JP4119372B2 - 数値制御方法及び数値制御システム - Google Patents
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Description
図16は従来のNC装置のブロック図である。図に於いて、1はNC装置、2はCPU(中央処理装置)、3は入力装置インターフェース(以下、I/Fという)、4は加工プログラム、5はデータ用メモリで、加工プログラムメモリ6、前計算バッファ11、パラメータメモリ9、軸データメモリ10を含んでいる。7は制御プログラム用メモリで、ソフトウェアプログラムで構成された、解析処理部8、補間処理部12、基本制御部26、NC軸制御部13、画面処理部25、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)処理部24、主軸制御部19、加減速処理部14を格納している。15は制御軸I/F、16は制御軸駆動装置、17は制御軸モータ、18は検出器、20は主軸I/F、21は主軸駆動装置、22は主軸モータ、23は検出器である。
CPU2は、コンピュータ言語でプログラムされた手順に従って制御プログラムを順次読み取って実行し、各種I/Fを介して所定の機能を実現する。入力装置I/F3は、基本制御部26に含まれている加工プログラム読込プログラムにより制御され、記録媒体に記録された加工プログラム4を読み取ってデータメモリ5内の加工プログラムメモリ6に加工プログラムファイルとして格納する。この加工プログラムは、自動運転起動操作によってCPU2が加工プログラムメモリ6から順次読み出し、制御プログラムメモリ7に格納されている解析処理部8で加工プログラム4に記述された命令が解析され、制御要素毎の解析データとして前計算バッファ11に格納される。
また、主軸(一般にフライス系に於いては工具を回転させ、ターニング系に於いてはワークを回転させる)についても制御軸同様に、加工プログラム中に指定された主軸指令(S指令)が解析処理部8によって解析され、主軸制御部19で回転数を求め、この結果からモータの回転速度指令を生成し、CPU2を介して主軸I/F20に出力して前記主軸制御データを主軸駆動装置21に出力する。前記主軸制御データは主軸駆動装置21で主軸モータ22の駆動電力に変換及び印加され、主軸モータ22を駆動する。主軸モータ22の回転量(角度及びまたは速度)はエンコーダ等の検出器23によって検出され、主軸駆動装置21へ速度ループフィードバックを行い、また、制御軸I/F20を介して軸データメモリ10に回転速度情報としてフィードバックされる。これにより主軸は指定された回転速度になるように制御される。
プログラムファイル(加工プログラムメモリ)6に記憶された加工プログラムは解析処理部8によって加工プログラム中の各指令ブロックの内容を解読し、必要な演算または処理を行って制御アドレス毎の制御データとして前計算バッファ11に格納する。前記前計算バッファ11に格納された制御データの内、制御軸の移動量と送り速度データを用いて補間処理部12で単位時間当たりの移動量、つまり補間移動量を求める。当該補間移動量は実行時に指令速度に近付く様に速度に対応した略一定の値が生成される。
前記補間移動量は加減速処理部14に入力されると、予め設定されている加減速パターンと時定数に基づいて、工具またはワークの移動速度が所定の加減速パターンを描くように変換され、駆動装置群16a〜16dに入力される。
以上のようなデータの流れでモータを駆動することによって加工プログラムに基づいた所定軸数の機械の動作を制御し、機械加工を行うことができる。
(1)システム構成上の無駄時間
機械を稼動させるために自動起動をかけても瞬時に分配データが生成されることはなく、加工プログラムを読み込み、解析し、所定の演算を行う等、多くのタスクを実行することによって初めて機械を移動させるための分配データが準備できる。従って程度の差こそあれ必ず無駄時間が発生する。通常はサイクルスタート後分配開始までの時間は平均3IT(=30ms)、また、起動後、サブプログラム呼び出し・解析がある場合はこれに更に平均2IT(=20ms)を必要とする。
(2)プログラム実行中断
マクロプログラムの解析処理時間が長いことから上位タスクの割り込みにより、プログラムの実行中断が発生する。NCは、処理周期(△T=10ms)内に基本制御(OS),NC軸制御(加減速処理)・主軸制御・パルスデータ変換処理・分割出力処理,補間処理,PLC処理,解析処理,画面処理の順にプログラムが実行されるが、優先順位の高い加減速や補間処理後に時間の掛かるマクロプログラムの解析を行うと、△T内で処理できない時は途中で中断し、次の△Tでプログラム処理の順番が廻って来た時に、前回中断した続きを行う。従って、マクロプログラムの解析に時間が掛かる場合には△T*n(途切れる時は最低2サイクル)の空き時間が発生し、次ブロックの補間データが生成できないことがある。
(3)補助指令実行の応答空き時間
通常の外部処理有りM指令(補助指令)では外部のシーケンスからM指令完了信号が入力されると、既に解析が完了して準備された次バッファレジスタの内容を実行すると共に、次のプログラムブロックの解析処理に取り掛かる。通常処理ではM指令完了信号はPLCでセットされた完了信号をNCがスキャンして読み取るため、この応答に最大2サイクル(2△T)の時間が掛かり、これが無駄時間となる。
これらの無駄時間の各々は微少であり、所謂プログラムチェックでは工具軌跡のチェックはできても無駄時間の存在チェックや系統間のタイミングチェックはできない。また、これらの無駄時間などは単なる編集やプログラミング方法では解消できるものではないので、これらの問題点は手付かずで放置されているという課題があった。
仮に、加工時間が30秒のワークを24時間(1440分)連続運転で加工すると2880個生産できる。1ワーク加工に占める前記各々の時間が微少ではあっても、少なく見て1ワークあたり約0.1秒(10△T)の無駄時間があるとすると、これを除去することで、1日で10個弱、1年で約3500個が余分に生産できることになる。
またこの発明は、効率的に機械を制御することができる数値制御方法及び数値制御システムを得ることを目的とする。
またこの発明は、機械の寿命を延ばすことができる数値制御方法及び数値制御システムを得ることを目的とする。
以下、本発明を2系統旋盤に適用した場合の実施の形態1について、図1〜図7を用いて説明する。
図1は本発明による実施の形態1〜3におけるNCシステムの構成を示すブロック図、図2、図3は図1の要部を用いたデータの流れを示す図である。
図1〜図3に於いて、1はNC装置、2はCPU、3は入力装置I/F、4は加工プログラム、5はデータメモリで、加工プログラムメモリ6、前計算バッファ11、パラメータメモリ9、軸データメモリ10、高速運転バファ27を含んでいる。7は制御プログラムメモリで、ソフトウェアプログラムで構成された解析処理部8、補間処理部12、加減速処理部14、NC軸制御部13、主軸制御部19、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)処理部24、画面処理部25、基本制御部26を格納している。15a〜15dは軸制御I/F、16a〜16dは制御軸駆動装置、17a〜17dは制御軸モータ、18a〜18dは制御軸モータ用検出器、19は主軸制御部、20は主軸I/F、21は主軸駆動装置、22は主軸モータ、23は主軸モータ用検出器である。
51はパーソナルコンピュータ(以下,パソコンまたはPCという)、52はCPU、53はデータメモリで、第1の高速運転バッファ59、第2の高速運転バッファ60、編集メモリ64等を含んでいる。54は制御プログラムメモリで、ソフトウェアプログラムで構成された最適化処理部61、時系列データ並列表示処理部62等を格納している。55はCRT、56はキーボード、57はCRT I/F、58はK/B I/F、65は通信I/F、66は通信回線である。
NC装置1のCPU2は、中央処理装置であり、NC装置1を構成する各種ユニットとアドレス及びデータのバスラインで接続されており、制御プログラムメモリ7内の基本制御部26に記憶された処理プログラムを構成する命令に基づいて演算・処理を行い、制御プログラムメモリ7内の他の各種処理プログラムを実行することによって各ユニットを制御し、NC装置としての機能を実現する。
入力装置I/F3は、プログラム入力装置34を起動・制御して工作機械を制御するための加工プログラム4を読み込み、データメモリ5内の加工プログラムメモリ6にファイルとして格納し、加工プログラム4は改めて加工プログラムメモリ6から高速に読み出して実行される。
補間処理部12は、前記前計算バッファ11に記憶された位置や速度のデータから、NC装置の制御単位時間(△T)である例えば10ミリ秒の間に動くべき各軸の移動量を補間移動量として求め、NC軸制御部13に入力する。NC軸制御部13では入力された補間移動量により座標値を更新したり、NC軸制御部13内にある加減速処理部14で、パラメータメモリ9に設定されている加減速時定数や加減速パターンに基づいて、前記△T当たりの補間移動量(=送り速度)を徐々に変化させるという加減速演算処理を行ったりする。
また、前計算バッファ11に準備された主軸回転数情報は主軸制御部13で回転速度指令値に変換され、主軸I/F20を介して主軸駆動装置21に入力される。主軸駆動装置21では回転速度指令値を電力増幅して主軸モータ22に印加し、主軸を回転駆動する。主軸モータ22の回転はモータ22に機械的に結合された検出器23で検出して主軸駆動装置21に入力され、速度フィードバックループを構成する。また、検出器出力は主軸駆動装置21、主軸I/F20を介して軸データメモリ10に入力される。
PLC処理部24は、NC装置に内蔵されたプログラマブル・ロジック・コントローラとしてシーケンス制御を行うものであって、加工プログラム中のMST指令(補助指令・主軸指令・工具指令)に対応して機械の動作を制御する。また、このPLC処理部24の制御により、入出力I/F36を介して機械・操作盤他35の各種操作スイッチの状態を読み取ったり、表示器やソレノイドなどを駆動したりする。
通信I/F39は、NC装置1と外部装置との間で、高速運転バッファ27に格納した補間移動量等のデータを高速運転バッファ59、60に、またはその逆方向に転送するデータ通信を行うインターフェースであって、本実施の形態ではPC51の通信I/F65との間で通信回線66を経由して行われる。
加工プログラムファイル6として記憶されている加工プログラムは、解析処理部8によって加工プログラムに記されたX,Z等のアドレスに続く座標値にGコードに応じた解析処理が行われ、また、M,S,Tで指令される各コードに対応した所定の処理が行われる。この結果求められた各座標データや指令データは前計算バッファ11に格納される。前計算バッファ11に格納された各データは補間処理部12で補間処理が行われ、△Tの間に移動するべき各軸移動量が補間移動量として求められる。
NC側の高速運転バッファ27に格納されたデータは、NC装置1またはPC51の操作によってPC側の第1の高速運転バッファ59に転送され、最適化処理部61に準備された後述する機能に対応した最適化処理が施されて第2の高速運転バッファ60に格納される。第2の高速運転バッファ60に格納されたデータはNC装置1またはPC51を操作することによって、NC側の高速運転バッファ27に転送される。
加工プログラムファイル6として記憶されている加工プログラムは、解析処理部8によって加工プログラムに記されたX,Z等のアドレスに続く座標値にGコードに応じた解析処理が行われ、また、M,S,Tで指令される各コードに対応した所定の処理が行われる。この結果求められた各座標データや指令データは前計算バッファ11に格納される。前計算バッファ11に格納された各データは補間処理部12で補間処理が行われ、△Tの間に移動するべき各軸移動量が補間移動量として求められる。
前記補間移動量は加減速処理部14に入力されて加減速パターンと時定数に応じた変化を伴う制御軸毎の移動量に変換され、各制御軸の駆動装置16a〜16dに出力される。本図では、加減速処理した各軸データを各制御軸の駆動装置16a〜16dに出力すると同時に、加減速処理した各軸データをNC装置1の高速運転バッファ27に順次格納し、また、プログラムチェック後の高速運転時には、前記高速運転バッファ27から格納データを順次読み出して各軸駆動装置16a〜16dに出力する。この結果、図示しない工作機械に組み込まれたサーボモータは指定された回転・移動を行い、所望の加工が行われる。
以下、最適化処理部61により、図5(a)に於ける両系統共通の無駄時間を削除して、図5(b)のように補間移動量データを自動的に編集する場合の処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、図5(b)は、編集後の各制御軸の補間移動量を、時系列的にCRT55の画面上に再表示した例を示す。
step102では、全系統の、例えば図4に示す構成の第1の高速運転バッファ59におけるデータテーブルの各行についてデータの有無をチェックするために、ループ回数、つまり、ここでは処理ループの先頭でチェックを行っているので当該NCシステムの制御系統数+1をセットする。
step103で、全系統についてデータ有無チェック(図4の1行分)が完了したか否かをチェックするために、1系統分のデータ有無チェックが終わる(1ループの処理が終了する)毎に前記値(系統数+1)から1を減じ、0になったか否かを判定する。
step104では移動情報の有無をチェックする。つまり、例えば2軸の内、1軸でも移動量があればこのデータはスキップすることはできない。ここで両軸とも移動量が無ければstep105に進み、移動量があればstep109に分岐する。
step106〜step108ではMST実行中の有無をチェックする。この有無のチェックはそれぞれのデータが“Null”か“Nullでない”かの判断で行われる。前記データには各指令が無ければ“Null”であり、指令があればそのコードに対応した処理が記述されているサブプログラム(一般のNCは、Mコード等の指令がされたとき、その処理を行うためのプログラムがサブプログラムとして記憶されている)のトップアドレスが書き込まれる。MSTの何れも実行が無ければstep103に戻って次系統のチェックを行い、MSTの何れかでも実行があれば、step109に進む。
この後、step110で両バッファの次アドレスをセットし、step111に進む。
step111では第1の高速運転バッファ59の前記セットされたアドレスの情報を読み取り、例えばデータエンドを示すFFFF(Hex)であればそれ以降に転送すべきデータが無いので処理を終了する。また、データエンドでなければstep102に戻り、全系統について同様にデータチェックを行う。
step112は全系統にデータが無い時、つまり、全系統共通の無作業時間が存在したときに実行する処理である。ここでは第1の高速運転バッファ59のみアドレスを進め、第2の高速運転バッファ60は前回アドレスを保存する。
この後、step111に進み、データエンドか否かをチェックする。
また、本加工時には補間処理後の制御データを使用するため、本加工時にNC装置側のCPUの負担が軽くなる。
また、第1の高速運転バッファ59に格納した制御データをCRT55の画面上に表示し、この表示内容に基づいて指示される処理指示により、前記制御データに対して無作業時間を削除するので、オペレータが望む無作業時間削除の最適化処理を行うことができる。
また、第1の高速運転バッファ59に格納した制御データをCRT55の画面上に表示する際、図5に示すように、制御軸毎に時系列に且つ並列して表示するので、各制御軸の制御データの関係が非常に分かりやすくなり、よってオペレータが望む無作業時間削除の最適化処理を適切に行うことができるようになる。
また、NC装置1側の高速運転バッファ27に格納した制御データに対して、NC装置1に接続したPC51で、無作業時間を削除する処理を行っているので、NC装置1としては、主に高速運転バッファ27を設けるだけで足り、よって既存のNC装置1の大幅な改造が不要となる。また、無作業時間を削除する処理に、NC装置1側のCPU2がほとんど関与しないので、PC51が無作業時間削除の処理中に、NC装置1は別の作業を行うことが可能となる。
また、実施の形態1では、2系統旋盤に適用した場合について説明したが、1系統や3系統以上のNC旋盤等にも本発明が適用できる。
以下、実施の形態2を図1、図3、図4及び図8〜図10に基づいて説明する。
図8は例えば系統1の補間移動軸(X軸)に対して、系統2の非補間軸(A軸)移動の移動タイミングを調整することを示すタイミングチャートで、図8(a)は加工プログラムの実機チェック結果を、また図8(b)は系統2の非補間軸の終点を、例えば図9に示すように一部のデータの位置を変更するシフト処理をPC51の最適化処理部61により行うことにより、系統1の補間移動軸(X軸)の基準点aに一致させた例を示す。なお、図8(a)に示す速度パターンは、第1の高速運転バッファ59内のデータに基づいてCRT55の画面上に表示され、また図8(b)に示す速度パターンは、第2の高速運転バッファ60にシフト処理格納する運転データに基づいてCRT55の画面上に表示される。
図10に於いて、step121では多系統加工プログラムを実行し、図3に示すように、加減速処理後の制御単位時間(△T)毎の移動量を順次高速運転バッファ27に格納する。
運転終了後、前記NC装置1側の高速運転バッファ27からPC51側の第1の高速運転バッファ59に格納データを転送する。
step122では、前記データが転送されたPC側の第1の高速運転バッファ59内における加減速データを順次読み出して速度パターンとして、図8(a)に示すようにCRT55の画面上に表示する。同時に時系列データ並列表示処理部62により、表示されているデータ番号に対応する一連の加工プログラムを、図4に示すDT_No.及びSQ_No.の情報に基づいて加工プログラムメモリ6内をサーチし、同一画面上に表示する(図示せず)。
step124では、オペレータが、表示されている速度パターンの、終点を合わせたい二つの位置(基準点a,移動点b)及びシフトしたい軸の加減速パターンの始点cを、ポインティングデバイスにより画面上で指示する。この指示に基づいて最適化処理部61のシフト機能部は、上記指示されたa,b二点のデータ番号の差nから時間差(n*△T)を、また始点cと移動点bからシフトしたい軸のデータ個数mを求め、時間差(n*△T)と、a,b二点のデータ番号の差nと、シフトしたい軸のデータ個数mとを、CRT55の画面上に表示する。
次に第1の高速運転バッファ59から、表示中の範囲のデータを編集メモリ64にコピーし、前記設定された情報に基づいて、シフト開始データ番号からの対応するデータを所定の位置に移動させ、前記シフト処理したデータに基づき速度パターンを画面上に、図8(b)に示すように再描画する。
step128では次データを読み出し、データエンドか否かをチェックする。データエンドでなければstep122に戻り、次データを表示させる。step128でデータエンドと判断されれば、シフト処理は全て終わりなので、step129に進み、第2の高速運転バッファ60に格納されているデータをNC側の高速運転バッファ27に転送して処理を終了する。
また、本加工時には補間処理後の制御データを使用するため、本加工時にNC装置側のCPUの負担が軽くなる。
また、第1の高速運転バッファ59に格納した制御データをCRT55の画面上に表示する際、図8に示すように、制御軸毎に時系列に且つ並列して表示するので、各制御軸の制御データの関係が非常に分かりやすくなり、よってオペレータが望む前記処理の最適化処理を適切に行うことができるようになる。
また、NC装置1側の高速運転バッファ27に格納した制御データに対して、NC装置1に接続したPC51で、前記処理を行っているので、NC装置1としては、主に高速運転バッファ27を設けるだけで足り、よって既存のNC装置1の大幅な改造が不要となる。また、前記処理に、NC装置1側のCPU2がほとんど関与しないので、PC51が前記処理中に、NC装置1は別の作業を行うことが可能となる。
以下、実施の形態3を図1、図3、図4及び図11〜図14に基づいて説明する。
図11は、例えば第1系統の補間軸と第2系統の非補間軸が同時に実行される場合に、後者の動作態様を任意に変更することを表した図である。図11(a)は変更前の、加工プログラム指令による動作の速度パターンを示し、図11(b)のように非補間軸(第2系統軸)の実行を、第1系統軸の補間動作中に完了させればよいことから、第2系統軸の移動量を変えないという条件の下に、PC51の最適化処理部61によって加減速時定数、最高速度、加減速パターンを変更することができる。
なお、図11(a)に示す速度パターンは、第1の高速運転バッファ59内のデータに基づき時系列データ並列表示処理部62の機能によって、CRT55の画面上に表示され、また図11(b)に示す速度パターンは、第2の高速運転バッファ60にシフト処理格納する運転データに基づき、時系列データ並列表示処理部62の機能によって、CRT55の画面上に表示される。
図12は、主にPC51の最適化処理部61及び時系列データ並列表示処理部62の機能によって、画面表示された非補間軸の速度パターンに対して行う変更内容を入力するためのフローチャートである。なお、以下に述べる表示関係の処理は、主に時系列データ並列表示処理部62が受け持ち、加減速データを再計算等の表示関係以外の処理は、最適化処理部61が受け持つ。
step132では、前記指定されたアドレスに基づき、第1の高速運転バッファ59に格納されたデータを順次読み出し、各系統各軸の速度パターンとして、図11(a)に示すように画面上に描画する。また、前記表示した速度パターンに対応する加工プログラムを、各データに付加されているSQ_No(シーケンス番号)データを用いて加工プログラムメモリ6より抽出し、時系列データ並列表示処理部62により速度パターンとともに画面上の所定の場所に表示する。
step133ではオペレータが前記速度パターンと加工プログラムを参照して、非補間軸の位置決めに関するパラメータ変更の要否を判断し、変更不要であれば、変更不要の旨 キーボード56等より入力する。この入力がされると、step134に進み、表示データのアドレスをシフトしてstep132に戻り、次のデータ群について表示を行わせる。
step135では、速度パターン表示画面上で変更したい速度パターンの始点と終点を、更に他の系統で同時に実行中の速度パターンの始点と終点を、オペレータが、PC51に付属のポインティングデバイス(図示せず)でそれぞれ指示する。これにより移動データ採取範囲の指定、加減速パラメータ変更後の移動時間の制限を行う。
step136ではオペレータが、パラメータ入力画面を開き、図13に示すような加減速方法(時間一定、傾き一定、加速度一定など)を加減速パターンで選択し、更に加減速計算に必要な加速度、時定数、送り速度等の必要なデータを入力し、処理を終了する。
step137では、前記選択または入力された各種情報に基づいて加減速データを再計算し、予め編集メモリ64にコピーされている表示中の範囲のデータを修正する。前記修正後、前記編集メモリ64の内容に基づいて速度パターンを、図11(b)に示すように画面上に再描画する
step139では前記修正された編集メモリ64の内容を第2の高速運転バッファ60に格納し、次範囲の表示を行わせるために次データ番号に対応するデータアドレスを生成し、step140に進む。
step140では前記指定されたアドレスの情報を読み出し、データエンドを示す情報が読み出されなければ、step132に戻って次表示範囲を表示させ、同様に修正チェックを行わせる。データエンドを示す情報が読み出されれば、step141に進み、第2の高速運転バッファ60の内容をNC側の高速運転バッファ27に転送して処理を終える。
step151では先ず、オペレータにより指示された、変更したい速度パターンの始点と終点で囲まれるデータを積算し、移動量を計算する。続いて同様に指示された、他系統で実行中の速度パターンの始点と終点から移動制限時間を求める。
step152では加減速方法が変更されているか否かをチェックし、変更されておればstep153に進んで指定された加減速パターンの関数を発生する加減速フィルターを選択し、step154に進む。このとき、加減速方法が適切でない場合には元に戻す必要があるので、元の加減速方法も復元に備えて、編集メモリ64等のテンポラリなメモリに記憶しておく。変更されていなければstep154に分岐し、変更情報として加速度が指定されているか否かをチェックする。加速度が指定されておればstep155に進み、加速度の指定が無ければstep156に分岐する。
step156では時定数が入力されているか否かをチェックし、時定数の指定がなければstep158に分岐し、時定数の指定があればstep157に進んで時定数に応じたフィルター値を設定する。この場合も時定数が適切でない時は元に戻す必要があるので、元の値もセーブデータとして、編集メモリ64等のテンポラリなメモリに記憶しておく。上記作動させる加減速フィルターは実機チェックで使うものと同じであるが、通常のNC制御動作とは別に最適化処理部61の一機能として作動させるものである。
step159で指定された軸速度が制限速度以下であると判断されれば、step161に分岐する。またstep159で、指定された軸速度が制限速度を超えていると判断されれば、step160に進んで制限速度に書き換え、step161に進む。
step161では前記入力された加減速パターン、加速度、時定数、軸速度に基づいて加減速フィルターを作動させ、加減速を行う。この加減速処理の結果、変更後の位置決め時間が明らかになるので、step162で他系統の軸の補間移動時間内に位置決めが完了するか否かをチェックし、時間がオーバーしていないと判断されれば前記加減速処理で問題はないので処理を終了する。
step162で時間がオーバーしていると判断されれば、step163に進み今回の変更内容が加減速パターンであったか否かをチェックする。変更内容が加減速パターンであればstep170に分岐し、変更内容が加減速パターンでなければstep164に進む。
step165では今回の変更内容が時定数であったか否かをチェックし、変更内容が時定数でなければstep168に分岐し、変更内容が時定数であればstep166に進む。
step166では変更された時定数が変更前の値(初期値)になったか否か(時定数を小さくできるか否か)をチェックし、初期値まで戻されておればstep168に進む。step166でNoと判定されれば時定数を小さくできる余裕があるのでstep167に進み、所定量だけ時定数を小さくしてstep157に戻り、再度加減速処理を行う。
step168では変更内容が軸速度であったか否かをチェックし、軸速度であったと判定されるとstep169に進んで所定量だけ軸速度を上げてstep159に戻り、再度加減速処理を行う。step168で軸速度でなかったと判定されるとstep170に進み、加減速フィルターの種類、加減速フィルターのフィルター値を元のものに復元し、変更が不適切である旨の警告メッセージをセットして処理を終了する。
また、本加工時には補間処理後の制御データを使用するため、本加工時にNC装置側のCPUの負担が軽くなる。
また、第1の高速運転バッファ59に格納した制御データをCRT55の画面上に表示し、この表示内容に基づいて指示される処理指示により、前記制御データに対して前記処理を実施するので、オペレータが望む前記処理の最適化処理を行うことができる。
また、第1の高速運転バッファ59に格納した制御データをCRT55の画面上に表示する際、図8に示すように、制御軸毎に時系列に且つ並列して表示するので、各制御軸の制御データの関係が非常に分かりやすくなり、よってオペレータが望む前記処理の最適化処理を適切に行うことができるようになる。
また、NC装置1側の高速運転バッファ27に格納した制御データに対して、NC装置1に接続したPC51で、前記処理を行っているので、NC装置1としては、主に高速運転バッファ27を設けるだけで足り、よって既存のNC装置1の大幅な改造が不要となる。また、前記処理に、NC装置1側のCPU2がほとんど関与しないので、PC51が前記処理中に、NC装置1は別の作業を行うことが可能となる。
また実施の形態1〜3において、最適化処理をした制御データを、数値制御工作機械の加工プログラムの実機チェックで得られる制御軸の制御データを格納するNC装置1の高速運転バッファ27に再格納しているが、NC装置1とPC1との間のデータ伝送速度が十分速いならば、最適化処理をした制御データをNC装置1の高速運転バッファ27に再格納することなく、第2の高速運転バッファ60に格納された制御データを用いて加工してもよい。
図15は実施の形態1に於ける図1の変形であり、具体的な要点は、図1ではNC装置1とパソコン51を接続してパソコン51側のメモリと最適化処理を機能させていたものを、パソコン51を省略してNC装置1だけで実現するために、パソコン51側からNC装置1側に移したメモリと最適化処理部で実行させるようにした点である。
従って、パソコン51側で持っていた各種ソフトとメモリ(最適化処理部61、時系列データ並列表示処理部62、高速運転バッファ59,60、編集メモリ64)と同等のもの(最適化処理部61b、時系列データ並列表示処理部62b、高速運転バッファ59b,60b、編集メモリ64b)がNC装置1に内蔵されることになる。
即ち、実施の形態1〜3で説明した各処理(無作業時間を削除する処理、任意の制御軸の移動終了時刻を指定した制御軸の移動終了時刻に一致させる処理、任意の制御軸の位置決めが、指定した制御軸の移動時間内に収まるようにする処理)の実施開始時は、補間移動量(または加減速処理後の補間移動量)が、高速運転バッファ27に代わって第1の高速運転バッファ59bに直接入力され、また前記各処理後は、高速運転バッファ27に代わって第2の高速運転バッファ60bのデータを使用してNC制御することになる。なお、第2の高速運転バッファ60bに格納された最適化された制御データを、第1の高速運転バッファ59bに転送して第1の高速運転バッファ59bのデータを更新し、この更新された第1の高速運転バッファ59bのデータを使用してNC制御してもよい。
また、他の構成要件の機能・動作は図1のものと同様であり、同一符号は同一要件を表している。
Claims (10)
- 数値制御工作機械の加工プログラムの実機チェックで得られる制御軸の制御データをメモリに格納する段階と、このメモリに格納した制御データに対して同一時刻の全ての制御項目の内容が0である場合に当該一連のデータを削除する削除処理を行う段階と、この削除処理された制御データをメモリに格納する段階と、このメモリ内の削除処理された制御データに基づいて数値制御を実行する段階とを有することを特徴とする数値制御方法。
- 数値制御工作機械の加工プログラムを数値制御工作機械の実機で実行することにより出力データとして得られる、数値制御装置の制御単位時間毎に生成された制御軸の制御データを、メモリに格納する段階と、前記メモリに格納した制御データを速度パターンとして画面上に図形表示するとともに、この図形表示される速度パターンを、制御軸毎に並列して且つ同一時刻の制御データが一直線に並ぶように表示する段階と、ポインティングデバイスにて前記表示された速度パターンの所定の位置が複数個所指示されることに基づいて、シフトさせる速度パターンに対応する制御データのシフト情報を生成し、このシフト情報を表示する段階と、このシフト情報に基づいて、シフトさせる速度パターンに対応する制御データに対してシフト処理を行う段階と、このシフト処理された制御データをメモリに格納する段階と、このメモリ内のシフト処理された制御データに基づいて数値制御を実行する段階とを有することを特徴とする数値制御方法。
- 数値制御工作機械の加工プログラムを数値制御工作機械の実機で実行することにより出力データとして得られる、数値制御装置の制御単位時間毎に生成された制御軸の制御データを、メモリに格納する段階と、前記メモリに格納した制御データを速度パターンとして画面上に図形表示するとともに、この図形表示される速度パターンを、制御軸毎に並列して且つ同一時刻の制御データが一直線に並ぶように表示する段階と、ポインティングデバイスにて前記表示された速度パターンの所定の位置が複数個所指示されることに基づいて、変形させる速度パターンに対応する制御データの移動量及び移動制限時間を求める段階と、この求めた移動量及び移動制限時間に基づいて、変形させる速度パターンに対応する新たな制御データを再計算して変形処理を行う段階と、この再計算された制御データをメモリに格納する段階と、このメモリ内の再計算された制御データに基づいて数値制御を実行する段階とを有することを特徴とする数値制御方法。
- 前記シフト処理は、ポインティングデバイスにて指示された、表示されている二つの速度パターンの各終点位置及びシフトする軸の速度パターンの始点に基づいて、前記シフト情報を生成し、このシフト情報に基づいて、シフトする制御軸の移動終了時刻を、他の制御軸の移動終了時刻に一致するように、シフトする制御軸の制御データの記憶位置を移動させる処理であることを特徴とする請求項2に記載の数値制御方法。
- 前記変形処理は、ポインティングデバイスにて指示された、変形させる速度パターンの始点と終点で囲まれるデータを積算することにより前記移動量を求めるとともに、ポインティングデバイスにて指示された、他の系統で同時に実行中の速度パターンの始点と終点に基づいて前記移動制限時間を求め、この求めた移動量及び移動制限時間に基づいて、速度パターンを変形させる制御軸の制御データの内容を、他の系統で同時に実行中の速度パターンに対応する制御軸の移動時間内に収まるように、変更する処理であることを特徴とする請求項3に記載の数値制御方法。
- 数値制御工作機械の加工プログラムの実機チェックで得られる制御軸の制御データを格納するメモリと、このメモリに格納した制御データに対して同一時刻の全ての制御項目の内容が0である場合に当該一連のデータを削除する削除処理を行う削除処理部と、この削除処理部にて削除処理された制御データを格納するメモリと、このメモリ内の削除処理された制御データに基づいて数値制御を実行する数値制御部とを有することを特徴とする数値制御システム。
- 数値制御工作機械の加工プログラムを数値制御工作機械の実機で実行することにより出力データとして得られる、数値制御装置の制御単位時間毎に生成された制御軸の制御データを格納するメモリと、このメモリに格納した制御データを速度パターンと して画面上に図形表示するとともに、この図形表示される速度パターンを、制御軸毎に並列して且つ同一時刻の制御データが一直線に並ぶように表示し、且つポインティングデバイスにて複数個所指示された、前記表示された速度パターンの所定の位置情報に基づいて、シフトさせる速度パターンに対応する制御データのシフト情報を生成してこのシフト情報を表示し、このシフト情報に基づいて、シフトさせる速度パターンに対応する制御データに対してシフト処理を行う最適化処理部と、このシフト処理された制御データを格納するメモリと、このメモリ内のシフト処理された制御データに基づいて数値制御を実行する数値制御部とを有することを特徴とする数値制御システム。
- 数値制御工作機械の加工プログラムを数値制御工作機械の実機で実行することにより出力データとして得られる、数値制御装置の制御単位時間毎に生成された制御軸の制御データを格納するメモリと、このメモリに格納した制御データを速度パターンとして画面上に図形表示するとともに、この図形表示される速度パターンを、制御軸毎に並列して且つ同一時刻の制御データが一直線に並ぶように表示し、且つポインティングデバイスにて複数個所指示された、前記表示された速度パターンの所定の位置情報に基づいて、変形させる速度パターンに対応する制御データの移動量及び移動制限時間を求め、この求めた移動量及び移動制限時間に基づいて、変形させる速度パターンに対応する新たな制御データを再計算して変形処理を行う最適化処理部と、この再計算された制御データを格納するメモリと、このメモリ内の再計算された制御データに基づいて数値制御を実行する数値制御部とを有することを特徴とする数値制御システム。
- 前記シフト処理は、ポインティングデバイスにて指示された、表示されている二つの速度パターンの各終点位置及びシフトする軸の速度パターンの始点に基づいて、前記シフト情報を生成し、このシフト情報に基づいて、シフトする制御軸の移動終了時刻を、他の制御軸の移動終了時刻に一致するように、シフトする制御軸の制御データの記憶位置を移動させる処理であることを特徴とする請求項7に記載の数値制御システム。
- 前記変形処理は、ポインティングデバイスにて指示された、変形させる速度パターンの始点と終点で囲まれるデータを積算することにより前記移動量を求めるとともに、ポインティングデバイスにて指示された、他の系統で同時に実行中の速度パターンの始点と終点に基づいて前記移動制限時間を求め、この求めた移動量及び移動制限時間に基づいて、速度パターンを変形させる制御軸の制御データの内容を、他の系統で同時に実行中の速度パターンに対応する制御軸の移動時間内に収まるように、変更する処理であることを特徴とする請求項8に記載の数値制御システム。
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