本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、実施形態に係るアーム機構の概略図である。図1に示すように、アーム機構1は、2軸一体型モータ2と、第1駆動側アーム51と、第2駆動側アーム52と、反転機構80と、第1従動側アーム61と、第2従動側アーム62と、アーム先端部70とを有する。アーム機構1は、多関節ロボットに適用され、例えば、ピックアンドプレース装置として用いられる。
支持台SBには、ワークが搬入される搬入レーンLLと、ワークが搬出される複数の搬出レーンUL1、UL2と、が設けられている。本実施形態では、例えば、2つの搬出レーンUL1、UL2が設けられている。複数の搬出レーンUL1、UL2は、2軸一体型モータ2を挟んで搬入レーンLLの反対側に配置されている。搬入レーンLLと複数の搬出レーンUL1、UL2は、回転軸AXと直交する方向に並んで配置されている。
本実施形態のアーム機構1において、2軸一体型モータ2の第1ハウジング90が支持台SBに固定されている。2軸一体型モータ2は、回転軸AXが支持台SBに対して水平な状態となっている。アーム機構1は、第1駆動側アーム51と、第2駆動側アーム52と、第1従動側アーム61と、第2従動側アーム62とを鉛直面内で回転(旋回)及び伸縮させて、ワークを搬入レーンLLから搬出レーンUL1、UL2に移送する。
図2は、実施形態に係るアーム機構の断面図である。図3は、回転軸方向から見たアーム機構の正面図である。図4は、実施形態に係る2軸一体型モータの主要構成(ステータコア部)の一例を示す図である。
図2に示すように、2軸一体型モータ2は、内軸ロータ10Aと、内軸ステータ13Aと、外軸ロータ10と、外軸ステータ13と、非磁性体18とを有する。内軸ロータ10Aと外軸ロータ10とは、それぞれ個別に回転可能に設けられた回転子である。内軸ステータ13Aと外軸ステータ13とは、固定子である。非磁性体18は、内軸ステータ13Aと外軸ステータ13との間に設けられている。
内軸ロータ10Aと外軸ロータ10は、それぞれ回転可能に設けられて回転軸AX方向が同一である。具体的には、内軸ロータ10Aは、円筒状の内軸ロータヨーク11Aと、磁石12Aとを有する。磁石12Aは、内軸ロータヨーク11Aの外周面に沿って環状に配置される。また、内軸ステータ13Aは、コイル14Aが設けられた内軸モータコア15Aと、内軸ステータバックヨーク16Aとを有する。内軸ステータバックヨーク16Aは、円筒状であり、内軸モータコア15Aの外側に設けられる。内軸ステータバックヨーク16Aは、例えば鉄又は圧粉磁心(ダストコア)で形成される。内軸ロータ10Aは、内軸モータコア15Aのコイル14Aに対する電力供給に応じて回転する。
外軸ロータ10は、円筒状の外軸ロータヨーク11と、磁石12とを有する。磁石12は、外軸ロータヨーク11の内周面に沿って環状に配置される。また、外軸ステータ13は、コイル14が設けられた外軸モータコア15と、外軸ステータバックヨーク16とを有する。外軸ステータバックヨーク16は、円筒状であり、外軸モータコア15の内側に設けられる。外軸ステータバックヨーク16は、例えば鉄又は圧粉磁心(ダストコア)で形成される。外軸ロータ10は、外軸モータコア15のコイル14に対する電力供給に応じて回転する。
電動機の出力トルクの大小には回転軸AXから推力発生位置(磁石12、12Aとコイル14、14Aの間)までの距離の大小が関わる。このため、外軸ロータ10は相対的に内軸ロータ10Aよりもトルクが大きくなりやすい。本実施形態では、内軸ロータ10Aに設けられた磁石12A及び内軸ステータ13Aの軸長は、外軸ロータ10に設けられた磁石12及び外軸ステータ13より長い。これにより、外軸ロータ10の出力トルクと内軸ロータ10Aの出力トルクとの差をより小さくしている。
図4に示すように、2軸一体型モータ2は、回転軸AXを中心とした径方向の内側から外側に向かって、内軸ロータ10A、内軸ステータ13A、非磁性体18、外軸ステータ13、外軸ロータ10の順に配置されている。非磁性体18は、例えば、内軸モータコア15Aと外軸モータコア15の間に位置する。より具体的には、非磁性体18は、内軸ステータバックヨーク16Aと外軸ステータバックヨーク16の間に位置し、内軸ステータバックヨーク16A及び外軸ステータバックヨーク16の少なくとも一方に固定されている。このように、内軸ステータ13Aと外軸ステータ13との隣接位置には非磁性体18が介在している。非磁性体18を設けることにより、内軸ステータ13Aと外軸ステータ13との間に生じる磁界の干渉を抑制することができる。
非磁性体18は、例えば非磁性の合金又は樹脂若しくはこれらの両方を用いた部材である。より具体的には、非磁性体18は、例えばアルミニウム合金、オーステナイト系ステンレス(例えば、SUS316、SUS316L、SUS305等)の非磁性ステンレス合金、合成樹脂のいずれか一つ以上の素材を用いられる。非磁性体18の、回転軸AXに直交する方向の断面形状は、回転軸AXを中心とする環状である。なお、非磁性体18は、周方向に連続する円筒状に限定されず、円弧状の部材を複数組み合わせた構成であってもよい。
図2に示すように、2軸一体型モータ2は、さらに軸受24、25、26、27、第1検出部21及び第2検出部22を有する。軸受24、25、26、27、第1検出部21及び第2検出部22は、外軸ステータバックヨーク16に取り付けられる。回転軸AXに沿った方向において、軸受24、25、26、27は、内軸ロータ10A及び外軸ロータ10よりも出力端11a、11Aaに近い位置に設けられる。また、第1検出部21及び第2検出部22は、軸受24、25、26、27より出力端11a、11Aaに近い位置に設けられる。軸受24、25、26、27は、例えば、転がり軸受である。
軸受24、25は、例えば外軸ステータバックヨーク16に対して外周側かつ外軸ロータヨーク11に対して内周側に設けられる。軸受24、25は、外軸ロータ10と連動して回転する。軸受24、25により、外軸ロータ10は回転可能に軸支されている。
軸受26、27は、例えば外軸ステータバックヨーク16に対して内周側かつ内軸ロータヨーク11Aに対して外周側に設けられる。軸受26、27は内軸ロータ10Aと連動して回転する。軸受26、27により、内軸ロータ10Aは回転可能に支持されている。
第1検出部21は、内軸ロータ10Aの回転角度を検出する。第1検出部21の検出角度に基づいて、内軸ロータ10Aの所定の回転角度が得られるように、内軸モータコア15Aのコイル14Aに供給される電流量が調整される。第2検出部22は、外軸ロータ10の回転角度を検出する。第2検出部22の検出角度に基づいて、外軸ロータ10の所定の回転角度が得られるように、外軸モータコア15のコイル14に供給される電流量が調整される。第1検出部21及び第2検出部22は、例えばレゾルバである。
本実施形態の2軸一体型モータ2は、サーボモータであり、且つダイレクトドライブモータである。すなわち、2軸一体型モータ2は、減速機構(例えば、減速ギヤ、伝動ベルトなど)を介在させること無く、出力端11a、11Aaに接続された第1回転部材32及び第2回転部材33に回転力をダイレクトに伝達する。これにより、第1回転部材32及び第2回転部材33を所定方向に回転させることができる。なお、本実施形態において、内軸ロータ10Aと外軸ロータ10は回転軸AXが共通しているが、内軸ロータ10Aと外軸ロータ10とで回転軸の位置が異なっていてもよい。
図2に示すように、第1ハウジング90及び第2ハウジング39は、2軸一体型モータ2の出力端11a、11Aaの反対側に固定される。外軸ステータバックヨーク16には、ねじ穴16a、16Aaが設けられている。第2ハウジング39は、ねじ穴16a、16Aaにねじ止めされることで外軸ステータバックヨーク16に固定される。第1ハウジング90は、第2ハウジング39に設けられたねじ穴39aにねじ止めされて、第2ハウジング39に固定される。
第1ハウジング90は張出部90cを有している。張出部90cは、第2ハウジング39よりも径方向の外側に設けられ、第2ハウジング39の外周面と対向する。張出部90cと第2ハウジング39との間に環状のシール部材40が設けられる。これにより、第1ハウジング90と第2ハウジング39との間がシールされる。
図3に示すように、第1ハウジング90には、平坦な取付面90aが設けられている。取付面90aは回転軸AXに直交する面に対して垂直な面である。つまり、取付面90aは、回転軸AXに対して平行である。取付面90aには複数のねじ穴90bが設けられている。ねじ穴90bにねじ止めされることで、第1ハウジング90は支持台SB(図1参照)に固定される。これにより、2軸一体型モータ2の回転軸AXが支持台SBの表面に対して平行状態となるように、2軸一体型モータ2の取付けができる。
図2に示すように、外軸ステータバックヨーク16の端部には、径方向の外側に突出する環状部16bが設けられる。環状部16bは、回転軸AXに沿った方向において、外軸モータコア15及びコイル14と、第2ハウジング39との間に配置される。環状部16bと外軸ロータヨーク11との間に環状のシール部材42が設けられる。これにより、外軸ロータヨーク11と外軸ステータバックヨーク16との間がシールされる。また、環状部16bと第2ハウジング39との間にも環状のシール部材41が設けられる。これにより、第2ハウジング39と外軸ステータバックヨーク16との間がシールされる。環状のシール部材41、42は、例えばOリングである。
外軸ロータヨーク11の出力端11aには、第1回転部材32が固定される。第1回転部材32は、図3に示すように回転軸AX方向から見たときに、円板状の部材である。図2に示すように、第1回転部材32にはねじ穴32aが設けられている。出力端11aに設けられたねじ穴11b及びねじ穴32aにねじ止めされて、第1回転部材32は外軸ロータヨーク11に固定される。これにより、第1回転部材32は、外軸ロータ10の回転駆動により、回転軸AXを中心に回転可能となっている。
第1回転部材32は、張出部32cを有する。張出部32cは、第1回転部材32の外周に設けられ、回転軸AX方向に突出する。張出部32cは、外軸ロータヨーク11の外周面と対向して設けられる。張出部32cと外軸ロータヨーク11との間に環状のシール部材43が設けられる。これにより、第1回転部材32と外軸ロータヨーク11との間がシールされる。
本実施形態の2軸一体型モータ2は、外軸ロータヨーク11、第1回転部材32、第1ハウジング90、第2ハウジング39の各接続箇所に、シール部材40、41、42、43が設けられる。これにより、2軸一体型モータ2の内部に塵埃、ミスト、液体が入らないようにシールされる。
第1回転部材32は、内軸ロータヨーク11Aと対向する位置に凹部が設けられる。また、第1回転部材32の出力端11aとは反対側の面にも凹部が形成される。さらに、第1回転部材32の、これらの凹部が設けられた位置に、回転軸AX方向に貫通する貫通孔32dが設けられる。
内軸ロータヨーク11Aの出力端11Aaには、第2回転部材33及び第3回転部材34が固定される。第2回転部材33及び第3回転部材34は、回転軸AX方向から見たときに円板状の部材である。図2に示すように、第3回転部材34は、内軸ロータヨーク11Aに設けられたねじ穴11Abにねじ止めされることで、内軸ロータヨーク11Aに固定される。第3回転部材34は、第1回転部材32の凹部に配置される。
第2回転部材33は、第1回転部材32に対して第3回転部材34の反対側に設けられる。第2回転部材33は、第1回転部材32の凹部内に配置され、貫通孔32dを介して第3回転部材34と接続される。第2回転部材33は、第3回転部材34に設けられたねじ穴34aにねじ止めされることで、第3回転部材34に固定される。これにより、第2回転部材33及び第3回転部材34は、内軸ロータヨーク11Aの回転駆動により、回転軸AXを中心に回転可能となっている。
第2回転部材33の外周面と、第1回転部材32の凹部の内周面との間には微小な隙間GAが形成されている。また、第2回転部材33及び第3回転部材34には、気体供給通路33aが設けられている。気体供給通路33aは隙間GAに開口する。気体供給通路33aを介して隙間GAに気体が供給される。これにより、第2回転部材33と第1回転部材32との間が非接触でシールされる。
なお、図2に示すように、第2回転部材33の、出力端11Aaと反対側の面は、第1回転部材32の、出力端11aと反対側の面に対して、同一面内に配置されているがこれに限定されない。第2回転部材33は、第1回転部材32と段差を有して配置されてもよい。
図2及び図3に示すように、第1回転部材32には第1駆動側アーム51が接続される。第1駆動側アーム51は、第1回転部材32の径方向の外側に延びる長尺の板部材である。第1駆動側アーム51には、第1駆動側アーム51を中心軸AX方向に貫通するねじ穴51aが設けられている。第1回転部材32には、ねじ穴51aと重なる位置にねじ穴32bが設けられている。第1駆動側アーム51は、ねじ穴51a、32bにねじ止めされることで第1回転部材32に固定される。これにより、第1駆動側アーム51は、外軸ロータ10の回転駆動により、第1回転部材32と共に、回転軸AXを中心に回転可能となっている。
第2回転部材33の、内軸ロータヨーク11Aと反対側の面には、支持部31が設けられている。図3に示すように、支持部31は、第2回転部材33に対して回転軸AX1を中心に回転可能に設けられている。支持部31には、第2駆動側アーム52が接続される。第2駆動側アーム52は、第2回転部材33の径方向の外側に延びる長尺の板部材である。図2に示すように、第2駆動側アーム52は、第1駆動側アーム51に対して回転軸AX方向の外側に配置される。また、図3に示すように、第2駆動側アーム52は、第1駆動側アーム51と平行な方向に延出する。第2駆動側アーム52は、内軸ロータ10Aの回転駆動により、回転軸AXを中心に回転可能となっており、且つ、回転軸AX1を中心に回転可能となっている。
図2に示すように、支持部31の、第2回転部材33とは反対側に気体供給部36が設けられている。気体供給部36は、エア供給用のロータリージョイントである。外部の気体供給装置から気体供給部36を介して、空気などの気体が支持部31に供給される。これにより、アーム先端部70にエア吸着パッドやエアハンドを取り付けた場合に、これらをエアで動作させてワークを搬送させることができる。さらに、第3回転部材34の、支持部31とは反対側に気体供給部35が設けられている。気体供給部35は、エア供給用のロータリージョイントである。外部の気体供給装置から気体供給部35を介して、空気などの気体が隙間GAに供給される。これにより、第2回転部材33と第1回転部材32との間が非接触でシールされる。
第1駆動側アーム51及び第2駆動側アーム52の端部は、反転機構80に接続される。第1駆動側アーム51は、反転機構80に対して回転軸AX2を中心に回転可能に接続される。また、第2駆動側アーム52は、反転機構80に対して回転軸AX3を中心に回転可能に接続される。このように、第1駆動側アーム51、第2駆動側アーム52及び反転機構80により駆動側平行リンク機構LAが構成される。
具体的には、外軸ロータ10と内軸ロータ10Aとが同じ回転駆動をすることで、第1駆動側アーム51と第2駆動側アーム52とは、共に回転軸AXを中心に回転(旋回)する。この場合、第1駆動側アーム51及び第2駆動側アーム52は、相対的な位置関係を維持した状態で回転する。
また、外軸ロータ10が回転駆動し、内軸ロータ10Aが回転駆動しない場合、第1駆動側アーム51は、回転軸AXを中心に回転する。一方、支持部31の回転軸AXに対する位置は変化せず、第2駆動側アーム52は第1駆動側アーム51の回転に従って、支持部31の回転軸AX1を中心に回転する。ここで駆動側平行リンク機構LAにより形成される平行四辺形の傾斜角が変化するように、第1駆動側アーム51と第2駆動側アーム52とが動作する。
図2及び図3に示すように、反転機構80には、第1従動側アーム61と、第2従動側アーム62が接続される。第1従動側アーム61の一方の端部及び第2従動側アーム62の一方の端部は、それぞれ反転機構80に回転可能に接続されている。第1従動側アーム61は、反転機構80に対して回転軸AX3を中心に回転可能に接続される。第2従動側アーム62は、反転機構80に対して回転軸AX2を中心に回転可能に接続される。
第1従動側アーム61の他方の端部及び第2従動側アーム62の他方の端部は、それぞれアーム先端部70に回転可能に接続されている。このように、第1従動側アーム61、第2従動側アーム62、反転機構80及びアーム先端部70により従動側平行リンク機構LBが構成される。
本実施形態では、図2に示すように、第1駆動側アーム51の回転軸AX2と、第2従動側アーム62の回転軸AX2は共通である。また、第2駆動側アーム52の回転軸AX3と、第1従動側アーム61の回転軸AX3は共通である。つまり、図3に示すように、反転機構80において、駆動側平行リンク機構LAの一辺と従動側平行リンク機構LBの一辺とが共用される。なお、駆動側平行リンク機構LAの一辺とは、回転軸AX方向から見たときに回転軸AX2と回転軸AX3とを結ぶ辺である。また、図3に示すように、回転軸AX方向から見たときの回転軸AXと回転軸AX1との距離を、長さL1とする。回転軸AX2と回転軸AX3との距離を、長さL2とする。回転軸AX4と回転軸AX5との距離を、長さL3とする。本実施形態では、長さL1、L2、L3は互いに等しい。
図2及び図3に示すように、第1駆動側アーム51、第2駆動側アーム52、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62の幅に対し、それぞれの厚さが薄くなっている。これにより、アーム先端部70のフットプリント、すなわち、アーム先端部70の支持台SB(図1参照)と対向する面の面積を小さくすることができる。なお、第1駆動側アーム51、第2駆動側アーム52、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62の幅とは、回転軸AX方向から見たときの、延出方向と直交する方向の長さである。また、厚さは、回転軸AX方向と平行な方向での長さである。
また、図3に示すように、第2駆動側アーム52、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62には、それぞれ曲がり部91、92、93が設けられている。これにより、第2駆動側アーム52は、回転軸AX、AX1、AX2、AX3を結ぶ仮想線で囲まれた領域よりも外側に湾曲して設けられる。また、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62も、回転軸AX2、AX3、AX4、AX5を結ぶ仮想線で囲まれた領域よりも外側に湾曲して設けられる。これにより、第1駆動側アーム51、第2駆動側アーム52、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62が、直線状に延びた状態になった場合でも、他のアーム等と接触することを抑制することができる。これにより、アーム機構1の駆動範囲を大きくすることができる。
次に反転機構80及びアーム先端部70の構成について説明する。図5は、実施形態に係る反転機構及びアーム先端部の断面図である。図6は、実施形態に係る反転機構の各歯車の構成を示す平面図である。図5に示すように、反転機構80は、第1ハウジング81と、第2ハウジング82と、第1歯車84と、第2歯車85とを含む。
第1歯車84及び第2歯車85は、第1ハウジング81と第2ハウジング82との内部空間に配置される。第1歯車84は軸受28a、28bにより、第1ハウジング81及び第2ハウジング82に回転可能に支持される。第1歯車84は、回転軸AX2を中心に回転する。また、第2歯車85は軸受29a、29bにより、第1ハウジング81及び第2ハウジング82に回転可能に支持される。第2歯車85は、第1歯車84と連結され、回転軸AX3を中心に回転する。第2歯車85は、第1歯車84の回転方向に対して反対方向に回転する。第1歯車84及び第2歯車85は、平歯車であり、それぞれの歯84a、85aが回転軸AX2、AX3と平行に設けられている。
図6に示すように、第1歯車84の歯84aは、歯先84bと、前方歯面84cと、後方歯面84dと、を含む。歯先84bは、歯84aの先端部分である。前方歯面84cは、歯先84bに対して、回転軸AX2の周方向で一方側に位置する歯面である。回転軸AX2の周方向とは、回転軸AX2を中心とした円に沿う方向を意味する。後方歯面84dは、歯先84bに対して、回転軸AX2の周方向で他方側に位置する歯面である。すなわち、後方歯面84dは、歯先84bに対して、前方歯面84cとは反対側に位置する歯面である。第1歯車84が時計回りに回転している場合、前方歯面84cは、第1歯車84の回転方向において後方歯面84dよりも前方に位置する。また、第2歯車85の歯85aも同様に、歯先85bと、前方歯面85cと、後方歯面85dと、を含む。
第1駆動側アーム51は、ねじ穴51bを介して、軸部83の一端側とねじ止めにより固定される。軸部83の他端側は、第1ハウジング81の貫通孔81aの内部に配置され、軸受28aにより回転可能に設けられる。また、軸部83の他端側は、第1歯車84とねじ止めにより固定される。このような構成により、第1駆動側アーム51が回転軸AX2を中心に回転すると、第1駆動側アーム51と共に第1歯車84も回転軸AX2を中心に回転する。
第2ハウジング82には、支持部64が固定される。支持部64は、ねじ穴64aが設けられており、ねじ止めにより第2ハウジング82に固定されている。第2ハウジング82には、第1ハウジング81の貫通孔81aと重なる位置に貫通孔82aが設けられている。支持部64には、貫通孔82aと連通する貫通孔64bが設けられている。第2従動側アーム62には、回転軸AX2と重なる位置に貫通孔62aが設けられる。第2従動側アーム62の貫通孔62aに軸部65が設けられる。軸部65は、ねじ止めにより第2従動側アーム62に固定される。軸部65は、軸受28c、28dを介して、第2ハウジング82の貫通孔82aの内壁及び支持部64の貫通孔64bの内壁に回転可能に支持される。これにより、第2従動側アーム62は、回転軸AX2を中心に回転可能に設けられる。なお、第2従動側アーム62は、第1歯車84と非接続状態である。
第1ハウジング81には、回転軸AX3と重なる位置に貫通孔81bが設けられる。また、第2駆動側アーム52には回転軸AX3と重なる位置に貫通孔52aが設けられる。第2駆動側アーム52の貫通孔52aに軸部86が設けられる。軸部86は、ねじ止めにより第2駆動側アーム52に固定される。軸部86は、軸受29cを介して、第1ハウジング81の貫通孔81bの内壁に回転可能に支持される。これにより、第2駆動側アーム52は、回転軸AX3を中心に回転可能に設けられる。第2駆動側アーム52を設けることにより、第1駆動側アーム51と第2駆動側アーム52とが互いに平行な状態で回転可能となっている。つまり、第2駆動側アーム52により、駆動側平行リンク機構LAは、対向する辺どうしが平行な状態で回転可能となっている。
第1従動側アーム61は、ねじ穴61a、63aにねじ止めされることで軸部63の一端側と固定される。軸部63の他端側は、第2ハウジング82の貫通孔82bの内部に配置され、軸受29bにより回転可能に設けられる。また、軸部63の他端側は、第2歯車85とねじ止めにより固定される。このような構成により、第2歯車85が回転軸AX3を中心に回転すると、第2歯車85と共に第1従動側アーム61も回転軸AX3を中心に回転する。
上述したように、第2歯車85は、第1歯車84の回転方向に対して反対方向に回転する。したがって、第1駆動側アーム51が回転軸AX2を中心に回転すると、第1歯車84及び第2歯車85の動作により、第1駆動側アーム51の回転方向と反対方向に第1従動側アーム61は回転する。また、第2歯車85の歯数と第1歯車84の歯数を一致させることで、第1従動側アーム61の回転角度は、第1駆動側アーム51の回転角度と同じ大きさとなる。また、第2従動側アーム62を設けることにより、第1従動側アーム61と第2従動側アーム62とが互いに平行な状態で回転可能となっている。つまり、第2従動側アーム62により、従動側平行リンク機構LBは、対向する辺どうしが平行な状態で回転可能となっている。これにより、アーム先端部70は、駆動側平行リンク機構LAと従動側平行リンク機構LBとの動作により、平行移動可能となる。
なお、第1ハウジング81と第2ハウジング82との接続部分において、第1ハウジング81には、第2ハウジング82に向かって突出する突出部が設けられる。また、第2ハウジング82には、第1ハウジング81に向かって突出する突出部が設けられる。各突出部の間に環状のシール部材44が設けられる。これにより、第1ハウジング81と第2ハウジング82との間がシールされる。
また、第1ハウジング81の貫通孔81aにおいて、軸受28aと、貫通孔81aの内壁との間に環状のシール部材46が設けられる。また、軸受28aと、軸部83との間に環状のシール部材46aが設けられる。さらに、第1ハウジング81の貫通孔81bには、軸受29cと貫通孔81bの内壁との間に環状のシール部材45が設けられる。第2ハウジング82の貫通孔82aには、軸受28cと貫通孔82aの内壁との間に環状のシール部材48が設けられる。第2ハウジング82の貫通孔82bには、軸受29bと貫通孔82bの内壁との間に環状のシール部材47が設けられる。また、軸受29bと、軸部63との間に環状のシール部材47aが設けられる。
これらのシール部材44、45、46、46a、47、47a、48により、反転機構80の内部に塵埃、ミスト、液体が入らないようにシールされる。
また、第1歯車84の、回転軸AX2に沿った方向の位置は、軸受28a、28bにより固定される。第2歯車85の、回転軸AX3に沿った方向の位置は、軸受29a、29bにより固定される。
図5に示すように、アーム先端部70は、支持部71、支持部72及びベース部73を有する。支持部71は、ねじ穴71b、73aにねじ止めされることによりベース部73に固定される。支持部72は、ねじ穴72b、73bにねじ止めされることによりベース部73に固定される。
第1従動側アーム61は、貫通孔61bを介して、軸部74の一端側とねじ止めにより固定される。軸部74の他端側は、支持部72の貫通孔72a及びベース部73の凹部73cの内部に配置される。軸部74は、軸受77aを介して貫通孔72aの内壁に回転可能に設けられる。また、軸部74は、軸受77bを介して貫通孔72aの内壁及び凹部73cの内壁に回転可能に設けられる。このような構成により、第1従動側アーム61は、回転軸AX5を中心に、アーム先端部70に対して回転可能に設けられる。
第2従動側アーム62は、貫通孔62bを介して、軸部75の一端側とねじ止めにより固定される。軸部75の他端側は、支持部71の貫通孔71aの内部に配置される。軸部75は、軸受76aを介して貫通孔71aの内壁に回転可能に設けられる。このような構成により、第2従動側アーム62は、回転軸AX4を中心に、アーム先端部70に対して回転可能に設けられる。
図6に示すように、反転機構80には、第1歯車84と第2歯車85との間のバックラッシュを低減するバックラッシュ低減機構89が設けられている。バックラッシュ低減機構89は、同一の平面内に配置された第1アイドラ歯車87と第2アイドラ歯車88とを有する。第1アイドラ歯車87は、回転軸AX6を中心に回転可能に支持されている。また、第2アイドラ歯車88は、回転軸AX7を中心に回転可能に支持されている。第1アイドラ歯車87及び第2アイドラ歯車88は、第1歯車84及び第2歯車85と同様に、軸受により回転可能に支持されている。また、第1アイドラ歯車87及び第2アイドラ歯車88は、平歯車であり、それぞれの歯87a、88aは回転軸AX6、AX7と平行に設けられている。第1アイドラ歯車87の歯87aは、第1歯車84及び第2歯車85と同様に、歯先87bと、前方歯面87cと、後方歯面87dと、を含む。第2アイドラ歯車88の歯88aも、歯先88bと、前方歯面88cと、後方歯面88dと、を含む。
第1アイドラ歯車87は第1歯車84と連結され、第2アイドラ歯車88は第2歯車85と連結される。さらに、第1アイドラ歯車87と第2アイドラ歯車88とが連結されている。また、第1歯車84の歯84aの数と、第2歯車85の歯85aの数は同一であり、周方向の配置ピッチも等しい。さらに、第1アイドラ歯車87の歯87aの数と、第2アイドラ歯車88の歯88aの数は同一であり、周方向の配置ピッチも等しい。
本実施形態では、例えば、第2アイドラ歯車88の平面内の取付位置を矢印D1の方向に沿って変更できる。第2アイドラ歯車88の位置が適切に調整されることで、第2アイドラ歯車88の前方歯面88cが第1アイドラ歯車87の前方歯面87cに接し、第2アイドラ歯車88の後方歯面88dが第2歯車85の後方歯面85dに接する。これにより、第2アイドラ歯車88と第1アイドラ歯車87との間のバックラッシュ、及び第2アイドラ歯車88と第2歯車85との間のバックラッシュを低減することができる。なお、これに限定されず、第1アイドラ歯車87又は第2アイドラ歯車88の少なくとも一方の平面内の位置が調整可能となっていればよい。
このような構成により、第1歯車84が矢印D2方向、すなわち時計回り方向に回転している場合、第2歯車85は矢印D3方向、すなわち反時計回り方向に回転する。第1アイドラ歯車87は、第1歯車84と噛み合っているため、矢印D4方向に回転する。第2アイドラ歯車88は、第2歯車85と噛み合っており、且つ第1アイドラ歯車87と噛み合っているため、矢印D5方向に回転する。
仮に、バックラッシュ低減機構89を設けない構成とした場合、第1歯車84の回転方向が反転した際に、第1歯車84と第2歯車85との間のバックラッシュにより第2歯車85が回転しないわずかな時間が生じる可能性がある。また、従来のバックラッシュ低減機構の一例として、複数の歯車を重ね合せて配置し、この歯車の間にばねを設けることによりバックラッシュを低減する構成が知られている。この場合、ばね力を超える荷重が加えられると、ばねが撓み正確な角度を伝達できない可能性がある。
本実施形態では、バックラッシュ低減機構89を設けているため、第1歯車84の回転方向が反転した際に、第1アイドラ歯車87及び第2アイドラ歯車88を介して、第1歯車84の回転角度が第2歯車85に伝達される。すなわち、第1歯車84の後方歯面84dが第1アイドラ歯車87の後方歯面87dに接しているので、第1歯車84の回転が第1アイドラ歯車87に伝達される。第1アイドラ歯車87の前方歯面87cが第2アイドラ歯車88の前方歯面88cに接しているので、第1アイドラ歯車87の回転が第2アイドラ歯車88に伝達される。第2アイドラ歯車88の後方歯面88dが第2歯車85の後方歯面85dに接しているので、第2アイドラ歯車88の回転が第2歯車85に伝達される。このため、第1歯車84の回転角度と第2歯車85の回転角度との間のずれが抑制される。したがって、第1歯車84と第2歯車85との間のバックラッシュがあっても、従動側平行リンク機構LBを精度よく駆動させることができる。さらに、第2アイドラ歯車88の平面内の取付位置が調整可能となっているため、第1歯車84と第2歯車85との間のバックラッシュを低減させることができる。
また、第1歯車84、第2歯車85、第1アイドラ歯車87及び第2アイドラ歯車88の少なくとも一つは、樹脂歯車である。樹脂歯車は自己潤滑性が高いため、4つの歯車をスムーズに回転させることができる。
また、第1歯車84、第2歯車85、第1アイドラ歯車87及び第2アイドラ歯車88は、平歯車であり、同一平面内に配置される。これにより、複数の歯車を重ね合せて配置した従来構成に比べてバックラッシュ低減機構89の構成を簡便にしつつ、バックラッシュを低減させることができる。また、バックラッシュ低減機構89を含む反転機構80の厚みを薄くすることができる。
次に、図2、図3及び図7から図11を参照しつつ、アーム機構1の駆動の一例を説明する。図7は、実施形態に係るアーム機構の駆動を説明するための説明図である。図8は、実施形態に係るアーム機構の駆動状態の一例を示す正面図である。図9は、図8における反転機構の周辺部分の背面図である。図10は、実施形態に係るアーム機構の駆動状態の他の例を示す正面図である。図11は、図10における反転機構の周辺部分の背面図である。なお、図7では第1駆動側アーム51、第2駆動側アーム52、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62を模式的に示している。
また、図7において、2軸一体型モータ2の回転軸AX方向に直交する平面に沿って、互いに直交する2方向をX方向、Y方向として説明する。Y方向は、図3に示す取付面90aに垂直な方向である。X方向は、取付面90aに平行な方向で、且つ、回転軸AXに直交する方向である。
図7に示す第1状態ST1は、第1駆動側アーム51、第2駆動側アーム52、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62が全てY方向に平行な状態である。
内軸ロータ10Aを駆動させず、外軸ロータ10のみ駆動させて、第1駆動側アーム51をX方向に15°回転させる(第2状態ST2)。この際、第2駆動側アーム52も第1駆動側アーム51と平行に、回転軸AX1を中心にX方向に15°回転する。
また、第1従動側アーム61は、反転機構80の動作により、第1駆動側アーム51と反対方向に同じ回転角度で回転する。つまり、第1従動側アーム61は、回転軸AX3を中心にX方向に15°回転する。言い換えると、第1従動側アーム61は、Y方向と平行な対称線に対して、第1駆動側アーム51と線対称となるように変形する。第2従動側アーム62も、第1従動側アーム61と平行に、回転軸AX2を中心に15°回転する。これにより、アーム先端部70は、第1状態ST1に対して平行状態を維持しつつ、X方向、すなわち径方向の外側に移動する。
同様に、第3状態ST3は、外軸ロータ10をさらに駆動させて、第1駆動側アーム51をX方向に30°回転させた状態である。第4状態ST4は、外軸ロータ10をさらに駆動させて、第1駆動側アーム51をX方向に45°回転させた状態である。第5状態ST5は、外軸ロータ10をさらに駆動させて、第1駆動側アーム51をX方向に60°回転させた状態である。このように、第1駆動側アーム51と、第2駆動側アーム52と、反転機構80とで構成される駆動側リンク機構LAは、平行四辺形の傾きが大きくなる方向に変形する。また、従動側リンク機構LBは、駆動側リンク機構LAと線対称に変形する。これにより、アーム先端部70は、常に平行状態を維持しつつ、X方向に移動可能となる。
また、各状態で、内軸ロータ10Aと外軸ロータ10とを同時に、且つ同方向に駆動させることも可能である。この場合、第1駆動側アーム51、第2駆動側アーム52、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62は、各状態での形状を維持したまま、回転軸AXを中心に回転(旋回)する。
図8及び図9は、第1駆動側アーム51をY方向に対して90°に近い角度まで回転させた状態を示している。言い換えると、図8及び図9は、X方向においてアーム先端部70が回転軸AXから最も離れた状態を示す。この場合、図9に示すように、第2駆動側アーム52の曲がり部91は、軸部83と接触しないように湾曲して設けられている。これにより、第1駆動側アーム51とともに第2駆動側アーム52をY方向に対して90°に近い角度まで回転させることができる。
図10及び図11は、第1駆動側アーム51をX方向の反対方向に回転させた状態を示している。図10及び図11は、X方向の反対方向においてアーム先端部70が回転軸AXから最も離れた状態を示す。この場合、図10に示すように、第1従動側アーム61の曲がり部92は、支持部64と接触しないように湾曲して設けられている。これにより、第1駆動側アーム51の回転駆動とともに、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62もX方向の反対方向に回転させることができる。これにより、各アームの回転可能な角度範囲が大きくなり、アーム機構1の駆動範囲を大きくすることができる。
以上説明したように、本実施形態のアーム機構1は、それぞれ回転可能に設けられて回転軸AXの方向が同一である内軸ロータ10Aと外軸ロータ10を有する2軸一体型モータ2と、外軸ロータ10に接続され回転軸AXと交差する方向に設けられた第1駆動側アーム51と、内軸ロータ10Aに接続され第1駆動側アーム51に沿って設けられた第2駆動側アーム52と、第1駆動側アーム51及び第2駆動側アーム52の端部どうしを接続する反転機構80と、反転機構80に回転可能に接続された第1従動側アーム61と第2従動側アーム62と、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62の端部どうしを接続するアーム先端部70と、を備える。第1駆動側アーム51、第2駆動側アーム52及び反転機構80により、駆動側平行リンク機構LAを構成し、第1従動側アーム61、第2従動側アーム62、反転機構80及びアーム先端部70により、従動側平行リンク機構LBを構成し、反転機構80で、駆動側平行リンク機構LAの一辺と従動側平行リンク機構LBの一辺とが共用される。
これによれば、2軸一体型モータ2により、駆動側平行リンク機構LA及び従動側平行リンク機構LBを、回転軸AXを中心に旋回動作させることができる。又は、外軸ロータ10のみ駆動させることで、反転機構80により駆動側平行リンク機構LAと従動側平行リンク機構LBとの間の角度を変更することができる。これにより、各アームの駆動範囲を大きくすることができる。又、4つのアームは、2軸一体型モータ2で駆動されるためアーム機構の小型化が可能である。
本実施形態において、反転機構80は、第1歯車84と、第1歯車84と連結された第2歯車85と、第1歯車84と第2歯車85を収納する反転機構ハウジング(第1ハウジング81及び第2ハウジング82)とを含み、第1駆動側アーム51は第1歯車84に接続され、第1従動側アーム61は第2歯車85に接続される。これによれば、第1駆動側アーム51が2軸一体型モータ2の回転軸AXを中心に回転した場合、第1歯車84と第2歯車85が互いに反対方向に回転する。そして、第1従動側アーム61は、第1駆動側アーム51の回転方向及び回転角度に対して、反対方向に且つ同じ回転角度で回転する。したがって、アーム先端部70は、駆動側平行リンク機構LAと従動側平行リンク機構LBとの動作により、平行移動可能となる。
本実施形態において、第2駆動側アーム52は、反転機構ハウジング(第1ハウジング81)に対して回転可能に接続され、第2駆動側アーム52の回転軸AX3は、第2歯車85の回転軸AX3と重なる位置であり、第2従動側アーム62は、反転機構ハウジング(第2ハウジング82)に対して回転可能に接続され、第2従動側アーム62の回転軸AX2は、第1歯車84の回転軸AX2と重なる位置である。これにより、第1駆動側アーム51の回転軸AX2と第2従動側アーム62の回転軸AX2とが同一となり、第2駆動側アーム52の回転軸AX3と第1従動側アーム61の回転軸AX3とが同一となる。したがって、反転機構80において、駆動側平行リンク機構LAの一辺と従動側平行リンク機構LBの一辺とが共用される。
本実施形態において、反転機構80は、第1歯車84と第2歯車85との間のバックラッシュを低減するバックラッシュ低減機構89を含む。バックラッシュ低減機構89は、同一の平面内に配置された第1アイドラ歯車87と第2アイドラ歯車88とを有し、第1アイドラ歯車87は第1歯車84と連結され、第2アイドラ歯車88は第2歯車85と連結され、且つ、第1アイドラ歯車87と第2アイドラ歯車88とが連結されている。第1アイドラ歯車87又は第2アイドラ歯車88の一方の平面内の位置を変更できる。これにより、第1歯車84と第2歯車85との間のバックラッシュが低減され、従動側平行リンク機構LBを精度よく駆動させることができる。
また、本実施形態において、第1歯車84の歯84aは、歯先84bに対して一方側に位置する歯面である前方歯面84cと、歯先84bに対して他方側に位置する歯面である後方歯面84dと、を含む。前方歯面84cが第2歯車85の歯85aに接する。後方歯面84dが第1アイドラ歯車87の歯87aに接する。これにより、第1歯車84が反転した直後、第1歯車84の回転が第1アイドラ歯車87に伝わる。このため、第1歯車84の回転角度と第2歯車85の回転角度との間のずれがより抑制される。
本実施形態において、第1歯車84、第2歯車85、第1アイドラ歯車87及び第2アイドラ歯車88は平歯車である。これによれば、バックラッシュ低減機構89の構成を簡便にしつつ、バックラッシュを低減することができる。
本実施形態において、第1歯車84、第2歯車85、第1アイドラ歯車87及び第2アイドラ歯車88は、それぞれの回転軸AX2、AX3、AX6、AX7を中心に回転可能に支持されている。これによれば、第1アイドラ歯車87又は第2アイドラ歯車88の一方の平面内の位置を変更することで、第1歯車84と第2歯車85との間のバックラッシュを低減することができる。
本実施形態において、第1歯車84、第2歯車85、第1アイドラ歯車87及び第2アイドラ歯車88の少なくとも1つは、樹脂歯車である。これによれば、樹脂歯車は自己潤滑性が高いため、4つの歯車をスムーズに回転させることができる。
本実施形態において、反転機構ハウジングは、第1ハウジング81と第2ハウジング82とを含み、第1ハウジング81と第2ハウジング82との間にシール部材44が設けられる。これにより、反転機構80の内部に塵埃、ミスト、液体が入らないようにシールすることができる。
本実施形態において、第2駆動側アーム52、第1従動側アーム61及び第2従動側アーム62には、曲がり部91、92、93が設けられている。これによれば、各アームどうしが接触することを抑制して、駆動範囲を大きくすることが可能である。
本実施形態において、第2駆動側アーム52と内軸ロータ10Aとの接続部分には、気体供給部36が設けられている。
本実施形態において、内軸ロータ10Aと外軸ロータ10との間に設けられた筒状の外軸ステータ13と、外軸ステータ13に固定されるハウジング(第1ハウジング90)とを有し、第1ハウジング90には、外部の支持台SBに取り付けるための取付面90aが設けられ、取付面90aは、内軸ロータ10A及び外軸ロータ10の回転軸AXに直交する面に対して垂直な面である。これによれば、2軸一体型モータ2の回転軸AXが支持台SBの表面に対して平行状態となるように、2軸一体型モータ2の取付けができる。
本実施形態において、第1ハウジング90と外軸ロータ10との間にシール部材42が設けられる。これにより、2軸一体型モータ2の内部に塵埃、ミスト、液体が入らないようにシールすることができる。
本実施形態において、2軸一体型モータ2は、サーボモータで、且つダイレクトドライブモータである。これによれば、2軸一体型モータ2の構成が簡便になり、アーム機構1の小型化を図ることができる。