JP4018294B2 - 電動シリンダ - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電動モータの回転出力を内蔵の直線運動変換機構により変換し、流体圧作動シリンダと同様な直線運動を出力することが可能な電動シリンダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電動モータの回転出力を直線運動変換機構により変換し直線運動を出力できる電動作動装置は公知である。このような電動作動装置はもっぱらその直線運動出力を利用してワーク等を操作するものであるので、流体圧作動シリンダと同様な用途が多い。
【0003】
しかしながら一般的な送り作用を目的とする電動シリンダでは、駆動モータの回転出力がスプロケットホイール、タイミングベルト等の駆動伝達手段を介して直線運動変換機構の推力シャフトへ伝達され、その推力シャフトの回転が同時に推力ナットに回転力として伝達される。そして、推力ナットは回転が規制された推力ロッドに螺合して回転力を推力に変換して推力を発生する。その推力シャフト、推力ナット、および推力ロッドの直列な組合せによって、直線運動変換機構が長大とならざるを得なかった。しかも、電動モータはそのような直線運動変換機構が収容されたフレーム側部に取付けられるものである。そのため電動シリンダでは流体圧シリンダのような小形化は容易でなかった。
【0004】
むしろ、電動シリンダは、その特性上、直線運動距離、すなわちストロークの長い用途に適している点で活用されており、逆にストロークの短い用途には不利と認識されてきた。例えば、わずか数10mmの出力ストロークを得るのにその数倍の電動シリンダ本体の設置スペースが占有されるからである。これが流体圧シリンダの場合では、その半分の長さの本体設置スペースで良い。
【0005】
しかしながら、電動シリンダには流体圧シリンダのような流体圧源等の付帯設備を要しないという長所がある。よって、短いストロークを短小な電動シリンダで得られれば多方面で有用である。
【0006】
この種の装置を小形化するのに関連した従来技術として、電動モータの軸を中空にして中に雌ネジを設け、その内部に雄ネジを軸方向に出入りするように組込んだ電動操作装置もすでに提供されている。
【0007】
また、「安川電機」技報1970年No.4、256頁には、電動モータと回転直線運動変換機構とを一体化した電動操作装置において、電動モータの回転慣性エネルギを推力ダンパによって吸収するようにしたモートフインガが提示されている。図12にその電動操作装置の要部MFを示す。この装置は、回転直線運動変換機構の直線運動を担うモータ軸のネジIと、推力ロッドのネジJとを備えている。ネジJが外部ワーク等に当接してその動きが急に停止したとき、それと連動する電動モータロータPの回転慣性エネルギによって、モータ軸がネジIとネジJの係合しているため前後に動くのを、推力ダンパWが吸収するようになっているこの推力ダンパWは、モータ軸上で前後両玉軸受とロータの間に配置されたコイルバネとなっている。そのモートフインガは一般的な送り動作を目的とするものではなく、ワーククランプに適した構造を持っている。
【0008】
ところが、これらの従来技術では、モータ内部に長尺のコイルバネを要するため、電動シリンダを一段と小形化することができなかった。そればかりでなく、電動モータ内に推力ダンパとしてコイルバネを配置すると、そのコイルバネの弾撥力がモータ軸上の両玉軸受にスラスト方向の負荷をかけるため、その玉軸受の寿命が短くなる問題があった。また、直線運動する推力ロッドがロッドの軸方向に加えられる外力によって変位し、停止位置が変化してしまうことも問題であった。それゆえ、送り動作およびワーククランプの両方に適した短いストロークの電動シリンダとして新規な構造が必要とされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明は上記問題点を解決すべくなされたもので、小形で短ストロークの用途に適した電動シリンダを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこでかかる課題を解決すべく、本発明の電動シリンダは以下のような構成を有する。
【0014】
請求項に記載の発明にかかる電動シリンダは、上記のフレームと、該フレームを前後から挾持するブラケットと、該フレーム内に固定されたステータと、その内部で回転するロータと、該ロータと結合されてその回転を担持するモータ軸とを備え、モータ軸はその両端に軸受を組合されるとともにその内部奥側に雌ネジが刻設されており、推力ロッドはその後半部分に雄ネジが刻設されて該モータ軸の雌ネジと係合している電動シリンダにおいて、前記ブラケットの内側に軸受ブラケットを設け、該軸受ブラケットの中央孔には軸受を軸方向に移動可能に遊嵌するとともに、前記ブラケットと軸受ブラケットとの間に該軸受ブラケットと当接し、かつ前記軸受の外輪とゼロ乃至微小隙間を持つように予圧プレートを配置し、前記ブラケットの内側面と前記予圧プレートとの間に弾性ブロックを圧縮して配置し、該弾性ブロックは該予圧プレートを介して前記軸受ブラケットを常時予圧するとともに、前記推力ロッドに外部負荷が作用した際に前記予圧プレートを介して前記軸受の外輪を押圧し、該推力ロッドは共回り防止案内機構を有することを特徴とする。
【0015】
したがって、本発明によれば、推力ロッドの推力に対して外部から反力を受けても、ネジの自動止まり作用によって逆回転に変換されることはなく、推力の形でモータ軸を介して軸受に伝達される。軸受はその外輪によって予圧プレートを押圧し、予圧プレートは弾性ブロックを押圧圧縮する。その弾性ブロックの圧縮量は、推力ロッド等のネジの効率や、モータの発生トルク、モータのロータの回転慣性エネルギ、若しくは外部機構系の剛性等によって定まる。そしてその弾性ブロックが圧縮されることによって、その復元力が逆に推力となり、モータが非通電のときでも外部に仕事ができる状態となる。その圧縮量は推力に相当するが、その値は過大でなく、衝撃的でもなく、緩やかである。それによって推力ロッドの雄ネジとモータ軸の雌ネジとが、過大なトルクで締め込まれるのが防止される。それゆえ、それらのネジの噛み込み固着(ロック)やネジ破損を起こさない。しかも、モータ電源OFFのときでもその弾性ブロックの圧縮による推力を利用してワーククランプする力を維持することができる。
【0016】
一方、送り動作をする時、推力ロッドを介しての外部からの反力は、負荷重量や摩擦力によって定まる限定された量値であり、本発明では弾性ブロックの予圧量値をその反力量値より大きく設定されている。したがって、送り動作完了後においては、弾性ブロックの予圧量を超えて圧縮されることはない。また、ネジの自動止まり作用のために、ネジの逆回転は起こらない。それゆえ、外部負荷によって推力ロッドが変位してその停止位置が変動することがなく、正確に送り動作ができる。
【0017】
請求項に記載の発明にかかる電動シリンダは、フレームと、該フレームを前後から挾持するブラケットと、該フレーム内に固定されたステータと、その内部で回転するロータと、該ロータと結合されてその回転を担持するモータ軸とを備え、モータ軸はその両端に軸受を組合されるとともにその内部奥側に雌ネジが刻設されており、推力ロッドはその後半部分に雄ネジが刻設されて該モータ軸の雌ネジと係合している電動シリンダにおいて、前記ブラケットの内側に軸受ブラケットを設け、該軸受ブラケットは前記ブラケットの外周円筒部の内側に配設された止め輪によって前記軸受ブラケットのモータの中央方向への移動が規制されるとともに、前記軸受を軸方向に移動可能かつ軸方向にゼロ乃至微小隙間を持って拘束し、前記ブラケットと前記軸受ブラケットとの間に弾性ブロックを圧縮して配置し、前記弾性ブロックは前記軸受ブラケットを常時予圧するとともに、前記推力ロッドに外部負荷が作用した際に前記軸受ブラケットを介して前記軸受の外輪を押圧し、該推力ロッドは共回り防止案内機構を有することを特徴とする。
【0018】
したがって本発明によれば、電動シリンダの全長を拡大することなく弾性ブロックを配置することができる。
請求項3に記載の発明にかかる電動シリンダでは、モータ軸にロータリエンコーダのロータリ円盤を結合し、その検出器をブラケットの外側面に配置したことを特徴とする。したがって本発明によれば、モータ軸の回転に応じたパルス数を検出利用して電動シリンダを正確に制御できる。
請求項4に記載の発明にかかる電動シリンダでは、弾性ブロックはゴムブロックであることを特徴とする。
【0019】
したがって本発明によれば、モータロータの回転慣性エネルギや外部から推力ロッドに加えられた衝撃をゴムブロックの弾性変形により吸収できる。また、ゴムブロックであるため、エネルギ吸収機構を金属スプリングより大幅に小形、かつ低コストにできる。また、ゴムブロックは高温度となるステータコイルやロータから離れた位置に配置されている。このため、温度上昇が抑制され、長期に亘りスプリング特性が良好に保たれる。
請求項5に記載の発明にかかる電動シリンダでは、前記モータ軸の雌ネジおよび推力ロッドの雄ネジは、複数条で刻設された、リード角の小さいすべりネジであることを特徴とする。
【0020】
したがって本発明によれば、推力ロッドの負荷荷重を大きくすることができる。また、ネジのリード角を小さくしたことにより得られるネジの自動止まり作用によって、外部負荷のためにモータの逆回転を起こさず、電磁ブレーキを装備することなしに推力、位置の保持ができる。よって、電動シリンダを小形化、低コスト化することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明にかかる電動シリンダでは、ブラケットの中央部の推力ロッドの貫通孔にはスクレーパが配設されていることを特徴とする。
したがって本発明によれば、電動シリンダ内部の推力ロッドとモータ軸の係合ネジ部との隙間にダスト等が侵入するのが防止される。従って、電動シリンダの故障を防止できる。
【0022】
請求項7に記載の発明にかかる電動シリンダでは、ブラケットの中央部の推力ロッドの貫通孔には推力ロッドのための摺動軸受が配設されており、該摺動軸受は推力ロッドの直線運動を案内すると同時に推力ロッドに垂直な方向に作用する負荷を担持することを特徴とする。
【0023】
したがって本発明によれば、推力ロッドのための共回り防止案内機構を小形化できる。
請求項8に記載の発明にかかる電動シリンダでは、推力ロッドに結合された共回り防止案内機構は、支持アーム、複数の案内軸、およびその案内軸の軸受を有するものとされている。
【0024】
したがって本発明によれば、推力ロッドのための共回り防止案内機構を小形化できる。
請求項9に記載の発明にかかる電動シリンダでは、支持アームを介して推力ロッドに結合された複数の案内軸の少なくともいずれか1つには、位置検出のためのリミットスイッチドグが設けられ、そのリミットスイッチドグに対応するフレーム側にはリミットスイッチが配置されている。
【0025】
したがって本発明によれば、その案内軸が推力ロッドの位置検出手段を兼ねる事となり、別途リミットスイッチドグ機構を必要としないから、電動シリンダを小形化、低コスト化できる。
【0026】
請求項10に記載の発明にかかる電動シリンダでは、推力ロッドに結合された支持アームの案内軸の軸受がブラケットの縁部に配置され、該案内軸の軸受が位置検出のためのリミットスイッチ、ドグと共にモータブラケットの外形内に収納されている。
【0027】
したがって本発明によれば、電動シリンダの外形を小形化できる
【0030】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
次に、本発明に係る電動シリンダ100の一実施の形態について具体的に説明する。図1は電動シリンダ100の第1の実施形態を示した断面図であり、図2は同じ図1についてさらにその構造を詳細に説明するものである。また図3は予圧プレートの作用を説明するものである。図1、図2において、電動シリンダ100は、回転トルクを発生するモータ部と、その回転トルクを直線運動に変換して軸方向の推力にして利用できるようにした運動変換部とから成る基本構造を有する。
【0031】
モータ部は、コイル1を巻回されたステータ2と、その内部で回転するロータ3と、ロータ3と結合されてその回転を担持するモータ軸4とを備えている。ここでステータ2はモータフレーム5に固定されている。このモータフレーム5は例えば円筒状であり、その両端はブラケット6、7によって支持されている。そのブラケット6、7はフレーム5を挾持しており、そのブラケット6、7の外周部は複数の締結ボルト8で結合されている。
【0032】
前記モータ軸4は前玉軸受11と後玉軸受12に支持されている。さらに詳しくは、モータ軸4の前小径部4aに前玉軸受11の内輪11aが嵌合保持されており、モータ軸4の後小径部4bに後玉軸受12の内輪12aが嵌合保持されている。モータ軸4の前後小径部4a、4bより内側の中央部はその前後小径部4a、4bより大径となっている。なお、前後玉軸受11、12の外輪11b、12bの支持構造については後述する。また、玉軸受11、12はラジアル、スラスト両方の負荷に耐えられ、かつ小型で低コストであるので、電動シリンダ100の小形化に都合良い。
【0033】
次に、運動変換部を構成しているモータ軸4は中空状である。このモータ軸4の内部奥側には雌ネジ4cが刻設されている。推力ロッド15の一部、即ちその後半部分には、雄ネジ15aが刻設されている。雄ネジ15aはモータ軸4の雌ネジ4cと係合している。前記雌ネジ4cおよび雄ネジ15aは、ともにすべりネジになっている。これらのネジは、その許容負荷を増すべく、複数条となるように刻設されている。また、自動止まり作用をもつように、それらのネジのリード角は小さいものとなっている。
【0034】
なお、推力ロッド15は、その前半部分に平滑な表面の円柱部15bを有している。推力ロッド15の先端部分には結合ネジ15cが刻設されている。また、推力ロッド15はブラケット6の中央部の通孔を貫通しており、該通孔にはスクレーパ16が配設されている。そのスクレーパ16は、そのダストシール作用によって、推力ロッド15の平滑な円柱部15bの表面の清浄を維持する。そして、電動シリンダ100内部のモータ軸4と推力ロッド15の係合ネジ部との隙間にダスト等が侵入するのを防止する。
【0035】
また、推力ロッド15の先端近くには、一対の腕を持つ、いわゆる両腕型の支持アーム21が固定されている。推力ロッド15に設けられた固定溝には止め輪22が嵌設されている。その止め輪22は推力ロッド15と支持アーム21の軸方向の固持を補強している。したがって、推力ロッド15が異常な衝撃等の大きな外部負荷によって電動シリンダ100側に向かって押圧された場合でも、推力ロッド15に対しその支持アーム21が軸方向に移動するのを防止する。また、ブラケット6の前面には緩衝部材23が固設されている。この緩衝部材の設置により、支持アーム21とブラケット6とが衝突する時の衝撃を緩和できる。なお、緩衝部材23はゴム板等の弾性材料によって形成されていることが良い。
【0036】
一方、支持アーム21の対称な両端部には、案内軸24がそれぞれ固定されている。案内軸24はブラケット6の周縁部に設けられた軸受25に案内されている。したがって、推力ロッド15は支持アーム21を介して軸受25に案内されている。よって、推力ロッド15はその回転を規制されて軸方向にのみ移動できるようになっている。また、推力ロッド15に垂直な負荷を担持できるようになっている。
【0037】
したがって、支持アーム21、その対称な両端部に固定された案内軸24、およびブラケット6の周縁部に設けられた軸受25は、推力ロッド15のための共回り防止案内機構を形成する。
【0038】
しかも、軸受25は一対以上配設して耐荷重を増すことができるばかりでなく、推力ロッド15と並列に配置できるから、電動シリンダ100の全長短縮に役立つ。この場合、軸受25はモータ軸4の雌ネジ4cより前方位置に設けられているので、当該軸受25に推力ロッド15に働く横方向のモーメントを分担させることができる。また、外部負荷によって推力ロッド15に偏心応力が作用することが回避されるから、モータ軸4および推力ロッド15の各ネジ面が均等に接触して所期の機能を発揮することができる。
【0039】
図2において、前後玉軸受11、12の外輪の支持構造について説明する。前玉軸受11の外輪11bは前軸受ブラケット13の円筒状の中央孔13aに遊嵌されており、同様に後玉軸受12の外輪12bは後軸受ブラケット14の円筒状の中央孔14aに遊嵌されている。しかも、それらの玉軸受11、12は、その外輪11b、12bの外周面でモータ軸4の軸方向に摺動可能に支持されている。なお、前、後軸受ブラケット13、14は、ブラケット6、7に密着した状態でモータフレーム11の内部に固定されている。
【0040】
また、ブラケット6と前軸受ブラケット13との間の空間として、ブラケット6の中央部に円形空孔6aが形成されている。また、ブラケット7と後軸受ブラケット14との間の空間として、ブラケット7の中央部に円形空孔7aが形成されている。その円形空孔6aには環状の前弾性ブロック17と予圧プレート18とが配置され、ブラケット7の円形空孔7aには環状の後弾性ブロック19と予圧プレート20とが配置されている。その予圧プレート18の一方の面は前弾性ブロック17に接しており、他方の面は前軸受ブラケット13に接している。また同様に、予圧プレート20の一方の面は後弾性ブロック19に接しており、他方の面は後軸受ブラケット14に接している。なお、前後の弾性ブロック17、19としてゴム材料が適している。ゴム材料は低コストかつ負荷に応じて弾性変形することができるとともに、ブロック状に形成したときに小形で必要な耐荷重性能を得ることができる。よって、弾性ブロック17、19として好適である。
【0041】
また、ブラケット6の中央部の円形空孔6aの底面6bと予圧プレート18との間隔GAより、自然状態における前弾性ブロック17の厚さは、必要な予圧に相当する分だけ大となっている。それゆえ、図2のように、ブラケット6の空孔底面6bと予圧プレート18との間に弾性ブロック17を配置されたとき、前弾性ブロック17は圧縮された状態となる。また、予圧プレート18は前軸受ブラケット13を所定の圧力で常時押圧、すなわち予圧している。また後弾性ブロック19も同様に後軸受ブラケット14を所定の圧力で常時予圧している。
【0042】
モータ軸4は前後の玉軸受11、12に支持されている。それらの玉軸受11、12は、それぞれの予圧プレート18、20との間にゼロ乃至微少隙間(本実施形態では0.1μm〜5mm程度の隙間を指す。)を保っている。その結果、玉軸受11、12は、その移動を規制され、その位置を保持している。そのため、モータ軸4に固定されたロータ3はステータ2に正対する位置に保持されている。このように、予圧プレート18、20は、前、後軸受ブラケット13、14によってその前進位置を規制されている。
【0043】
したがって、予圧プレート18が軸受ブラケット13を常時予圧していても、玉軸受11は予圧プレート18に押圧される訳ではない。そのため、玉軸受11に常時スラスト負荷が加えられた状態とならず、耐久性が保たれる。
【0044】
このような構造からなる本実施の形態の電動シリンダ100は、次のように動作する。ステータ2に巻回されたコイル1に通電されると、その内部でロータ3、およびロータ3と結合されたモータ軸4が一体回転する。このモータ軸4の雌ネジ4cには推力ロッド15の雄ネジ15aが係合している。それゆえ、モータ軸4が回転すると、その回転方向に応じて、推力ロッド15を前進または後退させる推力が発生する。このような推力ロッド15の前進運動または後退運動をそのままワークの送りやクランプに利用することができる。また、推力ロッド15に対して軸方向に垂直な負荷を加えてもその作動に支障がない。
【0045】
ところで、モータ軸4の回転によって推力ロッド15が、例えば左方向へ前進し、大きな負荷に衝突したような場合、外部から推力ロッド15に加えられた反力は、モータ軸4の回転運動には逆変換されない。これは推力ロッド15とモータ軸4のすべりネジとによって得られる自動止まり作用による。すなわち、ネジ勾配が小さいため摩擦抵抗分力がネジ回転分力より大となるためである。
【0046】
その結果、外部から推力ロッド15に加えられた右方向の反力は、モータ軸4を介して後玉軸受12に伝達される。後玉軸受12はその外輪12bによってはじめて予圧プレート20から押圧される。予圧プレート20は後弾性ブロック19を押圧してその反力を吸収し、衝撃を緩和する。それによって、推力ロッド15の雄ネジ15aとモータ軸4の雌ネジ4cネジとが、その所定性能を逸脱して過大なトルクで締め込まれるのが防止される。それゆえ、それらのネジの噛み込み固着(ロック)やネジ破損を起こさないのである。
【0047】
ところで、外部から推力ロッド15に加えられた反力は、モータ軸4を介して後玉軸受12に伝達されるが、予圧プレート20は後弾性ブロック19に予圧されている。そのため、外部からの反力が雄ネジ15aおよび雌ネジ4cの定格荷重の範囲内のときは、予圧プレート20は後弾性ブロック19を押圧しない。これを図3を参照して説明する。図3において、モータ軸4が予圧プレート20を押圧してx量変位するのは、+F0以上の反力、または−F0以上の引張り力が推力ロッド15に作用した場合である。なお、前後弾性ブロック17、19のバネ定数S=kである。
【0048】
また、予圧力F0 は前記定格荷重Fr以上としておくことにより、定格荷重Fr以下の負荷では弾性ブロック19による変位は起こらない。
これを整理すると、F0を予圧力、Fを外部負荷とするとき、
|F|≦|F0|
の範囲では、次式
x=0
のようになる。また、
|F|>|F0|
の範囲では
|x|=|(F−F0)/k|
という関係がなりたつ。このように、定格荷重Fr以下の負荷では弾性ブロック19による変位は起こらず、モータ軸4の位置は前後に移動しない。
【0049】
したがって、定格荷重Fr以下の負荷では 送り動作時に変位の直線性が保たれる。しかも、弾性ブロック19による予圧は玉軸受12には作用しないから、玉軸受12は常時スラスト負荷が加えられた状態とならず、その耐久性を保つことができる。その玉軸受12は外部負荷のみ受けれれば良いので、小型、低コストのもので良く経済的である。
【0050】
また前述のように、推力ロッド15とモータ軸4とによるすべりネジの自動止まり作用によって、モータへの通電が遮断されてモータ軸4が回転停止すると、推力ロッドはその位置を保持された状態となる。それゆえ、回転保持のためのブレーキ装置等が不要となる。
【0051】
次に、電動シリンダ100の復帰について説明する。
図4はモータが逆回転して、推力ロッド15が後退し、送り終端の緩衝部材23の手前αの位置でワークをクランプした状態を示す。クランプした推力ロッド15はそのαの位置で停止したとする。そのαの位置に達する直前に、図示しないリミットスイッチの作動により、モータ通電が停止されている。このとき、ロータ等には慣性モーメントIがあるので、その回転運動エネルギをEmとすると、
Em=(1/2)・I・ω2
という関係がなりたつ。また、推力ロッド15がその位置で停止しても、残されたロータ3等の慣性エネルギEmにより、モータ軸4はその内部奥側の雌ネジ4cを回転し推力ロッド15の雄ネジ15a上を前進し、前弾性ブロック17をx長さ分だけ押圧変形させる。
【0052】
この変形量と前弾性ブロック17の歪みエネルギEsとの関係は、弾性ブロック17のバネ定数をk、同弾性ブロック17の初期圧縮量をx0、ネジの締め込み方向での効率をy1とすると、
Figure 0004018294
という関係がなりたつ。ここでクランプ動作における締め込み推力をF1とすると、
k・x2(1+2x0/x)=y1×I・ω2
であるから、次式、
F1=k・(x+x0)
のようになる。そして、この推力F1が無通電状態でネジの締め込み力を発生させる。
【0053】
残されたロータ3等の慣性エネルギEmが放出されても、前述のすべりネジの自動止まり作用により無通電状態でも押し続けられる。自然に逆転開放はされない。
【0054】
一方、緩め方向にモータ通電すると、その推力F2は、ネジのリードをL、モータの起動トルクをT、ネジの緩め方向の効率をy2とすると、
F2=(2π/L)×T×y2
となる。ここで、
F2>F1
とすれば、モータの起動トルクにより、モータ軸4の雌ネジ4cを逆転始動させることができる。すなわち、F2>F1となるように弾性ブロック17の小さい値のバネ係数を選ぶことにより、ネジの噛み込み固着を防止して逆転再開できる。
【0055】
逆に、弾性ブロック17のバネ係数を大きな値にすると、F2<F1となり、モータ軸4の雌ネジ4cは固着を生じて逆転再開できなくなるのである。
なお、モータの必要出力が決まるとモータの外径、長さが決まる。モータの本体長さをLoとすると、モータ軸4の雌ネジ4cと推力ロッド15の雄ネジ15aとの係合長さは、接触面のPV(許容負荷)値から定まる最小係合長さAより短くなってはならない。
【0056】
モータ軸4の雌ネジ4cの有効軸長をLとし、弾性ブロック17の歪み量をδとすると、ストロークSは
S=(1/2)・(L−A−δ)
δ≒0 なので、
S≒(1/2)・(L−A)
となる。したがって、モータ軸4の雌ネジ4cの有効軸長Lはモータの本体長さLoに近く大きく確保できるから、モータの本体長さに対して推力ロッド15のストロークSは最も大きくとれる。
【0057】
従って、本実施形態によれば以下の効果を奏する。
(1)本実施形態の電動シリンダ100によれば、モータ軸4の雌ネジ4cには推力ロッド15の雄ネジ15aが係合していて、雄ネジ15aがモータに内蔵されているため、全体がが小形化されている。このようなものにおいて、モータのロータ3の慣性エネルギを小形の弾性ブロック17で吸収しているので、電動シリンダ100を大型化することなく、安定して作動させることができる。
【0058】
(2)また、推力ロッド15が、共回り防止案内機構としての、支持アーム21と、その支持アーム21端部の案内軸24と軸受25に案内されることにより、ラジアル方向の負荷が担持される。また、推力ロッド15が負荷と共に回動する共回りが防止されることにより、推力ロッド15をワークに連結する際の制限がなくなる。従って、電動シリンダ100の用途を拡げることができる。
【0059】
(3)また、推力ロッド15の定格荷重Fr以上の負荷がかかっても、予圧リングと弾性ブロック19により係合ネジの固着を生じることがない。従って、ワーククランプ等の操作を安定して行うことができる。また、定格荷重Fr以下の負荷では、送り動作時に変位の直線性が保たれる。
【0060】
(4)また、スクレーパ16は、そのダストシール作用によって、推力ロッド15の平滑な円柱部15bの表面の清浄を維持する。ゆえに、ダストをネジ係合部に侵入させず、ネジ係合部の故障を防ぐ。
【0061】
(5)また、推力ロッド15とモータ軸4のすべりネジとによるの自動止まり作用によって、モータへの通電が遮断されてモータ軸4が回転停止すると、推力ロッド15はその位置を保持された状態となる。それゆえ、回転保持のためのブレーキ装置等が不要となり、電動シリンダ100を低コスト化できる。
[第2の実施形態]
次に本発明の電動シリンダ110にかかる第2実施の形態について、図面を参照して説明する。図5は本実施の形態の電動シリンダ110を示した断面図である。本実施の形態の電動シリンダ110は、モータ部、モータ軸、運動変換部等の基本構造を前記第1実施の形態のものと同様とし、推力ロッド15Aのための摺動軸受31を付加したものである。したがって、共通部分についての詳細な説明は省略する。
【0062】
本実施の形態の特徴は、推力ロッド15Aのための摺動軸受31がブラケット6Aの中央孔に配設されている。この摺動軸受31は、推力ロッド15Aの直線運動を案内すると同時に、推力ロッド15Aに垂直な方向に作用する負荷を担持する。したがって、推力ロッド15Aは支持アーム21Aの案内軸24Aの軸受25Aと摺動軸受31とによって案内される。その案内によって、推力ロッド15Aが負荷と共に回動する共回りが防止されるとともに、推力ロッド15Aに垂直な方向に作用する負荷を分割して担持される。それゆえ、案内軸24Aの軸受25Aは1つで十分であり、支持アーム21Aは片腕形で良い。なお、推力ロッド15Aの回り止め機能が相手負荷装置にある場合には、支持アーム21A、案内軸24A、軸受25Aを省略できる。
【0063】
したがって、本実施の形態の電動シリンダ110によれば、支持アーム21A、案内軸24A、およびその軸受25Aからなる共回り防止案内機構の構造を簡素化し、小形化できる。
[第3の実施形態]
次に本発明の電動シリンダ120にかかる第3実施の形態について図面を参照して説明する。図6は本実施の形態の電動シリンダ120を示した断面図である。本実施の形態の電動シリンダ120は、モータ部、モータ軸、運動変換部等の基本構造を前記第1実施の形態のものと同様とし、前弾性ブロック17Bの位置を変更してより小形化したものである。
【0064】
本実施の形態の特徴は、前弾性ブロック17Bが前軸受ブラケット13Bと前ブラケット6Bとの間に配置されていることにある。その前軸受ブラケット13Bは、円板部13Baと円筒孔13Bcとを有している。その円筒孔13Bcには玉軸受11Bが保持され、その円筒孔13Bcの外周部はブラケット6Bの円筒状の中央孔6Baに軸方向に移動可能に遊嵌されている。
【0065】
また、その前軸受ブラケット13Bの外周側の円板部13Baと、ブラケット6Bとの間には、環状の前弾性ブロック17Bが配設されている。前弾性ブロック17Bは、必要な予圧に相当する量だけ圧縮されている。そのため、前弾性ブロック17Bによって前軸受ブラケット13Bが常時モータ内側に押圧されている。一方、その前軸受ブラケット13Bの円板部の外周13Baは、ブラケット13Bの外周円筒部の内側に配設された止め輪41によってモータの中央方向への移動を規制されている。つまり本実施の形態の電動シリンダ120では、前軸受ブラケット13Bが予圧プレートの作用をする。したがって、モータ軸は前後玉軸受11B、12B間の位置に保持されている。
【0066】
したがって、本実施の形態の電動シリンダ120によれば、前弾性ブロック17Bを前玉軸受11Bと軸方向に直列に設置することなく、前弾性ブロック17Bを前玉軸受11Bと並列して設置できる。このため、軸方向の長さをその分短縮でき、電動シリンダ120を短小化できる。しかも、通常は弾性ブロックの弾撥力によってモータ軸上の両玉軸受11B、12Bにスラスト方向の負荷をかけないから、その玉軸受の寿命を保つことができる。
[第4の実施形態]
次に本発明の電動シリンダ130にかかる第4実施の形態について図面を参照して説明する。図7は本実施の形態の電動シリンダ130を示した断面図である。本実施の形態の電動シリンダ130は、モータ部、モータ軸、運動変換部の構造については前記第1実施の形態のものと異なるところがないので、その詳細な説明は省略する。本実施の形態の特徴は、弾性ブロック17、伝達リング18、モータ軸4Cの玉軸受11Cがブラケット6Cの中央孔6Caに配置されたことにある。
【0067】
本実施の形態の電動シリンダ130において、ブラケット6Cの中央孔6Caには、玉軸受11Cの外輪に接して伝達リング18Cが配設され、さらに伝達リング18Cに接して環状の前弾性ブロック17Cが配設されている。同様に、ブラケット7Cの中央孔7Caには、玉軸受12Cの外輪に接して伝達リング20Cが配設され、さらに伝達リング20Cに接して環状の後弾性ブロック19Cが配設されている。前後玉軸受11C、12Cは、それぞれ中央孔6Ca、7Ca内に遊嵌されて軸方向に移動可能となっている。そして、環状の前弾性ブロック17C、19Cは、前後玉軸受11C、12Cを挾むように配置されている。
【0068】
また、弾性ブロック17C、19Cとして、応力に比例して弾性変形するゴム材料が適している。このようなゴムブロックは小形で必要な耐荷重性が得られ、しかも低コストである。従って、弾性ブロック17C、19Cとして好適である。
【0069】
外部から推力ロッド15Cに加えられた右方向の反力は、モータ軸4Cを介して後玉軸受12Cに伝達される。後玉軸受12Cは伝達リング20Cを介して弾性ブロック19Cを押圧する。それによって、推力ロッド15Cの反力を吸収し、衝撃を緩和する。そして推力ロッド15Cの雄ネジ15aとモータ軸4Cの雌ネジ4cとが、その所定性能を逸脱して過大なトルクで締め込むのを防止する。それゆえ、それらのネジの噛み込み固着やネジ破損を起こさない。
【0070】
したがって、本実施の形態の電動シリンダ130によれば、前後のブラケット6C、7Cは単純な1枚構造で済むようになり、より小形化、低コスト化できる。それゆえ、本実施の形態の電動シリンダ130は、ワーククランプの用途に特に適している。
[第5の実施形態]
図8は第5の実施の形態の電動シリンダ140を示した断面図であり、図9は電動シリンダ140を推力ロッド15D側から見た正面図である。
【0071】
本実施の形態の特徴は、推力ロッド15Dのための支持アーム21Dの構造にある。本実施の形態の電動シリンダ140においては、支持アーム21Dの案内軸24Dの軸受25Dがブラケット6Dの縁部6Daに配置されている。
【0072】
したがって、本実施の形態の電動シリンダ140によれば、案内軸24Dと軸受25Dとがモータの外形内に収納されることにより、全体が小形になる。
また、案内軸24Dを共用して位置検出のためのリミットスイッチドグ26Dを設け、対応するフレーム側にリミットスイッチ27を配置することにより、小形、低コストで位置の電気信号を発信できる。
[第6の実施形態]
図10は第6の実施の形態の電動シリンダ150を示した断面図である。
【0073】
本実施の形態の特徴は、常時摺動ブレーキをブラケットの一方(7E)に内蔵したことである。
ここで、ブラケット7Eの中央孔7Eaの外側に設けられたシリンダ51内には、ブレーキプランジヤ52が遊嵌されている。そのシリンダ51の端部はプラグ54で封止されている。ブレーキプランジヤ52とプラグ54とがなす空間には、コイルバネ53が介装されている。そしてそのブレーキプランジヤ52は、コイルバネ53の付勢力により、ロータ3Eの側面の摺動面55に押圧されている。その摺動面55は、モータ軸4Eに固定されたロータ3Eの二次コイルの側面を平坦な摺動面としたものである。この摺動面55にブレーキプランジヤ52を押圧することにより、その摺動面において若干の摩擦抵抗を発生させている。
【0074】
したがって、本実施の形態の電動シリンダ150によれば、送り動作後に制動時間を短くでき、また、推力ロッド15Eの停止精度を高めることができる。また、外部振動により推力ロッド15Eの雄ネジとモータ軸4Eの雌ネジ4cとによる自動止まり作用が保たれず、位置の保持が困難なときでも、その保持力を補償することができる。
[第7の実施形態]
図11は第7の実施の形態の電動シリンダ160を示した断面図である。本実施の形態の特徴は、モータ軸4Fにロータリエンコーダを一体的に装着したことである。モータ軸4Fの後端部はブラケット7Fの中央貫通孔から突き出ており、そのモータ軸4Fの後端部にロータリ円盤61が結合されている。また、検出器62はブラケット7Fの外側面の溝内に配置されている。その検出器62は、ロータリ円盤61上に印刷された角度マークを検出してパルスを出力する。なお、ロータリエンコーダのロータリ円盤61は、保護カバー63によって覆われている。
【0075】
そのロータリエンコーダの検出器62で検出されたパルス数を図示しない制御装置でカウントすることにより、モータを制御して任意位置に停止させることができる。その場合、推力ロッド15Fに連結されたドグ26Fの位置を図示しないリミットスイッチにより検出して、推力ロッド15Fの前後進の限界点、あるいは原点を検出することができる。
【0076】
したがって、本実施の形態の電動シリンダ160によれば、電動シリンダ160の推力ロッド15Fの停止位置を制御するのが容易となる。
なお、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、電動シリンダの用途によっては弾性ブロックを前後ブラケット等の双方に設ける必要もない。また、後ブラケットに貫通孔を設けて推力ロッドの他端側を延長してもよく、さらに推力ロッドの断面を非円形としてその回転を防止することもできる。
【0077】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1) フレームと、前記フレームを前後から挾持するブラケットと、前記フレーム内に固定されたステータと、そのステータの内部で回転するロータと、前記ロータと一体回転する中空状のモータ軸と、前記モータ軸の両端に設けられた軸受と、前記モータ軸に挿入された推力ロッドとを備え、前記モータ軸の内部に設けられた雌ネジと、前記推力ロッドの一部に設けられた雄ネジとが係合している電動シリンダであって、前記ブラケットの内側面に弾性部材を配置し、前記弾性部材に接して伝達部材を配置し、前記伝達部材を介して前記軸受の一部が押圧されうるように構成した電動シリンダ。
【0078】
(2) フレームと、前記フレームを前後から挾持するブラケットと、前記フレーム内に固定されたステータと、そのステータの内部で回転するロータと、前記ロータと一体回転する中空状のモータ軸と、前記モータ軸の両端に設けられた軸受と、前記モータ軸に挿入された推力ロッドとを備え、前記モータ軸の内部に設けられた雌ネジと、前記推力ロッドの一部に設けられた雄ネジとが係合している電動シリンダであって、前記推力ロッドは共回り防止案内機能機構を有することを特徴とする電動シリンダ。
【0079】
(3) フレームと、前記フレームを前後から挾持するブラケットと、前記フレーム内に固定されたステータと、そのステータの内部で回転するロータと、前記ロータと一体回転する中空状のモータ軸と、前記モータ軸の両端に設けられた軸受と、前記モータ軸に挿入された推力ロッドとを備え、前記モータ軸の内部に設けられた雌ネジと、前記推力ロッドの一部に設けられた雄ネジとが係合している電動シリンダであって、前記ブラケットの内側に軸受ブラケットを設け、前記軸受ブラケットの中央孔に前記軸受を軸方向に移動可能に嵌装し、前記ブラケットと前記軸受ブラケットとの間に予圧部材を配置し、前記ブラケットの内側面に弾性部材を圧縮して配置し、前記弾性ブロックは、前記予圧プレートを介して前記軸受の一部を押圧可能とすべく常時は前記軸受ブラケットに当接し、かつ前記弾性ブロックと前記軸受の一部との間にゼロ乃至微小隙間が保たれるように構成したことを特徴とする電動シリンダ。
【発明の効果
【0080】
請求項に記載の発明では、モータフレームを前後から挾持するブラケットの内側に軸受ブラケットを設け、該軸受ブラケットの中央孔には軸受、および予圧プレートを軸方向に移動可能に嵌装し、かつ、前記フレームを前後から挾持するブラケットの内側面に弾性ブロックを圧縮して配置している。該弾性ブロックは該予圧プレートを介して前記軸受の外輪を押圧可能であって、常時は前記軸受ブラケットに当接しており、かつ推力ロッドは共回り防止案内機構を有する。それゆえ本発明によれば、予圧プレートの作用により、推力ロッドの雄ネジとモータ軸の雌ネジとが、過大なトルクで締め込まれるのが防止される。ゆえに、それらのネジの噛み込み固着(ロック)やネジ破損を起こさず、ネジ係合が安定する。
また、外部負荷が変動する場合でも、推力ロッドの作動速度の直線性を保つことができる。
【0081】
請求項に記載の発明では、モータフレームを前後から挾持するブラケットの内側に軸受ブラケットを設け、該軸受ブラケットは前記ブラケットの外周円筒部の内側に配設された止め輪によって前記軸受ブラケットのモータの中央方向への移動が規制されるとともに前記軸受を軸方向に移動可能かつ軸方向にゼロ乃至微小隙間を持って拘束し、前記ブラケットと前記軸受ブラケットとの間に弾性ブロックを圧縮して配置している。該弾性ブロックは前記軸受ブラケットを常時予圧するとともに、前記推力ロッドに外部負荷が作用した際に前記軸受ブラケットを介して前記軸受の外輪を押圧する。従って、本発明によれば、電動シリンダの全長を拡大することなく弾性ブロックを配置することができる。
請求項3に記載の発明では、モータ軸にロータリエンコーダのロータリ円盤を結合し、その検出器をブラケットの外側面に配置した。従って、本発明によれば、モータ軸の回転に応じたパルス数を検出利用して電動シリンダが正確に制御される。
【0082】
請求項4に記載の発明では、モータフレームを前後から挾持するブラケットの内側面に弾性ブロックを配置しており、その弾性ブロックはゴムブロックとされている。従って、本発明によれば、モータロータの回転慣性エネルギや外部から推力ロッドに加えられた衝撃をゴムブロックの弾性変形により吸収できる。また、ゴムブロックであるため、エネルギ吸収機構を金属スプリングより大幅に小形、かつ低コストにできる。
【0083】
請求項5に記載の発明では、モータ軸の雌ネジおよび推力ロッドの雄ネジは、複数条で刻設された、リード角の小さいすべりネジである。従って、本発明によれば、推力ロッドの負荷荷重を大きくすることができる。また、ネジの自動止まり作用があるので、外部負荷のためにモータの逆回転を起こさず、電磁ブレーキを装備することなしに推力、位置の保持ができ、電動シリンダを小形化、低コスト化ができる。
【0084】
請求項6に記載の発明では、モータブラケットの中央部の推力ロッドの貫通孔にスクレーパが配設されている。従って、本発明によれば、電動シリンダ内部の推力ロッドとモータ軸の係合ネジ部との隙間にダスト等が侵入するのを防止して電動シリンダの故障を防止できる。
【0085】
請求項7に記載の発明では、ブラケットの中央部の推力ロッドの貫通孔には推力ロッドのための摺動軸受が配設されている。従って、本発明によれば、摺動軸受は直線運動を案内すると同時に推力ロッドに垂直な方向に作用する負荷を担持するから、同様の機能をもつ推力ロッドのための共回り防止案内機構を小形化できる。
【0086】
請求項8に記載の発明では、推力ロッドに結合された共回り防止案内機構の支持アームの複数の案内軸の軸受がブラケットに配置されている。従って、本発明によれば、推力ロッドのための共回り防止案内機構を小形化し、モータを小形化できる。
【0087】
請求項9に記載の発明では、支持アームを介して推力ロッドに結合された複数の案内軸の少なくともいずれか1つに、位置検出のためのリミットスイッチドグが設けられ、また、そのリミットスイッチドグに対応するフレーム側にリミットスイッチが配置されている。従って、本発明によれば、その案内軸が推力ロッドの位置検出手段を兼ねる事となり、別途リミットスイッチドグ機構を必要としないから、電動シリンダを小形化、低コスト化できる。
【0088】
請求項10に記載の発明では、推力ロッドに結合された支持アームの案内軸の軸受がブラケットの縁部に配置されていて、該案内軸の軸受が位置検出のためのリミットスイッチ、ドグと共にモータブラケットの外形内に収納されている。従って、本発明によれば、電動シリンダの外形を小形化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電動シリンダの第1実施の形態を示した断面図である。
【図2】図1について構造をさらに詳細に説明する断面図である。
【図3】本発明にかかる電動シリンダの予圧プレートの作用を説明する図表である。
【図4】本発明にかかる電動シリンダの動作を説明する断面図である。
【図5】本発明にかかる電動シリンダの第2実施の形態を示した断面図である。
【図6】本発明にかかる電動シリンダの第3実施の形態を示した断面図である。
【図7】本発明にかかる電動シリンダの第4実施の形態を示した断面図である。
【図8】本発明にかかる電動シリンダの第5実施の形態を示した断面図である。
【図9】本発明にかかる電動シリンダの第5実施の形態を示した正面図である。
【図10】本発明にかかる電動シリンダの第6実施の形態を示した断面図である。
【図11】本発明にかかる電動シリンダの第7実施の形態を示した断面図である。
【図12】従来の電磁作動装置の要部断面図である。
【符号の説明】
1 コイル
2 ステータ
3 ロータ
4 モータ軸
4a 内部ネジ
5 モータフレーム
6 ブラケット
7 ブラケット
11 玉軸受
12 玉軸受
13 前軸受ブラケット
14 後軸受ブラケット
15 推力ロッド
15a 雄ネジ
17 弾性部材
18 予圧プレート
18A 伝達リング
19 弾性部材
20 予圧プレート
21 支持アーム
24 案内軸
25 軸受
100 電動シリンダ

Claims (10)

  1. フレームと、該フレームを前後から挾持するブラケットと、該フレーム内に固定されたステータと、その内部で回転するロータと、該ロータと結合されてその回転を担持するモータ軸とを備え、
    モータ軸はその両端に軸受を組合わされるとともにその内部に雌ネジが刻設されており、推力ロッドはその後半部分に雄ネジが刻設されて該モータ軸の雌ネジと係合している電動シリンダにおいて、
    前記ブラケットの内側面に軸受ブラケットを設け、該軸受ブラケットの中央孔には軸受を軸方向に移動可能に遊嵌するとともに、前記ブラケットと軸受ブラケットとの間に該軸受ブラケットと当接し、かつ前記軸受の外輪とゼロ乃至微小隙間を持つように予圧プレートを配置し、前記ブラケットの内側面と前記予圧プレートとの間に弾性ブロックを圧縮して配置し、
    前記弾性ブロックは該予圧プレートを介して前記軸受ブラケットを常時予圧するとともに、前記推力ロッドに外部負荷が作用した際に前記予圧プレートを介して前記軸受の外輪を押圧し、
    該推力ロッドは共回り防止案内機構を有することを特徴とする電動シリンダ。
  2. フレームと、該フレームを前後から挾持するブラケットと、該フレーム内に固定されたステータと、その内部で回転するロータと、該ロータと結合されてその回転を担持するモータ軸とを備え、
    モータ軸はその両端に軸受を組合わされるとともにその内部に雌ネジが刻設されており、推力ロッドはその後半部分に雄ネジが刻設されて該モータ軸の雌ネジと係合している電動シリンダにおいて、
    前記ブラケットの内側に軸受ブラケットを設け、該軸受ブラケットは前記ブラケットの外周円筒部の内側に配設された止め輪によって前記軸受ブラケットのモータの中央方向への移動が規制されるとともに、前記軸受を軸方向に移動可能かつ軸方向にゼロ乃至微小隙間を持って拘束し、前記ブラケットと前記軸受ブラケットとの間に弾性ブロックを圧縮して配置し、
    前記弾性ブロックは前記軸受ブラケットを常時予圧するとともに、前記推力ロッドに外部負荷が作用した際に前記軸受ブラケットを介して前記軸受の外輪を押圧し、
    前記推力ロッドは共回り防止案内機構を有することを特徴とする電動シリンダ。
  3. モータ軸にロータリエンコーダのロータリ円盤を結合し、その検出器をブラケットの外側面に配置したことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の電動シリンダ。
  4. 弾性ブロックはゴムブロックであることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の電動シリンダ。
  5. 前記モータ軸の雌ネジおよび推力ロッドの雄ネジは、複数条で刻設された、リード角の小さいすべりネジであることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の電動シリンダ。
  6. ブラケットの中央部の推力ロッドの貫通孔にはスクレーパが配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の電動シリンダ。
  7. ブラケットの中央部の推力ロッドの貫通孔には推力ロッドのための摺動軸受が配設されており、該摺動軸受は推力ロッドの平滑な表面の円筒部を介して直線運動を案内すると同時に推力ロッドに垂直な方向に作用する負荷を担持することを特徴とする請求項1又は請求項に記載の電動シリンダ。
  8. 共回り防止案内機構は、支持アーム、複数の案内軸、およびその案内軸の軸受を有することを特徴とする請求項1又は請求項に記載の電動シリンダ。
  9. 共回り防止案内機構を構成する複数の案内軸の少なくともいずれか1つには、位置検出のためのリミットスイッチドグが設けられ、対応するフレーム側にはリミットスイッチが配置されていることを特徴とする請求項1請求項、請求項8のいずれかに記載の電動シリンダ。
  10. 推力ロッドに結合された支持アームの案内軸の軸受がブラケットの縁部に配置され、該案内軸の軸受がモータの外形内に収納されていることを特徴とする請求項1又は請求項に記載の電動シリンダ
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