JP3649339B2 - 簡易調理用米およびインスタント米並びにその製造方法 - Google Patents
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Description
発明の背景
発明の分野
本発明は、簡易調理用米およびインスタント米の調製方法、およびそれによって得られる簡易調理用米およびインスタント米製品に関するものである。
関連技術の説明
以下に記載される参照文献は、各々本出願に引用され、本発明の分野に関連するものである。
米は、食品用途の年間生産高に関して、小麦に次いで単独で二番目の世界的に主要な食品類のうちの一つである。米は、世界の人口の約60%にとっての主要産物である。世界の米の約90%がアジアで生産され、消費されている。米は、広い気候条件下で成長できる半水生の一年草である。栽培された米は、オリザ サティバ(イネ)エル(Oryza sativa L.)またはオリザ グラベリマ ステウド(Oryza glaberrima Steud)のいずれかと呼ばれている。オリザ サティバは優占種であり、オリザ グラベリマは限定された規模でアフリカのみに生息している。
成熟したもみ米穀粒の全体構造が、図1に示されている(Rice:Chemistry and Technology,Bienvenido O.Julianoにより出版,18頁(1985)より)。この穀粒の主な部分は、もみ殻、果皮、種皮、珠心、胚芽、糊粉層および胚乳である。もみ殻は、殻果(玄米)の外側の被覆である。もみ殻は、もみ米の18−20重量%を構成し、虫の寄生および環境の変動に対する防御機能を果たす。デハリング(dehulling)によりもみ米からもみ殻を除去することにより、米の殻果が露出される。穀果の外側の四つの形態的に異なる層は、果皮、種皮(蓋)、珠心および糊粉である。多量の胚芽(胚)とともに、これらの層は、米粒の糠部分を構成する。糊粉層は、胚乳の植物的部分であるけれども、この層は、精米中に糠部分の一部として除去される。この糠部分は、玄米重量%の5−8%を占め、殻果のほとんどの栄養分である。糊粉層の細胞は、特に、タンパク粒および脂肪粒と呼ばれる多くの封入体からなる。したがって、栄養となる糠層が除去されているので、生の未処理精白米は、栄養値が減少している。
典型的に、米の調理には、米に水および熱を吸収させる工程が含まれる。例えば、米を熱湯中に所定の期間だけ配置することにより、米を調理してもよい。あるいは、米を、蒸すことにより調理してもよい。パーボイル米は典型的に、調理中に65重量%から75重量%までの水を吸収する。水は、調理の際に、時間と線形的に吸収される。そのため、調理時間を減少させると、吸収される水の量も減少する。このことは著しく、100gの乾燥米に関して、18分間での180gから、10分間での120gおよび8分間での100gまで減少する。水の吸収量が少ないと、米は、外側が柔らかく、内側が硬く、脆く、未調理の状態となってしまう(水の吸収量は、所定の時間に亘る過剰の水中での調理後の、100gの乾燥米からの重量増加である)。吸水率は、所定の時間後の100gの乾燥米からの調理米産物の重量と定義されている。
調理米は典型的に、元の米と比較して、異なる機械的特性を有している。許容される食感および味覚に必要とされる調理の度合いは、地域ごとに異なる。例えば、米国では、軟らかめの米製品が望ましいとされることが多いが、ヨーロッパ人は典型的に、硬めまたは固めの米を望んでいる。以下は、調理米の食感特性を特徴付けるのによく用いられる用語のリストである(KohlwayによるR ice:New Evaluation Methods,120頁を参照のこと):
固さ 最初の一噛みでの大臼歯間で調理米を圧縮するのに必要な力。固さの度合いは、軟らかい(低)、固め(中)から硬い(高)までに亘る。(また、組織構造の文献においては硬さとも称される)
粘着性 口(食べている最中)、調理米自体、および給仕用具に粘着する調理米を除去するのに必要な力。粘着力の度合いは、はげ落ちやすい(低)からねばねばした(高)までに亘る。
弾力性 調理米が、歯の間で一度圧縮されたときに元の形状に戻る度合い。弾力性の度合いは、粘性流(低)から弾性(高)までに亘る。
凝集性 歯の間で圧縮されたときの、潰される前の粒を互いに保持する内力。内力の度合いは、粥状(低)、軟らかい(中)から、堅い(高)またはアルデンテに調理された米における脆い(高)までに亘る。
噛みごたえ 調理米を一定の速度の力の適用で噛みこなして、飲み込むのに適した稠度まで低下させるのに必要な時間(秒)。
破断性 調理米が砕かれる力。高い度合いが、高度の硬さおよび低度の凝集性を有する米である。
粘つき 噛みこなしている最中に持続する濃さ;調理米を飲み込む準備のできている状態までばらばらにするのに必要なエネルギー。この用語は、硬さと凝集性の複合体である。粘つきの度合いは、粉っぽい(低)からねばつく(高)までに亘る。
糊っぽさ 表面の湿気の種類を示す。この状態は、乾燥してフレーク状(低)から湿って糊っぽい(高)までに亘る。
歯のパック 調理米が大臼歯の先端に留まるのに十分に粘着性でねばついている調理米の一噛みに関連する。これは、主に押出調理米に関する欠点であるが、完全には調理されていない前もって調理された米に見られる。
生の白米は、半ゆで(パーボイル)にされていないが、乾燥した生の状態にある玄米から精米される。この白米は一般的に、パーボイル米よりも速く調理される。生の白米には、典型的に、12−18分ほどの調理時間が必要である。しかしながら、得られる調理米は、非常に糊っぽい味がする。水および熱が、米の殻粒内の個々のデンプン粒に進入し、それらを膨潤させ、破裂させて、遊離した分子状のデンプンを放出させる。これによって、口の中で非常に糊っぽく、練りもののような感触が生じる。
パーボイルは、調理米の糊っぽさを減少させるのに用いられる典型的な方法である。パーボイル米は、通常、水に浸され、熱処理され、乾燥させられた米として定義される。米の乳胚中のデンプンは、パーボイルの熱処理工程中に、実質的にゲル化される。パーボイル工程およびその結果のデンプンのゲル化には、いくつかの有益な効果がある。パーボイルによって、糠層からの栄養素が、除去される前に米の内部に移行し、栄養価の向上した米製品が得られる。さらに、パーボイル米は、そのきめ、外観、味覚、芳香および幅広いレシピのために、多くの消費者によって、白米(生の米/精白米)よりも好まれている。
従来のパーボイル工程は、一般的に、以下の工程を含む:(1)もみ米(または精米前の米)を2−4時間に亘り50−70℃の水に浸して、水の含有量が30−35重量%のもみ米を生成し;(2)浸した米からの遊離している水を切り;(3)8−20分間に亘り圧力下で蒸気の熱を加えて、ゲル化を行わせ;(4)蒸された米を熱気で乾燥させて、その水の含有量を約12−14重量%まで減少させる。ここで、この乾燥し、パーボイルされたもみ米は、(もみ殻を除くための)殻とり、および糠を除去するための精米の用意ができている。
パーボイルは、特許文献において盛んに話題になっている。そこでは、基本的な技術を改良する様々な努力が行われている。例えば、米国特許第5,107,395号では、高温での特別な予備乾燥工程が教示されている。米国特許第4,810,511号では、部分的なゲル化のためにマイクロ波エネルギーを使用することが記載されている。米国特許第4,361,593号によれば、米のデンプンは、蒸している間では完全にはゲル化されず、調節工程を非ゲル化条件下で行って、続いて破裂するのを減少させる。米国特許第4,338,344号には、米が、下側端部にある第一の区域内の熱水中で調理され、次いで、上側端部にある第二の区域内で蒸される包囲された傾斜チャンバが開示されている。
パーボイルによって、これらの改良された特徴を有する米製品が提供されるけれども、得られるパーボイル米は、精米された白米よりも、調理時間が長くなってしまう。ほとんどのパーボイル米は、このパーボイル米を食用に適した所望の状態にするには、エマージョン(emersion)調理が少なくとも20分間必要である。白米の精米と比較した、従来の米パーボイル工程の別の欠点としては、米の殻粒に糠層がより強く結合し、その結果、このパーボイル後の殻粒表面から糠を除去する精米工程に、時間とエネルギーをより多く使わなければならないということがある。
したがって、パーボイル米は、糊っぽさがなくなるといった改良点並びに他の有利な特性を示すけれども、これらの利点は一部、乾燥したパーボイル米を完全に元に戻して、この製品を調理するのに必要な調理時間が長くなってしまうことによりある程度相殺される。
それゆえ、調理時間が減少したパーボイル米製品を提供することが望まれている。調理時間のより速い米製品は、以前には、元の形状を変更させる、従来のパーボイル処理後の追加の工程を含む方法によりおよび/または米の構造を化学的に変化させることにより主に行われてきた。前者としては、(a)サイズの減少、(b)膨らまし(puffing)、または(c)押出しが挙げられる。後者の化学的工程の例としては、(a)酵素処理または(b)米タンパク質の変性が挙げられる。これらの従来技術の方法によっては、サイズ、きめ、形状、色、味覚または口当たりにおける元々の自然な状態を有する米製品が得られない。
「サイズの減少」では、個々の米の殻粒の厚さを減少させることにより、調理時間を改良している。米の殻粒を完全に水和させるのが速くなるので、米の厚さの減少によって、調理時間が減少する。すなわち、厚さが減少すると、水分が米の殻粒の中央に移行するのにかかる時間が減少する。オザイ−デュラニ(Ozai−Durrani)の米国特許第2,733,147号は、その外側部分が、完全に可溶性の状態にある、湿って、完全にゲル化されたデンプンを含み、その内側部分が、非常にわずかな度合いのゲル化および柔軟性から、完全なゲル化および柔軟性までに亘るデンプンを含む完全米を、それらの殻粒がフレーク状まで減少させずに、それら殻粒の構造を改変させるように機械的に圧縮することにより、簡易調理用米製品を調製する方法に関するものである。この特許には、上述した条件にしたがって浸漬され、予備調理された米に関して、減少した調理時間で通例のように調理された米のきめおよび他の特徴を有する元の戻された製品を提供するために、殻粒の厚さを、元の(または通例の米)の厚さの約30%から約80%に減少させるべきであることが分かった。ルイス(Lewis)等の米国特許第5,045,328号は、冷ロール(cold−rolling)により水分率の多いパーボイル米の圧縮を行って、米のその調理特性を達成することに関するものである。
「サイズの減少」に依存しているこの方法によって、調理時間の減少した米製品が得られるけれども、この製品は、形状およびサイズが変更された結果として、外観が不自然になり、口当たりが変わってしまう。さらに、これらの方法には、サイズを減少させるのに、追加の加工工程およびいくつかの機械設備(冷ロールまたは圧縮装置)が必要である。
「膨らまし」工程を用いる方法では、米製品の容積を減少させ、それによって、密度を減少させることにより調理時間を減少させている。その結果、容易に元に戻せる多孔質構造が形成される。この膨らまし工程は、(1)必要とされる水の迅速な蒸発を達成する急激な熱の適用に依存する大気圧工程、および(2)過熱された湿った粒子を低圧の空間に急激に移送させることを含む圧力降下工程を含んでいる。この膨らみ現象は、殻粒の隙間内の水蒸気(蒸気)の急激な膨脹によるものである(Rice,volume II:Utilization,Second Edition,Edited by Bor S.Luh,page 180を参照のこと)。
オザイ−デュラニの米国特許第2,438,939号は、デンプンをゲル化し、殻粒をそれらの元々のサイズを実質的に越えて軟化させ、膨潤させるように水分および熱により米を処理し、次いで、それらの拡大したサイズを保持し、内部のデンプンが収縮した結果として殻粒全体に亘り多孔質構造を形成するような様式で膨潤した殻粒を乾燥させることに関するものである。この工程により、元の容積の約2倍の容積および通常の調理米の軟らかい味覚特性を有する個々の殻粒に即座に水和できる多孔質構造を有する、乾燥した、個々の、実質的にゲル化された米穀粒からなる米製品が得られる。安藤等の米国特許第4,166,868号は、8−25%の水分率を有する圧縮米を揚げて、膨らんだ、食べる用意のできている米製品を形成することに関するものである。安藤等の米国特許第4,233,327号は、熱気または高周波誘電加熱により8−25重量%の水分率を有する圧縮米を膨らませ、乾燥させて、簡易調理用米製品を形成することに関するものである。
「膨らませる」方法により、調理時間が改良された米製品が得られるけれども、その製品は、形状、表面組織およびサイズが変更された結果として、外観が不自然になり、口当たりが変わってしまう。
「押出し」を含む方法では、米製品の塊を押し出すことによってパスタ状物質を形成することにより、米の調理時間を減少させている。形成された押出製品は、パスタに似ており、従来の米と比較して、外観および口当たりが著しく異なる。
上述した方法にはまた、それぞれに、米を加工する少なくとも1つの追加工程および/または装置が必要であるので、欠点がある。殻粒の厚さの減少を含む方法には、例えば、殻粒を圧縮する別の工程が必要である。
米の調理時間を減少させる他の方法としては、以下の文献に記載されている方法が挙げられる。
ルイス等の米国特許第4,810,506号は、パーボイル殻粒に、水および酵素を含有する測定された量の溶液にする処理を施すことを含む、殻粒製品の製造工程に関するものである。好ましくは、そのパーボイル殻粒を、その酵素含有溶液による処理の前にローラの間を通過させることにより、まだ熱い間に圧縮する。
コックス(Cox)等の米国特許第3,879,566号は、水が、膨潤のためにデンプン成分により利用されるように米のタンパク質成分を改質し、その親水性特徴を増大させるように米のデンプン成分を改質する簡易調理用米を調製する工程に関するものである。
ここで、米穀粒は、それらの物理的構造を変更する機械的作用にさらされない。その代わりに、化学物質および熱処理を用いて、その簡易調理用米の調製中および味覚に合わせる最後の調理中に、米穀粒への水の浸透を促進させることにより、米穀粒の化学成分の分子または内部構造修飾が行われる。この化学的変更によって、調理された米製品の味覚または色が異質になってしまうことがある。
上述した方法によっては、外観、味覚および/または口当たりが自然な簡易調理用パーボイル米製品が得られない。この自然な外観は、料理業界に広く受け入れられているように、食品の第一印象は、一般的に視覚であるので重要である。すなわち、特定の食品を食べる人の食欲をそそるのは、気を引く色および他の視覚的きっかけに関する先入観に大いに依存する。外観は、食品の経る劣化変化の尺度となるべき、人が予測する影響のある品質特性である。芳香および風味もまた、香りおよび味覚に影響がある。したがって、規格はずれの外観により、食品が拒絶される可能性が増大し、この現象は、世界中の大多数の米を食べる文化の中で米の容認性を危険にさらしてしまう。これは、米が、米の調理特徴を変更するのに用いた添加物(すなわち、酵素または化学薬品)の結果として、異質の風味を有する場合に、さらに大きくなる。米の外観が均一で自然であり、米の風味がその銘柄に近く、ほのかであることが望まれている。
したがって、個々の米穀粒のサイズおよび/または形状を実質的に変更せずに自然な外観および風味並びに滑らかな表面組織を有する簡易調理用米またはインスタント米を製造すること、および簡易調理用米の製造における複雑さおよび/またはコストを著しくは増大させない、そのような米を製造する方法が望まれている。
発明の目的
本発明の目的は、改良された簡易調理用米またはインスタント米およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、自然な外観および風味を有する米であって、その米の口当たり、調理収率および完全さが改良された米、およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、滑らかな組織を有する簡易調理用米を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、米の加工の複雑さおよび/またはコストを著しく増大させたり、化学薬品または酵素を使用したりしない、改良された簡易調理用米またはインスタント米を提供することにある。
本発明の上述した目的と他の目的および利点が、以下の記載に述べられているかまたはそれから明白となる。
発明の概要
本発明は、簡易調理用米製品またはインスタント米製品並びにその製造方法に関するものである。本発明は、より詳しくは、水分率の高い米を機械的に処理して、調理特性が向上した米製品を得る工程を含む方法に関するものである。得られた製品は、外観および風味が自然であり、口当たりの特性、調理収率および米の完全さが改良されている。好ましくは、機械的処理の工程は、高水分米を精米することにより行う。高水分米を直接的またはパーボイルの直後に精米することにより、追加の加工工程を加えずに、または化学薬品または添加剤を用いずに、簡易調理用米が得られる。元に戻すこと、圧縮および熱気のような従来の簡易調理用米加工の追加の工程を省くことができる。実際に、本発明は、パーボイル直後の従来の乾燥および戻し工程が、米が湿っている間に精米されるために、省略されるか、または著しく減少されるので、簡易調理用米またはインスタント米の調製を単純にし、それに関連する費用を減少させる。
驚くべきことに、本発明によって、パーボイルされた乾式精白米と比較して、必要な調理時間が実質的に減少することが分かった。特に、この方法を用いて、約100℃のお湯で、たった10−12分間またはそれ未満、例えば、6−10分間、より好ましくは、5−8分間に亘り沸騰させた後にきめが許容される簡易調理用米を製造することができる。米の正確な調理時間は、米の品種および湿式処理工程における正確な水分率を含むあるパラメータに依存する。しかしながら、今まで試験したところでは、全ての米の品種に関して、また、19重量%から32重量%までの範囲の水分率に関して、著しく調理時間が減少する。好ましい米の品種としては、パンダ(Panda)、ペルデ(Pelde)、タイボネット(Thaibonnet)、ガルフモント(Gulfmont)、カティ(Katy)およびサイプレス(Cypress)が挙げられる。
本発明の別の態様は、湿式精白米をさらに膨らませて、さらに調理時間が減少した米製品を得ることにより製造されたインスタント米製品の形成に関するものである。インスタント米製品は、湿式精白米はすでに精米後に高水分レベルを有しているので、従来のように乾式精米した米を元に戻す工程を必要とせずに製造することができる。得られたインスタント米は、調理時間が、好ましくは、約8分未満、より好ましくは、約7分未満、さらに好ましくは、6分未満、そして最も好ましくは、5分未満である。
【図面の簡単な説明】
以下、本発明の特定の実施の形態を、実施例として、図面を参照してさらに説明する。
図1は、もみ米穀粒の断面を示している。
図2(a)および(b)は、アミドブラック/血液染料で着色された14%(図2(a))および17%(図2(b))の水分で精米したタイボネット米穀粒の顕微鏡写真(53倍)である。
図3は、14%の水分で精米したタイボネット米穀粒の立体顕微鏡写真(15倍)である。
図4は、通常の光条件下での、パーボイルした30%水分精米ガルフモント長粒の写真である。
図5(a)および(b)は、アミドブラック/血液染料で着色された19%(図5(a))および24%(図5(b))の水分で精米したタイボネット米穀粒の顕微鏡写真(53倍)である。
図6は、24%の水分で精米したタイボネット米穀粒の立体顕微鏡写真(15倍)である。
図7は、明視野透過照明(transillumination)を用いた、24%の水分で精米したタイボネット米穀粒の顕微鏡写真(75倍)である。
図8は、27%の水分で精米したガルフモント米穀粒の立体顕微鏡写真(15倍)である。
図9は、明視野透過照明を用いた、27%の水分で精米したガルフモント米穀粒の顕微鏡写真(75倍)である。
図10は、簡易調理用米製品を製造する本発明の一つの実施の形態による方法における工程の流れ図である。
図11は、インスタント米製品を製造する本発明の一つの実施の形態による方法における工程の流れ図である。
図12(a)および(b)は、14%の水分で精米したタイボネット米の二次電子顕微鏡写真であり、図12(a)は、25倍の倍率であり、図12(b)は、1000倍の倍率である。
図13(a)および(b)は、24%の水分で精米したタイボネット米の二次電子顕微鏡写真であり、図13(a)は、25倍の倍率であり、図13(b)は、1000倍の倍率である。
図14は、12%、20%または27%の水分で精米したガルフモント米に関する吸水率(縦軸)と調理時間(横軸)との間の関係を示すグラフである。
図15は、12%、20%または27%の水分で精米したガルフモント米に関する剪断値(縦軸)と調理時間(横軸)との間の関係を示すグラフである。
図16は、14%の水分および24%の水分で湿式精米した米穀粒の知覚評価からのデータを示している。
定義
「物理的特性」という用語は、化合物または組成物の固有の測定可能な特性、例えば、表面積、機械的特性、密度、多孔率等を意味する。
「比較的」という用語は、物理的特性の値の95%が、事情に応じて、構造体の軸に沿って、その平面内で、またはその容積内で測定された場合、平均値のプラスマイナス20%以内にあることを意味する。
「実質的」という用語は、物理的物性の値の95%が、事情に応じて、構造体の軸に沿って、その平面内で、またはその容積内で測定された場合、平均値のプラスマイナス10%以内にあることを意味する。
「調理時間」は、周知のこととして「不明瞭な」概念である。米の調理時間は、熟達した味覚の評価者によって厳密に再現できるように決定されるように、そのきめに関して定義されてもよい。この用語はさらに、以下に論じる。
「玄米」という用語は、糠層の一部または全てが米穀粒にまだ付着している米を称する。玄米は、カーゴブラウン(cargo brown)と称されることもある。
「もみつき米」という用語は、殻のある(すなわち、殻の取られていない)米を称する。
別記しない限り、水分率は、米の総重量に基づく(すなわち、湿った重量基準)水分の重量%として与えられている。
好ましい実施の形態の説明
パーボイルされる(例えば、ヨーロッパ特許第A0352239号および米国特許第5,316,783号に記載されている方法により)米を、その米がまだ湿っている間に精米することにより、驚くべきことに、外観が全く実質的に自然であり、調理時間が減少し、同一の調理時間で比較して調理の収率が改良され(すなわち、食品サービス用途に関して、一人分がより多くなる)、調理されたきめが軟らかく、他の関連する利点を有する米製品が得られる。いかなる理論にも結びつけることを意図するものではないが、本発明の方法により製造される湿式精米されたパーボイル米のより迅速な調理は、裸眼には見えない、米穀粒全体に亘り均一に形成された多くの小さな亀裂によるものであると考えられる。
パーボイルされたもみつき米を、精米の損失を減少させるために、わずかに湿っており、柔軟である間に精米することが知られているが(特に、このことによって、破壊される米の量が減少し、玄米から精白米を製造するのに必要な総エネルギーが減少する)、そのような方法では、17%未満の水分レベルを用いている。精米中の水分率が低下するほど、米が砕けやすくなるためにこの米の破壊される量が多くなる。15.5%から16.5%までの水分率で、もみつきパーボイル米を精米するそのような方法が以前に記載されている(1986年9月22−25日に、エジプト、アレクサンドリアのthe Rice Technology Training Centreにおけるthe Third International Conference on Riceで発表された「Integration Between Hydrohtermic and Mechanical Processing of Rice」を参照のこと)。約16.5%未満の水分率を有するパーボイル米の精米は、簡易調理用米を調製するのに現在まで用いられていないけれども、その代わりに、単に精米中の米の破壊を減少させるために用いられてきた。水分レベルが高いと、精米された米および遊離した糠が、精米装置に付着し、次第に、精米室を遮断するか、あるいは精米装置を通る流動を有害に妨害すると考えられているので、そのような高水分レベルは以前には避けられていた。
従来の米の精米において、収穫した米またはパーボイル米は、精米作業の前に安定した水分範囲まで乾燥される。しかしながら、水分レベルが19%よりも高いと、パーボイル米製品は、軟らかく、より柔軟である。驚くべきことに、そのような高水分レベルは、精米装置を通る米の流れを有害に妨げずに使用することができる。したがって、高水分米を精米する場合、生産物は、壊れるというよりももしろ曲がる。高水分米のこの曲がりにより、明らかに、デンプン細胞または内部構造が内部分裂する。この内部分裂によって、水分を米中に拡散させる毛管を提供する微小な亀裂が生じ、さらに処理する必要なく速く調理できる米製品が得られると考えられる。
パーボイル米を17%水分未満まで乾燥させる場合、ゲル化したデンプン高分子が再結晶化し、流動学的特性が粘弾性からガラス質へと変化する。したがって、米は単に、米穀粒の互いと精米石に対する磨耗作用により、約17%水分未満の水分で精米される。米はまた、米の硬さのために、低水分範囲で摩擦精米(磨耗精米石のない)により精米してもよい。
白米(パーボイルされていない)または従来のパーボイル米中の部分的にパーボイルされた米構造体における脆さと異なり、完全にパーボイルされた米は、穀粒全体に亘り一貫してゲル化された均一なきめを有している。中間の水分から高水分で(19%w.b.より高い)、殻粒は、軟らかく、柔軟で、弾性(ゴム状)である。米の表面は、乾燥のために中心よりもわずかに硬い。この水分範囲で、米の殻粒は、壊れずに曲がることができる。よりもろい糠層は、縦方向に曲げられたときに、横方向に亀裂が生じる。しかし、米は亜糊粉層(subaleurone layer)までがばらばらになるだけであり、曲げによっては、予めゲル化したデンプン乳胚は損傷しない。十分な機械的作業(好ましくは精米による)に関して、糠層(保護層)は、乳胚から剥がれるか、または小片に分解される。糠層が精米中に除去され、軟らかい乳胚は、硬い糠層がないために、いっそう容易に曲がる。精米において、糠は、精米作用において、石上での剥がしにより剥がされる。殻粒の曲げにより、徐々に、乳胚内の二膜細胞壁が緩くなり、細胞内構造が破壊される。その効果は、吸水が速くなり、調理が速いことである。
本発明により製造した米製品は、その自然な外観(すなわち、サイズ、形状およびきめ)を維持している。本発明は、個々の米穀粒または多数の殻粒に関するものである。多量に製造する場合、実質的に全ての殻粒が、簡易調理特性を有する。好ましくは、50%より多く、より好ましくは、75%より多く、さらに90%より多く、そして最も好ましくは、95%より多くがその特性を有する。
本発明の利点の一つは、米の調理時間が減少することである。調理のレベルを特徴付ける一つの有用なパラメータは、吸水率である。高い水分で精米を行うことにより、表Iに示したように、米を調理する際の吸水率が高くなる。表Iは、比較米製品と比較した、本発明により製造した米の、ある時間間隔での吸水値を示している。
面白いことに、本発明により製造した長粒の米製品は、従来の方法により調製した中粒米の寸法が、より小さく、したがって、高吸水率を有するべきであるけれども、この中粒米よりも大きい吸水値を有していた。
本発明により提供される増大した吸水には、いくつかの有益な効果がある。この吸水により、調理時間が減少し、簡易調理用米製品が得られる。より高い吸水特性により、同一の調理時間で比較したときの米の調理収率が増大する(このことは、プレート上の重量および見かけ部分のサイズが重要である食品サービス用途にとって重要である)。さらに、口当たりが改良されている(特に減摩性)。得られる製品は、好ましくは、滑らかな光沢表面および滑らかな口当たりおよび/またははっきりした無傷の全穀粒および速い調理特性を有する。
本発明の別の実施の形態によれば、湿式精米した米を長時間に亘り(すなわち、15分から20分よりも長い時間)、熱湯(100℃)中で調理して、色がより白く、裂かれた穀粒が少なく、きめが軟らかくおよび/またはより細長い調理米を得てもよい。驚くべきことに、湿式精米をした米を長時間に亘り調理した場合、吸水は、穀粒を分解(すなわち、裂いたり、穴を形成させたり等)せずに、100グラムの乾燥米当たり約300グラムを越えるレベルに到達することができる。すなわち、湿式精白米は、調理しすぎに対する耐性および丈夫さが増大している。
したがって、本発明は、吸水が増大し、調理時間が減少した簡易調理用米を提供する。好ましくは、この簡易調理用米の調理時間は、100℃の熱湯中で6−10分間である。より好ましくは、この簡易調理用米の調理時間は、同一の条件下で5−8分間である。
好ましくは、本発明により製造された米の相対的な調理時間は、従来の乾式精白米製品の調理時間よりも10%短い、より好ましくは、15%短い、さらに好ましくは、20%短い、そして最も好ましくは30%短い。
この製品は、8分間に亘り過剰の水中で調理した後、100グラムの乾燥米当たり、220グラムよりも大きい吸水レベルを有するべきである。好ましくは、この製品は、10分間(好ましくは8分間)に亘り過剰の水中での調理の後、100グラムの乾燥米当たり230グラムより大きい、より好ましくは、240グラムより大きい、さらに好ましくは、250グラムより大きい、そして最も好ましくは、260グラムより大きい吸水レベルを有する。
好ましくは、本発明により製造した米に関する吸水率および/または量は、従来の乾式精米(14%の水分)した米と比較した場合、少なくとも5%、より好ましくは、10%、さらに好ましくは、15%、そして最も好ましくは、20%増大している。
本発明により製造した米製品は、裸眼で見た場合(拡大がほとんどまたは全くなく、特別な照明条件のない)、個々のときと大量にあるときとの両方で、従来のパーボイル米と実質的に同一の形状に見える(調理の前後両方で)。さらに、本発明の製品は、好ましくは、従来の調製米と実質的に同一の嵩密度を有する。本発明の製品は典型的に、最小で約730kg/m3の嵩密度を有する。好ましくは、米の殻粒の寸法および/またはその嵩密度の最大変化は、20%未満、より好ましくは、15%未満、さらに好ましくは、10%未満、そして最も好ましくは5%未満である。
得られた製品のきめは好ましくは滑らかである。この滑らかさは、一部には、糠層が、こすり取る(scratch off)(低水分精米中に生じると考えられていることである)ことよりもむしろ高水分レベルの結果として取り除かれる(pull off)または剥がされる(peel off)ために向上すると考えられている。したがって、従来の精米中に典型的に生じるこすり取りまたはえぐり取り(gouge)が減少するかまたは除かれる。さらに、その米の殻粒は、高水分の結果として精米中の柔軟性が増大しているので、表面が粗くなる傾向が著しく減少する。その結果、滑らかな表面を有する米穀粒となる。
通常の光条件下で見た場合、本発明により製造した米穀粒は、実質的な滑らかで、亀裂のない表面を有している(図4)。本発明により製造された米穀粒は好ましくは、暗視野または明視野照明を用いるか、または染料を用いて見た場合、その表面の大部分に亘り微小亀裂(microcracks)または裂け目(fissures)を有する(図5−9参照)。好ましくは、この米製品には、0.2mmより大きいサイズまたは幅を有する粗い縁または亀裂が実質的にない(染色により測定した)。亀裂または裂け目の平均幅は、好ましくは、約0.15mm未満であり、より好ましくは、約0.1mm未満であり、さらに好ましくは、0.075mm未満であり、そして最も好ましくは、0.05mm未満である。好ましくは、これらの殻粒には、0.1ミクロンから2.0ミクロンまでの平均幅を有する、表面上の多数の微小亀裂または微小裂け目がある(染色のないSEMにより測定)。
好ましくは、亀裂または裂け目のパターンが、殻粒の表面全体に亘り均一なウェブ状またはメッシュ状パターンを形成する。これらの亀裂または裂け目は、好ましくは、互いから離れた、幅、長さ、深さと、形状とが実質的に均一である(図5および6参照)。いくつかの好ましい実施の形態によれば、裂け目または亀裂が、滑らかな直線というよりもむしろ、不規則な線または縁を形成する。
倍率15倍で見えるほとんどの亀裂または裂け目は、米穀粒の長さに対して、垂直と平行の両方に向けられているが、これら裂け目の実質的に全ては、その長さに対して垂直である(図5−9参照)。好ましくは、垂直すなわち横方向の裂け目の数の、水平すなわち長さ方向の裂け目の数に対する比率は、約2対1より大きく、より好ましくは、約5対1よりも大きく、さらに好ましくは、約8対1より大きく、そして最も好ましくは、約10対1よりも大きい。好ましくは、垂直すなわち横方向の裂け目の全長の、水平すなわち長さ方向の裂け目の全長に対する比率は、約2対1より大きく、より好ましくは、約5対1よりも大きく、さらに好ましくは、約8対1より大きく、そして最も好ましくは、約10対1よりも大きい。
裂け目の密度は、好ましくは、殻粒表面の少なくとも50%、より好ましくは、少なくとも75%、さらに好ましくは、90%、そして最も好ましくは、95%に亘り均一である。好ましくは、亀裂または裂け目の密度は、殻粒表面の長さに亘り実質的に均一である。より好ましくは、それら殻粒は、平方mm当たり1の平行亀裂および平方mm当たり10より大きい垂直亀裂の平均亀裂密度を有している。
様々な殻粒は、図2から9を参照することにより比較することができる。図2−9により、米糊粒への高水分精米の効果が確認される。図2および3は、14%の水分で精米したタイボネット米穀粒を示している。図4は、30%の水分で精米した、パーボイルしたガルフモント長粒米穀粒を示している。図5−7は、19%の水分(図5(a))または24%の水分(図5(b)、6および7)で精米したタイボネット米穀粒を示している。図8および9は、27%の水分で精米したガルフモント米穀粒を示している。
図2および5は、染料を施した後の様々な米国粒を示す顕微鏡写真である。表面のきめおよび亀裂の差が、これらの図面において特に強調されている。各々の試料からの殻粒について、異なる種類の染料を用いた。これらの米穀粒を偏光顕微鏡(PLM)により調査して、どの染料が、構造的因子間で最大の対比を形成するかを評価した。ある染料により望ましい結果が得られた。使用した染料は、アミドブラックと血液染料との混合物であった。各々の試料からの殻粒を、約5分間に亘り染料中に浸漬し、空気乾燥させた。次いで、それらの殻粒をPLMにより倍率53倍で調査した。この染料により、殻粒内の表面のきめおよび構造的亀裂の差が強調された。青(アミドブラック/血液染料)が濃いほど、表面積および表面活性が大きいことを示している。
図3、6および8は、様々な水分レベルで精米した米殻粒を示す暗視野透過照明の立体顕微鏡写真である。これらの試料は、染色しなかった。暗視野透過照明を用いたオリンパスSZH立体顕微鏡により、米穀粒の写真を撮影した。通常の装置の対物倍率は15倍であった。全てに亘り、3.3倍の接眼レンズを用いた。4インチ×6インチの全体の倍率は、15倍である。
図7および9は、明視野照明を用いて作成した顕微鏡写真である。米穀粒を、5倍の対物レンズおよび3.3倍の接眼レンズを用い、明視野照明で、オリンパスBH−2顕微鏡により写真撮影した。これら検体の総倍率は、75倍である。これらの顕微鏡写真の目的は、高倍率で内部亀裂を示すことにある。これらの高倍率の画像は、表面形状を視覚化するのに役立つ。
図3を参照すると、14%の水分で精米された米穀粒が、倍率15倍の立体顕微鏡写真に示されている。この殻粒の表面には、亀裂または裂け目が実質的にない。しかしながら、この殻粒は、表面の掻き傷または溝を有するようには見えず、このことは、糠層が、低水分レベルで精米されたときに剥ぎ取られたとの考えを裏付けている。
図3に示された殻粒を、24%の水分で精米したタイボネット米穀粒の立体顕微鏡写真を示す図6と比較する。図6から分かるように、得られた製品には、裸眼では見えない、殻粒表面に亘り均一に分布している小さな亀裂または裂け目がある。この立体顕微鏡写真から分かるように、実質的に全ての裂け目が横方向となっている。これらの裂け目により、熱湯および蒸気が米穀粒の内部に急速に均一に浸透し、それによって、調理工程が促進されると考えられる。
図7は、24%の水分で精米したタイボネット米製品の透過照明顕微鏡写真(75倍)である。これらの裂け目は、全て横方向であり、実質的に均一な間隔となり、パターンが形成されている。
図8から分かるように、これらの裂け目は、殻粒全体(図7)というよりもむしろ、殻粒の一部に亘り均一にパターンが形成されている。この差は、異なる米の品種が用いられている(ガルフモント対タイボネット)という事実により説明されるであろう。異なる米品種は、異なって影響を受けると考えられている。あるものは、例えば、同一の結果を達成するために、精米の最中に、より高いまたはより低い水分率を必要とするかもしれない。さらに、外観の差は、精米中に用いられた異なる水分率(24%対27%)により生じるかもしれない。あるいは、この差は、ガルフモント米が水平精米装置(サタケRMB 10G)内で精米され、一方、図7に示されたタイボネット米は垂直精米器(サタケVTA05)内で精米されたという事実により生じたのかもしれない。この水平精米器により、垂直精米器に匹敵する、応力/歪みの異なる力成分が加えられるかもしれない。この垂直精米器によって、異なる裂け目パターンが形成されるかもしれない。さらに、このガルフモント米製品は、タイボネット米とは異なる方法によりパーボイルしたものである前者は、米国特許第5,316,783号に対応する方法と類似の工程によりパーボイルし、一方、後者は、ヨーロッパ特許第A0352939号に対応する方法によりパーボイルした。
これらの相違により、図7および8に示された殻粒間の差が説明されるであろう。しかしながら、両方の殻粒は、調理特性および口当たり特性が改良されている。上述したような材料/方法/装置の全ての差にもかかわらず、非常にはっきりした微細な裂け目パターンが、両方の湿式精米した試料に観察された。
湿った米の処理は、もみ、ガス抜き、音波エネルギー、衝撃付与または所望の結果が得られる他の物理的力により行っても差し支えない。上述したように、その処理によって、全ての方向で力が適用されなければならない。例えば、殻粒を単純に圧延することによって、絞りにより力が不均一に適用される。この殻粒は、単に圧縮されている。さらに、その殻粒は端部よりも中央部のほうが厚いので、その中央部にはより大きい量の圧縮力が加えられる。その結果、加えられる力の大きさは不均一である。しかしながら、一連の柔軟なローラが用いられる場合、加えられた力により、殻粒全体に亘り、より均一なもみ、捻りおよび圧縮が与えられる。
好ましくは、その処理は、圧延(milling)によるものである。圧延により、殻粒に、圧縮、もみ、曲げ、捻り等を含む様々な力が加えられる。その結果、殻粒の内部構造が均一に処理される。
いくつかの染色された試料からの殻粒の亀裂密度を、倍率100倍で10の校正された接眼レンズの視界当たりの亀裂の数を計測することにより測定した。その測定結果が表IIに示されている。
銘柄1番の亀裂密度が高いように見えるけれども、その吸水率は高くはなかった(表I参照)。染色試料において調査した「亀裂」は実際には亀裂ではなく、単純な表面凹凸であったと考えられる。本発明による湿式精米により形成された裂け目は、0.01mmよりも大きい深さを有すると考えられる。このことを、実質的に亀裂がないことが分かった銘柄1番の染色していない試料を調査することにより確認した。
表IIから分かるように、本発明により製造した米製品は、従来の米製品と比較して異なる亀裂密度を有する。本発明の殻粒の均一な亀裂密度によって、簡易調理特性、自然な外観および改良された口当たりが得られると考えられる。
本発明の方法には、機械的処理またはもみによって、殻粒の寸法全体に亘り殻粒に歪みおよび応力が均一に適用される、水分率の高いパーボイル米穀粒の機械的処理またはもみが含まれる。この方法によって、殻粒に一連の多成分力が適用される。殻粒全体に亘り均一に応力および歪みを適用することにより、その構造体中に均一な亀裂を形成することができる。好ましくは、本発明の方法は:
a.未加工の水稲からもみ殻を脱ぷ除去し、
b.パーボイルし、
c.部分的に乾燥させ(必要に応じて)、冷却し、
d.糠層を除去し、
e.殻粒を機械的に処理し、
f.乾燥させて、簡易調理用米を得る各工程を含む。
工程(d)および(e)は、順序を交換したり、組み合わせても差し支えない。好ましくは、糠層を除去し、それと同時に殻粒を屈曲させる。ある好ましい実施の形態において、高水分の殻粒を、湿式精米し、それによって、糠層を除去し、これと同時に殻粒を屈曲させる。
別の実施の形態によれば、米を:
a.水稲(すなわち、もみが除去されていない)に含水させ(好ましくは34%の水分)、
b.米を蒸して、この米パーボイルし、ゲル化させ、
c.約20−25%の水分まで乾燥させ、
d.もみ殻を除去し、
e.米を湿式精米し、
f.乾燥させて、簡易調理用米製品を得る各工程からなる方法により処理する。
乾燥工程(c)の最中に、水稲の外側層が、内側部分よりも速く乾燥する。その結果、全体的な米の水分率は、例えば、20%であるかもしれないが、その米の内側殻粒部分における水分率はそれよりも高く、一方で、外側の殻はより乾燥している。その殻は、比較的乾燥して、除去を容易にする必要がある。
水稲(すなわち、殻を有する)をパーボイルする利点の一つは、全殻粒収率を増大させることである。パーボイル中に、以前は破壊されていた米の殻粒は、殻により互いに保持され、デンプンのゲル化により互いに糊付けされている。その結果、水稲段階で破壊された米の割合が、パーボイル中に生じる「ヒーリング:回復(healing)」により減少するので、全体的な全殻粒収率が改良される。しかしながら、水稲をパーボイルすることにより、玄米(brown)パーボイル工程と比較して、やや暗い色合いの米が得られる。
したがって、パーボイルプロセッサは、玄米(もみ殻が除去された)または水稲(もみ殻付き)を含んでもよい。
本発明の他の実施の形態が、図10および11に示された流れ図に説明されている。図10(A)−(G)は、簡易調理用米を調製する従来の方法と比較した本発明による方法の流れ図を示している。図11(A)−(D)は、インスタント米を調製する、本発明および従来の方法を示している。
より詳しくは、図10(A)および10(C)は、乾式精米を用いたもみ付きパーボイル米を処理する従来の方法の流れ図である。図10(B)および(D)は、高水分精米を用いた水稲の処理に関連する本発明のいくつかの好ましい実施の形態を示している。図10(B)および(D)に示したように、精米の前に、いくつかの乾燥および調理を行ってもよい。乾燥Iにより、水分率を34%から27%まで減少させる。乾燥IIにより、27%から20%まで減少させる。最終乾燥により、20%から13%まで減少させる。図10(E)−(G)に示した「追加工程」は、従来の乾式精米パーボイル米から簡易調理用米を製造するのに必要な追加工程を示している。これらの流れ図から分かるように、本発明により、より単純で、より対費用効果的な、簡易調理用米を製造する方法を提供する。
同様に、図11(A)−(D)は、インスタント調理米製品を製造する本発明を用いることの利点を示す流れ図である。
ある好ましい実施の形態によれば、米に、少なくとも二つの、好ましくは三つの精米器を通過させる。この精米器は、垂直または水平であっても差し支えない。好ましくは、精米器は垂直である。適切な精米器としては、サタケRMB10G型およびVTA05型または同様の大きなサイズ/容量のユニットまたは機械が挙げられる。石灰石粉末のような精米助剤を用いてもよい。使用する精米石の種類および精米速度を変更して、米の品種に応じて、糠の除去および簡易調理特性を最適化することができる。
精米中の米の水分率は、17%から35%まで、好ましくは、19%から30%まで、より好ましくは、21%から28%まで、そして最も好ましくは、23%から25%以上のいずれかになくてはならない。使用する水分率は、所望の結果、米の種類、米の前処理(すなわち、パーボイル方法等)、処理するための手段等を含む様々な要因に依存する。これらの要因に応じて、例えば、17%ほどの低い水分率により、本発明の利点を得てもよい。適切な水分率は、それらの要因のレベルを変更し、その結果を調査することにより決定することができる。
本発明の前駆体米材料は好ましくは、パーボイル米である。上述したように、パーボイル米は通常、浸漬され、熱処理され、乾燥された米として定義される。パーボイルの熱処理工程中に、米の胚乳内にあるデンプンが実質的にゲル化される。パーボイル工程およびその結果としてのデンプンのゲル化には、前述したようないくつかの有利な効果がある。米を、米の殻粒が、一般的に少なくとも25%よりも大きくそれらの水分率を増大させるまで、十分な期間に亘り、水、お湯または熱湯中にもみ米(実質的に畑から穫れたときの精米していない米)を浸漬し;米を、デンプンの少なくとも85%を、そして95−100までを実質的にゲル化する過圧下で蒸して、玄米を湿式精米することにより、調製してもよい。本発明によれば、従来の簡易調理用米/インスタント米工程における戻しおよび乾燥の工程を、簡易調理用米またはインスタント米を調理するのに減少させるかまたは除去することができる。さらに、殻の除去は、パーボイルの前または後に行ってもよい。このパーボイル米は、精米の前に、部分的に乾燥させ、パーボイルしてもよい。したがって、米は、パーボイル後に直接冷却し、精米しても、または乾燥および冷却工程の直後に精米してもよい。
ヨーロッパ特許第A0352939号および米国特許第5,316,783号には、玄米をパーボイルする適切な二つの方法が記載されている。
本発明のある実施の形態は、含水、蒸し、精米および乾燥の各工程を含む方法に関するものである。精米後、米は、水分が13%に到達するまで、低温で乾燥させるか、またはインスタント化させる。
米の品質に影響を与える工程の変動要因は、実質的に、米デンプンの化学的性質の反応において役割を果たす要因、すなわち、水分、熱、処理時間および米中の微量成分である。米が精米されるときの水分およびインスタント化工程中の米の膨脹もまた、主要な工程変動要因である。これらの工程変動要因および米の品質への一般的な効果の概要が表IIIに示されている。
含水は、ゲル化の度合いに関するパーボイル米の品質に影響を与える。平衡含水なくしては、米穀粒の中心の水分が少なくなってしまう。パーボイル後、低水分の米の中心は不透明になる(白い胴部)。これは、高いパーボイル温度において、殻粒の中心で微小裂け目が生じる(水分の欠如のために)という事実によるものである。米が完全には含水されない場合、より高い蒸気圧/温度を用いなければ、ゲル化が完了しない。デンプンのゲル化は、水の補助により、結晶性アミロペクチン鎖を溶融する工程である。ゲル化の度合いは、米の調理品質に影響を与え、したがって、含水の程度は間接的に米の調理品質に影響を与える。
他のいずれの処理よりも蒸し(またはパーボイル)は、米の調理品質に寄与する。蒸している最中に、デンプン粒子は、膨潤し、水中に溶解し、アミロースの小さな断片を排出し、得られれば、もっと水分を吸収する。一般的に、調理した米のきめは、ゲル化の度合いが増大するにつれ安定する。粒子内部のデンプン分子は混成であるので、ゲル化の工程は、粒子サイズ、ゲル化温度、デンプン分子の組成/形状、およびデンプンと水の濃度の関数である。米を蒸す温度が高くなり、時間が長くなるほど、ゲル化がより進行する。従来のパーボイル圧では、飽和蒸気内での長いパーボイル時間により、水分がより吸収されて、含水が連続的となり、ゲル化が自発的に行われる。
前述したように、パーボイル米の精米は、通常、米が硬く、ガラス質であるときに13%で行われる。約20%以上での水分率でパーボイルされた米は、粘弾性のきめを有する。この水分レベルで精米が行われる場合、米は、精米チャンバ内で屈曲され、曲がり、明らかに、細胞間構造が破壊される。その結果、表面が非常に滑らかに磨かれ、調理時間が従来のパーボイル米よりも短い米が得られる。精米が軟らかい表面に対して行われるので、亜糊粉層までの糠層が、磨耗精米石により、層から層へと「磨かれ」るかまたは「剥がされる」。これによって、アミロプラスト細胞が無傷のままとなる。このことは、14%の水分(図12)および24%の水分(図13)で精米されたタイボネット米の二次電子顕微鏡写真である図12および13において確認される。図12(b)は、24%の水分の米がより滑らかな表面を有することを裏付ける図13(b)と比較した、14%の水分の米の粗く裂かれた表面を示している。調理中において、調理された米の表面は、デンプン粒子が調理の終わりで三倍もの水の量を吸収した後でさえもまだ滑らかである。
胚乳中の実質細胞の細胞間構造は、高水分での精米中に損傷しているかもしれないと考えられている。この破壊によって、水分が米中により速く拡散し、したがって、調理が速くなり、吸水率も高くなる。この物理的変化は、米穀粒の柔軟性の関数である。より高い水分率では、米は、より低い水分率でよりも、より軟らかく、より柔軟性である。したがって、曲げ、衝突および屈曲の影響により、内側の細胞構造に衝撃を与え、細胞間構造損傷の程度のほうがより重大である。より高い水分で精米した米は、より低い水分で精米された米よりも、速く調理され、軟らかいきめを有している。
本発明の別の好ましい実施の形態は:
(a) 玄米を沸点までの温度の水で処理して、その含有量を17%から30%までに増大させ、
(b) この処理米を100℃から125℃までの温度で蒸して、その水分率を19%から32%までに増大させ、
(c) この蒸した米を、密封した容器内で、圧力下で乾燥熱を用いて、t=195−2.5Mであり、Mが蒸した米のパーセントで表した水分率である、約t℃の最低温度で1分から5分間に亘り加熱して、
(d) 米に加える圧力を、1分から10分の期間で大気圧まで減少させ、それによって、加熱した米から水分を蒸発させて、温度を約50℃に、水分率を17%から27%までに減少させ、
(e) このパーボイル米を17%より多く32%までの水分率で精米し、
(f) この精米した米を微生物学的安定性まで乾燥させる(約14%)各工程からなる、簡易調理用米を調製する方法に関するものである。
好ましくは、湿式精米工程(e)を、19−27%の範囲の水分率を有する米について実施する。32%より多い水分率のような非常に高い水分率を有する米穀粒を精米することにより、通常の米のきめとは幾分異なるきめを有し、より近い意味ではパスタのきめに似ている製品が得られる。これらの理由のために、好ましくは、19%から27%までの水分率で精米を行う。これらの水分率では、米穀粒は、精米中の破壊損失も減少するように弾力がある。
好ましくは、乾燥加熱工程(c)は、マイクロ波または高周波エネルギーを圧力下の密封された容器内にある蒸された米に加えることにより行う。好ましくは、その米を、工程(c)においてさらに1分から5分に亘り133−137℃に保持する。
好ましくは、工程(d)を、1−4分間に亘り行って、22−27%の水分率に到達させる。
好ましくは、本発明の方法の湿式精米工程(e)を周囲温度よりもやや高い、典型的に20−50℃で米に実施する。
一般的に、精米工程(e)に高い水分率を選択すると、より速く調理できる乾式精米製品が得られる。米の品種および精米時の水分率に依存して、その製品に関して、5分程の短時間で調理できる、自然な外観ときめを有する調理米が得られる。
乾燥工程(f)は、通常、パーボイル工程に関して慣例であるように、熱気により大気圧で行われる。しかしながら、ある好ましい実施の形態においては、乾燥工程(f)を高速で行って、「インスタント」米製品を得る。すなわち、5分以内で、より好ましくは、2分以内で熱湯中で許容されるきめに調理できる米製品をインスタント米製品と称する(前述の定義を参照のこと)。減圧下で、または高速加熱により、高速乾燥を行って、製品を膨らませてもよい。インスタント米製品は通常、自然な米の外観を有してはいない。
本発明の別の態様は、米を高水分で精米することにより達成される利点であって、追加の調理工程または含水工程を必要とせずに、精米直後にインスタント化できるということに関するものである。したがって、本発明のある実施の形態は、湿式精米後に湿式精米した米製品をインスタント化することに関するものである。「インスタント化」は、微粉化、膨らまし等を含んでもよい。高水分で精米した米の容積膨脹は、ゲル化の度合い、水分率およびインスタント化温度と確実に相関関係がある。膨脹が大きいほど、米構造体がより多孔性となり、すなわち、調理が速くなる。しかしながら、インスタント化した米は、インスタント化前の高水分精米による効果および蒸す条件によるきめを「覚えている」。劣化(調質および/または乾燥により生じる)前にインスタント化を行うことにより、米は、軟らかく、完全にゲル化した状態に保持される。インスタント化して、所望の容積膨脹を達成するのに必要とされるエネルギーは、米がまだ劣化されていないので低い。インスタント化エネルギーが低いということは、インスタント化の温度が低いこと、したがって、望ましくない変色が少なく、インスタント米の品質が高いことを意味する。米を高い水分で精米した後、上述したように、米は軟らかいきめを有し、速く調理される。インスタント化後、多孔性構造中への水の拡散速度が速くなるので、米の調理時間がさらに著しく減少する。
本発明のインスタント米は、分離性が改良され、調理される容積収率が増大している。インスタント調理米の品質はまた、外観に関して、現在入手できるインスタント米製品の品質と比較して優れている。
インスタント米を製造するある実施の形態は、以下のようなものである:
(a) 沸点までの温度の水で玄米を処理して、その水分率を17%から30%までに増大させ、
(b) この処理した米を100℃から125℃までの温度で蒸して、水分率を19%から32%までの増大させ、
(c) この蒸した米を、密封した容器内で、圧力下で乾燥熱を用いて、t=195−2.5Mであり、Mが蒸した米のパーセントで表した水分率である、約t℃の最低温度で1分から5分間に亘り加熱して、
(d) 米に加える圧力を、1分から10分の期間で大気圧まで減少させ、それによって、加熱した米から水分を蒸発させて、温度を約100℃に、水分率を17%から27%までに減少させ、
(e) このパーボイル米を17%より多く32%までの水分率で精米し、
(f) この精米した米を1−5分間に亘り120℃−200℃で微生物学的安定性まで乾燥させる(約14%)。
本発明はまた、本発明による方法により得られるインスタント米を提供する。好ましくは、そのインスタント米は、100℃の熱湯中での調理時間が2分未満である(上述の定義参照)。別の実施の形態によれば、インスタント米は、「すぐ食べられる」ぱりっとした製品である。
実施例
以下の実施例は、本発明の範囲に包含される、上述したいくつかの製品およびその製造方法を説明するものである。もちろん、それらの実施例は、本発明をいかようにも制限するものと考えるものではない。米の種類、パーボイル法、精米中または処理中の水分レベル、精米または処理の時間、米の容積、精米の速度、使用する精米器の種類、精米または処理の温度、処理中の比率、時間および温度の範囲等の選択を含む、様々な変更および改変を本発明に関して行っても差し支えない。
実施例1
米国品種(ガルフモント)の未加工玄米を、約2−3時間に亘り、ゲル化温度(Tg)より5℃低い温度で空気中で含水させた。米の水分は、33%w.b.の平衡水分率に到達した。その米を完全に脱水させた。次いで、この米を15−20psig(121−125℃)で2−6分間に亘り蒸気パーボイルした。この米は、蒸し後に約32%の水分を有した。
パーボイル後、玄米は、偏光下でその複屈折を失っていた。次いで、この米を強制空気により20%から28%までの水分の範囲まで乾燥させた。部分的に乾燥した米を、磨耗水平精米器に三回通過させることにより精米した(従来の精米慣習において、これは、精米前に13−14%の水分まで乾燥されている)。精米後、この米を13−14%の水分まで乾燥させる。
米を試験または評価するために、以下の方法および基準を用いた:
嵩密度(kg/m 3 )
乾燥米:200gの米を1000mLのメスシリンダー中に徐々に注ぎ入れる。このシリンダーを振らずに、頂部を平らにする。米の高さの頂部から容積を読み取る。このシリンダーを底部での垂直な動きにより3、4回軽くたたいて、米を詰めて、最大嵩密度の容積を読み取る。最小嵩密度は、シリンダーを数回垂直の動きで振って、米を平らにし、バルク密度の計算のために容積を読み取ることにより得られる。
調理米:調理米を詰め込まずに計量カップ(79mL)中に1/3カップだけ充填する。その米を秤量し、計量カップの重量を引く。
米の寸法(mm)
50粒の米をパスによって、主要三軸−長さ、幅および胴(最小寸法)に沿って測定。測定値は、50粒の平均および標準偏差として表現される。
調理の評価
吸水率:
ガスストーブ上で、1/2クウォートのポット中で750mLの水道水を沸騰させ、100gの乾燥米(約12%w.b.で)を熱湯中に注ぎ入れ、蓋をし、熱をとろ火にし(中位の熱)、計時を開始する。予め設定した調理時間の経過後、火を消し、米および水を茶こしに注ぎ入れる。2分間に亘り水を切る。調理した米を秤量する。
剪断プレス値の試験(固さ):
米を調理してから10分後に、剪断プレス試験のために、50gの調理米を使用する。クレイマー(Kramer)剪断プレスセルの内側に、50gの調理米試料を均一な配置し、FTA−300ロードセルストレインゲージを備えたTG4C型(フードテクノロジーコーポレーション:Food Technology Corp.)に10cm/分の速度で圧縮力を加える。一回の圧縮試験における最大剪断プレス値を米の固さの指標として使用する。
以下は、表IVからVIおよび図14と15に示した値の適用性を説明する、調理米の典型的な知覚的きめの記載である。
固さ
剪断プレス値に関連する:
硬い 50kgより大きい
身の引き締まった 約40−45kg
軟らかい 30kg未満
凝集性
吸水率に関連する:
脆い 2.5未満
弱い 約2.7−2.8
柔らかい 3.4より大きい
破断性
白米の調理のきめを説明するのに有利であり、調理し足りないと、中心が硬く砕けやすくなり、調理し過ぎると、粘着性となる。
粘つき
剪断プレス値および米の水分に関連する。長期間に亘り保持した場合(食品サービス用の米のスチームテーブル上にあるときのような)、調理米を説明するのに有用なことがある。
糊っぽさ
表面上の穀粒の完全さに関連するので、白米の調理したきめを説明するためものである。
歯触り(tooth pack)
吸水率に関連する:
粘着性で粘つく 2.5未満
緩くて噛み易い 2.7より大きい
得られた製品の特性を以下の表IV−VIに示す。
表Vに示したように、ガルフモント品種の米を12%、20%および27%の水分で精米した。パーボイルしない精米前(表IV)、並びに乾式精米によるパーボイル後および湿式精米によるパーボイル後(表V)の殻粒の寸法(長さ、幅および胴)を比較することにより分かるように、パーボイルおよび精米により、米のサイズおよび形状が著しく変わる。
表VIは、吸水率、剪断率および嵩密度のような様々な調理米の特性を示している。12%、20%および27%の水分で精米した米に関する吸水率および剪断値が図14および15に示されている。
図14は、12%で精米した米に関する吸水率が、10分から20分までの調理時間で20%および27%のものの吸水率未満であることを示している。12%および20%の水分の米に関する吸水が8分で匹敵するように見えるかもしれないけれども、「調理」のレベルは異なるものと考えられる。このことは、異なる調理時間での米の剪断値を説明している図15を参照することにより確認される。この図に示したように、20%および27%の米の剪断値(固さ)は、常に、12%の米よりも著しく小さい。したがって、12%の米の吸水は、8分で20%の米に匹敵するけれども、20%の米に関する68.4kgに匹敵する73kgの12%の米の剪断値は、20%の米が12%のものよりも速く調理できることを示している。
さらに、10分で、12%の米の剪断値は、20%の米の46.7kgに匹敵する54.3kgである。調理米は、口に合うように(すなわち、適切な固さ)50kg未満の剪断値を有するべきである。したがって、20%の米は、12%の米よりも速く調理できる。
実施例2
(a) 簡易調理用米の調製
糠ではない殻が除去された米品種(サイプレスおよびタイボネット)の二つの500kgの試料を、71℃の水を含有する熱い浸漬浴(steeper bath)中に投入した。米の水中での滞留時間は4.5分であった。浸漬器の通過中に、米の水分は25%に上昇した。
次いで、米を脱水ベルトに移送して、米の表面に付いている水を除去した。米のベルト上での滞留時間は30−60秒の間であった。米を、このベルトから、蒸し器中に直接供給した。この蒸し器においては、106℃および約0.20バールの加圧下で蒸気が米に施される。蒸し器中の米の滞留時間は30分間であった。蒸し器の通過中に、米の水分は約28%まで上昇し、その温度は106℃まで上昇した。
次いで、蒸した米を、133℃から136℃および約3.5バールの加圧下で運転している連続マイクロ波装置に供給した。このマイクロ波装置内での米の滞留時間は4分であった。マイクロ波装置内での滞留時間中に、米穀粒内のデンプンは完全にゲル化した。
次いで、米に減圧装置を通過させた。この減圧装置内では、米への圧力を1分から6分の期間に亘り2−3段階で開放した。この期間中に、米の温度は約100℃まで降下し、その水分は約25%まで減少し、圧力は大気圧まで減少した。
第一の実施の形態において、約25%の水分にある米を約35℃まで冷却し、次いで、以下に記載するように精米した。
比較的を提供するため、その米の一部を従来の穀粒乾燥機内で14%の水分まで乾燥させ、次いで、約35℃まで冷却し、以下に記載するように精米した。
米の乾燥を従来の穀粒乾燥機内で行ったとすると、得られた乾燥精白米は、精米されたパーボイル米の滑らかで光沢のある外観特性を有している。同様の外観が、14%および24%の水分で精米した試料に関して達成される。
(b) インスタント米の調製
玄米をパーボイルし、上述したように、19%および24%の水分率で精米した。次いで、精米した湿った米を、120−127℃で10秒から7分までの間に亘り熱気乾燥によりインスタント化する。典型的な例は、2.5分間に亘り174℃で24℃の水分において湿式精米した米の処理である。この乾燥条件により、嵩密度が減少し、好ましくは、得られた製品が、300から600Kg/m3の範囲の嵩密度を有する。その結果、得られた膨脹度に応じて、調理時間が5分未満の製品が得られる。
(c) 調理のきめの評価
上記段落(a)において得られた湿式精白米を10分間に亘り調理した後、その米のきめを評価した。24%の水分率で精米した米において、従来の20分間の調理米に匹敵する、より軟らかく、より望ましいきめレベルが10分で達成された。これらの結果が図16に示されている。
本発明により製造した米製品の知覚分析
従来の20分調理用のパーボイル米(レモント14%水分精米)および従来の10分簡易調理用米(14%水分精米)に対する24%湿式精米タイボネット米(8分および10分で調理)の品質を評価した。
この湿式精白米は、14%の水分で精米した10分簡易調理用米と比較すると、より粘着性があり、わずかにより白い外観を有し、それほど分裂せず、精米も良好である。
10分調理の湿式精白米に関しては、20分調理の従来のパーボイル米と同じくらい柔らかく、8分調理の湿式精白米は、10分簡易調理の14%精白米よりも柔らかい。
味覚および香りに関しては、パネリストが、10分簡易調理の14%精白米は、それほど好ましくない香りであり、味もよくなかったと評価した。
1.試験した製品:
−1) 24%精米湿式精米タイボネット(wm)10分調理
−2) 24%精米湿式精米タイボネット(wm)8分調理
−3) 14%精米タイボネット10分調理
−4) 14%精米レモント20分調理
2.方法
所望のデスクリプタについて訓練を受けた10人のパネリストの群に、連続した2回の試行に亘り無作為の順番で試験試料を提示する。各々の試料を少なくとも2回試す。各々製品および各々のデスクリプタに関する得点を採取し、統計学的に分析する。
3.結果(図16も参照のこと)
以下のパラメータについて、著しい差(95%レベルに基づく)が検出された。
サイプレス米製品の知覚分析:
嵩密度の小さいタイボネット10分簡易調理用米(Cnv−Qc)に対する湿式精米サイプレス米(14%の水分および24%の水分)の品質を評価した。
外観:
全体的に24%水分の湿式精白米が、分裂、精米および色に関して最良の得点を得ている。Cnv−Qc米と比較すると、二種類の湿式精白米製品は、それほど粘着性ではなく、より白い外観を有し、それほど分裂しておらず、精米が良好であり、殻粒が長いが薄い。
タイボネット14%精米10分簡易調理用米と比較すると、両方の湿式精米製品は、精米が良好であり、それほど分裂しない。
きめ:
サイプレス14%水分精米およびタイボネット14%精米10分簡易調理用米は、24%サイプレスおよびCnv−Qcよりも固い。両方の群は、非常に類似の得点を得ている。
香りおよび味覚に関して
サイプレス24%およびCnv−Qcが、14%精米製品およびタイボネット14%精米10分簡易調理用米と比較して悪い得点を得ている。
試験した製品:
−1) 24%湿式精米サイプレス(wm)10分調理
−2) Cnv−Qc−8分調理
−3) タイボネット14%精米10分簡易調理用米10分調理
−4) 14%精米サイプレス10分調理
方法:
所定のデスクリプタについて訓練を受けた10人のパネリストの群に、連続した2回の試行に亘り無作為の順番で試験試料を提示する。各々の試料を少なくとも2回試す。各々製品および各々のデスクリプタに関する得点を採取し、統計学的に分析する。
結果(図16も参照のこと)
以下のパラメータについて、著しい差(95%レベルに基づく)が検出された。
(d) 調理収率への湿式精米の効果
本発明の方法により得られた乾燥パーボイル米製品の調理収率への湿式精米の効果が上記表Iに示されている。この湿式精米工程によって、乾式精米簡易調理用米に対して調理収率が改良されることが分かる。
本発明の上述した態様の全てが、本発明の実施の形態にあり、またはそれらのいかなる組合せにあってもよい。本発明の上述した記載は、説明を意図したものであって、制御を意図するものではない。当業者は、記載された実際の形態における様々な変更または改変を行ってもよい。これらは、本発明の精神または範囲から逸脱せずに行うことができる。
発明の分野
本発明は、簡易調理用米およびインスタント米の調製方法、およびそれによって得られる簡易調理用米およびインスタント米製品に関するものである。
関連技術の説明
以下に記載される参照文献は、各々本出願に引用され、本発明の分野に関連するものである。
米は、食品用途の年間生産高に関して、小麦に次いで単独で二番目の世界的に主要な食品類のうちの一つである。米は、世界の人口の約60%にとっての主要産物である。世界の米の約90%がアジアで生産され、消費されている。米は、広い気候条件下で成長できる半水生の一年草である。栽培された米は、オリザ サティバ(イネ)エル(Oryza sativa L.)またはオリザ グラベリマ ステウド(Oryza glaberrima Steud)のいずれかと呼ばれている。オリザ サティバは優占種であり、オリザ グラベリマは限定された規模でアフリカのみに生息している。
成熟したもみ米穀粒の全体構造が、図1に示されている(Rice:Chemistry and Technology,Bienvenido O.Julianoにより出版,18頁(1985)より)。この穀粒の主な部分は、もみ殻、果皮、種皮、珠心、胚芽、糊粉層および胚乳である。もみ殻は、殻果(玄米)の外側の被覆である。もみ殻は、もみ米の18−20重量%を構成し、虫の寄生および環境の変動に対する防御機能を果たす。デハリング(dehulling)によりもみ米からもみ殻を除去することにより、米の殻果が露出される。穀果の外側の四つの形態的に異なる層は、果皮、種皮(蓋)、珠心および糊粉である。多量の胚芽(胚)とともに、これらの層は、米粒の糠部分を構成する。糊粉層は、胚乳の植物的部分であるけれども、この層は、精米中に糠部分の一部として除去される。この糠部分は、玄米重量%の5−8%を占め、殻果のほとんどの栄養分である。糊粉層の細胞は、特に、タンパク粒および脂肪粒と呼ばれる多くの封入体からなる。したがって、栄養となる糠層が除去されているので、生の未処理精白米は、栄養値が減少している。
典型的に、米の調理には、米に水および熱を吸収させる工程が含まれる。例えば、米を熱湯中に所定の期間だけ配置することにより、米を調理してもよい。あるいは、米を、蒸すことにより調理してもよい。パーボイル米は典型的に、調理中に65重量%から75重量%までの水を吸収する。水は、調理の際に、時間と線形的に吸収される。そのため、調理時間を減少させると、吸収される水の量も減少する。このことは著しく、100gの乾燥米に関して、18分間での180gから、10分間での120gおよび8分間での100gまで減少する。水の吸収量が少ないと、米は、外側が柔らかく、内側が硬く、脆く、未調理の状態となってしまう(水の吸収量は、所定の時間に亘る過剰の水中での調理後の、100gの乾燥米からの重量増加である)。吸水率は、所定の時間後の100gの乾燥米からの調理米産物の重量と定義されている。
調理米は典型的に、元の米と比較して、異なる機械的特性を有している。許容される食感および味覚に必要とされる調理の度合いは、地域ごとに異なる。例えば、米国では、軟らかめの米製品が望ましいとされることが多いが、ヨーロッパ人は典型的に、硬めまたは固めの米を望んでいる。以下は、調理米の食感特性を特徴付けるのによく用いられる用語のリストである(KohlwayによるR ice:New Evaluation Methods,120頁を参照のこと):
固さ 最初の一噛みでの大臼歯間で調理米を圧縮するのに必要な力。固さの度合いは、軟らかい(低)、固め(中)から硬い(高)までに亘る。(また、組織構造の文献においては硬さとも称される)
粘着性 口(食べている最中)、調理米自体、および給仕用具に粘着する調理米を除去するのに必要な力。粘着力の度合いは、はげ落ちやすい(低)からねばねばした(高)までに亘る。
弾力性 調理米が、歯の間で一度圧縮されたときに元の形状に戻る度合い。弾力性の度合いは、粘性流(低)から弾性(高)までに亘る。
凝集性 歯の間で圧縮されたときの、潰される前の粒を互いに保持する内力。内力の度合いは、粥状(低)、軟らかい(中)から、堅い(高)またはアルデンテに調理された米における脆い(高)までに亘る。
噛みごたえ 調理米を一定の速度の力の適用で噛みこなして、飲み込むのに適した稠度まで低下させるのに必要な時間(秒)。
破断性 調理米が砕かれる力。高い度合いが、高度の硬さおよび低度の凝集性を有する米である。
粘つき 噛みこなしている最中に持続する濃さ;調理米を飲み込む準備のできている状態までばらばらにするのに必要なエネルギー。この用語は、硬さと凝集性の複合体である。粘つきの度合いは、粉っぽい(低)からねばつく(高)までに亘る。
糊っぽさ 表面の湿気の種類を示す。この状態は、乾燥してフレーク状(低)から湿って糊っぽい(高)までに亘る。
歯のパック 調理米が大臼歯の先端に留まるのに十分に粘着性でねばついている調理米の一噛みに関連する。これは、主に押出調理米に関する欠点であるが、完全には調理されていない前もって調理された米に見られる。
生の白米は、半ゆで(パーボイル)にされていないが、乾燥した生の状態にある玄米から精米される。この白米は一般的に、パーボイル米よりも速く調理される。生の白米には、典型的に、12−18分ほどの調理時間が必要である。しかしながら、得られる調理米は、非常に糊っぽい味がする。水および熱が、米の殻粒内の個々のデンプン粒に進入し、それらを膨潤させ、破裂させて、遊離した分子状のデンプンを放出させる。これによって、口の中で非常に糊っぽく、練りもののような感触が生じる。
パーボイルは、調理米の糊っぽさを減少させるのに用いられる典型的な方法である。パーボイル米は、通常、水に浸され、熱処理され、乾燥させられた米として定義される。米の乳胚中のデンプンは、パーボイルの熱処理工程中に、実質的にゲル化される。パーボイル工程およびその結果のデンプンのゲル化には、いくつかの有益な効果がある。パーボイルによって、糠層からの栄養素が、除去される前に米の内部に移行し、栄養価の向上した米製品が得られる。さらに、パーボイル米は、そのきめ、外観、味覚、芳香および幅広いレシピのために、多くの消費者によって、白米(生の米/精白米)よりも好まれている。
従来のパーボイル工程は、一般的に、以下の工程を含む:(1)もみ米(または精米前の米)を2−4時間に亘り50−70℃の水に浸して、水の含有量が30−35重量%のもみ米を生成し;(2)浸した米からの遊離している水を切り;(3)8−20分間に亘り圧力下で蒸気の熱を加えて、ゲル化を行わせ;(4)蒸された米を熱気で乾燥させて、その水の含有量を約12−14重量%まで減少させる。ここで、この乾燥し、パーボイルされたもみ米は、(もみ殻を除くための)殻とり、および糠を除去するための精米の用意ができている。
パーボイルは、特許文献において盛んに話題になっている。そこでは、基本的な技術を改良する様々な努力が行われている。例えば、米国特許第5,107,395号では、高温での特別な予備乾燥工程が教示されている。米国特許第4,810,511号では、部分的なゲル化のためにマイクロ波エネルギーを使用することが記載されている。米国特許第4,361,593号によれば、米のデンプンは、蒸している間では完全にはゲル化されず、調節工程を非ゲル化条件下で行って、続いて破裂するのを減少させる。米国特許第4,338,344号には、米が、下側端部にある第一の区域内の熱水中で調理され、次いで、上側端部にある第二の区域内で蒸される包囲された傾斜チャンバが開示されている。
パーボイルによって、これらの改良された特徴を有する米製品が提供されるけれども、得られるパーボイル米は、精米された白米よりも、調理時間が長くなってしまう。ほとんどのパーボイル米は、このパーボイル米を食用に適した所望の状態にするには、エマージョン(emersion)調理が少なくとも20分間必要である。白米の精米と比較した、従来の米パーボイル工程の別の欠点としては、米の殻粒に糠層がより強く結合し、その結果、このパーボイル後の殻粒表面から糠を除去する精米工程に、時間とエネルギーをより多く使わなければならないということがある。
したがって、パーボイル米は、糊っぽさがなくなるといった改良点並びに他の有利な特性を示すけれども、これらの利点は一部、乾燥したパーボイル米を完全に元に戻して、この製品を調理するのに必要な調理時間が長くなってしまうことによりある程度相殺される。
それゆえ、調理時間が減少したパーボイル米製品を提供することが望まれている。調理時間のより速い米製品は、以前には、元の形状を変更させる、従来のパーボイル処理後の追加の工程を含む方法によりおよび/または米の構造を化学的に変化させることにより主に行われてきた。前者としては、(a)サイズの減少、(b)膨らまし(puffing)、または(c)押出しが挙げられる。後者の化学的工程の例としては、(a)酵素処理または(b)米タンパク質の変性が挙げられる。これらの従来技術の方法によっては、サイズ、きめ、形状、色、味覚または口当たりにおける元々の自然な状態を有する米製品が得られない。
「サイズの減少」では、個々の米の殻粒の厚さを減少させることにより、調理時間を改良している。米の殻粒を完全に水和させるのが速くなるので、米の厚さの減少によって、調理時間が減少する。すなわち、厚さが減少すると、水分が米の殻粒の中央に移行するのにかかる時間が減少する。オザイ−デュラニ(Ozai−Durrani)の米国特許第2,733,147号は、その外側部分が、完全に可溶性の状態にある、湿って、完全にゲル化されたデンプンを含み、その内側部分が、非常にわずかな度合いのゲル化および柔軟性から、完全なゲル化および柔軟性までに亘るデンプンを含む完全米を、それらの殻粒がフレーク状まで減少させずに、それら殻粒の構造を改変させるように機械的に圧縮することにより、簡易調理用米製品を調製する方法に関するものである。この特許には、上述した条件にしたがって浸漬され、予備調理された米に関して、減少した調理時間で通例のように調理された米のきめおよび他の特徴を有する元の戻された製品を提供するために、殻粒の厚さを、元の(または通例の米)の厚さの約30%から約80%に減少させるべきであることが分かった。ルイス(Lewis)等の米国特許第5,045,328号は、冷ロール(cold−rolling)により水分率の多いパーボイル米の圧縮を行って、米のその調理特性を達成することに関するものである。
「サイズの減少」に依存しているこの方法によって、調理時間の減少した米製品が得られるけれども、この製品は、形状およびサイズが変更された結果として、外観が不自然になり、口当たりが変わってしまう。さらに、これらの方法には、サイズを減少させるのに、追加の加工工程およびいくつかの機械設備(冷ロールまたは圧縮装置)が必要である。
「膨らまし」工程を用いる方法では、米製品の容積を減少させ、それによって、密度を減少させることにより調理時間を減少させている。その結果、容易に元に戻せる多孔質構造が形成される。この膨らまし工程は、(1)必要とされる水の迅速な蒸発を達成する急激な熱の適用に依存する大気圧工程、および(2)過熱された湿った粒子を低圧の空間に急激に移送させることを含む圧力降下工程を含んでいる。この膨らみ現象は、殻粒の隙間内の水蒸気(蒸気)の急激な膨脹によるものである(Rice,volume II:Utilization,Second Edition,Edited by Bor S.Luh,page 180を参照のこと)。
オザイ−デュラニの米国特許第2,438,939号は、デンプンをゲル化し、殻粒をそれらの元々のサイズを実質的に越えて軟化させ、膨潤させるように水分および熱により米を処理し、次いで、それらの拡大したサイズを保持し、内部のデンプンが収縮した結果として殻粒全体に亘り多孔質構造を形成するような様式で膨潤した殻粒を乾燥させることに関するものである。この工程により、元の容積の約2倍の容積および通常の調理米の軟らかい味覚特性を有する個々の殻粒に即座に水和できる多孔質構造を有する、乾燥した、個々の、実質的にゲル化された米穀粒からなる米製品が得られる。安藤等の米国特許第4,166,868号は、8−25%の水分率を有する圧縮米を揚げて、膨らんだ、食べる用意のできている米製品を形成することに関するものである。安藤等の米国特許第4,233,327号は、熱気または高周波誘電加熱により8−25重量%の水分率を有する圧縮米を膨らませ、乾燥させて、簡易調理用米製品を形成することに関するものである。
「膨らませる」方法により、調理時間が改良された米製品が得られるけれども、その製品は、形状、表面組織およびサイズが変更された結果として、外観が不自然になり、口当たりが変わってしまう。
「押出し」を含む方法では、米製品の塊を押し出すことによってパスタ状物質を形成することにより、米の調理時間を減少させている。形成された押出製品は、パスタに似ており、従来の米と比較して、外観および口当たりが著しく異なる。
上述した方法にはまた、それぞれに、米を加工する少なくとも1つの追加工程および/または装置が必要であるので、欠点がある。殻粒の厚さの減少を含む方法には、例えば、殻粒を圧縮する別の工程が必要である。
米の調理時間を減少させる他の方法としては、以下の文献に記載されている方法が挙げられる。
ルイス等の米国特許第4,810,506号は、パーボイル殻粒に、水および酵素を含有する測定された量の溶液にする処理を施すことを含む、殻粒製品の製造工程に関するものである。好ましくは、そのパーボイル殻粒を、その酵素含有溶液による処理の前にローラの間を通過させることにより、まだ熱い間に圧縮する。
コックス(Cox)等の米国特許第3,879,566号は、水が、膨潤のためにデンプン成分により利用されるように米のタンパク質成分を改質し、その親水性特徴を増大させるように米のデンプン成分を改質する簡易調理用米を調製する工程に関するものである。
ここで、米穀粒は、それらの物理的構造を変更する機械的作用にさらされない。その代わりに、化学物質および熱処理を用いて、その簡易調理用米の調製中および味覚に合わせる最後の調理中に、米穀粒への水の浸透を促進させることにより、米穀粒の化学成分の分子または内部構造修飾が行われる。この化学的変更によって、調理された米製品の味覚または色が異質になってしまうことがある。
上述した方法によっては、外観、味覚および/または口当たりが自然な簡易調理用パーボイル米製品が得られない。この自然な外観は、料理業界に広く受け入れられているように、食品の第一印象は、一般的に視覚であるので重要である。すなわち、特定の食品を食べる人の食欲をそそるのは、気を引く色および他の視覚的きっかけに関する先入観に大いに依存する。外観は、食品の経る劣化変化の尺度となるべき、人が予測する影響のある品質特性である。芳香および風味もまた、香りおよび味覚に影響がある。したがって、規格はずれの外観により、食品が拒絶される可能性が増大し、この現象は、世界中の大多数の米を食べる文化の中で米の容認性を危険にさらしてしまう。これは、米が、米の調理特徴を変更するのに用いた添加物(すなわち、酵素または化学薬品)の結果として、異質の風味を有する場合に、さらに大きくなる。米の外観が均一で自然であり、米の風味がその銘柄に近く、ほのかであることが望まれている。
したがって、個々の米穀粒のサイズおよび/または形状を実質的に変更せずに自然な外観および風味並びに滑らかな表面組織を有する簡易調理用米またはインスタント米を製造すること、および簡易調理用米の製造における複雑さおよび/またはコストを著しくは増大させない、そのような米を製造する方法が望まれている。
発明の目的
本発明の目的は、改良された簡易調理用米またはインスタント米およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、自然な外観および風味を有する米であって、その米の口当たり、調理収率および完全さが改良された米、およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、滑らかな組織を有する簡易調理用米を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、米の加工の複雑さおよび/またはコストを著しく増大させたり、化学薬品または酵素を使用したりしない、改良された簡易調理用米またはインスタント米を提供することにある。
本発明の上述した目的と他の目的および利点が、以下の記載に述べられているかまたはそれから明白となる。
発明の概要
本発明は、簡易調理用米製品またはインスタント米製品並びにその製造方法に関するものである。本発明は、より詳しくは、水分率の高い米を機械的に処理して、調理特性が向上した米製品を得る工程を含む方法に関するものである。得られた製品は、外観および風味が自然であり、口当たりの特性、調理収率および米の完全さが改良されている。好ましくは、機械的処理の工程は、高水分米を精米することにより行う。高水分米を直接的またはパーボイルの直後に精米することにより、追加の加工工程を加えずに、または化学薬品または添加剤を用いずに、簡易調理用米が得られる。元に戻すこと、圧縮および熱気のような従来の簡易調理用米加工の追加の工程を省くことができる。実際に、本発明は、パーボイル直後の従来の乾燥および戻し工程が、米が湿っている間に精米されるために、省略されるか、または著しく減少されるので、簡易調理用米またはインスタント米の調製を単純にし、それに関連する費用を減少させる。
驚くべきことに、本発明によって、パーボイルされた乾式精白米と比較して、必要な調理時間が実質的に減少することが分かった。特に、この方法を用いて、約100℃のお湯で、たった10−12分間またはそれ未満、例えば、6−10分間、より好ましくは、5−8分間に亘り沸騰させた後にきめが許容される簡易調理用米を製造することができる。米の正確な調理時間は、米の品種および湿式処理工程における正確な水分率を含むあるパラメータに依存する。しかしながら、今まで試験したところでは、全ての米の品種に関して、また、19重量%から32重量%までの範囲の水分率に関して、著しく調理時間が減少する。好ましい米の品種としては、パンダ(Panda)、ペルデ(Pelde)、タイボネット(Thaibonnet)、ガルフモント(Gulfmont)、カティ(Katy)およびサイプレス(Cypress)が挙げられる。
本発明の別の態様は、湿式精白米をさらに膨らませて、さらに調理時間が減少した米製品を得ることにより製造されたインスタント米製品の形成に関するものである。インスタント米製品は、湿式精白米はすでに精米後に高水分レベルを有しているので、従来のように乾式精米した米を元に戻す工程を必要とせずに製造することができる。得られたインスタント米は、調理時間が、好ましくは、約8分未満、より好ましくは、約7分未満、さらに好ましくは、6分未満、そして最も好ましくは、5分未満である。
【図面の簡単な説明】
以下、本発明の特定の実施の形態を、実施例として、図面を参照してさらに説明する。
図1は、もみ米穀粒の断面を示している。
図2(a)および(b)は、アミドブラック/血液染料で着色された14%(図2(a))および17%(図2(b))の水分で精米したタイボネット米穀粒の顕微鏡写真(53倍)である。
図3は、14%の水分で精米したタイボネット米穀粒の立体顕微鏡写真(15倍)である。
図4は、通常の光条件下での、パーボイルした30%水分精米ガルフモント長粒の写真である。
図5(a)および(b)は、アミドブラック/血液染料で着色された19%(図5(a))および24%(図5(b))の水分で精米したタイボネット米穀粒の顕微鏡写真(53倍)である。
図6は、24%の水分で精米したタイボネット米穀粒の立体顕微鏡写真(15倍)である。
図7は、明視野透過照明(transillumination)を用いた、24%の水分で精米したタイボネット米穀粒の顕微鏡写真(75倍)である。
図8は、27%の水分で精米したガルフモント米穀粒の立体顕微鏡写真(15倍)である。
図9は、明視野透過照明を用いた、27%の水分で精米したガルフモント米穀粒の顕微鏡写真(75倍)である。
図10は、簡易調理用米製品を製造する本発明の一つの実施の形態による方法における工程の流れ図である。
図11は、インスタント米製品を製造する本発明の一つの実施の形態による方法における工程の流れ図である。
図12(a)および(b)は、14%の水分で精米したタイボネット米の二次電子顕微鏡写真であり、図12(a)は、25倍の倍率であり、図12(b)は、1000倍の倍率である。
図13(a)および(b)は、24%の水分で精米したタイボネット米の二次電子顕微鏡写真であり、図13(a)は、25倍の倍率であり、図13(b)は、1000倍の倍率である。
図14は、12%、20%または27%の水分で精米したガルフモント米に関する吸水率(縦軸)と調理時間(横軸)との間の関係を示すグラフである。
図15は、12%、20%または27%の水分で精米したガルフモント米に関する剪断値(縦軸)と調理時間(横軸)との間の関係を示すグラフである。
図16は、14%の水分および24%の水分で湿式精米した米穀粒の知覚評価からのデータを示している。
定義
「物理的特性」という用語は、化合物または組成物の固有の測定可能な特性、例えば、表面積、機械的特性、密度、多孔率等を意味する。
「比較的」という用語は、物理的特性の値の95%が、事情に応じて、構造体の軸に沿って、その平面内で、またはその容積内で測定された場合、平均値のプラスマイナス20%以内にあることを意味する。
「実質的」という用語は、物理的物性の値の95%が、事情に応じて、構造体の軸に沿って、その平面内で、またはその容積内で測定された場合、平均値のプラスマイナス10%以内にあることを意味する。
「調理時間」は、周知のこととして「不明瞭な」概念である。米の調理時間は、熟達した味覚の評価者によって厳密に再現できるように決定されるように、そのきめに関して定義されてもよい。この用語はさらに、以下に論じる。
「玄米」という用語は、糠層の一部または全てが米穀粒にまだ付着している米を称する。玄米は、カーゴブラウン(cargo brown)と称されることもある。
「もみつき米」という用語は、殻のある(すなわち、殻の取られていない)米を称する。
別記しない限り、水分率は、米の総重量に基づく(すなわち、湿った重量基準)水分の重量%として与えられている。
好ましい実施の形態の説明
パーボイルされる(例えば、ヨーロッパ特許第A0352239号および米国特許第5,316,783号に記載されている方法により)米を、その米がまだ湿っている間に精米することにより、驚くべきことに、外観が全く実質的に自然であり、調理時間が減少し、同一の調理時間で比較して調理の収率が改良され(すなわち、食品サービス用途に関して、一人分がより多くなる)、調理されたきめが軟らかく、他の関連する利点を有する米製品が得られる。いかなる理論にも結びつけることを意図するものではないが、本発明の方法により製造される湿式精米されたパーボイル米のより迅速な調理は、裸眼には見えない、米穀粒全体に亘り均一に形成された多くの小さな亀裂によるものであると考えられる。
パーボイルされたもみつき米を、精米の損失を減少させるために、わずかに湿っており、柔軟である間に精米することが知られているが(特に、このことによって、破壊される米の量が減少し、玄米から精白米を製造するのに必要な総エネルギーが減少する)、そのような方法では、17%未満の水分レベルを用いている。精米中の水分率が低下するほど、米が砕けやすくなるためにこの米の破壊される量が多くなる。15.5%から16.5%までの水分率で、もみつきパーボイル米を精米するそのような方法が以前に記載されている(1986年9月22−25日に、エジプト、アレクサンドリアのthe Rice Technology Training Centreにおけるthe Third International Conference on Riceで発表された「Integration Between Hydrohtermic and Mechanical Processing of Rice」を参照のこと)。約16.5%未満の水分率を有するパーボイル米の精米は、簡易調理用米を調製するのに現在まで用いられていないけれども、その代わりに、単に精米中の米の破壊を減少させるために用いられてきた。水分レベルが高いと、精米された米および遊離した糠が、精米装置に付着し、次第に、精米室を遮断するか、あるいは精米装置を通る流動を有害に妨害すると考えられているので、そのような高水分レベルは以前には避けられていた。
従来の米の精米において、収穫した米またはパーボイル米は、精米作業の前に安定した水分範囲まで乾燥される。しかしながら、水分レベルが19%よりも高いと、パーボイル米製品は、軟らかく、より柔軟である。驚くべきことに、そのような高水分レベルは、精米装置を通る米の流れを有害に妨げずに使用することができる。したがって、高水分米を精米する場合、生産物は、壊れるというよりももしろ曲がる。高水分米のこの曲がりにより、明らかに、デンプン細胞または内部構造が内部分裂する。この内部分裂によって、水分を米中に拡散させる毛管を提供する微小な亀裂が生じ、さらに処理する必要なく速く調理できる米製品が得られると考えられる。
パーボイル米を17%水分未満まで乾燥させる場合、ゲル化したデンプン高分子が再結晶化し、流動学的特性が粘弾性からガラス質へと変化する。したがって、米は単に、米穀粒の互いと精米石に対する磨耗作用により、約17%水分未満の水分で精米される。米はまた、米の硬さのために、低水分範囲で摩擦精米(磨耗精米石のない)により精米してもよい。
白米(パーボイルされていない)または従来のパーボイル米中の部分的にパーボイルされた米構造体における脆さと異なり、完全にパーボイルされた米は、穀粒全体に亘り一貫してゲル化された均一なきめを有している。中間の水分から高水分で(19%w.b.より高い)、殻粒は、軟らかく、柔軟で、弾性(ゴム状)である。米の表面は、乾燥のために中心よりもわずかに硬い。この水分範囲で、米の殻粒は、壊れずに曲がることができる。よりもろい糠層は、縦方向に曲げられたときに、横方向に亀裂が生じる。しかし、米は亜糊粉層(subaleurone layer)までがばらばらになるだけであり、曲げによっては、予めゲル化したデンプン乳胚は損傷しない。十分な機械的作業(好ましくは精米による)に関して、糠層(保護層)は、乳胚から剥がれるか、または小片に分解される。糠層が精米中に除去され、軟らかい乳胚は、硬い糠層がないために、いっそう容易に曲がる。精米において、糠は、精米作用において、石上での剥がしにより剥がされる。殻粒の曲げにより、徐々に、乳胚内の二膜細胞壁が緩くなり、細胞内構造が破壊される。その効果は、吸水が速くなり、調理が速いことである。
本発明により製造した米製品は、その自然な外観(すなわち、サイズ、形状およびきめ)を維持している。本発明は、個々の米穀粒または多数の殻粒に関するものである。多量に製造する場合、実質的に全ての殻粒が、簡易調理特性を有する。好ましくは、50%より多く、より好ましくは、75%より多く、さらに90%より多く、そして最も好ましくは、95%より多くがその特性を有する。
本発明の利点の一つは、米の調理時間が減少することである。調理のレベルを特徴付ける一つの有用なパラメータは、吸水率である。高い水分で精米を行うことにより、表Iに示したように、米を調理する際の吸水率が高くなる。表Iは、比較米製品と比較した、本発明により製造した米の、ある時間間隔での吸水値を示している。
面白いことに、本発明により製造した長粒の米製品は、従来の方法により調製した中粒米の寸法が、より小さく、したがって、高吸水率を有するべきであるけれども、この中粒米よりも大きい吸水値を有していた。
本発明により提供される増大した吸水には、いくつかの有益な効果がある。この吸水により、調理時間が減少し、簡易調理用米製品が得られる。より高い吸水特性により、同一の調理時間で比較したときの米の調理収率が増大する(このことは、プレート上の重量および見かけ部分のサイズが重要である食品サービス用途にとって重要である)。さらに、口当たりが改良されている(特に減摩性)。得られる製品は、好ましくは、滑らかな光沢表面および滑らかな口当たりおよび/またははっきりした無傷の全穀粒および速い調理特性を有する。
本発明の別の実施の形態によれば、湿式精米した米を長時間に亘り(すなわち、15分から20分よりも長い時間)、熱湯(100℃)中で調理して、色がより白く、裂かれた穀粒が少なく、きめが軟らかくおよび/またはより細長い調理米を得てもよい。驚くべきことに、湿式精米をした米を長時間に亘り調理した場合、吸水は、穀粒を分解(すなわち、裂いたり、穴を形成させたり等)せずに、100グラムの乾燥米当たり約300グラムを越えるレベルに到達することができる。すなわち、湿式精白米は、調理しすぎに対する耐性および丈夫さが増大している。
したがって、本発明は、吸水が増大し、調理時間が減少した簡易調理用米を提供する。好ましくは、この簡易調理用米の調理時間は、100℃の熱湯中で6−10分間である。より好ましくは、この簡易調理用米の調理時間は、同一の条件下で5−8分間である。
好ましくは、本発明により製造された米の相対的な調理時間は、従来の乾式精白米製品の調理時間よりも10%短い、より好ましくは、15%短い、さらに好ましくは、20%短い、そして最も好ましくは30%短い。
この製品は、8分間に亘り過剰の水中で調理した後、100グラムの乾燥米当たり、220グラムよりも大きい吸水レベルを有するべきである。好ましくは、この製品は、10分間(好ましくは8分間)に亘り過剰の水中での調理の後、100グラムの乾燥米当たり230グラムより大きい、より好ましくは、240グラムより大きい、さらに好ましくは、250グラムより大きい、そして最も好ましくは、260グラムより大きい吸水レベルを有する。
好ましくは、本発明により製造した米に関する吸水率および/または量は、従来の乾式精米(14%の水分)した米と比較した場合、少なくとも5%、より好ましくは、10%、さらに好ましくは、15%、そして最も好ましくは、20%増大している。
本発明により製造した米製品は、裸眼で見た場合(拡大がほとんどまたは全くなく、特別な照明条件のない)、個々のときと大量にあるときとの両方で、従来のパーボイル米と実質的に同一の形状に見える(調理の前後両方で)。さらに、本発明の製品は、好ましくは、従来の調製米と実質的に同一の嵩密度を有する。本発明の製品は典型的に、最小で約730kg/m3の嵩密度を有する。好ましくは、米の殻粒の寸法および/またはその嵩密度の最大変化は、20%未満、より好ましくは、15%未満、さらに好ましくは、10%未満、そして最も好ましくは5%未満である。
得られた製品のきめは好ましくは滑らかである。この滑らかさは、一部には、糠層が、こすり取る(scratch off)(低水分精米中に生じると考えられていることである)ことよりもむしろ高水分レベルの結果として取り除かれる(pull off)または剥がされる(peel off)ために向上すると考えられている。したがって、従来の精米中に典型的に生じるこすり取りまたはえぐり取り(gouge)が減少するかまたは除かれる。さらに、その米の殻粒は、高水分の結果として精米中の柔軟性が増大しているので、表面が粗くなる傾向が著しく減少する。その結果、滑らかな表面を有する米穀粒となる。
通常の光条件下で見た場合、本発明により製造した米穀粒は、実質的な滑らかで、亀裂のない表面を有している(図4)。本発明により製造された米穀粒は好ましくは、暗視野または明視野照明を用いるか、または染料を用いて見た場合、その表面の大部分に亘り微小亀裂(microcracks)または裂け目(fissures)を有する(図5−9参照)。好ましくは、この米製品には、0.2mmより大きいサイズまたは幅を有する粗い縁または亀裂が実質的にない(染色により測定した)。亀裂または裂け目の平均幅は、好ましくは、約0.15mm未満であり、より好ましくは、約0.1mm未満であり、さらに好ましくは、0.075mm未満であり、そして最も好ましくは、0.05mm未満である。好ましくは、これらの殻粒には、0.1ミクロンから2.0ミクロンまでの平均幅を有する、表面上の多数の微小亀裂または微小裂け目がある(染色のないSEMにより測定)。
好ましくは、亀裂または裂け目のパターンが、殻粒の表面全体に亘り均一なウェブ状またはメッシュ状パターンを形成する。これらの亀裂または裂け目は、好ましくは、互いから離れた、幅、長さ、深さと、形状とが実質的に均一である(図5および6参照)。いくつかの好ましい実施の形態によれば、裂け目または亀裂が、滑らかな直線というよりもむしろ、不規則な線または縁を形成する。
倍率15倍で見えるほとんどの亀裂または裂け目は、米穀粒の長さに対して、垂直と平行の両方に向けられているが、これら裂け目の実質的に全ては、その長さに対して垂直である(図5−9参照)。好ましくは、垂直すなわち横方向の裂け目の数の、水平すなわち長さ方向の裂け目の数に対する比率は、約2対1より大きく、より好ましくは、約5対1よりも大きく、さらに好ましくは、約8対1より大きく、そして最も好ましくは、約10対1よりも大きい。好ましくは、垂直すなわち横方向の裂け目の全長の、水平すなわち長さ方向の裂け目の全長に対する比率は、約2対1より大きく、より好ましくは、約5対1よりも大きく、さらに好ましくは、約8対1より大きく、そして最も好ましくは、約10対1よりも大きい。
裂け目の密度は、好ましくは、殻粒表面の少なくとも50%、より好ましくは、少なくとも75%、さらに好ましくは、90%、そして最も好ましくは、95%に亘り均一である。好ましくは、亀裂または裂け目の密度は、殻粒表面の長さに亘り実質的に均一である。より好ましくは、それら殻粒は、平方mm当たり1の平行亀裂および平方mm当たり10より大きい垂直亀裂の平均亀裂密度を有している。
様々な殻粒は、図2から9を参照することにより比較することができる。図2−9により、米糊粒への高水分精米の効果が確認される。図2および3は、14%の水分で精米したタイボネット米穀粒を示している。図4は、30%の水分で精米した、パーボイルしたガルフモント長粒米穀粒を示している。図5−7は、19%の水分(図5(a))または24%の水分(図5(b)、6および7)で精米したタイボネット米穀粒を示している。図8および9は、27%の水分で精米したガルフモント米穀粒を示している。
図2および5は、染料を施した後の様々な米国粒を示す顕微鏡写真である。表面のきめおよび亀裂の差が、これらの図面において特に強調されている。各々の試料からの殻粒について、異なる種類の染料を用いた。これらの米穀粒を偏光顕微鏡(PLM)により調査して、どの染料が、構造的因子間で最大の対比を形成するかを評価した。ある染料により望ましい結果が得られた。使用した染料は、アミドブラックと血液染料との混合物であった。各々の試料からの殻粒を、約5分間に亘り染料中に浸漬し、空気乾燥させた。次いで、それらの殻粒をPLMにより倍率53倍で調査した。この染料により、殻粒内の表面のきめおよび構造的亀裂の差が強調された。青(アミドブラック/血液染料)が濃いほど、表面積および表面活性が大きいことを示している。
図3、6および8は、様々な水分レベルで精米した米殻粒を示す暗視野透過照明の立体顕微鏡写真である。これらの試料は、染色しなかった。暗視野透過照明を用いたオリンパスSZH立体顕微鏡により、米穀粒の写真を撮影した。通常の装置の対物倍率は15倍であった。全てに亘り、3.3倍の接眼レンズを用いた。4インチ×6インチの全体の倍率は、15倍である。
図7および9は、明視野照明を用いて作成した顕微鏡写真である。米穀粒を、5倍の対物レンズおよび3.3倍の接眼レンズを用い、明視野照明で、オリンパスBH−2顕微鏡により写真撮影した。これら検体の総倍率は、75倍である。これらの顕微鏡写真の目的は、高倍率で内部亀裂を示すことにある。これらの高倍率の画像は、表面形状を視覚化するのに役立つ。
図3を参照すると、14%の水分で精米された米穀粒が、倍率15倍の立体顕微鏡写真に示されている。この殻粒の表面には、亀裂または裂け目が実質的にない。しかしながら、この殻粒は、表面の掻き傷または溝を有するようには見えず、このことは、糠層が、低水分レベルで精米されたときに剥ぎ取られたとの考えを裏付けている。
図3に示された殻粒を、24%の水分で精米したタイボネット米穀粒の立体顕微鏡写真を示す図6と比較する。図6から分かるように、得られた製品には、裸眼では見えない、殻粒表面に亘り均一に分布している小さな亀裂または裂け目がある。この立体顕微鏡写真から分かるように、実質的に全ての裂け目が横方向となっている。これらの裂け目により、熱湯および蒸気が米穀粒の内部に急速に均一に浸透し、それによって、調理工程が促進されると考えられる。
図7は、24%の水分で精米したタイボネット米製品の透過照明顕微鏡写真(75倍)である。これらの裂け目は、全て横方向であり、実質的に均一な間隔となり、パターンが形成されている。
図8から分かるように、これらの裂け目は、殻粒全体(図7)というよりもむしろ、殻粒の一部に亘り均一にパターンが形成されている。この差は、異なる米の品種が用いられている(ガルフモント対タイボネット)という事実により説明されるであろう。異なる米品種は、異なって影響を受けると考えられている。あるものは、例えば、同一の結果を達成するために、精米の最中に、より高いまたはより低い水分率を必要とするかもしれない。さらに、外観の差は、精米中に用いられた異なる水分率(24%対27%)により生じるかもしれない。あるいは、この差は、ガルフモント米が水平精米装置(サタケRMB 10G)内で精米され、一方、図7に示されたタイボネット米は垂直精米器(サタケVTA05)内で精米されたという事実により生じたのかもしれない。この水平精米器により、垂直精米器に匹敵する、応力/歪みの異なる力成分が加えられるかもしれない。この垂直精米器によって、異なる裂け目パターンが形成されるかもしれない。さらに、このガルフモント米製品は、タイボネット米とは異なる方法によりパーボイルしたものである前者は、米国特許第5,316,783号に対応する方法と類似の工程によりパーボイルし、一方、後者は、ヨーロッパ特許第A0352939号に対応する方法によりパーボイルした。
これらの相違により、図7および8に示された殻粒間の差が説明されるであろう。しかしながら、両方の殻粒は、調理特性および口当たり特性が改良されている。上述したような材料/方法/装置の全ての差にもかかわらず、非常にはっきりした微細な裂け目パターンが、両方の湿式精米した試料に観察された。
湿った米の処理は、もみ、ガス抜き、音波エネルギー、衝撃付与または所望の結果が得られる他の物理的力により行っても差し支えない。上述したように、その処理によって、全ての方向で力が適用されなければならない。例えば、殻粒を単純に圧延することによって、絞りにより力が不均一に適用される。この殻粒は、単に圧縮されている。さらに、その殻粒は端部よりも中央部のほうが厚いので、その中央部にはより大きい量の圧縮力が加えられる。その結果、加えられる力の大きさは不均一である。しかしながら、一連の柔軟なローラが用いられる場合、加えられた力により、殻粒全体に亘り、より均一なもみ、捻りおよび圧縮が与えられる。
好ましくは、その処理は、圧延(milling)によるものである。圧延により、殻粒に、圧縮、もみ、曲げ、捻り等を含む様々な力が加えられる。その結果、殻粒の内部構造が均一に処理される。
いくつかの染色された試料からの殻粒の亀裂密度を、倍率100倍で10の校正された接眼レンズの視界当たりの亀裂の数を計測することにより測定した。その測定結果が表IIに示されている。
銘柄1番の亀裂密度が高いように見えるけれども、その吸水率は高くはなかった(表I参照)。染色試料において調査した「亀裂」は実際には亀裂ではなく、単純な表面凹凸であったと考えられる。本発明による湿式精米により形成された裂け目は、0.01mmよりも大きい深さを有すると考えられる。このことを、実質的に亀裂がないことが分かった銘柄1番の染色していない試料を調査することにより確認した。
表IIから分かるように、本発明により製造した米製品は、従来の米製品と比較して異なる亀裂密度を有する。本発明の殻粒の均一な亀裂密度によって、簡易調理特性、自然な外観および改良された口当たりが得られると考えられる。
本発明の方法には、機械的処理またはもみによって、殻粒の寸法全体に亘り殻粒に歪みおよび応力が均一に適用される、水分率の高いパーボイル米穀粒の機械的処理またはもみが含まれる。この方法によって、殻粒に一連の多成分力が適用される。殻粒全体に亘り均一に応力および歪みを適用することにより、その構造体中に均一な亀裂を形成することができる。好ましくは、本発明の方法は:
a.未加工の水稲からもみ殻を脱ぷ除去し、
b.パーボイルし、
c.部分的に乾燥させ(必要に応じて)、冷却し、
d.糠層を除去し、
e.殻粒を機械的に処理し、
f.乾燥させて、簡易調理用米を得る各工程を含む。
工程(d)および(e)は、順序を交換したり、組み合わせても差し支えない。好ましくは、糠層を除去し、それと同時に殻粒を屈曲させる。ある好ましい実施の形態において、高水分の殻粒を、湿式精米し、それによって、糠層を除去し、これと同時に殻粒を屈曲させる。
別の実施の形態によれば、米を:
a.水稲(すなわち、もみが除去されていない)に含水させ(好ましくは34%の水分)、
b.米を蒸して、この米パーボイルし、ゲル化させ、
c.約20−25%の水分まで乾燥させ、
d.もみ殻を除去し、
e.米を湿式精米し、
f.乾燥させて、簡易調理用米製品を得る各工程からなる方法により処理する。
乾燥工程(c)の最中に、水稲の外側層が、内側部分よりも速く乾燥する。その結果、全体的な米の水分率は、例えば、20%であるかもしれないが、その米の内側殻粒部分における水分率はそれよりも高く、一方で、外側の殻はより乾燥している。その殻は、比較的乾燥して、除去を容易にする必要がある。
水稲(すなわち、殻を有する)をパーボイルする利点の一つは、全殻粒収率を増大させることである。パーボイル中に、以前は破壊されていた米の殻粒は、殻により互いに保持され、デンプンのゲル化により互いに糊付けされている。その結果、水稲段階で破壊された米の割合が、パーボイル中に生じる「ヒーリング:回復(healing)」により減少するので、全体的な全殻粒収率が改良される。しかしながら、水稲をパーボイルすることにより、玄米(brown)パーボイル工程と比較して、やや暗い色合いの米が得られる。
したがって、パーボイルプロセッサは、玄米(もみ殻が除去された)または水稲(もみ殻付き)を含んでもよい。
本発明の他の実施の形態が、図10および11に示された流れ図に説明されている。図10(A)−(G)は、簡易調理用米を調製する従来の方法と比較した本発明による方法の流れ図を示している。図11(A)−(D)は、インスタント米を調製する、本発明および従来の方法を示している。
より詳しくは、図10(A)および10(C)は、乾式精米を用いたもみ付きパーボイル米を処理する従来の方法の流れ図である。図10(B)および(D)は、高水分精米を用いた水稲の処理に関連する本発明のいくつかの好ましい実施の形態を示している。図10(B)および(D)に示したように、精米の前に、いくつかの乾燥および調理を行ってもよい。乾燥Iにより、水分率を34%から27%まで減少させる。乾燥IIにより、27%から20%まで減少させる。最終乾燥により、20%から13%まで減少させる。図10(E)−(G)に示した「追加工程」は、従来の乾式精米パーボイル米から簡易調理用米を製造するのに必要な追加工程を示している。これらの流れ図から分かるように、本発明により、より単純で、より対費用効果的な、簡易調理用米を製造する方法を提供する。
同様に、図11(A)−(D)は、インスタント調理米製品を製造する本発明を用いることの利点を示す流れ図である。
ある好ましい実施の形態によれば、米に、少なくとも二つの、好ましくは三つの精米器を通過させる。この精米器は、垂直または水平であっても差し支えない。好ましくは、精米器は垂直である。適切な精米器としては、サタケRMB10G型およびVTA05型または同様の大きなサイズ/容量のユニットまたは機械が挙げられる。石灰石粉末のような精米助剤を用いてもよい。使用する精米石の種類および精米速度を変更して、米の品種に応じて、糠の除去および簡易調理特性を最適化することができる。
精米中の米の水分率は、17%から35%まで、好ましくは、19%から30%まで、より好ましくは、21%から28%まで、そして最も好ましくは、23%から25%以上のいずれかになくてはならない。使用する水分率は、所望の結果、米の種類、米の前処理(すなわち、パーボイル方法等)、処理するための手段等を含む様々な要因に依存する。これらの要因に応じて、例えば、17%ほどの低い水分率により、本発明の利点を得てもよい。適切な水分率は、それらの要因のレベルを変更し、その結果を調査することにより決定することができる。
本発明の前駆体米材料は好ましくは、パーボイル米である。上述したように、パーボイル米は通常、浸漬され、熱処理され、乾燥された米として定義される。パーボイルの熱処理工程中に、米の胚乳内にあるデンプンが実質的にゲル化される。パーボイル工程およびその結果としてのデンプンのゲル化には、前述したようないくつかの有利な効果がある。米を、米の殻粒が、一般的に少なくとも25%よりも大きくそれらの水分率を増大させるまで、十分な期間に亘り、水、お湯または熱湯中にもみ米(実質的に畑から穫れたときの精米していない米)を浸漬し;米を、デンプンの少なくとも85%を、そして95−100までを実質的にゲル化する過圧下で蒸して、玄米を湿式精米することにより、調製してもよい。本発明によれば、従来の簡易調理用米/インスタント米工程における戻しおよび乾燥の工程を、簡易調理用米またはインスタント米を調理するのに減少させるかまたは除去することができる。さらに、殻の除去は、パーボイルの前または後に行ってもよい。このパーボイル米は、精米の前に、部分的に乾燥させ、パーボイルしてもよい。したがって、米は、パーボイル後に直接冷却し、精米しても、または乾燥および冷却工程の直後に精米してもよい。
ヨーロッパ特許第A0352939号および米国特許第5,316,783号には、玄米をパーボイルする適切な二つの方法が記載されている。
本発明のある実施の形態は、含水、蒸し、精米および乾燥の各工程を含む方法に関するものである。精米後、米は、水分が13%に到達するまで、低温で乾燥させるか、またはインスタント化させる。
米の品質に影響を与える工程の変動要因は、実質的に、米デンプンの化学的性質の反応において役割を果たす要因、すなわち、水分、熱、処理時間および米中の微量成分である。米が精米されるときの水分およびインスタント化工程中の米の膨脹もまた、主要な工程変動要因である。これらの工程変動要因および米の品質への一般的な効果の概要が表IIIに示されている。
含水は、ゲル化の度合いに関するパーボイル米の品質に影響を与える。平衡含水なくしては、米穀粒の中心の水分が少なくなってしまう。パーボイル後、低水分の米の中心は不透明になる(白い胴部)。これは、高いパーボイル温度において、殻粒の中心で微小裂け目が生じる(水分の欠如のために)という事実によるものである。米が完全には含水されない場合、より高い蒸気圧/温度を用いなければ、ゲル化が完了しない。デンプンのゲル化は、水の補助により、結晶性アミロペクチン鎖を溶融する工程である。ゲル化の度合いは、米の調理品質に影響を与え、したがって、含水の程度は間接的に米の調理品質に影響を与える。
他のいずれの処理よりも蒸し(またはパーボイル)は、米の調理品質に寄与する。蒸している最中に、デンプン粒子は、膨潤し、水中に溶解し、アミロースの小さな断片を排出し、得られれば、もっと水分を吸収する。一般的に、調理した米のきめは、ゲル化の度合いが増大するにつれ安定する。粒子内部のデンプン分子は混成であるので、ゲル化の工程は、粒子サイズ、ゲル化温度、デンプン分子の組成/形状、およびデンプンと水の濃度の関数である。米を蒸す温度が高くなり、時間が長くなるほど、ゲル化がより進行する。従来のパーボイル圧では、飽和蒸気内での長いパーボイル時間により、水分がより吸収されて、含水が連続的となり、ゲル化が自発的に行われる。
前述したように、パーボイル米の精米は、通常、米が硬く、ガラス質であるときに13%で行われる。約20%以上での水分率でパーボイルされた米は、粘弾性のきめを有する。この水分レベルで精米が行われる場合、米は、精米チャンバ内で屈曲され、曲がり、明らかに、細胞間構造が破壊される。その結果、表面が非常に滑らかに磨かれ、調理時間が従来のパーボイル米よりも短い米が得られる。精米が軟らかい表面に対して行われるので、亜糊粉層までの糠層が、磨耗精米石により、層から層へと「磨かれ」るかまたは「剥がされる」。これによって、アミロプラスト細胞が無傷のままとなる。このことは、14%の水分(図12)および24%の水分(図13)で精米されたタイボネット米の二次電子顕微鏡写真である図12および13において確認される。図12(b)は、24%の水分の米がより滑らかな表面を有することを裏付ける図13(b)と比較した、14%の水分の米の粗く裂かれた表面を示している。調理中において、調理された米の表面は、デンプン粒子が調理の終わりで三倍もの水の量を吸収した後でさえもまだ滑らかである。
胚乳中の実質細胞の細胞間構造は、高水分での精米中に損傷しているかもしれないと考えられている。この破壊によって、水分が米中により速く拡散し、したがって、調理が速くなり、吸水率も高くなる。この物理的変化は、米穀粒の柔軟性の関数である。より高い水分率では、米は、より低い水分率でよりも、より軟らかく、より柔軟性である。したがって、曲げ、衝突および屈曲の影響により、内側の細胞構造に衝撃を与え、細胞間構造損傷の程度のほうがより重大である。より高い水分で精米した米は、より低い水分で精米された米よりも、速く調理され、軟らかいきめを有している。
本発明の別の好ましい実施の形態は:
(a) 玄米を沸点までの温度の水で処理して、その含有量を17%から30%までに増大させ、
(b) この処理米を100℃から125℃までの温度で蒸して、その水分率を19%から32%までに増大させ、
(c) この蒸した米を、密封した容器内で、圧力下で乾燥熱を用いて、t=195−2.5Mであり、Mが蒸した米のパーセントで表した水分率である、約t℃の最低温度で1分から5分間に亘り加熱して、
(d) 米に加える圧力を、1分から10分の期間で大気圧まで減少させ、それによって、加熱した米から水分を蒸発させて、温度を約50℃に、水分率を17%から27%までに減少させ、
(e) このパーボイル米を17%より多く32%までの水分率で精米し、
(f) この精米した米を微生物学的安定性まで乾燥させる(約14%)各工程からなる、簡易調理用米を調製する方法に関するものである。
好ましくは、湿式精米工程(e)を、19−27%の範囲の水分率を有する米について実施する。32%より多い水分率のような非常に高い水分率を有する米穀粒を精米することにより、通常の米のきめとは幾分異なるきめを有し、より近い意味ではパスタのきめに似ている製品が得られる。これらの理由のために、好ましくは、19%から27%までの水分率で精米を行う。これらの水分率では、米穀粒は、精米中の破壊損失も減少するように弾力がある。
好ましくは、乾燥加熱工程(c)は、マイクロ波または高周波エネルギーを圧力下の密封された容器内にある蒸された米に加えることにより行う。好ましくは、その米を、工程(c)においてさらに1分から5分に亘り133−137℃に保持する。
好ましくは、工程(d)を、1−4分間に亘り行って、22−27%の水分率に到達させる。
好ましくは、本発明の方法の湿式精米工程(e)を周囲温度よりもやや高い、典型的に20−50℃で米に実施する。
一般的に、精米工程(e)に高い水分率を選択すると、より速く調理できる乾式精米製品が得られる。米の品種および精米時の水分率に依存して、その製品に関して、5分程の短時間で調理できる、自然な外観ときめを有する調理米が得られる。
乾燥工程(f)は、通常、パーボイル工程に関して慣例であるように、熱気により大気圧で行われる。しかしながら、ある好ましい実施の形態においては、乾燥工程(f)を高速で行って、「インスタント」米製品を得る。すなわち、5分以内で、より好ましくは、2分以内で熱湯中で許容されるきめに調理できる米製品をインスタント米製品と称する(前述の定義を参照のこと)。減圧下で、または高速加熱により、高速乾燥を行って、製品を膨らませてもよい。インスタント米製品は通常、自然な米の外観を有してはいない。
本発明の別の態様は、米を高水分で精米することにより達成される利点であって、追加の調理工程または含水工程を必要とせずに、精米直後にインスタント化できるということに関するものである。したがって、本発明のある実施の形態は、湿式精米後に湿式精米した米製品をインスタント化することに関するものである。「インスタント化」は、微粉化、膨らまし等を含んでもよい。高水分で精米した米の容積膨脹は、ゲル化の度合い、水分率およびインスタント化温度と確実に相関関係がある。膨脹が大きいほど、米構造体がより多孔性となり、すなわち、調理が速くなる。しかしながら、インスタント化した米は、インスタント化前の高水分精米による効果および蒸す条件によるきめを「覚えている」。劣化(調質および/または乾燥により生じる)前にインスタント化を行うことにより、米は、軟らかく、完全にゲル化した状態に保持される。インスタント化して、所望の容積膨脹を達成するのに必要とされるエネルギーは、米がまだ劣化されていないので低い。インスタント化エネルギーが低いということは、インスタント化の温度が低いこと、したがって、望ましくない変色が少なく、インスタント米の品質が高いことを意味する。米を高い水分で精米した後、上述したように、米は軟らかいきめを有し、速く調理される。インスタント化後、多孔性構造中への水の拡散速度が速くなるので、米の調理時間がさらに著しく減少する。
本発明のインスタント米は、分離性が改良され、調理される容積収率が増大している。インスタント調理米の品質はまた、外観に関して、現在入手できるインスタント米製品の品質と比較して優れている。
インスタント米を製造するある実施の形態は、以下のようなものである:
(a) 沸点までの温度の水で玄米を処理して、その水分率を17%から30%までに増大させ、
(b) この処理した米を100℃から125℃までの温度で蒸して、水分率を19%から32%までの増大させ、
(c) この蒸した米を、密封した容器内で、圧力下で乾燥熱を用いて、t=195−2.5Mであり、Mが蒸した米のパーセントで表した水分率である、約t℃の最低温度で1分から5分間に亘り加熱して、
(d) 米に加える圧力を、1分から10分の期間で大気圧まで減少させ、それによって、加熱した米から水分を蒸発させて、温度を約100℃に、水分率を17%から27%までに減少させ、
(e) このパーボイル米を17%より多く32%までの水分率で精米し、
(f) この精米した米を1−5分間に亘り120℃−200℃で微生物学的安定性まで乾燥させる(約14%)。
本発明はまた、本発明による方法により得られるインスタント米を提供する。好ましくは、そのインスタント米は、100℃の熱湯中での調理時間が2分未満である(上述の定義参照)。別の実施の形態によれば、インスタント米は、「すぐ食べられる」ぱりっとした製品である。
実施例
以下の実施例は、本発明の範囲に包含される、上述したいくつかの製品およびその製造方法を説明するものである。もちろん、それらの実施例は、本発明をいかようにも制限するものと考えるものではない。米の種類、パーボイル法、精米中または処理中の水分レベル、精米または処理の時間、米の容積、精米の速度、使用する精米器の種類、精米または処理の温度、処理中の比率、時間および温度の範囲等の選択を含む、様々な変更および改変を本発明に関して行っても差し支えない。
実施例1
米国品種(ガルフモント)の未加工玄米を、約2−3時間に亘り、ゲル化温度(Tg)より5℃低い温度で空気中で含水させた。米の水分は、33%w.b.の平衡水分率に到達した。その米を完全に脱水させた。次いで、この米を15−20psig(121−125℃)で2−6分間に亘り蒸気パーボイルした。この米は、蒸し後に約32%の水分を有した。
パーボイル後、玄米は、偏光下でその複屈折を失っていた。次いで、この米を強制空気により20%から28%までの水分の範囲まで乾燥させた。部分的に乾燥した米を、磨耗水平精米器に三回通過させることにより精米した(従来の精米慣習において、これは、精米前に13−14%の水分まで乾燥されている)。精米後、この米を13−14%の水分まで乾燥させる。
米を試験または評価するために、以下の方法および基準を用いた:
嵩密度(kg/m 3 )
乾燥米:200gの米を1000mLのメスシリンダー中に徐々に注ぎ入れる。このシリンダーを振らずに、頂部を平らにする。米の高さの頂部から容積を読み取る。このシリンダーを底部での垂直な動きにより3、4回軽くたたいて、米を詰めて、最大嵩密度の容積を読み取る。最小嵩密度は、シリンダーを数回垂直の動きで振って、米を平らにし、バルク密度の計算のために容積を読み取ることにより得られる。
調理米:調理米を詰め込まずに計量カップ(79mL)中に1/3カップだけ充填する。その米を秤量し、計量カップの重量を引く。
米の寸法(mm)
50粒の米をパスによって、主要三軸−長さ、幅および胴(最小寸法)に沿って測定。測定値は、50粒の平均および標準偏差として表現される。
調理の評価
吸水率:
ガスストーブ上で、1/2クウォートのポット中で750mLの水道水を沸騰させ、100gの乾燥米(約12%w.b.で)を熱湯中に注ぎ入れ、蓋をし、熱をとろ火にし(中位の熱)、計時を開始する。予め設定した調理時間の経過後、火を消し、米および水を茶こしに注ぎ入れる。2分間に亘り水を切る。調理した米を秤量する。
剪断プレス値の試験(固さ):
米を調理してから10分後に、剪断プレス試験のために、50gの調理米を使用する。クレイマー(Kramer)剪断プレスセルの内側に、50gの調理米試料を均一な配置し、FTA−300ロードセルストレインゲージを備えたTG4C型(フードテクノロジーコーポレーション:Food Technology Corp.)に10cm/分の速度で圧縮力を加える。一回の圧縮試験における最大剪断プレス値を米の固さの指標として使用する。
以下は、表IVからVIおよび図14と15に示した値の適用性を説明する、調理米の典型的な知覚的きめの記載である。
固さ
剪断プレス値に関連する:
硬い 50kgより大きい
身の引き締まった 約40−45kg
軟らかい 30kg未満
凝集性
吸水率に関連する:
脆い 2.5未満
弱い 約2.7−2.8
柔らかい 3.4より大きい
破断性
白米の調理のきめを説明するのに有利であり、調理し足りないと、中心が硬く砕けやすくなり、調理し過ぎると、粘着性となる。
粘つき
剪断プレス値および米の水分に関連する。長期間に亘り保持した場合(食品サービス用の米のスチームテーブル上にあるときのような)、調理米を説明するのに有用なことがある。
糊っぽさ
表面上の穀粒の完全さに関連するので、白米の調理したきめを説明するためものである。
歯触り(tooth pack)
吸水率に関連する:
粘着性で粘つく 2.5未満
緩くて噛み易い 2.7より大きい
得られた製品の特性を以下の表IV−VIに示す。
表Vに示したように、ガルフモント品種の米を12%、20%および27%の水分で精米した。パーボイルしない精米前(表IV)、並びに乾式精米によるパーボイル後および湿式精米によるパーボイル後(表V)の殻粒の寸法(長さ、幅および胴)を比較することにより分かるように、パーボイルおよび精米により、米のサイズおよび形状が著しく変わる。
表VIは、吸水率、剪断率および嵩密度のような様々な調理米の特性を示している。12%、20%および27%の水分で精米した米に関する吸水率および剪断値が図14および15に示されている。
図14は、12%で精米した米に関する吸水率が、10分から20分までの調理時間で20%および27%のものの吸水率未満であることを示している。12%および20%の水分の米に関する吸水が8分で匹敵するように見えるかもしれないけれども、「調理」のレベルは異なるものと考えられる。このことは、異なる調理時間での米の剪断値を説明している図15を参照することにより確認される。この図に示したように、20%および27%の米の剪断値(固さ)は、常に、12%の米よりも著しく小さい。したがって、12%の米の吸水は、8分で20%の米に匹敵するけれども、20%の米に関する68.4kgに匹敵する73kgの12%の米の剪断値は、20%の米が12%のものよりも速く調理できることを示している。
さらに、10分で、12%の米の剪断値は、20%の米の46.7kgに匹敵する54.3kgである。調理米は、口に合うように(すなわち、適切な固さ)50kg未満の剪断値を有するべきである。したがって、20%の米は、12%の米よりも速く調理できる。
実施例2
(a) 簡易調理用米の調製
糠ではない殻が除去された米品種(サイプレスおよびタイボネット)の二つの500kgの試料を、71℃の水を含有する熱い浸漬浴(steeper bath)中に投入した。米の水中での滞留時間は4.5分であった。浸漬器の通過中に、米の水分は25%に上昇した。
次いで、米を脱水ベルトに移送して、米の表面に付いている水を除去した。米のベルト上での滞留時間は30−60秒の間であった。米を、このベルトから、蒸し器中に直接供給した。この蒸し器においては、106℃および約0.20バールの加圧下で蒸気が米に施される。蒸し器中の米の滞留時間は30分間であった。蒸し器の通過中に、米の水分は約28%まで上昇し、その温度は106℃まで上昇した。
次いで、蒸した米を、133℃から136℃および約3.5バールの加圧下で運転している連続マイクロ波装置に供給した。このマイクロ波装置内での米の滞留時間は4分であった。マイクロ波装置内での滞留時間中に、米穀粒内のデンプンは完全にゲル化した。
次いで、米に減圧装置を通過させた。この減圧装置内では、米への圧力を1分から6分の期間に亘り2−3段階で開放した。この期間中に、米の温度は約100℃まで降下し、その水分は約25%まで減少し、圧力は大気圧まで減少した。
第一の実施の形態において、約25%の水分にある米を約35℃まで冷却し、次いで、以下に記載するように精米した。
比較的を提供するため、その米の一部を従来の穀粒乾燥機内で14%の水分まで乾燥させ、次いで、約35℃まで冷却し、以下に記載するように精米した。
米の乾燥を従来の穀粒乾燥機内で行ったとすると、得られた乾燥精白米は、精米されたパーボイル米の滑らかで光沢のある外観特性を有している。同様の外観が、14%および24%の水分で精米した試料に関して達成される。
(b) インスタント米の調製
玄米をパーボイルし、上述したように、19%および24%の水分率で精米した。次いで、精米した湿った米を、120−127℃で10秒から7分までの間に亘り熱気乾燥によりインスタント化する。典型的な例は、2.5分間に亘り174℃で24℃の水分において湿式精米した米の処理である。この乾燥条件により、嵩密度が減少し、好ましくは、得られた製品が、300から600Kg/m3の範囲の嵩密度を有する。その結果、得られた膨脹度に応じて、調理時間が5分未満の製品が得られる。
(c) 調理のきめの評価
上記段落(a)において得られた湿式精白米を10分間に亘り調理した後、その米のきめを評価した。24%の水分率で精米した米において、従来の20分間の調理米に匹敵する、より軟らかく、より望ましいきめレベルが10分で達成された。これらの結果が図16に示されている。
本発明により製造した米製品の知覚分析
従来の20分調理用のパーボイル米(レモント14%水分精米)および従来の10分簡易調理用米(14%水分精米)に対する24%湿式精米タイボネット米(8分および10分で調理)の品質を評価した。
この湿式精白米は、14%の水分で精米した10分簡易調理用米と比較すると、より粘着性があり、わずかにより白い外観を有し、それほど分裂せず、精米も良好である。
10分調理の湿式精白米に関しては、20分調理の従来のパーボイル米と同じくらい柔らかく、8分調理の湿式精白米は、10分簡易調理の14%精白米よりも柔らかい。
味覚および香りに関しては、パネリストが、10分簡易調理の14%精白米は、それほど好ましくない香りであり、味もよくなかったと評価した。
1.試験した製品:
−1) 24%精米湿式精米タイボネット(wm)10分調理
−2) 24%精米湿式精米タイボネット(wm)8分調理
−3) 14%精米タイボネット10分調理
−4) 14%精米レモント20分調理
2.方法
所望のデスクリプタについて訓練を受けた10人のパネリストの群に、連続した2回の試行に亘り無作為の順番で試験試料を提示する。各々の試料を少なくとも2回試す。各々製品および各々のデスクリプタに関する得点を採取し、統計学的に分析する。
3.結果(図16も参照のこと)
以下のパラメータについて、著しい差(95%レベルに基づく)が検出された。
サイプレス米製品の知覚分析:
嵩密度の小さいタイボネット10分簡易調理用米(Cnv−Qc)に対する湿式精米サイプレス米(14%の水分および24%の水分)の品質を評価した。
外観:
全体的に24%水分の湿式精白米が、分裂、精米および色に関して最良の得点を得ている。Cnv−Qc米と比較すると、二種類の湿式精白米製品は、それほど粘着性ではなく、より白い外観を有し、それほど分裂しておらず、精米が良好であり、殻粒が長いが薄い。
タイボネット14%精米10分簡易調理用米と比較すると、両方の湿式精米製品は、精米が良好であり、それほど分裂しない。
きめ:
サイプレス14%水分精米およびタイボネット14%精米10分簡易調理用米は、24%サイプレスおよびCnv−Qcよりも固い。両方の群は、非常に類似の得点を得ている。
香りおよび味覚に関して
サイプレス24%およびCnv−Qcが、14%精米製品およびタイボネット14%精米10分簡易調理用米と比較して悪い得点を得ている。
試験した製品:
−1) 24%湿式精米サイプレス(wm)10分調理
−2) Cnv−Qc−8分調理
−3) タイボネット14%精米10分簡易調理用米10分調理
−4) 14%精米サイプレス10分調理
方法:
所定のデスクリプタについて訓練を受けた10人のパネリストの群に、連続した2回の試行に亘り無作為の順番で試験試料を提示する。各々の試料を少なくとも2回試す。各々製品および各々のデスクリプタに関する得点を採取し、統計学的に分析する。
結果(図16も参照のこと)
以下のパラメータについて、著しい差(95%レベルに基づく)が検出された。
(d) 調理収率への湿式精米の効果
本発明の方法により得られた乾燥パーボイル米製品の調理収率への湿式精米の効果が上記表Iに示されている。この湿式精米工程によって、乾式精米簡易調理用米に対して調理収率が改良されることが分かる。
本発明の上述した態様の全てが、本発明の実施の形態にあり、またはそれらのいかなる組合せにあってもよい。本発明の上述した記載は、説明を意図したものであって、制御を意図するものではない。当業者は、記載された実際の形態における様々な変更または改変を行ってもよい。これらは、本発明の精神または範囲から逸脱せずに行うことができる。
Claims (14)
- 簡易調理用米を調製する方法であって:
実質的に全ての糠層および胚芽をそのまま有する米粒を提供し;
前記米粒をパーボイル処理して、該米粒内のデンプンを実質的にゲル化させ;
次に、17から35重量%の水分率になるように前記米粒を部分的に乾燥させ;
次に、17から35重量%の水分率の米粒を精米して該米粒から実質的に全ての糠層および胚芽を除去し、該精米工程の間、米粒に歪みをもたらし、その歪みが個々の米粒の細胞内構造を破壊し、それによって複数の均一な微小裂目が各米粒の表面の少なくとも一部に形成されるように、米粒を機械的に処理し;さらに
前記米粒を乾燥させて、8分間に亘る過剰な水の中での調理後に、100グラムの乾燥米当たり230グラムを越える調理米となるような吸水率を有する簡易調理用米を作成する;各工程を含むことを特徴とする方法。 - 前記米粒が、精米工程の間、19から30重量%の水分率を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
- 前記米粒が、精米工程の間、23から25重量%の水分率を有することを特徴とする請求の範囲第2項記載の方法。
- 前記複数の微小裂け目が相互接続して、多数の横方向の微小裂け目および多数の縦方向の微小裂け目からなるウェブ状パターンを形成することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
- 前記複数の微小裂け目が、0.01mmを越える深さを有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
- 個々の米粒の表面に、17質量%未満の水分率を有する米粒の乾式精米により生じる微細な窪みおよび孔が実質的に無いことを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
- 前記米粒が、8分間に亘る過剰な水の中での調理後に、100グラムの乾燥米当たり240グラムを越える調理米となるような吸水率を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
- 前記米粒が、8分間に亘る過剰な水の中での調理後に、100グラムの乾燥米当たり260グラムを越える調理米となるような吸水率を有することを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
- 個々の米粒が、裸眼で見たときに実質的に歪んでいないことを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
- 機械的力が普遍的な方向に均一に適用されるように、パーボイル米粒の機械的処理がなされることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
- 前記機械的処理が、米粒の屈曲、米粒への衝撃付与、および米粒への音波エネルギーの付与より成る群から選択される物理的力によって行われることを特徴とする請求の範囲第10項記載の方法。
- 前記簡易調理用米が、もみ米または玄米から調製されることを特徴とする請求の範囲第1項記載の方法。
- インスタント調理用米を調製する方法であって:
実質的に全ての糠層および胚芽層をそのまま有する米粒を提供し;
前記米粒をパーボイル処理して、該米粒内のデンプンを実質的にゲル化させ;
次に、17から35重量%の水分率になるように前記米粒を部分的に乾燥させ;
次に、17から35重量%の水分率の米粒を精米して該米粒から実質的に全ての糠層および胚芽を除去し、該精米工程の間、米粒に歪みをもたらし、その歪みが個々の米粒の細胞内構造を破壊し、それによって複数の均一な微小裂目が各米粒の表面の少なくとも一部に形成されるように、米粒を機械的に処理し;
次に、個々の米粒の容積を膨張させるために、前記機械的に処理された米粒に、微粉化、膨らましおよび熱気乾燥よりなる群から選択される処理を施し;さらに
前記米粒を乾燥させて、5分間に亘る過剰な水の中での調理後に、100グラムの乾燥米当たり230グラムを越える調理米となるような吸水率を有するインスタント調理用米を作成する;各工程を含むことを特徴とする方法。 - 前記インスタント調理用米が、もみ米または玄米から調製されることを特徴とする請求の範囲第13項記載の方法。
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