JP2012050350A - 白米の製造方法と白米 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本願発明の解決課題は、白米の食べやすさと、玄米と同程度(栄養素によっては玄米以上)の栄養価をもった白米の製造方法と、その白米を提供することにある。
【解決手段】 本願発明の白米製造方法は、籾米を発芽させ、発芽させた籾米をボイル(パーボイルド)し、ボイルした籾米を乾燥させ、その籾米から籾殻を除去し、籾殻を除去した玄米を精米して白米を製造する方法である。この場合、玄米又は白米を脱臭することによって、食べやすい白米とすることもできる。精米後に白米を再脱臭してさらに食べやすい白米とすることもできる。本願発明の白米は、籾を発芽させ、その発芽させた籾をボイルすることによって、籾殻又は/及び糠から栄養素を胚乳に移行させたものである。この場合、白米から脱臭して食べやすくすることもできる。
【選択図】図1
【解決手段】 本願発明の白米製造方法は、籾米を発芽させ、発芽させた籾米をボイル(パーボイルド)し、ボイルした籾米を乾燥させ、その籾米から籾殻を除去し、籾殻を除去した玄米を精米して白米を製造する方法である。この場合、玄米又は白米を脱臭することによって、食べやすい白米とすることもできる。精米後に白米を再脱臭してさらに食べやすい白米とすることもできる。本願発明の白米は、籾を発芽させ、その発芽させた籾をボイルすることによって、籾殻又は/及び糠から栄養素を胚乳に移行させたものである。この場合、白米から脱臭して食べやすくすることもできる。
【選択図】図1
Description
本願発明は、白米の製造方法及び白米に関する。
白米は玄米を精米したものであり、広く一般的に食されている。精米により取り除かれる糠には栄養素が豊富に含まれていることが知られており、糠を除去しない玄米が食されることもある。
白米は食感がよく、食べやすいが、玄米ほど栄養価は高くない。反対に、玄米は白米よりも栄養価が高いが、糠臭く、白米のような食感もなく食べにくい。このため、玄米は白米に混ぜて食されることもある。
従来、白米のように食べやすく、玄米のように栄養価に優れたお米として、発芽玄米を精米した発芽白米が提案されている(特許文献1)。
特許文献1記載の発芽白米は、精米して糠を除去してあるため糠臭さがなく、栄養価が高いが、胚芽自体は残存するため、白米と同様の食感を得ることは難しかった。
本願発明の解決課題は、白米の食べやすさと、玄米と同程度(栄養素によっては玄米以上)の栄養価をもった白米の製造方法と、その白米を提供することにある。
本願発明の白米製造方法は、籾米を発芽させ、発芽させた籾米をボイル(パーボイルド)し、ボイルした籾米を乾燥させ、その籾米から籾殻を除去し、籾殻を除去した玄米を精米して白米を製造する方法である。この白米製造方法においては、玄米又は白米を脱臭して食べやすい白米を製造することもできる。本願発明では、前記脱臭した精米後の白米を再脱臭することもできる。
本願発明の白米は、籾米を発芽させ、その発芽させた籾米をボイル(パーボイルド)することによって、籾米の栄養素を胚乳に移行させたものである。この場合、白米を脱臭して食べやすくすることもできる。
本願発明の白米製造方法は、次のような効果がある。
(1)発芽させた籾米をボイルすることによって、籾米の栄養素が胚乳に移行する(後記する実験で確認済み)ので、籾殻を除去した玄米を精米しても、籾米が本来持っている栄養素が十分に含まれた白米を製造することができる。
(2)玄米を精米するので、炊飯しても米糠の臭いが殆ど無い(気にならない)白米を製造することができる。精米後に白米を再脱臭することによって、より一層食しやすい白米を製造することができる。
(1)発芽させた籾米をボイルすることによって、籾米の栄養素が胚乳に移行する(後記する実験で確認済み)ので、籾殻を除去した玄米を精米しても、籾米が本来持っている栄養素が十分に含まれた白米を製造することができる。
(2)玄米を精米するので、炊飯しても米糠の臭いが殆ど無い(気にならない)白米を製造することができる。精米後に白米を再脱臭することによって、より一層食しやすい白米を製造することができる。
本願発明の白米は、次のような効果がある。
(1)発芽後の籾米をボイルすることによって、籾米の栄養素が胚乳に移行しているので、栄養価が高い。糠及び胚芽を取り除いてあるため、食感が良く、従来の白米と同様に食べやすく、糠臭さも殆ど無い。
(2)脱臭されているので臭いが気にならず食しやすい。再脱臭した白米の場合は、臭いが殆どせず、一回だけ脱臭する場合に比べて一層、食しやすくなる。
(3)ボイルにより玄米がアルファ化されているので、常温での長期間保管が可能となり、常用食としてはもちろん、災害用の備蓄や非常食用としても適している。
(1)発芽後の籾米をボイルすることによって、籾米の栄養素が胚乳に移行しているので、栄養価が高い。糠及び胚芽を取り除いてあるため、食感が良く、従来の白米と同様に食べやすく、糠臭さも殆ど無い。
(2)脱臭されているので臭いが気にならず食しやすい。再脱臭した白米の場合は、臭いが殆どせず、一回だけ脱臭する場合に比べて一層、食しやすくなる。
(3)ボイルにより玄米がアルファ化されているので、常温での長期間保管が可能となり、常用食としてはもちろん、災害用の備蓄や非常食用としても適している。
(白米の製造方法の実施形態)
本願発明の白米製造方法の実施形態の一例を、図面を参照しながら説明する。この白米製造方法は、籾米1を発芽させる発芽工程11と、発芽させた籾米1をボイルするボイル工程12と、その籾米1を乾燥させる乾燥工程13と、籾米1から籾殻2を除去して玄米3を取り出す籾殻除去工程14と、玄米3から糠4を除去して白米5にする精米工程16と、脱臭を行う脱臭工程15とを含むものである。脱臭は玄米3を脱臭することも精米後に脱臭することもできる。
本願発明の白米製造方法の実施形態の一例を、図面を参照しながら説明する。この白米製造方法は、籾米1を発芽させる発芽工程11と、発芽させた籾米1をボイルするボイル工程12と、その籾米1を乾燥させる乾燥工程13と、籾米1から籾殻2を除去して玄米3を取り出す籾殻除去工程14と、玄米3から糠4を除去して白米5にする精米工程16と、脱臭を行う脱臭工程15とを含むものである。脱臭は玄米3を脱臭することも精米後に脱臭することもできる。
(発芽工程)
前記発芽工程11は籾米1を発芽させるための工程であるが、籾米1を発芽させるにあたって、事前に籾米1を常温水に浸漬(以下、「発芽準備の浸漬」という。)する。常温水の温度は時期や地域等によっても異なるが、10℃〜35℃程度の常温水、より好ましくは15℃程度の常温水が好ましい。水温が10℃よりも低いと発芽に時間がかかるため作業性が悪く、水温が35℃を超えると発芽が始まってしまうため、水分不足になる可能性がある。浸漬する場合、加工する籾米1の量に応じた容量の容器に常温水を入れ、その中に籾米1を完全に浸らせる。常温水の量は容器の大きさや加工量に応じて適宜変更することができるが、いずれの場合も、籾米1が完全に常温水に浸る量にする。
前記発芽工程11は籾米1を発芽させるための工程であるが、籾米1を発芽させるにあたって、事前に籾米1を常温水に浸漬(以下、「発芽準備の浸漬」という。)する。常温水の温度は時期や地域等によっても異なるが、10℃〜35℃程度の常温水、より好ましくは15℃程度の常温水が好ましい。水温が10℃よりも低いと発芽に時間がかかるため作業性が悪く、水温が35℃を超えると発芽が始まってしまうため、水分不足になる可能性がある。浸漬する場合、加工する籾米1の量に応じた容量の容器に常温水を入れ、その中に籾米1を完全に浸らせる。常温水の量は容器の大きさや加工量に応じて適宜変更することができるが、いずれの場合も、籾米1が完全に常温水に浸る量にする。
浸漬は、積算温度が40℃〜80℃程度となるように行うことが好ましい。より好ましくは、積算温度が60℃〜75℃程度となるように行う。例えば、温度15℃の水に浸漬する場合、5日間浸漬を続けると積算温度が75℃となり、発芽準備の浸漬として十分な積算温度を確保することができる。積算温度が40℃以下の場合は水分が米に万遍なく行き渡らないため、後工程の乾燥によって割れが生じるおそれがある。80℃を超えると発芽開始が早過ぎて水分不足になって、後工程の乾燥によって割れが生じるおそれがある。浸漬中は籾殻2の汚れやアクなどがでるため、適時(毎日又は2日に一回程度の頻度で)容器内の水を交換することが好ましい。
発芽準備の浸漬後、発芽のため30℃〜35℃程度の容器内の水に籾米1を浸漬(以下、「発芽のための浸漬」という。)させて籾米1を発芽させる。この場合、籾米1を入れた容器内の水に水をかける(例えばシャワーで)ことによって、容器内の水中に空気(酸素)を送り込んだり、容器内の水量を均一にしたりして、籾米1の発芽を促すことができる。籾米1を発芽させることによって、籾殻2や糠4に含まれるγ‐アミノ酪酸(GABA)などの栄養素が胚乳に直に、又は胚芽6の部分に移行してから胚乳に移行する(図2)。
前記発芽準備の浸漬と発芽のための浸漬とを明確に区別する必要はなく、両者の通算積算温度が105℃程度となるようにすることもできる。前記発芽準備の浸漬と発芽のための浸漬によって籾米1の含有水分を22%〜35%にすることもできる。籾米1の水分が22%よりも低い場合は籾殻2や糠4に含まれるγ‐アミノ酪酸(GABA)などの栄養素が胚芽6或いは胚乳に移行し難く、35%よりも高い場合はボイルすると米自体がべたつくおそれがある。
(ボイル工程)
前記ボイル工程12は、発芽によって胚芽6に移行したγ‐アミノ酪酸(GABA)やカルシウムなどの栄養素(籾米に含まれる栄養素)を胚乳7に移行させ(図2)、或いは籾米に含まれる栄養素を直に胚乳7に移行させ、発芽させた籾米1の表面をアルファ化させるための工程である。ボイルは、例えば、既存の又は新規の蒸気ボイラ(圧力ボイラ)を用いて行うのが好ましい。蒸気温度やボイル時間は、米の品種や米の状態によっても異なるが、本発明者の実験によれば、70℃〜100℃の蒸気で10分〜35分程度でも良かったが、10分〜60分程度行うのが好ましかった。100℃で30分以上ボイルする場合、籾殻2が割れ中身が露出するおそれがある。本実施形態では、むらなくボイルするために蒸気ボイラを用いているが、蒸気ボイラ以外の既存の蒸し器を用いることもできる。
前記ボイル工程12は、発芽によって胚芽6に移行したγ‐アミノ酪酸(GABA)やカルシウムなどの栄養素(籾米に含まれる栄養素)を胚乳7に移行させ(図2)、或いは籾米に含まれる栄養素を直に胚乳7に移行させ、発芽させた籾米1の表面をアルファ化させるための工程である。ボイルは、例えば、既存の又は新規の蒸気ボイラ(圧力ボイラ)を用いて行うのが好ましい。蒸気温度やボイル時間は、米の品種や米の状態によっても異なるが、本発明者の実験によれば、70℃〜100℃の蒸気で10分〜35分程度でも良かったが、10分〜60分程度行うのが好ましかった。100℃で30分以上ボイルする場合、籾殻2が割れ中身が露出するおそれがある。本実施形態では、むらなくボイルするために蒸気ボイラを用いているが、蒸気ボイラ以外の既存の蒸し器を用いることもできる。
(乾燥工程)
前記乾燥工程13はボイルした籾米1を乾燥するための工程であり、具体的には、発芽した籾米1の水分が15%以下程度になるまで乾燥させる工程である。乾燥は自然乾燥でもよく、家庭用の小さな籾乾燥器等を用いて常温の風を送るようにすることもできる。温度や湿度は時期や地域によって異なるため、乾燥はこれらを考慮して行うことが望ましい。本発明者の実験によると、18℃の風を8時間程度送り続けると、水分量を14%程度にすることができた。前記ボイル後にすぐに乾燥を行うと、急激な温度変化により米整粒に割れが生じてしまうため、ボイル後15分〜30分程度自然放置して、50℃程度まで冷ましてから乾燥を行うことが好ましい。穀温が高い間は、穀温を冷ます程度の風量とすることが好ましい。熱風(40℃以上)で乾燥すると割れが生じるおそれがある。
前記乾燥工程13はボイルした籾米1を乾燥するための工程であり、具体的には、発芽した籾米1の水分が15%以下程度になるまで乾燥させる工程である。乾燥は自然乾燥でもよく、家庭用の小さな籾乾燥器等を用いて常温の風を送るようにすることもできる。温度や湿度は時期や地域によって異なるため、乾燥はこれらを考慮して行うことが望ましい。本発明者の実験によると、18℃の風を8時間程度送り続けると、水分量を14%程度にすることができた。前記ボイル後にすぐに乾燥を行うと、急激な温度変化により米整粒に割れが生じてしまうため、ボイル後15分〜30分程度自然放置して、50℃程度まで冷ましてから乾燥を行うことが好ましい。穀温が高い間は、穀温を冷ます程度の風量とすることが好ましい。熱風(40℃以上)で乾燥すると割れが生じるおそれがある。
(籾殻除去工程)
前記籾殻除去工程14は、籾米1から籾殻2を除去して玄米3を取り出すための工程であり、籾摺りなどの既存の方法で行うことができる。
前記籾殻除去工程14は、籾米1から籾殻2を除去して玄米3を取り出すための工程であり、籾摺りなどの既存の方法で行うことができる。
(脱臭工程)
前記脱臭工程15は、籾殻除去工程14で得られた玄米3の臭いを取り除くための工程であり、例えば、真空脱臭法により行うことができる。ここで真空脱臭法とは、真空ポンプにより密閉容器内の空気を抜気して容器内をマイナス圧にする方法であり、マイナス圧にする段階で玄米3の内部の臭いを吸引することができる。例えば、密閉容器内に玄米を入れて、真空ポンプで密閉容器内の空気圧が約−0.02〜−0.07Mpa程度になるまで密閉容器内の空気を抜気する。その抜気過程において玄米3の内部の臭いが吸引される。空気圧が設定圧に達してから所定時間(3〜4分)後に密閉容器内に新しい空気を入れると、密閉容器内に新しい空気が入る。この空気の入れ替えを4〜8時間の間に繰り返し行うことによって、玄米3の脱臭が促進され、臭いが殆どなく食べ易くなる。真空脱臭法による脱臭では、新しい空気を入れる際にオゾンを併せて入れることもできる。オゾンを併せて入れると、単に真空脱臭する場合に比べて脱臭効果が大きい。脱臭は他の方法によって行うこともできる。
前記脱臭工程15は、籾殻除去工程14で得られた玄米3の臭いを取り除くための工程であり、例えば、真空脱臭法により行うことができる。ここで真空脱臭法とは、真空ポンプにより密閉容器内の空気を抜気して容器内をマイナス圧にする方法であり、マイナス圧にする段階で玄米3の内部の臭いを吸引することができる。例えば、密閉容器内に玄米を入れて、真空ポンプで密閉容器内の空気圧が約−0.02〜−0.07Mpa程度になるまで密閉容器内の空気を抜気する。その抜気過程において玄米3の内部の臭いが吸引される。空気圧が設定圧に達してから所定時間(3〜4分)後に密閉容器内に新しい空気を入れると、密閉容器内に新しい空気が入る。この空気の入れ替えを4〜8時間の間に繰り返し行うことによって、玄米3の脱臭が促進され、臭いが殆どなく食べ易くなる。真空脱臭法による脱臭では、新しい空気を入れる際にオゾンを併せて入れることもできる。オゾンを併せて入れると、単に真空脱臭する場合に比べて脱臭効果が大きい。脱臭は他の方法によって行うこともできる。
(精米工程)
前記精米工程16は、玄米3の表面を削って糠4や汚れを取り除くための工程であり、既存の方法、既存の装置を用いて行うことができる。この精米工程により糠4(図2)や汚れと共に胚芽6(図2)をも除去する。精米後、白米5に強めの風を2時間程度あて、前記脱臭工程15(図1)によって脱臭しきれなかった臭いを脱臭(再脱臭)することもできる(再脱臭工程17)。風の強さや送風時間は米の量、環境温度、環境湿度などに応じて変更することができる。
前記精米工程16は、玄米3の表面を削って糠4や汚れを取り除くための工程であり、既存の方法、既存の装置を用いて行うことができる。この精米工程により糠4(図2)や汚れと共に胚芽6(図2)をも除去する。精米後、白米5に強めの風を2時間程度あて、前記脱臭工程15(図1)によって脱臭しきれなかった臭いを脱臭(再脱臭)することもできる(再脱臭工程17)。風の強さや送風時間は米の量、環境温度、環境湿度などに応じて変更することができる。
脱臭は精米後に行うことも、玄米時と精米後の双方で行うこともできる。
(白米の実施形態)
本願発明の白米の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。この実施形態の白米5は、籾米1を発芽させて籾米(籾殻2や糠4)に含まれるγ‐アミノ酪酸(GABA)やカルシウム等の栄養素を胚乳7に含むものである。胚乳7の栄養素の含有(胚乳7への栄養素の移行)過程は定かではないが、例えば、前記発芽工程11で発芽させた籾米1を、前記ボイル工程12でボイルすることにより、前記栄養素が胚芽6に移行し、胚芽6から胚乳7に移行して行われるか、或いは、前記栄養素が直に胚乳7に移行して行われるものと思われる。いずれにしても、後記する実験結果(表1)のとおり、胚乳7に前記栄養素が含まれていることが明らかになった。前記ボイル工程12の後、前記乾燥工程13、籾殻除去工程14、脱臭工程15、精米工程16の夫々の工程を前述した要領で行うことによって、籾殻2や糠4に含まれる栄養素を十分に含んだ白米5を得ることができる。
本願発明の白米の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。この実施形態の白米5は、籾米1を発芽させて籾米(籾殻2や糠4)に含まれるγ‐アミノ酪酸(GABA)やカルシウム等の栄養素を胚乳7に含むものである。胚乳7の栄養素の含有(胚乳7への栄養素の移行)過程は定かではないが、例えば、前記発芽工程11で発芽させた籾米1を、前記ボイル工程12でボイルすることにより、前記栄養素が胚芽6に移行し、胚芽6から胚乳7に移行して行われるか、或いは、前記栄養素が直に胚乳7に移行して行われるものと思われる。いずれにしても、後記する実験結果(表1)のとおり、胚乳7に前記栄養素が含まれていることが明らかになった。前記ボイル工程12の後、前記乾燥工程13、籾殻除去工程14、脱臭工程15、精米工程16の夫々の工程を前述した要領で行うことによって、籾殻2や糠4に含まれる栄養素を十分に含んだ白米5を得ることができる。
本件特許出願人は、財団法人日本食品分析センターに次の米(試料)についての分析試験を依頼した。試料は次のとおりである。
品種:彩のかがやき
産地:埼玉県熊谷市
生産年:2009年
品種:彩のかがやき
産地:埼玉県熊谷市
生産年:2009年
表1は5月26日に行った分析試験の結果を示すものである。表1の「加工なし」欄及び「加工あり」欄に示した数値は、試験をした試料(数g)に含まれる栄養素量を、試料100gあたりの栄養素量に換算したものである。表1における「加工あり」欄のデータは、試料を本願発明の白米製造方法によって加工した場合の数値であり、「加工なし」欄のデータは、その加工をしなかった場合の数値である。本願発明の白米製造方法の加工は、表2に示す試験条件(加工条件)で行った。
表1において、「加工あり」欄の「(c)玄米」は試料を本願発明の白米製造方法(精米工程を除く)によって加工した玄米(以下、「加工玄米」という。)であり、同欄の「(d)白米」は、前記加工玄米を精米した白米(以下、「加工白米」という。)である。「加工なし」欄の「(a)玄米」は本願発明の白米製造方法によらない従来の玄米(以下、「従来玄米」という。)であり、同欄の「(b)白米」は従来玄米を精米した白米(以下、「従来白米」という。)である。
従来白米と加工白米の栄養素の数値を比較すると、表1の「(b)と(d)との対比」欄に示すように、糖質、エネルギー、たんぱく質、水分、ビタミンEを除くすべての栄養素において、加工白米の数値の方が高い(ただし、糖質、エネルギー、たんぱく質については従来白米と同値)ことが確認できる。特に、肝機能を高める効果、コレステロールや中性脂肪を抑える効果、リラックス効果などを有することが知られているGABA(γ‐アミノ酪酸)の数値は、従来白米の7倍であることが確認できる。また、表1の「(a)と(d)との対比」欄に示すように、GABA、カルシウム、ナトリウム、糖質に関しては、従来玄米よりも高い数値であることが確認できる。
前記分析試験結果から明らかなとおり、本願発明の白米製造方法によれば、従来白米よりも栄養価が高く、従来玄米に匹敵する栄養素を備えた白米を製造することができる。白米は玄米に比べて食感が良く、においも気にならず、食べやすいことは前述のとおりである。したがって、本願発明の白米製造方法によれば、従来白米と同様に食べやすく、かつ、従来玄米に匹敵する栄養素をもった白米を製造することができる。
1 籾米
2 籾殻
3 玄米
4 糠
5 白米
6 胚芽
7 胚乳
11 発芽工程
12 ボイル工程
13 乾燥工程
14 籾殻除去工程
15 脱臭工程
16 精米工程
17 再脱臭工程
2 籾殻
3 玄米
4 糠
5 白米
6 胚芽
7 胚乳
11 発芽工程
12 ボイル工程
13 乾燥工程
14 籾殻除去工程
15 脱臭工程
16 精米工程
17 再脱臭工程
Claims (5)
- 籾米を発芽させ、発芽させた籾米をボイルし、ボイルした籾米を乾燥させ、その籾米から籾殻を除去し、籾殻を除去した玄米を精米して白米を製造することを特徴とする白米製造方法。
- 請求項1記載の白米の製造方法において、玄米又は白米を脱臭することを特徴とする白米製造方法。
- 請求項2記載の白米の製造方法において、精米後に白米を再脱臭することを特徴とする白米製造方法。
- 籾米を発芽させ、その発芽させた籾米をボイルすることによって、籾殻又は/及び糠から栄養素を胚乳に移行させたことを特徴とする白米。
- 請求項4記載の白米において、白米から脱臭したことを特徴とする白米。
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- 2010-08-31 JP JP2010193610A patent/JP2012050350A/ja active Pending
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