本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るアクチュエータ装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、アクチュエータ装置100は、アクチュエータ1と制御装置(モータ制御回路)90とを含む。アクチュエータ1は、ハウジング(筐体)の一部が締結部材で支持部95に支持されている。なお、締結部材はネジ、ボルト、ピン等である。これにより、アクチュエータ1は、支持部95に固定される。また、アクチュエータ1は、回転体(被回転体)10が回転中心Zrを中心に回転運動すると共に、直動方向(回転中心Zrと平行な方向であるZ方向)に直動運動する。例えば、アクチュエータ1は、回転体10を点線の位置から実線の位置に移動することができる。逆に、アクチュエータ1は、回転体10を実線の位置から点線の位置に移動することができる。アクチュエータ1の構成については後述する。制御装置90は、アクチュエータ1の駆動を制御する装置である。
制御装置90は、アクチュエータ1に供給する電流、電圧の大きさ、周波数、波形を制御することで、アクチュエータ1の回転方向や回転速度を制御し、直動方向に移動する可動子の、直動方向における移動方向や移動速度を制御する。例えば、外部のコンピュータから回転指令iが入力されたとき、制御装置90は、CPU(Central Processing Unit)91から3相アンプ(AMP:Amplifier)92に駆動信号を出力し、AMP92からアクチュエータ1に駆動電流Miが供給される。アクチュエータ1は、駆動電流Miにより積載台96が回転し、ワーク97を移動させるようになっている。積載台96が回転すると、後述する回転角度を検出したレゾルバ等の角度検出器から検出信号(レゾルバ信号)Srが出力される。制御装置90は、検出信号Srをレゾルバデジタル変換器(RDC:Resolver to Digital Converter)93でデジタル変換する。RDC93からの検出信号Srのデジタル情報に基づいて、CPU91はワーク97が指令位置に到達したか否かを判断し、指令位置に到達する場合、AMP92への駆動信号を停止する。
ワーク97は、積載台96を介して回転体10に配置されている。ワーク97は、積載台96を介さず回転体10に直接配置されていてもよい。アクチュエータ装置100は、制御装置90によりアクチュエータ1の動作を制御し、アクチュエータ1の回転体10を直動方向(図1中矢印Z方向)に移動させることで、ワーク97または積載台96を移動させることができる。
次に、図2及び図3を用いてアクチュエータ1の構成について説明する。図2は、回転中心を含む仮想平面で実施形態1のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。図3は、図2に示す実施形態1のアクチュエータの構成を回転中心に直交する仮想平面で切って第1ロータ、第2ロータ及びステータを模式的に示す断面図である。
図2に示すように、アクチュエータ1は、いわゆるブラシレスモータであり、ボールネジ軸15と、静止状態に維持される固定子(以下、ステータという)30と、ステータ30に対して回転可能に配置された2つの回転子である第1ロータ50及び第2ロータ40と、ステータ30を固定して上述した支持部95に取り付けられるハウジング20と、第1ロータ50に固定されボールネジ軸15と螺合するナット52と、を含む。
ボールネジ軸15は、第1ロータ50の回転中心Zrに配置された棒状の部材である。ボールネジ軸15は、棒状の部材の延在方向、つまり回転中心Zrに平行な方向(直動方向)における領域によって形状が異なる。具体的には、ボールネジ軸15の中心部近傍の中央領域にネジ溝が形成されているネジ軸である。また、ボールネジ軸15のネジ溝はナット52の回転中心Zrに平行な方向の長さよりも長く形成されている。ボールネジ軸15の一端には、フランジ部14が固定され、他端にはストッパ部16が固定されている。フランジ部14及びストッパ部16は、ボールネジ軸15の移動に追随して、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)に移動する。そして、アクチュエータ1は、ボールネジ軸15とナット52間で、ボールが転がり運動をするため、摩擦が小さく、回転運動を直線運動とする効率を高めることができる。
上述した、実施形態1に係るアクチュエータ1は、ボールネジ軸15を、他の種類のネジ軸としてもよい。他の種類のネジ軸としては、例えば台形ネジ軸、三角ネジ軸がある。ボールネジ軸15の代わりに、台形ネジ軸、三角ネジ軸等の他のネジ軸を適用する場合、台形ネジ軸、三角ネジ軸のネジ溝がナットと螺合する摩擦力を利用して、ネジ軸の逆作動を抑制することができる。そして、アクチュエータ1は、逆作動を抑制させるために第1ロータ50に発生させる回転トルクを最小限とすることができる。例えば、アクチュエータ1は、第1ロータ50に回転トルクを与える励磁コイル32Aの励磁を停止しても、ネジ軸の位置を維持することができる。
フランジ部14は、径方向外側の外周に、第2ロータ40を回転自在に支持する第3軸受61を備えている。ストッパ部16は、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)からみて、径方向外側のハウジング20と重なり合う位置に、スライダ17を挿入するリニアブッシュ18とを備えている。リニアブッシュ18は、スライダ17を直線案内することができる。リニアブッシュ18は、内部に複数条の転動溝を備え、球状の転動体を介してスライダ17を支持する。リニアブッシュ18は、多孔質材料に油を含浸した含油軸受などのすべり軸受であってもよい。
実施形態1に係るアクチュエータ1は、例えば、スライダ17及びリニアブッシュ18の組み合わせの直動案内機構をハウジング20の周方向に4つ配列している。スライダ17及びリニアブッシュ18のような、直動案内機構は、ハウジング20の周方向に1つあればよい。また、直動案内機構が複数配置されている場合は、直動案内機構がハウジング20の周方向に所定間隔で配列、より好ましくは、ハウジング20の周方向であって等間隔に複数配列されていることが望ましい。
なお、実施形態1に係るアクチュエータ1は、ストッパ部16にスライダ17が固定され、ハウジング20にリニアブッシュ18を備える構成とし、スライダ17がハウジング20のリニアブッシュ18に挿入されているようにしてもよい。
アクチュエータ1は、第2ロータ40と共に回転する回転体10と、ボールネジ軸15に固定されたフランジ部14と、フランジ部14に対して第2ロータ40を回転自在に支持する第3軸受61と、を含む。この構造により、アクチュエータ1は、回転体10を回転させながら直動方向に移動させることができる。
また、回転体10は、回転中心が回転中心Zrと同軸に形成されている。実施形態1に係るアクチュエータ1は、回転体10が円板状のプレート11であり、外縁の第2ロータブラケット42と一体となって回転することができる。例えば、アクチュエータ1は、直動方向において、回転体10がスライドする位置を規制するスライダ43をさらに含む。スライダ43は、ボルト等の固定部12により回転体10のプレート11に固定され、第2ロータブラケット42のリニアブッシュ44に挿入されている。リニアブッシュ44は、スライダ43を直線案内することができる。リニアブッシュ44は、内部に複数条の転動溝を備え、球状の転動体を介してスライダ43を支持する。リニアブッシュ44は、多孔質材料に油を含浸した含油軸受などのすべり軸受であってもよい。
また、スライダ43は、第2ロータ40の第2ロータブラケット42と共に回転することで回転体10が回転する。このようにスライダ43を含み、回転体10の上述した直動方向の移動を案内する直動案内機構は、第2ロータ40と共に回転する。この構造により、回転体10が回転しながら直動方向に移動しても、第2ロータ40の回転を回転体10に伝達することができる。
実施形態1に係るアクチュエータ1は、例えば、スライダ43及びリニアブッシュ44の組み合わせの直動案内機構を回転体10の周方向に4つ配列している。スライダ43及びリニアブッシュ44のような、直動案内機構は、回転体10の周方向に1つあればよい。また、直動案内機構が複数配置されている場合は、直動案内機構が回転体10の周方向に所定間隔で配列、より好ましくは、回転体10の周方向であって等間隔に複数配列されていることが望ましい。これにより、回転体10が回転する場合、回転体10のバランスを均等に保つことができる。
なお、実施形態1に係るアクチュエータ1は、第2ロータブラケット42にスライダ43が固定され、回転体10のプレート11にリニアブッシュ44を備える構成とし、スライダ43がプレート11のリニアブッシュ44に挿入されているようにしてもよい。
ハウジング20、回転体10、第2ロータ40及びステータ30は、いずれも環状の構造体である。回転体10、第1ロータ50、第2ロータ40及びステータ30は、回転中心Zrを中心に同心状に配置されている。また、アクチュエータ1は、回転中心Zrから径方向外側へボールネジ軸15、ナット52、第1ロータ50、ステータ30、第2ロータ40の順に配置されている。アクチュエータ1は、回転体10、第1ロータ50、第2ロータ40及びステータ30がハウジング20の上に配置されている。そして、第1ロータ50は、ステータ30の径方向内側に配置され、ステータ30に対して相対回転することができる。また、第2ロータ40は、ステータ30の径方向外側に配置され、ステータ30に対して、相対回転することができる。
ハウジング20は、中空かつ略円板状のハウジングベース21と、ハウジングインナ22と、ハウジングベース21の一方の端部(ステータ30が設けられた側とは反対側の端部)に開けられた凹部23とを備えている。凹部23の内部には、スライダ17を固定している。ハウジングインナ22は、回転中心Zrを囲むようにハウジングベース21の内周側であって、凸状に突出した同心円となる突出部である。
上述したように、ストッパ部16は、ボールネジ軸15の移動に追随して、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)に移動する。スライダ17は、リニアブッシュ18に挿入されているので、直動方向のガタツキを抑制することができる。また、リニアブッシュ18は、凹部23に挿入される。凹部23は、ストッパ部16の直動方向の動きを妨げないための、リニアブッシュ18の逃げ穴である。このため、凹部23は溝でもよい。
ハウジングベース21は、ステータ30を固定している。また、ハウジングインナ22の中空内壁には、ハウジング20に対して第1ロータ50を回転自在に支持する第1軸受63を固定している。第1軸受63は、背面組み合わせの第1軸受63A、63Bで構成されている。ハウジングインナ22には、ステータ30を固定する支持部材35が接続されている。なお、ハウジングベース21を形成する磁性材料としては、例えばSPCC(Steel Plate Cold Commercial)等の一般的な鋼材や、電磁軟鉄等が適用できる。
第1ロータ50は、ロータコア51と、第1ロータブラケット53と、固定部材54とを含む。固定部材54は、ボールネジ軸15が挿入可能な孔が開けられていると共に、第1ロータブラケット53の一方の開口端部を閉塞する略円板状の部材であり、第1ロータブラケット53と、ナット52とを連結している。固定部材54は、ナット52と一体の部材であってもよい。また、第1ロータブラケット53は、外周にロータコア51を固定しており、ハウジング20に対して上述した第1軸受63に回転自在に支持されている。第1ロータブラケット53は、ステータ30と重なり合わない位置で、第2ロータ40を回転自在に支持する第2軸受62を備えている。
アクチュエータ1は、ハウジング20に対して第1ロータ50を回転自在に支持する第1軸受63と、第1ロータ50に対して第2ロータ40を回転自在に支持する第2軸受62と、を含む。この構造により、アクチュエータ1は、第1ロータ50と第2ロータ40とを独立して回転自在とすることができる。
ナット52は、第1ロータブラケット53の径方向内側であって、第1ロータブラケット53の略中央部分に形成された開口に固定されている。ナット52は、径方向内側の内周面にネジ溝が形成されている。ナット52には、ボールネジ軸15が挿入されており、ボールネジ軸15のネジ溝が形成されている領域を回転可能に支持する。ナット52は、転動体を循環運動させるため、リターンチューブ式、こま式またはエンドキャップ式とよばれる転動体の循環構造を備えている。そして、ナット52は、内周面のネジ溝に内在する転動体を介してボールネジ軸15のネジ溝と螺合している。この構造により、ナット52は、内周面に挿入されたボールネジ軸15を支持している。そして、ボールネジ軸15は、ナット52に挿入されているため、端部がナット52の端部から露出している。
ナット52の中心は、第1ロータ50の回転中心と同一の回転中心Zrとなる。なお、ステータ30、第1ロータ50及び第2ロータ40の回転中心と、ナット52の回転中心とが同一の回転中心Zrと一致する。この構造により、ナット52は、第1ロータ50とともに回転して、第1ロータ50の回転中心Zrと平行な方向である直動方向にボールネジ軸15を移動させる。
第2ロータ40は、ロータコア41と、第2ロータブラケット42と、角度検出器71のレゾルバロータ73を支持する支持部材45とを含む。第2ロータブラケット42と支持部材45とは、ロータコア41の回転中心Zrに平行な方向の両端部に固定されている。このため、ロータコア41の回転に連動して、第2ロータブラケット42と支持部材45とが回転する。
ステータ30は、筒状のステータコア31と、励磁コイル32とを含む。ステータ30は、ステータコア31に励磁コイル32が巻き付けられる。励磁コイル32は、線状の電線である。励磁コイル32は、ステータコア31の外周に、絶縁体のコイルインシュレータ34を介して巻回される。ステータ30には、電源からの電力を供給するための配線が接続されており、この配線を通じて励磁コイル32に対して上述した制御装置90から電力が供給されるようになっている。なお、励磁コイル32は、後述するステータコア31の径方向内側のティースに巻き付けられる励磁コイル32Aと、ステータコア31の径方向外側のティースに巻き付けられる励磁コイル32Bとを含む。
ステータコア31、ロータコア41及びロータコア51は、電磁鋼板、冷間圧延鋼板などの薄板を、接着、ボス、カシメなどの手段により積層して製造されている。ステータコア31、ロータコア41及びロータコア51は、順次金型の型内において積層され、金型から排出される。なお、ステータコア31、ロータコア41及びロータコア51は、磁性体の粉を固めた圧粉磁心でもよい。
図3に示すように、第1ロータ50は、回転中心Zr側にボールネジ軸15を包囲するように筒状に設けられる。また、ステータ30は、回転中心Zr側に第1ロータ50を包囲するように筒状に設けられる。また、第2ロータ40は、回転中心Zr側にステータ30を包囲するように筒状に設けられる。
ステータ30のステータコア(ステータ磁極)31は、上述した回転中心Zrを中心とした円周方向にティース(磁極)36、38が等間隔で並んで、バックヨーク37が一体に配置される。ステータ30は、このような一体コアに限られず、周方向に複数の分割されたステータコア31が上述した回転中心Zrを中心とした円周方向に等間隔で並んで配置される分割コアであってもよい。そして、図2に示すように、ステータコア31がハウジングベース21に固定される。
ステータコア31は、表面に切り込みを形成するようにしてもよい。この構造により、ステータコア31に局部的な磁気飽和を生じさせ、ロータコア41、ロータコア51からの磁束の回り込みを抑制することができる。
図3に示す径方向外側のティース36と径方向内側のティース38とには、励磁コイル32A、32Bが巻回されている。例えば、励磁コイル32Bは、径方向外側のティース36に、磁束を発生させる。また、励磁コイル32Aは、径方向内側のティース38に、磁束を発生させる。
例えば、径方向外側のティース36と径方向内側のティース38との厚みを変えることで、励磁コイル32により生じる径方向外側のティース36の磁束と、径方向内側のティース38の磁束とを異ならせることができる。その結果、アクチュエータ1は、ロータコア41、ロータコア51にそれぞれ所望のトルクを生じさせることができる。
また、バックヨーク37を径方向に分割し、径方向外側のティース36と径方向内側のティース38とを径方向に分割する分割コアとしてもよい。この構造により、ロータコア41、ロータコア51からの磁束の回り込みを抑制することができる。
ロータコア41は、内周部に突出する歯部41aを備えている。ロータコア51は、径方向外側の外周部に突出する歯部51aを備えている。ロータコア41及びロータコア51は、VR(Variable Reluctance)型の回転子とよばれる。ロータコア51は、回転の位置に応じて、リラクタンス(磁気抵抗)が変化することを利用して、励磁コイル32Bがステータコア31のティース38に励磁した回転磁界に同期して磁気抵抗が最小となるように回転する。また、ロータコア41は、回転の位置に応じて、リラクタンス(磁気抵抗)が変化することを利用して、励磁コイル32Aがステータコア31のティース36に励磁した回転磁界に同期して磁気抵抗が最小となるように回転する。
図4は、図2に示す実施形態1のアクチュエータの変形例の構成を回転中心に直交する仮想平面で切って第1ロータ、第2ロータ及びステータを模式的に示す断面図である。ロータコア41は、マグネットが第2ロータ40の内周表面に沿って貼り付けられ、複数設けられている。ロータコア51は、マグネットが第1ロータ50の径方向外側の外周表面に沿って貼り付けられ、複数設けられている。マグネットは、永久磁石であり、S極及びN極がロータコア41、51の円周方向に交互に等間隔で配置される。このようなロータコア41及びロータコア51は、PM(Permanent Magnet)型の回転子とよばれる。ロータコア51は、励磁コイル32Bがステータコア31のティース38に励磁した回転磁界に応じて回転する。また、ロータコア41は、励磁コイル32Aがステータコア31のティース36に励磁した回転磁界に応じて回転する。
そして、アクチュエータ装置100の制御装置90は、CPU(Central Processing Unit)91から3相アンプ(AMP:Amplifier)92に駆動信号を出力し、AMP92からアクチュエータ1に駆動電流Miが供給される。アクチュエータ1は、駆動電流Miに応じて、上述した図3または図4に示す励磁コイル32A、32Bを独立駆動させる。その結果、制御装置90は、第1ロータ50の駆動または停止を第2ロータ40の駆動または停止と独立して制御することができる。同様に、制御装置90は、第2ロータ40の駆動または停止を第1ロータ50の駆動または停止と独立して制御することができる。そして、制御装置90は、第2ロータ40の回転数及び回転方向と、第1ロータ50の回転数及び回転方向とを、互いに独立して制御することができる。
また、アクチュエータ1は、角度検出器71、74を備えることが好ましい。角度検出器71、74は、例えば、レゾルバである。角度検出器71は、第2ロータ40の回転位置を高精度に検出することができる。角度検出器74は、第1ロータ50の回転位置を高精度に検出することができる。以下、角度検出器71、74がレゾルバである場合について説明するが、角度検出器は他のセンサ、エンコーダであってもよく、検出器の種類に限定されない。
角度検出器71、74は、静止状態に維持されるレゾルバステータ72、75と、レゾルバステータ72、75と所定のギャップを隔てて対向配置され、レゾルバステータ72、75に対して回転可能なレゾルバロータ73、76を備えている。レゾルバステータ72、75は、ハウジングベース21に配設されている。また、レゾルバロータ73は、第2ロータ40の支持部材45に配設されている。レゾルバロータ76は、第1ロータ50の第1ロータブラケット53に配設されている。
そして、ステータ30の励磁コイル32が励磁され、第1ロータ50及び第2ロータ40が回転駆動すると、レゾルバロータ73、76が同時に回転駆動する。
レゾルバステータ72、75は、複数のステータ磁極が円周方向に等間隔に形成された環状の積層鉄心を有し、各ステータ磁極にレゾルバコイルが巻回されている。各レゾルバコイルには、検出信号(レゾルバ信号)Srが出力される配線が接続されている。
レゾルバロータ73、76は、中空環状の積層鉄心により構成されている。角度検出器71、74の配設位置は、第1ロータ50及び第2ロータ40の回転を検出することが可能であれば特に限定されず、ハウジング20の形状に応じて任意の位置へ配設することができる。
角度検出器71、74は、レゾルバロータ73、76と、レゾルバステータ72、75との間のリラクタンスが連続的に変化する。角度検出器71、74は、リラクタンスの変化を検出し、RDC93によって上述した検出信号Srをデジタル信号に変換する。アクチュエータ1を制御する制御装置90のCPU91は、RDC93の電気信号に基づいて、単位時間当たりのレゾルバロータ73、76と連動する回転体10及びボールネジ軸15の位置や回転角度を演算処理することができる。その結果、アクチュエータ1を制御する制御装置90は、回転体10の回転状態(例えば、回転速度、回転方向あるいは回転角度など)及びボールネジ軸15の直動方向の移動位置を計測することが可能となる。
上述した角度検出器71、74は、第1ロータ50または第2ロータ40の1回転につき、リラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号を出力する、いわゆる単極レゾルバと、第1ロータ50または第2ロータ40の1回転につき、リラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号を出力する、いわゆる多極レゾルバとを組み合わせることが好ましい。
このように、アクチュエータ1は、第1ロータ50または第2ロータ40の1回転につき、リラクタンス変化の基本波成分の周期が異なる角度検出器を備えることにより、第1ロータ50または第2ロータ40の絶対位置を把握することができ、また、第1ロータ50または第2ロータ40の回転状態(例えば、回転速度、回転方向あるいは回転角度など)を計測する精度を高めることができる。また、アクチュエータ1は、一相通電による極検知動作、または原点復帰動作を行う必要がなく、位置決めを行うことができる。
なお、上述した励磁コイル32Aは、複数の巻線回路を含み、それぞれの巻線回路を駆動するタイミングをパルス駆動により変えるようにしてもよい。また、上述した励磁コイル32Bは、複数の巻線回路を含み、それぞれの巻線回路を駆動するタイミングをパルス駆動により変えるようにしてもよい。これにより、ロータコア41及びロータコア51は、励磁コイル32A、32Bがパルス駆動され、このパルス駆動に同期して独立して回転する、いわゆるステッピングモータが内側と外側とに配列された状態となる。そして、上述した制御装置90は、駆動電流Miのパルスを制御することにより、第1ロータ50の駆動または停止を第2ロータ40の駆動または停止と独立して制御することができる。その結果、アクチュエータ1は、角度検出器71、74を備えなくても、第1ロータ50及び第2ロータ40の位置決めをすることができる。そして、アクチュエータ1は、部品点数の削減により省スペースをはかり、コストを低減することができる。また、アクチュエータ1は、部品点数の削減により信頼性を向上させることができる。
次に、図1、図2及び図5を用いてアクチュエータ装置100およびアクチュエータ1について説明する。図5は、実施形態1に係るアクチュエータの動作を説明する説明図である。アクチュエータ装置100の制御装置90は、ステータ30の励磁コイル32に例えば交流を印加し、励磁コイル32に印加する電圧を所定の周期で切り換えることで、ステータ30に対して第1ロータ50及び第2ロータ40が回転する駆動力を発生させる。
アクチュエータ1の第1ロータ50が回転すると第1ロータブラケット53に固定されているナット52も回転する。アクチュエータ1は、ボールネジ軸15のネジ溝とナット52のネジ溝とが螺合している。このため、ナット52が回転すると、ボールネジ軸15のネジ溝がナット52のネジ溝に沿って直動方向に移動する。これにより、ボールネジ軸15は、ナット52が回転することで、ナット52に対して相対的に直動方向に移動する。アクチュエータ装置100は、本実施形態において、図5に示すように、ナット52の回転に応じてボールネジ軸15を紙面手前の面において下から上に移動することができる。アクチュエータ装置100は、図5に示す動作とは逆に、ナット52の逆回転に応じてボールネジ軸15を紙面手前の面において上から下に移動することができる。
アクチュエータ1の第1ロータ50が回転する回転動作とは独立して、第2ロータ40も回転する。第2ロータ40が回転すると、ロータコア41の回転に連動して、第2ロータブラケット42と支持部材45とが回転する。また、スライダ43は、第2ロータ40の第2ロータブラケット42と共に回転することで回転体10が回転する。回転体10は、第3軸受61によりフランジ部14に回転自在に支持されている。図5に示すように、フランジ部14は、ボールネジ軸15の移動に応じて、紙面手前の面において下から上に移動する。そして、回転体10は、回転中心Zrを中心にフランジ部14の回りを回転する。
第2軸受62の摩擦トルクは、第3軸受61の摩擦トルクよりも小さいことが好ましい。この構成により、アクチュエータ1は、第1ロータ50が回転する場合、第2ロータ40の連れ回りを抑制することができる。
第1軸受63A、63Bの摩擦トルクは、第2軸受62の摩擦トルクよりも大きいことが好ましい。この構成により、回転体10は、回転中心Zrを中心にフランジ部14の回りを回転しても、ナット52を連れ回してボールネジ軸15に意図しない直動運動を与える可能性を抑制することができる。
軸受の摩擦トルクを大きくするには、転動体の大きさを大きくする方法、クロスローラのような摩擦の大きな軸受を使用する方法、または軸受に予圧を与える方法がある。
アクチュエータ装置100およびアクチュエータ1は、アクチュエータ1の第1ロータ50の回転運動をボールネジ軸15の直動運動に変換することができる。アクチュエータ装置100およびアクチュエータ1は、ボールネジ軸15を直動運動させると共に、回転体10を回転させることができる。これにより、アクチュエータ装置100およびアクチュエータ1は、図1に示すワーク97を、直動運動させると共に回転運動させることができる。
また、アクチュエータ装置100およびアクチュエータ1は、ネジ溝のピッチ(リード)を調整することにより、回転運動を直動運動に変換する際の変換率、第1ロータ50の一回転でボールネジ軸15が直動方向に動く距離を種々の値とすることができる。これにより、種々の性能のアクチュエータを簡単な設計変更で作成することができる。
以上説明したように、実施形態1に係るアクチュエータ1は、ステータ30と、ハウジング20と、第1ロータ50と、ボールネジ軸15と、ナット52と、第2ロータ40とを含む。ステータ30は、励磁コイル32及びステータコア31を備える。ハウジング20は、ステータ30を固定する。第1ロータ50は、ステータ30の径方向内側に配置され、ステータ30に対して相対回転する。ボールネジ軸15は、第1ロータ50の回転中心Zrに配置される棒状の部材であり、表面の少なくとも一部にネジ溝が形成される。ナット52は、ボールネジ軸15のネジ溝と螺合する。また、ナット52は、第1ロータ50とともに回転して、第1ロータ50の回転中心Zrと平行な方向である直動方向(Z方向)にボールネジ軸15を移動させる。そして第2ロータ40は、ステータ30の径方向外側に配置され、ステータ30に対して相対回転する。
この構造により、アクチュエータ1は、第1ロータ50の回転運動を直動運動に変換すると共に、この直動運動と第2ロータ40の回転運動を伝達することができる。また、アクチュエータ1は、第1ロータ50の回転運動を直動運動に変換すると共に、この直動運動を単独で伝達することができる。アクチュエータ1は、第1ロータ50の回転運動を停止して、第2ロータ40の回転運動を単独で伝達することができる。このように、アクチュエータ1は、第1ロータ50による直動運動と、第2ロータ40の回転運動とを独立して伝達することができる。アクチュエータ1は、第1ロータ50による直動運動と、第2ロータ40の回転運動とを個々に、または同時に伝達することで、ワーク97または積載台96の負荷体に複雑な動作を加えることができる。これにより、例えば、回転用の電動モータと、直動用の電動モータの2つを用意する必要がなく、これら2つの電動モータを連結する部品も不要であり、アクチュエータ自体を小型とすることができる。その結果、アクチュエータ装置100及びアクチュエータ1は、部品点数が少なくなることで信頼性が向上すると共に、省スペース化にも貢献し、さらにコストを下げることができる。
(実施形態2)
図6は、回転中心を含む仮想平面で実施形態2のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態2に係るアクチュエータ1aは、第1軸受63と第2軸受62とに回転中心Zrに平行な方向(直動方向)と平行な方向の予圧を加える予圧機構をさらに含む。予圧機構は、磁性体64と、磁石65とを含む。磁性体64は、例えば電磁軟鉄である。なお、磁性体64を磁石としてもよい。予圧機構は、磁石65のハウジングベース21の外周端に沿って配置され、磁性体64が磁石65の直動方向に対向するように、支持部材45に取り付けられている。
予圧機構は、磁石65に磁性体64が引き寄せられることにより、第1軸受63と第2軸受62とに直動方向と平行な方向の予圧を加える。これにより、ボールネジ軸15の直動方向の移動があっても安定して第1ロータ50及び第2ロータ40を支持することができる。また、単品では予圧構造をとりえない、第1軸受63及び第2軸受62に単純な単列軸受を使用することができる。
本実施形態の第1軸受63は、第1ロータブラケット53に取り付けられた固定フランジ55により固定されている。なお、本実施形態の第3軸受61は、背面組み合わせの第3軸受61A、61Bにより構成されている。
(実施形態3)
図7は、回転中心を含む仮想平面で実施形態3のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態3に係るアクチュエータ1bは、第1軸受63が第1ロータブラケット53に取り付けられた固定フランジ55Aにより固定されている。なお、固定フランジ55Aは、角度検出器74Aを支持する。角度検出器74Aは、上述した角度検出器74のレゾルバステータ75及びレゾルバロータ76と同じ、レゾルバステータ75A及びレゾルバロータ76Aを備えるが取り付け位置が異なる。第1軸受63は、第1ロータブラケット53に対して角度検出器74Aよりも遠くなるように固定フランジ55Aに取り付けられる。これにより、ナット52が回転するモーメント剛性が向上する。また、第1軸受63は、ハウジング20の外部からメンテナンスしやすい位置に配置される。
(実施形態4)
図8は、回転中心を含む仮想平面で実施形態4のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態4に係るアクチュエータ1cは、回転体10が、第2ロータブラケット42A自体となっている。第2ロータブラケット42Aは、ロータコア41の回転中心Zrに平行な方向の端部に固定され、第3軸受61を介してフランジ部14の回りを回転自在となっている。
アクチュエータ1cの第1ロータ50が回転すると第1ロータブラケット53に固定されているナット52も回転する。アクチュエータ1cは、ボールネジ軸15のネジ溝とナット52のネジ溝とが螺合している。このため、ナット52が回転すると、ボールネジ軸15のネジ溝がナット52のネジ溝に沿って直動方向に移動する。これにより、ボールネジ軸15は、ナット52が回転することで、ナット52に対して相対的に直動方向に移動する。
アクチュエータ1cの第1ロータ50が回転する回転動作とは独立して、第2ロータ40も回転する。第2ロータ40が回転すると、ロータコア41の回転に連動して、第2ロータブラケット42Aと支持部材45とが回転する。回転体10である第2ロータブラケット42Aもボールネジ軸15の直動方向の移動に合わせて移動する。このため、実施形態4に係るアクチュエータ1cは、直動方向のストロークを考慮し、ロータコア41の直動方向の長さLrがステータコア31の直動方向の長さLsよりも長くしてある。これにより、ロータコア41が直動方向に移動しても、回転を続けることができる。
実施形態4に係るアクチュエータ1cは、第3軸受61と、第1軸受63により、第1ロータ50と、第2ロータ40の回転を支持することができる。これにより、実施形態4に係るアクチュエータ1cは、実施形態1に係るアクチュエータ1と比較して軸受を減らすことで、部品点数を低減することができ製造コストを抑制することができる。このため、実施形態4に係るアクチュエータ1cは、実施形態1に係るアクチュエータ1と比較して信頼性を向上させることができる。なお、直動方向のストロークを考慮し、レゾルバロータ73の直動方向の長さを長くしておくことがより好ましい。
(実施形態5)
図9は、回転中心を含む仮想平面で実施形態5のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態5に係るアクチュエータ1dは、回転体10と、第2ロータ40との間の隙間を覆うベローズ85を第2ロータ40の径方向外側の外周に沿って取り付けている。第2ロータ40の第2ロータブラケット42Bは、内周側にロータコア41を備えるようにしており、第2ロータブラケット42Bがロータコア41の周囲を覆う構造となっている。例えば、図4に示すように、ロータコア41は、マグネットが第2ロータ40の内周表面に沿って貼り付けられ、複数設けられている。
図4に示す径方向外側のティース36と径方向内側のティース38とには、図9に示す励磁コイル32A、32Bが巻回されている。例えば、励磁コイル32Bは、図4に示す径方向外側のティース36に、磁束を発生させる。また、励磁コイル32Aは、径方向内側のティース38に、磁束を発生させる。この構造により、励磁コイル32により生じる径方向外側のティース36の磁束と、径方向内側のティース38の磁束とを異ならせることができる。その結果、アクチュエータ1dは、ロータコア41、ロータコア51にそれぞれ所望のトルクを生じさせることができる。
実施形態5に係るアクチュエータ1dは、アクチュエータ1dの第1ロータ50が回転すると第1ロータブラケット53に固定されているナット52も回転する。アクチュエータ1dは、ボールネジ軸15のネジ溝とナット52のネジ溝とが螺合している。このため、ナット52が回転すると、ボールネジ軸15のネジ溝がナット52のネジ溝に沿って直動方向に移動する。これにより、ボールネジ軸15は、ナット52が回転することで、ナット52に対して相対的に直動方向に移動する。
このため、回転体10と、第2ロータ40との間の隙間が拡大することがあるが、ベローズ85は、伸縮できるので、回転体10と、第2ロータ40との間の隙間を覆い続けることができる。このように、ベローズ85は、ボールネジ軸15が直動方向に移動する距離に応じて伸縮できる。その結果、実施形態5に係るアクチュエータ1dは、異物の混入を防止することができるため信頼性を向上することができる。また、例えば、実施形態5に係るアクチュエータ1dは、防水が求められる環境でも動作することができる。
ベローズ85は、剛性が高い素材または厚みのある素材で構成すれば、回転体10の回転方向の移動を規制することができる。これにより、アクチュエータ1dはスライダ43及びリニアブッシュ44の組み合わせの直動案内機構を省略することができる。つまり、スライダ43及びリニアブッシュ44の組み合わせの直動案内機構を省略した場合、剛性の高いベローズ85がプレート11の回転方向の位置を維持することができる。そして、剛性の高いベローズ85は、回転体10の上述した直動方向の移動を案内する直動案内機構として、第2ロータ40と共に回転する。このため、アクチュエータ1dの内部の空間を有効に活用し、省スペース化をはかることができる。その結果、実施形態5に係るアクチュエータ1dは、部品点数の削減と信頼性の向上をはかることができる。
アクチュエータ1dの第1ロータ50が回転する回転動作とは独立して、第2ロータ40も回転する。第2ロータ40が回転すると、ロータコア41の回転に連動して、第2ロータブラケット42Bと支持部材45とが回転する。このため、実施形態5に係るアクチュエータ1dは、支持部材45とハウジング20のハウジングベース21との間の隙間を摺動可能なオイルシール84を備えていることがより好ましい。
また、回転体10のプレート11にOリング81を介して封止した蓋11Aを設けるようにしてもよい。また第2ロータブラケット42Bと支持部材45との間もOリング83を介して固定することが好ましい。また、ハウジング20は、上述した支持部95と、ハウジングベース21の下側面とは、Oリング82を介して、封止されることがより好ましい。実施形態5に係るアクチュエータ1dは、部材間の境界に、Oリング81、82、83を配置して、より防水性能を高めることができる。
(実施形態6)
図10は、回転中心を含む仮想平面で実施形態6のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。図11は、実施形態6に係るアクチュエータの動作を説明する説明図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態6に係るアクチュエータ1eは、ボールネジ軸15と連動して直動方向に移動する回転体10がない。
アクチュエータ1eの第1ロータ50が回転すると第1ロータブラケット53に固定されているナット52も回転する。アクチュエータ1eは、ボールネジ軸15のネジ溝とナット52のネジ溝とが螺合している。このため、ナット52が回転すると、ボールネジ軸15のネジ溝がナット52のネジ溝に沿って直動方向に移動する。これにより、ボールネジ軸15は、ナット52が回転することで、ナット52に対して相対的に直動方向に移動する。
そして、実施形態6に係るアクチュエータ1eは、ハウジング20に対して第1ロータ50の回転中心Zrと平行な方向である直動方向に、ボールネジ軸15を相対的に移動させる。このため、ボールネジ軸15に固定されたストッパ部16Aを上述した支持部95に固定する場合、ハウジング20がボールネジ軸15に対して、直動方向に移動することができる。
アクチュエータ1eの第1ロータ50が回転する回転動作とは独立して、第2ロータ40も回転する。第2ロータ40が回転すると、ロータコア41の回転に連動して、第2ロータブラケット42と支持部材45とが回転する。第2ロータブラケット42が、ボールネジ軸15の直動方向の移動に合わせたハウジング20に伴って移動する。アクチュエータ装置100は、本実施形態おいて、図11に示すように、ナット52の回転に応じてハウジング20自体を紙面手前の面において下から上に移動することができる。アクチュエータ装置100は、図11に示す動作とは逆に、ナット52の逆回転に応じてハウジング20を紙面手前の面において上から下に移動することができる。つまり、実施形態6に係るアクチュエータ1eは、回転運動を直動運動に変換すると共に、ハウジング20が移動する直動運動を伝達することができる。
(実施形態7)
図12は、回転中心を含む仮想平面で実施形態7のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。図13は、回転中心と平行な方向から実施形態7のアクチュエータの回転体をみた平面図である。図14は、実施形態7に係るアクチュエータの動作を説明する説明図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態7に係るアクチュエータ1fは、回転体11Bと、フランジ部14に固定された直動部材14Aと、を含む。回転体11Bは、第2ロータブラケット42に固定されている。このため、第2ロータ40が回転する場合、回転体11Bは、回転中心Zrを中心に回転運動する。
図12及び図13に示すように、直動部材14Aは、回転中心Zrと平行な方向に延在する棒状の部材である。回転体11Bには、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)からみて、直動部材14Aと重なり合う位置に、リニアブッシュ44Aを備えている。図13に示すように、実施形態7に係るアクチュエータ1fは、例えば、直動部材14A及びリニアブッシュ44Aの組み合わせの直動案内機構を回転体11Bの周方向に4つ配列している。直動部材14Aは、回転中心Zrと異なる位置、つまり回転中心Zrの径方向外側に配置されている。このため、回転体11Bが回転する場合、連動して直動部材14Aも回転する。
実施形態7に係るアクチュエータ1fは、実施形態1に係るアクチュエータ1と比較して、第3軸受61に相当する軸受装置を省略している。このため、例えば、第2ロータ40の回転運動は、回転体11B、直動部材14A及びリニアブッシュ44Aの組み合わせの直動案内機構、ボールネジ軸15及びナット52を介して、第1ロータ50に伝達されてしまう。つまり、回転体11Bの回転と、直動部材14Aの直動方向の移動距離とが一定の比率で連動する。このため、実施形態7に係るアクチュエータ1fは、第2ロータ40と、第1ロータ50とが駆動する組み合わせにより、4つの回転運動と直動運動の組み合わせによる動作モードで回転体11B及び直動部材14Aを制御できる。
<第1の動作モード>
第1の動作モードは、直動部材14Aが回転中心Zrに平行な方向(直動方向)に移動するが、回転体11Bは回転運動を行わない。この場合、実施形態7に係るアクチュエータ1fは、第2ロータ40を停止し、第1ロータ50を回転させる。第1ロータ50の回転によって、ナット52が回転する。ボールネジ軸15は、ナット52が回転することで、ナット52に対して相対的に直動方向に移動する。そして、実施形態7に係るアクチュエータ1fは、ボールネジ軸15の移動に伴ってフランジ部14が直動方向に移動する。そして、回転体11Bが第2ロータブラケット42に固定されているので、フランジ部14の移動に応じて、直動部材14Aが回転体11Bを貫通して突出する長さを変える。そして、アクチュエータ1fは、第1ロータ50による直動運動を独立して、図1に示すワーク97または積載台96の負荷体に伝達することができる。このように、アクチュエータ1fは、第2ロータ40の駆動を停止し、第1ロータ50による直動部材14Aの直動運動を独立してワーク97または積載台96の負荷体に伝達することができる。
<第2の動作モード>
第2の動作モードは、直動部材14Aが回転中心Zrに平行な方向(直動方向)に移動せず停止した状態とし、回転体11Bが回転運動を行う。回転体11Bが回転する場合、連動して直動部材14Aも回転する。回転体11Bの回転に応じて、ボールネジ軸15が連れ回る。この場合、実施形態7に係るアクチュエータ1fは、第2ロータ40と第1ロータ50とをそれぞれ逆向きの同回転数の回転になるように駆動する。これにより、実施形態7に係るアクチュエータ1fは、ボールネジ軸15がナット52に対して、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)の相対的な位置を変えない。このため、直動部材14Aは、回転体11Bとともに回転しながら、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)に、直動部材14Aが停止したようにすることができる。そして、第2ロータ40の回転がボールネジ軸15を連れ回しても、ボールネジ軸15が直動方向の任意の位置で停止することができる。
<第3の動作モード>
第3の動作モードは、回転体11Bが回転運動すると共に、回転体11Bの回転と一定の比率で連動する移動距離で、直動部材14Aが回転中心Zrに平行な方向である、Z方向(直動方向)に移動する。この場合、実施形態7に係るアクチュエータ1fは、第1ロータ50の駆動を停止し、第2ロータ40を回転する。第2ロータ40の回転により回転体11Bが回転する場合、連動して直動部材14Aも回転する。そして、回転体11Bの回転に応じて、ボールネジ軸15が連れ回る。
アクチュエータ1fは、ボールネジ軸15のネジ溝とナット52のネジ溝とが螺合している。このため、ボールネジ軸15が回転すると、ボールネジ軸15のネジ溝がナット52のネジ溝に沿って一定の比率で直動方向に移動する。第3の動作モードでは、ボールネジ軸15がナット52に対して回転するため、ナット52に対してボールネジ軸15が直動方向に移動する。そして、回転している回転体11Bが第2ロータブラケット42に固定されているので、ボールネジ軸15と連動するフランジ部14の移動に応じて、直動部材14Aが回転体11Bを貫通して突出する長さを変える。
<第4の動作モード>
第4の動作モードは、回転体11Bが回転運動すると共に、回転体11Bの回転とは連動しない比率の移動距離で、直動部材14Aが回転中心Zrに平行な方向(直動方向)に移動する。この場合、実施形態7に係るアクチュエータ1fは、第2ロータ40と第1ロータ50とを回転させるが、それぞれの回転数が異なるように駆動する。
実施形態7に係るアクチュエータ1fは、第2ロータ40と第1ロータ50を回転数が異なるように駆動し、第2ロータ40と第1ロータ50との回転数差によって生じるボールネジ軸15とナット52との回転差分をボールネジ軸15の直動方向への直動運動とすることができる。そして、回転している回転体11Bが第2ロータブラケット42に固定されているので、ボールネジ軸15と連動するフランジ部14の移動に応じて、直動部材14Aが回転体11Bを貫通して突出する長さを変える。第2ロータ40の回転がボールネジ軸15を連れ回しても、ボールネジ軸15が直動方向の任意の速度で移動し、上下することができる。
アクチュエータ装置100は、上述した第1の動作モード、第2の動作モード、第3の動作モード及び第4の動作モードのいずれか1つを順に切り換えることで、回転体11Bの回転運動と、直動部材14Aの直動運動をワーク97または積載台96の負荷体に伝達することができる。例えば、アクチュエータ装置100は、図14に示すように、上述した第1の動作モード、第3の動作モード及び第4の動作モードにおいて、直動部材14Aを紙面手前の面において下から上に移動することができる。アクチュエータ装置100は、図14に示す動作とは逆に上述した第1の動作モード、第3の動作モード及び第4の動作モードにおいて、直動部材14Aを紙面手前の面において上から下に移動することができる。
なお、図14に示すように、直動部材14Aの中心を示す軸線P11は、回転中心Zrと平行の方向に延びている。実施形態7に係るアクチュエータ1fは、直動部材14Aが直動案内軸となり、軸線P11が回転中心Zrの軸線に対して偏心量e11で偏心している。ボールネジ軸15の軸線(回転中心Zr)と直動部材14Aの軸線P11との偏心量e11は、ボールネジ軸15の半径より大きい。また、直動部材14Aは、ボールネジ軸15の軸線(回転中心Zr)に対して偏心しながら平行に延在する複数の直動案内軸である。ナット52から回転力が伝達されたボールネジ軸15は、回転中心Zr回りの回転が抑制されながら、直動部材14Aがリニアブッシュ44A内を通過または摺動することで回転中心Zrと平行な方向であるZ方向の直線運動を行う。
アクチュエータ1fは、第2ロータ40の回転がボールネジ軸15を回転させる場合、第1ロータ50の回転と第2ロータ40の回転とを逆回転として直動方向のボールネジ軸15の移動を抑制しつつ、第2ロータ40の回転運動を回転体11Bに伝達することができる。以上説明したように、アクチュエータ1fは、第2ロータ40の回転がボールネジ軸15を連れ回しても、ボールネジ軸15が直動方向の任意の位置で停止または直動方向の任意の速度で上下移動することができる。
(実施形態8)
図15は、回転中心を含む仮想平面で実施形態8のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態8に係るアクチュエータ1gは、実施形態1に係るアクチュエータ1と比較して、ボールネジ軸15が回転中心Zrと平行に開けられた中空の孔部13を備えている。実施形態8のアクチュエータ1gでは、孔部13は、回転中心Zrと同軸上のフランジ部14及びストッパ部16にも延びており、貫通孔となっている。これにより、実施形態8に係るアクチュエータ1gは、中空の孔部13に、配線または配管を通すことができる。
フランジ部14は、径方向外側の外周に、第2ロータ40を回転自在に支持する第3軸受61を備えている。回転体10のプレート11が上昇する場合、プレート11と第2ロータブラケット42との間隔が広がり、外部から到来する可能性のある異物から第3軸受61を保護する方がよい場合もある。このため、実施形態8のアクチュエータ1gでは、第3軸受61の回転体10のプレート11側に、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)からみて、第3軸受61の少なくとも一部が重なり合う位置にカバー53a、カバー42aを備えている。
カバー53aは、第3軸受61の内輪固定部材53Aから延びている。カバー53aは、回転中心Zrを中心とした円環状の板部材であることが好ましい。また、カバー42aは、第2ロータブラケット42の外輪固定部42bから延びている。カバー42aは、回転中心Zrを中心とした円環状の板部材であることが好ましい。実施形態8に係るアクチュエータ1gは、カバー53aとカバー42aとのどちらか1つあれば、外部から到来する可能性のある異物から第3軸受61を保護することができる。また、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)からみて、カバー53a及びカバー42aは、カバー53aとカバー42aとの少なくとも一部が重なり合うと共に、高さ位置(直動方向の位置)を異ならせ互い違いに配置したラビリンス構造となっていることがより好ましい。
(実施形態9)
図16は、回転中心を含む仮想平面で実施形態9のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。図17は、図16に示すA−A断面の一例を示す断面図である。図18は、図16に示すA−A断面の他の例を示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態9に係るアクチュエータ1hは、直動案内機構19を備えている。図17に示すように、ストッパ部16の外周は、非円形断面形状、例えば矩形である。このストッパ部16の外周を案内するため、直動案内機構19は、ストッパ部16の外周が接触しないような大きさで、かつストッパ部16の外周の非円形断面形状に沿った所定のクリアランスをあけた貫通孔を備えている。直動案内機構19は、上述したボールネジ軸15が仮に、連れ回りを生じた場合でも、ストッパ部16の外周と、直動案内機構19とが接触して、ボールネジ軸15の連れ回りを抑制することができる。
図18に示すように、他の直動案内機構19は、いわゆるボールスプライン構造であってもよい。ストッパ部16の外周と、直動案内機構19との間は、ボール16aを介して点接触している。このためストッパ部16は、直動方向の摩擦は小さいが、回転中心Zrを中心として回転する回転方向は規制されている。この構造により実施形態9に係るアクチュエータ1hは、ボールネジ軸15の連れ回りを抑制することができる。
(実施形態10)
図19は、回転中心を含む仮想平面で実施形態10のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態10に係るアクチュエータ1iは、直動案内機構46を備えている。図19に示すように、直動案内機構46は、アーム部47a、47b、47c、47dと、回動部48a、48b、48c、48d、48eを備え、回転体10のプレート11が第2ロータブラケット42Bに対して直動方向に移動する距離に応じて、伸縮するリンク機構である。このリンク機構は、ボールネジ軸15が直動方向に移動する距離に応じて伸縮できる。
回動部48aは、プレート11の第2ロータブラケット42B側に固定されており、アーム部47aの一端と連結している。回動部48bは、アーム部47aの他端と連結すると共に、アーム部47bの一端と連結している。回動部48cは、アーム部47bの他端と連結すると共に、アーム部47cの一端と連結している。回動部48dは、アーム部47cの他端と連結すると共に、アーム部47dの一端と連結している。回動部48eは、第2ロータブラケット42Bのプレート11側に固定されており、アーム部47dの他端と連結している。そして、回動部48a、48b、48c、48d、48eは、アーム部47a、47b、47c、47dの端部を回転自在に支持する。
アクチュエータ1iの第1ロータ50が回転すると第1ロータブラケット53に固定されているナット52も回転する。アクチュエータ1iは、ボールネジ軸15のネジ溝とナット52のネジ溝とが螺合している。このため、ナット52が回転すると、ボールネジ軸15のネジ溝がナット52のネジ溝に沿って直動方向に移動する。これにより、ボールネジ軸15は、ナット52が回転することで、ナット52に対して相対的に直動方向に移動する。そして、プレート11と共に回動部48aもボールネジ軸15の直動方向の移動に合わせて移動する。その結果、回転体10のプレート11と第2ロータブラケット42Bとの距離が変化する。
直動案内機構46は、回転体10のプレート11と第2ロータブラケット42Bとの距離が変化した場合、回動部48a、48b、48c、48d、48eを支点としてアーム部47a、47b、47c、47dの位置が変化して、伸縮する。
また、アクチュエータ1iは、第1ロータ50が回転する回転動作とは独立して、第2ロータ40も回転する。第2ロータ40が回転すると、ロータコア41の回転に連動して、第2ロータブラケット42Bと支持部材45とが回転する。
また、直動案内機構46は、回動部48eが第2ロータ40の第2ロータブラケット42Bと共に回転することで回転体10が回転する。直動案内機構46は、回転体10が回転しながら直動方向に移動しても、第2ロータ40の回転を回転体10に伝達することができる。
また、直動案内機構46は、上述した実施形態において説明する、スライダ43及びリニアブッシュ44の組み合わせの直動案内機構を省略することができる。このため、アクチュエータ1iの内部空間を有効に活用し、省スペース化をはかることができる。なお、アクチュエータ1iは、リニアブッシュ18及びスライダ17の組み合わせの直動案内機構を直動案内機構46に置き換えて構成してもよい。
(実施形態11)
図20は、回転中心を含む仮想平面で実施形態11のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。図21は、図20に示すB−B断面の一例を示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態11に係るアクチュエータ1jは、直動案内機構19を備えている。図20及び図21に示すように、ストッパ部16Aの中心を示す軸線P10は、ボールネジ軸15の軸線である回転中心Zrと平行な方向に延びている。つまり、ボールネジ軸15の軸方向(直動方向)の一方の端部にボールネジ軸15の軸線である回転中心Zrに対して偏心しながら平行に延在する直動案内軸である、ストッパ16Aを備えている。ストッパ部16Aの外周は、図20に示すB−B断面の図21に示すように、例えば円形である。このストッパ部16Aの外周を案内するため、直動案内機構19は、ストッパ部16Aの外周が接触しないような大きさで、かつストッパ部16Aの外周に沿った所定のクリアランスをあけた貫通孔を備えている。
ストッパ部16Aは直動案内軸となり、軸線P10が回転中心Zrの軸線に対して偏心量e10で偏心している。ナット52から回転力が伝達されたボールネジ軸15は、回転中心Zr回りの回転が抑制されながら、ストッパ部16Aが直動案内機構19内を通過または摺動することで回転中心Zrと平行な方向の直線運動を行う。直動案内機構19は、上述したボールネジ軸15が仮に、連れ回りを生じた場合でも、ストッパ部16Aの外周と、直動案内機構19とが接触して、ボールネジ軸15の連れ回りを抑制することができる。なお、直動案内機構19は、リニアブッシュでもよい。
(実施形態12)
図22は、回転中心を含む仮想平面で実施形態12のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態12に係るアクチュエータ1kは、実施形態7に係るアクチュエータ1fの構成に、実施形態11に係るアクチュエータ1jのストッパ部16Aを備えている。このため、実施形態12に係るアクチュエータ1kは、実施形態7に係るアクチュエータ1fと同様に、第2ロータ40と、第1ロータ50とが駆動する組み合わせにより、上述した第1の動作モード、第2の動作モード、第3の動作モード及び第4の動作モードである、4つの回転運動と直動運動の組み合わせによる動作モードで回転体11B及び直動部材14Aを制御できる。
直動部材14Aは、回転中心Zrと平行な方向に延在する棒状の部材である。回転体11Bには、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)からみて、直動部材14Aと重なり合う位置に、リニアブッシュ44Aを備えている。図13に示すアクチュエータ1fと同様に、実施形態12に係るアクチュエータ1kは、例えば、直動部材14A及びリニアブッシュ44Aの組み合わせの直動案内機構を回転体11Bの周方向に4つ配列している。直動部材14Aは、回転中心Zrと異なる位置、つまり回転中心Zrの径方向外側に配置されている。このため、回転体11Bが回転する場合、連動して直動部材14Aも回転する。
直動部材14Aの中心を示す軸線P11は、回転中心Zrと平行の方向に延びている。実施形態12に係るアクチュエータ1kは、直動部材14Aが直動案内軸となり、軸線P11が回転中心Zrの軸線に対して偏心量e11で偏心している。偏心量e11は、ボールネジ軸15の半径より大きな値である。ナット52から回転力が伝達されたボールネジ軸15は、回転中心Zr回りの回転が抑制されながら、直動部材14Aがリニアブッシュ44A内を通過または摺動することで回転中心Zrと平行な方向であるZ方向の直線運動を行う。
しかしながら、実施形態12に係るアクチュエータ1kは、ストッパ部16Aが直動案内軸となり、B−B断面の図21に示すように、軸線P10が回転中心Zrの軸線に対して偏心量e10で偏心している。つまり、アクチュエータ1kは、ボールネジ軸15の軸方向(直動方向)のそれぞれの両端部にボールネジ軸15の軸線である回転中心Zrに対して偏心しながら平行に延在する複数の直動案内軸である、ストッパ16A及び直動部材14Aを備えている。ナット52から回転力が伝達されたボールネジ軸15は、回転中心Zr回りの回転が抑制されながら、ストッパ部16Aが直動案内機構19内を通過または摺動することで回転中心Zrと平行な方向の直線運動を行う。このため、ストッパ部16Aが直動案内軸となり、直動案内機構19に挿入された場合には、実施形態12に係るアクチュエータ1kは、直動部材14Aが回転中心Zrに平行な方向(直動方向)に移動するが、回転体11Bは回転運動を行わない第1の動作モードに動作が規制される。実施形態12に係るアクチュエータ1kは、ストッパ部16Aの直動方向の長さを調整することで、上述した第1の動作モード、第2の動作モード、第3の動作モード及び第4の動作モードのうち、ストッパ部16Aが直動案内機構19に挿入された場合には第1の動作モードに動作を規制することができる。
(実施形態13)
図23は、図2に示すアクチュエータの構成を回転中心に直交する仮想平面で切って第1ロータ、第2ロータ及びステータを模式的に示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図23に示すように、第1ロータ50は、回転中心Zr側にボールネジ軸15を包囲するように筒状に設けられる。また、ステータ30は、回転中心Zr側に第1ロータ50を包囲するように筒状に設けられる。また、第2ロータ40は、回転中心Zr側にステータ30を包囲するように筒状に設けられる。
ステータ30のステータコア(ステータ磁極)31は、上述した回転中心Zrを中心とした円周方向に外側ティース(磁極)36、内側ティース(磁極)38が等間隔で並んで、バックヨーク37が一体に配置される。そして、ステータコア31は、図23に示すバックヨーク37のボルト固定孔35Hに挿入されたボルト等の固定部材により、図2に示すように支持部材35に固定され、ステータコア31がハウジングベース21に固定される。なお、ボルト固定孔35Hは、バックヨーク37に設けられ、回転中心Zrと平行な方向に貫通する貫通孔である。
このように、ステータ30は、環状のバックヨーク37と、バックヨーク37から径方向内側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の内側ティース38と、バックヨーク37から径方向外側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の外側ティース36と、を含む。バックヨーク37には、周方向に並んだ複数のスリット部39Aを備えている。
バックヨーク37は、スリット部39Aにより、スリット部39Aの径方向に対して内側の内側バックヨーク37Aと、スリット部39Aの径方向に対して外側の外側バックヨーク37Bとに区画されている。また、スリット部39Aは、バックヨーク37の径方向の内側と外側との間に設けられ、周方向に沿って延びる空隙である。この空隙は、バックヨーク37に設けられ、回転中心Zrと平行な方向に貫通する貫通孔である。
隣り合うスリット部39Aの周方向の間には、連結部39Bがあり、連結部39Bは、内側バックヨーク37Aと外側バックヨーク37Bとを連結し一体にしている。連結部39Bは、周方向に隣り合うスリット部39Aの間に設けられている。実施形態13において、連結部39Bは、スリット部39Aとボルト固定孔35Hとの間に設けられている。ステータ30は、隣り合うスリット部39Aの周方向の間にステータ30を固定するための貫通孔であるボルト固定孔35Hを備えているので、ボルト固定孔35Hを外側ティース36と内側ティース38とを固定するために共用することができる。このため、ステータ30は、バックヨーク37の径方向の厚みを抑制することができる。そして、ステータ30を小型化できるため、アクチュエータ1を小型化することができる。なお、ボルト固定孔35Hが隣り合うスリット部39Aの間にない場合、連結部39Bは、隣り合うスリット部39Aの間の周方向の距離となる。
スリット部39Aの空隙は、径方向の延長線上に並ぶ内側ティース38及び外側ティース36の間に位置している。そして、径方向の延長線上に並ぶ内側ティース38及び外側ティース36は、径方向にスリット部39Aの空隙を介した内側バックヨーク37Aと外側バックヨーク37Bとにそれぞれ接続している。このため、スリット部39Aは、径方向の延長線上に並ぶ内側ティース38及び外側ティース36をスリット部39Aの空隙で分断している。この構造により、径方向の延長線上に並ぶ外側ティース36と内側ティース38とはスリット部39Aの空隙で磁気的に分断される。このため、外側ティース36と内側ティース38とが相互に影響を与える可能性が低減され、第1ロータ50の回転精度及び第2ロータ40の回転精度を高めることができる。
そして、スリット部39Aは、径方向の延長線上に並ぶ内側ティース38及び外側ティース36に隣り合う内側ティース38または外側ティース36の基部に向かって周方向に延在している。この構造により、外側ティース36と内側ティース38とを別々に励磁しても周方向に延在している空隙で分断しているので、外側ティース36と内側ティース38とが相互に影響を与える可能性が低減され、第1ロータ50の回転精度及び第2ロータ40の回転精度を高めることができる。
スリット部39Aの周方向の幅は、連結部39Bの周方向の幅よりも長い。この構造により、外側ティース36と内側ティース38とを別々に励磁しても連結部39Bの周方向の幅が狭いので、外側ティース36と内側ティース38とが相互に影響を与える可能性が低減され、第1ロータ50の回転精度及び第2ロータ40の回転精度を高めることができる。
連結部39Bの周方向の幅は、励磁コイル32Aまたは励磁コイル32Bの励磁により発生する磁束が飽和する長さとなっていることがより好ましい。これにより、ステータ30は、連結部39Bが外側ティース36と内側ティース38とが生じさせる磁束が相互に干渉し合う可能性を抑制する。そして、この構造により、ロータコア41、ロータコア51からの磁束の回り込みを抑制することができる。
図23に示す径方向外側の外側ティース36と径方向内側の内側ティース38とには、励磁コイル32A、32Bが巻回されている。例えば、励磁コイル32Bは、径方向外側の外側ティース36に、磁束を発生させる。また、励磁コイル32Aは、径方向内側の内側ティース38に、磁束を発生させる。また、例えば、励磁コイル32Bは、コイルを直接巻くコイル直巻方式で巻回されており、励磁コイル32Aは、予めボビンに巻かれたコイルを内側ティース38に、挿入するボビン挿入方式で巻回されている。励磁コイル32A、励磁コイル32Bが巻回されている方式は同じでもよく、励磁コイル32Bがコイル直巻方式で巻回されており、励磁コイル32Aがボビン挿入方式で巻回されていてもよい。このように、励磁コイル32A、励磁コイル32Bが巻回されている方式は問わない。
実施形態13において、励磁コイル32Bが巻回された外側ティース36のステータスロットの周方向の数は、18スロット(18個)である。そして、励磁コイル32Aが巻回された内側ティース38のステータスロットの周方向の数は、12スロット(12個)である。ステータスロットの周方向の数は、上述した数に限るものではなく、適宜、適切な数が配置される。
ロータコア41は、内周部に突出する歯部41aを備えている。ロータコア51は、径方向外側の外周部に突出する歯部51aを備えている。実施形態13においては、ロータコア41の内周部の周方向に60個の歯部41aが備えられている。そして、ロータコア51の外周部の周方向に8個の歯部51aが備えられている。歯部41a及び歯部51aが周方向に備えられる数は、上述した数に限るものではなく、適宜、適切な数が配置される。なお、径方向外側のティース36にも、径方向外側の外周部に突出する歯部36aを備えていてもよい。
なお、図2に示すロータコア51と第1ロータブラケット53とは、図23に示すボルト固定孔51Hに挿入されたボルト等の固定部材により、固定されている。そして、図2に示すロータコア41と第2ロータブラケット42とは、図23に示すボルト固定孔41Hに挿入されたボルト等の固定部材により、固定されている。
ロータコア41及びロータコア51は、VR(Variable Reluctance)型の回転子とよばれる。ロータコア51は、回転の位置に応じて、リラクタンス(磁気抵抗)が変化することを利用して、励磁コイル32Bがステータコア31の内側ティース38に励磁した回転磁界に同期して磁気抵抗が最小となるように回転する。また、ロータコア41は、回転の位置に応じて、リラクタンス(磁気抵抗)が変化することを利用して、励磁コイル32Aがステータコア31の外側ティース36に励磁した回転磁界に同期して磁気抵抗が最小となるように回転する。実施形態13に係るアクチュエータ1は、例えば、励磁コイル32A、32Bを励磁させてえられる回転磁界を3相として、駆動する3相バリアブルリラクタンスモータとする。そして、実施形態13に係るアクチュエータ1は、励磁コイル32A、32Bを励磁させてえられる回転磁界を2相としてもよく、または5相としてもよく、相数に限定されない。
以上説明したように、ステータ30は、環状のバックヨーク37と、内側ティース38と、外側ティース36と、を含む。環状のバックヨーク37は、周方向に並んだ複数の空隙のスリット部39Aと、スリット部39Aの径方向に対して内側の内側バックヨーク37Aと、スリット部39Aの径方向に対して外側の外側バックヨーク37Bと、隣り合うスリット部39Aの周方向の間において内側バックヨーク37Aと外側バックヨーク37Bとを連結する連結部39Bと、を備える。内側ティース38は、内側バックヨーク37Aから径方向内側に向かって突出し、周方向に複数設けられ、外側ティース36は、外側バックヨーク37Bから径方向外側に向かって突出し、周方向に複数設けられている。
内側バックヨーク37Aと外側バックヨーク37Bとの間に空隙を設けることにより、磁気抵抗が大きくなり、内側バックヨーク37Aと外側バックヨーク37Bとの相互磁気干渉の影響が抑制される。その結果、外側ティース36と内側ティース38とに励磁される磁界の相互磁気干渉が生じる可能性が抑制される。このため、径方向内側に配置され相対回転する第1ロータ50と、径方向外側に配置され相対回転する第2ロータ40とを独立して駆動する場合、外側ティース36と、内側ティース38とを別々に励磁しても相互に影響を与える可能性は低減され、第1ロータ50の回転精度及び第2ロータ40の回転精度を高めることができる。
上述した構成により、環状のバックヨーク37、内側ティース38及び外側ティース36は、1つの金型で製造することができる。このためステータ30は、金型コストを低減することができる。また、上記構成により、組み立てコストを抑制することができ、ステータ30の低コスト化を進めることができる。また、1つの金型で製造することができるため、打ち抜き工数の削減も可能である。
上述した構成により、スリット部39Aがバックヨーク37を中空構造体とすることから、ステータ30を軽量化することができる。また、スリット部39Aが励磁コイル32A、32Bの結線部などの収容部として利用でき、結線部の出っ張りを押さえることができるので、アクチュエータ1を小型化することができる。
そして、アクチュエータ装置100の制御装置90は、CPU91からAMP92に駆動信号を出力し、AMP92からアクチュエータ1に駆動電流Miが供給される。アクチュエータ1は、駆動電流Miに応じて、上述した図23に示す励磁コイル32A、32Bを独立駆動させる。その結果、制御装置90は、第1ロータ50の駆動または停止を第2ロータ40の駆動または停止と独立して制御することができる。同様に、制御装置90は、第2ロータ40の駆動または停止を第1ロータ50の駆動または停止と独立して制御することができる。そして、制御装置90は、第2ロータ40の回転数及び回転方向と、第1ロータ50の回転数及び回転方向とを、互いに独立して制御することができる。
(実施形態14)
図24は、図2に示すアクチュエータにおいて、回転中心に直交する仮想平面で切って第1ロータ、第2ロータ及びステータを模式的に示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
ロータコア41cは、マグネット41pが第2ロータ40のロータコア41cの内周表面に沿って貼り付けられ、複数設けられている。ロータコア51は、マグネット51pが第1ロータ50のロータコア51cの径方向外側の外周表面に沿って貼り付けられ、複数設けられている。マグネットは、永久磁石であり、S極及びN極がロータコア41、51の円周方向に交互に等間隔で配置される。本実施形態では、ロータコア41は、いわゆる表面貼り付け磁石型のモータロータであるが、この実施形態に限られず、適宜変更できる。例えば、ロータコア41は、マグネット41pが第2ロータ40のロータコア41cの内部に埋め込まれ、複数設けられている埋め込み磁石型であってもよい。
図24に示す径方向外側の外側ティース36と径方向内側の内側ティース38とには、励磁コイル32A、32Bが巻回されている。例えば、励磁コイル32Bは、径方向外側の外側ティース36に、磁束を発生させる。また、励磁コイル32Aは、径方向内側の内側ティース38に、磁束を発生させる。
実施形態14において、励磁コイル32Bが巻回された外側ティース36のステータスロットの周方向の数は、18スロット(18個)である。そして、励磁コイル32Aが巻回された内側ティース38のステータスロットの周方向の数は、12スロット(12個)である。ステータスロットの周方向の数は、上述した数に限るものではなく、適宜、適切な数が配置される。
励磁コイル32Aは、3相励磁するため励磁コイル32AU、励磁コイル32AV、励磁コイル32AWを含む。本実施形態の励磁コイル32AU、励磁コイル32AV、励磁コイル32AWは、いわゆるY結線とされている。励磁コイル32AU、励磁コイル32AV、励磁コイル32AWは、デルタ結線とされてもよい。そして、励磁コイル32AU、励磁コイル32AV、励磁コイル32AWには、各々120度位相がずれた駆動信号がAMP92から出力され、U相コイル、V相コイル、W相コイルとして機能する。
同様に、励磁コイル32Bは、3相励磁するため励磁コイル32BU、励磁コイル32BV、励磁コイル32BWを含む。本実施形態の励磁コイル32BU、励磁コイル32BV、励磁コイル32BWは、いわゆるY結線とされている。励磁コイル32BU、励磁コイル32BV、励磁コイル32BWは、デルタ結線されてもよい。そして、励磁コイル32BU、励磁コイル32BV、励磁コイル32BWには、各々120度位相がずれた駆動信号がAMP92から出力され、U相コイル、V相コイル、W相コイルとして機能する。
実施形態14において、励磁コイル32BUが巻回された外側ティース36は、ステータスロットの周方向に3スロット(3個)並んでいる。また、励磁コイル32BVが巻回された外側ティース36は、ステータスロットの周方向に3スロット(3個)並んでいる。さらに、励磁コイル32BWが巻回された外側ティース36は、ステータスロットの周方向に3スロット(3個)並んでいる。そして、各3スロット毎の励磁コイル32BU、励磁コイル32BV、励磁コイル32BWは、例えば周方向であってかつ時計方向に順次配置されている。
励磁コイル32AUが巻回された内側ティース38は、ステータスロットの周方向に2スロット(2個)並んでいる。また、励磁コイル32AVが巻回された内側ティース38は、ステータスロットの周方向に2スロット(2個)並んでいる。さらに、励磁コイル32AWが巻回された内側ティース38は、ステータスロットの周方向に2スロット(2個)並んでいる。そして、各2スロット毎の励磁コイル32AU、励磁コイル32AV、励磁コイル32AWは、例えば周方向であってかつ時計方向に順次配置されている。
連結部39Bは、周方向に配置されている3スロット毎の、励磁コイル32BU、励磁コイル32BV、励磁コイル32BWの間に、周方向に均等に設けられている。このため、連結部39Bは、周方向に配置されている3スロット毎の、励磁コイル32BU、励磁コイル32BV、励磁コイル32BWに対して、周方向に同じ関係となるように均等に設けられている。連結部39Bは、周方向に配置されている2スロット毎の、励磁コイル32AU、励磁コイル32AV、励磁コイル32AWに対して、周方向に同じ関係となるように均等に設けられている。以上の構造により、連結部39Bは、内側ティース38及び外側ティース36が各々励磁されるU相、V相、W相のうち、ある特定相で磁気干渉することが抑制される。このため、ステータ30は、第1ロータ50の回転精度及び第2ロータ40の回転精度を高めることができる。
実施形態14においては、ロータコア41の内周部の周方向に20個のマグネット41pが備えられて、極数は20である。そして、ロータコア51の外周部の周方向に10個のマグネット51pが備えられて、極数は10極である。マグネット41p及びマグネット51pが周方向に備えられる極数は、上述した数に限るものではなく、適宜、適切な数が配置される。
このようなロータコア41及びロータコア51は、PM(Permanent Magnet)型の回転子とよばれる。ロータコア51は、励磁コイル32Aがステータコア31の内側ティース38に励磁した回転磁界に応じて回転する。また、ロータコア41は、励磁コイル32Bがステータコア31の外側ティース36に励磁した回転磁界に応じて回転する。
そして、アクチュエータ装置100の制御装置90は、CPU91からAMP92に駆動信号を出力し、AMP92からアクチュエータ1に駆動電流Miが供給される。アクチュエータ1は、駆動電流Miに応じて、上述した図24に示す励磁コイル32A、32Bを独立駆動させる。その結果、制御装置90は、第1ロータ50の駆動または停止を第2ロータ40の駆動または停止と独立して制御することができる。同様に、制御装置90は、第2ロータ40の駆動または停止を第1ロータ50の駆動または停止と独立して制御することができる。そして、制御装置90は、第2ロータ40の回転数及び回転方向と、第1ロータ50の回転数及び回転方向とを、互いに独立して制御することができる。
なお、上述した励磁コイル32Aは、複数の巻線回路を含み、それぞれの巻線回路を駆動するタイミングをパルス駆動により変えるようにしてもよい。また、上述した励磁コイル32Bは、複数の巻線回路を含み、それぞれの巻線回路を駆動するタイミングをパルス駆動により変えるようにしてもよい。これにより、ロータコア41及びロータコア51は、励磁コイル32A、32Bがパルス駆動され、このパルス駆動に同期して独立して回転する、いわゆるステッピングモータが内側と外側とに配列された状態となる。そして、上述した制御装置90は、駆動電流Miのパルスを制御することにより、第1ロータ50の駆動または停止を第2ロータ40の駆動または停止と独立して制御することができる。その結果、アクチュエータ1は、角度検出器71、74を備えなくても、第1ロータ50及び第2ロータ40の位置決めをすることができる。そして、アクチュエータ1は、部品点数の削減により省スペースをはかり、コストを低減することができる。また、アクチュエータ1は、部品点数の削減により信頼性を向上させることができる。
また、実施形態13または実施形態14に記載のロータコア41及びロータコア51を組み合わせてもよい。例えば、ロータコア41がVR型の回転子であって、ロータコア51がPM型の回転子であってもよい。または、ロータコア51がVR型の回転子であって、ロータコア41がPM型の回転子であってもよい。これらの構造によってもロータコア51は、励磁コイル32Aがステータコア31の内側ティース38に励磁した回転磁界に応じて回転する。また、ロータコア41は、励磁コイル32Bがステータコア31の外側ティース36に励磁した回転磁界に応じて回転する。
(実施形態15)
図25は、回転中心を含む仮想平面で実施形態15のモータの構成を切って模式的に示す断面図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態15に係るモータ1Aは、第1ロータ50の回転運動と第2ロータ40の回転運動とを伝達することができる、いわゆるダブルロータモータである。モータ1Aは、ハウジング20のハウジングベース21が、図1に示す支持部95に固定されている。モータ1Aは、上述したボールネジ軸15及びナット52を備えていない。
第1ロータ50は、ロータコア51と、第1ロータブラケット53と、固定部材54とを含む。固定部材54は、第1ロータブラケット53の一方の開口端部を閉塞する略円板状の部材であり、第1ロータブラケット53と、中心回転体52Aを連結している。中心回転体52Aは、回転中心Zrを中心に回転可能に第1軸受63に支持されている。そして、実施形態15に係るモータ1Aは、中心回転体52Aに同軸で固定されたプレート111を第2回転体101として備えている。
モータ1Aは、第1ロータ50が回転すると第1ロータブラケット53に固定されている中心回転体52Aも回転する。モータ1Aは、中心回転体52Aが回転すると、第2回転体101のプレート111も回転する。
上述したアクチュエータ1と同様に、モータ1Aは、第1ロータ50が回転する回転動作とは独立して、第2ロータ40も回転する。第2ロータ40が回転すると、ロータコア41の回転に連動して、第2ロータブラケット42と支持部材45とが回転する。モータ1Aは、第1軸受63と第2軸受62とに回転中心Zrに平行な方向(直動方向)と平行な方向の予圧を加える予圧機構をさらに含む。予圧機構は、磁性体64と、磁石65とを含む。磁性体64は、例えば電磁軟鉄である。なお、磁性体64を磁石としてもよい。予圧機構は、磁石65のハウジングベース21の外周端に沿って配置され、磁性体64が磁石65の直動方向に対向するように、支持部材45に取り付けられている。
予圧機構は、磁石65に磁性体64が引き寄せられることにより、第1軸受63と第2軸受62とに直動方向と平行な方向の予圧を加える。これにより、安定して第1ロータ50及び第2ロータ40を支持することができる。また、単品では予圧構造をとりえない、第1軸受63及び第2軸受62に単純な単列軸受を使用することができる。
以上説明したモータ1Aは、上述した実施形態13及び実施形態14に記載したステータ30、第1ロータ50及び第2ロータ40を備えている。図23または図24に示すように、ステータ30は、環状のバックヨーク37と、内側ティース38と、外側ティース36と、を含む。環状のバックヨーク37は、周方向に並んだ複数の空隙のスリット部39Aと、スリット部39Aの径方向に対して内側の内側バックヨーク37Aと、スリット部39Aの径方向に対して外側の外側バックヨーク37Bと、隣り合うスリット部39Aの周方向の間において内側バックヨーク37Aと外側バックヨーク37Bとを連結する連結部39Bと、を備える。内側ティース38は、内側バックヨーク37Aから径方向内側に向かって突出し、周方向に複数設けられ、外側ティース36は、外側バックヨーク37Bから径方向外側に向かって突出し、周方向に複数設けられている。
内側バックヨーク37Aと外側バックヨーク37Bとの間に空隙を設けることにより、磁気抵抗が大きくなり、内側バックヨーク37Aと外側バックヨーク37Bとの相互磁気干渉の影響が抑制される。その結果、外側ティース36と内側ティース38とに励磁される磁界の相互磁気干渉が生じる可能性が抑制される。このため、径方向内側に配置され相対回転する第1ロータ50と、径方向外側に配置され相対回転する第2ロータ40とを独立して駆動する場合、外側ティース36と、内側ティース38とを別々に励磁しても相互に影響を与える可能性は低減され、第1ロータ50の回転精度及び第2ロータ40の回転精度を高めることができる。
上述した構成により、環状のバックヨーク37、内側ティース38及び外側ティース36は、1つの金型で製造することができる。このためステータ30は、金型コストを低減することができる。また、上記構成により、組み立てコストを抑制することができ、ステータ30の低コスト化を進めることができる。また、1つの金型で製造することができるため、打ち抜き工数の削減も可能である。
上述した構成により、スリット部39Aがバックヨーク37を中空構造体とすることから、ステータ30を軽量化することができる。また、スリット部39Aが励磁コイル32A、32Bの結線部などの収容部として利用でき、結線部の出っ張りを押さえることができるので、モータ1Aを小型化することができる。
(実施形態16)
図26は、第1ロータの回転中心及び第2ロータの回転中心を含む仮想平面で実施形態16のアクチュエータの構成を切って模式的に示す断面図である。図27は、回転中心と平行な方向から実施形態16のアクチュエータの回転体をみた平面を模式的に示す模式図である。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図2に示す実施形態1に係るアクチュエータ1では、上述したように、スライダ43を含み、回転体10の直動方向の移動を案内する第1の直動案内機構は、第2ロータ40と共に回転する。また、実施形態1に係るアクチュエータ1は、スライダ17及びリニアブッシュ18の組み合わせの第2の直動案内機構を備え、第1の直動案内機構と第2の直動案内機構とは、直動方向においてステータ30を間に挟む位置に配置されている。ボールネジ軸15Aの直動方向の移動長さは、第1の直動案内機構及び第2の直動案内機構が許容する長さに規制される。このため、ボールネジ軸15Aの直動方向の移動長さを長くする場合、第1の直動案内機構及び第2の直動案内機構の両方の案内する距離を長くする必要があり、アクチュエータ1の直動方向の大きさが大きくなってしまう。そこで、第2の直動案内機構を省略した場合、アクチュエータ1は、回転体10のプレート11の回転に伴うボールネジ軸15Aの連れ回りを抑制する必要がある。
図26に示すように実施形態16に係るアクチュエータ1lは、第1ロータ50が回転中心Zrを中心に回転し、第2ロータ40が回転中心Zrと平行かつ回転中心Zrとは異なる位置にある回転中心ZRを中心に回転する。このように、アクチュエータ1lは、ステータ30に対して回転可能に配置された2つの回転子である第1ロータ50及び第2ロータ40の回転中心が同軸ではなく、第2ロータ40の回転中心ZRが回転中心Zrに対して偏心している。
第1ロータ50に固定されボールネジ軸15Aと螺合するナット52は、回転中心Zrを中心に回転する。また、ボールネジ軸15Aは、回転中心Zrと平行に開けられた中空の孔部13を備えている。孔部13は、回転中心Zrと平行な方向に延びており、貫通孔となっている。これにより、実施形態16に係るアクチュエータ1lは、中空の孔部13に、配線または配管を通すことができる。
ボールネジ軸15Aは、直動方向の端部近傍にボールネジ軸15Aのフランジ部となる直動伝達部材14Bが環状の固定部材14Cで固定されている。このため、ボールネジ軸15Aが直動方向に移動する場合、ボールネジ軸15Aとともに直動伝達部材14Bも移動する。直動伝達部材14Bは、円盤状の板部材であり、ボールネジ軸15Aが直動伝達部材14Bを貫通している。図27に示すように、直動伝達部材14Bの径方向外側の外周は、円形である。そして、直動伝達部材14Bの径方向外側の外周の中心は、第2ロータ40の回転中心ZRと一致する。直動伝達部材14Bは、径方向外側の外周に、プレート11を回転自在に支持する第3軸受61を備えている。
図26に示すように、回転体10は、プレート11の径方向外周に、ロータコア41及び第2ロータブラケット42よりも大きな半径の円筒形状の部材である外筒部材112を備えている。外筒部材112は、プレート11の外縁に沿って一端が固定された円筒部113と、円筒部113の内周側に固定され、かつ周方向に複数配列された直動方向に延びる案内レール114と、を備えている。案内レール114は、例えば周方向に均等に4つ配列されている。案内レール114の周方向の数は、上述した数に限るものではなく、適宜、適切な数が配置される。
第2ロータ40は、ロータコア41と、ロータコア41の径方向外側を覆う円筒形状の部材である内筒部材115とを含む。内筒部材115は、第2ロータブラケット42と、角度検出器71のレゾルバロータ73を支持する支持部材45とを含む。支持部材45は、第2ロータブラケット42と一体となっており、ロータコア41の回転に連動して、第2ロータブラケット42と支持部材45とが回転する。なお、支持部材45は、第2ロータブラケット42とは別体の部材であって、連結されていてもよい。内筒部材115の径方向外側の外周には、案内レール114を摺動するスライダ116A、116Bが固定されている。スライダ116A、116Bは、周方向に複数配列された案内レール114の数と同じ数だけ周方向に複数配列されている。
上述した案内レール114は、一対の側面にレール長手方向に沿うボール転動用軌道溝を備えている。案内レール114に跨がるように取り付けられたU字形状のスライダ116A、116Bは、案内レール114のボール転動用軌道溝と対向する、ボール転動用軌道溝を備えている。スライダ116A、116Bは、スライダ116A、116Bをレール長手方向に貫くボール帰還用穿通孔及びスライダの端面に固定されたエンドキャップに設けられた半円弧状のボール通路と、を含む無限循環路に多数のボール備え、案内レール114及びスライダ116A、116Bのボール転動用軌道溝間の転動路に流通させる多数のボールを循環させている。これにより、スライダ116A、116Bは、案内レール114のレール長手方向に自在に移動できる。
スライダ116A、116B及び案内レール114は、直動案内機構であって、案内レール114に力が加わってスライダ116A、116Bを中心に回転モーメントが加わっても、スライダ116A、116Bが案内レール114を支持する。このため、外筒部材112が内筒部材115に対して相対的に移動した場合、回転体10の剛性が高く、移動の動作を安定させることができる。なお、実施形態16の直動案内機構は、外筒部材112に案内レール114を備え、内筒部材115にスライダ116A、116Bを備えているが、外筒部材112にスライダ116A、116Bを備え、内筒部材115に案内レール114を備えてもよい。
スライダ116A、116Bは、同じ案内レール114にどちらか1つ取り付けられていてもよい。スライダ116A、116Bのように、スライダが同じ案内レール114に複数取り付けられている場合、スライダ116A、116Bは、直動方向に異なる位置に配置され、案内レール114に加わるモーメントを分散させて受け止めることができる。このため、外筒部材112が内筒部材115に対して相対的に移動した場合の回転体10の剛性を高め、移動の動作を安定させることができる。
ハウジングインナ22には、ステータ30を固定する支持部材35が接続されている。そして、ハウジングベース21は、ハウジングインナ22及び支持部材35を介してステータ30を固定している。また、支持部材35の径方向内側の壁面には、ハウジング20に対して第1ロータ50及び第1ロータブラケット53を回転自在に支持する第1軸受63を固定している。または、ハウジングインナ22の径方向内側の壁面に、第1軸受63が固定されていてもよい。なお、第1軸受63は、背面組み合わせの第1軸受63A、63Bで構成されている。
支持部材35の径方向外側の壁面には、ハウジング20に対して内筒部材115及び第2ロータ40を回転自在に支持する第2軸受62を固定している。または、ハウジングインナ22の径方向外側の壁面に、第2軸受62が固定されていてもよい。このように、アクチュエータ1lは、ハウジング20に対して第1ロータ50を回転自在に支持する第1軸受63と、ハウジング20に対して第2ロータ40を回転自在に支持する第2軸受62と、を含む。そして、第2軸受62は、上述した実施形態1のアクチュエータ1と異なり、第1ロータブラケット53を支持していない。このため、第2ロータ40が回転開始した場合、第2ロータ40から受ける反力が第2軸受62の起動摩擦トルクとして第1ロータブラケット53に作用して、意図しない第1ロータ50の回転を引き起こす可能性を抑制することができる。
また、第1軸受63B及び第2軸受62は、アクチュエータ1lの構成を回転中心Zr(回転中心ZR)に直交する仮想平面で切った同一平面にある。このため、第1ロータ50及び第1ロータブラケット53を支持する位置と、内筒部材115及び第2ロータ40を支持する位置の差が低減され、第1ロータ50及び第2ロータ40の回転を安定させることができる。
<ステータ>
図28は、図26に示すアクチュエータの構成を回転中心に直交する仮想平面で切ってステータの一例を模式的に示す断面図である。図24と同様に、第1ロータ50は、回転中心Zr側にボールネジ軸15Aを包囲するように筒状に設けられる。また、ステータ30は、回転中心Zr側に第1ロータ50を包囲するように筒状に設けられる。また、第2ロータ40は、回転中心Zr側にステータ30を包囲するように筒状に設けられる。
上述したように、アクチュエータ1lは、第1ロータ50が回転中心Zrを中心に回転し、第2ロータ40が回転中心Zrと平行かつ回転中心Zrとは異なる回転中心ZRを中心に回転する。このため、ステータ30のステータコア31は、外側ティース36の径方向最外側の位置を周方向に結んだ外周円弧OTの中心を、回転中心ZRと一致させている。また、ステータコア31は、内側ティース38の径方向最内側の位置を周方向に結んだ内周円弧ITの中心を、回転中心Zrと一致させている。図28に示すステータコア31は、環状のバックヨーク37の径方向の幅BHを一定とし、バックヨーク37から径方向内側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の内側ティース38の突出長さを同じIHとする。なお、スリット部39Aの径方向の幅SHも、周方向に設けられたスリット部39Aにおいて同じである。そして、ステータコア31は、バックヨーク37から径方向外側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の外側ティース36の突出長さを、外周円弧OTの中心が回転中心ZRと一致するように変え、異ならせている。
図28に示すように、アクチュエータ1lの構成を回転中心Zrに直交する仮想平面でみて、回転中心Zrと回転中心ZRとを結ぶ仮想直線上の外側ティース36の突出長さOH1と、外側ティース36の突出長さOH2とは、長さが異なる。外側ティース36の突出長さOH1は、外側ティース36の突出長さのうち周方向で最小の長さとなる。また、外側ティース36の突出長さOH2は、外側ティース36の突出長さのうち周方向で最大の長さとなる。この構造により、ステータコア31は、外周円弧OTの中心と内周円弧ITの中心とを偏心させる。そして、第1ロータ50の回転中心と第2ロータ40の回転中心とが平行かつ異なる位置となり、アクチュエータ1lは、第2ロータ40の回転に伴うネジ軸の連れ回りを抑制することができる。
変形例として、ステータコア31は、周方向に設けられた複数の外側ティース36の突出長さを同じとし、外周円弧OTの中心を、回転中心Zrと一致させてもよい。この変形例の場合、バックヨーク37から径方向外側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の内側ティース38の突出長さを、内周円弧ITの中心が回転中心ZRと一致するように変え、外周円弧OTの中心と内周円弧ITの中心とを偏心させてもよい。この構造により、アクチュエータ1lは、第1ロータ50が回転中心ZRを中心に回転し、第2ロータ40が回転中心Zrを中心に回転する。
図29は、図26に示すアクチュエータの構成を回転中心に直交する仮想平面で切ってステータの他の例を模式的に示す断面図である。図29に示すステータコア31は、環状のバックヨーク37の径方向外側の外周側円弧37OBの中心を回転中心ZRと一致させ、バックヨーク37の径方向内側の内周側円弧37IBの中心を回転中心Zrと一致させ、バックヨーク37の径方向の幅を周方向に変える。アクチュエータ1lの構成を回転中心Zrに直交する仮想平面でみて、回転中心Zrと回転中心ZRとを結ぶ仮想直線上のバックヨーク37の径方向の幅BH1と、バックヨーク37の径方向の幅BH2とは、長さが異なる。バックヨーク37の径方向の幅BH1は、バックヨーク37の径方向の幅のうち周方向で最小の幅となる。また、バックヨーク37の径方向の幅BH2は、バックヨーク37の径方向の幅のうち周方向で最大の幅となる。
スリット部39Aの径方向の幅は、バックヨーク37の径方向の幅の大きさに応じて、大きくなる。例えば、バックヨーク37の径方向の幅BH1に含まれるスリット部39Aの径方向の幅SH1は、スリット部39Aの径方向の幅のうち周方向で最小の幅となる。同様に、バックヨーク37の径方向の幅BH2に含まれるスリット部39Aの径方向の幅SH2は、スリット部39Aの径方向の幅のうち周方向で最大の幅となる。スリット部39Aの径方向の幅が、バックヨーク37の径方向の幅の大きさに応じて変わるため、バックヨーク37の周方向の磁束の分布を均一にすることができる。この構造により、径方向の延長線上に並ぶ外側ティース36と内側ティース38とはスリット部39Aの空隙で磁気的に分断される。そして、スリット部39Aの径方向に対して内側の内側バックヨークと、スリット部39Aの径方向に対して外側の外側バックヨークとは、それぞれ周方向に同じ径方向の幅となるようにスリット部39Aの空隙で磁気的に分断される。このため、外側ティース36と内側ティース38とが相互に影響を与える可能性が低減され、第1ロータ50の回転精度及び第2ロータ40の回転精度を高めることができる。
ステータコア31は、バックヨーク37から径方向内側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の内側ティース38の突出長さを同じIHとする。そして、ステータコア31は、バックヨーク37から径方向外側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の外側ティース36の突出長さを、同じOHとする。このため、外周円弧OTは、半径が外周側円弧37OBよりも大きく、外周側円弧37OB及び外周円弧OTの中心が回転中心ZRと一致する。また、内周円弧ITは、半径が内周側円弧37IBよりも小さく、内周側円弧37IB及び内周円弧ITの中心が回転中心Zrと一致する。この構造により、ステータコア31は、外周円弧OTの中心と内周円弧ITの中心とを偏心させる。そして、第1ロータ50の回転中心と第2ロータ40の回転中心とが平行かつ異なる位置となり、アクチュエータ1lは、第2ロータ40の回転に伴うネジ軸の連れ回りを抑制することができる。
次に、図1、図26、図27及び図30を用いてアクチュエータ装置100およびアクチュエータ1について説明する。図30は、実施形態16に係るアクチュエータの動作を説明する説明図である。図1に示すアクチュエータ装置100の制御装置90は、ステータ30の励磁コイル32に例えば交流を印加し、励磁コイル32に印加する電圧を所定の周期で切り換えることで、ステータ30に対して第1ロータ50及び第2ロータ40が回転する駆動力を発生させる。
アクチュエータ1lの第1ロータ50が回転すると第1ロータブラケット53に固定されているナット52も回転する。ナット52が回転すると、ボールネジ軸15Aのネジ溝がナット52のネジ溝に沿って直動方向に移動する。これにより、ボールネジ軸15Aは、ナット52が回転することで、ナット52に対して相対的に直動方向に移動する。図26及び図30に示すように、アクチュエータ1lは、ナット52の回転に応じてボールネジ軸15Aを紙面手前の面において下から上に移動することができる。図30に示す動作とは逆に、ナット52の逆回転に応じてボールネジ軸15Aを紙面手前の面において上から下に移動することができる。図26及び図30に示すように、直動伝達部材14Bは、ボールネジ軸15Aの移動に応じて、紙面手前の面において下から上、または下から上に移動する。回転体10のプレート11は、第3軸受61により直動伝達部材14Bに回転自在に支持される。このため、直動伝達部材14Bの移動に応じて、回転体10のプレート11は、直動方向に上下する。
アクチュエータ1lの第1ロータ50が回転する回転動作とは独立して、第2ロータ40も回転する。第2ロータ40が回転すると、ロータコア41の回転に連動して、内筒部材115、第2ロータブラケット42及び支持部材45が回転する。また、スライダ116A、116Bは、内筒部材115(第2ロータ40の第2ロータブラケット42)と共に回転することで外筒部材112が回転する。外筒部材112の回転に連動して、プレート11が回転する。
上述したように、回転体10のプレート11は、第3軸受61により直動伝達部材14Bに回転自在に支持されている。第2ロータ40が回転すると、ロータコア41の回転に連動して、図27に示す回転体10のプレート11が回転中心ZRを中心に直動伝達部材14Bの回りを回転する。プレート11の回転が第3軸受61を介して直動伝達部材14Bを連れ回す力は、回転中心ZRを中心に直動伝達部材14Bを回転しようとする。このため、直動伝達部材14Bに固定されたボールねじ軸15Aには回転中心ZRを中心に回転しようとする回転力が加わる。ここで、ボールネジ軸15Aと螺合するナット52の回転中心は、回転中心Zrと一致している。回転中心Zrと回転中心ZRのずれが大きいほど、回転中心ZRを中心にボールねじ軸15Aを回転しようとする回転力が、ボールネジ軸15Aを回転させナット52を回転させる回転力に変換されないため、大きな抵抗力をボールネジ軸15Aと螺合するナット52との間に生じさせる。その結果、アクチュエータ1lは、回転体10のプレート11の回転に伴うボールネジ軸15Aの連れ回りを抑制できる。
実施形態16に係るアクチュエータ1lは、上述した実施形態1に係るアクチュエータ1のように第1の直動案内機構及び第2の直動案内機構が回転中心と平行な方向にステータ30を間に挟む位置に配置されている構造ではない。このため、アクチュエータ1lは、部品点数の削減により省スペースをはかり、コストを低減することができる。また、アクチュエータ1は、部品点数の削減により信頼性を向上させることができる。
また、アクチュエータ1lは、外筒部材112が内筒部材115に対して相対的に移動させる、スライダ116A、116B及び案内レール114を含む直動案内機構を備えている。このため、アクチュエータ1lは、外筒部材112が内筒部材115の周囲を覆うことで、ボールネジ軸15Aの直動方向の移動長さ(可動範囲)を大きくすることができる。外筒部材112が内筒部材115の周囲を覆う状態のアクチュエータ1lは、直動方向の大きさが抑制され小型とすることができる。
例えば、ボールネジ軸15Aが回転中心Zrと平行に開けられた中空の孔部13を備え、励磁コイル32Aの巻き線スペースの減少に伴う第1ロータ50のトルク減少を抑制するため、上述したステータコア31、ロータコア41及びロータコア51の直動方向の厚みを増加させる。ステータコア31、ロータコア41及びロータコア51は、電磁鋼板、冷間圧延鋼板などの薄板を、積層する数を増やし、直動方向の厚みを増加させる。アクチュエータ1lは、直動方向の大きさが抑制され小型とすることができるため、ステータコア31、ロータコア41及びロータコア51の直動方向の厚みを増加させるスペースを確保することができる。また、励磁コイル32Aの巻き線スペースの減少に伴う第1ロータ50のトルク減少を抑制するため、第1ロータ50の径方向外側の外周表面に沿って貼り付けられる、図24に示すマグネットの半径を大きくするようにしてもよい。
(実施形態17)
図31は、実施形態17のリニアアクチュエータを示す断面図である。図31は、ロボットや搬送装置等の産業機械に採用される実施形態17のリニアアクチュエータ302を示すものである。なお、上述した実施形態で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。このリニアアクチュエータ302は、ケーシング304内に回転直動変換機構306が収容され、回転直動変換機構306の一部にケーシング304の外部から入り込んだ回転駆動部308が連結している。
ケーシング304は、略円筒形状の第1ケーシング分割体310と、一端側が閉塞されている略円筒形状の第2ケーシング分割体312とで構成されており、互いの大径開口部310a、312aの周縁同士がボルト等の締結手段(不図示)により結合されている。第1ケーシング分割体310には、大径開口部310aに対向する軸方向の一端側に、筒状の軸受保持部310bが形成されている。
回転直動変換機構306は、外周面に螺旋溝314aを形成したボールねじ軸314と、内周面に螺旋溝316aを形成したボールねじナット316と、ボールねじ軸314及びボールねじナット316の互いに対向する両螺旋溝314a、316aの間に設けたボール転動路を転動する多数のボール(不図示)と、ボールねじ軸314の軸方向一端側から突出している直動案内軸318と、ケーシング304(第1ケーシング分割体310)の内面及びボールねじナット316の外周の間に配置されてボールねじナット316を回転自在に支持するラジアル軸受320と、第1ケーシング分割体310の軸受保持部310b内に装着され、直動案内軸318を軸方向に摺動自在に支持している直動案内ブッシュ322とを備えている。
ここで、図31の符号P1はボールねじ軸314の軸線、符号P2は直動案内軸318の軸線であり、ボールねじ軸314及び直動案内軸318は、互いの軸線P1、P2が平行に偏心量e1で偏心して一体化されている。ここで、偏心量e1は、ボールねじ軸314の半径より小さな値である。回転駆動部308は、ボールねじナット316の外周に固定された従動プーリ324と、この従動プーリ324と回転駆動源(不図示)に設けた駆動プーリ(不図示)との間に掛け渡されている無端ベルト326とを備えている。
なお、本発明に係るねじ軸がボールねじ軸314に対応し、本発明に係るナットがボールねじナット316に対応し、本発明に係るスラスト軸受部材が直動案内ブッシュ322に対応している。本実施形態のリニアアクチュエータ302は、回転駆動部308の回転駆動源で回転力が発生すると、無端ベルト326、従動プーリ324を介してボールねじナット316に回転力が伝達される。ボールねじ軸314の軸線P1は、直動案内ブッシュ322に支持されている直動案内軸318の軸線P2に対して偏心しているので、ボールねじナット316から回転力が伝達されたボールねじ軸314は、軸線P1回りの回転が抑制されながら、直動案内軸318が直動案内ブッシュ322内を摺動することで軸方向(図31の矢印方向)の直線運動を行う。
したがって、本実施形態のリニアアクチュエータ302は、回転駆動部308の回転駆動源から伝達された回転を直動案内軸318の直線運動として出力することができる。また、本実施形態のリニアアクチュエータ302は、ボールねじ軸314と、その端部に設けた直動案内軸318とを軸線P1、P2が平行に偏心するように一体化し、直動案内軸318を直動案内ブッシュ322を介してケーシング304(軸受保持部310b)で支持することで、ボールねじ軸314の軸線P1回りの回転が抑制され、同時に軸方向移動が可能とされるので、簡便な構造であり、しかも部品点数を増大させずにボールねじ軸314の直動案内を行うことができる。
また、ボールねじナット316からボールねじ軸314に回転力が伝達されると、ボールねじ軸314の軸線P1に対して軸線P2が一致していない直動案内軸318に径方向の予圧が付与される。これにより、径方向の予圧が付与された直動案内軸318は、直動案内ブッシュ322に対する径方向のガタが減少するので、ラジアル剛性を高くすることができる。なお、直動案内軸318を軸方向に摺動自在に支持する部材として直動案内ブッシュ322を採用せず、リニアボールベアリングを採用してもよい。
(実施形態18)
次に、図32は、実施形態18のリニアアクチュエータを示す断面図である。図32に示すものは、実施形態18のリニアアクチュエータ330を示すものである。なお、上述した実施形態で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。本実施形態のリニアアクチュエータ330は、ケーシング304を構成する第2ケーシング分割体312に、大径開口部312aに対向する軸方向の一端側に、筒状の軸受保持部312bが形成されている。
また、ボールねじ軸314の軸方向の両端部から一対の直動案内軸332a、332bが突出している。一方の直動案内軸332aの軸線P3は、ボールねじ軸314の軸線P1に対して平行に偏心量e2で偏心している。また、他方の直動案内軸332bの軸線P4は、ボールねじ軸314の軸線P1に対して平行に偏心量e3で偏心している。ここで、偏心量e2、e3は、ボールねじ軸314の半径より小さな値である。
そして、回転直動変換機構306は、第1ケーシング分割体310の軸受保持部310b内に装着され、直動案内軸332aを軸方向に摺動自在に支持している直動案内ブッシュ334と、第2ケーシング分割体312の軸受保持部312b内に装着され、直動案内軸332bを軸方向に摺動自在に支持している直動案内ブッシュ336とを備えている。なお、本発明に係るねじ軸がボールねじ軸314に対応し、本発明に係るナットがボールねじナット316に対応し、本発明に係るスラスト軸受部材が直動案内ブッシュ334、336に対応している。
本実施形態のリニアアクチュエータ330は、回転駆動部308の回転駆動源で回転力が発生すると、無端ベルト326、従動プーリ324を介してボールねじナット316に回転力が伝達される。ボールねじ軸314の軸線P1は、直動案内ブッシュ334、336に支持されている直動案内軸332a、332bの軸線P3、P4に対して偏心しているので、ボールねじナット316から回転力が伝達されたボールねじ軸314は、軸線P1回りの回転が抑制されながら、直動案内軸332a、332bが直動案内ブッシュ334、336内を摺動することで軸方向(図32の矢印方向)の直線運動を行う。
本実施形態のリニアアクチュエータ330は、実施形態17のリニアアクチュエータ302と同様に、ボールねじ軸314の軸線P1回りの回転抑制を簡便な構造で行うことができる。また、ボールねじナット316からボールねじ軸314に回転力が伝達されると、ボールねじ軸314の軸線P1に対して軸線P3、P4が一致していない直動案内軸332a、332bに径方向の予圧が付与される。径方向の予圧が付与された直動案内軸332a、332bは、互いに軸方向に離間して配置されているので、さらにラジアル剛性を高くすることができ、ボールねじ軸314の軸方向移動をスムーズに行うことができる。
なお、本実施形態の偏心量e2、e3は、同一の偏心量に設定する必要はない。また、直動案内軸332a、332bを軸方向に摺動自在に支持する部材として直動案内ブッシュ334、336を採用せず、リニアボールベアリングを採用してもよい。
(実施形態19)
次に、図33は、実施形態19のリニアアクチュエータを示す断面図である。図33に示すものは、実施形態19のリニアアクチュエータ340を示すものである。なお、上述した実施形態で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のリニアアクチュエータ340は、ケーシング304として構成された第1ケーシング分割体342と第2ケーシング分割体344との間に、回転駆動部としてのブラシレスモータ346が配置されている。第1ケーシング分割体342は、大径開口部342aに対向する軸方向の一端側に、筒状の軸受保持部342bが形成されている。第2ケーシング分割体344も、大径開口部344aに対向する軸方向の一端側に、筒状の軸受保持部344bが形成されている。
ブラシレスモータ346は、第1ケーシング分割体342の大径開口部342a側の開口縁部及び第2ケーシング分割体344の大径開口部344a側の開口縁部の間に取り付けられた略円筒状のステータ348と、ステータ348の内周側に配置したロータ350とで構成されている。ステータ348は、例えば金属製のコアプレート(不図示)を積層したステータコア(不図示)を有し、ステータコアの内周側にインシュレータ(不図示)を介して複数相のコイル(不図示)を巻装した構造とされている。
ロータ350は、ボールねじナット316の外周にスプライン結合されたロータコア352と、ロータコア352の外周に固定されたマグネット354と、マグネット354の外周面を覆うロータカバー356とを備えている。また、本実施形態の回転直動変換機構306は、実施形態18と同様に、ボールねじ軸314の軸方向の両端部から一対の直動案内軸332a、332bが突出し、一方の直動案内軸332aの軸線P3は、ボールねじ軸314の軸線P1に対して平行に偏心量e2だけ偏心し、他方の直動案内軸332bの軸線P4は、ボールねじ軸314の軸線P1に対して平行に偏心量e3だけ偏心している。
軸受保持部342bの開放端側(図33の左側)には、直動案内軸332aに向けて延在する仕切板358が一体に形成されており、この仕切板358の直動案内軸332aを挿通する挿通孔358aの内周面に、Oリング装着溝358bが形成されている。そして、Oリング装着溝358bに、弾性変形しながら直動案内軸332aに密着するOリング360が装着されている。
また、軸受保持部344bの開放端側(図33の右側)には、直動案内軸332bに向けて延在する仕切板362が一体に形成されており、この仕切板362の直動案内軸332bを挿通する挿通孔362aの内周面に、Oリング装着溝362bが形成されている。そして、Oリング装着溝362bに、弾性変形しながら直動案内軸332bに密着するOリング364が装着されている。
なお、本発明に係るねじ軸がボールねじ軸314に対応し、本発明に係るナットがボールねじナット316に対応し、本発明に係るスラスト軸受部材が直動案内ブッシュ334、336に対応している。本実施形態のリニアアクチュエータ340は、ブラシレスモータ346のステータ348の複数相のコイルにモータ駆動電流が供給されると、ステータ348の回転磁界の発生によりロータ350が回転駆動し、ボールねじナット316に回転力が伝達される。
本実施形態も、ボールねじ軸314の軸線P1が、直動案内ブッシュ334、336に支持されている直動案内軸332a、332bの軸線P3、P4に対して偏心しているので、ボールねじナット316から回転力が伝達されたボールねじ軸314は、軸線P1回りの回転が抑制されながら、直動案内軸332a、332bが直動案内ブッシュ334、336内を摺動することで軸方向の直線運動を行う。
したがって、本実施形態のリニアアクチュエータ340は、図32で示した実施形態18と同様に、ボールねじ軸314の軸線P1回りの回転抑制を簡便な構造で行うことができるとともに、径方向の予圧が付与された直動案内軸332a、332bが互いに軸方向に離間して配置されているので、ラジアル剛性を高くすることができ、ボールねじ軸314の軸方向移動をスムーズに行うことができる。
また、ブラシレスモータ346内部のコイル、絶縁部品、結線部品を除いた部品を鉄系部材に統一すると、異材組合せ構造による各部品の熱膨張の違いによって生じる熱変形の悪影響を少なくすることができる。さらに、直動案内軸332a及び軸受保持部342bの仕切板358の間にはOリング360が装着され、直動案内軸332b及び軸受保持部344bの仕切板362の間にはOリング364が装着されているので、リニアアクチュエータ340の内部への防水機能を確保することができる。
なお、本実施形態の偏心量e2、e3も、同一の偏心量に設定する必要はない。また、直動案内軸332a、332bを軸方向に摺動自在に支持する部材として直動案内ブッシュ334、336を採用せず、リニアボールベアリングを採用してもよい。
(実施形態20)
次に、図34は、実施形態20のリニアアクチュエータを示す断面図である。図34に示すものは、実施形態20のリニアアクチュエータ370を示すものである。なお、上述した実施形態で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態のリニアアクチュエータ370は、ケーシング304として構成された第1ケーシング分割体372と第2ケーシング分割体374との間に、回転駆動部としてのブラシレスモータ368が配置されている。第1ケーシング分割体372は、大径開口部372aに対向する軸方向の一端側に、筒状の軸受保持部372bが形成されている。第2ケーシング分割体374も、大径開口部374aに対向する軸方向の一端側に、筒状の軸受保持部374bが形成されている。
ブラシレスモータ368は、第1ケーシング分割体372の大径開口部372a側の開口縁部及び第2ケーシング分割体374の大径開口部374a側の開口縁部の間に取り付けられた略円筒状のステータ348と、ステータ348の内周側に配置したロータ350とで構成されており、図33のブラシレスモータ346と同一の構成部材で構成されている。本実施形態の回転直動変換機構306は、ボールねじ軸314の軸方向の一端部から直動案内軸376が突出し、ボールねじ軸314の軸方向の他端部から偏心部材378を介して直動案内軸380が突出している。
一方の直動案内軸376の軸線P5は、ボールねじ軸314の軸線P1に対して平行に偏心量e4だけ偏心している。ここで、偏心量e4は、ボールねじ軸314の半径より小さな値である。偏心部材378は、ボールねじ軸314の他端部から軸線P1に直交する方向に延在した部材であり、偏心部材378の先端側に他方の直動案内軸380が固定されている。直動案内軸380の軸線P6は、ボールねじ軸314の軸線P1に対して平行に偏心量e5だけ偏心している。ここで、偏心量e5は、ボールねじ軸314の半径より大きく、直径より小さな値である。また、直動案内軸380の外径寸法は、ボールねじ軸314の外径寸法より大きい。
そして、第1ケーシング分割体372の軸受保持部372b内に装着した直動案内ブッシュ382が直動案内軸376を軸方向に摺動自在に支持し、第2ケーシング分割体374の軸受保持部374b内に装着した直動案内ブッシュ384が直動案内軸380を軸方向に摺動自在に支持している。そして、軸受保持部372bの開放端側(図34の左側)には、直動案内軸376に向けて延在する仕切板386が一体に形成されており、この仕切板386の直動案内軸376を挿通する挿通孔386aの内周面に、Oリング装着溝386bが形成されている。そして、Oリング装着溝386bに、弾性変形しながら直動案内軸376に密着するOリング388が装着されている。
また、軸受保持部374bの開放端側(図34の右側)には、直動案内軸380に向けて延在する仕切板390が一体に形成されており、この仕切板390の直動案内軸380を挿通する挿通孔390aの内周面に、Oリング装着溝390bが形成されている。そして、Oリング装着溝390bに、弾性変形しながら直動案内軸380に密着するOリング392が装着されている。
なお、本発明に係るねじ軸がボールねじ軸314に対応し、本発明に係るナットがボールねじナット316に対応し、本発明に係るスラスト軸受部材が直動案内ブッシュ382、384に対応している。本実施形態のリニアアクチュエータ370は、ブラシレスモータ368のステータ348の複数相のコイルにモータ駆動電流が供給されると、ステータ348の回転磁界の発生によりロータ350が回転駆動し、ボールねじナット316に回転力が伝達される。
本実施形態も、ボールねじ軸314の軸線P1が、直動案内ブッシュ382、384に支持されている直動案内軸376、380の軸線P5、P6に対して偏心しているので、ボールねじナット316から回転力が伝達されたボールねじ軸314は、軸線P1回りの回転が抑制されながら、直動案内軸376、380が直動案内ブッシュ382、384内を摺動することで軸方向の直線運動を行う。
ここで、本実施形態のリニアアクチュエータ370が他の実施形態と異なる構成は、直動案内軸380の軸線P6が、ボールねじ軸314の軸線P1に対して、ボールねじ軸314の半径より大きく、直径より小さな値の偏心量e5で平行に偏心している。このように、直動案内軸380の軸線P6とボールねじ軸314の軸線P1との間に大きな偏心量e5を設けると、直動案内軸380には大きな径方向の予圧が付与されるので、さらにラジアル剛性が高くなり、ボールねじ軸314の軸方向移動をスムーズに行うことができる。
また、ボールねじ軸314の軸方向の他端部からボールねじ軸314の軸線P1に直交する方向に偏心部材378を設け、この偏心部材378の先端部に直動案内軸380を設けたことで、ボールねじ軸314の軸線P1に対して大きく偏心した位置に直線運動の出力部を設けることができ、直線運動の出力部の位置を容易に変更できるリニアアクチュエータ370を提供することができる。
なお、直動案内軸376、380を軸方向に摺動自在に支持する部材として直動案内ブッシュ382、384を採用せず、リニアボールベアリングを採用してもよい。
(実施形態21)
図35は、実施形態21のリニアアクチュエータを示す断面図である。図35に示すものは、実施形態21のリニアアクチュエータ394を示すものである。なお、上述した実施形態で示した構成と同一構成部分には、同一符号を付してその説明を省略する。本実施形態のリニアアクチュエータ394は、ケーシング304を構成する第2ケーシング分割体374に、大径開口部374aに対向する軸方向の一端側に、一対の軸受保持部374b1、374b2が形成されている。
本実施形態の回転直動変換機構306は、ボールねじ軸314の軸方向の他端部から軸線P1に直交する方向に偏心部材396が延在し、この偏心部材396に一対の直動案内軸380a、380bが突出して設けられている。一方の直動案内軸380aの軸線P7は、ボールねじ軸314の軸線P1に対して平行に偏心量e6だけ偏心している。ここで、偏心量e6は、ボールねじ軸314の半径より大きな値である。また、直動案内軸380aの外径寸法は、ボールねじ軸314の外径寸法より大きい。
他方の直動案内軸380bの軸線P8は、一方の直動案内軸380aに対してボールねじ軸314の軸線P1を中心とした線対称位置であり、ボールねじ軸314の軸線P1に対して平行に偏心量e7だけ偏心している。ここで、偏心量e7も、ボールねじ軸314の半径より大きな値である。また、直動案内軸380bの外径寸法も、ボールねじ軸314の外径寸法より大きい。
なお、本発明に係るねじ軸がボールねじ軸314に対応し、本発明に係るナットがボールねじナット316に対応し、本発明に係るスラスト軸受部材が直動案内ブッシュ382、384a、384bに対応している。本実施形態のリニアアクチュエータ394は、ブラシレスモータ368のステータ348の複数相のコイルにモータ駆動電流が供給されると、ステータ384の回転磁界の発生によりロータ350が回転駆動し、ボールねじナット316に回転力が伝達される。
本実施形態も、ボールねじ軸314の軸線P1が、直動案内ブッシュ382、384a、384bに支持されている直動案内軸376、380a、380bの軸線P5、P7、P8に対して偏心しているので、ボールねじナット316から回転力が伝達されたボールねじ軸314は、軸線P1回りの回転が抑制されながら、直動案内軸376、380a、380bが直動案内ブッシュ382、384a、384b内を摺動することで軸方向の直線運動を行う。
本実施形態によると、ボールねじ軸314の軸方向の他端部に、一対の直動案内軸380a、380bが設けられており、それら直動案内軸380a、380bの軸線P7、P8とボールねじ軸314の軸線P1との間に大きな偏心量e6、e7を設けると、直動案内軸380a、380bには大きな径方向の予圧が付与されるので、さらにラジアル剛性が高くなり、ボールねじ軸314の軸方向移動をスムーズに行うことができる。
また、ボールねじ軸314の軸方向の他端部からボールねじ軸314の軸線P1に直交する方向に偏心部材396を設け、この偏心部材396の先端部に直動案内軸380a、380bを設けたことで、ボールねじ軸314の軸線P1に対して大きく偏心した位置に直線運動の出力部を設けることができ、直線運動の出力部の位置を容易に変更できるリニアアクチュエータ394を提供することができる。
なお、本実施形態の偏心量e6、e7は、同一の偏心量に設定する必要はない。ここで、各実施形態の回転直動変換機構306は、外周面に螺旋溝314aを形成したボールねじ軸314と、内周面に螺旋溝316aを形成したボールねじナット316と、ボールねじ軸314及びボールねじナット316の互いに対向する両螺旋溝314a、316aの間に設けたボール転動路を転動する多数のボールとを備えた構造としたが、外周に雄ねじを形成したシャフトと、内周面に雌ねじを形成したナットで回転直動変換機構を構成してもよい。
また、各実施形態のボールねじナット316、ボールねじ軸314及びボールねじ軸314の端部に一体化された直動案内軸318、332a、332b、376、380、380a、380bを予圧構造とすることで、ガタの無い剛性のある回転直動変換機構306を得ることができる。さらに、直動案内軸376、380a、380bを軸方向に摺動自在に支持する部材として直動案内ブッシュ382、384a、384bを採用せず、リニアボールベアリングを採用してもよい。さらにまた、各実施形態では直動案内軸376、380a、380bを円形断面形状として説明したが、用途により他の形状、例えば楕円形状であってもよい。