JP4276203B2 - 内燃機関の燃料インジェクターを制御するためのサーボバルブ - Google Patents

Description

本発明は、内燃機関の燃料インジェクターを制御するためのサーボバルブに関する。

知られているように、インジェクターは、燃料をエンジン中に噴射するためのノズルを規定し、このノズルを閉成するピンを駆動させるように、夫々の軸に沿って移動可能な制御ロッドを収容するインジェクター本体を有している。また、このインジェクター本体は、軸方向の一側を制御ロッドによって、他側を較正される軸方向の出口孔を有する端壁によって区切られた制御チャンバを備えた電磁石の制御サーボバルブを収容している。この制御チャンバの外側の出口孔は、円錐状の座部の内側に軸方向で通じている。また、この制御サーボバルブは、円錐状の座部に係合されているシャッターを有している。このシャッターは、出口孔を開閉し、従って、制御チャンバ中の圧力を変えるように、座部から座部へと軸方向に移動させるために電磁石によって駆動される。

より明確には、このシャッターは、出口孔への燃料圧力によって与えられる軸方向のスラスト力を一側に受け、そして、電磁石に電圧が印加されていないときに出口孔の閉成を維持するために、他側にアクチェータの作用と予め付勢されたばねの軸方向のスラスト力とを受ける。

上述されたような知られた解決策は、出口孔を（１８００バールほどの）高圧で閉成し続けるために、例えば７０ニュートンの強い付勢力を与えるようになっていなければならないばねを位置付けるシャッターの大きさを考慮すると、満足できるものではなく、この結果、強いアクチェータも必要とされる。

上記の欠点を最小にするために、シャッターへの圧力を減じるようにシャッターシールエリアを最小にすることが試みられる。小さなシールエリアのために、しかし、噴射ノズルを駆動させるための制御ボリュームの吐出には、上昇が所望とされていない大きなフローセクションをカバーしないように、シャッターを比較的高く（約５０ミクロン）上昇させる必要がある。

本発明の目的は、上記の問題を単純かつ低コストで解決するようにデザインされ、好ましくは、形成並びに組立てが容易で、かつコンパクトであり、さらに少ない構成部材を有する内燃機関の燃料インジェクターを制御するためのサーボバルブを提供することである。

本発明に係われば、内燃機関の燃料インジェクターを制御するためのサーボバルブであって、インジェクターのケーシング内に収容され、
駆動手段と、
燃料の入口並びに燃料の出口通路に連通している制御チャンバと、
前記インジェクターのエンドノズルを開閉するために、前記駆動手段によって完全な閉成位置並びに完全な開成位置間を長軸に沿って移動可能なシャッターとを有し、この閉成位置で、前記シャッターは、前記出口通路を閉成し、前記開成位置で、前記シャッターは、前記出口通路の開成を維持するインジェクターのケーシング内に収容されているサーボバルブが与えられる。このサーボバルブは、
前記ケーシングに対する固定位置に、軸方向のロッドをさらに有し、前記出口通路は、このロッドの外側面と通じ、前記シャッターは、ほぼ液密状態で軸方向に摺動するように前記外側面に適合され、そして、前記完全な閉成位置で、燃料の圧力によって生じる軸方向の力を受けないように前記出口通路を閉成することを特徴としている。

以上の解決策は、シャッターの上昇力を約５０％、また閉成力を約３０％減じる。このシャッターのバランスを保つことは、シャッターの“弾み”の減少を助ける。

本発明の非限定的な実施形態は、添付図面を参照して実施例によって説明されるであろう。

図１で符号１は、内燃機関、特にディーゼルエンジン（図示されず）の燃料インジェクター（部分的に図示されている）を全体的に示している。このインジェクター１は、長軸３に沿って延びた外側構造部、即ちケーシング２を有している。このケーシング２は、燃料供給システム（図示されず）のポンプ形成部に接続するための側方の入口５を有している。また、ケーシング２は、この入口５と連通し、かつエンジンの相対的なシリンダ中へと燃料を噴射するためのノズル（図示されず）で終端している。

前記ケーシング２は、軸方向の座部６を規定しており、また、燃料を噴射するノズルを開閉するためのシャッターピン（図示されず）を制御するように、座部６内を軸方向へと液密状態で摺動するロッド７を収容している。

前記ケーシング２は、前記ロッド７と同軸であり、かつ電磁石１０を有する駆動装置９と、この電磁石１０の制御下でケーシング２中を軸方向に摺動するセグメントのアーマチュア（電機子）１１と、前記電磁石１０によって囲まれ、かつこの電磁石１０による引張力の方向とは反対の方向へと前記アーマチュア１１にスラスト力を与える予め付勢されたばね１２とを有する制御サーボバルブ８を収容している。

前記サーボバルブ８は、前記駆動装置９とロッド７との間の軸方向の中間位置に形成されている制御チャンバ１３を有している。この制御チャンバ１３は、加圧される燃料を受けるように、通路１８に沿って入口５と永久に連通している。また、この制御チャンバ１３は、軸方向の一側をロッド７によって、他側をケーシング２内の固定位置に収容されたエンドディスク２０によって区切られている。

前記チャンバ１３は、軸３に対して対称的な出口通路２２を有している。この出口通路２２は、軸３に沿ってディスク２０内に形成された較正セクションの孔２３と、ディスク２０並びに駆動装置９間の軸方向の中間位置に配置された分配本体２５内に形成された端部２４とを有している。

前記本体２５は、ケーシング２の内面２８にねじ留めされたリングナット２７によって、ディスク２０に対して液密状態になるように固定位置に軸方向で挟持された基部２６を有している。このリングナットは、軸方向で基部２６の外側環状部分上に置かれている。また、本体２５は、基部２６から軸３に沿ってチャンバ１３とは反対方向へと突出しているロッド、即ちピン２９を有している。このピン２９は、基部２６と一体的に形成され、円筒形の側面３０によって外部から区切られている。また、このピン２９は、径方向で反対方向に延びた２つの径方向内孔３１を有している。これら孔３１は、部分(端部)２４の一部を形成しており、かつ基部２６の軸３に沿って形成された中間孔３２によって前記孔２３と液密状態で連通している。また、これら孔３１は、側面３０に沿って形成された環状のチャンバ３４内に、基部２６近くの軸位置でピン２９の外で通じている。

前記チャンバ３４により形成された出口通路２２は、スリーブ３５によって形成されたシャッターにより開閉される。このスリーブは、ロッド７の軸方向への移動によって制御チャンバ１３内の圧力を変え、従って、噴射ノズルを開閉するように、駆動装置９により駆動される。

前記スリーブ３５は、前記アーマチュア１１と一体的に形成され、また、円筒形の内面３６を有している。この内面３６は、例えば、４ミクロン未満の、十分に狭く較正された径方向の隙間により、又は、青銅で充填されたＰＴＦＥ（ポリテトラフルオロエチレン）、即ち商標名“Ｔｕｒｃｉｔｅ”又は“Ｔｕｒｃｏｎ”で知られた材料で形成されたリングのようなシール部材の介在により、ほぼ液密状態で前記円筒形の側面３０と組合わされている。

前記スリーブ３５は、完全な前方位置と完全な後退位置との間を側面３０に沿って軸方向に摺動する。この前方位置で、スリーブ３５は、通路２２を閉成し、スリーブ３５の端部３７が、側面３０を基部２６に接続させている円錐状のショルダー部３８に当接している。また、前記後退位置で、スリーブ３５は、通路２２の開成を維持させている。より明瞭には、完全な前方位置で、燃料は、内面３６に対して径方向に作用するチャンバ３４内の圧力によって、スリーブ３５へ軸方向のスラスト力を与えない。また、完全な後退位置で、燃料は、通路２２から、リングナット２７とスリーブ３５とによって規定された環状の通路３９と、アーマチュア１１と、ばね１２を収容しているキャビティ４０とを通って吐出、又は再循環用のチャネル（図示されず）に流れる。

前記スリーブ３５の完全な前方位置は、スリーブが当接する前記ショルダー部３８によって規定されている。また、後退位置は、ロッド２９の端部４２に対して固定位置に装着されたリング４１によって規定されている。より明瞭には、この端部４２は、キャビティ４０中へとスリーブ３５に対して軸方向に突出している。

図２は、サーボバルブ８の変形例を示している。このサーボバルブの構成部材は、図１と同じ参照符号をできるだけ使用して示されている。

図２の変形例は、圧電アクチェータ１０ａ（部分的に示されている）に交換された電磁石１０に関して、上述された実施形態とは異なる。この圧電アクチェータ１０ａは、電圧が印加れたときに、出口通路２２を開成するようにスリーブ３５を軸方向に駆動させるために大きくなる。

より明瞭には、チャンバ３４とショルダー部３８とは、端部４２近くに形成されており、ばね１２は、ばね１２ａに交換されている。このばね１２ａは、液密状態でチャンバ３４を閉成する完全な後退位置へと、アクチェータ１０ａの軸方向へのスラスト力とは反対方向にスリーブ３５を軸方向に押圧すように、スリーブ３５と基部２６との間に軸方向で挟持されている。

図２の変形例では、前記スリーブ３５は、このスリーブ３５と一体的に形成された付属物１１ａの介在により、アクチェータ１０ａに軸方向で当接している。そして、ロッド２９と基部２６とは、液密状態になるように固定位置で互いに適合された別々の部品によって形成されている。この結果、スリーブ３５とばね１２ａとは、組立ての際に、ロッド２９近くに装着されることができる。

図示されていないさらなる実施形態において、チャンバ３４とショルダー部３８とは、（図１のように）基部２６近くに設けられている。そして、伝達システムが、アクチェータ１０ａが軸方向で大きくなった時に、スリーブ３５を端部４２に向けて後退させて、出口通路２２を開成させるために、圧電アクチェータ１０ａとスリーブ３５との間に設けられている。この伝達システムは、組立ての際に、ロッド２９を備えた本体２５が、最初に軸方向に挿入され、次に、スリーブ３５によってアーマチュア１１とできるだけ一緒に所定の位置に適合されるようになっている。

以上の説明から明らかであるように、通路２２と、軸３に沿ったスリーブ３５とロッド２９との摺動適合との特徴が、閉成位置でのスリーブ３５に軸方向でバランスの取れた圧力を与える。説明されているように、このバランスは、シャッターが出口孔２３を前方で閉成する既知の解決策と比較して、ばね１２、１２ａの予めの付勢力を約３０％減らし、電気アクチェータ（１０，１０ａ）の必要とする力を減らし、従って、ばね１２と電気アクチェータとを小さくすることができる。

さらに、スリーブ３５のわずかな上昇、即ち軸方向への移動だけでも、十分な流れの断面積（フローセクション）を形成し、かくして、インジェクター１の動力機能(dynamic performance)を改善する。

軸方向のロッド２９が、スリーブ３５のための内方の軸方向案内部材を固定並びに規定しているので、前記孔２３，３２は、軸３に沿って形成されることができる。かくして、サーボバルブ８の製造並びに組立てが、非常に簡単となる。実際に、孔２３，３２が、軸３から離れたところに位置されるならば、孔２３，３２のアライメントを維持すように基部２６とディスク２０とを角度付けて位置させるために、比較的複雑な調節システムが設けられる必要がある。

前記本体を一体的に形成し、また、アーマチュア１１とスリーブ３５とを一体的に形成しているこのような調節システムが存在しないので、比較的少ない部品と、従って、比較的容易な組立てと、非常に正確な装着とが可能である。

前記基部２６の特徴を考慮すれば、ロッド２９は、リングナット２７によってケーシング２に容易に装着されることができる。このことは、既知の解決策でどのようにでも普通になされ得る。

スリーブ３５の制限ストッパー、即ちリング４１とショルダー部３８とが、ロッド２９に支持されるということは、スリーブ３５とアーマチュア１１との全体的な移動を、電磁石１０の所定の位置から引き離すことである。さらに、本体２５の変位又は弾性変形は、リング４１の変位を生じさせ、従って、スリーブの制限位置間でのスリーブ３５の全体的な移動にはほぼ影響を与えない。

圧電アクチェータ１０ａの使用は、電磁石１０の電気巻き線を除くことができるので、インジェクター１の製造を非常に簡単にしている。

明らかに、この明細書に説明並びに図示されたような制御サーボバルブ８を、本発明の範囲から逸脱することなく変更することは可能である。

特に、チャンバ３４は、完全な閉成位置でスリーブ３５によって形成されたシャッターに結果として生じる圧力を与えるのであれば、内面３６に形成されることができる。

較正される孔２３は、ロッド２９に形成されることができ、特に、チャンバ３４と孔３２との間の径方向部分によって規定されることができる。

環状の溝部を端部４２に係合させるのに対して、リング４１は、ロッド２９と区別され、また、固定位置でロッド２９に、例えば、ねじ留め、締め装着、若しくは接着されるような接続によりさらなる部材に軸方向で当接させることができる。

本発明に従った内燃機関の燃料インジェクターを制御するためのサーボバルブの好ましい実施形態の断面を、明瞭のために部分が外された状態で示している。 図１に類似し、図１の制御サーボバルブの変形例を示している。

符号の説明

１・・・燃料インジェクター、２・・・ケーシング、３・・・長軸（３）、５・・・入口、８・・・サーボバルブ、９・・・駆動手段、１３・・・制御チャンバ、２２・・・出口通路、２９・・・ロッド、３０・・・外側面、３５・・・シャッター

Claims (15)

1. 内燃機関の燃料インジェクター（１）を制御するためのサーボバルブ（８）であって、
   駆動手段（９）と、
   燃料の入口（５）並びに燃料の出口通路（２２）に連通している制御チャンバ（１３）と、
   前記インジェクター（１）のエンドノズルを開閉するために、前記駆動手段（９）によって完全な閉成位置並びに完全な開成位置間を長軸（３）に沿って移動可能なシャッター（３５）とを具備し、この閉成位置で、前記シャッターは、前記出口通路（２２）を閉成し、前記開成位置で、前記シャッターは、前記出口通路（２２）の開成を維持するインジェクターのケーシング（２）内に収容されているサーボバルブにおいて、
   前記ケーシング（２）に対する固定位置に、軸方向のロッド（２９）をさらに具備し、前記出口通路（２２）は、このロッド（２９）の外側面（３０）と通じ、前記シャッター（３５）は、ほぼ液密状態で軸方向に摺動するように前記外側面（３０）に適合され、そして、前記完全な閉成位置で、燃料の圧力によって生じる軸方向の力を受けないように前記出口通路（２２）を閉成し、また、
   前記完全な閉成位置と完全な開成位置とを夫々規定している第１の制限ストッパー手段（３８）と第２の制限ストッパー手段（４１）とをさらに具備し、この第１の制限ストッパー手段（３８）と第２の制限ストッパー手段（４１）とは、軸方向の前記ロッド（２９）によって支持されていることを特徴とするサーボバルブ。
2. 前記出口通路（２２）は、前記長軸（３）に対して対称的であることを特徴とする請求項１のサーボバルブ。
3. 前記出口通路（２２）は、径方向で軸方向の前記ロッド（２９）と前記シャッター（３５）との間に形成された環状のチャンバ（３４）内へと通じていることを特徴とする請求項２のサーボバルブ。
4. 前記シャッター（３５）は、円筒形の内面（３６）を有し、このシャッターは、前記外側面（３０）を軸方向に摺動し、前記出口通路（２２）を径方向に閉成することを特徴とする請求項１ないし３のいずれか１のサーボバルブ。
5. 前記駆動手段（９）は、電磁石のアクチェータ（１０，１１）を有しており、前記シャッター（３５）は、この電磁石のアクチェータ（１０，１１）のアーマチュア（１１）と一体的であることを特徴とする請求項１ないし４のいずれか１のサーボバルブ。
6. 前記駆動手段（９）は、圧電アクチェータ（１０ａ）を有することを特徴とする請求項１ないし４のいずれか１のサーボバルブ。
7. 前記第１の制限ストッパー手段は、軸方向の前記ロッド（２９）と一体的に形成された円錐状のショルダー部（３８）を有し、前記第２の制限ストッパー手段（４１）は、前記軸方向のロッド（２９）に装着されたストッパーリング（４１）を有していることを特徴とする請求項１のサーボバルブ。
8. 前記出口通路（２２）は、前記軸方向のロッド（２９）と区切られた本体（２０）中に軸方向で形成された較正部分（２３）を有しており、少なくとも１つの径方向出口部分（３１）が、軸方向の前記ロッド（２９）に形成され、かつ前記較正部分（２３）と液密状態で連通することを特徴とする請求項１ないし７のいずれか１のサーボバルブ。
9. 前記較正部分（２３）は、前記制御チャンバ（１３）近くの位置に形成されていることを特徴とする請求項８のサーボバルブ。
10. 前記出口通路（２２）は、前記軸方向のロッド中（２９）に形成された較正部分（２３）を有することを特徴とする請求項１ないし９のいずれか１のサーボバルブ。
11. 前記出口通路（２２）は、前記軸方向のロッド（２９）と基部（２６）とに形成された一端部（２４）を有しており、この基部（２６）は、リングナット（２７）によって前記ケーシング（２）に固定され、かつ前記軸方向のロッド（２９）と一体的であることを特徴とする請求項１ないし１０のいずれか１のサーボバルブ。
12. 前記較正部分（２３）は、前記軸方向のロッド（２９）中に形成されていることを特徴とする請求項１０のサーボバルブ。
13. 前記軸方向のロッド（２９）と前記基部（２６）とは、単一部材（２５）で形成されていることを特徴とする請求項１１のサーボバルブ。
14. 前記シャッター（３５）は、較正される間隔を隔てて、前記外側面（３０）に適合されていることを特徴とする請求項１ないし１３のいずれか１のサーボバルブ。
15. 前記シャッター（３５）は、シール部材の介在によって、前記外側面（３０）に装着されていることを特徴とする請求項１ないし１３のいずれか１のサーボバルブ。

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