JP3346774B2 - 高抗張力電解銅箔及びその製造方法 - Google Patents

高抗張力電解銅箔及びその製造方法

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JP3346774B2 JP53607797A JP53607797A JP3346774B2 JP 3346774 B2 JP3346774 B2 JP 3346774B2 JP 53607797 A JP53607797 A JP 53607797A JP 53607797 A JP53607797 A JP 53607797A JP 3346774 B2 JP3346774 B2 JP 3346774B2
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俊子 横田
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進 高橋
光夫 鈴木
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は高抗張力電解銅箔及びその製造方法に関し、
詳しくは銅箔の粗面側の結晶粒径を微細化させて表面粗
さを低減させ、かつ熱後の抗張力を高めた電解銅箔及び
電解液中にポリエーテルとスズイオンおよび鉄イオンと
を含有させ、かつ塩素イオンを低減することによって、
抗張力、特に熱後の抗張力を高く維持すると共に、粗面
側の結晶粒径を微細化させて表面粗さを小さくした電解
銅箔の製造方法に関する。このようにして得られた銅箔
はTAB(Tape Automated Bonding)テープ用に好適に
用いられると共に、一般用銅箔として広く使用できる。
従来技術 一般に、TABの製造に用いられるTABテープは、電解に
より得られた銅箔の粗面側をポリイミドなどの基材の片
面または両面に接着させて得られる。このようにして製
造されたTABテープは、エッチングにより銅箔上に所望
の回路パターンが形成される。
近年のTABテープは、高密度ファインパターン化が益
々進行しており、次世代のTABテープとして320チャンネ
ル、50μmピッチ用のTABテープの開発が要請されてい
る。
この高密度ファインパターン化の要請に対処するに
は、回路パターン間の絶縁性を十分に確保する必要があ
り、すなわち、エッチングによる回路パターンのトップ
巾とボトム巾の差を小さくして断面係数を高めること、
およびボトムラインの凹凸のキレを良くする(凹凸の出
入り差を小さくする)必要がある(図1参照)。すなわ
ち、図1(b)のようにボトムラインの凹凸のキレが悪
いと、回路パターン間の絶縁性を十分に確保することが
できず、同図(a)のように凹凸のキレを良くすれば、
絶縁性を十分に確保することができる。また、銅箔が基
材に接着されたTABテープを製造するラミネート時に約1
80℃に加熱されるが、加熱により、銅箔の熱後の抗張力
が低下してエッチング後の後工程においてインナーリー
ド部の変形を生ずることがあるため、熱後の抗張力が大
きいインナーリード部の変形を防止しうる銅箔が求めら
れている。
しかし、現在までにファインピッチ回路用として開発
されている銅箔は、いずれもこのような要請に答えるに
は不十分であり、上記目的を達成するには至っていな
い。
すなわち、ポリイミドなどの基材との接着面側となる
銅箔の粗面側の粗度の低減、結晶粒の微細化をさらに進
展させて、ピール強度を維持しながらエッチングによる
回路パターンのボトムラインの凹凸のキレを向上させ、
またエッチングファクターおよび熱後の抗張力を高める
ことにより、エッチング後の後工程においてインナーリ
ード部の変形を防止しうる銅箔が求められている。
また、これまでの電解銅箔は電解液組成、電解条件お
よび添加剤等をコントロールして用途別に応じた種類の
異なる銅箔が製造されている。これまでに市販されてい
るTABテープ用の電解銅箔の物性値の一例(三井金属製V
LP)を表1に示す。
一方、TABテープでは前記したように高密度ファイン
パターン化に適したTABテープの開発が要請されてお
り、この要請に対応できる電解銅箔の製造方法が求めら
れている。
例えば、ファインピッチ回路用の銅箔を考えた場合、
従来の技術では銅箔の粗面の表面状態が悪く回路パター
ンのボトムラインの凹凸のキレが劣ったものとなってい
た。
このため、ポリイミドなどの基材との接着面となる電
解銅箔の粗面側の結晶粒径を微細化させ表面粗さRzを低
減することによって、エッチングによる回路パターンの
ボトムラインの凹凸のキレを向上させ、しかもエッチン
グファクターおよび熱後の抗張力を高めることによっ
て、回路パターンの作製、エッチング後の後工程におい
て、インナーリードの変形を防止し、かつ基材のパター
ン部との密着性を劣化させることのない電解銅箔及びそ
の製造方法が求められている。
本発明の目的は、銅箔の粗面側の結晶粒径を微細化さ
せ表面粗さを低減化させると共に、高いエッチングファ
クターおよび抗張力、特に熱後の抗張力を向上させた高
抗張力電解銅箔及びその製造方法を提供することにあ
る。
発明の開示 本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討した
結果、銅箔の粗面側の表面粗さRzが2.5μm以下で熱後
の抗張力が40kgf/mm2以上とすることによってエッチン
グによる回路パターンのボトムラインの凹凸のキレを向
上でき、またインナーリードの変形を防止できることを
見出し、本発明を完成するに至った。また、高抗張力電
解銅箔の製造方法は、電解液中にポリエーテルとスズイ
オン及び鉄イオンとを含有させ、かつ塩素イオンを低減
することによって達成されることを見出した。
すなわち、本発明の高抗張力電解銅箔は、銅箔中にSn
50〜1200ppmおよびFe1〜50ppm含有し、銅箔の粗面の表
面粗さRzが2.5μm以下で、180℃で1時間オーブン加熱
後の抗張力が40kgf/mm2以上であることを特徴とする。
また、本発明の高抗張力電解銅箔の製造方法は、硫酸銅
および硫酸を主成分とし、ポリエーテル0.01〜0.10g/
l、スズイオン0.5〜1.0g/l及び鉄イオン0.5〜5.0g/l、
を含有し、かつ塩素イオン0.1mg/l未満の電解液で電解
することを特徴とする。
図面の簡単な説明 図1は、エッチングによる回路パターンのボトムライ
ンの凹凸のキレの状態を示す模式図である。
図2は、実施例1で得られた電解銅箔の粗面側の表面
状態の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図3は、比較例1で得られた電解銅箔の粗面側の表面
状態の走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図4は、実施例1で得られた50μmピッチの回路の走
査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図5は、比較例1で得られた50μmピッチの回路の走
査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
図6は、エッチングファクターEfを求めるための模式
図である。
図7は、回路の直線性の度合いを算出するための模式
図である。
図8は、実施例1及び比較例1で得られた電解銅箔の
X線回折図である。
発明を実施するための最良の形態 以下、本発明の高抗張力電解銅箔について詳細に説明
する。
本発明の高抗張力電解銅箔は、銅箔の粗面側の表面粗
さRzが2.5μm以下である。銅箔の粗面側の表面粗さRz
が2.5μmを超えると、エッチングによる回路パターン
のボトムラインの凹凸のキレが悪くなり好ましくない。
また、本発明の高抗張力電解銅箔は、熱後の抗張力が
40kgf/mm2以上である。熱後の抗張力が40kgf/mm2に満た
ないと、エッチング後の後工程においてインナーリード
部の変形を防止できず好ましくない。
このように、電解銅箔の粗面側の表面粗さを所定値以
下に低減させ、かつエッチングファクターおよび熱後の
抗張力を高めることにより、エッチングによる回路パタ
ーンのボトムラインの凹凸のキレを良くし、インナーリ
ード部の変形を防止して高密度ファインパターン化用TA
Bテープの要請に十分に答えることができる。
また、本発明の高抗張力電解銅箔では、エッチングフ
ァクターを高めるためには銅箔の粗面側の銅結晶を無秩
序配向させたものが好ましい。すなわち、銅箔の粗面側
の銅結晶の(111)面、(200)面,(220)面及び(31
1)面などのピークのX線回折強度に対して無秩序に配
向させたものが好ましい。
本発明者らは硫酸銅および硫酸を主成分とし、所定濃
度のポリエーテル、スズイオン及び鉄イオンを含有し、
かつ塩素イオンを低減させた電解液で電解することによ
って、銅箔の粗面側の結晶粒径が微細で、無秩序配向す
ると共に、得られた銅箔の熱後の抗張力を高めることが
できることを見いだした。さらに、このようにして得ら
れた電解銅箔中にはSn50〜1200ppmおよびFe1〜50ppm含
有させたものが好ましい。銅箔中のSn濃度が50ppm未満
では銅箔の熱後の抗張力が悪くなり好ましくない。一
方、Sn濃度が1200ppmを超えると、熱後の抗張力はそれ
ほど増加せず結晶粒径が大きくなり粗面の表面粗さが大
きくなる。また、銅箔中のFe濃度が1ppm未満では、銅箔
の粗面側の結晶の微細化効果が得られない。一方、Fe濃
度が50ppmを超えてもそれ以上効果は得られない。
次に、本発明の電解銅箔の製造方法を詳細に説明す
る。
本発明の電解銅箔の製造に用いられる電解液は、通常
用いられる硫酸銅(CuSO4・5H2O)と硫酸(H2SO4)を主
成分とする電解液である。本発明の電解銅箔の製造方法
では、電解液中の塩素イオンを低減する必要がある。す
なわち、塩素イオン濃度を0.1mg/l未満とする。このよ
うに塩素イオンを低減することによって、得られる銅箔
の常態での抗張力が高く、かつ粗面の凹凸の凸部が小さ
くなるという現象が生じる。塩素イオン濃度が0.1mg/l
以上では銅箔の常態での抗張力が低下し、また粗面の表
面粗さが粗くなる。
本発明の電解銅箔の製造方法で用いられる電解液中に
は、構造式 R−O (ここで、Rは低級アルキル基、nは200までの整数を
示す。) で示されるポリエーテルを含有するが、その濃度は0.01
〜0.10g/lである。この濃度範囲でポリエーテルを含有
することによって、得られた電解銅箔の常態での抗張力
が向上する。電解溶液中のポリエーテル濃度が上記範囲
未満では得られる電解銅箔の常態での抗張力が低下し、
ポリエーテル濃度が上記範囲を超えると、常態での抗張
力は変化しないが、銅箔の粗面の表面粗さRzが2.5μm
より大きくなって好ましくない。このポリエーテルとし
ては、ポリエチレングリコールが好ましく用いられ、分
子量は400〜6000のものが好ましい。また、本発明の電
解銅箔の製造方法には、メチオニンも用いることができ
る。
また、この電解液中にはスズイオンを含有するが、そ
の濃度は0.5〜1.0g/lである。この範囲でスズイオンを
含有することによって、熱後の抗張力が大幅に向上す
る。スズイオンの濃度が0.5g/l未満では熱後の抗張力の
改善効果は得られず、1.0g/lを超えると、得られる銅箔
の粗面の表面粗さRzが2.5μmより大きくなって好まし
くない。スズの塩としては特に限定されないが、硫酸第
二スズが好ましく用いられる。
さらに、この電解液中には鉄イオンを含有するが、そ
の濃度は0.5〜5.0g/lである。この範囲で鉄イオンを含
有することによって、得られる電解銅箔の粗面の表面粗
さを低減できる。電解液中の鉄イオン濃度が上記範囲未
満では粗面の表面粗さが大きくなり、鉄イオン濃度が5.
0g/lを超えると表面粗さの低減は認められるものの、電
流効率が悪くなって好ましくない。鉄の塩としては特に
限定されないが、硫酸第二鉄七水和物が好ましく用いら
れる。
このような本発明の電解銅箔の製造に用いられる電解
液の各成分の好ましい濃度範囲を以下に示す。
表2 [電解液の濃度範囲] CuSO4・5H2O :283〜334g/l H2SO4 :110〜200g/l ポリエーテル :0.01〜0.10g/l スズイオン :0.5〜1.0g/l 鉄イオン :0.5〜5.0g/l 塩素イオン :<0.1mg/l 以下、実施例及び比較例に基づき本発明を具体的に説
明する。
実施例1 硫酸銅(CuSO4・5H2O)314g/l、硫酸(H2SO4)150g/
l、ポリエーテル(分子量約6000のポリエチレングリコ
ール)0.01g/l、Sn0.5g/lおよびFe1g/lに調整した電解
液組成とし、電流密度を40〜65A/dm2および液温45〜55
℃で電解を行い18μm厚の電解銅箔を製造した。
得られた電解銅箔の粗面側の表面状態の走査型電子顕
微鏡(SEM)写真を図2に示す。この表面のSEM写真から
明らかなように、表面は微細な凹凸が密度高く形成され
ている。
このようにして得られた電解銅箔の粗面側の表面粗さ
Rzは、表面粗さ計を用いて測定した結果、2.5μmであ
り、一方熱後(180℃、1時間オーブン加熱後)の抗張
力は41.1kgf/mm2であった。
次に、この電解銅箔の粗面側に接着強度増加のための
粗面化処理を以下の方法により行った。この粗面化処理
では、以下に示す3段階の処理を行った。
(1)1段処理(コブメッキ) Cu 12g/l H2SO4 80g/l 液温 25℃ 電流密度 40A/dm2 電解時間 4秒 (2)2段処理(カブセメッキ) Cu 60g/l H2SO4 90g/l 液温 50℃ 電流密度 50〜60A/dm2 電解時間 4秒 (3)3段処理(ヒゲメッキ) Cu 8g/l H2SO4 80g/l 9−フェニルアクリジン 150mg/l Cl- 25mg/l 液温 30℃ WE電流密度 40A/dm2 電解時間 4秒 このように粗面化処理された銅箔の表面の上に、順次
下記の条件で防錆処理を行った。
(亜鉛−ニッケルメッキ浴組成) Zn 1.5g/l Ni 0.5g/l ピロリン酸カリ 80g/l pH 10.5 (メッキ条件) 液温 38℃ 電流密度 40A/dm2 電解時間 4秒 このような条件で亜鉛−ニッケルメッキを施した後、
水洗し、この面に以下の条件でクロメート防錆処理を行
った。
(クロメート防錆処理条件) CrO3 0.5g/l pH 11.5 液温 30℃ 電流密度 40A/dm2 電解時間 4秒 このクロメート防錆処理後、直ちに水洗し、シランカ
ップリング剤とクロム酸混合液をシャワーにより塗布し
た。この処理液の組成は、以下の条件である。
(シランカップリング剤−クロム酸液組成) CrO3 0.5g/l シランカップリング剤 5g/l pH 5.0 以上のように粗面化処理および防錆処理して得られた
電解銅箔をポリイミド基材に接着してTABテープを製造
した。得られたTABテープに50μmピッチのファインパ
ターンの回路を形成し、エッチングによる回路パターン
のボトムラインの凹凸のキレ及び50μmピッチのインナ
ーリード部の曲がりを評価した。このインナーリード部
の曲がり(たわみ)計測法は、顕微鏡により側面から観
測して測定した。
この結果、エッチングによる回路パターンのボトムラ
インの凹凸のキレは良好であり、回路の上部巾と下部巾
との差が小さく上部巾も広い。また、インナーリード部
の曲がりも生じなかった。
また、このTABテープに関して以下の評価試験を実施
した。
(1)配線パターンの直線性 実施例1で得られた回路を形成したTABテープを電子
顕微鏡用の試料台に載せ、走査型電子顕微鏡(日立製作
所製、S−4100)で1000倍の顕微鏡写真を撮影した(図
4)。
次に、図7に示すように回路の下部(ボトム)および
上部(トップ)の幅について、回路の長さ方向に平行線
を引き、10μmの等間隔に10点の測定点での幅を測定
し、それぞれの平均値と標準偏差を算出した。この標準
偏差値は回路の下部および上部の直線性の度合いを示す
指針であり、数値が小さい程、幅のバラツキが小さいこ
と、すなわちエッチングされた跡がより直線に近い形状
で残っていることを示している(図1(a)参照)。
これらの得られた結果をまとめて表3に示す。
また、本発明の電解銅箔の製造方法で得られた銅箔の
X線回折の結果を図8(a)に示す。X線回折ピークの
強度からWillsonの式を用いて求めた配向指数は下記の
値となるため、本実施例により得られた電解銅箔の粗面
側は、ほぼ銅結晶が無秩序に配向していることがわかる
(無秩序配向は、配向指数1に相当する)。
(2)エッチングファクター 表3の測定値より図6に示すようにTABテープの配線
パターンの上底をa、下底をb、銅箔の厚さをhとして
エッチングファクターEfを下記式で求めた。
Ef=2h/(b−a);h=18μm ここで回路の断面が四角形に近くなるほど、すなわち
シャープになるほど、エッチングファクターが大きくな
ることが分かる。ここで得られたエッチングファクター
は、10点の平均で4.0であった。
比較例1 従来からファインピッチ回路用として開発されている
18μ厚みの銅箔(三井金属鉱業株式会社製VLP、粗面側
の粗度3.8μm、熱後(180℃、1時間オーブン加熱後)
の抗張力48.0kgf/mm2)を用いて、実施例1と同様にし
てTABテープを製造した。
得られた電解銅箔の粗面側の表面状態の走査型電子顕
微鏡(SEM)写真を図3に示す。この表面のSEM写真から
明らかなように、表面は実施例1で得られた銅箔の表面
に比べて表面の突起が大きく、極めて粗くなっている。
このようにして得られたTABテープに実施例1と同様
に50μmピッチのファインパターンの回路を形成し、エ
ッチングによる回路パターンのボトムラインの凹凸のキ
レおよびインナーリード部の曲がりを評価した。この結
果、インナーリード部の一部に曲がりがあり、インナー
リードの上部巾と下部巾の差が大きく、下部巾と比較し
上部巾はかなり狭くなっていた。エッチングによる回路
パターンのボトムラインの凹凸のキレが悪かった。ま
た、電解銅箔の粗面側の表面状態を表面粗さRzで評価し
た。
また、実施例1とまったく同様にして走査型電子顕微
鏡(日立製作所製、S−4100)で1000倍の顕微鏡写真を
撮影し(図5)、実施例1と同様にして回路の下部およ
び上部の巾についてそれぞれの平均値と標準偏差を算出
した。
これらの得られた結果をまとめて表3に示す。
また、比較例1で用いた銅箔のX線回折の結果を図8
(b)に示す。実施例1と同様にX線回折ピークの強度
からWillsonの式を用いて求めた配向指数は下記の値と
なるため、本比較例1により得られた通常の電解銅箔の
粗面側は、銅結晶が(220)面に優先配向していること
がわかる(配向指数)。
実施例2〜5および比較例2〜7 表4に示される電解液組成で電解銅箔を製造した。電
解密度は40〜65A/dm2、液晶45〜55℃である。このよう
にして得られた電解銅箔の常態、熱後(180℃、1時間
オーブン加熱後)の抗張力および伸びを評価した結果を
実施例1および比較例1の結果と共に表4に示す。ま
た、電解銅箔の粗面側の表面状態を表面粗さRzで評価し
た。
表4に示されるように、実施例2〜5では電解銅箔の
常態および熱後の抗張力や伸びが好ましい範囲にあり、
また粗面側のRzも小さい。特に、実施例4と5では熱後
の抗張力が高い値を示す。
これに対して電解液中にポリエーテルとスズイオンを
含有しない比較例2、スズイオンを含有しない比較例3
〜5は、電解銅箔の常態での抗張力は高く、また粗面の
表面状態も非常に小さいRzを示すものの、熱後の抗張力
が望ましい範囲よりも低下する。
また、電解液として硫酸銅と硫酸のみからなる比較例
6またはこれに塩素イオンを一定量含有する比較例7
は、得られる電解銅箔の粗面の表面状態もRzが大きく、
また熱後の抗張力が劣ったものとなる。
産業上の利用可能性 以上説明したように、銅箔の粗面の結晶粒径を微細化
させて表面粗さを低減化させることにより、本発明によ
り得られる電解銅箔はエッチングによる回路パターンの
ボトムラインの凹凸のキレを向上できる。また、銅箔の
粗面側を無秩序配向させることにより、エッチングファ
クターが大きくなり、その結果回路断面の上部巾と下部
巾との差が小さく、大きな断面係数の回路が得られるこ
とおよびこの電解銅箔は熱後の抗張力が高いため、イン
ナーリード部等の変形も生じない。従って、本発明によ
り得られる電解銅箔は、ファインピッチ回路が要求され
るTABテープ等に用いられる銅箔として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 進 埼玉県川越市谷中110−8 (72)発明者 鈴木 光夫 埼玉県坂戸市三光町49−13 グリーンエ イトさかど206 (72)発明者 土橋 誠 埼玉県上尾市原市3233−91 (72)発明者 原 保次 埼玉県上尾市原市1380−1 B−402 (56)参考文献 特開 平7−188969(JP,A) 特開 平7−54183(JP,A) 特開 平6−13435(JP,A) 特開 平7−268678(JP,A) 特開 平6−10181(JP,A) 特開 平9−143785(JP,A) 特開 昭63−119594(JP,A) 特表2001−523303(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 1/04 H05K 1/09 H05K 3/38 H01L 21/60

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銅箔中にSn50〜1200ppmおよびFe1〜50ppm
    含有し、銅箔の粗面の表面粗さRzが2.5μm以下で、180
    ℃で1時間オーブン加熱後の抗張力が40kgf/mm2以上で
    あることを特徴とする高抗張力電解銅箔。
  2. 【請求項2】銅箔の粗面側の銅結晶の(111)面、(20
    0)面、(220)面及び(311)面のピークのX線回折強
    度に対して無秩序に配向していることを特徴とする請求
    項1に記載の高抗張力電解銅箔。
  3. 【請求項3】硫酸銅および硫酸を主成分とし、ポリエー
    テル0.01〜0.10g/l、スズイオン0.5〜1.0g/lおよび鉄イ
    オン0.5〜5.0g/lを含有し、かつ塩素イオン0.1mg/l未満
    の電解液で電解することを特徴とする高抗張力電解銅箔
    の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の銅箔をエッチングして製
    造された回路を含むTABテープ。
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