JP5561023B2 - 硫化物固体電解質材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、一段階の簡略な工程で加熱することなく、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成することが可能な硫化物固体電解質材料の製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラおよび携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車産業界等においても、電気自動車用あるいはハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。現在、種々の電池の中でも、エネルギー密度が高いという観点から、リチウム電池が注目を浴びている。
現在市販されているリチウム電池は、可燃性の有機溶剤を溶媒とする有機電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。これに対し、液体電解質を固体電解質層に変えて、電池を全固体化したリチウム電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
このような固体電解質層に用いられる固体電解質材料として、硫化物固体電解質材料が知られており、硫化物固体電解質材料には、非晶質ガラス状の硫化物固体電解質材料(硫化物ガラス)および結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料(硫化物ガラスセラミックス)がある。硫化物ガラスセラミックスは、例えば、硫化物ガラスを熱処理することで得られる。すなわち、硫化物ガラスセラミックスの製造方法としては、まず溶融急冷法やメカノケミカル法によって硫化物ガラスを合成し、次に硫化物ガラスに熱処理を行うことで硫化物ガラスセラミックスを合成するという方法が一般的である。このような方法では、合成が二段階となり、時間がかかってしまう。また、熱処理を200℃〜400℃で行うことから、エネルギー的にも負荷がかかる。これに対して、非特許文献1および2においては、加熱しながらボールミルを行うことにより、一段階で硫化物ガラスセラミックスを合成する方法が開示されている。一方、特許文献1においては、ボールミルを用いた機械粉砕時に原料1kgに対し、1秒当たり0.02〜1kJのエネルギーを加えることにより、一段階で硫化物ガラスを得る硫化物固体電解質の製造方法が開示されている。
特開2008−4334号公報
非特許文献1および2に記載されている方法では、加熱しながらボールミルを行うことにより、一段階で硫化物ガラスセラミックスを合成することができるものの、加熱することが必要なため、エネルギー的に負荷がかかるだけでなく、設備としても加熱機能を付与する必要があるという問題がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、一段階の簡略な工程で加熱することなく結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料(硫化物ガラスセラミックス)を得ることが可能な硫化物固体電解質材料の製造方法を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、少なくとも硫黄(S)元素および第13族〜第15族の元素を含有する原料組成物を用い、室温での高エネルギーメカノケミカル処理を行う合成工程のみにより、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を得ることを特徴とする硫化物固体電解質材料の製造方法を提供する。
本発明によれば、原料組成物に室温での高エネルギーメカノケミカル処理を行うことによって、一段階の簡略な工程で加熱することなく結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を得ることができる。
上記発明においては、上記原料組成物が、さらにLiを含有することが好ましい。例えば、リチウム固体電池に用いられる固体電解質材料として有用な硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。
上記発明においては、上記原料組成物が、少なくともLiSおよびPを含有することが好ましい。Liイオン伝導性に優れた硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。
上記発明においては、上記原料組成物におけるLiSおよびPの割合が、モル基準で、LiS:P=70:30〜80:20の範囲内であることが好ましい。より硫化水素発生量の少ない硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。
上記発明においては、上記合成工程において、上記原料組成物1kgに対し、1秒当たり12.4kJ以上のエネルギーを与えることが好ましい。
本発明においては、一段階の簡略な工程で加熱することなく結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を得ることができるという効果を奏する。
本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。 本発明における高エネルギーメカノケミカル処理の一例を説明する概略図である。 実施例1および比較例1〜3で得られた硫化物固体電解質材料のXRD測定の結果を示すグラフである。
以下、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法について、詳細に説明する。
本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法は、少なくとも硫黄(S)元素および第13族〜第15族の元素を含有する原料組成物を用い、室温での高エネルギーメカノケミカル処理を行う合成工程のみにより、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を得ることを特徴とするものである。
図1は、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法の一例を示すフローチャートである。図1に例示される硫化物固体電解質材料の製造方法においては、まず、原料として硫化リチウム(LiS)および五硫化リン(P)を用意し、これらを所定の割合で混合し、原料組成物を調製する。次に、原料組成物および粉砕用ボールを遊星型ボールミル用のポットに投入し、さらに脱水ヘプタンをポットに投入し、ポットを密閉する。続いて、このポットを遊星型ボールミル機に取り付けて、室温(25℃)での高エネルギーメカノケミカル処理を行い(合成工程)、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を得る。
本発明によれば、原料組成物に室温での高エネルギーメカノケミカル処理を行うことによって、一段階の簡略な工程で加熱することなく結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を得ることができる。
上述した特許文献1では、室温でのメカノケミカル処理(ボールミル)により非晶質ガラス状の硫化物固体電解質材料(硫化物ガラス)を合成している。この場合、ボールミルによって原料組成物に加えられるエネルギーが小さいため、硫化物ガラスを合成することはできるものの、より大きなエネルギーを必要とする結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料(硫化物ガラスセラミックス)を合成することはできないと考えられる。
一方、非特許文献1および2では、加熱によって原料組成物にエネルギーを付与しているため、ボールミルにより原料組成物に加えられるエネルギーが硫化物ガラスセラミックスを合成するのに十分に大きくなくても、硫化物ガラスセラミックスを合成することができるが、加熱を行わなければ、硫化物ガラスセラミックスを合成することはできないと考えられる。これに対して、本発明においては、室温でのメカノケミカル処理により原料組成物に与えるエネルギーを高くすることで、加熱することなく結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成することができる。
以下、本発明の硫化物固体電解質材料の製造方法について、工程ごとに説明する。
1.合成工程
本発明における合成工程は、少なくとも硫黄(S)元素および第13族〜第15族の元素を含有する原料組成物を用い、室温での高エネルギーメカノケミカル処理を行う工程である。本発明においては、合成工程のみにより、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を得ることを大きな特徴とする。なお、本発明においては、合成工程を不活性ガス雰囲気下(例えば、アルゴンガス雰囲気下、窒素ガス雰囲気下等)で行うことが好ましい。
本発明における原料組成物は、少なくとも硫黄(S)元素および第13族〜第15族の元素を含有するものである。硫黄(S)元素とガラスフォーマー元素である第13族〜第15族の元素とを含有する原料組成物を用いることで、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成することができるからである。
第13族〜第15族の元素としては、ガラスを形成することができる元素であれば特に限定されるものではないが、例えば、P、Ge、B、Si、Al、GaおよびAsからなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができ、中でも、Pが好ましい。PはLiイオン伝導性が高く、耐酸化還元性に優れるからである。例えば、GeおよびSiなどは還元に弱い(0.3V以下)。
また、上記原料組成物の組成は、少なくとも硫黄(S)元素および第13族〜第15族の元素を含むものであれば特に限定されるものではなく、目的とする硫化物固体電解質材料の用途等に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、固体電池に用いられる硫化物固体電解質材料を製造する場合は、原料組成物が、Sおよび第13族〜第15族の元素の他に、さらに伝導イオンとなる金属元素を含有することが好ましい。このような金属元素としては、例えば、Li、Na、Ca、Mg等を挙げることができ、中でも、Liが好ましい。リチウム固体電池に用いられる固体電解質として有用な硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。
原料組成物に用いられる原料としては、上述した組成の原料組成物を得ることができれば特に限定されるものではないが、例えば、LiS、P、P、SiS、Al、B、GeS、Li、S、P、Ga、As等を挙げることができる。
本発明においては、中でも、原料組成物が、少なくともLiSおよびPを含有することが好ましい。Liイオン伝導性に優れた硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。この場合、原料組成物はLiSおよびPのみを含有するものであっても良く、LiSおよびPに加えて、他の原料を含有するものであっても良い。また、原料組成物に含まれるLiSは、不純物が少ないことが好ましい。副反応を抑制することができるからである。LiSの合成方法としては、例えば、特開平7−330312号公報に記載された方法等を挙げることができる。さらに、LiSは、WO2005/040039に記載された方法等を用いて精製されていることが好ましい。同様に、原料組成物に含まれるPも、不純物が少ないことが好ましい。
また、原料組成物に添加されるその他の原料としては、LiPO、LiSiO、LiGeO、LiBOおよびLiAlOからなる群から選択される少なくとも一種のオルトオキソ酸リチウムを挙げることができる。オルトオキソ酸リチウムを加えることで、より安定な硫化物固体電解質材料を得ることができる。
原料組成物における各原料の含有量は、特に限定されるものではなく、目的とする硫化物固体電解質材料の組成に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、原料組成物がLiSおよびPを含有する場合、本発明においては、原料組成物におけるLiSおよびPの割合が、モル基準で、LiS:P=70:30〜80:20の範囲内であることが好ましく、LiS:P=73:27〜77:23の範囲内であることがより好ましく、LiS:P=74:26〜76:24の範囲内であることがさらに好ましい。原料組成物におけるLiSおよびPの割合を、オルト組成またはその近傍を含む範囲とすることで、より硫化水素発生量の少ない硫化物固体電解質材料を得ることができるからである。ここで、オルトとは、一般的に、同じ酸化物を水和して得られるオキソ酸の中で、最も水和度の高いものをいう。本発明においては、硫化物で最もLiSが付加している結晶組成をオルト組成という。例えば、LiS−P系では、LiPSがオルト組成に該当する。また、LiS−P系では、オルト組成を得るLiSおよびPの割合は、モル基準で、LiS:P=75:25である。
本発明における高エネルギーメカノケミカル処理とは、加熱することなく室温で結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成することができる程度に十分高いエネルギーを原料組成物に与えることができるメカノケミカル処理をいう。すなわち、本発明における高エネルギーとは、室温で結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成することができるエネルギーを意味する。高エネルギーメカノケミカル処理の条件は、メカノケミカル処理で原料組成物に与えるエネルギーを調整しながら、室温でのメカノケミカル処理により結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成する実験を繰り返し行う方法によって見出すことができる。
本発明に用いられる高エネルギーメカノケミカル処理としては、衝撃、圧縮、粉砕、混合、混練等の機械的操作において、原料組成物に加えられる機械的エネルギーにより生じる化学反応を利用して結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成することができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、ボールミル、振動ミル、ターボミル、メカノフージョン、ディスクミル等を挙げることができ、中でも、ボールミルが好ましく、特に、遊星型ボールミルが好ましい。所望の結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を効率良く合成することができるからである。
また、高エネルギーメカノケミカル処理における各種条件は、室温で結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成するのに十分なエネルギーを原料組成物に与えることができるように設定する。例えば、遊星型ボールミルにより結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成する場合、ポット内に、原料組成物および粉砕用ボールを加え、所定の台盤回転数および時間で高エネルギーメカノケミカル処理を行う。遊星型ボールミルを行う際の台盤回転数および処理時間は、目的とする結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料に応じて適宜設定することが好ましい。
高エネルギーメカノケミカル処理により原料組成物に与えるエネルギーは、例えば、遊星型ボールミルを用いる場合、以下のように求めることができる。図2は、本発明における高エネルギーメカノケミカル処理の一例を説明する概略図である。遊星型ボールミルにおいては、図2に例示するように、ボールがポット(容器)内の端から端まで飛んで原料組成物と衝突し、その時のボールの運動エネルギーが原料組成物に付与されることで原料組成物が反応するが、ボールの運動エネルギーEは、
E=(1/2)n×m×v (1)
で求められ、速度vは、
v=d×π×R/60 (2)
で求められる。ここで、nはボールの数(個)、mはボール1個当たりの質量(kg)、dはポットの直径(m)、Rはポットの回転数(rpm)である。なお、後述する実施例で用いたフリッチュ製ボールミルP−7では、ポットは台盤の約2倍の速さで回転する。得られた運動エネルギーEに、1秒当たりの衝突回数を掛け、原料組成物の重量(kg)で割ることで、単位重量当たりの原料組成物に対して1秒間に与えるエネルギーを算出することができる。なお、1秒当たりの衝突回数は、v/dで算出する。
本工程において、高エネルギーメカノケミカル処理により原料組成物に与えるエネルギーとしては、室温で結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成することができるエネルギーであれば特に限定されるものではなく、目的とする硫化物固体電解質材料の組成に応じて異なるものであるが、例えば、原料組成物がLiSおよびPを含有する場合、後述する実施例1で行われた高エネルギーメカノケミカル処理の条件を用いて、上述した方法により求めることができるように、原料組成物1kgに対し、1秒当たりに与えるエネルギーが、12.4kJ以上であることが好ましい。
本発明においては、原料組成物に溶媒を添加して、高エネルギーメカノケミカル処理を行うことが好ましい。溶媒を用いることで、高エネルギーメカノケミカル処理の際にポットの内側表面に未反応の上記原料組成物を含む固着物が発生することを抑制できる。また、原料組成物に対して均一に高エネルギーメカノケミカル処理が行われるため、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料の合成時間を大幅に短縮することができ、かつ、均一な組成を有する結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成することができる。
本発明に用いられる溶媒としては、合成される結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料との反応性が低い無極性溶媒が好ましい。結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料の劣化を抑制し、Liイオン伝導性の向上を図ることができるからである。このような無極性溶媒の具体例としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の鎖状アルカン;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン等の環状アルカン;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等を挙げることができる。中でも、本発明においては、鎖状アルカンが好ましい。
上記溶媒は、水分量が少ないことが好ましい。硫化水素の発生を抑制することができるからである。上記溶媒に含まれる水分量は、例えば、100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましい。水分量を低減する方法としては、例えば、蒸留処理を挙げることができる。すなわち、上記溶媒は、蒸留処理を行ったものであることが好ましい。
本発明において、原料組成物に対する上記溶媒の添加量は、固着物の発生を抑制することができれば、特に限定されるものではない。原料組成物を100重量部とした場合に、上記溶媒は、例えば、50重量部以上であることが好ましく、100重量部以上であることがより好ましい。上記溶媒の添加量が少なすぎると、固着物の発生を十分に抑制できない可能性があるからである。一方、原料組成物を100重量部とした場合に、上記溶媒は、例えば、1000重量部以下であることが好ましく、500重量部以下であることがより好ましい。上記溶媒の添加量が多すぎると、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料の合成に時間がかかり過ぎる可能性があるからである。
2.硫化物固体電解質材料
本発明により得られる硫化物固体電解質材料は、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料である。硫化物固体電解質材料が結晶化ガラス状、すなわち結晶質であることは、X線回折(XRD)測定により特定することができる。例えば、硫化物固体電解質材料がLiPS構造を有する場合、XRD測定(CuKα線)において、2θ=30.0°、29.5°、26.0°の位置にピークが検出されることにより、結晶質であると判断することができる。
なお、硫化物固体電解質材料におけるLiPS構造の割合は、多いことが好ましい。LiPS構造の割合は、例えば、ラマン分光スペクトルの測定および31P MAS NMR測定によって確認することができる。
本発明により得られる硫化物固体電解質材料は、通常粉末状であり、その平均粒径は、例えば、0.1μm〜50μmの範囲内である。また、上記硫化物固体電解質材料の用途としては、例えば、電池用途を挙げることができ、中でも、固体電池(特にリチウム固体電池)に用いられる固体電解質材料として有用である。例えば、硫化物固体電解質材料の粉末を圧縮成形することで、固体電解質層として用いることができる。また、本発明においては、上述した硫化物固体電解質材料の製造方法によって得られた硫化物固体電解質材料を用いることを特徴とする固体電池の製造方法を提供することもできる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
出発原料として、硫化リチウム(LiS)および五硫化リン(P)を用いた。これらの粉末をAr雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、75LiS・25Pのモル比となるように秤量し、メノウ乳鉢で混合し、原料組成物を得た。次に、得られた原料組成物2gを45mlのジルコニア製のポット(直径40mm)に投入した。続いて、脱水ヘプタン2gを秤量し、上記のポットに投入した。さらに、ジルコニア製の粉砕用ボール(Φ5mm、1個当たり0.4g、133個)を上記のポットに投入し、ポットを完全に密閉した(Ar雰囲気)。このポットを遊星型ボールミル機(フリッチュ製P−7)に取り付け、室温(25℃)において、台盤回転数800rpmで40時間メカノケミカル処理を行い、硫化物固体電解質材料を得た。
[比較例1]
台盤回転数を600rpmにしたこと以外は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質材料を得た。
[比較例2]
台盤回転数を500rpmにしたこと以外は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質材料を得た。
[比較例3]
台盤回転数を400rpmにしたこと以外は、実施例1と同様にして硫化物固体電解質材料を得た。
[評価]
(原料組成物に与えたエネルギー)
実施例1および比較例1〜3で行われたメカノケミカル処理により原料組成物1kgに対して1秒当たりに与えたエネルギーを、上記式(1)および(2)を用いて算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0005561023
(X線回折測定)
実施例1および比較例1〜3で得られた硫化物固体電解質材料に対して、X線回折(XRD)測定を行った。その結果を図3に示す。
図3に示されるように、実施例1で得られた硫化物固体電解質材料においては、2θ=30.0°、29.5°、26.0°の位置にピークが検出され、通常、非晶質ガラス状の硫化物固体電解質材料(硫化物ガラス)を熱処理したり、または加熱しながらメカノケミカル合成したりすることによって得られるThio−LISICONのパターンが得られた。したがって、実施例1で得られた硫化物固体電解質材料は、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料(硫化物ガラスセラミックス)であることが確認された。一方、比較例1〜3で得られた硫化物固体電解質材料においては、Thio−LISICONのパターンが得られず、非晶質ガラス状の硫化物固体電解質材料であることが確認された。これは、比較例1〜3で行われたメカノケミカル処理における台盤回転数が小さく、原料組成物に与えられたエネルギーが結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を合成することができるほど十分に高くなかったためであると考えられる。

Claims (2)

  1. 少なくとも硫黄(S)元素および第13族〜第15族の元素を含有する原料組成物を用い、室温での高エネルギーメカノケミカル処理を行う合成工程のみにより、結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料を得る硫化物固体電解質材料の製造方法であって、
    前記原料組成物は、Li SおよびP を含有し、
    前記原料組成物における前記Li Sおよび前記P の割合が、モル基準で、Li S:P =70:30〜80:20の範囲内であり、
    前記結晶化ガラス状の硫化物固体電解質材料は、X線回折測定においてLi PS 構造のピークが観察されることを特徴とする硫化物固体電解質材料の製造方法。
  2. 前記合成工程において、前記原料組成物1kgに対し、1秒当たり12.4kJ以上のエネルギーを与えることを特徴とする請求項に記載の硫化物固体電解質材料の製造方法。
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