JP5255229B2 - 電解銅箔、その電解銅箔を用いた表面処理銅箔及びその表面処理銅箔を用いた銅張積層板並びにその電解銅箔の製造方法 - Google Patents

電解銅箔、その電解銅箔を用いた表面処理銅箔及びその表面処理銅箔を用いた銅張積層板並びにその電解銅箔の製造方法 Download PDF

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Description

本件発明は、電解銅箔、その電解銅箔を用いた表面処理銅箔及びその表面処理銅箔を用いた銅張積層板並びにその電解銅箔の製造方法に関する。特に、析出面が低プロファイルであり、且つ、機械的強度の大きな電解銅箔及びその製造方法に関する。
電子及び電気機器の小型化、軽量化等の所謂軽薄短小化に対する要求に併せて、近年のプリント配線板にも同様の要求が行われる。このプリント配線板には、限られた搭載スペースの中で小型化と高機能化に対応した回路形成が求められるため、回路のファインピッチ化を行い高密度化した回路とすることが必要となる。そして、このようなファインピッチ回路を得るためには、より薄い銅箔を採用し、且つ、当該銅箔の基材密着面の粗度を下げてオーバーエッチング時間を短縮することで対応してきた。
このような目的には、一般的に低プロファイル電解銅箔を使用している。また、薄箔化しても、銅箔や銅張積層板のハンドリング性を良好にするため、機械強度をより大きくすることにも注力されてきた。このような低プロファイルで、且つ、機械的強度にも優れた電解銅箔は、特許文献1及び特許文献2に開示されている。以下、これらを簡単に説明する。
特許文献1には、プリント配線板用途やリチウム二次電池用負極集電体用途に実用できる低粗面を持つと共に疲労屈曲性にも優れた低粗面電解銅箔、具体的には、粗面粗さRzが2.0μm以下で該粗面に凹凸のうねりがなく均一に低粗度化された粗面を持ち、且つ、180℃における伸び率が10.0%以上である低粗面電解銅箔を提供することを目的として、硫酸−硫酸銅水溶液を電解液とし、白金属元素又はその酸化物元素で被覆したチタン板からなる不溶性陽極と該陽極に対向する陰極にチタン製ドラムを用い、当該両極間に直流電流を通じる電解銅箔の製造方法が開示されている。この製造方法において、前記電解液にオキシエチレン系界面活性剤、ポリエチレンイミン又はその誘導体、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩及び塩素イオンを存在させることによって粗面粗さRzが2.0μm以下で該粗面に凹凸のうねりがなく均一に低粗度化された粗面を持ち、且つ、180℃における伸び率が10.0%以上である低粗面電解銅箔を得られるとしている。この特許文献1の実施例には、得られた電解銅箔の析出面の表面粗さ(Rz)が0.9μm〜2.0μm、常態伸び率の値が10%〜18%、180℃における伸び率の値が10%〜20%、常態引張り強さの値が340MPa〜500MPa、180℃における引張り強さの値が180MPa〜280MPaであったことが開示されている。更に、この電解銅箔の析出面の、幅方向に対する光沢度〔Gs(85°)〕は120〜132であったことが開示されている。
また、特許文献2には、粗面が低粗度化され、時間経過又は加熱処理に伴う抗張力の低下率が低く、しかも高温における伸び率に優れた低粗面電解銅箔及びその製造方法を提供することを目的として、硫酸−硫酸銅水溶液からなる電解液にヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンイミン、アセチレングリコール、活性有機イオウ化合物のスルホン酸塩及び塩素イオンの五つの添加剤を存在させることより、電解銅箔の粗面粗さRzが2.5μm 以下であり、電着完了時点から20分以内に測定した25℃における抗張力が500MPa以上であると共に、電着完了時点から300分経過時に測定した25℃における抗張力の低下率が10%以下であり、又は、電着完了時点から100℃にて10分間加熱処理を施した後に測定した25℃における抗張力の低下率が10%以下であり、且つ、180℃における伸び率が6%以上である低粗面電解銅箔を得る技術が開示されている。
この特許文献2の実施例には、硫酸(HSO):100g/L、硫酸銅五水和物(CuSO ・5HO):280g/Lの硫酸−硫酸銅水溶液からなる電解液を基本溶液とし、添加剤としてヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレンイミン、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、アセチレングリコール及び塩酸を添加し、この電解液を白金属酸化物にて被覆したチタンからなる不溶性陽極と陰極であるチタン製陰極ドラムとの間に充填し、電解電流密度:40A/dm、電解液温:40℃にて電析して得られた、厚さ18μmの電解銅箔は、析出面の表面粗さ(Rz)が1.5μm〜2.3μmであり、常態の抗張力が650MPa〜900MPa、100℃で10分間加熱後の抗張力の低下率が0%〜7.7%であったことが開示されている。
上記のように、それぞれの実施例によれば、これらの製造方法を用いて製造された電解銅箔の析出面は低プロファイルである。そのレベルは、従来の低プロファイル電解銅箔としては優れており、ファインピッチ回路の形成には効果を発揮しうる。また、従来の電解銅箔よりも優れた機械的強度を得ることが可能なことも開示されている。尚、念のために記載するが、プリント配線板用銅箔における低プロファイルとは、銅箔の絶縁層構成材料との接合界面における凹凸が低いという意味で用いている。
特開2004−263289号公報 特開2004−339558号公報
前述のように、プリント配線板用電解銅箔には、種々の品質を備える、多くの製品及び品種が存在している。特に、ICチップ等のデバイス実装を直接行うテープ オートメーティド ボンディング(TAB)基板には、リジッドプリント配線板を遙かに超えるファインピッチ回路の形成が行われ、低プロファイル電解銅箔に対する要求が顕著であった。ところが、TAB基板は、図1に模式的に示すように、フライングリード1を有しており、この部分に直接デバイスを実装する。そのため、用いた電解銅箔の機械的強度が小さいと、ボンディング時の圧力により、フライングリード1が伸びるという欠点が現れる。尚、図1には、フライングリード1の他に、銅箔で形成された回路2、接着剤3、ベースフィルム(ポリイミドフィルム)4、ソルダーレジスト5、裏側ソルダーレジスト6、デバイス(ICチップ)7、IC接続部(デバイスホール)8、ギャングボンディング用支持台9、液晶ディスプレイパネル等との接続部となる第1端子部10、プリント配線板との接続部となる第2端子部11、折り曲げ部12からなる構成のTABのデバイスホール部分を含む断面を模式的に示した。
これに対し、電解銅箔の機械的強度の増大には限界があると判断し、TAB基板から、図2に模式的に示したフライングリードの無いCOF基板(チップ オン フィルム基板)へと製造製品がシフトする動きがある。COF基板へのデバイス実装が主流になると、当業者が保有してきたTAB基板用ボンディングマシンが有効に活用されず、社会資本の損失とも言える状態となる。この問題を解決するために、TAB基板での細線回路の形成が可能と考えられる、引張り強さが70kgf/mmを超えるような、リン青銅のハード材と同等の機械的強度が電解銅箔に望まれてきた。尚、図2には、ボンディングリード1の他に、銅箔で形成された回路2’、ベースフィルム(ポリイミドフィルム)4’、ソルダーレジスト5’、デバイス(ICチップ)7’、IC接続部8’、液晶ディスプレイパネル等との接続部となる第1端子部10’、プリント配線板との接続部となる第2端子部11’、折り曲げ部12’からなる構成のCOFの断面を模式的に示した。
上記70kgf/mmを超えるような引張り強さの値を示す電解銅箔は、特許文献2に開示されている。ところが、後に比較例として示すトレース実験を実施しても、特許文献2に記載のレベルでの高強度は得られず、引張り強さの値は58kgf/mm程度にとどまる。従って、電解銅箔では、引張り強さの値が70kgf/mmを超えるような、リン青銅と同等の機械的強度を備える製品を安定して生産することは困難と言える。
以上のことから、プリント配線板業界では、低プロファイルの表面を備え、且つ、機械的強度が、従来に無いほど極めて大きな電解銅箔及びその安定した製造方法が望まれてきた。
そこで、本件発明者らは、鋭意研究の結果、銅の析出結晶粒子が微細で、その粒子径のバラツキを従来に無いレベルに小さくすることにより、低プロファイルで光沢を有する析出面を備え、機械的強度が極めて大きく、且つ、その機械的特性の経時変化が小さい電解銅箔、及び、その製造方法に想到したのである。
本件発明に係る電解銅箔: 本件発明に係る電解銅箔は、銅電解液を電解することにより得られる電解銅箔において、常態における引張り強さ(以下、「常態引張り強さ」と称する。)の値が70kgf/mm〜100kgf/mm であり、且つ、180℃で60分間加熱した後の引張り強さの値が、常態引張り強さの値の85%以上であることを特徴とすることを特徴とする。
また、本件発明に係る電解銅箔は、製造後30日経過後の常態引張り強さの値が65kgf/mm以上であることが好ましい。
更に、本件発明に係る電解銅箔は、常態伸び率の値が3%〜15%であることが好ましい。
そして、本件発明に係る電解銅箔は、180℃×60分間の加熱後伸び率の値が、常態伸び率の値よりも低いことも特徴である。
また、上記本件発明に係る電解銅箔は、析出面の幅方向に対して60°の入反射角で測定した光沢度〔Gs(60°)〕の値が、80以上であることが好ましい。
本件発明に係る表面処理電解銅箔: 本件発明に係る表面処理電解銅箔は上記電解銅箔の表面に粗化処理、防錆処理、シランカップリング剤処理のいずれか1種又は2種以上を行ったことを特徴としている。
本件発明に係る電解銅箔の製造方法: 本件発明に係る電解銅箔の製造方法は、硫酸系銅電解液を用いた電解法により電解銅箔を製造する方法において、当該硫酸系銅電解液は下記添加剤A〜添加剤Cを含むものを用いることを特徴としている。
添加剤A:ベンゼン環と窒素原子(N)を含む複素環とを備え、該複素環にはメルカプト基が結合している構造を有する化合物、又はチオ尿素系化合物。
添加剤B:活性硫黄化合物のスルホン酸塩。
添加剤C:環状構造を持つ4級アンモニウム塩重合体。
本件発明に係る電解銅箔の製造方法において、前記添加剤Aは、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、テトラゾール系化合物、又は両端に有するアルカン基の炭素数が2以上であるチオ尿素系化合物のいずれか1種又は2種以上を用いることが好ましい。
本件発明に係る電解銅箔の製造方法で用いる前記添加剤Aは、そのベンゼン環にスルホン基が結合しているものであることがより好ましい。
そして、前記添加剤Aは、2−メルカプト−5−ベンズイミダゾールスルホン酸、3(5−メルカプト−1H−テトラゾールイル)ベンゼンスルホナート、2−メルカプトベンゾチアゾール又はN−Nジエチルチオ尿素のいずれか1種又は2種以上であることが好ましい。
また、前記添加剤Aの前記硫酸系銅電解液中における合算濃度は、1ppm〜50ppmであることが好ましい。
本件発明に係る電解銅箔の製造方法における前記添加剤Bは、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸又はビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドのいずれか又は混合物であることが好ましい。
そして、前記添加剤Bの前記硫酸系銅電解液中における濃度は、1ppm〜80ppmであることが好ましい。
本件発明に係る電解銅箔の製造方法における前記添加剤Cは、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体であることが好ましい。
そして、前記添加剤Cの前記硫酸系銅電解液中における濃度は、0.5ppm〜100ppmであることが好ましい。
更に、前記硫酸系銅電解液中における、前記添加剤Bの濃度と前記添加剤Cの濃度との比[(B濃度)/(C濃度)]の値が0.07〜1.4であることが好ましい。
本件発明に係る電解銅箔の製造方法における、前記硫酸系銅電解液中の塩素濃度は、5ppm〜100ppmであることが好ましい。
本件発明に係る銅張積層板: 本件発明に係る銅張積層板は、前記表面処理電解銅箔と絶縁層構成材料とを張合わせて得られるものである。そして、本件発明に係る銅張積層板を構成する前記絶縁層構成材料が、骨格材を含有する場合にはリジッド銅張積層板となる。一方、本件発明に係る銅張積層板を構成する前記絶縁層構成材料が、可撓性を有するフレキシブル素材である場合にはフレキシブル銅張積層板となる。
本件発明に係るプリント配線板: 本件発明に係る表面処理電解銅箔を用いて得られた銅張積層板に配線を形成するためのエッチング加工を施すことにより、本件発明に係るプリント配線板が得られる。即ち、上述のリジッド銅張積層板を用いることでリジッドプリント配線板が得られる。そして、上述のフレキシブル銅張積層板を用いることでフレキシブルプリント配線板が得られる。
本件発明に係る電解銅箔は、銅の析出結晶粒子が微細で、その粒子径のバラツキが従来に無い程に小さいという特徴を備える。その結果、従来の低プロファイル電解銅箔と同等の低プロファイルで光沢を有する析出面を備え、且つ、極めて大きな機械的強度を有する。また、その機械的強度は、加熱しても大きく低下せず、製造後の経時変化も小さい。従って、当該電解銅箔を用いて得られる表面処理電解銅箔も、同様の大きな機械的強度と低プロファイルの表面を備えるものとなる。この表面処理電解銅箔を用いれば、基板強度の確保を優先した結果、銅箔層を薄くできなかったプリント配線板であっても、要求レベルに合わせた基板強度を確保しつつ銅箔層を薄くできる。よって、ファインピッチ回路の形成と同時に基板重量の軽量化が可能となる。
そして、この電解銅箔及び表面処理銅箔の製造方法は、使用する銅電解液の組成に特徴を備えている。従って、新たな設備を必要とせず、従来の設備の使用が可能で、生産性の低下も引き起こさない。しかも、その銅電解液は、溶液安定性に優れ、長期間の連続使用に耐えるため、経済的にも優れている。
更に、当該表面処理電解銅箔を用いて得られる銅張積層板は、板厚が薄くても、電解銅箔の極めて大きな機械的強度により、取扱い時のたわみ、変形が小さくなり、取扱いやすくなる。特に、当該電解銅箔を絶縁層形成材であるフィルムと張合わせてフレキシブル銅張積層板とし、これをファインピッチ要求の顕著なTAB基板用途に用いれば、電解銅箔の機械的強度が極めて大きいため、従来は実用化不可能であった細線のフライングリードを備えるTAB基板の製造が可能となる。
本件発明に係る電解銅箔の形態: 以下、本件発明に係る電解銅箔の説明を行う前に、説明の理解が容易となるように、一般的な電解銅箔の製造方法に関して述べる。本件発明に係る「電解銅箔」とは、何ら表面処理を行っていない状態のものであり「未処理銅箔」、「析離箔」等と称されることがある。本件明細書では、これを単に「電解銅箔」と称する。この電解銅箔の製造には、一般的に連続生産法が採用されており、ドラム形状をした回転陰極と、その回転陰極の形状に沿って対向配置された鉛系陽極又は寸法安定性陽極(Dimention Stable Anode:DSA)との間に硫酸系銅電解液を流し、電解反応を利用して銅を回転陰極の表面に析出させ、薄膜状に析出した銅を箔として回転陰極から連続して引き剥がして巻き取っている。
この電解銅箔の、回転陰極と接触した状態から引き剥がされた側の表面形状は、研磨処理された回転陰極表面の形状が転写したものであり、光沢を有することからこの面を「光沢面」と称する。これに対し、析出サイドであった側の表面形状は、析出する銅の結晶成長速度が結晶面ごとに異なるために、通常は山形の凹凸形状を示すため「粗面」と称することが多い。しかし、本件発明では平滑な形状となるため、こちら側を「析出面」と称する。
このようにして得られた電解銅箔には、絶縁層構成材料との接着力を機械的なアンカー効果で補強するための粗化処理や、酸化防止のための防錆処理などの表面処理が施されて、市場に流通する表面処理電解銅箔となる。一方、用途によっては粗化処理を施さずに使用することもある。
本件発明に係る電解銅箔は、常態引張り強さの値が70kgf/mm〜100kgf/mmという、従来に無い極めて大きな機械的強度を備える。この常態引張り強さとは、室温で一定速度での引張り試験を行い、破断に至るまでの荷重の推移を測定し、最大荷重から計算して得られる機械的な特性である。そして、上記引張り強さの値は、回転陰極から引き剥がされた電解銅箔に対して、何ら処理を加えないまま測定して得られた値である。この測定により、同時に常態伸び率の測定結果も得られる。従来の電解銅箔の場合、常態引張り強さの値が60kgf/mm以下(一般的には、30kgf/mm〜45kgf/mmの範囲にある。)と言うのが通常であり、70kgf/mmを超える常態引張り強さの値を示す製品は存在しなかった。即ち、本件発明に係る電解銅箔は、常態引張り強さの値が70kgf/mm〜100kgf/mmであり、リン青銅のハード材(質別:EH)と同等もしくは超えるレベルの高い引張り強さを備えている。しかも、後述するように、銅箔を加熱しても、この引張り強さの値の低下が少ない点にも特徴を有している。
そして、本件発明に係る電解銅箔は、非常に微細で均一な結晶粒を備える。従って、結晶粒が微細であるが故に、析出面は平坦化し、高光沢の表面となる。また、エッチングは結晶粒界を優先的に溶解させるため、結晶粒が微細になるほど配線のサイドエッチング性が向上し、形成される配線の直線性が向上する。
更に、金属箔を耐折性能の測定や引張り試験に供した場合の破断メカニズムを考えてみる。破断は、試験中に試片や回路の縁端部にマイクロクラックが発生し、そのマイクロクラックに耐折応力又は引張り応力が集中し、クラックの伝播が起こって発生すると考えられる。このときのクラック伝播は、結晶粒界に沿った伝播が主となる。従って、微細な結晶粒を備えていると、クラックの伝播経路となる粒界距離が長く、クラックの伝播、即ち破断に対する抵抗力が大きくなる。この結果、70kgf/mmを超える高い引張り強さの値を示すのである。そして、より好ましい実施態様によれば、80kgf/mmを超える引張り強さの値を得ることができる。
このような大きな常態引張り強さの値を示す銅箔としては、加工度を高くした圧延銅箔が存在する。しかし、圧延銅箔は加熱による焼鈍効果が発揮されやすく、機械的強度は容易に低下してしまう。これに対し、本件発明に係る電解銅箔の場合、加熱しても引張り強さの値の低下が少ない。即ち、本件発明に係る電解銅箔は、180℃×60分間の加熱後引張り強さの値が、常態引張り強さの値の85%以上、より好ましくは90%以上を保持することができる。ここで、加熱後引張り強さとは、本件発明に係る電解銅箔を180℃×60分間の大気雰囲気中で加熱し、その後室温に放冷して測定した引張り強さのことである。従来の電解銅箔の場合、180℃×60分間の加熱後の加熱後引張り強さの値は、常態引張り強さの値の60%以下となるのが通常であった。本件発明に係る電解銅箔の、加熱後引張り強さの値の低下が少ないのは、本件発明に係る電解銅箔の結晶粒が微細であると同時に、結晶粒径のバラツキが小さいことで、電解時に内包される添加剤成分の結晶粒界への分布が均一になっているためと考えられる。この添加剤成分は、加熱時には金属銅の拡散バリアとして機能し、結晶粒の肥大化を抑制するため、結晶粒微細化の効果を加熱後も維持できると考える。尚、ここで180℃×60分間の加熱条件を選択したのは、最も一般的な銅張積層板製造に採用されている、ホットプレスの温度条件に近いからである。
また、本件発明に係る電解銅箔は、製造後30日経過後の常態引張り強さの値が65kgf/mm以上であることが好ましい。一般的に、電解銅箔の品質保証期間としては、最低3ヶ月が要求されるため、製造後3ヵ月経過後の常態引張り強さで品質保証を行うことが好ましい。しかし、電解銅箔の機械的特性は、室温で保管しても、製造直後から経時的に変化して行き、製造後30日経過すると安定化し、その後室温で保管する限り顕著な機械的特性の変化が無くなる傾向がある。そこで、製造後30日経過した常態引張り強さを測定すれば、本件発明に係る電解銅箔の品質保証が事実上可能となる。ここでは、製造後30日経過後の常態引張り強さの値の上限を示していないが、結晶粒が微細であるほど経時的な変化が小さくなるため、常態の引張り強さの値と同程度、100kgf/mmと考えられる。
更に、本件発明に係る電解銅箔は、常態伸び率の値が3%〜15%の範囲の値を示す。常態伸び率の値が3%以上あれば、スルーホール基板を作成する際に、メカニカルドリルで銅張積層板に穴明け加工を行っても、フォイルクラックが発生しない。本件発明に係る電解銅箔の常態伸び率の値の上限は、結晶粒が微細であるため、経験的に15%程度となる。しかし、前記メカニカルドリルでの加工性を考慮すれば、10%以下であることがより好ましい。
更に、本件発明に係る電解銅箔は、180℃×60分間の加熱後伸び率の値が、常態伸び率の値よりも低いことも特徴である。ここで言っている加熱後伸び率とは、本件発明に係る電解銅箔を180℃×60分間の大気雰囲気中で加熱し、その後、室温に放冷してから測定した伸び率のことである。従来の電解銅箔の多くは、加熱すると焼鈍効果が現れる。中でも、低温アニール性が良い電解銅箔では、180℃×5分間〜15分間程度の加熱で伸び率の値の低下が見られるが、低下率は5%未満のレベルであり、180℃×60分間の加熱を行うと、加熱後伸び率の値は常態伸び率の値に比べて大きくなる。これに対し、本件発明に係る電解銅箔は、180℃×60分間の加熱後伸び率の値が、常態伸び率の値を基準として比較すると低い値を示すため、加熱による伸び率の挙動は、従来の電解銅箔とは異なる。
より具体的に言えば、本件発明に係る電解銅箔の加熱後伸び率は、常態伸び率の値を100%としたとき5%〜50%の範囲で伸び率の値が低下する。このような、加熱すると引張り強さの値と伸び率の値とが低下する現象は、伸銅品分野で言う焼鈍硬化と同様の現象と捉えることができる。従って、更に加熱を継続すると、加熱後引張り強さの値は低下を続け、加熱後伸び率はある時点から上昇する方向に転ずると考えられる。
更に、上述の電解銅箔の製造方法を考えるに、得られる結晶粒が微細で均一であるということは、その析出面の凹凸形状が滑らかになる効果を発揮する。この本件発明に係る電解銅箔の析出面の滑らかさを示す指標として光沢度を採用すると、当該析出面の光沢度〔Gs(60°)〕は80以上となる。後述する製造方法を採用することを前提として、当該光沢度〔Gs(60°)〕が80以上の場合において、常態引張り強さの値が70kgf/mm〜100kgf/mm、180℃×60分間の加熱後の加熱後引張り強さの値が常態引張り強さの値の85%以上、より好ましくは90%以上という機械的特性を示す。
本件発明に係る表面処理電解銅箔: 本件発明に係る表面処理電解銅箔は、上記電解銅箔の表面に粗化処理、防錆処理、シランカップリング剤処理のいずれか1種又は2種以上を施したものである。本件発明に係る表面処理電解銅箔に対して施す各種表面処理は、用途に応じての要求特性を考慮し、接着強度、耐薬品性や耐熱性等を付与する目的で表面への粗化処理、防錆処理、シランカップリング剤処理等が行われる。
ここで言う粗化処理とは、絶縁層構成材料との密着性を物理的に向上させるための処理であり、析出面上に施されるのが一般的である。具体的には電解銅箔の表面に微細金属粒を付着形成させるか、エッチング法で粗化表面を形成するかのいずれかの方法が採用される。一般的には、前者の微細金属粒を付着形成する粗化処理工程が採用される。そして、この粗化処理工程は、電解銅箔の析出面上に、微細銅粒を析出付着させるヤケめっき工程と、この微細銅粒の脱落を防止するための被せめっき工程とで構成されるのが通常である。
次に、防錆処理に関して説明する。この防錆処理では、銅張積層板及びプリント配線板等の製造過程で、表面処理電解銅箔の表面が酸化腐食することを防止するための被覆層を設ける。防錆処理の手法は、ベンゾトリアゾール、イミダゾール等を用いる有機防錆、もしくは亜鉛、クロメート、亜鉛合金等を用いる無機防錆のいずれを採用しても問題は無く、使用目的に最適と考えられる防錆手法を選択すればよい。そして、防錆層の形成方法であるが、有機防錆の場合は、有機防錆剤の浸漬塗布法、シャワーリング塗布法、電着法等の手法を採用することが可能となる。無機防錆の場合は、電解法、無電解めっき法、スパッタリング法や置換析出法等を用い、防錆元素を電解銅箔層の表面上に析出させることが可能である。
そして、シランカップリング剤処理とは、粗化処理、防錆処理等が終了した後に、絶縁層構成材料との密着性を化学的に向上させるための処理である。ここで言う、シランカップリング剤処理に用いるシランカップリング剤としては、特に限定を要するものでは無く、使用する絶縁層構成材料、プリント配線板製造工程で使用するめっき液等の性状を考慮して、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤等から任意に選択使用することができる。そして、シランカップリング剤層を形成するには、シランカップリング剤溶液を用いた浸漬塗布、シャワーリング塗布、電着等の手法を採用することができる。
本件発明に係る電解銅箔の製造形態: 本件発明に係る電解銅箔の製造方法は、硫酸系銅電解液を用い電解法により電解銅箔を製造する方法であって、当該硫酸系銅電解液に下記添加剤A〜添加剤Cを含むものを用いる点に特徴がある。そして、ここで言う硫酸系銅電解液中の銅濃度は50g/L〜120g/L、より好ましい範囲は50g/L〜80g/Lである。また、フリー硫酸濃度は60g/L〜250g/L、より好ましい範囲は80g/L〜150g/Lのレベルを想定している。以下、添加剤を順に説明する。
添加剤Aの最も上位概念は、NとSを含む化合物であり、好ましくはベンゼン環とNを含む複素環とを備え、該複素環にはメルカプト基が結合している構造を有する化合物である。この添加剤Aは、得られる電解銅箔に高い引張り強さの値を付与するように作用する。添加剤Aは、電解銅箔の電析時に結晶粒界に均一に分布しやすく、析出銅の結晶粒の微細化を促進する効果に優れ、電解銅箔の製造の安定化に寄与する。これに対し、添加剤として同様の効果を示すことが知られているチオ尿素の場合は、チオ尿素の分解物が低分子量であり、その除去が困難で、電析した電解銅箔中への包含状態や、銅の析出状態の安定化が困難となる欠点がある。そこで、ベンゼン環という安定した構造を基本に有し、Nを含む複素環構造をとっている添加剤を用いると、硫酸銅溶液中で分解しにくく安定構造をとるため好ましい。そして、メルカプト基が複素環に結合し、スルホン基がベンゼン環に結合した構造をとれば、極性が大きくなり水溶液系で溶解が容易になり、硫酸系銅電解液に用いる添加剤としての効果とその安定性が維持できる。
そして、前記添加剤Aに共通の構造(ベンゼン環とNを含む複素環とを備え、該複素環にはメルカプト基が結合している構造)を備えていないチオ尿素系の化合物にも、同様の効果が見られるものがある。例えば、炭素数が2以上のアルカン基を両端に有するチオ尿素系化合物は、チオ尿素の極性がアルカン基により弱められる。従って、銅イオンとの反応性は[=S]の構造を有することの効果を保ちながら、電解反応時にはチオ尿素のような分解挙動を示しにくいと考えられる。従って、これらのチオ尿素系化合物を用いれば、チオ尿素そのものを用いた場合のような不具合は生じにくくなる。
そして、前記ベンゼン環とNを含む複素環とを備え、該複素環にはメルカプト基が結合している構造を有する添加剤Aをより具体的に言えば、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物及びテトラゾール系化合物であり、トリアゾール系化合物及びオキサゾール系化合物なども同様の範疇に属する。そして、チオ尿素系の添加剤Aは炭素数が2以上の官能基を有するチオ尿素系化合物である。実際の使用にあたっては、上記の内いずれか1種又は2種以上を用いることが好ましい。
また、上記添加剤Aのベンゼン環にスルホン基が結合している構造のものを用いることも好ましい。ベンゼン環にスルホン基が結合した構造の化合物は、硫酸系銅電解液中で極めて良好な安定性を示し、電解状態が安定化し、溶液寿命も長くなる。
以下、上述した構造を有する添加剤Aとしてのイミダゾール類、チアゾール類やテトラゾール類等の中でも、前記ベンゼン環とNを含む複素環とを備え、該複素環にはメルカプト基が結合している構造を有するものとして、2−メルカプト−5−ベンズイミダゾールスルホン酸(以下、「2M−5S」と称する。)、3(5−メルカプト−1H−テトラゾールイル)ベンゼンスルホナート(以下、「MSPMT−C」と称する。)又は2−メルカプトベンゾチアゾール(以下、「WM」と称する。)を用いることが好ましい。以下、2M−5Sの構造式を化1に、MSPMT−Cの構造式を化2に、そして、WMの構造式を化3に示す。そして、実際の使用にあたっては、入手が容易である易水溶性の塩類、例えば後述する実施例と同様のNa塩等として用いるのが現実的である。
そして、炭素数が2以上のアルカン基を両端に有するチオ尿素系化合物は、その構造上安定性が見られるN、N−ジエチルチオ尿素(以下、「EUR」と称する。)を用いることが好ましい。EURの構造式を以下の化4に示す。EURは、N及びSがチオ尿素と同様の構造で含むことで、添加剤としての効果は明らかに有する。また、エチル基を両端に有していることで末端基の活性が弱く、電解液中での安定性が良好になっていると考えられる。尚、上記の添加剤は、効果が確認されたものを例示しているに過ぎず、同様の構造を有し、効果を確認できた化合物であればいずれをも用いうることを明記しておく。
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そして、当該添加剤Aの硫酸系銅電解液中の合算濃度は、1ppm〜50ppmであることが好ましく、より好ましくは3ppm〜40ppmである。硫酸系銅電解液中での当該添加剤Aの合算濃度が1ppm未満の場合には、電解により析出する電解銅箔に取り込まれる添加剤Aの量が不足し、得られた電解銅箔が長期間にわたって大きな機械的強度を保つことが難しくなる。一方、当該添加剤Aの合算濃度が50ppmを越えると電解銅箔の析出面の滑らかさが損なわれ、光沢度が低下し、大きな機械的強度を得ることが困難になる。この銅電解液中の添加剤Aの含有量は、HPLC(High Performance Liquid Chromatograph)を用いて確認することができる。
添加剤Bは、活性硫黄化合物のスルホン酸塩である。この添加剤Bは、得られる電解銅箔の表面の光沢化を促進するよう作用する。そして、より具体的に言えば、添加剤Bは、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸(以下、「MPS」と称する。)又はビス(3−スルホプロピル)ジスルフィド(以下、「SPS」と称する。)のいずれか又は混合物を用いることが好ましい。当該電解液中で光沢剤としての効果を発揮しているのはSPSであると考えられる。しかし、このSPSは、硫酸系銅電解液中にMPSを添加すると、当該溶液中で2量体化して生成するものでもある。従って、SPSの直接添加を行うこと無く、MPSを添加しても構わないのである。ここで、MPSの構造式を化5、SPSの構造式を化6として以下に示す。これら構造式の比較から、SPSはMPSの2量体であることが理解できる。
Figure 0005255229
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そして、当該MPS又は/及びSPSの硫酸系銅電解液中の濃度は1ppm〜80ppmであることが好ましく、より好ましい範囲は10ppm〜70ppm、更に好ましい範囲は10ppm〜60ppmである。当該濃度が1ppm未満の場合には、電解銅箔の析出面に光沢が得られにくく、大きな機械的強度の電解銅箔を安定して得ることが困難になる。一方、当該濃度が80ppmを超えると、銅の析出状態が不安定になる傾向にあり、大きな機械的強度の電解銅箔を安定して得ることが困難になる。尚、SPSの濃度は、濃度計算を容易にするために、現時点では最も入手が容易であるMPSのナトリウム塩(以下、「MPS−Na」と称する。)に換算した値を用いた。
添加剤Cは、環状構造を持つ4級アンモニウム塩重合体である。そして、この添加剤Cは、得られる電解銅箔の表面の平滑化を促進するように作用する。そして、具体的には、添加剤Cとして、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド(以下、「DDAC」と称する。)重合体を用いることが好ましい。DDACは、重合体構造をとる際に環状構造を成すものであり、環状構造の一部は4級アンモニウムの窒素原子で構成されることになる。そして、DDAC重合体には前記環状構造が5員環や6員環のものなど複数の形態が存在し、実際の重合体は、合成条件によりそれらのいずれか又は混合物であると考えられている。従って、ここでは、これら重合体の内、5員環構造をとっている化合物を代表とし、塩素イオンを対イオンとしたものを化7として以下に示す。このDDAC重合体とは、以下に示す化7のように、DDACが2量体以上の重合体構造をとっているものである。
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そして、当該DDAC重合体の、硫酸系銅電解液中の濃度は0.5ppm〜100ppmが好ましく、より好ましい範囲は10ppm〜80ppm、更に好ましくは20ppm〜70ppmである。硫酸系銅電解液中のDDAC重合体の濃度が0.5ppm未満の場合には、平滑化の効果が不十分となって、SPSの濃度をいかに高めても電析銅の析出面が粗くなり、大きな機械的強度を得るために必要な低プロファイル表面を得ることが困難になる。一方、当該DDAC重合体の濃度が100ppmを超えても、銅の析出面を平滑化する効果は向上せず、むしろ析出状態が不安定になって、大きな機械的強度を安定して得ることが困難になる。
更に、前記硫酸系銅電解液中における、前記添加剤Bの濃度と前記添加剤Cの濃度との比[(B濃度)/(C濃度)]の値が0.07〜1.4であることが好ましい。前述のように、添加剤Bと添加剤Cとは、共に高濃度になると析出状態が不安定になるのであるが、この不安定になる傾向は、一方の成分のみが高濃度となったときに見られる。従って、前記添加剤Bの濃度と前記添加剤Cの濃度との比[(B濃度)/(C濃度)]の値が0.07〜1.4とすることによって、両添加剤が安定した効果を発揮できる。そして、[(B濃度)/(C濃度)]の値が0.07〜1.4であれば、後述する塩素添加の効果を発揮しやすいため、より好ましい。
このような、前記硫酸系銅電解液中の、添加剤A〜添加剤Cの成分バランスが最も重要である。これらの量的バランスが上記範囲を逸脱すると、平滑で光沢のある析出面が粗くなって低プロファイルを維持出きなくなり、結果として大きな機械的強度を得ることが困難になってしまう。従って、これらのバランスを良好に維持することで、安定して本件発明に係る極めて大きな機械的強度を有する電解銅箔の製造が可能となる。
そして、前記硫酸系銅電解液中の塩素濃度は、添加剤A〜添加剤Cを添加済みの状態で、5ppm〜100ppmであることが好ましく、より好ましくは20ppm〜60ppmである。この、塩素濃度が5ppm未満の場合には、電解銅箔の機械的強度が低下しやすくなる。一方、塩素濃度が100ppmを超えると、電解銅箔の電析状態が安定しないために、大きな機械的強度を安定して得ることが困難になる。そして、この塩素濃度の調整には、塩酸又は塩化銅を用いることが好ましい。硫酸系銅電解液の性状を変動させないからである。
本件発明に係る銅張積層板及びプリント配線板の形態: 本件発明は、前記表面処理電解銅箔を絶縁層構成材料と張合わせてなる銅張積層板を提供する。これら銅張積層板の製造方法に関しては、リジッド銅張積層板であれば、ホットプレス方式や連続ラミネート方式を用いて製造することが可能である。そして、フレキシブル銅張積層板であれば、従来技術であるロールラミネート方式やキャスティング方式を用いることが可能である。
そして、前記絶縁層構成材料は骨格材を含有するものを用いたリジッド銅張積層板の場合には、使用する銅箔の厚さには特に制限は無く、通常は9μm〜300μm程度の厚さの銅箔が使用される。これに対し、前記絶縁層構成材料として可撓性を有するフレキシブル素材で構成したフレキシブル銅張積層板には、総じてファインピッチ回路の形成が求められるため、8μm〜20μmの厚さの銅箔を使用することが好ましい。
前記リジッド銅張積層板では、多層プリント配線板材料として絶縁層厚みをできるだけ薄くする取り組みがなされており、導体層は薄く低プロファイルであることが要求される。しかしながら、銅箔で絶縁層を挟み込んだ構造であっても、使用する銅箔の厚さが12μm以下のように薄い場合には、積層板の機械的強度が不足してハンドリング時に折れが発生する場合がある。しかし、本件発明に係る電解銅箔を用いた銅張積層板では、銅箔の機械的強度が通常電解銅箔の2倍以上のレベルであるため、例えば12μm銅箔を張合わせても、通常箔の35μm銅箔を貼ったものと同等に近い基板強度が得られハンドリング性が向上する。
以上の本件発明に係る前記リジッド銅張積層板を用いて得られたリジッドプリント配線板は、電解銅箔層の機械的強度が極めて大きいため、物理的外力によるスクラッチ、断線不良等の少ない高品質なファインピッチ回路を備えることになる。尚、銅張積層板からプリント配線板への加工は、銅張積層板の銅箔表面に直接エッチングレジストを形成して不要部分の銅をエッチング除去するサブトラクティブ法や、パターンめっき用めっきレジストを形成後、スルーホール部分を含む必要配線部分に銅めっきを施し、その後不要である銅をエッチング除去するパターンめっき法等の公知のエッチング加工手法の全ての使用が可能である。
また、前記フレキシブル銅張積層板は、その屈曲性と軽量性とが要求されるフレキシブルプリント配線板の製造に用いられる。そして、屈曲性と軽量性とを同時に向上させるために、絶縁層構成材料の薄層化が図られ、フレキシブル素材のフィルム強度が小さくなり、電解銅箔で形成した導体の機械的強度が屈曲性及び引張り強度を決定づける要因となってきた。従って、本件発明に係る電解銅箔を用いたフレキシブル銅張積層板は、形成した導体の機械的強度が極めて大きいため、高屈曲性及び大きい引張り強度を示すことになる。しかも、本件発明に係る電解銅箔は、低プロファイルであるため、フレキシブルプリント配線板に求められるレベルのファインパターン回路の形成にも好適となる。
従って、本件発明に係る前記フレキシブル銅張積層板を用いて得られたフレキシブルプリント配線板は、前述の如くファインピッチ回路を備え、且つ、比較的大きな荷重が負荷される場合の配線板として好適である。より具体的に言えば、ICチップをボンディングする際のフライングリードの曲がり、IC等のボンディング時のボンディング圧による伸びが問題で作りえなかったファインピッチTAB等に好適である。
以上、実施の形態に関して述べてきたが、より本件発明に係る電解銅箔等の理解を容易にするため、以下に実施例を示す。
<実施例1〜実施例7>
硫酸系銅電解液として、硫酸銅溶液であって銅濃度80g/L、フリー硫酸濃度140g/Lに調整した基本溶液を用い、表1に示す添加剤濃度になるように調整した。濃度調整にはMPS−Na、DDAC重合体(センカ(株)製ユニセンスFPA100L)、添加剤AとしてWM、MSPMT−C、2M−5S及びEURから選択された1種及び塩酸を用いた。具体的には、実施例1〜実施例7として、添加剤の配合が異なる組成の硫酸系銅電解液を用いて複数の電解銅箔を製造した。上記実施例の液組成を、比較例の液組成と合わせて、後の表1に示す。
電解銅箔の作成は、陰極として表面を#2000の研磨紙を用いて研磨を行ったチタン板電極を、陽極にはDSAを用いて、実施例1では液温50℃、電流密度60A/dmで電解し、厚さ15μmの電解銅箔を作成した。実施例2〜実施例7では液温50℃、電流密度51.5A/dmで電解し、厚さ12μm又は15μmの電解銅箔を作成した。特性の評価には、連続電解して3枚の電解銅箔を作成し、3枚目に得られた電解銅箔を用いた。この電解銅箔の光沢面の表面粗さ(Rzjis)は0.84μm、析出面の表面粗さ(Rzjis)は0.80μm〜1.71μm、光沢度〔Gs(60°)〕は121〜530であった。そして、常態引張り強さの値が80.8kgf/mm〜97.1kgf/mmであり、常態伸び率の値は4.0%〜6.0%であった。そして、この電解銅箔の加熱後引張り強さの値は78.8kgf/mm〜95.7kgf/mmとなり、加熱前引張り強さの値の89.1%〜98.6%に低下していた。また、加熱後伸び率の値は3.2%〜4.5%となり、加熱前伸び率の値の58.9%〜85.0%に低下していた。実施例における結果の詳細は、比較例1〜比較例3の結果と併せて、後の表2に纏めて示す。尚、表2では、これら加熱後の値の加熱前の値に対するパーセンテージを、「維持率(%)」と表記している。
比較例
〔比較例1〕
比較例1では実施例と同様の基本溶液として、硫酸銅溶液であって銅濃度80g/L、フリー硫酸濃度140g/Lに調整した。添加剤濃度の調整にはMPS−Na、DDAC重合体(センカ(株)製ユニセンスFPA100L)及び塩酸を用い、添加剤Aを含んでいないことを除いては、実施例と同様の電解液組成とした。上記液組成を、実施例の液組成と合わせて、後の表1に示す。
電解銅箔の作成は、陰極として表面を#2000の研磨紙を用いて研磨を行ったチタン板電極を、陽極にはDSAを用いて、液温50℃、電流密度60A/dmで電解し、厚さ15μmの電解銅箔を作成した。特性の評価には実施例と同様に連続電解して3枚の電解銅箔を作成し、3枚目に得られた電解銅箔を用いた。この電解銅箔の光沢面の表面粗さ(Rzjis)は0.88μmであり、析出面の表面粗さ(Rzjis)は0.44μmで、光沢度〔Gs(60°)〕は600を超えていた。そして、常態引張り強さの値が35.4kgf/mmで、常態伸び率の値は14.3%であった。更に、この電解銅箔の加熱後引張り強さの値は30.7kgf/mmであり、加熱前引張り強さの値の86.7%に低下していた。そして、加熱後伸び率の値は14.8%であり、加熱前伸び率の値の103.5%に上昇した。実施例及び比較例2、比較例3の結果と併せて、後の表2に纏めて示す。
〔比較例2〕
比較例2では、特許文献2に開示の実施例2をトレースした。具体的には、硫酸濃度を100g/L、硫酸銅五水和物濃度を280g/Lの硫酸系硫酸銅水溶液を調製し、添加剤としてヒドロキシエチルセルロース:80mg/L、ポリエチレンイミン:30mg/L、3−メルカプト−1− プロパンスルホン酸ナトリウム:170μmol/L、アセチレングリコール:0.7mg/L 及び塩素イオン:80mg/Lを含む電解液を調整した。
この電解液の液温を40℃とし、実施例と同様の装置を用いて、電解電流密度40A/dmで電解し、厚さ18μm の電解銅箔を作成した。特性の評価には、連続電解して3枚の電解銅箔を作成し、3枚目に得られた電解銅箔を用いた。この電解銅箔の光沢面の表面粗さ(Rzjis)は実施例と同じく、0.84μmであった。そして、析出面の表面粗さ(Rzjis)は1.94μm、常態引張り強さの値が57.7kgf/mm、常態伸び率の値は6.8%であった。また、この電解銅箔の加熱後引張り強さの値は54.7kgf/mmとなり、加熱前引張り強さの値の94.8%に低下した。更に、加熱後伸び率の値は7.3%となり、加熱前伸び率の値の107.4%に上昇した。実施例及び比較例1、比較例3の結果と併せて、後の表2に纏めて示す。
〔比較例3〕
比較例3では、特許文献2に開示の実施例3をトレースした。具体的には、硫酸濃度を100g/L、硫酸銅五水和物濃度を280g/Lの硫酸系硫酸銅水溶液を調製し、添加剤としてヒドロキシエチルセルロース:6mg/L、ポリエチレンイミン:12mg/L、3−メルカプト−1− プロパンスルホン酸ナトリウム:60μmol/L、アセチレングリコール:0.5mg/L 及び塩素イオン:30mg/Lを含む電解液を調整した。
この電解液の液温を40℃とし、実施例と同様の装置を用いて、電解電流密度40A/dmで電解し、厚さ18μm の電解銅箔を作成した。特性の評価には、連続電解して3枚の電解銅箔を作成し、3枚目に得られた電解銅箔を用いた。この電解銅箔の光沢面の表面粗さ(Rzjis)は実施例と同じく、0.84μmであった。そして、析出面の表面粗さ(Rzjis)は1.42μm、常態引張り強さの値が57.8kgf/mm、常態伸び率の値は6.4%であった。また、この電解銅箔の加熱後引張り強さの値は55.0kgf/mmとなり、加熱前引張り強さの値の95.2%に低下した。更に、加熱後伸び率の値は8.4%となり、加熱前伸び率の値の131.3%に上昇した。実施例及び比較例1、比較例2の結果と併せて、以下の表2に纏めて示す。
Figure 0005255229
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<実施例と比較例1との対比>
実施例と比較例1との違いは、表1に示すように、添加剤Aの有無であり、実施例で用いた電解液は、比較例で用いた電解液に添加剤A(WM、MSPMT−C、2M−5S、EUR)を含ませた構成となっている。従って、添加剤Aを含ませることにより、得られる電解銅箔の常態引張り強さの値が大きくなり、加熱による値の低下が小さくなっている。また、実施例の常態伸び率が比較例の常態伸び率に比べて小さな値を示すと同時に、実施例では加熱により更に伸び率の値が低下する傾向が現れている。この現象は、焼鈍硬化の効果が現れていると見ることもできる。即ち、実施例で得られた電解銅箔と、比較例1で得られた電解銅箔との違いは、表面粗さ、光沢度と焼鈍硬化の発現の可否とにおいて明確である。
<実施例と比較例2及び比較例3との対比>
比較例2及び比較例3では特許文献2に記載の製造条件をトレースした。しかし、表2に示すように、特許文献2の実施例に開示の常態引張り強さは得られなかった。特許文献2の実施例2では890MPaと記載されているが、565MPa(比較例2の結果を単位換算)しか得られていない。また、特許文献2の実施例3では900MPaと記載されているが、567MPa(比較例3の結果を単位換算)しか得られていない。そして、比較例2及び比較例3では加熱による伸び率の上昇が見られている。この点では、比較例1で得られた電解銅箔よりも大きな常態引張り強さの値は示すが、機械特性に関しては、比較例1で得られた電解銅箔と同様の特性傾向を有する電解銅箔であると言える。即ち、本件発明に係る電解銅箔と比較すると、析出面の表面粗さは同等であるが、光沢度と焼鈍硬化の発現傾向とにおいて違いが明確である。尚、比較例2及び比較例3は、電解銅箔の分野における当事者である本件発明者が、数ヶ月間にわたり条件を調整しながら繰り返し試験を実施した中でのベストデータである。
尚、上記実施例では、作成する電解銅箔の厚さを2種類とし、電解条件は、厚い15μm銅箔で高電流密度における電解を実施している。そして、表面粗さを管理するためには、高電流密度で厚物を作成する方が困難であると当業者は認識しているが、上記では15μm銅箔で表面粗さの小さなデータが得られている。従って、12μm銅箔と15μm銅箔の特性に与えている電解条件の影響はほとんど無いと考えられ、評価データは直接比較することができる。また、本件発明に係る電解銅箔の製造に際し、硫酸系銅電解液の銅濃度を50g/L〜120g/L、フリー硫酸濃度を60g/L〜250g/L程度とした電解液で良好な結果を得ているが、実操業にあたっては設備仕様等を考慮して、最適な範囲に組成変更を行うことも可能である。そして、上記実施例に記載の添加剤A及びMPS、DDAC重合体等の添加方法又は添加形態にはこだわらず、MPS−Naの代わりに他のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩を用いてもかまわず、可能であればSPS塩を用いることが好ましい。
そして、本件発明に係る硫酸系銅電解液は、その他の添加剤類の存在を否定しているものでも無く、上記添加剤類の効果を更に際だたせたり、連続生産時の品質安定化に寄与できること等が確認されているものであれば任意に添加してかまわない。更に、工程内外での混入異物の除去を目的とする濾過設備はもちろんのこと、添加剤類の分解生成物の影響が懸念されるようであれば活性炭吸着等の手段を適切に用いることも有用である。
本件発明に係る電解銅箔は、銅の析出結晶粒子が微細で、その粒子径のバラツキが従来に無い程に小さいという特徴を備える。その結果、従来市場に供給されてきた低プロファイル電解銅箔と同等の低プロファイルで光沢を有する析出面を備え、且つ、極めて大きな機械的強度を有する。よって、その極めて大きな機械的強度故に、特にテープ オートメーティド ボンディング(TAB)基板のファインピッチ配線の形成に好適である。また、特許文献1に示されるような、リチウムイオン電池に代表される、非水電解液二次電池の集電体としても利用できる。特に、充放電時の体積変化が大きい、SiやSnを含む活物質を使用した負極の集電体として好適に用いることができる。
フライングリードを持つTABを用いたLCDパネル駆動用のデバイス(IC)の実装例を示す模式図である。 フィルムによる裏打ちがあるCOFを用いたLCDパネル駆動用のデバイス(IC)の実装例を示す模式図である。
1 フライングリード
2、2’ 銅箔で形成された回路
3 接着剤
4、4’ ベースフィルム(ポリイミドフィルム)
5、5’ ソルダーレジスト
6 裏側ソルダーレジスト
7、7’ デバイス(ICチップ)
8、8’ IC接続部(図1ではデバイスホールとも言う。)
9 ギャングボンディング用支持台
10、10’ 第1端子部(液晶ディスプレイパネルとの接続部)
11、11’ 第2端子部(プリント配線板との接続部)
12、12’ 折り曲げ部

Claims (22)

  1. 銅電解液を電解することにより得られる電解銅箔において、
    常態における引張り強さ(以下、「常態引張り強さ」と称する。)の値が70kgf/mm〜100kgf/mm であり、
    且つ、180℃で60分間加熱した後の引張り強さ(以下、「加熱後引張り強さ」と称する。)の値が、常態引張り強さの値の85%以上であることを特徴とする電解銅箔。
  2. 製造後30日経過後の常態引張り強さの値が、65kgf/mm以上である請求項1に記載の電解銅箔。
  3. 常態における伸び率(以下、「常態伸び率」と称する。)の値が、3%〜15%である請求項1又は請求項2に記載の電解銅箔。
  4. 180℃で60分間加熱した後の伸び率(以下、「加熱後伸び率」と称する。)の値が、常態伸び率の値以下である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電解銅箔。
  5. 析出面の幅方向に対して60°の反射角で測定した光沢度(以下、「光沢度〔Gs(60°)〕」と称する。)の値が、80以上である請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電解銅箔。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに係る電解銅箔の表面に粗化処理、防錆処理、シランカップリング剤処理のいずれか1種又は2種以上を行ったことを特徴とする表面処理電解銅箔。
  7. 硫酸系銅電解液を用いた電解法により電解銅箔を製造する方法において、
    当該硫酸系銅電解液は、下記添加剤A〜添加剤Cを含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電解銅箔の製造方法。
    添加剤A:ベンゼン環とNを含む複素環とを備え、該複素環にはメルカプト基が結合している構造を有する化合物又はチオ尿素系化合物。
    添加剤B:活性硫黄化合物のスルホン酸塩。
    添加剤C:環状構造を持つ4級アンモニウム塩重合体。
  8. 前記添加剤Aは、イミダゾール系化合物、チアゾール系化合物、テトラゾール系化合物又は両端に有するアルカン基の炭素数が2以上であるチオ尿素系化合物のいずれか1種又は2種以上である請求項7に記載の電解銅箔の製造方法。
  9. 前記添加剤Aは、そのベンゼン環にスルホン基が結合しているものである請求項7又は請求項8に記載の電解銅箔の製造方法。
  10. 前記添加剤Aは、2−メルカプト−5−ベンズイミダゾールスルホン酸、3(5−メルカプト−1H−テトラゾールイル)ベンゼンスルホナート、2−メルカプトベンゾチアゾール又はN−Nジエチルチオ尿素から選ばれる1種又は2種以上である請求項7〜請求項9のいずれかに記載の電解銅箔の製造方法。
  11. 前記添加剤Aの前記硫酸系銅電解液中における合算濃度は、1ppm〜50ppmである請求項7〜請求項10のいずれかに記載の電解銅箔の製造方法。
  12. 前記添加剤Bは、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸又はビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドのいずれか又は混合物である請求項7〜請求項11のいずれかに記載の電解銅箔の製造方法。
  13. 前記添加剤Bの前記硫酸系銅電解液中における濃度は、1ppm〜80ppmである請求項7〜請求項12のいずれかに記載の電解銅箔の製造方法。
  14. 前記添加剤Cは、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体である請求項7〜請求項13のいずれかに記載の電解銅箔の製造方法。
  15. 前記添加剤Cの前記硫酸系銅電解液中における濃度は、0.5ppm〜100ppmである請求項7〜請求項14のいずれかに記載の電解銅箔の製造方法。
  16. 前記硫酸系銅電解液中における、前記添加剤Bの濃度と前記添加剤Cの濃度との比[(B濃度)/(C濃度)]の値が0.07〜1.4である請求項7〜請求項15のいずれかに記載の電解銅箔の製造方法。
  17. 前記硫酸系銅電解液中における塩素濃度は、5ppm〜100ppmである請求項7〜請求項16のいずれかに記載の電解銅箔の製造方法。
  18. 請求項6に記載の表面処理電解銅箔を絶縁層構成材料と張合わせてなる銅張積層板。
  19. 前記絶縁層構成材料は、骨格材を含有するものであることを特徴とする請求項18に記載のリジッド銅張積層板。
  20. 請求項19に記載のリジッド銅張積層板を用いて得られたリジッドプリント配線板。
  21. 前記絶縁層構成材料は、可撓性を有するフレキシブル素材で構成したものであることを特徴とする請求項18に記載の銅張積層板
  22. 請求項21に記載の銅張積層板を用いて得られたフレキシブルプリント配線板。
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