本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るアクチュエータ装置の概略構成を示す模式図である。図1に示すように、アクチュエータ装置100は、アクチュエータ1と制御装置(モータ制御回路)90とを含む。アクチュエータ1は、ハウジング(筐体)の一部(ステータハウジング20)が締結部材で支持部95に支持されている。なお、締結部材はネジ、ボルト、ピン等である。これにより、アクチュエータ1は、支持部95に固定される。また、アクチュエータ1は、回転体(被回転体)10が回転中心ZRを中心に回転運動すると共に、直動方向(回転中心ZRと平行な方向であるZ方向)に直動運動する。例えば、アクチュエータ1は、回転体10を点線の位置から実線の位置に移動することができる。逆に、アクチュエータ1は、回転体10を実線の位置から点線の位置に移動することができる。アクチュエータ1の構成については後述する。制御装置90は、アクチュエータ1の駆動を制御する装置である。
制御装置90は、アクチュエータ1に供給する電流、電圧の大きさ、周波数、波形を制御することで、アクチュエータ1の回転方向や回転速度を制御し、直動方向に移動する可動子の、直動方向における移動方向や移動速度を制御する。例えば、外部のコンピュータから回転指令iが入力されたとき、制御装置90は、CPU(Central Processing Unit)91から3相アンプ(AMP:Amplifier)92に駆動信号を出力し、AMP92からアクチュエータ1に駆動電流Miが供給される。アクチュエータ1は、駆動電流Miにより積載台96が回転し、ワーク97を移動させるようになっている。積載台96が回転すると、後述する回転角度を検出したレゾルバ等の角度検出器から検出信号(レゾルバ信号)Srが出力される。制御装置90は、検出信号Srをレゾルバデジタル変換器(RDC:Resolver to Digital Converter)93でデジタル変換する。RDC93からの検出信号Srのデジタル情報に基づいて、CPU91はワーク97が指令位置に到達したか否かを判断し、指令位置に到達する場合、AMP92への駆動信号を停止する。
ワーク97は、積載台96を介して回転体10に配置されている。ワーク97は、積載台96を介さず回転体10に直接配置されていてもよい。アクチュエータ装置100は、制御装置90によりアクチュエータ1の動作を制御し、アクチュエータ1の回転体10を直動方向(図1中矢印Z方向)に移動させることで、ワーク97または積載台96を移動させることができる。
次に、図2及び図3を用いてアクチュエータ1の構成について説明する。図2は、実施形態1のアクチュエータの構成を第1ロータの回転中心及び第2ロータの回転中心を含む仮想平面で切って模式的に示す断面図である。図3は、実施形態1のアクチュエータのロータハウジングを回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。
図2に示すように、アクチュエータ1は、いわゆるブラシレスモータであり、ボールネジ軸15と、静止状態に維持される固定子(以下、「ステータ」という)30と、ステータ30に対して回転可能に配置された2つの回転子である第1ロータ50及び第2ロータ40と、ステータ30を固定して上述した支持部95に取り付けられるステータハウジング20と、第1ロータ50に固定されボールネジ軸15と螺合するナット52と、を含む。
実施形態1に係るアクチュエータ1は、第1ロータ50が回転中心Zrを中心に回転し、第2ロータ40が回転中心Zrと平行かつ回転中心Zrとは異なる位置にある回転中心ZRを中心に回転する。このように、アクチュエータ1は、ステータ30に対して回転可能に配置された2つの回転子である第1ロータ50及び第2ロータ40の回転中心が同軸ではなく、第2ロータ40の回転中心ZRが回転中心Zrに対して偏心している。
ボールネジ軸15は、第1ロータ50の回転中心Zrに配置された棒状の部材である。具体的には、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)にネジ溝が形成されているネジ軸である。ボールネジ軸15の一端には、フランジ部14Aが固定されている。フランジ部14Aは、ボールネジ軸15の移動に追随して、回転中心Zrに平行な方向(直動方向)に移動する。第1ロータ50に固定されボールネジ軸15と螺合するナット52は、回転中心Zrを中心に回転する。そして、アクチュエータ1は、ボールネジ軸15とナット52との間で、ボールが転がり運動をするため、摩擦が小さく、回転運動を直線運動とする効率を高めることができる。
上述した、実施形態1に係るアクチュエータ1は、ボールネジ軸15を、他の種類のネジ軸としてもよい。他の種類のネジ軸としては、例えば台形ネジ軸、三角ネジ軸がある。ボールネジ軸15の代わりに、台形ネジ軸、三角ネジ軸等の他のネジ軸を適用する場合、台形ネジ軸、三角ネジ軸のネジ溝がナットと螺合する摩擦力を利用して、ネジ軸の逆作動を抑制することができる。そして、アクチュエータ1は、逆作動を抑制させるために第1ロータ50に発生させる回転トルクを最小限とすることができる。例えば、アクチュエータ1は、第1ロータ50に回転トルクを与える励磁コイル32Aの励磁を停止しても、ネジ軸の位置を維持することができる。
また、アクチュエータ1は、第2ロータ40と共に回転する回転体(以下、「ロータハウジング」という)10と、ボールネジ軸15に固定されたフランジ部14Aと、フランジ部14Aに対して第2ロータ40を回転自在に支持する第3軸受61と、を含む。この構造により、アクチュエータ1は、ロータハウジング10を回転させながら直動方向に移動させることができる。
ボールネジ軸15は、直動方向の端部近傍にボールネジ軸15のフランジ部14Aを構成する直動伝達部材14Bが環状の固定部材14Cで固定されている。このため、ボールネジ軸15が直動方向に移動する場合、ボールネジ軸15とともに直動伝達部材14Bも移動する。直動伝達部材14Bは、円盤状の板部材であり、ボールネジ軸15が直動伝達部材14Bを貫通している。図3に示すように、直動伝達部材14Bの径方向外側の外周は、円形である。そして、直動伝達部材14Bの径方向外側の外周の中心は、第2ロータ40の回転中心ZRと一致する。直動伝達部材14Bは、径方向外側の外周に、ロータハウジング10を回転自在に支持する第3軸受61を備えている。
図2に示すように、ステータ30は、筒状のステータコア31と、励磁コイル32とを含む。ステータ30は、ステータコア31に励磁コイル32が巻き付けられる。励磁コイル32は、線状の電線である。励磁コイル32は、ステータコア31の外周に、絶縁体のコイルインシュレータを介して巻回される。ステータ30には、電源からの電力を供給するための配線が接続されており、この配線を通じて励磁コイル32に対して上述した制御装置90から電力が供給されるようになっている。なお、励磁コイル32は、後述するステータコア31の径方向内側のティースに巻き付けられる励磁コイル32Aと、ステータコア31の径方向外側のティースに巻き付けられる励磁コイル32Bとを含む。
第1ロータ50は、ロータコア51と、第1ロータブラケット53と、固定部材54とを含む。固定部材54は、ボールネジ軸15が挿入可能な孔が開けられていると共に、第1ロータブラケット53の一方の開口端部を閉塞する略円板状の部材であり、第1ロータブラケット53と、ナット52とを連結している。固定部材54は、ナット52と一体の部材であってもよい。また、第1ロータブラケット53は、外周にロータコア51を固定している。
第2ロータ40は、ロータコア41と、ロータコア41の径方向外側を覆う円筒形状の部材である内筒部材115とを含む。内筒部材115は、第2ロータブラケット42と、支持部材45とを含む。支持部材45は、第2ロータブラケット42と一体となっており、ロータコア41の回転に連動して、第2ロータブラケット42と支持部材45とが回転する。また、支持部材45の径方向内側の壁面には、ステータ30に対して第2ロータ40を回転自在に支持する第2軸受62の外輪が固定されている。なお、支持部材45は、第2ロータブラケット42とは別体の部材であって、連結されていてもよい。第2ロータブラケット42は、第2ロータブラケット42の外周側に固定され、かつ周方向に複数配列された直動方向に延びる案内レール114を備えている。案内レール114は、例えば周方向に均等に4つ配列されている。案内レール114の周方向の数は、上述した数に限るものではなく、適宜、適切な数が配置される。
ステータコア31、ロータコア41及びロータコア51は、電磁鋼板、冷間圧延鋼板などの薄板を、接着、ボス、カシメなどの手段により積層して製造されている。ステータコア31、ロータコア41及びロータコア51は、順次金型の型内において積層され、金型から排出される。なお、ステータコア31、ロータコア41及びロータコア51は、磁性体の粉を固めた圧粉磁心でもよい。
ロータハウジング10は、第2ロータ40の回転中心を軸心としてボールネジ軸15の直動方向の一方端側に配置されるプレート部111と、内径がロータコア41及び第2ロータブラケット42よりも大きい略円筒形状の外筒部112を有している。外筒部112は、プレート部111と一体となっており、プレート部111の径方向外側端部から直動方向に延びて第2ロータ40の径方向外側に形成され、ロータコア41の回転に連動して、プレート部111と外筒部112とが回転する。また、ロータハウジング10は、アクチュエータ1の内部への異物の侵入及びアクチュエータ1の内部で発生する発塵の外部への流出を防ぐ蓋部材11を備えている。また、ロータハウジング10は、外筒部112の径方向内側の内周には、案内レール114を摺動するスライダ116が固定されている。スライダ116は、周方向に複数配列された案内レール114の数と同じ数だけ周方向に複数配列されている。なお、ロータハウジング10は、外筒部112を構成する略円筒形状の部材とプレート部111を構成する略円板状の部材とを組み合わせた構成であってもよい。
上述した案内レール114は、一対の側面にレール長手方向に沿うボール転動用軌道溝を備えている。案内レール114に跨がるように取り付けられたU字形状のスライダ116は、案内レール114のボール転動用軌道溝と対向する、ボール転動用軌道溝を備えている。スライダ116は、スライダ116をレール長手方向に貫くボール帰還用穿通孔及びスライダ116の端面に固定されたエンドキャップに設けられた半円弧状のボール通路と、を含む無限循環路に多数のボールを備え、案内レール114及びスライダ116のボール転動用軌道溝間の転動路に流通させる多数のボールを循環させている。これにより、スライダ116は、案内レール114のレール長手方向に自在に移動できる。
スライダ116及び案内レール114は、直動案内機構であって、スライダ116に力が加わって案内レール114を中心に回転モーメントが加わっても、案内レール114がスライダ116に支持される。このため、外筒部112が内筒部材115に対して相対的に移動した場合、回転体10の剛性が高く、移動の動作を安定させることができる。なお、実施形態1の直動案内機構は、外筒部112にスライダ116を備え、内筒部材115に案内レール114を備えているが、外筒部112に案内レール114を備え、内筒部材115にスライダ116を備えてもよい。
スライダ116は、同じ案内レール114に複数取り付けられていてもよい。スライダ116が同じ案内レール114に複数取り付けられている場合、スライダ116は、直動方向に異なる位置に配置され、案内レール114に加わるモーメントが分散されて受け止められる。このため、外筒部112が内筒部材115に対して相対的に移動した場合の回転体10の剛性を高め、移動の動作を安定させることができる。
ステータハウジング20は、ハウジングベース部21と、外径が外筒部112よりも小さい略円筒形状の内筒部211とを有している。内筒部211は、ハウジングベース部21と一体となっており、ハウジングベース部21の径方向外側端部から直動方向に延びて外筒部112の径方向内側に形成されている。ハウジングベース部21及び外筒部112を形成する材料としては、例えばSPCC(Steel Plate Cold Commercial)等の一般的な鋼材や、電磁軟鉄等が適用できる。また、ステータハウジング20は、ハウジングインナ22と、円環部材23とを備えている。ハウジングインナ22には、ステータ30を固定する支持部材35が接続されている。ハウジングベース部21は、ハウジングインナ22及び支持部材35を介してステータ30を固定している。
ハウジングインナ22の径方向内側の壁面には、ステータハウジング20に対して第1ロータ50及び第1ロータブラケット53を回転自在に支持する第1軸受63を固定している。または、支持部材35の径方向内側の壁面に、第1軸受63が固定されていてもよい。なお、第1軸受63は、背面組み合わせの第1軸受63A,63Bで構成されている。
ハウジングインナ22の径方向外側の壁面には、ステータハウジング20に対して内筒部材115及び第2ロータ40を回転自在に支持する第2軸受62を固定している。または、支持部材35の径方向外側の壁面に、第2軸受62が固定されていてもよい。このように、アクチュエータ1は、ステータハウジング20に対して第1ロータ50を回転自在に支持する第1軸受63と、ステータハウジング20に対して第2ロータ40を回転自在に支持する第2軸受62と、を含む。そして、第2軸受62は、第1ロータブラケット53を支持していない。このため、第2ロータ40が回転開始した場合、第2ロータ40から受ける反力が第2軸受62の起動摩擦トルクとして第1ロータブラケット53に作用して、意図しない第1ロータ50の回転を引き起こす可能性を抑制することができる。
また、図2に示す例において、第1軸受63B及び第2軸受62は、アクチュエータ1の構成を回転中心Zr(回転中心ZR)に直交する仮想平面で切った同一平面にある。このため、第1ロータ50及び第1ロータブラケット53を支持する位置と、内筒部材115及び第2ロータ40を支持する位置の差が低減され、アクチュエータ1の直動方向の高さを低くすることができる。なお、第1軸受63B及び第2軸受62等の軸受の配置はこれに限らず、例えば、第1ロータ50及び第2ロータ40の磁石の取り付け位置の誤差等で径方向に第1ロータ50及び第2ロータ40が引っ張られる力が働いた際に、軸受にモーメント力が働かないような配置とするのが好ましい。例えば、軸受をステータコア31の直動方向の両端に配置することで、軸受に働くモーメント力を抑制することができ、第1ロータ50及び第2ロータ40の回転を安定させることができる。さらに、ステータコア31の直動方向の両端に配置した軸受間の直動方向の中心位置と、第1ロータ50及び第2ロータ40の磁石の直動方向の中心位置とが回転中心Zr(回転中心ZR)に直交する仮想平面で切った同一平面にある構成とすることで、軸受に働くモーメント力をより抑制することができ、第1ロータ50及び第2ロータ40の回転をより安定させることができる。
次に、図1、図4、図5、図6を用いて、本実施形態に係るアクチュエータ1のロータハウジング10とステータハウジング20とについて詳細に説明する。図4は、図2に示す実施形態1に係るアクチュエータのステータハウジングのハウジングベース部と内筒部とを回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図5は、図4に示すハウジングベース部に取り付けられる円環部材を回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図6は、図2に示す実施形態1に係るアクチュエータにおける一点鎖線枠内の拡大図である。
図2及び図4に示すように、ステータハウジング20は、第2ロータ40の回転中心を軸心としてボールネジ軸15の直動方向の他方端側に配置される略円板状のハウジングベース部21と、外径がロータハウジング10の外筒部112の内径よりも小さい略円筒形状の内筒部211と、ハウジングインナ22が接続される略円環状の凸部212と、凸部212の外径よりも内径が大きく、第2ロータ40の回転中心を軸心としてハウジングベース部21の内筒部211側の面に形成された略円環状の溝部213と、溝部213の外径側の壁面から径方向の一方向に延びてハウジングベース部21を貫通して穿孔され、ロータハウジング10とステータハウジング20とで囲われた内部の空気を吸引排気装置98により吸引排気するための排気孔214とを有している。そして、ハウジングベース部21の溝部213の内径よりも径方向内側の面216と溝部213の外径よりも径方向外側の面215とは、直動方向の位置が等しい同一の平面上にある。
内筒部211は、ハウジングベース部21の径方向外側端部から直動方向に延びてロータハウジング10の外筒部112の径方向内側に形成されており、ロータハウジング10の外筒部112とハウジングベース部21の内筒部211とが、例えば0.1mm乃至0.5mm程度の間隙(以下、「第1の間隙」という)218を隔てて径方向に重なるシール部217が形成される。
図2及び図5に示すように、円環部材23は、内径がハウジングベース部21に形成された溝部213の内径よりも小さく、外径が溝部213の外径よりも大きい略円環状の部材である。
円環部材23は、溝部213の内径に沿ってハウジングベース部21に接する略円環状の接続部231と、接続部231を含まない非接続部232とを有している。そして、図2及び図6に示すように、円環部材23は、ハウジングベース部21と円環部材23とを組み合わせた際に、円環部材23と溝部213の外径に沿うハウジングベース部21の溝部213の外径よりも径方向外側の面215とが、例えば数μm乃至数十μm程度の間隙(以下、「第2の間隙」という)234を隔てて直動方向に重なる絞り部233が形成されるように、接続部231と非接続部232との間に、第2の間隙234に相当する段差が設けられている。
なお、ハウジングベース部21と円環部材23とは、例えば、複数のネジ等の締結部材を用いて接続しても良いし、ハウジングベース部21と円環部材23の接続部231とを接着あるいは溶接して接続しても良い。
図7は、図2に示すアクチュエータの構成を回転中心に直交する仮想平面で切ってステータの一例を模式的に示す断面図である。第1ロータ50は、回転中心Zr側にボールネジ軸15を包囲するように筒状に設けられる。また、ステータ30は、回転中心Zr側に第1ロータ50を包囲するように筒状に設けられる。また、第2ロータ40は、回転中心Zr側にステータ30を包囲するように筒状に設けられる。
上述したように、アクチュエータ1は、第1ロータ50が回転中心Zrを中心に回転し、第2ロータ40が回転中心Zrと平行かつ回転中心Zrとは異なる回転中心ZRを中心に回転する。このため、ステータ30のステータコア31は、外側ティース36の径方向最外側の位置を周方向に結んだ外周円弧OTの中心を、回転中心ZRと一致させている。また、ステータコア31は、内側ティース38の径方向最内側の位置を周方向に結んだ内周円弧ITの中心を、回転中心Zrと一致させている。図7に示すステータコア31は、環状のバックヨーク37の径方向の幅BHを一定とし、バックヨーク37から径方向内側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の内側ティース38の突出長さを同じIHとする。なお、スリット部39Aの径方向の幅SHも、周方向に設けられたスリット部39Aにおいて同じである。そして、ステータコア31は、バックヨーク37から径方向外側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の外側ティース36の突出長さを、外周円弧OTの中心が回転中心ZRと一致するように変え、異ならせている。
図7に示すように、アクチュエータ1の構成を回転中心Zrに直交する仮想平面でみて、回転中心Zrと回転中心ZRとを結ぶ仮想直線上の外側ティース36の突出長さOH1と、外側ティース36の突出長さOH2とは、長さが異なる。外側ティース36の突出長さOH1は、外側ティース36の突出長さのうち周方向で最小の長さとなる。また、外側ティース36の突出長さOH2は、外側ティース36の突出長さのうち周方向で最大の長さとなる。この構造により、ステータコア31は、外周円弧OTの中心と内周円弧ITの中心とを偏心させる。そして、第1ロータ50の回転中心と第2ロータ40の回転中心とが平行かつ異なる位置となり、アクチュエータ1は、第2ロータ40の回転に伴うネジ軸の連れ回りを抑制することができる。
変形例として、ステータコア31は、周方向に設けられた複数の外側ティース36の突出長さを同じとし、外周円弧OTの中心を、回転中心Zrと一致させてもよい。この変形例の場合、バックヨーク37から径方向外側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の内側ティース38の突出長さを、内周円弧ITの中心が回転中心ZRと一致するように変え、外周円弧OTの中心と内周円弧ITの中心とを偏心させてもよい。この構造により、アクチュエータ1は、第1ロータ50が回転中心ZRを中心に回転し、第2ロータ40が回転中心Zrを中心に回転する。
図8は、図2に示すアクチュエータの構成を回転中心に直交する仮想平面で切ってステータの他の例を模式的に示す断面図である。図8に示すステータコア31は、環状のバックヨーク37の径方向外側の外周側円弧37OBの中心を回転中心ZRと一致させ、バックヨーク37の径方向内側の内周側円弧37IBの中心を回転中心Zrと一致させ、バックヨーク37の径方向の幅を周方向に変える。アクチュエータ1の構成を回転中心Zrに直交する仮想平面でみて、回転中心Zrと回転中心ZRとを結ぶ仮想直線上のバックヨーク37の径方向の幅BH1と、バックヨーク37の径方向の幅BH2とは、長さが異なる。バックヨーク37の径方向の幅BH1は、バックヨーク37の径方向の幅のうち周方向で最小の幅となる。また、バックヨーク37の径方向の幅BH2は、バックヨーク37の径方向の幅のうち周方向で最大の幅となる。
スリット部39Aの径方向の幅は、バックヨーク37の径方向の幅の大きさに応じて、大きくなる。例えば、バックヨーク37の径方向の幅BH1に含まれるスリット部39Aの径方向の幅SH1は、スリット部39Aの径方向の幅のうち周方向で最小の幅となる。同様に、バックヨーク37の径方向の幅BH2に含まれるスリット部39Aの径方向の幅SH2は、スリット部39Aの径方向の幅のうち周方向で最大の幅となる。スリット部39Aの径方向の幅が、バックヨーク37の径方向の幅の大きさに応じて変わるため、バックヨーク37の周方向の磁束の分布を均一にすることができる。この構造により、径方向の延長線上に並ぶ外側ティース36と内側ティース38とはスリット部39Aの空隙で磁気的に分断される。そして、スリット部39Aの径方向に対して内側の内側バックヨークと、スリット部39Aの径方向に対して外側の外側バックヨークとは、それぞれ周方向に同じ径方向の幅となるようにスリット部39Aの空隙で磁気的に分断される。このため、外側ティース36と内側ティース38とが相互に影響を与える可能性が低減され、第1ロータ50の回転精度及び第2ロータ40の回転精度を高めることができる。
ステータコア31は、バックヨーク37から径方向内側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の内側ティース38の突出長さを同じIHとする。そして、ステータコア31は、バックヨーク37から径方向外側に向かって突出し、周方向に設けられた複数の外側ティース36の突出長さを、同じOHとする。このため、外周円弧OTは、半径が外周側円弧37OBよりも大きく、外周側円弧37OB及び外周円弧OTの中心が回転中心ZRと一致する。また、内周円弧ITは、半径が内周側円弧37IBよりも小さく、内周側円弧37IB及び内周円弧ITの中心が回転中心Zrと一致する。この構造により、ステータコア31は、外周円弧OTの中心と内周円弧ITの中心とを偏心させる。そして、第1ロータ50の回転中心と第2ロータ40の回転中心とが平行かつ異なる位置となり、アクチュエータ1は、第2ロータ40の回転に伴うネジ軸の連れ回りを抑制することができる。
そして、アクチュエータ装置100の制御装置90は、CPU(Central Processing Unit)91から3相アンプ(AMP:Amplifier)92に駆動信号を出力し、AMP92からアクチュエータ1に駆動電流Miが供給される。アクチュエータ1は、駆動電流Miに応じて、上述した図2に示す励磁コイル32A、32Bを独立駆動させる。その結果、制御装置90は、第1ロータ50の駆動または停止を第2ロータ40の駆動または停止と独立して制御することができる。同様に、制御装置90は、第2ロータ40の駆動または停止を第1ロータ50の駆動または停止と独立して制御することができる。そして、制御装置90は、第2ロータ40の回転数及び回転方向と、第1ロータ50の回転数及び回転方向とを、互いに独立して制御することができる。
また、アクチュエータ1は、角度検出器71、74を備えることが好ましい。角度検出器71、74は、例えば、レゾルバである。角度検出器71は、第2ロータ40の回転位置を高精度に検出することができる。角度検出器74は、第1ロータ50の回転位置を高精度に検出することができる。以下、角度検出器71、74がレゾルバである場合について説明するが、角度検出器は他のセンサ、エンコーダであってもよく、検出器の種類に限定されない。
角度検出器71、74は、静止状態に維持されるレゾルバステータ72、75と、レゾルバステータ72、75と所定のギャップを隔てて対向配置され、レゾルバステータ72、75に対して回転可能なレゾルバロータ73、76を備えている。レゾルバステータ72、75は、ハウジングベース部21に配設されている。また、レゾルバロータ73は、第2ロータ40の支持部材45に配設されている。レゾルバロータ76は、第1ロータ50の第1ロータブラケット53に配設されている。
そして、ステータ30の励磁コイル32が励磁され、第1ロータ50及び第2ロータ40が回転駆動すると、レゾルバロータ73、76が同時に回転駆動する。
レゾルバステータ72、75は、複数のステータ磁極が円周方向に等間隔に形成された環状の積層鉄心を有し、各ステータ磁極にレゾルバコイルが巻回されている。各レゾルバコイルには、検出信号(レゾルバ信号)Srが出力される配線が接続されている。
レゾルバロータ73、76は、中空環状の積層鉄心により構成されている。角度検出器71、74の配設位置は、第1ロータ50及び第2ロータ40の回転を検出することが可能であれば特に限定されず、ステータハウジング20の形状に応じて任意の位置へ配設することができる。
角度検出器71、74は、レゾルバロータ73、76と、レゾルバステータ72、75との間のリラクタンスが連続的に変化する。角度検出器71、74は、リラクタンスの変化を検出し、RDC93によって上述した検出信号Srをデジタル信号に変換する。アクチュエータ1を制御する制御装置90のCPU91は、RDC93の電気信号に基づいて、単位時間当たりのレゾルバロータ73、76と連動する回転体10及びボールネジ軸15の位置や回転角度を演算処理することができる。その結果、アクチュエータ1を制御する制御装置90は、回転体10の回転状態(例えば、回転速度、回転方向あるいは回転角度など)及びボールネジ軸15の直動方向の移動位置を計測することが可能となる。
上述した角度検出器71、74は、第1ロータ50または第2ロータ40の1回転につき、リラクタンス変化の基本波成分が1周期となる単極レゾルバ信号を出力する、いわゆる単極レゾルバと、第1ロータ50または第2ロータ40の1回転につき、リラクタンス変化の基本波成分が多周期となる多極レゾルバ信号を出力する、いわゆる多極レゾルバとを組み合わせることが好ましい。
このように、アクチュエータ1は、第1ロータ50または第2ロータ40の1回転につき、リラクタンス変化の基本波成分の周期が異なる角度検出器を備えることにより、第1ロータ50または第2ロータ40の絶対位置を把握することができ、また、第1ロータ50または第2ロータ40の回転状態(例えば、回転速度、回転方向あるいは回転角度など)を計測する精度を高めることができる。また、アクチュエータ1は、一相通電による極検知動作、または原点復帰動作を行う必要がなく、位置決めを行うことができる。
なお、上述した励磁コイル32Aは、複数の巻線回路を含み、それぞれの巻線回路を駆動するタイミングをパルス駆動により変えるようにしてもよい。また、上述した励磁コイル32Bは、複数の巻線回路を含み、それぞれの巻線回路を駆動するタイミングをパルス駆動により変えるようにしてもよい。これにより、ロータコア41及びロータコア51は、励磁コイル32A、32Bがパルス駆動され、このパルス駆動に同期して独立して回転する、いわゆるステッピングモータが内側と外側とに配列された状態となる。そして、上述した制御装置90は、駆動電流Miのパルスを制御することにより、第1ロータ50の駆動または停止を第2ロータ40の駆動または停止と独立して制御することができる。その結果、アクチュエータ1は、角度検出器71、74を備えなくても、第1ロータ50及び第2ロータ40の位置決めをすることができる。そして、アクチュエータ1は、部品点数の削減により省スペースをはかり、コストを低減することができる。また、アクチュエータ1は、部品点数の削減により信頼性を向上させることができる。
次に、図1、図2、図3及び図9を用いて、アクチュエータ装置100およびアクチュエータ1について説明する。図9は、実施形態1に係るアクチュエータの動作を説明する説明図である。図1に示すアクチュエータ装置100の制御装置90は、ステータ30の励磁コイル32に例えば交流を印加し、励磁コイル32に印加する電圧を所定の周期で切り換えることで、ステータ30に対して第1ロータ50及び第2ロータ40が回転する駆動力を発生させる。
アクチュエータ1の第1ロータ50が回転すると第1ロータブラケット53に固定されているナット52も回転する。ナット52が回転すると、ボールネジ軸15のネジ溝がナット52のネジ溝に沿って直動方向に移動する。これにより、ボールネジ軸15は、ナット52が回転することで、ナット52に対して相対的に直動方向に移動する。図2及び図9に示すように、アクチュエータ1は、ナット52の回転に応じてボールネジ軸15を紙面手前の面において下から上に移動することができる。図9に示す動作とは逆に、ナット52の逆回転に応じてボールネジ軸15を紙面手前の面において上から下に移動することができる。図2及び図9に示すように、直動伝達部材14Bは、ボールネジ軸15の移動に応じて、紙面手前の面において下から上、または上から下に移動する。ロータハウジング10は、第3軸受61により直動伝達部材14Bに回転自在に支持される。このため、直動伝達部材14Bの移動に応じて、ロータハウジング10は、直動方向に上下する。
アクチュエータ1の第1ロータ50が回転する回転動作とは独立して、第2ロータ40も回転する。第2ロータ40が回転すると、ロータコア41の回転に連動して、内筒部材115、第2ロータブラケット42及び支持部材45が回転する。また、スライダ116に摺動される案内レール114は、内筒部材115(第2ロータ40の第2ロータブラケット42)と共に回転することでロータハウジング10が回転する。
上述したように、ロータハウジング10は、第3軸受61により直動伝達部材14Bに回転自在に支持されている。第2ロータ40が回転すると、ロータコア41の回転に連動して、図2に示すロータハウジング10が回転中心ZRを中心に直動伝達部材14Bの回りを回転する。ロータハウジング10の回転が第3軸受61を介して直動伝達部材14Bを連れ回す力は、回転中心ZRを中心に直動伝達部材14Bを回転しようとする。このため、直動伝達部材14Bに固定されたボールネジ軸15には回転中心ZRを中心に回転しようとする回転力が加わる。ここで、ボールネジ軸15と螺合するナット52の回転中心は、回転中心Zrと一致している。回転中心Zrと回転中心ZRのずれが大きいほど、回転中心ZRを中心にボールねじ軸15を回転しようとする回転力が、ボールネジ軸15を回転させナット52を回転させる回転力に変換されないため、大きな抵抗力をボールネジ軸15と螺合するナット52との間に生じさせる。その結果、アクチュエータ1は、ロータハウジング10の回転に伴うボールネジ軸15の連れ回りを抑制できる。
上述した実施形態1に係るアクチュエータ1は、例えば、工作機械や測定装置、あるいは、半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ製造装置に用いられることが想定される。このような用途で用いられるアクチュエータ1には、高い信頼性が要求される。また、半導体素子やフラットパネルディスプレイ等の製造においては、製造物へのダスト混入を避けるため、クリーン環境下における製造工程が必要となる。このようなクリーン環境下で用いられるアクチュエータは、高い信頼性を確保するためにアクチュエータの内部への異物の侵入を防ぐと共に、アクチュエータの内部で発生する発塵が外部に流出するのを防ぐ必要がある。
アクチュエータ内部で発生する発塵としては、各種軸受、直動案内機構、及びボールネジ等から発生する潤滑グリースの発塵が考えられる。潤滑グリースから発生する発塵粒子は、半導体素子やフラットパネルディスプレイのクリーン環境下での製造工程における汚染源となり、製品価値を失うような欠陥を生じる要因となる。このため、半導体素子やフラットパネルディスプレイ等の製造工程で用いられるアクチュエータでは、各種軸受、直動案内機構、及びボールネジ等に使用する潤滑グリースとして、発塵性が低い低発塵グリースが用いられるのが一般的である。
実施形態1に係るアクチュエータ1は、上述したように、ロータハウジング10の外筒部112とハウジングベース部21の内筒部211とが、径方向に例えば0.1mm乃至0.5mm程度の第1の間隙218を隔てて重なるシール部217が形成される。このシール部217がロータハウジング10の直動方向の移動範囲の全域において形成されることにより、アクチュエータ1の内部への異物の侵入を防ぐことができる。
図2及び図9に示すように、シール部217の直動方向の幅は、ロータハウジング10を直動方向に上下させたときに変化する。言い換えれば、ロータハウジング10が直動方向の最下部にあるとき、シール部217の直動方向の幅が最大となり、ロータハウジング10が直動方向の最上部にあるとき、シール部217の直動方向の幅が最小となる。
ロータハウジング10の直動方向の移動範囲は、案内レール114に対するスライダ116の移動範囲で規制される。この案内レール114に対するスライダ116の移動範囲は、ナット52に対する直動伝達部材14Bの相対的な直動方向の位置関係で決まる。すなわち、ロータハウジング10の直動方向の移動範囲は、ナット52に対する直動伝達部材14Bの相対的な直動方向の位置が取り得る直動方向の最小位置と最大位置とで規制された範囲となる。
ここで、シール部217の直動方向の最大幅がロータハウジング10の直動方向の移動範囲よりも小さいと、ロータハウジング10が直動方向の位置の最上部において、ロータハウジング10の外筒部112とハウジングベース部21の内筒部211とが径方向に重ならなくなる。したがって、本実施形態に係るアクチュエータ1では、シール部217の直動方向の最大幅がロータハウジング10の直動方向の移動範囲よりも大きくなるように構成する必要がある。
実施形態1に係るアクチュエータ1は、上述したように、ハウジングベース部21に、第2ロータ40の回転中心を軸心とする略円環状の溝部213と、溝部213の外壁から径方向の一方向に延びてハウジングベース部21を貫通して穿孔された排気孔214とが形成されると共に、内径がハウジングベース部21に形成された溝部213の内径よりも小さく、外径が溝部213の外径よりも大きい略円環状の円環部材23を備え、ハウジングベース部21と円環部材23とを組み合わせた際に、円環部材23と、溝部213の外径に沿うハウジングベース部21の溝部213の外径よりも径方向外側の面215とが、ロータハウジング10の直動方向に例えば数μm乃至数十μm程度の第2の間隙234を隔てて重なる絞り部233が形成されている。
本実施形態では、上述した構成において、ハウジングベース部21に設けられた排気孔214に、例えば真空ポンプ等である吸引排気装置98を接続することを想定している。そして、吸引排気装置98を作動させると、排気孔214、溝部213、絞り部233を介してアクチュエータ1の内部の空気が吸い出される。
実施形態1に係るアクチュエータ1では、絞り部233が周方向の全周に亘り形成されており、この絞り部233の第2の間隙234が数μm乃至数十μm程度と極めて小さいので、吸引排気装置98の空気の吸引力が小さく、排気量が少なくても、溝部213内の空気の圧力が平滑化される。このため、絞り部233の周方向の全周に亘り、アクチュエータ1の内部の空気が均一に吸い出される。これにより、アクチュエータ1の内部の周方向の圧力差が抑制される。
上述したように、実施形態1に係るアクチュエータ1では、シール部217の第1の間隙218が例えば0.1mm乃至0.5mm程度であり、絞り部233の第2の間隙234よりも大きいが、上述した絞り部233によりアクチュエータ1の内部の周方向の圧力差が抑制されるので、シール部217の第1の間隙218が例えば0.1mm乃至0.5mm程度と比較的大きくても、シール部217の周方向の全周に亘り、アクチュエータ1の内部に均一に空気が吸い込まれる。すなわち、実施形態1に係るアクチュエータ1では、アクチュエータ1の内部に、シール部217の周方向の全周に亘って均一に空気が流入することで、絞り部233によりアクチュエータ1の内部の周方向の圧力差が抑制されるので、アクチュエータ1の内部で発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。このように、実施形態1に係るアクチュエータ1は、少ない排気量で効果的にシール部217を機能させることができる。
また、アクチュエータ1の内部で発生する発塵がシール部217から外部に流出するのを防ぐことができるので、実施形態1に係るアクチュエータ1においては、第1軸受63(63A,63B)、第2軸受62、及び第3軸受61として、例えば転がり軸受や滑り軸受等のように、電源や圧縮空気のような外部動力源を必要としない機械式の軸受を用いることができる。
また、第1軸受63(63A,63B)、第2軸受62、第3軸受61、スライダ116及び案内レール114を含む直動案内機構、及びボールネジ軸15のネジ溝とナット52のネジ溝との嵌合部等の可動部を潤滑する潤滑グリースとして、発塵性が低い低発塵グリースを用いる必要がなく、駆動条件に応じて最適な潤滑グリースを使用することが可能である。
なお、本実施形態に係るアクチュエータ1の構成において、ハウジングベース部21に形成される溝部213、排気孔214、ロータハウジング10の外筒部112とステータハウジング20の内筒部211とで形成されるシール部217、円環部材23、及びハウジングベース部21と円環部材23とで形成される絞り部233を除く構成については、上述した構成に限らず他の構成であっても適用可能である。
また、本実施形態に係るアクチュエータ1の構成において、絞り部233の第2の間隙234の精度を管理するためには、ハウジングベース部21の面215及び面216の平面度、ハウジングベース部21の面215及び面216に対向する円環部材23の接続部231の面及び非接続部232の面の平面度及び段差を管理項目として設けていれば良く、部品精度の管理項目が少なくて済むという利点がある。その結果、歩留まりが向上する。
(変形例)
図10は、実施形態1の変形例に係るアクチュエータの構成を第1ロータの回転中心及び第2ロータの回転中心を含む仮想平面で切って模式的に示す断面図である。図11は、図10に示す実施形態1の変形例に係るアクチュエータのステータハウジングのハウジングベース部と内筒部とを回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図12は、図11に示すハウジングベース部に取り付けられる円環部材を回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図13は、図10に示す実施形態1の変形例に係るアクチュエータにおける一点鎖線枠内の拡大図である。なお、上述した実施形態1に係るアクチュエータ1と同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
上述した実施形態1に係るアクチュエータ1のステータハウジング20では、円環部材23のハウジングベース部21と対向する面において、接続部231と非接続部232との間に第2の間隙234に相当する段差を設ける例を示したが、実施形態1の変形例に係るアクチュエータ1aのステータハウジング20aでは、図10乃至図13に示すように、接続部231aと非接続部232aとの間には段差を設けず、ハウジングベース部21aの溝部213の内径よりも径方向内側の面216aと溝部213の外径よりも径方向外側の面215aとの間に第2の間隙234に相当する段差を設け、絞り部233aを形成している。
この変形例において、絞り部233aの第2の間隙234の精度を管理するためには、ハウジングベース部21aの面215a及び面216aの平面度及び段差、ハウジングベース部21aの面215a及び面216aに対向する円環部材23aの接続部231aの面及び非接続部232aの面の平面度を管理項目として設けていれば良く、上述した例と同様に、部品精度の管理項目が少なくて済むという利点がある。その結果、歩留まりが向上する。
なお、ハウジングベース部21aと円環部材23aとは、上述した例と同様に、例えば、複数のネジ等の締結部材を用いて接続しても良いし、ハウジングベース部21aと円環部材23aの接続部231aとを接着あるいは溶接して接続しても良い。
以上説明したように、実施形態1に係るアクチュエータ1は、ステータ30と、ステータハウジング20と、第1ロータ50と、ボールネジ軸15と、ナット52と、第2ロータ40と、ロータハウジング10とを含む。ロータハウジング10は、第2ロータ40の回転中心を軸心としてボールネジ軸15の直動方向の一方端側に配置される略円板状のプレート部111と、プレート部111の径方向外側端部から直動方向に延びて第2ロータ40の径方向外側に形成される外筒部112とを有する。ステータハウジング20は、第2ロータ40の回転中心を軸心としてボールネジ軸15の直動方向の他方端側に配置される略円板状のハウジングベース部21と、ハウジングベース部21の径方向外側端部から直動方向に延びて外筒部112の径方向内側に形成され、第1の間隙218を隔てて外筒部112と径方向に重なるシール部217を構成する内筒部211と、ロータハウジング10とステータハウジング20とで囲われた内部の空気を吸引排気装置98により吸引排気するための排気孔214とを有する。
この構造において、ハウジングベース部21に設けられた排気孔214に吸引排気装置98を接続して吸引排気装置98を作動させることにより、排気孔214からアクチュエータ1の内部の空気が均一に吸い出され、シール部217からアクチュエータ1の内部に均一に空気が吸い込まれる。これにより、アクチュエータ1の内部への異物の侵入を防止すると共に、アクチュエータ1の内部で発生する発塵が外部に流出するのを確実に防ぐことができる。
また、第2ロータ40の回転中心を軸心としてハウジングベース部21の内筒部211側の面に形成された略円環状の溝部213と、内径が溝部213の内径よりも小さく、外径が溝部213の外径よりも大きく、溝部213を直動方向に覆う略円環状の部材であり、第2の間隙234を隔ててハウジングベース部21の内筒部211側の面と直動方向に重なる絞り部233を形成する円環部材23とをさらに有し、排気孔214は、溝部213の外径側の壁面から径方向の一方向に延びてハウジングベース部21を貫通して形成されることで、少ない排気量で効果的にシール部217を機能させることができ、アクチュエータ1の内部で発生する発塵が外部に流出するのをより確実に防ぐことができる。また、絞り部233の第2の間隙234の精度を管理するための管理項目が少なくて済み、その結果、アクチュエータ1の製造の際の歩留まりを向上することができる。
また、アクチュエータ1は、転がり軸受や滑り軸受等のように、電源や圧縮空気のような外部動力源を必要としない機械式の軸受を用いることができる。
また、アクチュエータ1は、可動部を潤滑する潤滑グリースとして、発塵性が低い低発塵グリースを用いる必要がなく、駆動条件に応じて最適な潤滑グリースを使用することが可能である。
(実施形態2)
図14は、実施形態2に係るアクチュエータの構成を第1ロータの回転中心及び第2ロータの回転中心を含む仮想平面で切って模式的に示す断面図である。図15は、図14に示す実施形態2に係るアクチュエータのステータハウジングのハウジングベース部と内筒部とを回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図16は、図15に示すハウジングベース部に取り付けられる円環部材を回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図17は、図14に示す実施形態2に係るアクチュエータにおける一点鎖線枠内の拡大図である。なお、上述した実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図14及び図15に示すように、ステータハウジング20bは、実施形態1と同様に、第2ロータ40の回転中心を軸心としてボールネジ軸15の直動方向の他方端側に配置される略円板状のハウジングベース部21bと、外径がロータハウジング10の外筒部112の内径よりも小さい略円筒形状の内筒部211と、ハウジングインナ22が接続される略円環状の凸部212と、凸部212の外径よりも内径が大きく、第2ロータ40の回転中心を軸心としてハウジングベース部21bの内筒部211側の面に形成された略円環状の溝部213と、溝部213の外径側の壁面から径方向の一方向に延びてハウジングベース部21bを貫通して穿孔され、ロータハウジング10とステータハウジング20bとで囲われた内部の空気を吸引排気装置98により吸引排気するための排気孔214とを有している。そして、ハウジングベース部21bの溝部213の内径よりも径方向内側の面216bと溝部213の外径よりも径方向外側の面215bとは、直動方向の位置が等しい同一の平面上にある。
内筒部211は、ハウジングベース部21bの径方向外側端部から直動方向に延びてロータハウジング10の外筒部112の径方向内側に形成されており、ロータハウジング10の外筒部112とハウジングベース部21bの内筒部211とが、例えば0.1mm乃至0.5mm程度の第1の間隙218を隔てて径方向に重なるシール部217が形成される。
図14及び図16に示すように、円環部材23bは、実施形態1と同様に、内径がハウジングベース部21bに形成された溝部213の内径よりも小さく、外径が溝部213の外径よりも大きい略円環状の部材である。
円環部材23bは、溝部213の外径に沿ってハウジングベース部21bに接する略円環状の接続部231bと、接続部231bを含まない非接続部232bとを有している。そして、図14及び図17に示すように、円環部材23bは、ハウジングベース部21bと円環部材23bとを組み合わせた際に、円環部材23bと溝部213の内径に沿うハウジングベース部21bの溝部213の内径よりも径方向内側の面216bとが、例えば数μm乃至数十μm程度の第2の間隙234を隔てて直動方向に重なる絞り部233bが形成されるように、接続部231bと非接続部232bとの間に、第2の間隙234に相当する段差が設けられている。
なお、ハウジングベース部21bと円環部材23bとは、実施形態1と同様に、例えば、複数のネジ等の締結部材を用いて接続しても良いし、ハウジングベース部21bと円環部材23bの接続部231bとを接着あるいは溶接して接続しても良い。
この実施形態2において、絞り部233bの第2の間隙234の精度を管理するためには、ハウジングベース部21bの面215b及び面216bの平面度、ハウジングベース部21bの面215b及び面216bに対向する円環部材23bの接続部231bの面及び非接続部232bの面の平面度及び段差を管理項目として設けていれば良く、実施形態1と同様に、部品精度の管理項目が少なくて済むという利点がある。その結果、歩留まりが向上する。
本実施形態と実施形態1との相違点は、実施形態1では、絞り部233が径方向外側に向けて開口しているのに対し、本実施形態では、絞り部233bが径方向内側に向けて開口している点にある。本実施形態に係るアクチュエータ1bの構成において、ハウジングベース部21bに形成される溝部213、排気孔214、ロータハウジング10の外筒部112とステータハウジング20bの内筒部211とで形成されるシール部217、円環部材23b、及びハウジングベース部21bと円環部材23bとで形成される絞り部233bを除く構成については、実施形態1と同様に、上述した構成に限らず他の構成であっても適用可能であり、実施形態1における溝部213、排気孔214、シール部217、円環部材23、及び絞り部233を除く構成部の配置、あるいは、実施形態2における溝部213、排気孔214、シール部217、円環部材23b、及び絞り部233bを除く構成部の配置、より具体的には、発塵の発生要因となる各種軸受、直動案内機構、及びボールネジ等の配置に応じて、絞り部の開口方向を選択するようにすれば良い。
(変形例)
図18は、実施形態2の変形例に係るアクチュエータの構成を第1ロータの回転中心及び第2ロータの回転中心を含む仮想平面で切って模式的に示す断面図である。図19は、図18に示す実施形態2の変形例に係るアクチュエータのステータハウジングのハウジングベース部と内筒部とを回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図20は、図19に示すハウジングベース部に取り付けられる円環部材を回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図21は、図18に示す実施形態2の変形例に係るアクチュエータにおける一点鎖線枠内の拡大図である。なお、上述した実施形態2に係るアクチュエータ1bと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
上述した実施形態2に係るアクチュエータ1bのステータハウジング20bでは、円環部材23bのハウジングベース部21bと対向する面において、接続部231bと非接続部232bとの間に第2の間隙234に相当する段差を設ける例を示したが、実施形態2の変形例に係るアクチュエータ1cのステータハウジング20cでは、図18乃至図21に示すように、接続部231cと非接続部232cとの間には段差を設けず、ハウジングベース部21cの溝部213の内径よりも径方向内側の面216cと溝部213の外径よりも径方向外側の面215cとの間に第2の間隙234に相当する段差を設け、絞り部233cを形成している。
なお、ハウジングベース部21cと円環部材23cとは、上述した例と同様に、例えば、複数のネジ等の締結部材を用いて接続しても良いし、ハウジングベース部21cと円環部材23cの接続部231cとを接着あるいは溶接して接続しても良い。
この変形例において、絞り部233cの第2の間隙234の精度を管理するためには、ハウジングベース部21cの面215c及び面216cの平面度及び段差、ハウジングベース部21cの面215c及び面216cに対向する円環部材23cの接続部231cの面及び非接続部232cの面の平面度を管理項目として設けていれば良く、上述した例と同様に、部品精度の管理項目が少なくて済むという利点がある。その結果、歩留まりが向上する。
(実施形態3)
図22は、実施形態3に係るアクチュエータの構成を第1ロータの回転中心及び第2ロータの回転中心を含む仮想平面で切って模式的に示す断面図である。図23は、図22に示す実施形態2に係るアクチュエータのステータハウジングのハウジングベース部と内筒部とを回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図24は、図23に示すハウジングベース部に接続部材を介して取り付けられる円環部材を回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図25は、図22に示す実施形態3に係るアクチュエータにおける一点鎖線枠内の拡大図である。なお、図25に示す例では、ハウジングベース部21dと接続部材24と円環部材23dとを、例えばネジである締結部材25を用いて接続した例を示している。また、上述した実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態3に係るアクチュエータ1dにおいて、円環部材23dは、図22、図24、図25に示すように、接続部材24を介して取り付けられる。
図22及び図23に示すように、ステータハウジング20dは、実施形態1と同様に、第2ロータ40の回転中心を軸心としてボールネジ軸15の直動方向の他方端側に配置される略円板状のハウジングベース部21dと、外径がロータハウジング10の外筒部112の内径よりも小さい略円筒形状の内筒部211と、ハウジングインナ22が接続される略円環状の凸部212と、凸部212の外径よりも内径が大きく、第2ロータ40の回転中心を軸心としてハウジングベース部21dの内筒部211側の面に形成された略円環状の溝部213と、溝部213の外径側の壁面から径方向の一方向に延びてハウジングベース部21を貫通して穿孔され、ロータハウジング10とステータハウジング20とで囲われた内部の空気を吸引排気装置98により吸引排気するための排気孔214とを有している。そして、ハウジングベース部21dの溝部213の内径よりも径方向内側の面216dと溝部213の外径よりも径方向外側の面215dとは、直動方向の位置が等しい同一の平面上にある。
内筒部211は、ハウジングベース部21dの径方向外側端部から直動方向に延びてロータハウジング10の外筒部112の径方向内側に形成されており、ロータハウジング10の外筒部112とハウジングベース部21dの内筒部211とが、例えば0.1mm乃至0.5mm程度の第1の間隙218を隔てて径方向に重なるシール部217が形成される。
図22及び図24に示すように、円環部材23dは、内径がハウジングベース部21dに形成された溝部213の内径よりも小さく、外径が溝部213の外径よりも大きい略円環状の部材である。また、接続部材24は、外径がハウジングベース部21dの溝部213の内径に沿う略円環状の部材であり、ハウジングベース部21dと円環部材23dとの間に接続部材24を介在させて組み合わせた際に、円環部材23dと溝部213の外径に沿うハウジングベース部21dの溝部213の外径よりも径方向外側の面215dとが、例えば数μm乃至数十μm程度の第2の間隙234を隔てて直動方向に重なる絞り部233dが形成されるように、直動方向の幅が設定されている。
なお、図25に示す例では、ハウジングベース部21dと接続部材24と円環部材23dとを、例えばネジである締結部材25を用いて接続した例を示したが、ハウジングベース部21dと接続部材24と円環部材23dとは、上述した他の実施形態と同様に、例えば接着あるいは溶接して接続しても良い。
また、ハウジングベース部21dと接続部材24と円環部材23dとを接続する締結部材25として、ネジあるいはボルトを用いる場合、接続部材24は、ネジあるいはボルトと同数の平座金形状の部材であっても良い。
この実施形態3において、絞り部233dの第2の間隙234の精度を管理するためには、ハウジングベース部21dの面215d及び面216dの平面度、円環部材23dのハウジングベース部21dに対向する面の平面度、接続部材24のハウジングベース部21dに対向する面及び円環部材23dに対向する面の平面度及び直動方向の幅を管理項目として設けていれば良く、上述した他の実施形態と同様に、部品精度の管理項目が少なくて済むという利点がある。その結果、歩留まりが向上する。
なお、本実施形態に係るアクチュエータ1dの構成において、ハウジングベース部21dに形成される溝部213、排気孔214、ロータハウジング10の外筒部112とステータハウジング20dの内筒部211とで形成されるシール部217、円環部材23d、及びハウジングベース部21dと円環部材23dとで形成される絞り部233dを除く構成については、実施形態1及び実施形態2と同様に、上述した構成に限らず他の構成であっても適用可能である。
(変形例)
図26は、実施形態3の変形例に係るアクチュエータの構成を第1ロータの回転中心及び第2ロータの回転中心を含む仮想平面で切って模式的に示す断面図である。図27は、図26に示す実施形態3の変形例に係るアクチュエータのステータハウジングのハウジングベース部と内筒部とを回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図28は、図27に示すハウジングベース部に取り付けられる円環部材を回転中心と平行な方向からみた平面を模式的に示す模式図である。図29は、図26に示す実施形態3の変形例に係るアクチュエータにおける一点鎖線枠内の拡大図である。なお、図29に示す例では、ハウジングベース部21eと接続部材24aと円環部材23eとを、上述した実施形態3に係るアクチュエータ1dと同様に、例えばネジである締結部材25を用いて接続した例を示している。また、上述した実施形態3に係るアクチュエータ1dと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施形態3の変形例に係るアクチュエータ1eにおいて、円環部材23eは、図26、図28、図29に示すように、接続部材24aを介して取り付けられる。
図26及び図27に示すように、ステータハウジング20eは、上述した実施形態3に係るステータハウジング20dと同様に、第2ロータ40の回転中心を軸心としてボールネジ軸15の直動方向の他方端側に配置される略円板状のハウジングベース部21eと、外径がロータハウジング10の外筒部112の内径よりも小さい略円筒形状の内筒部211と、ハウジングインナ22が接続される略円環状の凸部212と、凸部212の外径よりも内径が大きく、第2ロータ40の回転中心を軸心としてハウジングベース部21の内筒部211側の面に形成された略円環状の溝部213と、溝部213の外径側の壁面から径方向の一方向に延びてハウジングベース部21eを貫通して穿孔され、ロータハウジング10とステータハウジング20とで囲われた内部の空気を吸引排気装置98により吸引排気するための排気孔214とを有している。そして、ハウジングベース部21eの溝部213の内径よりも径方向内側の面216eと溝部213の外径よりも径方向外側の面215eとは、直動方向の位置が等しい同一の平面上にある。
内筒部211は、ハウジングベース部21eの径方向外側端部から直動方向に延びてロータハウジング10の外筒部112の径方向内側に形成されており、ロータハウジング10の外筒部112とハウジングベース部21eの内筒部211とが、例えば0.1mm乃至0.5mm程度の第1の間隙218を隔てて径方向に重なるシール部217が形成される。
図27及び図29に示すように、円環部材23eは、上述した実施形態3に係る円環部材23dと同様に、内径がハウジングベース部21eに形成された溝部213の内径よりも小さく、外径が溝部213の外径よりも大きい略円環状の部材である。また、接続部材24aは、内径がハウジングベース部21eの溝部213の外径に沿う略円環状の部材であり、ハウジングベース部21eと円環部材23eとの間に接続部材24aを介在させて組み合わせた際に、円環部材23eと溝部213の内径に沿うハウジングベース部21eの溝部213の内径よりも径方向内側の面216eとが、例えば数μm乃至数十μm程度の第2の間隙234を隔てて直動方向に重なる絞り部233eが形成されるように、直動方向の幅が設定されている。
なお、図29に示す例では、ハウジングベース部21eと接続部材24aと円環部材23eとを、例えばネジである締結部材25を用いて接続した例を示したが、ハウジングベース部21eと接続部材24aと円環部材23eとは、上述した実施形態3に係るアクチュエータ1dと同様に、例えば接着あるいは溶接して接続しても良い。
この変形例においても、絞り部233eの第2の間隙234の精度を管理するためには、ハウジングベース部21eの面215e及び面216eの平面度、円環部材23eのハウジングベース部21eに対向する面の平面度、接続部材24aのハウジングベース部21eに対向する面及び円環部材23eに対向する面の平面度及び直動方向の幅を管理項目として設けていれば良く、上述した他の実施形態と同様に、部品精度の管理項目が少なくて済むという利点がある。その結果、歩留まりが向上する。
また、ハウジングベース部21eと接続部材24aと円環部材23eとを接続する締結部材25として、ネジあるいはボルトを用いる場合、接続部材24aは、上述した実施形態3と同様に、ネジあるいはボルトと同数の平座金形状の部材であっても良い。
実施形態3の変形例と実施形態3との相違点は、実施形態3では、絞り部233dが径方向外側に向けて開口しているのに対し、本実施形態では、絞り部233eが径方向内側に向けて開口している点にある。実施形態3の変形例に係るアクチュエータ1eの構成において、ハウジングベース部21eに形成される溝部213、排気孔214、ロータハウジング10の外筒部112とステータハウジング20eの内筒部211とで形成されるシール部217、円環部材23e、接続部材24a、及びハウジングベース部21eと接続部材24aと円環部材23eとで形成される絞り部233eを除く構成については、実施形態3と同様に、上述した構成に限らず他の構成であっても適用可能であり、実施形態3における溝部213、排気孔214、シール部217、円環部材23d、接続部材24、及び絞り部233dを除く構成部の配置、あるいは、実施形態3の変形例における溝部213、排気孔214、シール部217、円環部材23e、接続部材24a及び絞り部233eを除く構成部の配置、より具体的には、発塵の発生要因となる各種軸受、直動案内機構、及びボールネジ等の配置に応じて、絞り部の開口方向を選択するようにすれば良い。
なお、上述した実施形態に係るアクチュエータは、工作機械、測定装置、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置に用いることで、クリーン環境下での使用に適した工作機械、測定装置、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置を得ることが可能である。