JP3433173B2 - 硫化物系結晶化ガラス、固体型電解質及び全固体二次電池 - Google Patents
硫化物系結晶化ガラス、固体型電解質及び全固体二次電池Info
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Description
導性の硫化物系結晶化ガラス、これを用いる固体型電解
質及び全固体二次電池に関する。
を示す電解質は、ほとんど液体に限られていた。例え
ば、室温で高リチウムイオン伝導性を示す材料として、
有機系電解液がある。
い伝導度を示す、Li3N をベースとするリチウムイ
オン伝導性セラミックスが知られている。
電解液は、有機溶媒を含むために、可燃性である。した
がって、有機溶媒を含むイオン伝導性材料を電池の電解
質として実際に用いる際には、液漏れの心配や発火の危
険性がある。
リチウムイオンが伝導するだけでなく、対アニオンが伝
導するために、リチウムイオン輸率が1でない。
オン伝導性セラミックスは、分解電圧が低いために、3
V以上で作動する全固体電池を構成することが困難であ
った。
オン伝導性を示す、硫化物系結晶化ガラスを提供するこ
とを課題とする。また、本発明は、かかる硫化物系結晶
化ガラスを固体電解質に用いた全固体二次電池を提供す
ることを課題とする。
スを結晶化させて得られる、リチウムイオン伝導性の硫
化物系結晶化ガラスであって、Li2S50〜92.5
モル%及びP2S57.5〜50モル%の組成を有して
おり、30〜99%の結晶化率を有しており、Li2S
とP2S5とを主成分とするガラス相と、Li7P
S6、Li4P2S6及びLi3PS4からなる群より
選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する結晶相とが
存在している、硫化物系結晶化ガラスに係るものであ
る。
させて得られる、リチウムイオン伝導性の硫化物系結晶
化ガラスであって、Li2S50〜90モル%、P2S
51〜50モル%及びSiS21〜50モル%の組成を
有しており、30〜99%の結晶化率を有しており、L
i2SとP2S5とSiS2とを主成分とするガラス相
と、Li7PS6、Li4P2S6及びLi3PS4か
らなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなる
結晶母体とLi4SiS4及びLi2SiS3からなる
群より選ばれる少なくとも1種の化合物との固溶体から
なる結晶性化合物を含有する結晶相とが存在している、
硫化物系結晶化ガラスに係るものである。
ガラスを用いる固体型電解質及び全固体二次電池に係る
ものである。
5とを主成分とする硫化物系ガラスの結晶化によって、
極めて優れたリチウムイオン伝導性を示す硫化物系結晶
化ガラスが生成することを見出し、本発明に至った。
分とする硫化物系ガラスを加熱し結晶化すると、Li7
PS6、Li4P2S6及びLi3PS4からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する結晶相が
形成されることを見出した。
は、硫化物系ガラスのリチウムイオン伝導性を著しく向
上させることが分かった。
系ガラスが、結晶化によって、リチウムイオン伝導性を
著しく向上させることに基づくものである。
化ガラスの組成中に、硫化物としてSiS2を用いる場
合、結晶相中に、Li7PS6、Li4P2S6及びL
i3PS4からなる群より選ばれる少なくとも1種の化
合物からなる結晶母体とLi 4SiS4及びLi2Si
S3からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物と
の固溶体からなる結晶性化合物が生成することを突き止
め、本発明に至った。
硫化物系ガラスが、リチウムイオン伝導性をより一層向
上させることに基づくものである。
結晶化させて得られるものをいう。かかる結晶化ガラス
は、固相反応で得られる多結晶体とは異なり、結晶化ガ
ラスの形成時に混入する気泡以外、気孔が実質的に形成
されない。
Li7PS6、Li4P2S6及びLi3PS4からな
る群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する結
晶相によって、リチウムイオン伝導性が著しく高められ
る。
れば、結晶相中の、Li7PS6、Li4P2S6及び
Li3PS4からなる群より選ばれる少なくとも1種の
化合物からなる結晶母体とLi4SiS4及びLi2S
iS3からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
との固溶体からなる結晶性化合物によって、リチウムイ
オン伝導性がより一層高められる。
よれば、リチウムイオン伝導性に優れた硫化物系の固体
型電解質が形成され、かかる固体型電解質により、リチ
ウムイオン伝導性に優れた硫化物系の全固体二次電池が
形成される。
は、Li2S50〜92.5モル%及びP2S 57.5
〜50モル%の組成を有しており、30〜99%の結晶
化率を有している。
SとP2S5とを主成分とするガラス相と、Li7PS
6、Li4P2S6及びLi3PS4からなる群より選
ばれる少なくとも1種の化合物を含有する結晶相とが存
在している。
Li2S50〜90モル%、P2S 51〜50モル%及
びSiS21〜50モル%の組成を有し、30〜99%
の結晶化率を有することができる。
SとP2S5とSiS2とを主成分とするガラス相と、
Li7PS6、Li4P2S6及びLi3PS4からな
る群より選ばれる少なくとも1種の化合物からなる結晶
母体とLi4SiS4及びLi2SiS3からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の化合物との固溶体からなる
結晶性化合物を含有する結晶相とが存在している。
中に、Li2S及びP2S5、又はLi2S、P2S5
及びSiS2に加え、Al2S3、B2S3及びGeS
2からなる群より選ばれる少なくとも1種の硫化物を含
ませることができる。
を形成する際に、より安定なガラスを生成させることが
できる。
の組成中に、Li2S及びP2S5、又はLi2S、P
2S5及びSiS2に加え、Li3PO4、Li4Si
O4及びLi4GeO4からなる群より選ばれる少なく
とも1種のオルトオキソ酸リチウムを含ませることがで
きる。
と、結晶化ガラス中のガラスを安定化させることができ
る。
スの組成中に、Li2S及びP2S 5、又はLi2S、
P2S5及びSiS2に加え、上述した硫化物を少なく
とも一種類以上含ませ、更に、上述したオルトオキソ酸
リチウムを少なくとも一種類以上含ませることができ
る。
2S及びP2S5に加え、前述した硫化物としてSiS
2を用いるか、前述したオルトオキソ酸リチウムとして
Li4SiO4を用いる場合、結晶相中に、Li7PS
6、Li4P2S6及びLi3PS4からなる群より選
ばれる少なくとも1種の化合物からなる結晶母体とLi
4SiS4及びLi2SiS3からなる群より選ばれる
少なくとも1種の化合物との固溶体からなる結晶性化合
物を生成させることができる。
固体でありながら、室温で極めて高いリチウムイオン伝
導性を示す。
機電解液よりも分解電圧が高く、少なくとも5V以上の
分解電圧を持ち、5V以上で充放電可能に作動する全固
体電池の固体型電解質として使用可能であり、電池の高
エネルギー密度化を可能とする。
不燃性の無機固体であり、リチウム二次電池の安全性の
問題も同時に解決できる。
チウムイオン輸率が1であるために、副反応にともなう
電池のサイクル特性の劣化を低減できる。
7PS6、Li4P2S6及びLi 3PS4からなる群
より選ばれる少なくとも1種の化合物からなる結晶母体
とLi4SiS4及びLi2SiS3からなる群より選
ばれる少なくとも1種の化合物との固溶体からなる結晶
性化合物を含有する結晶相が存在する場合、リチウムイ
オン伝導性がより一層高まる。
%及びP2S57.5〜50モル%の仕込み組成や、L
i2S50〜90モル%、P2S51〜50モル%及び
SiS21〜50モル%の仕込み組成等の混合物から硫
化物系ガラスを形成し、この硫化物系ガラスを加熱し
て、結晶化させ、硫化物系結晶化ガラスを製造すること
ができる。
込み組成の高リチウムイオン伝導性の硫化物系ガラスを
結晶化させることで、一層の伝導度増大が可能となり、
固体でありながらも、室温で極めて高いリチウムイオン
伝導性を示す。
ガラスから、硫化物系の固体型電解質を形成し、これを
用いることで、安全で高性能な全固体リチウム二次電池
を作製することができる。
ら硫化物系ガラスを形成する際、メカニカルミリング
(MM)処理又は融液急冷法を用いることができる。
るのが好ましい。MM処理では、ガラス生成域が拡大す
るからである。また、溶融急冷法で用いる加熱処理が不
要となり、室温で行えるので、製造工程の簡略化が可能
となる。
スを形成する際、窒素等の不活性ガスの雰囲気を用いる
のが好ましい。水蒸気や酸素等は、出発物質と反応し易
いからである。
好ましい。大きな機械的エネルギーが得られるからであ
る。
を使用するのが好ましい。非常に大きな機械的エネルギ
ーが得られるからである。
化物系ガラスの30〜99%は結晶化され、Li7PS
6、Li4P2S6及びLi3PS4からなる群より選
ばれる少なくとも1種の化合物を含有する結晶相が形成
される。
に、前述したSiS2か、前述したLi4SiO4を添
加する場合、結晶相中に、Li7PS6、Li4P2S
6及びLi3PS4からなる群より選ばれる少なくとも
1種の化合物からなる結晶母体とLi4SiS4及びL
i2SiS3からなる群より選ばれる少なくとも1種の
化合物との固溶体からなる結晶性化合物が生成する。
た硫化物系ガラス微粒子、特に、0.1〜5μmの平均
粒径の硫化物系ガラス微粒子を加熱して、結晶化させる
のが好ましい。
は、硫化物系ガラスが軟化し、ガラス相と結晶相との界
面の接触性に優れ、リチウムイオンの伝導性に優れると
考えられるからである。
M処理を用いることができる。
系ガラスのガラス転移温度が150℃であるから、15
0℃以上の温度にして行う。
に基づいて説明する。図1は、硫化物系結晶化ガラス
〔仕込組成:xLi2S・(100−x)P2S5(x
=50〜87.5)〕のX線回折パターンを示すグラフ
である。図2は、硫化物系結晶化ガラス〔仕込組成:x
Li2S・(100−x)P2S5(x=80)〕の伝
導度の温度依存性を示すグラフである。
成、68時間MM処理にて作製)の示差熱分析(DT
A)曲線を示す。図4は、3成分系硫化物ガラス(所定
の組成、68時間MM処理にて作製)の加熱時及び結晶
化後冷却時の伝導度の温度依存性を示す。図5は、3成
分系硫化物ガラス(a)、このガラスの伝導度測定後
(b)、DTA測定後(c)及び比較のためのLi7P
S6結晶(d)のX繰回折パターンを示す。
た。これらを所定のモル比に秤量し、遊星型ボールミル
を用いて、窒素中、室温で20時間MM処理して、微粉
末の非晶質体〔仕込組成:xLi2S・(100−x)
P2S5(x=50〜87.5)、実施例1:x=5
0、実施例2:x=60、実施例3:x=70、実施例
4:x=75、実施例5:x=80及び実施例6:x=
87.5〕を合成した。
ら550℃までの温度範囲で示差熱分析を行なった。そ
の結果、どの仕込み組成の試料に対しても、200℃前
後に発熱ピークが観察された。
を行った。その結果、図1に示すように、すべての組成
の試料に対して、結晶が存在することが分かった。
体の結晶化に伴うものである。すなわち、Li2SとP
2S5を主成分とする結晶化ガラスが、200℃程度の
低温で合成できることが分かった。
ト状に成形し、電極としてカーボンペーストを塗布し、
交流二端子法により、伝導度を測定した。測定は、室温
から開始し、一度250℃付近まで昇温し、その後降温
した。結果を図2に示す。
には、伝導度の増大が見られ、加熱後の室温における伝
導度が、10−3Scm−1付近の極めて高い値を示す
ことが分かった。
り返し行っても、伝導度は高い値を維持していた。
が、高リチウムイオン伝導性を示し、かつ熱的に安定で
あることが分かった。
に用い、正極にコバルト酸リチウム、負極には金属イン
ジウムを使用して、全固体電池を構成した。
充放電特性を示した。また、優れたサイクル特性を示
し、高温時の電池の安全性が、飛躍的に向上した。
びSiS2を用いた。これらを70.83Li2S・1
2.5P2O5・16.67SiS2のモル比に秤量
し、遊星型ボールミルを用いて、窒素中、室温で68時
間MM処理して、徴粉末の非晶質体を合成した。
550℃までの温度範囲で示差熱分析(DTA)を行っ
た。その結果、図3に示すように、240℃と360℃
付近に発熱ピークが観察された。
状に成形し、電極としてカーボンペーストを塗布し、交
流二端子法により伝導度を測定した。測定条件として
は、室温から240℃付近まで昇温し、その後降温し
た。結果を図4に示す。
に対して降温時には、伝導度の増大が見られ、加熱後の
伝導度が、10−3Scml付近の極めて高い値を示す
こと(前:σ25=1.29×10−4Scml、Ea
=34.8kJ/モル、後:σ25=7.63×10
−4Scml、Ea=26.6kJ/モル)が分かっ
た。その後、昇降温させながら伝導度測定を繰り返して
も、伝導度は高い値を維持していた。
分系硫化物ガラス(70.83Li 2S・12.5P2
O5・16.67SiS2組成、68時間MM)を24
0℃付近まで加熱して得られる3成分系結晶化ガラス中
の結晶相は、Li7PS6結晶とは異なる固溶体相であ
ることが分かった。
た3成分系結晶化ガラスが、高いリチウムイオン伝導性
を示し、熱的にも安定であることが分かった。
に用い、正極にコバルト酸リチウム、負極には金属イン
ジウムを使用して、全固体電池を構成した。その結果、
高電流密度域で良好な充放電特性を示した。この電池は
また、サイクル特性にも優れ、安全性も飛躍的に向上し
た。
2SとP2S5を用いて、所定のモル比に秤量し、遊星
型ボールミルを用いて窒素中、室温で20時間MM処理
し、微粉末の非晶質体〔仕込組成:xLi2S・(10
0−x)P2S 5(x=50〜87.5)、比較例1:
x=50、比較例2:x=60、比較例3:x=70、
比較例4:x=75、比較例5:x=80、比較例6:
x=87.5〕を合成した。
低い温度範囲で伝導度測定を繰り返したところ、昇降温
時の測定値は同じであった。すなわち、熱処理により非
晶質材料を結晶化させない際には、伝導度の増大が起こ
らないことが分かった。
い、正極にコバルト酸リチウム、負極には金属インジウ
ムを使用して、全固体電池を構成した。
域での放電容量が、若干低下する傾向にあった。これ
は、非晶質体の伝導度が、結晶化ガラスのそれより一桁
程度小さいために、正極材料の利用率が若干低下したた
めである。
ば、Li7PS6、Li4P2S6及びLi3PS4か
らなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を含有す
る結晶相によって、リチウムイオン伝導性が著しく高め
られる。
れば、結晶相中の、Li7PS6、Li4P2S6及び
Li3PS4からなる群より選ばれる少なくとも1種の
化合物からなる結晶母体とLi4SiS4及びLi2S
iS3からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物
との固溶体からなる結晶性化合物によって、リチウムイ
オン伝導性がより一層高められる。
よれば、リチウムイオン伝導性に優れた硫化物系の固体
型電解質が形成され、かかる固体型電解質により、リチ
ウムイオン伝導性に優れた硫化物系の全固体二次電池が
形成される。
S・(100−x)P2S5(x=50〜87.5)〕
のX線回折パターンを示すグラフである。
S・(100−x)P2S5(x=80)〕の伝導度の
温度依存性を示すグラフである。
間MM処理にて作製)の示差熱分析(DTA)曲線を示
すグラフである。
間MM処理にて作製)の加熱時及び結晶化後冷却時の伝
導度の温度依存性を示すグラフである。
伝導度測定後(b)、DTA測定後(c)及び比較のた
めのLi7PS6結晶(d)のX繰回折パターンを示す
グラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 硫化物系ガラスを結晶化させて得られ
る、リチウムイオン伝導性の硫化物系結晶化ガラスであ
って、 Li2S50〜92.5モル%及びP2S57.5〜5
0モル%の組成を有しており、30〜99%の結晶化率
を有しており、Li2SとP2S5とを主成分とするガ
ラス相と、Li7PS6、Li4P2S6及びLi3P
S4からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を
含有する結晶相とが存在していることを特徴とする、硫
化物系結晶化ガラス。 - 【請求項2】 硫化物系ガラスを結晶化させて得られ
る、リチウムイオン伝導性の硫化物系結晶化ガラスであ
って、 Li2S50〜90モル%、P2S51〜50モル%及
びSiS21〜50モル%の組成を有しており、30〜
99%の結晶化率を有しており、Li2SとP2S5と
SiS2とを主成分とするガラス相と、Li7PS6、
Li4P2S6及びLi3PS4からなる群より選ばれ
る少なくとも1種の化合物からなる結晶母体とLi4S
iS4及びLi2SiS3からなる群より選ばれる少な
くとも1種の化合物との固溶体からなる結晶性化合物を
含有する結晶相とが存在していることを特徴とする、硫
化物系結晶化ガラス。 - 【請求項3】 リチウムイオン伝導性の固体型電解質で
あって、 前記固体型電解質が、請求項1又は2記載の硫化物系結
晶化ガラスから形成されていることを特徴とする、固体
型電解質。 - 【請求項4】 正極と負極との間に固体型電解質を備え
ている全固体二次電池であって、 前記固体型電解質が、請求項3記載の固体型電解質であ
ることを特徴とする、全固体二次電池。
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