JP2003010703A - 無洗米製造装置と無洗米製造方法 - Google Patents

無洗米製造装置と無洗米製造方法

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JP2003010703A JP2001205092A JP2001205092A JP2003010703A JP 2003010703 A JP2003010703 A JP 2003010703A JP 2001205092 A JP2001205092 A JP 2001205092A JP 2001205092 A JP2001205092 A JP 2001205092A JP 2003010703 A JP2003010703 A JP 2003010703A
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polished rice
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 洗米する精白米に対応して最も適した条件で
加圧洗米をなして食味に優れた無洗米提供する。 【解決手段】 精白米を水と空気の介在により洗浄する
加圧洗米手段100と、加圧洗米工程を経た精白米の表
面付着水を除去するためのすすぎ脱水手段200と、す
すぎ脱水を経た精白米を乾燥してその含水率を所定値に
設定する水分調整手段300と、精白米の有する条件に
応じて加圧洗米工程における洗米の強弱を自在に制御す
る洗米強度調節手段1とを、具え、前記洗米強度調節手
段1は、前記加圧洗米手段100において精白米への圧
力を自在に制御する洗米圧力調節手段10により構成し
た無洗米製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、炊飯に先立つ洗米を
必要とせず、水を加えるだけで炊飯することができ、し
かも保存性の良い、いわゆる“無洗米" の製造技術に関
し、詳しくは使用する精白米に適した洗米条件の下に洗
米をなすようにした無洗米の製造方法およびその装置に
関するものである。
【0002】
【発明の背景】精白米を通常の方法で水洗すると、水が
精白米内部に浸入して水分率が上昇し、カビや腐敗を招
きやすくなって、通常の精白米と同様に取り扱える無洗
米にはなり得ない。それでは、水洗によりいったん高水
分率になった精白米を乾燥させればどうかというと、精
白米の澱粉層には吸水すると膨張し、乾燥すると収縮す
る性質があるので( 特公平3−36496号公報等参
照) 、乾燥の際に精白米の表層部のみが急激に収縮する
ことになって、表層部に引張力が働いて亀裂が発生す
る。亀裂を有する精白米は、炊飯時に亀裂から多量の水
が浸入することによって不均等に膨張したり、亀裂から
澱粉粒が多量に溶出したりして、舌ざわりの悪い極めて
食味の劣る米飯となるのは周知のことである。
【0003】そこで、精白米の内部に水がほとんど浸入
しない極めて短時間の内に水洗し、直ちに精白米の表面
に付着した水を除去することにより、保管が容易で、食
味の良い無洗米を得る技術が特開平2−242647号
公報および特開平3−154643号公報に提案されて
いる。これらの技術は、いったん高水分率になった精白
米を乾燥させて低水分率にするものではないので、理論
上は亀裂のない無洗米が製造できることになる。
【0004】しかしながら、洗浄水の水温や、原料とな
る精白米の性状にもよるが、精白米に浸入する水が精白
米の1 重量%内外にとどまるような短時間の内に、精白
米の水洗と表面付着水の除去とを行なうことを、公知の
洗米装置や脱水( 蒸発乾燥)装置を流用して実行するの
は困難である。
【0005】なぜなら、精白米を洗米せずに炊飯する
と、米飯に糠臭があったり、米飯の色が黄色くなった
り、粘りのないボソボソした米飯になったりするのは、
玄米の糠層の最下層であるアリウロン層( 糊粉層) に含
まれていた油脂や蛋白質や糖質などから成る極めて粘度
の高い半液体状の混合物( 以下アリウロン残留物とい
う)が、精白米の表面に付着しているのが主たる原因で
あって( 特開平3−154643号公報参照) 、食味の
良い無洗米にするためには、このアリウロン残留物をほ
ぼ完全に除去しなければならない。ところで、アリウロ
ン残留物は、その粘度の高さゆえ、精白米を単に水中に
浮遊させるだけでは精白米から遊離しにくく、遊離させ
るには精白米を水に浸した上で精白米の表面を摩擦する
ことが必要である。しかし、精白米は吸水すると強度が
低下し、特に表層の細胞組織が傷つきやすくなり、これ
を傷つけると亀裂と' 同様の食味上の悪影響を及ぼすこ
とになるので、吸水した精白米の表面に強い摩擦力を加
えることは禁物である。よって、従来の洗米装置は、そ
の方式( 洗浄槽内で攪拌翼を回転させ水と精白米を撹絆
する, 内部に羽根を固設した洗浄槽に水と精白米を投入
し洗浄槽自体を回転させる, スクリューコンベアにより
精白米を搬送しながら精白米と水を攪拌する, 水中の精
白米に強い水流や空気流を噴射して撹絆する, 等の方式
がある)に係わらず、いずれも精白米を傷つけたり割っ
たりしないよう精白米に加える摩擦力を弱くし、そのか
わり比較的長い時間をかけて洗浄することにより充分な
洗浄ができるように構成されている。したがって、この
ような洗米装置を用いて、無洗米製造に適するような短
時間の内に、アリウロン残留物をほぼ完全に除去するこ
とは不可能に近いのである。
【0006】また、付着水の除去についても公知の装置
として考えられるのは遠心脱水機やネットコンベア( 風
により付着水を蒸発させる) 等であるが、単に遠心脱水
機で脱水するのみでは付着水が精白米の約3重量%以下
になった時点からさらに脱水するのに時間が掛かり、付
着水の精白米内部への過度の浸入が発生する。他方、ネ
ットコンベアでは、精白米の全表面に均等に風を接触さ
せるのが困難で、精白米の一部の粒が、あるいは、1 粒
の精白米の一部の部位が過乾燥になる、所謂ムラ乾燥と
なって、亀裂を生じる危険性が高い。これを防ぐには精
白米を転勤させながら蒸発させれば良いように思われる
が、それでは吸水により軟化している精白米表層の組織
を傷めることになる。
【0007】以上のようなことから、特開平2−242
647号公報には、精白米の洗浄や付着水の除去につい
ての実施可能な装置が開示されているとはいえず、ま
た、特開平3−154643号公報に開示されている無
洗米の製造装置では、一応無洗米の製造が可能であろう
と考えられるが、洗浄水の温度や雰囲気の相対湿度等の
条件に係わらず高品質の無洗米を安定的に製造するため
には、さらに改良の余地がある。
【0008】そこで、本願発明者は、先に新規な無洗米
製造装置を開発し、この無洗米製造装置は特許第214
1449号として登録されている。この特許発明によ
り、精白米について短時間の内に洗浄から蒸発までの処
理を行なうことができ、しかも、その過程で精白米に亀
裂を生ぜしめたり精白米表面の細胞組織を傷つけず、炊
飯前の洗米を必要としない食味に優れしかも保存性も良
い無洗米を現実に製造できるようになった。
【0009】ところで、無洗米の製造に使用する精白米
の性状は、米の品質、品種、含水率、精白の度合い、収
穫後の経過年数等により変わってくるもので、すべてが
同じ性状を有しているものではない。 したがって、食
味の良い無洗米を製造するには、精白米の有する条件に
応じて洗米の強弱を調整する必要がある。しかしなが
ら、上記従来の技術では、精白米の性状に応じて洗米工
程を制御する対策はなされていない。 本願発明者は、
前記無洗米製造装置の改良研究の過程において、精白米
の条件に応じて洗米条件を制御すれば、より美味な無洗
米を製造することができることに着眼して、本願発明を
なすにいたった。
【0010】
【発明の概要】本願発明は、無洗米製造装置を、精白米
を水と空気の介在により洗浄する加圧洗米手段と、加圧
洗米工程を経た精白米の表面付着水を除去するためのす
すぎ脱水手段と、すすぎ脱水を経た精白米を乾燥してそ
の含水率を所定値に設定する水分調整手段と、精白米の
有する条件に応じて加圧洗米工程における洗米の強弱を
自在に制御する洗米強度調節手段とを、具え前記加圧洗
米手段は、精白米に洗浄水を供給する注水手段を複数有
するとともに、一端に精白米の受入口を他端に排出口を
有する攪拌筒に、周面に螺旋突条を備えた攪拌ロールを
回転駆動自在に内装してなり、前記すすぎ脱水手段は、
多孔状の周壁を備えた遠心脱水槽を回転駆動自在に設
け、遠心脱水槽の内部にスクリュー筒を遠心脱水槽と同
軸で遠心脱水槽と差動回転駆動自在に設け、スクリュー
筒に加圧洗米手段からの精白米をスクリュー筒内部に供
給する米供給管を押通するとともに、米供給管により供
給された精白米を遠心脱水槽の周壁に向けて吐出する米
吐出口と、米吐出口から吐出された精白米を遠心脱水槽
の周壁に沿って軸方向に移動させるスクリュー羽根と、
スクリュー羽根により移動させられる精白米に向けてす
すぎ水を吐出するすすぎ水吐出口とを設けてなり、前記
水分調整手段は、すすぎ脱水手段からの精白米をその上
面に展開するようネットを回転駆動可能に設けるととも
に、ネットの下側から空気を吸引する吸引ブロワを設け
てなり、前記洗米強度調節手段は、前記加圧洗米手段に
おいて精白米への圧力を自在に制御する洗米圧力調節手
段より構成するようにして、上記従来の課題を解決しよ
うとするものである。
【0011】前記構成において、洗米圧力調節手段は、
その軸方向における傾斜角度を自在に設定し得る攪拌筒
と、加圧洗米手段の傾斜角度を自在に設定するための角
度調節手段と、攪拌ロールの回転数調節手段により構成
することがある。
【0012】前記いずれかの構成において、攪拌ロール
の周面に形成される螺旋突条は、精白米の送り部と、洗
米部と、精白米の搬出部とからなり、前記各部の螺旋突
条のピッチは送り部は洗米部より小さく、搬出部は洗米
部より大きく形成するとともに、攪拌筒の周面において
前記洗米部および搬出部に対応する箇所に多数の小孔か
らなる排水部を設けることがある。
【0013】さらに、前記いずれかの構成において、ス
クリュー筒周壁のすすぎ水吐出口より上側に通気口を設
けるとともに、遠心脱水槽周壁の外側に遠心脱水槽と一
体的に回転する起風羽根を設けることがある。
【0014】また、上記いずれかの構成において、スク
リュー筒周壁のすすぎ水吐出口よ上側に通気口を設ける
とともに、遠心脱水槽の周囲を排気排水口を有するケー
シングにより覆い、排気排水口に吸引ブロワを連通して
設けることがある。
【0015】さらに、上記いずれかの構成において、蒸
発手段のネットの回転速度を調節自在となすことがあ
る。
【0016】そして、上記いずれかの構成において、各
処理手段を、後工程側の処理手段の精白米受入口が前工
程側の処理手段の精白米排出口の下方に位置するよう連
設することにより、各処理手段の間に搬送手段を設ける
ことなしに、精白米が各処理手段を順次通過していくよ
うに構成することがある。
【0017】さらにまた、上記いずれかの構成におい
て、加圧洗米手段、すすぎ脱水手段と、水分調整手段
と、洗米強度調節手段の動作を制御する駆動制御手段を
具え、前記各手段の動作を制御手段に入力される精白米
に関するデ−タに基づいて実行されるように構成するこ
とがある。
【0018】そして、前記いずれかの構成において、洗
米強度調節手段は、洗米圧力調節手段と、前記加圧洗米
手段における洗浄水量調節手段とで構成することがあ
る。
【0019】また、本願発明は、周面に突条を備えた攪
拌ロールを回転駆動自在に内装した攪拌筒内で精白米を
洗浄する工程、洗米工程を経た精白米をすすぎかつ付着
した水分を脱水する工程、次いで、精白米を乾燥してそ
の含水率を所定値に設定する工程とで構成し、前記精白
米の洗浄工程は、精白米を攪拌筒の入り口から内部に移
送する送り工程と精白米を洗浄する研ぎ工程と、研ぎ工
程からの精白米を水洗する略すすぎ工程とから構成する
とともに、この精白米の洗浄工程は精白米の有する条件
に応じて、洗米圧力、攪拌ロールの回転数、洗浄水の供
給量を調節して洗米をなすようした無洗米製造方法を提
供し、精白米の有する条件に応じて洗米動作を精妙にコ
ントロ−ルして炊いて美味しい無洗米の実現を図る。
【0020】また、前記製造方法において、洗米圧力、
攪拌ロールの回転数、洗浄水の供給量の調節を、制御手
段に入力される精白米に関するデ−タに基づいて実行す
るように構成することがある。
【0021】
【発明の実施形態】図1は、本発明の1実施形態に係る
無洗米製造の全体概略構成図である。図において、10
0加圧洗米手段であり、精白米の攪拌筒103と、この
攪拌筒103に内装されて回転し、精白米を水とともに
攪拌洗浄するために周面に螺旋突条を有する攪拌ロール
105と、前記攪拌筒103内に精白米の洗浄水を供給
する複数の注水手段Wを具えている。
【0022】また、図において、1は、精白米の有する
条件、すなわち米の品質、品種、含水率、精白の度合
い、収穫後の経過年数等に対応して加圧洗米工程におけ
る洗米の強弱を自在に制御する洗米強度調節手段であ
り、洗米圧力調節手段10、攪拌筒103内への洗浄水
の供給量を調整するための注水量調節手段30を具えて
いる。なお、洗米強度調節手段は、通常は洗米圧力調節
手段10のみで構成すれば十分であり、注水量調節手段
30はより精密に洗米強度を調節する場合に設ければよ
い。
【0023】さらに、200は加圧洗米工程を経た精白
米の表面付着水を除去するためのすすぎ脱水手段であ
り、300は、すすぎ脱水を経てすすぎ脱水手段200
から送られる精白米を乾燥してその含水率を所定値に設
定するための水分調整手段である。 そして、40は、
加圧洗米手段、すすぎ脱水手段と、水分調整手段と、洗
米強度調節手段の動作を制御する駆動制御手段としての
コンピュ−タであり、前記各手段の動作を精白米に関す
るデ−タに基づいて制御する。
【0024】図2は、前記洗米圧力調節手段10の構成
図であり、洗米圧力調節手段10は前記攪拌筒103の
軸方向における傾斜角度を自在に設定できる加圧洗米手
段100と、この加圧洗米手段100を精白米の有する
条件に応じて所定の傾斜角度に回動設定する角度調節手
段50と、攪拌ロール105の回転数を調節するための
回転数調節手段20とから構成されている。
【0025】加圧洗米手段100は、所定位置を支点に
回動し得るように構成されており、前記角度調節手段5
0により回動されて、精白米の条件に応じた所定の傾斜
角度に設定される。この角度調節手段50は、例えば、
ステップモ−タ、油圧シリンダ−、電磁ソレノイド等の
周知のアクチュエ−タを使用することができ、加圧洗米
手段100とは、歯車機構その他周知の動力伝達手段に
より連結される。なお、この実施形態では、加圧洗米手
段100そのものが回動可能に構成されているが、攪拌
筒103のみを回動させるようにしてもよい。
【0026】さて、図1において、加圧洗米手段100
にホッパ−(不図示)から攪拌筒103内に連続的に投
入された精白米は、注水手段Wから供給される洗浄水お
よび攪拌筒103内の空気と混合し、この混合状態で攪
拌ロール105により攪拌されつつ攪拌筒103の出口
方向に進むうちに洗米される。
【0027】加圧洗米工程を経た精白米は、図1の矢符
に示すようにすすぎ脱水手段200に移送されて、すす
ぎおよび脱水処理がなされた後、水分調整手段300に
移送されて、含水率が所定値になるように乾燥される。
脱水手段200、水分調整手段300については、後述
する。
【0028】該実施形態において、攪拌ロール105の
周面に設けられる螺旋突条は、精白米の送り部と、洗米
部と、精白米の搬出部とからなり、前記各部の螺旋突条
のピッチは送り部は洗米部より小さく、搬出部は洗米部
より大きく形成されている。一方、攪拌筒103に洗浄
水を供給する注水手段Wは、攪拌筒103の周面の3か
所に設けられ、各注水手段はそれぞれ前記送り部と、洗
米部と、搬出部に対応する位置にある。
【0029】攪拌筒103に投入された精白米は、前記
送り部を経て洗米部に到達する。この洗米部において、
注水手段から洗浄水が攪拌筒103内に供給され、空気
を巻き込みつつ精白米、水の攪拌混合が実行される。精
白米は攪拌ロール105の回転による遠心力により攪拌
筒103の内周面に押圧され米粒が互いに強く接触しつ
つ洗浄される。したがって、攪拌ロール105の回転数
を下げれば精白米への圧力は低下し、逆に攪拌ロール1
05の回転数を上げれば精白米への圧力は増大する。ま
た、精白米における圧力には、供給される洗浄水の量も
関係する。すなわち、洗浄水の量を多いと、米粒の間に
介在する水膜のために米粒相互の接触圧が小さくなる。
逆に、洗浄水の量を少ないと、米粒の間に介在する水
膜が薄くなり米粒相互の接触圧が大きくなる。
【0030】該実施形態では、洗米工程における米粒へ
の圧力を調整することにより、洗米強度の調節を実行し
ようとするものであるが、圧力の調整は、攪拌ロール1
05の回転数の調節と、前記角度調節手段50により加
圧洗米手段100を、精白米の条件に応じた所定の傾斜
角度に回動させて実行しているが、より精密な圧力調節
をなす場合には精白米への注水量の調節を行う。
【0031】角度調節手段50による加圧洗米手段10
0または攪拌筒103の角度調節は、いずれの角度に設
定する場合も、攪拌筒103における精白米の入り口側
が精白米の出口側より低い位置にくるように加圧洗米手
段100または攪拌筒103を回動させる。加圧洗米手
段100または攪拌筒103を上述のように傾斜させる
ことにより、攪拌筒103内の精白米には常に精白米の
入り口への力が作用し、精白米は前記作用力に抗して攪
拌ロール10の回転により出口方向へ押圧されるから精
白米には所定の圧力が生じる。そして、この圧力は、加
圧洗米手段100または攪拌筒103の傾斜角度の大小
により増減する。したがって、古米等、強力に洗浄する
必要のある場合は傾斜角度を大にする一方、攪拌ロール
10の回転数を上げればよい。 逆に、傾斜角度を小に
して、攪拌ロール105の回転数を下げれば、洗米の強
度は、小となる。
【0032】さて、炊飯前の精白米の洗浄は、玄米の精
米時に米の表面に固着した糠層の除去を目的としてい
る。ところで、この糠層の性状は洗浄しようとする米に
より、種々様々であるから、その米の状態に応じて洗米
強度を調節して始めて、美味な無洗米が得られる。すな
わち、例えば、新米の場合は、糠層の固化の度合いは小
さいから、所定以上の強度で洗米すると、糠層のみでな
く米の有するうまみまで除去されてしまう。 逆に、古
米のような場合には、洗浄強度が小さいと、洗浄後も糠
層が残留していて、炊飯しても糠臭が強く食用に供せな
い場合がある。
【0033】すなわち、すべての米について、同一の洗
米強度で処理したのでは、おいしい無洗米を得ることは
できない。この実施形態では、米を、(a)品種、
(b)含水率、(c)温度(気温、洗浄水の温度、米の
温度)、(d)用途別、(e)米の保管状態の各条件に
ついて、5段階の区分をなし、これら区分に基づいて洗
米デ−タを制御手段としてのコンピュ−タに入力して加
圧洗米手段100の動作を制御するようにしている。
【0034】すなわち、前記区分は以下のようになされ
ている。 (a)品種 区分 米の品種 1.......キララ、星の夢 2.......津軽ロマン、津軽乙女 3.......月の光、夢明り 4.......オ−ストラリア産コシヒカリ、秋田コ
マチ、ヒノヒカリ 5.......コシヒカリ、生え抜き、ヒトメボレ (b)米の含水率 区分 含水率 1.......13%前後 2.......13.5%前後 3.......14% 前後 4.......14.5%前後 5.......15% 前後 (c)温度(気温、洗浄水の温度、米の温度の和) 区分 温度の総和 1.......摂氏30度未満 2.......摂氏30度以上45度未満 3.......摂氏45度以上55度未満 4.......摂氏55度以上65度未満 5.......摂氏65度以上 (d)用途別 区分 用途 1.......都会部の家庭用 2.......弁当業者用 3.......寿司用 4.......地方都市の業務用 5.......非都市部家庭用 (e)米の保管状態 区分 保管状態 1.......常温で20カ月以上保管したもの 2.......常温で10カ月以上保管したもの 3.......低温で20カ月以上保管したもの 4.......低温で10カ月以上保管したもの 5.......低温で10カ月未満保管したもの
【0035】上記において、洗米度は1から5の順に低
くする。そして、上記各条件における区分の和を洗米係
数とするとその最小値は5となり、最大値は25とな
り、この範囲で洗米係数は26種類となる。洗米係数5
の場合は、その精白米は、最大強度で洗米する必要があ
り、洗米係数が25を示す場合は、最小強度で洗米すれ
ばよいことになる。そして、加圧洗米手段100におけ
る洗米強度を26種類設定できるようにすれば、ほとん
どの米について最適の加圧洗米を実行できることにな
る。 すなわち、コンピュ−タのファ−ムウエアには、
予め5から25までの各洗米係数に対応して洗米強度、
具体的には攪拌筒103の傾斜角度、攪拌ロ−ル105
の回転数が入力設定されており、具体的な洗米係数が入
力されると、その数値に対応する傾斜角度、回転数によ
り無洗米製造装置が運転されるようになっている。
【0036】該実施形態では、制御手段40としてのコ
ンピュ−タのファ−ムヱアに前記26種類の洗米動作を
設定しておく。 そして、実際の洗米動作にあたり、例
えば前記洗米係数が12の場合、12に対応する洗米強
度を選択するように制御手段に所定信号を入力すると、
制御手段は加圧洗米手段をして12に対応する強度の洗
米をなすべく動作させる。
【0037】
【発明の実施例】図3は、図1に係る無洗米製造装置の
1実施例を示す全体概略構成図であり、精白米を水と空
気の介在により洗浄する加圧洗米手段100と、加圧洗
米工程を経た精白米の表面付着水を除去するためのすす
ぎ脱水手段200と、すすぎ脱水を経た精白米を乾燥し
てその含水率を所定値に設定する水分調整手段300
と、精白米の有する条件に応じて加圧洗米工程における
洗米の強弱を自在に制御する洗米強度調節手段Aとを、
具えている。図において、100は加圧洗米手段であ
り、一端に精白米の受入口101を、他端に排出口10
2を有する6角筒形の攪拌筒103に、周面に螺旋突条
104を具えた攪拌ロール105を内装し、この攪拌ロ
ール105はモーター(不図示)により駆動される。攪
拌筒103には水タンク( 図示せず) 等に連通した注水
手段を設けるとともに、攪拌筒103の下側には精白米
が漏出しない程度の小孔からなる排水部を設け、さら
に、その下側に水受樋108が設けられている。
【0038】前述したように(図2)、加圧洗米手段1
00は、洗米圧力調節手段10を有しているが図3では
煩雑となるので示していない。この洗米圧力調節手段1
0は前記攪拌筒103の軸方向における傾斜角度を自在
に設定できる加圧洗米手段100と、この加圧洗米手段
100を精白米の有する条件に応じて所定の傾斜角度に
回動設定する角度調節手段50と、攪拌ロール105の
回転数を調節するための回転数調節手段20とから構成
されている。
【0039】すなわち、加圧洗米手段100は、所定位
置を支点に回動し得るように構成されており、前記角度
調節手段50により回動されて、精白米の条件に応じた
所定の傾斜角度に設定される。この角度調節手段50
は、例えば、ステップモ−タ、油圧シリンダ−、電磁ソ
レノイド等の周知のアクチュエ−タを使用することがで
き、加圧洗米手段100とは、歯車機構その他周知の動
力伝達手段により連結さていれる。なお、この実施例で
は、加圧洗米手段100そのものが回動可能に構成され
ているが、攪拌筒103のみを回動させるようにしても
よい。また、攪拌ロール105の回転数を調節するため
の回転数調節手段20は、攪拌ロール105の駆動モ−
タとこれに取り付けるサイリスタ変換装置により構成さ
れ、攪拌ロール105の回転数を精密に制御できるよう
になっている。
【0040】図4は、加圧洗米手段100の要部、すな
わち攪拌筒103に内装される攪拌ロール105の1実
施例を示す図である。図4(a)において、攪拌ロール
105の周面に設けられる螺旋突条104は、精白米の
送り部104aと、洗米部104bと、精白米の搬出部
104cとからなり、前記各部の螺旋突条のピッチは送
り部104aは洗米部104bより小さく、搬出部10
4cは洗米部104bより大きく形成されている。一
方、攪拌筒103に洗浄水を供給する注水手段Wは、攪
拌筒103の周面の3か所に設けられ、各注水手段W
1、W2、W3はそれぞれ前記送り部104aと、洗米
部104bと、搬出部104cに対応する位置にある。
また、103aは、前記攪拌筒103の下側周面におい
て前記送り部104aに対応する位置に設けられている
第1排水部、103bは同じく前記洗米部104bおよ
び搬出部104cに対応する位置に設けられている第2
排水部であり、それぞれ多数の小孔からなっている。ま
た、
【0041】前述のように、攪拌筒103は、前記角度
調節手段50により回動されて、精白米の条件に応じた
所定の傾斜角度に設定できるようになっているが、角度
調節手段50による加圧洗米手段100または攪拌筒1
03の角度調節は、いずれの角度に設定する場合も、図
4(b)に示すように攪拌筒103における精白米の入
り口101側が精白米の出口102側より低い位置にく
るように加圧洗米手段100または攪拌筒103を回動
させる。加圧洗米手段100または攪拌筒103の傾斜
角度は、0〜90度の範囲で設定可能であるが、実用的
見地から、この実施例では傾斜角度を20〜50度の範
囲で選択できるようになっている。なお、精白米の条件
に応じた加圧洗米手段100または攪拌筒103の傾斜
角度、攪拌ロール105の回転数の設定は、制御手段に
入力する精白米のデ−タにより自動的になされるが、こ
の自動制御を解除して手動により実行することも可能で
ある。
【0042】図3に示すように、すすぎ脱水手段200
は、上面が開放されたケーシング201の内部に、精白
米が漏出しない程度の細孔202aが穿設された多孔状
の周壁202と底板203とからなる遠心脱水槽204
を設け、遠心脱水槽204の内部には、同心状に外側に
スクリュー羽根205(図5参照)を有する周壁206
と底板207とからなるスクリュー筒208を設け、こ
のスクリュー筒208と遠心脱水槽204は、それぞれ
独立して回転可能になっており、かつ、スクリユー筒2
08のほうが遠心脱水槽204より若干速く回転するよ
うにする。
【0043】また、加圧洗米手段100の洗米排出口に
臨んでホッパー210aとその下方に一体形成される筒
状部210bとからなる米水受入れ筒210を設け、該
受入れ筒210の筒状部210bはスクリュー筒208
と同心状態に内部の底部付近まで延びている。 2次洗
浄水供給管211は米水受入れ筒210の内部に導入し
て配設し、また該氷水受入れ筒210の外周側にはすす
ぎ水供給管212が配設されている。そして図6に示す
ように、周壁206に下側から順に米水吐出口213、
すすぎ水吐出口214を設け、さらに、すすぎ水吐出口
214より上側には、通気口215を設けている。
【0044】また、遠心脱水槽204の周壁202の上
端にフランジ部217を設け、フランジ部217と底板
203とに両端を保持される複数の起風羽根218を設
けるとともに、ケーシング201の周壁下方には排気排
水口219を設けることにより、起風羽根218の回転
に伴い、スクリュー筒208の上端から風が入り、スク
リュ−筒208の通気口215および遠心脱水槽204
の細孔202aを通過して、排気排水口219から出る
ような風の流れが生じるようにする。
【0045】この風の流れは図3に多数の矢符で示すと
おりである。排気排水口219は図示しない排気排水管
に接続される。さらに、ケーシング201の上面にはネ
ット223を張設し、下端には回収樋224を形成し、
回収樋224には排出口225を設けて排出管226を
取り付ける。 この排出管226から出たときの精白米
の含水率は、周知の水分計で測定したところ17〜18
%であった。
【0046】さらに、図3において、水分調整手段30
0は、変形しないよう下面を補強した円板状のネット3
01を、ケーシング302に内装したモーター303に
より回転駆動可能に設け、ネット301上の精白米がこ
ぼれないようネット301の外周部と中央部をそれぞれ
外周カバー304、内周カバー305で覆い、また、ケ
ーシング302と外周カバー304の一部をネット30
1と面一になるよう切り欠いて,排出口306を形成
し、この排出口306には排出シュート307を取り付
けるとともに、ネット301の回転により精白米を排出
口306へ誘導するようになっている。またネット30
1の上面側には、ネット301上に温風を供給するため
のヒーター309が設けられて、またヒーター309の
温風と、ネット301上の精白米に下方側への吸引力を
かけるために吸引ブロー( 図示せず) に連通する吸気口
311が設けられている。
【0047】また、図6に示すように、すすぎ脱水手段
200の排出管226からネット301上に排出される
精白米は、ネット301の回転によって矢印のように一
回転させられるが、その一回転の終端位置にガイド板3
08が設けられ、該ガイド板308に案内されて精白米
は排出口306に誘導され、排出シュート307から排
出されるようになっている。そして、この水分調整手段
300の排出シュート307から出た精白米の含水率
は、周知の水分計で測定したところ13.0〜14.5
%であった。
【0048】次に、上記構成に基づいて、実施例に係る
無洗米装置の作用を説明する。まず、洗米する精白米の
デ−タを制御手段40としてのコンピュ−タに入力す
る。前記デ−タは、段落番号「0034」で説明した表
による数値である。すなわち、米の(a)品種、(b)
含水率、(c)温度(気温、洗浄水の温度、米の温
度)、(d)用途別、(e)米の保管状態、の5項目に
ついて、それぞれ5段階の区分がなされたデ−タ表から
洗米する精白米の洗米度係数を計算し、その数値を制御
手段40としてのコンピュ−タに入力する。コンピュ−
タのファ−ムウエアには、予め係数5から25の各数値
に対応する攪拌筒103の傾斜角度および攪拌ロール1
05の回転数が入力されており、例えば洗米度係数5が
入力されると、制御手段はこの係数に応じた攪拌筒10
3の傾斜角度および攪拌ロール105の回転数により無
洗米製造装置を駆動制御する。
【0049】洗米度係数が5の場合、最大強度で洗米す
る必要がある。 したがって、この数値5を制御手段に
入力すると、加圧洗米手段100または攪拌筒103の
傾斜角度は自動的に50度前後に設定される一方、攪拌
ロール105の回転数も高回転に設定され、精白米投入
手段111から加圧洗米手段100に精白米が投入され
洗米動作が開始する。
【0050】精白米は、攪拌筒103内で、攪拌ロール
105の精白米の送り部104a、洗米部104b、精
白米の搬出部104cの順に移動することになるが、図
4(b)に示すように、攪拌筒103等は、精白米の入
り口101を下側にして傾斜しているから、精白米は、
重力の影響を受けて攪拌筒103内で、右下方すなわち
入り口方向に移行しようとする。一方、攪拌ロール10
5の回転は精白米を攪拌筒103の出口方向に押圧す
る。このとき、米粒相互の間には大きな接触圧が生じ、
洗米強度は大となる。
【0051】さらに、洗米の開始とともに、注水手段W
1、W2、W3から洗浄水が攪拌筒103内に供給さ
れ、精白米の進行方向に逆流して精白米に衝突して圧力
がかかる。この洗浄水は、第1排水部103a、第2排
水部103bから排水される。なお、第1排水部103
aの排水はその汚染度が大きいので未処理での再利用は
困難であるが、第2排水部103bからの排水の汚染度
は極めて小さいため、未処理でも再利用は容易である。
すなわち、第2排水部103bからの排水は、洗米部1
04bで洗米された精白米(洗浄水は第1排水部103
aから排出されてしまっている)を単にすすいだ水にす
ぎないから汚れはほとんどみられない。この実施例で
は、第2排水部103bからの排水およびすすぎ脱水手
段200の排水を注水手段W1に戻して再利用するよう
にしている。
【0052】さて、精白米を、上記のように傾斜角度を
大きくした攪拌筒103内で、攪拌ロール105の回転
数を高めた状態で洗米すると、米粒に作用する圧力が増
加し洗米強度が上がる。 さらに、洗米強度の増加には
攪拌筒103内の水量も関係する。 傾斜角度を大きく
した攪拌筒103内では、洗浄水の滞留時間が短くな
り、米粒間に介在する水量が少ないから、米粒間におけ
る接触圧も大となるのである。
【0053】洗米度係数が、例えば25の場合、上述と
は逆に、最小強度で洗米する必要がある。 上記と同様
に制御手段に洗米度係数25を入力すると、制御手段と
してのコンピュ−タは、予め洗米度係数25に対応して
設定された攪拌筒103の傾斜角度および攪拌ロール1
05の回転数により装置の運転を開始する。該実施例で
は、洗米度係数25における攪拌筒103の傾斜角度
は、ほぼ20度前後に設定されている。また、攪拌ロー
ル105の回転数も前述の洗米強度の最大時の洗米係数
に反比例して設定される。したがって、攪拌ロール10
5の回転数は1/5となっている。攪拌筒103の傾斜
角度および攪拌ロール105の回転数の減少により、洗
米時における精白米への圧力がその精白米の条件に適し
たものとなる。
【0054】加圧洗米工程を経た精白米は少量の洗浄水
とともに排出口102から排出され、これらの洗浄水お
よび精白米はすすぎ脱水手段200の米水受入れ筒21
0に投入される。 なお、該実施例において、精白米が
洗浄水と接触したのち排出口102から排出されるまで
の時間は約2.6秒以内であり、このように極く短時間
では精白米の強度が低下しないので、比較的高い圧力を
加えながら精白米の表面を摩擦することにより、アリウ
ロン残留物を有効に遊離させることができる。
【0055】加圧撹拝手段100 から出た米粒群( 精白
米) と洗浄水とは、図3において矢符R2で示すようにす
すぎ脱水手段200に送られる。すなわち、攪拌筒10
3の排出口102から排出された精白米と水は、矢符R
2からR3に示すようにホッパー210aと筒状部21
0bとからなる米水受入れ筒210内に落下し、ここで
2次洗浄水供給管211らの約1.2〜2.0リッタ−
のの2次洗浄水を浴びる。
【0056】これらの精白米と洗浄水とは筒状部210
b内を落下してスクリュ−筒208の底部207に達
し、このスクリュー筒208の回転に伴う遠心力によ
り、矢符R4に示すように放射方向に移動され、両者は
米水吐出口213から出て遠心脱水槽204内に入り、
さらに遠心脱水槽204の回転に伴う遠心力で周壁20
2に押し付けられ、このうち洗浄水は多数の矢印で示す
ように細孔202aから排出される。
【0057】このようにして水切りされた精白米は、遠
心脱水槽204と差動回転するスクリュー筒208のス
クリュー羽根205により、矢符R5に示すように周壁
202に沿って軸方向に上送されながら遠心脱水される
が、その途中で加水される。すなわち、精白米重量の1
/4〜1/2倍程度の量、例えば約0.8〜1.5リッ
タ−のすすぎ水がかけられる。すすぎ水供給管212か
らスクリュー筒208内に供給されるすすぎ水は、遠心
力により周壁206の内面に押し付けられて水膜状に広
がり、これらのすすぎ水が多数の矢印で示すように各す
すぎ水吐出口214、214.....から吐出され、
精白米にシャワ−状に注がれる。遠心脱水を行ないなが
ら注水がなされるので、精白米表面に付着水として残っ
ているアリウロン残留物を高濃度に含んだ洗浄水は、効
果的にすすぎ水と入れ替わり、付着水のアリウロン残留
物濃度を充分に下げることができる。
【0058】なお、アリウロン残留物を含んだ2次洗浄
水およびすすぎ水は、排水口219より1000〜20
00ppmの排水として外部に排出される。すすぎ水が
注水された後、精白米はさらに上送されながら遠心脱水
される。ここでは、通気口215から細孔202aへ抜
ける風が精白米の間を通過することにより、遠心脱水作
用が補助されるようにしたので、遠心力を極端に強くし
なくても速やかな脱水が可能となり、遠心力により精白
米が傷めるのを防いでいる。そして精白米が、矢符R6
に示すように遠心脱水槽204の上端に達する時点では
付着水は精白米の2〜3重量%となっていて、すすぎ脱
水手段220での滞留時間は約14秒である。
【0059】前記遠心脱水槽204の上端から出た精白
米は、遠心力により放射方向に飛ばされ、矢符R7に示
すように,空間221を経て回収樋224に落下し、排
出口225から排出管226を経て、矢符R8に示すよ
うに水分調整手段300のケーシング302へ投入され
る。この排出管226を出た直後の精白米の含水率を水
分計で測定したところ、17〜18%であった。ケーシ
ング302へ投入された精白米は、順次回転しているネ
ット301上に展開され、上方からヒーター309の温
風を受けながら移送され、且つ吸引ブロワ311の吸引
によりネット301を上から下へ吹き抜ける温風により
付着水を蒸発させられるが、この時点で付着水は精白米
の2〜3重量%と僅かであり、かつ、精白米の表面全体
に均一に付着しているので、風は精白米相互の各すき間
を均等に流れ、ムラ乾燥を生じる恐れがない。また、こ
こではネット301に移動され精白米自身を転勤させる
ことがないので、吸水して弱くなった精白米表面の細胞
組織を傷めることがない。
【0060】こうして付着水がほぼ完全に蒸発させられ
た精白米は、矢符R9に示すように排出口306から排
出シュート307を通って製品となって排出される。こ
の水分調整手段300 での滞留時間は約27秒であり、吹
き付けられる風の温度はその時の気温(摂氏)の+5度
である。この排出シュート307から出た精白米の含水
率は水分計で測定したところ13.0〜14.5%であ
った。すなわち、精白米をホッパー111aに投入して
から水分調整手段300を経由して排出シュート307
から出て製品となるまでの時間は米質や季節などに応じ
て45秒〜100秒である。また最終製品である無洗米
の水分率は、当初に投入される精白米の水分率の±0.
3%前後に仕上げられ、当初の精白米15%の水分率よ
り若干低い水分率、例えば14.5の水分率に仕上げら
れる。
【0061】
【発明の効果】本発明に係る無洗米製造装置は、以上説
明した構成・作用により、洗浄する精白米に対応した洗
米強度により洗米をなすことができるので、食味に優
れ、保存性も良い無洗米が製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1実施形態に係る無洗米製造装置の
全体構成図である。
【図2】 本発明の1実施形態に係る洗米圧力調節手段
の全体構成図である。
【図3】 本発明の1実施例に係る無洗米製造装置の全
体構成図である。
【図4】 攪拌ロ−ルの1実施例を示す側面図である。
【図5】 すすぎ脱水手段のスクリュ−筒の1実施例を
示す正面図である。
【図6】 水分調節手段の1実施例を示す平面図であ
る。
【符号の説明】
1.........洗米強度調節手段 10........洗米圧力調節手段 20........回転数調節手段 30........洗浄水量調節手段 40........制御手段 50........角度調節手段 100.......加圧洗米手段 103.......攪拌筒 105.......攪拌ロ−ル 200.......すすぎ脱水手段 300.......水分調整手段

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 精白米を水と空気の介在により洗浄する
    加圧洗米手段と、加圧洗米工程を経た精白米の表面付着
    水を除去するためのすすぎ脱水手段と、すすぎ脱水を経
    た精白米を乾燥してその含水率を所定値に設定する水分
    調整手段と、精白米の有する条件に応じて加圧洗米工程
    における洗米の強弱を自在に制御する洗米強度調節手段
    とを、具え前記加圧洗米手段は、精白米に洗浄水を供給
    する注水手段を複数有するとともに、一端に精白米の受
    入口を他端に排出口を有する攪拌筒に、周面に螺旋突条
    を備えた攪拌ロールを回転駆動自在に内装してなり、前
    記すすぎ脱水手段は、多孔状の周壁を備えた遠心脱水槽
    を回転駆動自在に設け、遠心脱水槽の内部にスクリュー
    筒を遠心脱水槽と同軸で遠心脱水槽と差動回転駆動自在
    に設け、スクリュー筒に加圧洗米手段からの精白米をス
    クリュー筒内部に供給する米供給管を押通するととも
    に、米供給管により供給された精白米を遠心脱水槽の周
    壁に向けて吐出する米吐出口と、米吐出口から吐出され
    た精白米を遠心脱水槽の周壁に沿って軸方向に移動させ
    るスクリュー羽根と、スクリュー羽根により移動させら
    れる精白米に向けてすすぎ水を吐出するすすぎ水吐出口
    とを設けてなり、 前記水分調整手段は、すすぎ脱水手段からの精白米をそ
    の上面に展開するようネットを回転駆動可能に設けると
    ともに、ネットの下側から空気を吸引する吸引ブロワを
    設けてなり、 前記洗米強度調節手段は、前記加圧洗米手段において精
    白米への圧力を自在に制御する洗米圧力調節手段により
    構成したことを特徴とする無洗米製造装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、洗米圧力調節手段
    は、攪拌筒の軸方向における傾斜角度を自在に設定し得
    る加圧洗米手段と、この加圧洗米手段を所望の傾斜角度
    に設定するための角度調節手段と、攪拌ロールの回転数
    調節手段により構成したことを特徴とする無洗米製造装
    置。
  3. 【請求項3】 攪拌ロールの周面に形成される螺旋突条
    は、精白米の送り部と、洗米部と、精白米の搬出部とか
    らなり、前記各部の螺旋突条のピッチは送り部は洗米部
    より小さく、搬出部は洗米部より大きく形成するととも
    に、攪拌筒の周面において前記洗米部および搬出部に対
    応する箇所に多数の小孔からなる排水部を設けたことを
    特徴とする請求項1または2いずれかの無洗米製造装
    置。
  4. 【請求項4】 スクリュー筒周壁のすすぎ水吐出口より
    上側に通気口を設けるとともに、遠心脱水槽周壁の外側
    に遠心脱水槽と一体的に回転する起風羽根を設けてなる
    請求項1ないし3いずれか記載の無洗米製造装置。
  5. 【請求項5】 スクリュー筒周壁のすすぎ水吐出口よ上
    側に通気口を設けるとともに、遠心脱水槽の周囲を排気
    排水口を有するケーシングにより覆い、排気排水口に吸
    引ブロワを連通してなる請求項1ないし4いずれか記載
    の無洗米製造装置。
  6. 【請求項6】 蒸発手段のネットの回転速度を調節自在
    としてなる請求項1ないし5いずれか記載の無洗米製造
    装置。
  7. 【請求項7】 各処理手段を、後工程側の処理手段の精
    白米受入口が前工程側の処理手段の精白米排出口の下方
    に位置するよう連設することにより、各処理手段の間に
    搬送手段を設けることなしに、精白米が各処理手段を順
    次通過していくように構成してなる請求項1ないし6い
    ずれか記載の無洗米製造装置。
  8. 【請求項8】 加圧洗米手段、すすぎ脱水手段と、水分
    調整手段と、洗米強度調節手段の動作を制御する駆動制
    御手段を具え、前記各手段の動作は制御手段に入力され
    る精白米に関するデ−タに基づいて実行されるようにし
    た請求1ないし7いずれか記載の無洗米製造装置。
  9. 【請求項9】 洗米強度調節手段は、加圧洗米手段にお
    いて精白米への圧力を自在に制御する洗米圧力調節手段
    と、前記加圧洗米手段における洗浄水量調節手段とを具
    えたことを特徴とする無洗米製造装置。
  10. 【請求項10】 周面に突条を備えた攪拌ロールを回転
    駆動自在に内装した攪拌筒内で精白米を洗米する工程、
    洗米工程を経た精白米をすすぎかつ付着した水分を脱水
    する工程、次いで、精白米を乾燥してその含水率を所定
    値に設定する工程、を有し、 前記精白米の洗米工程は、精白米を攪拌筒の入り口から
    内部に移送する送り工程と精白米を洗浄する研ぎ工程
    と、研ぎ工程からの精白米を水洗する略すすぎ工程とか
    ら構成するとともに、この精白米の洗浄工程は精白米の
    有する条件に応じて、洗米圧力、攪拌ロールの回転数、
    洗浄水の供給量を調節して洗米をなすようしたことを特
    徴とする無洗米製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項9において、洗米圧力、攪拌ロ
    ールの回転数、洗浄水の供給量を調節するための制御手
    段を具え、この制御手段に入力される精白米に関するデ
    −タに基づいて洗米圧力、攪拌ロールの回転数、洗浄水
    の供給量を調節するようにしたことを特徴とする無洗米
    製造方法。
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