げられる。
各基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例も上述のR23及びR24に記載の例と同様である。
電子求引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上の電子求引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。
σp値が0.20以上の電子求引性基の具体例としては、上記Z1に記載の電子求引性基が挙げられ、好ましくはシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子である。
前記イオン性親水性基としては、水溶性の観点から、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基および4級アンモニウム基より選択された少なくとも1つの基であることが好ましい。
イオン性親水性基としては、スルホ基、カルボキシル基、及びホスホノ基より選択された少なくとも1つの基が好ましく、中でもカルボキシル基、スルホ基が好ましい。特に少なくとも1つはスルホ基である事が最も好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。アルカリ金属塩の中でも、カリウムイオン、ナトリウムイオン、リチウムイオンが好ましく、リチウムイオン、ナトリウムイオンがより好ましく、ナトリウムイオンが最も好ましい。
R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。
R25及びR29は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。但し、R25及びR29が共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらは更に置換されていてもよい。
R26、R27、及びR28は、それぞれ独立にR21及びR22と同義であり、R25とR26、又は、R28とR29で互いに縮環していてもよい。
R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はイオン性親水性基を表す。
M1及びM2は、それぞれ独立に、酸素原子、又は硫黄原子を表す。
上記Z2、R21、R22の各基は、更に置換基を有していてもよい。
但し、一般式(4’)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。
R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41、R42、及びR43は、水素原子、アルキル基、又はスルホ基であることが好ましい。
上記一般式(4−R2)中、Z1、Z2、R21、R22、R24、R25、R26、R27、R28、及びR29は、各々上記一般式(4)のZ1、Z2、R21、R22、R24、R25、R26、R27、R28、及びR29と同義である。Q1及びQ2は、各々独立に、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。
方法<1>は、
(a)下記一般式(4−1)で表されるアミノピラゾールと、ジアゾ化剤とを反応させてジアゾニウム塩を形成する工程、
(b)上記工程(a)で形成されたジアゾニウム塩を下記一般式(4−2)で表されるカップリング剤と反応させて、下記一般式(4−H1)で表される化合物を形成する工程、及び
(c)塩基の存在下で、上記工程(b)で形成された化合物をアルキル化剤、アリール化剤又はヘテリル化剤と反応させて上記一般式(4−R1)で表される化合物を形成する工程を含む方法である。
一般式(6)において、Arは電子求引性基が置換されたフェニル基を表し、ハメットのσp値の合計が0.2以上の置換基で置換されていることが好ましい。Xはハロゲン原子又はOSO2R’を表す。R’はアルキル基又はフェニル基等のアリール基を表す。
一般式(7)において、Hetは複素環を表し、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、トリアジル基及び2−フリル基が好ましい。Xはハロゲン原子又はOSO2R’を表す。R’はアルキル基又はフェニル基等のアリール基を表す。
工程(c)で使用する塩基としては、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基及び、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの無機塩基を使用することができる。
一般式(4−R1)をスルホン化する方法としては、濃硫酸、10%から60%までの発煙硫酸、クロロスルホン酸、三酸化イオウ、アミド硫酸等のスルホン化剤を用いてスルホン化することができる。また、溶剤を用いてもよく、溶剤としては、酢酸、無水酢酸、スルホラン、酢酸エチル、エーテル、四塩化炭素、アセトニトリル等を用いても良い。
一般式(4−R1)において、Q1、R23、R24、R26(R28)、R27がスルホン化されることが好ましく、Q1、R23、R24、R26(R28)、R27の置換基が、複数のスルホン化されうる反応点のある場合には、置換位置の異なるスルホン化された色素が混入しても良い。
この場合、主たるスルホン化された色素に対して、HPLC面積%で、0.1%から50%の範囲で置換位置の異なるスルホン化された色素が混入していても良い。反応温度(摂氏)は−5度から80度までが望ましく、さらに望ましくは10度から70度の範囲である。反応時間は30分から10時間の間が望ましく、さらに望ましくは1時間から6時間の間である。
本発明の着色組成物は、少なくとも一種の本発明の上記一般式(1)で表される化合物と、少なくとも一種の本発明の上記一般式(4)で表される化合物とを含有する。一般式(1)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物との相乗効果により、良好な堅牢性と良好な色相とを両立することが可能となる。
本発明の着色組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明の着色組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、本発明の化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明の着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。
次に本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
本発明は、本発明の着色組成物を含有するインクジェット記録用インクにも関する。
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に前記本発明の化合物(混合物)を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いたインクである。
必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
本発明は、本発明の着色組成物又はインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法にも関する。
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フイルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。
支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体として、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。
ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
なお、実施例15は参考例15と読み替えるものとする。
化合物(1A)の合成
150mLの三ツ口フラスコにクロロスルホン酸(アクロス社製)60g、オキシ塩化リン(フィッシャー社製)6.2gを加え、室温で攪拌しているところに、アシッドレッド289(中外化成製、CHUGAI AMINOL FAST PINKR)9.54gを慎重に加えた後、70℃に加温し、1時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、氷水300gでクエンチし、析出した結晶をろ別し、冷飽和食塩水で洗浄した。得られた結晶を150mLの水に分散させ、2mol/Lの水酸化ナトリウムを用いて、pHが9.0で一定になるまで滴下を続けた。pHの変化がなくなったところで、0.2mol/Lの希塩酸を用いてpHを8.5に調整し、透析チューブを用いて脱塩を行い、GF/Fフィルター(ワットマン社製)で塵取りを行い、60℃の送風乾燥機で乾燥し、緑色光沢結晶6gを得た。希薄水溶液での吸収極大波長は529nmであった。以下の条件で測定したLC−MSスペクトルは、保持時間7.12分、8.32分、10.08分の3つの成分を観測し、かつその分子量はいずれも894(Posi: 895[M+1]+、Nega:446.2[M−2H]2−)を示した。
カラム GenesisC18(100×4.6mm)
温度 40℃
溶離液A 10mM酢酸アンモニウム水溶液
溶離液B 10mM酢酸アンモニウム アセトニトリル/水(90/10)溶液
グラジエント 0分(B濃度5%)、2分(B濃度5%)、25分(B濃度50%)、30分(B濃度95%)、31分(B濃度5%)、40分(B濃度5%)
流速 1.0mL/分
検出波長 200〜700nm
MS(レンジ)200〜1200
注入量 10μL
下記の成分に脱イオン水を加え100gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後KOH 10mol/LにてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しマゼンタ用インク液を調製した。
一般式(4)の化合物(下記化合物(2A)) 3.0g
ジエチレングリコール 10.65g
グリセリン 14.70g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12.70g
トリエタノールアミン 0.65g
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 0.9g
染料及び染料添加量を、下記表1に示すように変更した以外は、実施例1のインク液の調製と同様にして、実施例2〜15及び比較例1〜3のインク液を調製した。比較用の染料としてC.I.アシッドレッド289(AR289)を用いた。
以上の各実施例及び比較例のインクジェット記録用インクについて、下記評価を行った。その結果を表1に示した。
なお、表1において、耐オゾン性、耐光性は、各インクジェット記録用インクを、インクジェットプリンター(EPSON(株)社製;PM−700C)でフォト光沢紙(EPSON社製PM写真紙<光沢>(KA420PSK、EPSON))に画像を記録した後で評価したものである。
シーメンス型オゾナイザーの二重ガラス管内に乾燥空気を通しながら、5kV交流電圧を印加し、これを用いてオゾンガス濃度が5±0.1ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に、前記画像を形成したフォト光沢紙を7日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。なお、前記反射濃度は、1、1.5及び2.0の3点で測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
何れの濃度でも色素残存率が70%以上の場合をA、1又は2点が70%未満をB、全ての濃度で70%未満の場合をCとして、三段階で評価した。
記録した直後の画像濃度Ciを測定した後、ウェザーメーター(アトラスC.165)を用いて、画像にキセノン光(8万5千ルクス)を7日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し、キセノン光照射前後の画像濃度の差から色素残存率({(Ci−Cf)/Ci}×100%)を算出し評価した。画像濃度は反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定した。
色素残存率は、反射濃度が1、1.5及び2.0の3点で測定した。いずれの濃度においても色素残存率が80%以上の場合をA、1又は2点が80%未満の場合をB、すべての濃度で80%未満の場合をCとして三段階で評価した。
色相については、目視にて最良、良好及び不良の3段階で評価した。評価結果を下記表1に示す。下記表1中、Aは色相が最良、Bは良好であったことを示し、Cは色相が不良であったことを示す。
Claims (15)
- 下記一般式(1)で表される化合物と、下記一般式(4)で表される化合物とを含む着色組成物。
一般式(1)中、Dは下記一般式(2)で表される化合物からn個の水素原子を取り除いた残基を表し、nは4〜6の数を表す。Mは水素原子又はカウンターカチオンを表す。
Mはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。
一般式(2)中、R101、R102、及びR103は各々独立に1価の置換基を表し、R104及びR105は各々独立に水素原子又は1価の置換基を表し、n101及びn102は各々独立に0〜5の数を表し、n103は0〜4の数を表す。n101、n102及びn103がそれぞれ2以上の数を表す場合は、複数のR101、R102、及びR103は同じであっても異なっていてもよい。
一般式(4)中、Z1は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子求引性基を表す。
Z2は、水素原子、脂肪族基、芳香族基、アシル基、又はヘテロ環基を表す。
R23及びR24は、それぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、またはスルファモイル基を表す。ただし、R23及びR24が共に水素原子であることはない。
R21及びR22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、スルホ基、またはヘテロ環チオ基を表す。また、R21とR23、またはR23とR24が結合して5または6員環を形成してもよい。
R25及びR29は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。但し、R25及びR29が共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらは更に置換されていてもよい。
R26、R27、及びR28は、それぞれ独立にR21及びR22と同義であり、R2
5とR26、又は、R28とR29で互いに縮環していてもよい。
Qは、水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。
上記Z1、Z2、R21、R22、R23、R24及びQの各基は、更に置換基を有し
ていてもよい。
但し、一般式(4)は、少なくとも一つのイオン性親水性基を有する。 - 前記一般式(1)におけるnが4である、請求項1に記載の着色組成物。
- 前記R101、R102、R103、R201、R202、及びR203が、各々独立にアルキル基又はアシルアミノ基を表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記R101、R102、R103、R201、R202、及びR203が、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記n101、n102、n201、及びn202が、各々独立に2〜4の数を表す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記n103、及びn203が、0を表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 前記一般式(1)で表される化合物の塩が、リチウム塩、ナトリウム塩、又はカリウム塩である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 一般式(4)における前記イオン性親水性基が、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基、及び4級アンモニウム基より選択された少なくとも1つの基である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 一般式(4)中、R23及びR24がそれぞれ独立に、水素原子、芳香族基、又はヘテロ基を表す請求項1〜9のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 一般式(1)で表される化合物又はその塩を1〜10質量%含有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 一般式(4)で表される化合物を1〜10質量%含有する請求項1〜11のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 一般式(1)で表される化合物と、一般式(4)で表される化合物との質量比が1/9〜9/1である請求項1〜12のいずれか一項に記載の着色組成物。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の着色組成物を含有するインクジェット記録用インク。
- 請求項1〜13のいずれか一項に記載の着色組成物、又は請求項14に記載のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法。
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