JP7221114B2 - 無機材料の製造方法 - Google Patents
無機材料の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7221114B2 JP7221114B2 JP2019066566A JP2019066566A JP7221114B2 JP 7221114 B2 JP7221114 B2 JP 7221114B2 JP 2019066566 A JP2019066566 A JP 2019066566A JP 2019066566 A JP2019066566 A JP 2019066566A JP 7221114 B2 JP7221114 B2 JP 7221114B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- inorganic
- producing
- inorganic material
- solid electrolyte
- composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Description
ここで、ボールミルやビーズミルとは、セラミックス材料等から形成された硬質のボールやビーズと無機組成物とを円筒形の容器に入れて回転させ、無機組成物に対し硬質のボールやビーズを衝突させてエネルギーを与えることで、無機組成物をガラス化する装置である。
しかし、ボールミルやビーズミル等を用いて無機組成物をガラス化する方法では、容器内の壁面に無機組成物が付着してしまうため、機械的処理を一定時間行った後に、一度容器を開けて壁面に付着した無機組成物をそぎ落とす必要があった。さらに、無機組成物のガラス化が終了した後に、ガラス化した無機組成物をボールミルやビーズミル等から分離する操作が必要であった。
2種以上の無機化合物を機械的処理により化学反応させることにより得られる無機材料を製造するための製造方法であって、
2種以上の無機化合物を含む無機組成物を準備する準備工程と、
せん断応力および圧縮応力を組み合わせた粉砕装置を用いて、上記無機組成物を機械的処理することにより、2種以上の上記無機化合物を化学反応させながら上記無機組成物をガラス化するガラス化工程と、
ガラス化した上記無機組成物をアニール処理することにより、ガラス化した上記無機組成物の少なくとも一部を結晶化するアニール処理工程と、
を含む無機材料の製造方法が提供される。
本実施形態に係る無機材料の製造方法は、2種以上の無機化合物を機械的処理により化学反応させることにより得られる無機材料を製造するための製造方法であって、2種以上の無機化合物を含む無機組成物を準備する準備工程(A)と、せん断応力および圧縮応力を組み合わせた粉砕装置を用いて、上記無機組成物を機械的処理することにより、2種以上の上記無機化合物を化学反応させながら上記無機組成物をガラス化するガラス化工程(B)と、ガラス化した上記無機組成物をアニール処理することにより、ガラス化した上記無機組成物の少なくとも一部を結晶化するアニール処理工程(C)と、を含む。
以上から、本実施形態に係る無機材料の製造方法は、連続的に無機組成物のガラス化をおこなうことが可能である。すなわち、本実施形態に係る無機材料の製造方法は、連続プロセスが可能で生産性に優れている。
はじめに、2種以上の無機化合物を含む無機組成物を準備する。
無機化合物としては機械的処理により互いに化学反応して新たな無機材料を生成する化合物を2種以上用いる。これらの無機化合物は、生成させる無機材料に応じて適宜選択することができる。
なお、本実施形態において、「機械的処理により互いに化学反応して新たな無機材料を生成する」とは、機械的処理によって、共存する2種以上の無機化合物が化学反応して、新たな無機材料が生成することを意味する。
2種以上の無機化合物を混合する方法としては各無機化合物を均一に混合できる混合方法であれば特に限定されないが、例えば、クラッシャー、ボールミル、ビーズミル、振動ミル、打撃粉砕装置、ミキサー(パグミキサー、リボンミキサー、タンブラーミキサー、ドラムミキサー、V型混合器等)、ニーダー、2軸ニーダー、気流粉砕機等を用いて混合することができる。
各無機化合物を混合するときの攪拌速度や処理時間、温度、反応圧力、混合物に加えられる重力加速度等の混合条件は、混合物の処理量によって適宜決定することができる。
生成させる無機固体電解質材料としては特に限定されないが、硫化物系無機固体電解質材料、酸化物系無機固体電解質材料、その他のリチウム系無機固体電解質材料等を挙げることができる。これらの中でも、硫化物系無機固体電解質材料が好ましい。
また、生成させる無機固体電解質材料としては特に限定されないが、例えば、全固体型リチウムイオン電池を構成する固体電解質層に用いられるものが挙げられる。
これらの中でも、リチウムイオン伝導性に優れ、かつ広い電圧範囲で分解等を起こさない安定性を有する点から、Li2S-P2S5材料およびLi2S-P2S5-Li3N材料が好ましい。ここで、例えば、Li2S-P2S5材料とは、少なくともLi2S(硫化リチウム)とP2S5とを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得られる無機材料を意味し、Li2S-P2S5-Li3N材料とは、少なくともLi2S(硫化リチウム)とP2S5とLi3Nとを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得られる無機材料を意味する。
ここで、本実施形態において、硫化リチウムには多硫化リチウムも含まれる。
その他のリチウム系無機固体電解質材料としては、例えば、LiPON、LiNbO3、LiTaO3、Li3PO4、LiPO4-xNx(xは0<x≦1)、LiN、LiI、LISICON等が挙げられる。
さらに、これらの無機固体電解質の結晶を析出させて得られるガラスセラミックスも無機固体電解質材料として用いることができる。
ここで、本実施形態の固体電解質材料中のLi、P、およびSの含有量は、例えば、ICP発光分光分析またはX線光電子分光法により求めることができる。
無機固体電解質材料の平均粒子径d50を上記範囲内とすることにより、良好なハンドリング性を維持すると共に、得られる固体電解質膜のリチウムイオン伝導性をより一層向上させることができる。
これらの中でも、より高い放電容量密度を有し、かつ、サイクル特性により優れる観点から、硫化物系正極活物質が好ましく、Li-Mo-S化合物、Li-Ti-S化合物、Li-V-S化合物がより好ましい。
また、Li-Ti-S化合物は構成元素としてLi、Ti、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるチタン硫化物および硫化リチウムを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得ることができる。
Li-V-S化合物は構成元素としてLi、V、およびSを含んでいるものであり、通常は原料であるバナジウム硫化物および硫化リチウムを含む無機組成物を機械的処理により互いに化学反応させることにより得ることができる。
つづいて、せん断応力および圧縮応力を組み合わせた粉砕装置を用いて、上記無機組成物を機械的処理することにより、2種以上の上記無機化合物を化学反応させながら上記無機組成物をガラス化するガラス化工程(B)をおこなう。
すなわち、本実施形態に係る無機材料の製造方法では、せん断応力および圧縮応力を組み合わせた粉砕装置を用いて、ガラス化工程(B)を連続的におこなう。これによって、ボールミルやビーズミル等を用いた従来の製造方法のように、機械的処理を一定時間行った後に一度容器を開けて壁面に付着した無機組成物をそぎ落とす操作や、無機組成物のガラス化が終了した後にガラス化した無機組成物をボールミルやビーズミル等から分離する操作が不要となるため、製造工程を簡略することが可能となり、その結果、無機材料の生産性を向上させることができる。
また、本実施形態に係るロールミルは、隣接するロールの回転する向きが異なることが好ましい。これにより、ロール間に存在する無機組成物に対し、圧縮応力をより効果的に与えることができる。
金属材料としては、例えば、遠心チルド鋼、SUS、CrメッキSUS、Crメッキ焼入れ鋼等が挙げられる。
また、本実施形態に係るロールミルを構成するロールの少なくとも表面がセラミックス材料により構成されると、得られる無機材料にロール由来の不要な金属成分が混入してしまうことを抑制することができ、純度がより一層高い無機材料を得ることが可能となる。
このようなセラミックス材料としては、例えば、安定化ジルコニア、アルミナ、シリコンカーバイド、シリコンナイトライド等が挙げられる。
これらの中でも比較的安価で高精度な大型部品を作製できるアルミナが好ましい。
以下、図1を用いながら、本実施形態に係るガラス化工程(B)についてより具体的に説明する。
図1に記載の粉砕装置100は、第一のロール101、第二のロール102、第三のロール103およびブレード130により構成される。
はじめに、2種以上の無機化合物を含む無機組成物150を第一のロール101および第二のロール102との隙間である第一のロール間110に投入する。
第一のロール間110に進入した無機組成物150は、第一のロール101および第二のロール102により圧縮される。ここで、第一のロール101および第二のロール102において、異なる回転速度を採用することにより、第一のロール間110に進入した無機組成物150に対し、圧縮応力を与えつつ、より効果的にせん断応力を与えることができるため、無機組成物150のガラス化をより一層効率良く進めることができる。
第二のロール間120を通過して得られた無機材料170は第三のロール103の表面に付着しており、例えばブレード130によりそぎ落されて得ることができる。
また、第二のロール間120を通過して得られた無機材料170について、ガラス化処理が不十分の場合は、第一のロール間110および第二のロール間120を通過させる上記処理を繰り返し行うことが好ましい。あるいは、ロールミルにおけるロールの数を4本以上とし、せん断応力および圧縮応力を組み合わせた機械的処理をさらに行うことが好ましい。
また、本実施形態に係るロールミルにおいて、無機組成物に対してより効果的にせん断応力を与える観点から、ロールの回転速度は20rpm以上1000rpm以下が好ましく、100rpm以上800rpm以下がより好ましい。
ただし、ロール間の距離およびロールの回転速度は無機組成物の種類や処理量、ロールの本数等によって適宜決定されるため、上記の範囲に限定されない。
また、上記非活性雰囲気下とは、真空雰囲気下または不活性ガス雰囲気下のことである。上記非活性雰囲気下では、水分の接触を避けるために露点が-50℃以下であることが好ましく、-60℃以下であることがより好ましい。上記不活性ガス雰囲気下とは、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下のことである。これらの不活性ガスは、製品への不純物の混入を防止するために、高純度である程好ましい。混合系への不活性ガスの導入方法としては、混合系内が不活性ガス雰囲気で満たされる方法であれば特に限定されないが、不活性ガスをパージする方法、不活性ガスを一定量導入し続ける方法等が挙げられる。
通常は、線源としてCuKα線を用いたX線回折分析をしたとき、ガラス化工程(B)を行う前の無機組成物の回折ピークが消失または低下していたら、上記無機組成物はガラス化されていると判断することができる。
IB/IAを上記上限値以下とすることにより、硫化物系無機固体電解質材のリチウムイオン伝導性を向上させることができる。さらに、このような硫化物系無機固体電解質材を用いると、入出力特性に優れた全固体型リチウムイオン電池を得ることができる。
ここで、回折角2θ=15.7±0.3°の位置に存在する回折ピークは、基準の回折ピークであり、回折角2θ=26.9±0.9°の位置に存在する回折ピークは硫化リチウム由来の回折ピークである。
したがって、IB/IAは、硫化物系無機固体電解質材中の硫化リチウムの含有量の指標を表している。IB/IAが小さいほど、硫化物系無機固体電解質材に含まれる硫化リチウムの量が少ないことを意味する。
Li2Sはリチウムイオン伝導性が低いため、Li2Sの含有量が少ないほど硫化物系無機固体電解質材のリチウムイオン伝導性は向上するものと考えられる。
次いで、ガラス化した無機組成物をアニール処理することにより、ガラス化した前記無機組成物の少なくとも一部を結晶化するアニール処理する。
アニール処理工程(C)をおこなうことにより、ガラス化した無機組成物の少なくとも一部が結晶化して、ガラスセラミックス状態の無機組成物とすることができる。こうすることにより、例えば、より一層リチウムイオン伝導性に優れた無機固体電解質材料を得ることができる。
また、通常は、線源としてCuKα線を用いたX線回折分析をしたとき、ガラス化工程(B)を行う前の無機組成物やアニール処理工程(C)を行う前の無機組成物が有する回折ピークとは異なる新たな回折ピークが生成していたら、上記無機組成物はアニール処理されて、ガラスセラミックス状態になっていると判断することができる。
IC/IAの値を上記下限値以上とすることにより、硫化物系無機固体電解質材のリチウムイオン伝導性を向上させることができる。さらに、このような硫化物系無機固体電解質材を用いると、入出力特性に優れた全固体型リチウムイオン電池を得ることができる。
ここで、回折角2θ=15.7±0.3°の位置に存在する回折ピークは、基準の回折ピークであり、回折角2θ=29.2±0.8°の位置に存在する回折ピークはガラスセラミックス状態の硫化物系無機固体電解質材由来の回折ピークである。
したがって、IC/IAの値は、硫化物系無機固体電解質材の結晶化の指標を表している。IC/IAの値が大きいほど、硫化物系無機固体電解質材の結晶化が進んでいることを意味する。
本実施形態に係る無機材料の製造方法において、準備工程(A)とガラス化工程(B)との間に、工程(A)で準備した上記無機組成物を加熱することにより無機組成物を結晶化する工程(D)をさらにおこなってもよい。
すなわち、結晶化した上記無機組成物に対し、上記ガラス化工程(B)をおこなってもよい。
上記ガラス化工程(B)の前に結晶化工程(D)をおこなうことにより、無機組成物をガラス化する工程(B)を大幅に短縮することができ、その結果、無機材料の製造時間をより一層短縮することが可能である。この理由については明らかではないが、以下の理由が推察される。
まず、ガラス状態の無機組成物は準安定状態である。一方、結晶状態の無機組成物は安定状態にある。また、2種以上の無機化合物を含む無機組成物を加熱すると活性化エネルギー以上のエネルギーを簡単に与えることができるので、エネルギーの放出とともに低いエネルギー状態である結晶状態の無機組成物が短時間で得られる。そして、安定状態の自由エネルギーと準安定状態の自由エネルギーは近いため、より小さなエネルギーで安定状態の結晶状態から準安定状態のガラス状態にすることができる。
以上の理由から、上記無機組成物をガラス化する工程(B)の前に、無機組成物を結晶化する工程(D)をおこない、あらかじめ無機組成物を安定状態である結晶状態とすることにより、より小さなエネルギーで準安定状態のガラス状態にすることができ、無機組成物をガラス化する工程を大幅に短縮することができると考えられる。
例えば、生成させる無機材料が構成元素として、Li、P、およびSを含む硫化物系無機固体電解質材料の場合は、加熱温度は200℃以上400℃以下の範囲内であることが好ましく、220℃以上300℃以下の範囲内であることがより好ましい。
本実施形態の無機材料の製造方法では、必要に応じて、得られた無機材料を粉砕、分級、または造粒する工程をさらにおこなってもよい。例えば、粉砕により微粒子化し、その後、分級操作や造粒操作によって粒子径を調整することにより、所望の粒子径を有する無機材料を得ることができる。上記粉砕方法としては特に限定されず、ミキサー、気流粉砕、乳鉢、回転ミル、コーヒーミル等公知の粉砕方法を用いることができる。また、上記分級方法としては特に限定されず、篩等公知の方法を用いることができる。
これらの粉砕または分級は、空気中の水分との接触を防ぐことができる点から、不活性ガス雰囲気下または真空雰囲気下で行うことが好ましい。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
はじめに、以下の実施例および比較例における評価方法を説明する。
X線回折装置(リガク社製、RINT2000)を用いて、X線回折分析法により、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料の回折スペクトルをそれぞれ求めた。なお、線源としてCuKα線を用いた。ここで、回折角2θ=15.7±0.3°の位置に存在する回折ピークの回折強度をバックグラウンド強度IAとし、回折角2θ=26.9±0.9°の位置に存在する回折ピークの最大回折強度をIBとし、回折角2θ=29.2±0.8°の位置に存在する回折ピークの最大回折強度をICとし、IB/IAおよびIC/IAをそれぞれ求めた。
ICP発光分光分析装置(セイコーインスツルメント社製、SPS3000)を用いて、ICP発光分光分析法により測定し、実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料中のLi、PおよびSの質量%をそれぞれ求め、それに基づいて、各元素のモル比をそれぞれ計算した。
実施例および比較例で得られた硫化物系無機固体電解質材料に対して、交流インピーダンス法によるリチウムイオン伝導度の測定をおこなった。
リチウムイオン伝導度の測定はバイオロジック社製、ポテンショスタット/ガルバノスタットSP-300を用いた。試料の大きさは直径9.5mm、厚さ1.2~2.0mm、測定条件は、印加電圧10mV、測定温度27.0℃、測定周波数域0.1Hz~7MHz、電極はLi箔とした。
ここで、リチウムイオン伝導度測定用の試料としては、プレス装置を用いて、実施例および比較例で得られた粉末状の硫化物系無機固体電解質材料150mgを270MPa、10分間プレスして得られる直径9.5mm、厚さ1.2~2.0mmの板状の硫化物系無機固体電解質材料を用いた。
硫化物系無機固体電解質材料を以下の手順で作製した。
原料には、Li2S(古河機械金属社製、純度99.9%)、P2S5(関東化学社製)およびLi3N(古河機械金属社製)を使用した。
次いで、グローブボックス内で、クラッシャーを用いて、Li2S粉末とP2S5粉末とLi3N粉末(Li2S:P2S5:Li3N=71.1:23.7:5.3(モル%))合計80gを混合することにより、原料無機組成物を調製した。
次いで、原料無機組成物80gを図1に示す3本ロールミル(アイメックス社製BR-100V)にてメカノケミカル処理し、硫化物系無機固体電解質材料を得た。ここで、第一のロール101~第三のロール103の通過を1回とし、合計で30回通過させた。また、各ロールはジルコニア(ZrO2)製で直径が63.5mmのものを用い、ロール間の距離は20μmとした。また、第一のロール101の回転速度:第二のロール102の回転速度:第三のロール103の回転速度=1:2.5:6とし、第三のロール103の回転速度を700rpmとした。
次いで、得られた粉末をカーボンるつぼに移し、グローブボックス内に設置したオーブンで270℃、2時間のアニール処理をおこない、硫化物系無機固体電解質材料を得た。得られた、硫化物系無機固体電解質材料について、各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
Li2S粉末とP2S5粉末とLi3N粉末との混合比をLi2S:P2S5:Li3N=72.6:24.2:3.2(モル%)に変更した以外は実施例1と同様の方法により硫化物系無機固体電解質材料を作製し、各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
Li2S粉末とP2S5粉末とLi3N粉末との混合比をLi2S:P2S5:Li3N=73.8:24.6:1.6(モル%)に変更した以外は実施例1と同様の方法により硫化物系無機固体電解質材料を作製し、各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
硫化物系無機固体電解質材料を以下の手順で作製した。
原料には、Li2S(古河機械金属社製、純度99.9%)、P2S5(関東化学社製)およびLi3N(古河機械金属社製)を使用した。
次いで、グローブボックス内で、クラッシャーを用いて、Li2S粉末とP2S5粉末とLi3N粉末(Li2S:P2S5:Li3N=71.1:23.7:5.3(モル%))合計80gを混合することにより、原料無機組成物を調製した。
つづいて、グローブボックス内のアルミナ製のポット(内容積400mL)の内部に、原料無機組成物2gと直径10mmのZrO2ボール500gとを投入し、ポットを密閉した。
次いで、グローブボックス内から、アルミナ製のポットを取り出し、メンブレンエアドライヤーを通して導入した乾燥したドライエアーの雰囲気下に設置したボールミル機にアルミナ製のポットを取り付け、120rpmで300時間メカノケミカル処理し、原料無機組成物のガラス化をおこなった。24時間混合する毎にグローブボックス内でポットの内壁についた粉末を掻き落とし、密封後、乾燥した大気雰囲気下でミリングを継続した。
ここで、メカノケミカル処理を36時間行った後にポットを開けてみたところ、ポットの内壁には無機組成物の固まりが付着していた。そのため24時間ごとにポットの内壁に付着した無機組成物の固まりをそぎ落とす操作が必要であった。
次いで、グローブボックス内にアルミナ製のポットを入れ、得られた粉末をZrO2ボールと分離して、アルミナ製のポットからカーボンるつぼに移し、グローブボックス内に設置したオーブンで270℃、2時間のアニール処理をおこない、硫化物系無機固体電解質材料を得た。得られた、硫化物系無機固体電解質材料について、各評価をおこなった。得られた結果を表1に示す。
101 第一のロール
102 第二のロール
103 第三のロール
110 第一のロール間
120 第二のロール間
130 ブレード
150 無機組成物
170 無機材料
Claims (18)
- 2種以上の無機化合物を機械的処理により化学反応させることにより得られる無機材料を製造するための製造方法であって、
2種以上の無機化合物を含む無機組成物を準備する準備工程と、
せん断応力および圧縮応力を組み合わせた粉砕装置を用いて、前記無機組成物を機械的処理することにより、2種以上の前記無機化合物を化学反応させながら前記無機組成物をガラス化するガラス化工程と、
ガラス化した前記無機組成物をアニール処理することにより、ガラス化した前記無機組成物の少なくとも一部を結晶化するアニール処理工程と、
を含み、
せん断応力および圧縮応力を組み合わせた前記粉砕装置がロールミルであり、
前記ロールミルが3本以上のロールにより構成されており、
前記ロールミルを構成するロールの直径が50mm以上である無機材料の製造方法。 - 請求項1に記載の無機材料の製造方法において、
前記ガラス化工程は乾式でおこなう無機材料の製造方法。 - 請求項1または2に記載の無機材料の製造方法において、
前記アニール処理工程では、ガラス化した前記無機組成物を200℃以上でアニール処理する無機材料の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法において、
前記ロールミルは隣接するロールの回転速度が異なる無機材料の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法において、
前記ガラス化工程では、前記ロールミルにおける第一のロール間に前記無機組成物を通過させた後に、前記第一のロール間に隣接する第二のロール間に前記無機組成物を通過させる無機材料の製造方法。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法において、
前記ロールミルを構成するロールの少なくとも表面が、セラミックス材料および金属材料から選択される少なくとも一種の材料により構成されている無機材料の製造方法。 - 請求項6に記載の無機材料の製造方法において、
前記ロールミルを構成するロールの少なくとも表面がアルミナにより構成されている無機材料の製造方法。 - 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法において、
前記準備工程と前記ガラス化工程との間に、前記無機組成物を加熱することにより前記無機組成物を結晶化する工程をさらにおこなう無機材料の製造方法。 - 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法において、
前記ガラス化工程における前記機械的処理はメカノケミカル処理を含む無機材料の製造方法。 - 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法において、
前記無機材料が、無機固体電解質材料、正極活物質、または負極活物質である無機材料の製造方法。 - 請求項10に記載の無機材料の製造方法において、
前記無機材料が全固体型リチウムイオン電池を構成する固体電解質層に用いられる無機固体電解質材料である無機材料の製造方法。 - 請求項10または11に記載の無機材料の製造方法において、
前記無機材料が無機固体電解質材料であり、
前記無機固体電解質材料が硫化物系無機固体電解質材料を含む無機材料の製造方法。 - 請求項12に記載の無機材料の製造方法において、
前記硫化物系無機固体電解質材料は構成元素として、Li、PおよびSを含む無機材料の製造方法。 - 請求項13に記載の無機材料の製造方法において、
前記硫化物系無機固体電解質材料中の前記Pの含有量に対する前記Liの含有量のモル比(Li/P)が1.0以上10.0以下であり、前記Pの含有量に対する前記Sの含有量のモル比(S/P)が1.0以上10.0以下である無機材料の製造方法。 - 請求項12乃至14のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法において、
前記ガラス化工程では、
線源としてCuKα線を用いたX線回折により得られるスペクトルにおいて回折角2θ=15.7±0.3°の位置に存在する回折ピークの回折強度をバックグラウンド強度IAとし、回折角2θ=26.9±0.9°の位置に存在する回折ピークの最大回折強度をIBとしたとき、IB/IAの値が10.0以下となるまで前記機械的処理をおこなう無機材料の製造方法。 - 請求項12乃至15のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法において、
前記アニール処理工程では、ガラス化した前記無機組成物とは異なる回折ピークが観察されるまで前記アニール処理をおこなう無機材料の製造方法。 - 請求項12乃至16のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法において、
前記アニール処理工程では、
線源としてCuKα線を用いたX線回折により得られるスペクトルにおいて回折角2θ=15.7±0.3°の位置に存在する回折ピークの回折強度をバックグラウンド強度IAとし、回折角2θ=29.2±0.8°の位置に存在する回折ピークの最大回折強度をICとしたとき、
IC/IAの値が1.5以上となるまで前記アニール処理をおこなう無機材料の製造方法。 - 請求項12乃至17のいずれか一項に記載の無機材料の製造方法において、
27.0℃、印加電圧10mV、測定周波数域0.1Hz~7MHzの測定条件における交流インピーダンス法による、前記無機材料のリチウムイオン伝導度が2.2×10-4S・cm-1以上である無機材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019066566A JP7221114B2 (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | 無機材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019066566A JP7221114B2 (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | 無機材料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020164368A JP2020164368A (ja) | 2020-10-08 |
JP7221114B2 true JP7221114B2 (ja) | 2023-02-13 |
Family
ID=72714864
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019066566A Active JP7221114B2 (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | 無機材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7221114B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7440000B2 (ja) * | 2022-02-02 | 2024-02-28 | Agc株式会社 | アルカリ金属元素及び硫黄元素を含む物質の製造方法 |
Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005228570A (ja) | 2004-02-12 | 2005-08-25 | Idemitsu Kosan Co Ltd | リチウムイオン伝導性硫化物系結晶化ガラス及びその製造方法 |
JP2012048884A (ja) | 2010-08-25 | 2012-03-08 | Toyota Motor Corp | 硫化物固体電解質材料の製造方法 |
JP2016011462A (ja) | 2015-08-25 | 2016-01-21 | 住友金属鉱山株式会社 | 銀粉及び銀ペースト |
JP2016027545A (ja) | 2014-06-25 | 2016-02-18 | 国立大学法人東京工業大学 | 硫化物固体電解質材料、電池および硫化物固体電解質材料の製造方法 |
US20160351964A1 (en) | 2015-05-29 | 2016-12-01 | Hyundai Motor Company | Method of preparing positive electrode active material-solid electrolyte complex for all-solid-state lithium sulfur battery |
JP2017218330A (ja) | 2016-06-03 | 2017-12-14 | 古河機械金属株式会社 | 無機材料の製造方法 |
JP2018049732A (ja) | 2016-09-21 | 2018-03-29 | 古河機械金属株式会社 | 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質膜、全固体型リチウムイオン電池および硫化物系無機固体電解質材料の製造方法 |
JP2018156835A (ja) | 2017-03-17 | 2018-10-04 | 古河機械金属株式会社 | 無機材料の製造方法 |
-
2019
- 2019-03-29 JP JP2019066566A patent/JP7221114B2/ja active Active
Patent Citations (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005228570A (ja) | 2004-02-12 | 2005-08-25 | Idemitsu Kosan Co Ltd | リチウムイオン伝導性硫化物系結晶化ガラス及びその製造方法 |
JP2012048884A (ja) | 2010-08-25 | 2012-03-08 | Toyota Motor Corp | 硫化物固体電解質材料の製造方法 |
JP2016027545A (ja) | 2014-06-25 | 2016-02-18 | 国立大学法人東京工業大学 | 硫化物固体電解質材料、電池および硫化物固体電解質材料の製造方法 |
US20160351964A1 (en) | 2015-05-29 | 2016-12-01 | Hyundai Motor Company | Method of preparing positive electrode active material-solid electrolyte complex for all-solid-state lithium sulfur battery |
JP2016011462A (ja) | 2015-08-25 | 2016-01-21 | 住友金属鉱山株式会社 | 銀粉及び銀ペースト |
JP2017218330A (ja) | 2016-06-03 | 2017-12-14 | 古河機械金属株式会社 | 無機材料の製造方法 |
JP2018049732A (ja) | 2016-09-21 | 2018-03-29 | 古河機械金属株式会社 | 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質膜、全固体型リチウムイオン電池および硫化物系無機固体電解質材料の製造方法 |
JP2018156835A (ja) | 2017-03-17 | 2018-10-04 | 古河機械金属株式会社 | 無機材料の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020164368A (ja) | 2020-10-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7194776B2 (ja) | 無機材料の製造方法 | |
JP6773456B2 (ja) | 無機材料の製造方法 | |
JP7427821B2 (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質、固体電解質膜およびリチウムイオン電池 | |
JP7332761B2 (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質、固体電解質膜およびリチウムイオン電池 | |
WO2020203046A1 (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料用の窒化リチウム組成物 | |
JP2023112139A (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質、固体電解質膜およびリチウムイオン電池 | |
JP7221114B2 (ja) | 無機材料の製造方法 | |
JP6978887B2 (ja) | 無機材料の製造方法 | |
JP7188957B2 (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質、固体電解質膜およびリチウムイオン電池 | |
JP7212797B2 (ja) | 無機材料の製造方法 | |
JP2023029406A (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質、固体電解質膜およびリチウムイオン電池 | |
JP7182413B2 (ja) | 無機材料の製造方法 | |
JP7429759B2 (ja) | 原料無機組成物および硫化物系無機固体電解質材料 | |
JP6994894B2 (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質、固体電解質膜およびリチウムイオン電池 | |
CN115136345A (zh) | 固态锂离子导体材料、由固态离子导体材料制成的粉末及其制备方法 | |
JP7315757B2 (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質、固体電解質膜およびリチウムイオン電池 | |
JP7313797B2 (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料、固体電解質、固体電解質膜およびリチウムイオン電池 | |
JP7086686B2 (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料の製造方法 | |
JP2021172527A (ja) | 硫化物系無機固体電解質材料の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220208 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220803 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220809 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221011 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230124 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230201 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7221114 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |