以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1および図2は、本発明の基板分断システムの実施形態の一例をそれぞれ異なる方向から見た全体を示す概略斜視図である。なお、本発明において、「基板」には、複数の基板に分断されるマザー基板、また、鋼板等の金属基板、木板、プラスチック基板およびセラミックス基板、半導体基板、ガラス基板等の脆性材料基板等の単板が含まれる。さらに、このような単板に限らず、一対の基板同士を貼り合わせた貼り合わせ基板、一対の基板同士を積層させた積層基板も含まれる。
本発明の基板分断システムは、例えば、一対のガラス基板が相互に貼り合わせられた液晶表示装置のパネル基板(表示パネル用貼り合わせ基板)を製造する際、この基板分断システムによって、一対のマザーガラス基板が相互に貼り合わされた貼り合わせマザー基板90を複数枚のパネル基板(表示パネル用貼り合わせ基板)に分断する。
本実施の形態1の基板分断システム1において、第1基板支持部20Aが配置される側を基板搬入側、基板搬出装置80が配置されている側を基板搬出側として以下の説明を行う。また、本発明の基板分断システム1において、基板が搬送されていく方向(基板の流れ方向)は基板搬入側から基板搬出側に向かう+Y方向である。また、この基板が搬送されていく方向に対して水平状態で直交する方向であるX方向に沿って水平状態で分断装置ガイド体30は設けられる。
この基板分断システム1は、中空の直方体状の架台10を有しており、架台10の上面には4本の支柱14が設けられ、枠状のメインフレーム11が支柱14の上部に配置されている。該架台10の上面には、搬送ロボットよって本基板分断システム1に搬送される貼り合わせマザー基板90を水平状態で支持する基板支持装置20が配置されている。
図1に示すように、基板支持装置20は、メインフレーム11内に搬入される貼り合わせマザー基板90を支持するために基板分断システム1の基板搬入側に配置された第1基板支持部20Aと、貼り合わせマザー基板90が分断され、順次、表示パネルが基板分断システムから搬出された後の貼り合わせマザー基板90を支持するために基板搬出側に配置された第2基板支持部20Bとを備えている。なお、架台10における第1基板支持部20A側を基板搬入側、第2基板支持部20B側を基板搬出側とする。
また、図2に示すように、架台10の上方には、基板支持装置20(第1基板支持ユニット21A)によって水平状態で支持された基板を、水平状態で保持するクランプ装置50がメインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bに沿ってスライド可能に設けられている。さらに、図1に示すように架台10の上面には、第1基板支持部20Aと第2基板支持部20Bとの間に分断装置ガイド体30が基板が搬送されていく方向とは水平状態で直交する方向に沿って、各支柱33によって固定されている。分断装置ガイド体30は、メインフレーム11の上方に、メインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bとは直交するX方向に沿って架設された上側ガイドレール31と、メインフレーム11の下方に、上側ガイドレール31に沿って架設された下側ガイドレール32とを備える。
図3は、分断装置ガイド体30における上側ガイドレール31近傍の概略斜視図である。上側ガイドレール31には、上部基板分断装置60が、上側ガイドレール31に沿って移動可能に取り付けられている。また、図4は、分断装置ガイド体30における下側ガイドレール32近傍の概略斜視図である。下側ガイドレール32には、下部基板分断装置70が、下側ガイドレール32に沿って移動可能に取り付けられている。
上部基板分断装置60および下部基板分断装置70は、それぞれ、リニアモータによって、上側ガイドレール31および下側ガイドレール32に沿って往復移動するようになっており、上側ガイドレール31および下側ガイドレール32にそれぞれリニアモータの固定子が、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70にリニアモータの可動子がそれぞれ取り付けられている。上部基板分断装置60および下部基板分断装置70は、マザー基板がクランプ装置50によって水平状態に保持されるとともに、マザー基板の保持を補助するための基板支持装置20によって支持された貼り合わせマザー基板90の上側および下側の各ガラス基板を複数の表示パネルに分断する。
図2に示すように、分断装置ガイド体30における一方の端部には、クランプ装置50によって保持され、基板支持装置20によって支持された貼り合わせマザー基板90に設けられた第1のアライメントマークを撮像する第1光学装置38が分断装置ガイド体30に沿って移動可能に設けられており、また、分断装置ガイド体30における他方の端部には貼り合わせマザー基板90に設けられた第2のアライメントマークを撮像する第2光学装置39が分断装置ガイド体30に沿って移動可能に設けられている。
図1および図2に示すように、上側ガイドレール31および下側ガイドレール32の各端面同士は各支柱33により連結され、分断装置ガイド体30の両端は各支柱33により架台10の上面に固定される。
架台10の搬出側の上方には、貼り合わせマザー基板90から分断された各表示パネルを搬出する搬出ロボット140と、搬出ロボット140をメインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bと直交するX方向に移動可能とするために架設された基板搬出装置用ガイド81とを備えた基板搬出装置80が、分断装置ガイド体30に対して基板搬出側に配置されており、架台10の上面にそれぞれ設けられたガイドレール13に沿って、基板搬出装置用ガイド81の端部が支持部材82を介して、リニアモータによってスライドするようになっている。
架台10の上面に、基板搬出装置80を移動させるリニアモータの固定子12が、メインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bに沿ってそれぞれ設けられている。各固定子12は、それぞれの外側面が開口した扁平な中空直方体形状に形成され、その断面は、「コ」の字状に形成されている。各固定子の内部には、基板搬出装置80の両端を支持する各支柱82を保持する各ガイドベース16に、リニアモータの可動子(図示せず)がメインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bに沿ってスライド可能に挿入されている。
各固定子12には、長手方向に沿って複数の永久磁石がそれぞれ配置されており、隣接する永久磁石の磁極が相互に反転した状態になっている。各可動子は、それぞれ電磁石によって構成されており、各可動子を構成する電磁石の磁極を順次切り換えることによって、各可動子が、各固定子12に沿ってそれぞれスライドする。
基板搬出装置80の搬出ロボット140には、貼り合わせマザー基板90から分断された各表示パネルを吸引吸着させる吸着部(図示せず)が設けられており、吸着部によって表示パネルが吸着された状態で、基板搬出装置80全体が、基板搬出側にスライドされることにより、分断された各表示パネルは架台10から搬出される。
図5(a)は、基板搬出装置80の搬出ロボット140の構成を示す概略構成図である。搬出ロボット140は基板搬出装置用ガイド81に取り付けられ、リニアモータまたはサーボモータの駆動手段と直線ガイドとを組み合わせた移動機構により基板搬出装置用ガイド81に沿う方向(X方向)に移動自在となっている。
搬出ロボット140には2個のサーボモータ140aと140mを備えており、サーボモータ140aは駆動シャフト140bと連結している。第1プーリ140cと第2プーリ140eは一体的に取り付けられ、それぞれベアリングを介して駆動シャフト140bに取り付けられ、駆動シャフト140bの回転に対して切り離された状態とされる。アーム140fはその端部が駆動シャフト140bに一体的に取り付けられており、アーム140fは、駆動シャフト140bの回転によって、駆動シャフト140bを中心として回転する。また、アーム140fの先端部には、回転シャフト140gが回転可能に支持されている。回転シャフト140gは、アーム140fを貫通しており、その一方の端部に第3プーリ140hが一体的に取り付けられている。第2プーリ140eと第3プーリ140hとの間には例えば、タイミングベルトのようなベルト141i掛けられる。
さらに、サーボモータ140mの回転軸には第4プーリ140nが取り付けられ、第4プーリ140nと第1プーリ140cとの間に、例えば、タイミングベルトのようなベルト140pが掛けられる。これにより、サーボモータ140mの回転はベルト140pを介して第1プーリ140cに伝達され、さらに、ベルト140iを介して第3プーリ140hに伝達され、回転シャフト140gが回転する。
回転シャフト140gの他方の端部には、吸着パッド取り付け板140jの中央部が一体的に取り付けられている。吸着パッド取り付け板140jの下面には、本基板分断システム1で分断された基板を不図示の吸引機構により吸着する吸着パッド140kが設けられている。
このような構成の搬出ロボット140は、サーボモータ140aおよび140mの回転方向と回転角度を組み合わせて設定することにより、アーム140fの移動距離を最小にして、次工程の装置へ分断された基板の向きを水平の状態で種々角度方向に変えて搬送することができる。
尚、分断された基板の搬送において、分断された基板は吸引により吸着パットで保持され、搬出ロボット140全体が昇降機構(不図示)により、一旦上昇した後、次工程の装置へ搬送され、再び、昇降機構(不図示)により搬出ロボット140が下降し、次工程の所定の位置で予め決まられた状態に載置される。
次に、このような構成の搬出ロボット140を用いて分断された基板の向きを例えば90゜変化させる場合を図5(b)を用いて説明する。
分断された基板93に、吸着パッド取り付け板140jに取り付けられた各吸着パッド140kが吸着されると、搬出ロボット140全体が昇降機構により上昇し、サーボモータ140aが駆動されて、駆動シャフト140bは基板側から見て時計の針の回転方向とは逆方向へ90度回転させられる。駆動シャフト140bが90度にわたって回転されると、アーム140fが、駆動シャフト140bを中心として基板側から見て時計の針の回転方向とは逆方向へ90度回転する。これにより、アーム140fの先端部に回転シャフト140gを介して回転可能に支持された吸着パッド取り付け板140jが、アーム140fともに、駆動シャフト140bを中心として、基板側から見て時計の針の回転方向とは逆方向へ90度回動する。この場合、吸着パッド取り付け板140jに取り付けられた回転シャフト140gも駆動シャフト140bを中心に回転移動する。
このとき、サーボモータ140mの回転がベルト140pを介して第1プーリ140cに伝達され、さらに、ベルト140iを介して第3プーリ140hに伝達され、回転シャフト140gが時計の針の回転方向に180゜回転させられる。回転シャフト140gに取り付けられた吸着パッド取り付け板140jも回転シャフト140gを中心に時計の針の回転方向に180゜回転する。従って、吸着パッド取り付け板140jは、駆動シャフト140dを中心として基板側から見て時計の針の回転方向とは逆方向へ90度回動する間に、回転シャフト140gを中心として基板側から見て時計の針の回転方向へに180度自転することになる。その結果、各吸着パッド140kにて吸着された分断された基板93は、図5(b)に示すように、その回転中心位置を移動させながら、比較的小さなスペースで基板側から見て時計の針の回転方向へ90度回転させられる。
図1に示すように、基板支持装置20の第1基板支持部20Aおよび第2基板支持部20Bは、例えば、それぞれが分断装置ガイド体30を挟んでY方向の両側にY方向に沿って設けられた5つの第1基板支持ユニット21Aおよび5つの第2基板支持ユニット21Bをそれぞれ備えている。各第1基板支持ユニット21Aおよび各第2基板支持ユニット21Bは、それぞれ、メインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bに対して平行な方向(Y方向)に沿った直線状に分断装置ガイド体30の基板搬搬入側および基板搬出側にそれぞれ各保持板45により架台10の上面に固定されている。
図6は、第1基板支持部20Aに設けられた1つの第1基板支持ユニット21Aの側面図である。第1基板支持ユニット21Aは、架台10の上面に保持板45を用いて取り付けられ、架台10の上方へ設けられる。
第1基板支持ユニット21Aは複数台(本実施例の説明においては5台)、所定の間隔を設けて配置され、架台10の上面に保持板45を用いて取り付けられる。
第1基板支持ユニット21Aは、メインフレーム11と平行な方向(Y方向)に沿って直線状に延びる支持本体部21aを有しており、支持本体部21aの各端部に、例えば、タイミングベルト21eを案内するタイミングプーリ21cおよび21dがそれぞれ取り付けられている。タイミングベルト21eは駆動用タイミングプーリ21bが後述するモータ116が駆動して回転したときに、周回移動させられる。
このように構成される第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eを移動させる機構を図7を用いて説明する。図7は分断装置ガイド体30側から第1基板支持部20Aに設けられた複数(5台)の第1基板支持ユニット21Aを見た時の正面図である。
図7に示すように、第1基板支持ユニット21Aの支持本体部21aに備えられたそれぞれの駆動用タイミングプーリ21bは、メインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bと直交するX方向と平行に設けられた回転駆動シャフト49に結合されている。この回転駆動シャフト49一端はモータ116の回転軸に継ぎ手(図示せず)を用いて連結され、モータ116の回転軸の回転方向に応じて、第1基板支持ユニット21Aの駆動用タイミングプーリ21bが回転し、タイミングベルト21eを周回移動させる。
尚、モータ116の回転軸の回転方向は、本発明の基板分断システムを制御する図示しない制御部により制御されて選択される。
図1に示すように、基板支持装置20の第2基板支持部20Bは、例えば、それぞれが分断装置ガイド体30を挟んでY方向の両側にY方向に沿って設けられた5つの第2基板支持ユニット21Bを備えている。この第2基板支持ユニット21Bは第1基板支持ユニット21Aの構造と同様であり、分断装置ガイド体30に対して対称となるように、しかも、Y方向の取付け方向が逆になるように、それぞれ、メインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bに対して平行な方向(Y方向)に沿った直線状に分断装置ガイド体30の基板搬搬入側および基板搬出側にそれぞれ各保持板45により架台10の上面に固定されている。
図1に示すように、架台10の基板搬出側の上方には、スクライブ加工後、完全に分断されていない貼り合わせマザー基板90を完全に分断された状態とするための基板乾燥手段であるスチームユニット部160が、第2基板支持部20Bの基板搬出側、基板搬出装置80の基板搬入側に配置される。
図8はスチームユニット部160を基板搬入側から見たときの要部の正面図である。図8に示すように、スチームユニット部160は貼り合わせマザー基板90の上側のマザー基板に蒸気を吹き付ける複数個のスチームユニット161を取り付ける上側スチームユニット取付けバー162と、貼り合わせマザー基板90の下側のマザー基板に蒸気を吹き付ける複数個のスチームユニット161を取り付ける下側スチームユニット取付けバー163とが、フレーム11A側の支柱164とフレーム11B側の支柱164に、フレーム11Aおよびフレーム11Bとは直交するX方向に沿って取り付けられている。
スチームユニット部160は、架台10の上面にそれぞれ設けられたガイドレール13に沿って、リニアモータによってスライドするようになっている。
図1に示すように、架台10の上面に、スチームユニット部160を移動させるリニアモータの固定子12が、メインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bに沿ってそれぞれ設けられている。各固定子12は、それぞれの外側面が開口した扁平な中空直方体形状に形成され、その断面は、「コ」の字状に形成されている。各固定子の内部には、スチームユニット部160の両端を支持する各支柱164を保持する各ガイドベース17に、リニアモータの可動子(図示せず)がメインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bに沿ってスライド可能に挿入されている。
各固定子12には、長手方向に沿って複数の永久磁石がそれぞれ配置されており、隣接する永久磁石の磁極が相互に反転した状態になっている。各可動子は、それぞれ電磁石によって構成されており、各可動子を構成する電磁石の磁極を順次切り換えることによって、各可動子が、各固定子12に沿ってそれぞれスライドする。
図8に示すように、6個のスチームユニット161が上側スチームユニット取付けバー162に取り付けられ、6個のスチームユニット161が上側の6個のスチームユニット161対して間隙GAを開けて下側スチームユニット取付けバー163に取り付けられる。尚、間隙GAはスチームユニット部160が基板搬入側へ移動したときに貼り合わせマザー基板90がその間隙GAを通過するように調整される。
図9は、スチームユニット161の構造を示す部分側面断面図である。スチームユニット161はそのほぼ全体がアルミ材質で構成されており、鉛直方向に複数本のヒーター161aが埋め込まれている。自動操作で開閉する開閉弁(不図示)が開くと水が水供給口161bからスチームユニット161内に流入し、ヒーター161aで熱せられて、供給された水が気化して蒸気となる。その蒸気が導通孔161cを通って噴出口161dからマザー基板の表面へ向けて吹き付けられる。
また、上側スチームユニット取付けバー162の搬出側には、貼り合わせマザー基板90の上面に蒸気が吹き付けられた後、貼り合わせマザー基板90の表面に残った水分を除去するためのエアーナイフ165が備えられている。
尚、下側スチームユニット取付けバー163にも、上側スチームユニット取付けバー162に取り付けられるものと同様のスチームユニット161とエアーナイフ165が備えられる。
架台10には、第1基板支持部20Aに支持された貼り合わせマザー基板90を位置決めするための位置決め装置(図示せず)が設けられている。位置決め装置は、例えば複数の位置決めピン(図示せず)が、メインフレーム11のフレーム11Bに沿って、および、そのフレーム11Bに対して直交する方向に沿って、それぞれ一定の間隔をあけて設けられている。また、フレーム11Bに沿って配置された位置決めピンに対して、貼り合わせマザー基板90における各位置決めピンに対向する側縁を押し付けるプッシャー(図示せず)が設けられるとともに、フレーム11Bに対して直交する方向に沿って配置された位置決めピンに対して、貼り合わせマザー基板90における対向する側縁を押し付けるプッシャー(図示せず)が設けられている。
また、例えば、本発明の基板分断システムに搬送されてくる直前に貼り合わせマザー基板90の位置決めを実施する位置決め装置を本基板分断システムとは別に装備させる場合には、本基板分断システム内の位置決め装置を省略することができる。
また、本基板分断システム内の位置決め装置は、上述の位置決めピンとプッシャーに限定されるものではなく、貼り合わせマザー基板90の基板分断システム内における位置を一定にさせる装置であればよい。
さらに、図1に示すように、架台10の上方には、第1基板支持部20Aに支持されて、各位置決めピンに押し付けられて位置決めされた貼り合わせマザー基板90をクランプする複数台のクランプ装置50が設けられている。
図2に示すように、位置決めされた貼り合わせマザー基板90における基板搬入側の側縁部をクランプするために、複数台のクランプ装置50がメインフレーム11のフレーム11A及びフレーム11Bとは直交する方向に沿って一定の間隔をあけて配置されている(図2では一例として2台のクランプ装置が配置されている)。
各クランプ装置50は、マザー基板90の側縁部をクランプするクランプ具51を備えており、クランプ具51は、移動ベース57に取り付けられたシリンダー55のロッド56に接合された保持部材58に取付られ、シリンダー55の駆動により昇降させられる。
図10および図11は、各クランプ装置に設けられた複数のクランプ具51を示し、その動作を説明するための斜視図である。各クランプ具51は、それぞれ同様の構成になっており、ケーシング51aと、このケーシング51aに、垂直状態から水平状態にわたって回動し得るようにそれぞれ取り付けられた上下一対の回動アーム部51bとを有している。各回動アーム部51bは、それぞれの一方の端部を中心として回動し得るようになっており、それぞれの回動の中心となる端部同士が相互な近接した状態になっている。上側に位置する回動アーム部51bの先端部は、垂直状態では、図10に示すように、回動中心に対して上方に位置し、下側に位置する回動アーム部51bの先端部は、垂直状態では、回動中心に対して下方に位置している。そして、各回動アーム部51bが、貼り合わせマザー基板90側に90度にわたってそれぞれ回動することによって、各回動アーム51bは、それぞれ相互に対向した水平状態になる。
各回動アーム部51bの先端部には、貼り合わせマザー基板90の上面および下面にそれぞれ当接するクランプ部51cがそれぞれ取り付けられている。各クランプ部51cは、それぞれ弾性体によって構成されている。そして、各回動アーム部51bがそれぞれ一体となって垂直状態から水平状態に回動されるとともに、水平状態から垂直状態に回動される。そして、各回動アーム部51bが水平状態に回動されると、各回動アーム部51bの先端部にそれぞれ取り付けられたクランプ部51cによって、図11に示すように、貼り合わせマザー基板90がクランプされる。
これらのクランプ具51は一体となって駆動される。貼り合わせマザー基板90は、側縁部が、それぞれ複数のクランプ具51にてクランプされた状態になると、全てのクランプ具51が下方へ沈み込み、貼り合わせマザー基板90は、第1基板支持部20Aのタイミングベルト21eによって支持される。
また、上記したクランプ装置50の配置は、貼り合わせマザー基板90を保持するクランプ装置50をメインフレーム11のフレーム11A及びまたはフレーム11Bに沿って備えるように構成しても、貼り合わせマザー基板90は基板に損傷を与えることなく保持できる。
上記のクランプ装置50およびクランプ具51の構成は、本発明の基板分断システムに用いられる一例を示したものであり、これに限定されるものではない。すなわち、貼り合わせマザー基板90における側縁部を把持または保持する構成のものであればよい。また、例えば基板サイズが小さい場合には、基板の側縁部の1箇所をクランプすることにより基板が保持され、基板に不具合を生じさせることなく基板を分断することができる。
再び、図1及び図2に戻り、架台10の上面には、1対のガイドレール28がY方向に沿って設けられている。各クランプ装置50は1対のガイドレール28に沿って、所定の間隔を設けて配置された複数台の第1基板支持ユニット21A(本実施の形態の説明においては5台)における両側にそれぞれは位置された2台の第1基板支持ユニット21Aの間をリニアモータを用いてスライドされる。
図2に示すように、架台10の上面に、各クランプ装置50を保持する移動ベース57を移動させるリニアモータの固定子28が、メインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bに沿ってそれぞれ設けられている。各固定子28は、それぞれの内側面が開口した扁平な中空直方体形状に形成され、その断面は、「コ」の字状に形成されている。各固定子の内部には、各クランプ装置50を保持する移動ベース57に、リニアモータの可動子(図示せず)がメインフレーム11の長手方向のフレーム11Aおよび11Bに沿ってスライド可能に挿入されている。
各固定子28には、長手方向に沿って複数の永久磁石がそれぞれ配置されており、隣接する永久磁石の磁極が相互に反転した状態になっている。各可動子は、それぞれ電磁石によって構成されており、各可動子を構成する電磁石の磁極を順次切り換えることによって、各可動子が、各固定子28に沿ってそれぞれスライドする。
第1基板支持部20Aに貼り合わせマザー基板90が載置され、貼り合わせマザー基板90が位置決めされると、位置決めされた貼り合わせマザー基板90は、クランプ装置50によって保持されるとともに、各第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eによって支持される。
この状態で、分断装置ガイド体30に設けられた上部基板分断装置60および下部基板分断装置70よって、貼り合わせマザー基板90の分断またはスクライブが開始され、分断動作中またはスクライブ動作中、各クランプ装置50が基板搬出側へ移動を開始するのと同時に、基板支持部20Aの第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eと、第2基板支持部20Bの第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eとは、各クランプ装置50移動速度と同一の周回速度で、図1において時計回りに周回移動し、各クランプ装置50が基板搬入側へ移動を開始するのと同時に、基板支持部20Aの第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eと第2基板支持部20Bの第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eとは、各クランプ装置50の移動速度と同一の周回速度で図1において反時計回りに周回移動し、分断途中またはスクライブ途中の貼り合わせマザー基板90は第1基板支持部20Aの第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eと第2基板支持部20Bの第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eとによって摺接することなく支持される状態になる。
このように、各クランプ装置50の移動中、第1基板支持部20Aの第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eと第2基板支持部20Bの第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eは、貼り合わせマザー基板90を保持する各クランプ装置50の移動速度と同一の周回速度で各クランプ装置の移動方向と同じ方向に周回移動するため、移動中の貼り合わせマザー基板90は、クランプ装置50に保持されたまま、貼り合わせマザー基板90に第1基板支持部20Aの第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eと第2基板支持部20Bの第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eが摺接することなく支持される。
貼り合わせマザー基板90の分断が完了した状態では、第2基板支持部20Bの全ての第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eによって、貼り合わせマザー基板90が支持される。
第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eによって、貼り合わせマザー基板90が支持された状態で、スチームユニット部160が基板搬入側へ移動して、スクライブラインが刻まれた貼り合わせマザー基板90の表裏面全体に蒸気を吹きかけて熱応力によって垂直クラックを伸張させて、貼り合わせマザー基板90を完全に分断させるとともに、蒸気を吹きかけた後に貼り合わせマザー基板90の表裏面に残存する水分をエアーナイフ165で除去する。
その後、第2基板支持部20Bの全ての第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21e上の貼り合わせ基板90から分断された全ての表示パネルが、基板搬出装置80の搬出ロボット140によって搬出されることにより、分断された貼り合わせマザー基板90’(端材)が第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21e上に支持される。
そして、基板搬出装置80およびスチームユニット部160が基板搬出側の端部に移動する。その後、各クランプ装置50のクランプ具51が開かれ、分断された貼り合わせマザー基板90’はクランプ具51により把持される状態から第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eのみに支持される状態となる。
このような状態となると、各クランプ装置50は基板搬入側に移動させられ、第2基板支持部20Bの全ての第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eが周回移動させられ、分断された貼り合わせマザー基板90’(端材)は、下方に落下する。この場合、下方に落下した分断された貼り合わせマザー基板90’(端材及びカレット)は、傾斜状態で配置されたガイド板によって案内されてカレット収容ボックス内に収容されるようになっている。
分断装置ガイド体30における上側ガイドレール31には、図3に示すように、上部基板分断装置60が取り付けられており、また、下側ガイドレール32には、図4に示すように、上部基板分断装置60と同様の構成であって、上下を反転した状態の下部基板分断装置70が取り付けられている。上部基板分断装置60および下部基板分断装置70は、前述したように、それぞれ、リニアモータによって、上側ガイドレール31および下側ガイドレール32に沿ってスライドするようになっている。
上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70には、サーボモータを用いたカッターヘッド65が設けられている。図12は、カッターヘッド65の側面図を示し、図13にその主要部の正面図を示す。例えば、図12および図13に示すように、貼り合わせマザー基板90の上部マザー基板をスクライブするカッターホイール62aがチップホルダ62bに回転自在に取り付けられており、さらに、チップホルダ62bは、クランプ装置50によって保持された貼り合わせマザー基板90の表面に対して垂直方向を軸として回転自在にカッターヘッド62cに取り付けられている。そして、カッターヘッド62cは図示しない駆動手段により貼り合わせマザー基板90の表面に対して垂直方向に沿って移動自在になっており、カッターホイール62aには、図示しない付勢手段により適宜、荷重がかけられるようになっている。
チップホルダ62bに保持されたカッターホイール62aとしては、例えば、特開平9−188534号公報に開示されているように、幅方向の中央部が鈍角のV字状になるように突出した刃先を有しており、その刃先に、所定の高さの突起が周方向に所定のピッチで形成されているものが用いられる。
下側ガイドレール32に設けられた下部基板分断装置70は、上部基板分断装置60と同様の構成になっており、上部基板分断装置60とは上下を反転した状態で、そのカッターホイール62a(図4参照)が、上部基板分断装置60のカッターホイール62aと対向するように配置されている。
上部基板分断装置60のカッターホイール62aは、上述した付勢手段とカッターヘッド62cの移動手段とにより、貼り合わせマザー基板90の表面に圧接され、下部基板分断装置70のカッターホイール62aも、上述の付勢手段とカッターヘッド62cの移動手段とにより、貼り合わせマザー基板90の裏面に圧接される。そして、上部基板分断装置60と下部基板分断装置70とを同時に同一の方向へ移動させることにより、貼り合わせマザー基板90は分断されていく。
このカッターホイール62aはWO 03/011777に開示されているサーボモータを用いたカッターヘッド65に回転自在に支持されることが望ましい。
図12および図13に示すように、一対の側壁65a間にサーボモータ65bが倒立状態で保持され、その側壁65aの下部には、側方から見てL字状のホルダー保持具65cが支軸65dを通じて回動自在に設けられている。そのホルダー保持具65cの前方(図13中、右方向)には、軸65eを介してカッターホイール62aを回転自在に支持するチップホルダ62bが取り付けられている。サーボモータ65bの回転軸と支軸65dとには、平傘歯車65fが互いにかみ合うように装着されている。これにより、サーボモータ65bに正逆回転により、ホルダー保持具65cは支軸65dを支点として上下方向への回動動作を行ない、カッターホイール62aが上下動する。このカッターへッド65自体は、上部基板分断装置60と下部基板分断装置70に備えられる。
図14はサーボモータを用いたカッターヘッドの別の一例を示す正面図であり、サーボモータ65bの回転軸をホルダー保持具65cに直結したものである。
図12及び図14のカッターヘッドはサーボモータを位置制御により回転させることで、カッターホイール62aを昇降させて位置決めする。これらのカッターヘッドはカッターヘッドを水平方向へ移動させて貼り合わせマザー基板90にスクライブラインを形成するスクライブ動作中に、予めサーボモータ65b設定されたカッターホイール62aの位置がズレたときに、その設定位置へ戻すように働く回転トルクを制限して脆性材料基板に対するスクライブ圧をカッターホイール62a伝達するようになっている。すなわち、サーボモータ65bはカッターホイール62aの鉛直方向の位置を制御するとともに、カッターホイール62aに対する付勢手段となる。
上述したサーボモータを備えたカッターヘッド65を用いることで、貼り合わせマザー基板90をスクライブする時に、カッターホイール62aが受ける抵抗力の変動によるスクライブ圧の変化に瞬時に対応してサーボモータの回転トルクが修正されるため、安定したスクライブが実施でき、品質のよいスクライブラインを形成することができる。
尚、貼り合わせマザー基板90をスクライブするダイヤモンドポイントカッターやカッターホイールなどのスクライブカッターを振動させて、スクライブカッターによる貼り合わせマザー基板90への押圧力を周期的に変化させる機構を備えるカッターヘッドも本発明の基板分断システムのマザー基板の分断に有効に適用される。
また、上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70は上記の構成に限るものではない。すなわち、基板の表裏面を加工して基板を分断させる構成の装置であればよい。
例えば、上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70がレーザ光、ダイシングソー、カッティングソー、ダイヤモンド切断刃カッター等を用いてマザー基板を分断させる装置であってもよい。マザー基板が、鋼板等の金属基板、木板、プラスチック基板、およびセラミックス基板、ガラス基板、半導体基板等の脆性材料基板である場合には、例えばレーザ光、ダイシングソー、カッティングソー、ダイヤモンド切断刃カッター等を用いてマザー基板を分断する基板分断装置が用いられる。
さらに、一対のマザー基板を貼り合わせた貼り合わせマザー基板、異なるマザー基板を組み合わせて貼り合わせた貼り合わせマザー基板、複数のマザー基板同士を組み合わせて積層させた基板を分断する場合にも上述のマザー基板を分断するものと同様の基板分断装置が用いられる。
また、上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70には基板の分断を補助する分断補助手段を備えていてもよい。分断補助手段としては、例えば、ローラなどを基板に押圧させたり、圧縮空気を基板に向けて噴射させたり、レーザを基板に照射するか、熱風などを基板に吹きかけて基板を温める(熱する)ものが一例として挙げられる。
さらに、上述の説明においては、上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70が同一の構成である場合を説明したが、基板の分断パターンや基板の分断条件により異なる構成の装置であってもよい。
このような構成の基板分断システムの動作について、大判のガラス板を貼り合わせた貼り合わせ基板を分断する場合の一例を主に説明する。
大判のガラス基板が相互に貼り合わせられた貼り合わせマザー基板90を、複数の表示パネル90a(図16参照)に分断する際には、まず、図15に示すように、基板搬入側の端部から、搬送ロボット等によって貼り合わせマザー基板90を本発明の基板分断システム1に搬入させて、第1基板支持部20Aの全ての第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eに貼り合わせマザー基板90を水平状態で載置する。
このような状態になると、貼り合わせマザー基板90は、メインフレーム11のフレーム11Bに沿って配置された図示しない位置決めピンに当接するように、図示しないプッシャーによって押圧されるとともに、そのフレーム11Bとは直交する方向に沿って配置された図示しない位置決めピンに当接するように、図示しないプッシャーによって押圧される。これにより、貼り合わせマザー基板90は、基板分断システムにおける架台10内の所定の位置に位置決めされる。
その後、図15に示すように貼り合わせマザー基板90は、基板搬入側にフレーム11Bとは直交するように配置されたクランプ装置50の各クランプ具51によって、基板搬入側に位置する貼り合わせマザー基板90の側縁部がクランプされる。
各クランプ装置50のクランプ具51は、貼り合わせマザー基板90の搬入時において、その搬入を妨げないように、シリンダー55によりロッド56を縮めた所定の位置に待機している。そして、貼り合わせマザー基板90の位置決め終了後、ロッド56が伸ばされて、貼り合わせマザー基板90基板搬入側の側縁部を把持する。
基板搬入側に位置する貼り合わせマザー基板90の側縁部がクランプ装置50によってクランプされると、貼り合わせマザー基板90の側縁部をクランプしている各クランプ具51が貼り合わせマザー基板90の自重によりほぼ同時に沈み込むため、貼り合わせマザー基板90が全ての第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eによって補助的に支持された状態とされる。
このような状態になると、分断装置ガイド体30が、各クランプ装置50によって水平状態にクランプされた貼り合わせマザー基板90における近接した側縁部上の所定位置になるように、各クランプ装置50を基板搬出側にスライドさせる。そして、分断装置ガイド体30に設けられた第1光学装置38および第2光学装置39がそれぞれの待機位置から分断装置ガイド体30に沿って移動することにより、それぞれ貼り合わせマザー基板90に設けられた第1アライメントマークと第2アライメントマークを撮像する。
各クランプ装置50が基板搬出側へ移動を開始するのと同時に、第1基板支持部20Aの第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eと、第2基板支持部20Bの第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eとが、各クランプ装置50でクランプされた貼り合わせマザー基板90が搬出側へ移動する移動速度と同一の方向へ同一速度でモータの駆動によって周回させられる。このため、移動中のクランプ装置50に保持された貼り合わせマザー基板90は、第1基板支持部20Aの第1基板支持ユニット21Aのタイミングベルト21eと、第2基板支持部20Bの第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eとにそれぞれ摺接することなく支持される。
次に、第1アライメントマークと第2アライメントマークの撮像結果に基づいて、図示しない演算処理装置によりクランプ装置50によって水平状態で支持された貼り合わせマザー基板90の分断装置ガイド体30に対する傾き、分断開始位置と分断終了位置を演算によって求め、その演算結果に基づいて、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70とともに、貼り合わせマザー基板90を保持した各クランプ装置50を移動させて貼り合わせマザー基板90を分断する(これを直線補間によるスクライブあるいは分断と呼ぶ)。
この場合、図16に示すように、貼り合わせマザー基板90の表面および裏面にそれぞれ対向したカッターホイール62aを、それぞれ、表面および裏面にそれぞれ圧接して転動させることにより、貼り合わせマザー基板90の表面および裏面にスクライブラインが形成される。
貼り合わせマザー基板90は、例えば図16示すように、上側ガイドレール31および下側ガイドレール32に沿った列方向に2つのパネル基板90aを、2列にわたって分断するようになっており、貼り合わせマザー基板90から4個のパネル基板90aを分断するために、パネル基板90aの側縁に沿って、上部基板分断装置60のカッターホイール62aおよび下部基板分断装置70のカッターホイール62aをそれぞれ圧接させて転動させる。
この場合、上部基板分断装置60のカッターホイール62aと、下部基板分断装置70のカッターホイール62aとにより、各ガラス基板における各カッターホイール62aの転接部分にそれぞれ垂直クラックが生成されてスクライブライン95が形成される。しかも、各カッターホイール62aの刃先には、外周稜線に所定のピッチで突起部がそれぞれ形成されているために、各ガラス基板には、厚さ方向にガラス基板の厚さの約90%の長さの垂直クラックが形成される。
また、貼り合わせマザー基板90をスクライブするダイヤモンドポイントカッターやカッターホイールなどのスクライブカッターをスクライブカッターによる貼り合わせマザー基板90への押圧力を周期的に変化(振動)させる機構を備えるカッターヘッドを用いるスクライブ方法も本発明の基板分断システムの貼り合わせマザー基板90の分断に有効に適用される。
貼り合わせマザー基板90の表裏面をスクライブする方法としては、図17に示すように貼り合わせマザー基板90の短辺方向である縦方向に沿ってスクライブ定ラインS1〜S4に沿って、順番にスクライブラインを形成した後に、長辺方向である横方向に沿ったスクライブ予定ラインS5からS8に沿って順番にスクライブラインを形成する従来の方法が一般的に用いられる。
また、上述のスクライブ方法の他に本発明の基板分断システムには、図18に示すスクライブ方法を好適に実施することができる。図18では、1枚の貼り合わせマザ基板90から4枚のパネル基板90aを形成するようになっている。
貼り合わせマザー基板90は、長方形状になっており、4枚のパネル基板90aは、貼り合わせマザー基板90の長手方向に沿って2枚のパネル基板90aが形成されるとともに、長手方向と直交する幅方向に沿って2枚のパネル基板90aが形成される。各パネル基板90aは、隣接するパネル基板90aとは適当な間隔をあけた状態で、また、貼り合わせマザー基板90の長手方向に沿った各側縁および幅方向に沿った各側縁ともそれぞれ適当な間隔をあけて形成される。
上部基板分断装置60のカッターホイール62aおよび下部基板分断装置70のカッターホイール62aをそれぞれ対向させて、同時に圧接転動させることにより、パネル基板90aを1枚ずつ、順番に、全周にわたるスクライブラインを貼り合わせマザー基板90の表裏面に形成する。
この場合、まず、スクライブの対象となるパネル基板90aに対して、貼り合わせマザー基板90の長手方向と平行な側縁に沿った1本の直線状のスクライブ予定ラインS1に沿ってスクライブラインを形成する。すなわち、カッターヘッド62cのカッターホイール62aを、このスクライブ予定ラインS1に沿って貼り合わせマザー基板90の表裏面に圧接転動させる。
このとき、図19において、カッターホイール62aによるスクライブ開始点は貼り合わせマザー基板90上の位置(内切りの位置)となっているが、スクライブ予定ラインS1に沿った貼り合わせマザー基板90の端面の外側近傍の位置(外切りの位置)であってもよい。
スクライブ予定ラインS1に沿って、厚さ方向の全体にわたる垂直クラックによるスクライブラインが形成されると、貼り合わせマザー基板90を保持した各クランプ装置50をY方向へかつ上部基板分断装置60および下部基板分断装置70をX方向へ同時に移動させることによって、カッターホイール62aが半径1mm程度の円形状の軌跡が形成されるように垂直軸回りに270度にわたって旋回させられる(図19のコーナー部A)。
カッターホイール62aが旋回移動中は、貼り合わせマザー基板90に対するカッターホイール62aの圧接力を低減させるため、貼り合わせマザー基板90には深い垂直クラックが形成されない。貼り合わせ基板90の板厚が0.7mmのときカッターホイール62aが旋回移動中に貼り合わせマザー基板90に形成する垂直クラックの深さは100μm〜200μm程度である。
図17に示すように、カッターホイール62aによりクロススクライブする際には、第1の方向にスクライブし、第2の方向へスクライブしたときに形成されたスクライブラインの交点で、貼り合わせマザー基板90に欠けが発生しやすい。
このような欠けは、既に第1の方向へスクライブした時に、貼り合わせマザー基板90にほぼその板厚に達するよな垂直クラックが形成されているため、第2の方向へのスクライブ中にカッターホイール62aが第1の方向のスクライブライン付近に達すると、第1のスクライブラインの手前側でマザーガラス基板90が沈みこみ、第1の方向のスクライブラインと第2の方向のスクライブラインの交差部で第1の方向のスクライブラインに沿ったガラス基板に乗り上げるときに発生する。
図18に示すようなスクライブ方法においては、カッターホイール62aを旋回させて、貼り合わせマザー基板90に対する圧接力を低減させて、既に形成されたスクライブ予定ラインS1に沿ったスクライブラインと交差させるため、スクラブラインが交差する前に貼り合わせマザー基板90の一部分が沈み込むことがなく、スクライブラインが交差するときの貼り合わせマザー基板90の欠けの発生を防ぐことができる。
カッターホイール62aの進行方向が270度にわたって旋回されて、カッターホイール62aが、スクライブ予定ラインS1と直交するパネル基板90aの幅方向に沿った直線状のスクライブ予定ラインS2に沿った状態になると、スクライブ予定ラインS2に沿ってカッターホイール62aが圧接転動させられる。これにより、スクライブ予定ラインS2に沿って、厚さ方向の全体にわたる垂直クラックによるスクライブラインが形成される。
その後、同様にして、カッターホイール62aを貼り合わせマザー基板90の表裏面から離間させることなく、コーナー部Bにおいて、半径1mm程度の円形状の軌跡を形成しつつスクライブ予定ラインS2とは直交する方向に270度にわたって旋回させて、スクライブ予定ラインS3に沿った状態として、スクライブ予定ラインS3に沿って、厚さ方向の全体にわたる垂直クラックによるスクライブラインを形成する。さらにその後に、同様にして、カッターホイール62aを貼り合わせガラス基板90の表裏面から離間させることなく、コーナー部Cにおいて、半径1mm程度の円形状の軌跡を形成しつつスクライブ予定ラインS3とは直交する方向に270度にわたって旋回させて、スクライブ予定ラインS4に沿った状態として、スクライブ予定ラインS4に沿って、厚さ方向の全体にわたる垂直クラックによるスクライブラインを貼り合わせマザー基板90の表裏面に形成する。
これにより、パネル基板90aの周囲には、4本の直線状のスクライブラインによる閉曲線が形成された状態になる。その後、例えば、貼り合わせマザー基板90の長手方向に隣接するパネル基板90aを形成するために、同様にして、そのパネル基板90aの周囲に、4本の直線状のスクライブラインによる閉領域を形成し、さらには、残りの一対のパネル基板90aのそれぞれに対しても、順番に4本の直線状のスクライブラインによる閉領域をパネル基板90aの全周にわたって形成する。
さらに、上述のスクライブ方法の他に本発明の基板分断システムでは、図19に示すスクライブ方法を好適に実施することができる。図19では、1枚の貼り合わせマザー基板90から4枚のパネル基板90aを形成するようになっている。
図19に示すスクライブ方法では、パネル基板90aにおける相互に直交するスクライブ予定ラインS1およびS2に沿ったスクライブラインを、前述と同様の方法によって形成する。スクライブ予定ラインS1に沿ってスクライブラインを形成する場合には、カッターホイール62aを、貼り合わせマザー基板90の端面の外側付近に位置させて、そこから連続的にスクライブ予定ラインS1に沿ったスクライブラインを形成する。
スクライブ開始当初において、カッターホイール62aが貼り合わせマザー基板90の表裏面に乗り上げるときに発生する貼り合わせマザー基板90の欠けは、製品となるパネル基板90aには影響しない。
そして、コーナー部Aにおいて、円形状の軌跡を形成しつつスクライブ予定ラインS1とは直交する方向に270度にわたって旋回させて、スクライブ予定ラインS2に沿った状態として、スクライブ予定ラインS2に沿って、ほぼ厚さ方向の全体にわたる垂直クラックによるスクライブラインを形成する。
その後、カッターホイール62aを、一旦、貼り合わせマザー基板90の表面から離間させた後に、スクライブ予定ラインS1とは直交する方向のスクライブ予定ラインS4およびS3に沿ったスクライブラインを、その順番で形成する。この場合も、スクライブ開始当初において、カッターホイール62aが貼り合わせマザー基板90の表裏面に乗り上げるときに発生する貼り合わせマザー基板90の欠けは、製品となるパネル基板90aには影響しない。
これにより、パネル基板90aの周囲には、4本の直線状のスクライブラインが形成された状態になる。その後、例えば、貼り合わせマザー基板90の長手方向に隣接するパネル基板90aを形成するために、同様にして、そのパネル基板90aの周囲に、4本の直線状のスクライブラインを全周にわたって形成し、さらには、残りの一対のパネル基板90aのそれぞれに対しても、順番に、4本の直線状のスクライブラインによる閉領域を形成する。
上述のスクライブ方法で貼り合わせマザー基板にスクライブラインを形成した後、図20に示すように、第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eによって、スクライブライン95が形成されたマザー貼り合わせ基板90が支持された状態で、スチームユニット部160が基板搬入側へ移動して、スクライブラインが刻まれた貼り合わせマザー基板90の表裏面全体に蒸気を吹きかけて、貼り合わせマザー基板90が完全に分断させるとともに、蒸気を吹きかけた後の貼り合わせマザー基板90の表裏面に残存する水分をエアーナイフ165で除去する。
スクライブラインが刻まれた貼り合わせマザー基板90の表裏面全体に蒸気を吹きかけることにより、カッターホイール62aによって形成されたスクライブラインは、貼り合わせマザー基板90の表裏面部分が加熱されて体積膨張することによって、垂直クラックは、貼り合わせマザー基板90の上下のマザー基板の表面から貼り合わせ面側に伸展し、貼り合わせマザー基板90が完全に分断される。
その後、図20に示すように、第2基板支持部20Bの全ての第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21e上の貼り合わせ基板90から分断された全てのパネル基板90aが、基板搬出装置80の搬出ロボット140によって搬出されることにより、分断された貼り合わせマザー基板90’(端材)が各第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eに支持される。
そして、基板搬出装置80およびスチームユニット部160が基板搬出側の端部に移動する。
基板搬出装置80およびスチームユニット部160が基板搬出側の端部に移動した後、各クランプ装置50のクランプ具51が開かれ、分断された貼り合わせマザー基板90’はクランプ具51により把持される状態から第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eのみに支持される状態となる。
このような状態となると、図21に示すように各クランプ装置50は基板搬入側に移動させられ、第2基板支持部20Bの全ての第2基板支持ユニット21Bのタイミングベルト21eが周回移動させられ、分断された貼り合わせマザー基板90’(端材)は、下方に落下する。この場合、下方に落下した分断された貼り合わせマザー基板90’(端材及びカレット)は、傾斜状態で配置されたガイド板によって案内されてカレット収容ボックス内に収容されるようになっている。
尚、分断装置ガイド体30の上部基板分断装置60および下部基板分断装置70によるスクライブ方法に以下に説明するスクライブ方法を用いることにより、スチームユニット部160による貼り合わせ基板の分断工程を省略することができる。
この場合、図22に示すように、貼り合わせマザー基板90の上部のマザー基板91および下部マザー基板92の分断予定ラインに沿って、カッターホイール62aがマザー基板91および92に圧接させられ、転動させられて、マザー基板91および92をスクライブする。これにより、マザー基板91および92のそれぞれの厚さ方向に沿った垂直クラックVmが、分断予定ラインに沿って順次形成され、主スクライブラインMSが形成される。垂直クラックVmは、マザー基板91および92の表面から、マザー基板91および92のそれぞれの厚さの80%以上に達するように、さらに好ましくは90%以上に達するように形成される。
その後、マザー基板91および92を分断することによって得られるパネル基板の領域外において、主スクライブラインMSに対して、0.5〜1.0mm程度の間隔をあけて、主スクライブラインMSに沿って、カッターホイール62aをマザー基板91および92に圧接転動させることによってマザー基板91および92をスクライブする。これにより、マザー基板91および92の厚さ方向に沿った垂直クラックVsが、主スクライブラインMSに沿って、順次形成されて、補助スクライブラインSSが形成される。
このとき、カッターホイール62aがマザー基板91および92の表面を圧接転動して、その刃部がマザー基板91および92の表面に食い込むことによって、マザー基板91および92の表面部分には圧縮力が加わり、すでに形成されている主スクライブラインMSにおける垂直クラックVmの表面部分に圧縮力が作用する。この場合、主スクライブラインMSを形成する垂直クラックVmは、マザー基板91および92のそれぞれの厚さに対して、80%以上に達するように形成されており、マザー基板91および92の表面部分が圧縮されることにより、主スクライブラインMSの垂直クラックVmは、マザー基板91および92の表面部分における間隙が圧縮された状態になり、底面部分での間隔を広げる状態となるため、垂直クラックVmは、マザー基板91および92の貼り合わせ面に向かって伸展する。この垂直クラックVmがマザー基板91および92の貼り合わせ面に達し、主スクライブラインMSの全体にわたって、垂直クラックVmが、マザー基板91および92の貼り合わせ面に達した状態になることにより、貼り合わせマザー基板90は、主スクライブラインMSに沿って分断される。
補助スクライブラインSSは、主スクライブラインMSに対して、0.5mm〜1.0mm程度の間隔をあけて形成することが好ましい。主スクライブラインMSに対する補助スクライブラインSSの間隔が0.5mmよりも小さい場合には、主スクライブラインMSを形成する垂直クラックVmの表面側部分に対して大きな圧縮力が作用し、垂直クラックVmの表面側端部に欠け等の損傷が生じるおそれがある。反対に、その間隔が1.0mmよりも大きくなると、主スクライブラインMSの垂直クラックVmにおける表面側部分に作用する圧縮力が十分ではなく、垂直クラックVmが、マザー基板91および92の貼り合わせ面にまで達しないおそれがある。
上述のように、主スクライブラインMSと補助スクライブラインSSの二重のスクライブラインを所定の間隔で形成することにより、貼り合わせマザー基板90から複数の表示パネルが分断される。
図23はこのような主スクライブラインMSと補助スクライブラインSSの二重のスクライブラインを用いて貼り合わせマザー基板90からパネル基板90aに分断するスクライブパターンを説明する図である。上部基板分断装置60および下部基板分断装置70のそれぞれのカッターホイール62aが、貼り合わせマザー基板90における基板搬出側の2つのパネル基板90aの基板搬出側の側縁に沿った状態とされ、二重のスクライブライン(主スクライブラインMS1と補助スクライブラインSS1)が2つのパネル基板90aの基板搬出側の側縁に沿って形成される。
その後、貼り合わせマザー基板90における基板搬出側の2つのパネル基板90aにおける基板搬入側の各側縁に沿って主スクライブラインMS2と補助スクライブラインSS2が形成される。貼り合わせマザー基板90における基板搬出側の2つのパネル基板90aにおける基板搬出側および基板搬入側の各側縁が分断された状態になると、各カッターホイール62aが、貼り合わせマザー基板90の基板搬出側に位置する側縁部上に位置するように、貼り合わせマザー基板90を保持したクランプ装置50が基板搬出側にスライドされる。そして、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70のカッターホイール62aが、メインフレーム11のフレーム11Aに近接する基板搬出側のパネル基板90aにおけるそのメインフレーム11に近接した側縁の延長線上に位置するように、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70が、上側ガイドレール31および下側ガイドレール32に沿ってスライドされる。そして、その側縁の延長線上に沿って、二重のスクライブライン(主スクライブラインMS3と補助スクライブラインSS3)が形成され、メインフレーム11のフレーム11Aに近接する基板搬出側のパネル基板90aにおけるそのフレーム11Aに近接した側縁が分断された状態になる。
以後、同様にして、フレーム11Aと平行に二重のスクライブライン(主スクライブラインMS4〜MS6と補助スクライブラインSS4〜SS6)をそれぞれ形成することにより、基板搬出側に位置する各パネル基板90aのフレーム11Aに沿った方向の側縁をそれぞれ分断する。
その後、上側ガイドレール31および下側ガイドレール32に沿った他の2列の2つのパネル基板90aについても、パネル基板90aの側縁に沿って二重のスクライブライン(主スクライブラインMS7〜MS12と補助スクライブラインSS7〜SS12)を形成することにより、各パネル基板90aの側縁が分断される。
上述の説明においては、二重のスクライブラインを、それぞれ個別に形成する場合を一例として説明したが、この方法に限定されるものではない。すなわち、各パネル90aの側縁に沿って二重のスクライブラインが形成されていればよく、例えば、一本のスクライブラインで各パネル基板90aの側縁において二重のスクライブラインを形成してもよい。
図24は、主スクライブラインMSと補助スクライブラインSSの二重のスクライブラインを用いて貼り合わせマザー基板90からパネル基板90aを分断するスクライブパターンを説明する平面図である。この例では、貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92は、第1〜第8の分断予定ラインD1〜D8に沿って、その順番に分断されることによって、2行×2列の4つのパネル基板90aとされる。
第1分断予定ラインD1は、第1行の2つのパネル基板90aにおける行方向(横方向)に沿った側縁に対応しており、貼り合わせマザー基板90の行方向に沿った一方の側縁に対して一定の間隔が設けられている。第2分断予定ラインD2は、第1行の2つの分断基板90aにおける第2行のパネル基板90aに近接した側縁に対応している。第3分断予定ラインD3は、第2行の2つのパネル基板90aにおける第1行のパネル基板90aに近接した側縁に対応しており、第2分断予定ラインD2とは、2〜4mmの間隔があけられている。第4分断予定ラインD4は、第2行の2つのパネル基板90aにおける行方向(横方向)に沿った側縁に対応しており、貼り合わせマザー基板90の行方向に沿った他方の側縁に対して一定の間隔が設けられている。
第5分断予定ラインD5は、第1列の2つのパネル基板90aにおける列方向(縦方向)に沿った側縁に対応しており、貼り合わせマザー基板90の列方向に沿った一方の側縁に対して一定の間隔が設けられている。第6分断予定ラインD6は、第1列の2つのパネル基板90aにおける第2列のパネル基板90aに近接した側縁に対応している。第7分断予定ラインD7は、第2列の2つのパネル基板90aにおける第1列のパネル基板90aに近接した側縁に対応しており、第6分断予定ラインD6とは、2〜4mmの間隔が開けられている。第8分断予定ラインD8は、第2列の2つのパネル基板90aにおける列方向(縦方向)に沿った側縁に対応しており、貼り合わせマザー基板90の列方向に沿った他方の側縁に対して一定の間隔が設けられている。
このような貼り合わせマザー基板90を分断する際には、まず、貼り合わせマザー基板90に対して、例えば、カッターホイール62aを、第1〜第4分断予定ラインD1〜D4に沿って、その順番で、圧接状態で転動させる。これにより、貼り合わせマザー基板90の上下のマザー基板91および92の表面からマザー基板91および92のそれぞれの厚みの90%以上の深さの垂直クラックによる第1〜第4の主クライブラインMS13〜MS16がそれぞれ形成される。
このような状態になると、第5分断予定ラインD5に沿って、カッターホイール62aを圧接状態で転動させる。これにより、第5の分断予定ラインD5に沿って、第5の主スクライブラインMS17がそれぞれ形成される。
以後、同様にして、第6〜第8分断予定ラインD6〜D8に沿って、カッターホイール62aを、順番に、圧接状態で転動させて、第6〜第8の分断予定ラインD6〜D8に沿って、第6〜第8の主スクライブラインMS18〜MS20を、その順番で、それぞれ形成する。
このようにして、第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20が形成されると、第1の主スクライブラインMS13に対してパネル基板90aとは反対側の貼り合わせマザー基板90の側縁部において、第1の主スクライブラインMS13に対して0.5〜1.0mm程度の間隔をあけて、カッターホイール62aを圧接状態で転動させることによって、第1の補助スクライブラインSS13を第1の主スクライブラインMS13に沿って形成する。これにより、第1の主スクライブラインMS13における垂直クラックが、貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92の貼り合わせ面に向かって伸展し、マザー基板91および92の貼り合わせ面に達する。この作用が第1の主スクライブラインMS13の全体にわたり起こることによって、第1の主スクライブラインMS13に沿って貼り合わせマザー基板90が分断される。
次に、第2の主スクライブラインMS14に対してパネル基板90aとは反対側の領域に、第2の主スクライブラインMS14に対して0.5〜1.0mm程度の間隔をあけて、カッターホイール62aによって、第2の補助スクライブラインSS14を第2の主スクライブラインMS14に沿って形成する。これにより、第2の主スクライブラインMS14における垂直クラックが、貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92の表面から貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92の貼り合わせ面に達するように伸展し、第2の主スクライブラインMS14の全体にわたって垂直クラックがマザー基板91および92の貼り合わせ面に達することによって、貼り合わせマザー基板90が第2の主スクライブラインMS14に沿って分断される。
第3の主スクライブラインMS15および第4の主スクライブラインMS16に沿って、パネル基板90a側とは反対側に第3の補助スクライブラインSS15および第4の補助スクライブラインSS16をそれぞれ形成することにより、第3の主スクライブラインMS15および第4の主スクライブラインMS16に沿って、貼り合わせマザー基板90が順次分断される。
その後、第5の主スクライブラインMS17〜第8の主スクライブラインMS20に沿って、パネル基板90a側とは反対側に第5の補助スクライブラインSS17〜第8の補助スクライブラインSS20を第1の主スクライブラインMS13と第2の主スクライブラインMS14との間、第3の主スクライブラインMS15と第4の主スクライブラインMS16との間にそれぞれ形成することにより、第5の主スクライブラインMS17〜第8の主スクライブラインMS20に沿って、貼り合わせマザー基板90が分断され、不要部分が除去されて4つのパネル基板90aが得られる。
なお、この場合には、第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20は、貼り合わせマザー基板90の端面間、すなわち、貼り合わせマザー基板90の一方の端面から対向する他方の端面にわたって形成された分断予定ラインD1〜D8の全体にわたって形成されており、また、第1〜第8の補助スクライブラインSS13〜SS20は、貼り合わせマザー基板90の端面または分断された一方の分断面から対向する他方の端面または他方の分断面間にわたってそれぞれ形成されている。
このように、第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20を、貼り合わせマザー基板90の端面間に形成される分断予定ラインD1〜D8の全体にわたって形成し、第1〜第4の補助スクライブラインSS13〜SS16を貼り合わせマザー基板90の一方の端面から対向する他方の端面にわたってそれぞれ形成し、第5〜第8の補助スクライブラインSS17〜SS20を貼り合わせマザー基板90の一方の分断面から対向する他方の分断面にわたってそれぞれ形成する方法に限らない。図25に示すように、マザーガラス基板10の一方の端面から0.2〜0.5mm程度の適当な間隔をあけた位置を、第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20の開始位置とし、同様に、他方の端面に対して0.2〜0.5mm程度の手前の位置を、第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20の終点位置とするようにしてもよい。
この場合には、第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20を形成するために、カッターホイール62aを貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92にそれぞれ圧接させ転動させてスクライブを実施すると、垂直クラックが、スクライブ開始位置に対してスクライブ方向の前後方向に伸展するために、形成される第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20は、貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92の一方の端面に達する。
同様に、第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20のスクライブ終了位置が、貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92の他方の端面の手前であっても、マザー基板91および92の垂直クラックが、スクライブ方向に伸展するために、形成される第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20は、マザー基板91および92の他方の端面に達する。
このことから、第1〜第8の補助スクライブラインSS13〜SS20も、マザー基板90および91の一方の端面または分断された一方の分断面から対向する他方の端面または分断面間にわたってそれぞれ形成する必要がなく、図25に示すように、貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92の一方の端面または分断された一方の分断面から0.2〜0.5mm程度の適当な間隔をあけた位置を、第1〜第8の補助スクライブラインSS13〜SS20の開始位置とし、同様に、他方の端面または分断面に対して0.2〜0.5mm程度の手前の位置を、第1〜第8の補助スクライブラインSS13〜SS20の終点位置とするようにしてもよい。
さらには、第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20と第1〜第8の補助スクライブラインSS13〜SS20のいずれか一方を、貼り合わせマザー基板のマザー基板91および92の一方の端面または一方の分断面からマザー基板91および92の他方の端面または他方の分断面にわたって形成して、第1〜第8の主スクライブラインMS13〜MS20と第1〜第8の補助スクライブラインSS13〜SS20のいずれか他方を、貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92の一方の端面または一方の分断面とは適当に離れた位置から他方の端面またはマザー基板91および92の他方の分断面の手前にわたって形成するようにしてもよい。
図26は、貼り合わせ基板90からパネル基板90aを分断する別のスクライブパターンを説明する平面図である。このスクライブ方法では、貼り合わせマザー基板90における横方向に沿った第1および第2の分断予定ラインD1およびD2に沿って第1および第2の主スクライブラインMS13およびMS14を、それぞれ、カッターホイール62aによって、貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92の表面からマザー基板91および92のそれぞれの厚さの90%以上に達する垂直クラックによって形成する。その後、第1および第2の主スクライブラインMS13およびMS14の間の領域において、縦方向に沿った第5分断予定ラインD5に沿って第5の主スクライブラインMS17を、カッターホイール62aによって形成するとともに、その第5の主スクライブラインMS17に対して、0.5〜1.0mm程度間隔をあけて、パネル基板90a側とは反対側に第5の補助スクライブラインSS17を形成する。
この場合、第5の主スクライブラインMS17および第5補助スクライブラインSS17、すでに形成されている第1および第2の主スクライブラインMS13およびMS14とそれぞれ交差し、第5の主スクライブラインMS17および第5の補助スクライブラインSS17は1回のスクライブで連続して形成されるように第5の主スクライブライン17は第2の主スクライブラインMS14を越えた後、180度反転して、第5の補助スクライブラインSS17が形成される。
以後、同様に、第1および第2の主スクライブラインMS13およびMS14の間の領域において、第6の分断予定ラインD8に沿って第6の主スクライブラインMS18を、カッターホイール62aによって形成するとともに、反転後、連続して、パネル基板90a側とは反対側に第6の補助スクライブラインSS18を形成し、さらには、第7の主スクライブラインMS19および第7の補助スクライブラインSS19、第8の主スクライブラインMS20および第8の補助スクライブラインSS20を、同様にして順番に形成する。第5乃至第8の主スクライブラインMS17〜MS20と第5乃至第8の補助スクライブラインSS17〜SS20が、第1および第2の主スクライブラインMS13およびMS14を通過することで、第1および第2の主スクライブラインMS13およびMS14をそれぞれ形成する垂直クラックが、第1および第2の主スクライブラインMS13およびMS14の全体にわたって貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92の貼り合わせ面にまで確実に達する。このため、第1および第2の主スクライブラインMS13およびMS14に沿って貼り合わせマザー基板90が確実に分断されるとともに、一対のパネル基板90aが得られる。
この時点における一対のパネル基板90aに分断される前、貼り合わせマザー基板90の未分断の領域を第2基板部分90cとする。
次に、第2の主スクライブラインMS14によって分断された第2基板部分90cを、図26(b)に示すように、貼り合わせマザー基板90における横方向に沿った第3および第4分断予定ラインD3およびD4に沿ってカッターホイール62aを圧接転動させて、貼り合わせマザー基板90のマザー基板91および92の表面からマザー基板91および92のそれぞれの厚さの90%以上に達する垂直クラックによる第3および第4の主スクライブラインMS15およびMS16をそれぞれ形成する。その後、第3および第4の主スクライブラインMS15およびMS16の間の領域において、縦方向に沿った第9分断予定ラインD9に沿った第9の主スクライブラインMS21および第5の補助スクライブラインSS21、第10分断予定ラインD10に沿った第10の主スクライブラインMS22および第10の補助スクライブラインSS22、第11分断予定ラインD11に沿った第11の主スクライブラインMS23および第11の補助スクライブラインSS23、第12分断予定ラインD12に沿った第12の主スクライブラインMS24および第12の補助スクライブラインSS24を、それぞれ、第3および第4の主スクライブラインMS15およびMS16と交差するように、パネル基板90aの外側に順番に形成する。これにより、第2基板部分90cが分断されて、一対のパネル基板90aが分断される。
なお、第5〜第12の各補助スクライブラインSS21〜SS24は、第1および第3の主スクライブラインMS13およびMS15と交差させる必要がなく、例えば、図27に示すように、第1および第3の主スクライブラインMS13およびMS15に対して、0.2〜0.5mm程度手前の位置を第5〜第12の各補助スクライブラインSS17〜SS24の終点位置としてもよい。この場合も、第5〜第12の各補助スクライブラインSS17〜SS24を形成する垂直クラックが、スクライブ方向に伸展する。また、第5〜第12の各主スクライブラインMS17〜MS24は、各主スクライブラインMS17〜MS24の全体にわたって分断された状態になる。
このように、スクライブライン同士を相互に交差させて、基板を分断させる場合には、図28に示すように、貼り合わせマザー基板90に、第1〜第4の各分断予定ラインD1〜D4に沿って、主スクライブラインMS13〜MS16をそれぞれ形成した後に、第1主スクライブラインMS13と第4主スクライブラインMS16とにそれぞれ交差するように、第5の主スクライブラインMS17および第5の補助スクライブラインSS17、第6の主スクライブラインMS18および第6の補助スクライブラインSS18、第7の主スクライブラインMS19および第7の補助スクライブラインSS19、第8の主スクライブラインMS20および第8の補助スクライブラインSS20を、主スクライブラインと補助スクライブラインが1回のスクライブで連続して形成されるように第4の主スクライブラインMS16を越えた後、180度反転して連続して形成するようにしてもよい。
図29は、主スクライブラインMSと補助スクライブラインSSの二重のスクライブラインを用いて貼り合わせ基板90から表示パネル90aを分断するスクライブパターンを説明する概略平面図である。まず、図18に示すスクライブ方法によって、パネル基板90aに対してスクライブ予定ラインS1〜S4に沿った4本のスクライブライン(以下、パネル基板90aの全周にわたる4本の直線状のスクライブラインを主スクライブラインDS1とする)を形成する。その後に、この主スクライブラインDS1に対して、パネル基板90aの外側に、0.5mm〜1mm程度の間隔をあけて、主スクライブラインDS1とは平行に4本の直線状のサブスクライブラインDS2を形成する。
このように、主スクライブラインDS1に対して0.5mm〜1mm程度の間隔をあけてサブスクライブラインDS2を形成すると、サブスクライブラインDS2の形成時に貼り合わせマザー基板90の表面にスクライブラインの形成方向とは直交する水平方向に応力が加わり、すでに形成されている主スクライブラインDS1を形成する垂直クラックの表面部分に圧縮力が作用する。このように、主スクライブラインDS1を形成する垂直クラックの表面部分に圧縮力が作用すると、垂直クラックの底部には垂直クラックの幅を広げる方向に反力が作用する。これにより、垂直クラックは、貼り合わせマザー基板90の厚さ方向に伸展し、垂直クラックは、貼り合わせマザー基板のマザー基板91および92の貼り合わせ面に到達する。
なお、この場合には、図30に示すように、主スクライブラインDS1を形成した後に、サブスクライブラインDS2を、カッターホイール62aを貼り合わせマザー基板90の表裏面から離間させることなく、主スクライブラインDS1に連続して形成するようにしてもよい。
さらには、図19に示すように、スクライブ予定ラインS1およびS2に沿ってスクライブラインを形成した後に、スクライブ予定ラインS4およびS2に沿ってスクライブラインを形成する場合にも、図31に示すように、主スクライブラインDS1を形成した後に、サブスクライブラインDS2を形成するようにしてもよい。
また、基板を分断する方法として、上述のように基板が脆性材料基板の一種であるガラス基板を貼り合わせた貼り合わせマザー基板に二重のスクライブライン形成する方法を一例として説明したが、これに限らない。基板が、鋼板等の金属基板、木板、プラスチック基板、およびセラミクス基板、ガラス基板、半導体基板等の脆性材料基板である場合には、例えばレーザ光、ダイシングソー、カッティングソー、ダイヤモンド切断刃カッター等を用いた基板の分断方法が用いられる。
さらに、基板にはマザー基板の他に、マザー基板同士を組み合わせて貼り合わせた貼り合わせ基板、異なるマザー基板を組み合わせて貼り合わせた貼り合わせ基板、マザー基板を組み合わせて積層させた基板が含まれる。
(実施の形態2)
図32は、本発明の基板分断システムの別の実施形態の一例を示す全体概略斜視図、図33はその基板分断システムの平面図、図34はその基板分断システムの側面図である。なお、本発明において、「基板」には、複数の基板に分断されるマザー基板を含み、また、鋼板等の金属基板、木板、プラスチック基板およびセラミックス基板、半導体基板、ガラス基板等の脆性材料基板等の単板が含まれる。さらに、このような単板に限らず、一対の基板同士を貼り合わせた貼り合わせ基板、一対の基板同士を積層させた積層基板も含まれる。
本発明の基板分断システムは、例えば、一対のガラス基板が、相互に貼り合わせられた液晶表示装置のパネル基板(表示パネル用貼り合わせ基板)を製造する際、この基板分断システムによって、一対のマザーガラス基板が相互に貼り合わされた貼り合わせマザー基板90が、複数枚のパネル基板(表示パネル用貼り合わせ基板)に分断される。
本実施の形態2の基板分断システム200は位置決めユニット部220、スクライブユニット部240、バッファーコンベア部260、スチームブレイクユニット部280、基板搬送ユニット部300、パネル反転ユニット部320、パネル端子分離部340を備えている。
本実施の形態2の基板分断システム200において、位置決めユニット部220が配置されている側を基板搬入側、パネル端子分離部340が配置されている側を基板搬出側として以下の説明を行う。また、本発明の基板分断システム200において、基板が搬送されていく方向(基板の流れ方向)は基板搬入側から基板搬出側に向かう+Y方向である。また、この基板が搬送されていく方向はスクライブユニット部240の分断装置ガイド体242に対して水平状態で直交する方向であり、分断装置ガイド体242はX方向に沿って設けられる。
基板として貼り合わせマザー基板90を分断する場合を例に挙げて以下の説明を行う。まず、前工程の搬送装置(不図示)によって貼り合わせマザー基板90が位置決めユニット部220へ搬入される。その後、位置決めユニット部220は、複数の基板支持ユニット221に設けられたベルト221e上で貼り合わせマザー基板90を位置決めする。
位置決めユニット部220は、図35に示すように、架台230の上方に支柱228を介してY方向に沿って架台230の一方の側縁に沿って延在するガイドバー226と、ガイドバー226と平行に架台230の他方の側縁に沿って延在するガイドバー227とを備える。また、ガイドバー226とガイドバー227との間の架台230の基板搬入側には、架台230の上方に支柱228を介してX方向に沿って延在するガイドバー225を備えている。
ガイドバー225とガイドバー226には、貼り合わせマザー基板90を位置決めする際に基準となる複数の基準ローラ223がそれぞれ設けられており、ガイドバー227には、貼り合わせマザー基板90を位置決めする際にガイドバー226に備えられた基準ローラ223に向けて貼り合わせマザー基板90を押し込む複数のプッシャー224が備えられる。
架台230の上方にはガイドバー226とガイドバー227の間に所定の間隔で複数の基板支持ベース221がY方向に沿って設けられ、それらの基板支持ベース221は、架台230のガイドバー226側の上面に設けられた昇降装置222と架台230のガイドバー227側の上面に設けられた昇降装置222に保持される。
各基板支持ユニット221は、Y方向に沿って周回移動するベルト221eと、駆動プーリ221bと、従動プーリ221cとを備えており、各駆動プーリ221bは駆動軸231に結合される。駆動軸231はモータ233の回転軸と継ぎ手(不図示)で結合される。本発明の基板分断システム200を制御する制御部(不図示)の指令によりモータ233が駆動され、駆動軸231は所定の回転速度で時計方向および反時計方向に回転する。また、駆動軸231の回転速度は制御部の指令により可変である。駆動軸231が所定の回転速度で回転すると、各基板支持ベース221の各駆動プーリ221bが回転し、ベルト221eはY方向に沿って周回移動する。従動プーリ221cは従動軸232に対して回転自在に保持されており、ベルト221eの周回移動に応じて、回転させられる。
位置決めユニット部220で位置決めされた貼り合わせマザー基板90は、位置決めユニット部220の各基板支持ユニット221のベルト221eと、スクライブユニット部240の第1基板支持部241Aの複数の第1基板支持ユニット244Aのタイミングベルトとを、同期させて同一の周回速度で基板搬出方向へ周回移動させることにより、スクライブユニット部240の第1基板支持部241Aの所定位置に搬送される。このとき、スクライブユニット部240のクランプ装置251は、貼り合わせマザー基板90がスクライブユニット部へ移動できるように、第1基板支持部241Aの複数の第1基板支持ユニット244Aのタイミングベルトの下方の所定の位置へ下降させられる。
スクライブユニット部240は実施の形態1の基板分断システム1から基板搬出装置80とスチームユニット部160を取り除いた構成であり、その他の機械構成については実施の形態1と同様の構成となっている。
スクライブユニット部240の分断装置ガイド体242はY方向と水平状態で直交する方向に沿って架台250に上方に位置するように固定される。第1基板支持部241Aおよび第2基板支持部241Bは分断装置ガイド体242を挟んで分断装置ガイド体242の両側に位置するように2本の支柱246を介して架台250に固定される。
第1基板支持部241Aおよび第2基板支持部241Bには、複数の第1基板支持ユニット244Aおよび複数の第2基板支持ユニット244Bをそれぞれ備えている。各第1基板支持ユニット244Aおよび各第2基板支持ユニット244Bは、それぞれ、フレーム243Aおよび243Bに対して平行な方向(Y方向)に沿った直線状に構成されている。
第1基板支持部241Aは、複数の第1基板支持ユニット244Aを備えている。第1基板支持ユニット244Aは保持板245に保持され、保持板245が架台250の上面に取り付けられて、架台250の上方にそれぞれ配置されている。
第1基板支持部241Aに設けられた1つの各第1基板支持ユニット244Aは実施の形態1の図6に示す第1基板支持ユニット21Aと同様であり、各第1基板支持ユニット244Aに備えられたタイミングベルトは第1基板支持部241Aに備えられたモータが駆動軸を回転させることにより周回移動させられる。
第1基板支持ユニット244Aは所定の間隔を設けて複数台配置され、各第1基板支持ユニット244Aに備えられたタイミングベルトは、本発明の基板分断システム200を制御する制御部(図示せず)がモータの回転軸の回転速度と回転方向を指令して制御することにより、所定の周回移動速度で時計回りまたは反時計回りに周回移動する。また、その周回移動速度は可変である。
第2基板支持部241Bは、複数の第2基板支持ユニット244Bを備えている。第2基板支持ユニット244Bは第1基板支持ユニット244Aの構造と同様であり、分断装置ガイド体242に対して対称に、Y方向の取付け方向が逆になるように保持板245保持され、保持板245が架台250の上面に取り付けられて、架台250の上方にそれぞれ配置されている。
架台250の上方には、第1基板支持部241Aに支持された貼り合わせマザー基板90をクランプするクランプ装置251が設けられている。たとえば、クランプ装置251は、図32に示すように、貼り合わせマザー基板90における基板搬入側の側縁部をクランプするために、フレーム243Bとは直交する方向に沿って一定の間隔をあけて配置される。
それぞれのクランプ装置251の構成は図2の実施の形態1のクランプ装置50と同様であり、貼り合わせマザー基板90の側縁部をクランプするクランプ具51を備えており、クランプ具51は移動ベース57に取り付けられたシリンダー55のロッド56に接合された保持部材58に取付られ、シリンダー55の駆動により昇降させられる。
貼り合わせマザー基板90が位置決めユニット部220からスクライブユニット部240に移送される際、クランプ装置251のクランプ具51はシリンダー55により、第1基板支持部241Aの複数の第1基板支持ユニット244Aのタイミングベルトの下方の所定の位置へ下降させられる。
また、各クランプ装置251は実施の形態1と同様の移動機構により、所定の間隔を設けて配置された複数台の第1基板支持ユニット244Aの両側におけるそれぞれ2台の第1基板支持ユニット244Aの間をY方向に沿ってスライドさせられる。
各クランプ装置251のクランプ具の動作は、実施の形態1の図10および図11で説明した動作と同様であるため、ここではその動作の説明を省略する。
また、クランプ装置251の配置が、貼り合わせマザー基板90における基板搬入側の側縁部をクランプするために、フレーム243Bとは直交する方向に沿って一定の間隔をあけ備える場合に限らず、フレームAおよび/またはフレーム243Bにのみクランプ装置251を備える場合であっても、貼り合わせマザー基板90は損傷を受けることなく保持される。
上記のクランプ装置251は、本発明の基板分断システムに用いられる一例を示したものであり、これに限定されるものではない。すなわち、貼り合わせマザー基板90における側縁部を把持または保持する構成のものであればよい。また、例えば基板サイズが小さい場合には、基板の側縁部の1箇所をクランプすることにより基板が保持され、基板に不具合を生じさせることなく基板を分断することができる。
分断装置ガイド体242における上側ガイドレール252には、実施の形態1の図3に示す上部基板分断装置60が取り付けられており、また、下側ガイドレール253には、実施の形態1の図4に示す上部基板分断装置60と同様の構成であって、上下を反転した状態の下部基板分断装置70が取り付けられている。上部基板分断装置60および下部基板分断装置70は、それぞれ、リニアモータによって、上側ガイドレール252および下側ガイドレール253に沿ってスライドするようになっている。
例えば、上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70には、実施の形態1の図3および図4で示されるものと同様の貼り合わせマザー基板90をスクライブするカッターホイール62aがチップホルダ62bに回転自在に取り付けられており、さらに、チップホルダ62bはクランプ装置251によって保持された貼り合わせマザー基板90の表裏面に対して垂直方向を軸として回転自在にカッターヘッド62cに取り付けられている。そして、カッターヘッド62cは図示しない駆動手段により貼り合わせマザー基板90の表裏面に対して垂直方向に沿って移動自在になっており、カッターホイール62aには、図示しない付勢手段により、適宜、荷重がかけられるようになっている。
チップホルダ62bに保持されたカッターホイール62aとしては、例えば、特開平9−188534号公報に開示されているように、幅方向の中央部が鈍角のV字状になるように突出した刃先を有しており、その刃先に、所定の高さの突起が刃先稜線に所定のピッチで形成されているものが用いられる。
下側ガイドレール253に設けられた下部基板分断装置70は、上部基板分断装置60と同様の構成になっており、上部基板分断装置60とは上下を反転した状態で、そのカッターホイール62a(図4参照)が、上部基板分断装置60のカッターホイール62aと対向するように配置されている。
上部基板分断装置60のカッターホイール62aは、上述した付勢手段とカッターヘッド62cの移動手段とにより、貼り合わせマザー基板90の表面に圧接され、下部基板分断装置70のカッターホイール62aも、上述の付勢手段とカッターヘッド62cの移動手段とにより、貼り合わせマザー基板90の裏面に圧接される。そして、上部基板分断装置60と下部基板分断装置70とを同時に同一の方向へ移動させることにより、貼り合わせマザー基板90は分断されていく。
このカッターホイール62aはWO 03/011777に開示されているサーボモータを用いたカッターヘッド65に回転自在に支持されることが望ましい。
サーボモータを用いたカッターヘッド65の一例として、図12は、カッターヘッド65の側面図を示し、図13にその主要部の正面図を示す。一対の側壁65a間にサーボモータ65bが倒立状態で保持され、その側壁65aの下部には、側方から見てL字状のホルダー保持具65cが支軸65dを通じて回動自在に設けられている。そのホルダー保持具65cの前方(図13中、右方向)には、軸65eを介してカッターホイール62aを回転自在に支持するチップホルダ62bが取り付けられている。サーボモータ65bの回転軸と支軸65dとには、平傘歯車65fが互いにかみ合うように装着されている。これにより、サーボモータ65bに正逆回転により、ホルダー保持具65cは支軸65dを支点として俯仰動作を行ない、カッターホイール62aが上下動する。このカッターへッド65自体は、上部基板分断装置60と下部基板分断装置70に備えられる。
図14はサーボモータを用いたカッターヘッドの別の一例を示す正面図であり、サーボモータ65bの回転軸をホルダー保持具65cに直結したものである。
図12及び図14のカッターヘッドはサーボモータを位置制御により回転させることで、カッターホイール62aを昇降させて位置決めする。これらのカッターヘッドはカッターヘッドを水平方向へ移動させて貼り合わせマザー基板90にスクライブラインを形成するスクライブ動作中に、予めサーボモータ65b設定されたカッターホイール62aの位置がズレたときに、その設定位置へ戻すように働く回転トルクを制限して脆性材料基板に対するスクライブ圧をカッターホイール62a伝達するようになっている。すなわち、サーボモータ65bはカッターホイール62aの鉛直方向の位置を制御するとともに、カッターホイール62aに対する付勢手段となる。
上述したサーボモータを用いたカッターヘッドを用いることで、貼り合わせマザー基板90をスクライブする時に、カッターホイールが受ける抵抗力の変動によるスクライブ圧の変化に瞬時に対応してサーボモータの回転トルクが修正されるため、安定したスクライブが実施でき、品質のよいスクライブラインを形成することができる。
尚、貼り合わせマザー基板90をスクライブするダイヤモンドポイントカッターやカッターホイールなどのスクライブカッターを振動させて、スクライブカッターによる貼り合わせマザー基板90への押圧力を周期的に変化させる機構を備えるカッターヘッドも本発明の基板分断システムのマザー基板の分断に有効に適用される。
尚、上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70は上記の構成に限るものではない。すなわち、基板の表裏面を加工して基板を分断させる構成の装置であればよい。
例えば、上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70がレーザ光、ダイシングソー、カッティングソー、ダイヤモンド切断刃カッター等を用いてマザー基板を分断させる装置であってもよい。マザー基板が、鋼板等の金属基板、木板、プラスチック基板、およびセラミックス基板、ガラス基板、半導体基板等の脆性材料基板である場合には、例えばレーザ光、ダイシングソー、カッティングソー、ダイヤモンド切断刃カッター等を用いてマザー基板を分断する基板分断装置が用いられる。
さらに、一対のマザー基板を貼り合わせた貼り合わせマザー基板、異なるマザー基板を組み合わせて貼り合わせた貼り合わせマザー基板、複数のマザー基板同士を組み合わせて積層させた基板を分断する場合にも、上述のマザー基板を分断するものと同様の基板分断装置が用いられる。
また、上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70には基板の分断を補助する分断補助手段を備えていてもよい。分断補助手段としては、例えば、ローラなどを基板に押圧させたり、圧縮空気を基板に向けて噴射させたり、レーザを基板に照射するか、熱風などを基板に吹きかけて基板を温める(熱する)ものが一例として挙げられる。
さらに、上述の説明においては、上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70が同一の構成である場合を説明したが、基板の分断パターンや基板の分断条件により異なる構成の装置であってもよい。
バッファーコンベア部260はスクライブユニット部240の分断装置ガイド体242の上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70によって貼り合わせマザー基板90がスクライブされた後、クランプ装置251による貼り合わせマザー基板90のクランプ(保持)が解除されて、第2基板支持部241Bの複数の第2基板支持ユニット244Bに載置されたスクライブ加工済みの貼り合わせガラス基板90をスチームブレイクユニット部280へ搬送する装置である。
バッファーコンベア部260は例えば、スクライブユニット部240第1基板支持部241Aと同様の構造または、織り布、金属、ゴム製の平ベルトを本発明の基板分断システム200の制御部によりモータを駆動させて、Y方向に沿って周回移動させる構造となっている(図32では平ベルトとなっている)。
スクライブユニット部240の第2基板保持部241Bの複数の第2基板支持ユニット244Bの各タイミングベルトと、バッファーコンベア部260のベルト261とを同期して同一速度で基板搬出方向へ周回移動させることで、第2基板支持部241Bの複数の第2基板支持ユニット244Bのタイミングベルト上に載置されたスクライブ加工済みの貼り合わせガラス基板90は、バッファーコンベア部260のベルト261上に移送される。
バッファーコンベア部260のベルト261上に移送されたスクライブ加工済みの貼り合わせガラス基板90は、バッファーコンベア部260のベルト261とスチームブレイクユニット部280の基板搬出側に備えられたベルトコンベア285のベルトを同期して同一速度で基板搬出方向へ周回移動させることで、スチームブレイクユニット部280へ搬送される。
スチームブレイクユニット部280はY方向に沿って移動せず、固定であること以外は、実施の形態1の図8に示すスチームユニット部160と同様の構成である。
スチームブレイクユニット部280は貼り合わせマザー基板90の上側のマザー基板91に蒸気を吹き付ける複数個のスチームユニット284を取り付ける上側スチームユニット取付けバー281と、貼り合わせマザー基板90の下側のマザー基板92に蒸気を吹き付ける複数個のスチームユニット284を取り付ける下側スチームユニット取付けバー282とが、分断装置ガイド体242と平行にX方向に沿って支柱283に取り付けられている。
スクライブユニット部240のフレーム243Aおよび243B側のそれぞれの支柱283は、それぞれ架台270の上面に接合されている。また、スチームブレイクユニット部280の基板搬出側には、スチームユニット284から貼り合わせマザー基板90の表裏面に蒸気を噴射させた後、完全に分断された貼り合わせマザー基板90を支持して搬送する例えばシート状のベルトが周回移動するベルトコンベア285が備えられる。
尚、スチームブレイクユニット部280の基板搬出側に備えられたベルトコンベア285の周回移動速度は、バッファーコンベア部260のベルトの周回移動速度とほぼ同一に設定され同期して移動する。
スチームブレイクユニット部280は、実施の形態1の図8に示すスチームユニット部160と同様の構成をしており、複数個のスチームユニット284が上側スチームユニット取付けバー281に取り付けられ、複数個のスチームユニット284が上側の複数のスチームユニット284対して間隙GAを開けて下側スチームユニット取付けバー282に取り付けられる。尚間隙GAは貼り合わせマザー基板90がその間隙GAを通過するように調整される。
スチームユニット284の構造は、実施の形態1の図9に示すスチームユニット部160と同様の構造であり、スチームユニット284はそのほぼ全体がアルミ材質で構成されており、鉛直方向に複数本のヒーター161aが埋め込まれている。自動操作で開閉する開閉弁(不図示)が開くと水が水供給口161bからスチームユニット284内に流入し、ヒーター161aで熱せられて、供給された水が気化して蒸気となる。その蒸気が導通孔161cを通って噴出口161dからマザー基板の表面へ向けて吹き付けられる。
また、上側スチームユニット取付けバー281の基板搬出側には、マザー基板90の上面に蒸気が吹き付けられた後、マザー基板90の表面に残った水分を除去するためのエアーナイフ286が備えられている。
尚、下側スチームユニット取付けバー282にも上側スチームユニット取付けバー282取り付けられるものと同様のスチームユニット284とエアーナイフ286が備えられる。
第2基板支持ユニットに載せられたスクライブ済みの貼り合わせマザー基板90はバッファーコンベア部260のベルト261上に移送された後、バッファーコンベア部260のベルト261と、スチームブレイクユニット部280の基板搬出側に備えられたベルトコンベア285のベルトとを同期して同一速度で基板搬出方向へ周回移動させることで、スチームブレイクユニット部280を通過し、パネル基板90aに分断され、ベルトコンベア285に支持される状態となる。
基板搬送ユニット部300は、スチームブレイクユニット部280を通過することで貼り合わせマザー基板90が分断され、ベルトコンベア285に支持される状態となった移動中および停止中のパネル基板90aを取り上げて、パネル反転ユニット部320の反転搬送ロボット321のパネル保持部322に載置する装置である。
架台270および基板搬送ユニット部の架台330の上方には、貼り合わせマザー基板90から分断されたパネル基板を搬出する搬出ロボット310を基板の流れ方向であるY方向と直交するスチームブレイクユニット部280と分断装置ガイド体242と平行なX方向に移動可能とするための基板搬出装置用ガイド301が架設されている。基板搬出ユニット部300は、架台270および330の上面に支柱302を介してフレーム243A側およびフレーム243B側にそれぞれ設けられたガイド303に沿って、基板搬出装置用ガイド301の両端部が支持部材304を介して、リニアモータによってスライドするようになっている。この場合のリニアモータは、それぞれのガイド303にそれぞれ設けられたリニアモータの固定子内に、支持部材304にそれぞれ取り付けられたリニアモータの可動子(図示せず)がそれぞれ挿入されて構成されている。
搬出ロボット310には、貼り合わせマザー基板90から分断された各パネル基板90aを吸引吸着させる吸着部(図示せず)が設けられており、吸着部によって表示パネル90aが吸着された状態で、搬出ロボット310が、基板搬出側にスライドされることにより、パネル反転ユニット部320の反転搬送ロボット321のパネル保持部322に載置する。
基板搬送ユニット部300の搬出ロボット310の構成は実施の形態1の図5に示す搬出ロボット140と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。尚、搬出ロボット310は基板搬出装置用ガイド301に取り付けられ、リニアモータまたはサーボモータの駆動手段と直線ガイドとを組み合わせた移動機構により基板搬出装置用ガイド301に沿う方向(X方向)に移動自在となっている。
また、搬出ロボット310による貼り合わせマザー基板90から分断されたパネル基板90aの搬送において、分断されたパネル基板90aは不図示の吸引機構による吸引により搬出ロボット310の吸着パットで保持し、搬出ロボット310全体が昇降機構(不図示)により、一旦上昇した後、次工程のパネル反転ユニット部320の反転搬送ロボット321へ搬送され、再び、昇降機構(不図示)により搬送ロボット310が下降し、次工程のパネル反転ユニット部320の反転搬送ロボット321のパネル保持部322の所定の位置へ予め決まられた状態で載置される。
パネル反転ユニット部320には反転搬送ロボット321が備えられ、基板搬送ユニット部300の搬出ロボット310からパネル基板90aを受け取りパネル基板90aの表裏を反転してパネル端子分離部340の分離テーブル341上に載置する。
反転搬送ロボット321のパネル保持部322は、例えば複数の吸着パットを備えており、反転搬送ロボット321のロボット本体部323に対して回転自在に保持される。
反転搬送ロボット321によりパネル端子分離部340の分離テーブル341上に載置されたパネル基板90aは、例えば挿入ロボット(不図示)により図36に示すような分離テーブル341の各側縁部付近に設けられた不要部分除去機構342によりパネル基板90aの不要部99をパネル基板90aから分離する。
不要部分除去機構342は、図36に示すように、相対した一対のローラ342bをそれぞれ有する複数の除去ローラ部342aが、分離テーブル341の各側縁に沿って所定のピッチで配置されて構成されている。各除去ローラ部342aに設けられた相対する各ローラ342bは、相互に接近する方向に付勢されており、両ローラ342bの間に、挿入ロボット(不図示)によりパネル基板90aの上側の基板の不要部分99とパネル基板90aの下側の側縁部が挿入される。各ローラ342bは、パネル基板90aの各ローラ342b間への挿入方向の1方向にのみ回転し、相対する一対のローラ342bはそれぞれ、回転方向が逆向きの回転するように設定されている。
このような構成の実施の形態2の基板分断システムの動作について、大判のガラス板を貼り合わせた貼り合わせ基板を分断する場合の一例を主に説明する。大判のガラス基板が相互に貼り合わせられた貼り合わせマザー基板90を、複数の表示パネル90a(図16参照)に分断する際、まず、図37に示すように、前工程の搬送装置(不図示)が実施の形態2の位置決めユニット部220の複数の基板支持ベース221のベルト221e上に貼り合わせマザー基板90が載置される。
その後、昇降装置222によって、貼り合わせマザー基板90を支持した複数の基板支持ベース221が本発明の基板分断システムの基板がコンベア搬送される高さへ下降する。
図38に示すように、貼り合わせマザー基板90が、各基板支持ベース221のベルト221e上に載置された状態で、各基板支持ベース221のベルト221eが基板搬入側へ周回移動させられ、貼り合わせマザー基板90の基板搬入側の側縁を位置決めユニット部220のガイドバー225に備えられている複数の基準ローラ223と当接させる。
貼り合わせマザー基板90の基板搬入側の側縁を位置決めユニット部220のガイドバー225に備えられている複数の基準ローラ223と当接させた後、位置決めユニット部220のガイドバー227のプッシャー224が、ガイドバー226の基準ローラ223に向けて貼り合わせマザー基板90を押し込み、貼り合わせマザー基板90のガイドバー226側の側縁とガイドバー226に備えられた基準ローラ223と当接させることにより、各基板支持ベース221のベルト221e上で貼り合わせマザー基板90を位置決めする。
その後、位置決めユニット部220のガイドバー227のプッシャー224によるガイドバー226の基準ローラ223に向けての貼り合わせマザー基板90の押し込み状態が解除され、位置決めユニット部220で位置決めされた貼り合わせマザー基板90は、位置決めユニット部220の各基板支持ベース221のベルト221eと、スクライブユニット部240の第1基板支持部241Aの複数の第1基板支持ユニット244Aのタイミングベルトとを同期させて同一の周回速度で基板搬出方向へ周回移動させることにより、スクライブユニット部240の第1基板支持部241Aの貼り合わせマザー基板90をクランプ装置251で保持される位置へ移動させられた後、貼り合わせマザー基板90の搬入側の側縁部がクランプ装置251によりクランプされる。
尚、貼り合わせマザー基板90が位置決めユニット部220からスクライブユニット部240へ移送される際、クランプ装置251のクランプ具51は、第1基板支持部241Aの複数の第1基板支持ユニット244Aのタイミングベルトの下方の所定の位置で待機しており、貼り合わせマザー基板90をクランプ装置251で保持される位置へ移送された後、クランプ具51は上昇し、貼り合わせマザー基板90の側縁部を把持する。
図39に示すように、貼り合わせマザー基板90の基板搬入側の側縁部がそれぞれクランプ装置251によってクランプされると、貼り合わせマザー基板90の側縁部をクランプしている各クランプ具が貼り合わせマザー基板の自重によりほぼ同時に沈み込むため、貼り合わせマザー基板90が全ての第1基板支持ユニット244Aのタイミングベルトによって補助的に支持された状態とされる。
分断装置ガイド体242が、クランプ装置251によって水平状態にクランプされた貼り合わせマザー基板90における基板搬出側の側縁部上の所定位置になるように、貼り合わせマザー基板90を保持した各クランプ装置251が基板搬出側に移動される。このとき、各クランプ装置251が基板搬出側へ移動を開始するのと同時に各第1基板支持ユニット244Aおよび各第2基板支持ユニット244Bの各タイミングベルトが、基板搬出方向へ各クランプ装置251の移動速度と同一の周回移動速度で回転させられる。また、各クランプ装置251が基板搬出側へ移動を完了したとき、各第1基板支持ユニット244Aおよび各第2基板支持ユニット244Bの各タイミングベルトの周回移動が停止される。
分断装置ガイド体242に設けられた第1光学装置および第2光学装置がそれぞれの待機位置から分断装置ガイド体242に沿って移動することにより、それぞれの光学装置は貼り合わせマザー基板90に設けられた第1アライメントマークと第2アライメントマークを撮像する。
貼り合わせマザー基板90を保持する各クランプ装置251がスライドするとき、第1基板支持部241Aの第1基板支持ユニット244Aのタイミングベルトと第2基板支持部241Bの第2基板支持ユニット244Bのタイミングベルトが、各クランプ装置251の移動速度と同一の周回移動速度で各クランプ装置251の移動方向と同一方向に回転するので、クランプ装置251に保持された貼り合わせマザー基板90は第1基板支持部241Aの第1基板支持ユニット244Aのタイミングベルトと、第2基板支持部241Bの第2基板支持ユニット244Bのタイミングベルトとに摺接することなく支持される状態になる。
次に、第1アライメントマークと第2アライメントマークの撮像結果に基づいて、図示しない演算処理装置によりクランプ装置251によって水平状態で支持された貼り合わせマザー基板90の分断装置ガイド体242に沿った方向に対する傾き、分断開始位置と分断終了位置を演算によって求め、その演算結果に基づいて、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70とともに、各クランプ装置251を移動させて貼り合わせマザー基板90を分断する(これを直線補間によるスクライブあるいは分断と呼ぶ)。
この場合、貼り合わせマザー基板90の表面および裏面にそれぞれ対向したカッターホイール62aを、各表面および裏面にそれぞれ圧接して転動させることにより、貼り合わせマザー基板90の表面および裏面にスクライブライン95が形成される。
図40は上部基板分断装置60のカッターホイール62aおよび下部基板分断装置70のカッターホイール62aをそれぞれ圧接させて転動させて貼り合わせマザー基板90から4枚のパネル基板を分断させるために、4枚のパネル基板90aの側縁部にスクライブライン95の形成を完了した時点における、各第2基板支持部241Bが貼り合わせマザー基板を支持している状態を示す図である。
貼り合わせマザー基板90は、例えば、図40に示すように、上側ガイドレール252および下側ガイドレール253に沿った列方向に2つの表示パネル90aを、2列にわたって分断するようになっており、貼り合わせマザー基板90から4個の表示パネル90aを分断するために、表示パネル90aの側縁に沿って、上部基板分断装置60のカッターホイール62aおよび下部基板分断装置70のカッターホイール62aをそれぞれ圧接させて転動させる。
この場合、上部基板分断装置60のカッターホイール62aと、下部基板分断装置70のカッターホイール62aにより、各マザー基板における各カッターホイール62aの転接部分にそれぞれ垂直クラックが生成されてスクライブライン95が形成される。しかも、各カッターホイール62aの刃先には、周方向に所定のピッチで突起部がそれぞれ形成されているために、各ガラス基板には、厚さ方向にガラス基板の厚さの約90%の長さの垂直クラックが形成される。
また、貼り合わせマザー基板90をスクライブするダイヤモンドポイントカッターやカッターホイールなどのスクライブカッターを振動させて、スクライブカッターによる貼り合わせマザー基板90への押圧力を周期的に変化させる機構を備えるカッターヘッドを用いてスクライブ方法も本発明の基板分断システムの貼り合わせマザー基板の分断に有効に適用される。
貼り合わせマザー基板90の表裏面のスクライブ加工が完了し、図40に示す状態になると、クランプ装置251による貼り合わせマザー基板90のクランプ(保持)が解除され、貼り合わせマザー基板90が第2基板支持部241Bに載置される。
尚、上部基板分断装置60のカッターホイール62aおよび下部基板分断装置70のカッターホイール62aをそれぞれ圧接させて転動させて貼り合わせマザー基板90から4枚のパネル基板を分断させるために、4枚のパネル基板90aの側縁部にスクライブラインを形成するスクライブ方法としては、図40で示すものとは別に実施の形態1の図17乃至図19に示すスクライブ方法も本実施の形態2の基板分断システムに有効に適用することができる。
スクライブユニット部240の分断装置ガイド体242の上部基板分断装置60及び下部基板分断装置70によって貼り合わせマザー基板90がスクライブされた後、クランプ装置251による貼り合わせマザー基板90のクランプ(保持)が解除されて、スクライブ加工済みの貼り合わせマザー基板90は第2基板保持部241Bの複数の第2基板支持ユニット244Bにのみ支持された状態となる。
スクライブユニット部240の第2基板保持部241Bの複数の第2基板支持ユニット244Bの各タイミングベルトと、バッファーコンベア部260のベルト261とを同期して同一速度で基板搬出方向へ周回移動させることで、第2基板保持部241Bの複数の第2基板支持ユニット244Bのタイミングベルト上に支持されたスクライブ加工済みの貼り合わせガラス基板90はバッファーコンベア部260のベルト261上に移送される。
バッファーコンベア部260のベルト上に移送されたスクライブ加工済みの貼り合わせガラス基板90は、バッファーコンベア部260のベルト261と、スチームブレイクユニット部280の基板搬出側に備えられたベルトコンベア285のベルトとを同期して同一速度で基板搬出方向へ周回移動させることで、スチームブレイクユニット部280へ搬送される。
スチームブレイクユニット部280には貼り合わせマザー基板90の上側のマザー基板91に蒸気を吹き付ける複数個のスチームユニット284を取り付ける上側スチームユニット取付けバー281と、貼り合わせマザー基板90の下側のマザー基板92に蒸気を吹き付ける複数個のスチームユニット284を取り付ける下側スチームユニット取付けバー282とが、分断装置ガイド体242と平行なX方向に沿って支柱283に取り付けられている。
スチームブレイクユニット部280の基板搬出側に備えられたベルトコンベア285の周回移動速度は、バッファーコンベア部260のベルト261eの周回移動速度とほぼ同一に設定され同期して周回移動させられ、スクライブ済みの貼り合わせマザー基板90はスチームブレイクユニット部280を通過する。
また、上側スチームユニット取付けバー281の基板搬出側には、エアーナイフ286が備えられており、下側スチームユニット取付けバー282にも上側スチームユニット取付けバー282取り付けられるものと同様のスチームユニット284とエアーナイフ286が備えられ、貼り合わせマザー基板90の表裏面に蒸気が吹き付けられた後、貼り合わせマザー基板90の表裏面に残った水分が完全に除去される。
第2基板支持ユニットに載せられたスクライブ済みの貼り合わせマザー基板90はバッファーコンベア部260のベルト上に移送された後、バッファーコンベア部260のベルトとスチームブレイクユニット部280の基板搬出側に備えられたベルトコンベア285のベルトを同期して同一速度で基板搬出方向へ周回移動させることで、スチームブレイクユニット部280を通過し、パネル基板90aに分断され、ベルトコンベア285に支持される状態となる。
スチームブレイクユニット部280を通過することで貼り合わせマザー基板90は複数のパネル基板90に分断され、ベルトコンベア285に支持される状態となった移動中および停止中のパネル基板90aは搬出ロボット310により取り上げられて、パネル反転ユニット部320の反転搬送ロボット321のパネル保持部322に載置される。
パネル反転ユニット部320の反転搬送ロボット321は、基板搬送ユニット部の搬送ロボット310からパネル基板90aを受け取り、パネル基板90aの表裏を反転してパネル端子分離部340の分離テーブル341上に載置する。
反転搬送ロボット321によりパネル端子分離部340の分離テーブル341上に載置されたパネル基板90aは、例えば挿入ロボット(不図示)により図40に示すような分離テーブル341の各側縁部付近に設けられた不要部分除去機構342によりパネル基板90aの不要部99をパネル基板90aから分離される。
尚、分断装置ガイド体242の上部基板分断装置60および下部基板分断装置70によるスクライブ方法に実施の形態1の図22乃至図31で示すスクライブ方法を用いることにより、スチームブレイクユニット部280による貼り合わせマザー基板90の分断工程を省略することができる。
また、基板を分断する方法としては、上述のようにマザー基板が脆性材料基板の一種であるガラス基板を貼り合わせた貼り合わせマザー基板に二重のスクライブライン形成する方法を一例として説明したが、これに限らない。マザー基板が、鋼板等の金属基板、木板、プラスチック基板、およびセラミクス基板、ガラス基板、半導体基板等の脆性材料基板である場合には、例えばレーザ光、ダイシングソー、カッティングソー、ダイヤモンド切断刃カッター等を用いたマザー基板の分断方法が用いられる。
さらに、基板にはマザー基板の他に、マザー基板同士を組み合わせて貼り合わせた貼り合わせ基板、異なるマザー基板を組み合わせて貼り合わせた貼り合わせ基板、マザー基板を組み合わせて積層させた基板が含まれる。
(実施の形態3)
図41に示す基板製造装置801は、分断された基板の端面部を面取りする基板面取りシステム600を本発明の基板分断システム1、200のいずれか1台の基板分断システムに接続させたものである。さらに、図42に示す基板製造装置802および803は、分断された基板のサイズ及びその表裏面と端面部の状況等を検査したり、その基板の機能を検査する検査システム700を上述の基板製造装置801に組み込んだものである。
尚、上述の実施の形態1乃至2の基板分断システムの動作の説明においては、ガラス基板を貼り合わせた貼り合わせマザー基板を分断する場合を一例として述べてきたが、これに限定されるものではない。例えば、分断される基板の種類や基板分断システムを構成する各装置の機能性を高めるためなどにより、上述の説明とは異なった動作を実施させる場合もある。
これまでの実施の形態1乃至2の説明においては、主に、ガラス基板が相互に貼り合わされた貼り合わせマザー基板を複数枚の表示パネルに分断する基板分断システムについて説明してきたが、本発明に適用できる基板はこれに限るものではない。本発明の基板分断システムに適用される基板には、マザー基板が鋼板等の金属基板、木板、プラスチック基板、セラミックス基板や半導体基板並びにガラス基板等を包含する脆性材料基板等が含まれ、さらに、マザー基板を組み合わせて貼り合わせた貼り合わせ基板、異なるマザー基板を組み合わせて貼り合わせた基板、マザー基板同士を組み合わせて積層させた基板が含まれる。
また、脆性材料基板同士を貼り合わせた貼り合わせ脆性材料基板として、FPD(フラットパネルディスプレイ)に用いられるPDP(プラズマデイスプレイ)、液晶表示パネル、反射型プロジェクターパネル、透過型プロジェクターパネル、有機EL素子パネル、FED(フィールドエミッションディスプレイ)等のマザー基板の分断においても、本発明の基板分断システムが適用できる。
(実施の形態4)
本実施形態の基板分断システムでは、実施の形態2における第1基板支持部241Aおよび第2基板支持部241Bの構成のみが異なっており、その他の構成は、実施の形態2の基板分断システムと同様になっている。図44に示すように、本実施形態の第1基板支持部241Aは、隣接する第1基板支持ユニット244Aの間に、第1基板浮上ユニット29Aがそれぞれ設けられている。第1基板支持ユニット244Aの構成は、実施の形態2と同様になっている。なお、第1基板支持部241Aと第2基板支持部241Bとで、基板支持装置を構成する。
第1基板支持部241Aの両側にそれぞれ配置された第1基板浮上ユニット29Aを除く他の第1基板浮上ユニット29Aは、同様の構成になっており、図45は、その第1基板浮上ユニット29Aの平面図、図46はその側面図、図47はその縦断面図である。この第1基板浮上ユニット29Aは、相互に隣接する第1基板支持ユニット244Aの間に配置された水平なテーブル291と、このテーブル291に、Y方向に沿って2列に配置された緩衝ヘッド292とを備えている。テーブル291の幅方向寸法は、相互に隣接する第1基板支持ユニット244Aの間隔にほぼ等しくなっている。なお、第1基板支持部241Aの両側にそれぞれ配置された各第1基板浮上ユニット29Aは、両側にそれぞれ配置された第1基板支持ユニット244Aとの間に、クランプ装置251がそれぞれ通過し得る間隙が形成されるように、テーブル291の幅方向寸法が短くなっている。
各緩衝ヘッド292は、図47に示すように、テーブル291に垂直状態で上下方向への移動可能に取り付けられたエアー噴出ロッド293と、エアー噴出ロッド293の上端面に水平状態で取り付けられた円板形状の緩衝パッド294とをそれぞれ備えている。
エアー噴出ロッド293は、コイルスプリング296によって弾性的に傾斜自在および昇降自在に支持されている。エアー噴出ロッド293の軸心部は、中空のエアー通流路になっており、このエアー通流路に圧縮エアーが供給される。緩衝パッド294の中心部には、エアー通流路に供給される圧縮エアーが噴出されるエアー噴出口295がそれぞれ形成されており、エアー噴出口295から噴出される圧縮エアーによって、その上方に供給された貼り合わせマザー基板90が上方に持ち上げられるようになっている。
なお、テーブル291に設けられた各緩衝ヘッド292のエアー噴出ロッド293は、図48に示すように、テーブル291に対して傾斜可能になっている。このような構成によって、圧縮エアーの噴き出しによるベルヌーイ効果により、緩衝ヘッド292の緩衝パッド294がマザー貼り合わせ基板90の撓みやうねりに完全に追従し、マザー貼り合わせ基板90と緩衝パッド294の間の間隔が一定に保持されるように緩衝パッド294は移動する。噴出口295から噴出される圧縮エアーは、緩衝パッド294の放射方向に沿った層状の流れとなり、マザー貼り合わせ基板90と緩衝パッド294との隙間を一定に維持することができる。このため、マザー貼り合わせ基板90の裏面へダメージを与えることを防止でき、マザー貼り合わせ基板90を安定して浮上状態に維持することが出来る。
なお、第1基板支持部241Aの両側にそれぞれ配置された各第1基板浮上ユニット29Aは、両側にそれぞれ配置された第1基板支持ユニット244Aとの間に、クランプ装置251がそれぞれ通過し得る間隙が形成されるように、テーブル291の幅方向寸法が短くなっており、テーブル291にY軸方向に沿って1列の緩衝ヘッド292が設けられていること以外は、他の前記第1基板浮上ユニット29Aと同様の構成になっている。
本実施形態では、図44に示すように、第2基板支持部241Bは、隣接する第2基板支持ユニット244Bの間に、第1基板浮上ユニット29Aと同様の第2基板浮上ユニット29Bがそれぞれ設けられている。
このような構成の基板分断システムでは、実施形態2と同様に、位置決めユニット部220(図32参照)で位置決めされた貼り合わせマザー基板90が位置決めユニット部220および第1基板支持ユニット244Aのタイミングベルトを同期させて周回移動させることにより第1基板支持部241Aの所定位置に搬送される。
このようにして、貼り合わせマザー基板90が分断装置ガイド体242に対して所定の位置にまで搬送されると、貼り合わせマザー基板90は、クランプ装置251の各クランプ具51によって、基板搬入側に位置する貼り合わせマザー基板90の側縁部がクランプされる。
次いで、第1基板浮上ユニット29Aおよび第2基板浮上ユニット29Bに設けられた各エアー噴出ロッド293に、圧縮エアーが供給されて、各緩衝パッド294の中心部にそれぞれ設けられたエアー噴出口295から圧縮エアーが噴出される。これと同時に、各クランプ具51が所定の高さにまで上昇される。これにより、各クランプ具51にてクランプされた貼り合わせマザーガラス基板90は、各エアー噴出口295から噴出される圧縮エアーによって浮上されることによって、クランプ具51によって所定の高さに保持される。
なお、クランプ具51を所定の高さまで上昇させることに代えて、クランプ具51を昇降自在に保持する構成としてもよいし、昇降自在に保持したクランプ具51をエアシリンダなどを用いてクランプ具51の重量に相当する力で上方に付勢する構成としてもよい。クランプ具51をこの様な構成にすることにより、第1基板浮上ユニット29Aおよび第2基板浮上ユニット29Bによって浮上された基板に対してクランプ具51を追従して昇降させることができる。
このような状態になると、分断装置ガイド体242に設けられた第1光学装置および第2光学装置によって、貼り合わせマザー基板90に設けられた第1アライメントマークと第2アライメントマークを撮像し、クランプ装置251によって水平状態で支持された貼り合わせマザー基板90の分断装置ガイド体242に対する傾き、分断開始位置と分断終了位置を演算によって求める。そして、その演算結果に基づいて、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70とともに、貼り合わせマザー基板90を保持したクランプ装置251を移動させて貼り合わせマザー基板90をスクライブする。
この場合のスクライブ動作は、実施形態2と同様であり、まず、クランプ装置251によってクランプされた貼り合わせマザー基板90は、第1基板浮上ユニット29Aおよび第2基板浮上ユニット29Bによってタイミングベルトから浮上された状態で、クランプ装置251によってY方向に沿ってスライドされつつ、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70によってY方向に沿ってスクライブされる。Y方向に沿って複数のスクライブラインを形成する必要がある場合には、1本のスクライブラインを形成した後に、クランプ装置251によって貼り合わせマザー基板90を基板搬入側に向かってスライドさせた後に、基板搬出側に向かってY方向に沿ってスライドさせることによって、次のスクライブラインを形成する。
Y方向に沿ったスクライブラインの形成が全て終了すると、貼り合わせマザー基板90は、X方向に沿ってスクライブされる。X方向に沿って複数本のスクライブラインを形成する場合には、貼り合わせマザー基板90は、クランプ装置251によってクランプされた側縁部と反対側の側縁部側から、順番にX方向に沿ってスクライブラインが形成される。この場合も、貼り合わせマザー基板90は、第1基板浮上ユニット29Aおよび第2基板浮上ユニット29Bによってタイミングベルトから浮上された状態で、クランプ具51によってY方向に沿ってスライドされて、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70に対して所定の位置とされて、クランプ具51による搬送が停止された状態で、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70によってX方向にスクライブされる。
なお、このX方向のスクライブに際して、貼り合わせマザー基板90は、タイミングベルトから浮上された状態になっているために、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70による圧力によって貼り合わせマザー基板90が移動しないように、図44に示すように、基板支持装置20における一方の側縁部に、第1基板浮上ユニット29Aおよび第2基板浮上ユニット29B間にわたってストッパー297が設けられている。
貼り合わせマザー基板90は、X方向に沿った1本のスクライブラインが形成される度に、クランプ装置251によって、Y方向にスライドされて、次のX方向に沿ったスクライブラインの形成が実施される。
このように、第1基板浮上ユニット29Aおよび第2基板浮上ユニット29Bによって、貼り合わせマザー基板90を、第1基板支持ユニット244Aのタイミングベルトと、第2基板支持ユニット244Bのタイミングベルトとに対して接触しないように浮上させた状態で、上部基板分断装置60および下部基板分断装置70によって、貼り合わせマザー基板90をスクライブするようになっているために、スクライブ時に貼り合わせマザー基板90がタイミングベルトに摺接して分断するおそれがなく、安定してスクライブ動作を実施することができる。
全てのスクライブ作業が終了すると、貼り合わせマザー基板90は、第2基板支持ユニット244Bのタイミングベルト上に位置するように、クランプ装置251によってY方向にスライドされる。その後、第1基板浮上ユニット29Aおよび第2基板浮上ユニット29Bからの圧縮エアーの噴出が停止されるとともに、クランプ具51が下降される。これにより、スクライブが終了した貼り合わせマザー基板90は、第2基板支持ユニット244Bのタイミングベルト上に載置された状態になる。
このような状態になると、クランプ装置251による貼り合わせマザー基板90のクランプが解放されて、第2基板支持ユニット244Bのタイミングベルトが駆動される。これにより、第2基板支持ユニット244Bのタイミングベルト上に載置された貼り合わせマザー基板90は搬出側に搬送される。
このように、貼り合わせマザー基板90をスクライブする際に、各タイミングベルトの方向またはレベルが揃っていないことによって貼り合わせマザー基板90に応力が加わるおそれがなく、また、クランプ装置251による貼り合わせマザー基板90のスライドと各タイミングベルトの周回移動とを同期させる必要がなく、しかも、各タイミングベルトに接することによって応力が発生するおそれもない。しかも、クランプ装置251による貼り合わせマザー基板90のスライド速度と、各タイミングベルトの周回速度とを同期させる必要がなく、クランプ装置50および各タイミングベルトの制御が容易になる。さらには、クランプ装置251によって貼り合わせマザー基板90をスライドさせる場合には、貼り合わせマザー基板90は空中に浮上した状態になっていることから、クランプ装置251の駆動力を低減させることができる。
なお、第1基板浮上ユニット29Aおよび第2基板浮上ユニット29Bは、前記構成に限定されるものではなく、例えば、テーブル291の上面にエアー噴出口を形成する構成、あるいは、テーブル291の上面を多孔質材料によって形成する構成としてもよい。また、エアー噴出口は、溝状に形成されていてもよい。
また、スクライブ位置に対する基板の搬入および搬出も、タイミングベルトに限らず、他の搬送手段を使用してもよい。
なお、実施の形態1、2、および4では、第1基板支持部、第2基板支持部および基板分断装置ガイド体が架台に固定され、クランプ装置はY方向に移動自在に構成されている構成としたが、これに代えてクランプ装置が架台に固定され、第1基板支持部、第2基板支持部および基板分断装置ガイド体はY方向に移動自在に構成される構成としてもよい。いずれにせよ、クランプ装置で把持されている張り合わせマザー基板90に対して、第1基板支持部、第2基板支持部および基板分断装置ガイド体が相対的に移動するように構成すればよい。