JP2004357608A - 改質玄米とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】稲から籾殻を除いただけのいわゆる玄米とほぼ同じ栄養成分率を有しながら、精白米とまったく同じ手順で炊飯でき、しかも食味、食感、消化吸収に優れる改質玄米を実現する。
【解決手段】玄米の表皮層を研磨処理して果皮を除去するとともに果皮の下側の種皮の一部を除去して種皮に被覆されている管細胞組織を玄米表面に部分的に露出させるとともに管細胞組織における管内の油脂分を除去して管内を空洞化させてなる改質玄米を実現して上記課題を解決する。
【選択図】 図1
【解決手段】玄米の表皮層を研磨処理して果皮を除去するとともに果皮の下側の種皮の一部を除去して種皮に被覆されている管細胞組織を玄米表面に部分的に露出させるとともに管細胞組織における管内の油脂分を除去して管内を空洞化させてなる改質玄米を実現して上記課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、改質玄米とその製造方法に関し、詳しくは玄米の表皮層のみを研磨除去することにより、有効成分が保存され、炊飯が容易で消化吸収性および食味にも優れた新規な玄米とその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
玄米は、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン類、食物繊維など人体に必要なほとんどの栄養素をバランス良く含む食品である。因みに、精白米との比較で、ビタミンEは約10倍、ビタミンB1は約4倍、ビタミンB2は約3倍、繊維は約3倍、カルシウムは約2倍等々の数値が確認されている。
【0003】
このようなことから、健康食品ブームともあいまって玄米の見直しがすすみ、現今では随所で玄米食のすすめが見られるようになっている。
しかしながら、飯用米が玄米から精白米に変遷していった必然性が示すように、玄米には前記長所の反面種々の短所を具えており、この短所は玄米の生物学的構成に由来する。 図15は、玄米の略構造を示す断面図である。
図において、1は稲から収穫した米からもみ殻を取り除いたいわゆる玄米であり、2は表皮層、3は中皮とも呼ばれる管細胞組織、4は糊粉層、5は胚乳部、6は胚芽である。 いわゆる白米は、表皮層2、管細胞組織3、糊粉層4、胚芽6を糠として除去して胚乳部5のみに精製したものである。
米は、玄米の状態では炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、食物繊維など多種類の栄養素を有しており、特に発芽のための枢要をなす胚芽には、同定が困難な生命根源物質が存在しているものと考えられている。これらの物質の大半は精白工程で糠として除去されてしまい、通常、白米と称されている精白米は蛋白質と炭水化物のみとなっている。
【0004】
玄米の見直しは、米が元来有している前記物質の摂取に由来するものであるが、現実にヒトが玄米を食物として常用することは容易なことではない。
すなわち、玄米は調理すなわち精白米のような容易な炊飯が難しい、消化吸収に難がある、食味に劣る等々の短所を有している。
【0005】
従来、玄米を炊飯するには5時間以上水に浸した後、米研ぎして長い時間をかけて加熱する必要がある。 ところが、現在の自動炊飯器の多くは白米炊飯を前提としており、玄米のでんぷんがアルファー化するに必要な加熱時間の経過前にスイッチが切れてしまう。 したがって、玄米の炊飯には通常の鍋、釜でなすか、玄米炊飯用の特別な自動炊飯器を使用せざるを得ない。
【0006】
稲からもみ殻を除いただけの、いわゆる玄米は、仮に必要十分な加熱により炊飯しても消化吸収が悪く、食味が極めて悪く常用に堪えられない。
【0007】
以上のような玄米の短所は、玄米の生物的な構造に基づいている。すなわち、図16は、図15に示す玄米の構造をより詳細に示す模式図である。
表皮層2は、果皮2aとその内側の種皮2bとからなり、表皮層2の内側には中皮とも呼ばれる管細胞組織3が存在する。7は管細胞組織3の内側に形成される深皮でありアリウロン層とも言われ脂肪、タンパク質等による粘質層である。4はいわゆる糊粉層、5はでんぷん質である胚乳部である。
【0008】
前記果皮2bの表面には米蝋膜が形成されていてこのパラフィン質2aが水分の内部浸透を防止していて、玄米の調理を困難にする一因ともなっている。
また、前記米蝋膜にはグアニン、リグニン等の緩下剤作用を有する忌避物質が存在し、これらは摂取上の安全性は有しても大量にとると腹痛の原因となり、
玄米は消化吸収性が悪いとされる所以となっている。
【0009】
さて、玄米の発芽に際しては、前記管細胞組織3が玄米の端部から水分を取り入れ胚芽は6の発芽を促すとともに、胚乳部5に水分を供給することにより生育に要する養分を胚芽6に送る。 しかしながら、玄米端部の取水部が水に接しても管細胞組織3が直ちに水を取り入れ胚芽6や胚乳部5に水分を供給することはない。 これは、水分を供給して発芽を促してもその後水分の補給が途絶えて発芽後の生育に支障を来たすことを回避するためである。 すなわち、もみ米(玄米の状態でも同じ)に水分が継続的に供給される状況になった場合、具体的には取水部に水が継続して存在する状態になって始めて、管細胞組織3は水を所定部位に供給する。 したがって、玄米の調理にあたっては、事前に5時間以上は水に漬ける必要があるのである。こうして始めて、管細胞組織3は水を所定部位に供給する。植物生命活動時間と人間が都合よく炊飯するための給水補給時間の違いがあり玄米そのままではあとの加熱炊飯工程だけによる、加熱ででんぷんの均等なアルファー化が出来なくなる。
玄米を炊飯する場合、最短でも5時間の浸漬と米研ぎと称される米洗い作業なくして人が食べて美味しいと感じる様な食感を有する玄米ご飯は得られなかったのであります。
【0010】
上記のような理由から、玄米を精白米と同じ要領で炊飯すると、でんぷん層に水が回っていないから、アルファー化が十分になされずごそごそしたものが出来上がることになる。そして、現実には玄米のちの一部は脱穀過程で表面に微細な傷孔が開き、炊飯時にここから水分が内部のでんぷん層に浸透して加熱にしたがいこれが粥状になって流れ出し、一方では水分の浸透しない玄米はいつまでも熱が通らないベータ状態が継続する。すなわち、水分の存在しない環境ででんぷん質をアルファー化するには摂氏200度を要し、通常のなべ、釜を使用してはこのような高温加熱は不可能である。 このような事態を避けるには、玄米を5時以上好ましくは一晩水に漬けたうえで、炊飯する必要があり、日常に常用するには適しない。 また、そのように手間暇をかけて調理しても、前記のような忌避物質であるグアニン、リグニン等の緩下剤作用を有する物質が存在しており消化吸収に問題があり、小児や病人に推薦供することができない。
一方、高圧調理器を使えば、玄米を長時間にわたり水に浸漬する必要はないが、加圧による高温によりビタミン類やパントテン酸等高温に適さない有効成分分解により失われる。
また胚芽に含まれる生命根源物質であるある種の活性物質も滅失してしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
一般的な精白米と同様に手軽に炊飯しても、玄米の各粒が加熱により均等に膨張してアルファー化できて型崩れせず美味食感を有し、しかも玄米の本来有する各種の有効成分を炊飯後にも保持でき、消化吸収性に優れた玄米を実現する。従来、この種の玄米は存在していない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、玄米の表皮層を研磨処理して、果皮を除去するとともに果皮の下側の種皮の一部を除去して種皮に被覆されている管細胞組織を玄米表面に均等且つ部分的に露出させてなる改質玄米を提供して上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0013】
上記の改質玄米において、玄米表皮層の研磨処理は、一端側に玄米の導入口を有し他端側に玄米の排出口を有する研磨筒と、この研磨筒内部で回転する軸状の研磨ロールとを具え、前記研磨ロールは表面の少なくとも一部にダイヤモンド、サファイア、ジルコニア系セラミックス等の研磨用超硬砥粒を固着した螺旋突条を有し、導入口から研磨筒内に導入された玄米粒を研磨ロールの螺旋突条により排出口に向けて搬送しつつ玄米の表皮層のみを研磨切削するように構成される玄米処理装置によりなすことがある。
【0014】
また、上記いずれかの改質玄米において、さらに管細胞組織における管内の油脂成分を除去することがある。
【0015】
管細胞組織における管内の油脂成分を除去した上記改質玄米において、管細胞組織における管内の油脂成分の除去は、 加圧攪拌手段と、すすぎ脱水手段と、蒸発手段とを具備する無洗米製造装置によってなし、この無洗米製造装置において、前記加圧攪拌手段は、精白米に洗浄水を添加する注水口を備えるとともに、一端に精白米の受入口を他端に排出口を有する攪拌筒に、周面に突条を備えた攪拌ロールを回転駆動自在に内装してなり、前記すすぎ脱水手段は、多孔状の周壁を備えた遠心脱水槽を回転駆動自在に設け、遠心脱水槽の内部にスクリュー筒を遠心脱水槽と同軸で遠心脱水槽と差動回転駆動自在に設け、スクリュー筒に加圧攪拌手段からの精白米をスクリュー筒内部に供給する米供給管を挿通するとともに、米供給管により供給された精白米を遠心脱水槽の周壁に向けて吐出する米吐出口と、米吐出口から吐出された精白米を遠心脱水槽の周壁に沿って軸方向に移動させるスクリュー羽根と、スクリュー羽根により移動させられる精白米に向けてすすぎ水を吐出するすすぎ水吐出口と、を設けてなり、前記蒸発手段は、すすぎ脱水手段からの精白米をその上面に展開するようネットを回転駆動可能に設けるとともに、ネットの下側から空気を吸引する吸引ブロワを設けて構成することがある。
因みに普通玄米は日本産平均値で100g当たり油脂分を2,8g存在するが本玄米は2g以下である事を意味する。
【0016】
さらに本願発明は、空間内で玄米に押圧状態、開放状態を順次形成して玄米を空間内で所定方向へ移送しつつ、前記押圧状態で高密度に集積されて互いに粒径長手方向に並んだ玄米の表面を極く薄く研磨処理し、次いで開放状態により互いの位置関係が変動した玄米を再び押圧により高密度に並べ替えられた状態で玄米の表面を極く薄く研磨処理する、以上の手順を繰り返して果皮を除去するとともに果皮の下側の種皮の一部を除去して種皮に被覆されている管細胞組織を玄米表面に部分的に露出させるようにした改質玄米の製造方法を提供して上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0017】
また、上記の改質玄米の製造方法において、玄米表面の研磨処理は、玄米を一端側に玄米の導入口を有し他端側に玄米の排出口を有するとともに回転する軸状の研磨ロールを具えた研磨筒に投入し、前記研磨ロールに備わった螺旋突条表面に固着されたダイヤモンド、サファイア、ジルコニア系セラミックス等の研磨用超硬砥粒により玄米の表皮層を研磨処理して表皮層に被覆されている管細胞組織を玄米表面に露出させつつ、導入口から研磨筒内に導入された玄米粒を研磨ロールの螺旋突条により排出口に向けて搬送するように構成することがある。
【0018】
また、上記いずれかの改質玄米の製造方法において、さらに、玄米表面に部分的に露出した管細胞組織における管内の油脂成分の除去をなすことがある。
【0019】
さらに、上記いずれかの改質玄米の製造方法において、管細胞組織における管内の油脂成分の除去は、加圧攪拌手段と、すすぎ脱水手段と、蒸発手段とを具備する無洗米製造装置によってなし、この無洗米製造装置において、前記加圧攪拌手段は、精白米に洗浄水を添加する注水口を備えるとともに、一端に精白米の受入口を他端に排出口を有する攪拌筒に、周面に突条を備えた攪拌ロールを回転駆動自在に内装してなり、前記すすぎ脱水手段は、多孔状の周壁を備えた遠心脱水槽を回転駆動自在に設け、遠心脱水槽の内部にスクリュー筒を遠心脱水槽と同軸で遠心脱水槽と差動回転駆動自在に設け、スクリュー筒に加圧攪拌手段からの精白米をスクリュー筒内部に供給する米供給管を挿通するとともに、米供給管により供給された精白米を遠心脱水槽の周壁に向けて吐出する米吐出口と、米吐出口から吐出された精白米を遠心脱水槽の周壁に沿って軸方向に移動させるスクリュー羽根と、スクリュー羽根により移動させられる精白米に向けてすすぎ水を吐出するすすぎ水吐出口と、を設けてなり、前記蒸発手段は、すすぎ脱水手段からの精白米をその上面に展開するようネットを回転駆動可能に設けるとともに、ネットの下側から空気を吸引する吸引ブロワを設けてなる構成を有することがある。
【0020】
【発明の実施形態】
図1は、本願発明に係る改質玄米の1実施形態を示す一部断面模式図である。
すなわち、図において、改質玄米11は、表皮層の果皮がすべて除去されている反面、果皮に被覆されていた種皮2bが表面に顕れている。 そして、種皮2bの全表面には管細胞組織3に達する多数の小開口部8,8....が形成されていて、この小開口部8により管細胞組織3が玄米の全表面に部分的に露出することになる。 このような小開口部8の形成により、米の前処理を含めた炊飯過程において、水分が米の内部に浸透拡散し加熱によるでんぷんのアルファー化が均一に進行するから、従来の玄米のように長時間の水漬を要せず美味な食感を有する玄米 飯を得られる。 なお、果皮に併せて種皮2bをも全面的に研磨切削してしまうことも考えられるが、種皮2bをすべて切除し管細胞組織3を全面的に表面に露出させると、管細胞組織3は剥離し易いので調理に際し胚乳部5から他の部分の分離溶出等が生じ、玄米粒の変形、溶出分によるべたつき等、重要な美味要件である食味・食感を損なうことがある。 また、種皮2bに含まれる成分が失われる。 小開口部8の形成によりネット状になった種皮2bと管細胞組織3とにより中身を被覆する状態で炊飯してこそ、玄米各粒において加熱による均等な膨張が維持され、各粒が炊飯前の原形状に相似する形状を具現して良好な食味・食感が得られる。
【0021】
果皮の除去、種皮2bにおける小開口部8の形成は、玄米の表皮層を極く薄く研磨すなわち当該部を薄く削ぐようにしてなすことになる。 したがって、摩擦式の精米機などの使用は難しい。すなわち、玄米粒相互の擦り合わせにより表皮層、中皮(管細胞組織)、深皮などが一挙に剥がれてしまうからである。
該実施形態では、図2ないし図9に示す玄米処理装置を使用して果皮の除去、種皮2bにおける小開口部8の形成を実行した。
【0022】
以下、前記玄米処理装置を図面に基づいて説明する。図2は、本装置に係る研磨ロールを示している。図中、符号10で示される研磨ロールは、鉄等の金属材料を用いて中空の軸状に形成されるとともに、その周面に沿って一条の螺旋突条10aが形成されている。なお、P1は螺旋突条10aのピッチを示している。
【0023】
螺旋突条10aは、所謂「丸ねじ」におけるねじ山の頂部を少し平らにしたような形状であって、研磨ロール10をその軸線を通過する平面で切断した場合、切断面の端縁が略サインカーブ状をなすように形成されている。
【0024】
また、研磨ロール10は、その周面の全体に砥粒aを備えている。図3に示すように、砥粒aは研磨ロール10の表面に形成されたクロム,ニッケル等の金属メッキ層10b(固着手段の一例)により、尖った刃先部分が露出した状態で研磨ロール10に固着されている。なお、このような砥粒aの固着方法は一般的に「電着」等と呼ばれている公知の技術である。砥粒aの材質は限定されないが、研磨ロール10の耐久性を良くするためには例えばダイヤモンド,サファイア,ジルコニア系セラミックス等の、モース硬度9.5以上の超硬砥粒を用いるのが望ましく、中でもモース硬度10のダイヤモンドを用いるのが特に望ましい。
【0025】
次いで、以上のような研磨ロール10を備えた、玄米処理装置を、図4〜図7に基づいて説明する。 図4において全体を符号20で示される玄米処理装置は、装置本体21と、モータ22と、装置本体21に回転自在に枢支されるとともにプーリ及びベルトを介してモータ22により回転駆動される回転軸23と、回転軸23の装置本体21前面側に突き出た部分に外嵌されるとともに回転軸23に対して回動しないようにねじ(不図示)等により止着された送穀ロール24及び研磨ロール10と、送穀ロール24及び研磨ロール10を覆う状態に装置本体21に取り付けられた研磨筒25とを備えている。
【0026】
研磨筒25は多角筒状(例えば六角筒状)又は円筒状に形成されるとともに、一端側に穀粒の導入口25aが、他端側に排出口25bが、それぞれ形成されている。なお、符号25cは研磨筒25の研磨ロール10を覆う部分に多数穿設されたスリット孔、26は導入口25aに設けられた給穀用ホッパ、27は排出口25bに臨ませて設けられバネ等の付勢手段(不図示)により排出口25bを塞ぐ方向に付勢された抵抗蓋、28は精穀筒25の下方に設けられ吸引ファン(不図示)等と接続される研磨片用ホッパである。
【0027】
図5及び図6は送穀ロール24を示している。送穀ロール24は、鉄等の金属材料を用いて中空の軸状に形成されるとともに、その周面に沿って一条の螺旋突条24aが形成されている。螺旋突条24aは薄い羽根状をなしており、そのピッチP2は、研磨ロール10における螺旋突条10aのピッチP1の2倍近い大きさになっている。符号24bは螺旋突条24aの一部を弓形に切り落として形成された切欠部を示しており、この切欠部24bは図6に示すように送穀ロール24を正面から見たときに、その左右両側に対称に形成されている。
【0028】
次いで、動作を説明する。モータ22により回転軸23を排出口25b側から見て反時計方向に回転駆動しながら給穀用ホッパ26に玄米粒を供給すると、玄米粒は導入口25aから研磨筒25内に導入され、回転軸23と一体的に回転する送穀ロール24の螺旋突条24aにより排出口25bに向けて搬送される。そして、研磨ロール10周面と研磨筒25内面との間隙に入った玄米粒は、回転軸23と一体的に回転する研磨ロール10の螺旋突条10aにより、さらに排出口25bに向けて搬送されるとともに、研磨ロール10の砥粒aによりその表面を極く薄く研磨(研削)される。
【0029】
この状態を説明するのが図7であって、図中、符号bは玄米粒を、矢印cは螺旋突条10aによる玄米粒bの搬送方向を示している。このように、玄米粒bは螺旋突条10aの、断面において搬送方向下流側の面に接触して搬送されるため、この面と研磨筒25内面との間で押圧されて玄米粒bの密度が高まり、この高密度となった状態で砥粒aにより極く薄く研磨(研削)される。研削により生じた残片はスリット孔25cから研磨筒25外へ排出される。
【0030】
また、螺旋突条10aの頂部と研磨筒25内面との間隙から螺旋突条10aの背後側に逃れた玄米粒bは押圧状態から開放され、密度が低くなって玄米粒bが自由に動ける状態となるため、研磨ロール10の攪拌作用により玄米粒bが激しく転動することになって、その位置が相互に入れ替わる。
【0031】
このように、玄米粒bは研磨筒25内において、密度の高いところと低いところが交互にあるという状態で研削・攪拌されながら搬送され、排出口25bに達すると、玄米粒bは付勢手段の付勢力に抗して抵抗蓋27を押し開け、排出口25bから研磨筒25外へ出る。このように、本願に係る玄米処理装置20では、玄米粒を密度が高まった状態で研磨(研削)するので、玄米粒の向きがある程度揃えられることになって、元の玄米粒と相似した形状に研磨することができる。すなわち、玄米の表面を極く薄く研磨(切削)することができる。
【0032】
なお、超硬砥粒とりわけダイヤモンド砥粒を用いれば、砥粒aの磨耗は極めて遅くなるが、それでも長期間使用するうちには、突条10aの穀粒搬送方向下流側の面の、図7に符号dで示す部分の砥粒aが磨耗して、切れ味が鈍ってくることも考えられる。そのような場合、この実施形態では、精穀ロール10をいったん回転軸23から引き抜き、反対向きに回転軸23に差し嵌めて固定することにより、それまで突条10aの穀粒搬送方向上流側に位置していて砥粒aがそれほど磨耗していない面を穀粒搬送方向下流側に位置させて使用することができて、突条10aの片面のみしか使用できないものに比べて、研磨ロール10の寿命を実質的に2倍にすることができる。
【0033】
また、ダイヤモンド砥粒は非常に硬いが高温には弱いので、その寿命を伸ばすために、研磨ロール10を冷却することが考えられる。図8は、その冷却手段の一例として、研磨筒25に給水装置31を取り付け、ホース32からの水が所定流量で研磨筒25内部に供給されるように構成した玄米処理装置20を示しており、このような給水装置31から給水し、玄米粒を介して研磨ロール10の表面に水を付与すれば、水により研磨ロール10が冷却されるために、ダイヤモンド砥粒の寿命が長くなる。なお、研磨ロール10を冷却する冷却手段がこれに限定されることはなく、例えば回転軸23を中空状に形成し、その中空部を通じて供給される冷却媒体により研磨ロール10を冷却するようなものでもよいことはもちろんである。
【0034】
また、研磨ロールの形態も任意であり、例えば前記研磨ロール10のように螺旋突条10aの両面の砥粒aを使用することが必要でない場合は、図9に示す研磨ロール40のように、螺旋突条40aの、玄米粒搬送方向c下流側の面のみに砥粒aを固着すればよい。なお、この場合は、螺旋突条40aの玄米粒搬送方向c上流側の面は、どのような形状でも構わない。
【0035】
ただし、螺旋突条の、玄米粒搬送方向下流側の面は図7及び図9に示した程度に傾斜しているのが望ましく、この部分が垂直になっていると、研磨筒25内面との間で玄米粒を圧縮できないので、研磨効率は低くなる。また、玄米粒搬送方向下流側の面から螺旋突条の頂部にかけては、ゆるやかな曲面状に形成されていることが望ましく、この部分に鋭角に尖った箇所があると、その尖った部分の砥粒のみが磨耗したり脱落したりしやすくなって、好ましくない。
【0036】
次に、本願発明に係る改質玄米の他の実施形態を説明する。この実施形態に係る改質玄米は、図1に示す管細胞組織3における管内の油脂成分が除去され空洞化状態に構成されている。管細胞組織3をこのように加工することにより、水分の内部への浸透がより迅速になされる。 すなわち、前述したように玄米端部の取水部が水に接しても管細胞組織3は直ちに水を取り入れることなく、所定時間の水漬により始めて管細胞組織3は胚芽6や胚乳部5に水分を供給する。このような機序作用には管細胞組織3における管内の油脂成分が関係しており、これを除くことにより水分は管細胞組織3における管を介して玄米端部の取水部からもスムーズに内部に浸透することになる。
従来、七部搗き、三部搗きとかの玄米とこの研削加工による本発明品玄米との根本的相違は糠成分全体の度合いを従来は言っているのに対して本発明品の切除研削糠はいわゆる成分研削である事で最表層部分の米蝋部位をほぼ完全に切除した玄米を意味する。
この玄米の製造時の加工ノウハウの一端は従来研削時のそれよりも均等均圧に搗精室に米粒玄米を導きかつ高速度の周速度を米粒に与え玄米速度を落とさずに研削ロールと同期化させる運転技術が必要である。
因みに本発明品と従来分搗き製品玄米とは水に漬けたときの水の濁り度合いで判断が容易で可能である。
従来3分搗き玄米の場合は70ppm以上であるのにたいして、本願発明に係る玄米は60ppm以下である。(日本精米工業測定方法参照)
【0037】
この実施形態において、管細胞組織3における管内の油脂成分の除去および空洞化は、次のような無洗米製造装置を用いて実行した。 すなわち、この無洗米製造装置は、加圧攪拌手段と、すすぎ脱水手段と、蒸発手段とを具備する無洗米製造装置によってなし、この無洗米製造装置において、前記加圧攪拌手段は、精白米に洗浄水を添加する注水口を備えるとともに、一端に精白米の受入口を他端に排出口を有する攪拌筒に、周面に突条を備えた攪拌ロールを回転駆動自在に内装してなり、前記すすぎ脱水手段は、多孔状の周壁を備えた遠心脱水槽を回転駆動自在に設け、遠心脱水槽の内部にスクリュー筒を遠心脱水槽と同軸で遠心脱水槽と差動回転駆動自在に設け、スクリュー筒に加圧攪拌手段からの精白米をスクリュー筒内部に供給する米供給管を挿通するとともに、米供給管により供給された精白米を遠心脱水槽の周壁に向けて吐出する米吐出口と、米吐出口から吐出された精白米を遠心脱水槽の周壁に沿って軸方向に移動させるスクリュー羽根と、スクリュー羽根により移動させられる精白米に向けてすすぎ水を吐出するすすぎ水吐出口と、を設けてなり、前記蒸発手段は、すすぎ脱水手段からの精白米をその上面に展開するようネットを回転駆動可能に設けるとともに、ネットの下側から空気を吸引する吸引ブロワを設けてなる構成を有している。
【0038】
前記無洗米製造装置の一実施形態を図10ないし図14に基づき説明する。
加圧攪拌手段100は、一端に精白米の受入口101を、他端に排出口102を有する6角筒形の攪拌筒103に、周面に突条104(送り突条104aおよび攪拌突条104b)を備えた攪拌ロール105を内装し、攪拌ロール105はモーター106により回転駆動自在とする。攪拌筒103には水タンク(図示せず)等に連通した注水口107a,107bを設けるとともに、攪拌筒103の下側には玄米が漏出しない程度の細孔103aを多数穿設し、さらに、その下側に水受樋108を設け、また、排出口102には調圧機構109を設ける。なお、110は玄米の流量を調節するスクリューフィーダー、111は原料投入口である。
【0039】
すすぎ脱水手段200は、上面が開放されたケーシング201の内部に、玄米が漏出しない程度の細孔202aが穿設された多孔状の周壁202と底板203とからなる遠心脱水槽204を設け、遠心脱水槽204の内部には、外側にスクリュー羽根205を有する周壁206と底板207とからなるスクリュー筒208を設けるとともに、ケーシング201の下部に設けた軸受部201aには遠心脱水槽204の中空状の回転軸204aを、回転軸204aにはスクリュー筒208の回転軸208aを独立して回転自在に嵌合し、それぞれプーリー、ベルトを介してモーター209により駆動する。この際、プーリーの径に差を設けることにより、スクリユー筒208のほうが遠心脱水槽204より若干速く回転するようにする。
【0040】
また、上端に加圧攪拌手段100の排出口102に臨む受入口210を有する玄米供給管211と、水タンク(図示せず)等に連通したすすぎ水供給管212とをスクリュー筒208の上側から内部へ挿通するとともに、米供給管211,すすぎ水供給管212の下端にそれぞれ対応させて、周壁206に下側から順に、米吐出口213,すすぎ水吐出口214を穿設し、さらに、すすぎ水吐出口214より上側には通気口215を穿設する。そして、周壁206の内側に隔壁216a,216bを設けて、米吐出口213とすすぎ水吐出口214との間、および、すすぎ水吐出口214と通気口215との間を仕切る。
【0041】
また、遠心脱水槽204の周壁202の上端に接続し、ケーシング201の周壁上端部と僅かな間隙を介して重合するフランジ部217を設け、フランジ部217と底板203とに両端を保持された複数の起風羽根218を設けるとともに、ケーシング201の周壁下方には排気排水口219を設けることにより、遠心脱水槽204の回転に伴い、スクリュー筒208の上端から内部に入り、通気口215および細孔202aを通過して、排気排水口219に抜けるような風の流れが生じるようにする。排気排水口219には排気排水管220を接続する。
【0042】
さらに、ケーシング201の周囲を空間221を介して外カバー222で囲繞し、外カバー222の上部には米飛散防止網223を張設し、外カバー222の下端には回収樋224を形成し、回収樋224には排出口225を設けて排出管226を取り付けるとともに、軸受部201aに嵌装した駆動リング227をモーター228により回転駆動自在とし、駆動リング227に支持された複数の掻き取り板229により回収樋224内の米粒を周方向に移動可能とする。
【0043】
蒸発手段300は、変形しないよう下面を補強した円板状のネット301をすすぎ脱水手段200の排出管226の下端に臨ませて、ケーシング302に内装したモーター303により回転駆動自在に設け、ネット301の中央部を内周カバー305で覆い、また、ケーシング302の一部をネット301上面の高さまで切り欠いて排出口306を形成し、排出口306には排出シュート307を取り付けるとともに、ネット301の回転により精白米を排出口306へ誘導するよう誘導板308を固設する。
【0044】
なお、排出管226の下端とネット301の上面との間隙は、玄米が排出管226内に滞留せず、かつ、ネット301上に薄く幅広く展開されるような寸法とする。また、ケーシング302の下方は逆円錐状に縮径させ、その下端には吸引ブロワ(図示せず)に連通する吸気口311を設ける。
【0045】
次いで、上記構成における動作を説明する。 まず、前述の玄米処理装置による加工を終えた玄米を原料投入口111に投入する。投入された玄米は、スクリューフィーダー110により流量を一定に調節されながら受入口101を経て攪拌筒103に入り、回転する攪拌ロール105の送り突条104aにより排出口102方向へ送られ、調圧機構109により圧力を調整されながら排出口102から排出されるが、この間に、注水口107a,107bからの洗浄水を添加されると同時に攪拌突条104bにより攪拌され、玄米表面の研磨片、管細胞組織3における管内の油脂分が玄米から遊離して洗浄水に溶解または懸濁した状態となり、この洗浄水の大部分は攪拌筒103の細孔103aから排出され水受樋108に集められて処理される。 若干の洗浄水が付着した状態の玄米は排出口102から排出されるとすすぎ脱水手段200の受入口210に投入される。
なお、注水口107a,107bからの洗浄水の量は玄米重量の1/2〜2倍程度で良く、また、玄米が洗浄水と接触したのち排出口102から排出されるまでの時間は約2秒以内とすることが可能であり、このように極く短時間では玄米の強度が低下しないので、比較的高い圧力を加えながら玄米を処理することができる。
【0046】
受入口210へ投入された玄米は米供給管211内を落下し、スクリュー筒208の底板207に達すると、その回転に伴う遠心力により放射方向に移動され、米吐出口213から出て遠心脱水槽204内に入り、さらに遠心脱水槽204の回転に伴う遠心力で周壁202に押し付けられ、玄米に付着している洗浄水は細孔202aから排出される。
【0047】
このようにして水切りされた玄米は、遠心脱水槽204と差動回転するスクリュー筒208のスクリュー羽根205により、周壁202に沿って軸方向に上送されながら遠心脱水されるが、その途中で玄米重量の1/2〜2倍程度の量のすすぎ水が掛けられる。すなわち、すすぎ水供給管212からスクリュー筒208内に供給されるすすぎ水は、遠心力により周壁206の内面に押し付けられ、隔壁216aと216bとの間に水膜状に広がり、これがすすぎ水吐出口214から吐出され、玄米にシャワー状に注がれるのである。遠心脱水を行ないながら注がれるので、玄米表面の付着物等を含んだ洗浄水は効果的にすすぎ水と入れ替わることになる。
【0048】
すすぎ水が掛けられた後、玄米はさらに上送されながら遠心脱水を続けられる。ここでは、遠心力のみでも脱水が可能であるが、この実施形態では、通気口215から細孔202aへ抜ける風が玄米の間を通過することにより遠心脱水作用が補助されるようにしたので、遠心加速度(G)を極端に高くしなくても速やかな脱水が可能となり、玄米が傷つくのを防ぐことができる。遠心脱水槽204の上端に達する時点で、付着水は玄米の2〜3重量%とすることができる。
【0049】
遠心脱水槽204の上端から出た玄米は、遠心力により放射方向に飛ばされ、空間221を経て回収樋224に落下し、掻き取り板229により周方向に移動されながら、排出口225のところへ来たとき、ここから排出され排出管226内を落下する。
【0050】
排出管226内を落下した玄米は、蒸発手段300のネット301に達し、ネット301が矢印イ方向に回転しているので順次ネット301上に展開され、移送されながら、吸引ブロワの吸引によりネット301を上から下へ吹き抜ける風により付着水を蒸発させられる。ネット301上に展開された時点で付着水は精白米の2〜3重量%と僅かであり、かつ、玄米の表面全体に均一に付着しているので、風は精白米相互の各すき間を均等に流れ、ムラ乾燥を生じる恐れがない。 この乾燥工程において、油脂分を除去された管細胞組織3の管内には空気が充満して空洞化がなされる。
また、ここでは玄米を転動させないので、吸水して弱くなった玄米表層の細胞組織を傷めることがない。こうして付着水がほぼ完全に蒸発させられた玄米は、誘導板308に達すると、その前面壁に沿って排出口306へ誘導され、シュート307を滑り落ちて排出される。
【0051】
以上が本実施形態による玄米の処理過程であり、ここまでの処理を、洗浄水の水温や原料玄米の性状にもよるが、最初に玄米と洗浄水とが接触してから30〜60秒といった短時間の内に完了させれば、原料となった玄米に対して水分率の上昇を適正に抑制でき、良質の無洗改質玄米を得ることができる。
すなわち、得られた改質玄米は、洗わずにそのまま炊飯することが可能であり、また管細胞組織における管内の処理がなされているので炊飯前の水浸時間を大幅に短縮できる。
尚、この加工玄米は油脂成分を切削辞去したとは言えまだ管細胞の残余の中には十分な油脂成分が存在し本ピンの保存期間時に酸化し老化するおそれがある。 したがって、保管にあたり本ピンの包装形態は可能な限りの小さい内容量(1キロとか2キロg)が望ましくそれも脱酸素材を同封混入させた酸素遮断包装材料による袋詰が望ましい。
【0052】
本願発明による改質玄米は、表面に米蝋膜(パラフィン膜)を有しかつグアニン、ヤラピン等消化忌避物質を含有する果皮を除去したので、従来の玄米と同様の栄養分を保持しながら消化吸収性に優れる。 また、米蝋で被覆される果皮の除去、種皮に管細胞組織と連通する開口部を設け、さらには管細胞組織を空洞化したので水分の内部への浸透が良好となり、炊飯水加減を改質玄米と水とで1:2とするのみで、通常の精白米の炊飯手順と同様に炊飯をなすことができる。そして、小開口を有する種皮および管細胞組織がネット状に内部を囲繞するため、調理加熱過程において、加熱膨張が均等にすすみ玄米粒が型崩れすることなく、飯米の食味・食感上で重要なでんぷんの完全アルファー化と、アルファー化した層の表面におけるデキストリン膜形成が適正に実現できる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明によれば、稲から籾殻を除いただけのいわゆる玄米とほぼ同じ栄養成分率を有しながら、精白米とまったく同じ手順で炊飯でき、しかも食味、食感、消化吸収に優れる改質玄米を実現できて、玄米の有効利用ひいては米離れが懸念される現下の状況の改善に資するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態に係る改質玄米の一部切欠断面模式図である。
【図2】研磨ロールの側面図である。
【図3】砥粒の固着状態を示す研磨ロールの要部拡大断面図である。
【図4】玄米処理装置の側断面図である。
【図5】送穀ロールの側面図である。
【図6】図5における矢印A方向から見た送穀ロールの正面図である。
【図7】玄米粒の分布状態を説明する研磨ロール及び研磨筒の要部拡大断面図である。
【図8】給水装置を備えた玄米処理装置の側断面図である。
【図9】研磨ロールの他例の要部拡大断面図である。
【図10】無洗米製造装置の一部を断面で示した正面図である。
【図11】加圧攪拌手段のA−A線断面図である。
【図12】すすぎ脱水手段の縦断面図である。
【図13】スクリュー筒の正面図である。
【図14】蒸発手段の正面図である。
【図15】従来の玄米の略構造を示す断面図である。
【図16】図15に示す玄米の構造をより詳細に示す模式図である。
【発明の属する技術分野】
本願発明は、改質玄米とその製造方法に関し、詳しくは玄米の表皮層のみを研磨除去することにより、有効成分が保存され、炊飯が容易で消化吸収性および食味にも優れた新規な玄米とその製造方法に関するものである。
【0002】
【発明の背景】
玄米は、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン類、食物繊維など人体に必要なほとんどの栄養素をバランス良く含む食品である。因みに、精白米との比較で、ビタミンEは約10倍、ビタミンB1は約4倍、ビタミンB2は約3倍、繊維は約3倍、カルシウムは約2倍等々の数値が確認されている。
【0003】
このようなことから、健康食品ブームともあいまって玄米の見直しがすすみ、現今では随所で玄米食のすすめが見られるようになっている。
しかしながら、飯用米が玄米から精白米に変遷していった必然性が示すように、玄米には前記長所の反面種々の短所を具えており、この短所は玄米の生物学的構成に由来する。 図15は、玄米の略構造を示す断面図である。
図において、1は稲から収穫した米からもみ殻を取り除いたいわゆる玄米であり、2は表皮層、3は中皮とも呼ばれる管細胞組織、4は糊粉層、5は胚乳部、6は胚芽である。 いわゆる白米は、表皮層2、管細胞組織3、糊粉層4、胚芽6を糠として除去して胚乳部5のみに精製したものである。
米は、玄米の状態では炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、食物繊維など多種類の栄養素を有しており、特に発芽のための枢要をなす胚芽には、同定が困難な生命根源物質が存在しているものと考えられている。これらの物質の大半は精白工程で糠として除去されてしまい、通常、白米と称されている精白米は蛋白質と炭水化物のみとなっている。
【0004】
玄米の見直しは、米が元来有している前記物質の摂取に由来するものであるが、現実にヒトが玄米を食物として常用することは容易なことではない。
すなわち、玄米は調理すなわち精白米のような容易な炊飯が難しい、消化吸収に難がある、食味に劣る等々の短所を有している。
【0005】
従来、玄米を炊飯するには5時間以上水に浸した後、米研ぎして長い時間をかけて加熱する必要がある。 ところが、現在の自動炊飯器の多くは白米炊飯を前提としており、玄米のでんぷんがアルファー化するに必要な加熱時間の経過前にスイッチが切れてしまう。 したがって、玄米の炊飯には通常の鍋、釜でなすか、玄米炊飯用の特別な自動炊飯器を使用せざるを得ない。
【0006】
稲からもみ殻を除いただけの、いわゆる玄米は、仮に必要十分な加熱により炊飯しても消化吸収が悪く、食味が極めて悪く常用に堪えられない。
【0007】
以上のような玄米の短所は、玄米の生物的な構造に基づいている。すなわち、図16は、図15に示す玄米の構造をより詳細に示す模式図である。
表皮層2は、果皮2aとその内側の種皮2bとからなり、表皮層2の内側には中皮とも呼ばれる管細胞組織3が存在する。7は管細胞組織3の内側に形成される深皮でありアリウロン層とも言われ脂肪、タンパク質等による粘質層である。4はいわゆる糊粉層、5はでんぷん質である胚乳部である。
【0008】
前記果皮2bの表面には米蝋膜が形成されていてこのパラフィン質2aが水分の内部浸透を防止していて、玄米の調理を困難にする一因ともなっている。
また、前記米蝋膜にはグアニン、リグニン等の緩下剤作用を有する忌避物質が存在し、これらは摂取上の安全性は有しても大量にとると腹痛の原因となり、
玄米は消化吸収性が悪いとされる所以となっている。
【0009】
さて、玄米の発芽に際しては、前記管細胞組織3が玄米の端部から水分を取り入れ胚芽は6の発芽を促すとともに、胚乳部5に水分を供給することにより生育に要する養分を胚芽6に送る。 しかしながら、玄米端部の取水部が水に接しても管細胞組織3が直ちに水を取り入れ胚芽6や胚乳部5に水分を供給することはない。 これは、水分を供給して発芽を促してもその後水分の補給が途絶えて発芽後の生育に支障を来たすことを回避するためである。 すなわち、もみ米(玄米の状態でも同じ)に水分が継続的に供給される状況になった場合、具体的には取水部に水が継続して存在する状態になって始めて、管細胞組織3は水を所定部位に供給する。 したがって、玄米の調理にあたっては、事前に5時間以上は水に漬ける必要があるのである。こうして始めて、管細胞組織3は水を所定部位に供給する。植物生命活動時間と人間が都合よく炊飯するための給水補給時間の違いがあり玄米そのままではあとの加熱炊飯工程だけによる、加熱ででんぷんの均等なアルファー化が出来なくなる。
玄米を炊飯する場合、最短でも5時間の浸漬と米研ぎと称される米洗い作業なくして人が食べて美味しいと感じる様な食感を有する玄米ご飯は得られなかったのであります。
【0010】
上記のような理由から、玄米を精白米と同じ要領で炊飯すると、でんぷん層に水が回っていないから、アルファー化が十分になされずごそごそしたものが出来上がることになる。そして、現実には玄米のちの一部は脱穀過程で表面に微細な傷孔が開き、炊飯時にここから水分が内部のでんぷん層に浸透して加熱にしたがいこれが粥状になって流れ出し、一方では水分の浸透しない玄米はいつまでも熱が通らないベータ状態が継続する。すなわち、水分の存在しない環境ででんぷん質をアルファー化するには摂氏200度を要し、通常のなべ、釜を使用してはこのような高温加熱は不可能である。 このような事態を避けるには、玄米を5時以上好ましくは一晩水に漬けたうえで、炊飯する必要があり、日常に常用するには適しない。 また、そのように手間暇をかけて調理しても、前記のような忌避物質であるグアニン、リグニン等の緩下剤作用を有する物質が存在しており消化吸収に問題があり、小児や病人に推薦供することができない。
一方、高圧調理器を使えば、玄米を長時間にわたり水に浸漬する必要はないが、加圧による高温によりビタミン類やパントテン酸等高温に適さない有効成分分解により失われる。
また胚芽に含まれる生命根源物質であるある種の活性物質も滅失してしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
一般的な精白米と同様に手軽に炊飯しても、玄米の各粒が加熱により均等に膨張してアルファー化できて型崩れせず美味食感を有し、しかも玄米の本来有する各種の有効成分を炊飯後にも保持でき、消化吸収性に優れた玄米を実現する。従来、この種の玄米は存在していない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、玄米の表皮層を研磨処理して、果皮を除去するとともに果皮の下側の種皮の一部を除去して種皮に被覆されている管細胞組織を玄米表面に均等且つ部分的に露出させてなる改質玄米を提供して上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0013】
上記の改質玄米において、玄米表皮層の研磨処理は、一端側に玄米の導入口を有し他端側に玄米の排出口を有する研磨筒と、この研磨筒内部で回転する軸状の研磨ロールとを具え、前記研磨ロールは表面の少なくとも一部にダイヤモンド、サファイア、ジルコニア系セラミックス等の研磨用超硬砥粒を固着した螺旋突条を有し、導入口から研磨筒内に導入された玄米粒を研磨ロールの螺旋突条により排出口に向けて搬送しつつ玄米の表皮層のみを研磨切削するように構成される玄米処理装置によりなすことがある。
【0014】
また、上記いずれかの改質玄米において、さらに管細胞組織における管内の油脂成分を除去することがある。
【0015】
管細胞組織における管内の油脂成分を除去した上記改質玄米において、管細胞組織における管内の油脂成分の除去は、 加圧攪拌手段と、すすぎ脱水手段と、蒸発手段とを具備する無洗米製造装置によってなし、この無洗米製造装置において、前記加圧攪拌手段は、精白米に洗浄水を添加する注水口を備えるとともに、一端に精白米の受入口を他端に排出口を有する攪拌筒に、周面に突条を備えた攪拌ロールを回転駆動自在に内装してなり、前記すすぎ脱水手段は、多孔状の周壁を備えた遠心脱水槽を回転駆動自在に設け、遠心脱水槽の内部にスクリュー筒を遠心脱水槽と同軸で遠心脱水槽と差動回転駆動自在に設け、スクリュー筒に加圧攪拌手段からの精白米をスクリュー筒内部に供給する米供給管を挿通するとともに、米供給管により供給された精白米を遠心脱水槽の周壁に向けて吐出する米吐出口と、米吐出口から吐出された精白米を遠心脱水槽の周壁に沿って軸方向に移動させるスクリュー羽根と、スクリュー羽根により移動させられる精白米に向けてすすぎ水を吐出するすすぎ水吐出口と、を設けてなり、前記蒸発手段は、すすぎ脱水手段からの精白米をその上面に展開するようネットを回転駆動可能に設けるとともに、ネットの下側から空気を吸引する吸引ブロワを設けて構成することがある。
因みに普通玄米は日本産平均値で100g当たり油脂分を2,8g存在するが本玄米は2g以下である事を意味する。
【0016】
さらに本願発明は、空間内で玄米に押圧状態、開放状態を順次形成して玄米を空間内で所定方向へ移送しつつ、前記押圧状態で高密度に集積されて互いに粒径長手方向に並んだ玄米の表面を極く薄く研磨処理し、次いで開放状態により互いの位置関係が変動した玄米を再び押圧により高密度に並べ替えられた状態で玄米の表面を極く薄く研磨処理する、以上の手順を繰り返して果皮を除去するとともに果皮の下側の種皮の一部を除去して種皮に被覆されている管細胞組織を玄米表面に部分的に露出させるようにした改質玄米の製造方法を提供して上記従来の課題を解決しようとするものである。
【0017】
また、上記の改質玄米の製造方法において、玄米表面の研磨処理は、玄米を一端側に玄米の導入口を有し他端側に玄米の排出口を有するとともに回転する軸状の研磨ロールを具えた研磨筒に投入し、前記研磨ロールに備わった螺旋突条表面に固着されたダイヤモンド、サファイア、ジルコニア系セラミックス等の研磨用超硬砥粒により玄米の表皮層を研磨処理して表皮層に被覆されている管細胞組織を玄米表面に露出させつつ、導入口から研磨筒内に導入された玄米粒を研磨ロールの螺旋突条により排出口に向けて搬送するように構成することがある。
【0018】
また、上記いずれかの改質玄米の製造方法において、さらに、玄米表面に部分的に露出した管細胞組織における管内の油脂成分の除去をなすことがある。
【0019】
さらに、上記いずれかの改質玄米の製造方法において、管細胞組織における管内の油脂成分の除去は、加圧攪拌手段と、すすぎ脱水手段と、蒸発手段とを具備する無洗米製造装置によってなし、この無洗米製造装置において、前記加圧攪拌手段は、精白米に洗浄水を添加する注水口を備えるとともに、一端に精白米の受入口を他端に排出口を有する攪拌筒に、周面に突条を備えた攪拌ロールを回転駆動自在に内装してなり、前記すすぎ脱水手段は、多孔状の周壁を備えた遠心脱水槽を回転駆動自在に設け、遠心脱水槽の内部にスクリュー筒を遠心脱水槽と同軸で遠心脱水槽と差動回転駆動自在に設け、スクリュー筒に加圧攪拌手段からの精白米をスクリュー筒内部に供給する米供給管を挿通するとともに、米供給管により供給された精白米を遠心脱水槽の周壁に向けて吐出する米吐出口と、米吐出口から吐出された精白米を遠心脱水槽の周壁に沿って軸方向に移動させるスクリュー羽根と、スクリュー羽根により移動させられる精白米に向けてすすぎ水を吐出するすすぎ水吐出口と、を設けてなり、前記蒸発手段は、すすぎ脱水手段からの精白米をその上面に展開するようネットを回転駆動可能に設けるとともに、ネットの下側から空気を吸引する吸引ブロワを設けてなる構成を有することがある。
【0020】
【発明の実施形態】
図1は、本願発明に係る改質玄米の1実施形態を示す一部断面模式図である。
すなわち、図において、改質玄米11は、表皮層の果皮がすべて除去されている反面、果皮に被覆されていた種皮2bが表面に顕れている。 そして、種皮2bの全表面には管細胞組織3に達する多数の小開口部8,8....が形成されていて、この小開口部8により管細胞組織3が玄米の全表面に部分的に露出することになる。 このような小開口部8の形成により、米の前処理を含めた炊飯過程において、水分が米の内部に浸透拡散し加熱によるでんぷんのアルファー化が均一に進行するから、従来の玄米のように長時間の水漬を要せず美味な食感を有する玄米 飯を得られる。 なお、果皮に併せて種皮2bをも全面的に研磨切削してしまうことも考えられるが、種皮2bをすべて切除し管細胞組織3を全面的に表面に露出させると、管細胞組織3は剥離し易いので調理に際し胚乳部5から他の部分の分離溶出等が生じ、玄米粒の変形、溶出分によるべたつき等、重要な美味要件である食味・食感を損なうことがある。 また、種皮2bに含まれる成分が失われる。 小開口部8の形成によりネット状になった種皮2bと管細胞組織3とにより中身を被覆する状態で炊飯してこそ、玄米各粒において加熱による均等な膨張が維持され、各粒が炊飯前の原形状に相似する形状を具現して良好な食味・食感が得られる。
【0021】
果皮の除去、種皮2bにおける小開口部8の形成は、玄米の表皮層を極く薄く研磨すなわち当該部を薄く削ぐようにしてなすことになる。 したがって、摩擦式の精米機などの使用は難しい。すなわち、玄米粒相互の擦り合わせにより表皮層、中皮(管細胞組織)、深皮などが一挙に剥がれてしまうからである。
該実施形態では、図2ないし図9に示す玄米処理装置を使用して果皮の除去、種皮2bにおける小開口部8の形成を実行した。
【0022】
以下、前記玄米処理装置を図面に基づいて説明する。図2は、本装置に係る研磨ロールを示している。図中、符号10で示される研磨ロールは、鉄等の金属材料を用いて中空の軸状に形成されるとともに、その周面に沿って一条の螺旋突条10aが形成されている。なお、P1は螺旋突条10aのピッチを示している。
【0023】
螺旋突条10aは、所謂「丸ねじ」におけるねじ山の頂部を少し平らにしたような形状であって、研磨ロール10をその軸線を通過する平面で切断した場合、切断面の端縁が略サインカーブ状をなすように形成されている。
【0024】
また、研磨ロール10は、その周面の全体に砥粒aを備えている。図3に示すように、砥粒aは研磨ロール10の表面に形成されたクロム,ニッケル等の金属メッキ層10b(固着手段の一例)により、尖った刃先部分が露出した状態で研磨ロール10に固着されている。なお、このような砥粒aの固着方法は一般的に「電着」等と呼ばれている公知の技術である。砥粒aの材質は限定されないが、研磨ロール10の耐久性を良くするためには例えばダイヤモンド,サファイア,ジルコニア系セラミックス等の、モース硬度9.5以上の超硬砥粒を用いるのが望ましく、中でもモース硬度10のダイヤモンドを用いるのが特に望ましい。
【0025】
次いで、以上のような研磨ロール10を備えた、玄米処理装置を、図4〜図7に基づいて説明する。 図4において全体を符号20で示される玄米処理装置は、装置本体21と、モータ22と、装置本体21に回転自在に枢支されるとともにプーリ及びベルトを介してモータ22により回転駆動される回転軸23と、回転軸23の装置本体21前面側に突き出た部分に外嵌されるとともに回転軸23に対して回動しないようにねじ(不図示)等により止着された送穀ロール24及び研磨ロール10と、送穀ロール24及び研磨ロール10を覆う状態に装置本体21に取り付けられた研磨筒25とを備えている。
【0026】
研磨筒25は多角筒状(例えば六角筒状)又は円筒状に形成されるとともに、一端側に穀粒の導入口25aが、他端側に排出口25bが、それぞれ形成されている。なお、符号25cは研磨筒25の研磨ロール10を覆う部分に多数穿設されたスリット孔、26は導入口25aに設けられた給穀用ホッパ、27は排出口25bに臨ませて設けられバネ等の付勢手段(不図示)により排出口25bを塞ぐ方向に付勢された抵抗蓋、28は精穀筒25の下方に設けられ吸引ファン(不図示)等と接続される研磨片用ホッパである。
【0027】
図5及び図6は送穀ロール24を示している。送穀ロール24は、鉄等の金属材料を用いて中空の軸状に形成されるとともに、その周面に沿って一条の螺旋突条24aが形成されている。螺旋突条24aは薄い羽根状をなしており、そのピッチP2は、研磨ロール10における螺旋突条10aのピッチP1の2倍近い大きさになっている。符号24bは螺旋突条24aの一部を弓形に切り落として形成された切欠部を示しており、この切欠部24bは図6に示すように送穀ロール24を正面から見たときに、その左右両側に対称に形成されている。
【0028】
次いで、動作を説明する。モータ22により回転軸23を排出口25b側から見て反時計方向に回転駆動しながら給穀用ホッパ26に玄米粒を供給すると、玄米粒は導入口25aから研磨筒25内に導入され、回転軸23と一体的に回転する送穀ロール24の螺旋突条24aにより排出口25bに向けて搬送される。そして、研磨ロール10周面と研磨筒25内面との間隙に入った玄米粒は、回転軸23と一体的に回転する研磨ロール10の螺旋突条10aにより、さらに排出口25bに向けて搬送されるとともに、研磨ロール10の砥粒aによりその表面を極く薄く研磨(研削)される。
【0029】
この状態を説明するのが図7であって、図中、符号bは玄米粒を、矢印cは螺旋突条10aによる玄米粒bの搬送方向を示している。このように、玄米粒bは螺旋突条10aの、断面において搬送方向下流側の面に接触して搬送されるため、この面と研磨筒25内面との間で押圧されて玄米粒bの密度が高まり、この高密度となった状態で砥粒aにより極く薄く研磨(研削)される。研削により生じた残片はスリット孔25cから研磨筒25外へ排出される。
【0030】
また、螺旋突条10aの頂部と研磨筒25内面との間隙から螺旋突条10aの背後側に逃れた玄米粒bは押圧状態から開放され、密度が低くなって玄米粒bが自由に動ける状態となるため、研磨ロール10の攪拌作用により玄米粒bが激しく転動することになって、その位置が相互に入れ替わる。
【0031】
このように、玄米粒bは研磨筒25内において、密度の高いところと低いところが交互にあるという状態で研削・攪拌されながら搬送され、排出口25bに達すると、玄米粒bは付勢手段の付勢力に抗して抵抗蓋27を押し開け、排出口25bから研磨筒25外へ出る。このように、本願に係る玄米処理装置20では、玄米粒を密度が高まった状態で研磨(研削)するので、玄米粒の向きがある程度揃えられることになって、元の玄米粒と相似した形状に研磨することができる。すなわち、玄米の表面を極く薄く研磨(切削)することができる。
【0032】
なお、超硬砥粒とりわけダイヤモンド砥粒を用いれば、砥粒aの磨耗は極めて遅くなるが、それでも長期間使用するうちには、突条10aの穀粒搬送方向下流側の面の、図7に符号dで示す部分の砥粒aが磨耗して、切れ味が鈍ってくることも考えられる。そのような場合、この実施形態では、精穀ロール10をいったん回転軸23から引き抜き、反対向きに回転軸23に差し嵌めて固定することにより、それまで突条10aの穀粒搬送方向上流側に位置していて砥粒aがそれほど磨耗していない面を穀粒搬送方向下流側に位置させて使用することができて、突条10aの片面のみしか使用できないものに比べて、研磨ロール10の寿命を実質的に2倍にすることができる。
【0033】
また、ダイヤモンド砥粒は非常に硬いが高温には弱いので、その寿命を伸ばすために、研磨ロール10を冷却することが考えられる。図8は、その冷却手段の一例として、研磨筒25に給水装置31を取り付け、ホース32からの水が所定流量で研磨筒25内部に供給されるように構成した玄米処理装置20を示しており、このような給水装置31から給水し、玄米粒を介して研磨ロール10の表面に水を付与すれば、水により研磨ロール10が冷却されるために、ダイヤモンド砥粒の寿命が長くなる。なお、研磨ロール10を冷却する冷却手段がこれに限定されることはなく、例えば回転軸23を中空状に形成し、その中空部を通じて供給される冷却媒体により研磨ロール10を冷却するようなものでもよいことはもちろんである。
【0034】
また、研磨ロールの形態も任意であり、例えば前記研磨ロール10のように螺旋突条10aの両面の砥粒aを使用することが必要でない場合は、図9に示す研磨ロール40のように、螺旋突条40aの、玄米粒搬送方向c下流側の面のみに砥粒aを固着すればよい。なお、この場合は、螺旋突条40aの玄米粒搬送方向c上流側の面は、どのような形状でも構わない。
【0035】
ただし、螺旋突条の、玄米粒搬送方向下流側の面は図7及び図9に示した程度に傾斜しているのが望ましく、この部分が垂直になっていると、研磨筒25内面との間で玄米粒を圧縮できないので、研磨効率は低くなる。また、玄米粒搬送方向下流側の面から螺旋突条の頂部にかけては、ゆるやかな曲面状に形成されていることが望ましく、この部分に鋭角に尖った箇所があると、その尖った部分の砥粒のみが磨耗したり脱落したりしやすくなって、好ましくない。
【0036】
次に、本願発明に係る改質玄米の他の実施形態を説明する。この実施形態に係る改質玄米は、図1に示す管細胞組織3における管内の油脂成分が除去され空洞化状態に構成されている。管細胞組織3をこのように加工することにより、水分の内部への浸透がより迅速になされる。 すなわち、前述したように玄米端部の取水部が水に接しても管細胞組織3は直ちに水を取り入れることなく、所定時間の水漬により始めて管細胞組織3は胚芽6や胚乳部5に水分を供給する。このような機序作用には管細胞組織3における管内の油脂成分が関係しており、これを除くことにより水分は管細胞組織3における管を介して玄米端部の取水部からもスムーズに内部に浸透することになる。
従来、七部搗き、三部搗きとかの玄米とこの研削加工による本発明品玄米との根本的相違は糠成分全体の度合いを従来は言っているのに対して本発明品の切除研削糠はいわゆる成分研削である事で最表層部分の米蝋部位をほぼ完全に切除した玄米を意味する。
この玄米の製造時の加工ノウハウの一端は従来研削時のそれよりも均等均圧に搗精室に米粒玄米を導きかつ高速度の周速度を米粒に与え玄米速度を落とさずに研削ロールと同期化させる運転技術が必要である。
因みに本発明品と従来分搗き製品玄米とは水に漬けたときの水の濁り度合いで判断が容易で可能である。
従来3分搗き玄米の場合は70ppm以上であるのにたいして、本願発明に係る玄米は60ppm以下である。(日本精米工業測定方法参照)
【0037】
この実施形態において、管細胞組織3における管内の油脂成分の除去および空洞化は、次のような無洗米製造装置を用いて実行した。 すなわち、この無洗米製造装置は、加圧攪拌手段と、すすぎ脱水手段と、蒸発手段とを具備する無洗米製造装置によってなし、この無洗米製造装置において、前記加圧攪拌手段は、精白米に洗浄水を添加する注水口を備えるとともに、一端に精白米の受入口を他端に排出口を有する攪拌筒に、周面に突条を備えた攪拌ロールを回転駆動自在に内装してなり、前記すすぎ脱水手段は、多孔状の周壁を備えた遠心脱水槽を回転駆動自在に設け、遠心脱水槽の内部にスクリュー筒を遠心脱水槽と同軸で遠心脱水槽と差動回転駆動自在に設け、スクリュー筒に加圧攪拌手段からの精白米をスクリュー筒内部に供給する米供給管を挿通するとともに、米供給管により供給された精白米を遠心脱水槽の周壁に向けて吐出する米吐出口と、米吐出口から吐出された精白米を遠心脱水槽の周壁に沿って軸方向に移動させるスクリュー羽根と、スクリュー羽根により移動させられる精白米に向けてすすぎ水を吐出するすすぎ水吐出口と、を設けてなり、前記蒸発手段は、すすぎ脱水手段からの精白米をその上面に展開するようネットを回転駆動可能に設けるとともに、ネットの下側から空気を吸引する吸引ブロワを設けてなる構成を有している。
【0038】
前記無洗米製造装置の一実施形態を図10ないし図14に基づき説明する。
加圧攪拌手段100は、一端に精白米の受入口101を、他端に排出口102を有する6角筒形の攪拌筒103に、周面に突条104(送り突条104aおよび攪拌突条104b)を備えた攪拌ロール105を内装し、攪拌ロール105はモーター106により回転駆動自在とする。攪拌筒103には水タンク(図示せず)等に連通した注水口107a,107bを設けるとともに、攪拌筒103の下側には玄米が漏出しない程度の細孔103aを多数穿設し、さらに、その下側に水受樋108を設け、また、排出口102には調圧機構109を設ける。なお、110は玄米の流量を調節するスクリューフィーダー、111は原料投入口である。
【0039】
すすぎ脱水手段200は、上面が開放されたケーシング201の内部に、玄米が漏出しない程度の細孔202aが穿設された多孔状の周壁202と底板203とからなる遠心脱水槽204を設け、遠心脱水槽204の内部には、外側にスクリュー羽根205を有する周壁206と底板207とからなるスクリュー筒208を設けるとともに、ケーシング201の下部に設けた軸受部201aには遠心脱水槽204の中空状の回転軸204aを、回転軸204aにはスクリュー筒208の回転軸208aを独立して回転自在に嵌合し、それぞれプーリー、ベルトを介してモーター209により駆動する。この際、プーリーの径に差を設けることにより、スクリユー筒208のほうが遠心脱水槽204より若干速く回転するようにする。
【0040】
また、上端に加圧攪拌手段100の排出口102に臨む受入口210を有する玄米供給管211と、水タンク(図示せず)等に連通したすすぎ水供給管212とをスクリュー筒208の上側から内部へ挿通するとともに、米供給管211,すすぎ水供給管212の下端にそれぞれ対応させて、周壁206に下側から順に、米吐出口213,すすぎ水吐出口214を穿設し、さらに、すすぎ水吐出口214より上側には通気口215を穿設する。そして、周壁206の内側に隔壁216a,216bを設けて、米吐出口213とすすぎ水吐出口214との間、および、すすぎ水吐出口214と通気口215との間を仕切る。
【0041】
また、遠心脱水槽204の周壁202の上端に接続し、ケーシング201の周壁上端部と僅かな間隙を介して重合するフランジ部217を設け、フランジ部217と底板203とに両端を保持された複数の起風羽根218を設けるとともに、ケーシング201の周壁下方には排気排水口219を設けることにより、遠心脱水槽204の回転に伴い、スクリュー筒208の上端から内部に入り、通気口215および細孔202aを通過して、排気排水口219に抜けるような風の流れが生じるようにする。排気排水口219には排気排水管220を接続する。
【0042】
さらに、ケーシング201の周囲を空間221を介して外カバー222で囲繞し、外カバー222の上部には米飛散防止網223を張設し、外カバー222の下端には回収樋224を形成し、回収樋224には排出口225を設けて排出管226を取り付けるとともに、軸受部201aに嵌装した駆動リング227をモーター228により回転駆動自在とし、駆動リング227に支持された複数の掻き取り板229により回収樋224内の米粒を周方向に移動可能とする。
【0043】
蒸発手段300は、変形しないよう下面を補強した円板状のネット301をすすぎ脱水手段200の排出管226の下端に臨ませて、ケーシング302に内装したモーター303により回転駆動自在に設け、ネット301の中央部を内周カバー305で覆い、また、ケーシング302の一部をネット301上面の高さまで切り欠いて排出口306を形成し、排出口306には排出シュート307を取り付けるとともに、ネット301の回転により精白米を排出口306へ誘導するよう誘導板308を固設する。
【0044】
なお、排出管226の下端とネット301の上面との間隙は、玄米が排出管226内に滞留せず、かつ、ネット301上に薄く幅広く展開されるような寸法とする。また、ケーシング302の下方は逆円錐状に縮径させ、その下端には吸引ブロワ(図示せず)に連通する吸気口311を設ける。
【0045】
次いで、上記構成における動作を説明する。 まず、前述の玄米処理装置による加工を終えた玄米を原料投入口111に投入する。投入された玄米は、スクリューフィーダー110により流量を一定に調節されながら受入口101を経て攪拌筒103に入り、回転する攪拌ロール105の送り突条104aにより排出口102方向へ送られ、調圧機構109により圧力を調整されながら排出口102から排出されるが、この間に、注水口107a,107bからの洗浄水を添加されると同時に攪拌突条104bにより攪拌され、玄米表面の研磨片、管細胞組織3における管内の油脂分が玄米から遊離して洗浄水に溶解または懸濁した状態となり、この洗浄水の大部分は攪拌筒103の細孔103aから排出され水受樋108に集められて処理される。 若干の洗浄水が付着した状態の玄米は排出口102から排出されるとすすぎ脱水手段200の受入口210に投入される。
なお、注水口107a,107bからの洗浄水の量は玄米重量の1/2〜2倍程度で良く、また、玄米が洗浄水と接触したのち排出口102から排出されるまでの時間は約2秒以内とすることが可能であり、このように極く短時間では玄米の強度が低下しないので、比較的高い圧力を加えながら玄米を処理することができる。
【0046】
受入口210へ投入された玄米は米供給管211内を落下し、スクリュー筒208の底板207に達すると、その回転に伴う遠心力により放射方向に移動され、米吐出口213から出て遠心脱水槽204内に入り、さらに遠心脱水槽204の回転に伴う遠心力で周壁202に押し付けられ、玄米に付着している洗浄水は細孔202aから排出される。
【0047】
このようにして水切りされた玄米は、遠心脱水槽204と差動回転するスクリュー筒208のスクリュー羽根205により、周壁202に沿って軸方向に上送されながら遠心脱水されるが、その途中で玄米重量の1/2〜2倍程度の量のすすぎ水が掛けられる。すなわち、すすぎ水供給管212からスクリュー筒208内に供給されるすすぎ水は、遠心力により周壁206の内面に押し付けられ、隔壁216aと216bとの間に水膜状に広がり、これがすすぎ水吐出口214から吐出され、玄米にシャワー状に注がれるのである。遠心脱水を行ないながら注がれるので、玄米表面の付着物等を含んだ洗浄水は効果的にすすぎ水と入れ替わることになる。
【0048】
すすぎ水が掛けられた後、玄米はさらに上送されながら遠心脱水を続けられる。ここでは、遠心力のみでも脱水が可能であるが、この実施形態では、通気口215から細孔202aへ抜ける風が玄米の間を通過することにより遠心脱水作用が補助されるようにしたので、遠心加速度(G)を極端に高くしなくても速やかな脱水が可能となり、玄米が傷つくのを防ぐことができる。遠心脱水槽204の上端に達する時点で、付着水は玄米の2〜3重量%とすることができる。
【0049】
遠心脱水槽204の上端から出た玄米は、遠心力により放射方向に飛ばされ、空間221を経て回収樋224に落下し、掻き取り板229により周方向に移動されながら、排出口225のところへ来たとき、ここから排出され排出管226内を落下する。
【0050】
排出管226内を落下した玄米は、蒸発手段300のネット301に達し、ネット301が矢印イ方向に回転しているので順次ネット301上に展開され、移送されながら、吸引ブロワの吸引によりネット301を上から下へ吹き抜ける風により付着水を蒸発させられる。ネット301上に展開された時点で付着水は精白米の2〜3重量%と僅かであり、かつ、玄米の表面全体に均一に付着しているので、風は精白米相互の各すき間を均等に流れ、ムラ乾燥を生じる恐れがない。 この乾燥工程において、油脂分を除去された管細胞組織3の管内には空気が充満して空洞化がなされる。
また、ここでは玄米を転動させないので、吸水して弱くなった玄米表層の細胞組織を傷めることがない。こうして付着水がほぼ完全に蒸発させられた玄米は、誘導板308に達すると、その前面壁に沿って排出口306へ誘導され、シュート307を滑り落ちて排出される。
【0051】
以上が本実施形態による玄米の処理過程であり、ここまでの処理を、洗浄水の水温や原料玄米の性状にもよるが、最初に玄米と洗浄水とが接触してから30〜60秒といった短時間の内に完了させれば、原料となった玄米に対して水分率の上昇を適正に抑制でき、良質の無洗改質玄米を得ることができる。
すなわち、得られた改質玄米は、洗わずにそのまま炊飯することが可能であり、また管細胞組織における管内の処理がなされているので炊飯前の水浸時間を大幅に短縮できる。
尚、この加工玄米は油脂成分を切削辞去したとは言えまだ管細胞の残余の中には十分な油脂成分が存在し本ピンの保存期間時に酸化し老化するおそれがある。 したがって、保管にあたり本ピンの包装形態は可能な限りの小さい内容量(1キロとか2キロg)が望ましくそれも脱酸素材を同封混入させた酸素遮断包装材料による袋詰が望ましい。
【0052】
本願発明による改質玄米は、表面に米蝋膜(パラフィン膜)を有しかつグアニン、ヤラピン等消化忌避物質を含有する果皮を除去したので、従来の玄米と同様の栄養分を保持しながら消化吸収性に優れる。 また、米蝋で被覆される果皮の除去、種皮に管細胞組織と連通する開口部を設け、さらには管細胞組織を空洞化したので水分の内部への浸透が良好となり、炊飯水加減を改質玄米と水とで1:2とするのみで、通常の精白米の炊飯手順と同様に炊飯をなすことができる。そして、小開口を有する種皮および管細胞組織がネット状に内部を囲繞するため、調理加熱過程において、加熱膨張が均等にすすみ玄米粒が型崩れすることなく、飯米の食味・食感上で重要なでんぷんの完全アルファー化と、アルファー化した層の表面におけるデキストリン膜形成が適正に実現できる。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明によれば、稲から籾殻を除いただけのいわゆる玄米とほぼ同じ栄養成分率を有しながら、精白米とまったく同じ手順で炊飯でき、しかも食味、食感、消化吸収に優れる改質玄米を実現できて、玄米の有効利用ひいては米離れが懸念される現下の状況の改善に資するところが大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態に係る改質玄米の一部切欠断面模式図である。
【図2】研磨ロールの側面図である。
【図3】砥粒の固着状態を示す研磨ロールの要部拡大断面図である。
【図4】玄米処理装置の側断面図である。
【図5】送穀ロールの側面図である。
【図6】図5における矢印A方向から見た送穀ロールの正面図である。
【図7】玄米粒の分布状態を説明する研磨ロール及び研磨筒の要部拡大断面図である。
【図8】給水装置を備えた玄米処理装置の側断面図である。
【図9】研磨ロールの他例の要部拡大断面図である。
【図10】無洗米製造装置の一部を断面で示した正面図である。
【図11】加圧攪拌手段のA−A線断面図である。
【図12】すすぎ脱水手段の縦断面図である。
【図13】スクリュー筒の正面図である。
【図14】蒸発手段の正面図である。
【図15】従来の玄米の略構造を示す断面図である。
【図16】図15に示す玄米の構造をより詳細に示す模式図である。
Claims (8)
- 玄米の表皮層を研磨処理して果皮を除去するとともに果皮の下側の種皮の一部を除去して種皮に被覆されている管細胞組織を玄米表面に部分的に露出させてなる改質玄米。
- 請求項1記載の改質玄米において、玄米表皮層の研磨処理は、一端側に玄米の導入口を有し他端側に玄米の排出口を有する研磨筒と、この研磨筒内部で回転する軸状の研磨ロールとを具え、前記研磨ロールは表面の少なくとも一部にダイヤモンド、サファイア、ジルコニア系セラミックス等の研磨用超硬砥粒を固着した螺旋突条を有し、導入口から研磨筒内に導入された玄米粒を研磨ロールの螺旋突条により排出口に向けて搬送しつつ玄米の表皮層のみを研磨切削するように構成される玄米処理装置によりなしたものであることを特徴とする改質玄米。
- 請求項1又は2いずれか記載の改質玄米において、さらに管細胞組織における管内の油脂成分が除去され空洞化状態にあることを特徴とする改質玄米。
- 請求項3の改質玄米において、管細胞組織における管内の油脂成分の除去および管の空洞化は、 加圧攪拌手段と、すすぎ脱水手段と、蒸発手段とを具備する無洗米製造装置によってなし、この無洗米製造装置において、前記加圧攪拌手段は、精白米に洗浄水を添加する注水口を備えるとともに、一端に精白米の受入口を他端に排出口を有する攪拌筒に、周面に突条を備えた攪拌ロールを回転駆動自在に内装してなり、前記すすぎ脱水手段は、多孔状の周壁を備えた遠心脱水槽を回転駆動自在に設け、遠心脱水槽の内部にスクリュー筒を遠心脱水槽と同軸で遠心脱水槽と差動回転駆動自在に設け、スクリュー筒に加圧攪拌手段からの精白米をスクリュー筒内部に供給する米供給管を挿通するとともに、米供給管により供給された精白米を遠心脱水槽の周壁に向けて吐出する米吐出口と、米吐出口から吐出された精白米を遠心脱水槽の周壁に沿って軸方向に移動させるスクリュー羽根と、スクリュー羽根により移動させられる精白米に向けてすすぎ水を吐出するすすぎ水吐出口と、を設けてなり、前記蒸発手段は、すすぎ脱水手段からの精白米をその上面に展開するようネットを回転駆動可能に設けるとともに、ネットの下側から空気を吸引する吸引ブロワを設けてなることを特徴とする改質玄米。
- 空間内で玄米に押圧状態、開放状態を順次形成して玄米を空間内で所定方向へ移送しつつ、前記押圧状態で高密度に集積されて互いに粒径長手方向に並んだ玄米の表面を極く薄く研磨処理し、次いで開放状態により互いの位置関係が変動した玄米を再び押圧により高密度に並べ替えられた状態で玄米の表面を極く薄く研磨処理する、以上の手順を繰り返して果皮を除去するとともに果皮の下側の種皮の一部を除去して種皮に被覆されている管細胞組織を玄米表面に部分的に露出させるようにした改質玄米の製造方法。
- 請求項5記載の改質玄米の製造方法において、玄米表面の研磨処理は、玄米を一端側に玄米の導入口を有し他端側に玄米の排出口を有するとともに回転する軸状の研磨ロールを具えた研磨筒に投入し、前記研磨ロールに備わった螺旋突条表面に固着されたダイヤモンド、サファイア、ジルコニア系セラミックス等の研磨用超硬砥粒により玄米の表皮層を研磨処理して表皮層に被覆されている管細胞組織を玄米表面に露出させつつ、導入口から研磨筒内に導入された玄米粒を研磨ロールの螺旋突条により排出口に向けて搬送するようにしたことを特徴とする改質玄米の製造方法。
- 請求項5又は6いずれか記載の改質玄米の製造方法において、さらに、玄米表面に部分的に又は全面的に露出した管細胞組織における管内の油脂成分の除去および管の空洞化をなすようにしたことを特徴とする改質玄米の製造方法。
- 請求項9記載の改質玄米の製造方法において、管細胞組織における管内の油脂成分の除去管の空洞化は、加圧攪拌手段と、すすぎ脱水手段と、蒸発手段とを具備する無洗米製造装置によってなし、この無洗米製造装置において、前記加圧攪拌手段は、精白米に洗浄水を添加する注水口を備えるとともに、一端に精白米の受入口を他端に排出口を有する攪拌筒に、周面に突条を備えた攪拌ロールを回転駆動自在に内装してなり、前記すすぎ脱水手段は、多孔状の周壁を備えた遠心脱水槽を回転駆動自在に設け、遠心脱水槽の内部にスクリュー筒を遠心脱水槽と同軸で遠心脱水槽と差動回転駆動自在に設け、スクリュー筒に加圧攪拌手段からの精白米をスクリュー筒内部に供給する米供給管を挿通するとともに、米供給管により供給された精白米を遠心脱水槽の周壁に向けて吐出する米吐出口と、米吐出口から吐出された精白米を遠心脱水槽の周壁に沿って軸方向に移動させるスクリュー羽根と、スクリュー羽根により移動させられる精白米に向けてすすぎ水を吐出するすすぎ水吐出口と、を設けてなり、前記蒸発手段は、すすぎ脱水手段からの精白米をその上面に展開するようネットを回転駆動可能に設けるとともに、ネットの下側から空気を吸引する吸引ブロワを設けてなることを特徴とする改質玄米の製造方法。
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