JP2021533218A - 線維性癒着の処置のための高度に精製され且つ/又は改変されたフカン組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2018年7月27日に出願された米国仮出願第62/711,364号;2018年7月27日に出願された米国仮出願第62/711,372号;2018年7月27日に出願された米国仮出願第62/711,335号;2018年8月1日に出願された米国仮出願第62/713,399号;2018年8月23日に出願された米国仮出願第62/722,135号;2018年11月2日に出願された米国仮出願第62/755,311号;2019年1月17日に出願された米国仮出願第62/793,514号;2019年6月13日に出願された米国仮出願第62/861,223号;2018年8月1日に出願された同時係属中の米国仮出願第62/713,392号;2018年8月1日に出願された米国仮出願第62/713,413号;2018年8月23日に出願された米国仮出願第62/722,137号;2018年11月2日に出願された米国仮出願第62/755,318号;2019年6月13日に出願された米国仮出願第62/861,228号;2018年11月2日に出願された同時係属中の米国仮出願第62/755,328号;2019年1月17日に出願された米国仮出願第62/793,654号;及び2019年6月13日に出願された米国仮出願第62/861,235号の恩恵を主張し、その内容は参照により本明細書に援用される。
したがって、所望の分子量分布及び/又は硫酸化レベルを有するように改変したフカンを含む精製フカンの調製物には、まだ満たされていない需要が存在する。本組成物、本システム及び本方法などは、これらの利点及び/又は他の利点を提供する。
有効分子量範囲が約50kDa〜約5,000kDaでありヒドロキシル化ポリメタクリレート系ゲルが充填されている内径が7.8mmの300mm分析ゲル浸透クロマトグラフィーカラム1つ、有効分子量範囲が約1kDa〜約6,000kDaでありヒドロキシル化ポリメタクリレート系ゲルが充填されている内径が7.8mmの300mm分析ゲル浸透クロマトグラフィーカラム1つ、及びヒドロキシル化ポリメタクリレート系ゲルが充填されている内径が6mmの40mmガードカラム1つ、ここで前記2つの分析ゲル浸透クロマトグラフィーカラム及び前記1つのガードカラムは約30℃のカラムコンパートメントに収容されている;
約30℃の示差屈折率検出器;
0.6mL/分の0.1M硝酸ナトリウム移動相流;及び
ピーク分子量が約2,200kDaの第1デキストラン標準品、ピーク分子量が約720kDa〜約760kDaの第2デキストラン標準品、ピーク分子量が約470kDa〜約510kDaの第3デキストラン標準品、ピーク分子量が約370kDa〜約410kDaの第4デキストラン標準品、ピーク分子量が約180kDa〜約220kDaの第5デキストラン標準品、及びピーク分子量が約40kDa〜55kDaの第6デキストラン標準品から実質的になるピーク分子量標準曲線と照らし合わせての定量(quantification)
から実質的になる水系ゲル浸透クロマトグラフィー構成を用いることである。ピーク分子量標準曲線はさらにピーク分子量が約3kDa〜約5kDaのデキストラン標準品を含むものであってもよい。
不純物を含む出発フカン組成物を提供すること、
凝集助剤を前記出発フカン組成物に添加して反応混合物を生成すること、
前記反応混合物を加熱することによって前記不純物を凝集させて、凝集した不純物を生成すること、及び
前記凝集した不純物を除去すること、を含む。
固体である出発フカン組成物と、不純物を溶解するように構成されているがフカンを溶解できない抽出媒体とを提供すること、
前記出発フカン組成物を前記抽出媒体と混合して精製/改変フカンと前記抽出媒体との混合物を生成すること、及び
前記抽出媒体から前記精製/改変フカンを分離すること、を含んでいてもよい。
懸濁不純物を含む不純物を含有する出発フカン組成物を溶液中に提供すること、
イオン性多価不純物沈殿剤を用いて前記不純物を前記溶液から沈殿させることにより、懸濁不純物と沈殿不純物と上清溶液との混合物を生成すること、及び
前記上清溶液から前記懸濁不純物及び前記沈殿不純物を分離すること、を含みうる。
前記方法はさらに、前記精製/改変フカンを含む前記組成物を含む前記上清溶液を回収することを含んでいてもよい。
不純物を含む出発フカン組成物を提供すること、
前記出発フカン組成物のpHを約8〜14に調整すること、
細胞成分を溶解するように構成されている細胞破壊剤を前記出発フカン組成物に添加して、前記細胞破壊剤と、生体分子溶解物と、前記出発フカン組成物とを含む反応混合物を生成すること、及び
前記細胞破壊剤及び生体分子溶解物を前記反応混合物から除去すること、を含みうる。
前記界面活性剤の濃度が所定の濃度未満になるまで前記反応混合物を希釈すること、及び
前記界面活性剤を含む前記反応混合物を、分画分子量が前記界面活性剤の最大分子量を超えるタンジェンシャルフロー濾過フィルタによる透析濾過に供することを含みうる。
不純物を含む出発フカン組成物を水性出発溶液中に提供すること、
前記水性出発溶液を有機溶媒と混合して、水相有機相混合物を生成すること、及び
前記水相有機相混合物を分離して水性部分及び有機部分を得ることを含んでいてもよい。
出発フカン組成物を出発溶液中に提供すること、及び
タンジェンシャルフロー濾過フィルタを通るキレート剤溶液を用いて前記出発溶液をタンジェンシャルフロー濾過フィルタを通しての透析濾過に供し、保持フカン組成物を生成すること、を含んでいてもよい。
不純物を含む出発フカン組成物を提供すること、
超臨界抽出装置で70バールを超える適切な圧力及び30℃を超える適切な温度に前記出発フカン組成物を供すること、
超臨界抽出装置に超臨界流体を充填して、前記超臨界流体中に不純物を除去すること、並びに
前記抽出された不純物を含む超臨界流体を所定の時間後に除去すること、を含んでいてもよい。
本明細書に示される組成物、システムなどは、特定の実施形態では、フカン及び医学的に許容される精製/改変フカン並びに外科的癒着のみならず関節炎、乾癬、又は所望により他の疾患などにおける線維性癒着を処置するための、治療上有効量の精製/改変フカン組成物を含む医学的に許容される精製/改変フカン組成物を提供する。前記組成物中の前記精製/改変フカンは、約75%w/w超のフコース、ガラクトース、及び硫酸(sulfate)の総含有量、例えば、約80%w/w超又は84%w/w超のフコース、ガラクトース、及び硫酸の総含有量を有しうる。いくつかの実施形態では、前記精製/改変フカンはさらに少なくとも1つの対イオンを少なくとも約5%w/w、7%w/w、9%w/w、10%w/w、又は11%w/wまで含みうる。いくつかの実施形態では、前記対イオンは、医薬的に許容される対イオンである。いくつかの実施形態では、前記対イオンは、フカン上に存在する硫酸基にイオン結合している。医薬的に許容される対イオンには、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、エチレンジアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ヒスチジン、リジン、N−メチルグルカミン、メグルミン、プロカイン、トリエチルアミン、亜鉛、カルシウム、及びマグネシウムが含まれうる。フカンの硫黄含有成分は、C−O−S結合を介して結合されている。このような結合の酸素は、様々な要因に応じて、主に炭素又は硫黄のいずれかに結合していると見なすことができる。本明細書で使用される「硫酸」という用語は、両方の実施形態を指す。
例えば、フカンを含む出発フカン組成物、例えば、原料フカン組成物、又は他のフカン含有組成物から、フカンを精製及び/又は改変するための方法、システムなどが提供される。本明細書で使用される「不純物」は、フコース、ガラクトース、硫酸又は対イオンではないフカンの任意の成分、及びフカンを含む組成物中に存在する任意の非フカン性の成分又は化合物又は物質を指す。前記フカンには、例えば、フカンにイオン結合及び/又は化学結合したタンパク質、フカン高分子構造の一部であるフコース及びガラクトース以外の糖残基、フカンに化学結合した他の糖類、及びフカンに結合していないが、原料フカン組成物などの出発フカン組成物中に存在する非フカン不純物などの不純物が見られる場合がある。そのような不純物の例として、限定されないが、微粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、バクテリア、細胞成分、及びDNAが挙げられる。そのうちのいくつかは発色団を含み、そのため出発フカン組成物には茶色、黄色、及び緑色の存在が認められ、そのいくつかは、前記出発フカン組成物中のフカン又はその一部にイオン結合及び/又は化学結合していることがある。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法などを使用してフコース、ガラクトース、硫酸、及び対イオンを少なくとも約88%w/w、89%w/w、90%w/w、91%w/w、92%w/w、93%w/w、94%w/w、95%w/w、96%w/w、97%w/w、97.1%w/w、98%w/w、98.8%w/w、99%w/w、99.5%w/w、又は99.9%w/w含む精製/改変フカンを調製しうる。いくつかの実施形態では、前記精製/改変フカンは、フコース、ガラクトース、及び硫酸を少なくとも約75%w/w、78%w/w、80%w/w、82%w/w、又は84%w/w含む。いくつかの実施形態では、前記精製/改変フカンは、不純物を約0.1%w/w未満、0.5%w/w未満、1%w/w未満、2.9%w/w未満、3%w/w未満、4%w/w未満、5%w/w未満、6%w/w未満、7%w/w未満、8%w/w未満、9%w/w未満、10%w/w未満、11%w/w未満、又は12%w/w未満含む。これらの不純物の一部は、フカンの医学的及び/又は外科的使用において危険な合併症を引き起こす可能性がある。
高レベルの不純物を含む、原料フカン組成物などの出発フカン組成物は、不純物の凝集に供されるものであり、これは物理的に誘導される凝集でありうる。上記の方法は、出発フカン組成物を提供すること;凝集助剤を前記出発フカン組成物に添加して反応混合物を生成すること;前記反応混合物を加熱することによって前記出発フカン組成物において前記不純物を凝集させること;凝集した前記不純物を前記反応混合物から分離すること;及び前記分離の後、所望の前記精製/改変フカンを回収することを含みうる。
例えば原料フカン組成物など、非常に不純物のレベルが高いものを含む、所望されないレベルの不純物を含有する原料フカン組成物などの出発フカン組成物に含まれるフカンは、固相抽出に供される。前記方法は:他の不純物の中に不純物を含む固体状態の出発フカン組成物と、不純物を溶解するように構成されているがフカンを溶解できない抽出媒体とを提供すること;前記出発フカン組成物を前記抽出媒体と混合して、溶解されていない固体フカン組成物と、溶解した不純物を含有する前記抽出媒体と、の混合物を形成すること;溶解した不純物を含有する抽出媒体から、精製された溶解されていない固体状態のフカンを分離すること;及び、前記精製/改変フカンを前記抽出媒体から除去した後、前記精製/改変フカンを固体として回収することを含みうる。前記分離は、例えば、遠心分離、濾過、析出及び流体力学的流体分離のうちの1又は複数を含んでいてもよい。
高レベルの不純物、例えば、懸濁した粒子状物を含有する、原料フカン組成物などの出発フカン組成物は、化学的に誘導される不純物の沈殿に供される。ある一定の実施形態において、前記方法は、出発フカン組成物を出発溶液中に提供すること;イオン性多価不純物沈殿剤を用いて前記出発溶液から不純物を沈殿させて、懸濁不純物と沈殿不純物と上清との混合物を提供すること;前記上清溶液から前記懸濁不純物及び沈殿不純物を分離すること;及び前記懸濁不純物及び沈殿不純物を前記上清から分離した後に、所望の前記精製/改変フカンを含有する前記上清溶液を回収することを含みうる。
高レベルの不純物を含有する、原料フカン組成物などの出発フカン組成物は、溶解及び凝集に供される。この例における前記方法は、出発フカン組成物を提供すること;前記出発フカン組成物をアルカリ性にすること;前記出発フカン組成物に細胞破壊剤を添加して、反応混合物を生成すること、ここで前記細胞破壊剤は、前記出発フカン組成物における細胞成分を溶解し、生体分子成分を含む溶解物をアルカリ性の反応混合物中に放出する;前記反応混合物から前記細胞破壊剤及び前記不純物の少なくとも一部を除去して、分解されていない所望の前記フカンを残すことを含みうる。
望ましくないレベルの不純物を含む原料フカン組成物などの出発フカン組成物中のフカンは、液液抽出に供される。前記方法は、水性出発溶液中に前記出発フカン組成物を提供すること、前記水性出発溶液を有機溶媒と混合して精製/改変フカンを含む水性部分と疎水性不純物を含む有機部分とを有する水相有機相混合物を得ること、前記有機部分から前記水性部分を分離すること、及び前記精製/改変フカンを含む前記水性部分を回収すること、を含んでいてもよい。
望ましくないレベルの不純物を含む原料フカン組成物などの出発フカン組成物中のフカンは、透析濾過に供される。前記方法は、出発溶液中の前記出発フカン組成物を、第1のタンジェンシャルフロー濾過フィルタを通しての透析濾過にキレート剤溶液を用いて供し、第1保持フカン組成物及びキレート化カチオン成分の濾過生成物を生成すること、及び前記第1保持フカン組成物を、第2のタンジェンシャルフロー濾過フィルタを通しての透析濾過に二次透析濾過溶液を用いて供し、前記第1の保持液キレート剤を前記第1保持フカン組成物から分離することにより、所望の精製/改変フカンを含む第2保持フカン組成物を生成すること、を含んでいてもよい。前記第1保持フカン組成物を第2のタンジェンシャルフロー濾過フィルタを通しての透析濾過に供することは、第1保持フカン組成物を前記第1のフロー濾過フィルタを通しての透析濾過に供することを含みうる。すなわち、同じフィルタを両方の透析濾過処理で使用可能である。
望ましくないレベルの不純物を含む出発フカン組成物などのフカン組成物中のフカンは、超臨界流体抽出に供される。前記方法は、前記出発フカン組成物を超臨界抽出装置に配置すること、前記超臨界抽出装置内の前記出発フカン組成物に70バールを超える適切な圧力を付与すること、前記超臨界抽出装置内の前記出発フカン組成物を30℃超の適切な温度に加熱すること、前記超臨界抽出装置に超臨界流体を充填して、精製/改変フカン及び抽出された不純物を含む超臨界流体を生成すること、前記抽出された不純物を含む超臨界流体を所定の時間後に除去すること、及び前記精製/改変フカンを回収すること、を含みうる。
本明細書において考察されている方法、システムなどは、前記フカン、特に、フカン組成物中の前記フカンの化学構造修飾を含みうる。化学構造修飾は、フカン由来の官能基、例えば、フカン構造由来のO−アセチル、N−アセチル、メトキシ、ヒドロキシ、カルボン酸及び/又は硫酸官能基の除去を含みうる。前記化学構造修飾は、広範な化学試薬、例えば、酸、塩基、界面活性剤及び/又は酸化剤の使用を含みうる。
本明細書において考察される方法のうちいくつかは、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)を利用する。タンジェンシャルフロー濾過(TFF)フィルタの典型的な識別と同じく、所定のTFFフィルタの名目分画分子量(MWCO)値は、フィルタバリアを越えず、したがって、一般的にバリアを透過物側へ越える/浸透する分子の分子量より大きい分子量及び/又は大きさを有する分子を含む溶液を、選択的にその保持物側(retentate side)に保持する。したがって、TFFフィルタの分画分子量値は、典型的には、任意の所与のポリマー又は名目分画値について絶対的なもの(absolute)ではない。所与のTFFフィルタは、名目分画分子量値を上回る分子及び下回る分子の両方をいくつか通すか又は保持するであろう。特定のポリマーのための名目TFFフィルタの実際の分画/選択値(selectively values)及び効果は、前記特定のポリマーについてルーチン的に決定されうる。
実施例について得られた分子量分布を評価するためにゲル浸透クロマトグラフィーを用いた。ゲル浸透クロマトグラフィーにおける使用のために利用可能な多数の異なるパラメータ、カラム及び標準品があり、分子量の分析に利用できる多様な計器装備構成がもたらされる。本明細書における分子量測定のために、以下のパラメータを用いてGPCを行った。移動相は、0.6mL/分の0.1M硝酸ナトリウム流であった。カラムコンパートメント及び検出器は30℃であった。検出のためにWaters2414示差屈折率検出器を用いた。
線維性癒着
線維性癒着は、通常は手術(外科的癒着)後に、身体の2つの部分の間に形成される瘢痕のタイプである。線維性癒着は、深刻な問題を引き起こす可能性がある。例えば、雌性生殖器官(卵巣、卵管)を巻き込んだ線維性癒着は、不妊、性交疼痛症、および重度の骨盤痛を引き起こす可能性がある。腸に生じる線維性癒着は、腸の閉塞(obstruction)または閉鎖(blockage)を引き起こす可能性があり、また線維性癒着は、心臓、脊椎、および手のような他の場所でも形成されうる。手術に加えて、線維性癒着は、例えば子宮内膜症、感染、化学療法、放射線、外傷およびがんにより生じることもある。
がんは、米国における2番目に多い死因であり、全死亡者数のうち20%超(over 20%)の原因である。がんは、増殖性疾患であり、1又は複数の腫瘍の形成につながり得るある種の細胞の無制御の分裂によって特徴づけられる。がんを処置するために、手術、放射線療法、化学療法及びそれらの併用を含む多くの方法が用いられている。手術は、いくつかの限局性腫瘍のために用いられる比較的一般的な方法であるが、腫瘍切除後の腫瘍再発の可能性は依然として顕著である。
前立腺がんは、前立腺を覆う細胞で起こる悪性腫瘍である。米国では、推定で200,000人の患者が、今年、前立腺がんを発症し、30,000人超が前記疾患で死亡する。前立腺がんは、新たな症例に対する死亡の比率が約15%である。前記がんは、前立腺の中に残る可能性があるか、又はそれは、周囲組織若しくは遠隔部位(ほとんどの場合、リンパ節及び骨)に広がる。通常、前立腺がんは静かに広がり、それが前立腺を越えて進行した場合のみ症候を生じる。前立腺がんが診断されて早期ステージの間に処置された場合、いくつかの研究において、患者の5年生存率は94%であった。
米国において、乳がんは、女性の間で最もよくみられるがんであり、毎年約180,000件の新規症例が診断される(男性の乳がんは、全ての診断された乳がんの約5%を占める)。女性の死因として乳がんを超えるのは肺がんのみであり、乳がんは、毎年およそ50,000の死亡の原因となった。アメリカ人の女性において、その生涯の間に乳がんを発症する可能性があるのは8人のうち1人(又は約13%)である。過去10年にわたって、最も報告された乳がんは、小さい、原発性の(独立して生じる;転移によって引き起こされない)腫瘍であった。新規に診断された患者のおおむね70%〜80%が早期疾患(ステージ1又は2)を示し、大多数には腋窩(わきの下)リンパ節の併発がなかった。
膵臓は、胃及び小腸の近くに位置する消化器系の器官である。それは、2つの主要な機能、すなわち、酵素及びホルモンの生成を有する。膵臓のがんは、外分泌(すなわち、酵素)膵臓内で生じ得(例えば、古典的な膵臓腺がん)、又は内分泌(すなわち、ホルモン)膵臓内で生じ得る。
1998年には、米国で膀胱がんの新規症例が54,000件超診断され、該疾患に起因する死亡は約15,000件と推定された。膀胱がんは、アメリカ人の男性の中で4番目に多いがんであり、アメリカ人の女性の中で9番目に多いがんである。膀胱がんは女性よりも男性に3倍頻繁に起こる。より高齢の男性の主要な疾患である膀胱がんは、疾病及び死亡の著しい原因である。膀胱がんのリスクは、年齢と共に急激に増加し(症例の80%が50歳を過ぎた人々に起こる)、膀胱がんでの全死亡の半分超が70歳以降で起こる。65歳を過ぎた白人において、膀胱がんの年間疾病率は、1,000人当たりおよそ2症例であり、このことは、65歳未満では1,000人当たり0.1症例の割合であることと対照をなす。一人が生涯の間において膀胱がんを発症する確率は3%より高いが、膀胱がんで死亡する確率は小さい(<1%)。膀胱がんが40歳より若い人々に起こることは稀である。
脳腫瘍は、手術不能であることがしばしばであり、患者の80%超が診断から12ヵ月以内に死亡する。米国では原発性頭蓋内(脳)がんの新規症例が毎年およそ18,000件診断される。脳腫瘍は、全ての成人がんの約2パーセントを示す。脳腫瘍のうち50パーセント超は、高悪性度神経膠腫(すなわち、多形性神経膠芽細胞腫及び退形成星細胞腫腫瘍)である。これらの腫瘍の患者は、しばしば、運動機能障害、発作及び視力障害などの重度の障害に苦しむ。
再狭窄は、血管壁肥厚と、血管により組織へ供給される血流の喪失とにつながる、慢性血管損傷の形態である。この炎症性疾患は、血管閉塞を軽減する任意の操作を含む血管再建手技に応答して生じることがある。したがって、再狭窄は、これらの手技の有効性を限定する主要な制限的因子である。
関節リウマチ(RA)は、関節組織の疼痛、腫脹、滑膜細胞増殖(パンヌス形成)及び破壊を特徴とする消耗性慢性炎症性疾患である。進行期において、前記疾患はしばしば重要な器官を損傷し、致死的となり得る。前記疾患は、免疫系(マクロファージ/単球、好中球、B細胞及びT細胞)複合的サイトカイン相互作用並びに滑膜細胞の機能不全及び増殖の複数の要素を含む。メトトレキセートなどの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)による早期の積極的処置が推奨されており、該薬物は、本明細書において他の箇所で考察される。
本明細書に記載の前記組成物などは、例えばオリゴヌクレオチド治療薬及び抗炎症剤を含む組成物を患者に投与することを含む、好中球が関与する炎症状態の抑制又は処置を、所望により行うことができる。かかる状態の例としては、結晶誘導性関節炎、骨関節炎、非リウマチ様炎症性関節炎、混合性結合組織病、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、ベーチェット症候群、サルコイドーシス、乾癬、湿疹、炎症性大腸疾患、慢性炎症性肺疾患、神経障害及び多発性硬化症が挙げられる。これらの疾患の一部は、以下の段落でさらに考察される。
乾癬は、痒みがあり、ひりひりし、チクチクし、容易に出血する、隆起し、肥厚し、鱗片状である病変を特徴とする一般的な慢性炎症性皮膚疾患である。これらの疾患は、前記疾患の後期に細胞増殖成分及び血管形成成分を有するが、患者は、多くの場合、付随的な関節炎状態を有する。症状は、プレドニゾンなどのステロイド性抗炎症剤又はメトトレキセートなどの抗増殖剤によって処置されてもよく、それらの剤は、本明細書において他の箇所で考察される。慢性炎症性皮膚疾患、例えば、乾癬及び/もしくは湿疹の抑制又は、それ以外の場合、処置及び/もしくは予防のために、本明細書における前記組成物を用いてもよい。
虚血(ischemia)又は乏血(ischaemia)には血液供給における制限が関与し、前記制限としては、適切な組織機能のために必要な酸素、グルコース及び他の成分の供給の不足が挙げられ、組織の傷害及び/又は機能障害を引き起こす。虚血は、重度の問題を引き起こす可能性がある。例えば、組織が無酸素化して壊死したりする可能性があり、血液凝固が発生する可能性がある。虚血の予防及び/又は処置を行うために各種試みが行われてきた。例えば、血流復活治療あるいは再灌流治療がある。しかし、血液復活治療には酸素の再導入が関与し、これはフリーラジカルの生成によるさらなる損傷を引き起こす可能性があり、再灌流による傷害を発生させる可能性がある。再灌流傷害は深刻な問題を引き起こす可能性がある。本明細書に記載の組成物は、虚血及び/もしくは再灌流傷害を抑制するか又は、それ以外の場合、処置及び/もしくは予防するために用いられてもよい。
内毒素血症は、血液中にエンドトキシンが存在することである。内毒素血症は深刻な問題を引き起こす可能性がある。例えば、内毒素血症は敗血症性ショックにつながる可能性がある。本明細書に記載の組成物は、内毒素血症を抑制又は、それ以外の場合、処置及び/もしくは予防するために用いられてもよい。
ケロイド形質は、創傷を、隆起した瘢痕を伴って治癒させる。ケロイド形質の隆起瘢痕には異常な線維性瘢痕化が含まれる。ケロイド形質は、重度の問題、例えば疼痛や外観上の問題(disfigurement)を引き起こす。本明細書に記載の組成物は、ケロイド形質及びその結果として生じる隆起瘢痕を抑制又は、それ以外の場合、処置及び/もしくは予防するために用いられてもよい。
皮膚炎にはアトピー性皮膚炎及び接触性皮膚炎を含む皮膚の炎症が含まれる。例えば、接触性皮膚炎には、皮膚の異物との接触の後に発症する局所的発疹及び/又は皮膚の刺激が関与する。例えば、アトピー性皮膚炎は、慢性的に再発性である掻痒性皮膚疾患である。アトピー性皮膚炎は時にベニエー痒疹、神経皮膚炎、内在性湿疹、屈面性湿疹、乳児皮膚炎、小児期湿疹及び急性単純性痒疹(prurigo diathsique)と称される。湿疹は、皮膚炎の形態の疾患である。他のタイプの皮膚炎としては、海綿状皮膚炎、脂漏性皮膚炎(ふけ)、汗疱状皮膚炎(汗疱)、蕁麻疹、小疱性皮膚炎(水疱性皮膚炎)及び丘疹性蕁麻疹(popular urticaria)が挙げられる。皮膚炎は、重度の問題を引き起こす可能性がある。例えば、乾燥肌、皮膚発疹、皮膚浮腫、皮膚発赤、皮膚掻痒、痂皮形成、ひび割れ、水膨れ、滲出及び出血である。皮膚炎を処置又は予防するために、コルチコステロイド及びコールタールの使用を含む試みが為されてきた。本明細書に記載の組成物は、アトピー性皮膚炎、湿疹、接触性皮膚炎、海綿状皮膚炎、脂漏性皮膚炎、汗疱状皮膚炎、蕁麻疹、小疱性皮膚炎及び丘疹性蕁麻疹を含む皮膚炎を抑制又は、それ以外の場合、処置及び/もしくは予防するために用いられてもよい。
酒さは、典型的には顔面紅斑を特徴とする慢性疾患又は慢性状態である。酒さは、重度の問題を引き起こす可能性がある。例えば、酒さは典型的には額、鼻又は頬上の発赤として発生し、頸部、耳、頭皮及び胸部上の発赤を引き起こすこともある。例えば、酒さは、毛細血管拡張、丘疹、膿疱、痛痒感を含むさらなる症候を引き起こし、進行した場合には鼻瘤(赤色の分葉状の鼻)を発症しうる。酒さのサブタイプとしては、紅斑毛細血管拡張型酒さ、丘疹膿疱性酒さ、瘤腫型酒さ(phymatous rosacea)及び眼型酒さが挙げられる。酒さを処置又は予防するために、抗炎症剤及び抗生剤の使用を含む試みが為されてきた。本明細書に記載の組成物は、紅斑毛細血管拡張酒さ、丘疹膿疱性酒さ及び眼性酒さのサブタイプを含む酒さを抑制又は、それ以外の場合、処置及び/もしくは予防するために用いられてもよい。
本明細書における考察は、医療機器、組み合わせ製品又は医薬的に許容し得る容器内に本明細書において考察される組成物を含む、医療機器、組み合わせ及び医薬製品も提供する。前記製品(products)は前記容器に添付された注意事項をさらに含んでもよい。注意事項は典型的には、医療機器、医療材料、組み合わせ及び医薬又は生物医薬の製造、使用又は販売を規制する所管官庁によって規定された形態であり、これによって注意書きは、例えば、精製/改変フカンが、例えば、増殖性疾患又は炎症性疾患(例えば、炎症性関節炎、再狭窄、外科的癒着、乾癬及び腹膜炎など)の処置のためにヒト又は動物に投与するための抗増殖剤又は抗炎症剤として承認されている旨など、官庁による前記組成物の承認を反映するものとなる。本明細書に記載の精製/改変フカンの使用のための説明書も含まれてよい。かかる説明書は、患者の投与及び投与方法に関する情報を含んでもよい。
ラミナリア・ヒペルボレア(Laminaria Hyperborea)から滲出物−抽出物を得た。前記滲出物−抽出物を濾過し、100kDaフィルタを用いた(over)タンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって小分子を除去した。改変させられないかぎり未改変の試料A(otherwise unmodified sample A)を得るために、得られた保持物(retentate)の試料を凍結乾燥した。得られた保持物を、10MのNaOH溶液の添加によって0.25MNaOHとし、室温で16時間静置した。次いで、得られた試料を50kDaのフィルタを用いて遠心濾過し、得られた保持物を回収して凍結乾燥し、塩基処理試料Bを得た。陽子磁気共鳴分光法(1H−NMR)によって未改変試料A及び塩基処理試料Bの両方を分析した。得られた1H−NMRスペクトルを図2Aに示す。
茶色の粉末原料フコイダンを約10%w/vで蒸留水に溶解して、出発溶液を得た。塩化ナトリウムを前記出発溶液に添加して、約0.1Mの最終塩化ナトリウム濃度を有する混合物を生成した。前記混合物を10〜15分間沸騰近くまで加熱した。この温度での前記混合物の処理は、懸濁不純物及び粒子状の非フコイダン物質の凝集を引き起こした。前記混合物を2300G(遠心力)で40分間遠心分離して、フコイダン含有溶液を凝集した非フコイダン成分から分離した。前記フコイダン含有溶液を目視検査すると、粒子状物質及び色の視覚的減少が観察された。前記フコイダン含有溶液の凍結乾燥部分は、使用した原料フコイダンよりも著しく色が少ないオフホワイトの粉末を含んでいた。例えば、水中10mg/mLの原料フコイダンの紫外/可視スペクトル及び水中10mg/mLの精製/改変フカンの紫外/可視スペクトルを取得すること、約400nm〜約700nmの範囲内のスペクトルの可視領域の総吸光度を決定すること、及び前記原料フコイダンと比較して、精製/改変フカンの総吸光度が少なくとも約5%、10%、又は20%減少していることを確認することによって、色の喪失を定量化して比較できる。
茶色の粉末原料フコイダンを、70%v/vエタノール/水中の0.5M水酸化ナトリウム(NaOH)の40℃の混合物に添加した。得られた反応混合物を攪拌し、40℃で2時間維持した。次に、前記反応混合物を遠心分離して、固体の精製/改変フコイダンを、抽出した不純物を含む70%v/vエタノール/水の上清中の0.5M水酸化ナトリウム(NaOH)から分離した。
原料フコイダン組成物を15%w/vで蒸留水に溶解して、出発溶液を形成した。観察により、前記出発溶液は懸濁した粒子状物を含むことが判明した。塩化カルシウムを前記出発溶液に0.5Mの濃度まで添加して、反応混合物を生成した。天然フコイダンの既知の不純物をシミュレートするために、アルギン酸ナトリウムを5%w/wアルギン酸/フコイダンの濃度で添加し、デンプンを5%w/wデンプン/フコイダンの濃度で添加した。この場合、デンプンをラミナリンの模倣物として使用した。10M水酸化ナトリウム(NaOH)を前記反応混合物に滴下して、pHを7〜8にした。これは、前記反応混合物中のフコイダンの分解を避けるために行った。その後のリン酸の添加による前記反応混合物の酸性化を回避するために、最小量の10M水酸化ナトリウム(NaOH)を前記反応混合物に再度添加した。リン酸の添加により、反応混合物を0.5Mリン酸塩にした。これにより、塩化カルシウムとリン酸との反応により形成されたリン酸カルシウムの作用を介して、懸濁した粒子状物及び沈殿不純物の凝集が開始された。前記反応混合物を室温で10分間放置して、凝集を継続させた。前記反応混合物を17568Gで17分間遠心分離して、上清溶液中の所望の精製フコイダンを凝集不純物から分離した。前記上清溶液を目視検査して、色及び粒子状物の除去を定性的に評価した。前記上清溶液のアリコートを300〜800nm領域の紫外/可視吸収によって分析して、紫外/可視スペクトル領域の光を散乱及び/又は光を吸収する非フコイダン成分の除去を評価した。前記上清溶液のアリコートも凍結乾燥して、フカン含有量(fucan content)を得た。前記上清溶液のアリコートも3M塩酸(HCl)で90℃で加水分解し、パルスドアンペロメトリック検出付き高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAE−PAD)で分析して総炭水化物を検出し、ラミナリン及びアルギン酸塩の除去を評価した。ラミナリン、単量体マンヌロン酸、及び単量体グルロン酸の除去を評価して前記アルギン酸塩の除去を評価するために、不純物の定量化を、単量体グルコース標準に対して行った。
原料フコイダン組成物を15%w/vで蒸留水に溶解して、出発溶液を形成した。観察により、前記出発溶液は懸濁した粒子状物を含むことが判明した。天然フコイダンの既知の不純物をシミュレートするために、アルギン酸ナトリウムを5%w/wアルギン酸/フコイダンの濃度で添加し、デンプンを5%w/wデンプン/フコイダンの濃度で添加した。この場合、デンプンをラミナリンの模倣物として使用した。10M水酸化ナトリウム(NaOH)を前記反応混合物に滴下して、pHを7〜8にした。これは、後の硫酸アルミニウム添加が前記出発溶液を酸性とするためのものである場合における前記出発溶液中でのフコイダンの分解を避けるために行われた。前記出発溶液を硫酸アルミニウム濃度0.1M(0.1 M aluminum sulfate)として反応混合物を生成した。これにより、同時に形成された水酸化アルミニウムによって不純物の沈殿並びに不純物及び懸濁粒子状物の凝集が開始された。前記反応混合物を室温で10分間放置して、凝集を継続させた。前記反応混合物を17568Gで17分間遠心分離して、上清溶液中の所望の精製フコイダンを凝集不純物から分離した。前記上清溶液を目視検査して、色及び粒子の除去を定性的に評価した。前記上清溶液のアリコートを300〜800nm領域の紫外/可視吸収によって分析して、紫外/可視スペクトル領域の光を散乱及び/又は光を吸収する非フコイダン成分の除去を評価した。前記上清溶液のアリコートも凍結乾燥して、フカン含有量を得た。前記上清溶液のアリコートも3M塩酸(HCl)で90℃で加水分解し、パルスドアンペロメトリック検出付き高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAE−PAD)で分析して総炭水化物を検出し、ラミナリン及びアルギン酸塩の除去を評価した。ラミナリン、単量体マンヌロン酸、及び単量体グルロン酸の除去を評価して前記アルギン酸塩の除去を評価するために、不純物の定量化を、単量体グルコース標準に対して行った。
出発フコイダン組成物を15%w/vで蒸留水に溶解して、出発溶液を形成した。観察により、前記出発溶液は懸濁した粒子状物を含むことが判明した。天然フコイダンの既知の不純物をシミュレートするために、アルギン酸ナトリウムを5%w/wアルギン酸/フコイダンの濃度で添加し、デンプンを5%w/wデンプン/フコイダンの濃度で添加した。この場合、デンプンをラミナリンの模倣物として使用した。塩化カルシウムを前記出発溶液に0.5Mの濃度まで添加して、反応混合物を生成した。これによりアルギン酸の沈殿が開始された。10M水酸化ナトリウム(NaOH)を前記反応混合物に滴下して、pHを7〜8にした。これは、前記反応混合物中のフコイダンの分解を避けるために行った。反応混合物の硫酸アルミニウム濃度を0.5Mにした。これにより、塩化カルシウムと硫酸アルミニウムとの反応によって形成された硫酸カルシウムの作用を介し、また反応混合物中の硫酸アルミニウムから形成された水酸化アルミニウムの作用により、懸濁した粒子状物、アルギン酸カルシウム沈殿物及び他の不純物の凝集が開始された。前記反応混合物を室温で10分間放置して、凝集を継続させた。前記反応混合物を17568Gで17分間遠心分離して、上清溶液中の所望の精製フコイダンを凝集不純物から分離した。前記上清溶液を目視検査して、色及び粒子状物の除去を定性的に評価した。前記上清溶液のアリコートを300〜800nm領域の紫外/可視吸収によって分析して、紫外/可視スペクトル領域の光を散乱及び/又は光を吸収する非フコイダン成分の除去を評価した。前記上清溶液のアリコートも凍結乾燥して、フカン含有量を得た。前記上清溶液のアリコートも3M塩酸(HCl)で90℃で加水分解し、パルスドアンペロメトリック検出付き高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAE−PAD)で分析して総炭水化物を検出し、ラミナリン及びアルギン酸塩の除去を評価した。ラミナリン、単量体マンヌロン酸、及び単量体グルロン酸の除去を評価して前記アルギン酸塩の除去を評価するために、不純物の定量化を、単量体グルコース標準に対して行った。
不純物を含有する出発フカン組成物を蒸留水中に溶解して10mg/mLの水性出発溶液を生成する。出発フコイダン組成物を含有する水性出発溶液に20%v/vヘプタンを添加し、有機−水性混合物を次いで高剪断にて30分間混合する。この混合を終了させ、前記有機−水性混合物を分離漏斗に入れて有機相を水性相から分離する。所望のフカン成分を含有する、より濃厚な水性相が、前記分離漏斗の底部に沈降する一方で、不純物を含む、濃厚さの低い有機相が、前記分離漏斗の上端に存在する。前記有機−水性混合物を前記分離漏斗において10分間静置する。前記水性相を次いでデカントし、溶液中の所望の精製/改変フカンとして回収する。溶液中の前記精製/改変フカンの脂肪酸、フロロタンニン、タンパク質、フコキサンチン及び/又はクロロフィルの含有量は前記出発フカン組成物よりも約30%、約50%又は約70%から約100%まで少ないことがわかりうる。
不純物を含有する出発フカン組成物を蒸留水中に溶解して10mg/mLの水性出発溶液を生成する。出発フコイダン組成物を含有する水性出発溶液に20%v/v1−ブタノールを添加し、有機−水性混合物を次いで高剪断にて30分間混合する。この混合を終了させ、前記有機−水性混合物を分離漏斗に入れて有機相を水性相から分離する。所望のフカン成分を含有する、より濃厚な水性相が、前記分離漏斗の底部に沈降する一方で、不純物を含む、濃厚さの低い有機相が、前記分離漏斗の上端に存在する。前記有機−水性混合物を前記分離漏斗において10分間静置する。前記水性相を次いでデカントし、溶液中の所望の精製/改変フカンとして回収する。溶液中の前記精製/改変フカンの脂肪酸、フロロタンニン、タンパク質、フコキサンチン及び/又はクロロフィルの含有量は前記出発フカン組成物よりも約30%、約50%又は約70%から約100%まで少ないことがわかりうる。
不純物を含有する出発フカン組成物を蒸留水中に溶解して10mg/mLの水性出発溶液を生成する。出発フコイダン組成物を含有する水性出発溶液に20%v/v酢酸エチルを添加し、有機−水性混合物を次いで高剪断にて30分間混合する。この混合を終了させ、前記有機−水性混合物を分離漏斗に入れて有機相を水性相から分離する。所望のフカン成分を含有する、より濃厚な水性相が、前記分離漏斗の底部に沈降する一方で、不純物を含む、濃厚さの低い有機相が、前記分離漏斗の上端に存在する。前記有機−水性混合物を前記分離漏斗において10分間静置する。前記水性相を次いでデカントし、溶液中の所望の精製/改変フカンとして回収する。溶液中の前記精製/改変フカンの脂肪酸、フロロタンニン、タンパク質、フコキサンチン及び/又はクロロフィルの含有量は前記出発フカン組成物よりも約30%、約50%又は約70%から約100%まで少ないことがわかりうる。
約8%w/vを含む出発溶液又は出発物質のフコイダン組成物を提供した。前記出発溶液を0.22ミクロンのフィルタで濾過した。濾過された出発溶液のアリコートのカチオン含有量を、誘導結合プラズマ質量分析(ICP−MS)によって測定したところ、0.01%w/w超のアルミニウム/フカン、10−5%w/w超のヒ素/フカン、及び0.01%w/w超のカルシウム/フカンを含有することが判明し、全てそれぞれのカチオンの望ましくないレベルであった。0.1M EDTA且つ0.01M水酸化ナトリウム(NaOH)である溶液4ダイアボリュームに対して前記出発溶液を透析濾過した。次に、得られた保持フコイダン溶液を、5mM亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)且つ5mM塩化ナトリウム(NaCl)である溶液約2.5ダイアボリュームに対して透析濾過した。得られた二次保持フコイダン溶液を、ICP−MSによってカチオン含有量についてアッセイした。前記出発物質のフコイダン組成物及び得られた精製/改変フカンの結果を以下の表4に示す。
約100gの固体出発物質のフコイダン組成物を提供する。前記固体を超臨界抽出装置に配置する。前記抽出装置を5800psiに加圧し、50℃に加熱してから、100mL/minの超臨界二酸化炭素で3時間パージする。超臨界二酸化炭素を前記抽出装置からパージし、固体の改変/精製フコイダンを回収して不純物について分析する。回収された固体の改変/精製フコイダンの脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、遊離イオン、細菌、及び/又はDNAの含有量は前記出発物質のフコイダン組成物よりも約30%〜約100%少ないことがわかりうる。
約0.70%w/wの総窒素を含有することが判明した出発物質のフコイダン組成物を15%w/vで蒸留水に溶解して、出発溶液を形成した。総窒素の存在は、細胞成分、DNA、タンパク質、及び細菌などの望ましくない不純物の存在を示す。窒素含有不純物はフコイダン分子に化学結合又はイオン結合しうることから、この場合、総窒素の減少は、出発物質のフコイダン組成物又はフコイダンポリマーからこれらの窒素含有不純物が除去されたことを示す。
本明細書で考察される方法は、精製/改変フカンを得るために、任意の方法で使用し、組み合わせ、変更し、また順序を変更することが可能である。実施例4、実施例5、実施例6、及び実施例10で説明した化学的に誘導される沈殿及び透析濾過の組み合わせを使用して5種類の精製/改変フカンを調製し、医学的用途及び外科的用途における精製/改変フカンの有効性を評価した。これらの5種類のフカンは、本明細書ではフカン1〜フカン5と称される。フカン1及びフカン2は、実施例4及び実施例10で説明した方法を使用して、約2kgの規模で製造した。フカン3及びフカン5は、実施例4及び実施例10で説明した方法を使用して、約30gの規模で製造した。フカン4は、実施例5及び実施例10で説明した方法を使用して、約1kgの規模で製造した。フカン1〜フカン5は、低導電率塩溶液に対する透析濾過とそれに続く凍結乾燥によって白色の固体を得ることで、固体の精製/改変フカンに変換した。2種類のさらなるフカンは褐藻から抽出されたものであり、本明細書ではフカン6及びフカン7と称される。フカン6はFMCBioPolymer(登録商標)によって固体組成物として提供されたものである。上記の処理はいずれも、フカン6の製造には使用されていない。フカン7は、準沸騰塩酸(near boiling HCl)によって褐藻から抽出された。沈殿剤としてエタノールを使用する選択的沈殿により、不純物の一部を除去した。選択的沈殿後、該フカンをエタノールでさらに沈殿させ、遠心分離し、凍結乾燥することにより、フカンを固体組成物として回収した。フカン7を実施例3で考察された方法でさらに処理し、次に水に溶解し、脱イオン水に対して透析濾過した後、凍結乾燥して、フカン7を固体組成物として得た。フカン1〜フカン7のフコース、ガラクトース、硫酸、及び総対イオンのレベルは、以下の実施例14及び実施例15で考察されるように算定される。これらのフカン1〜フカン7は、例えば、実施例16及び表6において、以下でさらに考察される。
72%w/w硫酸に固体フカン組成物を40mg/mLで溶解し、45℃の水浴で30分間インキュベートした。次に、酸加水分解物を高圧チューブ内で硫酸濃度4%w/w(4% w/w sulfuric acid)まで希釈し、120℃で60分間インキュベートした。得られた第2の酸加水分解物を蒸留水で1/333濃度に希釈し、パルスドアンペロメトリック検出付き高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAE−PAD)を備えた高性能陰イオン交換カラムクロマトグラフィーで分析した。アイソクラティックポンプを使用して10mM水酸化ナトリウム(NaOH)溶離液を1.0mL/minで流して分析することにより、分析対象物の分離を行った。
固体フカン組成物を脱イオン水に溶解し、酸性条件下で加水分解し、ICP−MSで硫黄及び対イオンの総含有量(%w/w)を分析した。硫黄含有量を、硫黄含有量に硫酸対硫黄のモル比を掛けることによって硫酸含有量に変換し、精製/改変フカンの硫酸含有量(%w/w)を得た。ここで考察される精製/改変フカンで観察された対イオンには、カリウム対イオン及びナトリウム対イオンが含まれていた。この分析の結果を下の表5に示す。
精製/改変フカンであるフカン3及びフカン4について得られた分子量分布を評価するためにゲル浸透クロマトグラフィーを用いた。ゲル浸透クロマトグラフィーにおける使用のために利用可能な多数の異なるパラメータ、カラム及び標準品があり、分子量の分析に利用できる多様な計器装備構成がもたらされる。本明細書における分子量測定のために、以下のパラメータを用いてGPCを行った。移動相は、0.6mL/分の0.1M硝酸ナトリウム流であった。カラムコンパートメント及び検出器は30℃であった。検出のためにWaters2414示差屈折率検出器を用いた。
約100mgのフカン1をるつぼに入れた。フカン1を含むるつぼを105℃のオーブンに30分間入れて、以下でフカン1’と称する、さらに精製されたフカン組成物を生成した。さらに精製されたフカン1’組成物を含むるつぼをオーブンから取り出し、デシケーターに配置した。さらに精製されたフカン1’組成物は、フコース及びガラクトースの総含有量をHPAE−PADによって、硫黄及び対イオンの総含有量をICP−MSによって、無水分(絶乾)雰囲気下で分析され、フコース、ガラクトース、硫酸、及び対イオンの総含有量が99.9%w/w以上、すなわち不純物が0.1%未満であることが判明する。
約600mgのフカン1をオーハウス(Ohaus)MB90水分分析装置のアルミニウム皿上に配置した。前記装置は、さらに精製されたフカン1’’組成物を生成するために、105℃で30分間フカン1を加熱するようにプログラムした。さらに精製されたフカン1’’組成物を前記装置から取り出し、デシケーターに入れた。前記試料は、フコース及びガラクトースの総含有量をHPAE−PADによって、硫黄及び対イオンの総含有量をICP−MSによって、無水分(絶乾)雰囲気下で分析され、フコース、ガラクトース、硫酸、及び対イオンの総含有量が99.9%w/w以上で不純物が0.1%未満であることが判明する。
外科的癒着の抑制における精製/改変フカン1の有効性を測定するために、合計2匹のニュージランドホワイト種ウサギの両方の子宮角に、以下の二重子宮角(DUH)手術を行った。手術前に、前記ウサギの体重を量り、次いで、ケタミン及びキシラジンの前投薬によって、手術のために準備した。
式2:癒着被覆率(%)=100×子宮角癒着長÷総傷害子宮角長
として算出した。
外科的癒着の抑制における精製/改変フカン4の有効性を測定するために、合計4匹のニュージランドホワイト種ウサギの両方の子宮角に、以下の二重子宮角(DUH)手術を行った。手術前に、前記ウサギの体重を量り、次いで、ケタミン及びキシラジンの前投薬によって、手術のために準備した。
外科的癒着の抑制における精製/改変フカン6の有効性を測定するために、合計4匹のニュージランドホワイト種ウサギの両方の子宮角に、以下の二重子宮角(DUH)手術を行った。手術前に、前記ウサギの体重を量り、次いで、ケタミン及びキシラジンの前投薬によって、手術のために準備した。
外科的癒着の抑制における精製/改変フカン7の有効性を測定するために、合計4匹のニュージランドホワイト種ウサギの両方の子宮角に、以下の二重子宮角(DUH)手術を行った。手術前に、前記ウサギの体重を量り、次いで、ケタミン及びキシラジンの前投薬によって、手術のために準備した。
外科的癒着の抑制における精製/改変フカン4の有効性を測定するために、合計3匹のニュージランドホワイト種ウサギの両方の子宮角に、以下の二重子宮角(DUH)手術を行った。手術前に、前記ウサギの体重を量り、次いで、ケタミン及びキシラジンの前投薬によって手術のために準備した。
外科的癒着の抑制における、フコース、ガラクトース、硫酸、及び対イオンの総含有量が92%w/w以上である精製/改変フカン組成物の有効性を測定するために、合計20匹のニュージランドホワイト種ウサギの両方の子宮角に、以下の二重子宮角(DUH)手術を行った。手術前に、前記ウサギの体重を量り、次いで、ミダゾラム及びデクスメデトミジンの前投薬によって、手術のために準備した。
1202 流入供給ライン
1204 プレフィルタ
1206 カチオン含有量変更システム流出バルブ
1208 カチオン含有量変更システム流出ライン
1210 タンジェンシャルフロー濾過(TFF)フィルタ
1212 TFF供給ライン
1214 TFF流入ポンプ
1216 フカン容器
1217 TFF保持液バルブ
1218 TFF保持液戻りライン
1219 TFF濾過生成物流出ライン
1220 第1透析濾過溶液容器
1224 第1透析濾過溶液バルブ
1225 第1透析濾過溶液供給ライン
1230 第2透析濾過溶液容器
1234 第2透析濾過溶液バルブ
1235 第2透析濾過溶液供給ライン
本発明の例示的な態様を以下に記載する。
<1>
約96%w/w以上のフカンと約4%w/w以下の非フカン性の成分又は化合物又は物質とからなるフカン組成物、ここで前記フカンはフコース、硫酸(sulfate)及び対イオンを含み、これらに加えてさらにフコース、硫酸、対イオン、ガラクトース、グルコース、ラムノース、マンノース、キシロース及びグルクロン酸からなるものであってよい。
<2>
前記フカンは約17%w/w以下の対イオンを含み、前記フカンにおけるフコース、ガラクトース、硫酸及び対イオンの総含有量は96%w/w超である、<1>に記載のフカン組成物。
<3>
前記フカンがフコース、ガラクトース、硫酸及び対イオンからなる、<1>に記載のフカン組成物。
<4>
前記不純物が水を含む、<1>〜<3>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<5>
前記フカン及び約3%以下の前記不純物からなる、<1>〜<4>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<6>
前記フカン及び約2%以下の前記不純物からなる、<1>〜<4>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<7>
前記フカン及び約1%以下の前記不純物からなる、<1>〜<4>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<8>
前記フカン及び約0.1%以下の前記不純物からなる、<1>〜<4>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<9>
前記フカンのフコース含有量が25%w/w超である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<10>
前記フカンのフコース含有量が30%w/w超である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<11>
前記フカンのフコース含有量が35%w/w超である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<12>
前記フカンのフコース含有量が40%w/w超である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<13>
前記フカンのガラクトース含有量が10%w/w未満である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<14>
前記フカンのガラクトース含有量が5%w/w未満である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<15>
前記フカンの対イオンの総含有量が17%w/w未満である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<16>
前記フカンの対イオンの総含有量が14%w/w未満である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<17>
前記フカンの対イオンの総含有量が10%w/w未満である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<18>
前記フカンの対イオンの総含有量が7%w/w未満である、<1>〜<8>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<19>
前記対イオンが医薬的に許容される対イオンである、<1>〜<18>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<20>
前記医薬的に許容される対イオンがアルミニウム、アルギニン、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、エチレンジアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ヒスチジン、リジン、N−メチルグルカミン、メグルミン、プロカイン、トリエチルアミン、亜鉛、カルシウム、及びマグネシウムのうち少なくとも1つを含む、<19>に記載のフカン組成物。
<21>
前記医薬的に許容される対イオンがナトリウム及びカリウムのうち少なくとも1つを含む、<19>に記載のフカン組成物。
<22>
前記医薬的に許容される対イオンが本質的にナトリウム及びカリウムのうち少なくとも1つからなる、<19>に記載のフカン組成物。
<23>
有効分子量範囲が約50kDa〜約5,000kDaでありヒドロキシル化ポリメタクリレート系ゲルが充填されている内径が7.8mmの300mm分析ゲル浸透クロマトグラフィーカラム1つ、有効分子量範囲が約1kDa〜約6,000kDaでありヒドロキシル化ポリメタクリレート系ゲルが充填されている内径が7.8mmの300mm分析ゲル浸透クロマトグラフィーカラム1つ、及びヒドロキシル化ポリメタクリレート系ゲルが充填されている内径が6mmの40mmガードカラム1つ、ここで前記2つの分析ゲル浸透クロマトグラフィーカラム及び前記1つのガードカラムは約30℃のカラムコンパートメントに収容されている;
約30℃の示差屈折率検出器;
0.6mL/分の0.1M硝酸ナトリウム移動相流;及び
ピーク分子量が約2,200kDaの第1デキストラン標準品、ピーク分子量が約720kDa〜約760kDaの第2デキストラン標準品、ピーク分子量が約470kDa〜約510kDaの第3デキストラン標準品、ピーク分子量が約370kDa〜約410kDaの第4デキストラン標準品、ピーク分子量が約180kDa〜約220kDaの第5デキストラン標準品、及びピーク分子量が約40kDa〜55kDaの第6デキストラン標準品から実質的になるピーク分子量標準曲線と照らし合わせての定量(quantification)
から実質的になる水系ゲル浸透クロマトグラフィー構成を用いて測定される場合に、分布の少なくとも60%w/wが100kDa超となっている分子量分布を前記フカンが有する、<1>〜<22>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<24>
前記フカンは、分布の少なくとも92%w/wが100kDa超となっている分子量分布を有する、<23>に記載のフカン組成物。
<25>
前記フカンは、分布の少なくとも97%w/wが100kDa超となっている分子量分布を有する、<23>に記載のフカン組成物。
<26>
前記フカンが100kDaより大きい重量平均分子量を有する、<23>に記載のフカン組成物。
<27>
前記フカンの硫酸化レベルが約20%w/w〜60%w/wである、<1>〜<26>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<28>
前記フカンの硫酸化レベルが約30%w/w〜55%w/wである、<1>〜<26>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<29>
前記フカンの硫酸化レベルが約35%w/w〜52%w/wである、<1>〜<26>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<30>
前記フカンの総炭水化物含有量が27%w/w〜80%w/wである、<1>〜<26>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<31>
前記フカンのグルクロン酸、マンノース、ラムノース、グルコース及びキシロースの総含有量が、総炭水化物含有量に対する割合として約12%w/w未満である、<30>に記載のフカン組成物。
<32>
水に50mg/mLの濃度で溶解される場合に約4cP〜50cPの粘度を有する、<1>〜<31>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<33>
水に50mg/mLの濃度で溶解される場合に約15cP〜30cPの粘度を有する、<1>〜<31>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<34>
白色固体である、<1>〜<33>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<35>
水に1mg/mL〜100mg/mLの濃度で溶解される場合に透明あるいは無色である溶液を形成する、<1>〜<34>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<36>
前記フカンのアセチル含有量が約5%w/w未満である、<1>〜<35>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<37>
前記フカンのアセチル含有量が約2%w/w未満である、<1>〜<35>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<38>
5mmのコールドプローブを備えた600MHz分光計により、溶媒シグナルを抑制しつつ70℃で、各回256〜512回の走査として8ずつ回数を増加させつつ、炭素次元における10〜30ppmの範囲で、2D1H−13C異核多量子コヒーレンスによって測定される場合に、前記フカンの有するアセチル含有量が実質的に0%w/wである、<1>〜<35>のいずれか一項に記載のフカン組成物。
<39>
<1>〜<38>のいずれか一項に記載のフカン組成物を作製することを含む方法。
<40>
<1>〜<38>のいずれか一項に記載のフカン組成物を使用することを含む方法。
<41>
前記使用することが線維性癒着を処置することを含む<40>に記載の方法。
<42>
医学的に許容しうる緩衝剤又は希釈剤の中に治療上有効量の<1>〜<38>のいずれか一項に記載のフカン組成物を含む、医学的に許容しうる組成物。
<43>
動物における状態又は疾患を処置する方法であって、前記状態又は前記疾患を処置するために<42>に記載の医学的に許容しうる組成物を選択すること、及び前記動物に約0.5mg/kg〜50mg/kgを含む治療上有効量の前記フカンを投与すること、を含む方法。
<44>
動物における状態又は疾患を処置する方法であって、前記状態又は前記疾患を処置するために<42>に記載の医学的に許容しうる組成物を選択すること、及び前記動物に約0.04mg/kg〜25mg/kgの治療上有効量の前記フカンを投与すること、を含む方法。
<45>
前記量が約0.2mg/kg〜10mg/kgである、<43>又は<44>に記載の方法。
<46>
前記量が約1mg/kg〜5mg/kgである、<43>又は<44>に記載の方法。
<47>
前記量が約1.5mg/kg〜3mg/kgである、<43>又は<44>に記載の方法。
<48>
前記量が約5mg/kg〜10mg/kgである、<43>又は<44>に記載の方法。
<49>
前記状態又は前記疾患が、前記動物における標的部位における線維性癒着であり、前記投与が、前記標的部位に前記治療上有効量を投与することを含む、<43>〜<48>のいずれか一項に記載の方法。
<50>
<1>〜<38>のいずれか一項に記載のフカン組成物を約0.02mg/mL〜100mg/mL含む医療組成物であって、動物における疾患又は状態を処置するために構成され且つ組成される、医療組成物。
<51>
前記フカン組成物を約0.5mg/mL〜5mg/mL含む<50>に記載の医療組成物。
<52>
前記フカン組成物を約2.5mg/mL含む<50>に記載の医療組成物。
<53>
前記医療組成物が医療デバイスである、<50>〜<52>のいずれか一項に記載の医療組成物。
<54>
前記医療組成物が液体医療デバイスである、<50>〜<52>のいずれか一項に記載の医療組成物。
<55>
前記医療組成物が医薬組成物である、<50>〜<52>のいずれか一項に記載の医療組成物。
<56>
前記医療組成物が液体医薬組成物である、<50>〜<52>のいずれか一項に記載の医療組成物。
<57> 前記疾患又は前記状態が線維性癒着である、<50>〜<56>のいずれか一項に記載の医療組成物。
<58>
動物における疾患又は状態を処置するための約0.01mL/kg〜15mL/kgを含む用量範囲の<50>〜<57>のいずれか一項に記載の医療組成物の使用。
<59>
動物における疾患又は状態を処置するための約0.03mL/kg〜4mL/kgを含む用量範囲の<50>〜<57>のいずれか一項に記載の医療組成物の使用。
<60>
動物における疾患又は状態を処置するための約0.06mL/kg〜2mL/kgを含む用量範囲の<50>〜<57>のいずれか一項に記載の医療組成物の使用。
<61>
動物における疾患又は状態を処置するための約2mL/kg〜4mL/kgを含む用量範囲の<50>〜<57>のいずれか一項に記載の医療組成物の使用。
<62>
患者における選択された疾患又は状態を処置するための方法であって、患者における前記選択された疾患もしくは状態を含むか又は前記選択された疾患もしくは状態に罹患しやすいといえる(reasonably susceptible)選択された標的部位を同定すること、及びその後に、前記患者における標的部位に<50>〜<57>のいずれか一項に記載の医療組成物を投与することを含む方法。
<63>
前記疾患又は前記状態が線維性癒着である、<62>に記載の方法。
<64>
前記標的部位が手術部位であり、前記投与がa)前記手術部位における手術創を開けた後、b)手術中、及びc)前記手術創を閉じた後、のうち少なくとも1つにおいて行われる、<62>又は<63>に記載の方法。
<65>
前記投与が手術後且つ前記手術創を閉じる前に行われる、<62>又は<63>に記載の方法。
<66>
前記投与が3分間未満かかる、<62>又は<63>に記載の方法。
<67>
前記投与が2分間未満かかる、<62>又は<63>に記載の方法。
<68>
前記投与が1分間未満かかる、<62>又は<63>に記載の方法。
<69>
前記標的部位が、病変、擦過傷及び傷害部位のうち少なくとも1つである、<62>〜<68>のいずれか一項に記載の方法。
<70>
前記標的部位が、骨盤腔、腹腔、背側腔、頭蓋腔、脊髄腔、腹側腔、胸腔、胸膜腔、心膜腔、関節、筋肉、腱及び靭帯のうち少なくとも1つである、<69>に記載の方法。
<71>
精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
不純物を含む出発フカン組成物を提供すること、
凝集助剤を前記出発フカン組成物に添加して反応混合物を生成すること、
前記反応混合物を加熱することによって前記不純物を凝集させて、凝集した不純物を生成すること、及び
前記凝集した不純物を除去すること
を含む方法。
<72>
前記出発フカン組成物を提供することは、前記出発フカン組成物を溶液として提供することを含む、<71>に記載の方法。
<73>
不純物が低減された溶液中の前記精製/変性フカン組成物を回収することをさらに含む、<71>に記載の方法。
<74>
前記不純物を凝集させることが、大気圧を超える圧力において前記反応混合物を加熱することを含む、<71>に記載の方法。
<75>
前記凝集助剤は塩を含む、<71>に記載の方法。
<76>
前記塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム及び/又はアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩及び/又はシアン化物を含む、<75>に記載の方法。
<77>
前記凝集助剤は塩基を含む、<71>に記載の方法。
<78>
前記塩基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム及び/又はアンモニウムの水酸化物及び/又は酸化物を含む、<77>に記載の方法。
<79>
前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、<71>〜<78>のいずれか一項に記載の方法。
<80>
精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
固体である出発フカン組成物と、不純物を溶解するように構成されているがフカンを溶解できない抽出媒体とを提供すること、
前記出発フカン組成物と前記抽出媒体とを混合して前記精製/変性フカン組成物と前記抽出媒体との混合物を作製すること、及び
前記抽出媒体から前記精製/変性フカン組成物を分離すること
を含む方法。
<81>
固体である前記精製/変性フカン組成物を回収することをさらに含む、<80>に記載の方法。
<82>
前記抽出媒体は、相対極性が0.765未満である有機溶媒を少なくとも1種含む、<80>に記載の方法。
<83>
前記有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、ベンゼン、ジエチルエーテル、デカメチルシクロ−ペンタシロキサン、酢酸エチル、ブタノール、ヘキサン、ヘプタン、ヘプタノール、オクタノール及びデカノールのうち少なくとも1つを含む、<82>に記載の方法。
<84>
前記抽出媒体は、塩基、界面活性剤及び酸化剤のうち少なくとも1つをさらに含む、<82>に記載の方法。
<85>
固体である前記出発フカン組成物を提供することは、溶液から前記出発フカン組成物を沈殿させることを含む、<80>に記載の方法。
<86>
前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、<80>〜<85>のいずれか一項に記載の方法。
<87>
精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
溶液中の懸濁不純物を含む、不純物を含有する出発フカン組成物を提供すること、
イオン性多価不純物沈殿剤を用いて前記不純物を前記溶液から沈殿させることにより、懸濁不純物と沈殿不純物と上清溶液との混合物を生成すること、及び
前記上清溶液から前記懸濁不純物及び前記沈殿不純物を分離すること
を含む方法。
<88>
前記精製/変性フカン組成物を含有する前記上清溶液を回収することをさらに含む、<87>に記載の方法。
<89>
前記イオン性多価不純物沈殿剤は二価又は三価のカチオンの塩を含む、<87>に記載の方法。
<90>
前記塩は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩及び/又はシアン化物である、<89>に記載の方法。
<91>
前記カチオンは、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、銅及び/又は鉄である、<89>に記載の方法。
<92>
前記イオン性多価不純物沈殿剤は、二価又は三価のカチオンの塩基を含む、<87>に記載の方法。
<93>
前記塩基は、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、銅及び/又は鉄の、水酸化物及び/又は酸化物である、<92>に記載の方法。
<94>
前記上清溶液から前記懸濁不純物及び前記沈殿不純物を分離することは、懸濁不純物と沈殿不純物と上清溶液との前記混合物に凝集剤を添加することにより、前記懸濁不純物及び前記沈殿不純物を凝集させることを含む、<87>〜<93>のいずれか一項に記載の方法。
<95>
前記凝集剤は、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、硫酸カリウム、リン酸マグネシウム、アクリルアミド、アクリル酸、アルミニウムクロロハイドレート、ポリ塩化アルミニウム、タンニン、ホルムアルデヒド、メラミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩及びポリジアリルジメチル−アンモニウムクロライドのうち少なくとも1つを含む、<94>に記載の方法。
<96>
約7〜14のpHを維持することをさらに含む、<87>〜<95>のいずれか一項に記載の方法。
<97>
前記pHを維持することは、塩基を添加することを含む、<96>に記載の方法。
<98>
前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、<87>〜<97>のいずれか一項に記載の方法。
<99>
精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
不純物を含む出発フカン組成物を提供すること、
前記出発フカン組成物のpHを約8〜14に調整すること、
細胞成分を溶解するように構成されている細胞破壊剤を前記出発フカン組成物に添加して、前記細胞破壊剤と、生体分子溶解物と、前記出発フカン組成物とを含む反応混合物を生成すること、及び
前記細胞破壊剤及び生体分子溶解物を前記反応混合物から除去すること
を含む方法。
<100>
前記出発フカン組成物を提供することは、溶液である前記出発フカン組成物を提供することを含む、<99>に記載の方法。
<101>
不純物が低減された溶液中の前記精製/変性フカン組成物を回収することをさらに含む、<99>に記載の方法。
<102>
前記細胞破壊剤は界面活性剤を含む、<99>に記載の方法。
<103>
前記界面活性剤はアニオン性界面活性剤である、<102>に記載の方法。
<104>
前記界面活性剤はカチオン性界面活性剤である、<102>に記載の方法。
<105>
前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤である、<102>に記載の方法。
<106>
前記界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化ベンザルコニウム、Triton(登録商標)X100、Triton(登録商標)X114、Brij(登録商標)界面活性剤、Tween(登録商標)界面活性剤、デオキシコール酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホネートのうち少なくとも1つを含む、<102>に記載の方法。
<107>
前記細胞破壊剤及び生体分子溶解物を除去することは、前記細胞破壊剤及び生体分子溶解物を凝集させるよう構成された凝集剤を前記反応混合物に添加することを含む、<99>〜<106>のいずれか一項に記載の方法。
<108>
前記細胞破壊剤を除去することは、前記細胞破壊剤を前記反応混合物に不溶にするように構成された沈殿剤を前記反応混合物に添加して、沈殿物を生成することを含む、<99>〜<106>のいずれか一項に記載の方法。
<109>
前記生体分子溶解物を除去することは、前記生体分子溶解物を前記反応混合物に不溶にするように構成された沈殿剤を前記反応混合物に添加して、沈殿物を生成することを含む、<99>〜<108>のいずれか一項に記載の方法。
<110>
前記沈殿物を凝集させるよう構成された凝集剤を前記反応混合物に添加することをさらに含む、<108>及び<109>のいずれか一項に記載の方法。
<111>
前記凝集剤は、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、硫酸カリウム、リン酸マグネシウム、アクリルアミド、アクリル酸、アルミニウムクロロハイドレート、ポリ塩化アルミニウム、タンニン、ホルムアルデヒド、メラミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩及びポリジアリルジメチル−アンモニウムクロライドのうち少なくとも1つを含む、<107>〜<110>のいずれか一項に記載の方法。
<112>
前記アニオン性界面活性剤を除去することはアニオン吸着を含む、<103>に記載の方法。
<113>
前記カチオン性界面活性剤を除去することはカチオン吸着を含む、<104>に記載の方法。
<114>
前記非イオン性界面活性剤を除去することはミセル相分離を含む、<105>に記載の方法。
<115>
前記界面活性剤を除去することは疎水性吸着を含む、<102>に記載の方法。
<116>
前記界面活性剤を除去することは、
前記界面活性剤の濃度が所定の濃度未満になるまで前記反応混合物を希釈すること、及び
前記界面活性剤を含む前記反応混合物を、分子量カットオフが前記界面活性剤の最大分子量を超えるタンジェンシャルフロー濾過フィルタによる透析濾過に供すること
を含む、<102>に記載の方法。
<117>
前記出発フカン組成物を提供した後且つ前記細胞破壊剤を除去する前に、キレート剤を前記反応混合物に添加することをさらに含む、<99>〜<116>のいずれか一項に記載の方法。
<118>
前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、エチレンジアミン、ポルフィン及び/又はクエン酸を含む、<117>に記載の方法。
<119>
前記細胞破壊剤を除去する前に酸化剤反応停止剤(oxidant-quenching agent)を前記反応混合物に添加して、前記反応混合物中の酸化剤の反応を停止(quench)することをさらに含む、<99>〜<118>のいずれか一項に記載の方法。
<120>
前記出発フカン組成物を提供した後且つ前記細胞破壊剤を除去する前に、静菌剤(bacteriostatic agent)を前記反応混合物に添加することをさらに含む、<99>〜<119>のいずれか一項に記載の方法。
<121>
前記静菌剤は、亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、塩化ベンザルコニウム、エタノール及び/又はチオ尿素を含む、<120>に記載の方法。
<122>
前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、<99>〜<121>のいずれか一項に記載の方法。
<123>
精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
不純物を含む出発フカン組成物を水性出発溶液中に提供すること、
前記水性出発溶液を有機溶媒と混合して、水相有機相混合物を生成すること、及び
前記水相有機相混合物を分離して水性部分及び有機部分を得ること
を含む方法。
<124>
前記精製/変性フカン組成物を含有する前記水性部分を回収することをさらに含む、<123>に記載の方法。
<125>
前記有機溶媒は、相対極性が0.765未満である有機溶媒を少なくとも1種含む、<123>に記載の方法。
<126>
前記有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、ベンゼン、デカメチルシクロ−ペンタシロキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ヘプタン、酢酸イソブチル、アニソール、酢酸イソプロピル、1−ブタノール、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、ペンタン、1−ペンタノール、エチルエーテル及び酢酸プロピルのうち少なくとも1つを含む、<123>〜<125>のいずれか一項に記載の方法。
<127>
前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、<123>〜<126>のいずれか一項に記載の方法。
<128>
出発フカン組成物のカチオン含有量を変更する方法であって、
出発フカン組成物を出発溶液中に提供すること、及び
タンジェンシャルフロー濾過フィルタを通るキレート剤溶液を用いて前記出発溶液をタンジェンシャルフロー濾過フィルタを通して透析濾過し、保持フカン組成物を生成すること
を含む方法。
<129>
前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、エチレンジアミン、ポルフィン及びクエン酸のうち少なくとも1つを含む、<128>に記載の方法。
<130>
前記保持フカン組成物の有するカチオン含有量が本質的にナトリウム及び/又はカリウムからなる、<128>に記載の方法。
<131>
精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
不純物を含む出発フカン組成物を提供すること、
超臨界抽出装置で70バールを超える適切な圧力及び30℃を超える適切な温度に前記出発フカン組成物を供すること、
超臨界抽出装置に超臨界流体を充填して、前記超臨界流体中に不純物を除去すること、及び
前記抽出された不純物を含む超臨界流体を所定の時間後に除去すること
を含む方法。
<132>
前記超臨界抽出装置に残留している前記精製/変性フカン組成物を回収することをさらに含む、<131>に記載の方法。
<133>
前記圧力は約70バール〜約2000バールである、<131>に記載の方法。
<134>
前記温度は約30℃〜約300℃である、<131>に記載の方法。
<135>
前記出発フカン組成物は液体である、<131>に記載の方法。
<136>
前記出発フカン組成物は固体である、<131>に記載の方法。
<137>
前記超臨界流体は、二酸化炭素、エタノール、エタン、塩酸、フッ化水素酸、硫酸及び硝酸のうち少なくとも1つを含む、<131>に記載の方法。
<138>
前記所定の時間は約5分〜50時間である、<131>に記載の方法。
<139>
前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、<131>〜<138>のいずれか一項に記載の方法。
Claims (139)
- 約96%w/w以上のフカンと約4%w/w以下の非フカン性の成分又は化合物又は物質とからなるフカン組成物、ここで前記フカンはフコース、硫酸(sulfate)及び対イオンを含み、これらに加えてさらにフコース、硫酸、対イオン、ガラクトース、グルコース、ラムノース、マンノース、キシロース及びグルクロン酸からなるものであってよい。
- 前記フカンは約17%w/w以下の対イオンを含み、前記フカンにおけるフコース、ガラクトース、硫酸及び対イオンの総含有量は96%w/w超である、請求項1に記載のフカン組成物。
- 前記フカンがフコース、ガラクトース、硫酸及び対イオンからなる、請求項1に記載のフカン組成物。
- 前記不純物が水を含む、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカン及び約3%以下の前記不純物からなる、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカン及び約2%以下の前記不純物からなる、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカン及び約1%以下の前記不純物からなる、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカン及び約0.1%以下の前記不純物からなる、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンのフコース含有量が25%w/w超である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンのフコース含有量が30%w/w超である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンのフコース含有量が35%w/w超である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンのフコース含有量が40%w/w超である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンのガラクトース含有量が10%w/w未満である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンのガラクトース含有量が5%w/w未満である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンの対イオンの総含有量が17%w/w未満である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンの対イオンの総含有量が14%w/w未満である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンの対イオンの総含有量が10%w/w未満である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンの対イオンの総含有量が7%w/w未満である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記対イオンが医薬的に許容される対イオンである、請求項1〜請求項18のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記医薬的に許容される対イオンがアルミニウム、アルギニン、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、エチレンジアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ヒスチジン、リジン、N−メチルグルカミン、メグルミン、プロカイン、トリエチルアミン、亜鉛、カルシウム、及びマグネシウムのうち少なくとも1つを含む、請求項19に記載のフカン組成物。
- 前記医薬的に許容される対イオンがナトリウム及びカリウムのうち少なくとも1つを含む、請求項19に記載のフカン組成物。
- 前記医薬的に許容される対イオンが本質的にナトリウム及びカリウムのうち少なくとも1つからなる、請求項19に記載のフカン組成物。
- 有効分子量範囲が約50kDa〜約5,000kDaでありヒドロキシル化ポリメタクリレート系ゲルが充填されている内径が7.8mmの300mm分析ゲル浸透クロマトグラフィーカラム1つ、有効分子量範囲が約1kDa〜約6,000kDaでありヒドロキシル化ポリメタクリレート系ゲルが充填されている内径が7.8mmの300mm分析ゲル浸透クロマトグラフィーカラム1つ、及びヒドロキシル化ポリメタクリレート系ゲルが充填されている内径が6mmの40mmガードカラム1つ、ここで前記2つの分析ゲル浸透クロマトグラフィーカラム及び前記1つのガードカラムは約30℃のカラムコンパートメントに収容されている;
約30℃の示差屈折率検出器;
0.6mL/分の0.1M硝酸ナトリウム移動相流;及び
ピーク分子量が約2,200kDaの第1デキストラン標準品、ピーク分子量が約720kDa〜約760kDaの第2デキストラン標準品、ピーク分子量が約470kDa〜約510kDaの第3デキストラン標準品、ピーク分子量が約370kDa〜約410kDaの第4デキストラン標準品、ピーク分子量が約180kDa〜約220kDaの第5デキストラン標準品、及びピーク分子量が約40kDa〜55kDaの第6デキストラン標準品から実質的になるピーク分子量標準曲線と照らし合わせての定量(quantification)
から実質的になる水系ゲル浸透クロマトグラフィー構成を用いて測定される場合に、分布の少なくとも60%w/wが100kDa超となっている分子量分布を前記フカンが有する、請求項1〜請求項22のいずれか一項に記載のフカン組成物。 - 前記フカンは、分布の少なくとも92%w/wが100kDa超となっている分子量分布を有する、請求項23に記載のフカン組成物。
- 前記フカンは、分布の少なくとも97%w/wが100kDa超となっている分子量分布を有する、請求項23に記載のフカン組成物。
- 前記フカンが100kDaより大きい重量平均分子量を有する、請求項23に記載のフカン組成物。
- 前記フカンの硫酸化レベルが約20%w/w〜60%w/wである、請求項1〜請求項26のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンの硫酸化レベルが約30%w/w〜55%w/wである、請求項1〜請求項26のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンの硫酸化レベルが約35%w/w〜52%w/wである、請求項1〜請求項26のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンの総炭水化物含有量が27%w/w〜80%w/wである、請求項1〜請求項26のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンのグルクロン酸、マンノース、ラムノース、グルコース及びキシロースの総含有量が、総炭水化物含有量に対する割合として約12%w/w未満である、請求項30に記載のフカン組成物。
- 水に50mg/mLの濃度で溶解される場合に約4cP〜50cPの粘度を有する、請求項1〜請求項31のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 水に50mg/mLの濃度で溶解される場合に約15cP〜30cPの粘度を有する、請求項1〜請求項31のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 白色固体である、請求項1〜請求項33のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 水に1mg/mL〜100mg/mLの濃度で溶解される場合に透明あるいは無色である溶液を形成する、請求項1〜請求項34のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンのアセチル含有量が約5%w/w未満である、請求項1〜請求項35のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 前記フカンのアセチル含有量が約2%w/w未満である、請求項1〜請求項35のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 5mmのコールドプローブを備えた600MHz分光計により、溶媒シグナルを抑制しつつ70℃で、各回256〜512回の走査として8ずつ回数を増加させつつ、炭素次元における10〜30ppmの範囲で、2D1H−13C異核多量子コヒーレンスによって測定される場合に、前記フカンの有するアセチル含有量が実質的に0%w/wである、請求項1〜請求項35のいずれか一項に記載のフカン組成物。
- 請求項1〜請求項38のいずれか一項に記載のフカン組成物を作製することを含む方法。
- 請求項1〜請求項38のいずれか一項に記載のフカン組成物を使用することを含む方法。
- 前記使用することが線維性癒着を処置することを含む請求項40に記載の方法。
- 医学的に許容しうる緩衝剤又は希釈剤の中に治療上有効量の請求項1〜請求項38のいずれか一項に記載のフカン組成物を含む、医学的に許容しうる組成物。
- 動物における状態又は疾患を処置する方法であって、前記状態又は前記疾患を処置するために請求項42に記載の医学的に許容しうる組成物を選択すること、及び前記動物に約0.5mg/kg〜50mg/kgを含む治療上有効量の前記フカンを投与すること、を含む方法。
- 動物における状態又は疾患を処置する方法であって、前記状態又は前記疾患を処置するために請求項42に記載の医学的に許容しうる組成物を選択すること、及び前記動物に約0.04mg/kg〜25mg/kgの治療上有効量の前記フカンを投与すること、を含む方法。
- 前記量が約0.2mg/kg〜10mg/kgである、請求項43又は請求項44に記載の方法。
- 前記量が約1mg/kg〜5mg/kgである、請求項43又は請求項44に記載の方法。
- 前記量が約1.5mg/kg〜3mg/kgである、請求項43又は請求項44に記載の方法。
- 前記量が約5mg/kg〜10mg/kgである、請求項43又は請求項44に記載の方法。
- 前記状態又は前記疾患が、前記動物における標的部位における線維性癒着であり、前記投与が、前記標的部位に前記治療上有効量を投与することを含む、請求項43〜請求項48のいずれか一項に記載の方法。
- 請求項1〜請求項38のいずれか一項に記載のフカン組成物を約0.02mg/mL〜100mg/mL含む医療組成物であって、動物における疾患又は状態を処置するために構成され且つ組成される、医療組成物。
- 前記フカン組成物を約0.5mg/mL〜5mg/mL含む請求項50に記載の医療組成物。
- 前記フカン組成物を約2.5mg/mL含む請求項50に記載の医療組成物。
- 前記医療組成物が医療デバイスである、請求項50〜請求項52のいずれか一項に記載の医療組成物。
- 前記医療組成物が液体医療デバイスである、請求項50〜請求項52のいずれか一項に記載の医療組成物。
- 前記医療組成物が医薬組成物である、請求項50〜請求項52のいずれか一項に記載の医療組成物。
- 前記医療組成物が液体医薬組成物である、請求項50〜請求項52のいずれか一項に記載の医療組成物。
- 前記疾患又は前記状態が線維性癒着である、請求項50〜請求項56のいずれか一項に記載の医療組成物。
- 動物における疾患又は状態を処置するための約0.01mL/kg〜15mL/kgを含む用量範囲の請求項50〜請求項57のいずれか一項に記載の医療組成物の使用。
- 動物における疾患又は状態を処置するための約0.03mL/kg〜4mL/kgを含む用量範囲の請求項50〜請求項57のいずれか一項に記載の医療組成物の使用。
- 動物における疾患又は状態を処置するための約0.06mL/kg〜2mL/kgを含む用量範囲の請求項50〜請求項57のいずれか一項に記載の医療組成物の使用。
- 動物における疾患又は状態を処置するための約2mL/kg〜4mL/kgを含む用量範囲の請求項50〜請求項57のいずれか一項に記載の医療組成物の使用。
- 患者における選択された疾患又は状態を処置するための方法であって、患者における前記選択された疾患もしくは状態を含むか又は前記選択された疾患もしくは状態に罹患しやすいといえる(reasonably susceptible)選択された標的部位を同定すること、及びその後に、前記患者における標的部位に請求項50〜請求項57のいずれか一項に記載の医療組成物を投与することを含む方法。
- 前記疾患又は前記状態が線維性癒着である、請求項62に記載の方法。
- 前記標的部位が手術部位であり、前記投与がa)前記手術部位における手術創を開けた後、b)手術中、及びc)前記手術創を閉じた後、のうち少なくとも1つにおいて行われる、請求項62又は請求項63に記載の方法。
- 前記投与が手術後且つ前記手術創を閉じる前に行われる、請求項62又は請求項63に記載の方法。
- 前記投与が3分間未満かかる、請求項62又は請求項63に記載の方法。
- 前記投与が2分間未満かかる、請求項62又は請求項63に記載の方法。
- 前記投与が1分間未満かかる、請求項62又は請求項63に記載の方法。
- 前記標的部位が、病変、擦過傷及び傷害部位のうち少なくとも1つである、請求項62〜請求項68のいずれか一項に記載の方法。
- 前記標的部位が、骨盤腔、腹腔、背側腔、頭蓋腔、脊髄腔、腹側腔、胸腔、胸膜腔、心膜腔、関節、筋肉、腱及び靭帯のうち少なくとも1つである、請求項69に記載の方法。
- 精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
不純物を含む出発フカン組成物を提供すること、
凝集助剤を前記出発フカン組成物に添加して反応混合物を生成すること、
前記反応混合物を加熱することによって前記不純物を凝集させて、凝集した不純物を生成すること、及び
前記凝集した不純物を除去すること
を含む方法。 - 前記出発フカン組成物を提供することは、前記出発フカン組成物を溶液として提供することを含む、請求項71に記載の方法。
- 不純物が低減された溶液中の前記精製/変性フカン組成物を回収することをさらに含む、請求項71に記載の方法。
- 前記不純物を凝集させることが、大気圧を超える圧力において前記反応混合物を加熱することを含む、請求項71に記載の方法。
- 前記凝集助剤は塩を含む、請求項71に記載の方法。
- 前記塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム及び/又はアンモニウムの塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩及び/又はシアン化物を含む、請求項75に記載の方法。
- 前記凝集助剤は塩基を含む、請求項71に記載の方法。
- 前記塩基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウム及び/又はアンモニウムの水酸化物及び/又は酸化物を含む、請求項77に記載の方法。
- 前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、請求項71〜請求項78のいずれか一項に記載の方法。
- 精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
固体である出発フカン組成物と、不純物を溶解するように構成されているがフカンを溶解できない抽出媒体とを提供すること、
前記出発フカン組成物と前記抽出媒体とを混合して前記精製/変性フカン組成物と前記抽出媒体との混合物を作製すること、及び
前記抽出媒体から前記精製/変性フカン組成物を分離すること
を含む方法。 - 固体である前記精製/変性フカン組成物を回収することをさらに含む、請求項80に記載の方法。
- 前記抽出媒体は、相対極性が0.765未満である有機溶媒を少なくとも1種含む、請求項80に記載の方法。
- 前記有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、ベンゼン、ジエチルエーテル、デカメチルシクロ−ペンタシロキサン、酢酸エチル、ブタノール、ヘキサン、ヘプタン、ヘプタノール、オクタノール及びデカノールのうち少なくとも1つを含む、請求項82に記載の方法。
- 前記抽出媒体は、塩基、界面活性剤及び酸化剤のうち少なくとも1つをさらに含む、請求項82に記載の方法。
- 固体である前記出発フカン組成物を提供することは、溶液から前記出発フカン組成物を沈殿させることを含む、請求項80に記載の方法。
- 前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、請求項80〜請求項85のいずれか一項に記載の方法。
- 精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
溶液中の懸濁不純物を含む、不純物を含有する出発フカン組成物を提供すること、
イオン性多価不純物沈殿剤を用いて前記不純物を前記溶液から沈殿させることにより、懸濁不純物と沈殿不純物と上清溶液との混合物を生成すること、及び
前記上清溶液から前記懸濁不純物及び前記沈殿不純物を分離すること
を含む方法。 - 前記精製/変性フカン組成物を含有する前記上清溶液を回収することをさらに含む、請求項87に記載の方法。
- 前記イオン性多価不純物沈殿剤は二価又は三価のカチオンの塩を含む、請求項87に記載の方法。
- 前記塩は、塩化物、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩及び/又はシアン化物である、請求項89に記載の方法。
- 前記カチオンは、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、銅及び/又は鉄である、請求項89に記載の方法。
- 前記イオン性多価不純物沈殿剤は、二価又は三価のカチオンの塩基を含む、請求項87に記載の方法。
- 前記塩基は、アルカリ土類金属、亜鉛、アルミニウム、銅及び/又は鉄の、水酸化物及び/又は酸化物である、請求項92に記載の方法。
- 前記上清溶液から前記懸濁不純物及び前記沈殿不純物を分離することは、懸濁不純物と沈殿不純物と上清溶液との前記混合物に凝集剤を添加することにより、前記懸濁不純物及び前記沈殿不純物を凝集させることを含む、請求項87〜請求項93のいずれか一項に記載の方法。
- 前記凝集剤は、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、硫酸カリウム、リン酸マグネシウム、アクリルアミド、アクリル酸、アルミニウムクロロハイドレート、ポリ塩化アルミニウム、タンニン、ホルムアルデヒド、メラミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩及びポリジアリルジメチル−アンモニウムクロライドのうち少なくとも1つを含む、請求項94に記載の方法。
- 約7〜14のpHを維持することをさらに含む、請求項87〜請求項95に記載の方法。
- 前記pHを維持することは、塩基を添加することを含む、請求項96に記載の方法。
- 前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、請求項87〜請求項97のいずれか一項に記載の方法。
- 精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
不純物を含む出発フカン組成物を提供すること、
前記出発フカン組成物のpHを約8〜14に調整すること、
細胞成分を溶解するように構成されている細胞破壊剤を前記出発フカン組成物に添加して、前記細胞破壊剤と、生体分子溶解物と、前記出発フカン組成物とを含む反応混合物を生成すること、及び
前記細胞破壊剤及び生体分子溶解物を前記反応混合物から除去すること
を含む方法。 - 前記出発フカン組成物を提供することは、溶液である前記出発フカン組成物を提供することを含む、請求項99に記載の方法。
- 不純物が低減された溶液中の前記精製/変性フカン組成物を回収することをさらに含む、請求項99に記載の方法。
- 前記細胞破壊剤は界面活性剤を含む、請求項99に記載の方法。
- 前記界面活性剤はアニオン性界面活性剤である、請求項102に記載の方法。
- 前記界面活性剤はカチオン性界面活性剤である、請求項102に記載の方法。
- 前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤である、請求項102に記載の方法。
- 前記界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、塩化ベンザルコニウム、Triton(登録商標)X100、Triton(登録商標)X114、Brij(登録商標)界面活性剤、Tween(登録商標)界面活性剤、デオキシコール酸ナトリウム及びアルキルベンゼンスルホネートのうち少なくとも1つを含む、請求項102に記載の方法。
- 前記細胞破壊剤及び生体分子溶解物を除去することは、前記細胞破壊剤及び生体分子溶解物を凝集させるよう構成された凝集剤を前記反応混合物に添加することを含む、請求項99〜請求項106のいずれか一項に記載の方法。
- 前記細胞破壊剤を除去することは、前記細胞破壊剤を前記反応混合物に不溶にするように構成された沈殿剤を前記反応混合物に添加して、沈殿物を生成することを含む、請求項99〜請求項106のいずれか一項に記載の方法。
- 前記生体分子溶解物を除去することは、前記生体分子溶解物を前記反応混合物に不溶にするように構成された沈殿剤を前記反応混合物に添加して、沈殿物を生成することを含む、請求項99〜請求項108のいずれか一項に記載の方法。
- 前記沈殿物を凝集させるよう構成された凝集剤を前記反応混合物に添加することをさらに含む、請求項108及び請求項109のいずれか一項に記載の方法。
- 前記凝集剤は、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウムナトリウム、硫酸アンモニウムアルミニウム、塩化カルシウム、リン酸ナトリウム、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸第一鉄、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、重炭酸カルシウム、硫酸カリウム、リン酸マグネシウム、アクリルアミド、アクリル酸、アルミニウムクロロハイドレート、ポリ塩化アルミニウム、タンニン、ホルムアルデヒド、メラミン、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートメチルクロライド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート塩化メチル四級塩及びポリジアリルジメチル−アンモニウムクロライドのうち少なくとも1つを含む、請求項107〜請求項110のいずれか一項に記載の方法。
- 前記アニオン性界面活性剤を除去することはアニオン吸着を含む、請求項103に記載の方法。
- 前記カチオン性界面活性剤を除去することはカチオン吸着を含む、請求項104に記載の方法。
- 前記非イオン性界面活性剤を除去することはミセル相分離を含む、請求項105に記載の方法。
- 前記界面活性剤を除去することは疎水性吸着を含む、請求項102に記載の方法。
- 前記界面活性剤を除去することは、
前記界面活性剤の濃度が所定の濃度未満になるまで前記反応混合物を希釈すること、及び
前記界面活性剤を含む前記反応混合物を、分子量カットオフが前記界面活性剤の最大分子量を超えるタンジェンシャルフロー濾過フィルタによる透析濾過に供すること
を含む、請求項102に記載の方法。 - 前記出発フカン組成物を提供した後且つ前記細胞破壊剤を除去する前に、キレート剤を前記反応混合物に添加することをさらに含む、請求項99〜請求項116に記載の方法。
- 前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、エチレンジアミン、ポルフィン及び/又はクエン酸を含む、請求項117に記載の方法。
- 前記細胞破壊剤を除去する前に酸化剤反応停止剤(oxidant-quenching agent)を前記反応混合物に添加して、前記反応混合物中の酸化剤の反応を停止(quench)することをさらに含む、請求項99〜請求項118に記載の方法。
- 前記出発フカン組成物を提供した後且つ前記細胞破壊剤を除去する前に、静菌剤(bacteriostatic agent)を前記反応混合物に添加することをさらに含む、請求項99〜請求項119のいずれか一項に記載の方法。
- 前記静菌剤は、亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、塩化ベンザルコニウム、エタノール及び/又はチオ尿素を含む、請求項120に記載の方法。
- 前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、請求項99〜請求項121のいずれか一項に記載の方法。
- 精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
不純物を含む出発フカン組成物を水性出発溶液中に提供すること、
前記水性出発溶液を有機溶媒と混合して、水相有機相混合物を生成すること、及び
前記水相有機相混合物を分離して水性部分及び有機部分を得ること
を含む方法。 - 前記精製/変性フカン組成物を含有する前記水性部分を回収することをさらに含む、請求項123に記載の方法。
- 前記有機溶媒は、相対極性が0.765未満である有機溶媒を少なくとも1種含む、請求項123に記載の方法。
- 前記有機溶媒は、エタノール、イソプロパノール、メタノール、ベンゼン、デカメチルシクロ−ペンタシロキサン、酢酸エチル、ヘキサン、ヘプタノール、オクタノール、デカノール、ヘプタン、酢酸イソブチル、アニソール、酢酸イソプロピル、1−ブタノール、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、ペンタン、1−ペンタノール、エチルエーテル及び酢酸プロピルのうち少なくとも1つを含む、請求項123〜請求項125のいずれか一項に記載の方法。
- 前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、請求項123〜請求項126のいずれか一項に記載の方法。
- 出発フカン組成物のカチオン含有量を変更する方法であって、
出発フカン組成物を出発溶液中に提供すること、及び
タンジェンシャルフロー濾過フィルタを通るキレート剤溶液を用いて前記出発溶液をタンジェンシャルフロー濾過フィルタを通して透析濾過し、保持フカン組成物を生成すること
を含む方法。 - 前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、エチレンジアミン、ポルフィン及びクエン酸のうち少なくとも1つを含む、請求項128に記載の方法。
- 前記保持フカン組成物の有するカチオン含有量が本質的にナトリウム及び/又はカリウムからなる、請求項128に記載の方法。
- 精製/変性フカン組成物を得るために出発フカン組成物から不純物を除去する方法であって、
不純物を含む出発フカン組成物を提供すること、
超臨界抽出装置で70バールを超える適切な圧力及び30℃を超える適切な温度に前記出発フカン組成物を供すること、
超臨界抽出装置に超臨界流体を充填して、前記超臨界流体中に不純物を除去すること、及び
前記抽出された不純物を含む超臨界流体を所定の時間後に除去すること
を含む方法。 - 前記超臨界抽出装置に残留している前記精製/変性フカン組成物を回収することをさらに含む、請求項131に記載の方法。
- 前記圧力は約70バール〜約2000バールである、請求項131に記載の方法。
- 前記温度は約30℃〜約300℃である、請求項131に記載の方法。
- 前記出発フカン組成物は液体である、請求項131に記載の方法。
- 前記出発フカン組成物は固体である、請求項131に記載の方法。
- 前記超臨界流体は、二酸化炭素、エタノール、エタン、塩酸、フッ化水素酸、硫酸及び硝酸のうち少なくとも1つを含む、請求項131に記載の方法。
- 前記所定の時間は約5分〜50時間である、請求項131に記載の方法。
- 前記除去される不純物は、粒子状物、脂質、脂肪酸、フロロタンニン、ラミナリン、アルギン酸塩、タンパク質、メイラード反応生成物、フコキサンチン、クロロフィル、細菌、細胞成分及びDNAのうち少なくとも1つを含む、請求項131〜請求項138のいずれか一項に記載の方法。
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